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1950-02-21 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十一日(火曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 内藤 友明君       岡野 清豪君    鹿野 彦吉君       佐久間 徹君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    西村 直己君       三宅 則義君    松尾トシ子君       宮腰 喜助君    河田 賢治君       竹村奈良一君  出席国務大臣        国 務 大 臣 山口喜久一郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         大蔵事務官         (証券取引委員         会事務局長)  湯地謹爾郎君         食糧庁長官   安孫子藤吉君  委員外出席者         農林事務官   金城 順隆君         経済安定事務官 白石 正雄君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君 二月二十一日  委員木村榮君辞任につき、その補欠として神山  茂夫君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月二十一日  法人税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)  所得税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五二号)  富裕税法案内閣提出第五三号)  通行税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五四号) 同月二十日  恩給等受給療養者に未復員者給與法適用請願  (山本久雄紹介)(第八六九号)  ガラ紡績業者に対する適正課税請願三宅則  義君紹介)(第八七八号)  陶磁器製タイルに対する物品税撤廃請願(塩  田賀四郎紹介)(第八八〇号)  地方公共団体公共施設として利用する普通国  有財産を国の行政財産変更請願塚田十一  郎君紹介)(第八九二号)  たばこ民営反対に関する請願外三十六件(早稻  田柳右エ門紹介)(第九二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  食糧管理特別会計歳入不定を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第一八号)  連合国軍需要に応じ連合国軍のために労務に  服する者等支拂うべき給料その他の給與の支  拂事務の処理特例に関する法律案内閣提出  第二八号)(参議院送付)  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四四号)(予)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 開会いたします。  連合国軍需要に応じ連合国軍のために労務に服する者等支拂うべき給料その他の給與支拂事務処理特例に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。河田賢治君。
  3. 河田賢治

    河田委員 実は昨日お尋ねしたのでありますが、政府当局は最近新聞に載つてありました占領軍の二千戸の住宅の問題、これについて連合軍から何らの覚書がないという昨日は御返事でありました。ところが本日の新聞を見ますと。御承知のごとくアメリカ軍用住宅建設を八月までの完成を指令している。しかもこの指令政府に対して、大蔵当局の談話によれば二月初めに受領しておる、こういうことを言われておる。ところが昨日私が尋ねましたときには、こういう問題については何ら受領しておらないという御返事であつたのですが、一体実際に受領しておられたのか、おられなかつたのか、この点をまずはつきりしてもらいたい。
  4. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 実際に受領しておりました。しかして十日ほど前の閣議において、大体これに対して見返り資金から五十三億円を支出することを、閣議において決定されたものであります。
  5. 河田賢治

    河田委員 それでは昨日山口国務大臣ではなかつたのでありますが、大蔵関係並びに特別調達庁からも説明員も来ておられたのでありますが、全然そういうものを受けておらなかつたということを言われたのですが、私たちにうそをついたのでありますか。
  6. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいま申し上げたのは閣議決定でありまして、まだその閣議決定事項下僚に通じてなかつたものと思われます。
  7. 河田賢治

    河田委員 進駐軍のいわゆる終戰処理費というものが、今年におきましても約千百億近くに上つておるのですが、少くとも占領後四箇年半を経過して、日本の平和が保たれておる、また日本民主主義国になつておる、こういうことがしばしばマツカーサー元帥からも報告されております。ところが終戰処理費などは大体においてあまり減つていないわけです。今日日本国民全体は非常に重い税金や、あるいは産業の崩壊、またいろいろ経済的の條件から生活が逼迫しているのでありますが、これに対して政府は少くとも終戰処理費を軽減するように何らかの努力をされておりますか。この点をまずお聞きしたいと思います。
  8. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 日本政府において終戰処理費の節約に対して努力するということは、われわれも大いに心がけておる次第でございまするが、終戰処理質の問題に関しましては、おのずから関與すべき一定の限界点があるのでありまして、いわゆる終戰当時の命令に基く支出でありますから、これに関しましては国をあげて論議されておる講和会議の促進というようなことの中にも、この終戰処理費等の問題も含まれておるのではないかと考えております。
  9. 河田賢治

    河田委員 もちろん終戰処理費を出さなければならぬということは、これは日本政府の一方的な義務づけでありましてやむを得ぬとしましても、これを軽減する努力というものがやはり拂わるべきことが、私は当然であると思うのであります。特にポツダム宣言によりましても、日本の民族を奴隷にするものでない、そうして日本国民が真に平和的な民主的な政府をつくつた場合には占領軍撤退する、こういうことがポツダム宣言の最も重要な項目となつております。従つて日本国民が平和的で民主的な政府をつくつた場合には、進駐軍撤退ということも一応要請することができる権利というか、そういうものが日本人にあるわけであります。従つて吉田内閣としましても、国民の大多数の信頼を得て民主的な平和的な政府であるというならば、進駐軍の全部でなくとも一部の撤退というようなことに努力し、従つて終戰処理費も減ずるような努力が拂われるべきであると思うのであります。ところが吉田内閣が民主的でなく、あるいは平和的でなく、軍事的なあるいは昔の帝国主義的な要素を持つておるとすれば、もちろんこういうことは言えないのでありますが、しかしいやしくも民主的であり、平和的であり、国民信頼を得ておるという政府であるならば、これはポツダム宣言の保障によつて進駐軍撤退が全部ではないにしても、一部が減少して行くというような要請も、政府として当然なされるべきであると私は思うのであります。ところが今度の住宅の問題にしましても、ジョン・リッチという人が東京で書いておりますが、「総司令部日本政府に対する占領軍用住宅二千戸建設指令は、講和條約後も日本基地を保有しようとするアメリカ計画を最もよく物語る一例であると見られる。」、こういうふうに書いております。従つて講和会議の後においても、軍事基地としてこれらの住宅が建てられるという意見にもなります。こうなればますますポツダム宣言の意思に反した方向に今行つているわけであります。この点に対して政府は少くとも民主的であり、平和的な吉田自党内閣という建前からしても、進駐軍の全部でなければ、少くとも一部的撤退を要請するような努力が今日まで拂われましたかどうか、これをお聞きしたい。
  10. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいまの御質問に関しては、イディオロギー的に多少われわれと見解を異にされる点があるかに思われるのでありまして、われわれがポツダム宣言を忠実に守るということは当然でありますが、何かただいままでの御質問の要旨からすると、われわれが進駐軍をじやまもの扱いにするというような気分にも拜聽されたのでありますが、私らはさようなふうには考えておりません。また二千戸の住宅問題でありますが、これの財源は見返り資金によつておるものでありまして、御承知通り進駐以来日本民家等を相当多量に徴発されて、進駐軍の用に供するために使用されておるのであります。この見返り資金から二千戸を新たに建設するということになりますれば、民間から徴発されたこれらの住宅がまた元に返されるという点、あるいはまた御承知通り非常に住宅難を叫ばれるときでもありますから、これが緩和にもなりましようし、また失業救済事業的な土木事業が起されるということも、必ずしも日本経済には惡い影響は與えない、こう考えておるのであります。しかもこの二千戸の資金計画におきましても、五十三億円のものを一旦公団資金に繰入れて、それから約十箇年以内で元利を返済するというようなことになつておるのでありまして、見返り資金を一応公団に繰入れ、その公団の経営によつて元利が十箇年以内にまた日本政府へ返される、しかも残された住宅公団の所有になる、こういう考え方のもとにおいて計画されておるようでありますから、われわれとしては一石二鳥の朗報だと考えておるような次第であります。
  11. 河田賢治

    河田委員 なるほど見返り資金の問題につきましては、いろいろな立場立場によりまして異なるものがありますが、政府側アメリカ援助資金としてこれを全面的に受入れられておりますが、この見返り資金によつて全部的でないにしても、相当向うから物資が入つて来、そうして日本との競合産業を破壊しているという部面もあり、なほかつ見返り資金現実に使用できるには、二十四年度は国税八百三十五億でございましたか、税金によつてこれが実現できるというような、日本国民生活にきわめて大きな影響を持つておる。ところがこれを一方的にすべて米国の援助資金として政府考えておりますが、これはともかくとして、こういう軍用住宅ができるとしても、そう大して日本住宅が返ることはないと思われるのです。というのは、軍用地住宅というものは大都会地のように住宅が拂底されておるようなところでは、あまり建てられないようでありまして、横須賀あるいは三沢、横田、立川、板付というようなところか新聞に載つております。こうなりますと、住宅の拂底しておる都会というよりも、むしろ他のところに多いようでありますが、二千戸の住宅を建てましたからといつて、これで日本住宅問題が緩和されるということはあまり大げさではないかと思います。この点についてはつきりとどの辺にどの程度の住宅が建てられるかという指令がおわかりでしたら伺いたいと思います。
  12. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいまお尋ねのような詳細な計画については、まだ報告を受けていないのであります。
  13. 竹村奈良一

    竹村委員 この見返り資金の五十三億をもつて公団を設置して、そこに金を貸して住宅建設する、こういう御説明であつたのでありますが、そうすると見返り資金は、閣議決定をし、向うさんの指示さえあればどこへでもかつてに使つてよい、こういう法的根拠はどこにあるのか教えていただきたい。
  14. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 その点は大蔵大臣から答弁するのが一番正確だと思いますが、私の存じておる限りにおいては、この見返り資金の中で予備金的に残されておるものの中から、五十三億を使用するというふうに決定した次第でありまして、その五十三億については、別に政府予算でやりくりしなければならないとか、あるいは国会にお諮りしなければならないという面はないように承知いたしております。
  15. 竹村奈良一

    竹村委員 そうするとこの住宅占領政策に必要な住宅として建設されるのだと思いますが、その点はどうですか。
  16. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 私は必ずしもそうは思いません。
  17. 竹村奈良一

    竹村委員 それはどういう建前建設覚書が出たのですか。
  18. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 占領政策ということよりもむしろ平和的な将来を見通しての考え方考慮されておるのではないかと思うのであります。
  19. 竹村奈良一

    竹村委員 平和的な将来を見通してと言われますけれども、現実にはやはり占領軍の必要な住宅だからこうことをされておる。もちろんこれはおつしやるように、十年先か二十年先かに日本の国に拂い下げられるということは、必要がなくなつたときのことであつて現在は必要だからそういう建設指令されておるというのではないですか。
  20. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 講和会議がまだ行われない現在の段階においては大きな意味においてはすべて占領政策に基くものと考えることは、これも一つ考え方であろうと思いますが、その中でも住宅問題のごときは、占領政策の中で軍事目的とかいうことではなくして、平和的な考慮が織り込まれておる、こういうことを御答弁した次第であります。
  21. 竹村奈良一

    竹村委員 私の聞かんとするところは、占領政策のために必要な——これはおそらく講和会議ができていないから、そのためにこの覚書が出たのだと思う。もちろん講和会議がきまつてからではそういうことはないはずだ。問題はそういうことになれば、見返り資金から使われるということはおかしい。これは終戰処理費で使われるべきものだ。見返り資金によつて公団建設して、十年、二十年後には日本政府に返すのだと言つてみたつて、これは新聞記事だからわかりませんけれども、たとえば軍事基地を前提としての住宅建設だということになれば軍事基地日本政府がそのまま承認された。しかもそれが開議で決定されたならば、その法的根拠を私はお伺いしたいと思います。
  22. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 先ほどから申し上げましたる通り竹村君の指摘されるような軍事基地というような方からの問題ではなくして、平和的な住宅難というような考慮から覚書が参つたものだとわれわれは解釈しております。
  23. 竹村奈良一

    竹村委員 そういたしますと、初めに質問しましたように、現在は講和條約前だからやはり占領政策に必要な住宅である、こう解釈できると思うのです。そうすると見返り資金で別にいわゆる住宅公団か何かをこしらえてやられることはどうもおかしいと思う。その点われわれにはわからぬのですが……
  24. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 平和的な経営なればこそ見返資金を当てにされるのであつて、その点は竹村君とわれわれとは多少感覚が違うように思うのです。
  25. 竹村奈良一

    竹村委員 ひとつお尋ねしたいのですが、それでは今まで労務者進駐軍に使われている分で、公共事業費として出しておつた分はどういう部面であり、大体何箇所くらしあるかという点をお聞かせ願いたい。
  26. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 計数のことに対しましては、後ほど官房長なりその他の下僚から詳細に御報告いたします。
  27. 北澤直吉

    北澤委員 大臣にちよつと確かめておきたいのですが、今度進駐軍用に二千戸の住宅をつくるわけですが、もしこの二千戸ができますと、現在進駐軍が接收しております家屋なりホテルなりは、日本側相当返還になるわけですか。
  28. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 その点に関しましては、私も今朝新聞を拜見しまして、金沢、長崎方面の接收されたホテル返還されるというようなことを拜見いたしました。いまだ建設されざるに、すでに大きな観光ホテル三つを返すというような計画から推理いたしますれば、進駐軍に使用されている日本人の個人の住宅等も、相当返還されるようなことになるのではないかと想像しております。
  29. 北澤直吉

    北澤委員 今度できます二千戸につきましては、これができましたならば、進駐軍賃貸しをすというような新聞発表がありますが、賃貸しをする場合に、アメリカの方からドルで家賃が入つて来る、しかもその家賃は普通のマーケットの家賃の率による、こういうふうに了解しますが、間違いありませんか。
  30. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 一戸平均月七十二ドルないし七十五ドルを支拂われるというように承知いたしております。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は幸い国務大臣がおいでになりましたから、ひとつ重要なことを御注意かたがた申し上げておきたい。その点は昨日も大要を聞いたわけでありますが、こまかいことは下僚官僚から聞きましたから了承いたしております。たとえて申しますと事務系統に七万人、技能系統に十一万三千人、宿舎用に二万六千人、船員二千人、合計二十一万二千人が進駐軍のためにわが国の方から労力を奉仕しておるかように承つております。つきましてこれに対する賃金の支拂いが、今回は各地地方銀行市中銀行を通じて拂うということに法律はきまるわけでありますが、その法律案を審議するときにおきまして、この手続については大蔵大臣が定める。これはまことにけつこうでありますが、大蔵大臣が定める前にどういうような銀行を指定するかということを、ひとつ参考に示してもらいたい。こういうことを質問いたしましたところ、下僚官僚諸君は、これから相談するのだ、いつも政令もしくは省令等によつてやるといつておりますが、私の観点からいたしますならば、法律をつくるときにはあらかじめ下僚官僚はこれに対する原案を作成しておいて、そうして閣議にもかけ、閣議の決定によつてこれを提出するという線が一番いいのじやないか。法律できまつた事柄が、往々にいたしまして下僚官僚諸君の自分の都合のいいようにやる場合が多いと思うのであります。国務大臣山口先生のごときは、特に新進気鋭大臣でありますから、下僚官僚監督嚴重にやつてもらいたいと思いますが、御意見を承りたいと思います。
  32. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 法案説明にも載つておりますように、日本銀行を除くということになつておりますから、各地特別調達庁支局を中心として最も信用のある銀行を指定するということには間違いないのであります。その点は特別調達庁におまかせくださつても、決して御趣旨にそむくような選び方はしないと私は信じております。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 確かにそういうふうに確実にやつてもらうことを私は希望するのであります。  次に、先ほど事務当局から聞いたわけでありますが、今後今の二十一万二千人よりも増加するような傾向があるかないかということを、この際ひとつ大臣から承れれば仕合せだと思います。
  34. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 現在の状況においては、減るとも増加することはあり得ないと思うのであります。何か他に新たなる事態が発生せざる限りにおいては、むしろ特別調達庁自体の機構が漸次縮小されて行く性質にあるのであります。従つて労務者のごときも、漸次逓減されて行くものと承知いたしております。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 昨日も吉田総理攝外務大臣から、近いうちには戰争状態に入るようなことはないという御構想発表があつたと思います。われわれもそのことを深く信じておりますが、しかし外交の問題につきましては、われわれが口をさしはさむべきではないと考えます。つきましては今後の状況にかんがみまして、連合国に対しましては、今以上にはふやさないという御方針であるということは今承つたのでありますが、その分布状態におきまして、将来とも地方々々において監督嚴重にいたし、もしくはあなた方の支庁、いわゆる分店各地にあると思うのでありますが、それをだんだん引上げあるいは縮小して、この整理に当るという御方針でありましようか。その点を承りたいと思います。
  36. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいま申し上げたのは、全般的の構想を申し上げたのでありまして、各地支局引上げるとか、あるいは分合するというような問題は、その後に起る問題だろうと思います。ただいまのところ各地支局引上げるとか、あるいは分合するとかいう考えはまだ持つておりません。またそこまで進んでもないように思つております。
  37. 西村直己

