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1950-03-22 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第37号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十二日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 岡野 清豪君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 河田 賢治君    理事 内藤 友明君       奧村又十郎君    甲木  保君       佐久間 徹君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       田中織之進君    松尾トシ子君       宮腰 喜助君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理材局見返資         金課長)    大島 寛一君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君  委員外出席者         通商産業事務官         (通商振興局経         理部通商経理課         長)      佐々木庸一君         通商産業事務官         (通商振興局経         理部通商金融課         長)      川出 千速君         労働事務官職業         安定局         (失業保険課         長)      龜井  光君         專  門  員 椎木 文也君         專  門  員 黒田 久太君     ――――――――――――― 三月二十日  国庫出納金等端数計算法案内閣提出第一一一  号)  退職職員に支給する退職手当支給財源に充て  るための特別会計等からする一般会計への繰入  及び納付に関する法律案内閣提出第一一二  号)  国税犯則取締法の一部を改正する法律案内閣  提出第一一三号)  薪炭需給調節特別会計法廃止等に関する法律  案(内閣提出第一一四号) 同月二十二日  国税延滞金等の特例に関する法律案内閣提  出第一一七号)  災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に  関する法律の一部を改正する法律案内閣提出  第一一八号) の審査を本委員会に付託された。 同月二十日  引揚者収容施設充当の旧軍用施設関係地方  公共団体無償譲与陳情書  (第六〇三号)  雪害地方税軽減及び徴税技術の改善に関する  陳情書  (第六一四号)  所得税法人税及び相続税に対する密告報償制  廃止陳情書(第  六三七号)  中小企業融資大蔵省予金部資金充当陳情書  (第六四〇号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  連合審査会開会に関する件  委員派遣承認要求に関する件  米国日援助物資等処理特別会計法案内閣提  出第七四号)  輸出信用保険特別会計法案内閣提出第九二  号)  保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)  日本勧業銀行法等廃止する法律案内閣提出  第九六号)  銀行等債券発行等に関する法律案内閣提出  第九八号)  米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇六号)  国庫出納金等端数計算法案内閣提出第一一一  号)  退職職員に支給する退職手当支給財源に充て  るための特別会計等からする一般会計への繰入  及び納付に関する法律案内閣提出第一一二  号)  薪炭需給調節特別会計法廃止等に関する法律  案(内閣提出第一一四号)     ―――――――――――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 会議を開きます。  保険業法等の一部を改正する法律案を議題として、質疑を続行いたします。佐久間徹君。
  3. 佐久間徹

    佐久間委員 先般河田委員質問せられたのでありますが、保険業法改正案の第一條の二及び外国保険事業春に関する法律改正案第三條の二において、利益金または剰余金を計上しなければ、本邦会社外国会社において外国会社本邦において、保険事業を営むことを得ざる規定中、営業認可後三箇年の経過の規定があるが、その間合併等が行われた場合、いかなる取扱いをせられるかの質問に対する当局答弁は、いささか明確を欠いておつたように思うが、この際はつきりしていただいたらどうかと思う。
  4. 舟山正吉

    舟山政府委員 お尋ねの点に関しまして、先般の答弁を補足いたしたいと存じます。合併の場合は、新立合併吸収合併とございますが、新立合併の場合には、全社が合併いたしましたときより三年を起算すべきものと解釈されます。これに反しまして吸収合併の場合には、既存の吸収したところの会社営業の免許の日より起算すべきものと考えるのであります。但しこれを機械的に適用いたしますことは、実情に即しない場合もあるかと考えるのでございまして、具体的の問題を取上げまして、公平の原則に反しない範囲において、適当にしんしやくを加えるということが、最も法律の妥当な解釈であるかと考えております。
  5. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまの御説明によりまして、実際は今そういつたことがただちに起るとは考えておりませんけれども、将来あるいはそういうことがありはせぬかと思うから、はつきりしていただいた方がいいと考えたわけであります。しかし本業法改正も暫定的であると私は思うのでありまして、いずれ本格的の改正が行われると思いますから、しばらくの間その程度解釈によりまして、やつて行けると考えております。  次に質問したいことは、現行保険業法によりますと、保険会社原則とて同種の兼業を許されていないのであります。しかるに今般外国保険会社内地会社代理店として業務委嘱することを希望するというので、業法改正してその道を開こうということになつております。そこでどういう考えからこの改正考慮するに至りましたか、そのいきさつをひとつ聞かせていただきたい、こう思うのであります。
  6. 舟山正吉

    舟山政府委員 外国会社内地進出して参りまして、業務を営むにあたりましては、その手足となるものがいろいろ必要であることは、申すまでもないところであります。このために内地の同業者代理店に依嘱したいというわけでありますが、この代理業務につきましては、契約の募集の代理と、それから損害査定代理と二つにわけることができるかと思います。このいずれの場合におきましても、内地保険会社外国会社業務代理することによつて手数料を得られるのであるし、またかえつて外国保険会社の必要以上の進出も食いとめることとなると思うのでございまして、外国会社方面からの熾烈なる要望にこたえまして、この程度のことはさしつかえなかろう、決して内地保険業界の障害になることはなかろうというふうに考えた次第であります。
  7. 佐久間徹

    佐久間委員 御答弁によりますと、外国会社の切望による、こういうお話でございますが、外国会社ばかりではなく、内地会社もこれを希望しておつたのじやないかと私は思うのであります。あるいはまた客観的情勢によりまして、大蔵省自体がそう考えたのではないのか。この点をはつきりしていただいた方がいいと思うのであります。
  8. 舟山正吉

    舟山政府委員 内地保険会社は、相互間におきましては、同種保険につきまして代理関係を必要とする場合はないと申すことができるかと存じますが、異種の保険につきましては、これを認める必要があるいは起るでありましようし、特に内地会社外国進出するという場合におきましては、あるいは同種保険業務につきましても、代理関係を利用する場合も考えられるのでございまして、この規定内地保険会社にとつても相当便利な規定であろうと考えた次第でございます。
  9. 佐久間徹

    佐久間委員 そういたしますと、外国会社内地会社もあるいは大蔵省当局といたしましても、このことを考え改正行つたということに解釈してよろしいと思うのでありまして、これがもつともしかるべきであると考えます。しからば代理店委嘱希望する外国会社は一体どういう内地会社と個個に折衝しておるのか。あるいは中間に何か介在するものがあつて、これをタッチさせるつもりであるか。この点をはつきりお伺いしたい。
  10. 舟山正吉

    舟山政府委員 代理関係をどうするかということは商取引の問題でございまして、外国会社内地会社、個々の折衝によりその意見がまとまりましたところを、大蔵省認可事項としておりますので、その適当なものは認可するという行き方をとるわけでございます。
  11. 佐久間徹

    佐久間委員 現在代理店委嘱認可申請をしておる会社がありますか。
  12. 舟山正吉

    舟山政府委員 インドのニュー・インデイア保険会社と、東京海上火災会社との間に話が進んでおります。
  13. 佐久間徹

    佐久間委員 現在本邦会社外国会社に比しておおむね基礎が弱い。従つて外国会社信用の蔭に隠れて、営業を独占しようとするような考えがないとも限らないと思うのであります。すなわち代理店の道が開かれたのであるから、巨大な外国会社の看板を借りて、内地営業を襲断することも不可能ではない思う。本邦会社はいよいよそのために不況に陥るようなことがありはしないか。この点をわれわれ非常に心配するのでありますが、政府としていかなる意見をお持ちでありましようか。
  14. 舟山正吉

    舟山政府委員 損害保険におきましては国際的な性格が多分に濃厚でありますので、外国保険会社内地進出したいという希望を持つて参る例が多いのでございます。しかし内地保険業界のことを考えますと、外国会社が不当に内地進出して参るということはもちろん排除いたすべきでございますが、また一方内地保険会社海外進出したいという希望が漸次濃厚となつて参るのであります。ただいまのところはいろいろの事情によりまして、これがある程度阻止せられておりますが、将来この方面進出することを可能ならしめるように努力いたしますについては、ある程度外国保険会社内地進出を認めることは、やむを得ないところであろうと思うのであります。しかし御懸念のような点、すなわち不当に外国保険会社が、その信用等を根拠といたしまして、内地進出して参り、内地業界重圧を加えるといつたようなことは、もちろん望ましいことではございませんので、これは代理店契約認可その他の際に十分考慮に入れまして、内地業界を保護して参りたいと考えております。
  15. 佐久間徹

    佐久間委員 その点は如才もなく、いろいろの面から当局におきまして御考慮くださることと私は信じております。しかしなかなかこのごろ外国保険会社は鼻息が荒いのでありまして、いわば日本敗戦国であるので、その意味から申しましても相当重圧を感じつつあるのであります。その上何かいいきつかけをつくつて、さらに圧力を加えられるということになりますと、まず相当の内地一流会社は早くそれと手を握ることができるし、向うもある程度信用しておりますから、ただちに手を握ることはできるでありましようけれども、それ以外のいわゆる基礎の整わない会社は非常にみじめな立場になつて来る。こういうことを私は非常に懸念しておるのであります。どうかひとつその面に関しまして特別に御考慮願つて、将来これらの会社が立ち行くように善政をもつて臨まれんことを、切に私は希望したいと思うのであります。  元来元請会社も再保険会社も再保険営業とする建前からいえば、一応競争会社のごとくみなされる。しかし元請会社が再保険消化力を増強する目的をもつて保険専門会社を設立した場合に、実際上においては何ら競争関係はないのであります。従つて独占禁止法の第十一條適用は当らないと思うが。いかなる所見を持つておられるか。
  16. 舟山正吉

    舟山政府委員 さきに御質問に相なりました外国会社の不当なる進出ということにつきましては、行政上の措置をもつて万全の措置を講じたいと考えております。  保険会社の再保の問題でありますが、元請保険と再保険とはこれは性質上異なるものであつて、この両種の事業を営みますそれぞれの保険会社は、決して競争関係に立つものではなかろうという解釈を持つてつたのでございます。従つて今度の保険業法改正につきましても、その趣旨をもつて改正條項を織り込んでみたのでございますが、今日までのところ公正取引委員会の方の了解を得るに至らず、遂に今回の業法改正には間に合わなかつた次第でございますが、なお御趣旨を体しまして法律改正ができますように努力を続けたいと考えております。
  17. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまの御説明によりますと、時期的にこの処置をとれなかつたと申しておられますが、将来ともひとつ御努力願つて、一日も早くこういつた線から除外していただいて、本来の建前に返られるように御尽力を御願い申したいと思う。次に元請会社が再保険消化力を増強するために、すなわち一般保険需要者希望を十分に満たす必要上、数社か出食いたしまして再保険専門会社を設立した場合、その目的とするところはあくまで保険需要充足でありまして、被保険者利益のためであるのでありますから、この場合事業者団体法り適用を除外してしかるべきであると思うのであります。御所見はいかがでありますか。
  18. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいまお尋ねの点も、先ほどお答えいたしましたように、元請保険と再保険とは性質が異なりものであるから、再保険専門会社をこしらえることは、独占禁止建前からいつてさしつかえないのじやないかという感もいたすのでありますが、公正取引委員会あたりの意向によりますれば、現在のところまだそれは完全なる了解を得るに至つておらないということを御了承願いたいと存じます。
  19. 佐久間徹

    佐久間委員 この点も将来の問題であろうと存じますので、これもまたお願いして、御尽力によりまして将来改正せられることを熱望してやまない次第であります。  次に保険会社公共性から申しましても、その基礎は強固であつて経営は健全でなければならない。その影響するところは幾十万の被保険者に及ぶのでありまして、政府はここに注視して、いたずらに自由競争にまかせたり、契約獲得上の無謀な競争をなさせ、不当な料率の採用をなさせる。そういうことになりますと自然担保力の喪失となりまして、ひいては業者の破産というようなことにもなるのであります。幾十万の被保険者を泣かしめた過去の歴史を顧みまして、これが監督上の責任を十分に果していただきたいと思うのであります。また国際性多分に有しておる関係上、海外市場に近き将来出勤できるものと思われますが、この場合においても基礎の強固であること、健全経営であるということ、その裏づけとなるころのタリフ・レートがあるということ、これが前提條件となることと私は信じます。そこで保険会社の行う共同行為独占禁止法適用から除外する意思はないかどうか。これをお尋ねいたします。
  20. 舟山正吉

    舟山政府委員 お尋ね趣旨は再保険プールの問題かと拝承いたすのでありますが、再保険専門会社の株式を損害保険会社が保有する問題と異なりまして、再保険プールと申しますことは、外国においても例があることであり、これはその運用の方法が当を得ますれば、認められる見込みでございます。
  21. 佐久間徹

    佐久間委員 これはプールの問題もありますし、先般私が質問申し上げました料率の問題にも関係するのであります。ある一つ料率を申し合せてつくりまして、それを各自が尊奉して行く、こういう方法に行きたいと私は考えております。さらに近来金詰まりが非常に叫ばれておるのであります。そういう関係から保険類似業が数々行われようとしておるのであります。なるほどしろうとが考えますと、簡単にこの保険事業で金が集まるということを考えるのであります。皮相な見解からしてそう思われがちである。これはむりからぬことでありますが、しかしその反面には、保険というものは大きな責任を持つておるということをとかく忘れがちである。従つて金を集める一つ機関のみに、目をくらまされておるようにわれわれは思うのであります。将来類似保険のようなものが盛んに計画されつつあるのでありますが、これに対しては政府当局としていかなる措置を講じて行こうとするのでありますか。お尋ねいたします。
  22. 舟山正吉

    舟山政府委員 お説の通り最近組合等を組織いたしまして、保険に類似した契約を結ぶものがふえておるようでございます。しかしただいま見受けますこれらのものの大部分は共済的なものでございまして、特定人に限りこれが加入を認めておるということでやつておるのでございます。このような特定人に限つて共済組合的に保険類似事業を営むというものについて、ただちに保険業法をもつて禁止し得るかどうかということについては、解釈上問題もあるかと思うのでございます。保険事業と申しますと、不特定な多数人を相手にするものという観念が入つて来ると思うのでございますが、類似保険弊害が相当顕著でありますれば、これを取締る必要があることは申すまでもございません。なお実態を調査いたしまして、来るべき保険業法改正のときには十分御趣旨によりまして、適当な取締りをすることについて研究を進めて行きたいと存じます。
  23. 佐久間徹

