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1950-03-23 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第38号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十三日(木曜日)     午前十時五十九分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 河田 賢治君 理事 内藤 友明君       奧村又十郎君    甲木  保君       佐久間 徹君    田中 啓一君       中野 武雄君    西村 直己君       三宅 則義君    松尾トシ子君       宮腰 喜助君   早稻田柳エ門君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局経済課         長)      吉田 信邦君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         大蔵事務官   大濱 用正君         大蔵事務官   内山  繁君         林野庁長官   横川 信夫君         農林事務官         (林野庁業務部         薪炭課長)   濱田  正君         農 林 技 官         (林野庁業務部         長)      佐木 義夫君         通商産業事務官         (通商振興局経         理部通商金融課         長)      川出 千速君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した事件  小委員会設置に関する件  小委員及び小委員長選任  米国日援助物資等処理特別会計法案内閣提  出第七四号)  配炭公団損失金補てんのための交付金等に関  する法律案内閣提出第七五号)  輸出信用保險特別会計法案内閣提出第九二  号)  日本勧業銀行法等を廃止する法律案内閣提出  第九六号)  銀行等債券発行等に関する法律案内閣提出  第九八号)  米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇六号)  国庫出納金等端数計算法案内閣提出第一一一  号)  退職職員に支給する退職手当支給財源に充て  るための特別会計等からする一般会計への繰入  及び納付に関する法律案内閣提出第一一二  号)  薪炭需給調節特別会計法廃止等に関する法律  案(内閣提出第一一四号)  公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)(予)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  議案審査に入る前にお諮りいたしたいと存じます。それは請願審査の件でありますが、ただいままでに本委員会に付託されておりまする請願件数は、全部で百三十四件でありまして、本委員会としては、御承知のごとく税制改正案外四十数件の議案審査のため、請願審査が遅れた感じがするのであります。それでこの際お諮りいたします。請願につきましては小委員会を設置して審査を進めたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですからさよう決定をいたします。  なお小委員及び小委員長選任につきましては、委員長において指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、委員長において指名することにいたします。  大蔵委員会請願審査小委員会委員       前尾繁三郎君    北澤 直吉君       小山 長規君    三宅 則義君       西村 直己君    甲木  保君       川島 金次君    宮腰 喜助君       河田 賢治君    内藤 友明君  小委員長には前尾繁三郎君を指名いたします。     —————————————
  5. 川野芳滿

    川野委員長 日本勧業銀行法等を廃止する法律案銀行等債券発行等に関する法律案一括議題として質疑を続行いたします。質疑はございませんか。
  6. 河田賢治

    河田委員 ただいまの法案については相当質疑も行われましたので、この際質疑を打切られたいという動議を提出いたします。
  7. 川野芳滿

    川野委員長 河田君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから日本勧業銀行法等を廃止する法律案銀行等債券発行等に関する法律案の一案に対する質疑を終了いたします。     —————————————
  9. 川野芳滿

    川野委員長 次は薪炭需給調節特別会計法廃止等に関する法律案議題として質疑に入ります。小山長規君。
  10. 小山長規

    小山委員 まずお尋ねいたしますが、薪炭需給特別会計につきましては、去る十二月の国会におきまして、五十四億七千万円の薪炭証券発行を認める法律案を、本委員会において審議通過したのでありますが、このいただきました表によりますと、收入未済債権が、二月末現在におきまして十八億五千二百万円ありまして、薪炭証券が九億残つておるということになつております。なお三月末におきましては、それが十五億一千五百万円に收入未済が減りまして、なお薪炭証券が九億残るということになりますが、この收入未済債権が十五億ある。この收入未済債権内容と申しますか、これがどういう方面に幾らあるか。これはおそらく資料があるのでありましようけれども、それともう一つはどうしてこれだけの債権がまだ残つておるのかということと、それからこれを三月末までに薪炭証券を借りかえをして、この收入未済債権を漸次取立てるという趣旨でありましようが、なぜそうのんびりと取立てなければならないかという、この三つの点をお尋ねいたします。
  11. 濱田正

    濱田説明員 收入未済二月末現在十八億でありまして、三月末の十五億というのは推定でありますので、推定の方の内訳ということになりますと、はなはだ申し上げるのが困難になりますので、二月末のはつきりしたところから申し上げて、それから推定を申し上げる方がいいと思います。二月末の十八億のうちの大部分を占めておりますのは、お配りしました表に書いてありますが、約十四億八千万円というのが卸売業者にあります。その他の四億ばかりが集荷業者、それから日通海運業者、これは弁償金です。それから政府が直接販売したものに対してあるわけであります。そこで三月末の推定の十五億でありますが、主として一番大口の卸から金を回收して行く。そうして日通とか海運業者の方は、政府からの支拂いもありますから、それでできるだけ相殺をやつて行くというふうにやつておるわけであります。  次のなぜこんなに多くの收入未済が残つたか、こういう問題であります。われわれもこの收入督励につきましては、相当努力をしておるのであります。力の足らぬ点ははなはだ申訳ないわけですが、相当努力をいたしまして、林野庁出先機関だけではなかなか困難だ、こういうところにつきましては、政府機関の他の経済調査庁からも応援をしてもらうし、経済調査庁現実に卸の帳面を調べながら、收入督励応援していただいた。それからまた質のどうかと思うようなものに対しては、法務府の方からも応援をしていただきまして、民事訴訟の問題にまで持つて行く、こういうやり方努力をして来たのでありますが、何分にも一番こたえます点は、例の卸、小売、つまり配給ルート登録制なつておりまして、消費者小売を選び、その選ばれた小売がまた卸を選ぶ。その選ばれた卸に対して、売手の方の政府側から見てその信用を云々して、あなたの方は信用が悪いから取引されないというふうにできないことです。登録して一定票数を得票したものに対しては、いやでもおうでも政府はそれと取引せざるを得ないという状況なつておつたのであります。これが特別会計が解かれますと、卸が独自の力で商売をしなくてはならぬ。こういう関係になりまして、この收入をとるということが非常に困難になるわけであります。たとえば一千万円くらいの資本金に対して、五千万円とか六千万円とかいう政府売掛がありますので、これをあまり短兵急にたたき上げますと、かえつて卸自身が自滅することになる。自滅してしまうと、かえつて政府の方がとれなくなる。そこで自滅させないように、商売が続けて行けるようにしながら政府がとつて行く、こういうやり方をとらざるを得なくなつたし、またこれからもそういうふうなやり方でないと、焦げつきが出て来るという関係もありまして、相手方を殺さないように、できるだけ政府が欠損を少くするように、その辺の緩急をはかつてとらざるを得なかつた。そういう状況のために、残念ながら三月末において、来年度に越すのが十五億何がしという金になつてしまつたわけであります。
  12. 小山長規

    小山委員 今度の法律案審議する上におきまして最も重大な点は、二月末の十八億の收入未済がどんな経路で入つて来るであろうか。要するにこれが確実な債権であるかどうかという点にあると思うのでありますが、ただいまのところの見込みでは、この十八億は全部とれるお見込みでありますか。その点を承りたいと思います。
  13. 佐木義夫

    佐木説明員 この收入未済の十八億は、早急にはとれないかもわかりませんが、私らの気持といたしましては、少し時間をかけましても全部とるという気持でおります。またとれるものと考えております。
  14. 小山長規

    小山委員 少し前にさかのぼりますけれども、この政府債権であります。つまりここに書いてありますのは收入未済でありますが、政府債権幾らあるかということを確定するについては、どういうふうな方法をおとりになりましたか。たとえば相手方の承諾をお求めになつたのか。つまり相手方もまつたくこれを承認しているということになつておりまするか。あるいは政府証拠書類によつて、お前の方にはこれだけ政府債権があるのであるというふうにおきめになつておるのか。あるいはまたこの收入未済金に対する確実な担保があるのかどうか。その辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  15. 濱田正

    濱田説明員 この債権につきましては、政府から卸に物を渡す。渡したら政府からこれだけの物を受けとりましたという受領証が出て来てから、納入告知書を切るというやり方でやつております。ただいま現実の問題として、現物流れは卸の傘下にある小売に直接行く。そうして小売から卸に受領証が来る、卸から政府受領証が来るという形のところもあります。そういうところになりますと、現物流れ小売に確かに行つたということがわかつた上で、卸に債権を調定して行く、こういうふうなやり方のところもあります。そういうわけでありますから、相手方受領証をもつてつておりますから、債権があるかないかという問題については、間違いなくこの通りあると申し上げてよいのであります。  それから次はお尋ねの担保の問題でありますが、これは先ほども申し上げましたように、何しろ卸の商売は、事務所というようなものがあれば、あとは金の運転だけで商売ができるようになつておりますから、担保をとるということがなかなか困難であります。そこでわれわれが現在やりつつある方法は、法務庁とも連絡しまして、その会社倉庫を持つておればその倉庫、それからその会社のものではないが、その会社の社長なり重役なりが個人として財産を持つておれば、それを担保にもらう。担保のないものは個人保証をもらう。それをもらうことによつて簡易裁判所へ持つて行きまして、即決和解という方法で、何月に幾ら納めろ、何月に幾ら納めろ、納めなかつた抵当権を実行してよろしいというやり方でやつております。しかし残念ながら、相手方の資産がそれほどありませんので、担保としては十八億に見返るほどの担保をとることは、現実において困難なことと思つております。
  16. 小山長規

    小山委員 ただいまの担保の問題でありますが、この個人保証は全部徴してあるのでありますか。
  17. 濱田正

    濱田説明員 全部徴しておりません。と申しますのは、これも相手との相対ずくの話でありまして、何か法律でもあつて、出さなければならぬというふうになつておりませんので、どうしても出すのはいやだ、それは困ると言う者に、いや出せ、出さぬとどうこうするぞというきめ手がありませんから、全部はとれておりません。はなはだ大ざつぱなことを申し上げて何ですが、約半分程度までは個人保証はとつております。
  18. 小山長規

    小山委員 そういたしますと、政府にこれだけの債権があるという証拠書類があるのに、相手方政府に対してそれだけの債務を持つておるということを認めさせる法律上の手続きと言いますか、そういうものはないのでありますか。
  19. 濱田正

    濱田説明員 それは最後の段階では、民事訴訟法債権確認の訴えをやるしか方法はありません。しかしこれは公正証書とか裁判上の問題でなくして、確かにわれわれは政府の方から何ぼの借金があります、これはお拂いいたしますという証書と言いますか、そういう紙はとつております。ただこれをいよいよ民事訴訟なつて争えば、その私証書証拠力にはなつて参るわけであります。
  20. 小山長規

    小山委員 そういたしますとこの收入未済の十八億に対しまして、争いなつているのが現存ありましようか。それとも大部分はこれを認めているのでありましようか。
  21. 濱田正

    濱田説明員 争いなつているのは大阪に一件だけありまして、金額は三千万円程度です。あと争いなつておりません。大阪の問題はそういうことになつておりますから、大阪裁判所へ本訴にかけて解決いたしたい、かように思つております。
  22. 小山長規

    小山委員 この收入未済のいわゆる債務者の範囲は、卸売業者その他でありましようが、卸売業者の場合には、そこから品物を引取つて行つた小売人債務者になるのでありますか。卸と小売との関係においては、卸売だけでありますか。小売も含みますか。それを伺いたい。
  23. 濱田正

    濱田説明員 政府債務者としては卸だけであります。そこでわれわれといたしましては、それだけでは危いというので、即決和解を今盛んにやつておりますが、そのとき、政府と卸と小売との三面の即決和解で、小売も抱き込んで行くというやり方、あるいはある卸からある特定の小売売掛がある場合、その売掛については卸が政府に拂う債務保証をやるというやり方で、だんだんと小売まで広めて行こうという措置をとつております。しかしただ形式的に申し上げますと、そういう措置をやらぬ限りは、政府と卸だけだということであります。
  24. 小山長規

    小山委員 この金の今後の入りぐあいでありますが、来年の四月以降何月にはどのくらい、何月にはどのくらいというような目途がついておりましようか。
  25. 濱田正

    濱田説明員 まずこのやり方としましては、この決済の次期年度がわり、こういうところを目標にしまして、最大限度この三月までにむりをしてでもとる。そのかわり残りの金は二十五年度中には全部とる。とり方は各卸々の商売状況——何といいますか、商売が非常にうまく行く卸もあれば、よたよた行つておる卸もありますからして一律には参りませんが、二十五年度中には残りを全部とるというやり方でやつておりまして、あとの二十五年度につきまして何月には何ぼ、何月には何ぼというのは、現在進行中の即決和解裁判上にはつきりあとへ問題が残らぬというやり方きまりぐあいによつてきまるので、こまかく何月には幾ら、何月には幾らとまで計画は立つておりません。ただ申し上げる点は、これから四、五、六、七、八、九というのは薪炭の不需要期になりますからして、なかなかとりにくいだろうと思います。従つて二十五年度の前半期において半分とれれば大成功だろう、かように考えております。
  26. 小山長規

    小山委員 ちよつと問題をはずしまして、この十一月の審議の際に、十億ばかりの何か行方不明といいますか、勘定の合わないものがあつたと記憶しておりますが、それはどういうふうになりましたか。その後の状況をひとつ——あるいは説明書にあるのかもしれませんが、御説明を願いたいと思います。
  27. 濱田正