    西村(直)委員 連合軍接收家屋については、前国会でも多少審議するとかいうような下話が出ておつたのでありますが、接收家屋返還補償の問題であります。これらの問題につきまして、補償に対する御当局方針、それから特に私はこの時期にお伺いしておきたいことは、日本家屋等を接收された場合に、致命的な変更をやつている。これらに対しまして、特に木造家屋補償ということにつきましては、民間一般の人が非常な猜疑心というか、不安感を持つておる。これらにつきまして、御当局として何か御方針をお持ちでありましようか。大臣あるいは事務当局からお伺いしたいと思います。
  38. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 この問題は、私どもの方の所管というよりも、むしろ大蔵省の所管であると思います。かねがね私もその実態を拜見したこともありまして、生活環境の相違から、われわれが非常に美を感ずるものを、他国の人では、これを四角のみがき丸太ペンキを塗るとか、そういうことで、われわれが非常に高雅に考えておる風雅な建築が破壊されるというようなことに関しまして、各地でいろいろ故障を申し出ておられるようであります。こういう点に関しましても、これを返還される場合においては、あらゆる面を考慮して、そうして温情のある措置を講ずる必要があると、私はかように信じておるような次第であります。
  39. 宮腰喜助

    宮腰委員 昨日もちよつと質問申し上げたのですが、大臣もお留守のようでしてできなかつたのでありますが、外電の伝えるところによりますと、常時四箇師団だけは日本に常駐させたい意向があるということを、外電が伝えております。こういう場合に、終戰処理費などは増額するおそれがないかどうかという疑問でございます。たとえば終戰処理費の場合でも、一つ国道建設などにあたりましても、軍需道路という関係で、軍の負担と終戰処理費のまかないと、あるいはまた公共事業費のまかないと、両方でやつている場合もあり得るのであります。そういう場合に、もし四箇師団が常駐することになれば、道路の改修とかいろいろな経費がかさんで参りまして、終戰処理費範囲内でやるものか、あるいは公共事業費範囲内でやるものか、非常に不明な点が現れて参ると思いますが、この点について、大臣からおわかりの点だけでもけつこうでございますから、お伺いしたいと思います。
  40. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 その外電につきましては、私らも新聞によつて拜見しただけでありまして、何ら日本政府に対して、アメリカからのさしずも手紙も受取つてないのであります。従つて総理の言われる仮定の事実に対して、ここでとやかく論議すべきことではないと思いますが、ただその四箇師団常駐問題が、講和会議前に考えられておるか、あるいは講和会議後の構想であるか、これも政府として明らかにしておりません。従つてこれに関する御答弁の資料も持つてないような次第であります。
  41. 宮腰喜助

    宮腰委員 それからもう一つ、今度占領軍住宅二千戸を建てるということが新聞に出ておりますが、この場合に民間家屋返還されることがあり得ると思うのですが、私の知人の家なんかは普通の秋田材でつくた立派な建築まさの天井板に白ペンキを塗つたり、それからまさの柱に白ペンキを塗つたり、床の間が湯殿になつていたりするのですが、これは返還の場合には原状を回復してもらえるのですか。
  42. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 この問題については先ほどもお答えしたのでありまして、やはり私らが接收された家屋を見て奇異に感ずるのは、御指摘の通りで、中にはせつかく古びた、さびのついたこま犬がペンキで塗られたというような姿も見るのであります。これは生活環境の違いから生ずることでありましようが、こういうものに対する損害については、原状に復するか、あるいは原状に復するに相当する額を支給するということに進むべきが当然であると、私はかように信じます。
  43. 西村直己

    西村(直)委員 ただいま続いて大臣に承ろうと思つたのですが、これに対する具体的な法案準備でも、あるいは予算措置というものでもお考えになつておるかどうか。抽象的な方針としては私もわかるのでありますが、具体的な措置あるいは進行について承りたいと思います。
  44. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 近く国会に提出する準備を大体終えております。ただいま先方のOKをとりに参つておりまして、法案準備はできております。
  45. 宮腰喜助

    宮腰委員 これは昨日もちよつとお伺いしたのでありますが、この支拂銀行の、委託に対する銀行指定の問題でありますが、これは建設事務所のあるところの銀行だけですか。それとも全国的に適当なる場所を指定するのでありますか。
  46. 山口喜久一郎

    山口国務大臣 ただいまの御質問のうちで、支拂い事務所のある地域、あるいは不便を感じたときには他に増加することは当然であろうと思います。
  47. 川野芳滿

    川野委員長 山口国務大臣に対する質疑はございませんか。——なければ安定本部公共事業課長白石正雄君がお見えになりましたので、河田賢治君の質問を許します。河田賢治君。
  48. 河田賢治

    河田委員 ただいま上程されておる法案で、公共事業費、それから見返り資金による公共事業費とありますが、この第一には見返り資金による公共事業費は大体どういうところに使い、どのくらいの額に上るか。これとこの公共事業のすべてをこの法令のもとに市中銀行に委託する、こういうお考えになつておりますか。この点をお聞きしたい。
  49. 白石正雄

    ○白石説明員 見返り資金による公共事業費の使途の問題でありますが、これにつきましてはわくといたしまして百十億円が一応予定されておるのでありますが、具体的にこれをいかに使用するかについては目下検討中でありまして、また何ら確定するに至つておりません。
  50. 河田賢治

    河田委員 それから見返り資金公共事業費、これをこのたびの法律によつて市中銀行、つまり日銀以外の市中銀行支拂い事務の一部を委託する、こういうことになつておりますが、この労務費の全部をこの方向におやりになるつもりでありますか。
  51. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 ただいまの御質問でありますが、今公共事業課長から答弁がありましたように、内容についてはまだ確定をいたしておりません。もしこの内容が確定いたした際には、それに応じて他の公共事業と同様に扱う予定でおります。
  52. 河田賢治

    河田委員 私の聞くのは、大体この労働者に支拂う賃金を、つまり市中銀行にその事務を委託するということになりますが、これは全額をその方でおやりになるのか。それとも労務費のうち、労働者に支拂う賃金のうちの幾分かを部分的にやるのか。こういう点をお聞きしたのであります。
  53. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これはもちろん非常に手の足りない場所において巨額な金額が扱われるために、こういう規定を設けたわけでございますから、万一支拂う場合には、その給與の全額についてやる、こういう予定でございます。
  54. 河田賢治

    河田委員 大体この方面の労働者の資金は一箇月拂いが多いようでありますが、これは相当前もつてこれを銀行に預託されるわけでありますか。
  55. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)政府委員 これは現在現場の工事事務所長というものが、会計法上の資金前渡官吏というものになつておりまして、そこに各支出官の方からそれぞれあらかじめ相当額が送られてございます。そうして必要に応じまして資金前渡官吏が支出をする、資金前渡官吏はその場合に余裕がある場合にはそれをあらかじめ預託をする、こういうことになつております。きわめて長期のものではございません。従つてごく短期間手元に金がある場合においてそれを預託する、こういうことになつております。
  56. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに御質疑ございませんか。——なければ本案に対しては質疑終了とするに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようでありますから、連合国軍需要に応じ連合国軍のために労務に服する者等等に支拂うべき給料その他の給與支拂事務処理特例に関する法律案に対しては、質疑を終了といたします。     —————————————
  58. 川野芳滿

    川野委員長 次は食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。竹村奈良一君。
  59. 竹村奈良一

    竹村委員 現在の輸入食糧の、たとえばシャム米あるいはビルマ米、小麥等のその国における価格、そうして日本内地の港に揚げられた場合の、いわゆる運送費もみなまぜて港着の値段、これら各国から入る全部の価格をお知らせ願いたい。
  60. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 各国の実情もございますし、またそのときどきの状況によつてかわりもありますし、また詳細な現地の市価というものも即刻入手する方法もただいまのところございませんので、大まかなところを申し上げますと、シャム米についてはFOBでただいまのところ百四十ドル見当であります。現地の価格は、これはまたそれより相当低かろうと思まいすけれども、バーツとドルとの換算その他の関係もありますので、少しいろいろな商社あたりからの情報をとりまとめて申し上げた方が適当かと思います。朝鮮米につきましても百四十ドル見当であります。タイ米については百二十ドルぐらいにただいまなつておりますが、百二十ドルから百四十ドル見当というところが大体の米の相場であります。
  61. 竹村奈良一

    竹村委員 これは大体農林大臣に聞いた方がいいと思うのでありますが、きのうからの続きになつておるのですが、結局日本政府としては、一応きのうからの話を聞いておりますと、持越米というものは少しはふえるけれども、しかし国内で必要だから、こういうふうに言つておられるのでありますけれども、事実はほんとうに日本政府が必要とするだけを向うから輸入するというような、事実の意味におきますところの自主性があるのかどうか。これはおそらく大臣に聞くのがほんとうだと思いますけれども、ほんとうはもうこのくらいでいいと思つても、あるいはいろいろな関係で買わなくてはならぬというようなことになつておるのかどうか。この辺をひとつはつきりとお聞かせ願いたいと思います。
  62. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 輸入食糧のストックの増と申しますが、昨日も申し上げましたように、多少去年の十一月一日よりも本年の十一月一日はストックが増になるのであります。しかしその内容を分析してみますと、この前申し上げました通りに一応の推算でございまして。輸入食糧等につきましては非常に不確定な要素があるわけであります。従来の輸入食料でありますと、非常に確実なものでありましたけれども、今年の輸入食糧は不確定な要素があるということを申し上げておるのであります。そういたしますと、需給推算上のストックの増というようなものも、実はほんとうにそうなるか、ならぬかということは、半々な見方を私どもはせざるを得ないと思うのであります。それでお話のように十一月末日は非常なストック増になるんだという前提については、私ども必ずしもさように考えておりませんし、かりにあの通り計画が実現いたしたといたしましても、その量はわずかなものでありますので、いろいろな情勢を加味してのストック増という考えではなく、あくまでも需給の均衡を保持して参るという建前からこれを考えておるのでありましていろいろと予測されるようなことは私ども考えておらないのであります。
  63. 竹村奈良一

    竹村委員 今度輸入食糧が民間に移譲された場合に、それではたとえば日本国民の一応好むもの、はつきり申し上げますと、とうもろこしとか、そういうものをおやめになつて、そうして実際日本国民が必要としますところの大体米、あるいはその次には小麦というような形に、好むものを輸入される考えだろうと思いますが、そういう場合に日本政府の好むものを輸入できると思うのですが、それはどうですか。
  64. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 従来とうもろこしその他について問題を起しておりましたのですが、これはやはりあちらの救済資金によつてまかなわれております関係上、日本の実情等についていろいろ相談もいたしましたが、必ずしも所期の通りに行かない場合もあつたわけであります。今後商業資金によります輸入物につきましては、大体私どもの考え方で進めて行くことができるのじやなかろうかと思います。もつとも資金関係上、量的に見ましてある程度のものを確保せねばならぬという場合には、価格の面から米よりも小麦の方が安い場合には、小麦をとらざるを得ない。また非常に例外的ではありましようが、雑穀をとらざるを得ないという場合もあり得ると思います。これは量の確保の点から言いまして、資金関係からいたしまして、そういう措置を講ぜざるを得ない場合もあるだろうと思います。大体商業資金によるものについては、私どもそういう方向で考えております。
  65. 河田賢治

    河田委員 政府の米の支拂いの問題についてお尋ねしますが、大体全国的に一般の米の買入れ代金の支拂いは、末端までずつと渡つておりますか。
  66. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 米の代金の支拂いは、末端まで直接われわれの方で支拂いをやつております。この支拂いの遅延の問題が従来いろいろあつたのでありますが、ただいまのところ、私どもは支拂いは相当敏速に行つておると考えておるわけであります。
  67. 河田賢治

    河田委員 先月の二十五、六日ごろでありましたが、新潟県の農民組合の代表者たちが参りまして、実はまだ超過供出の代金を拂つていない。しかし超過供出の値段が決定されたのはたしか十二月ごろだと思いますが、同時に米なども全部十二月の中旬までに納入しておる。ところが一月の末になつてもまだ支拂われていない。しかも税金は一月三十一日までに支拂う。同じ政府機関でありながら、一方においてはびしびし徴收しておる。他方においてはいまだに超過供出の代金を拂つていない。こういうことで陳情に参つたのでありますが、この超過供出の金は全部支拂い済みになつておりますか、この点をお伺いしたい。
  68. 金城順隆

    ○金城説明員 おつしやるように、新潟の供出が早場地帶でありますために、ほかの地方よりも非常に早く出て来た。しかし超過供出の価格がいろいろの事情で今年遅れました関係もありまして十二月の初めごろに新潟で超過供出をやつたものは、ある若干の日数が遅れたかと思いますが、現在におきましては超過供出の代金も全部支拂い済みになつております。
  69. 河田賢治

    河田委員 一月の末にまだ拂つてないと言われたのですが、そのころまだ拂つてなかつたのですか、どうですか。もう一つ、米の代金が遅れた場合には、当然農民はその代金に対する利息をとり得るということが、昨年の国会において議員提出によつて通過したわけであります。これに対して政府は当然規定の利息を支拂うべきでありますが、その用意があるかどうか、この点をお伺いしたい。
  70. 金城順隆

    ○金城説明員 米の供出代金につきましては、私どもは金融機関を使いまして支拂いをいたしておるわけでありますが、中央におきましては金融機関に前渡しで全部渡しております。そしてこれを金融機関はおのおのの自分の末端の支店なり、出張所なりに口座を置きまして、そこで支拂いをいたしておるわけであります。昨年通過いたしました政府支拂いの法律によりますと、大体政府へ物を売つた人が請求後一箇月も経過してまだ拂わなければ、利子をつけるということになつておりますけれども、米の代金につきましては、供出をして検査員がこれに対して支拂証票を出して、その支拂証票を受取つてこれを金融機関に持つて行きますれば、すぐ支拂うようになつておりますから、非常に迅速に支拂われておるわけであります。ただ問題は、先ほどもお話のありましたように、価格が決定しないために若干遅れたものがあるかと思いますが、超過供出は大体普通の供出が行われて以後行われるものでありますので、全国的にはまず超過供出の分で遅れたというものはないと考えておりますが、ただおつしやるように新潟が供出が非常に早いというような点でそういうものが起きた。それも若干の日数遅れたという問題がありますけれども、一月末においてもまだ拂われていないというものはないわけであります。ただこういう問題があるかと思います。今申し上げますように、私どもの米の代金の支拂いは金融機関を使つておりますので、大体金融機関におきましては、主として協同組合でありますが、各生産者の預金帳に記入いたしておりますので、その記入いたしたことが生産者に通告が遅れておる。その供出の最盛期におきまして、協同組合がそういう手数をかけるのに忙しいために遅れた結果、生産者に通告が行かなかつたものがあるかとも思いますけれども、今申し上げますように、政府からの金は前渡しでずつと下まで流しておりますので、遅れたものはまずないと思います。そういうような状態で拂つておりますために、金利をつける、つまり遅れたという事態は、今までのところ発生いたしておりません。
  71. 河田賢治

