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1949-12-23 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十三日(金曜日)     午後三時二分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 北澤 直吉君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 河田 賢治君       江田斗米吉君    岡野 清豪君       佐久間 徹君    苫米地英俊君       西村 直己君    三宅 則義君       田中織之進君    宮腰 喜助君       神山 茂夫君    竹村奈良一君       中村 寅太君  委員外出席者         国税庁長官   高橋  衛君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君     ————————————— 本日の会議に付した事件  昭和二十四年度所得税事業税等年末年始に  おける納税延期に関する決議案野坂參三君外  四十一名提出、決議第一三号)     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 会議を開きます。  昭和二十四年度所得税事業税等年末年始における納税延期に関する決議案議題として、質疑を続行いたします。
  3. 河田賢治

    河田委員 現在、この年末年始にあたりまして、各税務署において仮更正決定などが行われているわけでありますが、特に更正決定につきまして、東京都における昨年のわずか二十三件について調べましても、こういうぐあいになつております。二十三年度の申告は二百四万三千円、ところがこれに対して更正が四百十万円、決定されたものは二百四十万円、こういうふうに申告とほとんど同じ決定をされておる。ところが税務署自体は、四百十万円という約倍を越える更正決定をしておきながら、結局最後に納めたものは二百四十万円である。これで更正決定というものは、いかにむだなものであつたかということも証明されている。こういうふうに、税務署は人が足らぬ、経費が足らぬ、——面会者が来ましても、いわばお客さんである納税者にいすも與えてないというようなことがたくさんあります。こういうむだが非常に多く行われております。特に今年におきましては、昨年の仮更正決定二百四十万円に対して、五百三十五万円というようなことになつている。こういうふうに、ことしの仮更正決定というものは、昨年から比べますならば、非常に重くなつているわけです。特に今日、年末年始にあたりまして、各業者はそれぞれ不景気、金詰まりで、自分商売に打込んでやらなければならぬ場合に、税金の問題で税務署から呼び出され、あるいはまた税務署に交渉に行くというようなことで、商売もほつたらかさなければならぬような状態になつているわけであります。従つて今日この更正決定に対して、税務署のやつておられることはずいぶんむだな面もありますので、われわれはこの決議案を提案いたした次第でございますが、政府当局においては、この年末年始にあたつてわれわれのこの趣旨に対してどういうお考えをお持ちであるか。それを一応弁明していただきたいと思うのであります。
  4. 高橋衛

    高橋説明員 政府シヤウプ勧告の線に沿いまして、国民租税負担合理化及びその軽減をはかるベく、税制改正案の作成を急いでいるのでありますが、幸いにして勧告以上の軽減を行い得ることとなりました。この軽減措置が行われることになりました基礎は、わが国の納税者が法律の定めるところに従いまして、誠実に申告及び納税をなすことが前提となつていることは当然であります。従つて本年分の申告所得税につきましても、納税者の各人が申告及び納税の実際において、この軽減措置がふさわしい措置であることを、ぜひとも示していただきたいと考えるのであります。現行租税負担は確かに重いと思います。しかしながら租税負担によるところの苦痛は、結局はその徴收にあるのであります。この意味において、納税者はその納期に納めるべき税金をあらかじめ準備することがぜひとも必要であります。またでき得れば税務官庁においても、この課税見込額をあらかじめ納税者にお知らせいたしまして、その準備に遺憾のないような配意をすることが望ましいのであつて、この見地から本年は六月及び十月の二回にわたりまして、例年にないところの強力な申告慫慂行つたのであります。しかしながら申告成績は必ずしもよくはありません。十二月十日現在におきますところの收入の実績は、予算に対しまして、勤労所得に対するところの源泉課税におきましては六八・九%という成績を示しているのに対しまして、事業所得でありまするところの申告納税におきましては、その收入割合はわずかに三五%にすぎないのであります。公平の見地から申しましても捨ててはおけない状態でありますので、申告慫慂に応じない方方に対しましては、税法の規定に従いまして、大体十二月中に仮更正決定を行う方針であります。しかしながら政府におきましても、最近における金融及び経済事情にかんがみまして、特に年末年始においては、万やむを得ないと認められる場合を除きましては、強制徴收をいたさない方針でありますから、納税者政府の意のあるところをくんでいただきまして、ぜひとも進んで納税負担合理化に努めていただきたいと思います。繰返して申し述べますが、現行税法による正当な租税負担は、年末内には結局において納めていただかなければならないものでありまして、このことが実現されて初めて来年以降の租税負担軽減が行われるものであるという点に、くれぐれも御留意をお願いしたいと思うのであります。
  5. 河田賢治

    河田委員 ただいま万やむを得ないと認められる場合というようなお話がありましたが、たとえば大口脱税者があつて、それの徴收を続けておるというような場合には、私たちは別に異議はありませんが、大体においてこの万やむを得ないという場合は、一体どういうようにお考えになつておるか。今日零細な中小商工業者等の普通の状態においては、この問題はないと思いますが、どういうお考えでありますか。その点をお示しを願いたい。
  6. 高橋衛

