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1950-03-15 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十五日(水曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 長規君 理事 島村 一郎君  理事 前尾繁三郎君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 河田 賢治君 理事 内藤 友明君       岡野 清豪君    奧村又十郎君       高間 松吉君    田中 啓一君       苫米地英俊君    三宅 則義君       田中織之進君    宮腰 喜助君       竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君         大蔵事務官         (理財局総務課         長)      酒井 俊彦君         造幣庁長官   松崎 健吉君  委員外出席者         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  米国対日援助見返資金特別会計からする電気通  信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対  する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金  に関する法律案内閣提出第六五号)  造幣庁特別会計法案内閣提出第六八号)  財政法の一部を改正する法律案内閣提出第七  三号)  米国日援助物資等処理特別会計法案内閣提  出第七四号)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四四号)(参議院送付)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  造幣庁特別会計法案議題として質疑を続行いたします。小峯柳多君。
  3. 小峯柳多

    小峯委員 第二條造幣庁事業の中に、貨幣、章はい、記章、極印その他いろいろ書いてありますが、こういう事業金額で見て、それぞれどのくらいのパーセンテージになつておるのか。それによつて造幣庁事業の輪郭がわかると思いますが、お伺いいたしたいと思います。
  4. 松崎健吉

    松崎政府委員 お答えいたします。第二條にいろいろの事業内容が書いてございますが、それを金額的に説明させていただきます。  二十五年度の歳入予算をとつて数字を申し上げますと、貨幣製造が圧倒的に大きな部門を占めておりまして、これが金額で六十四億円になつております。金属加工関係、すなわち赤十字の有功章であるとか、その他美術の章はい、これが三千百万円、鉱物の分析あるいは品位証明というようなものがありますが、これが約千百万円、それに貴金属地金配給業務をやつておりますが、この配給業務と申しますのは、金属特別会計の分派的な仕事でありまして、歳入歳出とも相当に大きくなつておりますが、これが十一億七千百万円、大体大きな四つの事業を申し上げますと、そういう関係なつております。
  5. 小峯柳多

    小峯委員 ただいまの数字は、これは普通の商売でいつて、いわゆる売上高になる数字だと承知してよろしうございますか。
  6. 松崎健吉

    松崎政府委員 そうです。
  7. 小峯柳多

    小峯委員 貨幣六十四億売り上げてそれから上る利益というものはどのくらいになるのですか。
  8. 松崎健吉

    松崎政府委員 お答え申し上げます。六十四億と申しますのは、内容から申しますと、大体十円の貨幣が六億枚で六十億であります。それに五円の貨幣が五千万枚、一円の貨幣が一億五千万枚、枚数で申しますと計八億枚であります。それの名目価格が六十四億になるわけであります。利益の方から申しますと、従来は発行価格相当するものから製造費地金の代価を差引いたものをもつて益金にしておつた。ところが二十五年度の予算から、今回提案になつております特別会計法によりまして益金というものを見ない。すなわち発行価格から製造費相当するものを差引きましたものを、一般会計からの繰入れによつてまかなう。それで発行価格相当するものは、貨幣回収準備金という特別な資金を設けまして積み立てておるわけであります。将来その貨幣回収した場合には、その資金から拂い出すということになつておりますので、貨幣に関する限りはいわゆる益金というものを見ておらないということでございます。その他の事業におきましては、それぞれ独立採算的な見地から、少くとも収支に合致しております。益金をいつも多少でも上げで参るということにとりはからつております。
  9. 小峯柳多

    小峯委員 貨幣に関する限り益金がないというふうな御答弁ですが、それ以外のもので大体収支とんとんになる。そこでお伺いいたしたい点は、どうもやはり役所仕事というのが、社会的な通念からいつても、現実の問題からいつても、非能率的あるいはひとりよがりの製造品になるというようなことが、一般に想像されるのでありますが、こういう草はい、記章などをつくる場合に、一般民間企業と比べて、あなたの方はよい品物をつくる自信があると考えておられるか。一般の品との比較においてにらみ合せてやつておられるか。造幣庁という看板だけで、いわゆるお役所の権威に隠れて高いものを押しつけるというような傾向はないかどうか、この点について御答弁願いたいと思います。
  10. 松崎健吉

    松崎政府委員 お答えいたします。先ほど私が御答弁いたしましたのが非常に簡單で、全部を盡しておらぬと思いますので、ただいまの御質問にお答えしたいと思います。実は貨幣製造に関する益金の問題でございますが、これはいろいろ原価計算から申しまして複雑な過程を経るのでありますが、私の方ではなるべく一般会計からの繰入れを少くしたいというので、安くできますれば、できるだけ一枚当り單価を引下げまして、繰入れをして行きたい。そうして二十五年度に繰入れております金額單価も、昨年度あたりから見ますと、二、三割低い單価で繰入れております。それは貨幣枚数が非常にふえて来たことと、一枚当り單価が安くなつたという関係もありますが、一面非常に能率を上げております。たとえて申しますと、二十四年度すなわち今年度におきましては、すでに御承知と思うのでありますが、貨幣は五円と一円の両方を入れまして、三億九千万枚の計画であつたのであります。しかもこれに要する人員は、行政整理前の人員相当大きな人員を擁しておつた。そのために貨幣一枚当り單価も非常に高かつたのであります。ところが二十五年度におきましては、先ほど申し上げましたように、一挙に二倍以上の八億枚をつくる。しかも人員行政整理によりまして、三割の定員の減少を来した。その人数で製造に当るわけであります、そのために一人当りの一年の製造枚数というものは約二倍くらいになつております。すなわち能率増進によつて貨幣コストが非常に下つておるのであります。昨年度の資金を申しますれば、十円の貨幣で、二十五年度予算において、一枚当り一円八銭ということになつておりますが、昨年は洋銀はやつておりませんから、黄銅から考えますと、これがおそらく一円五、六十銭くらいになつておるのではないかと考えておるのであります。黄銅にしますと、洋銀より加工が非常に困難でありまして、手断もよけいかかつて、おそらく洋銀の一枚当り製造費より、同じものを黄銅でつくりました場合には五割くらいよけい手数がかかりますが、洋銀のものを六億枚も入れまして、八億枚つくるのでありますから、その点は非常に能の改善、その他経費節約を実現しると思つております。それから御質問貴金属加工品の問題でありますが、これは私の方は往年勲章を非常に大量につくりまして、技術研鑚いたまして、相当技術的な自信を持つておるのであります。将来外国向け輸出品、あるいは外国からの勲章の注がありました場合には、この保有しております技術を十分に生かして、国策に寄與したいと考えておるのであります。ところが現在の情勢は、そこまで行つておりませんので、なるべく技術保存という意味で、仕事をやつておるのであります。もつとも貨幣の方が非常に忙しいので、行政整理直後章はいあるいはメダルというような、製造部門人員を半分ばかり減らしまして、貨幣部門配置転換をいたしております。そんな関係で、人件費その他も極力節約いたしておるのであります。民間品物と比較してどうだというお話でありますが、これはコストにおきましてもほとんど遜色ないと思います。品物品質から申しますれば、とうてい民間の追随するような程度ではありませんで、かなり群を拔いておるつもりであります。品物はしろうとはなかなかわからないのでありますが長く使用するうちに、さすが造幣庁の製品は違うということを現に言われております。将来もそれだけの自信を持つておるのであります。簡單でありますが、お答えいたします。
  11. 小峯柳多

    小峯委員 それから十円、五円、一円の貨幣製造原価でありますが、地金の値段を入れて、補助貨幣の常として当然額面価額より低いはずでありますが、地金評価基準を一応御説明願つて額面価額製造原価との違いをお教えいただきたい。
  12. 松崎健吉

    松崎政府委員 まず十円からお答えいたしますと、十円の洋銀地金代、すなはち材料費の方は二十銭五厘であります。それから加工費の方が、七十八銭五厘、それに造幣庁本庁一般管理費的なものがございますので、それが九銭強、以上の三つを合計いたしますと、一枚当り一円八銭三厘九毛という数字になります。五円の方を申しますと、黄銅材料費が十八銭七厘、加工費が五十九銭六厘、一般管理費が七銭強、合計いたしますと八十五銭四厘二毛であります。ついでに一円を申し上げますと、これも黄銅でありますが、材料費が十五銭九厘八毛、加工費が五十銭四厘、一般管理費が五銭五厘合計いたしますと七十二銭になります。従いまして製造費名目価値の差の一番大きいのはやはり十円でありまして、その次に五円、一円ということになつておりますが、一円をつくりましても、そこに二十八銭ばかりの差が出て来る、こういうことになつております。
  13. 小峯柳多

    小峯委員 貴金属配給業務に関してでございますが、配給業務審査費関係、これはどういうふうになつておりますか。
  14. 松崎健吉

    松崎政府委員 貴金属配給業務は、実は私の方では政策的なことをやつておりませんで、政策的なことをやつておりますのは、大蔵省本省理財局管理課関係なつております。私の方は貴金属地金を取扱つております関係で、すべて配給業務の現場的な仕事をやつておるわけであります。従つて政策的な部面につきまして、ちよつと御答弁いたしかねると思いますが、実際の動きといたしましては、私の方で一定拂下げ所要量を見込みまして、これを貴金属特別会計の方からまわしてもらいまして、これを一般に配給しておるというような関係なつております。審査費の方は、今度貴金属管理法案が提案されることになつておるのでありますが、それによりまして私の方の業務といたしましては、民間から精製を委託された場合には、私の方で精製するというような業務を担当することになつております。政策的な部面につきましは、理財局の方ににお尋ねを願いたいと思います。
  15. 小峯柳多

    小峯委員 その配給業務で、企業的な企業はどのくらいあるものですか。それから手数料なんかの関係があると思うのですが……。
  16. 松崎健吉

    松崎政府委員 これはほとんど私の方はこれによつて利益を上げるということをいたしませんで、終始それに見合つているような関係なつております。数字を申し上げますと、先ほど申し上げました貴金属配給業務におきましては、歳入予定額が十一億七千百万円、これに対しまして歳出予定額が十一億六千五百万円でありまして、わずかその間造幣庁特別会計としての収支の差は五百六十五万円だけでございます。全体の会計から申しますと、ほとんど微々たるものでありまして、収支とんとん言つてもさしつかえないくらいであります。
  17. 小峯柳多

    小峯委員 しかしその差額手数料か何かということになるのですか。
  18. 松崎健吉

    松崎政府委員 この差額をもちまして、これは人件費も一応歳出予定額の中に見ておりますが、これは益金と見てさしつかえないと思います。
  19. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は二、三お尋ねいたしますが、私の心配しておりますのは、今度の造幣庁特別会計におきまして、資金関係でありますが、これについて資金は、固有資本減価償却引当金並びに借入金資本、また一般資金三つにわかれておるようであります。これにつきまして、相当数量準備ができておるはずであると思いますが、これは大蔵省の方でおわかりでしようか、承りたいと思います。
  20. 佐藤一郎

    佐藤(一)政府委員 今三宅さんの御質問のありました点、ちよつとはつきりしませんが、貸借対照表、それから損益計算書これらは二十三年、二十四年、二十五年について全部お手元にあります。
  21. 三宅則義