    河田委員 いずれにしましても、普通の米の供出のあとに超過供出をする。しかし、新潟あたりは早場米であり、九月から十月、十一月にかけて一般の米を納め、さらに超過供出を十一月の初めにした。ところが、一月になつてもまだ支拂われていない。こういう状況でやつて来たのであるが、一月は支拂われたのならけつこうです。利息をつける、つけぬはまた法律の解釈によりまして、農民自体が要求する権利があればすると思います。  第二にお伺いしたいのは、最近いわゆるやみ米が非常に下つて来ている。これについてある地方のごときは、だんだん配給米を辞退している。配給米といつても外米であるとか麦であるとか、その他の雑穀類などの代替でありますが、こういうものを辞退して、むしろそれだけの消費者価格をもつて買えば、一升六十三円以下で買えるというような土地もできているように聞いておるのであります。また現在大都会におきましても、事実一般の——特に労働者の中のきわめてわずかの給料しかとらぬ人たちは、配給米を受ける金もないというので、辞退しているような場合もありますが、最近政府の方において、こういう配給辞退による米の量あるいはその他の食糧の配給辞退の量が、どれくらいに達しているかということがおわかりだつたら、お知らせ願いたいと思います。
  72. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 配給辞退の最近の量は、私の方で数字をただいままとめておりませんので、この際申し上げるわけに参りませんが、全国的に見ますと、この数量はわずかなものであり、局部的なものであろうと思います。計数としてあげるほどのものではないだろうと私どもは考えております。
  73. 河田賢治

    河田委員 もちろん計数にあげるほど大量なものだつたら国民は参つてしまう。しかしそういう事態が起つているということに対しては、一般の経済的な問題になりますが、政府は生産者に対しても消費者に対しても、私は責任を負うべきだと思います。單に計数がきわめてわずかであるからと言つて安閑としておるようであつたならば、政治をやつているということにはならぬと思います。  次いで中間経費の問題として、昨年来しばしば本委員会でも論議されましたが、たとえば私が徳島県に本年の一月に参りましたときには、相当山奥の二十里もあるところから、トラックで海岸の鉄道地帶まで運び出してここで製粉する。製粉したものを山をはるばるトラックが登つて、これを配給するというようなことが行われております。そういうばかばかしいところの運送をやつて、そうしてそこの消費者に非常に高いものを食わしている。これは一体どうにかならぬかという話があつたわけであります。私も初めてそういう事情を知つたのでありますが、少くとも山間とかあるいはきわめて少量を消費するようなところには、小さな製粉所とか、あるいは水車などもありますが、これを何らかの形で委託経営に出すとかいうことにして、何もかも大製粉会社に出して、彼らに利益を與えるということばかり考えずに、もつと適当な方法を考えて、中間経費を減らすという御意思はないかどうか、この点をお聞きしたい。
  74. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 先ほどの点で、数字がわずかであるから辞退を軽視しておるかのごとく承つたのでありますが、そうではありません。ただやはり統制経済の一つの段階といたしまして、そういう辞退の出て来ますのには、相当いろいろな問題を考えざるを得ない時期に来ているということを私どもは重視しておりますので、その点御了承願います。  それからただいま例としてお述べになりましたような、二十里も山奥からわずかなものを里まで持つて来て製粉をして、それをまた二十里も奥まで運んで行くようなことは適当なことではないと思います。そうした点についてはもつと合理的に、地元のものを別に使うという方法をとりたいと思います。
  75. 竹村奈良一

    竹村委員 ちよつと関連して質問いたします。たとえば麦の配給などにいたしましても、最近全国的に一応率は上げられたと思いますが、実際ああいう形でついて、つぶして配給されますと、もう一ぺんつかなければ食べられぬというようなものが、全国に七割か八割はあるのではないかと思います。従つて精麦設備のないところや大きな都会は別問題といたしましても、精麦設備のあるところ、あるいは玄麦でもらつたならば当然自分で精麦できるというような町村に対しましては、玄麦で配給した方がほんとうはいいのじやないかと思います。また国民もそれを望んでいるのではないかと思うのですが、設備のないところは別として、設備のあるところにおいて本人が希望するならば、玄麦で配給する意思があるかどうかお伺いいたします。
  76. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 玄麦の方がいいか、あるいは精製したものの方がいいかということはいろいろ議論があります。一般消費者の立場から言うと、消費しやすいような状態において配給してもらいたいというのが大体多数であろうと思いますが、農村地帶においては、お話のように多少事態が違う点もあろうかと思いますので、それはやはり地方的な問題として十分考えてみたいと思います。
  77. 宮腰喜助

    宮腰委員 先ほど長官は、食糧のストックの問題について、輸入については不確定の要素があるということを言われておりますが、戰争か何かがあつた場合には、食糧が輸入されないというような意味で、不確定な要素があるということを言われたのかどうか。食糧輸入に関しては大分農村でも不安な感を抱いておりますが、これに対するお考えを伺いたい。これが第一点。  それから第二点は、超過供出が昨年は三倍であつたのに、今年は二倍になつているところの理由です。  第三点は食糧の自給自足態勢に関する政府のお考えですが、肥料の増配によつて一割なり一割五分の食糧を増産することができるというお考えを、われわれは持つております。しかし農地改良に関しては、昨年度の予算はほとんど見るべきものがなかつたのでありますが、今年は多少とも考えておられるかどうか。これに対するお考え、以上三点をお伺いいたします。
  78. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 食糧輸入がなかなか計画通り確実に行かないだろうということは、戰争があるからという意味ではございません。結局日本が輸入のための資金が獲得できるかどうかということで、これは輸出の問題にもからむのでありますが、その点ははつきりしないということを申し上げたのであります。  それから超過供出の三倍、二倍の問題ですが、昨年は予算上は三倍組んでおりましたが、実行上は二倍になつたわけであります。その二倍になつた実行をそのまま今年踏襲をいたしておるというわけであります。三倍が二倍になりましたきはいろいろ議論もあつたのでありますが、大体やみ価格が下つているので二倍でもいいじやないかというような話がいろいろありまして結論的には二倍になつたのであります。  それから食糧の自給自足態勢についてですが、外国商品が非常に入るというので、農村方面ではいろいろ心配されておるのでありますが、これは二合七勺配給を維持するためにどうしても必要だという数量でありまして、非常に過剰なものをここでまた入れるという考えをいたしておるのではありません。今後世界の食糧生産が相当上まわつ来て、これが日本にひしひしと押し寄せて来るというような心配を農村方面においてされていると思いますが、私どもといたしましては国内の食糧生産をできるだけ上げて、自給度を高めることによつて、初めてそれに対応して行くことができるというように考えているのであります。私どもも国内の食糧の自給度の向上ということは、一つの大きな方針として進めて参りたいと思うのであります。それができますならば、それで外国からの食糧というようなものに対しても対抗し得るものであろうと思つておる次第であります。
  79. 小山長規

    ○小山委員 長官にこの際お尋ねしておきたいのでありますが、先ほど来お話の出ておりまする輸入食糧の問題、これに関連しまして片一方においては農産物の生産費が償わないという問題があるのであります。一月ほど前でありましたか、農林省系統から米価の維持に関するひとつの構想新聞紙上で見たのでありますが、米価の維持に関する御構想についてまとまつたものがありますならば、この際お伺いしたいと思います。
  80. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 新聞に出ましたものは農林省から出たものではないと思います。そういう考え方が一部にあるということでありまして、農林省といたしましてはまだその問題を正式に取上げておりません。もちろん役所の人の一人が、個人的にそういう考え方を持つておる点はあろうと思いますが、役所としてはまだ取上げておりません。私は下値維持の問題だろうと思いますが、その問題をこの際考えるにはまだ早いのではないかと思つております。食糧の問題は愼重に扱つた方がいいと私は考えておるのであります。去年は非常に作がいいからといつて、今年必ずしも作がいいというものでもございません。天候に支配されるところが多く、まれ多少の数量の多寡が、全体の価格の面に及ぼす影響も大きいのでありまして、ここ一、二年多少食糧事情が緩和して来たからといつて、ただちに米価の最低維持、自由経済を前提とした最低価格の維持というような、昔やつておりました米穀統制方式というようなものまで今考えるべきかどうか。これはよほど研究を要する問題だと思います。もちろんその研究については私ども怠らないつもりでございますけれども、そういうことを論議する段階ではないのではないかと私は考えております。
  81. 小山長規

    ○小山委員 まだ論議する段階にはないとおつしやいますが、実は肥料の補給金の廃止問題もからみ合せまして、農村は相当生産費の面に肥料の値上りが響いて来るのではないか。この点を非常に心配し、同時にただいまの最低価格の維持の新聞報導に非常な期待をかけておるのが、今の農村の実情ではないかと思うのであります。それでこの際お伺いしておきたいのは肥料の補給金の撤廃によりまして、米の生産価格に及ぼす影響というものはパリティー上一応出ておりますが、これは一体一反歩当りの標準の米の收穫高に対して、これを値段に換算いたしまして、それから肥料の値上りした場合に換算して、それがどのくらいの具体的な数字になつて来るのか。その辺を御説明願えませんでしようか。
  82. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 最低価格の問題について論議すべき適当な機会じやないと申し上げたことは、あるいは適当でないと思いますが、そういうこともいろいろ研究する必要はあろうと思います。私はただいまのところそれを考えてはおらぬということを申し上げたのであります。といいましても、現在の米価でいいのかどうかという問題は別だと思います。最低価格の維持ではなく、現在のこうした統制経済下におきまして、米価が今のような形においていいかどうか。これは私どもは相当研究を要する問題だと考えておるのであります。従いまして米価につきましても、できるだけ再生産に都合ができますような適当な米価というものをきめて行かなければならぬ。この努力は私どもは今後とも続けて行きたいと考えておるのであります。その際に肥料の価格の関係が、一反歩当りの收量に対してどれくらいのパーセントの値上り率になるかというようなお尋ねでございましたが、私はただいま資料を持つておりませんので、いずれ適当な機会に計算いたしましてお答えいたします。
  83. 小山長規

    ○小山委員 それでは肥料の補給金の撤廃によりますところの肥料の公定価格が、幾らから幾らになるということ、それから一反歩の標準收入に対しまして、どのくらいの圧迫になつて来るかという数字を御提供願いたいと思います。
  84. 宮腰喜助

    宮腰委員 ちよつと一点、先ほど長官が輸入については不確定な要素であるということの質問に対して、貿易決済による商業資金がなければ輸入がよくわからないのだ、こういうお話でしたが、もしも貿易状態が非常に惡いので、商業資金が獲得できないということになつた場合はどうなるでしよう。
  85. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 商業資金によつて入りますのはいろいろなものがあるのでありまして、そのうちある程度が食糧に振り当てられるわけであります。貿易状態が非常に惡い場合には、この資金配分について相当食糧に重点を置いて考えるということになると思うのであります。この程度のものを全部輸出されたものを代金をもつて入れるということになりますれば、これは問題はないのでありまして、その辺は食糧の需給の状態とにらみ合せまして、外貨の配分上考慮する問題ではないかと思います。
  86. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本案に対する質疑はあとまわしにいたしまして、証券取引法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。     〔「休憩々々」と呼ぶ者あり〕
  87. 川野芳滿

    川野委員長 それでは午前はこの程度にいたしまして、午後一時半から再開することにいたします。     午後零時十八分休憩      ————◇—————     午後一時五十八分開議
  88. 小山長規

    ○小山委員長代理 これより会議を開きます。  証券取引法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。小峯柳多君。
  89. 小峯柳多

    ○小峯委員 ここに提案になつております、証券取引法の一部を改正する法律に関してでありますが、最初に全国における証券業者の数、及びここに提案されておる法律を即時に実施するとすると、どのくらいの数がふるいにかかるか。その数字がおわかりでしたら伺つておきます。
  90. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 ただいま全国の証券業者の数が千百四十七社であります。ただいまの小峯さんの御質問はおそらくこの証券取引法の改正の中で、純資本額が常に五十万円以上を維持しなければならないという改正を実施されれば、どのくらいふるいにかかるかという御質問だと思いますが、これは去年の九月の資産負債の状況等で調べてみまして、約四〇%の証券業者が当時の資産負債の状況においては、純資本額五十万円を維持するということによつてふるいにかけられるということに相なろうと思います。もつともこの法律の附則で現在の既存の証券業者につきましては、この純資本額五十万円を維持するのに、二箇年後という経過規定を持つております。
  91. 小峯柳多

    ○小峯委員 実は経過規定があるから伺つたのでありまして、そのくらいの数で本法にうたつた資格に欠けるものがあるとすれば、二箇年ということがかえつていけないのじやないか。経過的な規定はわかるのであります。二箇年という期間が長過ぎはせぬか。当事者を保護する建前から言つても、また本法にうたつてある精神から行きましても、経過規定をもう少し縮めてはどうか。五十万円という資本金はおそらく法人組織のものに多かろうと思いますから、それほど困難ではないというふうに考えるのでありますが、二箇年間を特に選んだ理由がおわかりでしたら承りたいと思います。
  92. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 お答えいたします。新しく証券業を営むときには、その純資本額五十万円を維持するということは割合に楽なのであります。純資本額と申しますと資本金のうちから固定資産の部分を除いた資本額が五十万円以上ということですから、新しく証券業を営む者についてはほかの関係がありませんから容易でありまするが、従来証券業を営んでおる者については自分で証券も持ち、あるいは営業上のいろいろな経費がいるというような関係で、純資本額五十万円を維持するということは相当資産内容がよくならなければいけないということになると思います。これを二箇年間猶予を置いたということは、もし今即時これを実施いたしまして、営業取消しをするということになりますと、その証券会社に対しまして、従来売買その他でお客関係にあるものに対しまする債務の支拂いその他については、証券業を取消されたということのために、その方面に対する支拂いその他が、あるいはもう取消しされたからというので破れかぶれになつてしまう。あるいは破れかぶれになつてその支拂いを怠るということを心配して、そういう規定を設けた次第であります。
  93. 小峯柳多

    ○小峯委員 法律の規定は二年になつでおりますが、それでは行政上の指導その他で短期間にこれを終了する見込みがあるかどうか。私はどうしても二箇年は長過ぎると思うのでありますが、実際上の行政上の指導でこれを半年あるいは一年ぐらいの間で整備するお考えを持つておるか。またその可能性の見通しを承りたいと思います。
  94. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 もちろんわれわれといたしましても最大限二年という意味でありまして、できるだけ早く証券業者が資産内容を充実して、純資本額を維持するというふうに指導して行きたいと考えております。いれごろその見込みがあるかという点につきましては、これは相当株価の問題がからんで来るのでありまして、証券会社が持つております株価が買入れ値段等より相当下つておるというような場合に、純資本額も少くなるというような関係上、株価の回復ということ等にも関連しておるのでありますが、われわれといたしましてできるだけ早く資産内容を充実させたいと考えております。
  95. 小峯柳多

