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1950-03-01 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月一日(水曜日)     午前十一時二分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小峯 柳多君 理事 小山 長規君    理事 前尾繁三郎君 理事 河田 賢治君       岡野 清豪君    奧村又十郎君       鹿野 彦吉君    甲木  保君       佐久間 徹君    高間 松吉君       田中 啓一君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       田中織之進君    竹村奈良一君       中野 四郎君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 池田 勇人君         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主税局長)  平田敬一郎君         大蔵事務官         (主税局税制課         長)      原  純夫君         国税庁長官   高橋  衞君  委員外出席者         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ――――――――――――― 三月一日  公認会計士法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)(予) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第四  七号)  有価証券移転税法を廃止する法律案内閣提出  第四八号)  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  富裕税法案内閣提出第五三号)  通行税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五四号)  公述人選定に関する件     ―――――――――――――
  2. 北澤直吉

    北澤委員長代理 これより会議を開きます。税法質疑に入ります前にちよつと御報告いたします。それは明二日の公聴会における公述人選定の件でありますが、本件は去る二月二十四日の委員会におきまして、委員長理事に御一任願いましたので、理事会で選考の結果、次の八名の公述人を選定いたし工したので、この際御報告申し上げてわきます。すなわち学識経験者として商大教授の井藤半彌君、同じく都留重人君、経団連の日本租税研究協会から十條製紙株式会社取締役金子佐一郎君、それから中小企業連盟常務理事稻川宮雄君、農業協同組合代表会議実行委員会会員長黒田新一郎君、品川税務署税議長森蔵之助君、元全国財務労組委員長徳島米三郎君、それに酒税関係といたしまして日本酒造協会代表理事土田國太郎君、以上八名であります。     ―――――――――――――
  3. 北澤直吉

    北澤委員長代理 報告事項を終りまして、これより税法六案を一括議題としまして、質疑を続行いたします。竹村奈良一君。     〔北澤委員長代理退席委員長着席
  4. 竹村奈良一

    竹村委員 物品税のことでお聞きしますが、最近物品税を納めさすためにいろいろな方針を各地方でとつておるのです。たとえば正しい納税運動協力店というようなビラを、下から盛り上げてこしらえるのでなしに、上から税務署が天くだり的にこしらえて押しつけ的にこういうことをやつて、そうしてもちろん物品税を徴収することは当然でありますけれども、その徴収する方法ついても、いろいろむづかしい上から押しつけたような帳簿等を押しつけ、あるいは、いろんな形において非常に押しつけ的なとり方をやつておるところがあるのでありますけれども、こういう点に対して一体どういう方針でおられるか、ひとつ承りたい。
  5. 平田敬一郎

    平田政府委員 物品税実行面のこまかいことは、国税庁から見えましたら答弁すると思いますが、物品税につきましては、いかにしてこれを正確に納税せしめるかは、やはり相当重大な問題でございまして、現在は御承知通り遺憾ながら相当脱税が多いのでございます。しかし間接税におきましては、特に脱税が多いということになりますと、他の正常なまじめな納税者をして競争関係に非常に不利に陥らしめる結果になるのでありまして、私どもとしましては、常に税法通り実行されることにつきまして、努力いたしておるわけであります。直接税と異りまして、税法にも帳簿等につきましげも相当こまかい記載義務を命じております。従いまして帳簿等につきましては、組合等と連絡いたしまして所定の帳簿を備えつけさせること等につきましても、税務署は鋭意積極的な指導をいたしておりますし、これはまた私ども当然の任務と考えます。ただ、今御指摘の点がどういういきさつであるかわかりませんが、やり方につきましては、あくまでも常識はずれするようなことのないように努めなくてはならぬと思います。今申しましたような趣旨からしまして、あくまでも正しく納税せしめるために、税務官庁も積極的にいろいろな方策を講じまして、正しい納税ができるようにするという考えであります。ことに今度は間接税につきましては相当大幅に整理をいたしましたので、物品税につきましてとかく従来非常に非難が多かつたところの、ふまじめな業者脱税をしまして、まじめな業者競争を非常に不利ならしめるというようなことをなくすべく、目下懸命な努力をいたしておるのではないかと考えます。
  6. 竹村奈良一

    竹村委員 脱税する者に対して脱税しないようにするということは当然のことであります。しかし現在行われているように、たとえば納税協力店設置等については、大体商店がみずからそういうものを起さしめるように仕向けるのが当然であつて税務署みずからが上から押しつけてそういうことをするということは、私たちはどうかと思うし、税務署がむりやりにそういう協力店組合をこしらえるとか、何とかいうことを指導しておられるとするならば、これは間違いだと思いますが、どうですか。
  7. 平田敬一郎

    平田政府委員 先ほど申し上げましたように直接税と違いまして間接税につきましては相当詳細な規定を設けましてれ帳簿記載義務等相当こまかいことを明記しております。従いまして税務署納税者に対する指導等につきましても、一層積極的であるのが当然と考えます。ただ非常に常識をはずれたようなやり方をやるということまで行きますのはいかがかと思いますが、その点につきましては、役所はやはり相当積極的に乗り出しまして、適正な課税をはかるようにする方がいいのじやないかと思います。もちろん納税者が自発的にそういうことにつきまして、いろいろやつていただきますことが、一番望ましいことは申し上げるまでもございません。
  8. 三宅則義

    三宅(則)委員 私のお尋ねいたしたいと思います事柄はいろいろありまするが、まず一番の主になりまする所得税の方からやります。所得税の方につきまして難点になつておりますところの山林所得ということにつきましては、御承知通り何十年も前に植えましたもの、あるいはこれに手入れをいたしましたもの等につきまして、このインフレになつて以後に売買することになりますと、相当金額になるわけでございます。そういうふうになりますると、税法上いろいろの論点があるようでありますが、私はむしろこれにつきましては、町村山林の価格を算定する委員会を設けてやつたらよろしいかと思いますが、政府といたしましては、そういう構想を持つておられませんか、お伺いいたしたいと思います。
  9. 平田敬一郎

    平田政府委員 所得税の話が出ましたから、昨日の北澤委員お尋ねに補足的にお答えいたしておきます。  日本から海外技術を修得する等のために技術者が旅行いたしまして、向うで相当長期間滞在する場合に、住所をどうするかという問題でございます。これは昨日抽象的にお答えいたしておいたのでございますが、大体一年以上海外に居住するという場合におきましては、現在の実情上、家族を連れて行かない場合におきましても、住所が向うに移転したものという便宜の解釈をしたらどうか、かように考えておりますことを最初に申し上げておきます。  それから三宅委員の今のお尋ねでございますが、山林所得につきましては、確かに長期の所得であるということ、それからある年に非常によけい山林を伐採したり、ある年は少く伐採するというような関係がございますので、今回は山林所得につきましては、変動所得として五箇年間平均課税方法を認めることにいたしておるのでございます。それによつて一ぺんに山林を伐採したために、ある年に所得が集中したことによる負担公平化が、相当実現できるものと考えておるのであります。それからいま一つの点は、インフレによりまして一般的に物価が騰貴しまして、山林の値段も高くなつて参りました。これにつきましては資産評価法所得税法とに基きまして、一定の再評価をやるわけであります。そうしてその再評価額を越えて売却譲渡した分につきましてだけ、所得税がかかるわけであります。この再評価額までの額につきましては、六%の再評価税がかかることに相なるのであります。再評価基準といたしましては、大体財産税当時から持ち続けておるか、その後に取得しておるかによつて差をつけまして、この前の財産税課税時期前から持ち続けております山林につきましては、財産税評価額に対しまして一定物価騰貴率を乗じまして、出て来ました額を再評価額にすることにいたしております。その後に取得したものにつきましては、その後の管理費等に対して一定の倍率を乗じまして、出て来たものを再評価額にいたしております。そうしてこの再評価額を越える部分の額までが、所得税課税されるということに相なるのでありまして、譲渡所得の場合と大体同様な関係になるわけであります。  それから山林評価という問題がありましたが、今後課税いたしますのは、山林を現実に伐採して譲渡した場合であります。従いましてこの場合には収入金額はつきりわかるわけであります。しかし譲渡所得一般にございますように、相続等によりまして移転した場合も、今度は山林課税することになつております。この場合におきましては、やはり相続税評価いたしますので、その評価と合わせまして基準決定をするということになつております。評価基準といたしましては、財産税のときに再評価いたしました基準がありますから、それをもとにして皆ます。この評価はなかなかむずかしい問題でありまして、税務官庁におきましても一番困難な問題の一つでありますが、できるだけ今後においては役所の内部におきましてもそれぞれ専門家を育てまして、こういう特定の仕事をやりやすいようにして行きたいと考えております。もちろん関係者等意見もよく聞いてやるということに努めるのが、当然であるというように考えております。
  10. 三宅則義

    三宅(則)委員 これに関連いたしまして特に山林等につきましては、専門家測量士とか、あるいはこれらに対する鑑定士というようなものを、全国的におつくりになる必要があるかと私どもは思います。それは農林省との関係があるのでありますが、現今大蔵当局としてはどういうふうに考えておりますか。
  11. 平田敬一郎

    平田政府委員 大蔵省といたしまして、特に専門家を育て上げるというようなことまで行きますのはどうかと思いますが、そういう方々には極力評価等に関して意見を聞きまして、活用するという方向にもつて行きたいと考えております。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員 家具什器、衣類は生活必、需品でありますので、今度は税をかけないことになつてまことにけつこうでありますが、往々にして相当りつば什器家具等もなきにしもあらずであります。こういうものにつきましては、私どもは特に厳重な算定をする必要があると思いますが、政府はどういうふうに考えておりますか。
  13. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話通り今度生活上通常必要な家具什器、その他の動産を讓渡した場合の譲渡所得税は、課税しないことになつたのであります。この通常必要な家具什器動産というものをどう解釈するかは、なかなかむずかしい問題でありますが、少くともその人の生活程度に応じまして、通常必要と認められる程度のものは、やはり課税しないというきわめて抽象的なことに相なりますが、実行にあたりましては極力そういう趣旨に即応するように詳細の取扱い等を定めまして、週案化をはかりたいと思います。少くとも動産類でありましても、一極の投資的価値と申しますか、書画骨董貴金属類等のごとく、それ自体を買つてつていることが一種財産の保有になるような種類のものは、やはり原則として課税ということにいたしまして、ほんとうに生活に使うために購入しているようなものは、原則として非課税にするというような考え方で、少し詳しくそういう基準をきめたらどうだろうかと考えております。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は過去のことを申しましてはなはだ恐縮に存じますが、往々にいたしまして、たとえばわろばな骨董品の一部であるとか、掛物であるとか、貴金属類であるとかいうようなものが、割合に脱税と申しては失礼でありますが、漏れている場合があると思いますが、これに対して政府はいかなるお考えを持つておられるか。少くとも私どもから考えますと、相当資産価値もあり、財産価値みあるものが相続税が漏れたり、あるいは移転税が漏れたりしている場合がありますが、これについての構想を承りたい。
  15. 平田敬一郎

    平田政府委員 今おつしやいましたような各種のものの調査は、実ば相続税課税の際におきましても一番困難な問題でありして、なかなか的確を期しがたいこともあるのでございますが、御承知通り今度は大所得者につきましては、年々一定のバランスを出してもろうことになつておりまして、毎年末の所得七十万円以上、資産三百万円以上の納税者につきましては、毎年財産目録といつたような資産負債表を出してもろうことになつておるのであります。それと相続税におきましても、相続がありました際におきましては、相当詳しく調べる。それから富裕税におきましても、年々財産状況等を調べておくとということになりますので、今後におきましてはそういうものに対しましても、比較的調査の徹底を期し得るのではなかろうかと思つておりますが、これは実際上いかにして調査するか。いかにして調査し得る優秀な、官吏をそろえるかといつたようなことにかかりますので、政府といたしましては、極力負担の公平をはかるような方向に進んで参りたいと思います。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の主税局長お話によりますと、大分便宜をはかりたいというお考えのようであります。もちろんそれも必要でありますが、私はやはりそう、うような家庭生活実情に関しましては、税務署官吏よリも、町村長とかあるいはその他の代表者意見をある程度までしんしやくするということが、一番便宜であると考えて、おりますが、政府といたしましては、今回の構想によりまして、こういうようなものを、代表者と申しては失礼でありますが、一定の機関としてお持ちになるおつもりはございませんか。
  17. 平田敬一郎

    平田政府委員 書画骨董とか、そういう特別なものの富裕税評価等にあたりましては、できる限り専門家の知識を活用して行くつもりであります。ただ今御心配の、どういうものをある人が持つているか、持つていないかということに対しましては、やはり責任のある者でなければなかなか言うものではございません。これはやはり税務官吏が全責任を負つて、あちらこちらよく事情を聞いて調べて行くということでないと、なかなかうまく行かないかと思います。場合によりましては、特別にある人に委嘱等をいたしまして、そういうことの内偵等をする必要もあろうかと思いますが、今いろいろな方法を用いまして、極力適正を期すると同時に、またあまり非常識な査定等をやりまして、非難を買うようなことがないように努めたいと考えております。
  18. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは配当所得のことについて伺いますが、今桐の配当所得源泉徴収をやめることになつた。これはまことにけつこうなことだと思いますが、現今の状況おきましては、株式会社にしても配当をしておるところが少い。ちよつと参考までに申し上げておきますが、場合によりますと会社等におきましては雇い重役、たとえて申しますると事務員とかあるいは社員が重役になつておりまして、相当金額社内で使つてしまつて資本家であるべきところの株主の方には、ほとんど配当していないというようなことがありますが、これは徴税面とも関係のあることでありますから、その内容等についてよほど検討する必要があると思います。これを政府は今どう考えておられますか、承りたい。
  19. 平田敬一郎

