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1950-02-16 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十六日(木曜日)     午前十時五十八分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 北澤 直吉君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 橋本 金一君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 内藤 友明君       岡野 清豪君    鹿野 彦吉君       佐久間 徹君    高間 松吉君       田中 啓一君    苫米地英俊君       中野 武雄君    西村 直己君       三宅 則義君    田中織之進君       宮腰 喜助君    木村  榮君       竹村奈良一君    奧村又十郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵事務官         (主計局次長) 石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      佐藤 一郎君         農林事務官         (農地局長)  山添 利作君         食糧庁長官   安孫子藤吉君         通商産業事務官         (通商化学局         長)      長村 貞一君  委員外出席者         大蔵事務官   大濱 用正君         大蔵事務官   宮崎  仁君         農林事務官   金城 順隆君         食糧配給公団総         裁       梶原 茂嘉君         食糧配給公団経         理部長     後藤 駒吉君         食糧配給公団経         理第一部長   河野 俊郎君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君 二月十六日  委員神山茂夫君辞任につき、その補欠として木  村榮君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 二月十六日  証券取引法の一部を改正する法律案内閣提出  第四四号)(予) 同日  綿、スフ織物復元業者に対する復金融資に関す  る請願小西寅松君外二名紹介)(第七五九  号)  税制改革に関する請願宮幡靖紹介)(第七  六五号)  戰争関係都債全額政府引受に関する請願(並  木芳雄紹介)(第七九五号) の審査を本委員会に付託された。 同月十五日  税制改革に関する陳情書  (  第二九三号)  株式譲渡名義書換期間の制限に関する陳情書  (第三二四号)  戦争関係起債政府引受に関する陳情書  (第三三六号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  農業共済保険特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  案(内閣提出第一七号)  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第一八号)  失業保険特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一九号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第二〇号)  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二五号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第二六号)  公団等予算及び決算暫定措置に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第三一号)  アルコール専売事業特別会計から一般会計への  納付の特例に関する法律案内閣提出第三二  号)  物資の割当に関する手数料等の徴収に関する法  律を廃止する法律案内閣提出第三五号)  一般会計国立病院特別会計との間  における国有財産の所属替又は所管換無償整  理に関する法律案内閣提出第三六号)     ―――――――――――――
  2. 川野芳滿

    川野委員長 会議開きます。  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として質疑を続行いたします。竹村奈良一君。
  3. 竹村奈良一

    竹村委員 現在の米の配給値段生産者買上げ値段との開きは、一石に対して大体二千円ばかりあるのでありますけれども、この開きのあるところのいわゆる中間の経費、これを大体パーセンテージに見て、たとえば一石二千円なら二千円のうちに人件費が何パーセントに当る。あるいは何費が何パーセントに当るという統計を詳しく知りたい。わかつておる範囲でお答え願いたいと思います。
  4. 金城順隆

    金城説明員 今竹村委員の御質問の各費目の率のパーセントは出してありませんが、たしか今お配りしておると思いますが、米の価格を算定いたしますときには、御承知のように生産者価格昭和九年から十一年までの正米市場平均価格をとりまして、それが二十七円十六銭となつておりますので、それからいわゆる農家の生産に必要な各資材の値上りを見まして、これをパリテイーで計算いたしておるわけであります。昭和二十四年産米農業パリテイーが一五六・四三、それからそれを昭和九年から十一年までの平均価格二十七円十六銭にかけました価格が、昭和二十四年産米価格となつております。それで一月一日から消費者価格をそれに伴いまして上げましたのですが、それでは昭和二十五年の一月一日からの消費者価格を、どういうふうに算定いたしたかと申し上げますと、昭和二十五年の一月一日から昭和二十六年三月三十一日まで、要するに十五箇月間は消費者価格を上げない。ずつとずえ置くというような構想のもとに、昭和二十五年度におきまする食糧管理特別会計のすべての経費、及び食糧配給公団の方の配給に関する経費全体を合せたるもので計算いたしておるわけであります。つまり配給をいたします主要食糧のための政府及び公団の支出した総経費を、今度配給いたします総数量で割つて、これを消費者価格といたしております。これを一応読んでみますと、食糧管理特別会計昭和二十五年度に買います米の代金といいますのは、昭和二十四年産米昭和二十五年四月に買うものもあります。それから二十五年の麦類がありますし、昭和二十五年の米がある。輸入食糧がある。これをみんな見ますと、その買入れ代金というのが全体で三千六十億になるわけであります。もちろんこの中には、予想いたしております昭和二十五年産早場奨励金というのが、大体六十億と見込んでおるわけであります。これは昭和二十四年産米に実際に支出いたしましたものが、総数量で約一千万石という——ちよつと弱でありますが、それに対して五十二億拂つております。これを見合いまして、大体二十五年産米に六十億程度見ておるわけであります。それから二十四年産米パリテイーを計算いたしましたときに、一五六・四三でありますけれども、これが大体一年間のパリテイーを見ますと、つまり農業パリテイー——昭和二十四年の産米価格といいますものは、七月から次の米をつくるまでの間の農業パリテイーで計算いたすべきでありますが、昭和二十四年産米価格をきめますのが、大体普通原則的には十月の初めにきめることになつておりますけれども、二十四年は大分遅れましたが、そうすると次の七月までの分のパリテイーというものがわからないので、推定でやつております。しかし二十五年になりますとそれがはつきりいたしますので、その間の値上りを見込みまして、これはあとで追拂いすることになつております。いわゆるバツク・ペイでありますが、そのバツク・ペイを大体四十億程度と見込んでおるわけであります。こういうのが入りまして、要するに米の買上げのために拂われるものが、三千六十三億というふうに見ております。これはお手元に資料を差上げておるわけでありますが、そのほかに諸掛といたしましては、輸入諸掛として十五億、これは食糧庁貿易会計から輸入港のシフで買いますので、その輸入チヤージであります。  それから次に特別指定倉庫加算額というものが十二億ほどあげてあります。これは政府が米を買いますところは、大体倉庫渡し政府は買うことになつておりますが、倉庫農村地帶にある場合と、それから駅の近くにある場合とは、生産者が持ち込むための経費が非常に違つて来る。従つてこれを生産者の一番便利な農村で買うということになりますと、倉庫が一ぱいでせつかく供出いたしたくも、供出できないというような状態も考えられるわけでありますので、生産者供出に便利のいいようなところに、また消費地輸送が便利のいいような、あるいは生産者供出には不便であるけれども、政府消費地輸送するには便利な駅近くの倉庫に持つて来ていただくための加算額として、拂つている額であります。  それから次に保管料として五十一億九千四百万円ほどあげておりますが、これは大部分政府農業倉庫に支拂います保管料でありまして、これは昨日も食糧庁長官から説明いたしましたように、大体農業倉庫の分を七期、つまり三箇月半——これは過去の実績から見まして大体三箇月半保管されているというところから、その分を計算しております。それから消費地に参ります分がそのうち幾分かありますが、消費地を大体四期ほど、二箇月ほど保管を見ておりますが、それの合計が五十億というふうになつております。  それから運送費が百四十九億あげてありますが、これは買い上げました食糧のうち、消費地に運搬いたしますものの運搬費を、過去の運搬費実績に今度の鉄道運賃値上りなどを見込みまして、百四十億というものを政府経費としてあげているわけであります。  それから加工賃を四十億あげておりますが、これは米は大体産地で委託加工いたします。つまりぬかを産地へ落してやるというような意味で、約五百万俵ほどのものを産地で委託加工することにしておりますが、その分と、それから大部分輸入食糧、それから内地産麦製粉精麦加工賃をあげております。これも今までやつている分から今後相当節約できるだろうというので、単価としては去年の実績よりも相当程度切り込んだものであげておりますが、輸入食糧増加等で加工いたします麦類がふえましたので、予算経費としては去年よりも幾分ふえております。それから人件費事務費として四十七億あげておりますが、これは食糧庁の全職員俸給給料とそれから事務費であります。これも去年から比べますと、約一割程度少くなつております。  それから金利として六十一億あげておりますが、この金利というのは、食糧庁主要食糧を買いますときには、食糧証券を発行いたしまして、その食糧証券で発行いたした金で生産者食糧代金を拂つておりますので、その食糧証券金利であります。  それから次に輸入食糧容器損料として、わずかでありますが、三億六千四百万円ほどあげております。これは輸入食糧を入れてぐるぐるまわしている間に容器がいたんだり何かする関係で、その修繕費とか何とかいうものが考慮されているわけであります。  その合計から、今度は日本数字の三として原材料用償却代金というのを二百億ほどあげておりますが、総合用消費価格を算定いたしますときに、政府が取扱つております食糧は、総合用以外のもの、要するに原材料にまわる分がありますから、その買入れ代金及びそれに要しました経費を一応パーセンテージであげまして、二百億というものを計算いたし、それを差引いたものが要するに総合用に使われる経費だ、こういうような計算であります。それから食糧公団経費が二百五十億上つておりますが、これは食糧公団人件費及び事務費事業費総合計が二百五十億になるわけでありますが、その総合計が三千五百二十一億というようになつておりますので、それを総合配給配給される数量、これは玄米で計算いたしまして五千八百万石となつております。これをもう一度今度は価格計算いたしております。と申しますのは配給いたしますものは米とか粉とかいもとか、いろいろな種類にわたつておるわけでありますので、これを單純に割りましたならば、何の価格だかわからぬものが出て参りますので、一応米と同じような値段で換算するために価格比をかけまして、みな米数量に直しております。そうしますと玄米で直したものが五千八百万、それをもう一度価格で直しますと五千六百万となりますので、その五千六百万で先ほど申し上げました総経費三千五百二十一億というものを割りますと、あとへ六千二百七十七円五十七銭というのが出て来ます。これは生産者玄米配給された場合の一石の値段ということになります。それで一石から白米が一四一・一キロつまり一石はキロで申しますと一五〇キロでありますので、それを今の九四%でつきますと一四一・一キロ白米がとれるわけでありますので、それで割りますとここへ四百四十五円二十銭というのが出ます。それをまるくして四百四十五円になりますが、これが十二月まで施行されておりました四百五円に比べますと、ちようど一〇九・八%になります。今竹村委員のおつしやいました各品目別パーセンテージは出ておりませんので、一応全体で御説明申し上げましたが、あとパーセンテージは計算して申し上げます。
  5. 竹村奈良一

    竹村委員 あとで計算してもらつてからまたお伺いしたいのでありますが、たとえば一石の白米にすると、一四一・一キロ、こういうふうに計算される。こういうことでどう考えられておるのでありますか。問題はここに大きな問題があると思います。たとえば百姓や生産者から供出させますときには一石四十貫ということでとられる。配給するときにはキロ建でやられる。それでは玄米一石四十貫をキロに直した形において配給されておるかどうか。あるいはそこに全国的な数字だと相当大きな数字になると思いますが、そこに食違いがないかどうか、これをひとつお聞きしたい。
  6. 金城順隆

    金城説明員 日本の米は要するに北は北海道から南は鹿児島までありまして、その間に米の品種というものにも非常に相違があるわけでありまして、今おつしやるように土地によつて重量容量の差というものは非常な開きがあるわけであります。大体において四十貫は百五十キロということで価格は計算いたしておるわけでありますが、実際申し上げますと、土地により、その品種により、あるいは等級によつて容量幾分差があるわけでありますけれども、ものによつては一四九キロが一石の場合もありますし、あるいは一五一キロが一石の場合もありますけれども、大体平均的に見ますと一五〇キロであります。そうして従来も一石換算いたしますときには、一五〇キロが大体一石だということに常識的になつておりますから、価格は一五〇キロ、一石つまり四十貫ということで計算いたします。
  7. 竹村奈良一

    竹村委員 それでは大体生産者からは等級別に米を供出させておられる。従つて配給される場合には厳密な意味で言いますと、等級別配給にしなければならぬと思いますが、それをたとえば本年度なんかは不況であつて、五等米制度をとられた。従つて五等米も一等米も同じ価格配給されておるの   でございますが、これに対しての矛盾あるいはこれに対するところ操作の仕方をどういう形でやつておられるか。おそらくは全国的には消費者に対するところの非常に不公平が行われておると思いますけれども、それに対する操作方法は一体どうされておりますか。
  8. 金城順隆

    金城説明員 消費者配給する場合には精米して全部同じ価格配給いたしておるわけであります。生産者から買い上げます場合には、おつしやるように一等から五等米までおのおの価格開きがついておるわけでありますが、政府が売却する場合には一応公団に売り出すわけであります。その場合の価格も前年の検査実績と申しますか、その比率で全体をならしました価格つまり総買入れ金額を総数量で割つた平均価格で売つておるわけであります。従つて消費者としてはある場合に五等米の配給を受けたといたしますれば、そういう損が来るということもありますけれども、また他面一等米のものを受けたという場合も考えられるわけでありまして、個々の消費者から申しますと、今おつしやるような問題があるかと思いますが、配給技術面として一等米から五等米まで区別してやるということは非常に困難であります。それから搗精いたします場合も、一等米一等米で搗精いたしましても、あと全部を一緒にして配給するというふうにしておりますので、そのさやと言いますか、プールの関係消費者全体でいたしておる。従つて政府はそのために特別に利益を得ておるということはございませんので、ただ配給操作上そうせざるを得ないということでそういうふうにやつております。
  9. 竹村奈良一

    竹村委員 全国で一年間で事故米等言つてなくなるものが一体どれだけありますか。
  10. 金城順隆

    金城説明員 配給操作上見込んでおりますロスというのはそれも配給上でありますが、大体一〇%程度を見ておりますけれども、実際の経理上のロスはそうないのでありまして、大体二%か〇・三%かの程度ロスがあるというように見ております。
  11. 竹村奈良一

    竹村委員 こういう面は経理面のどこに出ておりますか。
  12. 金城順隆

    金城説明員 配給ロスと申しましても、たとえば輸送する場合には運送業者責任になります。それから保管いたしておりますときのロス保管業者責任になりますので、保管業者から弁償金をとる、輸送業者から弁償金をとるというようになりますので、物としてはロスがありますけれども、経理上それは弁償金をとるという建前をとつておりますので、経理上はロスは出ないことになつております。従つて予算の編成にあたりましても、ロスがそう見込めませんので、あるコンスタントのわずかの数字を、歳入ところ弁償金ということはあげておりますが、これは決算をごらんになればよくわかりますけれども、決算上は予算にあがつておりますある一定の弁償金よりも、毎年相当上まわつております。しかし見込みとしてはロスを出さないものとして一応出しております。そうして予算面にもわずかな数字弁償金をとるような形になつております。実際上は倉庫で火災、盗難にあつたというときには、みな倉庫業者が弁償いたしまして、いわゆる経理面上のそのための赤字は生じないようにいたしております。
  13. 竹村奈良一

    竹村委員 本日の新聞を見ますと、たとえば飲食店等には今度くず米を許して、使つてもいいということにさせようというふうなことを新聞で見たのでありますが、こういう米はどこから出て来て、そういうことを本年度はやらす意思を持つておられるのですか。
  14. 金城順隆

    金城説明員 まだはつきり決定したわけではありません。後ほど長官が見えてはつきりした御返事をいたします。
  15. 竹村奈良一

    竹村委員 委員長にお願いしたい。実は引揚委員会から呼びに来ておるので、私の質疑は残しておいていただきたい。
  16. 川野芳滿

    川野委員長 承知しました。奧村又十郎君。
  17. 奧村又十郎

    奧村委員 こまかい点について二、三お尋ねいたします。公団の方にお尋ねしますが、先日問題になりました代位配給所、これは先日こまかい御答弁がなかつたので、全国で何箇所あつて、この代位配給所でどれだけ取扱わして、単価どれだけで、どれだけの金額になるか。それはこの説明書の中のどの項目からその金が出されるかお伺いします。
  18. 後藤駒吉

    後藤説明員 代位配給所の数から申し上げます。総合配給代位配給所が一万三百一箇所であります。パン配給店が一万百四十四箇所、生めん配給所が二百九箇所、ゆでめん配給所が一千八百七十九箇所、以上が代位配給所であります。それから配給手数料予算書委託事業運営費の中の配給手数料の科目から支拂われております。
  19. 奧村又十郎

    奧村委員 先ほどお尋ねしましたように、数量はどの程度ですか。パンめんなどを除いて、主として米麦代位配給所の取扱いの数量及び一俵当りの手数、その金額がどれだけになるかお伺いします。
  20. 後藤駒吉

    後藤説明員 総合配給所配給手数料は四十五円から八十五円の間でありまして、ただいま階級別金額数量等の調査を持ち合せておりませんから、後刻調製して差上げます。
  21. 奧村又十郎

    奧村委員 この点につきまして先日も問題になりましたが、一俵の配給手数料を四十五円から八十五円までの差別をつけたのは、どういうわけであるか。その差別をつける基準をお伺いします。
  22. 後藤駒吉

    後藤説明員 大体の総数量から申しますと、総配給量の、はつきりした数字を覚えておりませんが、大体二二%くらいが代位配給によつて配給されておるのであります。その二二%前後のものの大部分が、従来公団が設立してからずつと代位配給であつたのでありますが、これは主として農村地区配給の分が大部分を占めておるのであります。この代位配給をお願いしておりますお願い先は、農業協同組合等が大部分を占めておるのであります。その農業協同組合が大部分を占めております従来の代位配給におきましては、一俵四十五円ということでお願いしておつたのでありますが、御承知のごとく昨年の九月あたりから元の食糧営団が持つてつた資産は、現在閉鎖機関になつておりますが、その資産処分に伴いまして、これを代位配給に切りかえて行くように行つてみたらどうかという案がありまして、そのテストケースといたしまして全国で大体百箇所選びまして、代位配給やり方等につきましての試験をいたすことにいたしたのであります。これは農村地区もありまするけれども、都市地区にも相当多数選んだのでありまして、都市地区の分、農村地区の分いずれを問わず、営団の持つてつた建物公団が借用しておりまして、公団がそれまでの直営配給所として運営をして参つたものを百箇所選んで、代位配給所に切りかえたというような経過でありまして、この代位配給所に切りかえた百箇所につきましては、それ専従の職員が専門の仕事としてやつておりますような関係もありますし、都市の中にある代位配給所もあるような関係もありまして、それぞれの地方事情に応じまして、これまた四十五円から八十五円までの間で、事情に応じての配給手数料を定めて試験をしておる、こういうような事情でありまして、先ほど四十五円から八十五円まであると申しましたけれども、四十五円以外の分は、ただいま申し上げます百箇所についての非常に小数のテストケースの分でありまして、これによつてわれわれは委託配給手数料その他の試験をいたして参りたい、かような考えでやつておるわけであります。
  23. 奧村又十郎

    奧村委員 お言葉によりますと、農業協同組合代位配給俵当り四十五円、旧営団でやつてつたいわゆる旧業者テストケースでやらしておるのは八十五円の分もある、こういうお言葉でそこに差別がついておる。これは先日も議論になりましたからやめておきます。  退職手当が昨年度は一億も見てなかつたのが、今度は特に二十億も増加しておる。これは公団を来年の三月廃止するから、特に急に退職手当を見込んだ、こういう先日の御答弁でありますが、一人当り二万六千円を見込んだ退職金の計数の根拠をお伺いしたい。
  24. 大濱用正

    大濱説明員 退職手当は、公団が二十五年度存続いたしまして、二十六年の三月三十一日までに廃止もしくは解散の状態なつた場合、今年度予算にあらかじめ想定して計上しておかなければならぬという理由で、実は七万九千九百九十四人に対して計上してございます。算出の根拠は大体月收の二・五箇月分をかけて、二十一億九千三百万円という数を計上してございます。
  25. 奧村又十郎

    奧村委員 物価庁関係の方はおりませんか。昨日お尋ねしましたぬか代は幾らになつておるか。
  26. 河野俊郎

    河野説明員 現在告示になつておりますので、これを読み上げます。本年一月一日の物価庁告示で三十キロ当り裸百九十円七十九銭、こうなつております。
  27. 奧村又十郎

    奧村委員 そうしますと、予算ではぬか一俵六十五円四十八銭ということになつておるのが、一月のマル公で行けば百九十円七十九銭、約三倍に上つておる。そうすると、これはぬか代だけで四ページの副産物收入で四億四千七百万円見込んでおるのですが、これが六十五円で換算して四億四千七百万円。そうすると、百九十円に見込めば、約九億から十億の増收になるわけなんです。これをこの際そのように御訂正になるべきはずですか、御訂正になるかならぬか。
  28. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 今申し上げましたように、予算編成後における価格改訂によりまして上つたわけであります。これは歳入予算のことでございますので、歳入予算は一つの見積りでございます。もちろんこれは見積りが適正でなければならないのでありますが、実行上收入額がふえるということに対して処理をいたしたいと思います。
  29. 奧村又十郎

