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1950-02-11 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十一日(土曜日)     午前十一時七分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君  理事 川島 金次君 理事 早稻田柳右エ門君    理事 内藤 友明君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       高間 松吉君    塚田十一郎君       西村 直己君    三宅 則義君       田中織之進君    宮腰 喜助君       木村  榮君    竹村奈良一君  出席政府委員         大蔵政務次官  水田三喜男君         (主計局法規課         長)         大蔵事務官   佐藤 一郎君         (農政局長)         農林事務官   藤田  巖君  委員外出席者         大蔵事務官   飯田 良一君         農林事務官   野田哲五郎君         農 林 技 官 佐木 義夫君         国民金融公庫総         裁       櫛田 光男君         専  門  員 黒田 久太君         専  門  員 椎木 文也君 二月十日  委員河田賢治君辞任につき、その補欠として木  村榮君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十日  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二五号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第二六号) 同月十一日  連合国軍需要に応じ連合国軍のために労務に  服する者等支拂うべき給料その他の給與の支  拂事務の処理の特例に関する法律案内閣提出  第二八号)(予) 同月九日  戰争関係都債全額政府引受に関する請願(中  島守利紹介)(第五四一号)  国家公務員共済組合法の一部改正に関する請願  (土橋一吉君外一名紹介)(第五七七号)  同(伊藤憲一君外一名紹介)(第五七八号)  たばこ民営反対に関する請願高塩三郎君外九  名紹介)(第五七九号)  同(保利茂紹介)(第五八〇号)  雪害地方に対する課税軽減に関する請願塚田  十一郎君外一名紹介)(第五八一号)  てん茶に対する物品税撤廃請願三宅則義君  紹介)(第五八三号)  色紙等に対する物品税減免請願三宅則義君  紹介)(第五八五号)  中小企業設備資金に見返資金融資促進請願(  塚田十一郎紹介)(第六〇〇号)  つり用具類に対する物品税減免請願(守島伍  郎君外一名紹介)(第六〇八号)  無盡会社の金融活用に関する請願小峯柳多君  紹介)(第六〇九号)  中小企業者税制改革に関する請願石野久男  君紹介)(第六二五号)  同(田島ひで君外一名紹介)(第六二六号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  農業共済保險特別会計歳入不足を補てんす  るための一般会計からする繰入金に関する法律  案(内閣提出第一七号)  食糧管理特別会計歳入不足を補てんするため  の一般会計からする繰入金に関する法律案(内  閣提出第一八号)  失業保險特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第一九号)  開拓者資金融通特別会計において貸付金財源  に充てるための一般会計からする繰入金に関す  る法律案内閣提出第二〇号)  国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二五号)  国民金融公庫法の一部を改正する法律案内閣  提出第二六号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより会議を開きます。  まず昨十日本委員会に付託されました国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案、及び国民金融公庫法の一部を改正する法律案の両案を一括議題として、政府当局より提案趣旨説明を求めます。水田政務次官
  3. 水田三喜男

    水田政府委員 ただいま議題となりました国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案、外一法律案提出理由を御説明いたします。  まず国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  従来、国有林野事業特別会計所属しておりました林業試験場は、企業的な運営をいたすこの会計所属としておくことは、必ずしも適当でないということが考えられますので、昭和二十五年度から一般会計所属とすることといたしたいので、この会計事業の範囲から、林業試験場の業務に属する事項を削除することといたそうとするものであります。  右に伴いまして、現に林業試験場の用に供する資産帰属と、一般会計所属に移さないこととする資産についての経過規定を置く必要がありますので、これをあわせて附則第二項に規定した次第であります。次に国民金融公庫法の一部を改正する法律案について御説明いたします。  最近の金融情勢におきましては、国民大衆生活再建のために、一般金融機関から資金の供給を受けることは、なかなか困難な状態にありますので、この種の資金を供給すべき国民金融公庫に対する資金需要は、きわめて多いのでありまして、発足以来昨年十二月末までに、生業資金七億一千万円、更生資金三億円の貸付を行い、鋭意その目的の完遂に努力して参りましたが、昭和二十五年度におきましても、この小口生業資金に対する需要は、相当の額に上るものと思われるのであります。この資金を円滑に国民大衆に供給し、その生活再建をはかりますことは、民生の安定と経済の復興とに欠くべからざることであると考えまして、昭和二十五年度予算におきましては、国民金融公庫に対する出資金として十二億円を予定いたし、御審議を願うことにいたしたわけであります。これに伴いまして、国民金融公庫法の一部を改正いたしまして、国民金融公庫の現在の資本金十八億円を、三十億円に増加することにしたのであります。  以上がただいまの二法案の提案理由説明でございますが、何とぞ御審議の上御賛成のほどをお願いいたします。     —————————————
  4. 川野芳滿

    川野委員長 それでは農業共済保險特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案食糧管理特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案失業保險特別会計法の一部を改正する法律案開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案を、一括議題として質疑を続行いたします。三宅則義君。
  5. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はまず開拓者資金融通特別会計において貸付金財源に充てるための一般会計からする繰入金に関する法律案について、質疑を行いたいと思うものであります。この開拓者資金融通法についての現状でございますが、これは今日本の国内においてどういう状況なつておりますか。その分布状況を承れればけつこうだと思います。私どもにも関係があると思いますから、これについて政府答弁をいただきたいと思います。
  6. 野田哲五郎

    野田説明員 お答えいたします。現在の開拓者は北海道から鹿兒島にわたります全府県につきまして、総計十三万戸入つておるわけであります。この開拓者につきまして入植後三年ずつ政府融資金を出すことになつております。これは物価の趨勢によりまして年々の貸付金額をかえておりますから、各人一律ではございませんが、二十五年度われわれが要求しております予算におきましては、一戸当り約十万円の金を三箇年間に分割して貸すということになつておるわけであります。現在まで十三万の開拓者に貸し付けられました資金の総額は五十二億に上つております。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 この開拓者につきましては御承知通り引揚者もあり、転業した人もあるわけであります。これについて政府親心をもつて事情を認めておると思うわけでありますが、承るところによりますと、本年は昨年よりも幾らか削つてやろうというような方針があると聞いておりますが、その辺についてのお考えを承りたいと思います。
  8. 野田哲五郎

    野田説明員 昭和二十五年度の資金予算が急激に減りました原因は、融資対象となる入植戸数が、この年におきまして年々一万戸の台に減るわけであります。すなわち融資対象が二十五年におきまして三万戸になるわけでございます。ところが前年度二十四年度におきましては、約五万戸ぐらい融資対象があつたわけでございまして、その数の減がこの予算減のおもなる原因でございます。一方單価におきましては一・三倍程度の増額が行われております。
  9. 三宅則義

    三宅(則)委員 今の御説明を承つたわけでありますが、一斉府県別に何か表でもございましたならばはなはだけつこうだと思います。一応私ども日本全国を見て開拓者に対しまする勘案をいたすわけでありますが、政府はいつでも提案理由一冊だけであります。でき得べくんばごめんどうでありますけれども、その内容をお示しくだされば審議する上に便利だと思いますが、いかがでありましようか。
  10. 野田哲五郎

    野田説明員 きよう資料を持つて来るのを忘れましたが、実は私の方で開拓者営農実績調査を一年一回やつておるのであります。最近の版は二十四年二月に出されましたいわゆる三十三年版というものを持つておるわけであります。それは後刻お配りすることができますのでお届けしたいと思います。ただその数字を見ていただきます場合、いろいろな理由から開拓者が非常に過小報告しておりますので、その線は最低の線であるというふうにお考えいただければけつこうだと思います。
  11. 川野芳滿

    川野委員長 委員長からも御希望申し上げておきますが、本案に対する質疑は大体月曜日で終りたいと思いますので、月曜の午前中までに資料をお出し願いたいと存じます。
  12. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は現今の開拓者に対する政府親心ある状況はわかつたわけでありますが、なお三箇年間において全部の開墾を了するとは限つていないわけであります。その以後についてどういうような状況になりましようか。その辺をもしわかりましたならば承りたい。
  13. 野田哲五郎

    野田説明員 開拓者に対する助成のルートといたしましては三つあります。第一がこの営農資金でありまして、これは回収することになつております。これは入植三年間貸付をすることにしております。第二は住宅資金住宅補助金でございますが、入植の当初に補助をする。それから第三は開墾補助金でありますが、これは大体八割開墾を完了するまで補助するということになつておりまして、八割開墾完了の年限はおおむね六年と予定しております。従つて六年間は何らかの助成が行われるということになるわけでございます。
  14. 三宅則義

    三宅(則)委員 私ども開拓状況を多少承知いたしておるのであります。御承知通り開墾地帯というものは、今まで荒されておりました土地でありまして、その水利の面について、あるいは交通の面について非常に困難を感じておるのみならず、この開墾せられた土地は大体において畑地が多いために、その開墾をいたしましたあとに、さつまいもやそばができるのでありますが、かんじんの米や麦ができない。こういうような状況下におきまして、開拓者自分の生計を維持するために、また多額な金額をもつて米麦を買わなければならぬという非常な困難な状況がありますが、これについての政府のお考えはどうでございましようか。
  15. 野田哲五郎