    佐久間委員 御答弁によりましてその憂いを私と同じようにお認めくだすつて、将来業法改正等に織り込もうという御趣旨は、まことにけつこうだと考えます。要するにこういう問題ができてしまつてからは、なかなか監督がむずかしいので、先に一つラインを引いて目標を立ててやるということも必要であると思うのでありますから、ただ単に将来のことを考えずに、現在のこれらに対する措置を御考慮をくださることが必要であろうと私は思います。なお既存保険金社はもとより、新設会社も続々できて来るのであります。その上外国保険会社進出が目前に迫つておる。さらにまたかような類似保険の独立も考えられている。こういうような容易ならぬ実情にあるのであります。そういうような現況を考えてみますときに、ただいまの監督機構において、十分監督責任を果すことができるかどうか。これはわれわれは非常に憂慮せざるを得ないと思います。なおまた政府におきましては、あらゆる社会保険を続々となしつつある。ことにその保険の分野というものが広がつておる。これは非常に大きな面をもつておることは、各国の例によつても明らかなことであります。従来この事業は、日本においてはあまり理解されておらなかつた。しかし必要に迫られて当然理解しなければならぬ時代が、もう差迫つておると考えております。大きな機構を持たなければだめである。ことに日本のごときは、あるいは農林省において行つておるところの、今度われわれが通した輸出保険の問題、あるいは労働省で行つておる失業保険の問題とか、いろいろな問題が各省に分割されておるのでありまして、こういうような状態においては、十分なる一貫した監督行政というものは私はできないのじやないかと思うのであります。その意味において、この前も私が政府に要望しておいたのでありますが、少くとも保険庁のようなものをつくつて保険行政を統一する意思がないかどうかということをお尋ねしておいたのであります。それに対して十分なるお答えを得られなかつた。今日ますますその必要を痛感するにあたりまして、このことに関してひとつお尋ねしておきたいと思いますが、保険庁とかあるいはせめて保険局くらいのものを設置する意思がないのか、これをお尋ねいたします。
  24. 舟山正吉

    舟山政府委員 近来各種保険ができまして、これが各省で所管されておるということはお説の通りでございます。これらを統一する必要はないかどうかという問題については、各省で所管いたしております各種保険については、それぞれ各省自体行政事務と結びつくところが多分にございまして、今ただちにこれを一つ監督官庁下に置くということについては、相当問題もあることかと思います。しかし各省保険がばらばらに運営せられるのでは、御指摘のごとくいろいろな弊害もあると思うのでございまして、できればこれは統一的な指導方針のもとに置くことが必要であると考えます。このためには各省と緊密に連絡をとることが必要であると考えるのであります。しかし今ただちに保険庁のごときものを置きまして全部ここに吸収してしまうということについては、また反面ただいま申し上げましたように、それぞれあまりにも特殊の事情が多い保険でございますので、あるいは困難かとも考えるのでありますが、今後保険業法立案等の場合におきましては、それらの各種保険を通じまして、何か一貫した指導方針というようなものが立ちますように、研究を進めて参りたいと考える次第でございます。つきましては大蔵省で現在保険監督行政に当つております機構について、その規模が小さ過ぎるというような御不満もあるいはむりからぬことかと考える次第でございますが、何分にも行政機構簡素化建前としております現状におきましては、これが拡充も思うにまかせない次第でございますが、さしあたりまして銀行局におきましては、銀行検査に従事いたします検査官といつたようなものを、保険行政にもプールして使つて行くといつたような仕組みによりまして、一方におきましては保険行政企画的部門の陣容を強化し、また検査事務につきましても万遺憾なきを期して参りたい、こう考えておる次第でございます。
  25. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまの御答弁によりまして、保険行政の面から見て、ただいまの小さい一つ機構をもつてこれだけ多くの監督をやつて行くために、制約のもとにおいて現在まかされておるところの機関を動かして万全を期したいという御希望に対しては、われわれとしても非常に頭の下る思いがするのであります。なほ現在の日本状態から考えまして、急速にこれを充足するということは至難でありましよう。その間に非常に御苦労のあることは察するに余りがあるのでありますが、なお一段とこの重大なる監督に対して万全を期せられたいと思うのであます。なおこれに対してわれわれといたしましても、あらゆる御援助を惜しまないものであります。  そこで、臨時的の措置といたしまして、せめてこういつたような相関連する保険の問題に対する一つの問題を審議し、あるいは連絡をとるとかあるいは監督一つラインを引くために、審議会のようなものでもせめてつくつて、経済的にこれをわき役として援助機関たらしむるというような構想でも、お考えになつてはいかがでしようか。
  26. 舟山正吉

    舟山政府委員 各種保険行政の統一をはかるために審議会でも設けたらどうかという御提案につきましては、今後研究考慮をいたしてみたいと存じます。
  27. 佐久間徹

    佐久間委員 さらに今回シヤウプ勧告によりまして、貸倒れ準備金は、銀行業のような金融機関のみでなく、あらゆる種類の事業に関して認められるのでありまするが、損害保険未収保険料に対する手当基金を、同様に貸倒れ準備金とみなすかどうか、これをお尋ねしたいと思う。
  28. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいまのところそれはまだ考えておりません。
  29. 佐久間徹

    佐久間委員 未収保険料は直接契約者代理店とにわかれておりますが、契約者はいわば保険証券販売売上げ代金にもひとしいもので、契約者からの分は保険証券販売でありますから、一般売上げ代金にもひとしいものであります。代理店といえども保険会社とは別箇の企業体でありまして、一般売掛代金と何ら選ぶところがないと思う。従いましてそれら未収保険料に対する貸倒れ準備金を、一般と同様に税法上の措置を講ずることが真に必要であると思うが、その意思があるかどうか、お尋ね申し上げます。
  30. 舟山正吉

    舟山政府委員 保険会社についても貸倒れ準備金を設けることにつきましては、しごく理由のたつことであると思いますので、その方向に向つて主税局と交渉いたしたいと考えます。
  31. 佐久間徹

    佐久間委員 何とぞすみやかに御交渉くださいまして御決定いただきたいと思います。次に交際費についてお尋ね申し上げます。交際費を損金として認めるにつき一定の限度を設けることは、徴税建前からも不当競争防止の見地からも当然であります。但しこの計算が純益と資本金、いわゆる所得資本金に準拠しておる。これは実際にそぐわないではないか、こう思うのであります。保険会社のごとく巨大な資本を必要としないところ、しかも公益性を重んじて低収益をもつて建前としている以上、これに根拠を置くということは不当であると思うのであります。政府はすみやかに収入保険料によつてこの起算をなすことが当然であろうと私は思うのでありますが、政府所見はいかがでありますか。
  32. 舟山正吉

    舟山政府委員 交際費、寄付金のごときものを、会社によつていかなる限度にこれを損金に入れることを認めるかという問題につきましては、保険会社につきましても他の一般法人の扱いによつておるわけであります。この沿革は、結局会社等にいかなる寄付金を認めるかという問題になりますと、なかなか査定の範囲がむずかしくなるので、こういう機械的な標準によらざるを得ないということであろうと思うのでありますが、御指摘のごとく、保険会社資本金はきわめて小さいというところから見て、所要の交際費、寄付金もまかなえないという事態があるいはあるかと存ぜられますが、この問題につきましてはなお今後研究いたしたいと思います。
  33. 佐久間徹

    佐久間委員 これをもちまして私の質問は大体終つたのであります。いろいろ政府におきましても考えていただくこともございましようし、また私たちの方も将来この問題について何かとまた提案する場合もございましようと思いますが、お互いこの大きな転換期に際しまして保険国際性、これは非常に大きくここに現われて来たことを注視いたしまして監督上あるいは指導の面におきましても、なお一層の御尽力をいただきたいと思うのであります。これをもつて私の質問を終ります。
  34. 川野芳滿

    川野委員長 河田賢治君。
  35. 河田賢治

    河田委員 私は保険についてはまつたくのしろうとなので、この條文からだけお尋ねするのですが、この前お尋ねしましたのは主として日本保険会社外国保険事業を営むことの問題についてお尋ねしたわけです。これに対してあいまいな御返事だつたんですが、きようは同様に法律上公正な立場からというので、外国保険会社日本事業を営む場合にも同様な規定がされたわけであります。しかしこれについては御承知の通り日本保険外国保険の間には非常にハンディキャップがあります。従つて外国保険会社においてはこういう問題は起らぬと思いますけれども、設立してから三年、個人では事業を開始してからやはり三年、こういう場合に、この規定を完全に日本の現在の政府適用される腹があるかどうか、このことをお聞きしておきたいのです。今日このことを盛んに新聞でも報じておるのですが、外国人が日本会社の株なんかを買つておるということも伝えられております。いろいろ手をまわして来ておる。こういう場合に日本政府は、外国保険事業会社が三年を経過した後に合併したとか、あるいはこの條文によりまして個人が——まだ三年を経過しないが、三年経過したという場合には許すのですか。新しく合併したような場合にでもこれを三年間は許さぬだけの腹があるかどうか。これは日本と同様にお取扱いになるかどうか。この点をお聞きしたいと思います。
  36. 舟山正吉

    舟山政府委員 第一條の二の解釈につきましては、先ほど補足して申し上げた次第であります。この吸収合併新立合併の場合とをわけまして営業開始の基準にするということでございますが、なおその間会社の実態も見まして、必ずしも機械的、文字通り解釈にはこだわらぬ、公平の原則で判断して参りたいということを申し上げた次第でございます。ただいまの御質問は、外国会社日本進出ということが非常な勢いで行われるならば、そこにいろいろの弊害があろうという御意向でございますが、その意味外国日本進出のために、ここににわかづくりの会社をこしらえまして、日本進出して参るということは、この改正條項によりまして阻止いたしたい。あくまで信用の確立し内容の充実した会社についてのみ、日本において保険業を営む認可を与える。これをその要件といたしたいという趣旨のものであります。外国保険会社日本進出して参りますことは、保険会社国際性から申しまして、他日日本保険会社外国進出することを認めてもらうために、ある程度しかたがないことであろうと思います。これが日本の業界に対する不当な圧迫になりませんように、十分監視して参りたい。そのためには認可等につきましても、慎重な態度で臨みたいと考えておる次第でございます。
  37. 河田賢治

    河田委員 それから十二條の二の、保険会社が他の株式会社の株式総数の百分の十を越えた株式をもつてはいけないということについてですが、会社の株式を所有するということは、現在の私的独占禁止意味から言つても多少は理解ができるのですが、たとえば一時的な貸付の担保としてこれをとるということにでもなれば、非常に営業上の運営についての困難が生ずるような場合が生ずるのではないか、こういうように考えますが、この点はいかがですか。
  38. 舟山正吉

    舟山政府委員 貸付の担保の場合を所有と同列に扱いましたのは、担保流れになつて会社の所有に属する場合のことを考えまして、この百分の十という制限を厳守せしめます意味において、こういう規定が入つたのでございます。
  39. 河田賢治

    河田委員 そういう場合は、その会社におきましてそれを売ればいいので、そうすれば株式総数の百分の十にとどまると思うのです。一時的な会社の運用について貸付の担保を制限するということは非常に私は不当だと考えます。さらに百四十四條の二ですが、これは古い法律でありますから、従つてこの法案の罰則等もみな五千円とか一万円程度にとどまつておりますが、百四十四條の二は、先ほどの株を持つた場合、あるいは貸付の担保として百分の十を越えた場合にのみ、これは一年以下の懲役、または二十万円の罰金ということになつておりますが、他の條文との権衡上これは非常に重いと思うのです。もしもこれをこの程度にされるならば、ほかの罰則なんかも五千円程度のものはまた一万円とか、あるいは五万円というぐあいに、罰則の権衡がとられなければいかぬと思います。これだけを特に新しく追加された條文として重くしてあるという不権衡につきまして、どういうふうにお考えになつておりますか。
  40. 舟山正吉

    舟山政府委員 十二條の二は私的独占禁止法の例外規定でありますので、その罰則につきましても同法との権衡をとりまして、かようにきめたのでございます。
  41. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま議題となつておりまする保険業法等の一部を改正する法律案につきましては、一応質疑が終つたようでありますから、これをもつて質疑打劫りにいたしたいと思いますが、お諮りをお願いいたします。
  42. 川野芳滿

    川野委員長 前尾君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようですから、保険業法等の一部を改正する法律案については、質疑を終了いたします。     —————————————
  44. 川野芳滿

    川野委員長 次に日本勧業銀行法等廃止する法律案、及び銀行等債券発行等に関する法律案の二案を一括議題として、質疑を続行いたします。三宅則義君。
  45. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 過日小山委員並びに同僚委員から御質問がありまして、御答弁があつたと思いまするが、二、三点残つておりまするから、この際私は銀行局長お尋ねをいたしたいと思うのでございます。今度の銀行等債券発行等に関する法律案につきましてこの資料によりますると、日本興業銀行、勧業銀行並びに北海道拓殖銀行及び農林中金、商工中央金庫という諸銀一行もしくは金庫が中心になつてやられることと考えておりまするが、地方のいわゆる弱小と申しまするか、大銀行に比べますと、地方銀行等におきましては、相当力はありましようけれども、大発展はいたしておりません。しかし一般人に重要な役割をいたしますのは、もちろん地方銀行であると考えております。この際地方銀行等に対しましても、大幅にそうしたような、債券発行を許可せられるような勇気と努力と言いますか、そういう御構想がありましようか。もしくはないでしようか。あるいはどういうふうに進められるかということについて、もう少しく御答弁を賜わりたい。かように思つておる次第であります。
  46. 舟山正吉