    奧村委員 しかしこれは米価に直接関係があるので、ことしの秋供出米価を算定する場合に、相当こういう金が浮いて来れば、それだけ米価を下げることができる。実行上においてかえると言われますけれども、われわれ国会議員としてはこの予算を審議するだけであつて、実行上においてはほとんど審議しない。すでにこれは百九十円ということになつておるのなら、ここで当然改訂してもよいはずである。改訂して悪い理由はないはずであるが、もし改訂できぬのなら改訂できない理由をお伺いしたい。一俵六十五円はむちやくちやに安い。それをそのまま予算で見込んでおくということは、将来非常によくない問題が起ると思うので特にお伺いしたい。
  30. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 消費者米価は、御承知のごとく本年の一月から改訂をいたしております。その改訂をいたしました消費者米価の計算におきましては、ただいま御指摘のぬかの代金につきましては、当時その程度に上るだろうということが予想せられておりましたので、ほとんど同時に決定になつたのでありますから、値上りをいたしましたただいま御指摘の百九十円という価格を見まして、消費者米価はきまつておるのであります。従いまして実行上におきましては不都合はないのであります。ただ奧村委員が今おつしやいますような歳入予算の計上のいたし方が、実情と食い違つた事態が出て参つたのでありますが、この点については先ほども申し上げましたように、歳入予算というものは歳出予算と議決の性質を若干異にいたしておる。すなわち歳入予算は見積りであります。おつしやいますように消費者米価に影響いたします点において重大な関係を持ちますが、消費者米価は今申し上げましたような趣旨でできておりますので、一応このままで御審議を願いたいと考えております。
  31. 奧村又十郎

    奧村委員 これはぬかだけの問題ではありません。俵の四円二十二銭も不当に安いと思うのであります。そのほか買入れの品物についても、現在は相当かわつておりますが、予算をつくる場合においては、国会で審議しておるときの価格でもつて見積つて行くのが最も妥当じやないかと思うが、この点は一般的に言つてどうですか。
  32. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 予算を編成をいたしまして、国会で御審議を願つております期間があるのでございますから、予算の編成をいたしております当時と比べまして、議決を願いまする時期におきまして、積算の基礎になります要素がかわつて参ることはしばしばあるかと思います。そこでおつしやいますようにそれがかわりました場合に、最近の事態に応じてお考えを願うのが筋道で、原則論としてはおつしやる通りであります。ただその具体的な適用におきまして実行上支障がなくできますものと、それから修正をいたさなければできないものとの両方の場合があると思いますが、前者の場合、すなわち実行上支障なくやれるものにつきましては、従来も実行上のやり方は政府側でこういうふうにやるということによりまして、そのまま御議決を願つておるように私承知しております。
  33. 奧村又十郎

    奧村委員 ぬかは六十五円、から俵は四円、これは予算編成当時のマル公であつたからやむを得ぬのだ、こういうお話ならいたし方もないが、買入れの方の金庫七十個が四万二千五百円、オート三輪車が十五万円、小型自動車が四十万円、これは時価より相当高い。これはどういう価格を基準に置いておきめになつたか。
  34. 大濱用正

    大濱説明員 これは公団配給所もしくは事務所で使う金庫、もしくは秤とか、あるいは運搬用具のオート三輪車、小型自動車を買うために一億九千万円予定したのであります。ただし單価は当時のマル公によつて決定されておりますが、必ずしもこの予算を実行する面におきまして、マル公を実施するということではございません。たとえば今年この予算が具体化して実行いたします九月あるいは十月に、これを買うということになりますれば、その当時のマル公によつて買うことになりますし、結局この九千万円全部使わなければ、そのまま予備費として残るという状態でございます。御了承願います。
  35. 奧村又十郎

    奧村委員 食糧庁長官がお見えになりましたのでお伺いいたします。この予算公団が来年三月で一応廃止になるという見込みのもとに、予算をおつくりになつたようであります。そういたしますならば、この予算審議に非常に重大な関係を及ぼすと思いますので、来年四月の公団廃止以後の食糧配給についてはどういう構想を持つておられるか。先日委員がお尋ねしたと思いますが、はなはだあいまいである。しかしあいまいであるならば、この予算の審議がしにくい。たとえて言うならば、来年の四月以後の配給のやり方によつて、いまさら金庫なりオートバイなり自動車なりに莫大な金を、しかも一般会計から繰入れて買わなければならぬ、あるいは配給用具費に一億何千万円の金をかける、そういう十年も二十年も継続して事業をやるような経費はいらぬはずであります。この点の来年以後の見通しについてお伺いいたします。
  36. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 大体政府の方針としましては、食糧配給公団は来年の三月をもつてやめることにいたしておるのであります。そういたしました場合に、配給の形態をどう持つて行くかということにつきましては、いろいろ研究をいたしておるのでありますが、まだ細目に至るまでの決定を見ておりません。荒筋だけを申し上げますと、末端の小売機構は消費者の登録によつてつて行く。その次に卸機構の問題が一つあるわけであります。卸と申しましても、従来のような卸機構は、現在のように全面的な收買その他について、の管理をやつております際には、自由主義時代の卸の機構とは違いますけれども、少くとも政府から売りましたものと小売との中間機関というものは、どうしても必要だと思います。この機構を複数制によりまして、やはり小売店舗の登録によつて決定をして行こうかと、こういうふうに考えておるわけであります。達観いたしますと、政府から卸機構に食糧を売却いたしまして、卸が小売と結びついてその現物を流します。この小売が消費者に購入切符によりて配給をして行くとうような形態を考えておるわけであります。
  37. 奧村又十郎

    奧村委員 そうなりますと、おそらく現在の食糧配給公団の備品あるいは貸借対照表にありますように、貯蔵品、什器、運搬具、こういうものは全部いらぬことになるから、そういうものに拂い下げるということになりそうであります。そこで特に今年度において政府からの基本金として九千万円繰入れて、金庫あるいは小型自動車というようなものは、実際買うのはまだ先のことでありましようが、半年ほど使うてすぐ拂い下げる。これは非常にいらぬことのように思えますから、この際おやめになつたらどうかと思いますので、お伺いいたします。
  38. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 配給公団の末端機構の運搬用具でありますとか、金庫でありますとか、これは従来も非常に少くて、いろいろの支障を来しておるわけであります。配給の仕事は一日としてゆるがせにできませんので、ぜひ円滑にやつて参らなければならぬ。また現金を扱いますので、これの保管等についても、もし盗難等にあいますならば、ただちに国の会計に影響を及ぼす問題になりますので、この問題については十分愼重な態度をもつてつて参らなければならぬ。そのためにはどうしても備品を充実しなければならないと考えておりますので、ただいまのお話のように来年四月以降やめになるのだから、この際それはやめてもいいじやないかということも、ごもつともではありますけれども、現状からいたしますと、どうしてもそれだけの整備をいたさなければならぬと考えております。解散になりましてもそのものが決して不要になる性質のものではございませんので、その点は私ども配給の実情からいたしまして、ぜひこれだけの備品は必要であると考えている次第でございます。
  39. 奧村又十郎

    奧村委員 経費の面で各公団予定各目明細書六ページに、備品消耗品費といたしまして五億七千万円を見込んであります。その明細は文具費に二億八千六百万円、図書費に一億六千四百万円、事業雑品費に三千三百万円、それから基本金に九千万円、食糧公団にこういう金が一体どういうわけで必要なのであるか。帳簿印刷はまた別に項目があつてこれが一億八千万円見込んである。文具費とか図書費とか基本金、こういうものは公団に不必要なものと思う。しかもこれが昨年よりふえている。この内容をこまかく、またどういうわけで必要であるかお伺いいたします。
  40. 大濱用正

    大濱説明員 食糧配給公団の事務所並びに配給所を合せますと大体二万七千ほどございます。そこに従事している人員は大体八万人おりまして、こういう人たちが毎日配給業務をつかさどつて配給事務をするためにはどうしても文房具がいります。八万人いるといたしましても、大体この予算の單価としまして二百七十九円になつておりますが、これが二百七十九円見ておりましても、二千五百万円程度の文具類がいるのであります。その他用紙あるいは書籍とかを入れまして大体四千二百七十万円の経費がいりますし、その他事業関係費としましても電気関係とか、あるいは衡器でございますとか、あるいはますでございますとか、その他見本用器具とかいろいろ入れまして、大体四億八千五百万円という数字が入りまして、これに先ほど御説明いたしました基本金で買う運搬用具とか、そういうものを入れまして大体五億七千五百万円という数字になつております。大体一箇所当りにしまして約二万五千で割りましても、單価としましてはそう大きくない数字ではないかと思つております。
  41. 奧村又十郎

    奧村委員 公団配給所というのは、これは申すまでもなく昔の米屋さんが看板を書きかえたようなものであります。それでいかにも政府の機関のように文具をとりそろえる、図書をとりそろえるということはおかしいように思う。しかも今の御説明によると、文具費、図書費は四千万円か三千万円のようなお話ですが、この項目に書いてあるのは文具費が二億八千六百万円、図書費として一億六千四百万円です。この内容をお伺いしておきます。
  42. 大濱用正

    大濱説明員 四千二百万円は月額で、十二箇月分にしますとそういう数字になります。
  43. 奧村又十郎

    奧村委員 この公団職員に何か特別本でも買つて與えるのですか。
  44. 大濱用正

    大濱説明員 図書費でございますから、新聞、雑誌とかそういう図書費でございます。食糧新聞とかそういうものがございますが、そういうものを買う経費になつております。
  45. 奧村又十郎

    奧村委員 実際の仕事は、公団は請負のような形で、そう公務員のように時間をきめてやつておるわけでなし、特にいなかに行きましたら、配給といいますれば一月のうちに五日か七日やつて、仕事が済めばほかの仕事をやつておる。それでその家におれば新聞も雑誌も買うておる。それをあたかも公務員と同じような待遇にしておく。何もかもそういうふうになつておるかというとそうではなしに、借地借家料を七億四千八百万円使うておる。これはおそらく全部昔の米屋さんの家を借りたものとして借家料を拂つてつまり家賃として六億二千七百万円を拂うておるのではないかと思う。これが昨年に比べると約倍にふえている。一体家賃は家賃統制令かなんかあるはずですが、昨年より今年が倍近くにふえておるというのはどういうわけですか。
  46. 大濱用正

    大濱説明員 借地借家料がふえました理由は、昨年地代家賃統制令が改正になりまして二、五倍に上つております。具体的に申しますと、地代として、大体土地の面積は三十七万七千坪、家賃として家を借りている面積が四十三万五千七百十一坪、それから什器備品等を借りたのを入れまして、大体六億二百七十八万円という数字になつて、これはやはり地代家賃統制令の価格改訂によるものであります。
  47. 奧村又十郎

    奧村委員 大体各村に一箇所なり、二箇所ただいまお話のように二万ほどの配給所がある。そうすると、ほとんど各村の昔の米屋さんの家を公団が借りたものとして、その家賃を拂うておることになるのですが、そういうことになつておりますか。
  48. 大濱用正

    大濱説明員 大体配給所閉鎖機関、旧中央食糧営団配給事務所を借りておつて、一応家賃を佛つております。
  49. 奧村又十郎

    奧村委員 そうなりますと給料とか、あるいは今の雑誌代、本代あるいは健康保険料その他は、公務員と同じようにもらうだけはもらう。しかも給料とか手当、そういうものは先日もお話がありましたが、公務員の約倍額になつておる。約十五万円くらい、あるいはそれ以上になるのではないか。今度の退職手当を見ると相当ふえておるが、それでそのほかにそれぞれの家の家賃を佛う。これでは結局国家の機関としてとるだけはとつて、やはり昔の営業のような形を持つて行く、こういうようなことになつてどうも二重の経費、三重の経費が来ておるように思う。しかしこれは今ここで申し上げても議論にわたりますから、私の議論を証拠づけるためになお二、三お尋ねいたして行きたいと思います。  公団には建物はないはずと思いますが、この建物修繕費を一億六千万円見てあるのは、一体どれを修繕するのか。
  50. 大濱用正

    大濱説明員 公団の事務所並びに配給所は、所有者から賃貸借契約で借り受けまして、その賃貸借契約の條項の中には、使用期間中における破損その他の修理の必要な分は、これは公団が負担することになつておりますので、この修繕費を必要とするのであります。     〔委員長退席、小山委員長代理着席〕
  51. 奧村又十郎

    奧村委員 たいていは家賃を拂うたら大きな修繕費というのは家主が負担すべきですが、公団はこれは特別うまくやつてあるようですな。  人夫賃に五億二千六百万円を見込んでおる。この人夫賃というものは一体どういうものに拂うのか。公団職員は非常に多過ぎると思うくらいだが、そのほかに五億万円も拂うのはどういう方面にお使いになるのか。
  52. 大濱用正

    大濱説明員 人夫賃五億三千五百万円の内訳を申し上げますと、大体総合  配給部門と申しまして、消費者配給する部門に使いますものは四億一千二百万円、そのうちには輸送関係とか、あるいは精米所で輸送のために使う人夫賃というのがございます。それから駐在員と申しますか、そういう大体臨時に輸送関係に頼むのを、臨時人夫賃として五億二千五百万円を計上してございます。
  53. 奧村又十郎

    奧村委員 輸送輸送で運賃が五十八億円見てあるし、保管費が見てあるし、配給手数料は見てあるし、それでまた臨時人夫というのはその間に非常に重複するように思うが、人夫賃の内訳明細をあとで詳しく印刷でお願いいたしたいと思う。それから先ほどの文具費、図書費の内訳明細もこまかくお願いいたします。  次に五ページの直営配給費八千九百七十七万円、これはどういう方面の配給費ですか。
  54. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 これは公団の直営の配給所かございまして、そこにおいて配給をする、いわゆる代位配給以外の配給所におきまする経費でございます。
  55. 奧村又十郎

    奧村委員 そうするとこれは公団職員以外の者が配給するのですか。
  56. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 これは公団職員がやることになるのでありますが、そこにおきまして公団職員だけでは手が足りませんので、そういうところに人夫を雇うということになるのであります。
  57. 奧村又十郎

    奧村委員 それは先ほどの臨時人夫賃の方で佛うのではないのですか。
  58. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 主として直営の配給所で使いますのは、一般の配給よりもむしろ労務加配というような面の方が多いのでありまして、そういつた面の経費が大体ここに入つております。
  59. 奧村又十郎

    奧村委員 それも同じ人夫賃でやるのならば、臨時人夫の欄におつけになるべきではないか。どうも各項目を見るとそれぞれ分散して、たとえば先ほどの麻袋の経費六億四千二百万円の内容を聞くと、また麻袋の手数料だ、あるいは直し賃だと言う。人夫賃もやはりそこに一億円も二億円も入つておる。非常にこの予算を見るとわれわれとしてつかみどころのないことになつているが、それではこの直営配給数量の内訳をあとから文書でお願いを申し上げておきます。  次に先日お尋ねしてはつきりしておらなかつたが、縫糸代が食管特別会計では百ポンド一万四千八百円、つまり一ポンド百四十八円に見込んでおるし、こちらの方は同じ縫糸代が一ポンド三百四十円で、食管の方の倍余りの金額で買い入れる。そういうことになつてつて非常に食い違いがあるが、この点はどういうことになつておるのでありますか。
  60. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 昨日も御説明したところでありますが、食管の方で言つております縫糸と申しますのは、輸入食糧の入つて参りますときにそれに一緒について参る縫糸を食管が一応買いまして、それをさらに公団に売る、こういうための経費であります。ここにあがつております一億九千万円の内訳といたしましては、ただいま述べました輸入食糧について参ります縫糸以外に、内地産の麻糸を買つておるのであります。これは配給に要します袋と申しますものが相当莫大な量があるのでありますが、それに対する修繕のための縫糸といたしましては、輸入の麻糸だけではもちろん足りませんので、内地産の麻糸並びに綿糸を買つております。これが大体一億一千万円ほどになつております。そういうものを合計いたしまして、さらに補修の布なんかもここに入つておりますが、一億九千万円ということになるのであります。
  61. 奧村又十郎

    奧村委員 それでは食管の方の容器代のことをお尋ねします。食管は麻袋代として食管の未済の方に十四億円支出する、三十五ページ。それから三十一ページにやはり容器代で三十一億円ほど容器経費を見ておる。ところ容器の回收代金としてはわずかに四億円の回收代金しか見込んでおらぬ。それはあとの方の差引は、それだけ容器代として消耗することになるのか、どういうわけになりますか。
  62. 金城順隆

    金城説明員 食管であげております容器関係は、商品費の中で輸入食糧と一緒について参りますスペア・サツクの容器代を一応予算上要求してあげております。そのほかに加工賃と一緒にあがつておる容器代があるわけでありますが、消耗するというわけではありませんので、一応容器として買いましても、これを売却いたします場合には、たとえば内地産の食糧も同じことでありますが、俵込みというのですか、容器込みで売却いたすわけであります。收入といたしましては食糧売佛い代金としてみんなあがつておる、こういうことになつております。
  63. 奧村又十郎

    奧村委員 つまり容器代は別に拂うし、それから売る場合には容器代は込みで売つておる、こういうことになるのですか。
  64. 金城順隆

    金城説明員 その通りであります。
  65. 奧村又十郎

    奧村委員 商品売佛い代の包装資材代の内訳の中に、公団政府加工品の容器代として五億五千二百万円を売り拂うております。つまり公団の收入にしておる。しかしこれはおそらく政府加工品であるからして、食管から買い入れておるはずであるが、食管の方にはこの五億五千二百万円の容器代は入つておらぬ。そうすると食管は容器代は込みで売つておるし、公団の方は容器代は新たに金で売つておる。そこに食管と公団の中に五億万円の容器代が食い違うておる。こういうことになつておるが、その点を御説明願います。
  66. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 食糧配給公団の加工品の容器代と申しますのは、政府に売るのではございませんでして、これは政府の委託加工を受けておりますところ業者に売るのであります。だから收入がそこから入るのであります。
  67. 小山長規

    ○小山委員長代理 奧村君、まだ続きますか。
  68. 奧村又十郎

    奧村委員 私の質問はこれで打切ります。
  69. 小山長規

    ○小山委員長代理 ちよつと時間の関係で、新しく提案されましたのがありますので、提案理由説明に移りたいと思いますが、よろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     —————————————
  70. 小山長規

    ○小山委員長代理 それでは昨十五日本委員会に付託されました物資の割当に関する手数料等の徴收に関する法律を廃止する法律案、及び一般会計国立病院特別会計との間における国有財産の所属替又は所管換無償整理に関する法律案の両案を一括議題といたしまして、まず政府から提案理由の説明を求めます。水田大蔵政務次官。     —————————————
  71. 水田三喜男

    ○水田政府委員 ただいま議題となりました物資の割当に関する手数料等の徴收に関する法律を廃止する法律案提出の理由を御説明申し上げます。  今回この法律を制定しようといたします趣旨は、従来臨時物資需給調整法に基き指定生産資材の割当を申請した者、及び割当により当該物資を譲り受けた者に対しましては、物資の割当に関する手数料等の徴収に関する法律により、それぞれ申請手数料及び割当料を徴収していたのでありますが、最近指定生産資材の割当の統制が大部分の品目について解除され、これ等の手数料等を徴収することが適当でなくなりましたので、この際物資の割当に関する手数料等の徴収に関する法律を、廃止いたそうとするものであります。  次に一般会計国立病院特別会計間における国有財産の所属替又は所管換無償整理に関する法律案提出の理由を御説明申し上げます。  この法律案を立案いたしました趣旨は、一般会計国立病院特別会計間におきまして、国有財産の所属がえまたは所管がえを、無償をもつて整理できるようにする特例を開こうとするものであります。すなわち国有財産法におきましては、異なる会計間の国有財産の所属がえまたは所管がえにつきましては、原則として有償をもつて整理しなければならないのでありますが、医療施設の用に供する目的で取得いたしました国有財産、または現に医療施設の用に供しておりますところ国有財産を医療の用に供するために、一般会計国立病院特別会計相互の間で、所属がえまたは所管がえをいたします場合につきましては、国立病院特別会計経理の実情にかんがみまして、国有財産法の特例として昭和二十五年度に限り、無償をもつて整理いたしたいのであります。  以上の理由によりましてこの法律案提出いたしました次第であります。何とぞ御審議のほどをお願い申し上げます。     —————————————
  72. 小山長規

    ○小山委員長代理 ただいま議題となりました両法案に関する質疑あとまわしといたしまして、引続いて食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、これを議題として質疑を続行いたします。木村榮君。
  73. 木村榮

    ○木村(榮)委員 最初こまかいことを一点だけお尋ねしておきます。公団予算明細書を見ますと、この收入の方にさつき問題になつたぬかが六百八十三万六千俵とございますが、これは米ぬかなんですか。
  74. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 全部米のぬかでございます。
  75. 木村榮

    ○木村(榮)委員 そういたしますと、政府の方が、食糧公団の方でありましようか、どつちかなんですが、麦ぬか、麦の委託精麦をやつておりますが、あのぬかまたふすま、それからまためんざい、これらはどこの科目で収入に入つておりますか。ないようでございますが、あれはただなんですか。
  76. 金城順隆