    野田説明員 現状におきましては御指摘に近い状態でありますが、ただいま私どもといたしましてはまず麦の増産に力を入れております。これによつて食糧の需給の高度化をはかりたいと思つております。それから一般的には危險作物でありますけれども陸稻相当取入れられておるのであります。従つて天候よろしきを得ます場合には、陸稻の収穫というものは相当つておる状態でありまして、たとえば関東地方におきまして、昭和二十三年度及び二十四年度におきましては、相当陸稻の産額があつたように見ております。将来水田をつくるということになりますと、非常に多額な金を要しますので、御承知畑作灌漑というようなものによりまして、陸稲作の安定をはかつて行きたいと考えております。
  16. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は今政府当局の御答弁を承つたのでありまするが、私の試案でありましてはなはだ恐縮でありまするが、元来開拓者にありましては、一般の人よりも転入者が多いと思いまするから、ひがみというものも多少あるわけであります。これにつきまして長住いいたしております農作者と、新規入植いたしました農作者との間において、多少軋轢があるということを聞いております。この軋轢がないようにいたしますことは、農村主食をなるべく簡單に入植者にも與えるということをいたしますのが、一番便利だと思いますが、その作物に対しまして、国家のこれに対する補償と申しまするか、あるいは買上げに対しまするところの責任と申しましようか、その辺について承りたいと思います。
  17. 野田哲五郎

    野田説明員 ただいまのところは、農村に行われております供出制度を、開拓者にも適用しておるのでありまして、ただ苛酷な供出が行われないようにというので、こちらの方では、一般既耕地の約三分の一程度生産目標といたしまして、供出を進めておるわけであります。従来の実績を見ますと、何と申しましてもいも類供出が、開拓者供出の中で大多数を占めておりまして、いも類統制撤廃の問題は、開拓者にかなりの影響があろうということを心配しておるわけであります。
  18. 三宅則義

    三宅(則)委員 今米の供出一般農家がやつており、開拓者は主としてかんしよ類の供出をやつておるわけであります。それが統制がはずされることになりますると、主たる産業でありますところのいも類自由販売になる。そうすると価格が非常に安くなるおそれもあるわけでありますから、これに対しては、政府農業試験場あたりを利用せられまして、親切にして御理解ある指導をせられることと思いまするが、その辺について、林業あるいは農業その他の試験場との関係もあるわけでありまするが、それらについての指導方針はどうなつておりまするか、承れればけつこうだと思います。
  19. 野田哲五郎

    野田説明員 いも類統制撤廃に対しまして、第一に、若干の数量が買い上げられるという話を聞いておりますので、開拓者の分は、できるだけそれで吸収していただきたいと思うのが、第一段でございます。  第二段におきましては、開拓地におきましては、大家畜資金関係で、少し入りが悪いのでありますが、中小家畜におきましては、非常な数量が入つておるわけであります。既存農家の一戸当り平均と、開拓者の一戸当り平均を見ますると、中小家畜においては約倍に近いくらい、開拓者の方が入つておるのでありまして、いもを飼料にまわして畜産を振興するということを、第二に考えておるわけであります。  それからただいま御指摘のように、畑地を総合的に利用いたしまして生産力を高めますときに、各方面の試験場連繋をとることにつきましては、今後大いにやつて行きたいと思います。従来といえども若干の連繋は、持つております。ただいま主として連繋をとつておりますのは、農事試験場でございます。御指摘林業試験場その他のことにつきましては、新しい情勢に対する開拓方針といたしまして、できるだけ緊密な連絡をとつて行きたいと思つております。
  20. 三宅則義

    三宅(則)委員 私はこういうことを考えるのでありまするが、政府のお考えを承りたいと思います。はやり土地にもよりまするが、今かんしよとか麦ということも十分でありまするが、これについて家畜、たとえば豚とか牛とか鶏とか、気候にも関係があることでありますが、そういうようなものも大いに取入れてやることが必要である。また場合によりましては、南の方におきましては果実のようなものも相当な成績が上げ得られると思います。家畜に対しまする資金、もしくは果物に対しまする資金等も融通せられることと思いますが、これらについての御構想がありまするか、承りたい。
  21. 野田哲五郎

    野田説明員 家畜果樹必要性につきましては、私どもも、また開拓者もつとに感じまして、これが増進に努めております。資金につきましては、ここに御審議に上つております営農資金を、重点的にそれに向けて行くというように考えておるわけであります。そのうち家畜につきましては、ひもつきで入れておりますが、果樹等につきましては、開拓者の自主的な購入にまつて自分資金を運営するというように考えておるわけであります。
  22. 三宅則義

    三宅(則)委員 あまりこまかしいことを聞きましても何ですから、ある程度でやめますが、私の考えております事柄は、開拓者自身が自発的にやる場合ももちろんでありますが、これは新規農業でありますから多少危險もある。そういう危險に対しまする負担は、あなた方の方である程度御認識なさると思いますが、この負担国家がある程度見てやるような気分がありますか、どうでしようか。承りたい。
  23. 野田哲五郎

    野田説明員 私どもは、やはり開拓者の自主的な活動に対しまして、国家がある程度助成をするというような立場をとつております。それは一方、開拓者が真に自主的に動かなければ、この困難な開拓事業ができないということが第一点と、いま一つは国家財政関係もありますので、現在のところ国立場としましては、かなり消極的と申しますか、そういう面があるかと思います。
  24. 三宅則義

    三宅(則)委員 私が今年の予算等を拝見いたしましたところによりましてもわかるのでありますが、わが国農地の開発あるいは開拓ということにつきましては、多分に食糧とも関係があるわけでありますので、これにつきましては政府相当助成し、また国家もこれに対して理解を與えることが肝要だと思つております。つきましてはこの開拓事業は、まだ日本におきましては相当つておるものと考えておりますが、将来ともどのくらいの構想がありましようか。承りたい。
  25. 野田哲五郎

    野田説明員 御承知のごとく、この開拓事業が起りました当初におきましては、百五十万町歩開墾をやることになつておりました。またその後の調査におきましても確認された数字でございますが、現在まで開墾の済んでおりますものは、約三十五万町歩でございます。従つて百十数万町歩というものがまだ残つておることになります。もつともその中には道路とかその他いろいろの用地を除きますから、純粋の開墾面積はそれの数割ということになりますが、さような開墾面積が残つておりますので、今後とも永続的に続けて行きたいというふうに考えておるわけであります。
  26. 三宅則義

    三宅(則)委員 最後にもう一点承つておきたい点がある。開墾事業開拓事業につきましては、やはり国家も理解し、また入植者もほんとうに献身的にやることが必要であろうと考えております力つきましては国家方針にいたしましても、途中でぐらぐらいたしましたり減少いたしますと、その既定方針がきわめて薄弱になるおそれがありますから、政府当局者はぜひとも、この開墾事業については自主的にやり得るように、もちろん年々増すということはできないでしようが、少くとも減らさないようにするという親心が、一番かんじんであると思つております。これにつきましての政府構想を承りまして、私の質問を打切りたいと思つております。
  27. 野田哲五郎

    野田説明員 お話通りに、私どもとしては確定した計画のもとに進みたいと思つております。従つて諸般情勢を考慮いたしまして、年々一万戸くらいの入植者を入れる開墾といたしましては、三万町歩から五万町歩開墾を進めて行くというふうに考えて、この線を強く押して行きたいと思つております。
  28. 木村榮

    木村(榮)委員 農業災害保險金は、農家経済が逼迫して万一納められなくなつたような場合どういうふうになりますか。
  29. 藤田巖

    藤田政府委員 御承知通り農業災害補償法共済掛金は、農家負担に帰するもの、国の負担に帰するもの大体半々でございます。比率にいたしまして農家負担部分が約五十二、三パーセント、それから国の負担部分が四十六、七パーセントと考えております。これはやはり両面から掛金をやつて行かなければならぬのであります。私どもといたしましても、もちろんその性質からいたしまして、この制度に対する相当の援助をいたしたいと考えておるのでありますが、やはり農家におきましても、その経営上絶え得るところの負担は持つていただく、そういうふうな考え方で進んで参りたいと思つております。現在非常に掛金が多いということと、また強制加入にもなつておりますので、いろいろ農家の方の御意見もあるわけでありますが、われわれといたしましては、やはりこの制度を存続いたします建前からいたしまして、この程度農家負担農家においても何とか考えていただきたいというふうに思つております。
  30. 木村榮

    木村(榮)委員 現に実際問題として拂わないということがある。たとえば昭和二十四年度に一年間拂わずにほうつておいた場合、強制執行なんかはできるものですか、どうですか。
  31. 藤田巖

    藤田政府委員 これはやはり強制加入に相なつておりますから、加入をいたしておりますところの農家は、保險料支拂わなければならぬという義務なつております。
  32. 木村榮

    木村(榮)委員 義務だから、納めぬ場合は監督官庁の方で強制執行をしてとるということができますか。町村の場合は県だと思いますが、県が強制執行をして、農家負担の五十何パーセントかの割合の金をとるということができるのですか。その場合はただ單に個々農家ではなく、全村のを役場が代行して集めて納めるのですが、これを役場が県にやつていないという場合には、町村役場強制執行を受ける対象になると思うのですが、そういう場合はどうなるのですか。
  33. 藤田巖