    高橋説明員 ただいま御指摘のありました通り、たとえば大口の滯納者であつて、しかも納める能力があると考えられるような場合、またははなはだしき例に至りましては、納めるべき税金をもつて他に金融しておるというような例も、ときどき見受けるのでありますが、そういう場合におきましては、やはり万やむを得ないという場合に該当するものと考えまして、強制徴收の手段をとらざるを得ない場合があり得るものと思います。
  7. 河田賢治

    河田委員 もうすでに本日は二十三日でありまして、年末の時期に入つておるわけであります。この問題を各税務署に対してどのような方法で周知徹底するか。その辺をお聞きしておきたいと思います。
  8. 高橋衛

    高橋説明員 本庁よりただちに各国税局に、この旨を電報方法によりまして通達いたしまして、趣旨の徹底をはかりたいと考えております。
  9. 竹村奈良一

    竹村委員 このことに関連いたしまして一つお聞きしておきたいのですが、今言われますところでは電報等をもつて通知する。これは非常にけつこうであります。ところが往々にして下におきましては、成績を競い合うという実例が幾らでもあるのです。これは年末に至つていろいろな事情もありますが、ここにもいろいろ請願書なんか出て来ているのを見ますと、昨年度から十倍あるいは五倍というような——東京の板橋なんかでもとられている例がどんどん出て来ておるのですが、そういうことをやつて現在通知されても、その通知されたものを自分たち成績をあげるためだという形で、もし電報なんかで御指示になつても、下においてその趣旨に沿わぬような行動をした場合におきましては、その具体的事実をあげてあなたの方に持つて来た場合に、あなたの指示に従わないような場合においては、どういうふうな形でその者に責任をおとらせになるか。それをお聞きしたいと思います。
  10. 高橋衛

    高橋説明員 強制徴收を行わないということはただちにはつきりと連絡する、通達するつもりであります。従つていかなる命令によりましても、いかなる場合におきましても、本庁指令に従わないという場合においては当然に指令違反であり、公務員法上の責任に該当するものと考えます。
  11. 川島金次

    川島委員 ただいま国税庁長官答弁によりますと、この年末に際して中小業者あるいは企業方面における深刻な金詰まり事情及び購買力のはなはだしい低下、こういう実態を深く認識されて、特に本年は年末年始についてはやむを得ない事情ありと認める以外のものについては、強制的な徴收をしない方針と確言されたのであります。これについて、従来も実は税制問題で政府言葉の上でわれわれ委員会に約束をされた点は一、二にとどまらないのであります。しかしながら政府責任ある立場において、この委員会で要求した事柄に対して、その要求の線に沿つた答弁はされておりましても、実体においては往々にして逆な措置が行われるというようなことがあつたことも事実であります。しかしながら今回の国税庁長官としての言明は、機関が新しく設置され、しかもその長に任ぜられた長官の初めての言明でありますので、私ども国民といたしましても一応その言葉を信頼いたしまして、ぜひともこの言明を、真にすみやかに全国的に実施されるような最善の努力をされてほしいと思うのであります。もしその間において、せつかく長官趣旨が徹底せずして逆な事柄が起るようなことに対しましても、これまた敏速に政府としては、それぞれのこの趣旨沿つた措置を急速にやつてほしいということを、この際強くわれわれは希望をいたしておくのであります。  なおこの機会に、ついででありますから一応長官お尋ねをいたしておきたいのでありますが、政府は御承知通り先般の補正予算の際に、所得税方面において一部の減税と、及びやむを得ない減收ば補正予算の上に計上いたしたのであります。これに反しまして法人税方面につきましては、きわめて高額な自然増收を計上いたしております。池田大蔵大臣はこの二百億に余るところの自然増收を、一般法人企業のきわめて経済的な好況からよつて来る現象であり、それは日本経済一つの安定のしるしであるともいうような言葉をもつて、説明されておるのでありますが、最近私が見聞をいたしております範囲によりますと、特に中小都市における百万円内外あるいは百万円以下の法人、これらに対しましては、この年末に際して相当な人員を擁して、各戸に軒並調査をいたしております。その調査が合法的であることは言うまでもないことではございますけれども、中にはひんぴんとして二十三年度すなわち前年度におきまして、すでに法人が設立された早々のことであつて、その事業が思わしくない。従つて帳面の上でも、また実質的の上におきましても利益があがつておらないということで、当時は出先の税務官吏と当事者の間に一応の了解が成り立つて来ておることが大分あつたのであります。ところがその了解ができておる法人の面に向いまして、拔打的な調査を敢行し、しかも二十四年度のみならず、前年度にさかのぼつてきわめて苛酷な調査を行い、しかもその調査の結果が税務官として的確な資料があがつて来ない。あがらないはずである。ところがそのあがらない結果においてどうするかというと、私どもが聞いておるところによりますと、ひとつ相談づくで二十三年度の問題もこの際解決してほしい。前回に来た税務官吏がどういう話合いであなた方と了解がついておるかわからぬが、とにかく政府が今必要なんだというところで話合いでひとつやつて、何とか幾らでも納めてもらいたい。こういうことなどが実はちよくちよく私の耳にも入つておるのであります。本来ならば法人設立早々において——もつとも有望な事業であれば別でありますが、この節法人組織でやつてみたところで、すぐ設立早々相当徴收のできるような営業成績をあげるということは、ほとんど特別の例外を除いてはないはずであります。そういう実態に即して二十三年度の問題が処理されておる。にもかかわらず、ただいま申し上げましたような事柄軒並調査によつて、二十三年度にさかのぼつて何か談合めいたことを行つており、しかも何とかこれは徴收しようという気構え、あわせて納税者の方ではせつかく了解済みであつたものが、再びむし返されておるというような形になつておるわけであります。こういつた事柄までもしなければ、一体法人税というものが増徴できないとすれば、池田大蔵大臣補正予算の当初において説明した、いわゆる自然増收というその言葉と、実態においてはまことに矛盾した現象が目下各地において現われておる。こういう事柄を一体長官としてはどういう考え方でやらせておるか。その点についてこの機会に私は一応お尋ねしておきたいと思います。
  12. 高橋衛