    金城説明員 政府が委託加工をいたしておりますのは、麦の関係の製粉と精麦でありますが、これは加工賃を支拂いますときに、従来の商習慣といいますか、そういう意味加工賃全体を計算して、それから麦ぬかなりの公定価格を差引いたものを、加工賃として業者に拂うというふうになつております。
  77. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それは麦ぬかもふすまもなんですね。それからめんざいというのはどうなるのですか。あれは相当食糧営団の方で売つております。米ぬかの中でもめんざいと称して小さい小米がたくさんあるものを、ぬかとは別個な値段で相当売つておりますが、あれも公定価格があるはずなんですが、これには全然載つていないのです。これはわずかなものですが、やはり国の会計ともなれば入つて来ればやつぱり入つて来るのですから、載るのがほんとうだと思うのです。
  78. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいまの御質問の点のめんざいですが、それはやはり副産物収入の中に入つております。ただこれは非常に金額がわずかでございますので、一応ぬかという科目の中に、予算に載せましたときには含ませて載せてあるわけであります。
  79. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それから今回電気料金の値上げで、相当この動力関係経費が上まわつて来ると思いますが、今どのくらい上まわる御予定なんですか。
  80. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 電気料金の価格の改訂は、御承知のごとく昨年暮れに改訂になりまして、これは地域別に違つた価格になつております。でありますから一律にどこで幾らということをはつきり申し上げることはできないのでありますが、大体平均しまして三二%程度ということを、この予算には一応織り込みまして、三二%程度の料金の値上げを見込んでおります。
  81. 木村榮

    ○木村(榮)委員 ではこの予算の中でも、三二%は大体去年より値上りしたものが計算してあるわけですね。
  82. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 その通りであります。
  83. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それからこれは小さいことなんですが、集荷手数料で一俵について二十四円というのは、あれは農林省関係だと思いますが、町村農業会の場合、町村農業会にはどれだけ行くのですか。
  84. 金城順隆

    金城説明員 集荷手数料は集荷取扱い業者に参るわけでありますので、これは業者が取扱い業者であろうと協同組合の取扱い業者でも、みんな一様に一俵二十四円拂つております。
  85. 木村榮

    ○木村(榮)委員 これは大部分町村農業会がやつておると思うのですが、あれは農業会の倉庫まで持ち込む賃金は供出者負担ですね。そうなつておりますか。
  86. 金城順隆

    金城説明員 政府の買います主要食糧値段というものは、倉庫渡しできめられておるわけであります。ただ検査場所が違つた所で検査をいたしておるというふうなところも大分ありますので、つまり集荷業者がそれを集めて政府に売り渡すまでの経費ということになつております。従つて倉庫の入庫とか、はいづみとかいうことも一応考慮して、集荷手数料というものはきめられております。
  87. 木村榮

    ○木村(榮)委員 食糧長官にお尋ねしたいのですが、外国食糧が入つて来る場合、この場合は日本国内の需給関係を考慮に入れて向うの方に折衝なさつて、それに基いて次々と入つて来るのか。それともまたそういつたことは全然考えなくて、輸出国の都合で先方からいつでもかつてにこちらの受入れ態勢があろうがなかろうが、倉庫があいていようがいまいが、とにかく入つて来るのか。この点はどんな、ふうになつておりますか。
  88. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 年間の計画の作成につきましては、やはり国内の供給力を作定いたしまして、その不足数量を外国食糧をもつて充てるということで、これは外国食糧なりあるいは外国の市場関係の情報は、私どもただいまのところ十分に入手し得ない状況にありますので、関係筋と共同作業をいたしておるような次第であります。計画の実行にあたりましては、いつごろどの程度のものを入れるかということにつきましても、関係方面と連絡をとりながらこれを実行いたしておるのでありまして、ただいまお話がございましたように、相手国の状況のみによつてこの輸入が支配されておるというような事情はございません。
  89. 木村榮

    ○木村(榮)委員 大体最近に入つて来ますものは、ほとんどばら積みのような状態らしいのですが、あれを受取る場合、今のところは船側に積みましたトン数の重量トンのマークがあるのです。あれで受取つておるのですか。それとも揚げたものを一々袋に詰めます合場に、看貫をしてそうしてそのものを合計したもので受取るのですか。あるいはただ送り状そのまま受取るのですか。
  90. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 看貫をいたしまして倉庫なり「あるいは小麦でありますと製粉工場へ出て行くのでありますが、麻袋に詰めまして看貫をいたしまして、これを受取るのであります。
  91. 木村榮

    ○木村(榮)委員 これは前に私たちが国会から、大阪の製粉業者並びに精麦業者の各工場を視察したときに見たことでありますが、入つて来ますものは非常に粗惡品と申しましようか、中には石ころとか金くず、そういつたものが非常に多くて、製粉業者や精麦業者は機械の故障に悩んでおるということを全部訴えておる。これは現に私たちが見て来たのです。最近はそのような状態幾分緩和されたか。また腕袋なんかを見ますと、ほとんど破損品が多くて、実際入つて来た送り状面と現に加工いたします受取つたものとは、相当違いが多いということを各加工業者は一様に言つていますが、そういつた点は依然として続いていますか。それとも最近は相当緩和されて来たか、その点承りたい。
  92. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 入つて来ますものの品質並びに挾雑物の関係で、製粉工場等が相当機械をいためておるという実情も従来あつたのであります。この点は積出地におきまする検査と申しますか、そういうものについてこちら側が積極的に関與ができまするならば、これはよほど問題は楽になると思うのであります。また日本の資力によつてコントラクトして実行いたしておるものについての問題であるならば、クレームのつけ方もあろうかと思うのでありますが、従来主として入つて来ておりますものは、救済資金によつてつて来ておるものでありまして、一時ただいまお話のありましたような品質のものもあつて、製粉業者の方からいろいろ芳情の出たこともあつたのであります。その都度私どもといたしましては関係方面に実情を訴えまして、産地において積み出す際に、その点品質を十分に吟味して出してもらうように、懇請をいたしているのであります。最近におきましてはその点はよほどよくなつて来ていると私は考えております。
  93. 木村榮

    ○木村(榮)委員 御承知の通り内地食糧の場合は、米の検査その他なかなか嚴重にやつていると思いますが、外国食糧もただでもらつているのじやなくて、多額の金を拂つて買うわけです。そこで従来のようなことでは私は非常に問題だと思います。今はだんだんよくなつて来たと言われますが、大体どういう検査方法でおやりになるか。従来のような、ああいう食糧はおそらく日本では見たことがない。金くずが入つている。石ころが入つている。お話にならぬ。だんだん今までのような援助物資でなくなつて来るわけで、相当日本としてもこれを受入れるには検査を嚴重にして、その検査の結果不合格なものに対しては、こつちの要求もしなければならぬと思いますが、その検査方針は農林省として何かお考えになつているか。または現に相当実施されているか。この点を承りたい。
  94. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 昔でありますと、積み地におきましてわれわれのところの検査員が直接受入れなり検査をいたしまして、積み出しておつた時代もあるのでありますが、ただいまの情勢におきましてはさようなことは望み得ないのであります。しかしやはり正当な品質のものが入ることが、これは商取引の信用の問題にも関係いたしますので、この点にも常に関係方面と接触をして指摘をいたし、この方面の改善に努力をいたしているのであります。国際的な検査機関等もございますので、さようなものを使いまして、出しますものは契約面と同じような、間違いのないものを出すということについて、各方面の協力を得て改善に努めているという状況であります。日本側から直接出かけまして、その辺の受入れをやるというような段階にはまだ参つておらぬのでありまして、それ以外の方法において努力をいたしているという実情であります。
  95. 木村榮

    ○木村(榮)委員 海上保險などの関係で海損によるものはまあいいでしようが、そういつた保險以外の損失というようなものが相当あると思うのですが、今のところ大体どれくらいのパーセンテージになるのですか。それとも大して問題にならぬ程度のものですか。
  96. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 海損による損失は、お話もございましたようにこちらの関係ではございません。こちらの関係といたしましては、船おろしで受取ることになつております。それ以後の事故になろうかと思います。これは、はしけに積みまして、風破のために、はしけがひつくりかえりまして、十トンとか何とか海没を生じた、そういうようなケースも時たまあります。しかし全体的に申しますとごくわずかでありまして、そう大きな会計上に支障を来すというようなことはないと考えております。またそうしたものについては、いろいろ取扱い業者の方において保險を国内においてかけて、金銭的にこれを解決するという状況であります。
  97. 木村榮

    ○木村(榮)委員 それからこれはほかのことですが、最近各地の状況を見ますと、いもその他配給を辞退いたしますような食糧が相当出て来つつあると思います。今後そういつたことがない方がいいと思いますが、万一そういつたものがふえて来て余つたような場合、どのような御処置をなさる方針ですか、承りたい。
  98. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 一昨年でございましたか、かんしよの配給辞退あるいはばれいしよの配給辞退等によりまして、いろいろお話もあつたのであります。昨年は幸いにいたしまして、かんしよ等の配給辞退というものはそうなくて済んで来ているのですが、お話の点はいも類のほかにマイロでありますとか、その他の雑穀類についての配給辞退があつたような場合にどう処理するか。また、とうもろこしなどについてもそういう問題がございますので、その点をどうするかというお尋ねであろうと思います。この点は消費調査なりによつて、大体の傾向は私どもとしては了承いたしておりますので、たとえば、とうもろこしにつきましては、最も家庭において処理しやすいような形において、これを配給いたしているのでありますが、それにいたしましても限度がございますので、これをなるべくそういうものは少くいたしたいという努力をして来ているのであります。とうもろこしなどにつきましても、一時二十数万トンの輸入の話もあつたのでありますが、消費者の立場から考えましてこれをできるだけ押えて、少い数量にするというふうにいたしているのでありまして、それがいよいよ現場において配給辞退になつたら、それをどう処理するかという問題であると思いますが、できるだけそういう事態が発生しないように、今努力をいたしております。それから現場においてさような事態が生じました場合には、これをやはりとりまとめまして、たとえばコーンでありますれば、ほかの工業用途に振り向けるような措置で、入つたものを有効に消費いたす方針でやつている次第であります。
  99. 木村榮

    ○木村(榮)委員 昨年、一昨年もあつたと思うのですが、配給の場合、たとえば麦などを玄麦のまま配給する、こういつたことがあつたのですが、今年は電気料の値上げとかいろいろな関係で、そういつた危險性がまたあるのじやないかと思います。そういうことに対しては今から相当御盡力なさつておりますか。
  100. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 玄麦配給をいたしましたのは、終戰後におきまして非常に需給の操作数量的に困難を来したわけであります。それで加工して配給いたしますと、時間的に間に合わぬというような事情がありまして、玄麦を配給した時期があつたと記憶いたしております。現在におきましてはさような心配は全然ございません。電力の問題がございますが、これも食糧の加工につきましては相当優先的に考えてもらつておりますので、ただいまお話のような御心配の点は今後はないと考えております。
  101. 木村榮

    ○木村(榮)委員 最後に伺つておきたいのですが、前に片柳さんが食糧庁長官つた時代は、その年の今後出るやみ米の量の予想、どぶろくの量の予想、こういつたものがよく問題になつたのですが、安孫子長官は大体昭和二十五年度、今後やみ米がどのくらい出るか、またどぶろくはどのくらいこしらえる予想か、その予想を承つておきたい。
  102. 安孫子藤吉

    ○安孫子政府委員 やみ米の予想あるいはどぶろくの予想というのはなかなか困難でありまして、やみ米につきましても実際に都市に流れて来ますやみ米というものと、そうではなくて生産者あるいは生産地帶におきまする消費者の間に流れるものと、両方あると思うのでありますが、この想定は二十五年度においてどの程度あるかという点については、実は私は確たる見通しを持つておりません。従来の大都市に流れて参りますものは三、四百万石は少くともあるだろう。また全国的に申しますれば七、八百万石から千万石に近いものがあるたろうというようなことが、よく言われているのであります。たとえば農家から申しますと四合保有でありますから、四合以上のものはやみ米というような形になるわけでありますが、流通過程には入りません。そういうようなものを含めますと、八百万石から一千万石近いものがあるのではないかというようなことも言われているのであります。これは話がちよつとそれますけれども、結局日本の米の生産高が一体どれくらいかという点から問題が出て来ると思う。この生産量につきましては、農林省といたしまして作物報告事務所の機構が漸次完備して参つておりますので、大体実態に近い数字が順次現われて来ていると思うのであります。三、四年前の生産高と、たとえば昨年の生産高というようなものを比較いたします際に、私どもといたしましては同じ生産高でありましても、その内容については全然違うというような考え方をいたしているのであります。この生産高の数字が上るに従いまして、結局やみの部分が表面的には少くなつて行くというような形になろうかと思うのであります。どぶろくのことにつきましても、たとえば四百万石とか何とかいう想定を国税庁あたりもいたしているのでありますが、これも実態を捕捉いたしますことが私はなかなか困難だろうと思います。
  103. 小山長規

    ○小山委員長代理 木村君、終りましたか。
  104. 木村榮

    ○木村(榮)委員 よろしゆうございます。
  105. 小山長規

    ○小山委員長代理 それでは午前中はこの程度にいたしまして、一時半から会議を続行いたします。     午後零時三十二分休憩      ————◇—————     午後一時五十八分開議
  106. 川野芳滿

    川野委員長 午前に引続き会議開きます。  これよりただいままでに質疑を終了いたしました議案の討論採決に入りたいと存じます。  まず農業共済再保險特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題とし、討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。田中織之進君。
  107. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に対しまして強い希望條件を付しまして、賛成の意思を表示するものであります。  最近における農業災害の発生は、近来にない災害率を持つておるのでありまして、そういう点から考えまして、われわれは現在の日本農村の置かれておる経済的な地位から考えますならば、これに対しまして相当国として強力なる施策を講じなければならぬ段階に来ていると思うのであります。今回の提案に現われておりますように、農災保險の歳入金の不足を補うために一般会計から繰入れますることは、政府の説明によりまするとここ二、三年の災害発生率等を考慮して、本年度においてもこの程度歳入不足を生ずる、こういうことに帰着するのでありますが、われわれはどうも政府の農業災害に対する施策を検討いたしますと、これは十分ではない。そこで最近における統計に基いて割り出したものであるということでありますが、われわれはこの際農業災害保險につきまして根本的な御検討を加えまして、同時に災害保險における国庫の負担部分の大巾な引上げ、われわれはできるならば現在の低米価、また重い税金のもとに国民の食糧生産責任を持つておる農民に対する政府の社会政策的な、社会保障的な施策を意味するならば、これはむしろ全額、国庫において負担した形において、農業災害に苦しめられておる農民の救済に充てるべきである。こういう観点に立つての農業災害保險についての根本的な再検討を要請しなければならない。これがわれわれの希望條件の一つでございます。  次に農業災害が最近のように頻繁に発生いたしまする関係から、保險給付に当ります末端の第一線における農業災害保險関係職員の充実の問題と、これはほとんど市町村に委任して行つておるのでありまするが、現在の程度事務費の補助によりましては、とうてい災害が発生すると同時に災害調査また保險金の給付等を迅速に行つて、それによつて災害によつて大きな打撃を受けた場合、たといその僅少な部分でも保險によつて補填できるような機会を、農民に早く與えるという意味におきまして、農業共済保險の第一線の事務を担当いたしておりまするこれらの職員の充実の問題と同時に、これらの職員に対する待遇の確保の問題につきまして、政府として政府が負担いたしておりまする補助金の増額を、第二点として要求をいたしたいのであります。  第三点といたしましては、保險金の支拂いが現在の状態ではわれわれきわめて不滿でありまして、災害が発生いたしまして共済保險によりまして補填し得る部分というものは、まつたくその農民の受けた損害から申しまするならばきわめて微々たるものであるけれども、これを早急に農民の手に渡らすということは絶対必要な條件でございます。そういう観点に立ちまして、これは相互扶助的な性格の保險でございまして、保險料は農民自身が負担する部分もあるわけでございますから、そういう点で保險金給付が円滑に進められるように、政府としてこれは第一線の職員を充実するだけではなくて、政府全体として考えなければならぬ点である。かようにわれわれは考えるのでありまして、こうした保險の性格からいたしまして、公式的に特別会計でやるからという理由で、独立採算制を強調するということはわれわれとして賛成できない。その意味合いにおきまして、この共済保險の歳入不足一般会計から補填するということは適当なる処置である。かように考えまして、以上三つの点に非常に強い希望を付しまして、賛成するものであります。
  108. 川野芳滿

  109. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本法案に賛成をいたすものでございます。  本法案については問題はないのでありますが、政府の説明いたしております通り、昭和二十五年度の非常災害が発生した場合に備えまして、十二億五千四百五十四万円を予備費に計上いたしました関係から生じた不足額でありますから、一般会計からこれを補填することができるようにしておりますことは、当然の措置として賛成の意を表するものであります。しかしただいま田中君から、いろいろ農業共済保險自体についての問題が出されておるわけであります。われわれといたしましては、もちろん保險はあくまで相互扶助の精神に基いてやるものであります。むしろ現在政府がいろいろと補助いたしておりますのは変態的な現象である。しかしもつとさかのぼつて災害の予防ということについて根本的な対策を講じて、こういうような災害を全然なくする。最近においてことに災害が非常に多くなつておりますことは、根本的な対策に留意をしなければならぬ証左だと思うのであります。従いまして災害予防という点で、今後政府の努力を希望するものでありますが、なおまたこの保險制度自体について、あるいは保險料につきましても、地域別の問題とかいろいろな問題があると考える。それらについてはなるべく正常な方向に早く復帰すること、なおまた政府の負担もできるだけ少くすることというような考え方で、再検討していただく必要があると考えるものであります。その点はただいまの社会党の討論とは趣きを異にしておる次第であります。いずれにしましても早く正常な方向で、保險制度そのものについてのお考えを願いたい、かように考えまして本法案につきましては賛成の意を表する次第であります。
  110. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  111. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に賛成するものであります。  これに対しし強い希望を有するものでありますが、大体この特別会計は独立採算制を基本としているのでありますが、たびたびこの独立採算制である特別会計が一般会計から繰入れるということが繰込されております。しかし今回の場合は特別ないわゆる社会保障制度から考えて、当然の処置とも考えられますが、しかしごく最近の全国の農業災害というものは頻々として起つて参りまして、これに対しては政府も昨年度あたりから見ますと、公共事業費の大削減で、水害で荒された河川の改修というものはほとんどなつていなかつた。しかしこれを放置しておくということは、今後の農村方面の活発なる生産に対しまして、非常な障害となるのでありますから、十分この点を考慮に入れまして、今年度はぜひともこの河川の改修を徹底的にやつてほしい、こういう希望を持つております。またこの掛金の問題についても、国庫の負担がいま少し増大して行く必要があるのじやないか、こういう考えも持つております。また災害に関する末端の調査に関する手不足というようなこともありますので、この拡充もぜひしてほしい。それから保險金支拂いについては非常に迅速に行われていない点もありますので、この点も急速に支拂えるような手順にしてほしい。それからまたこれは東北だけの問題でありますが、東北六県並びに北海道方面の冷害地の單作地帶の農家から特に希望がありまして、ぜひ掛金の問題については米の超過価格で取上げてほしい、こういう希望と、それから掛金を冷害地に対して特別減額してほしいという強い希望が申し込まれておるのでありますから、この点を十分に今後政府にも御考慮願いたい。こういういろいろな希望條件を付しまして、本案に賛成するものであります。
  112. 川野芳滿

    川野委員長 竹村奈良一君。
  113. 竹村奈良一

    竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本案に強い要望をつけまして賛成するものであります。  まず最近におきますところの災害の増大の原因を探究いたしますならば、これは現在の政府の農業に対する根本的な一つの欠陥だと、私たちは考えておるのであります。その理由といたしますところは、民主自由党が組閣以来、年々いわゆる公共事業費の中におけるところの災害復旧等についての熱意の欠如、あるいは予算の削減等を通じまして、非常に災害がふえておる。その原因がここに現われて参つておるのであります。しかもこれによつてその災害を受けましたものが、実際においてその保險金の支拂いだけをもつてして、その災害の負担を充実できるかできないような状態になつておる今日から考えまして、まず根本的にはそういう対策を早急に樹立されることを特に要望するものであります。なお本会計は独立採算制を旨とすると言われておりますけれども、しかしそうするのにはそうするところの農業経営というものを考えなければならないのであります。今日農民諸君に対してとつておりますところ政府の政策から考えましても、はたしてこの会計を独立採算制といたしまして、農民自身の掛金によつて運営できるような域にあるかどうか。今日の米価を一つとつて見ましても、生産費をはるかに下まわつておる。これはいろいろな面において、あるいは米価審議会においても指摘されたごとく、一石において千円あるいは三千円というような形において、その原価が償われていない。原価以下に買い上げているような状態において農家の経営はでき得ない。いわゆる農業恐慌を前にしてこの独立換算制をとりますならば、おそらくこれは危殆に瀕するであろうと私たちは考えるのであります。少くとも私たちの考え方からいたしますならば、まず農業経営を実際に引合う程度に維持してのみ、独立採算制が成り立つものである。従つて米価にいたしましても、生産費を償う米価にした上においてのみ、独立採算制というものは強調さるべきだ、こういう意味からいたしまして、私はむしろこの保險金の負担は農民からやるのではなしに、国全体がこれを行うべきものであると私たちは考えておるのであります。また最近におきますところの国の負担部面以外に、共済組合各府県連合会におきましては、全国において約八億円の借金をしておる。この借金を、年々このような状態のもとにおいて激増するところの災害の中に返済して行くということは、とうてい不可能である。この問題に対しましてもあるいは中金からの融資、あるいは預金部等からの融資を考えているというのでありますけれども、融資を受けましたところで、その利子というものが農民の負担になつて来る。つまりこういう負担が耐えられないものになつて来ているところに問題があるのでありまして、この根本的な対策を早急に立てられることを特に要望いたしまして、そうして根本といたしましてはこの保險金の負担は全額国庫で負担すべきであり、あるいは市町村の職員の給與あるいはまた事務費等にいたしましても、これは全額国庫負担がしかるべきであるということを特に強調いたしまして、本案に賛成する次第であります。
  114. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  115. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り決定いたしました。     —————————————
  116. 川野芳滿