    平田政府委員 重役たち社内で使つてしまうというお話でありますが、どういう品的で使いますか。会社の脅業のために、必要経費的なものとして使う場合におきましては、これは当然必要経費になるのでございます。ただ同族会社等が、自分の利益のために会社の金を使う場合は、先般もお尋ねになりました認定賞與として、会社では益金として課税し、個人に対してはそれぞれ賞與として所得税を課する、こういうようにいたすわけでありますが、この辺は実態をよく調べてやりたいと思います。  それから交際費等につきましては、今回でき得る限り政令解である程度基準を設けまして、不当に多額の交際費、が支出されている場合におきましては、一方において会社益金と見ると同時に、場合によつては、利益を受けた者の所得と見るというようなことも考えてみたいと思います。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員 私が今ここで言うと、政府の方にしかられるかもしれませんが、事実過去においてそういうことを聞いております。一旦予算をとると、なるべく使つてしまわなければいかぬというような心理状態政府にあつたと同様に、会社におきましても、雇い重役は場合によると一定額を越え、また一定額の範囲内においてなるべく有効に使うわけでありましようが、消費してしまうという実例が間々あると考えております。御承知通り同族会社におきましては、そういうことはまれであります、が、極端に大多数の株主を有する株式会社等におきましては、往々そういうような例があるのであります。御承知通りそういうような大多数の株主を有する会社におきましては、監督の不行き届きのため、雇い重役が専横をきわめておるのでありますが、厳重に監督なさることによつて利益があるかないかということが初めて算定で、きるのであります。でありますから同族会社にのみ注意を拂わずに、大会社相当監視する必要があると思いますが、その点について承りたい。
  21. 平田敬一郎

    平田政府委員 交際費等につきましては、ひとり同族会社だけでなく、大会社につきましてもやはりしかるべき基準を適用いたしたいと考えております。
  22. 川野芳滿

    川野委員長 それでは先ほど竹村君からの、国税庁長官に対する質問が保留されておりましたので、竹村君の発言を許します。
  23. 竹村奈良一

    竹村委員 二十四年度の税金取立ての問題でありますが、たとえば長野税務署においては、取立てるためにこういう書面を各納税者に対して出しておるのであります。昭和二十五年の貴殿の営業所得最終課税決定額は、税務署においては何円だと見ている。従つて本月三十一日までに提出することになつているが、これを確定申告に、この金額以上に申告なさらないと、税務署においては日歩あるいは延滞利子等をとる。だから必ずその金額以上に申告せよ。こういう手紙各人に出しておるが瞬こういう問題に対して一体どういうふうに考えるか。これは私は今日の税金をかける上において違反だと思うが、これに対してどう考えるか承りたい。
  24. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 従来は更正決定をいたします際に、あらかじめ税務署調査金額納税者にお知せすることなしに、税務署調査に基いて、申告高が大体それに一致していない場合におきましては、申告納税をいたしませんで更正決定をいたして参つたのであります。しかしながらそういうふうにいたしますると、税法規定に従いまして、当然二割五分の追徴税を加算しましたり、または加算税がそれについてよけいにかかるというようなことがございますので、われわれといたしましては、できるだけ納税者に親切に注意をして差上げる、そういうふうに事前に大体税務署調査したところによ与ますると、この程度所得調査額になる。従つてその程度の税額をぜひ御申告を願いたいというような書面を差上げたと思います。これはもつぱら納税者に対して、どこまでも親切にという心構えをもつていたしたことでありますので、その点御了承願いたいと思います。
  25. 竹村奈良一

    竹村委員 とる方から申しますと、はなはだ納税者に対して親切な行為だということになるのですけれども、拂う方からいたしますと、はつきり申し上げますとこれは一種脅迫状です。これだけ以上にある人はいいのですけれども、ない人にこういう手紙が来て、しかも税務署が一々調査してこうやると言われますけれども、実際は納税者個々において調査されておらない。これはおそらくこの委員会においてもいろいろ言明されておるように、大体標準をきめて標準納税者だけを調査しておられるのであつて個々納税者を一々調査することは不可能に近いし、またそんなことはでき得ない。それを一律にこういう粗雑な調査に基いて、こういうようにこれ以上にしなければ延滞料をとるとか、あるいは利子をとるとか言われることは、これ以上の所得のない人にとつては非常に脅迫状になると思うのです。こういう人がそういう書面をもらつたところで、実際それ以下に事実に基いて申告した場合においては一体どうされるか、それをひとつお伺いいたします。
  26. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 もちろん所得調査各人ごとに徹底して、完全に行われるとは申しかねると思います。従いましてそういうふうな場合におきましては、それぞれ法律に基いて救済の規定がございますので、それらの手続をお願いいたしたいと思うのであります。しかしながらそういうふうな注意を申し上げるということは、法律に誓いてあることをそつくりそのまま書いて差上げるのでございまして、決して脅迫とかそういうような心持ではございませんし、むしろ納税者に対して、何とか、そういう法律規定を御承知になつてそのことのために将来不利の起らないようにという趣旨をもつて差上げたのでありますから、そういうふうに御了解を願いたいと考えます。
  27. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは、たとえば税務署から十万円だと通知されて、実際五万円しか所得がなかつたという場合に、五万円と申告したならば、この書面に書いてあるようにやつぱり日歩とか、そういうものを取られるのですか。
  28. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 税務署が十万円と調査をし、事実は五万円しかなかつたという場合におきましては、法律規定に従いまして審査請求をしていただき、その金額が確定した場合には当然五万円になると思います。しかしながら税法規定に従いますと、審査請求中といえどもこれが強制執行を妨げないということになつておりますので、具体的にその方について調査をした結果、相当に資力があり、または所得があつたということになれば、審査請求前にそれが処理されることもあり得ると思うのですが、私どもといたしましてはできるだけそういうような紛争も避けますし、またそういうふうな苛酷にわたる、行き過ぎになるようなことがないようにという注意をいたしておりますので、そういうものの事例はあまりないものと思います。  なおつけ加えておきますが、先に税が徴收せられて、後にそういうふうな誤謬の訂正または更正決定訂正があつた場合におきましては、政府一定加算金をつけまして税の還付をすることにいたしております。
  29. 竹村奈良一

    竹村委員 最近、これは先日河田君よりも大蔵大臣に質問したときに、あまり要領を得なかつたので重ねてお伺いいたしたいのですが、こういうような形で一応税金取立ててやつておられる。その結果は、今おつしやるようにいろいろ法律に基いて、あとで何とかするとか言われますけれども、差押えやその他いろいろやつおられるところに問題が起つておるということは、御承知であろうと思う。たとえば新聞紙上で見ておりましても、税金取立てがきびしいので、あるいは差押えされたためというので一家心中をどんどんやられておる。こういうことの原因は、やはり長野税務署のやつておる脅迫状――あなたは脅迫状でない、実際に親切に教えておるのだとおつしやいますけれども、この脅迫状にひとしいような、ももろん文面には脅迫状とは書いてないけれども、これを受取つて実際の所得がこれだけしかない、そうして納めなくちやならぬというので、気の小さい人はいわゆる一家心中あるいは自殺をしておるのでございます。私たちはそう考えるのでありますけれども、そういう自殺やそういうことをした人に対して一体どうされるのか。法律にどういう規定があるのか、不幸にして私は調べておりませんけれども、一体こういうものに対してどういうふうにされるか。あなたとしてはどういう方法で行かれるか開かせていただきたい。
  30. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 私ども税金のために自殺をされたり、または何するというふうには見てないのであります。おそらくはその他の原因、たとえば経営の方針が悪かつたとか、また所得があつたけれども、その辺において実際にお使いになつてしまつて、今になつて税金が抑えないというので、苦境に陷られる方は相当あり得ると思うのであります。またその他経済状況の変化によりまして、最近になつて非常に経済状態が悪くなつたというふうな方々は相当おありだと思いますが、税金そのもののためにという場合は、そんなにあろうとは考えていないのであります。
  31. 竹村奈良一

    竹村委員 さつきも少しお尋ねしたのですけれども、最近たとえば物品税の納入に対して協力会とか、あるいは促進会とかいうものをつくつておられるのですか、こういうことに対して、税務署はどのくらいの金を使つてそういうことをやつておられるか、それをひとつ承りたい。
  32. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 物品税納税義務者は非常に多いので、ございまして、大体現在十八万程度あろうかと思うのでありますが、これらの方々に一々詳しく税法の説明を申し上げたり、または趣旨の徹底をして行くということは非常に困難でありまするので、そういうふうな会をおつくり願つて、その会に税務官吏が出向いていろいろ説明申し上げることが非常に便宜であろうということから、そういうふうな会をおつくりになつたところにおきましては、できるだけ時間の余裕のつく限り出向いて、説明を申し上げるという建前にいたしております。  なお税務官署としてそれらの会のために経費を使うということはないことと思います。たとえばパンフレットでありますとか、その他直接に指導宣伝のために必要な経費としては使つておるかと思いますが、その協力会自体のために使うということは全然考えておりません。
  33. 竹村奈良一

    竹村委員 もしその協力会に加入しなかつた場合においても――これは自由だからかまわないと思うのですけれども、これに加入しない者に対して特に税務署が加入せよというように、強制的に加入の勧誘をされるというふうなことがあるかないか伺いたい。
  34. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 その協力会等と申しますものは完全に自由な団体でございまして、私どもの方でぜひおつくり願いたいと申し上げたものでもございませんし、従つて税務官署としてぜひ加入されたい、また加入しなければ云々というようなことは言いようがないと考えるのであります。
  35. 竹村奈良一

    竹村委員 もう一つお聞きしたいのですが、最近何でも全国納税協力会というような財団法人とかで――これは資料を要求しておるのですが、一つも出してもらえないのですけれども、そういうような広告を出して、そうして大蔵省認可、財団法人全国納税協力会とかいうのが加入の宣伝をやつておるのですが、これは一体あなたの方とどういう関係があるのかお聞かせ願いたい。
  36. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 先般財団法人の認可の申請がございまして、その趣旨はもつぱら税法の宣伝普及並びにこれに対する協力ということになつております。完全に公益的な性質を持つておるものと考えまして、認可をいたした次第であります。
  37. 小山長規

    ○小山委員 所得税法について一、二点お伺いしたいと思います。所得税法でありますが、今度の新法によりますと、納税者が異議申立てを税務署長に申請した場合には、税務署長はこれを受入れるのであかますけれども、その場合に手続上の欠陥がある場合、あるいは請求の方式について欠陥がある場合にはこれを却下することができる、こういう規定があるのであります。このような條文が税法に入つて来たということは、非常に進歩的なことで、はなはだけつこうなことでありますが、ただこの場合の却下する方式であります。この方式が口頭でできるということになつて来ると現在と何らかわりがない。つまり現在の状況におきましては、納税者が異議の申立てをして行きますと、この間私が申し上げましたように、お前の家にはお茶の木が幾らあるではないか、あるいは梅の木が何本とか、かきの木が何本ある、従つてこういうものをやつて来てもむだだからやめろ、こういうことで実は却下している。実際長官のところに出て来る異議申請が非常に少いのは、ほとんど窓口で追い返されているのが統計上少い原因だと思います。それに対する納税者の不平と申しますか、不満を取入れてこの條文ができたのであろうと思いますが、そういたしますとごの却下の方式は口頭でやつてはいけない、文書でやらなければならぬということで、この法律にかりに明記することができないとするならば、この法律施行の際の政令は必ず請求の方式、もしくは手続の欠陥による場合といえども、文書で却下するということを入れていただきたいと思いますが、平田主税局長のお考えはどうですか。
  38. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいまの御意見まことにごもつともでございまして、その旨は今度の法律はつきあ書いてございます。四十八條と四十九條に「その理由を附記した書面により、これを当該請求をなした者に通知しなければならない。」ということにいたしてあります。
  39. 小山長規

    ○小山委員 それは手続の欠陥が含まれておりますか。
  40. 平田敬一郎

    平田政府委員 却下する場合には含まれております。「期間経過後になされたとき又は前項の規定により欠陥の補正を求めた場合においてその欠陥が補正されなかつたときは、当該請求を却下する」――その際は理由を明らかにしまして納税者に通知することになつております。
  41. 小山長規

    ○小山委員 それからもう一つ所得税で伺いますが、旧法時代につまり昭和二十四年の十二月三十一日までの所得に対する加算税は、旧法によるいわゆる二十銭という重い加算税であるのか、あるいは新法による四銭という軽い加算税であるのか、それをお伺いしたいと思います。
  42. 平田敬一郎

    平田政府委員 その点は先般も御説明申し上げたと思いますが、所得税法は大体二十五年分の所得税から適用することになつております。それから法人税につきましては、それぞれ昭和二十五年四月一日以後終了する事業年度から適用することに原則としてなつております。ただ古いものにつきまして、今後加算税、追徴税をとります場合におきまして、昭和二十五年三月三十一日までは日歩をもちまして十銭で計算する、四月一日以後の分につきましては古いものにつきましても新しい四銭で計算する、かようなことにいたしておるのでございます。
  43. 小山長規

    ○小山委員 次に法人税で伺つておきたいと思いますが、貸倒れ準備金は法人税になつておりますから、これは一般の法人に適用されることは当然であります。金融機関の場合においては貸倒れ準備金をどの程度損金に計上するかということは、金融機関の公共性から、金融機関が取付を受けたらたいへんなことになるというような、つまり事業の健全性ということを考えてみますと、この率をどうきめるかということは非常に大きな問題である。従つてこれは行政措置によつて政令等に譲るべきものではなく、銀行業法、無盡業法その他の法律によつてその率は制定されるべきものであると思うのでありますが、そのようになつておりますか、伺つておきます。
  44. 平田敬一郎

