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1950-03-17 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十七日(金曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 岡野 清豪君    理事 北澤 直吉君 理事 小山 長規君    理事 島村 一郎君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 河田 賢治君    理事 内藤 友明君       奧村又十郎君    佐久間 徹君       田中 啓一君    苫米地英俊君       三宅 則義君    田中織之進君       宮腰 喜助君    竹村奈良一君       中野 四郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 正吉君         大蔵事務官         (銀行局銀行課         長)      大月  高君  委員外出席者         法務府解散団体         財産売却理事会         事務局長    池川 良正君         大蔵事務官   長崎 正造君         通商産業事務官 川出 千速君     ————————————— 三月十六日  米国対日援助見返資金特別会計法の一部を改正  する法律案内閣提出第一〇六号)  製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第一〇八  号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  輸出信用保険特別会計法案内閣提出第九二  号)  保険業法等の一部を改正する法律案内閣提出  第九三号)  日本勧業銀行法等を廃止する法律案内閣提出  第九六号)  銀行等債券発行等に関する法律案内閣提出  第九八号)  解散団体財産収入金特別会計法案内閣提出第  一〇〇号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  日本勧業銀行法等を廃止する法律案銀行等債券発行等に関する法律案一括議題として質疑を続行いたします。前尾繁三郎君。
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員 いろいろ他の委員から御質問がありましたので、私は法文について二、三点お伺いいたしたいと思います。  まず第一は、第三条によりますと、この法律のねらいでありまする債券発行限度が、従来の預金総額と、その発行している債券総額との合計額が、資本金の二十倍に相当する金額に限定されておるようであります。それで債券発行いたしましたあとで、当然また預金がふえて来るわけであります。その際としては第四条第三項によつて借りかえは前の債券償還期限を越えることができないとか、あるいは第十条によりまして、準備金を積み立てなければならぬというような制限があるのでありますが、しかしある一定時期に、債券発行限度がきまりましても、預金がどんどんふえて来るということになれば、第三条の制限が事実上食い違つて来ることになるわけでありますし、その際にどういう措置をとるか。あまり非常に違つて来る場合には、あるいは自己資本を増させるというようなことを事実上勧奨されるのか。あるいはどういうような調整をされるのか。私全部法文をあるいは読み切つていないかもわかりませんが、その点をひとつお伺いしたい。
  4. 舟山正吉

    舟山政府委員 第三条によりまして、銀行債券発行することができることになりますが、但し一定限度が設けられておるのでございます。この思想の背後には、自己資本金額の二十倍に相当する金額までは、預金債券を持つてよろしい。言いかえますと預金債券等外部負債に対しまして、自己資本はその五%は保有しなければいけない、こういう根本的な思想があるのでございます。言いかえますと、外部負債に対してある程度比率を保つて自己資本を保有して、そのことによつて外部負債の支払いを保証する。これまであまりに日本銀行は、外部負債に対して自己資本が小さ過ぎたという批判がございまして、五%程度、言いかえますと、自己資本の二十倍相当額までは、預金債券を持つてよろしいということになるのでございます。但し債券預金を比べてみますと、預金外部から銀行に対して持つて来るものである。債券銀行の都合によりまして、銀行側からこれの発行の手続をとるものでございますので、債券の方は二十倍というわくに達しまするならば、銀行の方で停止しなければいかぬ。しかし外部から持つて参ります預金受入れを拒絶することは適当であるまいというので、預金受入れについては制限がないわけでございます。  こういうようなわけでございますから、お尋ねのように、この三条の制限によりまして、債券制限ぎりぎりまで発行せられたということになりますと、債券発行の道は一応とまるわけであります。そのときは、銀行は自己増資なり、見返り資金が続いておりますときは、見返り資金の増資なりをしなければならないということになりますが、これはあくまで外部負債に対する保証として自己資本をある程度積まなければいかぬという思想に基いておるものであることを御了承願います。
  5. 前尾繁三郎

    前尾委員 先ほど申し上げましたように、その食い違いが生じましたときに、法律的には何ら矯正する——まあ、第十条の準備金はありますが、これ以外にはないように思うのでありますが、そうすると結局政府の方で勧奨するというような態度が処理されるであるかどうか。その点お伺いしたい。
  6. 舟山正吉

    舟山政府委員 債券発行限度まで参りますと、新規債券発行の道がなくなりますので、その後は銀行判断によりまして自己資本を増加してでも債券発行を続けるか、あるいは見返り資金がそのときにありますならば、政府に要請して見返り資金の増額を求めるか、銀行判断によることとなるのでありまして、政府といたしましては銀行にこうしなさいということは申さない建前になつております。
  7. 前尾繁三郎

    前尾委員 次に第五条の二項でありまするが、既存の社債に未払金のある場合に、社債発行制限規定を排除しておられる。もし未払込みの社債がすでに発行されておる場合は、払込みのあつた金額債券発行額として、前に申し上げました制限適用されるかどうか。またそうなりますと、未払込みが払込みになつたという場合は、どういう処理になりますか。その点を明らかにしていただきたい。
  8. 舟山正吉

    舟山政府委員 商法一般規定によりますと、これは事業会社を予想しての規定と思うのでありますが、社債を、数回に払い込むという規定があるわけでございます。これは推測いたしまするに、事業会社において社債発行する場合には、ある一定事業計画があつて、そうして一定金額社債を募集する。その払込みは順次資金の必要に応じまして、払込みをとつて行くという仕組みでさしつかえない、こういう思想に基いておると思うのでございますが、銀行にありましては社債すなわち銀行債でございますが、これは債券発行いたしますときには、金融市場情勢その他に応じて、適宜に発行をきめて行かなければならないので、前の社債の未払込みがあります場合でも、金融情勢その他によりまして次の社債を出し得る。またそのことによつて資金を獲得し得るということであれば、これを認めた方がよかろうという思想で、銀行債については、この商法一般規定適用されておらないのでございます。  なお第三条との関係におきましては、払込み金額によつて社債発行額を算出いたすことに相なります。
  9. 前尾繁三郎

    前尾委員 次は第六条の関係でありまするが、債務弁済につきましては、預金者債券権利者とは平等に取扱われなければならないということになつておるのでありまするが、預金債券は多少違うわけで、たとえば債券でありますると、一人が数債券つておとかあるいは相当な額を持つておる。それはみな総合計定期預金をしておる場合と同様なことでお考えになるという考えでありまするか。その点お尋ね申し上げます。
  10. 舟山正吉

    舟山政府委員 銀行監督にあたりましては、あくまで預金者の保護ということに万全を尽さなければならないということが申せるのでございます。ただいま銀行債券発行いたしました場合に、もしその債券保持者の方が優先するということであれば、預金者利益を害する。そうすると銀行が、債券発行預金を集めるという両方の業務を扱うことが、適当でないということになるおそれがあるのであります。     〔委員長退席北沢委員長代理着席〕  そこで銀行発行します債券と、預金者との間には、平等に取扱うという原則をうたつたのがこの条文でございます。実際の慣行といたしましては、定期預金等期限がついておりましても、一定条件を放棄いたしますれば、期限前の払いもどしということも可能になつておるのでありまして、社債におきましては元利払いが延滞いたしますると、社債権者集会の決議によつて社債期限利益がなくなつて従つて即時弁済を要求できるというようなことになりますが、その間において実際問題としては甲乙の差別はないのであります。そのことをこの規定で明らかにした次第でございます。
  11. 前尾繁三郎

    前尾委員 次は十条の関係でありまするが、準備金として資本金の一割に相当する金額と、利益の百分の二十五に相当する金額との、いずれか低い方の金額に達するまでの金額ということが、規定されておるわけでありまするが、御承知のように利益が全然ないというような場合にまで、百分の十に相当する金額と言いますと、利益を全部積み立てなくちやならぬということになるのでありまするが、その点が一つと、それからもう一つは、毎年この規定従つて積み立てて行くのでありまするが、その最高限度と言いますか、その点に関しては何もないように思うのでありまするが、その点はどういうふうになつておりますか。
  12. 舟山正吉

    舟山政府委員 第十条の規定先ほども申し上げましたように、銀行の外一部負債自己資本の割合を、一定比率すなわち五%に保つことが、銀行理想的形態であるというところから出発しておるのでございます。もしこの債券預金総額自己資本の二十倍に達しない間は、ここにも書いてございますようにこの適用はない。従いまして、普通の銀行法による法定積立金をすればよろしいのであります。銀行法規定によりますと、銀行は払込み資本金に達しますまで利益の十分の一—商法の倍でありますが、十分の一の積立てをするということになつております。ところが外部負債自己資本の二十倍を越える、言いかえますると、自己資本の充実が少いという銀行にありましては、銀行法規定よりもたくさん積立てをさすことによりまして、自己資本を充実させよう、早く五%という標準に達せさせようというのでございます。従つて利益の百分の二十五か、あるいは資本金の年百分の十といううちで、低い方の積立てをしなければならぬということになつておるのでございまして、もしこれによりまして利益を全部食つてしまうということがありますれば、配当はできないことになります。  それから最高限度の話でありますが、この規定によつて二十倍という限度が保てますならば、そこでこの規定適用はなくなり、銀行法一般的規が適用になる。それは先ほども申し上げましたように、払込資本金に達するまでは、商法の倍を積むという規定に相なつております。
  13. 前尾繁三郎

    前尾委員 そうだと私はちよつと法文が足らぬような気持がするので、やはり明らかにこの超過額に対する五%までというような規定がいるように考えるのですが、まあその点はその程度にしまして、次に十一条の第二項でありまするが、「前項の優先株式は、利益配当及び残余財産分配について優先的内容を有し」とありますが、利益及び残余財産分配について優先するというふうに端的に書いてあれば疑問がないのですが、「優先的内容を有し」と書いてありますので、何らかそこに含みがあるような感じがするのであります。この規定の意味するところを明確にしていただきたいと思います。
  14. 舟山正吉

    舟山政府委員 ここに「優先的内容」と申しましたのは、同条の第三項以降あるいは十二条の以降の規定にうたつてありますことを含むという趣旨であります。
  15. 前尾繁三郎

    前尾委員 次に第十三条の関係でありまするが、優先株式消却計画書というこの計画書が、非常に大きな力を持つておるのでありまするが、どういうような内容を期待せられておるのでありまするか。おきまりになつていないかもわかりませんけれども、ただいまわかつておりますことを御発表願いたいと思います。
  16. 舟山正吉

    舟山政府委員 この法律によりまして、優先株式は、見返り資金に限つて持つことかできることになつております。そこで見返資金の他の私企業投資等におきましても、その使途とか償還計画とかいうものを十分検討した上で、見返り資金を出すということになつております。そこでこの優先株式消却計画書と申しますのも、見返り資金出資したならば、その後その資金をどういうふうに運用して行く計画であるか。これに伴つて債券発行が幾ら可能になり、また毎期の償却額をどのくらいにするかということを書かすものでございます。
  17. 前尾繁三郎

    前尾委員 結局内容的な条件というものを私お尋ねいたしておるのであります。どういうような条件のもとに償却するということが記載されておらないので、お尋ねしたいと思うのであります。
  18. 舟山正吉

    舟山政府委員 お答えに該当するかどうかと思いますが、たとえば優先株式に対しては何分の配当をするか。毎期幾らずつ償却をして行くか。従つて何年をもつて全額を償還するかという、見込みを書かすわけであります。
  19. 内藤友明

    内藤(友)委員 ちよつと今の点に関連して……その償却年数ですが、五年で償却を命ぜられるのか、十五年か、二十年か、何かそこをはつきりしていただきたい。これが一番大きな問題だと思います。
  20. 舟山正吉

    舟山政府委員 優先株式償却につきましては、その金額は十一条の六によりまして毎営業年度につき利益の百分の十を下ることができないということになつております。それで各銀行について当つてみますと、大体十年をもつて償却できる見込みになつております。この毎年の償却の額でもつて押えております。但し農林中金におきましては、見返り資金による優先株式が他の銀行に比べまして倍くらいになつております。これが実現いたしますれば、これは相当——十年を越えてほかの銀行よりも長くかかるという見込みであります。何年に償却してしまわなければならないという考えではなくて、この第六項にございますように、毎営業年度利益基準にして、償却をさして行くという方針でございます。
  21. 内藤友明

    内藤(友)委員 その利益の十分の一でありますが、利益がないということになりますと、その十年がまた延びるということになりますか。
  22. 舟山正吉

    舟山政府委員 利益がなければ償却はできないわけであります。
  23. 前尾繁三郎

    前尾委員 私も、ただいまの償却年数それから配当率、これは新聞等におきましては七分五厘ということが出ておりますが、この法律には現われてない。これはもちろんそのときの見返り資金契約にお書きになるのであろうと思いますが、そういうような契約内容を具体的に——今の償却する年数もその一つでありますが、配当率、それからそれ以外の条件でおわかりになつておることがあれば、お知らせ願いたいと思います。
  24. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金出資は、出資しました以後は、銀行の裁量によりまして債券によつて集めた資金一般金融情勢に合せて運用してもらうことで、ございまして、政府はその資金等につきまして、全然規制を加えるものではないのでございます。なお先ほどのお話の消却計画書に記載いたします事項といたしましては、出資希望金額とか配当率の問題、配当率の問題は、見返り資金私企業投資一般標準により、できればなるべくこれを引下げたいと考えておる次第であります。それからなお計画書に記載すべきことといたしましては、毎期の償却予定額償却年限等予定しております。
  25. 前尾繁三郎