    川野委員長 次は失業保險特別会計法の一部を改正する法律案を議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。三宅則義君。
  117. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は民主自由党を代表いたしまして、ただいま議題となりました失業保險特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、賛成の意を表するものであります。  御承知の通り今日の失業問題につきましては、全国的に金詰まりの問題が起つたり、あるいは企業再建整備の途中にある、あるいは今度の復興につきましてそれに対しますところの失業者もあるわけでありますが、二十五年度におきましては常時失業保險を受けますものが、三十万人という見当でもつてつておるわけであります。いかにいたしましてもなお予備的に十億円ぐらいの予定をもつて、失業保險に関する基金を運用しなければならぬということを考えておる次第であります。つきましてはこれに対しまして、この法案によりますと一般会計及び郵政事業特別会計から、さらに積立金をも流用し得るということに相なつておるのでありまして、二十五年度の予算につきましては三十四年の積立金から流用せられるようにいたしたいというのが、本法案の提出せられた趣旨であると考えております。私ども考えますにつきまして、ぜひともわが国の現今の失業者を救済せしめるためには、あるいは公共事業費その他の事業を通じまして、これらの失業者の少くなるようにはかりたいということを、強く現内閣に要望いたしておるわけでありますが、これにつきまして本法律案は適当なるものと認めまして、原案に賛成する次第でございます。
  118. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  119. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に対しまして政府に対し重大なる警告を付して、賛成の意を表するものであります。それは現内閣が失業問題をきわめて甘く見ているということであります。昨年の第五国会におきまして政府がわれわれの反対にもかかわらず、むりやりに強行いたしました定員法による首切り整理を初めといたしまして、政府がいわゆるドツジ・ラインに忠実に従つておるという名のもとに、現に国民に押しつけつつある極端なデフレ政策の結果は、企業の大中小を問わず、著しくその経営を困難に陷れておるという見地から、政府事業、民間企業を問わず、相当の人員整理が行われつつある実情であります。それに対します政府の失業対策は、この失業者を出さないところの、結局労働に対する有効需要を増大せしめるというような施策の面において政府のとりつつある対策は、きわめて不十分である。そういうことがやはりこの失業保險に関する政府の処置にも現われて参つているのであります。われわれの見るところでは、来年度において政府が失業保險特別会計の歳入下足のために、大体本年度と同額の一般会計からの繰入れを行おうとするところに、本改正法案のねらいがあるわけであります。これは根本的に今申した政府の失業対策、ことに失業保險の面について、政府の認識が十分でないことを補うための最小限度の処置でありますから、われわれはこれに対してあえて反対するものではないのでありますが、この際われわれが政府に強く警告しておかなければならない点は、これはただいま可決になりました農業災害保險にも現われており、その他社会保障制度全般に現われているように、政府がみずからいろいろ社会上、経済上の災害が起り、また失業が起るような種をまいておきながら、それがあるいは失業とかあるいは農業災害とか、その他の社会的ないろいろな不幸な出来事となつて芽をふいて来る。この芽を刈取ることに対しての施策が十分でないという点でございます。われわれは政府が現にとりつつある経済政策全般について、根本的な反省を要求するとともに、その反省の上に立つて日本の再建の基盤である日本の労働生産力を確保するという見地に立つての施策を強力に進め、その一環としての失業保險制度の充実、こういうことでなければならないと信ずるのであります。さらに失業保險それ自体につきましては、現在の保險料についても、われわれはこれまたあらゆる社会保險については、当然国家がその責に任ずべきである、こういう建前の上に立つて、保險料の問題についても、国庫の負担の増大に向つて政府が一段と努力することを、強く要求するものでございます。  なおこの機会に、われわれは日雇い労働者いわゆる土建労働者の失業保險の問題について、政府に対して強く要望をいたしておきます。日雇い労働者に対しても失業保險の適用を見ることに相なつたのでありますが、現在の方法では、その目的が完全に有効に達せられるとは、われわれ認められないのであります。まさに極論いたしますならば、有名無実にひとしいと言わざるを得ないのであります。こうした日雇い労働者は勢い失業という不幸な社会的事実の上に立つて、失業救済の事業に多く従事しなければならない。その意味において、現在のわれわれの社会におけるきわめて気の毒な人たちであるのであります。もちろん就業時間あるいは就業場所等が、他の労働者に比べますならば安定性を欠いているという点があることは事実でございますけれども、そういうように就業場所または就業の時間等に安定性を欠いているだけに、これらの人たちに対する失業保險制度の充実した形における実施ということが、強く要望せられるゆえんでありますから、その意味におきまして今後政府においては、日雇い労働者の失業保險の充実の点について、格別の努力をしていただきたい。  最後に希望を付しておきたい点は、今回の歳入不足の補填にあたりましては、二十六億円はこれを従来の積立金から歳入補填に転用する意味の予備費にまわす。こういう構想に相なつているのであります。この失業保險における積立金というものは、これはその運用にあたつては、過去のいわば蓄積であります関係から、こうしたものに政府がたよるという行き方ではなくて、他の部面における国費の節約によつて——この失業保險の積立金をただちに、これを今後発生を予想せられる失業保險給付の増大に一時的に間に合せて行くような、そういう便宜的な手段は、できるだけ政府は避けるように努力しなければならない。  以上の諸点を強く希望として申し述べまして、本案に賛成するものであります。
  120. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  121. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして、あとで申し述べる希望條件を付して本案に賛成するものであります。  大体この失業を出すというような状態は、これは結局経済政策が不十分であるという点から起るのであります。たとえば長期資金の獲得のために株式市場がある。こういう場合にドツジ・ラインの忠実なる政策の結果、こういう経済状態を招来した。株価は下落する。そうして株式の増資または新規会社の株を発行する場合に、なかなかそれの引受手がない。それがために長期資金の獲得に困難である。そのために事業の採算がとれなくてとうとう失業者を出す。こういうような観点に立ちますと、これもあまりにも忠実なドツジ・ラインを堅持する関係じやないかと考えます。それから昨年度の暮れに、てこ入れ資金として百億を証券界に出したのであります。銀行に預託してこの操作をやつたのでありますが、大体はこれはほとんど市中銀行から日銀のふところに入りまして、一般の産業資金とならないで、銀行から銀行の手に渡つたというような状態でありまして、これもあまりに経済政策がふまじめな政策に終つたという結果になるのであります。こういうようなことから来るところの失業というものは、この失業保險をやる前に十分これを検討して、多くの失業者を出さぬような対策を研究する必要があると思うのであります。またこの法案に関しましても、社会保障制度の立場から言いますと、大いにこの制度は歓迎しなければならぬ案ではありますが、この保險の運用についても、十分今後御注意を願いたい。また今後起るところの行政整理の問題についても、あるいは機構改革だとか機構の廃止だとか、いろいろそういう状態で、また失業者を出す状態になるのではないかという心配もありますので、この点も十分考慮の上に、今後失業者を出さぬ方針でこれを改革してほしい。まだたくさんありますが、この点で私は以上の希望條件を付しまして賛成するものであります。
  122. 川野芳滿

    川野委員長 竹村奈良一君。
  123. 竹村奈良一

    竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、希望條件をつけて賛成するものであります。  まず社会党の田中君からも指摘されましたが、失業対策をやるといいましても、その前提をなすものは、失業者を出さないということを原則とした経済政策が行われなければならないことは、言をまたないことであります。しかし今日の状態を見ますと、政府の考えておるところの失業者数と現実の失業者の数とは、大きな開きがあるのであります。従つてこの保險制度だけでは非常に不滿足である。これだけでは決して失業者に対するところの完全な対策とは言い得ないのであります。まずこの一例を申し上げますならばいろいろありますけれども、たとえば農村におけるところの潜在失業者数についても、政府は言を左右にしております。けれども、少くとも二百万以上はあるとわれわれは考えておるのであります。またいわゆる引揚者に対するところの就職の問題、その他いろいろな問題がおおむねこれ失業者の増大になつておる。このことをわれわれは考えますときに、今日日本において失業者をどんどん充滿させて、失業対策を積極的に立てるじやなし、失業者をそのまま放置の形に置いておくということは、結局において日本は危險な状態のもとに置かれて行くのではないかと、われわれは危惧いたすのであります。失策者の増大は、結局においていわゆる経済政策の失敗によるところの中小工業や工業者の倒壊を通じて、失業者ができるのでありますけれども、これを防ぐためにというので、往々にして極端な国家主義者の利用によつて、あるいは戰争への道を、この失業者を防ぐんだという形において、いわゆる軍需工場等を起したらいいじやないかというような考え方を持ち、その宣伝の具に供される点が非常に多いのであります。しかもこの失業者の保険の給付の点を考えてみましても、少くとも六箇月たつたならばこれは切れる。その後において就職の道がなかつたならば、その人たちは別な日雇い等を行つたらいいのでありますけれども、その失業対策ですら不十分であり、そういう面において積極的な対策がなされておらない。なお日雇い労働者の失業保險の問題につきましても、これは大阪府の統計でありますけれども、日雇い労働者からとりましたところの保險金、これを今度給付する場合においてはいろいろな條件を付して、その一割くらいしか給付されていないような事実があるのであります。そういうような点を改善されることを特に希望いたしまして、本件に賛成するものであります。
  124. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終結いたしました。  これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  125. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  126. 川野芳滿

    川野委員長 次は国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案を議題として討論、採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。竹村奈良一君。
  127. 竹村奈良一

    竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして本案に反対するものであります。  まず反対をいたします第一の理由は、本法案におきますと大体見返り資金で三十億円を融資して、国有林のいろいろな施設を行うということになつているのでありますけれども、見返り資金そのものの使用につきましては、われわれ国民としていろいろ考えなければならないところの重大な問題であると思うのであります。たとえば見返資金はあたかもアメリカの援助である。国民の中にはこれは返還しなくてもいいというような考えが、強く流布されておるのでありますけれども、ここでいろいろ質疑の点から考えますならば、本見返り資金というものはやはり完全な債務である、こう言われておる。そういたしますと、この債務を現在まで統計的に考えますならば、われわれの考えでは見返り資金を含めて現在日本の債務となる、つまり返還しなければならないものは、おそらく一兆四、五千億になるのではないかと私たちは考えるのであります。この厖大な債務、この厖大な借金政策こそは、日本の真の経済的な独立への将来の道をはばむものである。従つて見返り資金さえわれわれ入手したならば、返還しなくていいのであるというような考え方から非常に粗末に使われておる。このことはわれわれは、将来の日本の講和條約締結後における日本の経済再建のためには、大きな障害になると考えるのであります。しかもこの国有林に対しましてはいろいろな経営の面において、あるいはこれを監督する面におきましては、国有林に対するいろいろな腐敗と不正があるがごときことが巷間伝えられておる。これに対して常にこれを嚴正に行うべき政府の監督たるや、われわれとしては非常な不満を持つておる。そういうことにおいてしかも借金政策においてこのことを行う。しかもそれがあたかも援助のごとく考えられておる面においてそういうような政策をとる、そういう施策をやるということに対しまして、われわれは全面的に反対するものであります。
  128. 川野芳滿

  129. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私は民主自由党を代表いたしまして、本法案に賛成の意を表するものであります。  ただいま共産党の竹村君から反対の討論がありましたが、それは本法案とは全然関係のないことであります。本法案は林業試験場を一般会計に移すという話でありまして、国有林野事業は国の会計であります。その中にこういうものが入つておれば当然いろいろな財産関係が不明になるということで、こういうような林業試験場を一般会計に移すという点においては、当然の措置だと考える次第であります。そのほか見返り資金の問題についてはただいまいろいろお話がありましたが、もちろんこれがただちにアメリカからの贈與だとはわれわれも考えておりません。しかし見返り資金がとにかく現在の戰争によりまして荒廃したわが国の状況として、何らかの意味で資本の復興ということが必要である限りにおいて、早急に復興を急ぎますためには、いずれにしても借金をしなければならぬ。そういうような意味合いにおきまして、アメリカから参ります見返り資金は依然として援助であり、借金にいたしましてもわれわれとしてこれを活用して、将来当然返し得るような事業に対してこれを使うということは十分な意味がある。従いまして国有林野事業というものにつきましても事業会計をはつきりして、そうして将来何らかの意味でこの見返り資金が十分活用せられるという態勢をつくりますことは、これまた必要なことであります。そういうような意味合いからいたしましても、本法案といたしましては試験場のようなものを一般会計に移すということで、それだけの十分な意味があると思うのであります。ただ一点経過規定として有償に取得しましたものは、試験場に無償で使用させるというような規定がありますが、私はなるべくこれも早く原則的に解決された方がいいのではないかというような気がいたしますので、その点だけ御注意というとおかしいのでありますが、御注意申し上げまして本法案に賛成の意を表するものであります。
  130. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  131. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、本案に対して賛成の意思を表明するものであります。  本法案の改正の要点はきわめて簡單なことでございます。従来この特別会計にありました林業試験場を本特別会計からはずして、一般会計へ持つてつた方が適当だろうという政府の判断に基いて、これを改正しようというのでありますから、この改正自体にはわれわれは別に反対する理由を見出さないという消極的な立場からではありますが、賛成をするのであります。ただここで言いたいのは、林業試験場を、この国有林野事業特別会計から一般会計へ移すということによりまして、今後林業試験場の機能が十分に発揮されるように、政府として考えなければならぬという点でございます。もちろん国有林野事業特別会計それ自体が、一応独立採算制の建前に立つておりますけれども、これはいわゆる公共的な性格を強く持つておるものでありまして、営利事業ではございません。従つてその点から申しまして、従来からも林業試験場をこの特別会計に置いてあつたがゆえに、特に林業試験場が充実されたということにはわれわれ見ないのであります。しかし特別会計におきまして相当の收益が上げられるというようなことになりますならば、一面これがこの特別会計の中に置かれておるならば、そういう方面からの林業試験場の充実ということもはかり得るという便益もあつたればこそ、従来これを特別会計に置いておつたのではないか、かようにわれわれは考えるのでありますが、企業的な性格を持ち、また運営をやらなければならない特別会計からこれをはずすということに対しましては、われわれは別に反対をいたしません。しかし一般会計に移しました林業試験——日本の治山治水の観点から見まして、また木材その他のいわゆる林産物の増強をはかるという点から見ましても、林業試験場が持つ任務というものはきわめて重大でありますので、政府におきましてはこれを一般会計に移した機会に、この林業試験場が真に日本——非常に山岳の多いところであり、それに林業に従事して生計をささえておる国民も多数にわたりますから、そうした国民の利益を積極的に増進させる見地に立つて、林業試験場の充実に、政府として格段の努力をすることを強く要望するものであります。  なお国有林野事業特別会計が、予算書によりますと三十億円の見返り資金を受入れて、これを運営して行くということになることは、本委員会における本案の審議の過程において明白になつて来ていることでありますが、この点に関しましては別途この見返り資金三十億を、国有林野事業特別会計に繰入れすることに関する法律案が出るという政府側の御答弁でございますので、この点に対する論議はその機会に実は譲りたいと思うのでありますが、ただこの機会に、国有林野事業特別会計の運用にありましてわれわれが強く要望しておきたいことは、いわゆる国有林の拂下げ問題につきまして、ともすれば政治的な圧力のもとに行われるという事実があるのであります。そうしたことは国民全体の所有に属します国有林野に関しまして、一部の階層の者にその国民全体の利益なり財産が独占せられるというような事態に相なるのであります。この点につきましては、国有林野事業特別会計の運営に当る政府当局として、特に注意してもらわなければならない点であります。同時に、最近における災害等の非常に多く発生する点から見ますならば、国有林関係におきましても森林資源の培養ということに重点を置きまして、積極的に造林、植林の面にこの特別会計におきましても重点を指向して運営されなければならない。この二点をこの機会に国有林野事業特別会計の運用について希望いたしまして賛成するものであります。
  132. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  133. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に賛成するものであります。  本特別会計は独立採算制を採用しまして、一昨年度からですか、一般会計から特別会計に組みかえになつたのでありますが、これも当時私らはこの営林関係については、あるいは営業的な材木屋のような状態になるのじやないかという非常な心配を持つてつたのでありますが、その後の状態を見ますと、大体黒字採算ということになりまして、非常にわれわれも喜んでおつた次第であります。そこでこの独立採算制から考えまして、その設備からこの林業試験所を一部だけ除外するというようなことは、本来の独立採算制から考えれば非常に不合理のようにも考えられるのであります。この問題についてはいろいろな議論もあります。しかしこれは一応健全なる林野行政上当然な処置としてお考えになつておる関係上、私もこれには賛成するものであります。しかし今後この見返り資金等で、林道の開発とかあるいは植林等をなさいまして、もう少し積極的に活躍してほしい。聞くところによりますと米材の輸入、それからまた南方からチーク材の輸入等が考えられているということも聞いております。これは林道の開発とかあるいは植林によつて防止することができます。またブナ材の開発などをやれば、輸入材の防止もできるのじやないかと考えているので、見返り資金の運用については特に林道開発ということに十分意をとどめて、この方面に積極的になつていただきたいということを考えまして、今後この農林試験場の関係においても、治山、治水の関係もありますので十分検討いたしまして、この植林関係とか、あらゆる研究を行われる試験場でありますので、特に積極的にやつていただきまして、この林野行政の上にぜひとも明るい面を開いていただきたいと思います。
  134. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔賛成者起立〕
  135. 川野芳滿

    川野委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  136. 川野芳滿

    川野委員長 次は国民金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に対しましてはすでに質疑打切りになつているわけでありますが、特に川島委員からの希望もございますので、川島委員質疑を許します。川島君。
  137. 川島金次

    ○川島委員 まことに恐縮ですが、討論に入ります前に、特別に若干の質問をさせていただきたいと思います。  まず私のお伺いいたしたいことは、この国民金融公庫というものは昨年の開設であつて、しかも政府は昨年十八億の資金をこの公庫に投資いたしたのでありますが、実際は庶民金庫にすでにその当時十二億の返済をすべき債務を負つてつたので、資金として実際に運用されるものはわずか六億内外でしかない形になつたのであります。昨年における一般庶民の金融も、本年とまさるとも劣らない逼迫の状況にあつたときに、さような僅少な資金の投資で、はだしてよく民生の安定を目標とするこの国民金融公庫の設立の趣旨が達成できるかどうかということにつきましては、われわれはきわめて強い疑問と主張とを持ち続けて参つたものであります。  そこでまずお尋ねをいたしたいのは十八億出資をして開設いたしました国民金融公庫の昨年中における——まだ年度中途でありますが、この金融公庫をたよりとして申し込まれました金融を受けたいと希望するところの人員はどのくらいあつたか。そうしてそれに対してどのくらい公庫は口数にして貸付をいたしたか。それからあわせてついでにお伺いします。限度は五万円でありますが、五万円以下の貸付のものがあつたかどうか。その五万円と五万円以下との比較はどういうふうな計算になつておるかということを、まず一点としてお伺いしておきたいと思います。
  138. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 お答え申し上げます。昨年六月出発いたしましてから十二月末までの間に、全国の二十の店にいらつしやいまして正式に申込みをなさいました件数が約五万件でございます。そのうちで金額にいたしますと約三十五億円に相なります。資金として調査その他の結果お貸出しのできましたのが一万二千件、金額にいたしまして約七億一千万円余であつたと存じます。それでもおわかりになります通り、大体において平均が七万円か八万円というところでございまして、件数から申しましても五万円、十万円、十五万円というところに大体集中いたしておりますが、金額的に申しますと二、三万円の小さなものから五十万円、ないし昨年の暮れからは限度を増額いたされまして、個人の場合には一件、普通の場合は五万円、特別の場合は十万円までできる。それから連帶の場合におきましては普通の場合は五十万円まで、特別の場合は百万円までできるというぐあいに、限度の引上げが国民金融審議会の審議の結果政府からお認めを願いましたので、かたがた最近におきましては五、六十万円という大きなところまでございますが、総体としてみますと先ほど申し上げましたように五万円、十万円、十五万円というところに集中いたしております。パーセンテージの方はまだ詳しく何万円、何パーセントというふうにできておりませんが、それでも大体おわかりになろうと思います。御了承願います。
  139. 川島金次