    舟山政府委員 この法律におきまして定められました優先株式の発行を認め、見返り資金をもつて政府がこの株式を持つという問題につきましては、これを特殊銀行三行、農林中金、商工中金の二金庫に限る意思はないのでありまして、あらゆる銀行について、平等の扱いをいたしたいと考えております。従つて地方銀行等におきましても、見返り資金の出資を希望されるということでありますれば、同じ立場に立つて考慮いたしたいと考えます。
  47. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 先日もお尋ねしておきましたが、やはり地方におきましては不動産金融もしくは住宅金融と申しまするか、あるいは中小企業の金融というかあるいは農林、水産に関します中小の金融というものについて非常に困つておるのでございまするが、この際政府はひとつ力を入れて、大銀行擁護ということより、むしろ地方銀行もしくはそうしたような末端に至ります方面に多少融資をしてもらいたいと思います。これに対しまして銀行局長、並びにちようど幸いに大蔵政務次官が参られておりますから、政務次官の親心のある御答弁を賜わりたい、かように考えます。
  48. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金の出資につきましては、銀行側にこの御希望があるかどうかを一応お尋ねしたのでありますが、現在のところは、地方銀行等におきましてはその御希望のお申出がないのであります。察しまするに地方銀行におきましては、債券を発行しましても消化の目途が容易につきがたいというようなことではないかと存じます。一面におきまして地方銀行が比較的長期の金融をなさいまして、中小金融、農林、水産金融に力を入れておられますことは、十分わかつておるのでありますが、これが見合いとして債券を発行するというところまで決意をなさつたところは、まだないのではないかというふうに考えております。
  49. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 そういたしますと大銀行——先ほども申しました勧銀、興銀、北拓、農中、商中並びにその他東京におきまする千代田銀行とか、あるいは富士銀行とか、第一銀行、帝国銀行、大阪銀行あるいは三和銀行というような大銀行が主として債券を発行し、その他の弱小銀行もしくは地方銀行は当分債券を発行する力がない、かように了解いたしておるわけでありますが、それではむしろ大銀行擁護になつて、地方農山村あたりに対しては、めぐつて行かないというような目途もつくわけであります。また一方考えてみますと、地方弱小銀行とかが放漫な政策をとりまして迷惑をかけたことは、過去数十年来の経験でよく知つているわけでありますが、これを勘案いたしまして大銀行が地方に支店を持ちまして、支店を通じてそうしたような金融——農林金融、中小金融をなさいますかどうか。この点についてもう少し承りたいと思います。
  50. 舟山正吉

    舟山政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、地方銀行等におきまして見返り資金の出資を受け、なお債券発行が可能ならばこれを発行して参りたいという御希望に対して、決してそれを大銀行と差別待遇する意思は少しもございません。地方銀行等におきましてそういうような長期の資金を出されますことによつて、地方金融が疏通いたしますならば、これは非常にけつこうなことであろうと考えておる次第であります。なお地方銀行の資金的な援助をいたしますために、とりあえず勧業銀行あたりが発行いたします債券につきましては、その一部を地方還元の趣旨をもつて、勧業銀行の業務を地方銀行が代理して行うといつたような話も進めておるのでございまして、これによりまして地方銀行は、相当程度の長期貸付もできることに相なるものと考えております。
  51. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 これははなはだ過去のことを聞きまして恐縮でございますが、勧業銀行、興業銀行債券等におきまして、ことに勧業銀行が多いわけでありますが、たいへん紛失してしまつておるたとえば震災とか火災とか死亡とか。あるいはたんすの中に置き忘れたというようなために、そうした債券が損耗しておると思います。これに対して銀行当局監督しておられると思いますが、どのくらいの程度損耗しておりますか。もしわからなければあとでけつこうですが、その辺を承りたい。
  52. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいま資料の持合せがございませんので、後刻調べましてお知らせ申し上げます。
  53. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それではちよつとお答えを願いたいと思いますが、米国対日援助見返り資金から出るわけでありますが、この見返り資金に対しまして、株主もしくはその他の人々が株式を引受けたという場合には、それを償却することができると考えております。その償却いたしますのには、相当期間があると考えておりますが、これは短時日のうちに償却してよろしうございますか。それとも相当期間たつてから償却してよろしうございますか。その辺を承りたい。
  54. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金で出資いたしました優先株式については、毎期利益の十分の一以上をもつて償却して行くという規定がございますが、そのほかに銀行が自己増資をいたしました場合には、自己増資をいたして、そのかわり優先株式を償却して参るということが認められておるのでございまして、大体利益をもつて償却する年限は、十年ぐらいと予定いたしておりますが、自己増資いたしまして償却いたしますれば、それ以前にも償却できることに相なります。
  55. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 そういたしますと、われわれといたしましては、内容のよい銀行は割合に早く優先株式を償却する。こういうように私どもは考えるわけでありますが、この際日本の八大銀行とかあるいは四大銀行、六大銀行といわれているような大銀行が中心でありましようけれども、これらに対して今相当申込みのけはいがありますが、それに対してもし御構想がありましたら承りたい。
  56. 舟山正吉

    舟山政府委員 優先株式を各銀行についてどの程度出すかということにつきましては、当局の見込みによりますれば、勧業銀行、興業銀行各十億、それから農林中央金庫二十億、北海道拓殖銀行七億、商工中央金庫五億、合計五十二億を予定しております。
  57. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 本年の二十五年度長期金融は、提案理由によりますと、五百二十億をやるというふうに聞いておるのでありますが、そういたしまするとこの四、五十億だけでは、われわれは足らぬように思います。それは政府といたしまして、手持資金を融通するというような御構想でありましようか。それをお伺いしたいと思います。
  58. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいま申し上げましたのは優先株式を持つ金額でございまして、これがこの法律規定によりまして、何倍かの債券発行能力ができまして、五百二十億と申しますのは、二十五年度中における債券発行見込額でございます。
  59. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 長くなりますから一点だけで終りますが、先ほどお話になりましたように、資本の二十倍に関する債券を発行せられると思つておりますが、これに対しまして私どもは、年年そうしたような方法に自己資本を増資し、もしくは見返り資金を融通せられて増資せられるような構想でありますか。今年で打切りでありましようか、伺いたい。
  60. 舟山正吉

    舟山政府委員 児返り資金の問題につきましては、二十五年度の計画は一応立てておりますが、アメリカの対日援助予算のいかんによつて動くことがあるかもしれないわけでございますし、いわんや二十六年度以降につきましては、まだ何とも申し得ないことと思うのであります。しかし見返り資金が引続き与えられまするならば、必要に応じて三十六年度にも、銀行に出資をすることがあろうかと考えます。
  61. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それでわれわれ今政府の御答弁によりまして、二十六年も相当な資金が組まれて来たときにはやる。こういう構想でありまして、まことにけつこうでありますが、私は地方農山村あるいは水産事業家等におきましても、将来とも復興いたしますには、ある程度まで政府が親心をもつて援助してもらうことが一番必要である、かように考えますから、水田政務次官から一応それに対しまする御構想なり、あるいは御覚悟なりを伺つて質問を打切りたいと考えます。
  62. 水田三喜男

    ○水田政府委員 これは先般から、大臣からもしばしば御説明がありました通りに、地方金融については、特段の力を入れる、こういう方針でございまして、そのためには地方銀行をこれからあらゆる手を打つて援助して行く。そうして必要ならば一県一行主義を打破して、必要な地方銀行の設立はどんどん許可して行く。それからもう一つ、併用協同純合のごときものも、どんどんわれわれとしては設立を許可して、小金融の問題も相当の力を尽したいと思つております。  それからさらに見返り資金の問題も、御承知のように一・四半期三億出して銀行から同額を出す。一・四半期六億の中小企業への設備資金を出すということを現在やつておりますが、これも非常に地方銀行からの申請が多くなり、地方の三百万円以下の設備資金の需要が非常に多いので、これにどんどん応じておりまして、大体三月一ばいで予定の中小企業への三億円の設備資金は、全部出し尽すというような状態になつております。さらに来期もこれを続けて強化すれば、中小企業への金融も相当緩和して来るのではないかと考えております。
  63. 小山長規

    ○小山委員 ちよつとお伺いいたしますが、今度の銀行等債券発行等に関する法律案につきまして、いろいろお伺いしたところにより、さらにまた安定本部から発表されておりますところの長期資金計画、その他を勘案いたしました場合に、若干疑問が出て来たのであります。今度の法律によつて二十五年度においては金融債を五百二十八億円と予定されておるわけであります。その五百二十八億円の金融債を発行するということは、長期資金計画とにらみ合せて、今年度中にどうしても必喜要な資金でありますか。あるいはこの発行額はこれよりも若干下まわつてもいいとお考えになつておりますか。ひとつお伺いしておきたいのであります。
  64. 舟山正吉

    舟山政府委員 経済界で長期資金の不足ということが特に叫ばれております今日におきまして、必要でないものを出す必要はございませんが、この程度は来年度の資金計画から見ましても、出す必要があると考えておる次第であります。
  65. 小山長規

    ○小山委員 この五百二十八億の金融一債を発行するにつきましては、その前提として各銀行が増資をするということが今まで説明されており、法案にはこの増資は、対日援助見返資金によつてこれを引受けるという構想になつておるようでありますが、この対日援助見返資金による優先引受という問題が解決されなければ、この問題は解決されない仕組みになつておりますか。あるいは対日援助見返資金の引受がなくても、これらの金融債券を発行できるとお考えになつていらつしやいますか。それをひとつ伺つておきたいと思います。
  66. 舟山正吉

    舟山政府委員 この法律規定によりまして、自己資本と債券発行額及び預金との倍数がきめられておりますので、現在の銀行の情勢から見ますると、何らかの形で増資しなければ、債券発行ができないことに相なつております。従つて五億、十億とまとまつた自己増資ということはなかなか困難であろうから、勢い見返り資金の増資を前提といたしまして、発行が可能になると申すことができると思います。
  67. 小山長規

    ○小山委員 ただいまの御答弁によりまして、五百二十八億の債券は、二十五年度における長期資金計画上も必要』であるということ、それからこれを発行するにつきましては、どうしても各銀行の増資が必要である。その増資は非常にまとまつた増資でありますので、対日援助見返資金の援助を受けなければ不可能であろうという御答弁でありますが、最近の新聞によりますと、この対日援助見返資金による増資株引受は不可能ではないかとか、あるいはあやしいのではないかというような報道を見るのであります。これははなはだわれわれ日本国民としましても、この問題がそのようなことでひつかかつて、この長期の債券の発行ができない、従つて長期資金計画もできないということになつて参りますと、せつかくここで法案を審議し、対日援助見返資金で優先株の引受ができると信じて、この法案を通しましても、それができないことになつて来れば何にもならないのであります。それにつきまして最近の新聞紙上の報道にありますところの、見返り資金をもつてこの優先株の引受ができないかのような報道は事実でありますか。あるいは何らかの間違いの報道でありますか。はつきりしたところをひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
  68. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金による銀行の優先株の引受につきましては、大体五十二億円程度が適当と認めまして、関係方面へ内意を聞いておるわけであります。これにつきましてはまだ回答がないのでございますが、私どもは、これは決して悲観すべき結論には達しないと考えておるのでございます。また見返り資金の増資が全然だめになりますれば格別、最惡の場合を考えましても、自己増資をいたしますれば、債券発行余力が若干出て来る計算に相なりますから、その分もあわせて債券発行に充てたいと考えるのでございます。繰返して申し上げますが、見返り資金の増資ということは、私どもにおきましてはこれを見込みがなくなつたものとは決して考えておりませんので、当初こちらの計画の案を出しましたときと、情勢は少しもかわつておらぬと了解しております。
  69. 小山長規

    ○小山委員 非常に心強い御答弁をいただきましたが、私どもは国会議員の立場として、この五十二億円の見返り資金は、ぜひとも長期資金計画達成上、日本産業の発展上、政府は全努力を傾けて、これが実現できるようにひとつ御努力願いたい、かように考えるのであります。  その次には、この問題とちよつとはずれるのでありますが、十七日でありましたか、理財局長から農地証券の全額償還が可能になつた。それが実際に償還されるのは九月ごろであろう、こういうお話でありました。ところが農村の実情は御承知の通りでありまして、非常に金も詰まつておりますので、九月まで農地証券の償還を待つておるわけには行かないような状態であろうかと思うのであります。それでたしか私の承知しておるところでは、農地証券は従来銀行があまりこれを担保にとることを好んでいなかつたように思うのであります。何とかこれは銀行局長あるいは政府のおはからいで、これが貸出金の担保になるように、これを促推されるようにお願いしたいのであります。それについて何かお考えがあればひとつ伺つておきたいのであります。
  70. 舟山正吉

    舟山政府委員 農地証券が、来年度において全額償還されるということは聞き及んでおります。但しその時期につきましては、歳入の方とも見合せて考えなければならぬということから、その時期につきましてはまだ決定しておらないように聞いておるのであります。農地証券を担保にとる問題については、私の所管外でありますので詳細は存じませんが、これは記名式でありまして、譲渡を禁ぜられておるということから、従つて担保にとらないことになつておるかと思うのであります。その点を解決いたしませんければ、銀行が担保にとることについてはお答え申し上げられないのであります。それが省令その他の改正というようなことで解決できるものかどうか、なほ研究して参りたいと存じます。
  71. 小山長規

    ○小山委員 確かに記名式であるために担保にならないのでありますが、政府がすでに来年度において全額償還すると発表しておけます以上は、銀行としては、確実にこれが償還される証券となるのでありますから、何か便法をもつてすれば、銀行の担保にならないことは経済上はないと思います。ところが実際問題としては先ほど申し上げましたように、農村は非常に金に詰まつておりますので、この償還の時期が非常に遅れますと、ブローカーに買いあさられて、非常に安い値段で割引されて買われる心配がある。これが一番心配なのでありますから、早急にこれが銀行の貸出し担保となつて、全額これが買入れによつて現金化されるような方法を至急講じてもらいたい。そういたしませんと、せつかく九月に——大体九月ごろであろうというお話でありましたが、九月ごろに償還するということがみすみす目の前にわかつているのに、これを三割とか四割とかの高い割引料を払つて売らなければならない。これは農村としては非常に迷惑な話なのでありますから、ぜひこれは省令を変更されるなり、あるいは銀行その他に内意を含めるなりして、適当な方法をぜひ至急に講じていただきたいと思うのでありますが、もう一度ひとつその点を伺つておきたいと思います。
  72. 舟山正吉

