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1950-03-10 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十日(金曜日)     午前十時四十五分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 北澤 直吉君 理事 小山 長規君    理事 前尾繁三郎君 理事 川島 金次君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 内藤 友明君    理事 河田 賢治君       岡野 清豪君    奧村又十郎君       佐久間 徹君    田中 啓一君       塚田十一郎君    西村 直己君       三宅 則義君    田中織之進君       宮腰 喜助君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (理財局長)  伊原  隆君         大蔵事務官         (理財局経済課         長)      吉田 信邦君         国税庁長官   高橋  衞君  委員外出席者         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 三月九日  協同組合に対する課税免除若しくは軽減に関す  る請願田中啓一紹介)(第一二四五号)  たばこ民営反対に関する請願鈴木正文君紹  介)(第一二六五号)  同(山本利壽紹介)(第一二九二号)  帝纖航空機工業株式会社所有登録国債に関す  る請願吉武惠市君紹介)(第一二九八号)  山中漆器に対する物品税軽減に関する請願(坂  田英一紹介)(第一三一一号)  中小業者に対する課税軽減に関する請願(風早  八十二君紹介)(第一三一四号)  課税軽減に関する請願外一件(春日正一君紹  介)(第一三三一号)  船岡町所在元第一海軍火薬しよう敷地並びに営  造物拂下げ促進請願庄司一郎紹介)(第  一三五二号)  アルバムに対する物品税減免請願三宅則義  君紹介)(第一三五五号) の審査を本委員会に付託された。 同日  所得税審査委員会設置陳情書  (第五九六号)  未復員者給與法改正陳情書  (第六〇〇  号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  七号)  有価証券移転税法を廃止する法律案内閣提出  第四八号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  富裕税法案内閣提出第五三号)  通行税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五四号)  資産評価法案内閣提出第八三号)  相続税法案内閣提出第八四号)  所得税法改正に伴う関係法令の整理に関する  法律案内閣提出第八五号)     ―――――――――――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまより会議を開きます。  九税法案一括議題といたしまして、前会に引続き質疑を継続いたします。前尾繁三郎君。
  3. 前尾繁三郎

    前尾委員 昨日は私は十條の四で主税局長にいろいろお聞きしておつたのですが、どうも途中で話が中途になりましたので、依然として十條の四についてもう少しお聞きしたいと思います。昨日お尋ねしたのは、年の中途評価方法をかえることができないかどうかということでありましたが、私は結局年のかわりました際に、そこで当然利益食い違いができる。その食い違いをどういうふうにして解決されるかということによつて、場合によつては何ら脱税の意思がないというなら、年の中途におきましても認めていいのではないかという気がするのが一つ、それから先にお答えがあつたかどうかはつきりしないのでありまするが、前年十二月三十一日までに申請書を出さなければならぬとあるが、最後の「第四項の申請書提出があつた場合において、その年の十二月三十一日までに」という「その年の十二月三十一日」は、第四項の場合の「前年十二月三十一日までに」というのと同じ目だと思うのです。ちよつとこれはささいなことではありまするが、いかにも法文の体裁としておかしいように思うのでお尋ねしたわけです。
  4. 平田敬一郎

    平田政府委員 この規定は、たなおろし資産評価方法をどういう方法で選ぶかという規定であります。従いまして毎年々々やはり一年ごとにその方法を選んでいただけばと思うのであります。年の中途におきまして変更するということは、税法上の計算上どうもいかがかと思いまして、毎年たとえば二十六年の分でありますれば、二十五年の十二月三十一日までに、二十五年の所得計算については、自分の方はこういうたなおろし資産計算方法を用いたい。こういうことになるわけでありまして、その方法を届け出ていただけば、それに対しまして税務署承認するかしないかをきめるわけであります。そうしまして届けつばなしで、結局税務署から承認あるいは却下処分のいずれもなかつたときには、承認されたものとみなすというふうにしておるのでありまして、さような趣旨をこの條文うたつたにすぎないのであります。所得税法でその年と申しますのは、その課税すべき各年分というふうになつておりまして、二十五年の所得税でありますれば、その年と申しますのは二十五年の十二月三十一日という期限と存じます。これに対しまして前年というのは、その年に対する前年という表現を用いておりまして、ここにあります前年の十二月三十一日までというのと、その年十二月三十一日までというものの間には一年の期間があるわけでございます。ただいまの問題は、ある年になりまして今までの方法違つた方法を採用いたしましたために、たなおろしの計算損益が出て来る。それをいつ調整するかという問題であろうと思います。それは政令でそういう点を詳しく規定するつもりでございますが、結局におきまして変更しましたその年ということに相なるかと思います。従いまして十二月三十一日までに前年の変更を申し出るわけであります。その翌年になりまして変更効果を生ずるわけでありますから、その変更効果を生じた年における損益計算を調整することになるわけであります。
  5. 前尾繁三郎

    前尾委員 前年十二月三十一日、その年十二月三十一日を使いわけてそういうように私も最初読んだ。そうすると一年間もほうつておくというのはいかにもおかしいと思つたので、今度はそういうふうにむしろ前年十二月三十一日までをその年十二月三十一日までにと読むのではないかと考えたわけでありますが、いずれにしても問題は小さいですから次に移つて参ります。次は十條の六でありまするが、この純損失計算については、シヤウプ勧告案による再評価という関係がオミツトされているようなかつこうになつているのであります。その点私はシヤウプ勧告案の方がより合理的である、かように考えるものでありますが、それに対する御意見はいかがでありますか。
  6. 平田敬一郎

    平田政府委員 最初に前回の御質問の期限の点でありますが、前年の十二月三十一日までに申請が出ますれば、もちろん政府におきましてはそれを調べまして、承認または却下処分をできるだけ早くいたすのであります。しかしながら大体におきまして大して問題もないというような場合におきましては、場合によりまして承認または却下処分ができない、そこまで手続きが進まない場合があるだろうと思います。そういう場合におきましては当然政府申請が有効なものとみなすということにしているわけでありまして、それによりまして納税者利益は一向侵されないことになりますし、またその程度事務の処理の仕方で、この事務方法につきましてはよろしいのではないか、こういう考え方でかような規定を設けているわけであります。  次に損失の問題でありますが、お話讓渡所得計算する場合に、讓渡損失が出た場合のその損失計算方法であろうと思いますが、これにつきましては御指摘のように、シヤウプ勧告に若干修正を加えているのであります。と申しますのはシヤウプ勧告では再評価額までに売れなかつた場合におきましては、再評価額と実際売つた額との差額一種のこれは損失になる。従つてその差額は普通の損失と同じように他の所得から控除したらどうか、こういうことになつているのでございますが、この辺まで行きますのは、実はインフレによる資産の調整という意味において、行き過ぎになりはしないかということを考えたのであります。と申しますのは預金者あるいは債権者等は、インフレーシヨンによりまして相当損失を受けているのでありますが、これらの問題に対しまして別に何らの補償も行うことができないのでございましてそれの権衡等からいたしまして再評価額まで売れなかつたら、損した所得税法計算で行くというのはあまりにも行き過ぎはしないか。損失はやはりあくまでも実際の所得か、あるいは財産税評価額か、いずれかに対しまして損害が出たとき損失として控除をするというのが、全体といたしまして実質的に公平を得るゆえんではなかろうかということを考えまして、かような案を出している次第であります。
  7. 川島金次

    川島委員 少しくこまかくなるおそれがあるのですが、ちよつと納得の行かない点がまだありますので、この機会にお尋ねをしておきたいと思います。まず第一に、きのう委員会で奧村君から申告主義についての欠陷指摘されたのでありますが、一方青色申告にもそういう点がありそうな気が私はいたします。青色申告は言うまでもなく、帳簿書類調査の上でなければ更正はできないという原則であり、建前であるわけでありますが、しかもその附則においては、何か青色申告提出いたしましても、なおかつ更正ができるという一面が隠されているわけであります。その青色申告書類を見ただけで、税務官がこの附則では、かつてに何か更正ができるようなふうに取扱いやすいことになるのではないかと思うのですが、青色申告提出してしかも更正するというその場合には、どういう根拠をもつてやるのか。その基準を明らかにしておかないと、せつかく青色申告を奬励し、納税者青色申告を大いにやるようになりましても、結局こういうものがあるから結論は同じだたというような感じを、強く與えるおそれがあるのではないかというふうに私は考えますので、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  8. 平田敬一郎

    平田政府委員 青色申告制度を、今回税法改正全般にわたりまして大いに奬励する建前をいたしておるのでありますが、これはたびたび申し上げております通り青色申告制度の一番大きな効果といたしましては、まずその申告者一定帳簿法律命令等の定める條件に基きまして記載いたしておるわけであります。その帳簿に基きまして申告されたものでありますので、普通の申告と違いまして大いにその申告を尊重しようというわけでありますが、ただしかしそれは常に無條件春色申告を認めて行くという趣旨ではないのであります。これはあくまでもそういう納税者の場合におきましては、その帳簿書類税務官吏がよく調査した上でなければ更正決定ができない、こういう効果を持つのであります。それは所得税法の場合は第四十六條の二に規定しておるのでありまして、「政府は、青色申告書提出することを認められている個人の青色申告書提出を認められている年分に係るその提出を認められている所得について前條の更正をなす場合においては、その帳簿書類調査し、その調査に因り、所得計算に誤があると認められる場合に限り、これをなすことができる。」ということにいたしておるのであります。従いましてこれは必ずそういう場合におきましては、この帳簿書類につきまして税務官吏が具体的によく調べまして、その記録が正しいかどうかもよく調べ、それからその記録に基きまして出て来たところの申告書税法通りに合つているかどうか、これを調べまして、誤りがあるという場合には、これはもちろん更正決定ができるのであります。従いまして普通の場合と違います点は、この帳簿書類調査した上でなければ更正決定ができないというところが違うわけでありまして、常に青色申告書は、そのまま認めるというわけのものではないのであります。それから更正決定をいたします際は、必ずどういう理由でその青色申告書を認めることができなかつたか、その理由決定通知とともに、必ず付記しなければならないことにいたしておるのであります。
  9. 川島金次