    高橋説明員 法人税收入成績は、十二月の十日現在で新しい補正予算に対しまして七二%に上つておるのであります。ただいまお尋ねの点に関しましては、実は私どもといたしましては、税務官吏の不足もございまするし、また特に法人税調査につきましては、相当専門的な知識を要するという面からいたしまして、頭数だけそろえましてもなかなかその調査が促進できなかつたのであります。しかしながら法人税更正決定が非常に遅れることによりまして、個人との間に非常に事実上不公平を生ずることをおそれまして、実は昨年末相当更生決定が遅れておりましたものを取返すように、法人税調査に対して非常な力を注いで参つておるのであります。ただいまお話税務署との間に話合いがついたにもかかわらず、もう一度調査をして、そうして新しく決定をするという点でございますが、その具体的な内容については私あまり承知しておりませんけれども、御承知通り先ほどお話いたしましたように、法人税決定が遅れますために、法人税においては納税相当事実上遅れる。そのことが一つの理由になりまして、実は個人から法人組織を変更する方々が、昨年来非常に多くなつてつておるのであります。それらの方々につきましては、やはり法人なつたから個人よりは非常に負担軽減されたのだというようなことがあつては、公平の観念にも合しませんので、十分に個人と同じような態度をもつて、同じような程度に十分な調査をいたしまして、そうして公正な課税をいたしたい、こう考えましてやつておるものだと考えるのであります。御承知通り法人につきましても、正確な帳簿を備えておられない。または非常に不明確な帳簿であるというふうな方が相当多いのであります。そういう場合におきましては自然いろいろ御質問も申し上げるでありましようし、またいろんな間接資料等から推定をいたしまして、更正決定をするよりやむを得ない場合も相当あることを、御了承願いたいと思います。
  13. 大上司

    大上委員 二、三お尋ねいたします。すでに川島委員も述べられましたが、われわれが本議題を審議するにあたりまして、特に懸念をいたしますのは、この委員会においてわれわれの質問に対する答弁はわれわれは一応納得が行くのですが、現場においては往々これが徹底しておらぬということを、私も確認する一人であります。従つて現在問題になつております年末における強制徴收の件でございますが、ただ結論的に見ますと、なるほどさいぜん長官が言うておられました通り電報あるいはその他によつて下部へ通達をするということでありましたが、ここで問題は、実際拂う納税者税務署の役人において、收税官吏が当然これは強制徴收でないという見解を持たれてやられれば、われわれが審議することは何にもならないように考えるのであります。従つてこれをどうお取扱いになるか。すなわちさらに申し上げますと、結局各徴收官吏は年末で苦しいことはわかつておる。実際納税者にすれば、金繰りその他の諸方面から見てとうてい拂うだけの能力がない。そうして納税者にすれば実際これは強制徴收のように考えるが、徴税官はそうは考えておらぬ。何を言うておるかと言う。そこで金繰りについて現実に調査して初めて判定されるのか。あるいはここにいうわれわれが概念的に強制徴收考えておるものを、実際どうお取扱いになるのか。  それからいま一つは、非常に迫つておりますが、いろいろ連絡なさつても、日本全国の各税務署現場に当る人に周知させるまでには、相当時日を要するように考えられます。従つてこれを新聞その他をもつて公告なさる意思があるがあるかどうか。願わくばそういう方向に持つてつてもらいたい。  その次は少し今度かわりまして同じく徴收面でありますが、徴收に立ち至るまでの課税の過程において、同じ税務署において解釈違つて所得税の基本が算定せられるということを聞いております。こういうふうになりますと、納税者におきましては一役所はこれは非課税科目である。ところが他の役所で聞きますと、これは課税科目であるというので、経理担当者が善意に解釈して申告する場合に、非常に困るというようなことを聞いておるのでありますが、こういうふうな問題について、この意見の統一をどうなさるかという三点をお尋ねいたします。
  14. 高橋衛