    前尾委員 結局見返り資金を出しましてそれによつてどういう方向にそれを運用して行くかということは、自由にまかされておるようでありますが、しかし最も大きなねらいと申しますか、どういう方面に、どういうふうな資金の融通をつけて行くかということは、相当考えるべき問題であり、それに対して現在政府としてどういうようなお考えを持つておられるか、一応お伺いしておきたい。
  26. 舟山正吉

    舟山政府委員 今般見返り資金出資いたします予定銀行金庫は、非常にバラエティーがあるのでございまして、それぞれの銀行金庫特質に応じまして、最も得意とする金融をして行くことと考えられるのであります。これらについて共通に申し上げられることは、現在金融市場で最も不便を感じております長期資金供給でございますが、たとえば農林中央金庫等におきましては、農業関係長期資金供給の道がきわめて限られております。従いまして農林中金では、その方面資金の疏通に全力を尽すでございましようし、商工中金におきましては、中小業者関係資金を、これまたこれまでは資金に非常な制約がございまして、十分な活動ができなかつたのでございますが、今後商工中金傘下下部機構の整備に伴いまして、資金を流しますならば、これが中小企業方面に非常な貢献をするものであろうと思うのであります。興業銀行につきましては、従来も債券発行し、事業金融並びに中小金融について貢献するところがあつたのでございますが資金量も増すことでありますから、ますますその方面に力を伸ばし得ると考えます。なお勧業銀行につきましては、わが国において不動産金融の道がとだえておるということについて、不便を感ずる向きが非常に多いのであります。不動産金融と申しましても、範囲は相当広いのでございまして、しかしそのおもなものは、中小企業者が持つております動産を抵当として事業資金を借りるという面であろうと思うのでありますが、この面が従来の金融方式では非常に不便を感じておる。ところがこの行き方によりまして、救済せられるところきわめて大なるものがあろうと考えます。不動産金融につきましては、都市における住宅金融その他についても、なお便宜が非常に大きくなるものと思うのであります。北海道拓殖銀行につきましは、戦前特殊銀行として活動しておりましたような方法、すなわち普通銀行業務のほかに、不動産金融とか、北海道における開発金融とか、あるいは場合によりましては農業方面金融とか、そういうことに力を伸ばし得ることになるものと思うのでございます。これを要しますに、それぞれの銀行特質に応じて、最も必要とせられておりました長期資金を、円滑に流し得ることになると考えておる次第であります。
  27. 前尾繁三郎

    前尾委員 私はその考え方には賛成するのでありますが、見返り資金をせつかく出すのでありますから、それが長期金融にまわつて来ないとおもしろくない。ところがそういうような制限が全然ないわけでございますから、せつかく見返り資金使つても、それが長期金融にまわらずに、結局商工業運転資金だけに使われてしまうおそれも十分あるのでありますが、それに対してどういうような方法で、長期設備資金なり不動産金融という方向に持つて行くか。その方策についてお伺いしたいと思います。
  28. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金出資いたしましたがゆえに、それらの銀行金庫の貸付に対して特殊の規整を加え、拘束を加えるということは極力避くべきことと思うのでございます。それはこのたび特殊銀行法を廃止するという趣旨にも現われておると思うのであります。そのあとの問題につきましては、これらの銀行が、見返り資金出資によつて債券発行し得ることになり、債券資金を獲得いたすことにつきましては、その債券によります長期資金というものは、コストも短期資金よりも高い。従つてこれは勢い長期融資に充てなければならないという経済上の制約もあると思うのでございまして、おのずから長期資金長期金融短期資金短期金融に向けることとなると思うのであります。なお御懸念の点につきましては、銀行一般に対します監督官庁監督ということによりまして、善処して参りたいと考えております。
  29. 北澤直吉

    北澤委員長代理 日本勧業銀行法等を廃止する法律案及び銀行等債券発行等に関する法律案について、質疑がなければこれに関する質疑あとまわしにします。     —————————————
  30. 北澤直吉

    北澤委員長代理 次に輸出信用保険特別会計法案及び保険業法等の一部を改正する法律案議題としまして、質疑に入りたいと存じます。佐久間徹君。
  31. 佐久間徹

    佐久間委員 今回政府日本経済の再建のために必要な輸出振興の観点から、輸出保険法案を提出いたされたのでありまするが、これにつきまして二、三質問したいと存じます。  第一点は、この保険の本質は、いわば不可抗力に近いようなものによつて輸出業者がこうむるところの損害を補填しようとするのでありまして、保険会社がこれを保険し、政府がそれを再保険をしようというのでありまして、まずわれわれが心配することは、保険会社が元請を引受けるのでありまするから、政府の出方によつては、非常に保険会社は迷惑をこうむる場合があるのであります。その点再保険はどうするか、どの程度まで再保険政府が引受けるかということになると存じます。それでまず第一にお尋ねしたいのは、第二条の六項の「政府は、再保険契約に基いて支払うべき保険金総額国会議決を経た金額をこえない範囲内において、再保険契約を締結する」このことの説明をいただきたいと思います。
  32. 川出千速

    川出説明員 御説明いたします。今の二条の六項の規定は、政府がこの再保険契約によりまして、債務を負担することになつておりますものですから、財政法規定趣旨に従いまして、無制限債務を負担するということは許されません。ですから国会議決を経た金額範囲内で、締結するというふうにいたしておるわけでございます。元来この保険独立採算制基準といたしまして、運用されなければならないものでありますから、再保険契約を結びましてその再保険は、経営事業内容が非常に危険だと思われます場合には、過去にはさかのぼらないが、将来にわたつて保険金制限とか、あるいは再保険契約を引受ける場合を制限するということで、この適正な運用をはかりたいと考えておるわけであります。
  33. 佐久間徹

    佐久間委員 そういたしますと、あらかじめ国会議決を得た金額というものは明示されていなければならないと考えます。その点に関しましてはどういうぐあいにいたされるのでありましようか。
  34. 川出千速

    川出説明員 その限度は、昭和二十五年度の予算によりますと十五億円ということになつております。基金といたしまして、この保険は十億円お願いすることになつておりますが、そのほかに借入金五億円を加えまして、十五億円の範囲内でこれを運営いたしたいと考えておるわけでございます。
  35. 佐久間徹

    佐久間委員 そうすると、十五億円の基金をもつて行おう、こう承知してよろしいわけですね。その結果それを計算の基礎に置きまして、保険会社が締結する保険は、その十五億円が再保険としてカバーし得る範囲内でやらなければならない、こういうことに相なると存じます。その場合どういうぐあいな指示をされるわけなんですか。
  36. 川出千速

    川出説明員 政府の方では、この運営状況を非常に注意いたしておりましてもし非常に危いような場合には、保険会社の方にいろいろ御連絡いたしまして、事後は特定の地域については引受けを制限してもらいたい、あるい片禁止してもらいたいということで、調整をはかりたいと思いますし、また保険料のいわゆるマイナス保険料を徴取いたしまして、事業経営内容のバランスのとれるようにいたしたいと思つております。
  37. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいま承りまして、大体金額指示があることを承知いたしました。要するにただいまの保険会社の実情は非常に弱体化しておる。しかも外国保険会社がどんどん進出しようとしておるのであります。従つて内地保険会社をもう少し強固に持つて行かなければならぬのでありまして、外国保険会社との競争ができないということを、われわれは心配するのであります。従いまして、この扱いにつきましてはよほど慎重に、保険会社を指導いたさねばならないことになるだろうと思うのであります。そこでこういう面から特に——保険せしむるわけでございますから、十分保険会社にマイナスにならぬように御指導を願いたい。と同時に、また再保険手数料について、どういうことをお考えになつておられるか、具体的に御説明を願いたいと思います。
  38. 舟山正吉

    舟山政府委員 再保険手数料については、御質問の御趣旨にものつとりまして失費を十分償うようとりきめたい。これについては関係官庁で協議して参りたいと考えております。
  39. 佐久間徹

    佐久間委員 経費を償うに余りある再保険手数料を考慮されることと思いますが、たとえば従来戦争保険のようなものでも、政府が非常なめんどうをかけて、その上手数料というものはわずかのものであつた。もとよりあれは国家的事業でありましたので、損得を度外視してやつたことと思うのでありますが、後々までもたたりまして、各保険会社は閉口した例があるのであります。特に政府がやろうとするものについては、十分この点は考えなければなるまいと思うから、私はあえて質問したわけであります。この点なお一層御考慮を煩わしたいと思います。  次に第三条の四号の御説明を願いたいと思います。
  40. 川出千速

    川出説明員 第三条の四号について御説明いたします。第一号から第三号までに上つております事項は、これは輸出契約の当事者、つまりこちらのエキスポーターと、バイヤーとの両方の責めに帰せられないような特定の事項が、例示されておるわけでありますが、四号は、そのほかにやはり同じように外国で起きた事故でございまして、両当事者の責任に帰せられないような事項を、これによつてカバーしようというわけでございまして、たとえば非常なボイコヅトを受けたために、金融ができなくなつた場合であるとか、あるいは外国のストライキによつて船の手配ができない、あるいは向うに持つてつても、荷揚げができなくて、そのために契約がキャンセルになつた場合とか、あるいは関税が非常に高くなつたために、輸出ができなくなつてしまつたような場合、あるいは相手国のいろいろな国内的の行政的な措置によりまして、金融が事実上できなくなつてしまつたというような場合を考えておるわけであります。なおこの運用につきましては、審議会等にも諮りまして、詳細に検討いたしたいと考えております。
  41. 佐久間徹

    佐久間委員 第四号は具体的な例示がございませんので、御質問したわけでありますが、ただいまの説明によりまして、大体その内容がはつきりしたわけであります。従つて、たとえば再保険金の支払いの打切りだとか、あるいは延期だとかいうようなことが行われ、またこういうような第三条第四号によるような場合に、保険契約者と保険会社というものの問に紛争を生じやすい問題が、多分に含まれておると思うのであります。そのために保険会社側といたしますと、今までの契約しておりました信用に、大きなマイナスの面を受けるというような憂いがありはしないかというようなことも、考えざるを得ないのでありますが、こういう点に関しましては、政府はどういうぐあいにお考えになつておられるか、伺いたいと思います。
  42. 川出千速

    川出説明員 御答弁申し上げます。いろいろな紛争が起きますような原因は、主として保険金の支払いに関して起きるわけでございますので、保険金保険会社が支払います場合に、事前に政府の方と打合せをした上で支払うというようなことを、まず第一に考えております。また紛争が起きますような場合には、約款の中に裁定条項等を設けまして裁判にかける前に、政府でそれを裁定するということをやつたらどうか。これはまあ一つの試案でございますが、そういうようなことを現在保険会社の方々と相談しておるわけであります。
  43. 佐久間徹

    佐久間委員 将来の問題でありまするが、ただいまの御説明によりますと、こういう紛糾の起るような場合を想定いたしまして、審議会のようなものをつくつてその場合にそこで裁定するような措置に出られることを、私はお願いしたいと思うのであります。  次に、保険料の支払いについてお尋ねしたいのでありますが、どうも今までの状態から見ますると、なかなか保険料の支払いが円滑に行つておらぬ。ことに輸出のようなものに対しては、この点を心配せざるを得ないような情勢下にあるのであります。これについて政府はどういうお考えを持つておられるのでありましようか。たとえて言うならば、保険料の払込みをもつて責任の発生と、こういたされておりまするが、さらにそれに加えて、保険証券の授受によつて保険契約が成立した条件一つ考えていただくことができないか。ここまでお考えになつておるかどうか。これをお尋ねしたいと思います。
  44. 舟山正吉

    舟山政府委員 現在損害保険会社が持つております代理店について、保険料についても、相当多額の未収保険料があるということは、損害保険会社の経理上ゆゆしい問題でございまして、監督官庁といたしましても、これを何らか打開する道がないかと研究しておる次第でございます。ただいまお話がございましたように、保険証書を交付したときから保険契約が発生するというような扱いにいたしますことも、あるいは約款の認可の際に考慮し得る問題でないかと考えるのでございますが、なおその点につきましては、ただいま申し上げましたような気持をもちまして、研究をいたしたいと考えております。
  45. 佐久間徹

    佐久間委員 ただいまも申されたように、保険料をすみやかに支払わなければならぬのでありまするが、いろいろの事情からいたしまして、現在のような金融逼迫の場合におきましては、まことに保険料の支払いが渋滞しがちでありまして、この点はゆゆしき問題と考えられるのであります。一日も早く保険料を払つてもらわなければならぬのでありまするが、今の状況から申しますとその間に代理店が介在しておるために、なお一層引延ばされてしまうというようなわけであります。今回新たにこういう保険を新設するわけでありますが、われわれ考えまするに、これは直接の契約にするように政府が指導してはどうかと思いまするが、その点いかなるお考えを持つておるか、お聞きしたい。
  46. 舟山正吉

    舟山政府委員 損害保険会社の事業につきましては、運用よろしきを得さえすれば、代理店の活用ということも、経費の節減その他について、非常によろしいことであろうと思うのでございますが、現在のように保険代理店を経由しますことによつて、損害保険会社に相当の負担がかかるということでありますれば、これは相当考えなければならないことかと思います。これは具体的の事例につきまして、あるいは保険業法による監督命令その他によりまして、調整する道を講じたいと考えております。
  47. 佐久間徹