    藤田政府委員 さような場合には、最後の手段といたしまして、強制執行もなし得るというふうな規定に相なつておると承知いたしております。
  34. 木村榮

    木村(榮)委員 そういうようなことが、現に私の知つた町村だけでも何箇町村かある。所得税を納めた関係上、村民税とか県民税は納められない。従つて差押えのようなことをやつて来ない農業災害保險金というものを納めない村が私の県にもある。そういう場合に強制執行されればされるでしようが、これが二十五年度もそういう状況であるという場合に、農業災害法律によつて補償を受けるというような災害を受けた場合に、効力があるかないか。
  35. 藤田巖

    藤田政府委員 規則の建前から申しますと、そういう場合には保險料支拂わなければならぬわけであります。特殊な災害その他の事情によつてはなはだしい事情がある場合は、規定としては、よく調査いたしまして責任を免除するというような規定はあるわけであります。
  36. 木村榮

    木村(榮)委員 さつきの問題にも関連いたしますが、町村農業災害補償保險金を納めてなくて、強制執行をされる場合に、全村個々別々にお前のところは何ぼといつて差押えするのか。あるいは村の機関に対してやるのか。
  37. 藤田巖

    藤田政府委員 かりに村全体がさような場合でありましても、責任帰属はやはり個々農家であります。個々農家に対してその責任を問うというような建前なつているわけであります。
  38. 木村榮

    木村(榮)委員 その場合、もし町村が集めておつたのを、町村財政が逼迫しているから、それを他に流用しておつたという場合は、町村長だけが責任対象になるわけですね。
  39. 藤田巖

    藤田政府委員 掛金につきましては、町村が集めるというようなお話でありますが、これは共済組合団体が集めることになつております。従つてそういうような場合には、共済組合がその責任を負うということに相なるかと思います。
  40. 木村榮

    木村(榮)委員 むろんそうでしようけれども町村の議会で、この村は財政負担に耐えられないから、農業災害保險金はやめたということを、決議とまでは行かなくても相談したというような村がある。その場合に一般村民は村会でそういうような話があつたそうだから、納めなくてもよいのだというようなことで、納めていない所もあるが、そういう場合には一体どうなるか。
  41. 藤田巖

    藤田政府委員 私は個々の具体的な問題につきましては、いろいろの條件と申しますか、事情があるであろうと思いますが、ただいまお聞きした程度で結論を出すことが、はたしてその具体的な村についての実情に合うかどうか、非常に疑問を持つているわけであります。従つてわれわれとしては、そういうような具体的な実情のあつた村については、免責規定の発動ということは、規定はあり得るわけでありますが、なおよく詳細に調べまして、はたしてどこに責任があるのか、あるいはまたかりに責任があるとしても、その事情から責任免除の措置をとることが適当であるかどうかということを、具体的な事情についていろいろ調査いたしました上で、結論を出しますことが正しいかと思つております。従つて具体的な事例としての御質問でございますれば、なおその詳細を伺いまして、それに対するお答えをした方が適当かと考えます。
  42. 木村榮

    木村(榮)委員 大体わかつたのでありますが、そういたしますと町村財政が逼迫して、各農家も納める意思はあるけれども、なかなか現実にほかの方が多いから、その分を納められないという場合に、一箇年間納めるというのが延びているわけですが、納入はそういつた場合は一箇年や二箇年間はかりに延期されておつても、その間に災害が起つた場合、その実態を調査して適当と認めた場合は、無効でなく、この災害補償はやつてさしつかえないということになるのですか。
  43. 藤田巖

    藤田政府委員 これはその納めなかつた事由がはたしてやむを得ざるものであるかどうか、こういうことによつてやはり判断しなければいかぬと思います。中には納めることができるにかかわらず、怠つているという者もありましようし、中にはどうしても納められないという事情があり、その他の税金の納付等についても、やはりそういう措置がとられている場合もあるであろうと思いますから、具体的の場合々々によつて考えて、これは免税すべきものであるということが決定いたしました場合は、災害がありますものについてはやはり補償法による補償はする。こういうことが正しいかと思います。
  44. 木村榮

    木村(榮)委員 その免責の調査なんかをやる場合、町村の場合はどこがやるのですか。県なら県のどこの課がやるのですか。
  45. 藤田巖

    藤田政府委員 これはまず共済組合自体が発動いたしまして——共済組合に損害評価委員会というものがあるのですが、そこがまず調査するということになります。
  46. 川野芳滿

    川野委員長 ほかに質疑はありませんか。——なければただいま議題としておりまする四法案に対する質疑はあとまわしにいたします。     —————————————
  47. 川野芳滿