    高橋説明員 強制徴收と申しますのは、大上さんもよく御承知通り、差押えまたは競売のことを意味するのであります。しかしながら最近の情勢を見てみますと、たとえば預金は相当いい成績をもつて増加しております。また酒の売れ行き等も昨年に比較いたしまして、相当いい成績を見ておるのであります。従つて納税者方々の中には、相当納税し得る能力を持つておるという方もおありだと考えるのであります。年末におきましてはすべての決済期でもありますので、各納税者方々に御注意を申し上げ、またいろいろお話を申し上げて、そうしてできるだけ早期に納め得るものは納めてもらいたいというように慫慂申し上げるということは、これは当然なことであるかと思うのであります。そうすることによりまして、現在加算税とか延滯金は非常な高率になつておるのでありますが、そういうよけいな負担を受けないで済むように御注意申し上げるということは、これは納税者に対してきわめて親切な措置である、こう考えております。  第二点のいかに周知させるかという問題でありますが、これは各税務署にすぐ電報等方法によりまして通達いたします。またおそらくはこのことが新聞にも記事となつてすぐ現われると思いますので、わざわざ公告する必要はないかと思います。  それから第三点の税務署によつて法規解釈が違うがために、公正を得ていない場合があるということでありますが、もしもこれの具体的な事例がありましたならば、ぜひお知らせをお願いしたいと思います。そういうようなことによつて納税者間において不公平を生ずるということは、私どもも何とかして避けたいというふうに考えております。
  15. 田中織之進

    田中(織)委員 国税庁長官に二点ばかり、やはり年末徴收の問題でお伺いしたいのです。これはすでに同僚の各委員から御質問があつたことと思いますが、所得税給與所得に対する年末調整の問題でございます。これは第六回国会の終る直前に衆議院の議決もあつたわけであります。ところがわれわれの方では、ことに労働組合関係からまだ相当大巾な年末調整を差引かれるような向きがあるというので、盛んに陳情が参りますので、先般本会議でこの点についても私御質問申し上げたのですが、大蔵政務次官お話では、従来ありましたような非常に大きな差額の調整は本年は大体ないはずだ、こういうような意味の御答弁があつたのであります。私の手元へ参りました資料によりますと、これはあるいは長官もお聞きのことかとも思いますが、東京中央電信局関係におきまして、最高一万数千円に上る年末調整が行われんとしておるのでございます。これは確かに電信局会計の方で、率直に申しますと、従来税率に従つて徴收しておらなければならないはずのものを、いろいろな関係徴收しておらなかつたために、年末に相当大きな額を一度に徴收しなければならぬような事態になつたという点もあるであろうことは、推察にかたくないのであります。しかし実際問題といたしまして、年末に一万数千円も一度に納めなければならぬということは、非常に深刻な問題だろうと思いますので、こういう点につきましては——私の手元に参つておるので五千円以上のものも相当あるわけなんでございます。もちろん主管官庁会計責任のあることは私も十分承知するのですが、こうしたことについて、何か特別の便宜的な御処置が願えないものであろうかという点をお伺いしたい。  それからもう一点は、多分これは国税庁の方から出されたものであろうと思うのでありますが、十二月二十三日の下半期俸給支給のときまでに、精算されたいという意味の通牒が出ておるようでございます。これとおそらくきよう参議院を通過するであろう年末手当の問題とに関連いたしまして、二十三日の下半期俸給調整をした後に、年末手当が一日なり二日遅れた形において年内に出るということになりますと、年末調整を二度行われる結果になりはしないかと心配するのでありますが、その点はどういうふうにおとりはからいになりますか。この二点をお伺いしておきたいと思います。
  16. 高橋衛

    高橋説明員 先般も御答弁申し上げたかと思うのでありますが、給與所得に対しましては、簡易税額表の数字が大体年末に整理を要しないという程度にいたしておりますので、もしも徴收義務者である会計課当局が、簡易税額表通り徴收しておつてくだされば、こういうふうな一万数千円という問題は起りようがないわけであります。従つてその点はむしろ徴收義務者である会計当局責任を、私どもとしては追究いたしたいと考えるのであります。他の方ではすべてそのときにおいて徴收されておるのに、それがそういうふうに延期されておるということは、税の公平の見地から申しましてもはなはだ当を得ない、こういうふうに考えております。ただ相当高額な所得者になりますと、たとえば二十四万円以上の者につきましては、確定申告を必要とするのであります。そういう方については相当額の年末調整を必要とするに至るので、これは当然確定申告を願い、また納税をお願いする建前になつておりますので、これは他の事業所得におきまするものと全然同様な関係に立つておるのであります。  第二点の、今年内に支拂われるものにつきましては、これは当然二十四年の所得でありますので、全部含めたものでもつて年末調整計算をいたすことにいたしております。従つてそれを含めないもので調整計算をして、さらにまた別にとるというようなことには、おそらくなるまいと思うのであります。これも徴收義務者であるそれぞれ給與を支拂うところにおいて、計算して納付していただく建前になつておるのであります。
  17. 田中織之進