    平田政府委員 貸倒れ準備金につきましては、法人税法の施行政令でその限界をきめるつもりでおるのであります。これは理論上建前としましては、当然いつかは生ずるであろう貸倒れ金を、事前にある程度貸倒れ金が生ずる前に推定しまして、損金にしておこうというのでありまして、私ども本来の性質から申しますと、これは非常に技術的な問題であつて、あまり大きな政策的な問題にすべきものじやないというふうに考えておるのでございます。ただ最近の実情から申しますと、金融機関等は相当将来貸倒れが多く発生するだろうということが予想されますし、またそういう点についていろいろ調べてみますと、もつともな節もございますから、さようなものに対しまして対処し得るだけの必要にして十分な準備金を設定するようにいたしたい。そういう趣旨からいたしまして、月下その率を具体的に相当詳細な資料に基きまして検討中でございます。大体二つのものさしで制限をつけ、一つは当該事業年度の利益金の一定割合ということで制限いたしております。シヤウプ勧告は大体二割以内ということになつておりますが、金融機関については二割は少し制限として厳格に過ぎるのじやないかと考えまして、これを若干引上げるごとにしたらどうか。少くとも三割ないし三分の一程度にすることを目下検討いたして偽ります。それからもう一つは期末の貸付金の残高の何パーセントという制限を設けたらどうかと思つておりますが、この点につきましても二%前後にするかしないか、目下これも若干検討中でございまして、近く法律通過後におきまして、細目的に決定いたしたいと思います。大体その辺で検討いたしておりますことを申し上げておきます。
  45. 小山長規

    ○小山委員 そういたしますと、今の金融機関の場合にも、法人税法に基く政令になるのであつて、銀行法に基く政令ではないのでありますか。
  46. 平田敬一郎

    平田政府委員 お話通りでございます。一般の企業の場合も金融機関の場合も、両方とも法人税法で設けるつもりでありますが、今申しました利益に対する制限の場合は、金融機関の特殊性等にかんがみまして、一般の企業と差をつけるということにつきましても研究をいたしておるわけであります。
  47. 小山長規

    ○小山委員 その次は修繕費と交際費をどの程度損金に見るかという問題でありますが、これは企業の経営においては相当重大な問題であろうと思うのであります。つまり実際用いた修繕費あるいは実際必要な交際費が、利益処分として課税されるということになるならば、法人税を引下げたりあるいは超過所得税を廃止いたしましても、何ら負担においてかわりないことになるのであります。特に修練費の場合は今度の減価償却費との間の見合いもありましようけれども、修繕費に対して資産の価値が増加したかいなかというところは非常に微妙な問題じやないか。それでこの問題については、相当愼重な態度で臨まれるとは存じますが、現在考えておられますところの構想相当具体的に伺つておきたいのであります。
  48. 平田敬一郎

    平田政府委員 交際費の否認の限界と、それから修繕費及び資本的支出の区分の標準は、これは御指摘の通りなかなかむずかしい問題でありまして、あまり機械的な簡單な方法を用いますと、非常に実情に反するごとになりますし、また抽象的な定義だけ掲げたのでは、結局実益がないということになりますので、目下いろいろな角度から検討いたしておるのでありますが、ただ交際費につきましては最近非常に利益の状況等に比べまして、交際費の支出が多いということが顕著に考えられますので、利益の状況あるいは資本金の状態等と比較しまして、相当過大であると認められるような場合に、損金に算入しないとかいつたような考え方で、一定基準を立ててみたらどうか。ただその基準につきましては、あまり詳細な基準を設けますと、かえつて実情に反するおそれがございますから、ある程度抽象的にならざるを得ないと思いますが、そういう基準を設けまして、あとは極力実際上の運用で適正化をはかつて行つたらどうか、かように考えております。  それからいま一つ資本的支出と修繕費は、これはもともと理論的に決定さるべき問題でありまして、あまりこまかい規定を設けましても、それは当然の解釈規定といつたふうなことになるかと思います。でありますが、現在の税法はその点につきましてあまりにもはつきりいたしておりませんし、扱い等につきましても、従来減価償却等を十分認めていなかつた関係上、相当修繕費に多額を出しておりまして、それをそのまま認めておるような例もございますから、この際再評価と関連いたしましてその辺の限界は理論に従いまして適正化を期するように努めて参りたい、できるだけさような点につきましても、規定し得る限りにおいてこまかい規定を設けまして、適正化をはかるつもりでございます。
  49. 小山長規

    ○小山委員 ただいまの修繕費の問題と交際費は、これは政令で規定されますか。それとも行政措置によつてやられますか。
  50. 平田敬一郎

    平田政府委員 所得税法の施行規則でできる限り規定いたしたいと考えます。しかしそれでもなお十分譲し得ないことがあろうかと思いますから、その範囲内においては解釈訓令によつてできるだけはつきりさせる、世間にも公表しまして、よるべき基準を明らかにさせたい、かように考えております。
  51. 川野芳滿

    川野委員長 高橋国税庁長官に対する質問はありませんか。
  52. 三宅則義

    三宅(則)委員 高橋長官にちよつと伺いますが、これは国税庁と地方との関連の多いことでありますが、国税庁できまりましだ、いわゆる各税務署できまりましたものを地方の方へお移しになるのでしようか。そのために地方税は国税がきまつてから、これに対して何パーセントかかるといつて来るのですか。移されるものか、それともそれには関係がないものか、ちよつと伺います。
  53. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 国税で調査しました基本を、各自治体に通知をするとか連絡するとかという義務はございませんが、それぞれ相互に協力するという建前をもつて向うから連絡をとりに来ました際には連絡することにいたしております。
  54. 三宅則義

    三宅(則)委員 高橋長官にもう一つ重大な問題で申し上げておきたい点があります。というのは国税の方で、いわゆる税務署の方で高くきめ過ぎた。間違つてきめた。ところが審査請求をしているがなかなか直らぬという場合、前の高い税額が地方に参りますから、地方の方でもこれに対して高い税がかかる、こういうことで私はむしろ国税庁、いわゆる税務署と地方の区役所とは関係なく、別に調査した方がはつきりするを思いますが、その御構想を承りたい。
  55. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 私どもも地方自治体が独自の立場において調査していただくことを希望しているのでありますが、現在の地方自治体の状況から考えまして、やはり今後も要求があれば、また依頼があれば、その点について協力申し上げるという態勢は、とつて行かなければならないかと考えております。
  56. 竹村奈良一

    竹村委員 一つだけ聞きたいことがあります。これは実は予算委員会においてわが党の林君が質問いたしまして、それに対して調査するという答弁をいただいている事件でありますが、これがその後どうなつているか聞きたい。というのは、これは大阪市の住吉区墨江東一丁目三十番地に起りました事件で、倉本千代子という人が苛酷な税金のために死んだ。これはすでに予算委員会で言つたことで、長くなるから申し上げませんが、こういうむちやなことをやつた税務署員を取調べる、これに対して処分するという御答弁だつたと思いますが、それに対してその後どうなつているか、この際伺つておきたいと思います。
  57. 高橋衞

    高橋(衞)政府委員 ただいまの事柄につきましては、私はまだ実は聞いておりませんので、その内容を聞きまして、至急に調査して善処いたしたいと思います。
  58. 竹村奈良一

    竹村委員 これは予算委員会で、一応調査して処分するということになつているのです。これは私が先ほども申し上げましたように、そういう徴税の面で、苛酷な徴税をやられている悲劇の一つの見本です。従つてこれは繰返すことはやめますが、單に調査するということだけで終るのでなく、実際ごうやつたかということをここで報告していただきたい。
  59. 川野芳滿

    川野委員長 農林大臣はただいま農林委員会に出席中で、午後二時に当委員会に出席することになつております。さらに大蔵大臣関係方面に折衝中で、午後御出席になることになつておりますので、御了解願いたいと存じます。  午前はこの程度にいたしまして午後二時から再開することにいたします。     午前十一時五十七分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十三分開議
  60. 川野芳滿

    川野委員長 休憩前に引続き税法六案を議題として質疑を続行いたします。竹村奈良一君、
  61. 竹村奈良一

    竹村委員 今回の税制の改革並びに地方税の改正等におきましては、農村に及ぼす影響は非常に重大だと思うのであります。しかしその前提をなすところの今日の農村経済というものは一体どうなつているか。おそらく農林大臣はそういう見通しのもとに立つて、この税制改革に対する方針を立てられたと思うのでありますが、そこで現在の日本の農業というものは、農村は非常に金詰まりになつて来ているということは既定の事実でありますが、しかしこの金詰まりが大体二十五年度において緩和される見通しであるか、あるいはまた農家の経済というものは、一体どういう状態をたどつて行くかというような点について、ひとつ御所見を承つておきたいと思います。
  62. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農村の金詰まり問題でありますが、御承知通り今日まで農村といたしましては、予定以外の収入が相当つたのであります。しかしこれは全農家にあつたわけではないのであります。一部にそういう収入の多いということが農村の景気をあおつて、そういう収入のない農家までが、何だか自分も金持になつたような気持になつておつたわけであります。従つて金に対する観念が非常に軽くなりまして、消費面が非常に動いて来たのであります。しかし今はそういう計画以外の收入が入らないという状態なのでありまして、農村におきましては一般に金融が非常に緊迫いたしておるのであります。しかしこの問題も、漸次この経済自体を農村がみずからよく考え直すような段階になつていると存じます。最近二、三の農村の状況を見ますと、金を今までのように考えてはいけない。大いに引締らなければならない、こういう気分が相当あるように考だるのでありまして、これはまことに当然な考え方であり、またけつこうな傾向であると思うのであります。しかし気のついたときにはすでに領金等がなくなつているというような現状になつておりますので、今後生産資材の購入等につきましても、非常にきゆうくつな状態に置かれるのではないかと思います。今回の税法の改正はいずれ大蔵大臣等より詳細に話されることと存じますが、シャウプ勧告案によりまして、まだ地方税法の根本的な成案ができておりませんが、大体二割七分くらいな減税になるように考えられるのであります。しかし税の難波はこれは一部分の問題でありまして、さらに農家が経済を引締めて行くという気持になることが必要だと考えます。しかし何と申しましても今日の農家は規模が小さいので、協同組合が大きい力となつて農家は協同組合の力によつて農業を経営するという方に指導せなければならぬと思います。農業協同組合も過去の農業会の資産引受けあるいは相当物件をお持ちになつておる等のために、金融が非常に逼迫いたしておるのであります。しかしいつかも申し上げましたように、健全な農業協同組合の組織化と相まつて、農林中央金庫から相当の長期金融をいたしまして、農村の企業経営に貢献いたしたい、かように考えておるわけであります。
  63. 竹村奈良一

    竹村委員 そこでお伺いいたしたいのは、もちろん現在一部分においては農家が金を引締めて来たということもあります。今農林大臣が言われたように、気のついたときには預金がなくなつておるというような状態だと思うのですが、農家收入は現在の状態から上るか、あるいはそのままで行くかあるいは下るか、今後の大体の見通しについて大臣はどうお考えになりますか。
  64. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農家の経済は引締めて行かなければならないのであります。今日までぼかぼかと消費をいたしておりました。それは予定以外の收入のあつたという関係で経過いたしたのでありますが、経済が緊迫いたしますとどうしてもこれを始末して行かなければいけない。農家の経費としては現金支出をできるだけ少くする。これはいずれの時代でも考えなければならぬのであります。現金支出をできるだけ少くするということになれば、農家の経営が何とか維持されると思うのであります。という点は、資金の運転が年に一回かあるいは二年に一回というような、まことに経営の状況が商工業と違つておりますので、現金に対する考え方が商工業者とはさらに違わなければならぬ、かように考えているのてあります。收入の点におきまして農産物の価格を維持する。そうしていつか申しましたように、できるだけ雑多な收入を入れて行く。一日でも手間賃を金にする、労力を金にするということを考えて、そうして現金支出の上において一段の注意を拂うということでなければ、私は農業経営は成り立たぬかように考えておるのであります。そうして收入の点におきましてば今後とも現状を維持し、またできるだけ農村工業あるいは副業という方面から收入を増さすような施策を考えると同時に、農家自身もよく時局の状況を認識して、できるだけ現金支出を少くするという、いわゆるつつましやかなる生活考えて行くということに指導して行かなければ、私は農村というものは今後立ち行かない、かように考えるわけであります。
  65. 竹村奈良一

    竹村委員 今農林大臣のおつしやるように、現金支出を少くしなければならぬ。従つてほかの所得を得るためにいろいろ農村工業というか、家内工業と請うか、そういう方面の現金收入も考えなくちやならぬということは、結局におきましては、今日の状態から申しますと、おそらく農村工業を起しましたところで、現在のような状態では何をやつてもだめだ。畜産をやつてもなかなかうまく行かないので、ほかからそういう所得を入れるように努力してもなかなかそ患うようにうまく行かぬと思うのであります。そういたしますと農林大臣は結局現金支出を少くしなければならぬ。そうしてなるべくほかの所得を入れるようにすると考えられるが、そういう所得が入らないというならば、やはり農家経済は現在の状態を維持することがちよつとむずかしい。結局においては現在の農家所得というものはだんだん少くなつて行く、こういうふうに思つておられると思うのですが、そういうふうに考えていいのですか。
  66. 森幸太郎

    ○森国務大臣 少くなつて行くということは考えないのでありまして支出を少くするというふうに今後考えて行かなければならぬ、かように思うのでありますから、農村経営においてどういうところの欠陥があるかということを、農家みずからが考えなければならぬと思うのでありまして、農林省におきましても標準になる相当数の農家の家計簿を匿名で調査をいたしております。その結果、自分の経営においてはこういうところにこういう欠点があるということを自分で考えて、なるほど自分の農業経営においてはこれではいけないのだ、こういうところにむだがあるということを、自党いたして場もらうというふうにして指導して行きたい、かように考えておるわけであります。それでありますから農家の收入は、今までの支拂いに対しては率においてはふえるということになると思いますが、とにかく現金支出をできるだけ少くして、そうして農産物を売るにつきましても、共同の力によつてこれをある程度、第一次、第二次加工をして行くというふうにして、できるだけ現金支出を少くするということによつて、農業経営を維持して行くということでなければならぬ、かように考えております。
  67. 竹村奈良一