    川野委員長 それでは国民金融公庫法の一部を改正する法律案議題として質疑に入ります。宮腰喜助君。
  48. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 この法案の問題は昨年からいろいろ特別会計一般会計の問題に関連しまして、庶民金融のことについてたびたび論議されたのでありますが、この金額の範囲が非常に少いのであります。従つてこの限界をもう少しふやす必要があるのじやないかということも、以前の委員会で論議になつたのであります。またごく最近に聞いた事実でありますが、非常に情実関係があるということもたびたび耳にしております。再三再四自分生活事情を話しまして金融方を懇請しても、そういう人には貸さないで、何らか内部に連絡のあるところにはどんどん貸すというような弊害があるということを、たびたび耳にしております。またこの金融の問題について、何か積極的な企業指導を與えまして、団体的な——そういう方々にばらばらに金を貸さないで、何か共同体の企業でも構成させまして、将来の経済生活のできるような指導をやる必要があるのじやないか。また生業資金に使うと言いながらも、私生活の方にそれが流れて行く傾向が大分多いようでありまして、この点について二、三点質問をしたいと思うのであります。すなわちこの共同企業体という問題について、何か指導的な考え方をお持ちであるかどうか。それからこの限界が少額であるから、もう少し増額する必要があるかどうか。それから情実関係が多いということ、たまたま借りた金が私生活に流れて、仕事の上に使われない傾向があるようなことを聞くのでありますが、それらの点についてお伺いしたいと思います。
  49. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 申し上げます。第一の共同体につきまして、これを結成させて指導を加えて行つたらどうであろうかという御意見でございますが、私ども貸付の中身に二種類ありまして、現在やつておりますうちの一つは生業資金貸付と申しております。これは一口の金額が一人につきまして最高十万円まで、連帶の場合におきましては百万円までということになつております。それからもう一つは引揚者、戰災者、生活困窮者その他のあるいは軍人遺家族、未亡人とおつしやいますような方々に貸し出します金額でありまして、これは厚生省の方から政府資金をお貸付をいただきまして、又貸しをいたしておるのであります。これは普通更生資金貸付と申しております。一人当り金額が一万五千円ということになつております。連帶の場合には、多いときになりますと百人もお集まりになりましてお申込になりまして、共同利用資金となります場合には、百五十万円ぐらい一度にお貸出しをするという場合もございます。主として更生資金の方の問題でありますが、これは国民金融公庫になります前の庶民金庫が、昭和二十一年から継続して来たのでありまして、それを引続いてやつておりますが、何分引揚げられた方々が一万五千円程度——最初におきましては三千円の時代もございましたし、また五千円の時代もございましたが、そういつた少額では、なるほど右から左ということになりますので、この場合にできるだけたくさんの方がお集まりなさいまして、あるいは組合でありますとか、あるいは合作社でありますとか、あるいは小規模の会社でありますとか、そういつたものをおつくり願いまして、共同してこの一万五千円の金を百人ならば百五十万円、二百人なら三百万円というぐあいにいたしまして、御利用願うということをつとめて相談いたして参りました。大体今二十億ほどの貸付でございますが、その半分見当はそういつた共同体に対する貸付なつておろうかと存じております。おつしやいます通りに少額の金額でありますが、これは何人かの方々が一緒になりまして運用いたしますならば、相当大きな金額になりますので、そういつた意味合いにおきましても、なるべく共同体という形でおつくりなさることをお勧めした次第であります。いろいろな事情からいたしまして、経済界の浮き沈みが非常にはげしいのであります。厚生省あるいは府県当局その他と緊密に連絡をとりまして、その事業の育成指導についていろいろ手を講じて来ておるつもりでおるのでありまして、また今後ともそういうやり方を続けて行きたいと存じておる次第でございます。  それから二番目に情実関係お話がございました。実はたいへん恐縮に存じておるのでありますが、私どもといたしましてはどなたでも、政府からお預かりしております大事な資金でございますので、窓口に気軽にお越しくださいましてお申込みをいただいて、それからお会いいたしまして実情をよく伺つて、御相談申し上げておるわけでありますが、何分にもこの法律にきまつております通り生業資金貸付、小口の事業資金を貸し付けるという建前でありますのみならず、十八條にございます通り、独立して事業を営む意思を有して、かつ適切なる事業計画を持つ方であつて、しかも普通の金融機関から資金の借入れができないような方々に対して、資金の御融通を申し上げるという建前なつておりますので、結局事業資金であるということ、それからその事業の計画と申しますか、その成立ちがうまく行くかどうかというところが、資金を御融通申し上げる場合の非常に重要なポイントになるわけでございます。かような意味合いにおきまして、一々具体的に御計画を承りまして、本人にとつてはあるいはこれで完全と思われる方も相当いらつしやるのでありますが、いろいろなお話を承つて参りますと、どこか何か足りないところがある。つまり簡單に申し上げますと、この資金を御融通申し上げますれば、それだけでりつぱに仕事が成り立ち、育つて参るという話であれば問題はないのでありますが、資金を融通いたしましても、他に何らかの問題がございまして、仕事の方がうまく行かないであろうということがわかるような場合におきましては、これは何といつても金融でありますので、いかような御相談にも応じられないようなことになります。その場合には、とつくりといろいろな点をよく御理解の行くように、御相談を申し上げてやつておるつもりであります。御指摘のありました情実関係というようなものは、万々ないと私は存じておりますが、何かございましたらまた御注意いただきたいと存じております。  それから第三の点で、この資金が私生活の方に流れるおそれはないか。生業資金の十万円の口の方でありますが、これは先ほども申し上げましたように、事業資金として融通しておるのが建前であります。またその事業というものが現実に実行せられておるか、また新たに御着手なさつておる場合であつても、確かにそれだけのものをその方面にお使いになるかどうかということを、よく御調査さしていただきまして、御融通申し上げておるのでありまして、結果的に申しましてもこの生業資金十万円の口の方は、昨年の六月一日から実行いたしたのでありまして、大体月賦で御償還をお願いいたしておりますが、今に至るまで一件の延滯もないような状況でありますので、その事実から申しましても、大体事業方面にぐあいよいよ運用されておることだと確信いたしておるような次第であります。ただ更生資金の方になりますと、引揚げてすぐさまお越しになるような方でありますので、大体生業に着手をなされる準備的な資金といつたような場合でありますけれども、いろいろな関係におきまして、あるいはせつぱ詰まつて生活方面に若干流用なさるような場合があるかもしれないと存じておりますが、建前といたしましては、かようなことのないように御相談をして、貸出しをしておるような実情でございます。  なおあまり小口であつて資金の限度をもう少し増額する必要がないかというお話でございますが、昨年六月一日再出発いたしました当初におきましては、生業資金につきましては一人五万円、連帶の場合には最高五十万円ということで出発いたしたわけでございます。その後の状況を見ますと大体において平均金額が七、八万円、五万円という金額がまことに帶に短かしという金額でございましたので、昨年の十二月に国民金融審議会の第三回の会議におきまして御審議をお願いいたしまして、一応限度を十万円、連帶の場合には最高限百万円ということに増額をいたしたような次第でございます。現在それによつて実行をいたしておりますが、大体大多数のところは五万円ないし十五万円というところに集中しておるような状況でございます。なお更生資金につきましては、先ほども申し上げました通り当初三千円が五千円、それから昨年からまた一万五千円に引上げられたのでありますが、これは関係方面とのいろいろな御折衝も入り用だと思うのでありますけれども、私どもの公庫としての感じといたしましては、少くともできれば一万五千円の倍額三万円程度までにお引上げ願えれば、よりよい資金の御活用ができるのではないかというふうに今考えておりまして、その点につきまして関係方面といろいろお話合いをいたしおる実情でございます。
  50. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 本法律一般庶民大衆にとつては非常にいい機関でありまして、市中銀行あたりに金を借りに行つても五万、十万という金はめつたに借りられない。にもかかわらず、この一般庶民の方々がこれをやすやすと借りられることは非常にいいことであり、またこの法律をもう少し範囲を広げて改正することに、われわれは大賛成であります。ただこの問題について二、三点まだわからない点がありますが、一家の中に十人の男がおつたというような場合に、この十人の人が全部平等に借りることができるか。あるいはまた一軒は一戸として取扱うのか。また弁済期限が到来したのはどういうふうにしてこれを取立てるか。たいていの場合に生業資金なり何なりが出れば、大体固定資産にかわつている部分も相当あると思う。こういうような弁済期限の到来した場合に、どうして強制執行をやるかというような問題、それから利子の点についても、市中銀行と比較してどういうような様子であるのか。それを二、三点伺いたいと思います。
  51. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 一番最初の一家十人いらつしやいました場合に、その貸出しがどうなるかというお話でございますが、昨年六月一日出発いたしました当初におきましては、生産資金として一世帶について五万円というぐあいにお定めになつたのでありますが、その後の状況を見ますと、先ほど申し上げましたように金額が少い。のみならず一家の中におきましても、このごろの状態でありますから、一世帶の中にもやはり親兄弟等でそれぞれ一つの何と申しますか、経済單位と言うと言葉が当らないかもしれませんが、それぞれ事業を一人でりつぱになすつておられる方がございます。また兄弟でもつて、一世帶にありながらも同じ事業を共同してされておるというふうな場合がございますので、そういつた経済力とでも申しますか、その経済單位というところに着目いたしまして、世帶に限らず一人につきまして十万円というぐあいに、昨年の暮れお定めを願いましたので、今度は世帶に拘泥せずに、一家に何人かいらつしやいましても、経済カがあり経済單位としてりつぱに独立しておられる方でありますれば、それぞれに応じまして御相談に応ずる、こういうことにいたしております。  それから二番目の返済期限が来たときに実行せられなかつたならば、どういうことをするかというお尋ねでありますが、先ほど申し上げましたように、六月以来の生業資金につきましてはいま一つも延滞は、ございません。期限通りに月賦金をちやんとお納め願つておりまして、たいへんに成績がよろしいので、私どももお客さんの方々の御協力に対しまして感謝申し上げている次第でございますが、ただ更生資金の方につきましては、何さま裸一貫でお引揚げなさつた方々が全体の八割を占めております。そういう方々でございますので、予定通り返済期限が参りましても、月賦金あるいは年賦金の御償還が非常に困難なお方もないわけではございません。そういう場合におきましてどうするかという問題でありますが、すぐさま参りまして、たとえばこれを強制執行とかそういうふうなことで申し上げるようなことはいたしておりません。大体におきまして府県庁並びに市町村の方々の御助力を得まして、それぞれ返済に関しまする組合をおつくり願つておるわけでございます。そういつた組合でよくお互いにお助け合い願いまして、この返済金の積立てをあらかじめ御用意願うというふうな方法をとつて、だんだんとなしくずしにお返しを願うというふうな方法をとつたり、あるいはいろいろな点で府県庁あるいは他の産業団体と申しますか、そういつた方面とも連絡をとりまして、できる限りその方々が更生せられまして、何と申しますか私どもの方から申しますと、円滑に御返済ができるような経済力を、一日も早くお持ちになつていただくようにという意味で、御相談を申し上げておるような次第でありまして、現状はそんなつもりでもつてつておるのでございます。  それから第三の利子の点でありますが、これは生業資金の方は年一割二分、月利一分ということでお願いいたしております。日歩三銭三厘見当に当ります。また更生資金の方は年九分ということでお願いいたしております。市中金利の状況から見ますと、あるいは平均的には高いようなお感じもいたすかもしれないのでありますが、実質から見ますと非常に小口であり、また長期にわたるものでありまして、ただいま生業資金につきましては大体平均二年ということに相なつております。それから更生資金の方は五年であります。こういつた長期にわたる点、なお私どもといたしましては、別によけいちようだいいたしておるわけではございません。預金との両建関係とかそういつたことが一切ありませんので、大体において三銭三厘あるいは年九分という金利は、現在の金利情勢から見まして妥当なところではないかと存じております。ただ将来あるいは政府の御出資その他を仰ぎまして、資金量がさらに大きくなりますれば、それに応じましてなお金利もできるだけ引下げて行くという努力は、今後とも続けて行きたいと思つている次第であります。
  52. 川野芳滿