    ○川島委員 七億一千万円の貸出しだそうでありますが、前年度の予算から見ますと自己資金貸付が六億五千ほど、それから更正資金の貸付が五億、合せて十一億五、六千万円という予定になつておりますが、その十一億もある予定に対して七億一千万しか貸出しが実際にできなかつたというこの関係は、どういう事情でございましようか。
  140. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 ただいま七億一千万と申し上げましたのは生業資金だけでございます。従いまして更生資金の方は申し上げませんでした。更生資金の方は別に予定通り参つております。
  141. 川島金次

    ○川島委員 そうするとこの予定は六億五千のところを七億一千出した。しかも希望の件数は五万件に達しておる。しかるに実際の調査の結果貸し出したものは一万二千件にしか上つておらない。残る三万八千件に及ぶ多数の庶民の各位においては、どういう事情でこの貸出しが不可能になつたのか。そのおもなる事情を、簡單でよろしいから二、三点列挙してほしいと思う。
  142. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 先般も御説明申し上げたのでございますが、大体達観して申しまして全体の二割見当のお申込みは、私ども拜見いたしますと何と申しますか便乗的とでも申しましようか、お申込みをなされれば何か資金の割当の抽籤でもあるようなおつもりで、簡單に考えて窓口にお越しになる方がいらつしやるように見受けますが、大体それが二割見当に当るように今までのところ記憶いたしております。あと八割見当になるのでありますが、その中にやはり法律によつて独立して事業を営む意思を有して、しかも適切なる事業計画を持つておられるにもかかわらず、普通の金融機関から資金の御調達ができない、そういう方に対してお貸出しするわけであります。従いまして私どもの見方といたしまして、この二つの要件が、独立して事業を営む意思を有しておられ、しかも適切な計画を持つておられるかどうか。この将来の貴重な資金を御活用くださいまして、十分にこれを利用せられてお育ちになつて行くという客観的な何かございます方と、それが資金だけを御融通申し上げましてもその他の事情で、たとえば資材の入手の関係でありますとか、あるいはその販路の関係でありますとか、あるいは何かその他の理由によつてどうもおぼつかないと思われる方、こういうふうに大体二つにわかれるのでございますが、それが大体半々の見当になるのではないかというぐあいに観測いたされます。大体約五万件のうちで一万二千件ということになりますのは、私どもとしては十分に御調査——と申すのはどうかと思いますが、お越し願つてお話をとつくりとひざをかわして伺いましたり、またお宅に伺つたり、また工場の現場を拜見させていただいた結果、このお方ならばあらゆる意味において大事な資金を十分に御活用でき、しかもお仕事がこの上とも伸びて行くに相違ないという認定ができるものから、順々にお貸付をしておるという状況であります。ただ同時に何分にも資金が思つたよりは少いのでありまして、予算に現われました面よりは、彈力條項によりまして貸付の回收金は、それをそのまま予算を超過しても貸付ができるという條文がございますために、過去において庶民金庫の貸し付けました資金が約五億円ございましたので、それの回收が大体順調に行つておりますから、それをつけ加えまして、昨年末までには大体七億余の貸付ができた次第でありますやそれをもつてしても、私の感じではもう少しありませんければ十分な貸付ができないということは、日夜痛感いたしておるのであります。大体そういうぐあいに感じております。
  143. 川島金次

    ○川島委員 二十四年度の回收貸付金は、予算においては一億二千六百万円ほどあります。この回收の成績が順調だというお話がございましたが、まだ年度に幾らか余裕がありますので、どの程度になつておりますか伺いたい。
  144. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 ただいま回收と申しましたのは二口にわかれるのであります。一つは庶民金庫時代に無盡会社あるいは市街地信用組合等に対しまして、中央機関業務をいたしております。その場合に対金融機関の貸付が約五億円あつたのであります。その回収はほとんど済みました。それが新しい生業資金の貸付資金として使われておるわけであります。それから六月以降の貸付につきましては、大体月賦ということを原則といたしておりまして、毎日何がしかずつ御返済を願つておるので、これの十二月末までの累計が約一億二千万円見当に上つておると思います。これも百パーセントちやんちやんと御返済願つておる状況でございますので、先日も申し上げたことでありますが、そういう状況から考えましても、私どもの貸付が当初の計画通りに、きわめて有効に行われているという一つの証拠になるのではないかとも考えられまして、非常に喜んでおるということを御報告申し上げる次第であります。
  145. 川島金次

    ○川島委員 もう若干聞きたいのですが、先ほどのお話の貸付金の七億一千万円というものは、希望者に対して資金にもう少し余裕があれば、さらに一万二千件以上の貸出しができたのであろうが、七億一千万円にとどめたのは、結局においては資金が僅少であるがための事情によつて、この程度にとどまつたのではないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  146. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 大体資金がいま少しく潤沢でありましたならば、いま少しお貸出しが可能であつたろうし、また十分にそれが御利用願えたであろうということは、貸出し当局の私どもとしては痛感いたしておるところでございます。
  147. 川島金次

    ○川島委員 そうすれば、今の五万件に対する一万二千件の残り三万八千件の中で、資金さえ余裕があればもう少し広く貸付ができたであろうということを、お認めになつたのであろうと思うのであります。そこでさらにお伺いしますが、今度の十二億の増資によりまして、昨年の六月以来からの申込みの事情、または現在もすでに相当の申込みが殺倒し、それが滯留されておる面が多いと思うのでありますが、この十二億程度の増資によつて、一体需要に対してどの程度の貸付ができると思つておられますか。
  148. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 来年度二十五年度におきましては、新たに政府から御支出願います十二億、それから回收を大体六億円と見込んでおりまして、年間に十八億円でございます。過去約半年余の経験から御当局にはしばしば申し上げ、御当局もある程度おわかりになつておることと思うのであります。大体年間私どもから見まして、三十五億から四十億見当は必要ではないかというくらいに考えられるのでありますが、その半分見当になるのではないかと思います。ただいろいろな意味合いからただいまかくのごとくになつておるのでありますが、御当局の方におきましても、たとえば預金部の資金でありますとか、その他の資金の御活用について、私どもの方の貸付資金としてそれを御利用なさるということについて、いろいろお考えになつおられるという話でありますので、そういうことが一日も早く実現しますことを、私どもとしましては希望いたすものでございます。
  149. 川島金次

    ○川島委員 さらにお伺いしますが、今度の十八億の自己資金貸付で、総裁のお話のようにまつたくそれは二階から目薬といつた感があるじやないか。一体この十八億をかりに五万円一口として計算いたしましても、全国で二十五年度中に貸せる口数というものは三万六千、この三万六千を都道府県に割当てますならば、一府県別七、八百人の者しかこの国民金融公庫の利用ができないという実態である。おそらく今日の中小商以下の営業者あるいは事業者の資金の需要は、金融機関に耐えることのできない件数で、数十万件に上るとさえわれわれは想像しておる。そういうときにあたつてわずか五万円平均といたしましても三万六千口、いわんや十万円、二十万円という口があるとすれば、三万円程度あるいは三万円以下という形にもなるのでありまして、実際の商業者たちの資金の需要に応じたとはほとんど言えないような形であつて国民金融公庫がせつかく設立されましても、その使命が十分に達成できないことはきわめて明らかな事柄であります。その意味におきまして、ことに総裁は政府に対してその点について十分の折衝を遂げたものと、私は思つておるのでありますが、どうしても新しい出資金十二億以上の資金が獲得できなかつたというその辺の事情は、一体どこにあつたかという点について、一言正直な話を伺つておきたいと思うのであります。
  150. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 たいへんむつかしい御質問でございますが、先ほど申し上げましたように、大体前年を通じて三十五、六億から四十億見当は何とかして調達いたしたいと思いまして御相談を申し上げ、また関係方面ともいろいろとお話をいたして参つたような次第であります。ただ財政のみならずいろいろな点を考えられまして、一応来年度における政府からの御出資は十二億円、また回收金を入れまして十八億円、一月平均一億五千万円の新規貸出しという予算に相なつたのでありますが、先ほどからも申し上げました通り、あるいは預金部資金の活用というような意味合いにおきまして、新規資金の調達は将来において必ずしも不可能ではありません。また道がふさがれておるわけでもありませんので、そういつた点をさらに強く推進することによりまして、なおこの上とも潤沢に資金を調達いたしたい。政府当局におかれましても大体そういうふうな御方針であるように聞いております。私もさらにそれをこの上とも勉強するつもりなのでありますが、ただいま申し上げましたような事情を御了承願いたいと思います。
  151. 川島金次

    ○川島委員 もう少しお伺いしたいのですが、先年政府が十八億の出資をいたしますときに、十三億余万円の債務の償還をしてしまつたわけです。本年もここに五百二十万ほどの債務償還金が出ておるわけです。この五百二十万ほどの債務を償還いたしますならば、公庫といたしますれば、もう債務はなくなることになるかどうか、その点をお伺いしたい。
  152. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 五百二十万円はたしか恩給金庫関係の定期の恩給証券でありましたか、債券でありましたか、それの償還の期限が今年参つたりしますので、五百二十万円に対しまして少い金額でありますが、なお若干次年度に残るものがあつたかと記憶いたします。金額はきわめて微々たるものであつたと思います。
  153. 川島金次

    ○川島委員 最後にお伺いいたしますが、この公庫の予算の中に三千七百五十万円かの減価償却が見積られております。二十四年度は九百五十万、こういう数字になつて現われております。公庫の減価償却というのは多分建物か何かと思うのですが、どういう事情になつておりますか。これを簡單でよろしいが、ちよつと御説明を願いたいと思います。
  154. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 この減価償却三千七百五十万、本年は三千七百万でありますが、これは貸付金の減価償却と申しますか、滯り貸準備金的な性質を持つたものが大部分であります。なお若干恩給金庫から引継ぎました権利義務に、結局若干の欠損がございましたので、その欠損を償却して行く分が含まれております。大体は滯り貸準備金的な性質を持つております。
  155. 川島金次

    ○川島委員 そうすると、公庫は相当に貸倒れというものを見積つておることになるのですが、この三千七百五十万円の中で、そういうことを予想して織り込んである数字はどのくらいになつておりますか。
  156. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 貸倒れを予想するということは、私どもの立場といたしましては——現住まで申し上げましたように百パーセント回收に相なつております。これが幾らに相なるかということは、何とも申し上げかねるのであります。ただいろいろな客観情勢、経済情勢の推移に伴いまして、場合によりますればどうしても滯ることもあり得ると思いますので、これはただその準備のためにいたしておるのであります。大体千万円見当じやなかつたかと思つております。
  157. 川野芳滿

    川野委員長 田中織之進君。
  158. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これは公庫の総裁よりもむしろ政務次官からお答えを願いたいのですが、国民金融公庫で取扱います例の更生資金の関係でございます。これを前年度と同じように五億円に政府はすえ置かれておるのであります。これは引揚者が主でありますが、この更生資金の需要面を考えてみます。と、これではきわめて不十分だと考えるのであります。二十五年度になつて引揚げて来る数はおのずから減少して参ると思いますけれども、やはり引揚者の中には現在なお住むに家のない者もあります。政府は別途住宅金融公庫等を考えておられますけれども、終戰直後の状況のもとに帰つて参りました引揚者のバラック建も三年、四年目に入つ参りますと、だんだん雨漏りもして来るという実情であり、最近におけるデフレーシヨンの進行に伴いまして、これら引揚者諸君は経済的に非常に窮迫した状態にございます。これをすえ置かれた理由、これで引揚者の資金的な面が十分滿し得るかどうか、こういう決定をなされました大蔵当局、並びにもし厚生省の関係者がおられれば、その両者からお答えを願いたいと思います。
  159. 水田三喜男

    ○水田政府委員 おつしやる通り確かに更生資金の需要が相当必要であることは考えておりますが、今年の五億は前年度の貸出金が回收されますので、それを入れますと大体九億六千七百万、これだけの資金が貸せる見通しになつております。五億と言つても昨年よりは四億六千三百万も資金がふえることを予定して、大体この範囲でまかなえるのではないか、こういうふうな考えで五億ときめたわけであります。
  160. 田中織之進

    ○田中(織)委員 大体前年度に貸し出した五億の中から四億数千万円がもどつて来る見込であるというそれ自体が、私は非常に甘い見込みだと思う。最近の引揚者の生活の実情から見ますならば、私はこれではとうていまかないきれない、かように考えるのであります。この際この更生資金のみならず、政府出資の十二億も当然新年度に入りますと同時に、政府の方から一括して公庫の方に入れられるものだと思いますが、そのように理解してよろしゆうございますか。
  161. 水田三喜男

    ○水田政府委員 先ほど申しましたのは、去年貸したのをことし四億六千万円回收するというのではございません。三十一年度からすでに二十三億の貸付を行つておりますので、それのことし返つて来るのが大体四億六千万円ということで、おつしやられるように、そう実情を無視してみんな引揚げてしまうというのではございません。  それから出す時期は厚生省と相談の上で、適当な時期にできるだけ早く全額出したいと思つております。
  162. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本案を議題として討論採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。三宅則義君。
  163. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私は、ただいま議題となりましたる国民金融公庫法の一部を改正する法律案に対しまして、民主自由党を代表し賛意を表するものであります。  この主たる目的は、政府出資金十八億円を三十億円に改めるというのであります。これにつきまして、私どもは政府当局と質疑応答を重ねたのでございます。わが国の金融難を打解いたしますために、庶民金融機関として国民金融公庫が最も大切な役割を示しておることは、申すまでもないことであります。ただいまも総裁並びに各当局から説明を伺つたのでありますが、私どもは国民金融公庫は生業資金とし、引揚者あるいは戰災者等に対しましては親心ある同情ある精神をもちまして、これに資金を融通することにしていただきたい、かように考えておるものであります。ことに大銀行におきましては、これらに対しまする貸付はなかなか調査に時間を要し、事実は貸すことが困難な状況にあります。これを打開するものは、ひとしく国民金融公庫がこの役割を演ずるものであると確信いたしております。この法案の内容を検討してみますと、二十五年度におきまして政府は小口貸代金に十八億一千三百万円、更正資金貸付に九億七千七百万円を計上しておりまして、合計二十七億八千百万円を貸し付けたいという構想であります。これに対しましてはただいま申し上げました政府出資が十二億円、更生資金の受入れが五億円、貸付金の回收が十億七千八百万円、余裕金が二百万円、合計三十七億八千万円が充てられておるわけでございます。私どもは今回の改正法によりまして、国民金融公庫がこの金融難を打開するために万全の策を講じて、われわれ国民大衆から喜ばれるようにしてもらいたいということを強く期待いたしたいと思います。  以上の諸点をもちまして、私どもはこの国民金融公庫の一部改正法案に対して、賛成の意を表する次第であります。
  164. 川野芳滿

    川野委員長 川島金次君。
  165. 川島金次

    ○川島委員 政府は口を開けば中小企業の金融の打開、そうして財政によつてデフレ的な現象を救うごとに熱意ありと、口頭では闡明いたしておりまするけれども、今もつて中小企業に対する積極的な果敢な施策も行わず、しかもその中小企業の金融に対する無能な政策の結果といたしまして、さらに小事業、小営業者に次第に強力なしわが寄せられて、今や中小企業の金融は、まつたく救うべからざる事態に入つたのではないかとさえ言われておる事実であります。財政政策の均衡予算はさることながら、その均衡予算を実施するがために、一方においてはまじめな、しかも必要な中小事業が破産、倒産の俘目にあい、その数が今や漸次多く全面的に広がつて来ようといたしておりますことは、政府といえどもこれまた認めざるを得ない現実の姿であるのであります。こういうときにあたりまして、昨年設定せられました国民金融公庫の精神は、言うまでもなく一般市中銀行にたよることのできない小営業者、小事業者の窮状を救うことが重大な設立の使命であり、それが精神であるはずであります。しかるに昨年より本年にかけてさらにますます金融は逼迫を告げまして、ただいま申し上げましたように全国的に中小事業、営業者の倒産、破産を見ておるという今日の実情に当面いたしておりながら、政府国民金融公庫に対して新たに出資をいたします資金は、わずかに十二億という僅少な額である。かくのごとき金融政策をもつていたしましては、とうてい日本の産業の基底をなすところの中小企業、及びそれに準ずる小事業及び営業者の存立は、きわめて危殆に瀕するということは明瞭に言い得られるところでございます。この点につきまして政府はもう少し目を、全産業及び最も窮乏の底にあえいでおりますところの中小企業、及びこれに準ずる事業の打開に対して、積極的な施策、積極的な熱意を持つべきであるということを、私どもは強く警告をいたすものであります。しかしながらせつかく出て参りましたこの十二億も、なきにまさるものとわれわれ考えまして、本案に賛成するものでございます。どうぞ今後政府はさらに国民に公約いたしました民生の安定の線に向つて、しかしてこのデフレ的現象の犠牲となつておりますところの中小事業の救済のために、さらに積極的な熱意を持つべきであるということを重ねて強く要求いたしまして、本案に賛成をいたす次第であります。
  166. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  167. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして、本案に賛成するものであります。  今日の金融難の状態を見ますと、一般の大衆は原則として市中銀行に借りに行くのでありますが、市中銀行はなかなかこれに応じてくれません。しかるに国民金融公庫が昨年度開設されまして、本年度も改正案を本院に上程されておるのであります。この全体的関係についてはわれわれは賛成するものでありますが、しかしまだまだ資金の面については消極的ではないか。またもつと更生資金なり生業資金の範囲を拡大してほしい。またこの更生資金の中には一人一万五千円というような、現代の時代にはあまり不向きな金額もありますので、これをもつと上げてほしい、こういう希望を持つのであります。また嚴格な選定によつてまじめな気持をもつて事業をやる人々に対してはぜひ融通してほしい。それから往々にしてこの資金が生活面に流れて行く危險が多々あると思うのでありますが、この面について十分国民公庫も御指導願いまして、小資本が合同して共同企業なりあるいは合作社みたいな企業体をつくることを積極的に奨励しまして、なるべく資金の活動範囲を広くしていただく、こういうようなことにぜひ国民公庫当局に御指導願いたいということを希望いたしまして、本案に賛成するものであります。
  168. 川野芳滿

    川野委員長 木村榮君。
  169. 木村榮

    ○木村(榮)委員 御承知のように国民金融公庫は、庶民金融金庫と恩給金庫とが発展的に合併いたしまして、国民金融公庫として国民の金融に貢献するという目的で昨年発足いたしましたが一その後の状況を見ますと、当初の目的のような方向へはうまく発展していない。政府の統計を見ましても、昨年一月から九月までの間に、日本の小工場だけでも七千工場以上が閉鎖をしました。このための失業者だけでも二十四万人出ておる、こういつたことがはつきり出ております。しかもその大部分の原因は、七〇%までは金融難であるということを政府の統計自体が明示しておるのであります。こういつたときにあたつてそれにまた加えて引揚者あるいは小さい商売人というような、能力は持つていながらしかも金融の面で融通が受けられないから何もできないというような人たちが、全国にたくさんあることは私が申し上げるまでもないことだろうと思います。そういうときにあたつて、この公庫が果す役割はきわめて重大であると思うのですが、今までよりもすずめの涙ほどでもふえましたから、あえて反対するわけには行かないから賛成はいたしますが、しかし今年度予算を見ましても、たとえば債務償還の面などにおいては厖大なものが計上してある。こういうときにあたつて国民金融公庫の方にはほんのわずかな金がまわるということでは、この逼迫いたしました日本の一般国民の金融状態には、おそらく大した貢献はできないと思う。しかし増額になつておるのでありますから、減つたよりはいいわけであります。しかし増額されましても、昨年度なんかの運営状態を見ますと非常にでこぼこである。しかもこの支所のないところなどでは、市街地信用組合などが代理業務をやつておりますけれども、いろいろな條件をつけてなかなか貸さない。こういつたことはほんとうの趣旨に沿わないと思いますから、そういつた点を改善していただきたい。そうして各県に少くとも駐在員あるいはそういつた役割を果すような者を置きまして、そうしてこういつた公庫ができておるということすらもまだ知らぬ者がたくさんおりますから、そういつた点を市街地信用組合その他と連絡いたしまして国民に知らしめて、国民の中からも、この公庫の資金をふやしてもらうような運動を起すというようなことを特にやりたいと思つていますが、こういう点も御勘案になつて、ひとつ今年は国民金融公庫の意義を積極的に国民の間に御宣伝なさると同時に、もつともつと増額なさるような方針を立てていただきたいという希望條件を付しまして、賛成をいたそうと思います。
  170. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  171. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  172. 川野芳滿

    川野委員長 次は開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題といたします。本案に対しましても質疑終了となつておるわけでありますが、田中委員から質疑の申込みがございましたので、特にこれを許します。簡單に願います。
  173. 田中織之進