    三宅(則)委員 この資金関係におきまして相当余剰があつた場合には、特別会計に繰入れることはもちろんでありますが、また足りない場合には、そちらから持つて来なければならぬということに相なろうと思います。現実面におきましては造幣庁といたしましては、やはり独立採算というか、ある程度まで自分の力によつてまかなうというお考えであるかどうか。その辺を承りたいと思います。
  22. 松崎健吉

    松崎政府委員 ただいまのお尋ねに対しましては、私どもといたしましては、どこまでも特別会計である以上、独立採算的な見地で参りたい。今後の見通しといたしましては、大体製造計画が確定的にきまつておりませんから、はつきりしたことは申し上げられませんが、ただいま予定しておる貨幣製造をもつて今後参りますと、昭和二十八年度くらいになりますと、すでに貨幣回収準備金予定額をオーバーいたしまして、一般会計からの繰入れによらずして大体やつて行ける時期が参ると考えておるのであります。私の方では、会計法にありますように、原価計算その他を厳格にいたしまして、経費節約その他能率増進をいたしまして、十分に独立採算的にやつて参りたいと考えております。
  23. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこの前もお伺いいたしたわけでありますが、この硬貨につきましては、御承知通り非常にたくさんの種類がありまして、皆さんも迷惑しておるわけでありますが、今後ある一定の時期にこれを統一されますか。五十銭とか一円とか二十円とか十円とかいう形で、わかりやすいようにするのが根本であると思いますが、これに対して政府は何らか具体的にこの一、二年のうちに、こういう計画を遂行しようという御意思がありますか。その辺を承つておきたいと思います。
  24. 松崎健吉

    松崎政府委員 ただいまの御質問、まことに同感でございまして、ただいますでに御承知のように、金属貨幣が六十八種類ございます。流通上非常に不便の多いことは日々衆人の批判を受けておるところであります。政府といたしましては、なるべく早く新しい経済情勢に合うような硬貨を整備いたしまして、一面少額の実際流通上の役割を果しておらないものを、早く整理するということを今いろいろ計画しておるのであります。そのために、別途本国会にも国庫出納金端数計算法が提案されますが、これが成立いたしまして四月から施行されることになりますれば、それを機会にして五十銭未満の雑多な硬貨、いずれも同様であろうと思いますが、五十銭未満貨幣を全部ある方法によりして、少くとも一年間ぐらいの間に回収して参りたい。今私の方も参画いたしまして、大蔵省本省理財と案を練つておるところでございます。いずれまたそういう場合には、国民全体の御協力を得て、目的の完遂をはかりたいと念願しておる次第であります。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員 長くなりますが、もう一点であります。私はその回収せられる場合に、前の一銭とか五厘とかいうものと、今後これが一円になる場合のことについてでありますが、相当それについて過不足があり、またはその品質あるいはその実際の価格等においても、相当な値上りと申しますか、差額があると思いますが、そういう点について便法を講じまして、何とか流通貨幣回収されて、うまくやつてもらいたいと思います。それについてもう一度政府のお考えを承りたい。われわれはなるべく五十円とか十円とか二十円とかいうものを、極端に言いますと、わかりやすい貨幣に直してもらいたいという念願でございますから、雑多な五銭とか一厘とかいうものをどういうふうに回収して、しかる後に還元するか。この点を承つておきたいと思います。
  26. 松崎健吉

    松崎政府委員 小さな、雑多な貨幣回収につきましては、いろいろな案が考えられるのでありますが、これを迅速に、しかも民間にむりのないように回収するのが一番大事であると思います。そのために、巷間でもいろいろ案が出ておりますが、私の方も考えております。たとえば一つの試みの案として考えておりますのは、五十銭未満貨幣が約十五億円出ておりますが、これは小学校あるいは中学校のPTAの協力によりまして、各家庭のこまかい、たんすの中に寝ております、あるいは引出しの中で遊んでおるといつた貨幣を、生徒あるいは児童が学校に持つて参りまして、これを寄附する。そういたしますと、学校ではそれを銀行に持つて参りまして、普通の一円以上の貨幣と交換いたしましてそれを使う。こういうふうになりますと、貨幣の系列の整理ができるのでありまして、流通上便利である。それに伴つて地金相当回収されるのであります。たとえば黄銅地金だけでも三千トン以上のものが回収されるのであります。その他すず、亜鉛、アルミもまだ相当大きな数量がございます。それが国家的な見地から非常に活用される一面、六・三制の設備費の一部になろう、こういうことが考えられるのであります。その場合にプレミアム的なものをつけるかどうかという問題があるのでありますが、これは、そういつた趣旨で参りますれば、つけなくともうまく行くのではないか。また場合によりますれば、子供銀行を利用して貯金をさせる。子供銀行に貯金する場合に、そういう小金をなるべく持つて来させるということも一案であります。またかく多くの手を経なければなかなか回収できませんので、そういつた方法がただいまのところ考えられます。どういう案にしますか確定的な案はできておりませんが、いろいろ考えておるところであります。
  27. 小山長規

    小山委員 二点ばかり伺いたいのでありますが、補助貨幣発行高相当する金額回収のために、発行準備金として積み立てる。この制度をおとりになつた根本的な理由は、どういうところから出ておりますか。
  28. 松崎健吉

    松崎政府委員 先ほども小峯委員の御質問簡單にお答えいたしましたが、従前は貨幣発行価格相当する金額から、地金を越えました製造費を差引いたものを、特別会計預金部資金として積み立てたわけでありますが、将来回収します場合にはその資金回収して参る。ところが従来は幸いにいたしまして、発行した貨幣の一割あるいは一割五分ぐらいは、末回収終つてつたのであります。そのために、製造費は約一割かかりましても損失として現われなかつた。すなわち、たとえば百億円の貨幣発行いたしますと、製造費は約一割、十億円であります。ところが実際回収になりますのは八十五億程度でありまして、十五億ぐらいは未回収となるので、それが政府益金として製造費の十億をまかなつておるという大体の考え方で、またそういうふうに行つてつたのであります。これは理論的に考えれば不合理でありまして、どこまでも発行した貸出はいつか回収する。だから百億の貨幣発行いたしますならば、百億の資金を積み立てて、そのかわり製造費一般会計から繰入れてまかなう。もしも未回収益金が出ましたならば、それを益金として一般会計に返せばいいという考え方はいかがであろうか。結局は同じことになるのでありますが、理論的な考えから、一応製造費一般会計から繰入れることによつてまかなうということになつたのであります。
  29. 小山長規

    小山委員 その次に、ただいまの問題と関連してでありますが、製造費一般会計で負担するということになりますと、補助貨幣が非常にふえて製造費が非常にかさんで来た場合には、それだけ税金がふえるという理由論になりますが、これは一般会計で負担しなければならぬということになるのでありますか。
  30. 松崎健吉

    松崎政府委員 ただいまの御質問は、むしろ主税局からお答え申し上げる方が適当かと思いますが、便宜上私からお答え申し上げますと、年々補助貨幣製造発行されますと、その都度一般会計からの繰入れを仰ぐという関係なつておるのでありますが、この規定にもございます通り回収準備資金発行額を上まわつた場合には、これを製造費に充てますので、一般会計からの繰入れはそれによつて減殺されるわけであります。なお規定にございますように、貨幣回収準備資金預金部に預入して運用ができるのでありますから、金額相当大きいので、この運用益相当累積して参ります。そういたしますとある年度たちますと、一般会計からの繰入れなくして順次貨幣発行製造はまかなつて参れるという計算なつて来るわけであります。一般会計からの繰入れを多額に見ておりますのは、ここ数年の間と考えられるのであります。
  31. 小山長規

    小山委員 回収準備金発行高を上まわるという状態はどうして出て参りますか。
  32. 松崎健吉

    松崎政府委員 それはただいま申しましたように、回収準備資金預金部に預入して運用して参りますと、そこに利息がとれる。その利息がだんだん累積して参りますと、運用益ははばかにならぬ大きな数字なつて参ります。
  33. 北澤直吉

    北澤委員 造幣庁特別会計法案につきましては、大体質疑も出盡したようでありますから、この程度質疑を打切られんことを望みます。
  34. 川野芳滿

    川野委員長 北沢君の動議に御異議ございませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、造幣庁特別会計法案に対する質疑を終了いたします。なお本案に対する討論採決は、午後に譲りたいと思います。     —————————————
  36. 川野芳滿

    川野委員長 次に、米国対日援助見返資金特別会計からする電気通信事業特別会計及び国有林野事業特別会計に対する繰入金並びに日本国有鉄道に対する交付金に関する法律案、及び米国日援助物資等処理特別会計法案の両案を一括議題として質疑に入ります。
  37. 小峯柳多

    小峯委員 私も根本的な問題を二、三伺いたいのですが、最初に対日援助見返資金特別会計の二十四年度の現在の数字を伺いたいと思います。
  38. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまのお尋ねの点は、後ほど資料として差上げることにいたしまして、ごく簡單に申し上げますと、三月十四日現在でありますが、二十四年度当初からの貿易会計からの受入れが千二百十二億で、債務償還費といたしましては、予定として六百二十四億でありますが、そのうち五百六十億ほどは債務償還に使つております。公企業投資が二百七十億予定いたしておりますが、これはすでに全額出ております。それから私企業投資は、承認を受けましたものが二百八億で、うちすでに資金が出ておりますものが百六十八億、大体こういうことに相なつております。運用資金は二百十七億持つておりますが、その大部分すなわち百九十八億程度のものは、食糧証券運用しております。なお詳しいことは印刷にしまして、資料として配付することにいたしたいと思います。
  39. 小峯柳多

    小峯委員 食糧証券運用しておりますものを召めて、いわば余裕金でありますが、これをあとどういうふうに使うおつもりか。大蔵大臣説明ですと、相当額繰越すようなお話を承つておりますが、金融の非常に困難なときでありますから、十全の活用をしてしかるべきだと思いますが、そのお見込みを伺いたい。
  40. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいま申し上げました余裕金運用でございますが、それは御意見の通りこういう際でありますから、われわれといたしましてはなるべく解除してもらうように努力するつもりでございます。大体年度内に私企業投資といたしまして二百四、五十億のものは解除されるのじやないかと思つておりますが、結局二百三十八億程度のものは、やはり明年度に繰越すことになると思います。これは計画それ自体は一応承認を受けましても、現実資金が出て参ります手続その他のずれがございますので、若干の繰越しはやむを得ないと考えております。
  41. 小峯柳多

    小峯委員 計画はきまつてもずれがあるというお話ですが、そのずれこそなくしていただくのが一番必要な時期だと思いますので、どうしてずれが出て来るか。ずれの生じたゆえん、それをなくする見込みについてお伺いいたします。
  42. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ずれの出て参ります一番大きな原因は、計画は、一つの工事計画承認して参りますので、来年度分に工事その他がかかるものがございます。それは現実資金が必要になりましたときに、資金を放出して行けばよろしいのでありまして、そういう点で繰越しが相当出て来るということに相なろうかと思います。
  43. 小峯柳多

    小峯委員 あなたの運用の見込みのお話の中に入つて来ない点で、たとえば大蔵大臣がいろいろな談話をするようですが、証券の対策に使う資金計画がちらほら見えるけれども、そういうことを聞き及んでおられるかどうか、それを考慮に入れておられるかどうか、伺つておさたい。
  44. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまの証券対策にこれを使うかどうかということにつきましては、まだ具体的な案ができておりません。大臣からも特にお話もありません。
  45. 小峯柳多