    濱田説明員 お手元にお配りしておりますこの一番しまいから二番目の、五という表題の現物取得薪炭処理状況という表があります。これについて御説明申し上げるといいだろうと思います。一番上の段の左端にあります不足数量、これが先ほど小山委員のおつしやいました十億五千万円の不足数量であります。これを特別会計清算の一重要な仕事として処理して参つたわけであります。それを処理しました数量が、その次であります。処理したとは何ぞやという説明はその下の段にありますが、これだけのものがわかつて来たということであります。ところでその処理率といいますか、進捗率といいますか、木炭については不足数量のうち七六%が、とにかく原因がわかつて処置を行つたまきについては三〇%、ガスまきについては八五%、これだけのものが処理を終つた残りはさらに現在追究中である、こういうことであります。  そこで処理内容でありますが、前回の国会におきましても御審議を願いましたように、例の空気木炭とかあるいはからす木炭とかいうふうに、現物があるべきところになかつた。こういうものもだんだんわかつておりまして、その処理内容としましては現物補填で出したものが木炭については五%、まきについては二二%、それから現物補填ができないから弁償金として出すというふうにしたものが一九%、まきで三四%、それから帳簿には最後に載つてつたが、相手方にもう行つておるということがはつきりしたから、これに対して正式に納入報告書を出して売り拂つたというものが一一%、まきが四%、こういうふうになつておる。それからこの前の現物不足のところで説明をしておりましたが、政府薪炭を保管している人が、保管しておつて盗難とか火災とかあるいは水害とか何かにかかつたものがしかじかある。これは政府のものでありますから、相手方に善良なる管理者注意がなければもちろん追究します。善良な管理者注意があつたにもかかわらず、つまり逆に言いますれば不可抗力でどうにもならなかつたという証明がついて、検査員に対して報告して国損となつたものが一二%、まきが一九%となつておる。それから最後政府の持つておる帳面上の操作に間違いがあつたというものが、木炭は何しろ古いものでありますから半分程度まきは種目の取扱いが新しいから二一%、ガスまきが一三%程度であります。帳面上の不備から出たのがそのくらいあつたということがわかつたわけです。帳面上の不備から出たというのはどういうことかというのが、その下の欄に書いてあります。そこで帳面上の操作というか、処理の惡かつた点の内容を次に書いてありますが、それはだんだん受拂い出納簿をたぐつて参りますと、戰災処理しなければならないものを処理しないで、そのまま出納簿に載つかつてつた。たとえば高知から大阪へ来るのに船が沈んだ。だからこれは戰災処理するのを、処理しないでそのまま置いておつたという数字が、木炭が二一%、まきが四%、ガスまきはありません。それから帳面に二重に記帳しておつた、つまり記帳間違い、それから年度繰越し数量にそろばん違いがあつたとかあるいは誤記があつたというのが、木炭において二%、それから買上げを中止しまして、代金は回收したが出納簿帳面から落すものを落してなかつたというもの、それからもう一つはこれは実例で話す方が話しやすいのですが、たとえば岩手から東京へ百トン送つた。そうすると岩手県の帳簿面には百トンという数字が、輸送中として在庫に載ります。そうして東京から百トン受取つたという受取書が来れば岩手県の帳面が落ちます。ところが東京から受取つたという書類を出したのだけれども岩手県には着かなかつた、あるいは東京で出すのを忘れておつたとか、東京で出して岩手県に着いたけれども、岩手県でその帳面を落すのを間違つたとか、こういう出納簿の整理上における欠陷と申しますか、やはり間違いと申しますか、そういうものがあつた。これが大体の処理したものの内訳であります。
  28. 奧村又十郎

    奧村委員 大体の金額をひとつ……。
  29. 濱田正

    濱田説明員 今説明いたしましたのを金額に直しますと、六億三千三百万円というのがこの処理したものの金額であります。その内容を申し上げますと、その中で現物補填させたりあるいは弁償金で取立てたりして、国の收入にかわつてなつて来るものが二億四千五百万円、それから先ほど説明しました国損が一億四千九百万円、それから最後説明しました出納簿上の間違いで出て来たものが、二億三千八百万円ということになつております。言いかえますれば、現物不足十億五千万円という申し上げました内容をだんだんたたいてみますと、六億三千三百万円というものがわかつて来た。その六億三千三百万円の内容をもう少したたいてみますと、先ほど申し上げましたような内容なつて来た、こういうことであります。
  30. 小山長規

    小山委員 今の関連でありますが、売拂帳というのは数字として出ないのでありますか。
  31. 濱田正

    濱田説明員 売拂帳の方も数字として入れてあります。二億四千五百万円というものが收入として入れてあります。
  32. 小山長規

    小山委員 ただいまのお答えですつかりわかつたのでありますが、この十億五千万円の現物不足というものは、前会の審議の際に赤字として考えられた五十四億とどういう関係になるのでありますか。その辺をひとつ……。
  33. 濱田正

    濱田説明員 この二十三年度末の決算におきまして、現物不足の十億五千万円というものを、二十三年度決算においては落して計算をしたわけであります。そうしてこれをつぶさに追究して掘り出すことによりまして、前今申し上げました赤字というものがだんだんと少くなつて来ておる、こういう関係になるのであります。
  34. 小山長規

    小山委員 処理状況のうちでまだ未済のものが相当あるのでありますが、これはどのようにしてただいま追究されておりますか。何と申しますかこの中からどの程度現金收入があつて赤字をそれだけ埋めて行くだろうというような見通しはついておりますか。
  35. 濱田正

    濱田説明員 このやり方につきましては、先回の国会の御説明で申し上げましたように、発送報告書という証拠書類をわれわれの方で持つておりますから、これの行方を探求して行けばそこに日通責任であるか、生産者責任であるか、卸の責任であるかということが逐次わかつて参りますからして、そこで追究しつつあるわけであります。これがさらにどういう收入になるだろうかというのは、現在追究中でありますので見当はつきませんが、従来の率と同じように、帳面上の間違いとか、あるいは国損とか、回收できるものが従来の率と同じであるとかりに仮定いたしますならば、さらに二億六千万円程度というものは、この会計收入になり得るだろうという想定以上には、ちよつと断言する勇気は今ありませんのですが、二億六千万円程度は、従来の率で行くならば、この会計收入になるだろう、こういう想定ができます。
  36. 小山長規

    小山委員 それで初めにもどるのでありますが、この現物不足によつて処理されたもので、現金收入になつたのは当然この会計收入として入つて来るのでありましようが、それがただ確かに私の方で受取りましたというのが現われて来まして、それが現金收入にならぬときには、收入未済数字がそれだけふえることになつて来るのでありますか。
  37. 濱田正

    濱田説明員 そういうわけであります。
  38. 宮腰喜助

    宮腰委員 この薪炭特別会計の問題は、第六国会から大分問題になつたのでありますが、今理由書の中に收入未済財源という項目がありますが、これは他の委員からも質問されたと思うのですが、收入未済財源の中には現物不足の場合のあれは入つていないのでしようか。
  39. 濱田正

    濱田説明員 お手元にあります二月末收入未済十八億の中で、集荷業者に対する一億五千万円、日通に対する七千万円、海運業者に対する二千五百万円、こういう数字、つまりかつて日通海運業者に対しては、これはすべて弁償金でありますからして、先ほど言いました現物不足と言いますか、それをだんだん追究することによつて弁償金として出て来るというものでありますから入つております。それから集荷業者に対しましても、弁償金を調定して行くということで、收入未済として一部入つております。
  40. 宮腰喜助

    宮腰委員 それからまだ償還未済薪炭証券があるのですが、この金額がどれくらいありますか。それからその他未済債務というのはどういうような債務ですか。
  41. 濱田正

    濱田説明員 薪炭証券の償還未済は、これもお手元にあります一番最初の表にありまして、九億というものがまだ償還しておりません。それからその他薪炭証券外に、つまり集荷業者なりあるいは日通なり海運業者なりに対する未支拂いというものが、二月末で六億八千九百万円、合計約十五億八千万円というものが未拂いという状況なつております。
  42. 宮腰喜助

    宮腰委員 そうすると、今度この会計を廃止しまして一般会計になるということでありますが、この資産負債の一切を一般会計に繰入れるというような場合、今行方不明になつているという問題について、国警あたりでもいろいろ操作しているのだというお話を予算総会でも伺つておりますが、これはそういうような刑事上の問題も、特別会計を離れて一般会計の所管だけで追究するのでしようか。
  43. 濱田正

    濱田説明員 一般会計に入りましても、われわれは縁が切れるわけではありません。あくまでわれわれの手によつてこの結末をつけて行きたいと考えます。ただ処理上の、会計上の問題だけで一般会計でやるだけで、あくまで清算事務としてはわれわれがやつて参ります。ただそこに空気木炭とか何とかいう犯罪ということがあるならば、それはわれわれの方でなく、むしろ司直の手でやつていただく。われわれはあくまで清算事務として、最後までこれをたたいて行くという考え方であります。
  44. 宮腰喜助

    宮腰委員 行方不明になつておるものは、これを繰入れるというのは非常におかしいのです。大体どのくらいの債権があり、取立てればどのくらいの金額になるという見通しがつかなければ、繰入れることはできないわけですが、この点はいかがですか。
  45. 濱田正

    濱田説明員 行方不明のうちの内容を洗つてみれば、しかじかになりますと先ほど申し上げましたが、今までのうちで約二億四千万円程度はわかつて来て金になる。それから今まで金になつた大体の率で想定するならば、さらに二億六千万円くらいに行くだろう。合計しますと、十億の現物不足というのをだんだんたたいてみますれば、これも大ざつぱの話しか申し上げられませんが、約半分の五億は、つまり一般会計に引き継ぐとすれば一般会計收入として上つて来る。その残りの半分は一部は国損であつた。一部は帳面上の操作のまずい点があつた。こういうことになるわけであります。
  46. 河田賢治

    河田委員 二、三質問いたします。これは昨年暮れに例の特別会計赤字補填で出た法案でありますが、この際大臣は三月までに決済をするということを本委員会でも言明しております。しかしながらこの責任については別に事務当局を責めませんが、ここの表にあります現物不足、これが昨年当委員会に出されました資料と、数字ちよつと違つておるのであります。木炭のところはいいのでありますが、まきは昨年の表では二千三百八十万となつておりますが、こちらでは二千四百万、それからガスまきの方では昨年出されました資料は二十七万五千、こちらでは三十一万五千、こういうふうになつております。こういう数字の違いはどういうところから出て来ておりますか。
  47. 濱田正

    濱田説明員 この点につきましては昨年の五月から始めまして六月一ぱい約一月かかつて調査したわけであります。ところが何分にも非常に広範囲の地区にわたつておりますので、調査したそのときの資料を提出したのでありますが、資料そのものを検討してみますと、われわれの方でそれぞれの項目をあらかじめきめまして、そのサンプルに基いて調査する、こういうことにさせておりましたところが、実情といたしましては、そういう概念にはめて行くのがむりな点があるものが若干あり、またその後だんだん追加、修正して来た、こういう点で数学が若干増加したのであります。
  48. 河田賢治

    河田委員 項目の中に入らないならば、項目外に置くということは話がわかりますが、項目を整理してみたら出て来たというのはちよつとおかしいじやないですか。あとから出された資料でまたふえて来るというのは、ここに少しインチキがあると思う。未着の分があつて到着して掲載したから出たのだというのならばわかりますが、どういうわけですか。
  49. 佐木義夫

    佐木説明員 ただいまのお話はごもつともでございますが、私らの方でいろいろと集計いたします上におきまして、誤算があつた。実は申訳ないのでありますが、そういう関係最後の締め括りをして当つて参りましたところ、こういう数字になりました。
  50. 河田賢治

    河田委員 また出たわけですか。どうもたよりない。責任をもつて大臣も答えられて、事務当局もちやんとでき上つたものとして資料を渡されておる。それを帳簿をいじつたらまた出て来たということでは実にたよりない。  次に先ほど小山委員からも尋ねられましたが、それに対する具体的なお答えがなかつたのであります。この卸売業の回收というものが、昨年十月十五日約二十億、二月になりまして十四億八千万円——約九千万円、こういうふうに残つております。わずかに取立てられたのは五億くらいにすぎないのでありますが、この大きな收入未済なつている木炭業者は、具体的に大体どういうところでありましようか。
  51. 濱田正

    濱田説明員 お答え申し上げます前に、卸売業者の中には三つの系統があります。第一の系統はいわゆる燃配と称しまして、燃料配給組合——昔の独占機関で、昔から炭屋をやつていて、企業を統合して一つ会社をこしらえたもの、つまりしにせであります。この燃配系統というのが一つ、これは昔の炭屋でありますので、商売は上手です。その次は例の登録制になりまして、何と申しますか、いわゆる一旗組と申しますか、適当な言葉がありませんが、新規の業者として現われた系統のもの。第三の系統は、特別会計生産者と卸の間に入つておりまして、生産者、卸の間を直接断ち切つてつた。そこで生産者の団体の系統を引く会社——もつと具体的に申しますれば、販連系統を引く会社あるいは森林組合の系統を引く会社であります。そういう生産者団体の系統を引く会社と、全然新規になつた会社と、昔から商売をやつてつた会社と、大体そういう三つの会社なつております。そこで收入未済の多い少いの問題を概括的に申し上げますれば、燃配の系統は昔からでありますから商売が比較的上手です。そしてそういう系統につながつている小売も優秀なものを傘下に收めております。そこでそういうものに対しては売掛が割方少いから、政府から見れば收入状態はよろしいのであります。それからその次の、新たにできた会社あるいは生産者の系統を引く団体、これは商売が、何といいますか、割方下手で、小売に対する焦げつき相当つております。そういうわけで、この二系統については、割方政府から見れば收入の入りぐあいが惡くあります。それが大体一般的な話です。今度は現実に見ますと、收入未済の一番大きいのはやはり大都市の東京大阪、名古屋、神戸、こういうところが一番收入未済が大きい、こういう状況なつております。
  52. 河田賢治