    竹村委員 もちろん大臣のおおつしやることは支出を少くして行く、そうして経営等も改善して行く、このことはよくわかるのですが、しかしそうしなければならぬということは、結局世間では農業恐慌と言つていますが、大版は農業恐慌はないと言つておられるので、恐慌とまでは行かなくても、農家の所得というものは非常に少くなつて来る。従つてそういうふうにして行かなければ立ち行かない、こうおつしやつていると思うのですが、そういたしますと、農家の所得が、同じように続けて行くと言いましても、倹約しなければ必要経費を支弁することができないというような場合があつたならば、やはり所得が少くなると思うのですが、そうなるとこれは非常に大きな関係があるのです。結局においてはやはり所得が少くなつて農業経営に対する支出の面はいくら倹約しても、おそらくふえて行くと思うのでありますが、そういうふえたものをもカバーしてなお現状の所得が維持できると考えられるかどうか。
  68. 森幸太郎

    ○森国務大臣 少しお考え方が私の方におちつかぬのですが、支出の方を押えることによつて收入の率が増すわけになるのであります。これは今日の中小商工業者におきましても、ここ去年おとどしの状況とはかわつて来ておるのであります。そこで農村においても今日の形勢として現われておることは、供出米の代金等も全部手にしない、ある程度これを協同組合に残して行くという形勢が、ぼつぼつ出て参つておるのであります。今までは相当の金を持つておらなければその日の生活ができなかつた。物が高いし現金であるし、いわゆる信用というものがないのでありますから、金銭信用でありますから、掛売り掛買いができないというために、いつでも金を持つておらなければ生活ができなかつた。そうして物が高い。こういうのでいくら金を持つてつても不足がちであつたわけでありますが、今日物の値下りなり、あるいは今日の状況をよく考えて農村も幾らかここにおいておちつきを見せて来た一という関係から、金の価値を認めて、協同組合等においても幾らかづつ金が残つて行くというような形勢にあるりでありまして、私は農村の收入がこれからだんだん減つて行くというようなことはないと考えております。ただ支出というものをできるだけ節約して行くということにおいて收入が今日までと同じことでありましても、家計の上においての收入の効率がふえて行くという段階になるわけでありますから、できるだけ現金支出をなくするようなことを考えて行かねばならぬ、かように考えるわけであります。
  69. 竹村奈良一

    竹村委員 それではちよつとお尋ねしますが、今度は小作料の値上げ等農林省で考えておられるらしいのでありますが、それは一体どのくらい値上げされるつもりでありますか。
  70. 森幸太郎

    ○森国務大臣 関係方面との折衝が残つておりますので、まだはつきり申し上げられませんが、御承知のように地租が二十四年度から上つておりますので、従来の一石当り七十五円のあの小作料におきましては、税金が抑えないということになつておりますので、少くとも公租公課が抑える程度に上げたい。七倍くらいな程度に上げたいというような希望を持つておるのでありますが、まだ少しはつきあきまつておりません。
  71. 竹村奈良一

    竹村委員 肥料補給金がなくなりましたので、八月から肥料の価格を約七割値上げするということをたびたび言われておるのですが、やはり八月から七割の値上げは確定的にされるのですか。
  72. 森幸太郎

    ○森国務大臣 予算の建前といたしましては、八月から、本年の秋肥から七割程度の値上りが、補給金廃止に伴つて考えられておるわけであります。
  73. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと二十五年度の米麦の価格、これはもちろんパリテイーを使つてやはりおやりになるのですか。そうすると大体そういうことを予定して本年度の麦の価格は、これはもちろん米価審議会におかけになるのでありましようけれども、一体どのくらいにするおつもりか。あるいはまた米の価格は一体どのくらいを予定されておるか。つまり私の考えでは、大体パリティーで行くと政府は五%ぐらい現在よりお上げになるのではないかと思うのですけれども、この辺をひとつお聞かせ願いたい。
  74. 森幸太郎

    ○森国務大臣 一月―三月の肥料の値上りに対しましては、六月のバツク・ペイにおいてこれを処理したいと考えております。従つて麦の価格につきましても、その時期における。パリティー指数によつてこれを算出いたしたいと思う。もちろんこの一月、二月の肥料の値上りが加算されるわけでありますが、七月以後の肥料の値上りは、本年産の米に対する価格の決定のときに、当然考慮すべきものであると考えております。
  75. 川野芳滿

    川野委員長 竹村君にお願い申し上げますが、どうかひとつ法案に関係のある質問をできるだけお願いします。
  76. 竹村奈良一

    竹村委員 これは前提を聞いておるのですから……。それではひとつお伺いいたしたいのですが、米の価格は当然上げなければならぬ。もちろんこれは肥料が上るのだし、あるいは電気料も上るしいろいろ上るのだから、米の価格も上げなければならぬ。こういうことになつて参りますと、結局においてはほかの物価とも関係すると思うのですが、ほかの物価関係するからといつて、不当にいわゆる生産者価格を押えるということは、農林大臣はおそらくおやりにならぬと思います。ほかの物価のことを考えずに、今日の米麦の価格というものを実際の計算によつて、その生産費を償うような価格できめられるかどうか。これもひとつお聞きしたい。
  77. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農産物の価格は適正な価格をきめたいと思つて、研究をいたしておるわけであります。パリティー指数は豊凶という考えに立つておらぬのであります。米が豊作であつた、凶作であつたといういわゆる豊凶は、パリティー指数に現われて来ないのであります。それは豊凶にかかわらず、消費者に対して何らの心配なしにこれを配給するという統制の面から考えて、このパリティー指数が取上げられているために、豊凶の見地がパリティー指数に現われて来ないことは、パリティー指数として一番遺憾に存じておるのでありますが、しかし今日のパリティー指数は、農産物を生産するために買う必要ないろいろな品物の価格の上り下りによつて、指数を出して行くというのが、御承知通り考え方でありますので)生産に必要な資材の購入費と比例した価格という考え方で、今日やつておるわけであります。今後ともこの方式によつて価格の決定をいたしたいと考えておるわけであります。
  78. 竹村奈良一

    竹村委員 米麦の価格の決定については、もちろんここで大臣とパリティー問題について問答したいとは思いませんが、結局において生産費を償うということが土台にならなければ、いろいろな点で問題があると思うのですが、ともかく政府は現在そういう考えでやつておられると思う。ところが公共事業費にいたしましても、農業部面、たとえば土地改良とか開拓その他の部面に対する率は、年々非常に低くなつて来ている現状であります。そういたしますと、そういうものを低くするという政府考え方、いわゆる補助政策をやめるという考え方から申しますならば、農業は一応企業である――全部企業とは言つておられないかなしれませんが、大体企業であるという考えのもとに立つておられると思うのです。そういう場合は、單なるパリティーだけを米価の基礎にされるのではなしに、これは全部一律には行きませんけれども、一応生産費というものをお出しになつて、その上できめられないと問題はうまく行かぬと思うのでございますが、この点に対して大臣の御意見を伺いたいと思います。
  79. 森幸太郎

    ○森国務大臣 これは竹村委員と農林委員会においてたびたび繰返した問題であります。生産費ということをおつしやいますが、生産費は百人百色であります。それでありますから、自分の米が一体何ぼかかつているかということをはつきり記録している農家は、おそらくないと思います。しかし科学的な調査をいたしまして、相当数の生産費をまとめてみますとき、大体二十三年度までの実績によると、パリティー指数によつたものと、相当数の農家の生産費を記録によつて調査した平均の中心価格とは、大体合うのであります。しかし今後においても、先ほど申しました、パリティー指数は完全なものでないのでありますから生産費というような調査も引続きやつておるわけでありますから、そあいうものも参酌してきめて行きたいと考えております。
  80. 竹村奈良一

    竹村委員 今度の税制改革で、全国で大体二割七分の減税になるとおつしやる。まだ地方税が出ておらないので、はつきりわからないのですが、私らの考えでは現在そうはならぬと考えておるのです。これは地方税が出ないので、はつきりお答え願うということもむりであろうかと考えますが、二割七分の減税になるということは大体事実でしようが。
  81. 森幸太郎

    ○森国務大臣 地方税の中におきまして、土地の評価の問題がまだ結論に入りません。われわれは少くとも十二倍程度ということを主張いたしておるのでありますが、これが二十五倍ということになつておるのであります。その開きがもう少し決定いたしませんと、はつきり申し上げられないのでありますが、大体シャウプ勧告等によつて、事務当局は国税としてはこのくらい減税される、そうして地方税はこのくらい増徴されるということを考えましたそのときの数字が、二七%ぐらいの減税であると記憶いたしております。
  82. 竹村奈良一

    竹村委員 今度肥料の値上げで、全国では大体二百三十七億ほどの値上げになると思うのですが、これは全体米価の決定のときに織り込まれるかどうか。
  83. 森幸太郎

    ○森国務大臣 現在では消費者の負担となつております。
  84. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは今度いわゆる消費者価格はまあ上げられるのでしようね。
  85. 森幸太郎

    ○森国務大臣 それは二十五年度の産米からであります。
  86. 竹村奈良一

    竹村委員 なお協同組合は今度の改正で一般法人と同じ税金をかけることになつておるのですか。先ほど大臣も目頭に、今後の農家の経済というものは、農業協同組合を中心としてやらなくてはならぬと言われた。こういう大切な協同組合にこういう税率をおかけになることに対して、大蔵大臣はともかくも、農林大臣としてはどういうようにお考えになるか、ひとつお答え願いたいと思います。
  87. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農業の保護政策は、ただ軍に補助金を出すという過去のようなやり方ではいけないと思います。收入のあるところに、またあるべきところに課税をするのは当然であります。農業協同組合を育てるのは、わずかばかりの補助ということでなしに、精神的に農業協同組合を活動せしむる。そしてその信用によつてりつぱに金融の道を開いて、独立的な農業の経営のできるように指導して行くことが、私は必要と考えております。
  88. 竹村奈良一

    竹村委員 そうすると農業協同組合に、特別に一般法人と違つた課税をするのでなく、今までのように一般法人と同じように課税することが、農林大臣としては当然だということでありますが、しかしそのため農業協同組合は、現在至る所で取付騒ぎか何かが起つております。これは事実において見るのですが、そういうところに保護政策をとらずして、いきなり農民自身の力でかつてにやれということで、農業協同組合というものが円滑に日本で発達して行くとお考えになるかどうか。
  89. 森幸太郎

    ○森国務大臣 補助ということは、いわゆる一人前に立てないときにやるのであります。いつまでも補助するということは、ふじづるみたいに、何かあれば巻きつこうということになりますから、今日までの農業あるいは中小工業に対する補助政策が、いつまでも他に依存せしむるということに指導して来たのが私はいけなかつたのだと思います。それよりもむしろ独立して行く、はつきりした立場においてこれを指導して行くということが、私はいい力演と考えるのであります。農業協同組合にわずかの補助をして、それによつて行くというのでなしに、真に農業協同組合というものの組織を精神的に結合せしめて、その農業者の信用を高めて、それにりつばな仕事をさせ、これを相手として金融の面をはかつて行く。そこで農業協同組合というものが独立の立場で行けるだろう、私はこう思います。
  90. 竹村奈良一

    竹村委員 これは協同組合でも言つているのでありますけれども、たとえば資産評価に際しましても、協同組合が同じように扱われている。もし同じように扱われるとするならば、協同組合は立つて行けないということは、協同組合の経営者自身がこれを問題にしているのであります。そういうようにしてもしばたく倒れるようになつても、それは放任されるのですか。それともそのときになつて政府は何か手を打つて、やはり協同組合を存続するような方法をお講じになるのですか。それをお伺いしたい。
  91. 森幸太郎

    ○森国務大臣 決してさような心配はないと考えております。
  92. 竹村奈良一

    竹村委員 今度この委員会で聞いたことでございますが、たとえば青色申告の問題に対しまして、農民の方は大体約六〇%ぐらいしか申し出ないということを承つているのです。それは結局においてはいろいろ事務のふなれという点もあるると思いますけれども、従来の農業所得に対する税金で、実際はほんとうに全部が裸になつて、あの税金をかけられるならば、農家経営は立つて行かないというところに問題があつたと思う。今度の青色申告で全部裸になつて、少々農業所得に対する税率が下つても、裸になつた上にあの下つた税率をかけられても、農家は立つて行けないという農民の考え方から、青色申告というものをあまり多くしないのだろう、こういうふうに私は考えているのですが、大臣はこれに対してどういうお考えですか。青色申告をするとしないとでは、いろいろ影響があると思うのでありますが、それに対し農林大臣として、この青色申告に対してどういうように考えておられるかということをお伺いしたいと思います。
  93. 森幸太郎

    ○森国務大臣 納税は国民の義務であります。これは農業者であろうが、商工業者であろうが、自分の收入のあるところに対して、納得して税を納めるということは当然であると考えるのであります。今までは工業者、商業者においては相当二重帳簿をしておるとか、あるいはその收入を隠蔽するとか、いろいろな方法をやつおる向きもあるそうでありますが、農業者の方はあまりにもガラス張りである。ことにやみ売りをしないのに、やみ売りをしたのだろうという推定のもとに課税されたというきらいが、私はあろうと思います。そこで更正決定に話が合わなかつたり、いろいろそこに摩擦が起つたと思うのでありますが、私は農業者に対しましては、自分はこれだけの收入がある。それであるから国民の義務としてこれだけば当然納めるべき税金だ。あるいは商工業者はごまかすかしらぬが、自分はやみ売りをしておりません。これだけしか收入しておらぬがこれだけの收入がある。これだけは食いぶちであるから、これだけは納めても納得するんだという気持で、今度青色申告ができたわけであります。何か今までは、これだけです、いや違う、お前はやみ米を売つているんだろうということで、さらに更正決定で増額される。それを打砕くだけのこつちに根拠がない。遂に更正決定従つて行くよりしかたがない。こういうようなことで、いわゆる苛斂誅求ということをみずから考えて、できるだけ隠せれば隠した方が得だというような気持でやつて来たことが、はなはだ私はよろしくなかつたと思いまする正直にやつて納得した税金を納めることが、私はひとり農業者だけではありません。商工業者も、これは国民としての義務だと考えておるわけであります。
  94. 竹村奈良一