    小峯委員 どうも高等政策なんで、事務的には御承知ないかもしれませんが、最後に一つ伺つておきたい点は、見返り資金の使い方が少し最近は様子がかわつて来た。私は、今日の経済政策の中では金融政策が非常に圧倒的な重さを占め、しかもその金融政策の中で見返り資金をどういうふうに活用するかということは、非常に重い役割を果すと考えておるわけであります。そこであなたが実際事務的に扱つておられて、この見返り資金の扱い方が少し様子がかわつて来た、いわば積極的にわれわれの手が及ぶようになつて来たという気がしないかどうか。これは御答弁しにくければあえて伺いませが、とにかくそういう大切な勘定を預かつておる人なのでありますから、どうかその点も心してお考え願いたいと思うのであります。
  46. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまの御意見は、われわれといたしましてもまことに御同感でありまして、今年度の財政資金の構造その他から考えますと、見返り資金運用が適切に参るということが、経済の正常な循環と申しますか、安定に一番必要なことでありますので、この運用につきましてはおつしやるような考え方で、われわれも事務的な面におきまして努力をいたしておるつもりでおります。なお努力の至りません点は、今後できるだけそういう御意見をくみまして善処いたしたいと思います。
  47. 川野芳滿

    川野委員長 内藤友明君。
  48. 内藤友明

    ○内藤(友)委員 私は一、二お尋ねいたしたいのでありますが、以前は、この金融の問題で一番私どもがやかましく議論いたしましたのは、復興金融金庫の事柄であつた。これがああいうふうなことになりまして、今日はまことにどうも影が薄くなつてしまつた。今度かわつて登場したのが見返り資金という問題なのであります。今も小峰君からお尋ねがありましたが、おそらく今後は、この見返り資金というものを通じて、日本の産業、経済というものに、いろいろな問題を投げかけるのではないかと思います。そこでひとつお尋ねしたいのですが、速記をやめていただきたいと思います。
  49. 川野芳滿

    川野委員長 速記をとめます。     〔速記中止〕
  50. 川野芳滿

    川野委員長 速記を始めます。竹村奈良一君。
  51. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私もはつきり申し上げますと、それが一番問題なのです。それがはつきりしてからぽつぽつ聞きたいと思つておりますので、その資材をもらいたいと思います。
  52. 川野芳滿

    川野委員長 北沢君は、きようはよろしゆうございますね。それでは三宅君。
  53. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は事務的なことでひとつ伺いたいと思いますが、ざつくばらんにお答えを願います。米国対日援助見返資金につきまして、ここに電気通事業とありますが、発電所とか電信、電話とか、明細な資料がありましたら承りたい。それからそのほかに、国有林野事業に使うということでありまして、概略は伺つたのでありますが、これももう少し明細に伺いたいと考えます。また日本国有鉄道に関するものも、どういう方面にこれを利用するかという事務的な資料も明細に承れればけつこうであります。
  54. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまお尋ねのありました点は、さつそく資料にして差上げたいと思います。
  55. 三宅則義

    三宅(則)委員 資料をいただいてから詳細に検討することになるのでありますが、大体一、二点だけ今日申し上げておきたいと思います。もちろんわが国の産業、経済のすべての基礎になるものは電源開発であり、これが中心になることはもちろんであります。これについては、相当恒久的な事業にも相なるわけでありまして、相当継続的にやらなければならぬと考えておりますが、今年度内に相当できるつもりでありましようか。あるいは長年かかるつもりでありましようか。そういう計画的なことも承れれば仕合せと考えます。
  56. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまお尋ねのありました電力事業に対する投資でございますが、これは本年度融資をいたしましたものの明年度への継続事業は、明年度分といたしまして百五十八億程度ございます。それから来年度若干また新規が出て参りますが、これは仰せのように、電力事業は大規模な長期に続くものでありまして、今年の工事もずつと明年度に尾を引いて行くわけであります。
  57. 三宅則義

    三宅(則)委員 電信、電話というものは割合に簡単と言つてはおかしいですが、電源開発に比べれば容易にできる事業だと考えます。電話は地方の農村都市に至るまで普及すべきものでありまして、これに対して政府準備せられておるものと思うのでありますが、いかがなものでありましようか。
  58. 酒井俊彦

    酒井政府委員 ただいまお尋ねのありました点は、電信、電話に関しまする予算で大体きまつておりますが、電信、電話の補修取替費といたまして、市内電話で二十三億、市外電話が七億三千万、電信関係が三億九千万、無線関係が一億三百万、それに資材関係の五千万といつたようなもので、合計で補修、取替が約三十六億。それから建設の方で、電信関係で三億五千万、電話関係が、これは新建設でありますが、九十一億、市内電話がそのうち五十一億、それから警察電話の関係が九千四百万、市外電話の関係が三十四億、その他合せまして、先ほど申し上げました九十一億、そのほか無線電信電話建設費二億、それに付属いたしまして局舎建設費二十二億、そういうものを含めまして、なお若干こまかいものがございますが、事業費といたしまして百五十九億ばかりございますが、それの一部を見返り資金で出す、こういうことになつております。
  59. 三宅則義

    三宅(則)委員 そういう明細書を資料としてやはりお配り願いたいと考えております。  次に国有鉄道でございますが、これはやはり管轄外かもしれませんが、電源開発と相まちましてたとえば今のところは東海道におきましては、東京から浜松は電気になつておりまして、浜松から米原まで電気にするとかいうことを言つておりますが、そういうようなものにつきましても、ぜひやつてもらいたいと思います。国有鉄道に対しまする建設改臭費につきましても、資料が、ございましたらひとつ承りたいと考えております。
  60. 酒井俊彦

    酒井政府委員 それではただいまお話のございました件につきましてやはり資料にまとめまして——その方が便利かと思いますので、配付することにいたします。
  61. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午前はこの程度にいたしまして、午後二時から再開することにいたします。     午前十一時五十一分休憩      ————◇—————     午後二時二十八分開議
  62. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  証券取引法の一部を改正する法律案及び財政法の一部を改正する法律案一括議題として質疑を続行いたします。竹村奈良一君。
  63. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この改正法律案によるところの一応の趣旨を聞きますと、たとえば大衆の投資を危険なからしめるということを一応の念願として本案か提出されたということでございますが、そこでひとつお聞きいたしたいことは、現在証券会社がずいぶん数多くあるのでありますが、大体全体でどのくらいあつて、そのうち証券の取引高、の多い証券業者、すなわちわれわれしろうとの間では大体四大証券会社とか、あるいはその次に来る六大証券会社とかいうふうに言われておるのですか、その人たちの扱つておる大体のパーセント等をお知らせ願いたい。
  64. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 現在証券会社の数は、これはたしか二月十三日現在でありますが、全国で千百四十七になります。それから大きな証券会社で、その取引高がどのくらいの割合を占めるかという御質問ですが、今手許に資料を持つておりませんが、いわゆる四大証券と申しますか四社、これが大体——もつとも取扱いの種類がいろいろ違います関係上、たとえば社債等の取扱いは大体四社を中心にしてやつておりますし、そのほかの株式ということになると、これは全体がやつておりますか、四立で社債も入れて約六〇%くらいは占めておると考えております。
  65. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この四大証券会社の取引高が、社債を入れると六〇%ということになると、これは相当大きなものであります。全体を申しましても、なかなかそう簡單に御調査でき得ないかもしれませんが、四大証券会社の資本金は一体どのくらいありますか。
  66. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 四社というのは御承知通り山一証券、野村証券、日興証券、大和証券で、各社おのおののく資本金は二億円ずつ合計八億円であります。
  67. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そこで日本の各銀行からこういう四社に融資せられておるのがどのくらいあつて、また銀行以外からの融資が一体どのくらいありますか。
  68. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 今詳しい資料を手元に持つておりませんが、銀行からの各社に対しまする融資は、決算面の話は別といたしまして、普通の融資においてどのくらい融資残高があるかということは、やはり各社の営業上の祕密というようなことで、ちよつと申し上げかねると思います。
  69. 竹村奈良一