    ○田中(織)委員 連合審査会と並行的に本委員会が開かれておりましたために、質問ができませんでしたが、この問題に関連してぜひ政府当局にただしておきたい点がございますので、特に委員長にお願いしたわけであります。  山添局長もお見えのようでありますから、三、四点伺つてみたいと思います。終戰後の食糧事情の窮迫事態の中に、政府は開拓計画を立てて今日に至つたのであります。この問われわれは開拓計画は非常な成功を收めたと信じておるのでありますが、政府当局においては過去の開拓計画というものについて、どういうふうなお考えを持つて本年度の予算を立てられたかということについて、まずお伺いしたいのであります。かような御質問を申し上げることは、ほかでもないのでありますが、この開拓資金融通特別会計の二十五年度における貸付金の総額が、前年度より約七億数千万円の減少を見ておりますが、何ゆえ政府は二十五年度において十三億そこそこのもので、この開拓計画を推進して行くというお考えになつたのか。二十四年度より減額した根拠について、率直にお答えを願いたいと思います。
  174. 山添利作

    ○山添政府委員 御承知のように開拓者に対する資金の融通は、三年間にわけて貸しておるわけであります。しかして三年たつと償還が始まるということに相なりますが、昭和二十五年度におきましては、新しい入植者を一万戸と予定しまして計算を立てております反面に、昭和二十一年あるいは昭和二十二年に入りました人は、三十五年度からは金の貸付が切れるわけでありまして、全体としての戸数が少くなるので、そういう点で金額上減少いたしたわけであります。それから一戸当りに貸し付ける額につきましては、物価に応じてスライドして参ります。従つて最近のようにだんだん高くなつて参りますれば、増額をいたすわけであつて、増額をしております。
  175. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その点はわれわれの手元に配付されたこの資料によりましても、年々ことに内地においては戸数がふえているということも、検討しなけらばならないのであります。これは二十五年度において入植戸数を一万戸と立てたというところに原因があるようには、私も察しておつたのであります。そこで私が最初に伺いましたように、大体開拓計画というものは成功したと見ているのか。それともこういうようなものは、どうでもよいとお考えになつておるのか。その点について局長の所見を伺いたいのであります。
  176. 山添利作

    ○山添政府委員 開拓が成功したかいなかということにつきましては、いろいろな見方がありましようが、農林省といたしましては必ずしも不成績だつたとは考えておりません。緊急開拓計画を立てた当時の計画から見ますと、当時は再五十万町歩見当開拓するという考えでございましたが、現在まで土地を收買したもの、あるいは国有林の保管転換等を受けたものを入れますと、おおむね百三十万町歩になつておるのであります。その中で開墾できるものは七割程度の面積かと思います。と申しますのは、実際に畑にいたすほかに薪炭林、採草地等もございますので、そういうことになつておるのであります。実は私も農地局の方に参りましたのは新しいのでありますが、それまでの考え方としては、開拓者が苦しんでもてあますのではないかという感じを、率直に言いますと持つてつたのであります。開拓者自身の生活につきましては、当初入りましてからおおむね三年程度経過いたしておりますが、開拓地に行つて、開拓者の諸君とも直接会つていろいろ話を聞きますと、おおむね前途に光明を認めた、ようやく基礎ができ上つたというように見受けられるのでありまして、この点につきましては、開拓を知らざる者が考えておりましたようなことはないというふうに考えておるのであります。何にいたしましても現在実際に定着しているものが、十四万戸前後だと考えるのでございますが、そういう開拓にはかなり金がかかるわけでありまして、道路をつくるとか水を引くとかいうような仕事におきましても、これは予算関係上なかなか思うにまかせません。開墾自身は二十五年度の予算でおおむね半分程度は行くはずになつておりますが、そういう建設工事の方は、これよりも見劣りをいたしておるような状況であります。また住宅等にいたしましても、三十五年度において一万戸建てますが、やはりまだ四万戸くらいは不足をいたしているということで、今度の開拓政策といたしましては、やたらに戦線を拡げて行くということよりも、すでに入つております多数の人たちの生活を安定せしめる、既存の開拓地を充実して行くというところに、重点を置いて進みたいという考えであります。申すまでもありませんが、元来開拓ということは農政としては根本問題の一つでありまして、ある時期に開拓をやり、ある時期にはやめるというような性質のものではございません。戰後は食糧関係その他多くの海外からの引揚者の関係等で、非常にスケールを大きくしたのでございますが、今後の考え方といたしましては、既存の開拓地を充実して行くということに重点を置いて、あとは恒久的な意味において堅実に開拓地を拡張して行くという考え方を持つております。
  177. 田中織之進

    ○田中(織)委員 戰後農林省が本格的にこの開拓問題を取上げましてから、この開拓によつて造成せられた耕地面積、あるいは開拓民の建てました建物、そういうようなものを評価いたしますと、大体どの程度のものが生み出されておりますか。またそれに対して政府の方で直接的融資、あるいはいろいろな補助金等の名目で幾ら出されておるか。その点についてひとつ数学的に御説明を願いたい。山添局長はどこに気がねをするのか知りませんが、開拓政策の成功のことについてきわめて謙讓の態度で申されておるのでありますが、われわれは日本の戰後の農業における開拓政策のきわめて顕著なる功績をたたえたい立場にありますので、その点についてひとつお示しを願いたいと思うのであります。
  178. 山添利作

    ○山添政府委員 今のバランス・シートは実はつくつたものがあるのでありますが、手元に持つておりません。私が謙譲のように言われましたが、実は私の責任上から申しますると、本来ならばもつともつと予算をもらわなくちや十分できないのでありまして、従つて現在の開拓者の諸君に対しましても、私の立場から申しますると、実は予算的に不十分さを感じておるのであります。開拓政策そのものは農政の根本的な問題でありまするので、確実なる計画のもとにあくまでも進めるということにはかわりはないわけであります。
  179. 田中織之進

    ○田中(織)委員 われわれが推定いたしたところによりますと、終戰後の開拓によりまして新しく生み出されたものは、相当の金額に達するのであります。それに対しまして政府が資金的な面やいろいろな面においてカバーしました部分は、われわれに渡された資料の中にも図解入りで入つておるのでありますが、わずかに七一%、私はこれは今日これらの開拓に従事した人たちが努力して参りましたものに対して、まだまだ政府としての援助が足りない、かように考えておるのであります。そこで山添局長も予算をもつとほしいと言われたことによつて、われわれは了解できるのでありますが、前年度に比べますと多少——二十一年当時融資した古い部分が返還されて来ることは当然でありますけれども、金額を減したということに対してわれわれはきわめて不滿なのであります。そこで角度をかえてお尋ねしますが、融資の形による資金的な供給の面において、今度の計画の通りになつておるのでありまするが、大体二十五年度において開拓に関連いたしまして、政府が直接支出せられようとする予算はどの程度にありますか。開拓の指導費というような名目で若干あるようでありますが、これは私積極的にこうしたいわゆる計画開墾という面に、この金を使われておらないように承知しておるのであります。局長も言われますように、新規にどんどん面積を手広く広げて行くというよりは、むしろ現在手をつけておる所を、りつぱな灌漑設備あるいは電化設備とまでは行けないにいたしましても、道路の問題その他既墾地と何らかわらないレベルまで引上げて行くという面に、力を注がなければならぬと言われるのでありますが、そういう面で開拓地に対して向けられる直接的な政府の補助金、その他の名目のものがあろうと思うのであります。資金的な融通という形以外の政府が開拓政策の推進のために使おうとする費用は、どのくらい二十五年度予算に計上されているか、御説明を願いたいと思います。
  180. 山添利作

    ○山添政府委員 開拓関係で支出します営農関係の金はごくわずかでございまして、営農指導員を五百名見当置いておる、あるいは保健婦を二百名見当置いておる程度でございます。主たるものは公共事業費の中に含まれておるわけであります。開墾関係の公共事業費といたしましては、内地関係におきまして二十六億八千万円、北海道関係におきまして、十二億五千万円、それだけございます。
  181. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そうした公共事業費全体は、非常にわれわれが不滿足としておる程度にささいなものであります。この二十六億円は、たとえば土地改良とかそういう面についての部分だろうと思いますが、これが全部開拓地に振向けられるわけにも参らない事情はわかるのでありますが、いずれにいたしましても、少くとも吉田内閣の開墾政策に対する方針はきわめて消極的になつて来ておるということが、この面からも言えると思うのであります。山添局長はきわめて謙讓にしか開拓政策の成功を申されませんけれども、私は相当の成功を收めておると思う。従つてこれをもつと積極的に推進することこそ、現内閣農村政策の中核でなければならぬと思う。ところが逆に、今度の資金融通の面においても減額されておるように現われておる。これは農地改革の打切りというような暴挙と関連を持つのでありまして、われわれはその点では非常に遺憾に思うのであります。ことに開拓事業を、限られた資金あるいは国費をもつてこれを完成して行く点から、あまり間口が広げられないという点はよくわかるのでありますけれども、それだからといつて、いわゆるわれわれが要求しおる未墾地の開放という面に、旧地主勢力というものがもつぱら逃げ込んでいる。そういうものを援護するような意味で、開拓に当然必要な経費を十分出さないというような政府の腹づもりが、われわれにまざまざと見せつけられるので、その点をきわめて遺憾に思うのであります。  そこで最後に私伺つておきたい点は、国営開墾が行われておりまする開拓地の開拓民に対する国からの譲渡の問題でございますが、一応仮渡しというような形に相なつておるのであります。最近これを本格的なものに譲渡するための最後の測量が行われておるようでありますが、実情を見ますと、局長も申されておりましたが、七〇%程度を実際に耕地化するということであります。私の先般調査したところによりますと、たとえば和歌山県の西牟婁郡の白浜における国営開墾地でありますが、開拓地におきましては最初仮渡しを受けたものの中で、実際開拓しておる部分がきわめて少い面積になつておる、そこでこれは京都の農地局の方で、再割当のような形でやつているのでありますが、自分の耕して開拓いたしましたりつぱな耕地が人の分に割当てられ、自分に割当てられる部分が、よそのまだ石ころがごろごろしているような土地が渡つているというような、きわめて不都合な結果が現われているのであります。もちろん農地局では、図面によつてつているようでありますが、その点についてはこれをせつかく努力して参つたのでありますから、自分の土地にしたいという開拓民の気持をくんでやつていただいて、早急に開拓したものを彼らに国の方から拂い下げるという形をとつてつていただきたいと同時に、その場合にはただ図面によつて割当を行うということではなしに、十分実地調査をやつていただきたいと思いますが、そういう準備があるかどうかということが一点。  もう一点は、やはり開拓地における收獲物に対する供出義務の問題でございますが、開拓地によりますと、全然水稻等の生産ができない面があります。ことに独身でやつているようなものに対しましては、その面から申しまして——これは岡山県が非常に供出が過剰であるという面から、開拓民に対して特別の考慮が携われない関係にあろうかと思いますが、これは農地法の関係から見ましても、やはり收穫が一定するまでの間は、供出責任は彼らに負わすべきではないと思います。開拓地における生産物の供出に対する特殊な取扱いの点、この三点について、農地局長としてどういう御方針で臨まれるか、お答えを願いたいと思います。
  182. 山添利作

    ○山添政府委員 土地の売渡しでありますが、初めに入りました時分には何らの計画なしに入つた時代がありました。これを地区ごとに正確な開拓計画を立てまして、道路の位置、土地の区画割当等をいたしまして、その上で売渡しをすることになつているのであります。従つて多少食い違う点等も出て来ているところもあろうかと思います。しかし実際そうは言いましても、その人の開墾したところをその人に当てることは、あたりまえのことでありまして、地区開拓計画をを立てますにも、何も机上で立てるのではありません。実地に参りまして立てるのでありますから、その辺はお述べになりましたようなところが例外的にあるか存じませんが、実地に即してやつていると考えております。またお述べになりましたようなことがありますならば、趣旨としては、その人の開墾したところをその人に割振るのは申すまでもないことだと思います。  供出につきましては、実は開拓地に対しては、相当開拓地の事情を考えたやり方をいたしております。面積にいたしましても、府県から農林省へ持つて参りますものを基礎にいたしておりますから、実は相当少い。それから收量は、通常の土地の三分一ということに見ております。従つて全体といたしまして、開拓地は供出の面においてはよほど保護されていると思うのであります。ただ地元に参りましてうまく行つていない場合には、少数の人が多くの負担をすることは、これは絶無とは申しませんけれども、そういう方針でしばしば通牒等もいたしておりますし、事前割当はそういう計画でいたしております。  なお先ほどの点でちよつと誤解があるようでありますから、申し上げておきますが、内地で三十六億、北海道十三億五千万円というのは、これは開拓地だけの予算でありまして、干拓等は含んでおりません。それから費目で申しますと、道路をつけるというような金額におきましては、二十四年度と二十五年度とは同額でございます。しかし開墾作業の補助金、この方は二十五年度におきまして、内地において三億八千万円の増加、北海道において一億七千九百万円の増加、それから住宅の戸数、單価等も増加いたしているのでありまして、私はその全体としてまだまだ少いと考えておりますので、実は大きいことは言わないのでありますが、政府といたしまして十分考えてやつている。ただ財政上のわくの中で制約をされている。こういうことを申し上げておきます。
  183. 川野芳滿

    川野委員長 それではほかに質疑もありませんので、本案を議題として討論、採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。田中織之進君。
  184. 田中織之進

    ○田中(織)委員 ただいま山添局長に質問を申し上げた際にも申し上げましたように、私は戰後の日本の農業政策の上において成功をした部類の開拓政策、これは現在の日本農村の実情並びに日本の経済の実情から考えまして、さらに積極的に推進しなければならないというわが社会党の建前に立ちまして、本案はきわめてわれわれとしては不滿足ではありますけれども、本案に対しては賛成の意を表するものでございます。  政府農村における旧地主勢力等の反撃の前にたじろぐような形が見えております。その意味において、われわれが未墾地の開放、開拓を中心といたしました第三次農地改革の実行を迫りましても、まさに逆の方向を進まんとしているのであります。そうした情勢の中にこの開拓政策を進めるということは、非常な困難なことであろうとは思いますけれども、今日日本食糧事情を考え、また本委員会において連日検討いたしておりまする食糧管理特別会計、あるいは食糧配給公団等の予算の内容等を検討して参りますと、輸入食糧を多量に入れるがために、相当国民として大きな血税の負担をしているということが言えるのであります。そういう面を考えますならば、われわれは何も自足自給経済というような狭い角度から申し上げるのではありませんけれども、こういう開拓政策を推進することによつて、失業救済にもなり人口問題の解決にも資せられるという、国内政策として強力に食糧問題の解決を促進する方策があるにかかわらず、そういう面をなおざり——と言うと強過ぎるかも知れませんが、消極的な態度をとり、一方輸入食糧の増加によつて、いろいろ現在日本が国際的に置かれている立場も考えなければならないとは申すまでもありませんが、現実に国民が大きな負担をしている。純経済的な観点に立ちますならば、むしろ開拓政策というようなものをもつと充実し、進行させることによつて、この問題の解決、国民負担の軽減をはかるべきが当然の処置だ、かように考えるのであります。  その意味において開拓民はもちろん、開拓関係の人たち、また日本農村の民主的な建設を希求する側から申しますならば、この開拓資金の融通額もさらに倍、三倍にふやされることを強く希望しておるわけでございます。金額はきわめて不滿でございますが、これが有効に使われることによりまして、開拓政策の仕上げをすると同時に、国内食糧の増産確保という面に寄與せられることのその効果を期待いたしまして、本案に賛成するものであります。
  185. 川野芳滿

  186. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 私は民主自由党を代表いたしまして、開拓者資金融通特別会計において貸付金の財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案に、賛成の意を表するものであります。  本案は開拓者資金融通法による農地の開拓者に対しまして、営農資金十億九千五百四十五万円、共同施設資金として九千四百三十五万円、合計十一億八千九百八十万円の貸付を計画いたしまして、その額を一般会計から繰入れようという趣旨であります。総額につきましてはいろいろ問題があると思います。しかしとにかく現在の段階におきましては、これらの貸付金に借入金なり公債によるというわけには参りません。ドツジ・ラインに従いまして何としても税金の中から支出しなければならぬという状況であります。またこの金額につきましては、すでに計画されておりますところ従つて、一応支出されておるわけであります。なおまた開拓事業そのものに対します公共事業費は、昨年よりもふえておるようなわけでありまして、現在の段階におきましては先ほど政府委員からの御説明もありました通り、まつたく不滿足ではありまするが、やむを得ないということを了承いたすものであります。しかし経済が安定いたしましたあかつきには、現在の日本の行くべき道として考えますと、開拓者に対するいろいろな助成の道ということには、相当力を入れていただかなくちやならぬ実情にあることも、何人も否定し得ないところでありますので、将来にわたつて相当開拓事業に対する計画の見通しを持たれまして、十分御努力願いたいのでありますが、現在の段階におきましては、この法律案一般会計からこの程度の支出をしていただくということにつきまして、われわれは賛成せざるを得ないのであります。以上をもつて私の討論といたします。
  187. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  188. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に賛成するものであります。  戰後の食糧事情から考えまして、この自給自足態勢をとろうというような考え方から、開拓事業も非常に盛んに行われて参つたのでありますが、しかしその実際の成果が上つているかというと、われわれはそうは考えていないのであります。従つて今後もう少し真劍に開拓事業をやつてほしい。かりにここで東亜が戰場になつたというような場合には、海外から食糧輸入することは非常に困難になつて参ります。その意味合いからこの開拓、開墾ということは非常に力を入れまして、なるべく食糧の自給自足態勢を整えてほしい。また現在輸入されている食糧状態を見ましても、これは国民の血税によつてある程度まかないをしておる関係上、これをぜひ食糧自給態勢に持つて行くという意味合いから、この開拓資金の関係は私は当然のことだと思うのであります。また開拓に関して特に意をとどめてほしいものは、水田ということが盛んに言われていますが、なかなか水田事業というものは困難な事業でありまして、たいていの開拓や開墾はがけだとか山の傾斜面をやつておる状態で、蔬菜をつくつて都市に近いところならいいが、遠いところはとうてい不可能だという意味合いから肥料関係も非常に不足する。やみで買わなければならぬという意味合いから、この開拓に関して陸稻なり麦の耕作奨励をぜひしてほしいと思うのであります。  それからまた開拓者が旧来の居住しておる居住民の摩擦を受ける点も多々耳にしておりますが、こういう点も政府においてはぜひ力を入れてほしい。  また家畜の資金等についてもぜひ御融通のほどを願いたい。こういうことを申し上げましてもう少し積極的に開拓事業に力を入れてほしいと思うのであります。
  189. 川野芳滿

    川野委員長 竹村奈良一君。
  190. 竹村奈良一

    竹村委員 開拓事業の重要性はいろいろ言われておりますが、まず第一には国内の食糧輸入を減少して行くという見地からも一番重要な点でありますけれども、しかし従来の開拓に対しまして、その開拓地の成功、不成功というようなことが国内において問題になつておるということ自身が、今日の開拓事業というものが不徹底であるということを意味しておると私は思うのであります。その第一の原因といたしましては、山林原野の開拓に対しましていわゆる人力を主とされておる。機械力というものが使用されていない。こういうような点、しかも入植者に対するところの生活の保障というものがなされていないという点、こういう点からも非常に今日の開拓地の適不適、成功、不成功が論ぜられるような状態になつて来たのであります。これをまず拂拭しなければならぬと同時に、問題は農村のいろいろな人々の潜在失業者を就職せしめる一つの方法といたしましては、まず第一に今日不要な国有林野の開放、これを大々的に機械的開墾を行い、そうしてその中に入植せしめて行つて生活の安定を期せしめて行くというようなことが、積極的に取上げられなければならないのでありますけれども、現政府はこういうような面からもほとんど開拓に対しまして、あまり積極的な立場をとられておらない。また土地の国有林野の開放に対しましても、全然これを行わないような方向に持つて来ておる。しかも農地の改革問題に対しましても逆もどりするような方向で、国民大衆が要望しておりますところの第三次農地改革にも、反対しておられるような立場をとられておるのでありますが、こういう点を改めて、今後は積極的に日本の国策としての開拓事業を行われるよう、特に強く希望するわけであります。  なおもう一つ問題を考えていただきたいことは、このわずかしかないところの開拓者に対するところの補助金の使途につきましては、巷間二、三ではありますけれども不正に使用されておる。そうして開拓者の一部のいわゆるボスと言われるような人によつて、ある程度の金が不正に使用されておるというような事件が、現に起つておるというような事実から考えましても、今後開拓事業に対しましては、十分その効果を発揮するような十分なる施策を講ぜられることを強く希望いたしまして、本案に賛成する次第であります。
  191. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  192. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  193. 川野芳滿

    川野委員長 次は公団等予算及び決算暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題として質疑を続行いたします。小山長規君。
  194. 小山長規

    ○小山委員 公団等予算及び決算暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案につきましては、もはや質疑は出盡したと思いますので、本案に関しましては質疑を打切りまして、ただちに討論、採決に入られんことを希望いたします。
  195. 川野芳滿