    川島委員 そのことは実はわかつておるのですが、申告書を見ただけでも、帳簿書類調査をしなくて更正することのできる場合がある。その基準でございます。
  10. 平田敬一郎

    平田政府委員 帳簿書類を見ない場合におきましても、たとえば申告書の中に所得金額一定申告があるとします。それからいろいろな控除なり税率を適用しまして、税額納税者がみずから算定して来るわけであります。ところがその算定プロセスにおいてすでに間違いがある、こういう場合におきましては、これは当然正しい計算に引直しまして更正決定をするという場合があろうかと思います。これは本人が申告しました総所得金額に基きまして、その後における税額計算方法が、あるいは納税者のする過失等によりまして、あるいは法律を十分に知らなかつたこと等によりまして、税額計算が間違つておるという場合におきましては、それだけに対して更正決定ができますことは、これは当然そうすべきものではないかとわれわれは存じております。四十六條の二の但書にその旨の規定をいたしております。
  11. 川島金次

    川島委員 そうすると、くどいようですが念を押して聞きますが、その青色申告書書類の上に記載されております所得額、あるいはその算定税額等の数字的なあやまちがあつた場合のみに限つて、その帳簿調査しなくて更正する場合があるというのであつて、それが場合によつて出先税務官吏に濫用されて来ると、納税義務者はたいへん迷惑をする結果になるものですから、くどいようですが、それを念を押しておくわけです。
  12. 平田敬一郎

    平田政府委員 申告書に記載されました事項の中で、基礎的な事項はおそらく帳簿類と対照しなければ正否がわからぬ事項が多いと思います。そういう事項につきましては、もちろん帳簿書類を調べた上でなければ納税者申告を是認することはできない。ただ申告書に記載された事項からスタートをしまして、その後のプロセス等におきまして計算上に間違いがあるという場合におきましては、これはこの規定によつて正しい計算に引直して更正決定ができる、こういう趣旨と御解釈願いたいと思います。
  13. 川島金次

    川島委員 それでわかりました。  次に特別控除の問題ですが、災害そのほか盗難も加わつております。最近御承知のように全国的に治安が思わしくなくて、また道義の低下等からいたして、盗難はひんぴんの実情であります。ことに一例をあげますれば、所得の十分の一以上に達したものに対しては、それを特別控除するということになつておりますが、たとえば勤労者がせつかくやみで仕入れた一万数千円もするような自転車、こういつたものを買つて来て間もなく窃盗にあうというようなことは、非常にひんぴんとしてあるわけです。そういう場合に勤労者ぺースは非常に低い。しかもやみで仕入れたその財産は非常に高い。その自転車一台とられても、すぐに所得の十分の一以上にもなるという場合が非常に多かろうと思う。そういう場合に、一体政府はこの特別控除公定価格損失を認めるのか、実際にその納税者が取得いたしました価格において認めるのか、その点はどういうふうになりますか。
  14. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点につきましては先般小山委員にお答えいたしたのでありますが、原則としましてそのときにおける時価——盗難を受けたときの時価によりまして損失額評価するということに相なろうかと思います。但したとえば米穀等の場合におきまするごとく、所得税計算自体におきましても、生産物に対して收入を見る場合におきまして公定価格を採用するというようなものにつきましては、これはそういう価格によるということになると思いますが、原則としましてはそのときの時価による。時価によりまして損失額を査定するということになるかと思います。
  15. 川島金次

    川島委員 それから私どもは、従来退職手当等に対する課税については政府は思い切つた処置をとつて勤労者に対する措置をすべきではないか、こういうふうな主張を持つてつたのであります。今度の退職所得につきましても、あまりこれに対する措置をしておらないようであります。もう少し退職所得等につきましては、何らか別途の措置を講ずる必要があると思うのでありまするが、その点の見解はいかようでありますか。
  16. 平田敬一郎

    平田政府委員 退職所得につきましては、今回一割五分の控除を認めることにいたしたのであります。シヤウプ勧告によりますると、同じ所得であるから全額課税すべきだということになつておるのでありますが、これはやはり給與所得的性質——もちろん給與所得の延長でありまして、給與所得性質において同じ性質を持つておるものと考えられますので、一割五分の控除を特に認めることといたしたのであります。そうしましてあるときに退職所得が多くなる。そのために累進税率等負担によつて負担が不公平になる、こういうことは変動所得平均課税を行うことによつて負担を緩和することにいたしておるのであります。さらに退職所得につきましては、額が二十万円以下の場合におきましては一年限りの平均課税をいたすのであります。爾後の徴税をいたさないのでありまして、その結果私は、負担が実際上減る場合が相当多いのではないか、かように考えております。今回は所得税法で、所得につきましては給與所得でも讓渡所得でも、すべて全額総合して課税する建前をとりました関係上、退職所得につきましてその程度の取扱いをいたしますることは、適当であろうと考えておる次第であります。
  17. 川島金次

    川島委員 そうすると退職所得を受けました月を基準として、その後における一年間に平均してそれを課税するということになるのですか。
  18. 平田敬一郎

    平田政府委員 源泉では、一応そのときまでに受けました給與退職金額とを引合せまして、退職所得に対する源泉課税をいたしておるわけであります。翌年の確定申告におきましてその精算をやるわけでございますが、その際におきまして、変動所得平均課税を行うことになるのであります。変動所得平均課税を行う場合におきましては、従いまして他の所得も全部見まして確定申告で正しい税額算定しまして、それによつて平均課税を行つて行くことに相なるのであります。
  19. 川島金次

    川島委員 さらにたいへんこまかくて恐縮ですが、最近われわれの方面でも問題になつておるのですが、競輪選手所得事業所得ということになつて出先税務署競輪選手との間、あるいは自転車振興会の間においていろいろ論議されおる。われわれの見るところによりますれば、競馬の騎手あるいは競輪選手、これらの所得ははたして事業所得であるかどうか。むしろ客観的に見ればこれは純粋な勤労所得にもひとしいものではないか、こうわれわれは考えておるのであります。しかるに出先税務署においては、それぞれこれは勤労所得ではなくして、事業所得だということにして計算をして論議されておるのでありますが、政府といたしましては、これらの所得者に対して、どういう決定的な考え方を持つておるのか。この機会に聞かしてもらいたいと思います。
  20. 平田敬一郎

    平田政府委員 今お話のような種類の人の所得になりますと、どうもはたして勤労所得でありますか、事業所得でありますか、なかなか実際上判定の困難な場合があるのでありますが、勤労所得と申しますのは、国会議員さんの歳費の場合は、これは雇用契約に基くというわけに行かぬと思いますが、普通一般の場合は原則として雇用契約を結びまして雇い主から給料、賃金等の形で支拂われる。雇用という契約に基く一種の対価になる所得、これを原則として給與所得という観念にいたしておるのであります。これに反しまして、雇い主から雇用契約に基きまして受ける給與という性質を持たないで、自己の力量、技術等に基きまして一定の仕事をいたしまして、それに基きましてそのときぞれ随時に適当な歩合等によりまして收入があるというような場合におきましては、一応事業所得に該当する場合が多いのではなかろうかと思います。映画の俳優あるいはお相撲さんというようなものにつきましても、同様な問題があるわけでございますが、大体におきまして今申し上げたようなことに該当するかいなかによつて、その区分をきめることにいたしておるのであります。そういう点から申しますと、私は競輪選手の問題につきまして具体的に調べておりません一ので、的確なことは申し上げかねますが、どちらかと申しますと、やはり所得税法区分では事業所得の方に該当するのではなかろうかと思いますが、なおよく実態を調査しました上で、的確な判断を下すことにいたしたいと思います。
  21. 川島金次

    川島委員 その競輪選手に対する事業所得を賦課いたします場合に必要なる経費という問題でいろいろ論議になつておるのです。中には四〇%を全所得の中から必要経費として差引いたり、あるいは場所によつては、六〇%を控除してその残りに課税をするというようなことで、その土地々々によつて非常に区々であります。そこに私は問題があろうかと思います。言うまでもなく、騎手にいたしましても、競輪選手にいたしましても、馬を持つておるわけではない、また自転車を持つておらないのが大体原則であります。そういう者の必要経費を差引く場合に、必要なる経費はもちろんあるのでありますが、税務署によつて区々であるというのが現実の問題です。こういうことに対して政府としては、もしどうしても事業所得として認めて行くならば行くように、その必要経費についてはある一定の標準をつくつて、全国的に大体不均等のないような形にし向けて行く必要があろうかと思うのですが、その点の見解はいかがですか。
  22. 平田敬一郎

    平田政府委員 今御指摘のように、事業所得ということになりますと、その收入を得るために必要な経費控除することになるのであります。給與所得になりますと、一割五分の控除はいたしますが、必要経費控除はしないということになるのであります。必要経費の認定と申しますものは、実際御指摘通りなかなかむずかしい問題であろうかと思います。従いましてある代表的な人につきまして、実情をよく聞きまして、はたしてその收入を得るために必要な経費であるかどうかをよく認定しまして、それに基きまして妥当な経費を引くということにすべきではなかろうか。その際に御指摘通り、なるべくこのように全国的に動いております選手等につきまして、全国統一をはかるということは当然なことでございますから、国税庁におきましてさような問題につきましても研究するように、私の方から伝えておきたいと思う次第でございます。
  23. 川島金次