    舟山政府委員 ごもつともな御意見でありますので、至急研究いたしたいと思います。
  73. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 本法案は、こういう大きな銀行の民主化については非常に妥当な規定だと思いますが、これが結局廃止なつた場合には、一般の銀行と同様の性質を有するものであるかどうか。従つてもし同様の性質を有するものだとすれば、もちろん監理官制度も廃止されますし、おそらく役員選任についても天くだり人事はないと思います。しかし一般銀行と同様の活躍ができるということになりますと、債券発行については非常に有利な條件になるのではないか。従つて地方の支所なり出張所なりを通じまして、この債券発行の猛烈な運動をやると、勧銀、興銀北拓あたりの掌中に地方の資金が入れられてしまう。そうして地方に出る資金がだんだんなくなつてしまうような懸念があるのであります。こういう場合には政府で特に監督をやる考えですか、どうですか。
  74. 舟山正吉

    舟山政府委員 債券発行によつて、地方から資金が中央に、集中するということにつきましては、極力その弊のないように監督して参りたいと存じます。そのためには、債券発行銀行の一つであります勧業銀行あたりにつきましては、地方で集めた債券資金の一部は、そのまま地方銀行を利用して、地方に再投資するといつたようなことをやらせたいと考えているのであります。そのほか、銀行の内容から申しますと、これから国債が来年度において、相当債務償還として償還になるのでございます。銀行はその資産構成上有価証券保有ということも必要であり、この国債に置きかえて債券を持つということになりますれば、その部面では、あながち地方から資金を吸い上げつばなしになるといつたようなこともないかと存じますが、全体の問題につきましては、十分適当に指導して参りたいと考えております。
  75. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから現在見返り資金の問題について、中小企業が地方銀行へ行くのですが、銀行では、その半額が地方銀行の負担となるのはなかなか貸さないらしい。これは何とか地方銀行がそういうような拘束を受けない、いわゆる総額の半額を地方銀行が出さなくて、見返り資金のみの貸付方法はできないかどうか。たとえば金融公庫あたりで貸し付けているのは、全部政府資金を貸し付けている状態でありますが、地方銀行もその貸付なしで、見返り資金のみで貸付ができれば非常に便利なわけでありますが、その点はいかがでありますか。
  76. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金による中小金融につきましては、当初つくられました方針にも、見返り資金は総融資額の半額ないし八割までということになつておりまして、そこに運用のゆとりはあるわけでございます。ただ限られた見返り資金をできるだけ有効に使いたいという気持をもちまして、現在のところ見返り資金は半額、あとの半額は銀行の自己資金でもつてまかなえという取扱いをしているのでございますが、なおこの見返り資金の実情考えまして考慮いたしたいと思います。
  77. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もう一点、ただいま局長さんが地方の債券の発行について、いわゆる国債と債券とを引きかえにできるようなことをお話されたようですが、これはもしそうだとすれば、どういうような比例で交換されますか。
  78. 舟山正吉

    舟山政府委員 私が申し上げましたのは、債務償還によりまして、地方銀行の持つておつた国債が現金にかわる。一方銀行の資産構成としては、有価証券を持たなければならないということになりますから、その償還された金で債券を買うことになるであろうということを申し上げた次第でございます。その率はもちろん銀行々々の考えによつてきまることでございます。
  79. 川野芳滿

    川野委員長 それではただいま議題となつております両法案に対する質疑はあとまわしにいたします。     —————————————
  80. 川野芳滿

    川野委員長 次に去る二十日本委員会に付託されました国庫出納金等端数計算法案退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計、等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案、及び薪炭需給調節特別会計法廃止等に関する法律案の三案を一括議題として、政府の提案理由の説明を求めます。水田政務次官。
  81. 水田三喜男

    ○水田政府委員 ただいま議題となりました国庫出納金等端数計算法案提出の理由を御説明申し上げます。  この法律案を立案いたしました趣旨は、最近の経済情勢にかんがみまして国庫金の出納及び国税、地方税の課税標準額の計算の事務を簡素にして、経理事務の能率の増進をはかろうとするものであります。  本案の要点といたしましては、まず第一に、国及び公団等における收入金または支払金につきましては、原則としてその金額に五十銭未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、五十銭以上一円未満の端数があるときは、その端数を一円とし七計算し、その金額の全額が一円未満の場合は、収入金についてはその全額を切り捨て、支払金については一円として計算し、また国または公団等の相互の間の支払金につきましては、その金額の全額が一円未満の場合は、その全額を切り捨てることといたそうとするものであります。  第二点は、収入金または支払金を分割して収納または支払いをする場合の計算でありますが、この場合はまずその総額について、前に申し述べました原則により計算した後、分割金額を算出し、その分割金額に一円未満の端数があるとき、またはその金額の全額が一円未満であるときは、その端数金額または一円未満である分割金額を、最初に収納する金額または支払う金額に合算することといたそうとするものであります。  第三点は、国税または地方税の課税標準額を算定する場合、課税標準額に百円未満の端数があるとき、またはその全額が百円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨て、また政令で指定する国税または地方税につきましては、課税標準額に一円未満の端数があるとき、または全額が一円未満であるときは、その端数金額または全額を切捨てることといたそうとするものであります。  第四点は、国税または地方税を一時に収納する場合に、その税額に十円未満の端数があるとき、またはその全額が十円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨て、また政令で指定する国税または地方税につきましては、その税額に一円未満の端数があるとき、またはその全額が一円未満であるときは、その端数金額またはその全額を切り捨てることといたしたいのであります。  また税の分割収納につきましては、先ほど申し上げました分割収納の規定を準用することといたし、税の還付金につきましては、その金額に一円未満の端数があるとき、またはその全額が一円未満であるときは、その端数金額またはその全額を一円として計算することといたそうとするものであります。  なおこの法律案は、国及び公団等のすべての収納、または支払いについて適用することが理想でありますが、国及び公団等の収入金または支払金につきましては、その性質等から、この法律適用を受けさせることが不適当と認められるものもありますので、これらについてはこの法律適用を除外することといたしたいのであります。  次に退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案提出の理由を御説明申し上げます。  この法律案を立案いたしました趣旨は、政府または公団等の退職職員に対する失業者の退職手当の支給が、今般公共職業安定所で行われるようになるのに伴い、その財源について必要な措置を講じようとするものであります。すなわちまず第一に、政府または公団等の職員が退職しましてから一年以内に失業しております場合には、失業保険法の保険金支給の條件に従つて計算いたしました失業保険金相当額と、退職時に支給された退職手当額との差額を失業者の退職手当として支給されるのでありまして、この支給につきましては、現在は旧勤務所におきまして行われているのでありますが、今回これが公共職業安定所で支給されることになりますので、その支給財源に充てますため、各特別会計または公団等の負担額を、予算の定めるところにより一般会計へ繰入れまたは納付する道を開こうとするものであります。  次に、一般会計が前記退職手当の支給財源を各特別会計及び公団等から受け入れ、精算の結果過不足が生じた場合の調整の措置を設けようとするものであります。すなわち、受人額が各特別会計及び公団等の負担額を超過した場合には、翌年度の負担額に充当いたし、なお余りがありますときには、翌翌年度までに各特別会計及び公団等に返還し、不足した場合には、翌々年度までに各特別会計及び公団等より補填するようにいたしたいのであります。  次に薪炭需給調節特別会計法廃止等に関する法律案提出理由を御説明申し上げます。  政府におきましては、薪炭の需給の統制と薪炭需給調節特別会計を廃止することを前提といたしまして、昭和二十四年七月三十一日以降、新たな買入れを停止し、残務の整理に努め、またその整理を促進させる必要上、今国会において御審議を仰ぎ、この会計の債務の支払い財源に充てるため、五十四億七千万円を一般会計から繰入金をする等の措置を講じた次第でありまして、今回昭和二十五年四月一日をもつて、この会計を廃止することといたしたいのであります。なお、この会計の昨年十二月当時においては、年度内において一切の薪炭証券と大部分の債務の償還が可能であるごとく予想され、またこれを可能ならしめるべく鋭意努力をいたして参りましたが、諸般の情勢から清算事務が意のごとく進捗せず、現在の見通しといたしましては、遺憾ながら年度末においてなお若干の収入未済債権、年度内償還不能の薪炭証券その他の支払未済債務が残ることが予想されるのであります。よつてやむを得ず昭和二十四年度において、この会計の借りかえ証券の償還財源に充てるための証券を発行することができることとし、この会計に属しまする資産及び負債の一切を一般会計に引継ぐことといたしたいのであります。また、この特別会計法廃止後の昭和二十四年度の歳入歳出決算の作成、及びこの特別会計法の規定を準用しておりました国営競馬特別会計法をもあわせて改正する等、この会計の廃止に伴い必要な措置規定しようとするものであります。  以上が国庫出納金等端数計算法外二法律案の提案の理由であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  82. 川野芳滿

    川野委員長 午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後二時五分開議
  83. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。   議案の審査に入る前にお諮りいたします。ただいま本委員会におきまして審査中の米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案、及び運輸委員会において審査中の日本国有鉄道法の一部を改正する法律案の両案につきましては、両委員会の所管にまたがつて関連を有する法案でありますので、本日運輸委員会と連合審査会を開いてほしいとの申出がありました、本委員会としても右両案につきましては連合審査会を開会し、審査の慎重を期したいと存じますので、お諮りいたしまするが、右両案についての連合審査会開会の件は御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、右両案について運輸委員会と連合審査会を開会することに決定いたします。  なお連合審査会開会の日時等につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  85. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午前中質問終了と相なりました保険業法等の一部を改正する法律案を議題として、討論採決に入ります。  討論は通告順によつてこれを許します。宮腰喜助君。
  86. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表いたしまして、本案に希望條件を付しまして賛成いたすものであります。今回のこの改正によりまして、日本保険業者外国保険業者との間に、競争上において不利益を招来する点があると私は考えるのでありますが、そういうようなことのないように十分政府当局にも御留意願いまして、日本保険業発展のためにいま少し御努力願いたい、こういう希望條件を付しまして、私は本案に賛成するものであります。
  87. 川野芳滿

    川野委員長 河出賢治君。
  88. 河田賢治

    河田委員 私は日本共産党を代表して、保険業法等の一部を改正する法律案に対して、反対を表明するものであります。  特に今回の改正点は、外国日本会社保険事業を営む場合を規定し、また他方外国保険会社日本において事業を営む條件を規定し、あるいはその他保険会社の持株、他の会社の持株などの制限、こういうことをやつておるのでありますが、大体におきまして現在御承知のごとく、日本の経済法態は敗戦以来まだほんとうにしつかりした状態になつていない。きわめてすべての企業が弱体であり、特に今日はいろいろ外資、あるいは盲貿易、あるいは外国のむちやな押売り、こういうことによつて日本の経済はますます破滅の状態になつて来ておる。こういう場合に外国会社日本会社とが、たとえば法律上同等な條件を与えられましても、実際には大きなハンディキヤツプがあるわけです。従つて今日日本の進むべき道は、少くとも講和條約が締結されるまでは、外国人の日本におけるいろいろな活動を禁止し、日本人自体がその間において建直しをやつて行く、こういう方向に行かなければ、とうてい私たちは日本の産業あるいは企業におきましても、再建は困難であろうと考えるのであります。ところがこの法律によりましても、外国人を日本人と公平に同等に取扱つておりまするが、しかしこのような経済的なハンディキャップがある場合には、どうしても外国人の方に押されるのは、これは言うまでもないのであります。従つて外国保険事業法律が出ましたときにも、共産党は反対いたしたのでありまするが、今度の保険業法の一部改正につきましても、保険会社事業を営む條件を制限し、あるいはまた他の持株会社の制限、あるいは貸付の担保の制限、こういうことによつてますます運営が、きわめて十分な効果を奏することができないようにされるわけであります。同時にまた刑罰におきましても他の法令とはきわめて無関係に、この法令だけが百四十四條の二でありますか、きわめて重い。こういうような片寄つた法律をつくることは今日の時世に適していない、かように考えますので、本案に反対の意を表明するものであります。
  89. 川野芳滿

  90. 佐久間徹

    佐久間委員 私は自由党を代表して本案に賛意を表するものであります。  すなわち政府は今回保険業法等の一部を改正する法律案提出いたされましたが、その理由は提案の説明に明示せられておりますごとく、その第一は保険公共性にかんがみまして、保険会社の健全性を保持しつつ、一面投資の機関としての特質を発揮せしめ、わが国の経済再建に貢献せしめんとするにあるのであります。第二は保険国際性に基きまして、内外の保険の優遇に資し、もつて貿易の伸長を期せんとするものであります。すなわち現在の日本のような危険率の非常に高い保険保険しなければならない立場におきましては、このままに置くということは、内地だけでこの危険を負担するということはとうていできないのであります。一日も早くこの危険を分散するいうことが保険原則でなければなりません。そこに思いをいたしまして、この道を開こうとするのでありますから、非常にこの点は先見の明を持つておられると思うのであります。さらに保険国際性と申しまして、いろいろのたとえば貿易の面におきましても、船舶の積荷の保険にいたしましても、あるいは船舶の保険にいたしましてもこれは日本内地だけで消化するということはとうていできないのでありまして、戦前におきまして日本が各国にその基盤を持つておつたことく、一日も早くそういう面を開拓しなければならない。それに対するところの法律措置を講ずる必要があるということに着目せられたと思うのであります。第三にこれらの重大なる国策の線に沿いまして、国の経済を建て直す上において、これらの重大な目的達成のためには、どうしてもその基盤となるべき料率に対して公共性を持たせなければならない。合理性を持たせなければならない。こういうのでありまして、これを一般の公開によりましてこの目的を達しようとするのであります。この面が十分看取されるのでありまして、一日も早くこういう措置を講ずるの必要を痛感する次第であります。従つてこの法案に対しましては、まことに時宜に適した措置として衷心から賛意を表する次第であります。
  91. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  92. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  93. 川野芳滿

    川野委員長 次は米国日援助物資等処理特別会計法案米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案を一括議題として、質疑を続行いたします。
  94. 河田賢治