    河田委員 それがどのくらいのパーセンテージになつておりますか。卸売業者收入未済の中で……。
  53. 濱田正

    濱田説明員 はなはだ大まかなことを申し上げますが、こまかくは資料として出してもよろしいのですが、約三分の一程度ということになつております。
  54. 河田賢治

    河田委員 それから特別会計からの支拂い未済が二月の六億、三月末の大体一億七千万、これは生産者の方は全部済んでおりますか。
  55. 濱田正

    濱田説明員 生産者の方は、この前国会で御承認願いまして、金が入つたとき現在においてさつぱりと済ませたわけでありますが、その後まただんだんと出先の木炭事務所に生産者から請求が来る。請求が来るのを台帳と合せて、確かに間違いがないとなれば上つて来る。こういう状況なつておりますから、その後集荷業者に約二億円というものが上つて来ております。これには推定も入れております。この前国会で、生産者に対する損失補償をしてやらぬと、あまり気の毒ではないかという論議がありまして、その金が約七千万円程度推定として入れております。これは現地で、補償金額を盛んにそろばんをはじいて決定しておりまして、それはまだ本省の方には支拂い請求として出ておりませんが、これは当然拂つてやらなければならぬと考えまして、推定として入れております。
  56. 河田賢治

    河田委員 その補償される場合に、生産者が補償される権利と申しますか、そういう理由のあることを生産者は知つておりますか。こういうことが補償されるというので、途中の業者なりあるいは集荷業者なりが、うまくねこばばをきめるというようなことはありませんか。
  57. 濱田正

    濱田説明員 これをどういうやり方で補償するかということは、通牒を県庁にも出し、われわれの傘下の木炭事務所にも出して公表しておりますから、集荷業者が知らぬ間にやつつけてしまうということは、おそらくないのではないか、かように考えております。
  58. 河田賢治

    河田委員 大分木炭事務所の清算がつきまして、三月中に閉鎖されるものが十三箇所、四月以降が二十一箇所、こういうふうになつております。これまでいろいろ木炭の問題にからみまして不正な事件が起きたりなんかしましたが、大体刑事事件として今日まで、この木炭事務所あるいはこれらとの連関において起つた事件がどのくらいありますか。
  59. 佐木義夫

    佐木説明員 ただいまのところ、私の方でわかつているのは三件あります。それは千葉と徳島と山梨、この三つの県であります。
  60. 河田賢治

    河田委員 たつた三件だけですか。そうしますと閉鎖されたものは一応清算が全部済んだわけでありますが、閉鎖されてしまつてからまた事件が起きたというような場合、閉鎖をした清算の内容について、いかがわしいものがまだあるのではないかと思いますが、そういうものは全然ありませんか。
  61. 濱田正

    濱田説明員 これはいいかげんに閉鎖するということは絶対にいけませんので、木炭事務所の事務の進行を見まして、薪炭課の方から五、六人の隊を編成しまして、一週間くらいかかりまして全部洗い上げまして、これであと全然問題がないというところで閉鎖する、こういうやり方でやつておりますから、閉鎖したところで問題があとで起つて来るということは、もしわれわれの会計検査に見落しがあるならば別ですが、そうでない限りはないだろうと考えます。かりに起つたとしましても、この事務所を閉鎖したらもうそれでおしまいでなくして、隣の事務所が管轄区域になりますから、もしも起つたらそこでやる。隣の事務所がなくなればまた隣と、だんだん集約して最後には薪炭課に集めて来まして、薪炭課が存在する限り、もし問題が起つたら解決する。かような段取りでやつておりますから、おそらく問題がないと思いますが、もしあれば隣の事務所または薪炭課において処理して行く、こういうやり方であります。
  62. 河田賢治

    河田委員 最後に一点だけ……。ただいまそういう言明がありましたが、閉鎖したところで事件が起つているということは、実は資料を持つて参りませんので、いずれまたあれば明日でも問いただします。  さらに今後二十一箇所の閉鎖される事務所については、九月でなければ閉鎖が済まぬということになつておりますが、木炭事務所の閉鎖につれて人もだんだん減らすのかどうか知らぬが、九月までというと相当時日があるので、もつと早く行かぬものですか。
  63. 濱田正

    濱田説明員 これはわれわれといたしましても、のんべんだらりと長くやるということではないのでありまして、各事務所に対する目標といたしましては、さらに四月以降二十五年度に残る事務所については、六月までにやれというふうに指揮はしているのです。指揮はしておりますが、もし問題が出て来れば、あるいは延びるかもわからぬという安全率を考えておるだけでありまして、内部的の指揮としては、六月末までには各事務所は終つてしまいたい、かように考えておるわけであります。
  64. 宮腰喜助

    宮腰委員 関連して……。先ほど政府委員の方からお話がありましたが、燃配あたりは非常に商売が上手だから、結局その資金を回收しておる、こういうお話であります。また生産者消費者との間に介在するところの県の販連組合、森林組合あたりは非常に下手だから、小売に対して焦げつきができている、こういうお話ですが、実際小売の場合は、どんな配給の場合でもたいていみな金を拂つておるように思われるのです。こういう場合に、販連だとか森林組合あたりがねこばばをきめて、これはどうも行方不明になつたとか何とかいう理由をつけて、拂わない場合があるのではないかという疑問を持つのですが、どうでしようか。
  65. 濱田正

    濱田説明員 販連とか森林組合そのものではないのです。そういう系統ということになつておるだけでありまして、販連とか森林組合そのものではありません。販連は販連、卸は卸というふうに、その間に政府が入つておりますから、人格は明瞭に違つておる。内容的には多少そこに系統がある、こういうことであります。そこで販連、森林組合がねこばばするということは絶対考えられない。ただその会社小売から全部取立てをすることができなければ、その分だけはその会社が、これから商売をやつてちびちびもうけて、そして政府に納める。言いかえれば、政府側から見ても、相当根気よくそれを育成しながら取らなければ取れぬのじやないか、こういう状況だけでありまして、途中でねこばばしてしまうというふうなことはないだろう。それが倒れてしまえば別でありますが、育成しながら続けて行くというやり方を取れば、ねこばばしてしまうということはないだろう、かように考えます。
  66. 河田賢治

    河田委員 最後に「薪炭特別会計破綻の実相」として、全農林労働組合から昨年の十一月五日に白書の第二集として出ております。おそらく農林当局の方もお読みになつたと思いますが、ここには具体的に卸業者が金もうけをいろいろやつておる。そのやり方などを一々書いてありますが、「不当の利益を得ていることは、薪炭業界の周知の事実になつている、これを裏づけるものとして、薪炭業界の大御所、参議院のH氏は常に薪炭統制の機密事項をいち早くキャッチして、全国の薪炭業者に情報を流し、さらに今回の特別会計の破綻に際しても、未納金の納入はできる限り延引するようにせよとの指令を流しているとも言われている。当局は卸業者に比較してはるかに無能で、若干の努力を拂つて来てはいるが、効果はほとんど上らなかつたのである。」農林省に勤めておる労働組合の方々が、こういうようなものを発表しておるわけであります。ここに問題を具体的に出しておりまして、この薪炭業界の大御所、参議院のH氏というふうにあげておるのですが、特にそういうふうに輿論に問われたことに対しまして、ここに関係しておられる燃料会社ですか何か知りませんが、お調べになつて、その成績はどうなつておりますか。
  67. 佐木義夫

    佐木説明員 ただいまのお話の点につきましては、そういうことを私らも耳にしないではなかつたのですが、はたしてそれは事実かどうか。そこまで調べることはできなかつた状況でございます。現存そのH氏と言われている方の関係している会社の未收金は千五百万円ぐらいで、東京にある会社としてはその金額は割合少いのであります。
  68. 三宅則義

    三宅(則)委員 わが党の小山委員から詳細に質問がありましたから、二、三点だけ補足的な意味において御質問いたしたいと考える次第でございます。  私が申すまでもなく、前国会におきましてもこれは問題になつたことでありまして、特に必要といたします事柄は、これは現内閣ばかりではない。歴代内閣もそうですが、薪炭特別会計が始まりましてから今日まで、ずつと会計記録もしくは帳簿の整理というものは、役人の整理は比較的商売人に比べますと單純でありまして、これに配するに燃配とか、先ほどお話のありました新規の会社とか、あるいは生産に従事しております系統の会社、こういうものに代行なさつたのであります。そこで非常に監督の不行届きがあつたということが考えられるのであります。これを一々責め立ててもしかたがありませんが、私どもの考えているところによりますと、これはどうしても今後にも関係のあることと思いますが、よほど精細に研究されることが必要であるとともに、会計帳簿を今も見ていらつしやいますでしようか。その辺がはつきりしませんと、将来に禍根を残すようなおそれがある、かように考えますから、薪炭課長並びにその他の方々の御答弁を承りたいと思います。
  69. 濱田正

    濱田説明員 卸売会社等の会計帳簿は見ております。特にこれは收入督励に非常に役に立ちますので、いろいろと操作をしてあるところを発見して行くと、ときどき音をあげることもありますから、そこを利用して收入督励するというので、会計帳簿は大部分卸売会社は見ました。
  70. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は政府当局が誠意をもつてこれを調査することに、はなはだ敬意を拂うものでありますが、どうかこれを根こそぎ調査して、国民の納得の行くように今後やつていただきたい、かように思います。  先ほど河田委員がお話になつたのでありますが、わが国の木炭事務所の半数というものはまだ残つているように考える。というのは、御承知の通り大生産県とか大消費県の帳簿というものは、なかなか完全に行つていない、こういうことは当然あり得ると思いますが、これを予防し、これを精査し、未済金をなるべく早く回收するというのが、政府当局の任務であろうと考えておるのであります。つきましては、ややもいたしますと、官庁の請求というものはゆるやかじやないかというようなことを、地方でも言つている者があるのでありますから、業者に対しましては嚴重に監督し、また精査せられまして、一刻もすみやかに国民の負担によつて得られましたところのこの特別会計を、完全に近いように整理してもらいたい、こういうのが私ども衆議院議員といたしまして特に要望いたす点であります。これについて当局の誠意ある御答弁を賜わりたいと思う次第であります。
  71. 佐木義夫

    佐木説明員 ただいま三宅委員からのお話のように、この薪炭特別会計の経過を見まして、私ら公務員といたしまして非常に制度上、運営上に反省しなくちやいかぬところがあると思つております。今後は十分制度なりあるいは運営の仕方なりについて注意し、検討して行かなくちやならないと考えております。  なお次に未收金の回收につきましては、先ほど濱田課長から申しましたように、私らといたしましては、極力この回收に努めている次第でありますが、どうも私らの手で負えません関係上、あるいは経済調査庁に御依頼し、あるいは法務府に御依頼いたしまして、ただいまは法務府に極力応援をしていただきまして、即決和解方法で、期間をきめまして、できますならば二十五年度中に全部回收するように計画をいたしております。かような次第でありますから御了承を願います。
  72. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこまかいことは申しませんが、先ほど佐木さんもお話になりました通り、わが国の特別会計というものにつきましては、薪炭会計ばかりではないのでありまして、大体特別会計に対しましては私は嚴重に帳簿組織といいますか、あるいは貸借対照表といいますか、財産目録といいますか、この企業会計に相類似するような会計組織を、官庁でもとつていただきたいと思います。今までのような單式簿記、複式簿記のような簡單な形式でありますと、往々にいたしまして業者がごまかされるといいますか、割合に遅延するおそれがあります。これを改革するということは官庁会計の一番の基準であると私は考えます。この機会を通じまして、薪炭会計はもちろんでありまするが、他の会計に至りましてもぜひとも明瞭にするように、企業会計と同様に明確な財産目録、貸借対照表、損益計算書を表わしまして、国民の信頼し得るところの企業会計の組織にしてもらいたい。かような希望を申し上げまして、私は総括的質問でございますが、一応質問を打切りたいと思います。
  73. 川野芳滿

    川野委員長 奧村君。
  74. 奧村又十郎

    奧村委員 ちよつとお尋ねしますが、この薪炭特別会計整理状況の四の、政府手持薪炭処理状況の二十五年の三月一日現在の手持におきましても、まだ一億七百万円の手持木炭その他の商品があるわけです。これは貸借対照表に出ておりませんが、どういうことになつておりますか。
  75. 濱田正

    濱田説明員 これは二月末の貸借対照表に載るわけであります。三月末には全部処分したということで載つておりません。
  76. 奧村又十郎

    奧村委員 二月末の貸借対照表にも載つておりませんか。
  77. 濱田正

    濱田説明員 載つております。
  78. 奧村又十郎

    奧村委員 それはつまり売り拂い見込額でもつて欠損を出した金額ですね。
  79. 濱田正

    濱田説明員 そうであります。
  80. 奧村又十郎

    奧村委員 それからいま一つ現物不足薪炭処理状況において六億三千万円余りが処理された。そのうち二億四、五千万円はすでに入つて来る見込みがついた、こういうことでありますが、これは二月末の貸借対照表には記載されてありませんか。
  81. 濱田正