    川島委員 さらに、この問題はもうどなたかから聞かれたかと思いますので、重複いたしましたら恐縮でありますが、更正決定に対する異議の申請等に対して、別途、従来のやり方をかえた協議団を所管内に持つということになつておるわけでありますが、その協議団の構成はどういう形で行われるのですか、その点をお聞きしたい。
  24. 平田敬一郎

    平田政府委員 協議団設置の内容につきましては、近く大蔵省設置法において具体化しまして御審議を仰ぐ見込みでございますが、今の大体の考え方といたしましては、少くとも一府県一箇所以上協議団設置する場所を置きます。この協議団はもともと国税庁または国税局、大体は国税局に所属する職員でございます。それを各局ごとに置きましたのでは、納税者にとりましても不便でございますから、少くとも一府県一箇所以上設置するという考え方で配置したらどうかと思います。従つて協議団のメンバーになります職員は一協議団ごとに三人ないし五人くらいのグループをつくりまして、そのグループ事件が起きました場合におきましては、だれか主査みたいな担当官が必要でございますが、きめる際には協議をしまして、その上できめて行くということにいたしたいと考えております。その職員の中には、大蔵大臣もたびたびお話になつておりますように、この際なるべく民間の経験ある人を採用いたしまして、必要な指示を與えまして、なるべく適当なる結論を得るように努めたい、このようなことでございます。御了承願います。
  25. 川島金次

    川島委員 その民間の経験者をもつて充てるという場合に、できれば農民あるいは労働者関係、あるいは中小企業関係、こういつた者を選び、しかもその紛議事件性質によりましては、特にそれらの事件について最も造詣のある、また直接にその社会にある者をその以外に選ぶ、こういつたやり方も一つの方法ではないかと思うのでありますが、今のお話によりますと、三人ないし五人のグループをつくり、その外にそういう経験者をつけるのか、あるいは三人ないし五人のグループは税務所内で選ぶのではなく、その中にそういつた経験者を入れるのか、どういうことになりまする。
  26. 平田敬一郎

    平田政府委員 民間から採用します場合におきましては、やはり職員として採用するわけであります。従いましてこれはもちろん協議団を構成する役人が協議団を構成するわけでありまして、これは当然そのグループの中に入るということに相なるのでございます。従いましてあまねく各方面の経験者を集めるわけには参らないかと思いますが、しかし大体におきまして、民間の経験等があります場合におきましては、他の実情等も比較的わかりいい場合が多いと思いますので、あとの訓練よろしきを得ますならば、私は妥当な結論を得られるのではないかと思うのであります。なお先ほど府県單位に配置すると申し上げましたが、それは單に国税庁の役人がある一定の地区に出張りまして、そこで仕事をやるという意味のものでございまして、各府県ごとに役所を設置するということは性質が違いますので、その点つけ加えておきます。
  27. 川島金次

    川島委員 そのグループは民間から来た者も職員として待遇するということになりますが、その待遇関係などはどういう形になつておりますか。
  28. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 民間から採用いたしまする協議団の要員につきましても、官吏の待遇と全然同様でございます。
  29. 川島金次

    川島委員 そうすると民間に経験のある人を職員とするという場合に、その経験や年齢等によつて定めることになるのでありますか。そうでなくて各協議団グループごとに、その相手方によつてそれぞれの待遇をするということになるのか、あるいは政府であらかじめ一定の待遇基準等を設けて、それに当てはめて職員とするという形になるのか。いずれであるか伺いたい。
  30. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 人事院規則並びに給與に関する法令に基きまして、官吏の待遇と同じような基準によつて官吏として採用するつもりであります。従いまして協議団の要員であるがゆえに、特に特別の給與を出すという建前には相なつておりません。
  31. 川島金次

    川島委員 それはわかるのですが、そうすると何か漠然としてよくのみ込めないのです。従来官職についておつた人ならば、その基準によつて大体ものさしができるわけです。ところがそうでない、民間の純粋な畑に育つて来た経験者、こういうことになるのですから、おそらく各業界におつた人を職員とするのではないか。そういう場合に、やはり普通の低い官吏の待遇を基準としたのでは、そういうりつぱな人はなかなか求めにくいと思うのです。ですから政府としてもそういう重要な協議団職員とするためには、ある程度給與ベースに当てはめるのだということはわかるのでありますけれども、その給與額、そういつたものは一定の標準に上げたものでなければ、その人材が適当に見つからない。こういう形になるのではないか。そういうことを考慮して、どの程度に待遇をするかということは、あらかじめ一定の方針があつてしかるべきではないか、かように思いますので、その具体的なことをお伺いいたしたい。
  32. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 民間から採用いたします場合におきましても、民間におけるところの経験年数というものを、官吏における経験年数と大体同様に扱いたいと考えております。なお現在の制度におきましては、級別、定数というものが非常に大きな意味を持つのでありますが、協議団の要員につきましては、できるだけ高いところの級別の多くの定数を得たいと考えまして、人事院と折衝中でございます。
  33. 川島金次

    川島委員 その場合における協議団職員というものは非常に私は重要な役柄を果すべき責任がありますので、それについてはやはりある一定の標準以上の待遇をせなければ、公正妥当な、しかもその知識経験を活用するに足るだけの人を得られないと思う。どうかその点については十分政府も愼重に扱われんことを望んでおく次第であります。  それからさらに法人税についてちよつとお伺いしたいのですが、法人の貸倒れ準備金、この制度基準はどこに求めておりまするか。
  34. 平田敬一郎

    平田政府委員 法人の貸倒れ準備金は、ひとり銀行のみならず、あらゆる企業につきましても認める考えでおります。そうしまして基準は大体二つの最高限を設けてあります。一つは利益金額の二〇%程度以内、但し銀行の場合は特殊性がありまして、貸付金が主常に全体の牧益を生み、資産として大部分でございますから、銀行の場合につきましては、三割前後の以内において認めることにしたらどうであろうか。できますれば三分の一程度認めるか認めないか、目下その辺の細目につきましては若干検討中でございます。それからもう一つは各事業年度に積み立てまする貸付金の残高に対しまして、百分の二程度の制限を設けまして、その以内で積み立てることを認めたらどうであろうか、こういうことで目下具体案を大体成案を得るように研究をいたしておるのであります。
  35. 川島金次

    川島委員 それからやはり次に法人の問題ですが、法人の交際費の問題で至るところに悶着が起るわけであります。この交際費の基準というものは、どうもやはり税務官吏あるいは税務署ごとに意見が違うように私は聞いておりまして、そのために法人の関係者がたいへん迷惑いたしておる実例もあるわけであります。それに対する政府としての確たる基準とか、方針というものはどういう形になつておるか。この機会に示しておいていただきたい。
  36. 平田敬一郎

    平田政府委員 この交際費の基準をどうするかを研究しておりまするが、なかなかむずかしい問題でありまして、目下いろいろな方法を合して研究いたしております。できますならばなるべく外形的な標準にいたしまして、否認額がきまるような方法を採用したいと思います。その場合の基準といたしましては、売上金額とか、資本金額利益金額あるいは附加価値額といつたようないろいろな基準がございまするが、それを目下各種の企業につきまして資料を集めて検討中でありまして、なるべくよるべき基準を明らかにいたしたいと思います。ただ実際問題といたしましては、最近は一時よりもやや交際費等で多額を出すという傾向が少くなつたようでございまして、あまり交際費の否認でむりをするようなことはいかがかと考えますので、常識上妥当と認められる方法によりまして解決いたしたいと考えておるのであります。具体的な基準だけで一律に参ります場合もあろうかと思いますが、ある程度これは伸縮性のある基準にいたしまして、やはり事実認定の問題を残しておくという必要があろうかと思つておるのでありますなおその辺は会計学者等の意見も聞きまして、目下今申し上げましたような方向で、最後の具体案をつくるべく努力いたしておる次第であります。
  37. 川島金次

    川島委員 今の交際費の問題はなかなかやつかいな問題を各地で引起しておるのであります。今後もそういう問題が起つて納税者税務署の間に当分紛議が絶えないのではないかと思います。政府がそのときどきの認定——これはもちろん認定も必要であります。しかしながら売上金資本金その他のことを勘案して一定のやはり目途というものはあつた方がよいのではないか。そういうことがないので各法人においては、また法人の事業の性質によりましては、交際費が非常に多額に必要な法人もありますし、また比較的少くて済む事業形態のものもあるわけでありますが、その中でもやはり一定の目途があつた方が法人としても非常に扱いがよいし、税務署とその都度紛議を起さずして済むのではないかというわけでありまして、今の局長の話によりますと、まだ大体認定で行くというお話でありますが、局長自身の考えといたしましては、この際どの程度が適当でないかというような腹案でもありましたら、示しておいていただきたいと思います。
  38. 平田敬一郎

    平田政府委員 目下その点につきましては資料をとり集めまして、売上げ金額を標準としますか、資本金あるいは利益金額によりますか、それから企業によつてある程度の差をつけますか、なかなか複雑になつておるようであります。あまりに刻み過ぎますと実情に反する。基準を設けないでやつて行くと税務署納税者の間に紛争を起すということにもなりますから、なるべく基準で解決できるようにしまして、しかし若干の点はやはり場合によつては認定にまかせるということにせざるを得ないのではないかという考え方で、目下具体案を作成中であります。実際問題としましてはあまり否認額を多くしまして、トラブルを起すという必要もなかろうと考えてあるのであります。そういう趣旨で目下資料を集めてやつておるわけでありますが、具体的にはなかなか複雑しておりまして、申し上げにくいのでありますが、大体はその趣旨で遺憾なきを期したいと考えておるわけであります。
  39. 川島金次