    河田委員 この前の委員会政府に見返り資金による物資がどのようなものか、どれだけ入つたか、どれだけ売りさばけて、どれだけ滞貨になつておるか、こういう資料を要求しておるのですが、まだ来ておらない。これはどうなつておるのでしようか。
  95. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ちようど資料の御要求のありましたとき私存じておりませんので、至急に係官の方に連絡しまして、すみやかに出すようにいたしたいと思います。
  96. 河田賢治

    河田委員 実はその資料をいただいて討議をしたかつたわけです。そうしないと話がどうも抽象的になるわけでありますから……では今度の見返り資金の使用と申しますか、いろいろな條件につきまして、今度運輸委員会とも連合審査をいたすわけでありますが、国が使う場合につきましては、従来五分五厘の公債で発行しておりましたが、今度はそれが自己資本の形になつて出て来る、こういうような見返り資金における運用の面で、非常な変化が来ておるわけでありまして、これについて政府のお考えを一応お伺いしたいと思います。
  97. 大島寛一

    ○大島政府委員 お答えいたします。ただいまの御質問の要点は、公企業につきましてただいま御審議願つております法案にありますごとく、二十五年度以降におきましては、従来貸付でやうておりましたものを、交付で行くという点につきまして、どういう変化であるかという御趣旨了解いたします。二十円年度におきましては国の事業につきましても、私企業につきましても、貸付金の形で投融資をしていたわけであります。従いまして日本国有鉄道あるいは電気通信事業特別会計に対しまする投資は、国有鉄道については貸付の方式をとりました。電気通信事業特別会計につきましては公債の引受の方式でやつて参りました。従いまして五分五厘というような利子をとつて融資をして参つたわけであります。今回法案の成立を得ましたならば、これを公企業、国の事業につきましては改めまして、見返り資金からは特別会計に対しましては資金を繰入れてしまう。国有鉄道に対しましては同様の趣旨で交付をして、出し切りにしてしまうということにいたしたいというのが、この法律案を御審議願つておる趣旨であります。従つて出し切りにして渡すわけでありまして、貸付と異なりまして、利息をとりますとか、期限をきめますとか、そういう点がないわけであります。
  98. 河田賢治

    河田委員 こういうふうな変化があつたのでありますが、御承知のごとく見返り資金は、第五国会におきまして、日本政府が自主的に使うということになつておりましたが、実情日本政府が自主的に使うのではなくして、もうすべてわくがあつて、あるいはひもがついて縛られて使つておる。この場合今度こういうふうに二十五年度からかわりましたのは、現在の政府の自主的にこういうことを考えておきめになつたのか。やはり何らかの内示、あるいは覚書が出ておやりになつておるのか。この点をはつきりしておいていただきたいと思います。
  99. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 この点につきましては、私ども法律をつくります際に研究いたしたのでありますが、関係方面から私たちの聞いておりますところでは、つまりやりつぱなしと言いますか、従来のような貸付ということではなくて交付をするという気持で出すのだ、こういうふうに聞いております。
  100. 河田賢治

    河田委員 見返り資金の一部改正法の方でありますが、今度これをこの資金から宣伝教育事業でありますか、ちよつと法案が見つからぬが、そういう項目がありましたね。これにはどのような内容をもつてどのくらいの金額をお使いになるのか、それをちよつと、民間情報教育事業です。
  101. 大島寛一

    ○大島政府委員 今回の改正法律案におきまして書いておりまする民間情報教育事業の運営のおもなる使途でございまするが、大体におきまして図書館あるいは映画というような方面を予定いたしております。その金額につきましては、まだ正式に決定する段階になつておりませんが、ほぼ年間を通じまして二億円程度考えております。
  102. 河田賢治

    河田委員 そうするとその図書館などは、日本政府あるいは都道府県の地方行政機関が持つておる図書館でございますか。
  103. 大島寛一

    ○大島政府委員 日本の国または都道府県の持つておりまするものを予定いたしております。関係方面等と特に関係の深い方面のそういう事業に使う予定でございます。
  104. 河田賢治

    河田委員 実は一月三十日の国際新聞には、CIE図書館に見返り資金を融資と題して、政府は二十七旧の閣議でこれを決定し、総司令部の民間情報教育局、CIEの図書館に要する施設費で、一月から三月まで四千八百万円、四月以降明年三月までに二億五百万円、合計二億五千万円を貸し付けるものであるということを決定したように報じております。さらにまた二月二十四日の東北の福島民報でありまするが、CIEの図書館に福島が有力な候補地として上つておるということを、県の広報課長が語つております。これもCIE図書館の建設ということになつております。それから三月九日の山陽新聞にも、岡山において総司令部の係官が視察に来て、ここにもCIEの図書館ができる見込みがあると言つたということを、大熊県社会教育課長が語つております。こうなりますと、これはCIE図書館を設置するために日本の見返り資金で融資する、こういう形になるのですか。これは全然別でございますか。
  105. 大島寛一

    ○大島政府委員 民間情報教育局のやつておりまする図書館等に使うということになろうと思います。
  106. 河田賢治

    河田委員 民間情報教育局がやられるのですと、日本政府は全然その個々の間の運営についての指導なりあるいは運用ということについては、全然タツチしないわけでありますか。
  107. 大島寛一

    ○大島政府委員 「国又は都道府県の行う政令で定める民間情報教育事業の運営に必要な費途に充てる」と法律案にもございまする通り日本側の政府におきまして、もちろんこれは計画等をつくるわけでございまして、民間情報教育局の指導と十分なる理解とのもとに、緊密に連絡をしまして実行するわけでございます。
  108. 河田賢治

    河田委員 もう一点ここをはつきりしておきたいと思うのでありまするが、つまりCIEの図書館に見返り資金を融資するということは全然ない、こういうふうに解釈してようございますか。つまり新聞の報ずる政府が一月二十七日の閣議で、見返り資金から融資するときめたことはうそである。これは日本政府が直接国なり地方公共団体のやる図書館にこれを融資する。CIEの持つているものに融資するという閣議決定は新聞の誤報であり、また政府もそういうCIEの図書館に直接見返り資金を融資することはない、こういうふうに受取つてようございますか。
  109. 大島寛一

    ○大島政府委員 ただいまの点でございまするが、第一に民間情報教育事業に使いまするためには、融資ではございません。ちようど公共事業あるいは公企業につきまして、今回別の法律案におきまして御審議願つておりまするように、資金を出しつきりにして使つて行く予定でございます。  第二に俗に申しておりまするC工Eの図書館に使うことはないかという点でございまするが、これはいわゆるCIEの図書館と呼ばれておりまするものに使うことを考えております。
  110. 河田賢治

    河田委員 資料がございませんので非常に困るのですが、米国のいわゆる援助物資というものは相当いろいろなものが今入つて来ております。日本で第八軍のPXあたりから売り出される余剰物資、先日も二百六十万ドルか売り出されておりまするが、こういう品物は別に見返り資金とは関係ございませんか。
  111. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。ただいまお話になりました分は援助物資とは関係がございません。
  112. 河田賢治

    河田委員 実は資料が出て来ていないので、大まかでけつこうでありますが、援助物資で入つて来ているもので、日本の産業と競合するもの、つまり外国から入つて来る。しかし日本でつくればつくれるものでも、なおかつ向うから援助物資の名によつて相当品物が入つておるかどうか。それから入つて来た品物が大体うまく売れているかどうか。この点を資料の出て来る前にちよつとお聞きしたいのです。
  113. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 援助物資で入つて参ります物資は主として原料でございまして、不足する食糧その他の原材料が入つて参ります関係上、競合する分はないものと存じております。
  114. 河田賢治

    河田委員 ないものとお信じになつているのは、こちらは信ずるでしようが、そうするとこういうPXなんかの余剰物資が入りまして、これを日本が買うわけなんですが、こういう場合には関税などの関係はどうなりましようか。こういうものにもやはり外国の輸入物資として関税をおかけになつておりますか。
  115. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 最初にお話になりましたPXの余剰物資につきましては、これは援助物資ではございません。しかしながら関税の点から申し上げれば、これは関税をとることにいたしております。
  116. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 先ほど河田委員の御質疑に対して政府で御答弁になつておりますが、私企業というのは映画とか図書館と仰せになりましたが、これの頒布状況はどんなふうになつておりますか、承りたい。
  117. 大島寛一

    ○大島政府委員 民間情報教育事業関係でございますか。
  118. 河田賢治

    河田委員 ええ。
  119. 大島寛一

    ○大島政府委員 これにつきましては法案の成立を見ました上で、さらに具体的にどういう方面に幾らというようなことをきめて参る予定でございます。現在まだ頒布状況等につきまして、予定を決定するまでには至つておりません。
  120. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 それでは、あまりつつ込むわけではございませんが、公企業に対しまする米国の対日援助見返資金のことでありますから、嚴重に私どもは監督し、もしくはそれらについてやらなければならぬのであります。都道府県いわゆる地方公共団体等についても、相当に援助なさるようなことがあるように法律案で見られますが、それもおわかりになりますれば承りたいと思います。
  121. 大島寛一

    ○大島政府委員 二十四年度におきましては、現在の法律におきまして、公企業と一口に申しておりまして、このうちには国並びに地方等も含んで解釈しておるわけでございます。実際の運用におきましては、国有鉄道と電気通信事業、すなわち国の直営事業だけにしか運用されなかつたわけでございます。しかしながら二十五年度以降におきましては、最も緊要なる面におきまして、都道府県の行う事業につきましても、適当かつ緊要な事業でありますれば、見返り資金を出して行くということを考えたいと思つておるわけでございます。しかしながら都道府県の行いまする事業につきましては、一般的に申しますとこれは起債もございますし、預金部において地方債を引受けるという道もあるわけでございますので、そういう普通の方法でやりまして、どうしても力及ばず、しかも特に緊要なものについては見返り資金を考えるということになろうと思います。
  122. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 見返り資金をお貸しくださるのはけつこうでありますが、これは日本銀行、もしくは大蔵大臣の指定いたしております金融機関、たとえば農林中央金庫あるいは商工中央金庫もありますが、そうしたような大蔵大臣の指定いたします金融機関を通じましても、相当出されることと私は考えるのでありまするが、これらについての政府のお考えになつておる状況を、ひとつ承われれば仕合せと思います。
  123. 大島寛一

    ○大島政府委員 ただいま御質問の、日本銀行及び指定金融機関を通じて運用するのは、大体どういう方向だろうかというお尋ねでございまするが、二十四年度におきましては、私企業といたしまして先般資料で差上げましたような、電力、海運、石炭、鉄鋼、中小企業等に対しまして、見返り資金から融資をいたして参つております。その場合に現在の法律におきましては、もつぱら日本銀行をして取扱わせることになつておるわけでございますが、日本銀行以外の金融機関を、直接事務取扱い機構として使う余地はなかつたわけでございます。見返り資金の活溌な、また最も緊要な面に適切な貸付を期待いたしますために、日本銀行のみならず、それ以外の金融機関をも、必要に応じまして指定金融機関といたしまして、これに一部を取扱わせて行く余地を開いて行きたい、かように思つておるわけでございます。さしあたり日本銀行以外の指定金融機関としまして考慮いたしておりまするのは、農林関係の金融につきましてでございまして、農林中央金庫を指定金融機関としまして、農林長期金融の活發な運用に対しまして、見返り資金からも道を開けるようにしたい、かように考えておるわけでございます。
  124. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 農林中央金庫ももちろんけつこうでありますが、私ども中小企業に多少関係いたしますものは、やはり国民金融公庫にも相当金融の取扱いを講じてみたらよろしかろうと思います。その構想はございませんか。
  125. 大島寛一

    ○大島政府委員 中小企業金融につきましては、かねて大蔵省といたしましても積極的にこれが道を開くように努力を重ねておるわけでございまして見返り資金の中小企業金融につきましては、先般来御質疑に答えまして当局からいろいろ一応説明しておる通りでございます。現在のところ見返り資金の中小企業金融につきましては、日本銀行にとりまとめてやらせておりますが、実はその下部の事実上の取扱いといたしまして、全国あらゆる銀行あるいは店舗を活用しておるわけでございます。さらにその上に国民金融金庫を使つてばどうかという御趣旨の御質問のように舞承いたしますが、ただいま見返り資金の中小企業融資として考えておりますのは、産業関係の設備資金を中心として融資する。そういう意味におきまして、国民金融公庫の扱いまする分野とややねらいの違う面もございますので、国民金融公庫を現状においては使つていないわけでございます。なお国民金融公庫を使います点につきましても十分考慮して参りたいと思つております。
  126. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 今の政府委員の御答弁によりますと、どうも私どもの方の線と違う点があるのであります。もちろんわが国の経済でありまするからなかなか中小企業ぱかり言つてはおられません。大企業も必要でありまするが、私どもの観念からいたしますと、やはり中小も相当設備をしなければならぬ点があると思う。これも銀行に行つても貸してくれない、そういうことが往々過去にあつた。ところが今度の見返り資金によりまして、大企業も浮ばれるのでありますが、もちろん中小企業もこれに関連をいたしまして、ある程度家屋の建設あるいは機械の購入とかいうような点から、中小企業も決して浮ばれないことはない、私はかように考えておる。いろいろな面がたくさんあるのでありますから、一部だけを考慮するわけにも行きますまいが、ぜひそうした面に考慮をめぐらす必要があると考えますから、ここにいただきました資料の米国対日援助見返資金概要、これ以外にも相当あるものと思いますが、なお私の感じまする場合におきましてはぜひとも大企業中心でなく、中でもよろしいですから相当広範囲にやつてもらう必要がある、かように思います。今後のあなたの見積りをもう一ぺん承りたい。
  127. 大島寛一

    ○大島政府委員 御趣旨まことにごもつともでございまして、見返り資金の二十四年度におきまする予備金につきましても、中小企業はやや出足が遅れて、申請が出て参りますのに若干の時日を要しております。最近では非常に活況を呈して参りました。十七日現在の資料を御提出いたしましたが、本日現在におきましては、すでに融資を実行いたしましたのは合計百五十三であります。総額にして一億九千三百四十万円に達しております。なおすでに貸付を決定いたしました金額は、ただいまの件を含めまして二億円を突破する状況になつて参ると思います。このようにいたしましてますます力を入れまして、この方面の円滑な活用をはかつて参りたいと思つております。
  128. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 あまり長くなりますので、もう一、二点だけ聞きたい。これは中小企業を代表するようで恐縮でありますが、昨年の十月に全国を御調査になつたことがある。その後御調査がないようでありますが、昨年の十月現在の基準ということであるならば、いかにも不公平であろうと考えるのでありまして、私は去年の十月を基準にし、さらに本年の一月もしくはでき得べくんば三月あたりを基準にして、二十五年度の金融方策を講じてもらいたい、こういう線を考えておりますから、ぜひ政府全般としてもう一応全国に通牒を発して、中小企業に関しますこと、もしくは金融対策に関する調査をやつてもらいたいと思いますが、政府のお考えを承りたい。
  129. 大島寛一