    川野委員長 小山君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  196. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がありませんから、これより本案を議題として討論、採決に入ります。討論は通告順によつてこれを許します。田中織之進君。
  197. 田中織之進

    ○田中(織)委員 私は社会党を代表いたしまして、本案に強い希望意見を付しまして賛成するものであります。  十一にわたる公団その他の政府機関の経理に対する政府としての統制を行うために、昨年本法案が制定せられたのでありますが、当時もわれわれはこれはいわゆる純然たる官庁機関ではないけれども、きわめてそれと密接な関係にあり、また国民の納めまする税金その他によつてまかなわれる部分が多いのでありますから、そういう意味では、これは当然国会に予算決算ともに出すことが至当であるということから、われわれ賛成したものであります。本改正案に盛られておりまする点は、新たにできまする国民住宅金融公庫並びに船舶処理委員会の会計に関しましても、その予算決算ともに国会の議決を要することを必要とする、この法律の適用の範囲に入れようということでございますので、その意味においてこれに賛成の意を表するものであります。しかしながらここ数日来の本委員会におきまして、この法律の適用を受けておりまする食糧配給公団予算をめぐりまして、各委員諸君の間に連日にわたつて質疑応答が行われておることによつても明らかなように、公団経理の内容につきましては、これはひとり食糧配給公団のみならず、相当われわれが追求しなければならない問題があると思うのであります。  次に今回の食糧配給公団の国会に提出せられました予算の中においても、きわめてずさんなものがあるのであります。そういうようなずさんなものを国会に出されては、別に国会としては政府機関のように手足を持つておらない関係から、またともすれば議会における多数党によりまして、十分の審議ができないままに、その案件についてのわれわれの態度を決定しなければならぬということに相なりますると、せつかく議会を通すという形にはこの法律なつたものの、議会を通つた形でわれわれ国会議員は責任を負わなければならないにもかかわらず、実際にはわれわれが責任を負えないような問題が発生する危險性がなしとしないというどころでなくて、ありありと見られるのであります。われわれはそういう意味におきまして、本法律によつて規制せられるところのこれら政府機関の予算及び決算等の作成及び執行にあたりましては、政府は十分責任を負わなければならぬと思うのであります。同様なことは、大体現内閣の方針で公団等も逐次廃止せられて行くような形になるのでありますが、今申しましたような点における十分なる注意と監督を欠きまするならば、どうせ廃止されるのだからということで、いいかげんな形で赤字をこしらえて、それをまた国民の血税によつてしりぬぐいしなければならぬというはめに陷るのであります。そういうことはわれわれ国民としては絶対に耐えられないことであります。特に国民の負託に基いてそういう点を監視する立場に置かれておる国会の責任は、きわめて重大といわなければならないのであります。本法の運用にあたりまして、以上申し述べましたような諸点につきまして、政府が十分留意すると同時に、監督は嚴重にやるけれども、またいろいろ仕事の分量もだんだん多くなつて参るにもかかわらず、政府が一般公務員と同様に、これらの関係機関の職員を低賃金でくぎづけすることによつて、ますますこれらの機関の経理内容が非能率的なものになるという傾向にありますので、十分監督を嚴重にしていただくと同時に、これらの関係機関に働く者が十分その能率を発揮して、国家国民全体のために奉仕できるような待遇改善について、政府は特に考慮を拂わなければならない。これはまつたく不生産的な仕事をやつておるという部類ではないのでありまして、ある意味から見れば、これは官庁会計というようなわくで縛られないところの一つの経営体をなしておるのであります。その点においてこれは公務員と同日に断ずるというようなことが、たとえば食糧公団における一度使いました包装材料の集荷のために、六億何がしという莫大な費用をかけなければならぬということになるのであります。そういう面にかける費用があるならば、むしろ関係公団職員の待遇をよくすれば、もつと能率的に行くとわれわれは確信いたしますので、特にそれらの運用上の点について政府の嚴重なる注意を喚起いたしまして、本案に賛成するものであります。
  198. 川野芳滿

  199. 前尾繁三郎

    ○前尾委員 ただいま議題となりました公団等予算及び決算暫定措置に関する法律の一部を改正する法律案に対しまして、私は民主自由党を代表いたしまして賛成の意を表するものであります。  ただいま社会党の田中君からいろいろお話がありました公団予算に関しましては、従来予算として出されなかつたものが最近に出された。これは一つの大きな進歩であります。従つてまだふなれのためにかなりうまく運用されていないのもやむを得ないとは思いまするが、とにかく一部に疑惑の目をもつて見られておるということについては、相当政府としても注意していただかなければならぬことだと思うのであります。ただいまお話ではありましたが、政府も十分その点は御注意願いたいのであります。ただ私はこの法案につきましては、第一には、住宅金融公庫と商船管理委員会が設置された場合に、当然その適用を受けることでありますので、当然のことであります。改正の第二点につきましても、手続を明確にしようというのでありまして、これまた当然の措置であります。また第三点に関しましても、予算の執行に関しまして新たに支出負担行為及び支拂いの計画について、統制を行おうというわけでありますので、きわめて適切なる改正だと考える次第であります。従つて私はこの改正案に対しましては、滿腔の賛意を表する次第であります。
  200. 川野芳滿

    川野委員長 宮腰喜助君。
  201. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 私は民主党を代表しまして本案に賛成するものであります。  この公団の問題につては、一昨々日以来奧村委員よりも再三追究されておる通り、非常に疑点のある問題がたくさん現われて参るのでありまして、この疑点の現われるところは結局運営のやり方がまずいのじやないか、こういう誤解を持つて参るのであります。そういう意味からこの公団経理なり決算なりに十分御留意願いたい。今度できる住宅金融公庫並びに商船管理委員会の問題でも同様であります。国民が今非常な税攻勢に追われまして非常に困つている際に、こういうような公団が赤字を出したために、これに一般会計から繰入れるということがときどき起る危険がありますので、十分この内容を検討しまして、ぜひ国民の誤解の起らないような経営の仕方をやつてほしい、こういう希望條件をつけまして賛成いたします。
  202. 川野芳滿

    川野委員長 竹村奈良一君。
  203. 竹村奈良一

    竹村委員 私は日本共産党を代表いたしまして、本案に賛成するものでありますが、ただ一点だけ申し上げておきたいことは、大体公団経理等につきましては、非常に国民が疑惑を持つておるのであります。これはもう済んだことでありますけれども、薪炭特別会計におけるあの赤字の問題、あれは薪炭特別会計が廃止されるというときになつて、当然ああいうような赤字が出て来たので、そういう面からして、公団にもこういうことが行われていないかというようなことが、国民の疑惑の中心であります。たとえば現在食糧公団に対する方面につきましても、いろいろ問題になつておりますが、ともかくもこういうふうにして議会に予算決算を出して来るというだけで、議会が通ればそれでいいというようなわけではないのでありますがゆえに、特にこういう点につきましては政府においても責任を持つて、もし公団等が解散される場合に、突然国民のあまりあずかり知らぬ間に、莫大な赤字が出て来るというようなことのないように、特に注意されんことを希望いたしまして賛成いたすものであります。
  204. 川野芳滿

    川野委員長 討論は終局いたしました。これより採決に入ります。本案に賛成の諸君の起立を願います。     〔総員起立〕
  205. 川野芳滿

    川野委員長 起立総員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  なおこの際お諮りいたしたいことがございます。それは委員会報告書作成の件についてでありますが、本委員会におきましては付託される議案が数多いので、委員会報告書作成の件について一々委員会に諮るという煩を避けるため、この際一括して、今後の委員会報告書作成につきましては、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、この点御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  206. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、さよう決定いたします。     —————————————
  207. 川野芳滿

    川野委員長 次にアルコール專売事業特別会計から一般会計への納付の特例に関する法律案を議題として質疑に入ります。
  208. 田中織之進

    ○田中(織)委員 その問題に対する質疑に入ります前に、食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案について、政府から出されました資料のうちで、寒冷地手当と石炭手当の問題につきまして、緊急に大蔵当局にただしておきたい点がありますので、その点の質疑をお許し願いたいと思います。
  209. 川野芳滿

    川野委員長 それは後日にして、本案に対する質疑をお願いしたいと思います。
  210. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それではその質疑が終りましてから、本日、あとでそれを許してもらいたいと思います。
  211. 川野芳滿

    川野委員長 三宅則義君。
  212. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私はアルコール專売事業特別会計から一般会計への納付の特例に関する法律案につきまして、御質問いたしたいと思うのであります。このアルコールはわが国の酒類におきましても相当重要な地位を占めていると思いますが、これが実際どういう状況にありますか、大要を承りまして、さらに質問を進展して行きたいと思います。
  213. 長村貞一

    ○長村政府委員 現在いわゆる專売アルコールとして製造されておりますアルコールの数量は一二十四年度といたしましておおむね三万二千キロリツターばかりでございます。これが酒類及び工業用にそれぞれ利用されることになるわけでございます。なお工場といたしましては、現在政府の直営工場といたしまして全部で十三の工場がございます。民間の工場といたしまして專売アルコールを生産しております工場は総計九つでございます。この政府の十三の工場と民間の九つの工場と合せまして、ただいま專売用のアルコールを生産しているわけでございます。  先ほど申し上げました生産量のうち、用途別に申し上げますと、これは概数でございますが、合成酒その他の酒をつくります酒類の原料として振り向けられますものが、おおむね九千キロばかりでございます。それから各種の工業用の原料といたしまして振り向けられますものが概数一万八千キロばかりでございます。そのほか、御承知のようにガソリン等の液体燃料がきわめてきゆうくつになつて参りましたので、一部を液体燃料用として消費することが必要と考えまして、昭和二十四年度といたしましては、まず五千キロばかりこの方面に向ける計画をいたしているわけでございます。大口の用途として特に申し上げますのは以上のようなものでございます。
  214. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 この專売アルコールを拂下げいたしますにつきましては、これがどういう経過になつておりますか。たまにはいろいろふかしぎな点があるということも聞いておりますので、この点について御当局の御答弁を承りたいと思います。
  215. 長村貞一

    ○長村政府委員 ただいま申し上げました十三の国営工場のうち、若干のものを残しまして、他は民間から強い御希望がございました場合にはこれを拂い下げまして、民間の経営に移すのが適当ではないかという考え方を持つているわけでございます。アルコールの生産及び消費の状況は先ほど申し上げましたようなことでございまして、なお今日の状況では、これはあるいは工業原料用といたしまして、あるいは酒類の原料用といたしまして、非常に重要な用途を持つております工業生産物でございます。しかしながら従前十三の工場を経営いたしまして、アルコールを生産いたしておりました時代と今日とは、経済事情その他もよほど違つておりますので、今日の情勢からいたしますならば、民間から強い希望がありました場合におきましては、これを相当数民間経営に移しましても、さしつかえないのではないかと考えているわけでございます。しからばどの工場を残し、どの工場を民間に移すかという点でございますが、この点につきましては、まだ具体的にどれどれの工場を民間に移す、あるいは残すということは確定いたしておりません。またこの民間拂下げの具体的は持運び方等につきましても、ただいま関係当局あるいは国税げあるいは大蔵省の管財局その他の関係当局とも、いろいろお打合せをいたしておる次第でございます。
  216. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 アルコールを民間に拂い下げるということもよく承つたのでありますが、この価格数量等についてどういうような上昇になつておりますか。これに対しまする価格の受拂い等について構想がありましたら承りたいと思います。
  217. 長村貞一

    ○長村政府委員 ただいまの御質問は民間に拂い下げましたあとの問題ですか。
  218. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 拂い下げる段階においての金銭の授受、貸借、決算等に関する構想を承りたい。
  219. 長村貞一

    ○長村政府委員 品物の受拂いの現状ということでございますか。
  220. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 アルコールをおつくりになつて市場にお出しになつたり、あるいは工業用品として出したり、あるいは合成酒として出したりいたします。そういうことについて金銭の授受、貸借いろいろあるはずだと思いま。その点を承りたい。
  221. 長村貞一

    ○長村政府委員 アルコールは御承知の通り今專売品になつておりまするので、專売価格及び收納価格を定めまして、民間工場で生産されますものはこちらで一ぺん專売品として買い受け、またこちらから受渡しておるわけでございます。そのこまかい数字については説明員から説明を申し上げます。
  222. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もちろん現実にはわからぬかもしれませんが、大体この資料も一応委員にお配りくださるとけつこうだと思いますが、いかがでしようか。
  223. 長村貞一

    ○長村政府委員 今の受拂いにつきましての金銭出納等の数字は、今ここで資料として持つておりませんので、後ほど申し上げることにいたしたいと思います。
  224. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう二、三点あるのですが、アルコールの原料の購入に対する事情はここに書いてあるわけでありますが、これらについて、いわゆるアルコールの原料を製造いたしまするものとの間の状況を、もう少し詳しくお話願いたいと思います。
  225. 長村貞一

    ○長村政府委員 ただいまの專売アルコールの原料としては、北海道においてはばれいしよが主になつております。それから内地におきましては大部分がかんしよでございます。それからこれはごく一部分でございますけれども、輸入いたします糖蜜を使用しております。このうち輸入糖蜜は一般の輸入手続によつて輸入したものを使用するわけでございます。かんしよ及びばれいしよについては、御承知の通り主食として統制されておるものでございますので、御承知公団から国営工場において買い入れまして、そうしてつぶしておるわけであります。
  226. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 農村におきましてかんしよの購入をある程度まで制限するということを聞いておりますが、今政府といたしましてはどの計画でもつて二十五年度やられる計画でありますか。ちよつと承りたい。
  227. 長村貞一

    ○長村政府委員 二十五年度の生産用としては、大体国内工場で次に申し上げるようなことを考えております。生かんしよとしておおよそ千七百万貫、それからほしかんしよ、つまり生かんしよの切ぼしでございますが、これが千九百万貫、合せまして三千六百万貫になります。それから先ほど申しました民間経営の工場につきましては、生かんしよとして千七百万貫、それからほしかんしよとして六百万貫、合せて二千三百万貫、先ほど申しました国営工場の三千六百万貫と合計いたしますと、五千九百万貫という数字になります。
  228. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 あまり長くなるといけませんが、もう一、二点伺います。アルコールを液体燃料等に利用する場合があると考えております。これについて相当改良せられた点もあろうかと思いますが、これについての技術的方面の構想を承れますれば光栄であると存じます。
  229. 長村貞一

    ○長村政府委員 先ほど申しましたように、本年度はおおよそ五千キロのものを液体燃料として消費する予定でおりました。これは御承知の通りガソリンに比較しますと、いわゆる燃料としての効率が二割前後惡いと思うのでありますが、むしろ問題はただいま申しましたような点よりも、価格の問題にいろいろあるのではないか思います。技術的にさらに液体燃料として專売アルコールあるいは無水アルコールというものを改善する余地もあろうかと思いますが、特に液体燃料用としてのアルコールの技術的改善と申しまする点につきましては、今日でも相当の点に行つておりますので、むしろこれについてまた使用する面の基本的の問題もあろうかと思います。
  230. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私どもはいわゆる液体燃料としてガソリンが必要であることはもちろんでありますが、このガソリンにかわるわが国の液体燃料としては相当アルコールというものを精製して、こういうものにガソリンにかわるような性能がありはしないかと思つておるのであります。もちろん私は科学者でありませんからわかりませんが、これらに対しては政府として相当研究を進めて、液体燃料としてガソリンに類するようなものができるのではないかとも思つておるのですが、この方策について政府はどうお考えになつておるか承りたい。
  231. 長村貞一

    ○長村政府委員 ただいま申しましたように、私どもとしても液体燃料用としてのアルコールには一番重点を置いております。従いまして燃える方のアルコール自身としての改善につきましても努力しておりますが、同時にまた先ほど申しましたように、これを使う場合のエンジン自身のそれに適応するような装置その他の方法をもつて、こういうものについてもさらに積極的な考えをもつて努力いたしたい、かように考えております。
  232. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 私が今通産当局に言つておるのは間違つておるかもしれませんが、およそ役所には相当な自動車がある。もちろんガソリン車であろうと考えておりますが、役所の局長や課長は往復は自動車、われわれ国会議員はテクシーだ。(笑声)こういう面から考えまして民間にも相当ガソリンを出す、もしガソリンを出さなければ、これに代用するところの液体燃料を出す、こういう方策を講ずることが通産行政もしくは大蔵行政としても必要であろうと思いますが、この辺に関する御構想はないかどうか承つておきたい。
  233. 長村貞一

    ○長村政府委員 ただいまの御意見実はその通りでありまして、私どもも一般に液体燃料としてのアルコールをできるだけ使つていただきたいと思つております。その意味で先ほど申した五千キロというものを液体燃料として売り出しております。来年はこれ以上の数量を供給いたしたいと考えております。
  234. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 もう一点伺いますが、私は少くとも今日われわれが国家に貢献いたし、また立法府に参画する以上は、今の役所の自動車を半分減らして、申分は国会にまわしたらどうかと思う。これに対する通産当局の御構想を承りたい。
  235. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 ただいま官庁の持つておりまする車は半分国会へまわせというお話でありますが、これは予算を組みまして、また近く来年度予算を組む時期があろうと思いますから、そういう際において一つの問題として考てみたい思つおります。
  236. 三宅則義

    ○三宅(則)委員 一つの問題じやなくて、もつと能率を上げて国会議員も、行政官庁である政府の役人も、やはりお互いに国民を思い、国家の行政の運用に貢献するのでありますから、この二十六年度にはぜひそうした構想を石原次長も構想の中に入れておいて、真劍に研究いたされんことを期待いたす次第であります。
  237. 西村直己

    ○西村(直)委員 簡單に次長にお聞きしておきたいと思いますのは、実は先ほどのアルコール工場の拂下げの問題でございます。これを政府委員の御説明によつて伺いますと、民間業者の熱心な声によつてと、こうおつしやるのでありますが、はたしてそうであるのか、あるいは政府がそういう方針をお立てになつたかどうか、その辺をはつきりさせていただきたい。
  238. 長村貞一

    ○長村政府委員 私の申し上げ方が多少不行届であつたかもしれませんが、民間から特に拂下げという強い希望がありましたので、政府がかような方針を確立したという意味ではないのであります。政府として今日の情勢から見ますならば、ある程度の工場拂下げは行つた方がよろしかろう、かように存じておるわけであります。ただそれにつきましてお受けくださる方の御熱望があつた場合拂い下げたい、こういうわけであります。
  239. 西村直己

    ○西村(直)委員 十三工場とおつしやいましたが、今は時間もないと思いますから、あらためて資料で具体的に事業能力や従業員数を確実にいただきたいと思います。  それから次に拂下げの方針につきまして、いま少し私は政府の具体的な責任のある御答弁をお願いしたいのでありますが、本日は時間もないのでこれは留保いたしておいてけつこうでありますけれども、問題はいろいろ業界が動いておるように聞いております。その間におもしろからぬうわさも聞いておる。もちろんこれはうわさであろうと思う。しかしながらこういつたものにつきましてはいろいろ疑惑を生みやすいと思います。また逆に今度は従業員の方で相当これに関心を持つて大きく動いておる。また一部にはこれを煽動する者がある。私は政府国有財産というような大きなものを拂い下げる場合においては、国会に十分なその意思の惨透をはかり、かりに執行機関であいまいである場合には、時の政府において非常な責任をとらなければならぬ問題だと思う。従つてアルコール工場の拂下げの問題につきましては、後日時間を十分にとつて、政務次官あるいは局長あるいは大臣から、十分なる説明を承りたいということで留保しておきます。
  240. 小山長規

    ○小山委員 私も拂下げの問題をお伺いしたいのでありますが、ただいまの御答弁によるとまだ具体的にきまつていないというお話であります。ところがここに出ておりますところの作業資産及び固定費産において、一億四千三百万円の減少を見込んである。この見込みというのはこの工場売却の見込みでは奪いのでありますか。
  241. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 工場売却の見込みではありませんので、これは先ほど化学局長から申し上げましたように、原料はいもをもつてつくつておるのでありますが、従来はいもの統制がございましたので、ほしかんしよを年度の終ります以前においてまとめて相当買つておきまして、ストツクを持つてつたわけであります。それが今度いもの統制がなくなりました関係上、随時必要なときに買うことになりましたので、そのために持越しのストツクが減じた、それだけであります。
  242. 小山長規

    ○小山委員 固定資産と書いてありますが……。
  243. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 固定資産及び作業資産と書いてあるかと思いましたが、固定資産は実に逆に増加をいたすのでありまして、その数字を今ちよつと申します。固定資産の方は三千百七万四千円増加いたします。作業資産の方は一億七千四百七十七万三千円でありまして、差引一億四千三百万円というものが減、少いたすことに相なります。
  244. 小山長規

    ○小山委員 先ほど伺いました専売アルコールの売却の内容を承つておりますと、約三割が酒類の方にまわつておる。そうして民間会社も相当酒類をつくつておるのでありますが、酒類の方にまわして民業を圧迫しておるという実態はございませんか。それともこれは民間で足らないから専売アルコールからまわしたのでありますか。
  245. 長村貞一