    ○竹村委員 実はこの法案の趣旨から申しますと、先ほど申しましたように、趣旨としては一応証券の民主化をやつて大衆化したものを、大衆に迷惑をかけないためにこのような法律をこしらえるという趣旨でありますが、営業上のことで言われないということでございますけれども、たとえば決算を六箇月を一箇年に延ばされたということは、投資をする者の考えから申しますと、そういう点はなるべく詳細にわかつてつた方がいいと思うのであります。これはやはり大箇月にすえ置いておく方がいいのではありませんか。
  70. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券会社のおもな仕事は、証券投資者の委託を受けて株の売買を手数料をとつてやるというのが本体でありまして、証券業者の株自体を投資家が持つというようなことはあまりないのであります。それで証券取引委員会といたしましては、投資者すなわちお客さんを保護するという意味で、証券取引法の中で純資本額と外部負債の倍率の問題とか、あるいは支拂能力薄弱ということが検査の結果わかつたような場合には、営業の停止とか場合によつては登録を取消すというように、常に監督をいたしておるのでありまして、これはあくまでお客さんから預かつた株なり、あるいは金を返すことができないということにならないように、取締りをいたしておるのであります。それから決算を六箇月を一箇年としたという点は、御承知通り証券業者の営業というものは、時期的に非常に盛んなときとそうでないときとがあるのでありまして、そういうような意味で証券業者のいわゆる損益を調整するというような意味において、一箇年決算の方が証券会社の内容をよくする。言いかえれば、あるときには非常に利益が出て、利益配当を高額にしたり、あるいは軍役の賞與を多額にするというようなことは望ましくないので、景気の悪いときもいいときも調節した一年を通じた決算にする方が、証券会社の内容を堅実にする、こういうような意味で一箇年決算といたしたのであります。
  71. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この法案によりますと、たとえば資本金その他の面からながめて、大体過当な数量の取引をやつた場合とか、そういう傾向があつた場合に、証券取引委員会において登録を取消したり、営業を停止したりする條文がありますが、現在そういうようなきらいのある証券業者があるかないか。あるとすればどのくらいありますか。
  72. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 現在の証券取引法で、証券会社が過当な取引をするとか、あるいは不良た資産を持つてつたような場合に、将来そういう取引はやめさせるとか、あるいは不良資産の償却を命ずるという規定を設けたのでありますが、これは御承知通り現在の証券取引法では、この法律に基いた倍率を超過した場合とか、支拂い能力か薄弱になつたような場合に、これは検査の結果ですが、これを審問いたしまして、取消しまたは営業停止、こういう方法しか法律的にはないのでありまして、その前に事前にそういう不当な取引をやめさせるとか、あるいは不良資産を償却させるというような命令を出し得る道を開いておいた方が、証券業者の営業を取締つて、その後の整理としてお客に迷惑をかけるということまでに至らない間に、その会社の立直りをさせるという方が適当であろうということで、この規定を設けたのでありまして、今までの中でそういうような状態はどのくらいあるかという点につきましては、今まではそういうような場合になつて倍率を超過したり、あるいは支拂い能力が不能になつたような場合には、営業の停止もしくは取消しをしておるのでありまして、これの数字は、今まで登録の取消しをいたしたのが昭和二十三年中に五件、それから昭和二十四年中に二十七件、合計三十二件、それから営業停止をいたしましたのが昭和二十三年で三件、昭和二十四年で、二十一件、合計二十四件というふうになつております。
  73. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、そういう点でこの規定を設けられたというのでございますが、しかしそれであるならば、もしその内容等においてもいろいろこれは調査されることであろうと思いますが、拒在それではその取消しされたこの不当なもの以外に、現在しておるところにおいてはそういう危険は実在いたしませんか。また現在そういう点を調査中の会社があるかどうか。それをひとつ御回答願いたい。
  74. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券会社の資産の内容につきましては、委員会といたしまして各業者から毎月営業用純資産が、外部債に対して二十倍を超過しているかいないかという調べを、毎月末に出さしておるのであります。それでその出して来たもののうちで、もちろん二十倍を超過しておる報告が参りますれば、これはただちに検査をいたしまして、その事実を確かめまして、そうして本人を呼びまして、場合によつては営業停止、あるいは整理計画のできないものについては登録の取消しという処分をいたすのでありまするが、現在検査をいたしておるのもありますが、その報告面だけではただちに営業停止もしくは登録の取消しの対象になるものは、ただいまありません。ただ別の事由で現在検査しておるものはあります。
  75. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それでは一月現在でも、十二月末現在でもけつこうでございますが、各証券業者の手持証券は一体何億ぐらいですか。
  76. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 所有有価証券は、全国業者全部で約六十億あります。
  77. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、株価の値下り等が非常にいたして、ひどいものになると五割ぐらいの値下りをいたしておる。そういたしますと全国で六十億の手持証券によつて、五割ぐらい値下りすれば三十億ぐらいになつておる。そういたしますと証券業者の資本から考えますと、われわれとしては考え及ばざる危険を感ずるのですが、このことについてひとつその資金はどうなつておりますか。
  78. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 もちろんこの所有有価証券が、最近の株価で値下りということは考えられるのであります。しかし一面取得原価が相当安い時代のがありまして、むしろ高くなつたのは去年の五月ごろが一番高いのでありまして、それ以前等に取得いたしたものにつきましては相当安く買つておる。相当含みを持つておるのもあります関係上、値下りは相当影響は及ぼしてはおりますが、倍率を超過するというようなことは今までの報告等から見ましても、そう心配することはないのではないかと考えております。
  79. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もちろんそういうふに考えられるのは当然でありますが、六十億のものが値下りによる評価がえなんかいたしますと三十億くらいになるのじやないか。そうなるともちろん安いときに買うた手持もあると思いますけれども、その後のいわゆる証券業者に対する資金面の問題が解決していないと、非常に危険を感ずるのですが、それに対しては政府は何か適当な対策を立て、あるいは何かの方法でそういう面をカバーして行くというような方法をおとりになつたのであれば、ひとつそれをお聞かせ願いたい。
  80. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券業者の経営の内容をよくするという上につきましては、極力事業の経営を合理化させる。できるだけ人数を減らして営業費を少く切詰めて行くということをこちらも勧めしおりますし、証券業者といたしまししもそういう申合せをしてやつております。もう一つは能率をよくするということで、ある業者のごときは能率の専門家をお願いして、証券業経営自体の能率をはかるいうことを研究して、すでに実行に移しておるところもあります。それからいま一つは、証券業の手持有価証券等を利用して、金融機関から融資を受けるという点につきましては、実は昨年の八月ごろまでは、証券担保の融資が順位が丙であつたのでありますが、八月から乙になり、十二月にはこれを甲に持つて行くということから、これを担保に入れまして銀行から融資を受けて経営し得るという道が開かれて、この意味においても、証券業者の経営を楽にするということができるであろうと考えております。
  81. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私はこれは相当な額に土つておると思うのですが、それは私が思うだけであつて、事実はどうかわかりませんが、そこで一つ問題は、現在株の下つておるときに、銀行等の融資を受けておるという場合においても、おそらく銀行等が融資をする場合においては、値下りによる担保條件の変更などを言つて来て、相当な金詰まりになつていると考えるのです。おそらく銀行はむちやな投資をしていないと思うけれども、いろいろな形である程度の融資をしておる場合に、危険を感じておる銀行が現在ありますか。
  82. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 銀行は御承知通り相当手固く融資をしております。しかも有価証券であります関係上、受けた担保を市場に出せば、会社といたしましても自由に処分ができる、融通性があるという意味で、株式担保をとつておりまするから、銀行が証券会社に不当な貸付をして、その融資が困難になるというようなことは、おそらくあるまいと考えております。
  83. 竹村奈良一

    ○竹村委員 あなたの方はあるまいとおつしやつておるのでありますが、しかし数字的にこれを考えると、先ほど言うように危険を感ずるような人もある。従つてそういう際には、いわゆる決算等はなるべく短かい期間にして、みなが安心するような方法をとつた方がよいと思います。それを六箇月であつたものを特に一年に延ばされるということは、われわれ納得のできないところであります。政府としては決算を六箇月のものを一年に延ばすということは、今度の株価の立直りを待つて決算をするという心組みではないかと思いますが、これに対してはどうお考えになりますか。
  84. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 その点はお説のようなことでは決してないのでございまして、これは前々から証券業者というのは、御承知通り大体今までの例でありますれば——今年はちよつと違いますが、暮れころから三月、四月ごろまでにかけて大体株価の値上りがある。従つてその間に取引も多いのであります。そうして従来は九月、三月と二期の決算であつたのでありまするが、大体三月の決算におきましては非常に利益が出ておる、九月の決算においてはむしろマイナスが出るというような筋を、今まで大体たどつて来ております。実際問題といたしましても、二十四年の三月決算におきましては、非常に利益が出ておるのでありますが、反対にその前の年の九月には各社ともほとんどマイナスとういような関係で、税の負担から申しても、非常に不権衡を生ずるというような点もありまして、どうしても証券業の実態から見て、これを一年に平準するということが、証券業の内容を健実にするという意味からいつても必要だということを、かねぞれ考えておつたのでありまして、これは特別に、今株価が下つて決算が困難であるからという意味で、延ばしたのではございません。
  85. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではもう一つお聞きしたいのですが、証券業者の預かり有価証券は、全国で大体何億ぐらいになつておりますか。
  86. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 約二十億であります。
  87. 竹村奈良一

    ○竹村委員 二十億という預かり証券があるというお話でありますが、それを適当に流用しているかどうか調査されたことがあるか。もし調査されたのだつたら、これをはたして適当に流用しているかどうかということを、お伺いしたいと思います。
  88. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 預かり有価証券というのは、これは顧客の承諾を得れば流用できるわけでありまして、特に顧客が五分預かりにしてくれとか言わない限りは、大体流用できることになつております。
  89. 竹村奈良一

    ○竹村委員 こういう問題について、もちろん流用もできることになつておりますが、それの返還とか何とかということで問題が起つているようなことはありませんか。
  90. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 営業の停止をしたり、あるいは登録を取消したりするような証券業者は、実はそういうような問題等が一つの原因になつておるのであります。
  91. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではもう一つお聞きしたいと思いますが、証券業者は事業者団体法を適用しないということになつておるのですが、これは説明書にもわざわざ断り書がついて、いわゆる私的独占禁止法を撤廃するように考えられてはいかぬというようになつておるのですが、この際そのことについて、事業者団体法を適用しないことについての理由を御説明願いたいと思います。
  92. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券業協会について事業者団体法の適用を除外したことに関する御質問でありまするが、これは御承知通り、証券業協会は証券取引法で認められておりまする団体でありまして、この目的は、まず第一に取引のいわゆる信義則、言いかえれば欺詐的行為とか、あるいは不当な手数料をとるとか、あるいはその他不当なる利得行為をしないように、証券業協会で統一慣習規則とか、あるいは公正慣習規則とかいうものをつくりまして、いわゆる取引の信義則を助長するという目的と、いま一つはその協会の会員間の自律を促す。すなわち客と会員との同の紛争、あるいは会員間の紛争というものを、協会においてこれを調査し、あるいはこの調停をするというような目的をもつてできたのが、この証券業協会なんです。それで証券業協会は、以上申し述べましたような仕事を目的としておるのでありまして、従つてこの会員間を規整する規則とかいうものをつくる必要が実はあるのであります。ところが現在では事業者団体法を排除しておりません関係上、こういう公正慣習規則とかあるいは統一慣習”規則というものをつくれない。つくると、場合によつてはそれにひつかかるというおそれがあるのであります。ことにまた御承知通り、最近上場証券は取引所で売買されるのでありますが、上場されてない証券の取引、いわゆる場外取引とでも申しますか、これがある程度増加して参る。そうすると、やはりこれは投資家を保護する意味において、これを取締る必要もあります。そういうことをやるのが証券業協会の目的でありますから、そういう活動をなし得るよう、また十分その目的を達し得るよう、事業者団体法を除外したのであります。一面証券業協会に対しましては、現在の証券取引法で嚴重な監督規定があります。たとえば法令等に違反した協会の役員に対しては退任させることもできますし、あるいは協会に加入する業者を不当に排除したという場合には、その事実を審査するということもできますし、あるいは協会を除名された会員について、不当なことがあれば、これを審査して是正せしめるというような、十分な証券取引法上の監督規定もありますので、この事業者団体業を除外いたしましても、独禁法等の趣旨に反するようなおそれはないという考えでこれを除外したのであります。証券取引所そのものは、これはやはり会員組織の取引所でありますが、これについては前から事業者団体法を除外しておるのであります。
  93. 竹村奈良一