    ○大島政府委員 中小企業の金融全般につきましては、実は率直に申しまして、私どもその全部の所管ではございませんので、大蔵省においては銀行局、あるいは通産省におきまする中小企業庁、いろいろございすが、それぞれのところに十分連絡をいたしますと同時に、私どもといたしましても、できるだけ積極的に協力をして、ただいまのような調査の進行に積極的に参加いたしたいと思います。
  130. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一つでやめますが、私がこうしつこく申し上げることは、結局地方における金融難ということにあるわけであります。大銀行と取引しております大企業家は、相当国の援助もあれば銀行の援助も得られる。ところが中小もしくは地方で小さな取引をしておりますものは、なかなか金融がないというわけで、国民金融公庫等に関係を持つわけでありますが、私の選挙区の愛知県あたりにおきましても、申入れても二月一日で締め切つて、あとわくをやらぬ、こういうわけではなはだ遺憾にたえませんから、二月一日以降もなお苦心しておるところもあると思いますから、どうかもう一ぺん政府全体の責任において調査し直して、ほんとうに公平に貸してやるようにお願いしたいと思います。
  131. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 先ほど政府委員の方からお話がありまして、貸しつぱなしでないものとあるということを伺つたのですけれども、今まで委員会や本会議では、この見返り資金というものはアメリカから借りたものであるか、くれたものであるかわからないというお話があつたのであります。貸しつぱなしということであるならば結局回収ができない。そうするとこれは日本政府責任になると思いますが、こういう問題をはつきりしていただきたいと思う。いわゆる債務であるか贈与であるか。  それから見返り物資の希望の申入れができるかどうか。たとえば製材業でありますと、帯のこの材料がスエーデン方面から入つてつたのですが、この鋼材がなくて弱つておるのです。こういうよう関係がいろいろなところにあるだろうと思いますが、この見返り物資について、こちらから希望を入れられるかどうか、それから、これはもらう方だとすれば、あまりあつかましいことは言われないのでありますが、今年度の見返り物資の援助関係の予想、それからこの見返り物資をどんどん処理するような場合に、結局その物資の裏づけの金の問題ですが、ものを処理するとすれば、ただちに金が必要であるには相違ないのでありますけれども、その間には相当ずれがあると思うのです。ものをどんどん処理したら、その裏づけの資金として見返り資金を放出するのが至当だと思う。今までいろいろな事務処理だとか、新しい法律を制定するのにひまをとつたようなこともあるだろうと思うのですが、今後はすみやかに回収資金を市中に流すような方法をとつていただきたい。  それからまた、全体の資金の面ですが、ことに東北方面に対する考慮が非常に薄いようであります。この見返り資金の問題については、特に東北の金融関係を特別に取扱つていただきたいという希望を申し上げたい。それは現在の銀行の見返り資金の貸し付け方が、大体地元銀行が半分引受けなければならぬという條件が入つておるものだから、なかなか貸さない。従つて大都市に近いところでありますれば、銀行の内容も裕福でありますが、農村でありますとなかなかその金がないために、見返り資金の恩恵に浴する点が少いと思うのです。その点特に御考慮を願いたいと思うのでありますが、政府のお考えを承りたい。
  132. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 先ほどお答え申し上げました関係で、私から一番最初の点について申し上げます。  先般来御審議を願つております米国対日援助見返り資金特別会計からする電気通信事業特別会計、国有林野事業特別会計に対する繰入れ、それから国有鉄道に対する交付に関する法律というのがありまして、ただいまのような問題が起つたわけでありますが、先ほど申しましたのは見返り資金特別会計、言いかえますと、政府日本国有鉄道というものとの関係におきましては、先ほどの條文にも出ておりますように、交付するということになつておるのでございます。すなわちやりつぱなし、つまり貸すのではなくて交付するのだということが、法律の條文に明らかになつておる、こういう意味でございます。もちろんただいまお話のございましたように、その見返り資金特別会計に受けましたところの見返り資金全体というものと、それからそれに関連して米国日本との関係が、一体貸借の関係に立つのか、贈与の関係に立つのかという点につきましては、私どもの大臣がすでにしばしば御答弁申し上げておるところであり、非常に大きな問題でございまして、もちろん最後の点は講和條約をまたなければ決定的な点は出ないと思いますが、ここで申し上げておる交付つまりやりつぱなしという意味は、本特別会計と国有鉄道との関係においては、すなわち日本政府と国有鉄道との関係においては、これを交付するのである、こういう意味であります。そういう限られた意味においてお答え申し上げたわけであります。
  133. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 見返り物資の希望を申し入れられるかどうか。これを御返答になつていない。
  134. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 いかなる見返り物資を得られるかということにつきましては、日本側としても希望を現に申し入れております。安本で総括的に申し入れることになつております。その総括的に申し入れる場合に、お話のような資材について御希望があれば、それを物資として入れますこともできると存じております。但し、お話になりました米国以外の地域から、見返り資金を使いまして入れるという点につきましては、これはアメリカの方の運用上不可能ではなかろうかと思われます。  次に、来年度の会計に幾ら見返り資金として予想しておるかということでございますが、通産省が扱います見返り物資の代金のうち、来年度大蔵省側の所管します見返り資金特別会計にまわす金額として考えておりますのは、千三十四億四千九百万円でございます。これに該当します物資のドル額で計上いたしました金額は、一応三億三千五百八十七万五千ドルと考えております。
  135. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もう一つの物資処理の裏づけの金の問題ですが、売りつぱなしでどんどん一定の個所に金を吸収してしまうと、民間の会社に金がなくなつてしまうのではないかと思うのです。今まではいろいろな法令をつくる上においてずれがあつたようですが、今後はこういうことがないように、物資を流せばどんどん見返り資金を流すことが妥当ではないかと思うのですが、これはどういうふうにお考えになるか。
  136. 大島寛一

    ○大島政府委員 見返り資金といたしましては、一方におきまして援助物資の払下げ代金を回収いたしましたものを追加しておる。この点は御案内の通りであります。これを使う方につきましても率直に申しまして、昨年はかなりずれて活用が遅れておつた点もございますが、昨年十二月あるいは本年一月以来、非常に活發に出るようになつて参りました。むしろ入つて参ります金よりも、毎月々々出て行く金の方が、最近におきましては多いような状況になつて来ておるわけであります。しかしながら全体といたしましては、さらにただいま御質問趣旨をも十分くみまして、出る方も円滑に出せるように一層努力をして行きたい、かように思つております。
  137. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もう一点政府委員の方から御答弁をいただいておりませんが、この金融の見返り資金の運用の問題でありますが、先ほど話をした通り、今中小企業資金を借りる問題について、銀行に申し込みますと銀行が半分、見返り資金が半分ということになりまして、銀行がなかなか簡単には出してくれないという苦情の申入れが非常に多いのでありますが、これを銀行の負担だけで、一般の金融公庫あたりで貸し付けるようなやり方で、見返り資金それ一本で貸し与えるというようなことで、普通の銀行に委託したらどんなものかと思うのでありますが……
  138. 大島寛一

    ○大島政府委員 見返り資金の中小企業融資につきましては、お話のように現在は銀行半分、見返り資金半分ということでやつております。将来の問題としましては、銀行の分担します割合を減らすようにして行くということも考慮しておるわけでございますけれども、何分総額におきましても比較的限られた金額でもございますから、少しでも多くの中小企業の人たちに、なるべくたくさんの機会をつくつて運用していただきたいという気持があるわけでございます。そういう観点からいたしますると、ある企業に全部見返り資金で見るということにいたしますよりは、多少そこに市中銀行の資金とまぜ合せて運用して行きます方が、全体としては大きく使えるわけでございます。先ほど、本日現在一億九千万と申しましたが、このほかに総額一億九千万の市中の金がついておるわけでございます。従いまして三億八千万の金が、見返り資金が半分持つことによつて、中小企業のために活用されておるという結果にもなつておるわけでございます。片方におきまして見返り資金の融資につきまして、非常に多数の案件があることでもございます。市中の金融機関の調査にまちまして、それによつて融資としまして、最も効果のあるまた健全なものが出るようにすることに期待するという面もあるわけでございます。そのような意味におきまして、ただいまといたしまして見返り資金だけで持つということは、目下考えていないわけでございます。
  139. 河田賢治

    河田委員 くどいようでありますが、先ほども言いましたようにこの見返り資金が贈与か、つまりアメリカからただくれておるものか、あるいは今借金で後に返さなければならないものか、こういうまだはつきりしない金を、多少金利でもとつて運用する場面へ使えば、まだこれはりくつが合うのです。ところが図書館のような事業は、おそらく図書館の入場料とか何かとりましても、独立採算なんかできぬはずであります。そういうところに、今特にこういう対日援助見返資金のうちからさかなければならぬ理由が、私たちにはわからないのでありますけれども、特に御承知のごとく官立大学にしましても、あるいは地方の公立の諾学校にいたしましても、今日図書館あるいはその他の費用なんかはきめてとぼしくて困つております。また地方自治体がやつておる図書館にしましても、民間でやつておる図書館にしましても、同様なことが言えるのです。そうすればそういうふうな民間の文化的な水準を高めるという意味ならば、これは何も見返り資金から出さなくても、一般の会計から文化費として計上されるのが至当だと私は思う。ところがこの見返り資金が、特にこのような民間情報教育事業、しかも国が行う民間情報教育事業、これは今アメリカがやつておりますあれとタッチするわけでありますが、こういうことに使うということは、経済的な観点からいつても私は不都合だと思います。また同時に従来連合国司令部の方から出ておりますスキャップ・インですか、昨年の四月一日の政府あての覚書によりましても、この金は国内の通貨、財政の安定、輸出の促進、大体こういうようなものに限定しおるようであります。従つて現在の政府が、こういう民間情報教育事業に出すという根拠が非常に薄いと私は思うのです。この点については、今文部委員会の方が、内容についてはどのような——政令とか何とかいうことを考えるのでありましようけれども、しかし私たちがこの法案を審議する上におきましても、資金の運用についてはきわめて重要な転換が来ておるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。この点について、さしあたりこういう総司令部から出ました覚書にのつとつたものに入るとお考えになるか。それからまたそうでないにしても、現在見返り資金の運用につきましては、これは大臣もしばしば申しておりますように、日本政府が自主的にこの金は使つておりません。そうしますと結局こういう事業に資金を使えということは、やはり向うの気持によつてなされたものか。この点を明確にしておつていただきたいと思います。
  140. 大島寛一

    ○大島政府委員 御質問の点はいろいろにわかれておりまするが、民間情報教育事業に対しまして使うということは、総司令部の設置の覚書に反するものではもちろんないと考えております。見返り資金の運用につきまして、いろいろな転換があるようだという御質問がございましたが、言葉はともかく、私どもとしましては転換というようなことでなく、見返り資金のより有効な、またより広範囲にわたる活用をするための進歩、発展があるのだと、こういうふうに考えております。  それから第三点としまして、見返り資金は全然自主的に使つていないかという御質問でありますけれども、見返り資金の使用につきましては、政府で案をつくりまして、それを基礎にして運用するわけでございまして司令部の承認を要することにはなつております。その辺の事情は御了承願います。     —————————————
  141. 川野芳滿

    川野委員長 河田君の発言中まことに恐縮でございますが、運営委員会が開会されております関係上、この際お諮りいたしたいと思います。それは委員派遣に関する件についてでありますが、当委員会といたしましては、議長の承認を得て現在税制に関する調査を進めておりまするが、最近における徴税及び納税状況にかんがみ、実情調査の必要を痛感いたすのでありまして、今般衆議院規則第五十五條によりまして、徴税及び納税状況に関する実情調査を行うため、委員を各地に派遣いたしたいと考えます。この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですからさよう決定いたしました。  なお実情調査のための委員派遣は、衆議院規則第五十五條によりまして、議長の承認を得なければなりませんので、議長のもとに提出いたします委員派遣承認申請書提出の件につきましては、委員長及び理事に御一任願いたいと存じます。  それから委員派遣の件につきましては、大体群馬、阪神、山梨の三地方を四月一日からそれぞれ五日間にわたつて調査していただく予定でありまして、群馬地方には私と小峯柳多君、宮腰喜助君の三君。阪神地方は島村一郎君、西村直己君、河田賢治君の三名。山梨地方は北澤直吉君、三宅則義君、川島金次君の三名に調査を御依頼いたす方針であることを御了承願いたいと思います。     —————————————
  143. 川野芳滿

    川野委員長 それでは前に引続いて質疑を続行いたします。河田賢治君。
  144. 河田賢治

    河田委員 先ほどの御答弁で非常に進歩発展だというふうに言われました、私どもの考えとしては、見返り資金にしましても、今の日本の経済から言えば、七分五厘でなくてもつと安い金にすればまだ中小企業にしましても借り手はたくさんあると思います。また産業資金にしてもあると思います。こういう意味で見返り資金をこの方へまわすことは、一種の宣撫工作的な意味に使われることになる。この点は議論になりますからよしますが、これは第十四條の第三項になりますが、指定金融機関は、「国の債権につき債務の保証をすることができる。」つまり債務を保証しなくてはならぬことになりますが、これはどういうふうな意味になりましようか。その点だけちよつとお伺いします。
  145. 大島寛一