    田中(織)委員 ただいまの国税庁長官の御答弁は、徴税当局としてはむりからぬ御答弁であると思うのでありますが、私の手元へ参つておるのを見ると、二千円以上は全部書き出して来ております。詳しい数は私も調べておりませんけれども最高一万三千八百七十五円というのがあるのです。七千円、八千円というようなものは、中央電信局関係におきまして相当現われておるわけなんです。もちろんある意味では、会計当局の怠慢を追究するということもやらなければならぬだろうと思うのですが、実際問題として一万三千八百七十五円というような——この人の基本給は幾らであるかわかりませんが、年末調整税額に対してこれだけもらう人が年末の給料、手当、そういうものをぶち込んでも、おそらく持つて帰るものはないだろうと思うので、こうしたものには当然何らかの考慮を拂つてやらなければならないと考えます。中央電信局のこうした具体的な事例については、おそらく中央電信局からも国税庁に対して折衝されていることと思うのであります。今までお聞きになつておらないといたしましても、これは関係部課の方には当然持込んでおられる問題であろうと思いますので、実際上の取扱いについて、長官としても御考慮くださるようお願いしておきたい。  第二には、衆議院は一応通つておりますから、それを二十四年の所得として計算に入れて、年内調整をしてとるという意味にとれるのでありますが、実際問題として十二月下半期俸給は二十三日に支給されるので、あなたの方から出ている通牒によりましても、昭和二十四年の給與所得に対する税金の年末調整については、十二月中に精算を終ることになつたから、十二月二十三日の下半期俸給支給のときまでには精算されたいとなつているのであります。ところが年末手当は実際には二十三日以後に支給されるので、支拂い期日の関係から来年へ持越されるだろうと思うのです。そうしてわずか三千円足らずのものを平均してもらつても、これが加算されて年末調整でとられてしまうことになりますと、政府の方で親心とか何とか言つて意味をなさなくなるのです。結局二十三日の俸給支拂いのときに年末調整をやつてしまつて、あとで手当が出ることになるので、出ることを見込んで調整するということは、税法の点からも許されないことだと思う。従つて支出上の関係で、来年へ持越されるものは当然持越してやつてしかるべきではないかと思いますのので、この点について重ねて長官の御答弁を煩わしたいと思います。
  18. 高橋衛

    高橋説明員 先ほどもお答え申し上げました通り、ただいま例にお引きになりました中央電信局の場合は、おそらく超過勤務手当等を支給なさる際に、本俸と同じ割合をもつて源泉徴收されたではないかと思うのであります。法律の規定によりますと、それは上積みの税率で計算すべきものであるのであります。それをやつておられぬために、そういう累積が来たのではないかと思います。そういたしますと本来ならば他の官庁においては、または他の給與所得者におきましては、すべてそのときどきにおいて表によつて嚴格に徴收されておる。ところがそれらの方々につきましては、そのときにおいてすでに税を拂うべきものを拂つておられないで、それが年末にたまつて来たということになるかと思うのであります。そういう場合におきましてそれらの方について特別の配慮をするということになれば、給與所得者のみならず全般の所得税を納める方について、非常な不公平を生ずる結果になるかと思うのであります。従つてそういう便宜的な処置をとるということは、今日それはなし得ないことであると考えるのであります。  第二点の問題はお話通り二十三日に最終の年末調整をいたします。それから後に出ました給與でありますから、その給與を年間の所得に加えまして税率表に照らして税を差引くというのが法律の建前であります。従つて各支出官ともそういう計算をしていただくものと、私どもは期待しているわけであります。
  19. 田中織之進

    田中(織)委員 超過勤務手当についての関係において、本給と同じような税の控除、税率によるところの徴收をやつて来た関係から、年末になつてずれたものがこういう大きな額になつたのだと、こう言われるのでありますが、そういたしますと、超過勤務手当といえば当然支拂われなければならないものが、従来支拂われて来ておらぬ。従つてこの点については私の方からは、実は給與実施本部長と増田長官最高裁判所へ告発しておりますが、官房長官の国会における答弁では、未拂いの超過勤務手当についてはできるだけ年内に拂うということになつておるんだが、これは相当来年に持越される部分もあるのです。政府が当然支拂うべきものにつきましては、最高裁判所へ訴えなければならぬように、政府は支拂いを滯つておる。今度の年末手当の問題でも、政府一つの支拂いの形式としては超過勤務手当という形式で出そう。ある部分はとにかく未拂い部分も入つておる。そういうふうに政府が当然拂うべきものを現に怠つておるということは、歴然たる事実なんです。従つてそういう面における政府の支拂い遅延の責任というものをたなに上げておいて、私は超過勤務手当等についてどういう手違いがあつたかは存じませんけれども、そういうことだけで年末に何らの考慮も拂われずに、ぴしぴし取立てるということにつきましては、これはもちろん徴税官税法従つてやるという点ではありますけれども、やはりそういう点について、政府の方の義務履行について欠ける点のあることも考慮いたされるならば、当然これは私は税法の精神を没却しない範囲において、ある程度とにかく運営上手心を加えられる点がなければならぬ。政治というものが、また行政というものが、生きた人間を対象として行われている以上、そう文字通り行われるべきものでないと思う。この点はあえて答弁を要求いたしませんけれども長官といたしまして特にこの点について留意せられることを強く希望しておきます。
  20. 川島金次

    川島委員 今の田中君の質問に対する答弁も、大分事務的な見地に立つてだけの答弁のようです。どうもそういうことであつてはならぬと思うのです。大体国税徴收法か何か私は記憶が定かではないのですが、年末調整納税義務者が納税する時期というものは、必ずしも十二月内に限つたものでないと私記憶いたしております。翌月に若干まわつて年末調整金を徴收してよろしいように規定があるわけです。もし私の記憶が間違いないとすれば、その点はそういう事務的な取扱いをせぬでも、今の法律の規定から言つても、そこに若干のしんしやくができることは当然なことではないかと思います。そういうことについて長官はどういうふうに考えておるか、あわせて尋ねておきたいと思います。
  21. 高橋衛