    川島委員 それからなお法人に関することですが、使用人の直接人件費の給與は別ですが、旅費、あるいは宿泊料、こういつた問題についても、いろいろな紛議を起す場合が、税務署との間にあるわけです。私どもも多少の事業をやつておりまして、こういう問題についてはたまたま税務署と意見の相違を来す場合がある。たとえば旅費は実費といたしましても、宿泊料の問題などはこのごろ若干低目になりましたけれども、まだなかなか相当の費用を実際は必要とする。こういう問題について、実際必要で支出したのであるけれども、税務署はそれをなかなか認めないという場合が往々ありまして、困る場合があるわけです。これはおそらく各法人とも全国的にそういう問題が起つておるのではないかと思うのです。この際こういつた宿泊料のごとき問題について、政府は実際に在の中でとられております宿泊料についてほんとうの実費を認めるのか。要するに政府が定めた簡單な公定宿泊料、こういうものだけを認めて、ほかは認めぬというような考え方で行くのですか。でき得ればやはり実費の宿泊料を認めることが実際的だと私は思うのですが、その点はどういう考え方を持つておりますか。
  40. 平田敬一郎

    平田政府委員 旅費とか宿泊料とかいう問題でありますが、実際に会社が常業のために支出したもの、これは原則としてもちろん損金として算入すべきものだと思います。従つてその目的が今申しましたような目的であります場合におきましては、額のいかんを問わず当然会社の損金に相なるのでございます。ただ実際問題としては、そういう機会にやはり個人的な目的で、宿泊料を出してもらうという場合が相当あろうかと考えます。そういう場合はややともすると宿泊料の額が相当多額にかさむ場合が出て来ると思いますが、そういう場合につきましては、これは事実認定の問題でございまして、これを法律なり政令等で規定するということはなかなか困難のようでございます。その性質をよく調べまして、妥当な判断を下すほかないのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  41. 川島金次

    川島委員 この宿泊料等の問題については、実は私の身辺に一つあるのです。それは農業協同組合の幹部がある取引のために九州の方へ出張しておりまして、いろいろな都合から手違いがありまして、約一箇月も滯在せざるを得ないという事情に遭遇してしまつた。九州の方へ行つておりますために、協同組合から途中で送金してもらつたりなどして、辛うじて宿泊料を拂つて引揚げて来た。そこに税務署から来て、帳簿を見て宿泊料が多過ぎる。それをいくら説明しても納得せぬ。しかも帰つて来た職員はきちようめんにちやんと領收書を持つてつて来た。そういう事柄についてそれを認める認めないでえらいいざこざが起つたことがあるのでございます。どうもそういうことからいたしまして、こういつた法人の旅費、宿泊料につきましても、末端の税務署の人たちがややもすれば單なる常識的認定でやるから、そういう場合もあり得るのです。一箇月もかかつておるというようなことは協同組合のみならず、他の会社、大工場等にはたくさんある。一箇月もおりますと相当な金額になつてしまう。これは宿泊料としては高いじやないか、多過ぎるじやないかということで問題が起るのですが、そういう場合は実際にかかつたものは、実費としてこれをすなおにやはり認めて行くという方針でなければ実際的ではない、かように思いますので、こういう場合につきましては、できるだけその実情をすなおに認めるという方針で行く方がいいのではないか。惡意を持つてする人は別です。脱税を目的等にする人は別ですが、正直なことまでこれは惡意だ、こう一方的に解釈をして取扱いをするというがごときは、まことに好ましくないことであり、できるだけそれは避けて行く万がいいのではないか、こう思いますので、そういつたことについての適当な指導をこの機会にお願いしておきたいと思います。  それから次にお伺いいたしますが、富裕税の関係であります。これは五百万以上の資産に対する補完でありますが、すでにどなたかから聞かれたとすればまことに恐縮ですが、五百万、一千万、二千万、五千万という段階をつけております。現在日本の国内でこれに該当する人員、資産等の調査がさだめしおありだと思うのですが、それがありましたならば、この機会にお示しを願いたいと思うのです。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 川島委員お話になりました前段の問題につきましては、要するに現実にそういう費用を要していたかどうか、その事実を明らかにするということと、それから目的が先ほど申し上げましたように、会社なり事業の目的であるかどうか。その点をはつきりいたしますれば、これは当然認むべきものと考えます。ただ非常に異例に属します場合には、税務官署を納得せしめるだけの適当な証拠なり資料を提供していただく必要がありますことは、実際上やむを得ないかと考えるのであります。ただ同族会社等の場合におきましては、特にその点をやかましく言う場合があろうかと思います。  それから富裕税につきましては、たしかお手元に予算の説明といたしましてお配りいたしておる六表にございます。全体の見込みを四万五千百十人と見ておりますが、そのうち五千万円以上が四百十人、二千万円から五千万円までが二千二百四十人、一千万円から二千万円までが八千二百八十人、五百万円から一千万円までが三万四千百八十人、大体税務署等の調査に基きまして、その後の状況を加味いたしましてかような見積りを立てておる次第であります。
  43. 川島金次

    川島委員 それらの富裕者に対する課税の場合には、一種の非課税目標があります。これは家具、什器、衣類その他の動産ということで漠然としておりますが、同じ家具、什器、衣類にいたしましても、われわれの常識から見て、家具ではあつても非常に高価なる家具もあろうし、あるいは什器もあろうと思います。そういつた富裕階級の持つております家具、什器、衣類は庶民層の持つております家具、什器、衣類とは違つたものが相当ある場合があると思います。そういうものに対しても、これはあらかじめ非課税ときめるということはどういうことであるか、ちよつと私は疑問があるのでございます。「その他の動産」というのはどういうことをいいますか、それをひとつ明らかにしてもらいたい。
  44. 平田敬一郎

    平田政府委員 ここに「生活に通常必要な家具、什器、衣服その他の動産」といたしておりますが、「生活に通常必要な」というのは、やはり私はその人の生活程度に応じて通常必要なもの、こういうふうに解釈するのが妥当ではないかと考えております。従つて相当な家屋等に住んでおる人の場合におきましては、その家屋に通常必要な家具等は、当然非課税にするのが最も穏当なものと考えまして、さようにいたしたいと思います。「その他」といたしましては、大体これに類する娯楽の用具等も若干あるかとも思います。運動具というような家具、什器、衣服と必ずしも言えない種類のものでこれらに大体似通つたもの、そういうものはなるべく大蔵省で列挙いたしまして、明らかにいたしたいと考えておる次第であります。
  45. 川島金次

    川島委員 通常その生活に必要なという事柄はわかるのですが、富裕階級の中でも家具といつてもいろいろありましよう。たとえば金屏風も生活に必要な家具だといえばそれまでのことです。そういつた事柄で富裕の資産の認定をいたします場合に、非常にめんどうが起ろうと思うのです。さだめし第一線の税務官もこの認定にはなかなか問題が起つて来て、困難を感ずるような場合があると思うのです。たとえば床の問にある置物、置物でも非常に高級なものになるとたいへんな価格になる場合にがある。一つの掛軸にしても相当な価格がするが、中には国宝的なものを持つておるものもありましよう。そういう事柄が起つたときにどういう見解でそれを非課税とするか、課税対象とするかということはきわめてむずかしいことでもありましようが、やはり一定の標準があつてしかるべきではないか、私はそういう気がするのですが、その点はどういうふうに考えますか。
  46. 平田敬一郎

    平田政府委員 まことにごもつともなお尋ねでありまして、たとえば書面骨董等は原則としてこれは課税する見込みでありますが、しかし床の間の置物とか、あるいは相当な家屋に住んでおる人が若干の掛軸等があるのは、これは通常必要なものと考えるのであります。その他いろいろなるべく大蔵省令あるいはそれに基きます国税庁の訓令等によりまして、できるだけ具体的に指示いたしたいと考えます。ただあまり一律に行きますと結局におきましてまた実情に即しないということになりますので、そのへんのところにつきましては従来の財産税の際における経験等を十分考慮いたしまして、妥当を期するようにいたしたいと考えるのであります。
  47. 川島金次

    川島委員 さらに再評価の点でちよつとわからぬところがあります。これもどなたか聞かれたとすれば恐縮なんですが、再評価する場合に卸売物価指数、小売物価指数、土地評価指数ということになると思いますが、その卸売物価指数や小売物価指数や土地評価指数というものは、土地の方は別でありますが、卸、小売の物価指数を当てはめますところの対象物件というものは両方当てはめるのか。それとも対象別に区別いたしまして、卸売物価指数あるいは小売物価指数ということにもなるかと思うのでありますが、どういうことになりますか。
  48. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話通りでありまして物件によつて違えておるのであります。大体減価償却算定ごとき、いわゆるリプレースといつたものにつきましては、卸売価格を採用することにいたしております。それから家屋等につきましては、前回の財産税のときのバランス等を考えまして、これも原則といたしまして卸売価格によるものといたしております。その他株式等の讓渡所得計算にもつぱら問題になりますものについては、主として一般の購買力指数という意味におきまして、消費者物価指数を採用するということにいたしております。物件によりましてお話通りそれぞれ違つたものを適用することにいたし、公正を期するということにいたしております。
  49. 川島金次

    川島委員 できれば明細なものを、書いたものでもよろしいのですが、お配りを願いたいと思います。
  50. 平田敬一郎

    平田政府委員 先般再評価資産の種類別基準等一覽表という表をつくりまして、それに出ております。
  51. 川島金次

    川島委員 それに指数は出ておりますか。
  52. 平田敬一郎

    平田政府委員 指数はそれぞれ法律のうしろについております。それによつてごらんを願います。
  53. 川島金次

    川島委員 それから再評価の場合に、これは一律でなく任意にやるのでありますから、それまでだといえばそれでおしまいでありますが、中小企業の関係の再評価については何か別な措置で適当なる援助といいますか、処置を講ずる必要があるじやないかと思うのであります。なるほど資産評価は減価償却が容易になり、その資産を堅固にする意味でまことにいいと思うのでありますけれども、往々にして、現在の中小企業の実態からいたしまして再評価をするとき、相当な企業に対しても同じような一律の課税をする。そこの中には別途延納の定めもありますから、よろしいといえばそれもそれまででありますが、現在の中小企業の実態に即して何か再評価に対する、評価益に対する課税に対して、一定の免税点といいますか、控除額というものを定めて、できるだけ中小企業を助けて行くというような考えはないものかどうか。その点について見解を示してもらいたいと思います。
  54. 平田敬一郎