    ○大島政府委員 目下御審議を願つておりまする改正法律案におきまして、指定金融機関をして債務の保証をさせる場合を考えました意味説明いたしたのであります。と申しますのは、たとえば先ほども申しましたように、農林関係等の全国非常に多数にわたる融資につきまして、物的な担保をとろうということになりましたといたしましても、たとえば土地のごとき融通性のないために担保をとることが適当でない、あるいはまたそのために非常な手続がかかるというようなことになりまして、実情に沿わないような場合もあり得るわけであります。しかしながらそうかと申しまして、こういうようなものに対しても見返り資金を活用して行くことを考えたいというわけでございまするので、取扱いの銀行に保証をしてもらうことによつて、その辺の関係を簡単にかつ円滑にすることを考えたいというのが、保証をすることができるという規定を設けました趣旨であります。
  146. 竹村奈良一

    ○竹村委員 先ほど聞いておりますと、一応中小工業者の対策として見返り資金を相当地方銀行等にも出されるということでございまするが、これでたとえば銀行等が見返り資金に対する半分だけを持つ、そして貸し出すということになつておりますが、実際は今日の中小工業の現状からして銀行は貸しておりません。ほんとうは貸せぬのです。これに対して政府は一体どういうふうに考えられておるか、聞かしてもらいたい。実際つぶれかかつている中小工業者には金は貸さぬ。棒引してただにしてやるなら別ですが、銀行が責任を持たなければならぬものは貸さない。従つて中小工業の方に金が行つているように上では考えておりますけれども、下へは行つていない。これに対してどういうふうに考えておられますか。
  147. 大島寛一

    ○大島政府委員 お答えします。先ほど私がお答えいたしましたように、見返り資金の中小融資としましては、本日現在百五十三件、総額一億九千三百万円が実際に貸し出されております。これに対しまして、それと同額の資金を取扱いの市中銀行にも出しまして、これだけのものは実際に貸し出されておるわけでございます。
  148. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そのことは議論になるから言いませんが、実際書類ではそういう形になつているのですが、地方へ行つてみると実際にほしい人が金が借りられない。この点はまた別の機会に譲りまして、もう一つつておきますが、農林中央金庫等に見返り資金を扱わすということになると、農林関係では大体どういう方面に使う予定であるのか伺いたい。
  149. 大島寛一

    ○大島政府委員 農林関係に対する融資の主たる対象といたしましては、いろいろあるのでございまするが、たとえば農業倉庫のようなものでございまするとか、小規模な土地改良資金でありまするとか、あるいは民間の民営の林業関係の資金でございまするとか、さらに農村の電力等もないような山村僻地におきまして、ごく小規模の水力発電施設をつくりまして、附近の電燈にも使いまするし、あるいはまた緊要な農業用の動力にも間に合せて行くというようなものも考慮いたしております。また農業関係の長期資金といたしまして、緊要なものもいろいろあるわけでありまするから、そういうような方面に計画を進めております。
  150. 竹村奈良一

    ○竹村委員 大体そうすると、私の悲観した考え方かもしれませんけれども、いわゆる農林方面に金がほしいのだから貸し付けてもらいましても、それを使いましたところで、今日の日本の農業の置かれている状態におきましては、おそらくこれは返還できないだろうと思うのです。長期に貸すのだからできるだろうというと非常に問題であります。大体私は現在置かれているような、いわゆる現在のような見通しのもとにおきましては、農村にそういう金を貸しましてもなかなか返還できないと思う。そういう場合に、またこれは議論になるからやめますけれども、これは返済しなくてもいいようなことになるのですか。その点をひとつ伺つておきたい。必ずこの利子もつけて返さなければならぬというのであつたら、借りるのにもまた考えなければならない。これははつきり申し上げますと問題です。くれてやるというのなら別でありますが、この点どうですか。農村の方面は現在の状態では借りても返せないと思う。今の点をはつきりつておきたい。
  151. 大島寛一

    ○大島政府委員 お答えいたします。これは農林関係に限らないことでございまするが、私企業つまり国の事業と違います民間の会社組合等私の企業という意味で私企業と申しますが、私企業に対しまする見返り資金の投資はすべて貸付でございます。従いましてこれは当然元利を回収すべきものでございます。私企業に対しましてただでくれてやるという考えは全然ございません。ところで見返り資金の農林関係の長期投資につきまして、それではなかなか借りにくいだろうという御趣旨の御質問でございまするが、その辺はたとえば償還期限を相当長くいたしまして、返し得るような、返しやすいような態勢を一方におきまして考える。そのかわりまたその長い期間にわたりまして着実に返してもらうようにするという考えでございます。たとえば水力発電等に対しまして、すでに投資しておりまするものがございまするが、貸付後三十年というような期限でございます。農林関係の長期資金につきましても、すぐに収益が上るということがなかなかむずかしいものも多いわけでございますから、そのようなものに対しましては、なるべく長期の期限を設けまして、そのかわり着実に返し得るようにしたい、かような考え方を持つております。片方におきまして見返り資金を投資いたしまする計画なり対象を選別いたしまするときには、やはり返し得るようなもの、ということは、そういうものがやはり投資として一番効果があるということを考えるわけでありまして、全然返せないと初めから思われる場合には、すなわち投資としても効果が薄いということに相なるわけでございますから今申し上げたところと両々相まちまして適正に運用して行けるはずだと思つております。
  152. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そうすると農村関係で具体的に考えてみますと、たとえば土地改良などに使いましても、農産物の増産面あるいはいろいろな面から見ましても、また世界の生産費の面から見ましても、日本の農産物の生産費というものは非常に高くつきますので、とうてい世界の農業とは対比できないという考えを持つている。従つて土地改良などにこれを借りまして使いますと、なかなか回収できない。どうすることもできない。しかし水力発電などの場合に借りますならば、あるいはある程度返せる見込みはあるかもしれません。しかしかりに農村全体として、たとえばいろいろ共同的な形で協同組合か何かが借りてそういうことをやつた場合に、土地改良の方は焦げつきになる。返すことはできない。そして水力発電なんかやつた場合には、ある程度返せるかわからぬというような状態になつて来た場合に、たとえば協同組合などで借りました場合に、全体が返せなかつた場合は、水力発電なんかのいわゆる投資価値の高いものは、もし全体が返済できないなら、そのうちの債権として発電所などがたとえば政府等にとられるという場合も考えられるわけです。そしてしかも見返り賞金というものは返さなければならない、こういうことにはつきりなつた場合においては、政府はまたその抵当として水力発電所などは向うさんにお渡しになる、こういうことになるのですか。
  153. 大島寛一

    ○大島政府委員 そのようなことは考えておりません。簡単に御説明いたしますると、現在までしておりまする投資も、また今後政府におきまして行おうとしておりまする投資も、御心配のような点はないと思つております。
  154. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 土地改良、林業資金、小規模の電源開発資金という問題でありますが、一般中小資金であれば銀行等で取扱つておるようですが、これの取扱い関係とか手続はどういうふうになるのでしようか。
  155. 大島寛一

    ○大島政府委員 細目の手続につきましては、法律成立をまちまして具体的にきめて行きたい、かように考え研究中でございまするけれども、大体の考え方といたしましては、土地改良等の農林関係では、農林中央金庫の支所が全国にございまするから、そういうところになるべく簡素に申込みをしていただきまして、あとは農林中央金庫においていろいろ審査をしてもらい、その結果を簡単にとりまとめて実行できるようにして行きたいという構想で、なお研究中でございます。
  156. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 そうすると、こういう場合には農業協同組合が主になるのでしようか。それともたとえば林業資金などの場合は、個人で植林したい場合も相当あると思います。農林中金では個人に貸さないはずですが、そういう場合どうなんでしようか。
  157. 大島寛一

    ○大島政府委員 一般論としては、農業その他農林中金の系統になつておる組合を中心にして考えておるのでございます。それ以外の、ただいま御指摘のような個人等の場合も、何らかの方法で道を開き得るようにしたいと思いまして、なお研究中でございます。
  158. 川野芳滿

    川野委員長 ほかにございませんか。
  159. 北澤直吉

    ○北澤委員 米国日援助物資等処理特別会計法案米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案、この両案に対しましては、この程度で質疑を打切られんことを望みます。
  160. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  161. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、米国日援助物資等処理特別会計法案米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案については、質疑終了といたします。     —————————————
  162. 川野芳滿

    川野委員長 次は国庫出納金等端数計算法案を議題として、質疑に入ります。三宅則義君。
  163. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 ただいま議題となりました国庫出納金等端数計算法案でありますが、これはまことに時宜に適したものと考えておりますが、二、三お伺いいたしたい点があります。これによリまして他の法律を大分直すのではないかと思うのですが、いかがなものでございましようか。この法律一つだけでよいのでございましようか。他の方面にもいろいろ影響があると思いますが、いかがですか。それを承りたいと思います。
  164. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 おつしやいますように、非常に広範な影響を持つておるのでございますが、この法律案はさしあたりましては政府と、それからいわゆる政府機関の支払い並びに受入れに関して規定いたしております関係上、特別にただいま他の法律改正する必要はないようになつております。
  165. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 この第一條は、法令による公団、日本専売公社、日本国有鉄道、復興金融金庫、国民金融公庫、住宅金融公庫というふうなぐあいに、政府関係のありますものを基準に考えているのでありますが、私は今日の経済情勢からいたしまして、あながち政府関係ばかりではなく、民間におきましても相当必要があるのではないか、かように考えるのであります。と言いまするのは、今日の税法改正等におきましても必要があるわけでありますが、貨幣制度を簡単にいたしたいというのが一投国民の要望であろうと考えるのです。といたしまするならば、政府はこの法令によつて限られたもののみならず、一般の企業に対しましてもそういうようなことをおさしずなさる御用意がありますか、承りたいと思います。
  166. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 まことにごもつともな点だと思うのであります。今回提案いたしました法案のもとになりました国庫出納金端数計算法というのは大正五年にできまして、その際も、国庫金の出納についてだけ端数計算を切り捨てたのでございます。しかしながら、御承知のように国の支払いは、わが国の経済において占める比重が非常に高いのでございます。従いまして、この法律を施行いたしました結果といたしまして、数年にしておのずから民問の取引というものから厘位が消えて行つたというのが、過去の経験でございます。一面に、御説のような点も考えられないわけではございませんが、これらにつきましては、貨幣法にすでにこういう点が入つておるわけであります。しからば貨幣法に根本的に手を入れる必要があるかどうか。これらはまた国際関係等もございまして、なかなかむずかしい問題を一面に持つております。またただちにやりまする場合には、ともかく現在所持いたしておりまする端数の通貨を、どういうふうに回収処理いたすかというような非常に困難な問題がございます。それでわれわれといたしましては、そういう問題があることを承知はいたしておりますが、かつての、経験によりまして、この端数計算を国庫についてさしあたつてなくして行くということから、それがおのずから民間の取引に及んで行くというふうな考え方で臨んでおります。
  167. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私どもが小学校で習つたときには四捨五入ということがあつた。そこで私は、五十銭までは置いたらどうかと思いますが、その方法はめんどうでしようか。
  168. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ごらん願いますとおわかりですが、大体四捨五入になつております。
  169. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 五十銭紙幣もしくは硬貨があるわけですから、これを活用してしかる後にしたらいいと思いますが、その必要はありませんか。
  170. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 現在の通貨はもちろんそのままでもつて活用いたされて行くわけでございます。今後それらのものをつくるということは差控えられて行くことになりまして、この法律適用によりまして、だんだん計算そのものから端数がなくなつて、その結果こまかい通貨がおのずから必要なくなつて参る。それに応じて徐々に回収されまして、国庫に入つて行くことになると思います。
  171. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この結果は民間の取引に非常に影響いたします。たとえば零細な八百屋さんの取引だとかそういうものについて、たとえば五十何銭という場合は、その何銭を切り捨ててしまうというような習慣が全体に影響することはないですか。
  172. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまの御疑問のような点もございまして、ただちに民間に適用できないわけでございますが、この法律をやつて参りますと、結局価格の決定の仕方そのものから端数がなくなつて参り、その結果としまして、取引の上でおのずから端数の通貨が消えて行くというふうに大体考えております。
  173. 北澤直吉

    ○北澤委員 ただいま議題となつておりまする国庫出納金端数計算法案につきましては、質疑を打切られんことを望みます。
  174. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  175. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、国庫出納金等端数計算法案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  176. 川野芳滿

    川野委員長 この際ちよつとお諮りいたします。  先刻米国日援助物資等処理特別会計法案及び米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案の両案につきましては、一応質疑を打切りましたが、社会党松尾委員より質疑の要求がありましたので、これを特に許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、松尾君に質疑を許します。松尾トシ子君。
  178. 松尾トシ子

    ○松尾委員 皆さんのおはからいで質問を打切つたところを許可していただきましたことを、お礼申し上げます。米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正する法律案の提案理由に、民間情報教育事業ということがうたわれておりますが、この民間情報教育事業というものの内容を、具体的に御説明願いたいと思うのであります。
  179. 大島寛一

    ○大島政府委員 先ほども御質問がありまして、あらましお答えいたしたのでありますが、この改正法律案におきまして、民間情報教育事業として考えておりますのは、主として図書館並びに映画等の分野でございます。
  180. 松尾トシ子

    ○松尾委員 そういたしますと、この法律というものは、文部省と関係がございますが、この中に文部省との関係がうたわれていないのは、どういう関係でありましようか。
  181. 大島寛一

    ○大島政府委員 ただいまの民間情報教育事業につきまして、見返り資金を出して行きます計画並びにその実行上の諸般の手続等の問題につきましては、文部省に中心になつてもらいまして、その立案作成、取り進め等をやつてもらう考えでございます。法律の上におきましてはどの役所ということは出ておりませんけれども、これはその他の事業につきましても同様でございます。それぞれ所管の省の分科に従つて分担して行くわけでございます。
  182. 松尾トシ子

    ○松尾委員 その点はそれで了承いたしましたが、これはGHQの関係はどういうふうになつておるのでしようか。それからもう一つは、見返り資金というものがもつと経済的に役立つ面に使われるのがほんとうだと思うのですけれども、それゆえにこれがGHQといかなる関係があるのかということを、御説明いただきたいと思います。
  183. 大島寛一