    濱田説明員 二月末の貸借対照表の收入未済十八億という中に一部まぎれ込んでございます。
  82. 奧村又十郎

    奧村委員 これは九億円の薪炭証券の償還に非常に関係があると思うのですが、どのくらいまざつておるのですか。また今後そういうような処理によつて政府收入がふえるのか。その見積りはどの程度ですか。あらましでよろしいからお答え願います。
  83. 濱田正

    濱田説明員 第一点の十八億の中にどの程度つておるかと申しますと、これは納入報告書を克明に引出さぬと今わかりにくいのですが、あとどのくらい出て参るだろうかと申しますと、先ほど申しましたようにさらに二億四、五千万円はプラスの要素として出て来るのじやないだろうか。つまり借り方のプラスの要素として出て来るのじやないだろうか、こういう想定をつけておるわけであります。
  84. 奧村又十郎

    奧村委員 先ほどの小山委員の質問に対する御答弁の中に、すでに政府收入として見積られるのは現物補填と弁証金收入の二億四、五千万円、そのほかにもまだ二億円見積られる。たしかそういうふうに承つたのでありますが、それはどの項目に載つておるのですか。今二月末の收入未済の中に多少入つておると言われますが、その二月末收入未済内訳を見ますと、これは卸業者が十四億、集荷業者が一億五千万、日通幾ら、こうはつきり内訳している。それはこの項目のどこに入つておりますか。
  85. 濱田正

    濱田説明員 日通海運業者は全部弁償金であります。それから一億五千万円のうちの一部が、集荷業者に対する弁償金ということになつております。
  86. 奧村又十郎

    奧村委員 集荷業者に対する弁償金というものは大体どういう場合に起るのですか。
  87. 濱田正

    濱田説明員 例を引いて説明しますと、政府が山元で買つてつた。そこで集荷業者政府の輸送代行機関になつて、その県の消費地で倉庫がないということになると、出納簿としては集荷業者から買つた、動かしたということになつておりません。動かしたという証拠がない場合には弁償金としてお拂いする。また最初言いましたように、集荷業者から物を買つた。買つた現物が出ていなかつた。出ていないから現物補填をせい。補填をするにも現物がない。それなら補填金、こういうことで整理するわけです。
  88. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと要するに集荷業者から買つた現物は受取つておらぬが、金は拂つてつた。そしてあとから品物が入つておらなかつたということがわかつたので、あとから弁償金を請求する。こういう段取りになる弁償金ですか。
  89. 濱田正

    濱田説明員 そういう弁償金も一部あるわけです。先ほど申し上げました輸送中雲がくれしたというものに対する弁償金もあります。
  90. 奧村又十郎

    奧村委員 たいへん遺憾な話ですが、しかしこれはこの前の国会でたびたび追究した問題でありますからやめておきます。  現物不足薪炭処理状況説明の中に、その他帳簿から減じたものの内訳としてありますが、前年度からの繰越し数量に誤記、誤算があつたものとして、特にたきぎの方で九十六万四千三百六石、こういうものが六五%も繰越し数量に誤記、誤算があつたということは、ちよつとわれわれ想像できないのですが、これは何か原因があつたのですか。
  91. 濱田正

    濱田説明員 たきぎの方は一応規格がきまつておりますが、ああいうぐりぐり曲つたようなものや、まつすぐなものやいろいろありまして、トン数でやつたり、あるいは束数でやつたりする場合、單位の中に非常に不確定な要素があるわけであります。長さ一尺、胴まわり二尺と申しましても、これをトン数でやる場合あるいは束数でやる場合によつて、途中の目切れと言いますか、そういうものが木炭以上に出て参りまして、これを計算するときに、そういう規格上における目切れというようなことで、計算違いというものが木炭以上に出て来ておるという状況であります。
  92. 奧村又十郎

    奧村委員 それではこれは一箇所や二箇所でなしに、全般的に繰越し数量において規格に相違があつた、こういう意味なんですか。
  93. 濱田正

    濱田説明員 そういうわけであります。
  94. 奧村又十郎

    奧村委員 それから木炭事務所が閉鎖になりますが、閉鎖いたしますと、收入未済金の清算に非常に支障が起りはせぬか。この閉鎖と收入との関係はどうなつておるか。
  95. 濱田正

    濱田説明員 その点は確かにあります。しかしながらわれわれとしては逆に全部最後の一銭を取上げるまで、人間を置いておくというわけにも参りませんから、こういうやり方でやつております。その事務所が閉鎖をしたが、まだ收入未済が残る、こういうところがありますから、そういうところはあとだれが行つても、隣の事務所の人が行つてもすぐとれるように、言いかえればそこに文句がないように、即決和解でかちつと押えて、何月何日までに收入未済幾ら納めろということを裁判所即決和解でかつちりと押えて、そうしてその何日か前に納めてくださいという催促を出す。納めなかつたならば、裁判上の確定判決と同じ効力を持つておりますから、それで政府側としては差押えてやろうと思えばできるというようなことで、だれが——隣の事務所がやつてもできる。薪炭課長が行つてもやれる。だれでもできるというふうに、法律的に完全に押えておいて、それから廃庁する、こういうやり方をやつております。
  96. 川野芳滿

    川野委員長 午前はこの程度にいたしまして、午後は二時から再開いたします。     午後零時二十四分休憩      ————◇—————     午後二時五十二分開議
  97. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  昨日質疑を終了いたしました四案の討論、採決に入ります。  まず米国日援助物資等処理特別会計法案、及び米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として討論に付します。討論は通告順によつてこれを許します。小山長規君。
  98. 小山長規

    小山委員 私は自由党を代表しまして、米国日援助物資等処理特別会計法案について賛成の意を表するものであります。  対日援助物資の数量及び売拂い代金の額、援助物資の価格調整費として一般会計から繰入れられる金額等は、これを明確に経理する必要があるのでありますが、このためには、従来のように貿易特別会計の中の一つの勘定として取扱うよりも、独立の特別会計として処理する方がベターである。これに盡きるのであります。  次に米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案について、同じく自由党を代表して賛成をするものであります。その理由といたしましては、本改正の趣旨は、見返り資金の用途を連合国最高司令部の指導により、国または地方公共団体の行う民間情報教育事業、すなわち図書館、映画事業にも拡張せんとするものでありまして、日本国民の教養を高め、民主主義の普及徹底をはかるための費用が、財政の関係上とかくきゆうくつのうらみある今日、時宜に適した措置であると思うのであります。  第二としましては、本改正案によりますと、見返り資金の歳出予算における支出残額は、翌年度に繰入れ使用することができることとなりまして、事務の簡素化に資し、年度初めにおける見返り資金の放出澁滯の従来の弊を一掃するものであると思いますので、賛成の意を表するものであります。  第三の理由としましては、本改正案によりますと、見返り資金の取扱い金融機関を、従来のように日本銀行だけにとどめませずに、農林中金と大蔵大臣の指定する金融機関にも取扱わせることができるものといたしましたのは、低利長期の資金が遠からず見返り資金から放出されることを前提とするものであろうと思いまして、これもまた賛成の理由の一つにせんとするものであります。また指定金融機関が見返り資金の借入人のために保証をなすべき道を開いたこと、及び援助資金の運用に必要な資金を指定金融機関に前渡しできる道を開きましたことは、不動産金融、中小企業金融の迅速化、簡易化に役立つと思うのでありまして、これが賛成の第三の理由であります。  以上をもちまして、簡單ながら賛成の意を表するものであります。
  99. 川野芳滿

  100. 河田賢治

    河田委員 ただいま提案の二法案について反対するものであります。  特に米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案は、このたび新しく民間情報教育事業、特に図書館等の建設、運営に使われるような政府説明でありまするが、これは見返り資金の使用において、いわばきわめて注目すべき方向が出て来たと思うのであります。言うまでもなく、今日日本では産業設備資金が下足しておる、あるいは産業運転資金も不足しておる、中小金融も梗塞しておる、こういう不平と要望はきわめて多大なのでありますから、この米国対日援助見返資金をかかる方向に全力を注がずして、こうしたいわゆる教育的な文化的な方向に使われ出したということは、現在の経済情勢を無視し、しかもいわば今日の吉田内閣のきわめて反動的ないわゆる宣撫工作班の仕事がこれによつて引受けられることになる、こういうふうに考えるのであります。従つて私たちはこの見返り資金にいたしましても、御承知のように大蔵大臣が昨日予算委員会で答弁しましたことく、明らかにこれは債務だと言つております。もし債務であるならば、十分国の事業といたしましてもこの債務を償還する用意があり、またこれを運用する上においても十分利子などをとつて、そうして運用して行くことが賢明な策だと私は思う。ところがこういうような文化的な図書館方面に使われるということは、現在文部省がやつております大学にしましてもそれ以下の学校、あるいは公立あるいは私立等の図書館にしましても、実は図書の購入にも今日きわめて不十分な状態で支出されておる。これに対する要望が大きいのであつて従つてそういう方面の金であるならば、何もことさらに米国の対日見返り資金を使わなくても、一般会計からこれを出すのが私は至当だと思う。こういう意味において、ないものならばないで、ほかから幾らでも予算の移用や流用をする措置を講ずればいいのである。特にこの見返り資金で宣撫工作をやるがごときは、断じて私たちの反対しなければならぬ問題であります。こういう立場から本会計、対日見返資金特別会計それ自体に私たちは反対しておりましたがゆえに、今度のその他の法律につきましても、特別会計法を設けることにもこれは反対するわけであります。
  101. 川野芳滿

  102. 松尾トシ子

    ○松尾委員 社会党といたしましては、ただいま上程されておりますところの米国日援助物資等処理特別会計法案に対しましては賛成をするものであります。  それはなぜかならば、貿易特別会計中の対日援助の勘定について、はつきりとした経理の区別を明確にするためになされた点であるので、これはその事務的な法案であると認めますので、賛成するものであります。しかしながらこの法案作成と提出する動機と、この理由があまりにも非自主的であり、かつまた政府といたしましても、はつきりとした確信を持つていないような様子でありますので、政治経済の独立に少しずつでも努力しなければならない私たちといたしましては、何らか遺憾の点があるようにも思われるのです。それゆえにこの点特に援助物資による見返り資金の性質を、はつきりと政府が自信を持つて把握され、自主的態度を持つてこの種の問題に臨まれんことを條件として、この法案に賛成するものであります。  もう一つ米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律におきましても、見返り資金を民間情報教育事業に使うという、その民間情報教育事業の内容がはつきりいたしませんが、それが民主主義教育普及すなわち図書館の設置とかいうものでありますので、不賛成もできませんので賛成をいたします。しかしその場合におきましても、自主的な態度をもつてやることが絶対必要でありますから、この点特に御考慮を願いたいと存ずる次第であります。
  103. 川野芳滿

  104. 宮腰喜助

    宮腰委員 私は民主党を代表しまして両法案に賛成するものであります。  この両法案の賛成にしても、強い希望條件を付したいと思うのです。米国の援助物資には心から感謝の意を表するものではありますが、しかし向うから入つて来る物資に関しては、特に国内の需要を充足するような計画を経済安定本部なりでやりまして、なるべく経済再建のために十分考慮して、物資の輸入を仰ぐような方法をとつていただきたい。これが日本経済再建の根幹にもなるのでありますから、特にその点を希望しまして第一案に対しては賛成するものであります。  それから第二の見返り資金の方の問題ですが、これは経済再建のために十分これを運用していただきたい。現在の農村金融だとか、あるいは中小金融についてはあまり考慮が拂われていない点が非常に多いのでありますから、今後この点に十分意を用いていただきたい。それからこの資金がCIEの民間教育費に使われたり、あるいは映画事業に使われるということは、民主主義のために非常によいことであります。しかしこの物を売却して資金を回收するというような場合には、一般の民間に資金がなくなりまして経済の——貨幣の流通関係に非常に阻害を及ぼすことがあり得ると考えるので、この点十分物を売却したならば、ただちにこの資金の裏づけのために、流通させるために、特に貸付なりあるいは資金の方法を十分考慮していただきたいという希望條件を付しまして、本案に賛成するものであります。
  105. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終結いたしました。  これより右両案の採決に入ります。右原案の通り可決に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  106. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて両案はいずれも原案の通り可決いたしました。     —————————————
  107. 川野芳滿

    川野委員長 次に退職、職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案議題として討論に入ります。討論は通告順にこれを許します。河田賢治君。
  108. 河田賢治

    河田委員 今度退職金が支拂われる場所の問題が非常に変更になつておりますが、特にこの点について私たちは反対いたしたいのであります。従来は官庁自体が拂つておりましたが、これを職業安定所に移すということになります。官庁で拂う場合でも支拂金の誤差があつたり、あるいは間違いがあつたりしたならば、その場でただちに解決するのでありますが、これが他の官庁に移されますとそういう場合が非常に困難になります。第二に現在の職業安定所におきましては、御承知のごとく失業者が増大する。求職者はどんどん押しかけて、今日の職安の仕事は手一ぱいである。そこに持つて来てまた官庁その他の退職者によつてこれが支拂われるということになれば、そこに非常に事務労働の強化が行われまして、結局こういうところでも支拂いする者とされる者との間の関係がうまく行かない。大体こういうふうな点を、私どもはこの法案の他のところはやむを得ないとしましても、要するにこういう支拂われる者が、きわめて不利な立場にあるという点を私たちは強く主張しまして、本案に反対するものであります。
  109. 川野芳滿