    佐久間委員 この問題についてなおお尋ねしたいのは、今回政府におきましては、公団の保険とかあるいは公社の保険をやめてしまうというような意向もあるやに承つております。その原因はどこにあるか、これはわかりませんが、思うに、こういつた政府関係するところの事業は、おそらく莫大な保険料を支払つておるのであります。割合に損害が少いということが一つ、もう一つは、これを取扱う代理店が、いろいろの、ボス的存在化せられおりまして、それらを中間において壟断しておるというような考えから、あるいはとめるというような決意をしたのではないかというようなことを考えるのであります。従いまして、政府のおよそ関係するような仕事、これはすべて直接保険会社との提携によつてさせるというようなお考えをもたれてはいかがか、こう私は思うのでありますが、この点を一つお伺いしてみたいと思います。
  48. 舟山正吉

    舟山政府委員 お話にございました通り、公団、公社等におきましては、財政緊縮の意味からして、その支払う保険料が、高きに失しはしないか。そのくらいならば自家保険にしたならばどうであろうか、というような論議が起りつつあるわけでございます。これらにつきましては、はたして狭い範囲保険を対象とする自家保険で、はたして保険の目的を達し得るやいなや、非常に問題になる点があるのでありますが、一方におきまして、保険会社といたしましても、経営の合理化その他によりまして、保険料率の引下げには極力御努力を願う。これによりまして、一般保険の普及というようなことに努むべきではないかと考えている次第でございまして、御指摘の点につきましては、なおいろいろと研究いたしてみたいと存じます。
  49. 佐久間徹

    佐久間委員 この条文の中に審議会をつくるようなことが書いてあるのであります。輸出信用保険審議会、こういうようなものをおつくりになるような意向と承知いたしましたが、こういうことにはえてして政府のやることは、学識経験者というようなものをいつもうたい込んである。学識経験者必ずしも保険の実態に適しているとはわれわれは考えていない。そこでこういう審議会をつくる場合には、必ず経験ゆたかな者、いわゆる実険の業務に携わつておる者こそ、中心とすべきではなかろうかと思いますが、どうも今までの審議会を見てみると、学者を入れてみたり、あるいは何の太郎兵衛という知名の人を入れたりすることによつて、ごまかしておるというようなことがいつも思われるのでありまして、その結論は、はなはだおもしろからざるものが出て来る。机上の空論みたいなもの、実際に適しないようなことが現われて来るように考えうれるのであります。それは構成分子がそうであるからしかたがない。その弊害を除却するために、どうしても実際の業務に携わつておる者をこの中に入れて、それを中心として考えて行く。こういうようなぐあいに考えを改めていただきたいと私は思うのでありますが、政府の所見はいかがでございますか。
  50. 舟山正吉

    舟山政府委員 この輸出信用保険の具体的問題につきましては、私は所管外でございますが、便宜お答え申し上げたいと思います。各種の審議会におきまして、学識経験のあるものを入れるということが例になつておりますが、これは絶対中立的な立場、無色な立場、あるいは公正な立場から、こういう学識経験者を入れることが適当であるということは、申すまでもないことでありまして、こういう審議会ができました際に、もしも一部の業界の代弁というようなことになりますことは官庁といたしましては避くへきことであろうと思うのであります。なお具体的な人選につきまして、その当を得ますように、関係官庁とも協議してみたいと存じます。
  51. 佐久間徹

    佐久間委員 この前の臨時国会のしまいの方に至りまして、この法案がちよつと顔を出したのであります。そのときに私は質問に立つたのでありますけれども、そのときの法案は、実に雑駁きわまりないものであつたように考えられますが、今回提出せられたものは非常に御研究の跡が見られるのでありまして、われわれがこれを見ましても、まことに適当であろうというふうに考えるのであります。細目は、これは私の方の大蔵委員といたしましては、会計の面、経理の面からこれを見るのでありますが、条文の内容も検討いたしまして、はなはだしい不都合はないように考えられます。なおただいま二、三の質問によりまして、一層これが明確にされたということは、政府が勉強せられたということをよく如実に示しておるものだと私は思つて、それには敬意を表する次第であります。輸出信用保険制度についてはこの程度にとどめておきます。  次に保険業法等の一部を改正する法律案に対する質問に入りたいと思います。今回政府保険業法等の一部を改、正する法律案を御提出になられたのであります。このうち私が質問申し上げたい二、三の点がございますので、お聞きしたいのであります。第一条の二及び外国保険事業に関する法律改正案の第三条の二において、利益金または剰余金を計上しなければ——本邦会社は外国において、外国保険会社は本邦において、利益金を計上しなければ保険事業を営むことを禁止する、こういう条項がございますので、この御説明を承りたいと思います。
  52. 舟山正吉

    舟山政府委員 損害保険事業につきましては、国際的な性格を持つておりますために、今後外国保険会社日本市場に相当進出して参るということも予想せられますし、また日本業者も許されれば外国に進出したいという希望を持つておるのでございますが、この際に単に信用の十分でない基礎のしつかりしておらぬものが、いたずらに日本内地に進出し、あるいは外国に進出するということでありましては、保険加入者の利益はもちろん、保険自体の信用も害することとなりますので、そういう際には会社を厳選したいということか考えられるのであります。その意味では設立早々の会社というものは、財的に申しましても内部の留保が十分でございませんし、保険事業に対する世間の信用も確立しておりませんので、設立後あるいは事業開始後三年を経、しかも最終の決算には利益を計上する。これを裏から申しますれば、赤字の会社であつては困る。こういう趣旨におきまして、この改正をいたそうとするものであります。     〔北沢委員長代理退席、委員長着席。〕
  53. 佐久間徹

    佐久間委員 最終三年という期限を付したことは、やむを得ないといたしましても、利益金あるいは剰余金を計上するということは、これを最終のいわゆる三年の期末において利益金を計上するという条項は、私はどうかと思うのでありまして、利益金を計上しようとするむりが出て参りまして、かえつて内容を悪くするというようなことは、えてしてありがちのことであります。そこで私はそういう観点から見ますと、かえつてこれは悪い結果になりはしないかということをおそるるものでありまして。むしろ積立金とかあるいは準備金というようなものになぜ重点を置かなかつたか。この点を実際の面から見て痛切に感ぜざるを得ないのであります。これについてどういうお考えでやつたのか。なお重ねてお伺い申し上げます。
  54. 舟山正吉

    舟山政府委員 立案の経過におきまして、準備金基準に、その会社の堅実性を判断するという考え方に出たのでございますが、実は別途税金の問題その他いろいろ研究いたしますと、未確定な要素も多くありますので、この際はこの法案にありますような表現をとつた次第であります。
  55. 佐久間徹

    佐久間委員 その点を考慮せられたのであるが、実際はその結果といたしましては、こういう条文になつてしまつたのでありますが、出したのはいたし方ないといたしまして、将来御研究を願わなければなるまいと私は思うのであります。政府それ自身におきましても、そういう積立金とかあるいは準備金というようなものについてお考えがあつたのでありますから、このウェイトは相当重く見てよろしいと思うのであります。将来ただ単に利益金、剰余金というようなことでなく、なお積立金とか準備金が十分にある場合、これを兼ねて考える。こういうことをお考えになられないかどうか、その点将来のことでありますが、一つ御感想でも承わつておきたいと思うのであります。
  56. 舟山正吉

    舟山政府委員 御意見は非常にごもつともでありますので、別途保険業法の根本的改正も近いうちにしなければならないと考えておりますから、その際には十分考慮に入れたいと考えます。
  57. 佐久間徹

    佐久間委員 次に保険業法改正案の十二条の二に規定する貸付の担保、保険会社の株式の制限ということについてお尋ねしたいと思います。これは今回の改正によりまして、従来独禁法の第十一条におきましては、金融会社が他の会社の株式を所有する場合、その会社の株式総数の百分の五に制限しておる。しかし貸付の担保として受け入れることについては制限がない、こういうふうになつております。また現行の保険業法施行規則第十九条による制限は、所有と貸付の担保とを合算いたしまして、百分の二十となつておる。しかるに今回こういうぐあいに改正することについて、私はいささか私見を申し述べなければならないと思うのであります。保険会社が今日まで受持つて来た経済上における一つの責任とでも申しますか、あるいはむしろ功績とでも私は申すべきであろうと思うが、それは株式を大いに所有しておつたというわけであります。かねて大蔵大臣はこの前の施政演説におきましても、あるいはまたこの委員会におきましても、日本の現状は産業の萎靡沈滞を、復金なきあと自己資金を持つてこれを回復して行くのだということを言われておる。しかし自己資金と申しますと主して株式を中心として操作されるのでありますが、この株式が現在におきましてはもたれぎみの状態にあるということを言われております。証券民主化という面にわれわれも努力して参つたのでありますが、いかんせん株式が市場に非常にあふれておる。少しでもこれを一般が所有することによりまして産業資金がゆたかにならなければ日本の産業を復興させることになるまいと思うのであります。この見地に立ちまして、保有することの非常に大きな責任を持つておる保険会社の株式に、かような制限を加えるということは、政府の方針と逆の結果を来しはせぬか、こういうことを私は考えておるのであります。その点に関する御感想はどうでありましよか。
  58. 舟山正吉

    舟山政府委員 お話にもございましたように、保険会社、特に生命保険会社におきましては、わが国の株式市場あるいは資本市場に対しまして非常な貢献をして来ておるのであります。その本質から申しましても、長期資金を持つておりまして、投資機関として活動しておるのでございまして、この経済界に対する大きな意義というものは明らかなところでございます。従来の保険業法の施行細則におきまして、一定の株式保有率を制限いたしましたのは、これは別途保険加入者の利益保護という見地から、財産投資の分散をはかるという趣旨において行われておつたのでございます。しかるに最近におきまして独占禁止の立場から一定限度まで投資を抑制するという要請が、非常に強くなつてつておるのでございまして、従来金融機関の一つとして保険業法で、保険会社におきましては五%という制限がついておつたのであります。この保険会社の投資機関としての特質、あるいは加入者保護という見地を彼此勘案いたしまして、従来の五%ではいかにも低い、これを拡張しなければならぬというふうに考えて、その方向に努力いたしたのでございますが、何分にも現在における独占禁止の思想というものは非常に強いのであります。これはそう無制限金融機関としての例外を認めるわけにも参らぬ。そこでこの改正法律案にございますように五分の一を十分の一にする。従来の二十分の一よりは狭いのでございますが、しかしまた従来より改善せられて来たということで御了承を願いたいと思います。
  59. 佐久間徹

    佐久間委員 さしあたつての担保の問題は、実際はそれで当てはまつておるかどうか。現在そうであるかと言われると、現在においては別に不都合はないわけであります。これは事実であるのであります。しかしこういつた株価の所有が、一般的に消化不良になつておるのを、消化させるというような意味合いからいつても、こういう制限はむしろ設けない方がいい。設けるならばもつと大きく、希望を持たせるような方向に持つて行つた方が政策上——政策上と言つては申訳ないかもしれないが、いいのじやないかという気持がしたものですから、この点を強く私は要望したいと思います。  次に現行保険業法の八十六条の規定、これを御説明願いたいと思います。
  60. 長崎正造

    ○長崎説明員 保険業法の八十六条について御説明いたします。八十六条によりますと、保険会社は財産の評価がえまたは売却によつて計上したる利益、すなわち財産の評価益とか売却益が、財産の評価度、売却度を越えた場合には、その差額は別途積み立てて行かなければならないというふうに規定してあるわけであります。これは財産の評価益とか売却益といつたようなものは、一種の臨時的な益でありますので、みだりにこれを使わずに株価の低落その他臨時の損に備える。それによつて保険会社の健金性を保持せしめる。こういう趣旨でございます。
  61. 佐久間徹

    佐久間委員 この評価あるいは売却の基金積立て、これは当該会社の保有する有価証券及び動産の百分の十を限度とし、その限度内の積立ては、税法による所得の計算上、損金に算入することとしたらどうか、こう思うのでありますが、御見解はいかがですか。
  62. 舟山正吉

    舟山政府委員 お尋ねの点につきましては、今度の改正の問題として研究いたしたいと考えております。
  63. 佐久間徹

    佐久間委員 これは今度の改正の中に入つておらぬと思うのであります。そこでどうしてこれを入れないのか、それも伺つておきたい。
  64. 舟山正吉

    舟山政府委員 今回の改正は臨時応急の諸点を拾い上げましたことと、かつ御指摘の点につきましては税金の問題に関連いたしますので、結論を見出しますことが容易でない。もう少し時間をかして研究さしていただきたいと考えます。
  65. 佐久間徹

    佐久間委員 われわれは税金の問題であるから、なお一層これを要望するわけであります。しかし臨時的の措置のように承りましたので、将来この条項の改正が全面的に行われるであろうと期待いたしますが、その節は十分にこれを研究いたされまして、いわゆる民間会社の基礎の強固になりますように、各般の御配慮をいただきたいと思います。それでありませんと、外国保険会社の進出を巨の前に見まして、この弱体をひつさげてこれと太刀打ちするということは、とうてい忍びないことだろうと思うのであります。政府の特段の御配慮をいただきたいと思います。  続いてお尋ねしたいのは保険料の料率の算出団体でありますが、法律第九条に料率団体の算出する保険料率は会員を拘束しない規定になつている。これはむしろ会員に料率厳守の義務を持たせるごとに改めではどうかと思うのでありますが、いかがですか。
  66. 舟山正吉