    竹村委員 もう一点だけ……。大体米もパリティーで計算しておられる。米価がそういうことになつている以上、たとえば戦前の所得税をかけました当時の点から考えて、免税点も戦前から現在を比較して、いわゆる農業者に対する免税点をきめるのが、米価決定の例にならつても私は当然だと思うのですが、農林大臣はどういうようにお考えになりますか。
  95. 森幸太郎

    ○森国務大臣 課税の問題についてはいろいろの見方もあり、立論の方法もあると思いますが、今回はシヤウプの勧告案に基いて、すべての税制を改めて行くという方針によつて、財務当局をして提案せしめたわけでありますので、そういう今お話のようなことは、今回は税制の上において考えておらないわけであります。
  96. 竹村奈良一

    竹村委員 農林大臣としてはそういうふうにお考えになられるかもしれませんが、しかし農民全体としては、当然自分たちの生産したものはそういう標準できめられ、税金は、また新しい観点から取られるというのでは、納得できないと思う。たとえば戦前の所得税の免税点は大体千二百円であつたのであります。従つて千二百円であるならば、現在の指数と比べますると、大体これは三三六くらいが普通だというのが、全体的な見方であります。そういたしますと四十万円余りになるのであります。この指数で行きまして四十万円以下というのは、やはり免税にしなければならぬと私たちは思うのです。そうしなければ一方はパリティーでやられる、そうしてかつてにとる方法は別にきめるということでは、不合理もはなはだしいと思いますが、これはどういうふうにお考えになりますか。
  97. 森幸太郎

    ○森国務大臣 税制の立て方ということは、その当時における社会情勢において考えなければならぬと思います。従つて過去において、ほかのパリテイー指数がこうなつておるのであるから、免税点もこうしなければならぬいう、動かないものではないのであります。国家のその年における必要な財源を考える場合において、そのときの国家の経済状態をよく考えて、できるだけ公正な率によつて課税する。ここに税制の妙味があろうと思うのであります。過去にとらわれて、固着して動くことができないというようなことであつてはならないと思います。
  98. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  99. 田中織之進

    ○田中(織)委員 農林大臣に、今回の税制改革に関連して、二、三御質問いたしたいと思います。ただいまの竹村委員からの質問で、最近の農村の経済の実態から励まして二十五年度における農家所得はふえるか減るかという質問に対しまして、農林大臣は減るとも申されないのでありますが、一面農家は支出の面で節約しなければならぬということを言われておることは、農家所得の減少を前提としてのことだ一思うのであります。農林大臣は、二十五年度における農家所得は、大体どの程度に減るものだとお見込みになつておりますか、その点についてお答えを願いたい。
  100. 森幸太郎

    ○森国務大臣 農家の所得は、全体から考えまして、あらゆる施策によつて増産した部分において收入がふえて来るわけであります。農家の所得と農家の支出との比例を見なければならぬと思います。いかに收入がふえましても、支出が多くなれば何にもならぬのでありますから、今までは思わざる收入があつて思わざる支出をしておつた。ところがこの予期せざる收入が漸次減つて来るのでありますから、一層切り詰めて、支出を節約して行かなければならぬ。支出の節約をした程度が強ければ強いほど、收入の額は減らなくとも、結論において收入がふえらということになりますので、今日農事の收入は年次増加をたどつておることは当然でありますが、さらに今まではむだな支出があつたのであるから、できるだけこの現金支出を減らすということを考えて行かなければならぬ、かように申し上げたわけであります。
  101. 田中織之進

    ○田中(織)委員 現金支出を抑制したければならぬということは、現在の生活を少くとも前提とする限り、所得が減るから支出の面で節約しなければならぬということは、経済の原理であると思います。私も人が悪いようでありますが、政府が予算案の説明といたしまして、われわれに配付いたしました二十五年度予算の説明の六十二ページに、昭和二十四年から二十五年の国民所得の推計表が出ておるのでありますが、これによりますと、農林水産業の関係におきます所得は、昭和二十五年度は、暦年でありますと八百十二億、会計年度でありますと八百八億で、前年層年による八百六十一億から約五十億の減少ということは、これは安本の調査をここへ載せたということでありますが、出ておりまして、これはもちろん政府の全体の所得の推計でありますが、私は明らかに、二十五年度は、国民所得において、ことに農林水産業は減少する、こういうことを見込まれておると思うのであります。この所得は、総計いたしますと三兆二千二百三一十億に達するのでありまして、昨年度よりも全体としては国民所得はふえている。しかし農林水産業においては、所得が暦年において五十億減るということを明らかに示しておるのでありまして、私はこの上に立つて、やはり農林大臣に、農民に対する課税の問題についてのお骨折りを願わなければならぬと思うのであります。その意味で、現金支出を節約しなければならぬということは、農民の所得減に対抗するところの自衛手段であります。その意味において、政府の数字が間違いでないならば、明らかにこれは減少するのであります。  そういう意味で、次にお伺いしたいのでありますが、最近における農林水産業に携わる人口の趨勢でございますが、これは最近引揚者あるいは戰災者等が農村に入つて参りました関係から、農林省の統計によりましても、私ははつきりした記憶はないのでありますが、昨年の十月ごろに農林省から発表された統計によりますと、約二百百万人ふえておると記憶いたしておるのでありますが、その点農林大臣としてはどういうように御了解になつておるか、お伺いしたいと思います。
  102. 森幸太郎

    ○森国務大臣 お答えいたします。今六十三ページの表について御質問がありましたが、(2)を見ていただきますと、個人業種所得でありますが、Aの農林水産業は、昭和二十四年度の暦年の方で六千五百三十四億になつておりまして、年度では六千六百四十二億になつておる。それが二十五年度には六千九百七十三億、年度において七千九十六億、こう増加いたしておるわけであります。今おあげになりましたものは、勤労所得の数字なのであります。  それから今の人口問題でありますが、敗戰当時農村は非常に都会から疎開をされておりまして、農村人日はふえておつたのでありますが、漸次都会の秩序の回復と相まつて、しかも受入れ態勢ができまして、疎開の方は大体元の都市に帰られまして、一応農村人口はおちついたと思うのであります。農林統計にどれだけふえておりますか、こまかく私は記憶いたしておりませんが、しかし自然増加率は農村は多いのであります。これは文化生活の営まれつつある都会の方は、自然増加率が割合少いのでありますが、農村ことに漁村は人口の増加が実は多いのであります。しかしこの問題につきまして、稼働労力というものがどの程度にあるかということは、詳細に調査しなければ、一がいにこの人口をもつてただちに農村の問題を論ずることはでき得ませんが、少くとも今日の農地の状態から申しますと、これ以上の人口をなお農村に包容することは困難ではないか、かように考えるのであります。従つて副業あるいは工業の浸透をはかり、また都市の近郊における工業の発達等によりまして、この過剰労力をあんばいするということが必要であろう、かように考えておる次第であります。
  103. 田中織之進

    ○田中(織)委員 農村人口が増加の傾向にあることは、農林大臣も認められておるところでありまして、もちろんその稼働率の問題を考えなければならぬことは当然であります。しかし農村人口の増加と、ある意味から見れば農村における稼働率の減少の仰向が出て来ておるということが――なるほど個人業種所得に出ておる農林水産業の所得の総計と、それから勤労所得における総計とにおいては、二十五年度は二十四年度よりもふえるという計算にはなつております。なつてはおりますけれども、ここに農家人口の増加の問題と稼働率の減少の問題を考慮に入れて考えますならば、その意味から見ましても、私は農家所得というものは、ことに個人当りにとつてみる場合におきましては、むしろ減少の傾向にあるということは事実だと思う。その点から申しまして農林大臣は、先ほどこれまた竹村委員の質問に対しまして、今度の減税によりまして二七%の減――これは国税の面においての問題だろうと思うのでありますが、これに地方税の問題を考慮に入れまするならば、やはり農民に対する課税というものは、現在すでに担税力以上に達しているので、本年度においては、全般的に見た農家所得の減少傾向との問に依然として重圧が加わる。こういうわれわれの見方がそこか出て来るのでありまして、ことにこれは大蔵当局に御質問申し上げる予定にいたしておりますが、固定資産税の問題です。これは当然地租、家屋税というものがこういう名称になるものだと私は理解しておりますが、その関係からこれは地方税として増徴せられる分を考慮に入れますならば、勢い農家に対する税負担というものは、われわれの見るところでは、へたをするとむしろ従来よりも増加するのではないかと心配するのであります。その意味において農林大臣にお伺いをいたしたわけでございます。  そこで私農林大臣にあと一点お伺いをいたしておきたい問題があるのであります。これは單作地帯と、二毛作以上できるところ、また柑橘、果樹、あるいはその他の工業農産物の生産を行つている地帯とにおいて、厳密に区別されるような形に相なつているのでありますが、二十四年度の税務署所得額の計算にあたりまして、事前割当の数量が一応用いられています。一応ではなくて、これが絶対的なものとして用いられているのであります。しかし大臣の非常な努力によりまして、二十四年度の産米につきましては、御承知通り当初の三百四十八万石でありますか、それに加えまして今回の免責による約五十万石を加えますと、事前割当よりも相当の減額をされているのであります。この関係についての農民からの苦情というものが、相当税務署へ殺到していると思うのであります。実際一にやはり補正あるいは免責によつて供出数量が減額されたという、この事実の上に立ちますならば、当初の事前割当によるところの生産数量というものを、農家所得の計算の基礎にするというのは、これはむりがあると思うのであります。補正並びに免責された部分についての所得の控除の部分、減額の部分について、農林大臣として、大蔵当局との間にいかなる折衝をなされたかということを、この際承つておきたいのであります。
  104. 森幸太郎

    ○森国務大臣 さつき竹村委員にお答えしました三七%というのは、シヤウプ勧告案によりまして国税がこれだけ減る、地方税がこれだけふえるということを考えて、そのくらい減るという数字がたしか出たと記憶しております。  それから事前割当について一応課税標準は立てるのでありますが、これはあくまでも補正をいたしましたそれだけは收入がなかつたわけでありますから、当然この補正によつて改まつた数字を、その農家の收入と見なして課税基準とする。私はかように考えております。また大蔵省もそういう考え方をもつて更正決定をすると考えております。
  105. 田中織之進

    ○田中(織)委員 農林大臣はさようにおつしやるのでありますが、実際に末端の税務署におきましては、当初割当てた事前割当の数字に基いて、やはり所得決定を行つている。補正等の理由によつて減額を要求いたしましても応じない。これは全国どこの税務署へ参りましても、税務署は一貫したそういう態度をとつていると思います。従つて農林大臣は、大蔵当局もその方針で臨んでおられると、ここではつきり言明されたのでありますから、われわれはその方針で農民組合等関係を通じて、税務署と折衝いたしたいと思うのでありますが、実情は大臣のそういう御答弁にもかかわらず、税務署は依然としてやはり事前割当の数量を一歩も譲らないという、がんこな態度をとつていることは事実でございますので、農林大臣におかれましても、大蔵当局も農林大臣と同じ方針で進められているという御認識であるようでありますから、実情を十分調査されて、私はその点は進めてもらいたいと思います。  それから言葉を返すようでありますが、農林大臣の二七%の減税になるという問題は、かりに今回の国税、地方税を通じての減税が、政府の説明されている通りに国税において八百億の減税になり、地方税において約四百億の増徴になる。それでいても差引四百億からの減税になるという点を、これを全部農業所得関係に振向けられたといたしましても、農民の税負担に関するものに全部まわすといたしましても、私は大臣の言われるような二七%という数字は出て来ないのではないか。これはあと地方税法の改正案が出て参らないと、わからない問題ではありますが、われわれはそういう意味において今度の減税、ことに農民に対する減税についての効果を期待できないのであります。この点も農林大臣とこれ以上問答いたしましてもいかがかと思いますので、農林大臣はこれはもちろんわれわれの一つの見方であるというようにとられるだろうと思いますけれども、十分こうした農民の税負担の軽減の問題について、農林大臣のせつかくの御努力を要請いたしまして、私の大臣に対する質問はこれで打切ります。
  106. 川野芳滿

    川野委員長 農林大臣に対する質疑はほかにございませんか。――大蔵大臣はやがて見えることになつておりますので、それまで主税局長を中心として質疑を継続いたします。
  107. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は主税局長お尋ねいたしたいと思う点があります。利子所得を今回銀行でおとりになることをおやめになつたというのでありますが、むしろ私の観点よりいたしますと、過去におきましては相当無記名の預金があつたものと考えております。これを整理するのは当然、でありますが、むしろこれは源泉課税の方がよろしいかとも考えるのでありますが、現在までにおける無記名の預金がどのくらいあるかということを、この際それと関連してお答えを賜わりたいと存じます。
  108. 平田敬一郎