  110. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題なつております退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案に対しまして、賛成の意を表するものであります。  ただいま共産党の河田君から、この法案のもとになりました公共職業安定所で退職手当の支給が行われることにつきまして、反対の議論がありました。しかしこれははなはだ事実に対する認識がないのでありまして、従来から御承知のように失業に対する認定ということは、当然職業安定所がやらなくてはならぬ。二本建の場所の違つたところで、両方に行かなければならぬというような不便があつた次第であります。いずれにいたしましても失業者の認定は、公共職業安定所でやらなければならぬわけでありますから、むしろそこで今度は退職手当をもらうということにすれば、非常に失業者の便宜になるわけであります。ただいま計算がむずかしいとかいうような御議論がありましたが、それはどこにおきましても当然のことであります。もちろんそれだけの事務について不便をかけないような措置は、とつていただかなければなりませんが、しかしそれよりも認定のはつきりできる、そこで支拂うというのが当然の措置であります。その前提に立ちますと、この法案につきましては当然そこで特別会計なり公団の負担額に対しましては、一般会計に繰入れをやらなければならぬという第一の問題が起るのであります。また第二の問題としては、その過不足を精算するというような問題が起つて来るわけであります。事務的に考えまして当然やらなくてはならぬ措置を、この法律案で規定をしているのでありますから、何らこれに対して反対する理由はないものと私は考える次第であります。従いまして自由党を代表いたしまして、本法案に賛成をいたす次第であります。
  111. 川野芳滿

  112. 松尾トシ子

    ○松尾委員 私は社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一段会計への繰入及び納付に関する法律案に対しましては、賛成の意を表する次第であります。
  113. 川野芳滿

  114. 宮腰喜助

    宮腰委員 私は民主党を代表いたしまして、本案に希望條件を付して賛成するものであります。  退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案でございますが、これは今までの官庁で支拂つたものを、今度退職金等を拂う場所を職業安定所にかえるということは、便宜上設けられた規定でありまして、私らもこれには賛成であります。しかしこれが便宜上與えられるというようなことだけでなく、実際に便宜を與えるためにいろいろな施策を政府において講じていただきたいという條件を附しまして、賛成するものであります。
  115. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案議題として、採決に入ります。原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  116. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  117. 川野芳滿

    川野委員長 次に国庫出納金等端数計算法案議題として討論採決に入ります。
  118. 小峯柳多

    ○小峯委員 国庫出納金等端数計算法案に関しましては、討論を省略いたしまして、ただちに採決されんことを望みます。
  119. 川野芳滿

    川野委員長 小峯君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  120. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、これより右案を議題としてただちに採決いたします。右案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  121. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて右案は原案の通り可決しました。     —————————————
  122. 川野芳滿

    川野委員長 なお昨日議長のもとに提出いたしました委員派遣承認申請の件につきましては、本日議長の承認を得ましたので、この点この際簡單に御報告いたしておきます。     —————————————
  123. 川野芳滿

    川野委員長 次に輸出信用保險特別会計法案議題として、質疑を続行いたします。質問はございませんか。
  124. 北澤直吉

    北澤委員 今回の輸出信用保險特別会計法案の基本であります輸出信用保險法案につきましては、通産委員会において審議されているのでありますが、この点につきまして二、三伺いたいのであります。二十五年度の一般予算によりますと、この輸出信用保險のために、一般会計から五億円充てるということになつておりますが、この輸出信用保險は非常に大事な問題でありまして、イギリスの輸出補償法によりますと、私の記憶が間違つていないとすれば、五億ポンドくらい輸出補償に充てているのでありますが、この五億円くらいの金で日本の輸出を振興するための輸出信用保險に十分であるかどうか。この点を伺いたいと思います。
  125. 川出千速

    ○川出説明員 お答え申し上げます。二十五年度の基金といたしましては、予算に五億が計上されておるのでありますが、なお二十四年度のこの前審議をいただきました予算に、五億円計上されておりまして、基金といたしましては合計十億円ということになつております。そのほかに一時借入金といたしまして、五億円見当を借り入れることができることになつておりますので、運転資金といたしまして、合計十五億円ということになるわけでございます。それからこの信用保險につきましては、独立採算制をとることになつておりまして、過去のキヤンセルの統計その他を考慮いたしまして、十五億円の運転資金でまかなつて行けるというように考えている次第でございます。
  126. 北澤直吉

    北澤委員 御説明によりますと、十五億見当で大体足りるだろうというお話でありますが、最近の日本の輸出貿易の状況を見てみますと、必ずしも安心ができない状態である。特にわれわれが重点を置いております東南アジア市場の日本の貿易状況を見ますと、最近はイギリスとかあるいは西ドイツとかあるいはチエコとか、そういうふうな欧州諸国の製品との競争において、どうも日本の品物が押されぎみである、こういうような情勢のように思うのであります。しかも南方諸地域におきましては、この政治情勢あるいは治安情勢というものが必ずしも満足でないのであります。従いまして、日本から物を輸出する場合におきまして、いろいろな危険が伴うと思うのであります。特に今度の法案のように、船積み前からそういう危險をも保險するというふうに、輸出信用保險の範囲が拡張されますと、私はどうも十五億円くらいでは足りないのじやないか。御承知のように、日本としましては、どうしても日本の経済の自立をはかる意味からも、輸出の振興が最も大事でありまして、しかもこのためには相当な危險を負担しても、輸出の振興をはかるということが大事なのであります。それにつきましては、政府の方におきまして相当程度の危險を保証し負担する。民間業者に全部危險を分担せしめずに政府相当思い切つて危險の負担をされて、貿易業者が安全感を持つて貿易に乘り出せるようにしなければ、どうしても輸出貿易は振興しないと思うのであります。まあ本年は十五億でやむを得ませんが、今後におきましてこれを相当大幅に出す。イギリスのようにもし五億ポンドとしますと、日本の金にしますれば相当の額でありますが、私はそのくらいの大きな抱負をもつてやらぬと、日本の輸出貿易は振興できないと思いますが、その点について御意見を承りたいと思います。
  127. 川出千速

    ○川出説明員 お答え申し上げます。今お話の点につきましてはまつたく同感でございまして、政府といたしましても、この信用保險でカバーされるリスクの範囲は、当初の案と比べますと狹くなつておるのでありまして、これをもつて十分とはもちろん考えていないわけでございますが、とりあえずこの案のような内容で出発いたしまして、運用におきましていろいろ研究しました結果、カバーする範囲も広げ、それに伴つて基金の範囲も将来ふやさなければならないというふうに考えておる次第であります。
  128. 北澤直吉

    北澤委員 もう一点伺いたいのですが、この輸出信用保險ということは、イギリスのやつておるような輸出補償とは違いまして、業者が保險料を納めて、そうして輸出の危險に対する保險を保証してもらう、カバーしてもらうということになつておりますが、そうしますと、業者が納めます保險料は相当高いじやないか。たとえば生命保險とかあるいは火災保險とかの場合におきましては、保險に加入する人が非常に多い。そこに何と申しますか、統計によりますと、安い保險料で危險を保証できるわけでありますけれども、こういう貿易のような場合におきましては、保險に加入する人が少いので、結局保險料は高くつくのではないか。そうすると、業者が負担するに耐えられないような高い保險料になるのじやないか。これでは輸出信用保險というものは保証できないと思うのでありますが、それに対するお考えを伺いたいと思います。
  129. 川出千速

    ○川出説明員 保險料の点でございますが、イギリスの制度は輸出補償法と言つておりますが、実体は同じく輸出保險法でございまして、日本の制度と違いますのは、日本は再保險でやり、イギリスは直接政府が保險の当事者となるという点が違つておるだけでありまして、ほかのものはまつたく同様でございます。ただいま私の方で研究いたしております保險料は、三箇月について大体千分の六程度を考えておるわけであります。御参考までにイギリスの保險料と申しますか、補償料を申しますと、平均千分の十ということを言つております。従つてイギリスの料金よりははるかに安いということになつております。千分の六程度でございましたら、それほどの負担にはならないじやないかと考えております。
  130. 宮腰喜助

    宮腰委員 本法は昨年の第六国会の最終末に出されたもので、私も貿易業者に相談に参りまして、いろいろ意見を徴してみたのでございますが、この輸出信用保險制度については、十分異論があつたのであります。当時の日本の貿易業者の意向としては、いわゆる信用保証協会、これが政府の出資によりまして、貿易手形を簡單に割引きまして、銀行を第一に救済する。銀行に便宜を與えてやると同時に、間接には業者の手形の割引を順調ならしめる、こういう意味合いで、貿易業者は信用保証協会を非常に望んでおつたのであります。私も貿易振異議員連盟の役員をやつておる関係から、大蔵省並びに所管庁に大分運動しましたが、これはどうも司令部に認められないという御意向であつたのであります。この保險の制度については、二、三日前から業者が貿易会館に集つているので、意見を聞いてみたのですが、あまり好感を持つていないようであります。たとえば、これの対象になつておるものが品質が惡いとか、特別な理由の場合は除外されておりますが、もつと広範囲に適用していただけないか。このことにつきまして、今後この輸出信用保險をもう少し拡大して、信用保証協会のようなやり方でできないかどうかということをお伺いしたいと思います。
  131. 川出千速

    ○川出説明員 輸出信用保險法は、仰せの通りに最初輸出金融補償法というのが原案でございました。これは保証協会を活用するというわけではなかつたのでございまして、直接に輸出金融の円滑をはかるのが趣旨であつたわけでございます。つまり輸出金融をした場合に、損を生じた金融機関の損失を補償するというかつこうでできておつたわけであります。この法案は、輸出金融を円滑ならしめるのが直接の目的で、輸出業者の保護は間接的であつたのでありますが、このたびの輸出信用保險法は、直接に輸出業者の損失を補填することにおいて、かえつて保護の点においては厚いというふうに考える次第でございます。  それからこの制度の内容を、もつと範囲を拡張し効果あらしめるようにしたいと思う点においては、まつたく同様に考えておるのでございます。今後ますますそういうふうに研究いたしたいと思つております。  なお第三條の補償の原因になりますいろいろなリスクの範囲でございますが、これは運用によりまして、できるだけ広く解釈して行きたいと考えております。
  132. 宮腰喜助

    宮腰委員 それからこれは関連する問題ですが、盲貿易のために諸外国からクレームが参りまして、その結果業者が非常に苦しんでおると伺つておるのであります。このクレームのついた総金額はどのぐらいのものでございましようか。
  133. 川出千速

    ○川出説明員 現在まで通産省で受付けましたクレームの件数は、昨年の十二月末の統計がわかつておりますが、五百五十六件でございます。金額にいたしますと百三十一万二千二百九十ドルということになつておりまして、双方交渉の結果解決されましたのが、五百五十六件のうち二百七十一件、金額にして六十三万一千六百七十九ドルということになつております。
  134. 宮腰喜助

    宮腰委員 それから第三国のバイヤーの問題ですが、どうも無責任な注文をしまして、値段のぐあいだとか何とかいうことになりますと放棄されまして、私の知つておる会社では、数百万の損害を受けたのがあるのです。こういうように、バイヤーが無軌道な注文をやつて最後に放棄したような場合は、何とかこれを賠償させることはできないものでしようか。
  135. 川出千速

    ○川出説明員 その点につきましては、関係方面とも常に密接に連絡をとりまして、損害賠償の提起、たとえば向うのバイヤーが日本に来ておりまして、強制執行の対象になつている財産を持つているような場合には、日本の法廷にも提起できることになつております。それからバイヤーが特にアメリカの場合には、司令部の方も非常に好意を示しまして、積極的妥協をはかるよう努めてくれておりますが、何にしましても講和條約前というような條件のもとに、盲貿易というような條件が重つておりますので、そういう点でなかなか思うように行かないことは事実でございますが、この点については今後大いに努力いたしたいと思います。
  136. 宮腰喜助

    宮腰委員 CPOの場合ですが、これはやはり同じ信用保險制度を適用になるでしようか。
  137. 川出千速

    ○川出説明員 CPOは適用にならないわけであります。
  138. 宮腰喜助

    宮腰委員 昭和二十一、二年ごろインドネシヤから、あそこは電気がないために石油ランプの注文を大分受けまして、高島屋とか関東硝子とかの大会社が、金額にしておそらく五億近くあつたと思うのです。これは公団が中へ入つてまとめたものでありまして、インドネシヤの方から、アメリカがクレジットを設定されないから引取りができないというので、棧橋の倉庫に積んであつたが、この前の嵐で流れてしまつた。これは保險をつけていなかつたので、高島屋初め大きな貿易商あたりは非常な損害を受けて、現在でも困つておるようですが、こういうような場合はいずれに責任があるでしようか。
  139. 川出千速

    ○川出説明員 滯貨がこちらにございますれば、やはりこちらでそういうような保險をつけておかなければならないのじやないかと思います。
  140. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑ございませんか。——なければ本案に対しては、質疑終了とするに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、輸出信用保險特別会計法案に対する質疑は終了といたします。     —————————————
  142. 川野芳滿

    川野委員長 次は、公認会計士法の一部を改正する法律案議題として、質疑に入ります。三宅君。
  143. 三宅則義

    三宅(則)委員 十数点政府当局に対して質疑を行いたいと思います。  第五国会で定員法を制定せられる際にも向うの勧告がございまして、会計士管理委員会はぜひ外局として大蔵省の外に置けということでありましたが、たまたま社会党の田中委員が、私の申しましたことに反対せられた関係上、遂にこれを外局に置くことができず、また内閣委員会に対して、これをぜひ実行してもらいたいという決議をする場合も、その運行がうまく行かなかつたために、定員法によりまして、理財局の経済課の中に入つてしまつたわけでありますが、今回これを外局にもどされるのはまことにけつこうなことと考えるのであります。しこうして政府当局にお伺いしたいのは、これを外局にいたす場合、経費は少しもかわらないかどうかという点であります。
  144. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 今正確な数字は覚えておりませんが、若干増加してると思います。
  145. 三宅則義