    川野委員長 小山君。
  53. 小山長規

    ○小山委員 この国民金融公庫と申しますのは、できた趣旨から申しましてなかなかりつぱなものなのでありますが、この運用の状況その他を明細に伺つてみませんと、はたして今後発展性のあるものかないものかも見当がつきませんので、その点に触れて若干お尋ねしてみたいと思うのであります。非常にこまかいことから始まりますけれども貸付の申込みを受けてから実際貸出しが行われるまでの間に、どの程度の期間がただいまのところかかつておりますか。それをひとつ伺いたいと思います。
  54. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 お申込みを受けましてから、できるだけ早く右左をきめますと申しますか、そういうふうにいたしたいと思つておるのでありますが、何さま私ども全体を通じまして五百七十人の定員でございまして、普通銀行から申しますと十分の一から五分の一の人間でいたしております。それに対しまして昨年六月から十二月までの間に、窓口に御相談にお見えになりました方が、おそらく十万に近いと存じます。そのうちで正式に申込書に所要の事項をお書込みくださいまして、お申込みいただきました数が、五万件を越えたのであります。それに対しまして十二月末までにお貸出しができました件数が、一万二千件になつております。そして大体一割見当が処理未済と申しますか、片がつかずに本年まで年を越したような状況であつたかと記憶いたしておりますが、さような状況で、実にたくさんの方がお見えになりますに引きかえまして、私どもの手不足のために、お会いいたしまして申込みを受けましてから手続をいたしまして、一度私どもの店に日にちをきめてお越しを願いまして、お話をよく承り、それからまた現物に調査員が参りまして、とつくりとお仕事の状況等を見せていただく建前なつておりますので、処理がなかなか困難であります。簡單に申しますと私どもの窓口並びに審査その他に当つております職員は、朝の八時半から定刻に出て参りまして、それから大体午後二時ごろまで皆さんにお目にかかつております。それが東京で申しますと、大体毎日百人の方にお目にかかつております。東京の本所の業務であります。それから食事を簡單に済ませまして、午後実地調査に出かけます。一人当り三件ないし六件というものを持つておりまして、約十五人の調査員——これもやはり相当の経験と技術を要する仕事でありまして、だれもができるという仕事ではありません。庶民金庫以来十年の経験を持つているそういつた方たちを、大体本所におきましては十五人ほど使つております。これが大体三件から六件というものをまわつて参ります。帰つて参りますのが大体晩の七時から八時になります。それから食事をしながら、お客様が一日千秋の思いで待つておられるわけでございますので、調書等を書きまして、書き上げまして帰りますのがどうしても十時過ぎ、こういう状況で、まつたく晝夜兼行の状況で実は仕事をいたしております。それでもなおさばき切れませんで、受けつけましてからきまりをつけまするまで、平均が大体四週間見当かかつておるかと存じます。お仕事の内容等がきわめてはつきりしておりまして、大体お越しを願つてお話を聞き、実地調査をいたしましても疑問なくすらすらと参りますと、こういう場合には大体二週間で済ましております。ところが一度の調査で済みませんで、二度三度と足を運ばねばならぬような場合等いろいろございますので、そういうことが重なりましたりいたしますと、だんだんと延びて来るようなことがございます。かたがた申込み件数が非常に多いものでございますから、やはり受付をいたしましてから、店の方に日にちをきめてお越しを願うわけでありますが、大体百人見当ぐらいしか毎日お会いする能力が現在のところございません。ところがただいまのところでは二百人くらい毎日お越しになりますので、だんだんとたまる一方です。そういうことになりまして、結局一週間か十日後でなければ、店の方に来ていただいてお話を承ることができないというふうな状況になりまして、心ならずも遅れておるような結果がありますが、私どもといたしましては先ほど申し上げたような状況で、全能力をあげて晝夜兼行の状況で処理を進めておるという状況は、よく御了解願いたいと存ずるわけであります。
  55. 小山長規

    ○小山委員 ただいまのお話でよくわかりましたが、それだけの希望者数があつて、なおまだ手不足のために処理がうまく行かないということでありますれば、ひとつ総裁としては、この資金の増額それから人手の増加、あるいは支所の増加ということに、なお一層の御努力をお願いいたしたいと思うのであります。  それで次にお伺いしますのは、予算説明書で見ますと、今度支所の数を十箇所ばかりおふやしになつて、その予算は千五百万円ばかりということになつておるようでありますが、この支所をおふやしになる場所がわかつておりますれば、それをお知らせ願いたのと、十箇所に対して千五百万円というと、一箇所当り百五十万円見当の施設費に相なるわけでありますが、それではたしてできますかどうですか。またその支所をふやしますために百五十万円見当の予算であるとすると、いろいろな條件があつて、内定しているものがその條件いかんによつては変更されるようなことにでも相なりますと、はなはだ迷惑するところもあるわけでありますが、その辺のところもひとつお伺いしたいと思います。
  56. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 資金量の増加、人手の増加並びに支所の増加につきまして、この上とも私も努力を重ねて行きたいと存じております。ただいまのお尋ねの支所の増加でありますが、来年度の予算におきましてやつと十箇所見当の増加の計画をお認め願いまして、大体今のところ駐在員が出ておりますところは、全部支所にいたしたいと思つております。駐在員が出ておりますところは、北の方から申しますと、秋田、靜岡、松山、山口、長崎、宮崎、この六箇所になつております。それからそのほかに東北には現在のところ仙台だけが店がございますので、今度秋田にできるにいたしましても、たとえば福島でありますか、そういつたようなところにいるのではないかと存じております。それから中部地方におきましては長野県がございませんので、長野県が今いろいろな関係におきまして本所の管轄になつておりますが、遠隔のところでもありますし、非常に不便でもありますので、何とか長野あたりに置く必要があるのではないか。それから山陰の方にございませんが、大体ただいまのところは、鳥取がいろいろな意味からいいのではないかというように考えております。それからそのほかに中国地方で神戸と広島に店があるのでありますが、岡山がちようどその中間であります。これもまたいろいろな意味でなかなか利用が多くございますので、岡山はどうであろうかというぐあいに考えておるわけなのであります。何分先ほど御指摘がありました通り、支所開設等のため施設費と申しまして、不動産取得のための資金がいりますが、全体として千五百万円認められておるわけであります。ところがこの千五百万円と申しましても、これは十箇所の支所設置のためでありますが、なおそのほかに横浜、名古屋、神戸、熊本、前橋、こういつた五箇所におきましては、実は戰災にあいましてからあと、無盡会社あるいは信用組合等の一室を拜借して営業いたしておるような状況でありまして、何と申しますか、連日たいへんなお客さんが参りましても、雨でも降りますれば、外でお待ちを願わなければならないような挾隘なところで、業務を続けておるようなわけでありますので、そういうところにつきまして、やはり適当な事務所を新しくつくるか、あるいは借りるか、あるいは買うか何かしなければならぬというような実情に迫られております。そういうのでありまして、どうもこの支所をつくるという一応の予定はいたしましても、適当な業務所と、それからさらに現在の状況でありますので、職員が転勤をいたさなければならぬが、その住宅であります。これが今の状態では、借りることが非常に困難でありますので、そこを何とか県庁でありますとか、あるいは市町村その他の方の御助力を得まして、この予算の範囲内でそういうことが滞りなくできるような目鼻のつきまするところから、店をつくつて行くというふうに具体的にはなりますので、予算の施設費のはなはだ不足と申しますか、非常に少額なことから、いろいろな意味で支所の増置ということは、具体的には困難をいたしております。そこを何とか、大蔵当局あるいは市町村の方々の御協力を仰いだりいろいろいたしまして、計画をできるだけ早く、三十五年度早々にでも一つの店でも多く開きたい、できる限り広範囲の方々の御便宜をおはかりするようにしたいという熱望のあまり、いろいろ現在御相談をし、準備を進めているような状態でありますから、御了承願いたいと思います。
  57. 小山長規

    ○小山委員 次にお伺いいたしたいのは、この支所の数が現在幾らあるのか知りませんが、この支所に対しまして、資金配分の標準と申しますか、たとえば横浜なら横浜、神戸なら神戸、この支所に対しまして、全資金量の中の何パーセントはどこに配分するというような標準は、従来の申込者の需要量によつておやりになるのか。あるいはまたその他の方法によつておやりになるのか。実はこういうことをお伺いいたしますのは、辺鄙なところにおきましては、一般金融機関からの借入れはなかなか困難であります。たとえば私の県は宮崎県でありますが、宮崎県のようなところでは、地方銀行は一つしかありませんし、しかもそれが非常に弱体といいますか資金量が少い。そういたしますと、このような今度支所の昇格のところに入つているようで、県民一同非常に喜んでいるわけでありますが、せつかく今度支所ができましても、たとえばその標準以下によつては、幾らの資金量も来ないというようなことでは、実はぬか喜びなのであります。それでその資金の分配につきまして、單に申込みによるとかいうようなことでなしに、そのような一般金融情勢に応じて、相当な御考慮が願えるのかどうか。その辺のところを伺つておきたいと思います。
  58. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 支所はただいま本所合して二十ございます。来年度十箇所できますと、三十ということになります。なお予定は各県に一つずつ置くというような建前でありますが、なお十六県まだ不足するという状況に相なるのであります。その支所に対します資金の配分の点でございますが、これは過去の二十につきましては、ただいま御指摘になりました昨年の六月から九月ごろ、四半期ごとにわけての資金の申込量というのが一つの基準になることは、一応の目安にしたいと思つております。なおそのほかに各地方におきまする人口と申しますか、また小企業者、中小企業の数とか、各府県等におきましていろいろ御調査がございます。そういつた数字とかその他を勘案して配分いたしまして、なおその配分をいたします場合におきましても、大体四半期ごとに国民金融審議会の決議によりまして、次の四半期には大体何億なら何億という御計画を指示されるわけであります。当初にそういつた基準によりまして、本支所に資金の配分をいたします場合にも、なお若干の余裕をとつておきまして、期の途中におきましてやはり生き物でありますから、各地方々々のいろいろな事情によつて資金需要に繁閑がございます。まあ最近の状態でありますから、閑ということはございませんが、繁忙の度合いが違つて参ります。その度合いに応じまして、なお資金の配付をふやしてやるとか、あるいはさらに再配分と申しますか、あらためて期の途中においても再調整等をいたしまして、できる限り公平に資金の配分ができますように努めておるわけでございます。従いまして新しく支所ができますような場合におきましても、その場合には実績と申しましてもまだ何にもあるわけではございませんが、いろいろな関係からいたしまして、大体の資金需要はこの見当だろうということは推定ができます。それと手持資金の量とを比べまして、ちようどよいところを配分いたしたい、こういうぐあいに考えておる次第でございます。
  59. 川野芳滿