    平田政府委員 銀行預金の利子につきましては、一応二〇%の源泉課税は改正後においてもそのまま存置いたしております。ただやめたのは、総合して課税します場合の源泉選択税率であります。これはたしか昭和十五年の税制改正の際に、従来全然第二所得といたしまして源泉だけしか課税してなかつたものを、総合所得税を一応とる建前にいたしました。しかしその反面当時相当金融界、あるいは銀行預金等に及ぼす影響が大きいところがございましたので、一応一定の税率で選択いたしますれば、総合課税は受けなくても済むという制度で納入されたわけであります。今回その制度はやめることにいたしたのであります。と申しますのは今度の税法によりますと、最高が税率といたしましても五五%でありますが、現在選択税率は六〇%ということになつております。そういう点から行きましても実はあまり意義がないということと、所得税の建前上やはりあらゆる所得につきまして総合して課税するということが、所得税の累進課税の本質論からいたしまして当然であります。さような趣旨からいたしまして、今回負担の公平、利子に対しましても一般の所得と同じように待遇するという意味におきまして、総合課税に改めたのでございます。これに伴いまして従来無記名預金といたしまして、その選択税率の適用を受ければ、別に預金者の名前も税務署等に知らせないで課税するシステムがあつたのでございますが、こういう制度も一緒にやめることにいたしたのであります。今手元にはつきりした資料を持ち合せておりませんが、最近の実績でたしか六、七百億前後の無記名預金があつたかのように聞いております。なおその点はあとで取調べて正確な数字をお知らせしてもけつこうでありますが、これにつきましては今までの既契約の件全部のことにつきまして及ぼすのはどうかと思いまして、今年の九月までは暫定的に今までの扱いを認めることにいたしております。
  109. 三宅則義

    三宅(則)委員 今所得申告につきまして、改正になりまして六月、十月、翌年の一月、これはまことに適当であると思います。なお農業所得につきましても御承知通り五月、十一月、翌年の二月、単作地帯におきましては十一月、翌年の二月の二期となつたのでありますが、私の一番心配いたしまするのは、これらに対しまして申告はいたしておるのでありまするが、中間に更正決定いうものをたびたびやられるのであります。更正決定をやられましたときにおきまして、われわれは多少でなく大いに異議があるのでありますが、今度の改正税法によりまして、この異議のあつた場合には、さつそくに取調べてこれを取捨選択するという、この線が現われているようでございますが、これについて私どもは期限を付して、五筋力以内にこれに対しましては最後の決定を下すだろうというふうに解釈しておりますが、もう少し広くこれに対しまして決済をいたしまして、一般の納税者に通告する必要があると思いますが、政府はどう考えておりますか、伺いたいと思います。
  110. 平田敬一郎

    平田政府委員 審査請求がありました場合におきましては、なるべく早く処理をしなければならないことは当然のことでございまして、国税庁、国税局、税務署におきましてもそういう趣旨で極力勉強いたしておると思います。ただ最近の状態はいかんせん多数の納税者でありますのと、なお十分熟練した税務官吏が不十分であるといつたようなことからいたしまして、なかなか思うようにとり運んでいないこともまたお話通りであります。鋭意勉強いたしまして御期待に沿うように努力いたすつもりでございます。なお法律上は、今度もはつきり三月以内に原則として整理する建前にいたしております。三月を経ましてなお片づかない場合におきましては、再調査の手続から当然審査の手続に移りまして審査の手続におきましても三月を経ましてなお片づかない場合におきましては、当然行政訴訟ができるということになつておりますので、税務官庁におきましてもそれに応じまして、極力急いで処理するということに相なるべきものと考えておりまするし、主たさように努力いたしたいと思います。  なお予定申告につきましては、今回は原則としまして前年度実績で課税することに相なりましたので、予定申告の段階におきまして更生決定をするということは、今後におきましては少くなるだろうと思つております。大体確定申告に対します申告に対しまして、でき得る限り税務官庁におきまして上く調べまして、自信のある更正決定をすることに鋭意努力して参りたい、かように考えております。
  111. 三宅則義

    三宅(則)委員 今主税局長はたいへん力強いような御答弁でありましたが、あなたのおつしやるようなことがずつと下々に浸透いたしますればけつこうでありますが、反対の場合がよくある、私はこういうことを考えておるのでありますが、むしろ審査請求を出された場合、その前に再調査がありますが、再調査をされた場合におきまして、手不足とか、あるいは知識が足らぬとかいうような理由でうつちやつておくということは、はなはだ不見識きわまることだと思いますから、むしろ三月以内に黙つておつた場合には、申請者いわゆる納税者申告通り決定した方がよろしいと思いますが、これに対するお考えを承りたい。
  112. 平田敬一郎

    平田政府委員 ただいまの問題につきましてはたしか前々国会でございましたか、そういう一つの有力な御案もありまして、私どもも愼重検討をいたしたのでございますが、さようなことをやりますとかえつてむりを生じまして今度は逆に全部書類でぽんぽん却下してしまうということになりまして、かえつて処理の円滑を欠くというようなことになりかねませんので、これはやほりお互いに勉強いたしまして、なるべく早く処理するというほかはないのではなかろうかと考えておるのでございます。ただ今申しましたような一定の期間に済まない場合におきましては、役所といたしましても訴訟等に訴えられるということに相なりますので、その点から申しますとやはり相当促進し得るように行き得るのではないか、かように考えておりますし、またそういう方向に鋭意努力いたしたいと思います。
  113. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はあえて訴訟を好むものではございません。また一般の国民も訴訟を喜んでやるべきものではないと確信しておりますが、政府といたしましてはこの再調査をいたされた場合において、これについて異議のあうた場合においては、国税庁に対していわゆる審査請求することができる、こういう建前になつておる。私はこの国税庁に対する審査請求に対しましても、従来の観点からいたしますと、同じ税務署の署員が参りまして、まあこの辺で負けておきなさい、国税局に行きますとまた加算せられるおそれがありますからというようなことから、済んでおつた場合があるのであります。今回はそういうことは全然ないと私は確信いたしますが、当局の御意見を承りたいと存じます。
  114. 平田敬一郎

    平田政府委員 たびたび申し上げますが、審査請求につきましては、今申しましたように、第一段階ではまず調益しました当該税務署長に対しまして再調査請求をいたすわけであります。それに対しまして三月以内に決定がない場合におきましては、請求審査の手続に移るのでございます。そうしましてさらに三月たちまして出ない場合におきましては、納税者といたしましては行政訴訟もできるということにいたしておるわけでございますが、政府としましてはできる限りその期間内に、あるいはでき得る限りさらにそれよりも短かい期間内に、そのような場合におきましては処理をはかるというつもりでございますので、極力そういう方向で努力いたすということを重ねて申し上げておきたいと思います。なお一番問題は、むしろできますならば審査請求が出ないような調査をいたしまして、それに基いて更正決定をやるというのが一番大事なことでございますから、今後におきましては特にそういう点に力を加えて参りたい。先ほども申し上げておりますように、大体普通の納税者の場合におきましては、前年の実績で申告をしていただきますと、原則といたしまして予定申告に対しましては事、正決定はいたさないのでございます。従いまして確定申告に対しまして今後はよく調べた上更正決定を行う。その際はよく調査した上で、できる限り間違いないものを調べまして更正決定をして参るようにいたしたい、こういう考えでございます。
  115. 三宅則義

    三宅(則)委員 ついででありますからちよつと関連して御質問いたすのでありますが、訴訟というのは、やはり税に関しまする訴訟でありますが、一体訴訟に対する受付のところの構想はございますか。今裁判所であると思いますが、どういうふうに税に対して裁判所がどういう観想を持つておられますか。これを承りたいと思います。
  116. 平田敬一郎

    平田政府委員 どういう構想というか、御質問の趣旨がよくわからないのですが、普通の地方裁判所は税について第一審にたりまして、それぞれ納税者は地方裁判所に出訴することができるわけであります。
  117. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは地方裁判所の租税部とか、あるいは商事部ということであろうと思いますが、はなはだ失礼と思いますけれども、割合に経験の深い人を判事とかあるいは裁判官という方面にまわしていただくことが必要だろうと思いますが、これに対して政府は何か手を打たれますか。
  118. 平田敬一郎

    平田政府委員 裁判所におきましても最近は租税に関するケースに相当関心が大きいので、おそらく裁判官、裁判所におきましても、そういう事態に対処して十分の勉強をしていただきますし、また準備をしてもらえるのではないかと存ずるのであります。政府としましてはお話のように、いたずらに裁判に持ち込むのが能ではないのでありまして、あくまでも政府の側においてできる、だけ誠意をもつて、あるいはよく調べまして片づける、どうしても片づかないものが、裁判に行くということにおきましては、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  119. 三宅則義

    三宅(則)委員 はなはだしつつこく質問いたしまして恐縮でございますが、私の承るところによりますと、現今の租税に対する裁判というものはきわめて少い。わずか二百何件しかなかつたというようなことを言つておりまするが、そんなものでありましようか。そうするとこれからにしても、税に対する裁判は相当に少いものと私は鑑定いたしておりますが、いかがなものでしようか。
  120. 平田敬一郎

    平田政府委員 訴訟の件数としては大体お話のくらいの件数のようであります。ただ一件につきまして相当数多くの納税者が一ぺんに出しておる例もございますし、納税者の数から行きますと現在でも相当な件数のようであります。でありますが、今申し上げましたようになるべく訴訟に行かないで済ませたい。しかし政府の解決に不満であるとか、あるいは一定期間を経て政府が解決しない、こういう場合におきましては、納税者としてはいつにても出訴する権利を認めておる、こういう意味合いにおきまして相当効果があるだろう、かように考えております。
  121. 三宅則義

    三宅(則)委員 もう一点お伺いいたしますが、所得税等の申告をしなかつたもの、または過少申告をいたしたもの、こういうものに対しましては百分五という罰金に類する税金を加算せられるように考えられますが、これはいかがな構想でありましようか。私はむしろこういうもののないように早くから宣伝することが必要であり、また国民自身もこれを納得するように了解せしむることがよろしいと考えますが、政府のお考えを承りたいと思います。
  122. 平田敬一郎

    平田政府委員 今回従来の追徴税の制度を改めまして、過少申告加算税と無申告加算税と重加算税と、この三つの制度にはつきりわけたのであります。しこうして期限内に申告いたしましてその申告をいたしました額が、あとで税務官庁で調べました正しい額と比べて少い場合におきましては、その不足額の五%の過少申告加算税を徴收するのであります。期限内に一応少い申告をしましても、その後税務官庁において正規の調査に着手する前に、納税者が自発的に追加申告をいたしますれば、その場合は五%も課税いたしません。  それから無申告加算税と申しますのは、期限内に申告して来なかつた場合に対しまして、これはさらに相当高い加算税を課することになつております。最初一月以内に遅れて申告して来た場合におき」ましては一〇%、二月以内の場合におきましては一五%、三月以内には二〇%、四月、以内の場合におきましては二五%、それ以後はもうすべて申告して来なかつた場合には、二五%の加算税を課することになつております。これは何と申しましても申告納税でございますので、もちろん役所におきましても十分注意して、周知徹底には努力するのでありますが、何と申しましても納税者から申告していただくということがまず第一でありますので、そのような意味におきまして相当重い加算税を課することにいたしておるのであります。もつともこの場合におきましても後に申告して来ますれば、申告して来ました分につきましては、五%ずつ軽減することにいたしております。もちろん税務署の正規の調査着手前に、自発的に申告して来た場合のことであります。さらに虚偽の申告等をした場合におきましては、脱税犯に該当する場合も相当あろうかと思うのでありますが、脱税犯として刑事事件で訴追するということになりますと、なかなか愼重を期さなければなりませんし、またいたずらに刑事事件に付するということは、必ずしも目的を達するゆえん噂はありませんから、そのもう一つ前の段階として、虚偽の申告等によりまして不当に少い税額しか納めなかつたという場合におきましては、重加算税を課しまして、五〇%まで課税し得ることにいたしております。こういう制度によりまして相当申告の促進をはかることにいたしたい。もちろん政府といたしましても税法及び各納税者等につきましても、十分事前に宣伝をし、あるいは所得申告等につきましても、しかるべき趣旨をよく伝えまして正しい申告が出るように努めたい、かように考えております。
  123. 川野芳滿

    川野委員長 大蔵大臣がお見えになりましたので、大蔵大臣に対する質疑を願います。
  124. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは一、二点だけ大臣に根本のことを伺いましてあとは譲ります。今主税局長に伺いました通り、国民の方にあやまちがあつた場合あるいは怠慢の場合には、相当罰金刑に類するところの税金をとられるのですが、私は官吏の方の怠慢もしくは未熟のために、国民に税を高くきあ過ぎた、反対に国民に対する税を軽くきめ過ぎたという場合においては、官吏相当責任を負う、こういう方法を講じたらどうかと思いますが、大臣のお考えを承りたい。
  125. 池田勇人

    ○池田国務大臣 官吏につきましてあやまりのあつたときには、これに対して懲戒その他の方法があるのでありまするが、課税について低かつた場合はなかなかわかりにくうございます。税法できめたよりも高くむりな決定をいたした場合には、これに対しまして救済手段があるのであります。内面指導といたしましてむりな課税のないようにはいたしておるのでありまするが、その人が常にむりな課税をするというふうなきらいがございましたならば、やはり適当な措置をとりたいと考えておりますが、これに対して刑法上とかあるいはその他の重い責任を負わすことは、なかなか今の状態では困難ではないかと考えております。
  126. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではそういう非常に国民に迷惑をかけた場合たとえばすでに税金を納めたにもかかわらず、手紙を出したり差押えをするというようなきびしい令書を出しまして、その人がこんなことはない、すでに納めたしといつてつて行く。そうして電車賃を使い弁当銭を使つてつても、それを見た今までの税務官吏は御苦労さんと簡單に片づけて、その費用弁償は一つもしておりません。私は国家といたしましても、国家のあやまちによつて国民に迷惑をかけた場合においては、多少その費用弁償をしたらよろしいと思いますが、これに対する大臣の御構想を承りたいと考える次第でございます。
  127. 池田勇人