    平田政府委員 再評価につきましては、中小企業の場合は法人でございますれば法人の再評価原則従つてそれぞれ再評価をすることになります。また個人でございますれば、それぞれ個人の場合の再評価原則に基きましていたすことに相なろうかと思いますが、特に今回の納期につきましては相当ゆるやかな扱いを認めることにいたしたのでございます。従いまして納期の点につきましては、もちろん大きな会社も当然その利益にあずかるわけでありますが、中小企業等の場合におきましても、相当私はこれによりまして財産評価は可能になるのではないかと思うのであります。特にそういう関係もございますので、普通の税法と違いまして、再評価額に基きます延納部分に対しましては、利子税等も課税しないことにいたしてあるのであります。大体こういう趣旨でやりますれば、中小企業等の場合におきましても、私は相当再評価ができるのじやないか。ことに再評価をやりますと、再評価額に基きます増加償却額を経費ですぐ差引くわけであります。再評価税を納めるのでありますが、再評価税を納める額は従つて超過所得税が軽くなつただけ、再評価税をかりに納めるにいたしましても軽くなるわけでありまして、負担は相当ふえるということにもなりませんし、再評価をしたことに基きまして、法人税がかかるべき部分に対して六%の課税が行われるのであります。まず私は合理的に計算なさいますれば、中小企業の場合におきましても、この再評価法に基きまして再評価をされた方がやはり得でありますし、またそれは大体において可能ではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  55. 川島金次

    川島委員 それに対しては意見があるのですが、省略いたします。  さらにお伺いしますのは、これもどなたか聞かれたのじやないかと思いますが、私うかつで存じませんので伺うのですが、再評価に関する審議会、調査会というものができるわけです。この審議会、調査会の構成等についてまだ私詳しく知つておりませんが、どういう構成になるのでありますか。
  56. 平田敬一郎

    平田政府委員 この審議会は大体中央に設置しまして、この分については何と申しますか、方針、基準等を定めるのがその主たる目的であります。この審議会はここにも書いてありますように、民間の学識経験者並びに関係各省の役人等が入りまして、たしか四十人以内で構成することにいたしております。これは一つであります。それから中央にもう一つ再評価調査会というものを設置するのでありますが、これは主として具体的なケースに対する再評価に関して、問題のある事項を取扱うのでございます。これは国税庁設置することにいたしております。それから各国税局ごとに地方の再評価調査会を設置するのでありますが、これは原則としまして、これもやはり具体的なケースに対する再評価に関する事項を取扱うということになつておりまして、たとえば再評価をしたものが一定の報告書を政府提出するわけでございますが、政府がそれに対しまして調査をしまして違つた決定を行つた場合、それに対しまして異議があるような場合におきましては、すべて再評価調査会の諮問を経まして、それぞれその処分を決定して行くことに相なるのであります。それと更正決定等に関する重要な事項に関しましては、それぞれ国税局長、国税庁長官は必要に応じまして諮問することにいたしておるのでございます。大体さような構成になつております。     〔委員長退席、北澤委員長代理着席〕
  57. 川島金次

    川島委員 調査会は何人ぐらいですか。
  58. 平田敬一郎

    平田政府委員 中央の再評価調査会は、これはやはり四十人以内で組織することにいたしております。それから地方の再評価調査会は三十人以内で組織することになります。
  59. 川島金次

    川島委員 もうちよつとお尋ねしたいのです。先にもどりまして所得税の方でお伺いしたいのですが、今回も引続き通報制を設けてやることになつております。この通報制の賞金は最高五十万ということです。最近における通報制による実績というものはどの程度でありましたか。また今後これを置いて相当期待すべき実績を上げることのできるような見込みでありますかどうか。それを伺いたい。
  60. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 二十四年度分の報告はまだとりまとめてないのでありますが、二十二年度と二十二年度分の報告は入つておりますから申し上げます。二十二年度においては通報を受けました件数が九千六百二十八件でございます。そのうち実際に調査いたしましたものが六千二十件、なお第三者通報によりまして、報奬金を出す建前になつておりますが、報奬金を出しました件数がそのうち四十九件、金額が二百万一千円でございます。二十三年度におきましては、第三者通報を受付けました件数が二万三千四百件であります。そのうち調査の価値ありと認めまして、調査をいたしました件数が一万二千七百十三件であります。しこうしてこれに対して報奬金を交付いたすことに決定いたしましたものが二百九十四件、金額にいたしまして一千九百三十三万五千円であります。なおそのほかに国税庁で受付けましたものが、二十三年度において三十六件、そのうち調査をしたものが十四件、報償金の決定をしたものが六件、金額で百万五千円ということです。
  61. 川島金次

    川島委員 この通報の件数が大分ありまして、それに対する実際の調査の件数は非常に少いということになりますが、その間に何かそれぞれの国税庁においての、あるいは税務署においての勘で行つて、これは交付すべき、調査すべき性質のものであろうと考えてやられたのでありましようが、この通報制に基くこういう数字というものも、何か弊害も多少あつたという事実もあるでありましようし、またそのために非常に助かつた事実もありましようが、何か弊害の点についてお感じになりましたことがありましたら、聞かしていただきたいと存じます。
  62. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 第三者通報制によりまして、税務官庁といたしましては相当多数の資料を実際いただいておりますので、これに基いて調査しました結果、相当の脱税を発見して参つておるのであります。従つて今後もこの制度はぜひ続けて行きたいと考えておる次第であります。なお受付件数に対しまして調定した件数が約半数になつておるのでございますが、大体経験者が見ますと一見して大体価値のあるもの、しからざるものと区分ができるのであります。最近は漸次具体的なよい通報が出て参るようになつたのであります。先ほど数字を申し上げました通り、たとえば昭和二十三年度において一万二千件の調査をいたしまして、結局その通報に基いて、これだけの脱税額が出たから、報奬金を差上げるという数は、わずかに二千四十九件であります。従つてなかなか具体的な的確な通報がそう多くないということは、これによつてもお察しができるかと思います。なおただいま御質問の第三者通報制による何か弊害がないかというお話でありますが、これは税務官庁側からは、そういうような弊害というものはただいまのところそう見当らない次第であります。ただ第三者通報制に興味をもつて、同一人で相当多数通報を出しておられる方は、ちよちよい見受けるのであります。
  63. 三宅則義

    三宅(則)委員 ちよつと関連して申します。今通報ということでございますが、私はこれにちよつと関連して、大上委員から了承したわけでありますが、税務署長に対しまして国税庁なりあるいは主税局から通報ということではありませんが、命令を出しております。それの一部分を本委員会に、委員長あてに写しを出していただきたい。これが必要だと思います。お出しにならぬようでありますが、申し上げておきます。     〔北澤委員長代理退席、委員長着席〕  もう一つ申し上げておきたいことは、これは各会社が税務署に対しまして、税務署から会社の設立当初の貸借対照表、財産目録、株主名簿を出せということで出したにかかわらず、三箇月たつてからまた出せといつて来ておる。これははなはだ不都合でありますが、事実の通報に関連するものでありますが、これは税務署において必ず各会社の出したものはきちんとしまつておく、こういうことにしたいと思います。
  64. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 御承知の通り通牒は非常に厖大にわたつておりますので、これを全部確かめるということになりますと相当の時日を要しますので、できますればそのうちどれが必要だということをお話くださいますれば、その分だけでしたらきわめて迅速に差上げることができると思つております。なお従来通牒類はあまり公表してなかつたのでありますが、国税庁から発足いたしましてから、国税庁報にほとんど大部分掲載いたしましてこれは一般にも配付と申しますか売り出しておりますので、これによつてよく御承知を願いたいと思います。なお後段の何回も申告書をとるという問題については、これは以前そういうことがちよちよいあつたように承りまして、まことに恐縮しておる次第でありますが、各税務署における帳簿の整理、その他株式の書類の整理をきわめて嚴格にいたすようにして参つておりますので、今後は漸次そういうことの絶滅を期するようにいたしたいと考えます。
  65. 川島金次

    川島委員 それからなおお伺いしますが、これは五十万以上の所得者税務署ごとに公示するということなんです。これは五十万以上の所得者は例外なく公示をするのか、それとも五十万以上の所得者にして滯納等があつた場合に公示をするのか、その点はどうなりますか。
  66. 平田敬一郎

    平田政府委員 これは本人の確定申告額が五十万円以上の者については、一種の閲覽簿をつくりまして、それを公衆の目のつきやすい場所に置いておくというような方法によつてやりますので、全部やるわけであります。
  67. 川島金次