    ○竹村委員 そういたしますと、こういうようなことは起らぬのですか。たとえば証券業協会を通じていろいろな金融機関その他のものが投資をする。そうしてその証券業協会で銀行規定された以上の株をも持たせ得るというような結果が起つて、証券業協会が結局においては各金融業者の代行をやつて、独占的に株を集めるというような機関に転化する危険はないのですか。
  94. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券業協会の目的は、先ほども申し上げました通り、取引の信義則を助長するということと、会員間の自律を促進する、こういう目的でありまして、この協会自体が株を持つたり、あるいは金を貸し付けたりするということが目的ではもちろんないのでありまして、そういうおそれはないと考えております。
  95. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  96. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私の質問する第一点の問題をここで局長さんにいろいろ質問するなら、これは三日でも四日でもかかるような大きな質問でありますが、これは資料だけ提出していただきたいと思うのであります。現在の改正法により、五十万円以下の資産状態のものは取消すのだということになつておりますが、私らの目で見ると、一流会社で五十万円以下になつておる資産状態のものもずいぶんあるだろうと思う。そういう点について、どういう資産内容なつておるか、その資料をお願いしたい。それから場外株ですが、たとえば企業再建整備法によりましてごく最近解除になつた会社が、市場は中止をされておるにかかわらず、場外でどんどん売買されておる。場外の相場表なんか盛んに出ていますが、これなどはどういうわけで場外株として取引されておるか。この目的は、おそらく資金獲得という以外は、ほとんど投機の目的で動いておるような気がするのです。それから証券会社が投機的に株を買たり売つたりしておるようですが、こういうものはこの法令にようてどういう問題が起るかという問題と、それから生命保険会社に買出動をさせたようですが、おそらく現在では相当障害を受けておるのではないかと思うのですが、こういうようなものについて、国家ではどういう責任をとるものであるか。
  97. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 保險会社が株を買つたその損害に対して、国がそれを補償するというようなことは、別段考えておりません。  それから上場証券でない株が場外で取引されておるということは、これは上場証券は取引所で売買されなければならないことになつておりますが、上場されてない株が場外で取引されるということは、別段禁止はいたしておらないのであります。  それから証券業者が投機的に株を売買しておるということは、取引上何らかの條項に違反するかどうかという点でありますが、これはもちろんそのやり方であります。賭博類似ということになりますれば、もちろん違反になるのでありますが、いわゆる投資の目的で、自分で安いときに買つて、高いときに売るということは、それによる値下り等の関係上、営業用純資本額が赤になつたり、あるいは外部負債に対する倍率を超過するというような場合でない限り、違反にはならないと考えます。もちろん相場操縦をするというようなことになりますれば、一定の手続をふんでやつていない限り、これは違反になることはもちろんであります。
  98. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 現に一流証券会社でそういうような行動をやりまして、資産内容がほとんど五十万円下になるような会社がしばしば見受けられるので、われわれは計理を職業としておる立場上、こういうものが目に見えるのでありますから、こういう点について十分今後お取締り願うと同時に、これに関する資料がありましたら、資料をお願いしたいと思います。  それから今度公認会計士法の一部が改正されまして、計理士においても三箇年間監査証明ができるという改正案が出ておりますが、こういう計理士法の改正案が出た場合には、やはりこの証券法の場合にもこの監査証明を認めるものであるかどうか。
  99. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 この証券取引法によりまして、これは改正前の証券取引法の中にも、証券取引法に基いて提出する財務諸表について、公認会計士の監査を受けなければならない旨の委員会規則を出すことができるという規定があるのでありますが、大体それをさらに敷衍して現在の改正法律ができておるのであります。これは公認会計士法において、一般計理士も当分の間公認会計士がやり得る仕事についても監査ができるという改正があれば、当然これもかわるかというお話でございまするが、証券取引法は、現在の日本の財務諸表がいろいろな形でできておる。その形を整える。そうして投資家が各会社の財務諸表を比較検討するのを便利にするということと、いま一つは財務の監査によつて、それが適格のものであるとすることが投資家保護のために必要である。こういう二つの趣旨からできておるのであります。これは御承知通り、アメリカでも財務諸表について、公認会計士の監査を受けたものでなければならぬということになつておつて、しかもそれを実行するのは、アメリカの証券取引委員会が中心になつてやつておるのでありましてこういう意味でシヤウプ勧告においても、日本においても証券取引委員会が、財務諸表の統一及び正確を期する意味においてやるべきであるという意味の勧告があるわけであります。それで問題は、証券取引法における公認会計士の監査を受けなければならないというものまでも、計理士の監査でよろしいということにするかどうかという点につきましては、実は前にも申し上げたのでありまするが、これはやはり公認会計士という制度をつくつてつて行くという建前から申しましても、またシヤウプ勧告の趣旨から申しましても、やはり公認会計士の監査を受けたものでなければならぬということにいたしたいと考えておるのであります。もちろん現在の公認会計士の数、並びに実際上の経験というところから勘案いたしまして、公認会計士の監査を受けなければならないとする部面をどの程度にするかということは、証券取引委員会規則で定めることができることになつております関係上、その規則の運用によりまして、現状に即して考えて参りたいというふうにもちろん考えておりまするが、公認会計士法の改正がそのまま証券取引法の公認会計士の監査に適用されるかと申しますと、それは適用されない、そういうふうにお答え申し上げるわけであります。
  100. 河田賢治

    ○河田委員 今取引委員会の方で、主としてその方の監督、検査にかかつておられる人員数はどのくらいでありますか。大よそでけつこうであります。
  101. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券取引委員会自体で検査に従事しておる者は約二十名です。それから御承知通り、全国にありまする財務部及び財務部の支部も、証券検査官として検査をしておるのでありまして、これが約六、七十名あります。
  102. 河田賢治

    ○河田委員 そうしますと、この法律の五十五條の監督と検査、それから第七十六條も同様でありますが、協会に対する監督、検査権ということになりまするが、大体これだけの人数で十分投資者の保護をすることができるか。公益を守ることができるとお考えなつておるかどうか。この点をお伺いいたしたい。
  103. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 われわれといたしましても、この検査官はできるだけ多きを欲するわけでありますが、しかしそれは政府の方針もあり、予算関係もあり、そう多きを要求するわけにも参りませんので、現在の人員をできるだけ有効に使つて、検査の目的を期したい。また期するつもりでおります。
  104. 河田賢治

    ○河田委員 人員が足りなければ、ほんとうに投資者を保護したり、公益を守るために必要な経費は、国家から支弁するのが私は当然だと思う。ところでこういう検査ないしは監督をされる方々は、主として会社の、あるいは業者の報告書に基いて検査されておるのかどうか。この点をお聞きしたい。
  105. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 もちろん会社から出ておりまする報告書等を一つの基礎といたしまするが、これは実地に臨んで検査をするのであります。
  106. 河田賢治

    ○河田委員 御承知でありましようが、昨年の八月、京都市警で、第二証券の百万円の不渡り手形が端緒となつて、市内証券五十六社中、証券取引法違反、業務横領、詐欺などの犯罪容疑を摘発して関係業者は実に十五社に及んでおる。不正外交員を出した社が五社に及び、送庁件数五十五件、うち身柄送庁は四十二名、詐欺横領被害の総額が二千五百万円に達し、判明した被害者は三百五十名に達しております。こういうふうに、これは取引所全体が大きな不正があつたわけでありますが、取引委員会がありながらも——実際に警察にひつばられたものはこのうちわずか四名足らずでありましたが、いずれにしましても、こうした莫大な詐欺や横領が行われ、相当被害者に迷惑をかけておる。その監督をすべき取引委員会が、こういうことに対して十分事前になされていないということは、先ほど人が足らぬ、予算がないからとおつしやいますが、またその実地調査ということにも、私は欠けるのではないかと思う。主として文書報告、あるいは検査報告等によりますれば、結局こういうことはどうしても起りがちなのであつてつて今回決算報告を六箇年から一箇年に延ばすということも、実際の公益を守り、また投資者の保護をする検査監督の立場からいつても、私は不適当でないかと思うのです。こういう関係について取引委員会の意向をお尋ねしたいと思います。
  107. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 決算期が半期から一年になつたからといつて、一年たつてからでなければ検査しないというわけではございませんで、従来の半期決算のときと同じように、この検査はやるつもりでおります。
  108. 河田賢治

    ○河田委員 検査はおやりになるのでありますが、やはり人が足りなければ、実地調査や何かができないのでやはり会計決算報告とか何とかいう業者の報告に基いてやることになれば、どうしても手が抜けると思うのです。特に今日のように経済界が非常に変転しておりますときには、えてして中小業者たちが、御承知通り取引委員会からいろいろ営業停止を食つたり、あるいは警告を受けたりしておる事件もどんどん起つておる。だからこういう事態においては、ますます取引委員会の活動を強化したり、あるいはまた業者の方から報告を取寄せるのでも、できるだけ早く取寄せればそれだけ問題を少くして、投資者の保護にもなり公益を守ることにもなる、こういう考えをわれわれは持つておるのです。それを決算は一年にしましても、その報告が来れば、それをおやりになるというのでは、やはり私はたよりないと思う。その点をお伺いしたいのです。
  109. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 委員会といたしまして、毎月々々月末の報告をとつて、それとにらみ合いながら検査するものは検査して行くという方針をとつております。
  110. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 先ほどお願いしたのですが、局長さんの方から何も御返事がないようでありますが、資産内容の貧弱なもので、五十万円以下であればこれを取消すということですが、しかし資産の問題については、土地だとか家屋だとかいうものは入れていないように思うのです。これがもし一流会社であつて、その資産内容が貧弱であつた場合、ただちに五十万円以下になつたからといつて整理するということは、非常に債権者に迷惑がかかることになりますが、こういう場合は弾力性のある処置はできないものでしようか。
  111. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 これは御承知通り、今度の純資本額五十万円ということが通りまして、そうして既存業者につきましては二箇年の猶予がありますが、二年を過ぎたことになりまして、検査の結果純資本額を割ることになりますれば、法律で営業の停止もしくは取消しをしなければならないというような規定なつております。その点先ほどもお話がありました通り、事前に不良資産等は償却して、あるいは不当な取引を停止することができる権限を委員会に與えていただいて、その権限を行使することによつて、事前にそういう状態にならないように監督して参る、こういうふうに考えておるわけであります。
  112. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 一流会社でそういう貧弱な資産内容のところが、われわれの経理をやつている立場から言うと、たしかに二、三社あるように思われるので、こういうものは十分取引委員会において警戒して、債権者に迷惑のかからないような御処置を願いたいと思います。
  113. 河田賢治

    ○河田委員 財政法の一部改正について伺います。実はこの前だれかほかの委員質問したかもしれませんが、今度はいわが目の区分である節を大体廃止することになるわけですが、この節を削除しなければならぬという事情をちよつとお聞かせ願いたい。
  114. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 財政法の新しい改正によりまして、従来予算のいわゆる行政科目としてございました節というものを廃止をいたす、その趣旨でございますが、これは御承知のように最初の財政法以来と申しますか、なかんずく昨年の改正以来、会計経理のやり方につきましては、支出負担行為と申しまする債務の履行、すなわち現金の支出の以前におきまする給付義務の発生という点と、もう一つは現金の支出といういわば二段構えの整理をいたし、その点の統制をしておるわけであります。従いましてごく素朴に申しますると、従来の支拂い予算一本の場合に比べましては、相当大きな手数がかかつて参ります。しかしながら従来の現金支出一本で押えまするだけでは、会計というものの適正を期するということはむずかしいのであります。従来に比べますと手数はかかるのでありますが、その二本建で統制いたすという点につきましては。私どもどうしてもやらなければならぬかと思います。その反面におきまして、会計事務というものがあまりに複雑になり、あるいはあまりに煩雑になるという点につきましては、この際できるだけその手続を楽にいたすということも考えなければならないというのが、この節を省略いたしました趣旨であります。すなわち従来御承知通り一般会計で申し上げますれば、部、款、項というような議決科目というものの下に目、その下に節があり、この貝節は大体におきまして同じような性質の分類でありまして、使途別分類と申しまするか、経費の対象がサービスであるとか、あるいは物であるとかいうふうなことにおける分類であります。その分類の性質上、従つて節は目のまた細分であると見ることができます。そこでこの節というものが、目に比べましてまた非常にたくさんな数になりますから、この際これを整理いたすことによりまして、会計事務が大分楽になる。しかしながら従来節というものがありましたために、相当程度会計というものがしつかりやつて参れたという点がございますので、節のうちの若干につきましては、この際これを目に昇格いたしまして、会計経理上あくまで嚴正を期さなければならぬ科目につきましては、節を目に引上げまして目の数をふやす。しかしながら節をこの際廃止するということにいたしまして、会計事務というものをできるだけ簡素にいたしながら、しかも所期の目的を達して行く、こういうことであります。
  115. 河田賢治

    ○河田委員 そうするとこの目の区分表の節は、目の方へ上るわけですか。
  116. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 目の下の区分としての節を廃止したのでありますが、行政科目としては目限りであります。ただちよつとつけ加えておきますが、従来は節のもとに細節というようなものを用いておつたのであります。これは各目明細書を見ますとわかりますが、節をさらにわかちまして、これを細節と呼んでおつたわけであります。そういうものは上るわけでありますが、行政科目としては、ある科目としての節というものは、この際廃止するということを御承知願いたいのであります。
  117. 河田賢治