    ○池田国務大臣 御承知通りに過誤納金――あやまつてたくさんとり過ぎたという場合につきましては、これに利子をつけて返すようにいたしておるのであります。私といたしましては、もうすでに税金を納めているにかかわらず、納税者に呼出しを出したりなんかすることがあつてはならないのでございまして、いつかそういう例がありましたから、罰俸処分に付せよということを申したのでありますが、その後この問題は納税者にも暇批がございましてそのままになつたような事例もあるのであります。今後の場合といたしましては、行き過ぎた行為によつて納税者に迷惑をかけるようなことがありましたならば、実情を調べまして、できるだけ行政上の措置をとりたいと考えております。
  128. 三宅則義

    三宅(則)委員 よくわかりました。それではどうかそういうことのないように、下僚官僚に嚴達していただきたいと思います。もう一つ承りたい事柄は、午前中ちよつと伺つたことでありますが、大蔵一大臣でありますから全般に通暁するものと考えますので申し上げたい。現今の国税というものはもちろん税務署長が決定するのでありまするが、これに対しまして、地方税もやはりこれにならつてやるということが今までの例のようでございます。しかしむしろ私はここは国は国、地方は地方というように單独の機関を設けられまして、正確に計算することが必要であろう。たとえて言うと、今日の場合におきましては、国税が高くきめられたような場合におきましては、従つて地方税もこれによつて高く決定を受けるということになりまして、非常に迷惑をしておるものがあるのであります。私どもは今後大臣といたされましては、国税は国税、地方税は地方税という大きな観点から、よく地方の状況に即するような方法でもつて決定するようにしていただきたい。たとえば地方に関しましては、町村長なり財務関係の吏員なりを動員いたしまして、地方は地方的に見るという方法を講じたらよいかと思いますが、これに対する大臣の構想を承りたいと思います。
  129. 池田勇人

    ○池田国務大臣 今回の中央地方を通じます税制改正によつて、国税と地方税とば全然別個のものとなつたのであります。昔の事業税は所得税と連なつておつたような場合もございましたが、原則といたしましては事業税は地方官庁の責任においてきめるというので、一致の方法をとつておりません。今度事業税がなくなりましたし、別な特殊な計算方法によります附加価値税等は、何も国税と関連のあるものではありません。ただ問題は住民税におきまして所得税を基本にする関係上、この点だけは残りますが、所得税か高しために住民税が高くなる、これはしかたがない。所得税が高くて困りますならば、所得税を高くないように直すということが先決問題であるのであります。今後は、税の執行を十分適正ならしめるよう努力いたしておりますから、納税者の不平の声もだんだん少くなると私は確信しておりますし、またその方向に向つて努力して行きいと思います。
  130. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大蔵大臣がお見えになりましたのでお伺いをいたします。今度の予算の編成の基礎になつております二十五年度の国民所得の推定の問題について――これは他の方々からも質問が出たことと思うのでありますが、われわれがいただいた政府の資料によりますと、前年度より相当の増加を示しておるのであります。その増加したという推定の根拠について、たとえば生産指数をどの程度に押えられておるか。同時に全般的に申しまするならば、政府がたびたび申されるように物価も安くなつておる、こういう傾向のもとにあると思うのでありますが、その意味において物価水準というものをどの線に見きわめられての算定であるか。こうしたことにつきましての大臣の御見解を伺つておきたいと思うのであります。
  131. 池田勇人

    ○池田国務大臣 国民所得と税の問題に関連いたしまして、国民所得の算出の根拠、こういう御質問だと思います。私は特別の所管でございませんので、安本から聞いたのでありますが、大体物価は横ばい、生産は物によつては違いますが全体としてある程度ふえる、それでああいう三兆何億とかを計算されたと思つております。
  132. 田中織之進

    ○田中(織)委員 もちろん安定で推定せられたものでありますけれども、私は国家財政をあずかつておられる大蔵大臣としても、この数字が基礎になつて、たとえば国民の税負担の軽減――われわれは大蔵大臣の言われるような軽減はないという見解を持つておるものでありますが、大蔵大臣の方ではやゆりそういう点を考慮に入れての税の軽減になる、こういう御認識だろうと思うのであります。そこで大蔵大臣に次にお伺いしたいのは、今度国税の面おきまして、前年度に比べますと九月億余りの減税になつておることは、予算に載つておる通りでございますが、この三兆二千五百億という国民総所得のうちで、国税の方はわかるのでありますけれども、地方税を含めた税の対象になつておる所得額をどの程度押えられたか。もちろん基礎控除そり他の関係の部分に、三兆二千五百億りうちで出て来る部分もあると思いますが、この三兆二千五百億は税その他の配分関係においてどういうようにお見込みになつておられますか。御説明を願いたいと思います。
  133. 平田敬一郎

    平田政府委員 お尋ね趣旨が少しわかりかねるのでありますが、地方税を込めてどう見たかというお尋ねでありますか。――国民所得は国民全体の所得一定方法で計算いたしておる叩けでございます。所得税におきましては前々から申し上げておりますように、昭和二十三年度の課税実績をもとにいたしまして、それに対しまして一定の指数を延ばしまして、それで課税所得を計算いたしておるのでございます。その延はす場合におきましては前回も御説明いたしましたように、大体において国民所得の延ばし方と同じような方法でやつておりますが、ただ税務の所得計算と国民の分配所得の観念と若干違う場合がございますので、そういう点は矯正いたしまして指数を適用しておるのでございます。どういう点でございますか、お尋ねの点が少しはつきりしないのでありますが……。
  134. 田中織之進

    ○田中(織)委員 もちろん国税の面において、この国民総所得の中でどの程度課税対象になるかという部分が出て来る。そのほかに国税とは別な、今大臣も申されましたように、この国民総所得の中で、地方税の関係において押える部分が出て来る。それから前々国会であつたかと思いますけれども、本委員会においてたとえば風早君から申されたような形において、まだ課税の部分に押えるべき所得がある。こういう問題との関連において私はお伺いをしておるのであります。もちろんこれは直接大蔵省の関係でないことは承知いたしておりますけれども、本年度の予算の編成過程において、地方財政というものは平衡交付金の関係を除いた以外は、地方税の收入によつてまかなうという建前になつておる関係から、その関係においてこの国民総所得の中でどの程度のもものが押えられておるか。もつと率直に伺いますならば、地方税として国民が負担すべきものを、大蔵当局としてはどの程度を押えられておるか。この点でございます。
  135. 平田敬一郎

    平田政府委員 おそらくあるいはこういう意味でございましたら一つの資料がございまして申し上げますが、総体の国民所得に対しまして、国税と地方税を通じまして総体の負担がどれくらいになるか、何割になるかという点でございますと、一つの資料がございます。ただこの点についてはシャゥプ博士も言つておるように、日本の国民所得の基礎の統計が非常に不十分であるから、必ずしも国民所得につきまし、ては、出て来ました結果の数字がよいかどうかわからないという意見がございますが、そういうような点を別にしまして、一応安本で計算しております国民所得をもとにした国税、タバコの専売益金、地方税を含めました最近の負担割合を示しますと、昭和二十三年度が二四・一%、二十四年度が二五・五%、二十五年度は目下政府考えております計画によりますと、二三・二%に下ることになつております。この場合は地方税は総体で千九百億円程度見込んでおります。
  136. 田中織之進

    ○田中(織)委員 国民所得算定の基礎というものが、日本においては非常にあいまいであるということは、シヤウプ使節も指摘しておる通りでございますが、どうもいろいろ税の関係その他からこれが軽減になるのだ、増徴になるのだという議論の場合に、どうもこのきわめて基礎のあいまいなるところから出た国民所得が引合いに出されるのであります。そういう意味において、次に御質問を申し上げる問題とも関連するのでありますが、従つて若干の税率における引下げが行われましても、所得顔の押え方というものによつて軒減された税率も、税全体の負担額の点から見れば、もちろんこれは所得が増加しているから当然だと言えばそれまででありますが、所得の増加そのものがあいまいだ、こういう観点からわれわれの議論も出て来るわけであります。そういう意味でお伺いしたのであります。  次に私お伺いしたいのは、今度の勧告案によりまする最高五五%を適用するのを、三十万円から五十万円まで引上げたのでありますが、この三十万を五十万まで引上げた関係において、税收の点でどの程度の開きが出て来るか。それからこれは大蔵大臣も非常に真剣にお考えなつたと私漏れ聞いておるのでありますが、五五%を五十万円で押えるのを百万円まで引上げる場合におきまして、われわればかりに今度の改正案による五十万円を百万円まで引上げることによりまして、この間の累進率の定め方にもよると思うのでありますが、われわれはまず百億から二百億程度の租税の減收が考えられるのではないか、かように考えておるのでありますが、大蔵当局といたしまして三十万円を五十万円に引上げ、またこれを今後の問題といたしまして、かりにこれを百万円まで五五%ということにいたしまする場合に、どの程度そこに数字的な開きが出て来るかということを御検討せられたことと思いますので、お聞かせ願いたいと思います。
  137. 平田敬一郎

    平田政府委員 大体シヤウプ案によりますと、三十万円で百分の五十五になつておりますのを、今度の提案は五十万円を越える場合に百分の五十五に改めたのでありますが、そのための減收額は十八億七千三百万円程度でございます。なおさらに最高税率を百万円にいたしまする場合におきましては、それに伴いまして下のものの税率をどうするかという問題がございましていろいろな方法があろうかと思いますが、必要でございますれば後ほど計算をいたしまとて御説明申し上げてもけつこうだと思います。  なお先ほどお尋ねがありましたが、来年は大体安本の見通しでは物価は横ばいで、生産が増加することによつて国民所得がふえるという見込みであります。従いまして生産がふえて国民所得がふえるということは、今までのどつちかと申しますと物価水準が上つて、名目的に国民所得がふえるというのと違いまして、実質的に国民所得がふえる。それこそ私どもはほんとうの担税力の贈加だと考えます。もしもふえるといたしましたならば、そういう際におきまして減税をやりまして、今申し上げましたようにパーセンテージも、二十四年に比べますと二十五年は相当下るごとに一応なりますので、計画通り参りますれば、私は実質的に相当な減税になるのではなかろうかと考えておりますことを申し添えておきます。
  138. 田中織之進

    ○田中(織)委員 国民所得の問題については、先ほど農林大臣にもお伺いしたのでありますが、たとえば農家所得の問題で、個人当りをとつて参りますと、最近における農家人口の増加、またどちらかといえば稼働率の減少というような点を考えて参りますると、農家の個人当りの所得の減少という傾向が出て来るのではないかという点で、これは農林大臣にもお伺いしたのでありますが、その点の論議は別の機会に譲ることといたしまして、次に大蔵大臣にお伺いをしたいのであります。五百万円以上についてきわめて低率な富裕税を課することに、今回の提案がなつておるのでありますが、この五百万円以上の累進率を、われわれはもう少し引上げるべきではないかという見解を持つておるのであります。五百万円までは当然五十万円以上五五%の額で、所得税関係に相なつて来るのでありますが、私はそういう関係から、この五五%という、最高率を上げること、またその間における累進の関係考えて行かなければならないのじやないかと思うのです。主税局長の御答弁では三十万円を五十万円に引上げた関係から、十八億七十三百万円減少になるということでございますが、この間の富裕税の対象になる五十万円あるいは百万円以上の所得、これをもう少し税の面において捕捉する点が、これはもちろん階層別で、どの程度に百万円以上五百万円までの所得があるかという関係等が出て来るのでありますが、この点について大蔵当局として今回の税制の改革にあたりまして御研究になつた点がございましようか。
  139. 平田敬一郎

    平田政府委員 所得の階層別調べは、今回一応私ども二十三年度の課税実績、に現われました統計をもとにいたしまして推計いたしましたのを、たしかお手元に予算の説明の付表としまして差上げてあるはずでございます。それによりましてこらん願いたいと思いますが、大体今回の税制改正の趣旨等からいたしましても、極力高額所得者につきましては調査の徹底をはかりまして、課税の充実をはかつて参りたい。一面におきましては税率も相当合理化されましたし、また他面におきましては富裕税その他の課税によりまして、相まちまして相当適正な課税ができるのではなかろうかと考えておるのでございます。ただ最近戦後に一おきまして、相当営業所得関係で個人所得がふえたのがございましたが、またそういう面におきましては相当つておる面もございまして、今後どの程度所得者が健全に伸びて行きますか。その辺は非常に問題があろうかと考えておるのでございます。なお富裕税の税率につきましては、五千万円を越える場合は千分の三十つまり百分の三ですが、これは前々から申し上げておりますように、かりに財産に対しまして收益が一割まわつている場合を考えますと、所得に対しましては実は百分の三十の税率になるのでございます。株式の利回り等は最近はもつと低いようでございます。一割まわつている場合を考えましてそのようでございます。従いまして所得税の五五%と富裕税の一割まわつている場合の三〇%を加えますと、やはり高額の財産所得に対しましては八五%という累準率になるのでございます。この点は所得税の最高率だけ御留意願いませんで、やはり富裕税所得税の補完税としてあります一ので、その点もにらみ合せて御検討願いたいと考えておるのでございます。
  140. 田中織之進

