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伊原政府委員 お答え申し上げます。ただいま
内藤委員のおつしやいました
通り、
インフレを経過いたしまして漸次安定に入
つて参りましたこの際、
通貨制度全体を見直すことが非常に必要であるという点につきましては、ま
つたく御
同感なんでありますが、ただ現在の行き方といたしましては、こういう
考え方で進んでおります。最近
提出になります
資産の再
評価の
問題等からも
考えまして、現在の
貨幣価値をあるがままに認識しまして、むしろ戦前の名前で現われておりました固定
資産の帳簿価格等も、たとえば二百倍にして行く。それに伴いまして千円の
紙幣等も出して行く。すなわち円の方の
価値を切上げると言いますか、たとえばただいまお
示しの百円を一両とするというふうな方角に行くのも一つの方法でありますが、ただいまの方角は、むしろ円を現在の円の
価値として直して行く。
従つて紙幣の方でも百円、場合によ
つたら五百円
紙幣も
考えた方がよいと思うのでありますが、百円、五百円、千円という大額券の方に進み、また百円以下は
硬貨を五十円、十円、五円、一円というふうにして、かつ一円以下は
端数を切り捨てて行くというふうな方角で、一応安定をするのがよいじやないかというような
考え方にな
つております。
従つて何年かたちまして、みんな円という名前では非常に不便だ。たとえば銭という單位がなくな
つて、何でも初めから円という單位では不便だというふうな場合におきましては、また名前を
考え直すということはあり得ると思いますけれ
ども、ただいまの実情では、今申し上げましたように一円、五円、十円、五十円、昔で言いますと一銭、五銭、十銭、五十銭というふうなものを
硬貨にいたしまして、それから百円、五百円、千円、一円、五円、十円というふうなものを
紙幣にいたすというふうな方角へ実は進んでおります。外国の例等で実はいろいろ研究いたしてみたのでありますが、資料も非常に不十分で、はつきりはわかりかねるのでありますけれ
ども、大体
日本の一円と同じくらいの
価値——これは正確に申し上げますと多少違いますが、フランスとイタリアのフランとかリラとかいうものも大体
価値が同じようであります。これは資料が古いのでありますが、フランス
あたりで九千二百十億フランの
流通をいたしております。それからイタリアでもやはり九千億リラ以上
流通をいたしておりまして、大額券の方に進んでお
つて、やはりフランとかリラとかいう言葉を、たとえば百リラを一何とかとするとか、百フランを新しいフランにするとかいうふうな制度をまだと
つておらないようであります。また各国とも固定
資産の再
評価等をいたしておりまして、一応現在の低落した
貨幣価値そのものの名前を維持して、大額券の方に進むという方角のようであります。
日本といたしましても大体そういう方角をたど
つておるわけでございますが、ずつと将来におきまして、すつかり安定した際に、また
考え直すということはあり得ることだと存じております。