    ○大島政府委員 見返り資金といたしましては、通貨、財政の安定、輸出の促進、その他経済九原則目的にかなうような使途に使つて行きますことが原則でございます。しかしながらそればかりにかたく限定されるというものではないのでありまして、そういう意味におきまして、この民間情報教育事業ということも取り上げられるわけだと思つております。GHQとの関係につきましては、先ほども御説明いたしましたように、どういうところでどういうものをやるかというような計画を、文部省を中心としてつくりまして、関係方面と緊密なる連絡のもとに、十分了解を得て実行して行くことになる予定でございます。
  184. 松尾トシ子

    ○松尾委員 もう一つの法案の米国対日援助物資云々の法案について、一点だけをお尋ねしたいのですが、この理由書の中に、その経理は現在貿易特別会計の援助物資勘定になつておるものを、明らかに別途に立てるというふうにされておりますが、その理由というのを明らかにしていただくと同時に、これは向うからの要求によつてこうしたものかどうかお尋ねしたい。同時にまたこの援助物資なるもの、いわゆる見返り資金というものは、アメリカに対しての債務になるのか。言いかえますれば日本では借金になるのか。この一点をお願いしたいと思います。
  185. 佐々木庸一

    ○佐々木説明員 現在貿易特別会計の中の一つの勘定としてございます援助物資の勘定を、特別会計に分離いたしますにつきましては、これは向う側の要求でございます。要求の出ましたのは、その経理を特に明確にして、別のはつきりした官庁で扱うようにしてほしいというところから出ております。
  186. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 最後の御質問はもうたびたび出たことでございますが、非常に大きな問題でして、私どもの大臣も予算委員会等いろいろな機会に御説明申しておりますが、これがどういうふうになるかということは、われわれとしても現在何とも申し上げられないような事情であります。     —————————————
  187. 川野芳滿

    川野委員長 それでは次は退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案を議題として質疑に入ります。河田賢治君。
  188. 河田賢治

    河田委員 今手続のことはよいと思いますが、現在政府機関であります閉鎖機関整理委員会とか復金、その他二、三あるようでありますが、この辺の職員に対する退職手当の規定はどういうふうになつておりますか。
  189. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 従来はこれについては別に政府職員と同じに扱うということになつておりませんでして、おのおのの公団等の給与規程によつて適宜それぞれの立場からやつておつたわけでありますが、ただいま御審議を願います法律案によつて、二十五年度からは同様に取扱つて参りたいと思つております。
  190. 河田賢治

    河田委員 そうすると先ほど言いました閉鎖機関あるいは復金がこうしてだんだんなくなつて行くわけでありまして、一昨日でありましたか、そこの人が退職手当などの要請に来ておりました。公団の人の退職手当法を自由党の方なんかも御主張になつて委員会提案として出すということを承つたのでありますが、この際にもこれらの人々の退職手当がないということでありますが、今度はこれはできるわけでありますか。
  191. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 そうであります。
  192. 河田賢治

    河田委員 これは二十五年度からになりますが、これがだんだん本年の末、来年に入りましていよいよなくなつて行くわけでありますが、こういう人に対する退職手当はどういうふうになつておりますか。
  193. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ちよつと河田委員に申し上げますが、ただいまの点はその専管の課長に至急連絡いたしまして、十分に御説明いたさせたいと思いますが、いかがでありましようか。
  194. 河田賢治

    河田委員 けつこうです。
  195. 川野芳滿

    川野委員長 労働省の失業保険課龜井光君もお見えでございます。
  196. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は一、二点だけ質問させていただきます。職業安定所については、私たびたび希望を申しておいたつもりでございますが、現在におきましても、各地方の都市を中心にあれをやつております。これはもちろん失業者を中心に考えておられると思うし、また職業を安定せしめるために、あつせん努力せられる官庁であると考えておるのでありますが、これについて資料がありましたならば一応承りたいと思います。実際面におきましてこの公共職業安定所は、割合に能率が上らぬということを聞いておるのでありますが、そのことについての御構想を承りたいと思います。
  197. 龜井光

    龜井説明員 御質問趣旨は、安定所の能率が上らないと言われますが、どういう点で能率があがらないのかわからないのでございますが、安定所の業務は御承知のように職業紹介を中心といたしまして、その運営がなされておるわけでございます。最近の求人の状況から申しますると、非常に求人者が少くなつて参りまして、それに反比例しまして、求職者は激増しておるという現状でございますので、求職の申込みを受けましても、就職することが非常にむずかしいというのが現状だと思います。この点につきましては、われわれとしまして求職の開拓をいたしまして、できるだけいい求人を見つけまして、それに結びをつけるとともに、また他面失業対策事業等におきまして、大量の失業者をあつせんして行くというような方途を講じておるような次第であります。農村と都会との関係の御質問がございましたが、現状から申し上げますると、失業者は都会の周辺に多く発生しておりまする関係上、おのずから安定所の運営の重点が都会に置かれておるという現状でございます。しかしながらそれかといつて、農村の安定所を何ら軽視しておるわけではございません。今後農村方面から出る失業者に対して、農村における安定所が十分なる活躍をしなければならぬことは、申すまでもないのであります。ただただいまのお尋ねの調査の資料につきましては、どういう資料でございますか、内容によりましてはわれわれのところで調整して差上げたいと思います。
  198. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私の申し上げる資料と申しまするのは、失業者の数であります。それからこの前労働大臣に質問したことでございまするが、公共事業に対してこれからやるということであります。しかし失業者のみを相手にするわけではないのでございまして、私どもの関係しておりまする農村におきましては、農村の近くに小都市があります。小都市に対しては工場があるわけでございます。たとえて申しますと、豊田自動車でございますと、私どもの郡から約一万人ぐらいの人間が通つておるのであります。ところが最近経済難もしくは金融難等がそれに手伝いまして、月給を払い切れないいうわけで、農村の一部分にもやや失業者が出て来た。こういう段階にあるわけでありまして、こういうものに対しましても、一面企業の発達を期するために必要でありまするが、また農業との関係もあるわけでありますから、やはり職業の安定所というものが中心になりまして、他の職業に転職せしめたい、こういう点があるわけであります。なおこれらに関係を持ちまして、その公共職業安定所におきまする職員が、割合に不熱心であるということを聞くのでありますが、私が聞いたことが事実であるといたしまするならば、労働省の官吏は自分の方の官吏に対しまして、徹底するようにやつてもらいたい。なお私の希望いたします事柄は、月に一ぺんとか二月に一ぺんくらいは——もちろん全国の公共職業安定所の職員を中央にお集めになりまして、それらの実情を承ることとは思いますが、実地調査に各地方をまわつてもらいたいと考えますが、これに対する政府の御答弁を承りたい。
  199. 龜井光

    龜井説明員 御質問の要旨は、安定所の成績が上らないということの大きな原因としまして、職員の能力あるいは能率の問題が中心になつておるようであります。もちろんわれわれとしましては、すべて安定所の業務の運営の中核が職員の働きぶりにあることは、言うまでもないのでありまして、現にわれわれのところにおきしては、職業安定行政全般に通じまする手引きという厖大なものをつくりまして、それによつて全国統一しました規格によつて業務の運用を期するということが第一点。それから第二点は、この手引きに基きまして、東京におきましては神田橋の職業安定所、埼玉県におきましては浦和、大宮、川口の安定所をそれぞれモデルの安定所としまして、それに十分力を注ぎまして、りつばな安定所をわれわれがまず育て上げまして、そこにおいて全国四百十五の安定所長を目下研修しつつあるわけであります。従来の机の上の講習ではなくして、実地について実際の業務を、本人に手をとつて教えてやるという必要がございまするし、さらにまた各都道府県の職業安定主管課長につきましても、同様の方法で二週間ばかりの期間で講習を続けておるような次第であります。さらにまた第一線の現場を直接に監査し監督するために、中央におきましては八人の中央監察官を輝きまして、それが各四十六都道府県の職業安定行政の監査を行う。さらに各県におきましては、平均二名ないし三名の地方の監察官を置きまして、その監察官が常時安定所をまわりまして、業務の刷新、改善に当つておるというふうな方法を講じておるのでありまして、地方におきましてそういう御不満の声が聞かれることは、われわれとしましてまことに遺憾にたえないのでありますが、今後も十分注意をいたしまして、改善に努力いたしたいと思います。
  200. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一つ伺いたい点があるのであります。河川の改修とか山林の植林、あるいは土木事業とかいうことがあるわけでありまするから、どうか労働大臣や労働省の各位は、建段省その他の省と連絡をとられまして、失業者が出た場合においては、その方に向けるという線とにらみ合せてやつていただきますると、たいへん便利だと思いまするが、これについて一段と御努力を願いたい、かように考える次第であります。
  201. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 公共事業の問題と職業安定所との関係ですが、往々にして民間の請負団体が河川の改修工事などをする場合には、ほとんど安定所に連絡をしないでみずから人を雇つてつている。たとえば一部市なら一部市に相当の失業者があるにかかわらず、その都市の失業者を雇わないで、東京あたりから請負師が参りまして、東京方面の失業者を連れて行くということで、その都市の失業救済にはならないという問題が一つあるのであります。もう一つは、失業救済費として市町村に交付してある金ですが、これに安定所は干渉できないものでしようか。それともこれは、市だけもらつた場合には、市の自由処理ができるものですか。その二点を伺います。
  202. 龜井光

    龜井説明員 公共事業につきましては、御承知のように緊急失業対策法によりまして、各公共事業の種目別の失業者の吸収率というのが定められております。たとえば河川の改修の工事でございますると、それに従事いたしまする労働者の中の三〇%は失業者を雇用しなければならぬ。その失業者と申しまするのは、安定所の紹介を経て使わなければならないという規定があるのでございまして、各公共事業の種目別の失業者の吸収率が定められておるわけであります。問題は、ただいま御指摘のございましたように、請負等の場合におきましては、その吸収率が励行されていないという声も一部聞くのでございまするが、これに対しましては、現に実施いたしておりますことと並行しまして、対策事業につきましても、監察制度を最近におきまして確立いたしまして、現場をそれぞれ直接監査をいたして、そういう不届きなことを見次第に警告を発して、その土地におきまする失業者法律で定めました吸収率まで吸収するように、目下監査をいたしておりますので、徐々にこの問題は改善されて行くものと考えております。  第二点の御質問は、失業対策事業費が市町村に流されまして、市町村が事業を励行するについて、安定所はどういう関係を持つかという御趣旨かと思いますが、失業対策事業の予算は、補助費としまして、事業の施行主体であります都道府県あるいは市町村に、それを配付いたすわけでございます。従つて事業そのものは、それぞれの補助を受けました公共団体が、施行に当るのでございますが、この事業に従事する労務者については、すべて公共職業安定所の紹介を経なければ使うことはできないという規定が、緊急失業対策法にありまして、この面におきましては完全な実施を目下いたしているわけでございます。市町村あるいは都道府県等が、かつてに労働者を雇い入れることはできないという建前になつているわけであります。
  203. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 先ほど河出委員の御質問の点でありますが、ただいま専管の課長がおりませんので、私から概略を御説明申し上げます。  先ほど御質問になりましたように、現在は、昭和二十四年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令というのが、二十四年の七月に出まして、それによつて政府関係職員の退職手当を、一切基本的に規定しているわけでございますが、その附則の第三項におきまして、ただいまお話の復興金融金庫、それから持株会社整理委員会、閉鎖機関整理委員会、証券処理調整協議会というものに関する退職手当は、特に除いておつたわけでございます。しかしながらこれを特に除く理由というものは乏しいということでありまして、この二十五年度からはただいまのポツダム政令を改正いたしまして、従来除いておりましたこれらの四つもすべて含めて、来る二十五年度からは、すべてただいま申し上げました政令に基いて、一般並な退職手当を支給する、こういうことにかわる予定になつております。なおこの二十四年度総合均衡予算の実施に伴う退職手当の臨時措置に関する政令というポツダム政令は、元来臨時立法でございます。しかしながらこれもさしあたつて、二十五年度まで延期する予定になつております。
  204. 河田賢治

    河田委員 そうしますと、この二十四年度の三月、つまり今月中に整理されたりするような場合には、全然この退職金はないということですか。また現在まで多少人を減らした場合には、若干でも退職金はその会計で何かまかなつておやりになつておりますか。
  205. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいま申し上げました、いわゆる一般的な基準であるところの、このポツダム政令による退職手当の支給はございません。しかしながら従来といえども、各公団その他の機関、すべてそれぞれの給与規程を持つておりまして、それによつてそれぞれの退職手当を支給し、かつ一般的な給与規程のない場合におきましても、それぞれの経理の許す範囲において、大体他との見合いにおいて、適当な退職手当を出しているのが例でございます。大体それによつて行われていると考えております。
  206. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  207. 北澤直吉

    ○北澤委員 退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計簿からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案につきましては、この程度で質疑を打切られんことを望みます。
  208. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、退職職員に支給する退職手当支給財源に充てるための特別会計等からする一般会計への繰入及び納付に関する法律案に対しては、質疑終了といたします。     —————————————
  210. 川野芳滿

    川野委員長 次は輸出信用保険特別会計法案を議題として、質疑に入ります。通産省通商振興局通商金融課長川出千速君もお見えでございます。
  211. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この際ちよつとお聞きしておきたいのですが、たとえば輸出貿易で、向うから品物が惡いとか何とかいうことで、最近非常に返されたというような問題があるようです。これにはいろいろ原因がありましようが、それの二十四年における向うから返された総額は、一体どのくらいありますか。わかつておりましたら……
  212. 川出千速

    ○川出説明員 ただいまその資料をちよつと持つて来ておりませんが、あとで取寄せてお届けいたしたいと思います。
  213. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それは了承いたしますが、これはたとえば向うが契約しておいて、途中で向うが契約を破棄するというようなものに対しては、これはどういうふうになるのですか。やはり適用されるのですか。
  214. 川出千速

    ○川出説明員 この輸出信用保険の対象となりますのは、ただいまお伺いいたしましたような品質が惡いというようなものは、対象にいたさないのでございまして、輸出契約の当事者、つまりエクスポーターとバイヤーの共同の責任でないような、たとえば輸入の制限であるとか、為替の制限であるとか、戦争、内乱、ストライキというような、特殊の事故だけを対象にいたしているのでございます。
  215. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本日はこの程度にて散会いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、本日はこれにて散会いたします。明日は午前十時から開会いたします。     午後三時四十五分散会