    川島委員 それからまた少しこまかくなるのでありますが、これは酒税の関係であります、国税長官がおわかりかどうか、わかつておれば幸いなんですが、最近農村における報奬酒類の辞退が非常に重なつてつておる。それで酒その他を合せて先般の新聞紙上で見ますと、全体で金額にすれば十億にもなつて来ておるというような新聞なども見て、いかに農村が報奬の酒すらも受取れない困難な事情になつて来たかということを証明するに値するものですが、現在こういつたものについてどのくらい辞退の数ができておるのか。それがわかつておれば示してもらいたいのです。  それからもう一つは、ついでに申し上げますが、酒類に対して一般飲食店は、加算税をつけた酒類を出すということになつておる。高級料理店や何かの、そういつた事柄は私も異議がないのでありますが、ことに一般勤労者がひんぴんとして活用いたしまする大衆酒場、こういつたところの酒類に対して加算税をつけるということは、どうかという感じがいたすのでありますが、その事柄について何か政府は別途に処置するというような考えがないか。研究する余地がないかどうか。それをちよつとお尋ねしておきたいと思います。
  68. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 農家に配給いたしました酒の辞退の数量は、ただいまここに報告を持つておりません。来年度におきましては、従来辞退の数量が相当多いということを聞いておりますので、配給の方法を研究いたしまして事前に大体の計画を立てて、その必要の都度差上げるというふうなことにして、合理化して行きたいと考えております。従来は植付のときにいたしましても、刈入れのときにいたしましても、実はその配給の時期が非常に遅れましたために、ほんとうに必要なときに配給がないということがありましたので、そのために一時に大きな配給を受ける。またその配給酒を買うところの現金がそのときにはないというようなことのために、辞退も多かつたろうと思うのでありますが、今後はそれらの点を十分考えまして、年度当初から一定の計画をもつて、必要なときにその都度引取れるというような制度に改めて行きたいと考えます。  なお配給酒につきましては、相当限定的にいたしておるのでございまして、今後もこの方針を続けて行きたいと考えておるのであります。この範囲を漸次拡大して参りますと、その限界が非常に困難でありますし、またその目的等から考えましても、酒税確保の上から考えましても、大体現在の方針を継続して行きたいと考えておる次第であります。
  69. 平田敬一郎

    平田政府委員 酒場、料理店等の酒の値段でございますが、今回地方の遊興飲食税の税率を、百分の五十から百分の四十に下げる見込みでございますので、酒場、料理店の方の小売価格は今よりもわずか下ると思います。増税にはならないということをこの機会に申し上げておきます。
  70. 竹村奈良一

    ○竹村委員 この際資産評価の点で問題になつておるところを質問しておきたいのですが、賠償指定資産というものは、再評価から除外されておるのですが、現在それは一体どのくらいあつて、どういうふうにこれを貸與して、どういうような使用料をとつておるかというようなことをお聞きしたい。
  71. 平田敬一郎

    平田政府委員 賠償指定資産の現在の状況につきましては、もしも必要がありますれば、関係者から説明しないとなかなか簡單に御説明することはむずかしいかと思います。特にこの税法の御審議の上におきまして、そういう必要があるかどうかわかりませんが、適当な機会に別途に御説明するようにしていただいたらどうかと思いますが、これは解除がきまりました際に再評価をするという考えでございます。指定している間は再評価しないという考えであります。
  72. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それではそのときでけつこうでございます。そこでこれを再評価から除外して、解除されたときに再評価するということはもちろんわかりますが、しかしその指定されたものを貸與して、使用料をとつておるという場合は、そうすると勢い解除されるまではもとの使用料、固定資産の減価償却が大きくならぬで、そのままになるということになりますか。
  73. 平田敬一郎

    平田政府委員 賠償指定資産につきましては、いろいろ研究してみたのでございますが、大体こういう扱いでいいだろう。お話のような場合におきましては大部分解除を最近やつておるようでございますから、それによつて解決するのではないか、こういう考え方でございます。
  74. 竹村奈良一

    ○竹村委員 それは別の機会にまた詳しく御質問するといたしまして、続いてもう一つお聞きしておきたいのは、たとえば従来の会社で大体減価償却ができないので、補修費等の形で資産を蓄積して行く、こういうふうな会社が非常に多いのです。これは黒字の会社です。他面もう一つは非常に経営が困難で赤字になつておる会社がある。こういう場合に資産評価をやりました関係において、一体今まで補修費等を名目的に計上いたしまして、そうして蓄積して参りました会社が再評価するのと、赤字で非常に困つておる会社が再評価するのとでは、どういうような違いがあるかお知らせ願いたい。
  75. 平田敬一郎

    平田政府委員 今まですでに修繕費等を出しまして、実際は設備の維持も相当やつておるという企業の場合におきましては、再評価になりましても償却額が若干ふえるだけにとどまることになりまして、比較的楽に再評価ができることになるだろうと思います。ただその点につきましても、修繕費に該当すべきものであるか、あるいは資本的支出に該当するものであるか、従来におきましても税法の解釈に従いまして税金をきめておりますが、特にその点につきましては、今後できる限り理論にかなつ基準を設けまして、実際の調査の際におきましても、税金の区分を明らかにしたいと考えております。それから今まで修繕費等をほとんど出せなかつたような企業におきましては、おそらく経理状態の惡い企業であろうと思いますが、こういう企業はたびたび申し上げましたように、よほど勉強しまして増産をはかるか、あるいは企業の内部を合理化して能率を上げるか、あるいは生産物の値段を場合によりますれば高くするか、いずれかの方法によりまして利益を上げるようにしまして、それで償却をやつて行くことになるんじやなかろうかと考えます。
  76. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もう一つ続いてお聞きしたいのですが、たとえば現在の農村の農業協同組合の経営は大体赤字経営です。これが資産評価をいたしますと、もちろん協同組合の持つておるのは大したものじやない。家屋とか脱穀機、そういつたものだろうと思いますが、それを再評価いたしました場合に、もちろん経理上は、赤字は再評価額において何とか補填することになると思いますが、勢い今度は償却は大きいものが出て来る。従つてまた赤字が累積するわけですが、こういうものは結局は資産評価をやらない方がほんとうは堅実じやないかと思いますが、これに対してひとつ御見解を伺いたい。
  77. 平田敬一郎

    平田政府委員 今のお話の、赤字になつて、現在だけでなくて将来も利益を上げる見込みがない、こういう企業はおそらく再評価はできないと思います。そういう企業の場合におきましては、たとえば設備等の場合におきましても、ほんとうに価値を評価しますと、いわゆる陳腐化しておるというようなものに該当するかもしれないと思うのでありますが、そういう企業はできない、あるいはやらないというのはいたし方なかろうと思います。しかし大体の場合においては、今は利益がなくとも、とにかくこれだけ物価水準が高くなつておりますから、現在の物価水準にある程度まで合せまして償却しまして、それで企業をやつて行くということでなければ、ほんとうの企業の維持発展はとうていできないのでありまして、むしろできないというのであきらめずに、何とかできるように事業の成績を上げてやつて行くというのが、経営者のとるべき道ではなかろうかと考えます。今利益がない場合におきましては延納を認めますから、再評価しても再評価税を納めるために困るということはございません。五年先になりまして再評価額を出資等に振りかえます場合に、その機会に延納になりました税額を納めてもらえばよいということに相なるのでございます。従いましてそういう企業の場合におきましても、何とかひとつくふうし努力されまして再評価されて、やはり償却をして行く。それによつて初めてほんとうに企業の維持ができる。こういうことになるのではないかと考える次第であります。
  78. 竹村奈良一

    ○竹村委員 非常にけつこうで、明らかになつたわけでありますが、そういたしますと資産評価というのは、やはり利潤のある黒字経営をやれるような企業は再評価いたしまして減価償却をやつて行くというようなことになりますならば、非常に資本の蓄積になるけれども、結局におきましては一体現在赤字で、しかも将来も物価でも上げて——購買力がふえれば上げたらいいのですけれども、そう上げてもしようがない。結局は、今企業というものが、あまり大してこれによつて資産の蓄積どころか、結局は何もならぬということになるのですね。
  79. 平田敬一郎

    平田政府委員 私は大勢としましては、最近大分状況が惡くなつておる企業もありますが、企業はやはり今後経済の安定に伴いまして、経営を建て直し得る自信と申しますか、建て直すという方向に一般的に向うのではないか。従いまして大部分の企業はやはり再評価原則に基きまして、再評価するということに行き得るのではないかと思うのでございます。現状だけにとらわれないで将来の見通し等もつけられて、再評価されることを政府としましても期待いたしておる次第でございます。またそれは相当可能だと私は考えておるのであります。
  80. 竹村奈良一

    ○竹村委員 さつき川島委員から資産評価審議会とかあるいは調査会とか、こういう点について構成をお聞きになつたので、重ねてお伺いいたしませんが、ここで一つだけお聞きしておきたいのは、大体今までで明らかになつたように、一応資産評価をやりまして減価償却が大きくなりますと、結局におきましては物価を上げない程度と、こういうふうに大臣もおつしやつておりますが、上げない程度にやりましても、やはり従来からたとえば労働争議なとが起つて、労働者の賃金値上げの要求の経営者との交渉の際には、やはり減価償却をどのくらいに見るかということが団体交渉などのときには一応論争の中心になつたのであります。従つて今度再評価されて減価償却が法的に大きくなつて来る。従つて今度賃金値上げ等の場合におきましては、この減価償却をめぐつて、こういうふうに減価償却をしなければ、経営が立つて行かぬのだからという形で、勢い労働賃金が押えられて来ると考えられる、そういう点から考えましても、この再評価審議会あるいは再評価調査会というような構成に対しましては、ここに働いておる労働者諸君とも大きな関係があると思うのですが、そういう場合に労働組合等の代表をここに入れるという点が、入れられておらないのでございますが、これは入れる方がいいのじやないかと私は思うのです。これに対する御見解を承りたいと思います。
  81. 平田敬一郎

    平田政府委員 再評価調査会の方は相当個別的計数、具体的な事件を取扱うところでございますので、やはり民間のその道の專門家等をもつて構成するのが適当ではないかと考えております。再評価審議会の方は若干全体の方針等をきめますために、この方にはなるべく各方面の委員に入つていただきまして、適正をはかるという方向がいいのじやないかと思いますが、いまだ具体的な、今お話のありましたような点まで話が行つておりませんので、よく相談しまして、できるだけ適正な運営ができるようにして行きたいと考えております。
  82. 竹村奈良一