    舟山政府委員 損害保険料率の算出団体をこしらえました趣旨は、同業の保険会社が協定を結びまして、料率を算出するということに相なりますと、独占禁止の事項に触れることになるのであります。それゆえにわざわざ別個の一つの算出団体を法律をもつてこしらえましてそこにおいて料率に関する研究をしておるわけであります。従いましてこれを各保険会社に強制するということになりますと、そもそもこの団体保障の趣旨に背馳する。いわば独占禁止の線に触れて参るので、これは適当でないと思います。
  67. 佐久間徹

    佐久間委員 独禁法に抵触するということでありますが、しかし今のところは別に大した心配はないのでありますけれども、この規定によりまして将来きめられた保険料が守れない。自由競争の結果この問題が乱れて来るようなことに至りました場合には、保険会社の危機であると思うのであります。これを非常に心配するものでありますけれども、政府といたしましてはそれはそのままに放置しておく意思であるのかどうか。あるいはまた何らかこれを拘束する別段の考慮をめぐらすのであるかどうか。その点を承りたいと思います。
  68. 舟山正吉

    舟山政府委員 料率につきましてはお答え申し上げました通りでございますが、業界が自由競争によりまして混乱を招く、あるいは弱体会社が生ずるというようなことはきわめて好ましくないことでございますので、その点につきましては保険業法に基く一般監督、あるいは保険の募集につきましては保険募集の取締りに関する法律もできておることでございますので、監督行政として十分取締つて参りたいと考えます。
  69. 佐久間徹

    佐久間委員 この問題について重ねて御質問するのでありますが、算出団体法の規定に、保険料率を守るという義務を負わせることを明記しても、問題にはならないと私は思うのであります。アメリカの方ではこういうことははつきり記載されておるということを、承知しておるのであります。わが国においてそういうぐあいにそれを恐れているということはどうかと思う。この点はどのようにお考えでありますか。
  70. 舟山正吉

    舟山政府委員 私どもといたしましても、現行の取扱いそのままで満足しているわけではございませんので、外国の事例あるいは独占禁止法の運用方針等を考えまして、今後適当な方向にかえて行くことについては、少しも異存はないのでございます。
  71. 佐久間徹

    佐久間委員 料率は合理的であり妥当なものでなければならない、こういう規定があるのであります。ところがこれは統計によらなければならない。統計をとる上におきましても、まちまちの料率であつてはなかなかとりにくい。そこでこの面から見ても料率が妥当性を十分持つたものか、合理的でなければならない。この面に関する考えからいたしましても、一つ規定があつてしかるべきだ。料率をひとつ規定してもさしつかえないのではないか、こういうような気持になるのでありますが、その点からお考えをいただけないものであるか。
  72. 舟山正吉

    舟山政府委員 料率の問題が、会社の経営上も非常に大きな問題であるということは申すまでもありません。しかしてまた、加入者の側から見ても重大な問題でありまして、これにつきましては料率が適正でありますように実はこの法律においても公聴会をもつて意見を聞く場合を広げるわけでありますから、今後料率の適正ということについては、十分注意して参りたいと存じております。
  73. 川野芳滿

    川野委員長 佐久間さん、まだ長いですか。長ければ午後にされたらいかがですか。
  74. 佐久間徹

    佐久間委員 はあ、まだありますから……
  75. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開することにいたします。  なお午後大蔵大臣が出席する予定ですから、大臣に対する質疑の方はぜひ御出席を願いたいと存じます。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時五十五分開議
  76. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続き会議を開きます。  日本勧業銀行法等を廃止する法律案銀行等債券発行等に関する法律案一括議題として質疑を続行いたします。小山長規君。
  77. 小山長規

    ○小山委員 大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、ただいま議題になつております銀行等債券発行等に関する法律案が実施されましたあかつきには、相当巨額の長期資金が、少くとも今年度は金融機関に入つて来ると思うのであります。ところがこの金融機関に入りました金が、円滑に国民経済の中に入つて行くためには、単にこの法律を施行しただけでは、私は必ずしも円滑に行くかどうかについては確信を持たないのでありますが、それについて実はお伺いしたいのであります。第一は農林金融でありますが、今度の法律によりまして発行される債券の利率は、ただいままでに政府当局からの説明によりますと、優先株式発行によつて見返り資金が引受けるところの利率が大体七分五厘、それから預金部が引受けるところの利率が七分五厘見当であろう、こういうことであります。そういたしますと、これが実際に貸し出されるところのレートは、おそらく八分五厘以上になるのではないか、こう考えるのであります。そういたしますと、農林、漁業というような原始産業の場合には、八分五厘というような利子の負担はとうていできないのではないか。ただいまのところは、長期資金に非常にかつえておりますから、ちようどかわいた砂が水を吸うように、そのレートいかんにかかわらず飛びついて来るであろうと思いますけれども、これが実際の経営に相当な負担になつて来はしないか。そういう意味から申しまして、農林、漁業のような原始産業のような場合には、この金は農林中金を通として融資されるのでありましようが、これに対して原始産業が負担し得るところのレートは、私は四分ないし四分五厘見当じやないかと考えます。そこでこの八分五厘と四分ないし四分五厘の差額について、政府に何らかの形において利子の補給を考えてもらうべきではないかというふうに考えるのでありますが、これについて大蔵大臣の御所見をお伺いしたいのであります。
  78. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お答え申し上げますが、私は産業復興のためにできるだけ貸出し金利は低い方が望ましいので、金融政策といたしましても低めるように努力して参つたのであります。しかし何分にもただいまのところ資金コストがかなり高いのでございまして、急激な引下げは困難な事情にあるのでありますが、徐々に下つて来ると考えておるような次第であります。  なおお話しの見返り資金から銀行に出ます金利は、七分五厘ときまつたわけでは、ございません。一般金利が下つて来れば、これも相当下つて参りましようし、また見返り資金から出ます出資は特別のものでありますので、私は従来の七分五厘に何も基準を置く必要はないと思つております。しかしいずれにいたしましても、出る金額が少いのであります。それをもとにいたしましての長期債券発行は、それよりもやはり上まわることになると思うのであります。ただいま三年ものの興銀債か九分程度になつておりますが最近八分五厘くらいに切下げるようになりよしようが、いずれにしてもお話の通ツに、原始産業に向つて八分五厘とか九分の貸付は、採算上原始産業が困るという点は私も認めるのであります。しからばこれを政府は補償するかという問題になりますと、これは非常にやつかいな問題でございまして、今こういう補償の——カテゴリーが違いますが、中小企業への損失補償ということも議論になつておりますが、政府でもつて金利の差額とか損失を補償するということは、よほど研究しなければばらぬ問題だと思います。それよりもできるだけ金利を早く大幅に引下げる方向に向つてつて、しかる後に考えるべきじやないか。今しばらく情勢を元てでないと、金利の差額の補給とかあるいは損失補償といつたようなことは、困難な状態ではないかと思います。了承願いたいと思います。
  79. 川島金次

    ○川島委員 私の記憶違いでありましたならば、その点は取消しておきますが、ここ数日間の発券高の足どりを見ますと、漸次政府吸収額が著しく加わつて来ておる。従つて今のような事情になるので、このまま進んで行つて、はたして大蔵大臣が言明されておりますごとく、年度末においても年末の八掛あるいは九掛内外でとどまるという見通しを十分に持つておられますか。
  80. 池田勇人

    ○池田国務大臣 通貨の状況は十日から十五、六日までが毎月ずつと引込むのであります。月末には政府の支払いがかさみますのでふえます。十日くらい前この席上で申し上げましたように、三月上旬には三千億を割るであろう。三月末には三千百億を越えるだろうと言つておりました。私の予想通り行つております。ただ十日ごろに三千億を割るのが、十五、六日に延びたというだけの問題で、三月末には三千百億円は越えるだろうと思います。
  81. 川島金次

    ○川島委員 次に見返り資金から公共企業への投資額、ことに国鉄の四十億、電気通信事業への百二十億と記憶しておりますが、これらの国家投資をめぐつて、最近われわれにとつては懸念すべき風評が耳にされるのであります。と申しますのは、たとえば国鉄への四十億の公共企業投資、これにからんで何かその筋の管理的なものがつくのではないかという事柄が、もつぱらうわさに上つて参りまして、非常に当事音聞を懸念させておるわけであります。具体的に申せば、公共企業への四十億投資が一つのひもつきのような形になつて、国鉄に対する一種の監理官的なものが置かれるのではないか、こういうような事柄が流布されておる。そういうことに対しての真相はどういことでありますか。非常に重要な問題だと思いますので、この機会にお尋ねしておきたいと思います。
  82. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国鉄並びに電気通信の方には、御承知の通り、昭和二十四年度で二百七十億の貸付金があつたのであります。今年度におきましては、国鉄に四十億、電気通信に百五十億が出ます。が、この金が出たからといつて、出す方は政府であります。借りる方も政府あるいは公社である。だれが監理するか。これは政府自体がやつておるのであります。昔から火のないところに煙は立たぬと云いますが、これは火のないところの煙であろうと考えております。
  83. 川島金次

    ○川島委員 そうであればわれわれも安心をいたすものでありますが、国鉄の話が出ましたから、ついでにお伺いいたしておきたいのです。またまた国鉄の第二回の裁定について、政府は国鉄従業員に対して、八千二百円をベースとして給与すべきであるという裁定がおりたのです。この裁定の内容の根拠をなすものは、消費者物価指数が有力な根拠になつておりまして、二十三場年の七月には一〇八、それを二十四年一月に対比いたしましてそれが一三六・六だ、こういう事柄をきわめて有力な根拠として、今度の裁定がくだされているやにわれわれは見おるのでありますが、この点について大蔵大臣は、この消費者物価指数が一〇八に対して、二十四年一月は一三六・六、すなわち二八・六を上昇しておる、こういう事柄でありますので、従つてそれだけ国鉄の従業員のみならず、一般公務員を含めて、その生計実態というものは、一応政府の二十五年度からの減税政策がありといたしましても、相当な生計費の圧迫になることは事実であろうと思うのでありますが、この問題については、大臣はどのような所信を持つておられますか。またこの八千二百円ベースの裁定に対して、政府はいつ国会にその処理を求めて来るのであるか。その点についての見解をこの際明らかに伺つておきたいと思うのです。
  84. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今回の国鉄裁定に対します政府考え方は、ただいま検討を加えておるのであります。御承知の通りに、公共企業体労働関係法によりまして、裁定のあつた日から、国会開会中は十日以内に出すことになつております。それまでには間に合わすようにいたしたいと思つております。物価の上昇につきまして、こまかい数字は存じませんが、大体昭和二十三年に比べたら、二十四年の一月は相当物価は上つていることは私認めております。
  85. 川島金次

    ○川島委員 その物価指数に準じて行われました八千二百円ベースに対して、政府はどのような所見を持つて来るべき国会に臨もうとされておりますか。その点をお尋ねしておるわけです。
  86. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ただいま検討中でございますから、お答えはできません。
  87. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、政府は予算案を上程いたしました当初、すでにベースは絶対にかえないとの意思を天下に明らかにいたしておるのですが、重なる国鉄ベースの裁定に臨んで、何らか政府はその先に明らかにした方針を変更するというような意思でもあるかどうか。その点はいかがでありますか。
  88. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今回出ました国鉄裁定につきまして検討を加えております。
  89. 川島金次

    ○川島委員 どうもそれではまことにうなぎをつかむような話でよくわかりませんが、もう少し政府の確固たる、ことに池田大蔵大臣は非常に心臓も弱くない方です。もつと心臓の強いところで具体的な所信を、繰返して恐縮ですが、ひとつ示して置いてもらいたいと思います。
  90. 池田勇人

    ○池田国務大臣 重大なる問題でありますので、一国務大臣として閣議決定をなす前に意見を申し上げることは差控えたいと思います。
  91. 川島金次

    ○川島委員 非常に物事を明確以上に常に言明される大蔵大臣の池田さんが、きように限つては大分微妙な言辞を漏らされておることは、ひつきようするにわれわれ国会議員として理解いたしまするに、この国鉄再度にわたる八千二百円のベースの問題に対しては、非常に真剣な態度になつて来たと想像するにかたくないのであります。従つてこの再度の裁定を前にして、政府は重大な方向転換をするのではないか。またしなければならぬ事情に追い込まれて来ているのではないかというふうに、私は今の言葉を理解いたして、この問題は打切つておきます。  さらにこの委員会で問題となつておりまする今度の銀行等債券発行等に関しての問題について、一言お伺いしておきますが、この法案によりますれば、従来特殊な銀行のみが債券発行して、長期資金の円滑を期する方向に向いておつたのでありますが、今回の改正によりまして、銀行法によつて免許された地方銀行に至るまでこれらが適用されるという、画期的な法案であろうと私どもは見て参つておるのであります。そこでふしぎなのは、見返り資金による特殊銀行の増資の引受け、あるいはまた債券の消化等についての裏づけとして、預金資金の活用等が明確に考えられておるのでありますが、その中で、政府説明によりますと、法律は全面的に改正を実施するような形にはなつておりまするが、依然として見返り資金をもつて増資に充てられる裏づけとなり、あるいはまた債券の消化についての問題についても、いずれも特殊な金融機関だけに限定しております。しかも説明によつても明らかなるごとく、地方銀行等に対しては、何らこの問題の実質的な適用が当初されないという形になつております。こういう事柄については、いろいろの事情も定めしあるのではないかと想うのですが、こういう取扱いをせざるを得なくなりました真相というものは、一体どこにあつたのかということについて、明らかに説明をお願いしたいと思うのです。
  92. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今回の債券発行は、発行し得るような法律的措置を講じておくということだけでございまして、見返り資金からどれだけどこへ出るということはまだきまつておりません。御承知の通り見返り資金は、関係方面の了解がなければ使えないのでございまして、われわれの方針としては、ある程度具体的な考え方を持つておりますが、どこの銀行へどれだけ出すということは、まだきまつておらないのでございますから、御了承願いたいと存じます。
  93. 川島金次