    ○小峯委員 証券対策は後にお伺いいたしますが、純資本五十万円という線はなるべく早く確保するように、努力していただくことを要望します。  次に証券取引委員会の権限が、この法律によつて相当拡張されるようになつておりますが、この拡張された権限をこなすのに、今の陣容でやつて行けるとお考えになつておるか。その機構に変化を考えないで行かれるか伺つておきたいと思います。
  96. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 この取引法の改正によりまして、委員会の権限として新たに付與される問題につきましては、会社の財務諸表の様式とか、あるいは用語、あるいは作成方法の問題とか、あるいは証券取引法に基いて委員会等に出して来る書類について、公認会計士等が監査をするその基準、並びに作成方法等をつくり、またそれを審査するというようなことがおもなのであります。現在の取引委員会の定員はそう多くはないのでありまして、百四十五名に現在相なつておりますが、これが今回国会に提出しております官庁職員の数を、できるだけ減縮するという建前にもかかわりませず、こういうような仕事をする関係上わずかでありますが、七名の増員を認められておるのでありまして、われわれとしてはできるだけ現在の人員を能率的に活用して対処して行きたい、こういうふうに考えております。
  97. 小峯柳多

    ○小峯委員 この法律は証券業者より証券取引者の健全化をうたつておるのでありますが、それに関連いたしまして取引の仕法、すなわちレギユラー・ウエイの実現が大きく問題になると思いますが、レギユラー・ウエイを実施する時期を伺つておきないと思います。
  98. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 御承知通り現在の証券取引所の売買仕法に関しましては、取引所再開に関連いたしまして、連合国最高司令官の監督のもとに再開を許されておるのでありまして、その仕法等の改正につきましては、総司令部の許可を得るわけであります。今御質問のいわゆるレギユラー・ウエイの開始の問題につきましては、われわれとしても現在の証券対策の一助という意味においても、できるだけすみやかにこれを実施したい、こういうふうに考えておるのでありますが、何分現在の取引所の仕法は、従来わが国の長い伝統による投機取引を中心にしたような取引仕法は根本的に改めて、いわゆる三原則に基きまして実物取引を中心にした取引を條件にして再開を許されたのでありますが、これをアメリカ式の完全なレギユラー・ウエイにするという点につきましては、幾らかこの間に信用取引あるいは価格の公正を維持するという意味の投機取引、から売り、から買いということを認める必要があるのでありますが、この認め方いかんによつては、あるいはまた昔のような投機取引になるのではないかというような心配をいたしておる向きもあるのでありまして、信用取引すなわちレギユラー・ウエイを認める場合におきましては、再び昔のような投機取引にならないような一定の規則のもとに、これを認める必要があるのでありまして、現在その規則等を作成中でありまして、われわれといたしましてはできるだけ早く三月にも実施したい、こういうふうに考えておつたのでありますが、今の状態では三月中に開始することは困難ではないかと考えております。
  99. 小峯柳多

    ○小峯委員 最近各地に設立されて、ぼつぼつ活動を始めております証券金融会社の問題でありますが、この証券金融会社の現在でき上つておりますものの数、規模及びその設立の見通し、また同時にこの証券金融会社をレギユラー・ウエイと結びつけてお考えになつておるかどうか、その点を伺つておきたいと思います。
  100. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 現在証券金融会社が取引所所在地にだんだん設立されて、すでに活動を開始しておるところもあるのであります。まず東京に日本証券金融会社というのが二億五千万円の資本金で設立しておりまして、すでに活動を開始しております。大阪では大阪証券金融株式会社、これは資本金一億円、これも正式の創立総会はすでに終つたと思います。名古屋では中部証券金融会社、これは資本金五千万円、それから京都では、これは京都証券株式会社と言いますが、資本金二千万円で設立の手続を進めております。そのほか神戸、福岡等においても現在この設立を計画いたしております。神戸は大体目鼻もついて、これはたしか資本金二千万円だと思いますが、これが近く活動を開始することに相なると思います。そうしてこの証券金融会社は、将来レギユラー・ウエイが行われる場合に、株式の受渡し決済資金その他これらの金融機関として活躍するということを、本来の目的としております。
  101. 小峯柳多

    ○小峯委員 私はこの証券金融会社の活用いかんでレギユラー・ウエイの道が一歩々々前進するように考えておりますが、特にレギユラー・ウエイの中で信用供與の問題であります。大蔵大臣もこの信用供與の問題は、割合に早く実現するかのごとき口吻を漏らしたこともあるのでありますが、先ほどのあなたの答弁で三月ではむずかしいということであります。この信用供與の問題だけは、完全なレギユラー・ウエイでないとしても、その一部分としてやる必要があると考えるのであります。この信用供與の実現の見通し、及びことに信用供與の率が問題になるがあろうと思うのでありますが、     〔小山委員長代理退席、委員長着席〕 これも伝えられるところによりますと、非常に低いという話を伺つておりますが、その辺の御見解を伺つておきたいと思います。
  102. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 信用供與の率は、御承知通り現在の証券取引法におきましては、法律として最高五五%、そうして五五%の範囲内において大蔵大臣がこれを定める建前になつておるのであります。信用供與の率をどうするかという問題につきましては、われわれの希望といたしましては、五〇%くらいの信用供與を認めてもらいたい。また認める必要があるというふうに考えておるのでありますが、これは先ほども申しました通り、信用供與をやる場合におきまするいろいろな規則を作成いたしまして、過当な投機取引に流れないような仕組みでやつた場合に、どの程度の率を認めるかということについて、関係方面との折衝につきましては、またその率そのものの問題については、まだ具体的に話しておりません。その前提とし、どういう條件で信用供與を認めるかという、いわゆる規則、條件等を現在作成中であります。
  103. 小峯柳多

    ○小峯委員 ここに提案になつておる法案の、証券業者の資本を引上げるというやり方は、信用供與の問題と関連してお考えになつておるのではなくて、これは別個にお考えになつておるのかどうか。私は信用供與の問題は、やはり業者の信用というものが相当重きをなすと思うのでありまして、この法律がそういうことに対する接近の第一歩になるというふうに考えておるのでありますが、その辺の消息をお聞かせ願いたい。
  104. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券業者の資産を充実せしめるというこの改正は、信用供與の問題とも関係はありますが、この改正の主たる目的は、現在の証券取引法では、証券業を営もうとする者は一定の適格條件、たとえばその経営者等が刑法上の罪になつたことがないというような形式的な條件でありまして、その條件さえ満たしておりますれば、これを拒否することはできないという建前になつておる。言いかえれば一定の條件さえ備えておりますれば、自由に登録して営業ができるという建前になつておるのであります。そういたしますと従来の経験等からかんがみまして、必ずしも資産のよくない証券業者が登録をいたしまして営業を営み、相当お客さんの株券あるいは金等を預かつておりながら、経営がうまく行かなくて客に迷惑をかける。そういうような場合の処置といたしましては、委員会がこれを検査いたしまして、その業者を審問して営業を取消すということしか方法はなかつたのであります。従つてその間幾らかお客さんに迷惑をかけるというようなことになつておるのでありまして、われわれといたしましては、証券業の重要性等からかんがみまして、むしろ証券業者を免許営業にさえしたいというような考えもあつたのでありますが、そこまで行くのは行き過ぎであるというような関係もありまして、新たに登録をして営業を始めようという証券業者は、少くとも純資本金が五十万円以上あるような資産内容のしつかりしたものでなければ、営業をさせないというところに主たる目的があつたのであります。
  105. 小峯柳多

    ○小峯委員 以上技術的な質問をいたしましたが、この機会に証券対策の問題を一つつておきたいと思います。と申しますのは、大蔵大臣はしばしば新聞紙上で談話を発表いたしておりますが、その談話をずつとたどつて参りますと、その中にかなり大きな変化が見られるのでありまして、私はかねがねの主張のように、証券政策というものにもつときつぱりした体系的なものを立てておきませんと、今日のような証券が非常に広く散布され、かつ国民経済上大きな重みを持つて来ているときには、そういう消極的なあり方ではいかぬということを主張して参つたのでありますが、その点に関連して少し区切つてお話を伺いたいと思います。取引の公正なる実施を監督なさつておる取引委員会の事務局長として今の市場をごらんになつて、これが今のような状態で、その目的にかなつておるとお考えになつておるかどうか。言いかえれば、今の証券市場の状態でもつて国民経済的な機能を果しておるとお考えになつておるのか。あるいは多少手でも打たなければならぬというふうにお考えになつておるのか。根本的な認識の問題を最初に伺つておきたいと思います。
  106. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 この問題につきましては、われわれといたしましても、戰後の日本経済再建の上において、産業資金の調達の面、特に長期資金の調達という面におきまして、できるだけ事業会社が自己資金でこれを調達して行くことが、会社の経営を堅実にするという意味においても必要であると考えておるのであります。また三十五年度の資金計画等におきましても、自己資金調達に期待するところの額は決して少くないのであります。そういたしますと、どうしても会社が資本を増加するという方法に出でなければならないのでありますが、現在の株価の状態におきましては、資本の増加を来すということがなかなか困難な情勢にあると思うのであります。従つて産業資金として自己資本を調達するという大きな目的を果す意味においても、現在の株価の状態を何とかしなければいけないのじやないかということを、痛感しておる次第であります。
  107. 小峯柳多

    ○小峯委員 現在の市場の状態を国民経済的な観点から放置してはいかぬ、何とかしなくてはならぬという御意見のようでありますが、しからばこの証券市場、ことに株式市価の回復をどのくらいの目標に持つて行つたらいいかということであります。これはなかなかむずかしい問題でありますが、私どもの考え方では、これはインフレ高進下の株価のように高いものにまで持つてつてはいかぬ。今お話の出ましたように、自己資本を会社が調達するに足る値段まで持つてつてむしろ安定さすべきである。インフレ高進下の株価とデイス・インフレ下の株価とはおのずから性格が違うはずでありますから、その辺のところを一応けじめをつけていただいてただ株価を高くすればいいのだというお考えでなしに、自己資金の調達に必要な安定をさせるべきだと考えるのであります。そうして株価対策の目標は、株式本来の性質からいいますと動きやすいものでありますが、これをあまり浮動させないで安定するような方策をとるのが取引委員会としての義務ではないかというように考えますが、その株価対策を立てます場合の目標について、私の申し述べました見解に対しまして、事務局長の御意見を伺つておきたいと思います。
  108. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 これは非常にむずかしい問題であろうと思いますが、ただいま小峯さんのおつしやつた通り、各会社が自己資金を調達し得るような程度で株価を安定するということが、ぜひ必要ではないかと思います。また最近会社の企業整備等がだんだん完了いたしまして、配当をする会社がだんだん出て参つたのであります。従つて将来だんだんと株式が、従来のように物的証券というよりは、利潤証券としてその利回り計算等から出る株価を維持するというような方向になることを期待し、またそういうふうに指導もして参らなければならぬというふうに考えております。
  109. 小峯柳多

    ○小峯委員 その証券対策の問題に関連しまして、株式保有機関の問題があります。すなわち戰前には安定株主が財閥その他の形によつて確保されておつたのでありますが、いわゆる証券の民主化で安定株主がなくなつております。従つて保有機関のようなものをつくる。国民経済から生れる消化力でもつて株式の消化ができるまでは、暫定的に保有機関のようなものが必要であるというふうに、私どもは考えておるのであります。大蔵大臣もそういう考えに近い考えを持つて、一時は保有機関のことも考えておつたようでありますが、新聞紙上その他で仄聞いたしますと、この問題は少し薄れておるようであります。あなたのお考えとしては、この保有機関の必要をどういうふうにお考えになつておられるか。また対策としての保有機関のその後の経過、見通しについて伺つておきたいと思います。
  110. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 現在の株価の低落の一つの大きな原因といたしましては、昨年もしくは一昨年来発行された株式が非常に多額に上りまして、株もたれというような傾向にあるのが、大きな原因であろうと考えております。従つてこのいわゆる浮動株式を一部保有いたしまして、たな上げをするということは、国民経済力から見た株式の消化力にマッチさせるという意味からいつても、また株価を安定させるという意味から申しましても、簡明率直な案であらうと考えるのであります。しかしながらこれは実際問題といたしまして、この保有会社を設立した場合に、相当大きな規模のものでなければならぬと考えるのでありますが、その資本金の問題あるいはその保有した株式による株式が将来値下り等があつた場合の損失補償の問題というような、いろいろな関連した困難な問題がありまして、これをこの際すぐ取上げてつくつて行くということには、やはり相当の時間がかかるのではないかというふうに考えておるのでありまして、大蔵大臣考えておられるのも、最後の方法としては、保有会社の問題は当然考えられなければならない問題であると、おそらくお考えになつておると思いますが、さしあたりの問題といたしまして、今新聞紙等に伝えられておるような証券会社の引受け能力を強化するという方向ついて、いろいろお考えになつておるのではないか、こういうように推察しております。
  111. 小峯柳多

    ○小峯委員 保有機関の問題は、今お答えをいただきましたが、そういう趣旨で大蔵大臣は少し引込み思案のようでありますから、直接事務当局としては大蔵大臣をつつついていただくように、私どもも大蔵大臣を激励するつもりでありますが、その点お含み置きを願いたいと思います。先ほど株もたれということが出ましたが、株式界の大洪水を押えますには、川の大洪水を始めるのと同じでありまして、それは河川改修とダムをつくることだと考えております。ダムはもちろん一時的方便にすぎません。従つて最近大蔵大臣が問題にしております引受機関の問題などは、河川改修の方に属すると思います。証券金融の問題も、現在の金融環境を考えますと、どうしても政府資金を動員しなければならぬと思いますが、政府資金と言いましてもいろいろ種類があります。預金部資金あるいは閉鎖機関の保有しておる資金、復金で回收した資金、特にいろいろな意味で目標にされますのは見返り資金であります。これはどういうように使うか、積極的に使うかどうかということは、單に証券対策でなくして、今日の金融政策を推進する上にぜひ必要な條件なのであります。この見返り資金の名前を盛んに使いながら、実は引受会社の案が出ております。新聞発表あるいは談話等に出ております大蔵大臣意見は、見返り資金と引受会社と結びつけて引受会社の増資を見返り資金で引受ける。但しこれは直接でなくして、銀行を通して間接のように承つておりますが、見返り資金と証券対策の関係について、お知りになつておることをできるだけ詳細にお答え願いたいと思います。
  112. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券対策として金融の面から申しましても、やはり相当の金がいると思うのであります。これを一般の金融すなわち預金等で集めた資金で、普通のコマーシヤル・べーシスで銀行等が融資するということにはおのずから限度がありまして、十分な資金を流すことはなかなか困難であろうと考えるのであります。従つて今仰せの通り見返り資金等で出してもらえば、相当のことができるとわれわれも考えておるのでありまして、大蔵大臣もおそらくこの資金をできるだけ活用しようということに、お骨折り中であると考えております。
  113. 小峯柳多