    三宅(則)委員 あとでけつこうでありますが、もしわかりましたならば、お知らせ願いたいと思います。今まで大蔵省の理財局経済課の中に入つておりまして、非常に不便であつたろうと考えております。今度外局になりまして、活発に公認会計士制度が普及し、これに対する監督も十分行き渡るであろうことを確信するわけでありますが、これにつきまして管理委員会を別にするときは、もちろん大蔵大臣が監督をいたすことと思いますが、大蔵大臣に対しまして、大体の権限は委員会に委任するという立法精神でありましようか。承りたいと思います。
  146. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 大体の権限は委員会にまかせるというつもりで、外局といたした次第でございます。
  147. 三宅則義

    三宅(則)委員 よくわかりました。この公認会計士管理委員会委員の数は、五人と決定せられるわけでありますが、私どもは当然今日の公認会計士の数もしくは現代の趨勢等からいたしまして、三人くらいは公認会計士、あと二人くらいは学識経験者もしくはそれらに類するようなりつぱな人を得たい、かように考えておりまして、あながち公認会計士でなくともよろしいと考えますが、政府のお考えを承りたい。
  148. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 今の御質問の問題につきましては、私どももいろいろ議論のあつたところでございますが、今回公認会計士につきまして、公認会計士でなくては監査、証明が行えないという従来の規定を廃止いたしました関係上、いわば他の何人といえども監査、証明のできるような制度になります。そういう立場におきまして、かつての公認会計士の制度を維持発展させて行こうという建前からしますと、委員会としては公認会計士制度をあくまでも死守するというような、強い決意が必要なのではなかろうかという面から、またその制度をできるだけ理想的に発展させて行くという趣旨から、公認会計士でなければ意味がないという制度にいたしたのであります。同時に現在の段階におきましては、公認会計士の数はきわめて少うございまして、今ただちに公認会計士でなければならないということにいたしますと、現在わずか百七十一人が公認会計士の資格が與えられておりますが、その程度の中から五人を選ぶということになりますと、いろいろ支障も来すし、むりもあろうというような考え方から、附則におきまして、第一回に任命される委員については、必ずしも公認会計士でなくともかまわないという措置を講じておる次第でございます。
  149. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまの政府の御答弁によりまして、大体の構想はわかつたわけでありまして、ここに重大なる変革というものは、かつてわが経済界に貢献をいたしました計理士が、昨年の国会におきましてこれが剥奪せられたというような事柄は、まことに遺憾千万に思つておりましたので、今回は監査、証明というものは公認会計士はもちろんでありますが、公認会計士でなくとも計理士でもできるという線に持つて来られた点は、政府のたいへんな手柄であると思つております。つきましてはこれについて御参考に申し上げたい点は、公認会計士はもちろんでありますが、かつての日本計理士会とか、社団法人日本監査協会、あるいはその他の団体があるわけであります。あるいは地方におきましては何々県の計理士会というようなものもございますが、政府といたしましてはそういう任意に設立いたしております団体、これらもやはり計理士団体としてお認めになる御方針でありますか、承りたいと思います。
  150. 吉田信邦

    ○吉田(信)委員 認めるという意味がちよつとわかりかねるのでございますが、もちろんそういう任意団体を団体として否定するというようなこともございませんし、また今後計理士の登録等の関係からいろいろな問題もございますが、密接なる御連絡をはかつて行きたいというふうに考えておる次第であります。
  151. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の吉田さんのお話もよくわかりますが、計理士会とか社団法人日本監査協会とか、あるいはその他各府県にも十人ないし十五人くらいで会をつくつておるのもあるのでございます。こういうものもある程度まで認められるものでありましようか。それともお前は任意であるからいかぬというような線でありましようか。もし政府としておわかりになりましたら、この辺の意見を承ればまことに便利かと考えております。
  152. 吉田信邦

    ○吉田(信)委員 法律の上におきまして、そういう団体をつくることを認め、または直接それを監督するというような規定は設けておりませんが、それらの団体をおつくりになることについて、別に法律上否定されることもございませんし、またそういう団体ができました場合には、いろいろと御連絡等をお願いいたしたいというふうに考えております。
  153. 三宅則義

    三宅(則)委員 大分わかつて参りました。公認会計士の方は、もちろん公認会計士会というものができるわけでありますが、私どもの考え方からすると、公認会計士会というものは一つのみに限る必要はない。たとえば弁護士の方においても東京には第一弁護士会、第二弁護士会、東京弁護士会、こういうような案があるわけでありまして、一つの管理委員会でありますが、中に組織せられるべきところの会計士の団体というものは、でき得べくんば二つもしくはそれ以上の方が、切瑳琢磨あるいはお互いに研究が行き届きはしないか、かように考えておるのでありますが、政府の考えを承りたい。
  154. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 現在公認会計士の協会というものもございますし、また計理士関係の諸団体がございますが、これを統一して一つにしてしまうとかそういうことは別段考えておりません。三宅委員のおつしやられるように、それらの団体が並存するという形になるわけであります。ただこの関係について法律上団体を解散させたり、くつつけたり、新しくつくらせたりするという規定は全然設けておりませんので、いわばその問題は法律とは無関係の事実上の問題として、またわれわれとしてもそれらの団体を極力尊重して行きたいというふうに考えております。
  155. 三宅則義

    三宅(則)委員 今この法律を見ますと、昭和二十四年ですか、法律の廃止に至りますまで計理士であつた者は、当然今度の法律の施行後十箇年以内に登録すれば原則として永年なり得る。私は昨年の三月三十一日の速記録をここに持つておりますが、そのときにも、一旦資格を與え、もしくはそれによつて生計を立て二十年、二十五年とやつておる人についてはその人が死ぬまでこれをやつてやりたい、これがほんとうの大乘的精神であろう、こういうことを言つたわけでありますが、今日においてもその意思は少しもかわつておりません。この法案によりますと、今私の申し上げました線が十分に出ておると確信しておるのでありまして、今までの計理士で再登録した者は一生涯監査、証明ができるものと考えますが、政府のお考えを承りたい。
  156. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 再登録をいたしますれば永久にできるわけでございますが、登録は三年毎に更新することになつておりますから、その更新を続けて行つていただけば一生涯できる、こういう意味であります。
  157. 三宅則義

    三宅(則)委員 更新によつて二度、三度、あるいは一生できる、この線も非常にけつこうであります。在来わが国の計理士諸君の中においては、登録はいたしておりますけれども、やつていなかつた、いわゆる実務についていなかつたという人がかなりあつたわけでありまして、こういう方は今度の法律の精神とやや異なる点があると思いますが、これをどういうふうにしてお認めになりますお気持でありましようか、その辺を承りたい。
  158. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 実際問題としては現に計理士の仕事をしていらつしやる方が再登録を受け、またそれによつて業務を営んで行くことが最も望ましいことだと考えられます。しかしたまたまある期間やつていなかつたという方は登録をし得ない。そしてしばらく業務を休んでいたならば、そのままで計理士となり得なくなつてしまうということも、あまりにも苛酷ではないかというような趣旨で、今度の再登録については、必ずしも現在計理士の仕事をやつておられるかいなかということを、條件にはいたさないことにしております。しかし気持としては、そういうことが望ましいと考えます。
  159. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の政府の御答弁は満足に思います。私も実はこういうことを考えておつた。つまりせつかく大正もしくは昭和年代にやつてつたけれども、たまたま戰争になつて応召して、ソ連に連れて行かれてしまつたというようなことで、ここ数年間あるいは十数年間実務から遠ざかつてつたのでありますが、たまたま帰国を許されてわが国に帰つて来たという人で、現在続けてはやつておりませんけれども、将来はやりたいという人があるに相違ない。また過去に登録しておつたけれども、今日やりたいという人もあろうし、またもう一歩進めまして、相当資格がありまして、やりたいと思つておりましたけれども、法律がかわつてやれないという人があるのでありますが、これらに対しまする多少のいききうがあろうと思いますが、このいきさつに対しまして、政府として御同情ある御答弁がいただければ、なおさら仕合せに思います。
  160. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 かつての計理士法に基きまして、計理士の登録をすでに受けられた方につきましては、たとい数年間戰争等のために業務につかれなかつたというような場合におきましても、今度の再登録をし得るわけであります。さらにもう一つこの再登録は、一年間にしなければならないということになつておりますが、たまたま現在はある会社の経理課長をしておる、その他経理の仕事をしておるということのために、計理士の登録を受けなかつたというような方につきましては、その一年を経過した後においても、さらに登録をし得るというような定めにいたしておる次第であります。
  161. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の吉田さんのお話によりますと、一旦登録をしておつた者がたまたま中断しておるという場合におきましては、一箇年後でもやり得るという仰せでございます。私は同僚諸君にも申し上げておることでありまするが、ある会社の経理課長あるいはそれらに類するような業務の仕事をしておつた。ところがたまたま公認会計士にはなれぬけれども計理士にはなれる、こういう資格の人があるのでありますけれども、こういう者に対して公認会計士一本やりの特別試験で参りまするか。または一歩譲りまして、計理士をもう一ぺん登録させるような規定ができ得るものかどうか。できなければ、それでもよろしゆうございますが、その点を承りたいと存じます。
  162. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 今までに全然登録を受けていない方につきましては、それぞれ十分な資格のおありの方々といえども、今度の計理士の再登録はでき得ないことになつております。公認会計士制度を今度はこの形でやつて行こうという点から申しまして、そういう計理士にもなれるということになりますと、またうしろがみを引かれるという者も出て参りますので、まだ登録をされない方は公認会計士一本やりということでやりたいと思つております。
  163. 三宅則義

    三宅(則)委員 よくわかりました。せつかく登録しておりながら中断しておつた人が、再登録することはよろしいということであります。しかしかつて資格があつたけれども、不幸にして登録していなかつたという人に対しては、公認会計士特別試験で持つて行こうという形でありまして、これも私は賛成であると考えております。今度の改正案によりまして財務諸表の監査証明というものは、あながち公認会計士もしくは計理士に限らない、第三者でもさしつかえないという線が強く出ていると私は考えるのであります。これはいいことだと思いまするが、しかしこれに対して公認会計士もしくは計理士には、特権を與えられるような用意がありましようか、いかがでありましようか。
  164. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 特権と申しましても格別特権と申すまでのことはないと思いまするが、これはすでに先般証券取引所法の改正案が出まして、本委員会でも御承認を願つたのでありまするが、あれに規定されておりますように、ある一定の重要な監査証明の仕事は公認会計士でなくてはできない、ほかのいかなる者もできないという規定を設けますことによつて、公認会計士の特別の地位というものを国として確立参りたい。またそういう方向に進んで行くと考えております。なおこの公認会計士、計理士につきましては、堂堂と公認会計士、計理士という名前で監査証明の仕事がし得るわけでございますが、その他のものにつきましては、この公認会計士とか計理士とかいう名称に類似した名前を用いて、あるいは会計士だとかその他の類似した名前を使つて、監査証明を行うことができないことになつております。従つてその証明を受けたものが、これはほんとうの計理士のくろうとのやつた証明だということが一見明瞭になりますのは、この公認会計士、計理士以外にはないという形になつて参ると思うのであります。
  165. 三宅則義

    三宅(則)委員 たいへんよくわかつて参りまして、政府の御努力も多といたしておりますが、私はさらに一つ申し上げたい点があるのであります。公認会計士があり、また計理士があるのでありまするが、税務に関しましては、税務公証士というものを大蔵省が見込んでおられるようでありますが、その必要があるかないか。考えてみますると、むしろ公認会計士一本やりでいいという感じもするのであります。公認会計士、計理士、税務代理士という三段階で十分のように考えられるのでありますが、政府としてはどういうように考えておられるか。これに関連いたしまして御質問いたします。
  166. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 実は今お話の出ました税務公証士というものにつきましては、税務当局内部におきましても、実はまだ最終の結論に現在のところ達しておりません。これは会計士制度という上からいつて、一方において公認会計士制度というものが理想的な形で形成されておる際に、別にいわば証明機関、証明制度というものができることがいいかどうかという問題もございます。また税務の実情といたしまして、かなり広汎にそういつた証明制度を取入れたいという面もございまするので、いわば理想的な面と現実的な面との間に立ちまして、目下検討中のところでございまして、実は本日ここではつきりその問題をごひろう申し上げる段階に、まだ達していないような次第であります。
  167. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はかつて国会におきまして、陪審式特別試験というものを提案した一人でありまして、幸いにわが大蔵委員会も全会一致をもつて通り、本会議も満場一致をもつて可決され、両院を通過いたしました法案でありまするが、たまたまその陪審式特別試験をやらなくて、新たにまたこういう試験をやるということは、非常にもつたいないことであると思うが、政府のお考えを承りたい。
  168. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 今お話のあらためて試験と申しますのは、特別試験のことでございますか。公認会計士の試験のことでありますか。
  169. 三宅則義