    ○川島委員 そういうことでありましても、説明によりまして、われわれの理解するところによれば、一部の金融機関に限定されておるわけであります。そうして地方銀行は、その説明の中には含んでおらないというのが、政府の事務当局からの説明で明らかになつておるのであります。従つてそういうお尋ねをいたすのでありますが、その点の真相はいかがであるかということの御説明を願いたいのです。
  94. 池田勇人

    ○池田国務大臣 大体大蔵省で考えておる事柄はあるのであります。しかしこれはきまつたものではございません。見返り賞金からどれだけ出るかということは、私のところで関係方面と話をしている途中でございます。但し腹案といたしましては、事務当局から話したかもわかりませんが、単に腹案でございまして、まだきまつたものではないのでございます。ただ法律を改正いたしまして、おわかりになるように、今の銀行はほとんど全部が資本金に対しまして、預金が二十倍以上になつておるのであります。あるいは五十倍になつておるところもあるのでございます。こういうところへもつてつて見返り資金を出して、そうして二十倍の制限を置くということはナンセンスの場合が多い。そこで事務当局の考えておりますのは、資本金に対しまして預金が割合に少いところ、たとえば勧銀というようなものが問題になるのであります。北拓は五億に対しまして、相当なものを持つておりますが、これも長期資金を預かつておつた昔の関係もございますので、これもやはり増資を中止した方がよいのではないかという考えでおるのであります。興業銀行は、御承知の通り預金はあまりございませんで、資本金に対して二十倍ということを前からやつておりましたが、農林中金商工中金というのはこれはやはり日本の農水産業、あるいは中小金融をやる特殊な使命を持つております関係上、こういうところがやはり対象になるというので、事務当局はお話したのだろうと思つております。これが一番実際的だと思います。将来におきまして、地方銀行が増資をしまして、そうして二十倍程度預金なつたというときには、これはまた候補に上つて来ると思います。現状におきましては、ただいま申し上げたようなところが候補になり、そういうところにはこのくらいの程度を出したらどうかという単なる腹案なのであります。これによりまして、ただいま関係万両と話中であります。
  95. 内藤友明

    内藤(友)委員 私は対日援助見返資金のことについて二、三お尋ねをしたいと思います。戦争後の産業界の金融方面考えてみますと、昭和二十二年ごろからは復興金融金庫というものが登場いたしまして、これが産業経済に非常な大きな働きをいたしておつたのであります。ところがこの復金というものはまことにさみしい形になりまして、それにかわつて今日登場して参りましたのが対日援助見返資金というものなのであります。そこでこの対日援助見返資金というものにつきまして、非常な関心を私どもは持つておるのでありますが、ただここでお尋ね申し上げたいのは、この援助資金というものは、結論から申しますともらつた金でありますか。それとも借りておる金でありますか。それからまずお尋ね申し上げたいと思うのであります。  昨日か、きようかの新聞を見ますと、アチソン長官は、援助したものについては、その一部は返済を認めないということを申しておるのでありますが、それはその金の本来の性質をよく考えませんと、こういうふうな法律が出ましても、われわれはどうにも審議のしようがないのでありまして、まずこの根本からしつかりと考えておかなければならぬと思うのであります。もしこ出れが、われわれが将来支払いをしなければならぬ債務であるとするならば、それは憲法の関係においてどういうことになるのか。何かこれを受入れ法律をこしらえるかどうか。と申しますのは、対日援助見返資金特別会計法という法律は、これは単にもらつた金を国内的に処理するという関係法律でありますので、その金が日本に流れて来るということは、占領命令で流れて来るのかどうか。そういう覚書でも出ておるのかどうかという点を、まずお尋ねいたしたいと思うのであります。
  96. 池田勇人

    ○池田国務大臣 もらつた金か借りた金かということは、たびたびこの席上でも議論になつておりますが、マツカーサー元帥があるときの書簡で言われたように、やつた金ではない。債権はアメリカに払うのだということを言つておられます。われわれもそう考えておるのであります。ただ政治的にどう見るかという問題は別でございましよう。ただ今次の戦争後におきまして、こういう同じ性質のものがイタリアに行つておつたのが、その金は講和条約のときには、結果においてもらつた金になつてしまつたのであります。私はこの程度しか存じません。
  97. 内藤友明

    内藤(友)委員 われわれのいろいろな印象からいたしますと、今も大臣はイタリアの例をおとりになつたのでありますが、そういうふうなことから考えますと、もらつたような気持になるのであります。こういうことをなぜ私がお尋ねするかと申しますと、今出ております法律の利率が、優先株引受、優先出資引受にいたしましても、大体先日来銀行局長のお答えを聞きますと、七分五厘ということに一応お話を承つておるのであります。七分五厘というものは一体どういう基礎計算から出て来るのかということが、実は一番大きな問題になると思つたのであります。そこで私が次にお尋ねしたいのは、この法律を通じて出ます見返り資金というものを、七分五厘で押えているその基礎計算はどこにあるのか。これをお尋ねしたいと思います。
  98. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御承知の通りに、この見返り資金の運用につきましては、法律の条文は議会でこの前直つたのでありますが、実際申しますと、関係方面の承認を得て出すことになつておるのであります。しこうして出す場合に幾らの金利にするかというので、昨年の六月、七月、八月の三箇月間ほど折衝いたしました。外国の例を申して恐縮でございますが、一般金利よりも高い金利で出しておる国もあるのであります。私はこの資金の性質にかんがみまして、また日本の産業の復興の点から申しまして、とにかく安い金利にしてほしいというので折衝を重ねて、七分五厘になつたのであります。これはやはり一般金利との関係を考慮に入れて、私はそれよりも低く、また向うさんの方もそういう気持になられて七分五厘になつたのでありますが、これはくぎづけになる性質のものではないのでありまして、市場金利の情勢によりまして、上つて来ることを期待しておるのであります。その根拠につきましては、何も計算したのではない。私と向うとの話合いで、とにかく市場金利より安くというので——あの当時、長期資金につきましては一割二、三分というのもありますし、また一割程度というのもあつたのでありますが、それよりも安くというので、一応腰だめと一言つては何でありますが、見返り資金がこれであつたらどうなるから、利回りをこれぐらいにしなければならぬという特別会計自身の計算から出たのではない。市場金利より安くというので出たのであります。
  99. 内藤友明

    内藤(友)委員 七分三分五厘という利回りのお話が出たのでありますが、そういう利率ではとうてい、先ほど小山さんからもお尋ねがありましたように、原始産業である農林漁業にはこれは出ないと思う。現に私どもはただいま大蔵省から配付されました資料を見ましても、中小企業には三億ほど出ておりますが農業にはちつとも出ておりません。そういうことを見ましても、いかにこれは金利が高いために出ないかということがわかるのでありますが、それとも農業に出ておりませんのは他に何か理由があるのかどうか。実を申しますると、農業方面では昭和二十四年度におきましては、この見返り資金から融通してもらいたいという切なる地方からの要望は、六十三億ほどになつておるのであります。そこでいろいろと政府で査定されまして、そのうち二十六億ほど大体見通しがつくのだということを言明されておるのであります。その中に、一つの例を申し上げますと、さつまいもを貯蔵するキユアリングというようなものも、農林大臣が昨年から鳴物、声色で奨励されまして、これは当初は補助金という形であつたのでありますが、だんだんそれがあやしくなりまして、貸付金になりました。その貸付金もこの見返り資金から出すということになり、約一億ほどのそういう仕事を現にこれでやることになつておるのであります。ところがそういうことにつきましても、まだ一文も出ておりません。あるいは山村の小水力発電というようなものにつきましてもいろいろと奨励されまして一億ほどの金の要求があるのでありますが、これもただ、から約束だけなのでありまして、ちつとも出ておらぬのであります。これはおそらく私は金利の問題もからんでおると思うのでありますが、そのほかに私は、政府がいつも農林金融については非常に関心を持つておるようなお話をせられるのでありますけれども、実質は決してそうじやない。農業というものは一旦貸せば、もうそれが返済せられる期間が遅れるので、金融人から見まするとまことにどうもおもしろくないというようなことから、なるべく避けられようという気持があるのではないかと思うのであります。そこでお尋ねしたいのは、資料を見ますといろいろたくさん出ておりますが、農林の方には一文も出ておらないというその理由はどこにあるのか。それを実はお聞きいたしたいと思うのであります。
  100. 池田勇人

    ○池田国務大臣 われわれは、各方面に出したいという気持を持つて話をいたしておるのであります。農業関係の方には、二十四年度におきましては、出るわくが認められなかつたのであります。今後におきましては、農業関係の方にも出すように努力いたしたいとは考えております。なお公企業、私企業、ことに公企業につきましては、ある程度農林関係の方にも、二十五年度、におきましては出ることになつておるのであります。
  101. 川野芳滿

    川野委員長 内藤君、まだ長いですか。
  102. 内藤友明

    内藤(友)委員 それでは、もうそれについていろいろお尋ねしたいけれども、それはやめまして、今日農村の金融機関でありまする農業協同組合並びにその連合会でありますが、非常にこのごろ困難を感じているのでありまして、これは何とか日本の食糧生産の立場から、この改善をはからなければならぬと思うのであります。もちろんその建直上のやり方はいろいろな面があろうと思いますが、そのうちで一番重要なものは、何と申しましても金融的な援助だと思うのであります。そこで私ども考えなければなりませんのは、農村が非常に困難を感じておることに対して金融をするのに、国家補償というものがどうしても最後に考えられなければならない。それが考えられなければ、どうしても日本のこの産業はその方からくずれるような気持が持てるのであります。そういうふうなことに対して、政府は国家補償をやられる意図があるかどうか、それをひとつお尋ねしたいと思います。
  103. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国家補償の問題がきよう大分出たのでございますが、先ほど来申した通りであるのであります。農業協同組合が、今ただちに国家で補償しなければならぬ状態になつておるとは、私は考えておりません。中には非常に苦しいところもあると聞いておりますが、これは何とかして切り抜け得るのではないかと思つております。
  104. 川野芳滿

    川野委員長 大臣は参議院の方に行かれるので、大臣に対する質疑は後日に譲りたいと思います。ほかに銀行課長の大月高君がお見えになつておりますが、御質疑はございませんか。
  105. 川島金次

    ○川島委員 きのう私がお尋ねしたことに対する答えは、何か印刷物でつくつてつて来るというお話でございましたが、持つて来られたら配付願いたいと思います。
  106. 大月高

    ○大月政府委員 ただいま印刷物ができておりますので、御配付いたしたいと思います。
  107. 内藤友明

    内藤(友)委員 それではこまかいことでありますが、見返り資金で優先株を引受けられる。優先出資を引受けられる。それは何か政府で、これをこういうことに使えというひもつきがありますかどうですか。この株あるいは出資というものが、その金融機関で自由自在に使われるのか。それをお伺いしたいと思います。
  108. 大月高

    ○大月政府委員 今度考えられております優先株式あるいは優先出資は、普通の株を持つのと同じ性質のものでありまして、その出ます銀行に対する発言力は、株主としての立場以外に何もございません。しかも今回の優先株式につきましては議決権がありませんので、特にそういう意味の株主権も放棄しております。従つてこの出ます優先株式あるいはこれに基いて発行されます債券、それによつて得られます資金の使途については、本来の金庫あるいは銀行の性格に従つて、農林あるいは中小金融あるいは一般長期資金というように出ることを、期待しておるわけであります。政府として特に要求するというようなことは、全然考えておらない次第でございます。
  109. 川野芳滿

    川野委員長 それでは川島委員御要求の資料は今印刷中ですが、すぐ配付することにいたします。  それではまだ参考資料が届きませんので、再び質疑を続行いたします。三宅則義君。
  110. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は昨日本会議におりました関係上質問いたしませんでしたから、二重になるかもしれませんが、もし二重になりましたら、どうか御遠慮なく、もう答弁したからということをおつしやつていただきたいと思います。  日本勧業銀行法等を廃止する法律案によりまして、不動産金融ということを中心に考えなければならぬと思いますが、これらにつきましてはすでに御答弁があつたかもしれませんけれども、これを各府県につずつ設けるような必要があるのじやないかと思いますが、その点をひとつ承りたいと思います。
  111. 舟山正吉