    ○小峯委員 大蔵大臣は一人よがりで、一人でやつておられると思いますので、おそらく詳しいことをお知りになつていないかもしれませんが、少しあなたの方から材料を出して、大蔵大臣に知恵をつけながら、この問題を解決することを要望いたしたいと存じます。  なお見返り資金の動員の問題でありますが、申し上げるまでもなく池田大蔵大臣のいわゆるデイス・インフレの線を確保しますためには、財政本来が非常にデフレ政策的な性格を持つておりますから、金融のまかないを上手にするよりほかに方法がないのであります。わが党の大臣でありますので誹謗はいたしませんが、そういう見方をしておりますので、金融にもつと積極的な手を打つべきだということを、私自身として申しておるのであります。そういう意味で金融の政策を積極的にやつていただくというその一環としても、この証券対策は非常に必要なものでありまして、その証券対策というものを本格的に推進していただきませんと、いわゆるデイス・インフレの線はなかなか確保しにくい。かような意味で直接衝に当つておられる局長の積極的な御研鑚、御活動を要望いたしまして、私の質問を終りたいと思います。
  114. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま小峯委員の御質問がありまして、大要は盡されたのでありますが、私はなお数点にわたりまして、補足的な質問をいたしたいと思います。  私の第一にお問い申したいと思つております事柄は、この法律によつて会社の事業内容並びに生産、販売その他営業状況、資産及び負債状況等をはつきりさせようということが、大事であろうということを考えておるのであります。その点について具体的なお答えを賜りたいと思う次第であります。つまりこの証券取引法の一部を改正する法律案に対しまして、第一にお尋ねいたしたいと思うのは、各会社の事業内容、沿革、生産、販売その他営業の状況、資産及び負債の状況、收支の状況につき、具体的にこれを示せということが第五條にある。これは今まではなかつたと思つておりまするが、この構想をお入れになつた気持をひとつ承りたいと思うのであります。
  115. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 お答え申します。御承知通り現在の証券取引法で会社が新設されたような場合、あるいは増資をするような場合、すなわち株式の募集等をいたします際に、その金額が五百万円以上になるものについては、証券取引委員会に届出書を出すことになつております。これは現在第五條にそのことを書いておるのでありますが、その届出書にどういうことを書くかということがあるのでありまして、現在の法律ではその第五條の第一号に「目的、商号及び資本又は出資に関する事項」第二号に「本店、支店、工場又は事業場の名称及び所在の場所」第三号に「事業」ということを書いております。ところがこの届出書の本来の目的は、会社が、広く株式を募集する際に、それの株式に応募しようという人が、会社がどういう資産内容であるとか、あるいはどういう事業をしているとかいう会社の実態、資産内容をありのままに知らせるということがこの法律の目的でありまして、当然投資家が知るべきことは、正確に間違いなくこれを書いて出さなければならないということで、現在この第三号で單に「事業」と書いておりまするが、実際問題といたしまして、会社の事業の沿革だとかあるいは生産、販売の状況だとか、ちようどこの改正法律に書いておりますような事項を、書いて出させることにいたしております。そこで今度は、單に法律で「事業」と漠然としか書いておらない関係上、発行会社の便宜その他から考えまして、法律的にもつと今までやらせておつたことを明らかにしたいということであります。
  116. 三宅則義

    三宅(則)委員 その次に第九にありまする「当該有価証券の募集、売出又は募集若しくは売出の委託の條件」こういうものはかつてもあつたのでありますが、新たに條項が入つております。次に十九の「その他証券取引委員会が公益又は投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で臨める事項」。こういうことがあるのであります。その定める事項のうちにおきまして、証券取引委員会がきわめて強固なる指導機関であると私は考えておりまするが、その販売方法、指導方法等に対しまする御構想を承りたいと思います。
  117. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 現在の法律の不備が一つあると思うのでありまして、第九号の中で「募集又募集の委託」ということになつておりますが、売出しの場合が現在の法律では拔けておるのでありますから、売出しの場合も同じように必要だという意味で、売出しを加えたのであります。  それから十九号の「その他証券取引委員会が公益または投資者保護のため必要且つ適当であると認めて証券取引委員会規則で定める事項、」これは一応三号で、総括的に現在予想されておるようなことは書いておるのでありますが、将来だんだんいろいろな問題が出て来るだろうと思います。たとえば最近のように、相当税務署の検査が嚴重であつて、ある会社に国税庁の査察の手が入つた、そういつたような場合に、しかも相当の脱税というか、更正決定等があつたという場合は、この三号では必ずしも記載しなければならない事項にはなつていないのでありますが、それが会社の事業内容に相当影響を及ぼす場合もあるだろう、そういうような場合には、現在査察を受けているとか、あるいは査察を受けた結果、こういう税金の決定があつたというようなことも書かせることが、投資者の保護になろうというようなことも予想されますので、そういうような意味で十九号の規定を設けた次第であります。
  118. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは、第三章に入りまして、第一のところにありますか、証券業者というものに対します戸籍抄本となつております。これは戸籍謄本の方がよろしいのではないか思つておりますが、この辺の構想をひとつ承りたい。同時にもう一つ、関連がありますから申し上げておきますが、この証券取引法によりましての業者の内容でありますが、これにつきまして、取締役または執行社員であつた者が、場合によりまして行き過ぎた点があつたり、あるいはその業務を取消されたる場合において、五箇年以内これを開業することができないという規定があります。この五箇年は少し長過ぎるのではないか、三箇年ぐらにしたらいいのではないかと思いますが、その辺の構想を承りたい。
  119. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 お答え申します。最初の点は、従来戸籍謄本が必要ということにしておつたのでありますが、現在戸籍謄本をとることはなかなか時間もかかりますし、金もかかるというので、この点を簡單にして、戸籍抄本あるいはまた戸籍証明書でもよろしいということにいたしたのであります。  それから、いま一つ、登録の取消しを受けた証券会社の役員であつた者は、五箇年間他の証券会社の役員もしくは証券業を営むことができないという規定を設けたのは、現在の有価証券取引法では、個人である証券会社——これは実際問題として個人の証券会社はありませんが、法律的には個人でも証券業を営むことができるわけであります。その証券会社が営業を取消された場合に、五箇年間は再び証券業を営むことができないという規定があるのであります。ところがたまたま会社の役員であつて、その会社が営業を取消されたような場合に、今度はその役員が翌日個人として営業を営む登録を申請したという場合には、今の規定では営業できることになつております。そういうような意味で、いやしくも営業を取消されたような会社の役員であつた者は、ちようど個人業者が五箇年間できないと同じような意味において、その役員であつた者が取消しを受けたときから五箇年間は、証券業者の役員となり、もしくはみずから証券業を営むことができない、こういうふうにいたしたのであります。
  120. 三宅則義

    三宅(則)委員 さらにお尋ねいたしたいと思いますが、証券業者の営業年度は、十月から翌年の九月までとするというふうに改められておるようでありますが、その根拠を承りたい。私どもはむしろ七月一日に始まつて、翌年の六月三十日までというふうにいたしたらよいかと思います。また今のように、四月一日に始まつて翌年の三月三十一日に終るというふうにしたらよいという案もあるのでありますが、その理由をお伺いいたしたい。
  121. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券業者の営業年度の問題でありますが、現在の法律では四月から九月、それから十月から三月、この二回の半期決算になつております。しかしながら証券業者の業態を見てみますると、一年のうちで非常に営業成績の上るとき、上らないときがあり、ちようど波を打つたような状態が従来は普通であります。それで、たまたま三月で決算をした場合に非常に利益が出る、九月に決算をした場合に非常に損が出るというようなことで、その証券業者の経営状態が時期によつて非常に変動があります関係上、一年を平準化させるという意味で、一年決算にいたしたのであります。それから十月から翌年の九月までの一年にしたという点につきましては、従来の証券業者の営業状況を見てみますると、大体八、九月ごろというのが、どちらかといえば営業が閑散であり、株価もそう高くない。そのときに決算することが、不当に証券業者に利益を出さしたり、あるいはそれによつて重役賞與をたくさん出すというようなことのないように、言いかえればできるだけ企業を充実させるという意味から言つても、この期がよいのではないかという考えで、十月から九月までの一年決算といたしたわけであります。
  122. 三宅則義

    三宅(則)委員 この証券業法によりまして、投資者の保護ということに重点を置いておりまするが、この証券取引委員会の委員長もしくは委員の選任等につきまして、国会において承認を得る云々と書いてございます。これに対する人間その他人物等についての構想を承りたいと思います。
  123. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券取引委員会の委員長及び委員は、現在の委員長が一人で、委員が二人おります。これは現在はいわゆる一般職の官吏ということになつておるのでありまするが、証券委員会の性質等から見まして、また委員長及び委員の任命が、現在でも内閣総理大臣の任命になつておるのでありまして、大蔵省の外局ではありますが、いろいろな規定で独立的な性格を持つておるのであります。その委員長及び委員が普通の一般職であるということは——他のたとえば公正取引委員会あるいは為替管理委員会委員長というのが、国会の承認を得て任命するいわゆる特別職ということになつております関係等から見ましても、この際委員長及び委員につきましては両議院の承認を得て、特別職とすることが適当であろうという意味で、こういう規定にしたわけであります。
  124. 三宅則義

    三宅(則)委員 しからばこの特別職の委員長もしくは委員の年限でありますが、五箇年と書いてあるのであります。衆議院議員でも任期は四年だ。私は特に証券取引委員会のみを五年にする必要はないと思う。これについてもう少し短縮したらどうかと思いますが、政府の御答弁を得たいと思います。
  125. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 委員の任期につきましては、今度の改正におきましても現行通りの任期を使つておるのであります。もつとも三人のうちで一人は三年、一人は四年、一人は五年、こういう任期を定めるということが、あとの附則にも書いてあるのであります。現在でもそういたしております。
  126. 三宅則義

    三宅(則)委員 三年、四年、五年と順繰りにまわつて行く。今湯地さんのお答えになりました事柄はこういうことでございますが、さようですか。
  127. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 委員及び委員長の所掌いたしております仕事の性質から見ましても、相当証券会社の実情等に経験を持つておることが必要でありまして、短期間にかわるということは仕事の性質上適当でない、こういうふうに考えております。それから三年、四年、五年というのは、一度に委員委員長が交代するということは、この行政をやつて行く上において支障がありますので、一人ずつ交代という考えで、そういう年限をきめております。
  128. 三宅則義

    三宅(則)委員 今度新たに証券取引法の改正によりまして重大な問題が出ましたのは、公認会計士の問題であります。これについて一言申し上げたいと思います。  公認会計士の監査証明をいたしますことに今度相なるのでありますが、これに対しまして現今は御承知通り非常に少いのでありますから、これを施行なさいますのは相当期間を経てからやられる方針でありますかどうか。それからこれを監査させます会社の数、及び資本金あるいは営業の成績等がおわかりでしたら承りたい。
  129. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券取引法に基いて委員会等に出して来る会社の財務諸表について、公認会計士の監査を受けさせるということは、現在の法律にもあるようでありますが、これをさらに具体的に詳しくこの際改正をいたしたのであります。ただ御承知通り現在の公認会計士がたしかまだ百六十人ですが、数が少いのでありまして、この委員会等に出して来る会社の財務諸表を、全部公認会計士の監査を受けたものでなければならないとすることは、現在のところ強行するわけには行かない、こういうふうに考えておるのでありまして、その点法律の中にも取引委員会規則できめるようになつております。ただいまの考えといたしましては、現在の公認会計士の数等から考えまして、さしあたりの事務局、委員会考えでありますが、一応資本金が五億円以上のものについてはこの際やつて、だんだん公認会計士が充実するに従つてそれを拡張して行こうというのであります、そして現在五億円以上の会社が大体四十九ばかりあります。
  130. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の構想でわかつたわけでありますが、法人等におきまして公認会計士が監査証明をいたして出すわけであります。かりにこの公認会計士の監査が多少間違つた点があるということを発見いたした場合におきましては、証券取引委員会におきましては再審査をして、この訂正方を命ぜられることと思いますが、その構想をひとつ承りたい。
  131. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 公認会計士の監査したものが間違いであつたというような場合には——現在の届出書において間違いのあつた場合には、訂正命令を出すことができる規定がありまして、それを、発動して訂正命令を出すというふうに考えております。もちろん委員会で公認会計士の監査を受けたものについても審査するわけであります。
  132. 三宅則義

    三宅(則)委員 私の考えといたしますならば、少くとも企業の健全、投資者の保護ということをなしますもとは、やはり第三者の公認会計士の嚴たる監査と証明が必要であろう、かように考えます。ところがたまたままだ過渡期でありますので、行過ぎがありましたりまた未熟の点があります場合には、取引委員会といたしましては相当責任をもつて監督する必要がある。かように思います。私の聞き及ぶところによりますれば、米国におきましても、公認会計士の監査したものに対して多少でも間違いがある場合においては、もう一段高い公認会計士と申しますか、取引委員会委員とか、学識経験者とか有能の士を置いても、もう一つ高級の監査をしておるそうでありますが、日本でもその辺の構想があるかどうか承ります。
  133. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 会社から出して参ります公認会計士の監査を受けた書類の監査などにつきましては、委員会といたしましても、特に今回提出してあります予算によつて国会の承認を得れば相当の経費を出しまして、専門家にお願いいたしましてその監査を十分いたしたい、こういうふうに考えております。
  134. 宮腰喜助

    宮腰委員 政府は昨年の春以来証券民主化運動ということで、盛んに株を買えという宣伝をしたのでありますが、この宣伝に乗せられまして、勤労者も婦人階層も、ほとんどの人が株を持つてしまつたのです。ところが株は有利であると宣伝したにかかわらず株は暴落してしまつた。これがために一般大衆に、株は不安なものであるという気持を抱かせてしまつたのであります。事業を再建するにはどうしても増資をしたり、新設会社をこしらえたりしなければなりませんが、増資する場合でも額面を割つたような状態では、拂込みをして増資分を引受ける株主がなくなつて参ります。こういうぐあいで債権整備の不可能な状態になつて参りまして、従つて産業界に及ぼす影響というものは重大な問題となつて参りました。ことに今日の資金難の状態では、どうしても長期資金は社債なり株券なりによつてまかなわれなければならないと思う。この株の暴落では債券整備というものは非常に困難になつて参りまして、金融の一大恐慌ともなろうという危機がはらんで参つておるのであります。昨年百億の預金部資金をてこ入れ資金に使うために市中銀行に供託して、あるいは日銀の内面指導によつて金融に出動させたのでありますが、実際はこの貸出しについては自分のおとくい先にのみこの資金を貸し出しまして、実際の株価のてこ入れにしてもそれは結局貸出しを円滑に回收する考えでありまして、実際はてこ入れ資金にはならないでしまつたのじやないかということをわれわれはいま想像する。従つて昨年の暮れにおける百億のてこ入れ資金というものは、実に無意味に終つてしまつたということであります。従つてこの株価の回復は一般の一大衆投資家によつて回復しなければならないにかかわらず、一般の投資家に非常な迷惑をかけておる。これは結局政府のデフレ的財政経済政策の失敗の結果だと思うのであります。あるいはこの問題については池田大蔵大臣にも出席していただきまして、この株価暴落に対する政府のお考えも求めたいと思うのでありますが、この株価の暴落は結局現内閣のデフレ政策の結果だと考えているのであります。この問題につきまして、今後こういうような預金部の資金なり見返り資金を株価対策のてこ入れ資金に使うかどうかという問題と、それから証券保有会社ですが、こういう保有会社を大蔵大臣はやらぬということを言つておられますが、これに対する見通しもお伺いしたいと思うのであります。  また企業再建整備法によつて、ごく最近に解除となつておる会社もたくさんありますが、これなども私は今になつてこういうことを申し上げてはおかしな次第だろうと思うのですが、一ぺんに再建整備法によつて解除しないで、徐々に解除して来れば、増資の問題も一ぺんに市場に現れるようなことはなかつたのじやないかと思うのです。こういうような問題について政府のお考えを伺いたいと思います。 それから公認会計士の問題ですが、先ほど委員より話を持ち込まれましたが、この問題について公認会計士の人数が非常に少いのでありますけれども、現計理士、これに充てるお考えがあるかどうか、こういう点について御返答願いたいと思います。
  135. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 株価対策の問題、預金部資金あるいは見返り資金等の政府資金を使用する見通しがあるかどうかという御質問に対しましては、われわれ事務当局といたしましては、できればこういう政府資金によつてつていただきたいという希望を持つておるのでありますが、これは全般の金融政策あるいは財政関係等の問題もありまして、現在おそらく大蔵大臣はせつかく御努力せられておるのではないかと考えておる次第であります。  それから保有会社をつくる見通しの問題につきましては、先ほど私小峯さんの御質問に対しまして申し上げたのでありますが、これはやはり究極の問題といたしましては、最後の手としてはこれが必要であるのではないか、こういう考えでいるのでありますが、いろいろな関係がありまして、早急にこれが実現するということはどうも困難であるのではないかと考えております。  それから企業再建整備を徐々に解除して行けば、そう一度に集まつて来るようなことはないだろうというお説に対しましては、最返大蔵省におきましても、増資というようなことが再建整備の條件になつているようでありますが、必ずしもその期限までに増資をしなければならないというような点につきましては、相当これを緩和した政策をとつておる次第でございます。
  136. 宮腰喜助