    高橋説明員 現在の法律の建前によりますと、その年最後の給料において年末調整をするという建前になつております。従つてただいまお話のような余裕ある規定にはなつておりません。なお税につきましては法律ではつきりと——たとえば今の給與所得等の問題については、税務官庁に自由裁量の余地が全然與えられておりません。また税においてもしも税務官庁に自由裁量の余地を相当與えるということになりますと、これは弊害を来すもとでありますので、私どもとしてはでき得る限りあらゆる場合を想定して、税法をつくつていただきまして、税務官庁税法通り実行するということに今後も努力いたして行きたいと考えます。
  22. 川島金次

    川島委員 私の記憶違いであるとすれば取消しますが、徴收法か何かに、年末調整はその年の調整金に対しては翌月の六日までに納付しなければならぬという規定があるのではないですか。私そういう記憶があるのですが、その点どうですか。
  23. 高橋衛

    高橋説明員 給與所得については徴收義務者徴收する義務と、徴收した金額を納付する義務と二つの義務があるわけであります。徴收する義務はただいま申し上げました通り、法律の規定の通りその年最終の給料またはその他手当等実質上給料に当るものを支拂うときに、調整するということをはつきり書いておるのであります。しかし納付義務者としては翌月の十日までに納付すればよろしい、こういうことになつておるのであります。
  24. 川島金次

    川島委員 そこで私は申し上げるのです。私の記憶が間違いでなかつたと思うのですが、翌月の十日に納付すればよろしいという規定があるとすれば、その規定の精神を広義解釈と言いますか、そこに幅を持たせて、必ずしも年内にそれを徴收しなくとも、要するに政府としてはその税が上ればよい。しかもその税の納付さるる期間は必ずしも十二月末でなくてもよろしい。翌月の十日までに納まればよろしいのだという明白な規定があるのですから、その規定をもう少し幅広く解釈ができれば、またその運用ができれば、必ずしも給與所得の本年の年末調整を、十二月一ぱいに全部根こそぎとらなくてもよいという操作の方法が、考えようによつてはできるのじやないか、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  25. 高橋衛

    高橋説明員 翌月の十日までに納付すればよいという規定は、翌月の十日を過ぎましたならば加算税をとるという建前になつておるのであります。政府の職員におきましては支出官が給與の支拂いをいたします際に、必ず徴收をしなければいかぬ。しかも政府機関自体がその金を、たとえば会計官吏が手元にとめ置くというようなことが、あるいは妥当であるかどうかというふうな問題が起るかと思うのでありますが、税務官庁としては、とにかく翌月の十日に納付していただけば、加算税をとるなり行政処分をするなりということは、いたさないことにしておるのであります。
  26. 田中織之進

    田中(織)委員 私は高橋長官長官の立場において答弁される気持はよくわかります。しかしながらもしも法律に従つて、率直に申しますならば、そこに何ら血も涙もなく取立てるということでありますれば、たとえば現在の税務官吏の素質その他の点から見まして調査の点で十分でない。あるいは差押えその他をやる場合に、これは長官が就任せられる以前、私は国会で問題にしたこともありますけれども、いわゆる二重徴收で差押えを行つたというような事例も、これは数えれば幾らでもあるのであります。従つてそこに法律に従つて執行するということにおいても、おのずから常識的な一つの限度というものがあり、幅があると私は思うのです。従つてもしそういう点について、税率その他税法従つて、冷嚴なる裁判官みたいな形でやるということになりますれば、税務官吏が当然拂うべき注意を怠つて、非常に大きな不幸をもたらした事実もあります。現にこれは中学校から專門学校に至るまでの私の同級生でありますが、これは不当な課税のために気違いになつて、今でも精神病院に入つておるという事実がある。そういうような場合に、税務官吏として国税庁当局としては、一体どういうふうにして責任を果されるかという大きな問題が起つて来ると私は思う。従つてその点については、もちろん人間がつくつた法律ですから、それを実施するにあたつては、やはり人間的なあたたかみというものがあつてしかるべきだと思う。今日税金の問題で、そういう点についてのあたたかみある取扱いをしないということが、かえつてあなた方の仕事を遂行する上において、国民的協力を得られない結果になる。その点を十分留意せられるように重ねて希望しておきます。
  27. 宮腰喜助