    ○竹村委員 前に財産税を納付するときには、財産税を査定する査定委員会か何かが、地方におはてつくられておつたと思うのですが、これの結末は地方においてはあまり芳ばしくなかつたとわれわれは考えております。今度のそういうような資産評価に対するいろいろな機関をつくられました場合に、それと同じような結果に終らないかと考えるのですが、これに対してどういうふうに考えておりますか。
  83. 平田敬一郎

    平田政府委員 今度の資産評価は、御承知のように任意でございます。これがもしも最初のシヤウプ勧告通り強制的にやることになりますと、私は委員会の任務がきわめて重大なものになつて来ると思いますが、任意になりましたので、役所におきまして申告を認めないというのは、どちらかと申しますと過大評価になりますから、償却決定を認めないという場合が大多数だろうと思いますが、そのようなことは最近の状態等から考えましても、そう多くはないのではなかろうかということを考えますと、調査会等の任務は、それほどもともと必要でないというふうにも考えられるのでございます。従つて調査会はもちろん必要がある場合におきまして、適当な意見を出すということになりますが、それほど困難なことではないと私ども考えておるのであります。
  84. 竹村奈良一

    ○竹村委員 先般からいろいろ質問申し上げて、大体政府の方針もわかつたのであります。また昨日奧村委員から大臣に尋ねられまして、大体大蔵大臣の考えておられる意図もわかつたのでありますが、予定申告の問題です。この予定申告をする場合におきましては、前からもいろいろ問題になつておりますように、前年度の所得を下らないということが、一応原則になつておるのですが、大蔵大臣はこれに対しては非常に心配したので、個々の税務署長にも十分実情調査して、そういうことなからしめるように話をしたい。そういうような方法をとりたいというふうに言つておられるのでございます。また局長さんはこれは予定申告だから、確定申告のときにそれだけ引いたらいいじやないかと簡單におつしやるのでございますが、しかしこのことはやはり一応重大な問題でありますので、特にこの際明らかにしておきたいのは、こういう個々の実情において実際に昨年度よりも少いということを認定するのは、やはり税務署長さんがおやりになるのか。あるいは前からの質問においては、政府がこれを指示される場合もあるのですが、政府が一方的に認定した場合においてしかおやりにならぬのか。あるいは民間のどなたかの意見をお聞きになつて、事実昨年度よりも所得が減少している場合は、そういう処置をおとりになるのか。これだけを明らかにしておいていただきたいと思います。
  85. 平田敬一郎

    平田政府委員 前年度実績に応じます予定申告制度の運用につきましては、もちろんこの制度を設けた本旨に従いまして、極力適正を期することにいたしたいと考えます。今のお尋ねにつきましては、もちろんこれは税務署長が承認を與えるわけであります。それからまた法律に定めました一定の要件に該当する場合においては、税法はこれに承認を與えなければならないということにいたしておるのでございます。そういう場合においては、もちろん納税者の申立てもよく聞き、諸般の情勢をもよく取調べまして、極力適正な運用をはかることに努力いたしたいと考えておるのであります。諸般の情勢を調べる場合に、もちろん各方面の実情等もよく調査し、意見も聞くということは大切かと考える次第であります。
  86. 竹村奈良一

    ○竹村委員 もしその場合に税務署長にそういうことを申請しても、いや昨年度よりも多いのだというように意見の相違した場合においては、納税者は一体どういうふうな処置をとつてこれを防ぐのですか。
  87. 平田敬一郎

    平田政府委員 税務署長が承認しないことに対しまして、不服があります場合におきましては、再調査審査ができるわけであります。ただこれは先般から言つておりますように、災害等によりまして所得が減少すると認められたとき、それから前年の実績に対しまして二割以上減少すると認められる場合、この場合は税務署長が承認を與えなければならないというふうにしておるわけでありますが、こういう場合におきまして、それに対して異議があります場合には、普通の更正決定に対すると同じように、再調査、再審査等ができるわけであります。
  88. 竹村奈良一

    ○竹村委員 最後に一点お聞きしておきたいのですが、大体大蔵省の方では、戰前たとえば昭和六、七年と現在とで、いわゆるいろいろな物価指数というものをどれだけ——もつとはつきり申し上げますと、昭和六年なら六年のある時期を一〇〇とするならば、現在ではどれだけに上つておるか。どれだけ上つておると考えていろいろな見込みを立てておるか、お聞きしたいのであります。
  89. 平田敬一郎

    平田政府委員 これはおそらくいろいろな統計がございますし、竹村さん御存じの通りでございましようから、あらためてここで申し上げることもなかろうと思いますが、あらゆる統計にそういうものが入つております。
  90. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  91. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 もう最後のようでありますから、簡單に二、三点お伺いしたいと思います。  業者の団体の団体交渉というものは、もうやらないというようなお話を伺つてつたのですが、そういうことが現にまだ行われておるようでありまして、現に組合なんかにおける役員、たとえば理事長なり組合長なりが相当の業績を上げているにもかかわらず、実際の末端の業者、そういう人たちが非常に税が重い、こういう不公平な問題があります。国体役員が税務署に出かけて行つて、そうして他人の税の軽減だとか、自分の税の軽減をやつておる場合が非常に多いのですが、税務代理士でなくしてこういうことをやつておることは、非常に不合理に思うのです。それからまた今度の割当の問題で、実際調査もしないで頭から頭割りを下して来ておる例がたくさんありますが、この点について伺いたいと思います。
  92. 高橋衞

    ○高橋(衞)政府委員 いわゆる団体交渉と申しまするのは、シヤウプ勧告においても禁止されておりますし、本来税は各個人の所得を正確に把握して、実相をつかむということによつて初めて公平を得るのでございまして、そういうふうな方法は嚴格に禁じておるのであります。なお昨年以来百万円以上の所得者、いわゆる大口所得者というのは全部調査課の主管になりまして、全部実額調査によつてこれを決定するという方法をとつております。しかも大体の傾向を見ますと、これらの団体の幹部になられる方が、大部分は調査課の主管に移つておりますので、従つてその幹部の方の所得を少くして、組合員または団体員の所得を重くするというふうな方法も、漸次努力をいたしましても努力のしがいがないというような状況に相なつて来ておるかと思うのであります。ただしかしながらいろいろその業界の状態により、またはいろいろな資料をいただくという面につきましては、現在の税法においてもそれぞれ諮問をする権限も與えられておりますし、また税務官庁といたしましては、できるだけ多数の資料を收集して、そしてできるだけ正確に所得を決定するということが理想であります。それらの目的にかないます資料は、あらゆる資料を集めたいと考えておる次第であります。なお所得調査をしないで所得の決定をするという点につきましては、何分にも人手が不足でありますので、完全な調査ができないで、間違いは相当多いかと思うのであります。しかしながら少くとも一回は必ず各戸に臨みまして、得られるところの資料は得て、それをできるだけ算定の基礎に使う。また算定の基礎に使い得ない程度の場合におきましては、権衡でありますとかあるいは外形標準とかいうものにによつて何とかして所得の実相に近いものを把握して、所得の決定に努めております。
  93. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 ただいま長官からお話を伺つたのでありますが、昨年度の仮更正決定に対して異議の申請を出しておつたのでありますが、事実その異議の申請を出したにかかわらず、調査に来ないで、ある甘味喫茶協同組合では頭割りで割つて来られて、そうして仮更正決定よりもなお三制もふやして来ておるのが大分あるようでありまして、組合の方が大分不満のようであつたようです。いろいろ私も事情を話して、税というものはこういうものだということを説明しておりますが、不満の方もあるようであります。  次に修理費の問題ですが、修理費というものは、大体大きな修理は資産勘定に入れて、何年かで償却するのが普通の経理の処置ですが、單純に経費に落すのと資産勘定に入れる場合とは、その場合によつて違うだろうと思いますが、これは何か限界があるものでしようか
  94. 平田敬一郎

    平田政府委員 修理費と資本的支出の限界は、りくつはいろいろ会計学者が説明しておりますように、いろいろなことがあるわけでありますが、実際の問題はなかなかお話通りむずかしい点があるのであります。大体資産の流通性の価値を増加しまして、耐用年数を延ばすようになつたとかいうような場合には、資本的支出だといつたような定義——いろいろな定義がございますが、実際問題としましてはそういうようなものに照しまして、極力適正を期したいと努力しております。今回なるべくこういう点についても、政令または国税庁の訓令等でできるだけその点を明らかにして、限界をはつきりいたしたいと考えておるのであります。
  95. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから減価償却の問題ですが、これは進駐軍の乗用車を持つておる会社のある社員から伺つた事実であります。たとえば秋田県なら秋田県、山形県なら山形県に進駐軍が駐在する場合、その自動車を請負うために相当設備をしている。ところがごく最近地方の進駐軍の駐在するものがだんだん減つて参りまして、この進駐軍の專用自動車もいらなくなる、またそういう設備もいらなくなつて来るのであります。従つて将来の見込みもありませんから、利益で大幅にこういうものが償却できるかどうかという問題であります。
  96. 平田敬一郎

    平田政府委員 今お話になりましたような場合におきまして、その資産処分して処分損が出ますれば、その処分損は当然ブツクバリユーと消費した差額とが損金となりまして、これは当然会社の場合でございますと、利益から落せるわけであります。それから処分しない場合におきましては、問題は評価減の問題であります。評価減の問題でありまして、どの程度評価減を立てることを認めるか。これはなかなか実際問題としてむずかしい問題でありますが、的確な根拠に基きまして、資産の価値が現実に減つているということを認める場合におきましては、その評価減を立てるということも、もちろん税法上可能でございます。
  97. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 それから官吏の転任だとか、会社員の転任の場合によく起きる問題ですが、たとえば青森県におつた官吏が東京都に転任になつた。それがために青森県で持つておつた家屋を売却して、東京で買わなければならぬというような場合に、一応青森県で売つた讓渡利得というものは、必ず所得税に加算してとられるものでしようか、それとも他の家を買つた場合は、それと相殺してこれに税をかけないものでしようか。
  98. 平田敬一郎