    三宅(則)委員 公認会計士の陪審式試験であります。
  170. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 陪審式試験につきましては、三宅先生初め皆様の御意見にまつところであつたわけでありまするが、公認会計士制度の理想というものを広く考えますときには、やはり一定の試験によつて選ぶという形をとる一方、現在すでに名声あり、また実力を示しておられる方々につきましては、こういう試験とは関係なしに、また公認会計士というようにならないでも、十分お力が発揮し得ることにするような方向で、今回の改正をいたしたわけであります。その意味から申しますと、しいて陪審式試験という試験の形をとらなくてもいいのではなかろうかという意味合いにおいて、今回制度を改正するような提案をいたした次第であります。
  171. 三宅則義

    三宅(則)委員 この陪審式試験というものは新規な試験でありまして、まことにいい試験であると思つておりましたが、一ぺんも執行もしないでやめるということは、はなはだ不見識であると思つて今質問しましたが、これに関連しまして、一つつつ込んでお伺いいたしたい点は、今まで相当名声のある人でありましても、試験に行きますとそうさつそくはできない。しかし家へ帰つて来てやればやれるというのが、試験に対する常識であると思います。ところが特別試験にいたしましても、たとえて申しますと三十歳とか四十歳くらいの人は割合合格が多い。しかし五十の坂を越え六十になんなんとする人はそれと反対である。私どもはあえて試験というものに対して忌避するものではありません。賛成でありますが、それに多少手心を加える。ランニングにいたしましても、二十歳の青年と六十の人とがランニングしてどつちが先へ着くか。これは私が言わなくてもわかることでありまして、多少の差をつける点について、政府としてももう少し大幅に考えたらどうかと考えるのですが、政府のお考えを承りたい。
  172. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 現在の特別試験におきましては、経験年数というものを点数の中に若干くみ入れております。その点数のくみ入れ方が多いか少いかという問題かと存じますが、これは程度問題でもございますので、あるいはもう少し入れた方がいいという意見もあるかと思いますが、現在のところただいまの程度を越えると少し経験と申しますか、年数の方をくみ過ぎるのではないかというような気持もいたしております。一応現行制度通りで行つてはどうかというふうに考えておる次第でございます。
  173. 三宅則義

    三宅(則)委員 つつ込んだことを申しまして恐縮でありますが、今のしんしやくの程度は非常に少い。たとえて申しますと、六十点だそうでありますが、私は人格を半分、学術を半分、このくらいの線まで引上げるということが、一番運行の妙を得るものであろうと考えるのでして、学術の方いわゆる筆記試験の方を九〇%にとり、人格の方あるいは人物の方はわずかに一〇%というようなものでは、はなはだ不均衡であると思いますので、でき得べくんば特別試験は人格もしくは経験等を五〇%、学術の方を五〇%という線で行きますと、非常に浮び上る率もあり、また人格と学力と相並行するという線がまことにけつこうであると思いますが、政府としてはどう考えておられますか。
  174. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 御説の点はごもつともだと思うのでありますが、同時にまた試験の限界というものは常に伴うのでございまして、実際最も人格のりつぱな方はだれかということは、試験という形ではどうもいかんとも察知することができない。しかしながら人格あるいは識見というような点は、おのずから仕事の上に現われて参るわけであります。いわばその会計士の方がはやるかはやらないか、あるいはまた非常に世の中にもてるとかいうような形で事実上現われて参りますので、これをどうも試験という形で扱おうとする限りにおいては不可能であります。経験という点は今御指摘になりました通りでありまして、経験という問題を全部で六百点満点のうちで六十点、つまり十分の一だけ経験年数を加味する。従つて六十点満点で普通合格だとすれば、経験の十分おありの方は五十点で及第するという形でございます。さらに倍になると仮定すると、学術の方は四十点で、まあ六十点になるということにもなつて参りまして、そこいらのところで——あまり経験年数の方が行き過ぎますと、とかく誤解を受けるおそれがある。むしろ問題としては、経験年数は非常に長いけれども、あまり大したこともない方もございますし、経験年数は比較的短くても、計理士として非常にりつぱにおやりになつておられる方もあるというような関係で、いわば経験年数はただちに人格、識見を反映することもできないというような意味で、多少中途半端な性質を持つております。人格、識見がそれによつて全部反映されるのであるとしたならば、あるいはもつと多くの点数をこの中にくみ入れた方がいいのではないかと思うのでございますが、今申しましたように経験年数というものは必ずしも人格、識見等を現わすものでもないし、また人格、識見を見る手段としては実は大したことはないというような形で、まあ理想的に申せば、試験制度に伴う一般的な欠陷の一部を現わしておるような気もいたしておるわけなのであります。
  175. 三宅則義

    三宅(則)委員 たいへん政府の御苦心の点もわかるわけでありまして、決してしつこくつつ込むわけではありませんが、今のように一〇%しか年限を見ないというのではちよつと少な過ぎる。少くとも私は二〇%か三〇%ぐらいの人格もしくは年数を見て、あとの六〇%ぐらいは——四分六分といいますか、学術の方もよろしいだろうと思うのでありますが、そういうふうに多少恩寵のある政策をとることが、為政者としての務めだろうと思うのであります。これはお医者さんにいたしましても、弁護士にいたしましても、相当年数あり、そう大して惡いことをしなかつたような人は、大体においてある程度まで資格を與えたというのが過去の実績であります。もちろん今日では過去のことを言つておるわけに行きませんが、少くとも立法者といたしましては、そうしたわが国の国情に適応するように、一〇%ぐらいの人格、経験年数ではいかぬ。少くとも三〇%ないし四〇%ぐらいの経験年数を入れまして、そこに折衷した方が穏健妥当であろう、かように考えております。もう一ぺん政府のお考えを承りたい。
  176. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 今の御説の点につきましてはなかなかりつぱな御意見だと思うのですが、実際問題として、逆に経験年数は非常に長いけれども、計理士としては大した能力もないというような方が、ずるずるともぐり込むような形にもなります。りつぱな方だけにお受けいただけるといいのでありますが、そうでない方も含まれて参ります関係上、ついりつぱな方から見れば非常に辛過げるというような結果にもなるかと思いますが、いわば安全率を見込むと結局こういうことになつてしまうという状態を申し上げまして、また三宅先生の御意見は今後とも十分に肝に銘じて行きたいと思つております。
  177. 三宅則義

    三宅(則)委員 吉田さんばかりに質問してもいけないから、内山事務官にちよつとお尋ねいたします。現在管理委員会を別になさいましたが、管理委員を任命するのはもちろん大蔵大臣でありましようが、どういうような御構想でありますか、承われれば仕合せだと思います。
  178. 内山繁

    ○内山説明員 人事に関する問題は私ども下つ端の事務官では何とも答えることができないわけでありますが、人事につきましては大蔵大臣の方でいろいろお考えになつておるものと思います。
  179. 三宅則義

    三宅(則)委員 もちろん人事に関しては承ることを遠慮いたしますが、少くとも試験委員はやはり管理委員会で示すものと私は考えておる。管理委員会には相当りつぱな経験者もおありになるし、公認会計士もあり、また民間からもりつぱな会計士の資格を持ち、あるいはそれに理解を持つ有識なる人が選考せられて、管理委員会に入られるべきことを確信いたします。人の名前はもちろん聞きませんが、数については事務官といたしましてはどう考えておられますか、承りたい。
  180. 内山繁

    ○内山説明員 試験委員の数は試験委員令によつてきまつておりまして、第一部の試験委員が六名になり、第二部の試験委員が十四名になり、第三部の試験委員が六名になり、第四部の試験委員が十二名になり、第五部の試験委員が十名になる、こういうふうになつております。
  181. 三宅則義

    三宅(則)委員 この管理委員にあそばすには、もちろん人間を指定することはできませんが、いわゆる公認会計士を三人とか、あるいは民間の有力者を二人とかいうような、たいていの線があるのではないかと思いますが、もし内山さんができなければ吉田さんでもどなたでもいいですが、ざつくばらんにお話を願いたいと思います。
  182. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 実はその問題は、まだ内部においても結論に達しておらない。ただ現在の審議会の委員を御参考までに申し上げますと、そのうちのお二人はかつて計理士であり、かつ現在は公認会計士になつておられる方でございます。それからお二人は会計学、経営学等についての日本でも有数な学者でいらつしやいます。もう一人の方は大蔵省におられた方であり、かつ会計ということについて造詣の深い方でございます。御参考までに現在の状況を申し上げます。
  183. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は国会議員の一人といたしまして、また民間人の一人として、一つ参考に申し上げたい点があるのです。もちろんここで申し上げることはざつくばらんのことでございますが、少くとも行政のことでありますから行政に堪能の人もけつこうでありますが、こういう公認会計士というのは、独立いたしました団体もしくは監督するものにつきましては、むしろ公認会計士あるいはそれらに類するような仕事に堪能な——官吏のみに偏重するのは行き過ぎじやないか。むしろ民間を尊重された方が適当だ、かように考えますが、その点を承りたい。
  184. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 その点については同感でありまして、将来の理想としては、役人あるいは役人の経験者というような意味ではなくて、公認会計士ばかりでつくろうと考えておるわけでありまして、現在におきましても、実際の会計監査事務等に最も御造詣の深い方ということを、やはり選考の最大の基準といたしております。
  185. 三宅則義

    三宅(則)委員 これに関連をいたしまして、今国会におきましても証券取引委員会法について審議いたしたわけであります。あなたの方にたいへん関係があることと思いますが、公認会計士もしくは公認会計でなくても計理士でも、第三者でも、相当の経験もあり、また信用のある人は十分になし得る、こういう線に持つて行きたいということでありまして、幸いにして五億円以上のものは公認会計士、その他のものにつきましては、公認会計士でなくても計理士でも、またその他の者でもよろしいという政府委員の御答弁を承つたのでありますが、今吉田政府委員の言うように、いかなる方向にひつぱつてつてこれを善導するか。いわゆる公認会計士もしくは計理士その他の者について、どういうふうな御構想がありましようか、あれば承りたい。
  186. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 その点につきましては、先ほど御質問もありました公認会計士の特権というようなものが、今回の改正案によりまして一般的にはなくなつております。従いまして公認会計士につきましては、今後重要な、国家で要請するような監査方面については、公認会計士でなくてはならぬというような規定を漸次ふやすことによりまして、公認会計士の地位を確立して参りたい。と同時に計理士につきましては、これは長年の看板もございますし、長年の御信頼もおありのことでありますので、その実力のある方は、それらの長年の世間の評判その他によつて政府関係でないことにつきましても、重要な仕事について、大いに伸びて行くことだろうと思います。
  187. 三宅則義

    三宅(則)委員 公認会計士が証券取引委員会の、いわゆる実力のある会社に対する監査証明をすることはわかつておりますが、今後といえども政府といたしましては、幸いこういう法案が出た以上は、あくまで証券取引委員会のみに依存する必要はありませんから、ほかの会社もしくは団体あるいは銀行等々におきましても、相当公認会計士もしくはこれに類する監査証明をとる必要がある。こうすることによつて政府もあるいは民間人も会計監査あるいは経理監査ということが進んで行く、かように考えておりますが、政府といたしましては、証券取引委員会以外になお相当考慮いたしまして、これに対するある業務を拡張するような意思があるかどうかを承りたい。
  188. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 その点につきましてはまつたく同感でありまして、現在見返り資金の貸付等につきましても、公認会計士の監査証明というようなものをつけさせるような方向で研究をいたしております。たとえばおつしやる形で——これは法律で定めるわけではございません。技術上の問題でありますが、政府といたしまして極力これの活用をはかり、またその真否をはつきりさせたいと考えております。
  189. 三宅則義

    三宅(則)委員 これはちよつと大蔵省の專門外かもしれませんが、幸い先ほど薪炭特別会計というものに入りまして、私どももこれに対して審議をいたしておりますが、参考に申し上げたい。少くとも農林省の管轄でございますが、薪炭特別会計というものは一種の企業であり、経営体とも見ることができるのでありまして、こういうものについても私は大蔵省の手を借りましたり、あるいは公認会計士もしくは計理士等の団体等が各府県に分散しておりますから、これらによつて証明をとり、これらによつて監査をし、これらによつて多少手伝わせることがあつたらいいだろうと思うのであります。今後もこういうことに関係を持ちます以上は、ぜひ国家的事業に対してはこうしたような線を押し出すために、会計士もしくは計理士を利用されたらよろしかろうと思いますが、もう一ぺんその辺を伺いたいと思います。
  190. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 現在のところ人数が比較的少い関係上、あまり手を広げてはおりませんが、今後としては極力そういう方向に努力をいたしたい。またそういつた意味におきまして、今回の公認会計委員会を外局にすることによつて、そういう方面を大いに伸長をし、また政府としてもその意向を尊重するように努めて行きたいという考えであります。
  191. 三宅則義

    三宅(則)委員 よく政府の意思もわかつたのでありますが、公認会計士管理委員会というのは公認会計士の試験を管理する、並びに計理士の登録及び監督に関する件を中心にやるわけでありまして、この試験を管理するということになりますと、先ほど内山事務官のお話になりました通りいろいろな意見があるし、これを管理するのでありますから、これらに対してある程度まで試験委員に試験問題を委任せられて管理されるのでありましようが、一向その方向についてはさしずとかあるいは希望というようなものは申さない趣旨でありましようか。多少ともそれに対してさしずをするとか、希望があるのでしようか、その辺を承りたい。
  192. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 もちろん文字通り「管理する」でありますから、方針等につきましては公認会計士管理委員会でさしずすることになると思います。ただここで試験委員会は、その試験の採点あるいは試験問題の機密保持というような点におきまして、管理委員会に対しまして、ある程度独立の権限を持つて試験を執行するという意味で、試験委員会ができております。しかしその方針、方向、そういつたものにつきましては、当然この会計士管理委員会で扱う問題だと考えております。
  193. 三宅則義