    ○田中(織)委員 次に地方税について二、三点伺いたいと思います。これは国税に関する問題とは面接的な関連はないわけでありますが、勢い当然問題になるわけであります。その点はあとまわしにいたしまして、大臣に法人の退職金等の積立金に対する課税の問題についてお伺いをしたいのであります。労働協約によりまして退職金の規定ができまして、当然会社において積立てをしなければならないのでありますが、現在これに対して課税せられる結果に相なるのであります。しかしこの積立金佳言うまでもなく私は一種会社の債務だと思います。従つてこれに対して課税せられる結果、積立金という当然の義務を経営主と申しますか、資本主と申しますかが怠るような結果になる。従つて首切りがあるとかそういうような事態が発生いたしましたときに、労働協約によつて退職金の條項が定まつておりまして、実際に積立金がないという結果退職金をもらえない。従つて会社工場等、におきまして人員整理を行うときには、整理資金を、主た銀行等に融資を申し込んでおるというのが実情ではないかと私は思うのであります。この点労働協約等による労働者の退職金等の積立金に対する課税をやめてもらいたいと、われわれは考えるのであります。この点について大蔵大臣としていかなるお考えを持つておるか、承りたいと思います。
  141. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話通り特別法におきまして退職金を積み立てることになつておるのでありますが、積み立てられた退職金は、銀行預金とかあるいは特別の経理をせずに、そのまま会社の一般の財産と同じように使つておられるのであります。従いましてわれわれとしては会社実情から申しまして、一応積め立てられてそれがいろいろな資産にかわつて来ておる。退職金を拂うときには、それを損金にする。これが実情に沿つておると考えてやつておるわけで、実際退職金が出た期の損金というふうにいたしておるのであります。それでこれに課税をしないことにいたしました場合に、その残りの課税しないことにしたその金が、どういうふうにして使われるかということになりますと、やはり会社はその金を普通に運用をやつて行くと想像できるのであります。従いまして課税してもしなくても、私は会社の経理にはさしたる影響はない。会社が一度に整理をするときに、やはり金を遊ばしておくわけでありませんから、やはり銀行から融資を受けるというふうにならざるを得ぬのではないかと私は考えております。
  142. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点については、どうも最近の経営者側の態度を見て参りますと、もちろん首切り等の場合は別でありますが、停年その、他の関係で退職する等の場合、これはまあケースとしてもあまり多くあるべき筋合いのものではないのでありますが、どうもその点についてせつかく労働協約等におきまして規定ができておつても、きわめて不安な状態にあることは事実でございますので、この点については、大蔵当局においてさらにひとつ課税の問題について御研究を願いたい、かように思うわけであります。  そこで大臣にあと地方税につきまして、これはもちろん大蔵大臣の直接の所管ではなくなつたわけでありますが、附加価値税の算定の問題につきましては、従来の事業税とはうんと趣がかわつて参るのであります。ことにこれは従来の純益というような考え方ではなくて全收入に対しての課税、こういうことになる関係から勢い非常に幅が広くなりまして、労賃の部分に対する課税ということにも相なるのであります。そこで事業が赤字であろうと、継続しておるところには当然この税金がかけられるというような関係になりまして、これはある意味から見れば一種の流通税、その意味において取引高税の再現ではないかというような解釈、見方も出て来るのでありますが、この附加価値税の押え方につきまして、やはり所得税におきましても相当負担をしておる国民の側といたしまして、特に財政全般の問題を心配してもらわなければならない大蔵大臣として、御考慮願わなければならぬ問題だと思うのでありますが、この点について大蔵大臣はいかようにお考えになつておられまするか、承りたいと思います。
  143. 池田勇人

    ○池田国務大臣 ごの附加価値税の性質でござい手が、なかなか議論のあるところであるのであります。私はシヤゥプ博士の勧告案が出ます前に、この問題について二、三回議論したことがあるのであります。これを外形標準的の営業税のような考え方で見るか、あるいは事業税的な考え方で見るか、いろいろな議論があると思うのでありますが、何分にもまだ世界でこういう税法を施行しておる国はないのでございます。今後問題になると思うのでありまするが、大体原則としまして例外的には赤字の場合も課税するというようなことが起るのでありまするが、原則といたしまりては、やはりその名の示すがごとく価値の増加した場合に課税する建前に相なつておるのであります。われわれこれを取引高税の変形というふうには考えておりません。税法ができ上りましてごらんいただければわかると思うのでありまするが、見方によつては外形標準的の営業税という見方も、立ち得るのであると考えておるのであります。
  144. 田中織之進

    ○田中(織)委員 どうも実質的にはわれわれ取引高税の再現のような気がするのであります。ことに労賃部分に対する課税も、いわゆる全收入に対する課税ということになる結果は、勢いこれが首切りだとかあるいは賃下げというような形で労働者にも転嫁される。さらには消費者への転嫁ということも、今後の問題として出て来るのではないかと思う。さらに先ほど主税局長の方では、地方税全体として千九百億を予定しておるということでありますが、勢いこれの課税の手かげんと言いますか、さじかげんと言いますか、そういうような関係から申しますると、この面における国民に対する税政を強化して行くというような関係に相なつて来るので、やはり地方税全体を大体千九百億に押えられておるのでありますが、実際問題として相当地方税の面における増徴というようなことが、こういう附加価値税の面に現われて来るのではないかとわれわれは心配しておるので、世界で初めての新しい税金であると大蔵大臣は申されるのでありますが、直接大蔵省の管轄ではないといたしましても、この税の実施過程におきましては、十分大蔵当局として御研究を願わなければならない問題だと思うのであります。  さらにこれも地方税の関係でございますが、固定資産税の関係におきまして、勢い大工場等を持つておる市部というような方面は、この関係から相当の固定資産税としての收入が確保せられるのでありますが、農山村等において、そうした関係の施設のきわめて小いところ、そういうようなところの地方財政の維持の問題については、これは当然平衡交付金の配分の場合に、分考慮せられることと思うのであり出すが、この点については大蔵当局としてはどういうように処理せられるおつもりか。これで地方税制に関する法安が出て参つたときに、また議論になるかと思うのでありますが、国税との関係においてお伺いをしておきたいと思うのであります。
  145. 池田勇人

    ○池田国務大臣 附加価位税、住民税、不動産税、これらも大体の標準税率で計算し、そうして千九百億円を確保」ようといたしておるのであります。従いまして附加価値税等におきまして、非常に増收があるという場合におきましては、これは剰余金が出て来て、翌年度から税率を引下げることに相なると思うのであります。何と申しましても国税の方につきましては非常に議論があり、国民が非常な関心を持つておられるのでありますが、これに反して地方税は従来あまり関心はなかつたのであります。今後は地方税が相当の重さを加えて参りますので、やはり国会におけると同様、府県会あるいは市町村会におきまして、十分国民の負担の見地から、歳出方面につきまして節約をするような議論が起ることが、私は財政経済の建て直しに対して、非常に好ましいことであると考えておるのであります。従いまして一応税法は千五十億円の平衡交付金を前提といたしまして、千九百億円の徴税ということを考えておりますが、千九百億円の徴税をしなくて済むようなことが望ましと考えております。  次に不動産税の問題でございますが、大工場その他は都市に集中しており、非常に收入が上るけれども町村にはあまり上らないのではないか。その通りでございまして、やはり大都市の方には財政需要も多いから、そういうふうな課税物件がたくさんあると田うのであります。しかし寒村僻地のところにつきましては、お話通りに財政平衡交付金によりまして、調整て行くことに相なると思うのであります。この財政平衡交付金につきましては、地方財政委員会というものができまして、その委員会において割振りをすることに相なると考えておる次第であります。
  146. 田中織之進

    ○田中(織)委員 この地方税の徴收の関係から見ますと、やはり国税の価において、下手をすると税源に非常な影響を持つて来る問題でございます。ことに固定資産税、不動産税の関係で当然固定資産評価委員会というものができると思うのでありますが、ともすれはこの委員会の構成等におけるいわゆるボスの暗躍というようなものも、これは戒心しなければならぬ問題であり、勢いこうした関係が家賃等に影響して来る。こういうようなことになりますれば、まわりまわつてまた勤労大衆の加計費に対する重圧、こういうようなことに相なりますので、この点についてはただいま大臣も、歳出の節約という面と並行して考えなければならぬということを申されたのであります。また地方税制に関する法案も出て参りませんが、この点大蔵大臣としても特に国税との関係のにらみ合せにおきまして御配慮を願いたい、かように思うわけであります。  なお最後に一点大臣にお伺いしておきたいのでありますが、それは大体二十四年の税收の見通しの問題でございます。二十四年度は均衡予算の関係で進んで参つておる関係から、二十四年度における――これはもちろん次の年になつてからの問題になるわけでありますが、剰余金というような問題も今までとはおのずから、予算の建て力丸ら考えまして、違つた結果が現われて来るとは思いますけれども、現在末端税務署において相当徴收に拍車をかけている関係から見まして、この年度主における二十四年度の税收の見込みについて、お伺いしておきたいと思うのであります。これは先般の第六国会でありましたか、補正予算のときには、大体自然増收が二百十三億でありますか見込まれて、同時にシヤウプ勧告案によるところの暫定措置の関係において、約二百億ほどの減税が行われた結果、差引十三億程度のものが、補正予算の財源の中にも繰入れられたように考えられるのであります。ところがその後における徴税攻勢と申しますか、相当私は苛烈なものがあるように、われわれ地方に帰りますと陳情を受けるのであります。この点については先般政府と與党の連絡会の結論でありますが、広川幹事長から、差押え等の処置によるところの自然増收を上げるということについては、手をゆるめたらどうかというような提言が、大蔵大臣になされたやうに新聞で拝見をしているのであります。われわれはやはりいわゆる予算額以上の徴收というものも、相当出て参るのではないかと現在見ているのでありますが、その点に対する大蔵大臣のお見込み、それから全体の二十四年度の予算の執行過程において、年度末にはどの程度の剰余金が出ると見込まれるか。われわれは二十四年度については、すでに補正予算の関係等において、十分いろいろの考慮を拂われていることと思うのでありますが、その点についての全体としての二十四年度の剰余金の見込み額について、大蔵大臣から承つておきたいと思うのであります。
  147. 池田勇人

    ○池田国務大臣 初めに申し上げておきますが、民自党の幹事長から、滯納処分等について遠慮するようにということは、私は何も聞いておりません。そういう申し入れば聞いていないのであります。ただ自分の考えから申しまして、こういう経済情勢のもとであるから納税者の気持を十分くんで行つて、不必要な摩擦を起さないように、金詰まりの方も多いのであるがら、公売処分についてはよほど注意をしてやれということは、あの新聞が出る一日前に、私は自分の考えで言つたことがあるのであります。政調会、党の方から、直接私が聞いたことはないのであります。この点お断りいたしておきます。  次に自然増收の問題、あるいは前年度剰余金の問題、この二つの御質問でありますが、税の自然増收の問題につきましては、先般の補正予算を組みますときに、他の税で相当自然増收が見込まれるものは見込み、また自然減收の見込まれるものは見込んで補正をいたしたのであります。勤労所得税あるいは法人税、酒税につきましては相当の自然増收を見込みました。そうして問題になつております申告納税、すなわち中小商工業者あるいは農業者の納めます申告納税につきましては、二百億近い自然減收を見込んでおつたのであります。これは御承知通りであります。しかるところ、その後の情勢から申しますと、法人税におきまして、また酒税におきましては、ある程度の自然増收が出て参りました。補正予算以上の自然増收が出て参りました。勤労所得税につきましても、ある程度の自然増收が見込まれますが、中小企業あるいは農業者を主体といたします申告納税につきましては、自然減收が見込まれるのではないかという情勢にあるのであります。これは経済界の変動その他によりまして、自然減收が来ることと思うのであります。こういう内訳になりまして、全体といたしましては自然増收はそうたくさんは出ない、こういう考えを持つております。昨年度二十三年度におきましては、税の自然増收は三百億近かつたと思つております。しかし今年はそんなにはとても出て参りません。また出ないのがほんとうだと考えております。税の自然増收以外のいわゆる他の方面べの剰余金という問題になつて参りますと、これは均衡予算の建前から、また先般の国鉄の裁定に基きまするそれと関連いたしました一般の公務員に対する給與等の流用その他で出しておりますので、乗余金というもの、いわゆる不用額というものはあまり出て来ないものと考えております。ただタバコの益金なんかにつきましては、四、五億くらいの赤で済むだろうと考えておりましたが、このごろのタバコの売れ行きは芳ばしくないので、こういうものの減收を相当見込まなければならないので、十五億か三十億くらいの赤が出るのではないか、こういうことを考えて参りますると、全体から申しまして、大体均衡のとれたものになると考えております。何分にも税の方は四月に入つて来る税も相当あります。確定いたしますのは五月の終りくらいでございまして、今から予測はできませんが、大体の見通しといたしましては、今お答えしたような状況であるのであります。
  148. 田中織之進

    ○田中(織)委員 手元にあるところでは、源泉徴收と法人税との関係におきまして相当な増收が出るのではないか。これは大体源泉徴收で九十億、法人税で五十一億、総計して百四十億くらいの自然増收が見込まれるのではないかという資料を実は持つておるわけであります。大臣の申されるごとくに、事業所得申告所得の、面における自然減收の関係を詳細にいたしますれば、はたしてどの程度に出るかということは、これは年度末あるいは四月、五月の確定を待たなければわからない問題であると思いますが、われわれ必ずしも自然増收という形で――これはある意味から見れば一つの末端機構におけるかなりむりな課税、または所得の押え方というところから出て来るという意味におきまして、これは多くのわれわれ期待を持つものではありませんけれども、少くとも源泉関係で、勤労所得関係で出て参りますところのわれわれの持つておる数字である九十億、こういうような問題は、勢いわれわれは政府に対して熾烈に要求いたしておりますベース改訂の問題とも、関連をもつて来るのでありますが、これらの問題については、いずれまた別の機会にさらにお伺いをすることもあるかと思いますし、なお政府委員主税局長に対しまして、技術的な問題について若干の質疑が残つておりますが、大臣に対する質疑はこれで終ります。
  149. 川野芳滿

    川野委員長 それでは税法案に対する質疑は後日に譲ります。  この際ちよつとお諮りいたしまするが、午前中の委員会におきまして、明二日の公聴会における公述人の選定報告をいたしましたが、一般公述人として申出のあつた東京都セメント建材商業協同組合理駅長の寺山三郎君を、公述人として追加選定いたしたいと存じますが、この点御異議ありませんか。     〔「異議なしと呼ぶ者あり〕
  150. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、さよう決定いたします。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十五分散会