    平田政府委員 資産につきましては、全部持つている資産は、讓渡あるいは相続その他で他人に讓りましたときに、讓渡所得を課するという原則にしておりますので、買いかえた場合におきましても、当然それに対して所得が出て来た場合には課税するのであります。
  99. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 そうすると不正な問題が起きて来ると思うのです。たとえば十坪の家を十万円で売却した。ところがまた今度東京に来て十万円の家を買うという場合には、やはりこれは利得になるのでしようか。
  100. 平田敬一郎

    平田政府委員 今まではインフレによる値上りによつて相当利益があつて、讓渡価格が高くてこれに税がかかつた。非常にそういう問題が出たのでありますが、今回は御承知の通り、税によつては再評価税だけを課する。もちろん再評価額を越えて高く売つた場合には、所得が出たものとして課税するのでありますが、再評価額以下の場合には課税しないのであります。しかしいずれにいたしましても、そういうふうに財産を一ぺん処分しました場合におきましては、これに対する所得税課税するということが、適当であろうと考えておるのであります。なお従来はそのほかに不動産取得税がありまして、買つたものは不動産取得税がかかるということで、ものの売り買いがあると税の負担が重くてものの流通を阻害していたのでありますが、今度の税法によりますと、そういう点は従来よりも非常に改善が行われておるものと考えます。
  101. 前尾繁三郎

    前尾委員 時間がありませんから各税について一点ずつだけお聞きしたいと思います。所得税につきましては、六十二條の四に私非常に奇怪な條文を見ておるのですが、それは御承知のように財産の明細表の不提出の場合に、加算税をかけるということであります。もちろんシヤウプ勧告案にありますように、財産明細表を出すのはよいのでありますが、それに対して一万円の加算税をかけるということに私非常な疑問を持つておるのです。もちろん秩序罰としてある程度の罰金をかけることは必要でありますが、加算税をかけるということについて御意見を伺いたい。
  102. 平田敬一郎

    平田政府委員 この條文は若干新構想のものでありまして、従来はこういう場合におきましては大体一年以下の懲役、二十万円以下の罰金とか、秩序犯の刑罰を科しておつたのでありますが、どうも税法上のこの種の義務に対しては秩序罰が必ずしも目的を達成しない。場合によりましては苛酷になりまして実際上は適用できない場合もあるというので、むしろこの種のものにつきましては、そういう一つの民事罰という形で励行をした方がよいのではないかということで、一種の加算税によつて励行をはかることにしたのであります。こういう制度も一つのおもしろい制度だと考えております。運用上相当いい結果を生ずることを私は期待いたしております。
  103. 前尾繁三郎

    前尾委員 これ以上は追究いたしません。もう一つ所得税につきましては従来刑事罰、民事罰を両建で課税しておる。しかし最近のあの小久保産業などの判決を見ましても、はたして民事罰をかけたあとで、また刑事罰を両建で併科して行くということについて、私非常に疑問を持つておるのでありますが、この税法でもそれが解決されていない。それに対して主税局長の御意見を伺いたい。
  104. 平田敬一郎

    平田政府委員 大体民事罰を科する方がむしろ軽い方だと考えております。従いまして脱税犯として刑事事件になるような場合は、大体民事罰も科するような場合に該当するのではないか。従いまして刑事罰にならないが、重加算税だけはかかるという場合は相当あろうと思います。これに対しまして、重加算税がかかるほかに、惡質のものに対しましてはそれぞれ懲役刑あるいは罰金刑等を科する場合がある、このように考えております。
  105. 前尾繁三郎

    前尾委員 二重制裁については私非常に議論があるのでありますが、その点も省略いたします。次に法人税につきましてただ一点お伺いしておきたいのでありますが、今度同族会社が非常に機械的な行き方で同族会社とみなされるわけです。そうして積立金については五十万円に限つて二%、五十万円を越しますと七%、そこに非常な差がある。五十万円という線が、そこに引かれておるのでありますが、資本金その他の関係は何ら考慮されていない。そういうことに相なりますと、場合によつては法定積立金その他に、この七%の課税を受けるということになりはしないかと思うのでありますが、その点についてのお考えはいかがでありますか。
  106. 平田敬一郎

    平田政府委員 五十万円で限界いたしましたのは、所得税等々の負担を考えまして、少額の法人に対しましては同族会社の場合といえども、加算税まで課する必要はなかろうというので、大体五十万円の限界について同族会社の加算税を課するようにいたしたのであります。これはその程度にいたしますれば、大体個人との間の均衡もはかり得るのではないかということが主たる理由であります。
  107. 前尾繁三郎

    前尾委員 次に資産評価について一、二点御伺いしたいと思います。第一は株価の再評価の場合の基準につきまして、従来株式指数と申しますか、株式だけ特別のやり方でやるように考えられておつたのでありますが、それが消費者の物価指数を使うことになつております。その理由と、そうしてそれによつてどの程度の差異が出て来るかについてお聞きしたいと思います。
  108. 平田敬一郎

    平田政府委員 株価につきましては、消費者物価指数をとることにいたしておるのでありますが、消費者物価指数は一般的購買力を示す指数としてこれを採用したのであります。つまり貨幣価値の変動を見る指数としては、この指数が一番よいだろうというので採用いたしたのであります。従いまして株式につきましては、ある年に投資したものが、それを回收した年に最初に投資した貨幣価値で計算するならば、ほんとうに利益があるかないか、こうしたものさしで讓渡所得と申しますか、讓渡した場合の真の利益を見出すのが、一番よいのではないかという考え方でありますので、私どもはやはり株式につきましては消費者物価指数をとる方が一番妥当ではないか、こういう考え方なのであります。株式でありますと、單に株価の指数というものがありますが、これは増資その他の関係から見まして、必ずしも実際の株の価格を反映いたしておりません。実際の指数はこの指数よりも若干下まわつておるかと思います。理論的にはやはり消費者物価指数の方がよいではないかという考え方であります。その思想を引延ばすと、土地につきましても消費者物価指数の方がよいのではないかという考え方も成り立ちますが、これはやはり土地の中におきますいろいろな増減値上げ等の関係もありますから、まず土地価格指数によつた方がよいのではないか、こういう考え方であります。
  109. 前尾繁三郎

    前尾委員 その点で多少株式に有利になるようでありますから、それはそれといたしまして、次に、再評価の種目別に基準の範囲内であれば、それがどういうふうな関係になつてもよろしい。言いかえれば最近に讓渡する可能性のある資産については、ぎりぎり一ぱいまで評価して置く。そうでない資産については評価を最小限度にとどめるというようなことも可能であるのかどうか。その点はつきりしておきたいと思います。
  110. 平田敬一郎

    平田政府委員 会社は原則として再評価を任意にいたしておりますので、それぞれの資産について法律で定めました限界以内でございますれば、その範囲内におきまして適当な再評価をいたすことは法律上別に禁止いたしておりません。
  111. 前尾繁三郎

    前尾委員 次に償却済みの資産についての再評価ということは考えられておりますかどうか。結局残存価格までになつたのについての再評価ができるかどうか。
  112. 吉田信邦

    ○吉田(信)政府委員 お答え申し上げます。現在法人税法で、償却の場合には十分の一は残すことを原則といたしておりますが、その意味で十分の一まで残つておる残存価格がございますれば、それを再評価することになつております。なお法人が自分の会社計算の上で十分の一以上に償却して、簿替してしまつたという場合においても、税務計算で否認されて今の十分の一が残つておるというような場合には、その否認されて残つておるところの十分の一について、再評価することができるということにいたしております。それからさらに再評価いたしました場合に十分の一しか残つておりませんと、これを再評価しましても今後減価償却ができないということで、再評価した利益を受け得ないというおそれがありますので、さらに再評価された額の十分の一まで減価償却を認めるという特例を設けております。
  113. 河田賢治

    ○河田委員 まだ地方税の法案あるいは平衡交付金の法案などは出ておりませんけれども、これは大蔵委員会としましても、国税の改正と同様に、地方、税につきましても相当関心の深いものがあるわけなのであります。従つて、これを委員会が開催される直前に出されましても、これを見るのにも相当時間がかかりますので、地方行政委員会へ出されておる程度のものでもけつこうでございますから、地方税法案及び平衡交付金の法案、それからこれの資料として、名府県別に新しく設置されました附加価値税その他の新税、あるいは改正税などの見積り額、それからこれの積算になる基礎資料、これを要求したいと思います。なお本委員会におきまして、次に審議されます見返り資金の問題でありますが、これにつきましては審議を早める意味からも、輸入物資の内容、金額、こういうものの資料と、これの資金の貸付、特に私企業でありますが、これに対する貸付先、金額條件、こういうものの資料を御提出願いたいと思います。
  114. 平田敬一郎

    平田政府委員 資料につきましては、できるだけ調整して提出いたすことにいたします。
  115. 北澤直吉

    ○北澤委員 今回当委員会に付託になりました税法関係九法案につきましては、二月の二十四日から十二回にわたつて会議を開きまして、各方面にわたりまして愼重審議をされたわけであります。もちろん今回の税制改革案は、日本の税制を根本的に改革することを目的とするものでありまして、非常に重大なものであります。従いまして今日までの審議におきましては、必ずしも十分とは申すことはできないのでありますけれども、この税法案と一体をなします二十五年度の総予算案が、昨夜衆議院の予算委員会を通過しまして、今日衆議院本会議を通過する予定になつておりますので、この税法九法案に対しまする質疑は、この程度にして打切られんことを望みます。
  116. 川野芳滿

    川野委員長 北澤君の動議に御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、九税法案に対する質疑は終了といたします。  なお明十一日午前十一時から九税法案を議題として討論採決に入りたいと思います。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十三分散会