    ○河田委員 最近各現業、たとえば郵便局、逓信関係、こういう方面では請負制によつて仕事をやらしておる。従つて普通は常雇いで、あと超過勤務をやるというのが従来のやり方でありますが、最近は請負制なんかになつて、雇いの本給の方を出さずに、主として請負というような形でやつておるそうであります。そのために労働は非常に強化されるのでありますが、こういうような場合には、一体従来の節がなくなつてただ目だけになるとすると、結局超過勤務手当というだけでお出しになるのでありますか。
  118. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 お答えいたします。超過勤務手当は従来は節限りであります。先ほどちよつと申し上げましたように、その節を廃しまするが、その節のうちで非常に会計上統制を嚴重にしなければならぬというものにつきましては、目に上げると先ほど申しましたが、超過勤務手当はまさにその例でありまして、今回節であることを廃しますが、目として超過勤務手当を上げます。ただいまお尋ねの請負の場合におきましては、これは役務費という従来からありました目でありますが、その目の中で出るわけであります。
  119. 河田賢治

    ○河田委員 なるほど節とかあるいは細節なんかが整理されて、会計事務が簡略にされるということは、事務を敏速にするゆえんではありますが、従来これは日本の長い予算上の経験として相当積んでいるわけであります。それを特に今日このように出され、しかも一方においては池田蔵相が、健全財政である、あるいは経済は安定したということを言われている。そうしてみますれば、大体費目の支出などについては、予算の中々かりに小さくわけましても、それに対して何ら私はさしつかえはないものだと思う。ところが今日こういうふうになりまして、先ほど北沢君から行政の簡素化だというやじが飛びましたが、しかし行政の簡素化ならば、それはそれで人員を減らさなければならぬ。人員も減らさずにただ仕事だけを減らして、ぶらぶら遊んでおつたのでは、何らこれは行政の簡素化には自由党から見てもならぬと思う。そういう意味から申しまして、私は日本全体の池田蔵相あたりのお考えなつている立場から見ましても、こういう区分をすれば——先ほど私が申しましたように、盛んに現業庁あたりでは労働の強行が行われ、そうして超過勤務手当も支拂いがなされていないということも多分にある。特にこういう目でやられますと、勢い上の連中は大して仕事もないのに、一、二時間超過勤務をする。そして下の連中には超過勤務をさせても、結局ベースが非常に安いから、その方に食われてしまうという結果になるのじやないか。従つて予算というものは大体一年間の見通しにおいて、どの程度仕事の量をするかということはわかつているわけでありますから、こういう必要はないのじやないかと考えるわけであります。こういう点について、今度人事院の職階制が出ておりますが、これなんかともにらみ合せまして、この予算の細目を削ることによつて、つまり目へ上げたりあるいは目だけにすることによつて予算の従来から言えば流用でありあるいは移用である分が、相当ふえるのじやないか。こういうふうに考えるわけでありますが、この点についてお考えはいかがでございますか。
  120. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 目というものの下に節をつくりましたのは、これは実は財政法の以前におきましては、いわゆる行政科目といたしましては目がありまして、節は先ほど申し上げたような細節、すなわち積算上の單位を明らかにするという意味で存在いたした。それが財政法をつくりましたときに、その経理を十分に慎重にやるという意味におきまして、節を行政科目ということにいたしまして、従来積算上の単位でございましたものを正式に分類いたしました。ところが最初に私が申し上げましたように、昨年来支出負担行為という債務の発生、履行というものの時期におきまして、つかまえ方というものが、これを予算の全面にわたつて施行することになつたのであります。従つて金が出される以前において、われわれは今どれだけの債務を背負つているか、常にこれを予算の各分類において明らかにするようにいたしたのであります。そのことが、従来のたとえば支拂いの遅延であるとか、あるいは政府の未拂金があるというような点についても、非常に大きな改正をいたしたのであります。またそのために、会計がややもすれば嚴正になりかねるというのを、相当改良することができるようになつたと考えるのであります。そういうように、財政法をつくりましたときにそこまで徹底しなかつたところの考え方を徹底されたために、また一つの大きな負担が会計の第一線に加わることになりましたので、なかなか現在会計官吏は非常によくやつてくれているのでありますが、これではあまり事務の量がふえ過ぎはしないかということによりまして、今回できるだけこれを簡素化いたしまして活発敏速に、しかも仕事ができるようにしたいというのが趣旨であります。なお今お尋ねのございました超過勤務手当という点につきましては、先ほど申し上げたように、これは今回節をやめて目に上げますが、従来と同じように統制されますので、その点についての扱いはかわりません。全体といたしまして、こういうような節を廃止する方がいいか悪いかという点につきましては、これは私どもといたしましては、今申し上げましたように二重に、すなわち税金と債務発生と両者で、とことんまで予算を追つかけて行くというやり方が、大いに必要であるという点におきまして、細節に属しまする分類につきましては、この際できるだけ省略できるものは省略したい。これはあくまで省略できるものを省略するのでありまして、先ほど御例示になりました超過勤務のようなものは、これは省略しない。ほかにも幾らも省略しないものもあります。その結果といたしまして、流用の点についてはむしろ従来よりも——従来は節の間に流用が相当頻繁であつたのでありますが、その点は減少すると思つております。
  121. 田中織之進

    ○田中(織)委員 他の諸君から熱心な御質疑があつたので、重複するかもしれませんが、二、三お伺いしたいのであります。今回の財政法の一部を改正する法律案は、一言にして申し上げますと、予算の執行に弾力性を持たせるという、もつともらしい理由がくつついているのでありますが、私多くの問題がこれに胚胎していると考えるのであります。まず私がお伺いをいたしたいのは、これは財政法全体の問題に関連するわけですが、今度は支出担当官別のいわゆる承認制を各省庁別にまとめてやる、こういうことに相なつたのでありますが、大体流用その他の関係において、目の部分においてはどの程度のものが大蔵大臣によつて認められるのか。一応流用、移用についての限界の点について、石原君から伺つておきたいと思います。
  122. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 目につきましては、従来の目は予算書にたしか今二十三種類あるかと思います。これは俸給、給料から初まりまして、人件費、物件費大体その費途によりまして、たしか第一番目は歳費だつたと思いますが、人件費がたしか四つか五つにわかれる。物件費はやはり十か十幾つかにわかれまして、最後に人件費、物件費にも属さないような賠償金とか償還金ごいうようなもので、全体でたしか二十三であつたと思います。そういうよりな分類で目ができております。その下にあります節の数は、今ちよつと正確に調査をしておりませんが、一目ごとに相当な数がございまして、平均して四つか五つあると思います。節につきましては、一般会計特別会計の間に統一がございませんので、特別会計の方はちよつと違うと思いますが、一般会計でもちよつと正確な数は覚えがありませんが、百はもちろん越えていると思います。これは御次知の通り、今の部局別に予算ができております。そり下に款項がありまして、款項の下に目がありその下に節がある、こういうことであります。そこで目が一体どうなるのだというお話でありますが、今ちよつとここに資料を持つておりませんが、先ほど御質問になりましたような、超過勤務手当というような従来節に落ちておりましたものは、今度目に拾うようにしようというので、目の数は従来と比べてたしか十か十五かふえることになつていると思います。ちよつとその正確な数はもう一ぺん調べて申し上げます。
  123. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私のお伺いをしているのは、一応今度目にとどめて、節を廃止したということはわかるのでありますが、私の承知しているところは、従来からも大体節をきめては予算を配分しているわけなのであります。決算書にはもちろん節に基いて出ておりますけれども、実際にはなかなかその節の通りに行われておらなかつた。私かように理解をしているのであります。そこで問題は、節の区分を今度廃したわけでございますが、この目問における流用、移用というような点についての限界は、どういうようになつておるかという点であります。これは原則としては大きな物件費、人件費というような関係におきまして、なかなかむずかしい問題があることは理解できるのでありますけれども、実際の現在の運営にあたりましては、どういうようにやつておるか。おのずから限界があろうかと思うのでありますが、いかがなものですか。
  124. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 現在目の流用につきましては、全部大蔵大臣承認に相なつております。従来の節におきましては、これは費目を限定いたしまして大蔵大臣承認いたしておりますが、今回は節がなくなりまして全部目に上ります。従いまして今後における行政の目間における流用は、すべて大蔵大臣承認ということになるのであります。
  125. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そこで私お伺いするのでありますが、この〔歳出予算科目「目」及び「目の区分」表〕の十ぺ一ジ及び十二ページの関係でありますが、これは目の区分という点で、「物品費」の中に「消耗品費」というのがございます。それから十二ページの「役務費」の中には「賃金」、「印刷製本費」、「光熱及水料」云々というようなものが入つて来ておるわけでありますが、大体従来の関係から見まするならば、こういう消耗品は私包括的に役務費というような中に押えて来ていたのではないか、かように思うのですが、その点がこういうようになつたのはわけがあるのでしようか。
  126. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 消耗品は、従来から大きくわけまして物件費の物の購入と、サービスの購入になつております。役務費と申しますのは、英語で言うサービス、日本語で申しまして役務と必ずしもつかないのですが、そのときにつくつた言葉でございます。でございますので消耗品はいわゆる物に属しますから、従来といえどもやはり役務費の方には属しませんので、物を購入します費用としての消耗品費というものは役務費と切り離してある、こういうことであります。
  127. 田中織之進

    ○田中(織)委員 従来、私は細目実施の過程を見ておりますと、役務費の中に実質的には消耗品費に属すべきものが入つておるように——「これは私の記憶違いであるかもしれませんが、私はそういうように従来の予算書を見て来ておるのであります。そこでやはり役務費の関係におきましては、当然予算定員に基いて幾らという、いわゆる積算の基礎が出まして計上されておるのでありますが、物件費の中でも、こうした部分についての圧縮ということが、予算の節減のやはり一番勘どころとして押えて行かなければならぬ部分だ、かように私従来から理解して来ておつたので、そういう意味からただいまの石原次長の御答弁では理解できないのであります。それはともかくといたしまして、次に私がお伺いをしたいのは、先ほどの目の流用の問題につきありますが、その場合の大蔵大臣承認は、たとえば專売裁定の場合あるいは国鉄裁定の場合の財源の捻出の問題で、現になお係争しておる問題でありますけれども、主計局次長としてはそうした流用を承記するかしないかというようような問題は——われわれはあくまで法規裁量だと思うのですが、その点大蔵大臣のそういう承認の場合の裁量は、池田大蔵大臣のお説によると大蔵大臣の自由裁量だということになるわけなのでありますが、主計局の責任者の立場にある石原君として、どういうようにお考えになるか、伺つておきたいと思います。
  128. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 流用の承認につきましては、これはいわゆる法規裁量ではなくて、行政裁量に属するものであるということにつきましては、これは大蔵省のみならず、法務府とも相談いたして一致した見解であります。
  129. 田中織之進