    舟山政府委員 昨年来の金融梗塞に対する一つ方法として、不動産金融を再開するようにしたら非常にいいのじやないかということで、不動産金融機関の設立についていろいろ研究いたしたのでありますが、結局不動産金融をこしらえますときには、債券発行して長期の金をとり、これを長期に貸し付けなければならぬといたしますと、その間の利幅がきわめて狭く、よほどの資金量を扱いませんければ、不動産金融機関としては自立できないという状況が判明いたしたのであります。そこでこのたびは構想をかえまして、とりあえず昔の不動産銀行でありましたところの勧業銀行債券発行を認め、その結果として不動産金融も勧銀を中心といたしまして行われるようになる、こういう見通しになるわけでございまして、しばらくはこの勧業銀行不動産金融の進行状態を見守りたいと思います。もしこれで十分の効果が上りませんければ、また別の方法考えなければならぬかと思います。これに関連いたしまして、お尋ねに相なりました地方的な不動産金融機関をこしらえたらどうかという点につきましては、それができればしごくけつこうなことと思います。大銀行より小銀行不動産金融機関ができて、運営せられて行くということでありますれば、それもしごくけつこうなことと思いまするが、先ほど申しましたようなことで、その財産の問題から、なかなか充実して育つて行くことは困難ではないか、こういうふうに見ております。
  112. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 これは中小企業との関係も深いことでございますが、かつて銀行に大蔵大臣が金融をつけるという意味合いでお出しになつたものが、結局自分の大銀行債券を中央に買い取つてもらうためにすぎなかつたということでございまして、はなはだ不満足な点があつたわけでありまして、今回の中小金融に対しましては、無尽会社とかあるいは中小の地方銀行を相手とされるということを聞いておりますが、私は今日の金詰りということは、もちろん金融難でありますけれども、これはある程度まで中央地方を通じて不動産に対する金融機関が十分に発達いたしますならば、もつと早く中小企業が回復するのではないか、かように考えておるのでありまして、私どもの単なる構想でありますが、かつて勧業銀行が地方の、農工銀行というものを買収いたしまして一本になつたというような線も聞いておるのであります。これを多少各府県に分配するとか、これをわけて支店ということでなく、その持味を生かして行くという方向に進められたならばいかがかと思いますが、銀行局長の御答弁を賜わりたいと思います。
  113. 舟山正吉

    舟山政府委員 御意見まことに、ごもつともでございまして、不動産金融の疏通ということは、中小金融問題の解決に非常に大きな貢献をするということは、もう輿論の一致するところでございます。しこうして地方的に小さな不動産銀行をこしらえることが、経営上成り立つて行くかどうかということにつきましては、ただいまもお話が出ましたが、従来の農工銀行が漸次勧銀に合併せられて参つたという事情を考えますると、当時地方の小さい農工銀行では、債券発行してもその消化がうまく行かぬ、そういつたようなことも原因の一つであつたのであります。そこで先ほど申し上げましたような構想をとるに至つたのでありますが、今後この銀行債券の運用につきましては、地方にあまねく金が行き渡りますように、たとえば勧業銀行債券発行して集めました資金でありましても、これをできるだけ地方に還元いたしまするように、場合によりましては、地方銀行勧業銀行の代理店といたしまして、地方で集めた債券の相当部分は、この代理店であるところの地方銀行に、直接貸付をさせるといつたような方策を考えておりまして、相当研究が進んでおるような次第であります。
  114. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 これに関連いたしまして、銀行局長に聞くのは多少筋が違うかもしれませんが、やはり預金資金というものもこれと関連があると思うのであります。地方の零細なる農民もしくは勤労者から集めました郵便貯金を、大体において中央にもつて参りまして、大企業もしくは公共団体に貸すわけでありますが、私はむしろ地方から集まつたものは地方に還元するという政策をおとりになることが、やはり地方開発の根源である、かように考えておるのでありまして、もしその御構想がございましたならば承りたい。  もう一つついでに申しますが、昔のわずかばかりの勧業債券とか、あるいは日本興業銀行債券というものを持つておるわけでありますが、これが一時取扱上古い債券は抹消するとか、あるいは政府が買上げをするとかいうことを聞いたわけでありますが、その後三年も四年もうつちやつておるわけであります。こういうものにつきましては、いまさら脈がありますか、ありませんか。もしくはそういうものにつきましてはどういうふうに整理されておりまするか。その構想を承りたいと思います。
  115. 舟山正吉

    舟山政府委員 従来から預金資金の運用につきましては、地方還元ということを非常にやかましく言われておりまして、場合によりましてはその地方で集まつただけは、その地方で集めました額を基準として、地方にももどしたいという思想もあつたわけであります。最近におきましては預金資金の運用の確実性ということに非常に力が置かれまして、現在いろいろな制約ができております。現在のところ預金資金は国債、地方債の引受に原則として限り、なお昨年あたりからはある種の公団については、この運転資金預金資金でまかなつてよろしいというところにまで参つておるのであります。しかし年末におきましては、預金部の余裕資金銀行その他の金融機関に預託するための道が開かれたのでございます。次に私どもがねらつておりますところは、この預金資金をもつて金融債の引受に充てたい。そうすれば広範に地方に還元して参るということになるのでございます。さらに来年度の預金資金計画におきましては、この金融債の引受のほかになお一般事業債の引受もぜひいたしたいものだと思いまして折衝中でございます。
  116. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一つ、古い債券を持つておりまして、それを現実に保有しておるわけでありますが、あと無効になつたか有効になつたか、将来これをどういうふうに整理される予定でありますか、現状を承りたいと思います。
  117. 舟山正吉

    舟山政府委員 勧業銀行発行いたしております小額債券の効力の問題と拝聴いたしました。これらにつきましては、それぞれ法律にきめられておる時効期間、元本は十五年、利息は五年でありますが、これを経過いたしますまでは有効であることはもちろんでございます。これらは先般買上げの弁法を講じまして、政府で買上げをやつておるわけであります。現在相当部分がすでに済みましたために、今銀行等では——ちよつと世間からは忘れられておるような感があるかもしれませんが、これは依然として続けておるものでございます。
  118. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 これは小山委員が尋ねたことだろうと思いますが、参考までにお聞きしたいと思います。勧業銀行興業銀行もしくは北海道拓殖銀行ですか、そういうような銀行自己資本の約二十倍に相当する金額債券として発行し得るということでありますが、その基準をもう少し上げるというようなことも言われ、もう少し下に下げるというような説もございます。もちろん私はしろうとでありまして専門家ではありませんが、もう少し三十倍にしたらどうかというような意見を承つたのでありますが、銀行局長より正確なる判断のもとにひとつ承りたいと思います。
  119. 舟山正吉

    舟山政府委員 銀行自己資本外部負債関係を二十倍に境を置きましたことは、これ裏から見ますると、外部負債に対しまして自己資本は五%に置けという思想に相なるのであります。銀行が多数の預金者から預金を預かり、また債券発行して資金を調達する。この外部負債を保証するために自己資本というものは幾らあつたらいいかということは、必ずしも数字的な根拠は出て来るものではございません。ただ現在における要請といたしましては、大体五%の自己資本を保有することが健全なる運行である、こういう思想が強いのでございまして、このために裏から申しますれば、二十倍という線が出て参つておるのでございます。ちなみに日本銀行外部負債に対する自己資金の割合というものは、二、三パーセントであつたかと考えております。
  120. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 あまり長くなりましてはいけないから、もう一点だけ質問して終りたいと思います。私は金融専門家ではございませんからして、先に先輩、同僚から承られたことと思いますが、むしかえしになつて恐縮でありますが、銀行に対しまして貸出しをするときは、もちろん他人の資本を扱つているのでありますから、よほど公共性を持つておるのであります。しかしもう少し実情に照すように、銀行局長が下部の銀行に命ぜられたならば、もつと迅速に行くのじやないかと思います。もう少し迅速に金を貸したりまた回収し得るように、またこういうような資金難のときには、もう少し温情をもつて、ある程度融資をすることに尽力するのが政府としてよいのじやないかと思いますがこれに対する御意見を承わまして打切りたいと思います。
  121. 舟山正吉

    舟山政府委員 銀行も一応自己の責任において営業を行つておるのでありまして、政府銀行であるからといつて、その監督は厳重にいたしますが、貸出し等について責任を負わないのに、かれこれさしずすることはよくない建前になつております。ただ銀行が貸出しにあたりまして、いかにも現実一点張り、大事をふむということで、なすべき貸出しもなさないということはおもしろくありませんのでこれは命令ということではなしに、指導ということで、適切なる金融をいたすように指導して参りたいと思います。
  122. 内藤友明

    内藤(友)委員 実は先般一応お尋ね申し上げたのでありますが、重ねてお尋ねいたしたいと思います。それは今勧業銀行法律案が出ておりますのに関連いたしておるのであります。先般私がお尋ねいたしましたのは、農地証券の問題でありますが、これは伊原さんの担当であるかどうかは存じませんが、現在九十億ほどありますので、私どもはそれの償還の一日もすみやかなことをお願いしておるのであります。それで二十四年度は十億償還されまして、二十五年度は四十二億五千万円の償還計画になつておりますが、この償還をもう少し多く願うようにならないものでありますか。と申しますのはこの農地証券を持つておりまする今日の農村階級と申しますのは、非常に困難な事態に立ち至つておるのでありまして、私どもはこの農地証券を一日も早く償還していただいて、そういう階級の救済という意味でもございませんけれども、何とかもう少しプラスになるようにしたいと思うのでありますが、政府のその後の御様子をお聞かせいただきますればけつこうだと思います。
  123. 伊原隆

    ○伊原政府委員 お答え申し上げます。ただいま内藤先生から農地証券のお話がございましたが、これはさつき、お話の通り、政府といたしましては一応計画はただいま九十億ほどになつております。が、予算では五十二億というものを自作農創設特別会計から二十四年度、二十五年度にお返しをする。従つて一世帯でいいますと五千円以下ということで、非常にめんどうな手続をとらざるを得なかつたのでありますが、政府といたしましてもいろいろ研究いたしました結果、九十億全額を償還いたしますことに、各関係方面の了解も得ましたので、全額償還をいたすごとにいたしたいと思います。従いまして現在農地証券を持つておる人は、めんどうな手続がいらないで、全額の償還がこの秋ごろまでに全部行われることになると存じます。
  124. 内藤友明

    内藤(友)委員 ただいま伊原さんから九十億全額を償還するということを政府でおきめになつたというので、これはまことにけつこうなことであるのでありますが、ここで私は二つほどお願い申し上げたい。この償還をせられるということを、こういう債券を持つておる人たちになるべく早く徹底させていただきたい。と申しますのは、その間に証券業者などが暗躍いたしまして、ただでさえ困つておるこういう階級の少しばかりの農地証券を、きわめて不利な状態で買い上げて行くというふうなことがありますと、まことにこれはおもしろくないと思うのであります。でありますから政府が九十億全額償還ということを、何とか一日も早くこれらの持つておる人たちに徹底させていただきたいというのが一点。それからおそらくこの償還は、これを取扱つておる日本銀行の代理事務をやつておると申しますか、勧業銀行あるいは北拓がやつておると思うのでありますが、そういう勧業銀行あるいは北拓に持参するということはなかなか容易なことではない。ことに相当の金額のものでありますれば、それは出かけて現金化するということもできますけれども、これはおそらく村々の組合がその仕事をやることになると思うのであります。これは先般銀行局長にもお願い申し上げたのでありますが、現在資産化することにつきまして、勧業銀行が三分の手数料をとつておるのであります。私はこれはとらぬでもいいじやないかと思いますが、しかし事務費もいることでありますから、それをとらないというわけに行きませんけれども、そのうちの何がしかをほんとうにこの債券を持つておりまする没落地主の人たちのために、働く村の農業協同組合、そういう方面にも三分のうちの幾らかを——私は半分以上お願い申しておるのでありますが、流していただけることになりますと、比較的スムースにこの償還が完了するのではないかと思います。その二つの点を特にお願い申し上げたいと思います。
  125. 伊原隆

    ○伊原政府委員 今お示しの第一点でございますが、お話の通り農地証券の所有者ば土地を売つた地主の方々である。かつ農地証券というものは従来証券業者等から、安く買い立てられているというようなうわさも出ておつたのでありますが、今回全額償還となるものでありますから、この趣旨ができるだけ徹底いたしまして、その前に証券業者が安く買つてしまうというようなことがないように、政府としてはぜひ努めたいと思つております。第三点の、これはたしか北拓と勧銀が農地証券の償還の事務を取扱うことになつておりますが、今度は今までのように五千円以下だけ返すということではなくて、全額返すということになりますと、手数もずつと省けることになると思います。しかし今仰せの通り、村の組合とか町の組合とかいうふうなものが、この償還機関たる勧銀、北拓に御協力くださいますことは、政府としても非常に望ましいことでございますが、ただ手数料の問題は、私詳細は存じませんけれども、北拓と勧銀に、手数料が国家の負担金として出ることに相なつておると思うのであります。その協力の度に応じまして、北拓、勧銀自体と組合との間でお話合いを願うというのが、よいのじやないかと考えております。
  126. 川島金次

    ○川島委員 勧銀と興業銀行の正副総裁、理事、これらの人たちは、いよいよこの法の実施とあわせて退任することになるわけであります。そこでちよつとお尋ねしますが、従来これら政府の任命であつた人たちが任期満了になつてあとでその銀行の株主総会において再選をされるということについては、何ら制限がないものかどうか。そういうことはなるべく遠慮させて行く方針で行くのか。その点をひとつ伺いたい。
  127. 舟山正吉