    川野委員長 この際国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案をあわせて議題といたしまして質疑に入ります。三宅則義君。
  60. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は午前中にも御質問したのでありまするが、国民金融公庫に対しまして一つやりまして、それから林野庁の方に移りたいと思います。宮腰君並びに小山君から明細なる質問がありまして、また総裁からもじゆんじゆんと御答弁があつたわけであります。私はこういうことを感じておる。地方民と言わず金融難の折柄これを打開するのは、少くとも無盡会社と国民金融公庫の二つがあると考えておる。先ほどもよく説明されたのでありますが、どうも貸し出す金が少な過ぎやしないかと思いまするから、今後これを改正しましてもう少し多量に貸し出しまして、そして今日の金融難を打開するというような御希望がありまするか。もしくはその覚悟が整つておりましようか。その点を一点伺いたいと考えております。
  61. 飯田良一

    ○飯田説明員 公庫ができましてから以来一番に苦労の種であつたのは、資金量の不足であつたろうと思います。幸いにしまして二十四年度の補正予算、あるいは今回お願いしております十二億の増資、合せましてでき上り三十億、二十五年度は三十億の資金量を持つてやるということになるわけであります。ただ私どもは決してこの額がこれでよろしいとは思つておりません。潜在的需要その他を勘案いたしますと、まず公庫に対して金を借りたいという人の需要は、百億くらいは一応見込まれると思います。しかしながらその潜在的需要の中で、公庫として確実にこれは返済が可能であると認めまして、金を出してもよろしい、いわば適格性を持つていると見られるものは、三割か四割くらいなものであろうと思います。年間三十億や四十億くらいの資金は、必要な資金、できれば平均してそこまで出したいという資金額であると思います。  二十五年度に資本金が三十億になるわけでありますが、これはすでに過去においてずつと貸出しが行われておりまして、新規資金といたしましては、大体三十億足らずのものが二十五年度に新たに貸し出される金でありまして、すなわち十二億のお願いをいたしております増資と、それから過去の貸付の回収を六億程度と見込みまして、二十億弱というものが新規貸付にまわる金になるかと思います。先ほど申しました三十億ないし四十億程度の適確性のある対象に対する貸付としては、なお不十分な点があるわけであります。大蔵省といたしましてもこういうことを考慮いたしまして、少くとも今申し上げた程度に、公庫の活動ができる程度に増資もして参りたいと考えているわけでありますが、諸般の情勢から今回も十三億程度にとどまつているわけであります。引続き二十六年度等におきましても、少くともことしお願いしておる程度以上の増資をお願いしたい、またそれを努力いたしたいと思つておりますとともに、目下のところ非常に困難な段階にありますところの預金部資金の問題等も、われわれとしましてはその解決に努力いたしまして、この金が公庫の方面にもまわり得る態勢に早く導きたいと思つている。そういうことになりますと、やや私どもが理想としております程度の公庫の活動に、非常にその目的に近づいて参つて来るのではないかというふうに脅えております。
  62. 三宅則義

    三宅(則)委員 今御説明がありましたから大体了承したわけでありますが、私はただ貸出し金額一人に一万五千円とかいうようなことでなくして、もう少し五万円とかいうようなふうに多額にいたしまして、円滑にこれが利用される方法は講ぜられないものでしようか。それを一点伺いたい。
  63. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 先ほどこたごたと申し上げましたので、あるいはとも存じますが、現在、事業資金貸付の方は一人十万円、連帶いたします最高限度が百万円ということになつております心それから更生資金、引揚者、戰災者等のお方々等に対する特別の貸付が一万五千円、これもできれば近い将来において三万円程度にまでは上げてみたいということで、関係方面に話をしているような状況であります。大体しばらくはこの程度で、ある程度需要に応じ得るのではないかという感じを持つている次第であります。
  64. 三宅則義

    三宅(則)委員 それではそのへんにとどめておきまして、次に国有林野事業特別会計法の一部を改正する法律案、これについて質疑をいたしたい。
  65. 木村榮

    木村(榮)委員 ちよつとその前に……。末端の代理店で借入れを申し入れましても、たとえば市街地信用組合なんかの場合は、半額は市街地信用組合の負担において貸し付けるというようなことを言つておりますが、そういつたようなことになつておりますか。
  66. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 代理貸しの場合におきましては、私の方から貸付資金は全部お送りいたします。ただその返済につきまして、損失がありました場合には、その損失の半分は代理所の方で負つていただく。こういうぐあいにいたしませんと、つまり資金はこちらからおまかせいたしまして、お貸付を代理所にお願いするわけでありますので、それがかりに回収が全然なかつたというような場合におきましては、私どもの方はまるまるもどつて来ないということになりますが、かりにそういうような場合には、損失の半分は代理所の方で御負担願いたいという建前で、今代理契約を全部結んでいるような次第でございます。資金的には全部お送り申し上げております。
  67. 木村榮

    木村(榮)委員 そこで銀行なんかから金融の困難な者に貸し付けることになつておりますが、現に代理所なんかでやつております場合は、抵当物件を設定せぬとほとんど不可能なんです。公庫法に基いて貸し付けます場合には、必ずしも抵当物件がなくてもいいと思いますが、あれはどうなのですか。そういう場合は本所の方ではどういうふうにお考えなつておりますか。
  68. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 私どもといたしましては、抵当物件等を十分にお持ちでない方がいらつしやることの方が多いのでありますから、大体保証人でもつて貸付し、対人信用でもつて貸付をするのを原則といたしております。従いまして代理所でもその通りであるはずでありますが、ただある程度担保物件をお持ちの方、またその担保として御提供なさることを承諾なさる場合、あるいはお申出があるような場合においては、担保物件をいただいておりますが、原則としてはいただかずに、対人信用、保証人をそのかわりにつけていただくという建前で行つております。代理所もその点は全然同じだと存じております。先ほど申しましたように、おだしになる余力のある方からはいただいておると存じます。
  69. 木村榮

    木村(榮)委員 そういう方針でしようけれども、実際末端に行きますと、なかなかめんどうくさいことを言つております。われわれの知つています商人でも、なかなか担保物件がやかましくて保証人だけでは困る。それが実情です。その点をもう少しあなた方の方から積極的に御指導願いたいと思います。  もう一点伺いたいのは、大体支所ができます場合は、その地方の経済的な中心地にお置きになる御方針でございますか。
  70. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 大体経済的な中心地ということになろうかとも存じますが、いろいろな関係で行く行くは全国的に各府県に一つずつは店を置いてもよろしい、また置かねばならぬという状況にあると存じます。それでできるものから早くどんどんつくつて行くという建前であるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、予算上の関係その他からいたしまして、自分の置きたいところにすぐさま置くという状況にもありませんので、各府県町村の方々といろいろ御相談をいたしまして、たとえば事務所が拜借でさましたり、あるいは住宅方面の目鼻がつくということになりますところから行くことになりますので、おのずからそこに多少の遅速はあろうかと思います。この両三年の間に、できれば全国各府県に一つずつ店を置くという方針で進んでおります。またできるだけ経済中心地から先に行くということになりますが、やはり地方的議がそれぞれございまして、数県のブロツクのうちで一つの県が中心になる場合もありますが、県は県でもつて一つのものにりつぱにでき上つておりますので、そういつた関係から申し上げまして、経済中心地と申しましてもいろいろな見方があろうかと存じます。具体的には私どもはむしろ早くできるものから一刻でも早く店を出して、できるだけたくさんの方に早く御利用願いますように持つて行きたい、そういう方針で進んでおります。
  71. 木村榮

    木村(榮)委員 そこで私は地方的なことを聞いて恐縮なんですが、山陰では鳥取というお話ですが、これを私どもの方では、この間私が帰つたら商工会議所で相当問題にしております。さつき宮腰さんから御質問があつたとき政治的に云々という問題があつた。山陰は御承知のように鳥取県に二市、島根県に三市があり、その中心地は米子、松江で、その間は汽車で大体一時間しかかからない。鳥取は大阪に近く、山陰とは言いますが、むしろこれは関西の方に近い。山陰に置くという場合、鳥取に置くのではなく、米子とか松江とかに置くなら、これは意味がわかる。しかしながら鳥取は、たとえば山陰で一番の漁港である浜田港に行くのに、大阪に行くほどかかる。しかも鳥取県でも鳥取と米子は三時間もかかる。しかも鳥取市は、そう言つては失礼ですが、産業的には同じ鳥取県でも米子の方が近代工場も多いし商人も多い。鳥取はただ県庁の所在地、温泉町というくらいで、至つて産業的には微弱である。そういつたふうなことがあるにもかかわらず、山陰の場合は鳥取に置かれた。これは何か政治的なものだということを、私ではなくて商工会議関係の人たちが話しておる。これは一体どういうことかと私に聞いたのですが、ぼくはそんなことは知らぬ。それはおかしな話だから一ぺん聞いてみようと言つてつたのですが、機会がなかつたから聞きませんでしたが、この間帰つたときそういうことを言つておりました。こういうことから考えますと、地方末端の方では非常に政治的云々ということを一言うのです。山陰の問題はきまつたものならしようがないのですが、きまつていなければもう少し愼重に御協議なさつて、米子とか松江とかいうところにお置きにならぬと、実際問題としてはおかしいというのがもう常識です。だからその辺は公平にやつていただきたいと思います。鳥取にもうきまつたのですか。
  72. 櫛田光男