    ○長村政府委員 民間でつくつております酒類原料用のアルコールで足りませんので、その分を国営工場からまわす、かような形であります。
  246. 小山長規

    ○小山委員 そうしますと酒類用のアルコールというのは今後漸減して行く、つまり民間の清酒工場がふえるに従つて漸減して行くものと了承いたしてよろしゆうございますか。
  247. 長村貞一

    ○長村政府委員 先ほど申しましたように、工場が民間に移る等の関係から、民間がふえますれば自然この分は減つて参るということになります。
  248. 小山長規

    ○小山委員 それから今度別の面で伺います。糖蜜の輸入量については聞かなかつたのでありますが、実はかんしよの統制撤廃にあたりまして、農村では専売アルコールに対するかんしよの売れ行きがどうであろうかということは、相当関心事なのであります。それで糖蜜による燃料アルコールをつくつた場合と、かんしよによつてつくつた場合との間の採算はどのように違つておりますか。
  249. 長村貞一

    ○長村政府委員 先ほど申しましたように、二十四年度におきましては糖蜜を使つております。三千トンばかりでございます。これはかんしよを使いました場合よりもコストの面ではかなり切り下げ得るものでございますが、二十五年度におきましては実は糖蜜は使用する計画を持つておりません。いろいろな事情から二十五年度は、全部先ほど申しましたさつまいもあるいはばれいしをもつてアルコールをつくる、かように考えております。
  250. 田中織之進

    ○田中(織)委員 かんしよの統制撤廃とアルコールとの関係に、つきましては、ただいま小山委員から質問のありましたように、農村としては非常に関心を持つておるのであります。ここに出ておりますように作業資産の面における一億七千万円の減を見込んでおるということでありますが、ほしかんしよは多少の貯蔵がききますし、政府の方での買上げが三十五年度大体四億万貫とわれわれ聞いておるのでありますが、かんしよの統制が二十五年度四億万貫を除いたあとは、いわば自由に売買されるような形になるのであります。そういう段階に入りましてもアルコールの專売は継続される方針であるかどうか。
  251. 長村貞一

    ○長村政府委員 原料でございますいも類の統制の関係はまつたくかわつて参るわけでございますが、アルコールの専売につきましては、今日のところではただちにこれを廃止する考えは持つておりません。これはいましばらく諸般の情勢を見まして、また検討いたしたいと思つております。
  252. 田中織之進

    ○田中(織)委員 そういたしますと、確かにアルコール専売の方でも相当の益金をあげておるのでありますから、財政需要の点から見ましてもそうであると思うのでありますが、そういう建前から申しますと、先ほど西村委員からも指摘されましたように、政府の直営の十三工場の幾つかは知りませんけれども、民間に拂い下げるという問題はわれわれどうもぴつたりしない問題で、むしろ矛盾する問題ではないかと思うのです。いもの統制の撤廃を見越して、政府の工場の拂下げについて運動と申しますか、相当行われておることもわれわれ聞いておるので、その面からアルコール専売の当局である通産省の出方を、実はわれわれ見守つておるわけであります。これは申し上げるまでもなくわかりきつたことでありますけれども、九州あるいは関東においてもそうでありますが、私の郷里の和歌山県等においてもかんしよをつくる以外には、ほかの作物をつくれないという地帯があるわけです。そこで食糧としてのかんしよの買上げというものが非常に少くなつて参り、あとはアルコール原料等の工業用に使われるものしか確保されない限りにおいては、これらかんしよ以外にほかの作物がつくれないという地帶の農民は、実に深刻なる打撃を受けるわけなんです。またそういう点で大体本二十四年度におけるアルコール生産の計画というようなものも、先ほど承つたのでありますが、先ほど三宅さんからも指摘されましたように、たとえば燃料用としてアルコールの用途を広めるというような関係において、アルコール全体に対する需要はまだまだとにかくふえるのではないかと思うのでありますが、その点化学局長として、どういうようにアルコールの今後の需要についての見通しをもつておられるか。
  253. 長村貞一

    ○長村政府委員 アルコール全体の需要といたしましては、たとえば酒類原料のアルコールにいたしましても、これまた結局大衆消費の酒に対する有効需要等の関係から、この面のアルコールの需要もふえて参るということも私は考えられると思います。また燃料用といたしましても、先ほど御指摘もございましたように、液体燃料用としてのアルコールは、私どもの方もむしろこれをなるべく使つていただくという方向にもつて参りたいと思いますので、この方面の需要もあろうかと思います。同様にまた工業用の原料といたしまして、あるいはセルロイドに入れまするアルコールであるとか、医療、医薬品に入れまするアルコールでありますとか、自然この方面の工業品の需要の増加に伴いまして、需要の方はふえて参るものと思います。ただこれは将来を予測することでございまして、いまにわかに予断は許されませんけれども、またアルコール自身も、かりに将来貿易関係が自由な態勢になつて参りました場合に、外から入つて参るということもやはり考えなければならぬ。この辺の需給のにらみ合せということは、かなりむずかしい問題もあろうと思いますが、国内生産のアルコールといたしましては、その需要の面から見まして、二十五年度以降は今日以上に、生産を全体といたしましてふやして参りたいという考えであります。
  254. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これはお聞きするまでもないことだと思うのでありますが、民間工場でのアルコール、これは主として酒類原料用のものだと思うのでありますが、これは当然やはむ専売になります関係から、一旦収納いたしまして、さらにそれを拂い下げるという形になつているのですか。
  255. 長村貞一

    ○長村政府委員 こまかく申しますと、アルコール中で九十度以上のアルコールが専売用になつております。それ以下のものは専売の対象となつておりませんので、ひとしくアルコールと申しましても、私が先ほど申しましたのは専売用のアルコールで、酒類に使いますものも九十度になりませんものは、専売に入れて出すという操作はいたしておりません。九十度以上のものは一ぺん入れて、それから出しております。
  256. 田中織之進

    ○田中(織)委員 民間工場で、従来相当関西方面においても、醸造関係の設備で遊休になつているものがあります。食糧事情からいわゆる酒の醸造がストツプされている関係から、たとえば京都の伏見にいたしましても、あるいは西宮、灘方面の関係におきましても、ただちにアルコールの製造に振り向けられるような過剰設備が相当あると思う。そういう面にもこのアルコールに対する需要度が高まつて参るような施策を講じていただきまするならば、そういう面においても、過剰能力を全部アルコール生産に振り向けてもらうごとによつて農村におけるいもの消費を促進できるかとも思うのであります。そういう点から先ほど大体二十四年度、二十五年度において、若干の増加が需要の面において期待されるという程度のことでございますが、特に通産当局といたしまして、さらにアルコールの工業的な用途の拡大のために努力を願つて、同時にこれは相当の益金も上げておる関係がありまするので、われわれは專売態勢をむしろ強化して行くという線にもつてつていただきたいと、実はこう考えておるものであります。そこで石原主計局次長にもう一度お伺いいたしますが、この固定資産の方はむしろ三千万円ほどふえて、作業資産の方でいわゆるいもの統制状況の変化によつて、持越しストツクの減少の関係から、差引いたしまして一億四千三百万円の減少になるという御説明でございます。私も統制事情が激変して参つたということは、これを認めざるを得ないのでありますが、そうかといつて、いもの貯蔵関係その他の点から申しましても、年に何べんもできるものではございませんので、はたして一億七千万円からのいわゆる持越しストツクの減によるところの作業資産の減少というものが起り得るか、どうかということに多大の疑問を持つのです。実は先ほど局長から御説明があつて、まだはつきりはいたしませんけれども、やはり政府工場の拂下げを見込んでいるから、こういう関係のものが従つて見込まれて来るのではないかと思うのですが、その点重ねてひとつ石原さんにお伺いいたします。
  257. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 あるいはお尋ねの点は通産省の方から表をもつてお出し申し上げたら、一番御納得が行くかと思います。すなわち各工場別の生産量がどうなつているか、その原料の持越しはどうなつているかという表をもつて申し上げた方がいいと思いますけれども、先ほど申し上げたことは結論においては間違つておりませんので、筋道はこういう筋道だというふうに考えております。それは従来統制商品でございましたので、ほしかんしよでありますが、割当がありますると、アルコールとしてはこれを引取らざるを得なかつたのではないかと考えます。従いまして冬早々の一月以降におきまして、生いもに食いつきますまでの期間に、ほしいもののストツクを相当持ち越しておつて、それを今度は別に割当もないわけでございますから、従つていわば義務的に先走つて引取るという必要もないので、ちよつと今数字でもつて見ますると、二十四年度は二百万貫の持越しのほしかんしよがありましたのが、百万貫。持越しになるわけであります。それは今御指摘のような生産数量が減つたということではございませんので、引続きまた再来年の四月にそのほしいものを買つて参りまして、生産は同じ規模で続けても大丈夫のような筋合いであります。こういうことは宙に申し上げるよりは、数字の表を差上げて申し上げた方がわかりやすいかと思いますが、趣旨はそういうことであります。
  258. 田中織之進

    ○田中(織)委員 これはひとつ資料を出していただくように私からもお願いしたいのでありますが、なお一、二点……。
  259. 川野芳滿

    川野委員長 実はあなたの質問が食管の方であれば——この法案に対する質疑は資料を後日出してもらつて、その結果後日されたらいかがかと思いますが……。
  260. 田中織之進

    ○田中(織)委員 それでもけつこうです。
  261. 川野芳滿

    川野委員長 それではアルコール専売事業特別会計から一般会計への納付の特例に関する法律案に対する質疑は後日に護りまして、食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案を議題として、質疑を続行いたします。田中織之進君。
  262. 田中織之進

    ○田中(織)委員 先ほど申し上げました食管特別会計に関する法律案に関連した問題であります。この問題についての本筋の質問は、月曜日に開かれます委員会でいたしたいと思いますが、たまたま公団の特別会計関係で出て参りました資料に、寒冷地手当と石炭手当の数字が出ておるのであります。それによりますと、二十五年度の石炭手当は二千五百円の計算になつておりますが、われわれの手元にある資料では、二十四年度は二千七百円になつておるのであります。二十五年度においてこれを二千五百円に下げられた根拠を御説明願いたいと思います。
  263. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 ただいまの田中委員の御質問の石炭手当の本年度予算におきまする単価でありますが、御指摘のように、本年度は世帶主一人当り二千五百円という単価で組んでおります。その趣旨は、二十四年度の石炭手当のときに申し上げたことでございますが、二十四年度の今おつしやいました二千七百円という数字はこういうことであります。昨年九月十六日をもちまして、従来の石炭配給統制が撤廃をされたのであります。実は二千七百円という単価は、昨年の単価の平均であつたのであります。統制撤廃前におきまする単価と統制撤廃後におきまする単価の加重平均、すなわち夏分九月十六日以前におきまして半分を配給し、九月十六日以後において半分を配給した。前の単価が二千九百円、後の単価が二千五百円、そこに差額が四百円ほどあつたのでございます。従来配炭公団におきましては、全国にわたり価格のプール操作を行つたのであります。従いまして北海道のような産地価格はある程度割高であつたわけであります。それが統制が撤廃せられますと、プール勘定におきましてプラスを生じておりました分、すなわち北海道がほかの地域に貢献をしておりました分だけはなくなるわけであります。私ども二千九百円を二千五百円に下げたのは、大体その数字を差引きまして二千五百と見たわけであります。その両者の平均が二千七百円、今田中委員御指摘の二十五年度の石炭手当の単価でありますが、二十五年度におきましては、二十四年度下期以降、すなわち石炭の配給統制撤廃以降におきまする単価がもそのまま引継がれるというように考えまして、二千五百円という単価に相なつているわけであります。
  264. 田中織之進

    ○田中(織)委員 非常に異なことを承つたのであります。去年の九月の石炭統制撤廃後、従つて九月以降に入つた半分は二千五百円というのですが、その二千五百円はどこの会社の販売値段ですか。
  265. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 先ほど炭の規格を申し上げるのを忘れましたが、これは九州、北海道の八級淡、すなわち五千二百カロリーのものをベースとしております。これは塊炭、粉炭、切込みの三つの構成からなるわけで、塊炭が四五%、粉炭が四〇%、切込み一五%の加重平均をしたもので、この五千二百カロリーの八級炭の塊粉切込みの割合は、昭和二十四年度第四・四半期における配炭公団の室房用のわくがございますので、その荷渡し実績を基礎として算出したものであります。二千九百円というのは、配炭公団価格がございました当時の五千二百カロリーで、塊粉切込みが今申し上げました割合の場合における価格であります。二千五百円というのはそれからプール関係の諸経費を除いた金額であります。
  266. 田中織之進

    ○田中(織)委員 昭和二十四年法律第二百号で、国家公務員に対する寒冷地手当及び石炭手当の支給に関する法律が施行されたのでありますが、この法律では、北海道のごとき寒冷地に居住する公務員に対して、三トンまでの石炭を支給するというように、石炭の数量が示されておるのであります。その後この法律に基き価格は二千七百円とされたのであります。ところが私の手元に参つておる函館のヒシユー石炭販売株式会社の一月一日以降の販売価格は、一番安い美唄の五千三百カロリーの二等粉炭が三千二百円ということに相なつております。カロリーが六千八百の芦別の塊炭は、五千四百円ということに相なつておるのであります。しかるに支給規定によりますと、ちやんと小売販売価格ということに相なつていると思うのであります。そういう点から見まして、政府みずから法律なり規則なりに基いて規定した二千九百円とか二千五百円という金額との間に、大きな隔たりがあると思うのです。この点いかがですか。
  267. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 先ほど二千九百円、二千五百円と御説明申し上げましたが、それは五千二百カロリーの規格のものの公団の積地における価格、いわば公団で積みます価格で、公団を離れます価格は三千六百六十九円であります。それに対しまして道内の貯炭場までの運賃諸掛りと消費者までの運送費を加えまして、庭先小売価格二千八百九十四円という数字を出したのであります。従いまして、先ほど申し上げました二千九百、二千五百という数字は、公団の庭先価格意味で申し上げたのであります。  次に実績の問題でありますが、実は私どもの方から北海道の財務部に照会をいたしておりまして、若干の回答を得ておりますが、いろいろな数字がございます。今田中委員のおつしやつたのは五千二百カロリーで、ちようどよいカロリーがおありになつたようでありますが、非常に少いのでございまして、五千二百カロリーのものが一例ございます。それは札幌石炭共販株式会社というものの例ですが、三千六百九十三円という数字が出ております。決してこの数字が非常に正しいということを申し上げるつもりはないのでありまして、北海道から私どものとりました数字も非常にでこぼこでありまして、銘柄にもよりましようし、配分にもよりましようし、名前の売れ方にもよりましようし、いろいろな点で、自由価格に復帰してまだ日が非常に浅うございますので、個々の商いが違つているというようなものが主であると思いますので、大体五千二百カロリーが幾らぐらいになるかということを申すことは非常にむずかしい。しかしながら大体におきまして実は北海道では昨年の暮れあたりは、相当に石炭の品がすれ状態を生じたような事実があります。御承知のように昨年の十二月は、三百三十万トンの出炭に対して三百五十万トンの引取りがあつたわけでありますから、全体として相当品がすれの状態になつております。でありますから一般の市場の相場としては強気のものであつたろうということは、想像にかたくないのでありまして、私どもここに持つておりますのは二千六百九十何円という数字が出ておりますが、それが正しいかどうかということは相当疑問があるのであります。ただ来年度の問題といたしまして、本年度は実はこういう点を考えなければいかぬかと考えております。それは配炭公団がやめます直前におきまして、御承知のように山は相当配炭公団に石炭を売つております。われわれは最初配炭公団をやめますときに、おそらく四百万トンぐらいのストツクで済むじやないかと考えましたが、実は五百万トンを越えるというような状態でありまして、配炭公団をやめます直前において相当多くの石炭を渡しております。山をすつからかんにしてしまつて配炭公団に渡している。従つて配炭公団が自分のところにあります炭を非常に機敏に処分をしません限り、ある程度品がすれの状態になることはやむを得なかつたかと思いますが、昨年の年末にかけましてはそういうふうな若干異常な状態が支配しておつたかと思うのでありまして、現在といたしましては、すなわち二十五年度の需要期に向いまして、引続きこういうようなアブノーマルな状態がそう支配するとも考えられませんので、今のところあります材料はどちらとも申し上げがたい材料が出ておりますが、二千五百円でけつこうじやないかと考えております。  もう一つつけ加えておきますが、先ほどお尋ねのありました法律の点であります。これにはこう書いてあります。「世帶主たる職員に対しては三トン、その他の職員に対しては一トンを、それぞれ公定小売価格によつて換算した額に相当する額をこえて支給してはならない。」現在は公定小売価格というものがなくなつたのでございますから、従つてわれわれといたしましては、その前に、ございました公定価格、先ほど申し上げました二千九百円というものを基礎にいたしまして、それがその後にどうなるかということを計算いたしまして、二千七百円という平均を出しております。大体それがこの條文の解釈として忠実なものであろうと考えております。
  268. 田中織之進

    ○田中(織)委員 公定の小売価格ということで、しかも三トンということを示しておるのであります。われわれは当初四トン牛を要求したのでありますが、このことについては與党、野党を問わず、寒冷地選出の議員諸君が、自分の生活につまされた体験から結局話がまとまりまして、これは政府の方で積極的にやらなくて、われわれ議員提出でやりましたものが、関係筋にも了解が得られて制定されたのであります。問題は従つて石炭で世帯主が三トン、その他一人のものは一トンということで数量を示された。だからその数量の示された——これは金がほしいのじやない、石炭がほしいのですから、従つてその石炭が手に入るようにしてやることが、この法律のほんとうの立法者の趣旨なんです。そういう観点から私はいわゆる小売公定価格というものがなくなつたから、昔の小売公定価格を持つてやるのだというそういう私は機械的なやり方はないと思う。現実にあなた方は生きた政治を動かしておるのでありますから、そういう点で現実にやはり購入できる価格を基礎に置いてやらなければならぬ。私はそういう点から申しまするならば、かりに二十四年度の二千七百円のままにしておきましても、これは金額で支給される関係からはやむを得ないといたしましても、二割の税金がかかります。そうすると二千七百円のうちで二割税金がかかると、二千百六十円しか実際に入らない。三トン分としてもらつたところで、現実には一番安いので三千二百円というような状態でありまするならば、結局三トン分としてもらつた中で現実に入るのは、一トン半かニトンだ、こういうような事例になるのです。従つて法律にもちやんと書いてあるように、それは政府がこれに対して一々現物で支給するのではなくて、それに相当する、それを購入し得る金を支給することになるのでありますが、私はやはり給與に関する法律のほんとうの立法者の趣旨というものに即して考えてやらなければならない、かように考える。同時にこの際申し上げるまでもないことだと思いますけれども、これは確かに人事院の勧告によりますると、四級炭ないし八級炭の平均価格三千三百三十一円九十銭、こういう数字が示されておるのでありまする。政府の方では統制が撤廃されるであろうというような見込みも入れて、三千七百円に削られたのでありますが、現実にはこの人事院の勧告にありましたように、三千三百二十一円九十銭をむしろ上まわるという実際価格であります。現実には二千七百円から二割の税金を差引かれたものによるならば、三トンという数字は出ているけれども、現実には一トン半ないしよく行つてニトンしか入らないというようなことでは、これでは寒冷地の人たちが、まさに羊頭を掲げて狗肉を売るような政府の仕打ちに直面するというようなことに相なると思うのであります。従つてこれは午前中も申し上げましたが、もちろんわれわれは国民が納める税金の中から、必要な支出を検討しましたものを持つて行くわけでありまして、何も大蔵大臣や主計局次長のポケツト・マネーを出せというのではないのであります。ちやんと法律には三トンという現物の数量が書いてあるのでありますから、これは実際、北海道その他の寒冷地における石炭の現実の小売価格というものを、少くとも数箇月間にわたつて——最小限度数箇月間にわたつて調べた上で、私はやはり予算單価というものをはじき出してやるべきだと思う。その意味においておそらくこれはこの法律が制定されたときのいきさつから見まして、予算委員会において国会としては一致した形において、この修正を要求することになるかと思いますから、その点についてはここで石原さんから返事を伺うこともどうかと思いますので、ひとつ大蔵委員会においてもこの問題についてこういう意見が出たということを、あなたも大蔵省の首脳部の一人でありますが、首脳部会議へ持ち帰つて、十分この点は立法者の意思を重んじて、大蔵省関係の国家公務員の諸君も北海道におられるわけでありますから、あなたたちもひとつ友愛と信義に基いて、この三千五百円の原案を修正して出されるように、御努力を願いたいということを強く要望いたしまして、私の本件に対するこの部分の質問を終ります。
  269. 石原周夫

    ○石原(周)政府委員 税金の点はちよつと誤解のないように申し上げておきますが、税金の点はへりくつを申し上げるようでありますが、石炭手当は三トンを公定小売価格によつて換算した額に相当する額をこえて、支給してはならないということでありますので、御指摘のお話の中の税金の問題は、当然このうちから拂うということになつております。そのことだけ申し上げておきます。
  270. 川野芳滿

    川野委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十一分散会