    ○宮腰委員 本会議ももう始まつておりますし、簡單に質問申し上げます。今年度の所得税の仮決定を二、三の方から示されまして、内容を見てみますと、実際昨年度の最終の決定よりも非常に大きいのであります。昨年度より国民所得が実際少いにもかかわらず、今年度の仮更正決定が少いものでも四割、五割、多いのは三十割というような高額な税の決定通知を受けておるところがありまして、そういうようなところのお話を聞いてみますと、もう営業は廃止だ。われわれは事業やることによつてマイナスになるから、もう事業をやめてしまおうという人が大分出て参りました。こういうことを見かねまして、私どもは無料相談所というものを三箇所ばかりつくりまして、自己の責任においてこの相談にあずかつております。また最近の取引高税の決定の問題についても、税務官吏が、お前のところにはこれだけの割当をする。こういうようなことを言つて、半ば強要のような態度をもつて、この取引高税を取立てておる事実も私は二、三聞いております。それから所得税決定の問題についても、帳簿や伝票が完備しておるにかかわらず、お前の店は間口がこのくらいで、奥行がこのぐらいだ。当然あそこの店と同格だから、お前のところもあの店と同じように税金をかけるから、これをのめ。のまなければ、お前のところは今に徹底的に追求して、店を成り立たないような状態にしてやるのだという脅迫的な事実も二、三点聞いております。こういうような状態で、一般の国民が税で戰々きようきようとしておるときに、こういうような税のとり方は非常に不合理だと思うのです。また納めるにしても、年末の金融がこんな状態ですから、借りて税金を拂うこともとうてい不可能であります。またその結果は企業を廃止しなければならない。また中小工業では家財も店の物も売つて、これを拂うというような状態になつて参ります。先ほど共産党の方からも提出された決議案の内容によりまして、ぜひ今年の強制徴收は、やむを得ない人は別としまして、ぜひ御考慮願いたい。またこの徴税の問題について、そういう場合に年内に督促状を出すかどうかということでありますが、もし澂税の関係で督促を出すとすれば、いろいろ滯納の追徴上、加算税などをとられますので、こういう督促状を出すかどうかということを一点伺つておきたいと思います。  それから先ほどいろいろの委員からもお話があつたのですが、どうも税務官吏の経験年数が浅いとか、あるいは年齡が少いために、とかく税法に対する考え方が浅いために、納税者が尋ねて行くと、まつたくうるさいというような態度をとりまして、簡單に片づけてしまう。十分納税昔の立場を聞いていただきまして、しかる後に納得の上においてならいいが、半ばおどかし半分にやつている場合も非常に多いのであります。また利子の点についても、国に超過して納めたものを返してもらう場合は十銭であります。しかるにこちから不足となつた場合においては、二十銭もとるというような差別をしておること自体も、これは大いに間違いだと思うのです。以上簡單に三、四点を質問しまして、私の質問を終りたいと思います。
  28. 高橋衛

    高橋説明員 税務官吏が実際の調査にあたりまして、または督促にあたりまして、ときどき間違いがありまして、納税者の各位に御迷惑をかけておるという点につきましては、まことに遺憾にたえないところであります。今年当初から——実は従前も注意をして参つたのでありますが、何とかして不公平なことによつて御迷惑をかけることを絶滅いたしたいと考えまして、各職員に嚴重な訓示をいたしますとともに、やはり各方面からそういうような事実をお知らせ願いまして、そういうような事柄の絶滅を期するために、個個の人間について矯正をして参つておるのであります。この八月には実は国税庁にも無料相談所をつくりまして、それによつてそういうふうなケースについてお申出を願つて、しかもそういうことを言つて来てくださる方については、絶対に御迷惑をかけないという建前をもつて、この矯正に当つておるのであります。一方税務官吏の訓練等につきましても、今年は非常な努力をいたしまして、たえず二百人程度の人間を本庁において訓練をいたしておりますし、また各局におきましても、年間数千人に上るところの短期訓練を実施しておるのであります。なお一方におきまして一万人程度税務官吏を対象といたしまして、最近通信教育を始めて参つておるのであります。何分にも年齡が非常に若い者が多く、また経験年数も少いというところからいたしまして、なかなか一日にしてこれが理想的な形に改善されるということは困難ではありますが、しかしながらとにかくそういうようなことが絶滅されるようにという意気込みをもちまして、非常な努力を傾注していることを御了承願いたいと思うのであります。  なお先ほど御答弁申し上げました強制徴收を、年末年始におきましてはいたさない方針であると申し上げましたのは、強制徴收ということは差押え競売を意味するのであります。  なお加算金につきましては二十銭でありますが、法規の命ずるところがその通りになつておりますので、これはひとつ御修正を願いたいと思います。加算税並びに追徴税等につきましても、おそらく政府側からこの次の機会に必ず提案があると思いますので、その際に御審議をお願いしたいと思います。
  29. 河田賢治

    河田委員 一点だけ質問をいたしまして、決議案に対するわれわれの態度を決定いたしたいと思います。実は東京の国税局の問題でありますが、東京の帽子工業協同組合、これは浅草の向柳原町二丁目というところにあるのですが、こういうところではやはり依然として組合が税額の査定員というものをつくり、あるいは納税係というものをつくつて、これは全部じやないのですが、結局組合員に非常な不当な税の割当をする。同業組合その他に税務署が大体割当てまして、これを同業組合の幹部がのんで、そうしてこれをまた各組合員に割当てる。もちろん組合が非常に民主的な団体である場合には、そう大した間違いはないわけなんです。ところがたいていの同業組合というものは、御承知のごとくやはりボス的な勢力がこれを握つており、こういう連中が税務署とうまく交渉して、自分たち税金は安くする。そうして他の組合員に対しては、いろいろと高い税金をかけて来るのがこれまでの実情なんです。今なおおひざ元の東京の浅草あたりにも、まだ今年これがはびこつておるように私たちは見るわけなんですが、一体こういう問題に対して、国税局はこの同業組合と税務署との関係において、どの程度に同業組合に納税あるいは申告、あるいはまた査定というものをまかしておられるのか。この点をはつきり聞いておきたいと思います。
  30. 高橋衛