    ○櫛田説明員 お答え申し上げます。山陰の場合でありますが、鳥取の方はただいまは京都の管内になつております。引揚者関係その他のことで、相当前からいろいろ密接な関係がございます。ところが京都から出かけて参りますと、兵庫県を飛び越えてまた出かけて行くような状況でありまして、その間なかなかめんどうな手間がかかるような関係で、できますれば鳥取はもちろん、また島根の方が山陰の経済的な中心地でございますから、両方一度に置ければ仕合せであります。私どもも将来の問題といたしまして、余裕ができ準備が整いますれば、先ほども申し上げましたように、どこにでも置きたいのでございます。そこでだんだんと話を進めて参りまして、用意をいたして参りますと、鳥取の方が具体的な用意は早くできそうなのでございます。それでとりあえず鳥取の方が先になるわけでありますけれども、島根の方は、それだからと言つて置かないとか、そういうわけではございませんで、やり繰りがつきますれば、来年度中にでも、できるだけ用い機会に置くという用意ができますれば置くつもりであります。それから経済中心地の問題で一つあるのでありますが、引揚げられた関係更生資金関係が、どういたしましても厚生省関係並びに府県町村の方々との、ことに緊密な御連絡がいるものでありますから、従つて県庁所在地が一応私どもの店のあり場所としては、適当だということになりますので、そういつた意味におきまして各府県の県庁所在地ということが、一応今考えられておるようなわけでございます。そういつた事情でありますので、別に政治的とかそういつたことを、地方に参りますとすぐおつしやられるので、実は私ども閉口いたしておりますが、そういうことは毛頭ございません。ただ用意ができたところからできるだけ早くやりまして、できるだけたくさんの方に早く御便宜をおはかりしたいという一心に燃えておるだけでございます。そこをどうぞ御了承願いたいと思います。
  73. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは国有林について御質問したいと思います。国有林は御料林と昔の国有林と一緒になつたものと思いますが、これは治山治水上きわめて重大なものでありますから、概略でよろしゆうございますから、一応国有林についての構想を承りたい。
  74. 佐木義夫

    佐木説明員 それでは私から概略を御説明いたします。国有林は昭和二十二年に御料林と北海道所管の国有林が合併いたしまして、林政の統一ができたのでありますが、面積にいたしまして約八面万町歩あります。全国の林野面積の約三分の一が国有林で占められておるという状況なつております。材石の方から言いますと、日本の全体の蓄積が六十二億ということになりますが、そのうちの五三%三十二億が国有林ということになつております。御承知のように国有林は非常に奥地の不便な所にありまして、まだ未利用林が非常に多いのでありまして、将来大いに開発しなければならぬ所が多いのであります。現在のところこの管理経営のためには、十四の営林局があります。北海道に五つ、内地に九つと、十四の営林局がありまして、その下に三百三十幾つの営林署がありまして、これに当つております。御承知のように国有林にはりつぱな施業案ができておりまして、この施業案に基きまして仕事をやつておるわけであります。二十四年度の状況を申しますと、立木処分をやつたものが一千三百万石、これは用材でありまして、なお薪材は一千六百万石ということになつておりますし、製品にして売り拂つたものが丸太が一千五百万石、木炭が十一万四千トン、まきが五百万石、こんなことになつております。なお造林の面でございますが、これは戰時中に非常に濫伐された関係で、地方によりましては施業案の倍くらい来た所もありまして、実はその跡地の造林に非常に困難を感じている状態であります。戰後非常に努力してやつてつたのでありますが、二十三年の初めには造林をしなくてはいかぬ所が二十五万町歩つたのであります。その後だんだん整理をやつて参りまして、二十二年度末には十四万町歩というものが残つております。この十四万町歩を完全にこれから引続いてやりたいというような状態でありまして、極力努力をいたしておる次第であります。なお予算の問題につきましてお話いたしますと、二十二年度には歳出歳入の予算が六十三億でありまして、そのときには利益が約六千万円ということになつております。二十三年度は九十八億の予算であります。利益が二億四千万円。二十四年度は百三十億の予算でありまして、目下事業を運営しておるのでありますが、あるいは四、五億の利益が出るのではないかと思つております。なおこの利益金は将来の損失補填のための積立金として、やつて行きたいというふうに考えております。なおこの特別会計は公債借入れを認められておりまして、現在まで二十一億の公債借入金があるのであります。二十五年度から償還を始めることになりまして、まず二十五年度には九千七百万円を償還しよう。引続いて償還いたしまして、これは五、六年間で償還いたしたいものだ。こんなふうに考えております。大体あらましの状況はそんなふうであります。
  75. 三宅則義

    三宅(則)委員 今御説明がありましたから概略わかつたのでありますが、私の構想から考えますと、政府のやる事業はどうも損をして困るとよく言われておりますので、ある程度御料林の一部を民間もしくはその他の公共団体に委託をして、これらによつて造林の計画をいたしたり、あるいは木材の販売等をするような構想があるでしようか、いかがでしようか、伺いたいと思います。
  76. 佐木義夫

    佐木説明員 これは国有林の仕事といたしまして、先ほどお話がありましたように立木のままで売るものと、それからいわゆる官行斫伐で製品をつくつて売るものとあります。戰時中には非常に官行で生産して材を出すという仕事が着実でいいというので、これに主力を注いで参つたのでありますが、終戰後徐々に立木処分に切りかえて参つております。できるだけ立木処分をふやして、なるべく官斫は少くいたしたいということを希望しております。
  77. 三宅則義

    三宅(則)委員 国有林は先ほど御説明になりました通り、わが国の山林の約半分を占めておるものと考えておりますが、その中には場合によつては鉄道を敷かなければならぬ、あるいは道路をつくらなければならぬというようなことにも、相当の費用がかかつて行くものと考えておりますが、これらにつきます採算といいますか、業態といいますか、これらの運行を便ならしめるために、民間事業と共同してやるような方法があるものでしようか。伺いたいと思います。
  78. 佐木義夫

    佐木説明員 御承知のように非常に奧山に国有林があります関係上、林道が開発の第一番の問題になつておるのであります。中には県道と併行して一緒につくる、あるいは村道と一緒になつて国有林を開発するということを、今までもしよつちゆうやつております。あるいは民間の方が立木処分を受けられた場合には、自分で金を投資しておやりになる。その場合には国がある程度補助をやつて行くということも今までやつてつた次第であります。戰時中は官行斫伐一点張りで参つた関係上、立木処分にはあまり道をつくつてやることができなかつたのでありますが、できますならど私らとしてそちらの方面にも道をつくつてやりたいというように考えております。
  79. 三宅則義

    三宅(則)委員 今佐木さんからたいへん親切な御答弁がありましたが、私の考え方を一応申し上げますと、この森林行政については国が監督するということはけつこうでありますが、あまりに小さいところまで顔を出すという事柄は、いかにも官吏の商売なり官吏の行政になりましておもしろくない、こういう意味合いにおいて私の構想ではなるべく府県單位に小刻みにいたしまして、これらの府県單位のものが十分に植林をする、あるいはこれを利用する、こういう線で行くということが一番穏健にして確実な植林の方法であり、また利用の方法である、かように思う点がありますが、場合によつては川の流域等によつて多少変遷もあるわけであります。たとえば北海道は北海道、東北地方は東北地方、東海地区は東海地区というように小刻みに区分して経営させるような方法がありましようか、伺いたい。
  80. 佐木義夫

    佐木説明員 国有林の経営について三宅先生からお話のような御意見も今まで相当あるのであります。御承知のように、山林は国土保安上非常に重要な点があるのでありまして、なかなかこの経営はむつかしいのであります。北海道の山林の歴史を見ますと、あれは拓植のために非常に犠牲になつておる。各県の処理方法の状況を見ますと、地方の財政のために濫伐されて非常な犠牲を下の農地に及ぼしておる、あるいは人家に及ぼしておるということが多いのだろうと考えております。山林を経営して行く上においては、なお相当大きい資本を投下しなければいけないということを考えるのでありますし、逼迫しておりますところの地方の財政においては、これを経営して行くのはなかなか困難じやなかろうか。あるいは全体の木材、薪炭の需給の状態からいたしましても、ぜひ県ブロツクにならないように、やはり国一つとしてやつて行く方がよいのじやなかろうかということを今考えております。
  81. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいまのお話によりまして国防上、国の経営上、国土建設上、森林経営がきわめて大切であることは了承いたしております。戰時中濫伐した結果、場合によつてはまだ植林が完全になつていないということを聞いておるのでありますが、これを完了せしむるためには米国対日援助見返資金から、約三十億円も借りてやるというような方法を伺つておりますが、これに対する御構想がありましようか、伺いたい。
  82. 佐木義夫