    ○田中(織)委員 行政裁量という言葉がきわめてあいまいであるところに問題があるのでありますが、しかしあなた方が行政をやられる場合には、当然あくまで法規に準拠してやらなければならぬことは、もう原則として何人も否定できない点であります。われわれはそういう点をも突き進んだ意味において、あくまでもこれは法規裁量だ、これがわれわれの主張の論拠であります。最近、たとえば公労法による裁定の財源捻出の問題にあたりまして、大蔵大臣がとつてつた点は、これはもうまつた大蔵大臣が恣意的な決定をいたしておる。こういう意味におきまして、あなたがただいま法務府とも打合せて、政府当局としては一貫して行政裁量であると言つておるその行政裁量は、あくまでも法規に準拠して行かなければならないのである。そこに大蔵大臣の悪意的なものが許さるべきでないことは、私は当然だと思うのでありますが、ここでその問題の議論はいたしても始まらないので、次の質問に移ります。それは昨日も共産党の竹村君あるいはまたただいま河田君からの質問にあつたのでありますが、まだ明確にならないので重ねてお伺いするのであります。ただいま人事委員会の方に公務員に関する職階法がかかつておりますが、これが通過成立いたしました場合に、現在この予算の目の区分にありまする人件費関係におきましては、この職階法に基いて当然私はかわつて来なければならないものだと思うのであります。その点についての大蔵当局の御見解を伺つてみたいと思うのであります。
  130. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 職階法が通過をいたしまして、これが実施に相なりました場合におきまして、今俸給給與の予算に組んでありまするものにあるいは若干の変更が参りまして、現在組んでおりまするおのおのの、たとえ俸給というようなものにおきまして不足を生ずるということは、これはあるいはあり得るかもしれません。そういう点につきましては、そういうような場合においては、それ以外の人件費のところから流用いたして行くことは、もちろんあり得るわけでありますが、ただ私どもの理解いたしますところでは、特に職階法のためにそういうような事態が必ずしも起るかどうかということについて、疑問を持つておるのでありまして、職階法の通過によりましてもこの予算通りで私どもはやる。ただ先ほども申しましたが、万一そういうような事態が起りましても、それは通常の流用として処置されるものと思います。
  131. 田中織之進

    ○田中(織)委員 他の人件費の面から流用するということも考えられるとおつしやるのでありますが、この予算の中におきまする給與に関する部分というものは、最近非常に厳格に切り詰められて来ておる。従つてそういう関係から参りまして、その他の人件費の部分からの流用とおつしやいますけれども、そういうことははたして可能でありましようか。
  132. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 あるいは私のお答のいたしようが悪かつたのかもしれませんが、私の申し上げまするのは、現在の予算はご承知のように部局單位で組んでおります。従いまして、全体としての俸給総額というものはかわりませんでも、部局單位の間におきましては、あるいは不足をいたす、あるいは過剰に相なるということがあり得るわけでありまして、これがまた職階法の場合はそのまた一つの場合に属する。それと類似したような事態が起り得るのではないかという趣旨において申し上げたのであります。従いまして、人件費そのものにたとえば余裕があつて、それで大丈夫だという趣旨で申し上げたのではございませんので、あちらで余り、こちらで足りないというような形が生ずるのでございます。そういう場合におきましては、流用の道がありはしないかということを申し上げたのであります。
  133. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そこでお伺いをいたしますが、これは当然財政法の適用を受けておりまする国有鉄道、あるいは専売公社等の政府機関と申しますか、こうしたような予算についても適用されるものだと思うのでありますが、その通り理解してよろしゆうございますか。
  134. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 日本国有鉄道及び専売公社につきましては、おのおの日本国有鉄道法あるいは日本専売公社法に基きまして、拘束をせられると思います。
  135. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ところが実際の予算の編成過程を見て参りますと、なかなか公共企業体としての特殊性がそのまま認められておるような段階ではないと思う。本来ならばこれは専売公社法あるいは国有鉄道法関係におきましても、こういう公共企業体を通ずるところの経理の特別法を制定しなければならぬということが、法文の上でも明白になつておるのです。ところが暫定的な措置といたしまして、先般国会をわれわれの反対を押し切つて現内閣が通過成立せしめたのでありまするが、その関係におきましては、官庁会計の方式をそのまま踏襲しておるという点から、私は先ほど質問いたしました流用の問題等につきましても、公共企業体としての特殊性が何ら尊重されないというところに、先ほど問題にいたしましたたとえば仲裁裁定の実施上における政府あるいは労働組合、またわれわれ議会側との間の意見の相違が出て参つておるのでありますが、財政法のこういう点は、それでは公社の関係においては、それぞれの公社法の規定でこれとは全然関連なしに行われる、かように理解してよろしいわけですか。
  136. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 日本国有鉄道法並びに日本専売公社法は、この前の議会を通過いたしておりますが、会計経理の規定に関する限り、昭和二十五年度からの適用になつております。従いまして二十四年度までは、従来の専売公社並びに日本国有鉄道をつくりましたときに、とりあえず暫定的の財政法会計法並びに従来の特別会計法を適用いたすという規定が生きておりますので、二十四年度限りは正面から財政法が適用になる。二十五年度におきましては、公社法及び日本国有鉄道法の規定によつておのおの拘束されております。
  137. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点はよく石原君にも調べていただきたいと思うのでありますが、この前の国会を通過成立いたしました公社法という中にある経理規定では、これは公共企業体という新しい企業形体を持つものを設置して、まだ経理を完全に具現することにはなつておらないのです。これはそういう公共企業体を通ずる経理の準則ともいうべき法律を制定しなければならぬが、あの公社法の関係に盛り込まれておるものでも、われわれはあの法文の解釈からいたしまするならば、あくまで暫定的な措置ではないか。そこでわれわれが現在公共企業体としてのいわゆる独自性というものを抹殺したところの、官庁会計の方式が依然として踏襲されている、かように申し上げておるのでありますが、その点は私石原君の思い違いじやないかと思うのですが、いかがですか。
  138. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 日本国有鉄道及び専売公社ができましたときに、お話のようにおのおのの設立総会に関する規定ができまして、その中に財政及び会計に関しまする章があつたわけであります。その章におきましては、先ほど私が申し上げましたように、財政法会計法及び鉄道の場合は従来の鉄道特別会計法規定によると書いてありましてしかも今田中委員のおつしやいますのはこの点だと思うのであります。この公社が企業体として高能率に働くために、適当に法規が改正されるまで暫定的に云々とありますので、その点をおつしやつているかと思いますが、その点に基きまして、この前の臨時国会におきまして、従来の財政法会計法及び死にました鉄道特別会計法というものを、正面に日本国有鉄道法に適用するという章はこれを改めまして、新しく日本国有鉄道自体の会計に関しまする規定を置いたわけであります。その結果従来のような財政法会計法というものの正面適用は、昭和二十五会計年度からこちらの方に切りかえるということに粗なるわけであります。その二十五年度四月一日から適用に相なります法規の方につきましての、あるいは御意見であるかもしれませんが、もしそういう御意見でありますると、その点につきましては一応政府としてはいわゆる企業の経営というものに即応しながら、しかも公社の持つておる公共的性格というものを両者あわせ考えまして、現在この間の臨時国会で通過になりましたような案が適当であるということで提案を申し上げ、また国会もその趣旨に基きまして御承認に相なつたいうように考えております。
  139. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点はやや法案直接の面からは離れてあるので、それ以上私は議論申し上げませんが、最後にこの財政法の一部を改正する法律案について、附則の第六條にありまする二十五年度の予算に限り云々の規定がございますが、これは「当該年度の予算に添附して国会に提出した予定経費要求書又は歳入歳出予定計算書に掲げた目を整理統合して定めた目の区分により配賦することができる。」こういうことになつておるのでありますが、われわれが手元にいただいておる歳出予算科目及び目の区分表というものには、その六條に「整理統合して定めた目の区分により」とあるが、かように理解してよいわけでありますか。それともすでに衆議院を通過しておる予算の配賦の過程におきましては、この予算書に計上じておるものを整理統合して行くということに相なるのか。そのいずれでございますか。
  140. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 今お手元にお持ちのものがそれであると思います。すなわちそのお手元にお持ちのものに基きまして、先ほどお配りしてありまする予算書、この各明細をその範囲につくり直しまして、それで第六條にありますいわゆる予算の配賦ができる。こういうことに御理解になつてよろしいと思います。
  141. 北澤直吉

    北澤委員 証券取引法の一部を改正する法律案及び財政法の一部を改正する法律案につきましては、質疑を打切られんことを望みます。
  142. 川野芳滿

    川野委員長 北沢君の動議に御異議ありませんか。     〔「議異なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、ただいま議題なつております証券取引法の一部を改正する法律案、及び財政法の一部を改正する法律案については質疑を終了いたします。     —————————————
  144. 川野芳滿

    川野委員長 次に午前中質疑を打切りました造幣庁特別会計法案議題として、討論、採決に入ります。
  145. 北澤直吉

    北澤委員 造幣庁特別会計法案につきましては、討論を省略されて探決されんことを望みます。
  146. 川野芳滿

    川野委員長 北沢君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  147. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、これより本案を議題としてただちに採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔総員起立〕
  148. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決せられました。     —————————————
  149. 川野芳滿

    川野委員長 次に証券取引法の一部を改正する法律案議題として討論、採決に入ります。討論は通告順にこれを許します。田中織之進君。
  150. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は社会党を代表いたしまして、本案に、希望條件を付しまして賛成するものでございます。日本の経済再建のために証券取引の円滑化を達成することは、急務中の急務だと考えるのであります。そういう観点から、この証券取引法規定によりまして提出される助務諸表、その他の関係につきまして、今回の細部にわたる規定をされたということは、私適切なものだと考えるのでありますが、ただ本法の実施にあたりましては、その運用よろしきを得ない場合には、現在既存の証券業者に対して與える影響も少くないと思うのであります。そういう意味合いにおきましてもちろん中小の証券業者等の関係におきまして、投資者保護のための必要なる統制と監督を行わなければならないことは当然でございますが、その運用にあたりましては、ただ公式的にならないように一言希望を述べまして賛成をいたします。
  151. 川野芳滿