    舟山政府委員 もとの特殊銀行の役員の任命の形式につきまして、勧銀の例をとりますれば、正副総裁は政府任命で、理事につきましては株主総会で候補者を選びまして、その中から政府が任命するという建前であつたと思うのであります。特殊銀行を廃止いたしますると、今度は銀行理事者は株主総会から選出せられることになるのであります。今度の経過規定におきましては、新しい普通銀行としての理事者が選出せれますまでは、旧特殊銀行理事者はその地位にとどまるということを規定しておるのでございまして、旧理事有が新たなる普通銀行として理事者に選任せられることを禁止してはおらないのでございます。
  128. 川島金次

    ○川島委員 ちよつと横道に入るようですが、重要なことでありますのでこの機会にお尋ねしたいのです。政府はさきに日本銀行金融問題を重視いたしまして、昨年政策委員会を設置いたした。政策委員会ができてもうすでに相当な日月が経過しておるわけでありますが、どうも外から見て参りました感じからいたしますると、せつかくの政策委員会というものが、ややもすれば積極的な活動に欠けているのではないかという感じがいたす。従つて依然として政策委員会設置以前の日本銀行の形態そのままである。もつと端的に言えば、ほとんど一万田総裁の独裁的な形になつて、今日まで続いておるような感じがいたすのであります。言うまでもなく政策委員会は、日本資金に基いての全般的な金融問題について真剣な討議を行い、効率的な資金の融通をはかるということが大きな使命だつたと思うのであります。こういうふうに不活発になつた原因には、いろいろの理由があると思うのですが、政策委員会の事務局を持つておらない。あるいはまた委員会の構成自体にややもすれば民主的でないものが多くある。労資団体の代表などは入つておらぬ。中小企業の代表者も入つておらぬ。こういうような事柄から来ているのではないかと思うのです。しかし実際においてはこの政策委員会が設置されまして以来、どのような活発な積極的な実績を残して来ておるかについて、所見がありましたならば、この際伺つておきたいと思うのであります。
  129. 舟山正吉

    舟山政府委員 政策委員会の発足以来の実績につきましては、法律規定によりまして、年次報告を国会に提出いたしましてごらん願うことになつておりますから、その際にまとめて御説明申し上げた方がよろしいかと存じます。ただ政策委員会が発足いたしましてから、きわめてじみな存在ではあつたかもしれませんが、大蔵省と日本銀行との間に立ち、かつ外界人を加えることにより、産業その他の民間の空気も日本銀行の営業の上に反映せしめる上において、相当の功績を残しておるものと考える次第でございます。
  130. 川島金次

    ○川島委員 その報告はいずれあるという予定でありますれば、われわれはその機会にまた検討いたしたいと思います。次にこれもついででありますのでお尋ねいたしますが、政府の今度実施いたしまする住宅金融の問題であります。この事柄は、われわれの立場からいたしましても、最近にない出色の政策のうちの一つであろうと、正直にわれわれも認めておるものであります。しかるところこの住宅金融公庫の金融を受ける側におきまして、いろいろな希望や意見やいろいろな世評が上つておるのであります。中にはこの住宅金融公庫の金融先につきましては、府県もしくは市町村団体を通ずることを建前とする。従いまして個人の個々の申入れに対しては第二義、第三義にするのではないか、こういうような問題が論議をされておるのでありますが、そういう点については、政府当局としてはどういう方針で、この住宅金融公庫の活用をして行かれるというつもりでありますか。その点を明らかにしてもらいたいと思います。
  131. 舟山正吉

    舟山政府委員 住宅金融公庫の運営につきましては、せつかく政府財政から巨額の出資もし、また見返り資金からも資金が出る見込みでありますので、運営よろしきを期したいと存ずるのでございますが、ただいま御質問のありましたように、公共団体の方を優先して、個人の方をあとにするのではないかというようなことは全然考えておりません。それから公共団体が公営住宅として設置する線と、住宅公庫が私人の住宅建設に対して資金を貸与するという線とをはつきりわけまして、地方公共団体が公営住宅を設置するためには、公共事業費から国庫補助が出る建前になつておるのであります。従つて金融公庫の方からは、個人に対してこの住宅資金供給するということで参る予定になつております。
  132. 川島金次

    ○川島委員 その場合に、たとえば従来公務員であつた人たちが退職をしてその退職者が組合をつくる。現にその退職者の中には借家で居住するところの人もある。あるいはまた官舎におつて、追い立てられてやがて出なければならぬような人たちもありますが、現に借家を持つておるそれらの個人もしくは退職者等の人たちが、特定の自分たちの力で組合をつくつて、そこでもつてそれを中心として住宅金融公庫の金融を受けるというような事柄については、積極的に政府はそれらに対する融資を優先するというような方針があるかどうか。このこともあわせてお尋ねしたいのであります。     〔委員長退席前尾委員長代理着席〕
  133. 舟山正吉

    舟山政府委員 住宅金融公庫の金は、個人で家を建てるときに貸すのが建前でありますが、回収の便宜等を考えますと、それらの金の借り手が住宅組合のようなものをこしらえて一括申込むとか、また資金の元利の返済も組合からやるという方が便利であるという論も考えられますので、組合による申込みというものを認めているわけでありますが、組合をこしらえたものを優先さすという精神は、決して盛り込まれてないのであります。
  134. 川島金次

    ○川島委員 この金融を受ける場合に、その受ける額は、住宅を建てる全額のたしか七割程度であろうと記憶いたしておるのでありますが、その場合に、住宅に対する標準的な一定の規模が政府にあつて、その規模に沿つておらない。たとえばひどくおそまつなもの、あるいはまたひどくりつばなもの、こういうものがさだめし実際の上においては出て来るのではないかと思いますが、そういう事柄について政府においてこの住宅金融をする場合には、坪どのくらいの程度とか、あるいはどういう用材を使わねばならぬとかいうような一つ標準などをもつて、これに臨もうというような考え方かあるわけですか、その点についてはどういうふうに考えておられますか。
  135. 舟山正吉

    舟山政府委員 住宅金融公庫の問題は建設省と大蔵省の共管になつておりますが、建設省側の意見といたしましては、せつかく国費をもつて住宅を新築するのであるから、防火その他の問題について、あまりマッチ箱のような家を建てて、まだ日本の住宅は依然として改善されないというようなことを言われることのないように、この機会にコンクリートづくりを奨励するというような住宅政策を加味して参りたいといつたような考えもあるようでございます。その資産貸出し方針というようなことにつきましては、具体的には大体の打合せをしておりますが、結局は公庫か発足いたしましてから、公庫の理事者においてきめて行くべきことであろうと思うのであります。ただこの資金を借入れるにつきましては、坪数の制限とかあるいは住宅の資材の規格というものについて一定制限を設けまして、決してぜいたくなものはつくらせないようにいたす予定になつております。なお自己資金を増加させることよつて、措り手の方も自分の家に住んでいるのだという感じで、家を大事にして行くだろうというような思想も織り込まれておるわけであります。
  136. 川島金次

    ○川島委員 それから最後にもう一つお聞きしたいのでありますが、ここへ今全国の主要銀行勘定か資料として出て参りましたか、これと先般の資料と照し合せなければちよつとわからないのですが、最近特に問題になつておりまする有力銀行預金あるいは貸出し、それに伴う金融支配の問題が論議の焦点となつて来ておるのであります。この表によりまして両方を照し合せまして、有力銀行といわゆる地方銀行との貸出しあるいは預金関係、そういう比率はどういう形になりますか。もしそちらに計算したものがありましたら、この際聞かしてほしいと思うのであります。
  137. 大月高

    ○大月政府委員 ただいま具体的な数字はあるのでございますが、手元に持つておりませんので、大体の私の感じだけを、申し上げますと、全国で八大銀行がございますが、資本金におきまして大体二三%くらいになつていると思います。それから店舗の数あるいは職員の数におきまして、おおむね二十三、四パーセント程度でございます。それから貸出しにおきましては、八大銀行において四十四、五パーセントのところを占めておるかと思います。預金額においてもほぼ同額でございます。その程度のことでございます。
  138. 川島金次

    ○川島委員 問題となつておりますのは、この八大銀行日本の産業に君臨して、金融支配の力を振つているというようなことについて、いわゆる金融の民主化の点から論議が行われている。ことに最近ではイギリス側から、また再びむし返されての論議が出ているようでありますが、この数字から見まして、あの問題に対して政府当局はどのような見解を持つておりまするか。これは事務当局にお伺いすることは妥当ではないと思うのでありますけれども、その所見を発表できますれば、この際発表してもらいたいと思います。
  139. 舟山正吉

    舟山政府委員 大銀行と地方銀行との比率はいろいろの面に現われて参ると思うのでありますが、預金貸出しの面、それから店舗の面、従業員の数の面、これらにつきましては、銀行全体の比率が戦前からずつと下つておると思います。そういう統計もあるのでございますが、ちよつと手元に持つておりませんので、抽象的に申し上げますが、大銀行の株主というものも分散され、財閥の手から離れておりまして、今後は純粋な金融機関として発達して行くであろうと思います。また店舗の問題につきましては、大銀行には大体都市を中心とする金融を営ますという意味におきまして、地方の店舗というようなものは、逐次配置転換を行わしめて行つたらよいのではないかと考えております。ただ融資の金額等の点になりますと、大銀行と小銀行とがありますことは、企業に大規模のものと中小規模のものとがあるということから、大規模の金融には勢い大口の融資が必要であるという結果になつて参りますので、大銀行が主としてそれに参加するというようなことは、やむを得ぬ自然の道行きかと考えます。しかし独占とか、大産業優遇とかいう弊の出て来ないようには十分気をつけておるのでございます。
  140. 川島金次

    ○川島委員 この八大銀行に、預金においても半分近い金が集まつて来るということは、信用その他店舗の位置等いろいろの事情でやむを得ぬことではありますが、しかしこういう数字から見ますると、地方銀行が、地方における資金を地方に十分に役立たせるという方向には、どうしても障害になるということは事実だろうと思うのであります。そこで今局長の申された通り、大銀行の都会地集中ということと、できるだけ地方における店舗の配置転換を行つて行こうという趣旨には、まつたく私も同感であるのですが、その店舗の配置転換のほかに、地方の資金がいたずらに中央の大きな銀行にのみ集まつて、それが大企業にのみ集中して行くということは、地方の産業の上におきましても、また地方の銀行の育成の上においても、非常に問題であろうと思うのであります。ことに最近のように、地方中小企業の大部分が非常な金融難に陥つている段階におきましては、一層その弊を著しくいたしまして、地方の資金が都会に集中されるために地方の中小企業が受けられるべき資金が、融通を受けられないというような形になるのでありまして、その事柄について、単なる店舗の配置転換のみでなく、さらにもう一段の積極的なくふうがこの際必要な時期になつたのではないかと、実は私どもは考えておるのであります。その点については、もう一歩進んだ考え方を政府は持たれておるのかどうか。もし方針がありましたならば、この機会に示しておいてもらいたいと思うのであります。     〔前尾委員長代理退席、委員長着席。〕
  141. 舟山正吉

    舟山政府委員 地方の資金が中央に集まり過ぎないようにという配慮につきましては、特に何らかの機構を必要とする問題でもないというふうに考えておりますので、現在のところ特に対策を考えてはおりません。
  142. 小山長規

    ○小山委員 さつきの大臣の答弁にからんで少し疑問の点がわいて来ましたので、一、二点局長からお答え願いたいと思います。  一つ見返り資金が引受けるところの優良株の配当の問題であります。最初七分五厘というお話でありましたが、大臣の答弁によりますと、必ずしも七分五厘でなくつたつていいのであるということであります。そういたしますとたとえば勧銀、北拓、興銀等の優先株の配当割合と、農林中金とか商工中金とかいうものとの割合との間には差異があつてもいい。つまり農林中金商工中金の場合、利益関係等からいつて若干の優先配当率は低くてもいいというふうにお考えになつておられるのか、それを伺つてみたい。
  143. 舟山正吉

    舟山政府委員 見返り資金の利率は逐次下げて行くように努力したいと思うのでございますが、これを昨年あたりの例によつて見ますると、農林関係に行く資金だからといつて、他の私企業に行きます分の利率よりも下げるということは認められなかつたのであります。その趨勢から申しますならば、相当の困難はあろうかと思いますが、特に農林関係には低利資金が必要だという事情は十分認められますので、なお研究の結果いろいろ努力してみたいと思つておる次第であります。
  144. 小山長規

    ○小山委員 それではこの預金部の方の利率は政府の自由になると思うのでありますが、預金部が引受けるところの債券については、若干の差を設けてもいいというふうにお考えになつていますか。伺つておきたい。
  145. 舟山正吉

    舟山政府委員 戦前におきましては預金資金を根源といたしまして、低利長期資金を農村関係には十二分に提供できたのでありますが、今後の農林金融のことを考えますと、できれば預金資金は低利で、そちらの方面に流したいとも考えるのであります。しかしただここで問題となりますのは、農林中央金庫に対して、そういうふうな特殊のフエーヴアーを与えるということが、認められるかどうか。このごろは金融機関はあくまでも平等無差別という建前をとつております点から見て、それが可能であるかどうかということは今後研究を要する点であると考えております。
  146. 小山長規