    佐木説明員 この三十億の内訳を申しますと、こういう実情になつております。最初組みました予算は百四十二億であつたのでありますが、そのうち公債借入れによるものが二十一億、これはおもに森林鉄道、あるいはその他の施設に要する経費であります。その後いろいろGHQの方と交渉をやつておりましたところ、民間の種苗がないために、非常に全体の造林の振興ができない。それだから九億円をもつて、民間配給用の苗木をつくりなさいというお話があつたのであります。それでいろいろと私の方で検討いたしましたところ、本年度に九億円の予算を使つて苗木をつくるということが、とても困難だという見通しがつきましたので、一応事業費といたしまして、五億五千万円は苗木養成のために使わしてください。残りは国有林内の造林地の植栽、あるいはすでに造林をやつたところの撫育のために使わせていただきたい。あるいは病木で非常に荒廃しておるところの復旧をさしていただきたい。このような了解を得ておるのでありまして、三十億全部が、いわゆる造林の方に向いて行くのではありません。
  83. 三宅則義

    三宅(則)委員 これは林野庁の方にお伺いするのが一番けつこうであると思いますが、森林保險というものがあるわけです。これの国有林と民間林との間におきます差異、あるいは特徴等につきまして、御構想をちよつと承つておきたいと思います。
  84. 佐木義夫

    佐木説明員 現在のところ森林保險につきましては、民有林を対象にしてやつております。国有林の方は、いわゆる森林保險のらち外にあります。それなら将来、国有林も森林保險の中に加入していいかどうかという問題が出て来ると思いますが、これは相当考究を要する問題と思つております。ただいまのところ私らといたしまして、相当の面積がありますし、国有林の内部におきましていろいろとやりくりができます関係上、特に森林保險に加入する必要はないのじやなかろうか、かように考えております。
  85. 三宅則義

    三宅(則)委員 今この議案になつておりまするところの、国有林野事業に対する試験場というものはどのくらいあつて、面積もしくはそれらに対しまする財産といいますか、そういう点について、内容的ではありますが、承りたいと思います。
  86. 佐木義夫

    佐木説明員 現在林業試験場は本場が一つ、目黒にあります。それから支場が八つあります。その下に分場が五、六あります。それで人員は約八百人であります。経費は一億三千万円くらい使つております。この国有林野特別会計が設立されましたときに、資産として引継いだものが二千七百万円くらいあります。その後この特別会計から金を出していろいろの施設をやり、つくつたものが三千三百万円ほどありまして、資産といたしましては合計約六千万円ほどのものがあることになつております。この特別会計から出しておりますところの三千三百万円というものは、これは全部借入金によつてつておるのでありまして、これは特別会計といたしまして将来適当に償還して行かなくちやいかぬ、かように考えております。
  87. 三宅則義

    三宅(則)委員 これで終りまするが、私は林野行政をやりまする上につきまして、一つ御希望を申し上げておきたい。というのはほかでもありませんが、全国に何千人という多数の人が行政に携わつておるわけでありますが、末端に行きまするとどうも本庁の役員と違つて、非常にいばり過ぎるといつたような点があるのであります。これは本庁の方に行きますると非常によくわかるのでありますが、末端に行きますと、自分の権威と権力を濫用する者があると聞いております。これについては業務部長さんから末端に対して、親切丁寧に、また一般の業者とも関係を密にいたしまして、穏健妥当なるところの森林行政を徹底するようにしていただきたい、かように思います。
  88. 佐木義夫

    佐木説明員 ただいまのお話、しごくごもつともと存じております。私も地方におりまして、特に熊本の営林局長をやつてつた時代に、その声を諸所方々から聞きました。私はいつも末端の職員に、時代をもつと認識してやつてくれないか、もつと親切に仕事をやつてもらいたいということを、常々話合つていたのであります。それで私らといたしましては、各営林局の局長のみならず、ほんとうの最先端におります監督員の連中のいわゆる教養をもつと高めたい。このためには、ある程度の教育施設をやらなければならぬというようなことも考えておりまして、私の方でも着々と、あるいは講習会を開くなりいろいろなことをやりまして、皆さんの御意見に沿うようにやつて行きたいと考えております。
  89. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 本案に関連した問題でありますが、ごく最近の林野庁の全国の伐採数量、それからこれに対する売上げ金額、これに関連する收支関係を多少伺いたいと思います。  それから第二といたしまして、植林関係が見返り資金によつて運用されるということになつておりますが、民有林と官有林との両方の植林は、これをどういう官庁が主官をして、その金銭の支拂い、貸付なり運用方法をはかるかということ、また官有林の伐採した跡の植林をするという場合に、これを附近の市町村が植林した場合にはどういうふうになるかということの問題です。  それから先ほどの伐採数量の今後の処置の問題でありますが、これに関連いたしまして、ごく最近自由競争になつ関係上、秋田県の製材業者あたりでは、非常に不安の念を持つておられます。ごく最近伐採され競売されたところは、石六百円、五百円に入札されておるところがありまして、たる丸業者も非常に困つておる状態です。従つてこの点について今後秋田県の製材業者に対して、何らか安心を與えるような御処置を願えるかどうか。ことにたる丸業者とか、おけの製造業者は非常に不安のどん底に落されまして、議会に再三手紙をいただいておる関係上、この点について多少伺いたいと思います。
  90. 佐木義夫

    佐木説明員 伐採数量と收入の関係についてまず申し上げます。二十四年度は先ほどもお話がありましたように、製品売拂いのものが一千四百八十万石、金額にいたしまして約八十二億九千九百万円ということになつております。
  91. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 府県別明細書をいただくわけに行きませんか。
  92. 佐木義夫

    佐木説明員 ただいま持つて来ておりませんが、差上げてもいいと思います。  それから次は造林の問題だと思いますが、見返り資金によつて造林ができるというのは、ほんのわずかな数字でありまして、三十億の中の二十一億というものは、おもに林道の施設であります。そのほかいわゆる作業道の施設あるいは苗圃の建物とか電話とか、そんなようないわゆる恒久施設に使うようなことになつております。そうして九億のうちの五億五千万円は、民間に配給するための苗木をつくる。これは一応官営を徹底することになつておりますが、どうも現在の官の苗圃の施設を見ると、なかなかそれだけの苗木をつくることは困難と存じまして、今まで民間にあります優秀な苗木業者あるいは県営苗圃、そういうところに委託いたしまして、予定の数量を生産するよう努力いたしたい。残りの五億五千万円でありますが、これはこのうちのほんの一部が造林の方に向いまして、あとは既往の造林地の補植、撫育という方面に使われると存じております。なお詳しいことはただいま各営林局の幹部を集めて会議をやつておりまして、いろいろ地方の実情、労務関係、山の関係を調べまして、具体的数字はもう少し先にならなければ、はつきりきまらないのじやなかろうかと考えております。  なお戰時中の増伐の跡地に民間の方が植林がやれるかどうかという御質問だろうと思いますが、これは私らの方ではもしそのような希望者があつたならば許したい。これもできますならば、地方の公共団体の方に許したいというように考えております。これはもう秋田県では昨年、一昨年から地方公共団体の方に部分林として山を提供いたしまして、造林をやつていただいているという形であります。なお去年部分林規則を改正いたしまして、積極的に国有林を開放いたそうというような考えをもつてつております。  次にいわゆる秋田県の木材の処分の問題であります。なるほどお話のように第一回の処分の状況を見ると、突拍子もない高い値段で、実は私らも驚いたような状況であります。第一回の公売でありました関係上、非常に人気が立ち過ぎて、あんなような結果になつたんじやなかろうかと思つておるのであります。将来ともあんなような景気がつくとは私は考えておりません。特にお話がありましたようなたる材とかその他いわゆる特殊の用途のものにつきましては、十分私の方で考慮することにいたしております。去年までは一応のわくがありまして、そちらの方に用途別に材を流しておりましたが、私といたしましては統制がはずれたからといつて、一ぺんに公売に持つて行くとは考えておりません。あくまで一つの既往の実績と今後の状態と見まして、一応のわくをきめまして、そのわく内において指名競争入札かなんかで、公平にいわゆる素材をとつていただくというふうにやりたい。急激に今までのものを変化したくないと考えております。  なお秋田県における製材の問題は特殊の問題でありまして、なかなかこの方々全部に御満足を與えることは不可能だと考えております。殊に秋田の木材の生産力から見ると、現在の製材の馬力数から言うと、約生産量の三倍の製材能力があるという状況である。この方々に全部御満足の行く処置は、とてもとれないと思つておりますが、なるだけ地元の方に御満足の行けるよう処置したいものだということは、営林局長と私の方で十分相談しております。
  93. 川野芳滿

    川野委員長 それでは本日はこれにて散会いたします。     午後一時五分散会