    宮腰委員 これは大蔵大臣質問したいのですが、今日おらないようです。この政府の財政政策の問題については、これが株価の対策に重大な関係があると思うのですが、ぜひひとつ大臣をお呼び願いたいと思います。
  137. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつとお待ちください。川島金次君。
  138. 川島金次

    ○川島委員 今の証券のことについて参考のためにお尋ねしたいのでありますが、この改正案の中で百九十一條の二の新聞、雑誌等に掲載する会社のいわゆる意見もしくは文書その他のことになりますけれども、これは一体こういうことが新聞もしくは雑誌上に掲載される場合に、実行がきわめて可能だと当局は思われてこれをつくつたのだろうと思いますが、実際においてこういうことは非常に困難ではないかと私どもは思う。こういうことを規定づけましても、実際に行われることが困難であるし、おそらく新聞、雑誌等が投資についての判断を提供すべき意見もしくは文書を出して、これは会社から金をもらつたんだという表示をして評論をすることは、ほとんどないだろうと思います。そういう不可能なことをこういうところに掲げて、これを励行させて、しかもそういうことに違反した場合百には当然相当の罰則はあると思うのですが、その罰則はどういうことになりますか。またただいま申し上げましたようなことが、円滑に業界において実行されるとの見通しを持つておられるかどうか、その三点を伺つておきたいと思います。
  139. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 この百九十一條の二の規定は、これは趣旨は投資者保護という意味から設けたのでありまして、この会社等から対価をもらつて新聞あるいは雑誌等にその会社の内容あるいは業績、あるいは見通し等の意見を述べたような場合に、どちらかと申しますと、会社に幾らか有利な意見を述べるおそれもあるのでありまして、もちろん会社から対価をもらつて、故意に内容のいいような記載をすれば、これは現在の法律でも罰則の規定があつのでありますが、必ずしも故意でなくても、どちらかといえば会社の有利な記事になりがちの場合があろうと思うのであります、そういうような場合にそれを信用をして投資をするという投資者については、一応そういう対価をもらつておるのであれば、対価を有償なら有償ということを記事。一部に出してもらうということが、投資者が正確に判断をする一つの材料になり投資者を保護するゆえんになるのではないかという意味合いでこの規定をつくつたのであります。もちろんその境目はどういう場合か。その対価を受けまた対価を受けるべき約束のもとに云々とあるのでありますが、その差のところは相当デリケートなむずかしい問題があろうと思います。しかしこれを法律施行後すぐ実施するということはやはり困難でありまして、これは相当この法律の趣旨を周知徹底せしめて実施するという意味で、六箇月後にこれを実施する予定にしております。また法律もそういたしております。それでもしこれに違反をやつた場合に、どういう罰則になるかという問題につきましては、これは一万円以下の罰金ということは、罰則の規定に書いてある通りであります。
  140. 川島金次

    ○川島委員 ついでにお尋ねしますが、この法律は今の言論界に、ことに経済関係を主眼とする有力な新聞もしくは経済誌、そういう世界にこういうことがひんひんとして行われておるという認識の上に立つてつくつたのかそれともそういう有力紙でなくて、それ以下のいわゆる幽霊雑誌、新聞等にこういう事柄の弊害が目に余るので、こういう法律をつくろうとしたのか、いずれであるか伺つておきたいと思います。
  141. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 この規定は、有力な新聞雑誌等にはほとんどないのではないか、こういうふうにも考えておるのであります。もつとも小さい業界雑誌あるいは新聞等で、こういうような場合もなきにしもあらずとも考えておるのでありまするが、むしろこの考えはできるだけ投資者の保護を徹底しようということによつて、こういうような場合が目に余るから云々というよりは、こういうような場合にはそういうことははつきりさして、投資者もそれを認識の上、正確に自分で判断して、投資するようにさせようという趣旨から考えたことであります。
  142. 川島金次

    ○川島委員 これは私の感じではちよつと大事なことなので、もう一つ聞いておきますが、投資者がその会社の内容等を判断する場合に、今日においては今お話の出た有力紙がやる場合、あるいは有力雑誌が行う場合と、それ以下の問題にならないような言論報道機関が行う場合とは、おのずから投資者の方でそこは明確に判断しやすいものである。従つて有力な新聞あるいは有力な雑誌等に評論が出た場合には、それに対して相当の信用力があろうと思うのです。またその有力な新聞や雑誌社においては、そういうことは当局においてはあまりないのだということになりますれば、一般の投資者があまり信用しておらないような言論機関の方面だけを取締ろうというのであろうか、しかしその取締りはなくても、あまり弊害がないのではないか。それは投資者の方で、その機関紙を通じて冷静な判断をすること、か大部分ではないか、こういうことになることと、もう一つはこういう規定を設けましても、実際の言論界におい、てあるいはその他において、こういうことが励行されるということは、多少私もかつて言論の方面におつたのだが、想像はできないのです。たとえば評論を書くときに金をもらわぬ。しかしながらあとで別な形で金をもらう。あるいは前もつてもらつたというような平素の取引関係があつて、そういう評論をするとぎには、面接的な対価の提供はなかつたということになるのです。これは実際においてどこの新聞、雑誌についても、こういう法律が出たのに金をもらつたと附記をして、その会社の評論をするなどということはおよそばかげたことであつて、おそらくこれは実行できないと思う。そうするとかえつて実際は間接的に金をもらつておりながら、しかし金はもらわないのだという擬装のもとにいろいろ新聞が書いて、投資者にむしろ判断を誤らせるという傾向になるという事柄が多くなつて来やしないか。こういうふうになつてしまつては、せつかくこの百九十一條の法文をつくつて、その精神を生かそうとしておるその精神はわかるが、実際においてはその精神と逆の現象が現われるというおそれが、多分に私の経験からいつてあるのではないか、そういうことについてどういう認識を持たれておるか。もう一ぺんお伺いいたしたいと思います。
  143. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 お答え申し上げます。先ほどの私の答弁は少し言葉が足らなかつたかと思いますが、有力新聞雑誌等にはそういうおそれがあまりないと申し上げたのでありますが、これは有力新聞雑誌等においては、そうでない新聞雑誌等に比べて、特に色めがねで会社の内容等を書くことはあまりないだろうということを申し上げたのであつてむしろこの規定の実際上の効果を発揮すべき場合といたしましては、あるいは株界、あるいは事業会社等に相当の識見を持つ相当有力な方の評論というものが、影響力が多いのでありまして、そういう方がその対価その他をもらつて書かれておる。そういう影響力の多い方がこの対価その他をもらうことによつて、多少でも色めがね的のことになることを、むしろ投資者のためにおそれるという趣旨なのであります。
  144. 川島金次

    ○川島委員 どうも納得できない。実際にこういうことは私は行われないという一つの判断の上に立つておるので、あなたの方はこういうことはつかまるだろう、行われるだろうと考えられておるが実際においては行われない。しかもこれを実際やつてみても、かえつて逆の現象が起るようなおそれがあると思います。むしろこういうものはない方がよい。それともこの法律一というものは、証券界に横行しておる一いわゆるボロ新聞と言われるようなものの整理のためにこれを設けたのだ、そういうことに私は感ずるのですが、その点はどうですか。
  145. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 その問題についてはわれわれといたしましてはそういうボロ新聞を特に整理するということを目的としてつくつたわけではありません。これはやはりこういう規定があるということによりまして、会社その他に対しまする評論が、できるだけ真実に近い正確な評論をされるということを期待しておるわけであります。
  146. 川島金次

    ○川島委員 これは私は意見が違いますが、繰返して申し上げます。どこの会社でも自己の会社の投資家にとつて、判断の資料となるものに足るようなものを書いてもらうために金を出すというばかなものは事実上おらぬのです。また一方金をもらつて書きましたといつて世間に表明するような人は、新聞人もしくは業界の雑誌等には私はおそらくおらぬと思う。普通の常識を持つている新聞雑誌、普通の常識を持つている当面の当該会社等にはおらぬと思うのです。しかも金をもらわないで書いているのだということが、ほおつておけば盛んに行われて来るのです。そうすると、ただいまの雑誌や新聞等に載つた記事も、逆に非常に有力な判断の材料にされるような形になつて来る。こういうおそれが私はあると思うが、どうでしよう。それだというと、この百九十一條のあなたがお考えなつた法の精神と、実際においては逆の現象が起つて来るということになるのです。むしろそれならば、私どもはこういう法律なんかない方がいい。そして国民の民主的な冷静な投資家の判断にまかせて行くことがよろしいのではないかこういうことになるが、繰返して聞くようですがいかがですか。
  147. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 この問題はそういうふうなお考え方も成り立つかとも存じまするが、われわれといたしましては、こういうような規定がある、またこの規定の趣旨をできるだけ周知徹底せしめて六箇月後ころから実施しよう。その間にできるだけ事業会社等の記事あるいは評論というものを、現実に事実に近い正確な評論をさせる、してもらうということに役立つのではないかとわれわれは考えている。
  148. 川島金次

    ○川島委員 その精神はわかるのですが、逆に弊害が大きくなつて来るのです。それは、ある会社がある、これをひとつ大宣伝しようというときに、この法律がなければ、下手な者が書いたならば、投資家が読んだときに、これは金をもらつたということが判断つくのだ。ところが事業会社と今度は言論人とが仮定の問題ですが、結託をして、面接の対価の提供がない擬装をもつて書いた。そうすると会社の方でもおれは金を出したんじやない、新聞の方も命をもらつたのではない、公正な最も高い見地においてこれは書かれたのだという印象を、投資家に與えるという弊害が起つて来ることになりはせぬかということを私はおそれる。私はむしろこういう法律なんかない方がよろしいのではないかと思うのですが、その点は見解が違うようですから、これは討論のときにでも申し上げたいと思いますが、お考え置きを願いたいと思います。
  149. 竹村奈良一

    竹村委員 次の委員会までにひとつお願いしておきたいことがあるのです。というのは、この法案の大体の骨子としてつくられているのは、投資家の保護のくふうをするというのが大体の目的だと思うのであります。そこでこの証券取引法によつて規定されておりますところの証券、いろいろなものの最近のもので、今日外国の人の所有している分は何パーセントに当るか。これはおそらくわからぬだろうか、外資委員会なんかでわかるだろうと思いますので、その資料をひとつ出しておいてもらいたい。  もう一つは、証券の民主化が言われて、非常に多くの人たちが証券を持つている、あるいは株券を持つていると言われておりますが、それの十株とか三十株とかの小さい所有者と大口所有者との比率をつくつて次の審議のときまでにお出し願いたい。これだけひとつお願いしておきたいと思います。
  150. 宮腰喜助

    宮腰委員 公認会計士の監査の証明をちよつと伺いたい。現在までに公認会計士で合格されている者は少人数でありましこういうようないろいろな監査証明についてはとうてい手がまわらないだろうと思うのであります。そこで公認会計士法の一部改正をお願いいたしまして、今後三箇年は監査証明ができるという法律改正を出そうと今考えているので、大体司令部もその線に沿うて承認してくれそうでありますので、この監査証明は公認会計士法の一部改正があつて三年間延期になつた場合には、現在の会社の監査証明について同様に取扱つてくれるかどうかという問題ですが、改正するなら特にこの計理士にも三年間だけ認めてほしいのだ、こういう希望をお願いしたいが、取引委員会ではどうお考えですか、ちよつとお伺いしたい。
  151. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 この公認会計士の監査の問題は、実は改正されない現在の法律にもその規定はあるのでありますが、御承知通り公認会計士の数が非常に少い。従つて委員会に出て来る書類が相当たくさんあるのでありますが、このすぐ監査を受けなければいかぬということは事実問題としてできないし、またかえつて一般の事業会社等に迷惑をかけると思うのであります。委員会規則で公認会計士の数の状況等から見て、公認会計士の監査を受けなければならない会社の数を、現在の公認会計士でやれる程度にきめて行こう、そうしてだんだんふえればだんだんふやして行こう、こういう考えであります。
  152. 宮腰喜助

    宮腰委員 そういうことにしないで、大体いつそたくさんこれをやつて行くという意味において、この計理士法の改正と同時に、この監査証明が公認会計士と同様に取扱つてくれるかどうかということの質問でありますが、その質問にお答えがないようでありますが……
  153. 湯地謹爾郎

    ○湯地政府委員 証券取引法建前といたしましては、やはり公認会計士の監査を受けるものについて言つておるわけであります。公認会計士法の改正で、現在の計理士も公認会計士と同じように取扱うというような改正でもあればまた別でありまするが、現在といたしましては公認会計士の監査を受けたものについてどうしよう、こうしようという規定をつくつたのであります。
  154. 宮腰喜助

    宮腰委員 この公認会計士法の一部改正について、大蔵省もそれから司令部も大体三箇年延長については承認してくれそうでありますが、従つて改正のあつた場合には、ぜひ公認会計士と同様に監査証明をやつてほしい希望を述べて私の質問を終りたいと思います。
  155. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに質問はございませんか。それでは本案に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
  156. 川野芳滿

    川野委員長 それでは連合国軍需要に応じ連合国軍のために労務に服する者等支拂うべき給料その他の給與支拂事務処理特例に関する法律案は、午前中に質疑終了となつておりますので、これを議題といたしまして討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。河田賢治君。
  157. 河田賢治