    高橋説明員 御指摘のように、同業組合との団体交渉と申しますか、またはそういうふうな組合に対する割当というようなことは、過去においてもあまりなかつたかと思うのであります。しかしながらとにかくそういうふうなお話のあります通り、ままそういうことがあつたかのようにも聞いておりますので、これは絶対に今後そういうようなことがないようにいたしたいと考えております。シヤウプ勧告におきましても、団体交渉がいかに弊害を伴うものであるかということについて指摘されておりますし、また税というものは、どこまでも納税者各位の個々の所得実態を正確に把握するということによつて、初めて公平を期することができるのでありまして、もつぱらそういうような趣旨をもつて運営して行きたい、こう考えておるのであります。しかしながら税の問題につきましては、やはり各納税者はもちろん、それらの方々のつくつておられる組合等におかれましても、申告の指導でありまするとか、その他納税の推進であるとか、または納税の準備預金であるとか、いろいろな指導啓発の面におきまして、御協力をお願いしなければならぬ面が、相当あろうかと思うのであります。そういう面につきましては、今後とも十分にひとつ御協力をお願いいたしたい、こう考えております。同業組合がお出しになりましたいろいろな資料は、資料として活用いたしたいとは考えますが、しかしながら絶対にそれに左右されないという考え方をもつて、どこまでも実相を把握する一つ資料という考え方で、取扱つて行きたいと考えておるのであります。
  31. 河田賢治

    河田委員 共産党から、野坂參三君外四十一名提出、昭和二十四年度所得税事業税等年末年始における納税延期に関する決議案を出しておりましたが、政府の先ほど来からの答弁によつて一応撤回することにいたします。ただ問題は單に年末年始の問題だけでなく、與党並びに野党の各委員からもいろいろと徴税上の問題について、ここで質問なりあるいは論議がありましたように、今日の徴税官の態度につきまして、あるいはまた税務署におけるいろいろな交渉の問題につきましても、今日税務官吏が徴税上において、納税者の感情をきわめて阻害する、あるいは協力を求められないというような横柄な態度が、たくさん見えておるわけであります。この点については特に国税庁長官である高橋氏からも、各税務署並びに税務官吏に対する一段の監督を、私は要望するものであります。たとえば先ほど話がありまして、田中君は自分の友だちが神経衰弱かなんかで病気になつたと言われたが、私たちの受けております報告では、十二月十四日には台東区の飲食業をやつておる福永という人でありますが、自殺しております。しかもこれは督促が何回も来て税務署に行く。それが審査請求を出して何回も行つたが、調査も訂正もしてくれない。ラジオで暮れから春にかけて税金をとると言つたのを苦にして死んでしまつた。この人には六人の家族があるということを、あとに残つた妻君のみなさんという人が語つておりますが、こういうふうに今日税金を苦にして自殺までしなければならぬような人々がたくさんあるわけです。こういうところからも、今日の税務署の署員諸者が、国民に対して税金の問題でいかに不誠意であるかということがわかります。また中央の査察部あたりの者が店に入つてつて、店主をつかまえてうその申立てをしないという宣誓書を書かす。そうして店の中の捜査をやる。印鑑、実印、あるいは銀行の預金の通帳なんかを調べ、そうしてその翌日しかも同じ人間が單独で店に行つて、三十分から一時間にわたつて何もすることもなく、また調べもしないで、ただ店でばか話をして引上げたというような実例もあるのであります。この忙しい年末にこういう調査官が少からずあると私たちは思います。従つて徴税上における官吏の態度、それからまた交渉する場合でも、一人でも十人でも行けば親切に会つて、そうして今日の税金に対する理解をさせるようにすることを私は要求する。  なおまた課税の問題におきましても、ここにたくさんの資料がありますが、一々読み上げてもしようがないが、さつきも申しましたように仮更正決定をやつても、結局前の申告通りになつておつたというような実例がたくさんある。すなわちうまく仮更正で二倍でも三倍でもかけておいて、とれればとり得だというような税務署の官吏がたくさんある。こういう点はやはり直税課長とかあるいは署長あたりは、ぼくはやつて上げたいが、国税局の命令でもつととれと指令されたのでこういう結果になつたのだ。あるいは直接第一級の徴税官吏が行つて調べても、やはり上の課長なりまたは局長、税務署の署長なりが、やはり税額を少しもまけてくれぬというような場合がたびたびあるわけであります。こういうところにおいてもきわめて課税の適正を欠いておると思う。従つて今後この問題は、特に一月から三月までに徴收すべき金額は相当に上つておりますので、今日本の産業は破壊され、生活が踏みにじられる場合に、この徴税には非常な困難な事態が生ずると思う。従つて今後国税当局は特にこの点に留意して、国民の税負担をできるだけ軽減し、また手数を省き、そうしてできる限り課税の適正をはかつてもらうことをここに要求して、この決議案の撤回を声明するものであります。
  32. 川野芳滿

    川野委員長 ただいまこの委員会におきまして審査中の、昭和二十四年度所得税事業税等年末年始における納税延期に関する決議案につきましては、提案者全員より撤回の要求がありましたので、この際お諮りいたします。本決議案の撤回要求を許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでありますから、提案者よりの撤回要求を許可することに決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時九分散会