    三宅(則)委員 あまり長くなるといけませんから、もう一、二点で宮腰さんに譲ります。  大分わかりましたが、私はもう一つお尋ねしておきたい点があるのです。現在の公認会計士は最もりつぱな会計士であろうと思いますが、計理士中にも相当りつぱな人もあり、またそうでない人もある。ところがだんだんと整理されまして——営業が成り立たぬというような人はやつておりません。私は現段階におきまして、二千数百名もしくは三千の計理士諸君が全国に散らばつておるものと考えておる。これらのものは多年経営を行いまして自分の生計を立てて、国家的にも多少貢献しておるわけでありますから、この希望を明るくせしめるために、どんどんとこういうものに対しましては政府も目をあいて見る。しこうしてまた試験ということにつきましても多少親心を持つてつて、お互いが将来は全部公認会計士に切りかえる。この線を政府は強く出していただきたいと思いますが、政府はいかがお考えでありますか。
  194. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 三宅委員の御意見は、私としても理想としては同一に考えております。
  195. 宮腰喜助

    宮腰委員 私の質問しようと思うことをほとんど三宅さんが述べられたので、質問する余地がないようですが、ただ私は一点、この公認会計士法法律を制定したこと、それ自体について少し不満があるのです。大体お医者さんについては国家試験というものがありますが、それまでは、お医者さんには全部資格を認めておいて、そうしてその人には遡及して試験をやれということはやつてない。人の命にかかわる重大なお医者さんでさえ、それまでの資格を認められている。公認会計士の方はもう五十なり六十なりになつて、相当実績をあげ世間に認められている人でも、七十を越すような人に対しても国家試験を受けろ、こういうような無慈悲な点があるものですから、この点は今後いつかの機会にはこの公認会計士法改正できるかどうか、この一点を伺つておきたい。
  196. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 お説まつたくごもつともでございます。そういう意味におきまして今回の改正におきましては、今まで公認会計士でなければ監査証明できないという独占業務にいたしておりましたのをやめまして、公認会計士以外の方でも堂々と監査証明ができる。つまり従来おやりいただいたことについては、計理士という名前を用いて従来通り監査証明をし得るというふうに、制度を切りかえた次第でございます。大体ただいまの御質問の趣旨に沿い得るように、改正案を提出したつもりでございます。
  197. 宮腰喜助

    宮腰委員 私はむしろ公認会計士法なんていらないのではないか。在来の計理士法で十分じやないか。どうもこういう法案が生れて来ると、これは関係筋の示唆だとおつしやつて政府当局が責任を逃げるようなことを言われるのですが、私どもは本来の計理士法だけで十分じやないか。それ以上実績をあげているのですから、これはいらぬのではないかと思いますが、いかがでしようか。
  198. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 その点につきましては、今までの計理士がよかつたか惡かつたかという点以上に、やはり理想的には、日本の現在の会計学の水準というものが、先進諸国に比べてかなり遅れているのではないか。そこでこの計理士にいたしましても、従来のように学校を出ればそれで登録を受けるということになりますと、やはり学校を出ただけということで、とかくの非難のある場合もあり得る。むしろ会計学の理論的な水準を国民経済的にも高めるということにつきましては、さしあたりは多少きゆうくつかもしれませんが、こういつた制度を実施することによつて、日本の会計学の水準を高くして行くことができるのではないか。たとえば法律関係につきましては、弁護士関係にかなり古くから試験がございました関係もありまして、日本の法律水準はかなり高くなつて来ておると考えられます。しかしこれに比べまして日本の会計学の水準はいささか低きに過ぎるのではなかろうか。そういつた意味から申しましても、公認会計士は、さしあたりは少々きゆうくつかもしれませんが、これによつて会計学の水準を高め、より正しい経理へ進む糸口になるのではないかと考えます。
  199. 宮腰喜助

    宮腰委員 それから今度計理士の更新する登録の問題でございますが、どうも今までに全然業務も実績もない方があるので、この方々がこういう更新をやろうということになれば、実際に実務をやつていないにかかわらず、登録して来る方がたくさんあるだろうと思う。そういう意味合いで今度の登録については、何らか手を打つていただく方法があるでしようかどうでしようか。
  200. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 登録につきましては登録料を若干とるという形で、全然やる意思のない方がむだに登録されることもなかろう。これははなはだ消極的でございますが、そういうふうに考えております。でありますからこの点につきましては、お説の通り全然やる意思もない人が名前だけ出すということは、登録料だけでとめられるものではないわけでございますが、同時にその意思のことを問題にいたしますと、先ほど三宅先生からもお話のあつたように、たまたま戰争等の理由で中断しておつた、あるいは登録を受けてそのままになつておつて、十年も仕事しておらないという方の復活の道をふさぐことにもなりますので、いわば長所と欠点とあわせ持ちますが、こういう制度による以外にいい方法はないのじやなかろうかというふうに考えておる次第でございます。
  201. 川野芳滿

    川野委員長 公認会計士法の一部を改正する法律案については、まだ御質疑があろうと存じますので、本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  202. 川野芳滿

    川野委員長 次は配炭公団損失金補てんのための交付金等に関する法律案議題として質疑に入ります。小山長規君。
  203. 小山長規

    小山委員 資料要求かたがたお願いしたいのでありますが、今までいただきました資料によりますと、配炭公団は昭和二十四年度と二十五年度において、合計百十九億四千五百万円の損失を計上しておるのであります。同じく食料品公団は昭和二十五年度において、一億一千六百五十万七千円の損失を計上しておる。飼料公団は二十五年度において、五千百九十八万一千円の損失を計上しておるのでありますが、この三つの公団の損失はどういうことによつてこれだけの損失が出たかということを、ここで大ざつぱに御説明願うとともに、詳細な資料をできたら明日までに提供していただきたいのであります。それからもう一つ、これも一つの資料要求でありますが、これは日付は忘れましたが、新聞によりますとこういうことが書いてある。「中央経済調査庁では昨年十月から約三箇月にわたつて船舶公団を除く八公団の業務運営状況について内部監査を行つていたが」云々「その結果剩余金の不当内部留保、金融機関との結託による浮貸し、運賃、利子面などにおける不正などで、数十億円に達する国費濫費が暴露され、経済調査庁でもあまりに放漫な公団経営に驚き全容を発表すれば関係各方面に重大な影響を及ぼすとして、青木経本長官その他関係当事者と打合せた結果、当初の方針を変更、極祕裡に公団監督官庁に通達して善後措置を急いでおるもようである。」こういうような前提になつておりまして、肥料公団にはこれこれの不当な資金の運用がある。あるいは油糧公団、食料品公団にはこれこれの不当な流用があるというようなことが一々出ておるのでありますが、この内容を、祕密会を要求してでもよろしゆうございますから、発表していただきたいのであります。これが私の資料要求でありますが、その他については、この資料がなければ、これ以上質問の余地もないようでありますので、一応資料の要求と、ただいま申し上げたことについて、こまかい資料はあとといたしましても、なぜこれだけの損害が発生したかということに対する御説明、及びこの新聞発表によりますところの「乱脈をきわめる公団経営」というこの内容についての概略を御説明願いたい、こう思うのであります。
  204. 大濱用正

    ○大濱説明員 それでは私から大ざつぱに御説明申し上げます。配炭公団の百十九億という赤字は、一応昨年の四、五、六という一・四半期におきましては、それまではずつと黒字を続けて参つておりました。ところが統制廃止の声を聞きますと、石炭業者及び山元が相当売込みを急ぎまして、統制上配炭公団は石炭の一手買取り、一手販売という組織になつておりますから、いやおうなしに買わざるを得ない。そうしまして大体これはあとでわかりましたのですが、九月十五日現在で約五百十六万トンという貯炭を買い込みました。その後山元は順調に生産します。有効需要は減退いたしまして、結局これはたな上げの状態になりました。たな上げの状態になつた結果、これが買い取つた価格にマッチした価格で売拂いができますれば、何ら損失を生ずることはございませんけれども、市場はすでにアンバランスになつております。これが風化もしくは発火いたしまして損失量が相当にございますし、それから品位の低下に伴う版売価格の値下げ、そういう値引きの率によりましてこういう損失を生じた。この百十九億の損失はあとで具体的に御説明しますけれども、大体そういう結果配炭公団の損失が生じた。それからあとの二公団は、これは具体的に損失が生じたということではございませんが、食料品と飼料は昭和二十五年三月三十一日限りで一応公団を廃止いたしまして、九月三十日で清算を完了する予定で予算をつくつております。これは昭和二十三年度以降におきまして、まだ剩余金はございまするけれども、その剩余金を一応リザーブいたしまして、今後四月以降の清算の経費は、独立採算制の建前上、当該公団に生じた剩余金をもつて清算経費に充当するという建前をとりまして、一般会計から清算に要する経費を繰入れないでやつて行こうじやないかという構想のもとに、この清算経費の予算を国の、いわゆる各公団が持つていた剩余金をもつて充当せよ、こういうつもりで、まあ利益金をもつて清算経費に充当する、こういう行き方でこの法律を出したわけでございます。それから詳細な資料は、あした印刷しまして御提出するつもりでございます。  新聞発表の真相は、これは経済調査庁が実は調査いたしまして、一応こういう調査をしたという報告が主計局にも参つておりますけれども、具体的に調査をなさつた経調の方で、その内容を御報告するのがいいと思いますが、この内容につきまして、一応私たち大蔵省当局として説明できる範囲のものはあした御返事いたします。
  205. 川野芳滿

    川野委員長 なお御要望があれば、経済調査庁の出席を求めて説明をさせてもよいと思います。
  206. 小山長規

    小山委員 経済調査庁説明できる当該係官をお呼び願つていただきたいと思います。
  207. 奧村又十郎

    奧村委員 ただいまの説明員の御説明の中の、食料品配給公団と飼料配給公団の赤字の問題でありますが、将来赤字が出るであろうという予想のもとに一旦剩余金は留保するのだ、こういう御説明であるけれども、今回の予算で配付された各公団の明細書を見ると、この厖大な予算の中に一億円や五千万円の赤字が出るであろうというふうなことは、とてもわれわれは検討し盡せない。どうしてもこの赤字が出るであろうということが、はつきりうなずかれるような資料をひとつ提出していただきたい。それでなくては、もうどうせ解散するのだから、解散ついでにひとつわけどりにしようというような気分が、どうもわれわれには感じられますから、その点各公団の明細書はあるが、それ以上にもつとこまかい明細書、つまり解散に際して財産を処分する、そうしてなおほんとうに赤字が出るのだということについて、突きとめて調べてみたいと思いますから、そのつもりで資料を御提出願います。
  208. 大濱用正

    ○大濱説明員 ただいまの奧村委員のお話によりますと、何か赤字が出るというお話のように伺いましたけれども、公団は、たとえば二十四事業年度になりますと、二十五年の三月三十一日までは統制物資を取扱いまして、買い取つて売ります。そうすると買い取つて売るという操作をやることによつて、公団の諸経費をまかなうべきマージンの收入がございまして、そのマージンの收入によつて、公団の経営費に、いわゆる事業運営費あるいは事務費に充当して参つたのであります。公団がうまく運営すれば、收支とんとんになるというのが、公団の事業形態として最も理想的でございますけれども、そこにはいろいろ公定価格の中に織り込まれた事業運営費というものが、事実運営の結果いろいろ誤差が出て参りまして、剩余金も出て参りましようし、ときには途中において、運賃の値上りによつて輸送費が赤になる場合もあります。そういうケースがございます。大体一年の事業運営費は、今まで二十三年度までは一応剩余金が出ておつた。しかし二十五年の四月一日に清算に入つた場合には、今まで持つていたストックを処分するのでございますから、それに対するマージンが入つて来ません。二十五年の四月以降九月までの清算期間においては、いわゆる事業費、事務費、そういう経費を償うべき收入は出て参りませんから、清算に要する経費は一般会計から——今まで残つてつた剩余金は国庫に納付してもよろしいけれども、国庫に納付しないで一応リザーブしておきまして、お前のところは清算経費はやらないから、そのリザーブした剩余金を清算経費に充てて、余つたら納めろ、その範囲内でひとつやれ、こういう趣旨で出しておりますから、将来これは清算の結果でないと、赤が出るか黒が出るかわかりませんけれども、私どもの今の予算の編成の目的は、大体においてとんとんというつもりで出してございます。ですから清算の赤が出るかどうかというのは、あとでバランスを御提出いたします。
  209. 奧村又十郎

    奧村委員 しかしこの提案理由の説明書には損失と見ているか、その点をお伺いいたします。
  210. 大濱用正

    ○大濱説明員 二十五年度の食料品配給公団と飼料配給公団の清算の予想貸借対象表というのをつくつて提出いたしますから、御了承願います。
  211. 奧村又十郎

    奧村委員 くどいようですが、すでにわれわれに配布された各公団の昭和二十五年度の予算書を見ると、食料品公団に一億一千万円あるいは飼料公団に五千万円、こういう損失が出るというところはどうしても見出せない。その点明らかになるような資料を出していただきたい。
  212. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑ございませんか。——それでは本日はこの程度にて散会いたします。     午後四時二十九分散会