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平田政府委員 直接税の
負担は、なかんずく中央
地方を通じて考えなければならぬことは、御
承知の
通りであろうと思います。ただ附加価値税につきましては、その性質をいかようなものと見るかということは、これはむしろ今後の
理論上の研究にまかせた方がいいのではないかと私
ども思
つておりますが、考え方といたしましては従来の取引高税と申しますか、広い
意味の売上げ
課税の一種という性質を有するものと見で、むしろこれは原則として相手方に転嫁される可能性の多い税だと考えた方がいいか、それとも
納税者たる事業者の
負担に帰するものと考えた方がいいか等、いろいろ問題があるようでございます。しかしながら事柄の性質は純益があるかないかを問わないで、一応
一定の事業をやりまして、その事業から
一定の附加価値が生れた場合におきましては、
課税をするという性質のものでございますから、私
どもとしましては相当商売をやる際に、附加価値税が幾らかかるかということは、当然採算に入れて営業をやるということに相なるわけでありまして、どちらかと申しますと転嫁する可能性が、相当多いのではないかというふうに考えておる次第であります。従いまして今
お話のように大きな
営業者等の場合におきまして、従来純益が非常に少か
つたところは、附加価値税のために相当
負担がふえるという
関係もありますが、そういう事業の場合におきましては、一面におきましては従来の取引高税がどうであ
つたか、あるいは運輸業等の場合におきましては通行税を廃止いたしましたが、廃止いたしました結果運賃をどうするかとか、そのような問題を一体として考えて、はたして妥当であるかどうかということを御判断願
つたらどうか、かやうに考えております。それから固定資産税は、これは御質疑の
通り一種の物的財産税と申すべきものでありまして、これは年々
課税するものでございますから、もちろん大体におきましては収益力を
基準にしまして、それに対して
課税するということが言い得るかと思います。従いましてこの
税率があまり高過ぎますと実質的に財産税になりまして、年々の
課税としては不適当であるということになりますので、今提案されておりますように百分の一・七五あるいはせいぜい
最高三%ということに
なつております。その
程度になりますれば、大体年々の収益力に対する
課税として考えるものとしまして、妥当ではなかろうかというふうに考えております。従いましてこれは当然直接税として考えなければならぬと思います。ただここにおきまして地代家賃につきましても現在御
承知の
通り非常に厳重な統制をいたしております。従いまして今のままでありますと地代家賃が実勢によ
つてきまらないで、一種の統制によ
つてきま
つておる。従
つて固定財産税を増徴しますと、勢い地代家賃として、固定財産税をかえて相手方に転嫁するというような
関係にもなろうかと思いますが、その場合におきましては地代家賃は本来転嫁すべきであ
つたのでありますが、増税の機会に転嫁させたのだと、こういうべきですかどうですか。その辺まだ
理論上問題があろうと思いますが、しかしこの方は所有者の
負担に属するということになるのじやないかと思います。そのような点を考えまして、中央
地方によりまして
負担の
関係を私
どもいろいろ研究しておりますが、
営業者につきましていろいろ
計算してみますと、現在よりも
普通一般の個人
営業者の場合ですが、
改正後において重くなるということはないようでございます。一応私
ども個人の
常業所得は二十万円ぐらいの平均ですが、二十万円の場合におきましては何しろ現在の事業税が相当高いものに
なつております。従いまして全体としまして
計算いたしてみましても、
所得税の減税、事業税の廃止と附加価値税の創設、それから取引高税の廃止、こうい
つたようなものをあわせ考えますと、相当下るように見受けられるのでございます。一応
計算してや
つたところによりますと、現行で
所得税、地租、家屋税、
住民税、この五つの税で約七万八千円
程度、これが
改正案によりますと一応五万百円
程度に下がります。ただ従来取引高税が同じような事業の場合におきましては、そのほかに一万三千円ばかり納めていたのではなかろうか。今回新たに附加価値税が一万八百円
程度負担することになりました。従
つて附加価値税の一万八百円を入れましても六万九百円
程度になるというようなわけでありまして、個人の
一般の
営業者の場合において、従来の税に比べまして相当下るのではなかろうか。これに反しまして法人の場合は今
計算がございませんが、どちらかと申しますと純益の割合の附加価値が非常にふえた面が多いのであります。と申しますのは今まだ法人は投下資本に対比しますと非常に少い利益しか上げていない。従
つて利益率が新しく附加価値税になりますと、人件費、資材、金利等も入
つて来ますから相当
課税標準がふえる。その
関係で従来の事業税に比べますと、法人、ことに大企業の場合は、附加価値税が相当ふえて来る。これに反しまして今申しましたように個人の企業の場合は、
負担が従来の事業税に比べまして相当大幅に下るものだと思
つております。そういう
関係でございますので、法人の場合におきましては中には相当ふえる法人もあろうかと思います。従
つて先ほど本多国務大臣の
お話のように、
税率としましてはでき得る限り低い合理的な
税率をきめるのが妥当ではないかと、かように考えるのであります。