  152. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は自由党を代表いたしまして、本案に賛成の意を表するものであります。  今回の改正案に対しまして、御承知通りシヤウプ博士の勧告案を基準にいたして、この証券取引法を改正せられることに相なつたのでありますが、その二、三の点について私は賛意を表するものであります。これは少くとも今度の改正案によりまして、証券取引業者に対しましては、純資産が五十万円以上ということになりまして、営業者も、また一般の正取引者も信頼をいたして取引ができる。こういう点は大いにけつこうであると考えております。  さらにこの証券業者の特殊性にかんがみまして、一箇年間を平均いたして、これに対する営業年度を見る、こういうこともやはり私はすべての業種が、一箇年を基準に考えてみることが一番けつこうなものであると考えておる矢先、かように政府が改正されたことは、まことにけつこうであると考えておるのであります。  第三点といたしまして、御承知通り今度の証券取引法によりまして財務諸表、貸借対照表損益計算書その他の財務書類が、一定の様式を定めるということに相なりまして、これがすべての証券取引の基準になつて、また一般業者も取引者もこれによつて信頼が置ける。こういう制度に改まつた点を定められまして、五億円以下の会社に対しましては、公認会計士の監査を経てこれを発表する。こういう段になりまして、先ほど宮腰委員も御説明になりましたが、五億円以下の会社に対しては計理士もこれに対し相当な権益を有し、業者にいたしましても、これに対し監査証明することができることになつておりますから、これまたりつぱな案であると考えておるのであります。  最後に証券取引委員会につきましては、やはり特別職でありますので、内閣総理大臣が両院の承認を得て、証券取引委員会の委員を任命するという段階に至りましては、非常に進歩いたしたものであつて、わが党の政策を十分に助長いたしたものであると考えまして、私はこれに賛意を表するものであります。
  153. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君
  154. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表いたしまして、本案に希望條件を付しまして賛意を表するものであります。  経済再建のために証券民主化ということが盛んにとなえられておりますので、この点についてはわれわれは心から賛成の意を表するものでありますが、いろいろな点を考えますと、まだわれわれの不安な点がたくさん持たれております。こういうものに強い希望條件を付しまして、賛成の意を表するものでありますが、その希望條件の第一としまして、資産内容に関して諸会社の監督を十分監督して、一般の債権者あるいはお客に対して損害のないように努力していただきたい。  それから、証券会社が往々にして投機的な取引をしておる場合があり得るので、なるべく債権者保護の立場から、この点十分考慮して監督していただきたい。  それからまた生命保険会社あたりの手持資金について、ややもすると、大臣なり政府当局から買出動せよという命令がましいことを言つて引受けさせますが、最後に株が暴落して証券会社に非常に迷惑をかけておる。こういうような事態がたびたび起ると、将来大蔵大臣の命令によつてはなかなか動かないという事態が起るかもしれませんので、この点十分愼重に研究した上に、生命保険業者と交渉するようにお願いしたいと思います。  先ほど三宅委員からもお話があつたのですが、なるべく現計理士を十分利用していただきたい。こういう希望條件を付しまして、本件に賛成するものであります。
  155. 川野芳滿

    川野委員長 竹村奈良一君。
  156. 竹村奈良一

    ○竹村委員 私は共産党を代表いたしまして、本案に反対するものであります。  まず第一点といたしましては、最近政府は証券の民主化等を叫んでおりましたが、その民主化が非常な勢いで進んだ後に来たものは、今回の株価の値下りであつた。しかしながらこれに対しまして政府は何ら適切な手を打たない。あるいはいろいろな形でやつておりますけれども、しかし大衆の持つた株で、下つたものに対しましての対策がないのであります。しかも現在取引委員会があつて、不正を防止しあるいは不当なことを監督し、国民に安心感を與える、こういう形で取引委員会というものは設置されておるのでありますけれども、そういう形で国民に安心感を與えなから、実に不安にたえないような事態があることは、いなみ得ないのであります。なぜならば、たとえば昨年十二月におけるところの持株は、本委員会においても先ほど明らかにされたように、大体証券会社が六十億ほど持つてつた。それが値下りによつて三十億くらいの損害にならなければならぬ今日、政府の答弁によりますと、大体それは証券会社が持つときには、相当安い金で持つていたのだから、何とかやつておるだろうというような答えで放任されておる。この事態は非常に不安にたえないのであります。これが国民に及ぼす影響というものは、相当私は大きなものであると思いますが、そういう点についても何ら明らかにされておらない。しかも先ほど河田君も申しましたように、たとえば京都におけるところのいろいろな不正事件等々も、監督が非常に不十分であり、あるいはそれに対する適切な対策がなされていないのであります。  しかも第二点といたしまして、そういうような事態のある折、わずかな人数でそれができないと言いつつ、たとえば書類におけるところの審理等を重点としてやつておられるのでありますが、それが決算において、六箇月を一箇年に延長するというようなことをされるならば、ますますそういう監督ができにくいと私たちは考えるのであります。しかもその後において、たとえば事業者団体法からの除外等を言われておりますが、それに対する言訳といたしまして、これは独占禁止法の解除だと考えてもらつては困る、こういうような言訳をしなければならないような非常にあいまいな形でもつてこの法案を通し、そうして結局におきましては、やはり事実においては大きな独占資本家の利益になるような、いろいろな工作ができるような考えをもつて、この法案か出されておるという点からも、われわれはこれに反対する次第であります。
  157. 川野芳滿

    川野委員長 討論会は終回いたしました。これより本案を議題としてて採決に入ります。  本案を原案の遜り可決するに賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  158. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  159. 川野芳滿

    川野委員長 次に財政法の一部を改正する法律案議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。宮腰喜助君。
  160. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 財政法のこの手続簡素化に対しては、われわれは賛意を表するものでありまして、あとに希望條件を付したい考えでおります。  この節をなくしまして目にかえたというようなことなどにかんがみまして、先ほどこの目に対して大蔵大臣の裁量によるのだ、こういうようなお話であつたのでありますが、この裁量を上の者に一本にまとめて、これを裁量だという。しかしその裁量にも法規裁量と自由裁量とありますが、本案の場合はこれは自由裁量でなく、法規裁量だ、拘束された裁量だとわれわれは考えるのですが、ただいま政府委員お話によると、これは行政裁量だ、こういうようなあいまいな言葉を使つておるようですが、一般の通俗的な法規裁量であるということを明確に表わしてほしい。それからまたこの特別会計一般会計から繰入れた場合に、もらう場合は何でもかんでも委員会をむり押ししてもこれを繰入れてしまう。ところがその跡始末は全然つけていない。たとえば赤字であつた場合は別ですが、赤字でなくて将来一般会計に返すのだというような場合については、全然当委員会に対しては上程しないでもう知らない顏をしておる。こういうことでは非常に一般の国民も納得行かないのじやないかと思うのです。今後この特別会計一般会計から繰入れた場合に、あとはどういう始末になつたかということを今後御報告願いたい。こういう希望條件を付しまして本案に賛成するものであります。
  161. 川野芳滿

  162. 小山長規

    小山委員 財政法の一部を改正する法律案につきまして、自由党を代表して賛成の意を表するものであります。  元来この改正案は、財政法の簡素化をはかろうとするものでありますが、節を廃止して目にすることによつて予算執行上いろいろな弊害が起りはしないかという点を初め心配したのでありますが、その心配は全然ないということでありますので、全面的に賛成するものであります。ただ若干、この原案にありますところの目及び節の区分表につきましては、昨日も申しましたように、物品費と消耗品費の間におきまして、これを若干整理されたらどうかと思われる節がありますので、これを希望としてつけ加えまして、賛成の意を表するものであります。
  163. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  164. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は社会党を代表いたしまして、本案に反対の意思を表明するものであります。  今回の財政法の改正は、予算執行に弾力性を持たせるというふれ込みでございまして、確かにそういう面も見受けられるのでありますが、ただいま自由党の小山委員からも指摘されましたように、この弾力性を持たせるということには非常に簡素化、その他運用の面においてプラスになる面もあるのでありますけれども、これに伴う弊害が今日なお除去されておらないという点を、われわれは強調せざるを得ないのであります。われわれはそういう見地から、特に予算に弾力性を持たせるということで、この予算の執行がともすればルーズになつて行く。ことにそれが目の流用の問題等につきまして、たとえば物件費の関係であるとかいうようなものにつきましては、これは大蔵大臣のいわゆる自由裁量、行政裁量によりまして、なかなか手ぎわよくやるのでありますが、事一たび人件費で、たとえば人事院の勧告が出た、あるいは年末における生活補給金の支給、こういうような面につきまして、この人件費になりますと、現内閣は少くともさざえのごとくこれをとざしましてやらないというような、きわめてえてかつてなことをやつて来ておるのであります。また予算の執行の過程におきまして、今度は節を廃止いたしまして、若干のものは目に繰上げた形に相なつておりまするが、従来とても、この節がある当時におきましても、決算書にはなるほど各目、節に従つて報告はなされておるのでありますけれども、実際の運用はそういうように行われておらない。問題はそういう予算執行の過程におけるルーズなことを、合法化するための、これは一つの手段とも見られるのであります。われわれはそういう関係、並びに第一本案の提出そのものが違法だと思う。今調べてみますると、本案が本委員会に提出せられたのは三月の二日であります。しかし先ほど私が最終質問において申し上げましたように、第六條の関係におきまするならば、すでに衆議院を押し切つたところの予算案は、この財政法の改正を前提といたしましたものによつて予算書がつくられておるということは、先ほどの政府委員の答弁で明白であるのであります。それにもかかわらず、予算がすでに提出せられるまでに、本来この国会の議決を経ましてそれに基きまして予算を編成し、その予算が国会に提出せられるということが順序でなければならないのであります。どうも現内閣はこの予算に関する問題につきましては、そういう前提となるべき、たとえば歳入関係の法律の問題にいたしましても、そういうことが行われておらない。     〔「片山内閣のときはどうだ」と呼ぶ者あり〕 こういう点が、ただいま片山内閣云々の点がございますけれども、過般の予算案に対する委員長報告は、来年度の予算が定期国会の冒頭に出されたということは云々と言つて、盛んに自画自讃をせられたのでありますけれども、現に予算の中に重要な部分を占める地方税制に関する法律案等は、いまだ国会に提出されない、こういうような段階にあることによりましても、現内閣が盛んに宣伝しておることと、行つておることとが食い違つておることは、何人も否定することのできない事実と思うのであります。われわれはそういう見地から、本法案に対しまして反対を表明するのであります。
  165. 川野芳滿

    川野委員長 河田賢治君。
  166. 河田賢治

    ○河田委員 日本興産党を代表いたしまして、本案に対しまして反対をするものであります。  ごく簡單理由を申し述べますと、御承知のごとくこの法案は大体節を削つて、そして相当簡素化するということにありますが、やはりこの節を基礎にして予算などの積算が私はできるものだと思うのであります。そうでなければ、いろいろな費目の各行政部門のおのおの分散したところにおける積算が、おそらく私は不可能だと思います。従つてこういうものをつくつて、そしてこの予算とそれからまた決算とを合しまして、これに習熟することが政府仕事であります。ところがそういうことになれもしないで、御承知のごくく会計検査院の報告を見ますと、毎年々々流用や移用や法規違反がもう山ほど出て来ております。ところがこういうことがあるにもかかわらず、この節を廃止することは結局自由裁量の部面をそれだけ多くする。特に今日官吏諸君の給與が少いために、どうしても会計上のごまかしをやる。あるいは下の者には臨時給與にいたしましてもわずかしかやらぬ、上の者がよけいにとるという形で今日職階制が出ておりますが、その職階制を強化すると同様に、この法案が提出されたということは私は偶然ではないと思います。従つてこういうふうにしまして、ますます一般の職員のうちでも、ことに下級の職員が、労働強化とそうしてまた他面におきましては給與が非常に低いということ、こういうことからかえつて上の者には楽をさせるようないわゆる分裂政策が、この財政法の法規によつても施行されるものであります。従いましてこういう点が私の反対理由の第一の点であります。同時に先ほど社会党の田中委員からも述べられましたが、第六條における予算整理軸合ということをうたつておりますが、予算委員会に前もつてこの法案が出されて、並行して審議さるべきことが私は妥当だと思います。予算がすつかり通つた後においてここでこれを審議して、そして予算の項目を変更するというがごときは、まつたく国会の運用において私は非常な間違いを犯し、かつまたこういう法案があとから出ることによつて予算の執行面をいくらでもかえることができる、こういうことになれば、結局国会の予算審議というものが、何ら審議権をはつきり持たないことになる。配分におきましてもこれは同様なんです。従つて私はこういう違法的なやり方に対して断固反対し、この法案に反対するものであります。
  167. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案を原案の通り可決するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  168. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決されました。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十四分散会