    河田委員 簡單に反対の意見を申し上げます。本案はきわめて簡單な、そうして比較的技術上の問題にすぎないのでありまするが、実は今日の日本の経済情勢から、また実際日本の労働者の労働状態から申しまして、たくさん失業者があり賃金の不拂いがある、こういうきわめて不安定な生活をしておるときに、この法案をもつて給料をなるべく迅速に支拂うとかいう名目になつて美しい言葉を並べられておりますが、また事実そういう方向に行くとは思いますが、しかしこの反面におきまして、この法律の適用される部面が、大体において終戰処理費とかまた公共事業費、特に公共事業費の内容については、政府の詳しい説明がなかつたのでありますが、これらはやはり終戦処理費と関連のある軍事的な道路とか、あるいはそういう終戦処理費に関連のある公共事業費に限られると思います。また見返り資金による公共事業費、こういうものに限られております。従つて今日の日本の置かれておる状態からいたしまして日本軍事基地化あるいは植民地的な方向に向うおそれがあるわけであります。こういう方向にこの金を使われる場合には、きわめて迅速にそしてきわめて丁重に拂つて行くということが、われわれには考えられるわけであります。こういう点から、表面的にはきわめてささやかな問題ではありますが、こういうものを内包して今後こういう方向にはどんどんといろいろな利便をはかつて終戰処理費あるいは公共事業費専守はいかにも賃金の遅配もない、だから労働者は安い賃金で出て来い、こういういわゆる誘い水になつておると思うのです。政府が近く国会に提出します百七十一号法律の撤廃ですが、こういう問題ともやはり関連がありまして従つて日本の労働者階級の低賃金政策をねらう一つの布石だと考える次第であります。  それから第二点は、なるほどこの銀行の手数料というものは、全体から見れば些々たるものかもしれませんが、しかし終戰以来今日まで四年半やつて来ました仕事が、これが今日になつてどうもやりにくいというのはお翻しいと思うのです。行政機関の整理ということを伴わずにそのままにしておき、他方においては銀行に事務を相当委任する、こういうことでは、結局銀行に対するこれらの資金がたとい一週間あるいは数日間でもコールとして利用する余地は相当ありますので、そういう点からも、これは金融機関への一つの利益のために奉仕するという結果が現われて来るわけであります。従つてこういう観点から、私たちはこの法案に対して遺憾ながら賛成することができないのでありますが、特に重要ことは、こういう些々たる法律なんかを政府はお考えになるよりも、もつと最大なものとして、終戰処理費が今日なお莫大な額に上つておる、こういうもののもつと徹底的な藤波に対して政府連合国に要請をされる、そういう努力を私たちはさるべきであると思う。特にポツダム宣言によりましても、日本国民が心から平和的な民主的な政府をつくつた場合には、占領軍撤退するということを彼らみずから声明しておるのでありまして、従つて平和的であり民主的な政府であることを自認される吉田内閣であれば、なおさらのことこの占領軍撤退、また終戰処理費の軽減をして、日本国民全体の生活を少しでもこの方面からゆたかにするということに努力を拂わるべきだと、私は考える次第であります。従つてこういう立場から、こういう法律が表面的にはいかにも労働者に賃金を遅滞なく拂えるということになつておりますが、この事実の裏にひそむ事態をわれわれは親しまして、本覆審反対する次第であります。
  158. 川野芳滿

    川野委員長 小山長規君。
  159. 小山長規

    ○小山委員 私は民主自由党を代表して、本法律案に賛成の意を表するものであります。  現在連合軍需要に応じておるところの労働者、あるいは公共事業その他に使われておりますところの労働者の賃金の支拂いが、手不足のために賃金が非常に遅れたり、あるいはその労働者が非常に多いために、一括支拂いの簡易手続等をやつておりますためにたまたま不正が行われるようなおそれがあるというようなこと、あるいは非常にたくさんの労働者がおりますと、中には期Hに受取りに来ないために、非常に事務が澁滯するというような現状に対しまして、市中の金融機関に支拂いを委託するということは、現在の事情から最も妥当な方法であると思いますので、この意味において、この法律案に対しては全面的に賛成の意を表するものであります。  ただ支拂いが市中銀行に委託されます場合にも、市中の金融機関もまた手不足でありますので、この取り扱いは、市中の金融機関がまた簡易に取扱われるような方法、つまりこれを一応預金に受け入れてそうして支拂いをしなければならぬというようなことでなしに、株式の配当の支拂いのように、簡易な手続をもつて行われるような方法でこの支拂いをされるよう、政令その他の手続においてそのような取扱いをしていただきたいということ。同時に、この法律の目的を達しますためには、手数料のきめ方、あるいはその資金がそのような程度に滞留するかというようなことで、金融機関の応じ方の態度がいろいろ違つて来るであろうと思いますので、その点において、適切一妥当な手数料のきめ方その他を御考慮願いたいということを、希望として申し添えておきます。
  160. 川野芳滿

    川野委員長 川島金次君。
  161. 川島金次

    ○川島委員 私は日本社会党を代表して本案に一応賛成の意を表するものであります。但しこの機会に政府に強く希望及び警告を発しておきたいことは、二十五年度は連合軍需要に応ずる労務費は別として、ことに公共事業費及び米国対日援助見返資金による公共事業費が相当大幅に広がつて来ております。従つて労務費のほかにこれらの公共事業に要する政府支拂いが、これまた本年度は前年よりは相当大幅に広がつて来るわけであります。しかるに最近政府におきましては、デイス・インフレという名によつて、故意に政府支拂いを遅延せしめるという事態がきわめて顕著であるので、それがために国会においても相当当局を鞭撻上、論議の焦点となつているのであります。中小企業の金詰まりなどがきわめて深刻になつておりますことも、政府支拂いの遅延ということが、これまた大きな要素になつているということだけは言えるのではないかと思います。従つてこの法案を実施するとともに、政府は一般公共事業に対する民間への支拂いを最も簡易に迅速に行つて、一般国内の中小企業のこの深刻な金詰まりの打開に、積極的な熱意を示すべきであるということを、私は強く希望しておくのであります。  第二には、ただいま問題になりました、この支拂いを市中銀行に委託する、市中銀行に委託しますところの法案の精神は、受取る方の便宜のためにもつぱらこういう処置をとるのであるということは、政府説明した通りであります。しかしながらそのことがはずれて、ややもすれば取扱い方の上において、たとえば手数料をある程度高額にきめたり、あるいはまた銀行におけるところの資金の便宜上のだめに、政治的な操作が行われるということになれば、この法案の精神にそむく結果になるわけであるのであります。その点に対しては十分の留意を拂いできるだけ銀行の利便のために、銀行の利益のために奉仕するという結果が絶対にないことを建前としてもつぱら受取る側の労務者の便宜に奉仕するという建前で、この法案があくまでも実施されることを強く希望いたしまして、本案に賛成をいたすものであります。
  162. 宮腰喜助

    宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に賛成するものであります。  本案は労務者支拂いの便宜のためにその事務所の近くの銀行に預託しまして、労務者支拂いを促進しようという趣旨でありますから、別にこれに対して反対する理由もありませんので賛成するのであります。しかしこれを預託するような場合には、政治的にもいろいろ複雑な問題が起り得る可能性があるので、公平に行つてもらいたい。それからまたこの事務の問題ですが、特別調達庁あたりで十分にこの資料を準備しましてなるべく繁雑な手数を預託銀行にかけないように、手数料の点も安くやらせるように準備されたいと思うのであります。また他の方面に比べまして、たとえばこの労務者に対しては、支拂い促進について便宜が與えられる。しかし一般の公共事業については、非常に政府支拂いが遅延しておるということもたくさんあるのでありますから、これと並行しまして、一般公共事業の支拂いに対しても迅速にこれを片づけていただきたい。  それからまたごく最近に国際的ないろいろな問題が起つて参りまして、いつ戦争が起るというような危険状態も非常に起きて参ります。外電の伝えるところによりますと、日本の四個師団も入りまして駐屯するということが伝えられていますが、この点に関しまして、あるいはまた場合によつて終戰処理費が増額されるのじやないかというような心配もありますので、この点を十分考慮の上で今後御研究願いたい。以上をもちまして本案に賛成するものであります。
  163. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。よつて本案を議題として採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  164. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
  165. 川野芳滿

    川野委員長 次に食糧管理特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。川島金次君。
  166. 川島金次

    ○川島委員 まずお尋ねいたしたいことは、公団は明年の三月末をもつて廃止され、それにかわる政府は諸般の研究をいまだに続けておるという程度のことでありますが、まことにその真意を私どもは疑わざるを得ない。いやしくもこの重要なる配給機構を改組しことに廃止をするという段階に、いまだに廃止後の機構について漠然たる構想のみである。本年度中に廃止することに決定をして、この重要な予算を、あるいは法案を出されている以上は、今までにわれわれが聞いて来た以上に、何らかもつと具体的な構想があつてしかるべきだと考えるのであります。もつと具体的な構想がもし政府側に用意されておるのでありましたならば、われわれにもう少しく納得の行く程度の説明を、まずお願い申し上げたいと思います。
  167. 金城順隆

    ○金城説明員 食糧配給公団は大体昭和二十六年三月に廃止するという方向で考えておるわけでありまして予算はちようど一年分掲げたわけでありますが、それでは廃止されたあとの食糧の配給機構を、どういうふうにするかというこまかい点につきましては、今までもしばしば御説明申し上げております通り、検討いたしておるわけであります。大体の方向といたしましては、まず末端機構、要するに配給所を切り離して民営に持つて行くということを一応考えておるわけであります。あとは要するに民営の配給所——小売商という形になるかと思いますが、これの集まつた卸機構をこしらえ上げましてこれを各県複数制にする。現在の食糧配給公団でありますと各県に支局というものがございまして、これが一元的に全部をとりまとめておるわけでありますがいろいろの関係からいたしましてこれを自由に要するに配給所が一県数箇所の卸機関をつくりまして、これに政府が売卸して行くというような大体の構想になると思いますが、先ほども申し上げましたように、具体的にこうするということはまだ研究中でありますけれども、大体は合申し上げたような方向で進めようとしておるのであります。
  168. 川島金次

    ○川島委員 今の説明はすでにわれわれが聞いた範囲も出ない。ところが本日の日本産業経済新聞を拝見しますと、この委員会でしばしば説明れた以上に具体化されたものが報道されておるわけであります。さだめしあなたもごらんになつたのではないかと思うし、またこれはさだめし当局の方から何らかの形で新聞発表されたものではないかと私どもは想像しておる。たとえば支所は九月、支局は十二月限り廃止をする。そしてさらに小売店への移行をするためには、来年の四月一日から六月一ぱいを通して漸次に代位制に移して行く。その他いろいろ詳しいことが出ておるのですが、この新聞紙上に発表されたことは政府構想であるのか。それとも全然根拠のないことであるか。一応お尋ねしておきたい。
  169. 金城順隆

    ○金城説明員 新聞紙に出ております。のは要するに時期の問題だと思います。大体の構想は今お話を承りましても、私たちが考えておりますのと大体同じような構想を基準にして、ただ時期をいつの時期までに完成して行くか。つまり末端の配給所の切り離しの完了するのはいつごろか。それから各府県にでき上りますところのこれらの末端の配給所が集まつてつくります。卸機構が、いつまでにでき上るかという時期の問題だと思います。それはなるべく早い時期にやることが望ましいことでありますけれども、金融問題その他の関係があります。ので、なるべく早くということだけは考えておりますが、政府としていつまでに完了するということは考えておりません。ただいろいろ新聞紙上で憶測いたしまして、九月とかいうようなお話でありますけれども、九月といいますと大体下半期にかかることと思います。そういうような大体の憶測から、下半期までには末端の機構ができ、あとから今度は県の卸機構ができ上るということを推察して書いておるのだと思いますが、政府として正式にいつまでに完成するということは発表いたしておりません。
  170. 川島金次

    ○川島委員 この報道されたところによりますと、末端配給の登録制のことですが大体二百から三百世帶を標準にして登録店にするということが報道されております。こういうことについて当局はどういうふうに考えておられるか。それから卸売店を構成する場合には、二府県に五ないし六だということをこの間の委員会説明されておるのでありますが、このことによつて配給がはたして円滑に行われる見通しを持つておるかどうか、そういうことについてももう一度御説明つておきたいと思います。
  171. 金城順隆

    ○金城説明員 末端の配給所を、どのくらいの数にするかということにつきましては、現在の配給所を一般に公開して、希望者の登録によつて配給所を、きめるということでございますので、現在の配給所をそのままの単位とするのではなしに、二箇所あるいは消費者の希望によつては三箇所にするという問題があるのであります。これを二箇所とか三箇所ということにしますと、現在の全国の配給所から見て、おのずから新聞で報道しておるような推定が出て来るのであります。それから各府県において五、六箇所の卸機構をつくりまして、これで配給がうまく行くかどうかという問題でありますけれども、現在の府県における状態は、県には支局というのが一箇所ありますが、その下に支所が五、六箇所平均的にあることになつております。大体その支所を単位として卸機構をつくつて行けば、現在の配給の機構においてそう支障なく行けるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  172. 川島金次

    ○川島委員 この事柄はまだよくきまつておらないようでありますから、この程度にとどめておきます。  そこでさらにお尋ねいたしたいことは、明年三月末限りにおいて公団が廃止されて、末端配給はいわゆる登録小売店、その上に卸というふうになつた場合に、従来の公団の費用がどのくらい節約されて来るか。その見通しはさだめしおありであろうと思うが、その点についてお伺いいたします。
  173. 金城順隆

    ○金城説明員 現在の消費価格を算定いたします場合に、政府の経費はそのままで政府が実際買い入れる代金、生産地から消費地への運搬費それから保管料というものを計算しておりますしまた公団の方においては公団に従事する職員の給料政府から受取つて公団から配給所までの運搬費、ランニング・ストックの保管料というものが計算の基礎になつて消費者価格が決定されておるわけでありますが、これは現在全国一本の公団でやつておりまする関係上全国一本の消費価格で配給いたしておるわけであります。公団を廃止いたしました場合にこれを同じく全国一本のプール価格でやるのがいいのか、あるいは段階を設けた方がいいのかというような問題も種々あると思います。そういうようなことにつきましても、結局中間経費がどういうふうになつているかということを研究しなくてはいけないだろうと思いますが、現在のように統制をいたしている段階におきましては、中間経費というのもそう大した差はなくなるのではないか。ただ配給所が民営になる関係上、消費者に対するサービスが非常によくなるということについて、私たちは非常な期待を持つておりますが、そのためにすぐ計算的に幾ら配給費の節約ができるかというようなことは、まだはつきりした数字上の研究はいたしておりません。
  174. 川島金次

    ○川島委員 そこでさらにお伺いいたしますが、ただいまのお話によると、配給公団が廃止されても、消費者の価格においては少しも節約されるところがないやに受取れるような説明であります。しかもその上に私どもが関心を呼ぶのは、ただいまの説明によりますと、現在は運賃その他がプール計算、ところが場合によれば段階制が設けられる。政府は今度の法律の中で、酒の値段なども六大都市と地方で二段制になつ法律が出ておりますが、そういうことになる方向に行くのであるか。そういうことは全然ない形で、消費者価格が今のままにすえ置かれて行くという見通しであるか。これはきわめて大事なことでありますので、繰返してこの点をお尋ねしてみたい。
  175. 金城順隆

    ○金城説明員 私が今、現在の消費者価格は全国一本でやつている。しかし末端が切り離されて民営になり各別々の経営になつた場合に、消費者価格を一本にするか、あるいはこれを幾つかにするか、こういうことを申し上げましたのは、私たちとしてはそういう方面についてもあらゆる角度から研究をいたして行くということを申し上げたのでありまして、決定的にこうした方がいいというところまで行つておるわけではありません。あらゆる角度からあらゆる條件を総合いたしまして、考え得るすべての範囲を今研究いたしておるというふうに御了解願いたいと思います。
  176. 川島金次

    ○川島委員 続いてお尋ねしますが、政府は廃止後においての消費者価格を引下げるという方向は、少しも考えておられないのですか。
  177. 金城順隆

    ○金城説明員 今申しますように、あらゆる角度から検討いたしておりますから、費用の節約できる面を見出しますれば、消費者価格を引下げるということも考えられるわけであります。
  178. 川島金次