    ○小山委員 預金部の金はおそらく大蔵省の預金部運用計画によつて、赤字が出ないとかいうような見通しがつけば、ある程度の了解が得られるのではないかと思いますが、その点には一段の御努力をお願いしたいのであります。  次にただいま手元へ参りました特別銀行の株主の欄の種類別を見て、実は感じたのでありますが、先ほど川島委員からの質問の場合に、今度の三特殊銀行の総裁については、何ら政府から干渉するものではないというお話でありましたが、これで見ますと勧業銀行の場合には、大蔵大臣が相当な株を持つていらつしやる。そうすると勧業銀行の場合には、株主権の行使として大蔵省の発言が出て来る。興銀や北拓の場合には表には出ておりません。あるいは若干あるのではないかと思われますが、そういう株主総会における株主権の発動という形においても、何ら干渉されないおつもりでありますか、伺いたい。
  147. 舟山正吉

    舟山政府委員 勧業銀行の株式について大蔵大臣が株を持つておりますのは、物納の関係でございます。民間の会社の株を大蔵省が持つております場合は物納の関係で、ほかにもあるのでありまして、そちらの関係のことにおきましては、大蔵省は株を持つておるからといつて、決して経営に干渉しないという建前をとつておりますので、この場合にも新銀行の人事について、もちろん干渉する意思は、ございません。
  148. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと大株主の配列を見て行きますと、興業銀行の場合には総裁、副総裁を選ぶことになりそうでありますが、勧銀と北拓の場合は証券会社が主たる発言力を持ちそうであります。そういうふうになつても一向さしつかえない。証券会社が選んだ総裁であつてもよろしいというふうにお考えになつているわけでありますか。それとも何らかそこには金融機関でありますから、公正妥当な無色の人が出て来てほしいということで内面指導されますか。あわせてお伺いいたします。
  149. 舟山正吉

    舟山政府委員 これら大株主として名前は出しておりますが、いずれもその保有する株式は全体の株式に比べればパーセンテージが低いのでございまして、これらの株主が力を合せまして人事について発言するということでありますれば格別、新銀行の人事がこれらの人々の一考によつて決定するというふうには、認められないと存じます。
  150. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 前の委員がダブつて質問したのじやないかと思うのでありますが、この特殊銀行一般の市中銀行にこういう債券発行を認められるということになると、市中銀行と特殊銀行の区別のつかない状態になりまして、銀行法を一部改正しなければならぬという心配が生ずるのではないかと思いますが、いかがでありますか。
  151. 舟山正吉

    舟山政府委員 この法律によりまして銀行というものの考え方には、従来も相当変化があつたことは認めざるを得ないのでありまして、また一方において特殊銀行という観念は廃止せられまして、普通銀行一色ということに相なるのでございます。
  152. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから農林中金債券発行を認めるという場合に、往々にして地方の農業協同組合に半ば義務づけられて引受けせられる心配があるのじやないか。君方に貸すのだから、この県の割当はこのくらいだ、このくらいの債券は引受けられるということになると、地方の信用組合あたりが金の面において預金が相当少くなつて、個人の融資状態が非常に悪くなるのではないかという心配なんですが、この点いかがですか。
  153. 舟山正吉

    舟山政府委員 農林中金の自己増資の問題は、これは中金自体の問題でございまして、政府は少しも干与、干渉いたしておりません。また農林中金といたしましては資金量も非常に多くなつておりますから、自己資本はできるだけ標準に達することは望ましいということは申せると思います。
  154. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この債券発行政府が許可を与えるという場合に、この支払いに対して政府で補償するものでしようか、どうでしようか。もしこれを許可なさる場合に、預金部の資金をつなぎ資金に利用することができるかどうか。
  155. 舟山正吉

    舟山政府委員 第一の御質問は、これらの銀行発行する債券政府が補償するかということでございますが、現在は政府はそういうものに補償ができないことになつておりまして、補償する予定はございません。それから次に預金資金を、債券発行までつなぎ資金として出すかというお尋ねでございますが、債券発行に至りませんでも、できるだけ早くこの法律趣旨が認められますならば、これらの銀行には発動してもらいたいという趣旨をもちましてすでに政府預託金の余裕金の銀行に対する預託につきましては、勧業銀行には、二十億、北海道拓植銀行には五億円の預託をしておる次第でありまして、今後債券発行せられますまでには、できるだけこの種の機能を早く発揮してもらいたいというように考えております。
  156. 奧村又十郎

    ○奧村委員 ただいまの宮腰委員の御質問に対して、債券に対しては何ら補償しないということでありますが、今回非常に債券額が多くなりしかも無担篠でやる。そういたしますと、普通の社債券よりもつと薄弱な危険なものになる。しかもこれを政府が今後国債にかわるべきものとして日銀あたりで取扱わせようとしているということに、非常に私は不安があり矛盾があると思いますが、この点いかがでしようか。
  157. 舟山正吉

    舟山政府委員 債券発行によりまして得た資金銀行が運用するにあたりましては、不動産抵当あるいは財団抵当、その他十分の担保をとらなければなりませんし、また今後の銀行指導上、それを十分にとらすというふうに行くべきだと思うのであります。そういたしますれば、債券発行による負債と、資金運用によります投資資産の方とが見合いますので、債券所持者に対する不安というものはなくなるのではないか。これは要するに今後におきましては、当局といたしましては銀行検査を励行いたしまして、銀行の内部充実、資産の保全ということに力を尽さして行くべきであると考えております。
  158. 奧村又十郎

    ○奧村委員 しかしその点については先ほどもお話のように、特別な監査は債券発行銀行に対しては、していないというお話でありますが、それではこの債券発行銀行には、銀行監査の面において何か特別に政府として監督をなさるのでしようか。
  159. 舟山正吉

    舟山政府委員 債券発行をするがゆえに、その銀行に対して特別に検査をするのではございませんで、今後はすべての銀行に対する検査一般につきまして、検査機構も充実し、できれば毎年一回の定期検査を確実に実行するというところまで、持つて行きたいと考えておる次第であります。
  160. 奧村又十郎

    ○奧村委員 商工中金は現在の一億五千万円から五億万円に増資する。この増資の割当は政府の方で指導なさるのでありますか。これの計画があつたらお知らせ願いたい。
  161. 舟山正吉

    舟山政府委員 これは中金当事者にまかしてあるのでございまして、政府の方で干渉はいたしておりません。
  162. 奧村又十郎

    ○奧村委員 農林中央金庫も四億から八億になる。これもおまかせになることになるのですか。そこで農林中金なり商工中金法律改正が今会期中に必要になると思うのですが、この点いかがでしようか。
  163. 舟山正吉

    舟山政府委員 農林中金についても政府は干渉いたさないのであります。それから法律改正の問題でありますが、農林中金の増資は現行金庫法の認可事項として実行可能であります。
  164. 奧村又十郎

    ○奧村委員 しかし現行農林中金法律を見ますと、私は詳しくは見ておりませんが、大体出資の割当についても一応一通りの規定をしてあるようでございますが、今度はその規定を取除くということになるわけですか。
  165. 舟山正吉

    舟山政府委員 ただいま取調べまして、お答え申し上げます。
  166. 奧村又十郎

    ○奧村委員 これは以前からたびたび問題になつておりますが、金融債券の利率の問題であります。先ほども小山委員からお尋ねになりましたが、少くとも預金資金で持つ債券については、利率をある程度低めたらどうか。また農林中金あたりに対しての債券については特に、考慮したらどうか、こういうことを私も考えるのでありますが、これは重ねて御答弁がありましたので、御答弁によつて話を進めたいと思います。そうしますと債券の利率は、大体一般市中銀行が自由意思で持つことになる利率、これが基準になると思いますが、その通りですか。
  167. 舟山正吉

    舟山政府委員 従来は市中消化と預金資金引受の場合とは、あるいは利率をかえておつたかと記憶いたしますが、今後は市中消化の分は市中利率によることは当然の要請でございます。預金資金につきましては、預金部経理状況ともにらみ合せまして、できるだけ低利な方が望ましい。その際に私が申し上げましたのは、特殊の債券の引受について、そのレートを適用することが許されるかどうか。そこには若干の疑問があるかと存ずるのでございます。
  168. 奧村又十郎

    ○奧村委員 それで債券によつてこれらの銀行資金を得る。それからこれを貸上出すについて資金コストと貸出しとのさやは大体どのくらいとお考えになりますか。
  169. 舟山正吉

    舟山政府委員 長期貸出しの金利につきましても、これは市場に大体一定標準ができるわけでございます。たとえば現在は一年程度の貸出しにつきましては、日歩三銭という金利を興業銀行で採用しておるのでございますが、これらと横の権衡を保ちながらおのずから基準ができる。今度の債券発行によります債券は、もう少し長いものになろうと思うのでありますが、それらは横の権衡をとりましてきめて参りたいと考えております。
  170. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私のお尋ねいたしますのは、ただいまの御審議によつても大体予想される利率によつて銀行資金を集める。たとえば農林中金がそういう資金をもつて長期貸出しをした場合、相当高い利率の貸出しになりはしないかという不安を持つのでありますが、この点はどうですか。大体今度の金融発行によつて農林中金はどの程度の貸出し利率になるか。
  171. 舟山正吉

    舟山政府委員 具体的な利率についてはまだきめておりませんが、しかしただいまも申し述べましたように、現在出ております興業債券の利率、これは四月から一段と引下げる方針であります、金利全般につきまして引下げの努力をしているのでありますが、御指摘のごとく三銭程度長期金利というものは非常に高い。理想といたしましては、戦前の程度に早く引きもどしたいというようには考えておりますが、これは一がいにこの債券資金から始めるというわけにも参らぬかと存じます。
  172. 奧村又十郎

    ○奧村委員 私のお尋ねしたことについては、どうもまだ満足した御答弁がいただけないと思うのですが、この農林中金の貸出しについては、特に現在でも高過ぎるという声があるのです。今の政府の御答弁よつて大体予想される今後の農林中金の貸出し利率が、かなり高いのじやないかという私は不安を持つのですが、今大体どのくらいで貸し出せるとお考えになるか。それをお尋ねしたい。
  173. 舟山正吉

    舟山政府委員 まだその辺のところは見込みを立てておりません。
  174. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  175. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もう一点お伺いしたいのでございますが、勧業銀行が今度廃止になるという廃止法案が出ております。今まで勧業銀行の機能というものは不動産金融関係であつて地方で非常にこの銀行の恩恵を受けておつた農家が相当あつたのですが、今回これを廃止した場合、不動産金融銀行というものがなくなるのでしようか、どうでしようか。
  176. 舟山正吉

    舟山政府委員 勧業銀行は、従来は不動産専門機関でございましたが、一昨年の再建整備以来、再建整備計画によりまして、普通銀行にかわつておつたわけであります。従つてその後は債券発行せず、その融通する資金は短期に限るという建前をとつておつたのでございます。それが今度の債券発行によりまして、不動産金融も再開し得るという体制になつたのでございます。     —————————————
  177. 川野芳滿

    川野委員長 それではただいま議題となつております両法案に対する質疑は後日に譲りまして、解散団体財産収入金特別会計法案議題として質疑に入ります。川島金次君。
  178. 川島金次

    ○川島委員 ちよつとお尋ねします。この参考資料によりますと、国庫に帰属した財産の中で、処分済みの財産が二千九百五十一万、ところが管理費は二十四年度で三千七百三十八万円で、えらく管理費がかかるようになつでおるわけですが、これはどういう事情でございますか。さらに二十五年度はどのくらいの管理費が予定されておるのですか。
  179. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 大体資料について御説明いたします。はなはだ不十分な資料なのでございますが、今たしか二千九百万とおつしやいましたが、土地建物は一緒に売却いたします関係で、ちよつと区別ができませんが、これを合せましたものが六千四百三十万九千四百七十三円ということになります。それにその下にあります動産が、千四百三十九万円、それから有価証券が二百三十五万六千円、それに現金及び預貯金が一億円でございます。それで、これらを合計いたしますと、一億八千九百万円に相なります。それでそのうちから承認債務として出ております二千九百五十一万円をとりまして、なおそれに一般会計の方は、下にございますが、二十三年と二十四年——二十四年はまだ実績がわかりませんので、予算額になつておりますが、この合計が三千九百四万四千円になります。結局一般会計分と承認債務の二千九百万を引きまして、なお六千八百万円になります。
  180. 川島金次

    ○川島委員 この管理費というのは常識的に私は考えているのですが、財産の管理に要する費用である。帰属した財産の全額というものははつきりしている。それで処分がだんだん延びて行くような形になつて長くかかるようなことになると、管理のために元がなくなるという形になるおそれがあるのですが、どうしてこんなに管理費というものはかかるのですか。
  181. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまこれを実際に管理いたしております法務府の方の方針といたしましては、本年一ぱい中にこの財産を全部処分するという予定になつております。
  182. 川島金次

    ○川島委員 この承認債務というのは、解散を受けた団体の債務考えるのですが、これは財産を処分したときに政府が承認した債務は差引いてやるわけになるのですか。
  183. 池川良正

    ○池川説明員 さようであります。
  184. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑ありませんか。
  185. 前尾繁三郎

    前尾委員 ただいま議題となつております解散団体財産収入金特別会計法案につきましては、ほかに質問もないようでありますから、これをもつて質疑を打切りたいと存じますが、お諮りを願いたい。
  186. 川野芳滿

    川野委員長 前尾君の動議に御異議ありませんか     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから解散団体財産収入金特別会計法案に対する質疑は終了といたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時五十八分散会