    ○川島委員 消費者価格が引下げられるならば引下げたいという漠然たるお答えでありますが、私は公団の廃止と同時に、政府が従来使つておりました諸般の費用が不必要になるということだけは言える。従つて政府としては、この機会に消費者価格を若干でも引下げるという方向に努力すべきであると私は考えておる。そういうことについて、今の説明ではまだ漠然として、そういう熱意があるのかないのか。ただ計算の都合によつてでなければそれはわからぬ。しかもその上に場合によつては、価格の面においても二段制あるいは三段制をとるかもしれない。まことに漠としてきわめて受取りにくい説明になつているのでありますが、原則論としては消費者価格を政府は引下げる方向に進んでいるかどうかということについて、もう一ぺん御説明願いたい。
  179. 金城順隆

    ○金城説明員 私たちが今の公団の二本の配給制度をやめまして、民営の方向へ持つて行くというふうになりました場合正に、一審考慮いたしておる問題は金融の問題であります。現在の配給は政府の食管会計の金融と言いますか、特別会計の延納という制度によりまして、ずつと末端の配給所まで——会計の形式は食糧庁と公団の会計と三つになつておりますけれども、その間を流れております金そのものは一本で流れでおるわけでありますが、これが民営になつた場合に、民営は各自自分の資本の経営でやつて行くということになりますれば、銀行の融資を受けるというような問題も出て来るのではないかと思います。そういたしますと、会場利の面から行きますと、現在よりも非常に高いものにつくのではないかというようにも考えられるわけでありまして、資本の両とかあるいは今度は末端を切り離してこれが民営になりますれば、サービスという面において、人件費が省けるとかいう問題も考えられるかと思います。だからあらゆる面で総合して見なければ、消費者価格が現在と比べてどうなるかということは、はつきり申し上げにくいのであります。ただ現存よりも絶対に高くしてはいかぬということは、はつきり申し上げられると思うのでありますが、それ、ではどういう面で節約されるか、どういう面ではよけいにかかるかというような面もあるかと思いますので、ただ考え方といたしましては、今おつしやるように低い方へ持つて行くという方向へ研究いたすことにはしておりますけれども、今はつきりしたことを申し上げかねるのであります。
  180. 川島金次

    ○川島委員 それではその事柄につきましては、その程度でとどめておきますが、この公団の職員は、全体的に申しまして約八万の職員がおる。地域によつては違いましようが、従来米穀の小売業者あるいは卸売業者であつたものか、この八方の中に若干おると思う。そういう経験者であり、しかも廃止後においてはそれが即座にまた小売登録店となり、また卸売業者となるような見通しを持つ人員というものは、この八方の中にどのくらいおられるか。その点の見通しがございましたら説明を願いたい。
  181. 金城順隆

    ○金城説明員 公団を解散いたしまして、民営の小売商にいたします場合に、公団の職員であるいはそういう小売商になる者もあるかと思いますが、しかしこれは全体といたしまして同じように考えておるわけでありまして、つまり公団の職員であるから特に小売店を許すとかいうことを考えておるわけではなしに、これは一に消費者の登録によつてきめて行きたいと考えておりますので、今公団の職員の中にそういうのを希望しておる者もたくさんありましようし、もともと公団をつくります際にこれを使いました末端の職員は、ほとんどが従来のお米屋さんであつたと思いますので、大部分の者がそういうのを希望しておると考えられますが、それではどれだけの者が将来小売商としてやつて行こうと考えておるかということは、数字として調べておりません。
  182. 川島金次

    ○川島委員 そうするとこういうことになりますか。職員の中で希望する者が出るであろうし職員以外の者でもそういう登録に立候補と言いますか出る者もあるでしよう。それはわかる。そこでそういうことになりまして、これは見通しですが、この八方に及ぶ職員が公団の廃止とともに完全なる失業者になるというおそれが相当あるのじやないかと思う。その点についての見通しはどの程度になつておるか。研究がないと言えばそれまででございますが、若干の見通しくらいはあるのじやないかと思いますので、御説明を願いたい。
  183. 金城順隆

    ○金城説明員 現在支局におきまして純粋な役所式の事務をとつておる者は別といたしまして、現業に仕事しております大部分の者は、これは昔が大体米屋さんでありましたので、大部分がその元へ帰るのではないかと思います。八万のうちのほとんどというものは、失業者として出て来る者はないのではないかというふうに考えております。
  184. 川島金次

    ○川島委員 私はこの職員がもし小売業者に適するものであるとすれば、できるだけ失業者を出さぬという面から考えましても、その方にできるだけ吸収するという積極的な方向をも政府は今から考慮しておくべき性質のものであろうと思いますので、それをお尋ねいたしたいのであります。  それからただいまの御説明によりますれば、公団廃止後において消費者価格を上げることはない、下げる方向に努力するという言明とあわせて、小売店ができれば、消費者にとつて非常にサービスが向上されてよくなるであろう、こういうお話であります。そこでお尋ねいたすのですが、今の消費者価格は一キロ單位幾らでありましたか、お答えのときに御説明願いたいのですが、末端の消費者価格というものは、消費者の家庭に届くところの価格であろうと私は信じておるのであります。しかるにこれはもはや両三年以来その価格であるとすれば、配給機構は当然に消費者の家庭の中に持ち込むべき責任と義務があるにかかわらず、今もつてそれが励行されておらないという形で、家庭の主婦がこの問題について多くの浪費と悩みを続けておるということは、政府当局もすでに御承知のことと思うのであります。その事柄を基本といたしまして、この公団の廃止がもはや一年以内に行われるごとになりましたので、これを機会としてできれば全国の配給所から家庭へ持込み配給が励行される可能性があるか、そういうことをしようとする考え政府にあるかどうか、その点についてまずお尋ねをしておきたい。
  185. 金城順隆

    ○金城説明員 現行の消費者価格は精米で十キロ四百四十五円、一キロ四十四円五十戦というふうになつております。  それからこの価格の立て方は、店頭または持込み価格というふうな立て方になつております。
  186. 川島金次

    ○川島委員 今のお話だけでは答えになりませんが、持込み価格になつておるとすれば、配給所は当然に家庭に持ち込まなければならぬ責任があるのですが、それがほとんど励行されておらない。それをこの横合に励行される御意思が政府にあるかどうか。この点をお尋しておるのであります。
  187. 金城順隆

    ○金城説明員 今申し上げましたのは、店頭または持込み価格というふうに現在の価格はなつておりますので、先ほど申し上げましたように、民営になれば各小売業者は競争して、要するに登録の関係もありますので、その点で持込みというようなサービスが非常によくなるであろうと、私たちは考えておるということを申し上げたわけであります。
  188. 川島金次

    ○川島委員 どうも答えが満足に受取れないのですが、これはもうすでに両三年来の問題であります。家庭においては持込み配給というものを熱願しておる。しかしそれが実施されておらない。そうしていよいよ民営に移行するという一つの前提がここに現われて来た。これを機会として政府は強力な指令を出して、家庭への持込み配給を奨励もしくは励行させるという方針を持たないか。その御意思について承つておきたいというのでお尋ねをしておるわけであります。
  189. 金城順隆

    ○金城説明員 消費者価格の立て方については、一昨年までのものは店頭渡しが幾ら、家庭持込みが幾らというふうになつていたわけでありまして、店頭渡し、家庭持込みの価格には若干のマージンというか差があつたのでありますが、現在の立て方は店頭渡し、または持込み渡しというふうな形をとつておりますので、実際問題としては持込みを希望いたしておるわけでありますが、配給する食糧の樺類が多いというような関係から、事務が非常に煩雑になるというので、配給所の職員の手が足りないという面もありまして、十分持込むというところまで行つていないわけでありますが、私どもの方としてはなるべく消費者の便宜になるように持つて行きたいと考えております。
  190. 川島金次

    ○川島委員 この公団はもう一年で廃止されるのでありますが、消費者の便宜のためをもつぱらお考えくだすつて、持込み配給のできるような方向に、最後の馬力を政府はかけるべきだと私は思う。  そこでさらにお尋ねいたしますが、これまた国会などでもしばしば問題になつておるのであります。ことに昨年以来一般大衆の賃金の遅配、欠配あるいは金詰まり等々が災いして、配給食糧が一時に現金で引取れぬという現象が全国的に今や拡大をされておる。私の承知しておる範囲だけでも、現金をもつて、主食の配給品を一時に受取れなかつたという家庭が相当あります。なおもさらに中には配給品を受取るために、たとえば千円を要するときに五百円はうちで出し、足りない五百円を附近の者から一時借りて、千円の配給を受取る。受取つて来たとたんに、その半分は質蔵へ飛んで行つて金を借り、米をもつて質草として金にかえて隣へ返すというような、まことに笑えない深刻な現象すらも、昨今では随所に見られておる事実であります。ことに本甲は政府の金融政策あるいは一般産業の不振から、こういう一般大衆の食糧の一時的な現金による受取りということがきわめて困難を加えるということが強くなるのではないかという現実の問題であります。その問題につきまして、政府は掛売りの事柄についていろいろ言を構えて、私どもに今日まで説明をして来てくれたのでありますが、いまだにその言明か実行されずに、一般大衆はますます主食の配給を受けることに困難を感じておるという姿であります。これに対して政府は掛売りというものを認める方向へ行くのか。それとも今の現状を捨てて行くよりやむを得ないのだという考え方に立つておるのか。その点について政府考え方を聞かしてほしいと思う。
  191. 金城順隆

    ○金城説明員 主食の掛売りの問題に関しましては、私どももいろいろ陳情を受けておるわけであります。しかし二面食糧管理特別会計の堅実をはかるという面から行きますと、この掛売りというものがどこまで広がるかという問題もありまして、非常にむずかしい問題であるわけでありますが、現在それに対する方法としてとつておることは、要するに配給所が手間をめんどうがらずに小刻みの配給をする。十円の、配給量があつた場合に、その家庭の事情によつて、それを五分の一にするとか、三分の一にするとか徐々に配給して行つて、各家庭の金の問題を解決する。それからもう一つは国から要保護者としての補助を受けてい石家庭につきましては、その支給いたします区役所と話合いで実質的には掛売りの形式をとつて、あとで区役所の方からその部分を拂い込んでもらうという形で解決いたしたいと思つておるわけです。また現に今申し上げた分は実行いたしておるわけでありますが、ただ前面的にたとえば会社の給料給料の遅拂いというようなことによつて会社の保証によつて掛売りとするというような問題につきましても、いろいろ陳情があつたわけでありますけれども、特別会計の金繰りの問題というような問題もあわせまして、これが全国的にもし広がつて行くといたしますと、厖大な金額になるのではないかと思います。まして国の経費でやるというような面から見まして、範囲が非常に広いのと、この取立てが民間の場合と違つて非常にやりにくいというようなことも、私たちは一応考えるわけでありまして、今のところは一般的に掛売りを広げるということは考えておらない次第でございます。
  192. 川島金次

    ○川島委員 今政府は要保護者に対しては暫定的な処置をしておるということであります。私もそれは存じておりますが、最近においては要保護者がその配給吉の受取りに困難を感じている以上に、一般の都市の消費者層に非常に多くなつているという現実なのです。これをほうつておくということは、政府の責任において断じてあつてはならないと思う。特別会計の問題、あるいはそれを離れれば、一般の金融の問題でありますので、この問題をあなたにお尋ねをして議論をするということは、きわめてむりな点があろうと思いますから、それ以上のことについてはさらにいずれかの機会においてしかるべき当覇者と、その問題についてもう少し議論をいたしたいと思うのであります。  そこで次にお尋ねをいたしたいのは、この予算を見ますると、容器の回收手数料というところの説明の中に、一億三千四百六十七万七十二百袋という厖な袋数の回收手数料になつております。これは常識的にはちよつと理解しかれるものでありますので、なぜこのような厖大な数量に達しておるのか、簡單に納得できないのでありまして、詰まらぬような事柄でありますが、理解をする上に必要なことでありますので、説明していただきたいと思います。
  193. 金城順隆

    ○金城説明員 今おつしやいます容器の回收手数料というのは、公団の予算の関係かと思いますが、容器を配給所であけまして、ばらばらになつておる分を梱包して、これをある一定の場所まで輸送する経費に対する手数料でありまして、この積算の基礎については、今手元に資料がありませんので、あとで印刷物にしたものを差上げたいと思つております。
  194. 川島金次

    ○川島委員 それからこれもちよつと伺いたいのですが、配給の奨励費というものが計上されております。この配給奨励費というのはどういうものを対象として支出されておりますか。おわかりでしたら説明を願いたい。
  195. 金城順隆

    ○金城説明員 これは公団におきまして、公団の末端の職員が配給をいたします場合に、時間後おそくまで配給をやる、あるいはいもとかいうようなものの場合百におきましても、非常に手数のかかるものでありまして、そのままはうつておきますと、一定の日限までに配給が終らないので、職員が夜業でもずつとやつて配給いたすわけでありますが、これに対して政府の超過勤務手当を出すということになりますと、非常な金額にもなりますし、また普通の事務の超過勤務とも性質が違うというようなところから、奨励費ということで、そういうものに対する手当を支給するということから計上いたされております。
  196. 川島金次

    ○川島委員 なおお尋ねいたしますが、先般来の説明によりますと、政府では生かんしよの買上げは廃止をしないので、本年度は四億とか六億とかその私点記憶がないのですか、買い上げる予定であるというお話でありました。その買上げの財源に関して、私どもの受領いたしました参考書の中には、その予算が計上されておらないが、どの方面の予算をもつてかんしよの買上げをやるつもりでありますか。
  197. 金城順隆

    ○金城説明員 あるいはお手元に配付されておるかどうか知りませんが、予算の説明書の備考のところで一応買上げができるようなことを書いているわけであります。実際の経費といたしましては、内地食糧の買上げの計算の基礎といたしまして、超過供出が約三百万石、これは二十四年産が四月になつてから出て来る分の供出予定数が五十万石、それから二十五年の超過供出が二百五十万石も計上いたしてあるわけであります。なお差額につきましても、千二百万石近いものを計上いたしておるわけでありますが、これを実績から考えてみましても、かなり数量的には大きく見ているというふうに私は考えております。それでいも類を大体四億万貫、生かんしよで二億七千万貫、ばれいしよで一億三千万貫を買うように予定いたしておるわけでありますが、これには大体八十横川から九十億程度の買入れ代金がいるのではないかと思つております。そういたしますと、今申し上げました内地食糧の米麦の買上げ代金の実績から考えてみまして、ある程度余分に見込まれておるのではないかというふうに考えられるのが、百億程度はあるように計算上出て参りますので、その範囲内で処理して行きたいというふうに考えております。
  198. 川島金次

    ○川島委員 本日は食糧庁長官も見えませんし、最も私どもが関心を持つております公団廃止後の構想、またそれに伴ういろいろ私どもが国民として知つておかなければならぬ必要な事項が相当あるわけでありますが、その点について別な当事者に対してお尋ねを史らに続けたいことと、さらにかんしよの統制廃止の問題と、それに伴う農村の経済並びに農村の営農問題等もきわめて重大でありますので、そうした事柄についても別な機会に私はお尋ねを申し上げたいということを保留して、一応きようの質問はこれで打切つておくものであります。
  199. 川野芳滿

    川野委員長 委員長としても、ただいま川島君の御希望になりましたような機会を與えたいと存じます。  それではほかに御質疑はございまけんか。なければ本案に対する質疑をこれで終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  200. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようですから、本案に対する質疑は終了といたします。  それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後四時三十七分散会