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1949-12-21 第7回国会 衆議院 大蔵委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十一日(水曜日)     午後一時四十六分開議  出席委員    委員長 川野 芳滿君    理事 大上  司君 理事 小峯 柳多君    理事 小山 長規君 理事 前尾繁三郎君    理事 川島 金次君 理事 河田 賢治君       岡野 清豪君    佐久間 徹君       高間 松吉君    塚田十一郎君       苫米地英俊君    西村 直己君       三宅 則義君    宮幡  靖君       田中織之進君    宮腰 喜助君       竹村奈良一君    中村 寅太君  委員外出席者         国税庁長官   高橋  衞君         大蔵事務官   村山 達雄君         專  門  員 黒田 久太君         專  門  員 椎木 文也君 十二月十六日  委員井上良二君辞任につき、その補欠として川  島金次君が議長の指名で委員に選任された。 同月二十一日  理事川島金次君、荒木萬壽夫君、林百郎君及び  内藤友明君の補欠として川島金次君、橋本金一  君、河田賢治君及び内藤友明君が理事に当選し  た。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  国政調査承認要求に関する件  本年度徴税状況に関する説明聽取     —————————————
  2. 川野芳滿

    川野委員長 これより開会いたします。  この際お諮りいたしますが、大蔵委員会におきましては、ただいま理事が四名欠員となつておりますので、補欠選任をする必要があります。委員長において補欠として、       川島 金次君    橋本 金一君    河田 賢治君  内藤 友明君の四名を理事に指名するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 川野芳滿

    川野委員長 御異議ないようでございますので、さよう決定いたします。     —————————————
  4. 川野芳滿

    川野委員長 次に国政調査承認要求の件についてお諮りいたします。前国会におきまして、財政及び金融に関する事項に対する議長国政調査要求承認に基き、税制及び金融制度について種々調査いたしたわけでありますが、今国会におきましても、税制及び金融制度に関して調査をいたす必要があると存じますので、議長国政調査承認要求書を提出いたし、承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川野芳滿

    川野委員長 御異議がないようでございますので、さよう決定いたします。  なお国政調査承認要求書提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  6. 川野芳滿

    川野委員長 次に本年度徴税状況に関して質疑の通告がありますので、これを許します。三宅則義君。
  7. 三宅則義

    三宅(則)委員 私は主税局長かあるいは高橋国税庁長官がおいでになつたときに、お伺いしたいと思つておりましたが、おさしつかえがあるようですから村山さんにお尋ねいたします。根本のことを申して失礼でありますが、一体本年度所得決定額をどのくらいに見積つておられるか。つまり政府は一体更正決定をして、どのくらいの收入を得る予定を持つておられるかということを承りたいと存じます。今度の更正決定は十一月ないし十二月になさると思つておりますが、その更正決定をせられました金額を聞きたい。なおそれに関連しまして、全国的にどのくらいの予定申告をしてあるかということも知らせてもらいたい。それから最後にこの一月に確定申告をいたして、これに本更正をせられると聞いておりますが、今職員の少いときに、二へんも三べんも手数をかけることはどうかと考えますので、この十二月の更正決定で打切るつもりであるかどうか。この三点につきましてじゆんじゆんと御説明を賜わりたいのであります。
  8. 村山達雄

    村山説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。最初に今年度所得をどれぐらい見積つておるかというお話でございますが、これは国民所得計数とかその他ありますけれども、われわれといたしましては、課税上大体把握できるという自信のある計数を申し上げたいと思います。これは全国税務署がいろいろな調査をいたしまして、たとえば昨年の所得に対しまして、平均どれぐらいの増になつておるかという数字から割出したものでございます。これからいたしますと、個人の、営業、農業その他の事業、つまり事業所得でございますが、二千八億程度課税所得を捕捉し得るものというふうに現在では考えております。これに対する收入見込みでございますが、先般補正予算の際に、当初予算におきまして千九百億という税額を見込んでおりましたのを、どうもその点について自信がないということがはつきりいたしまして、二百億下げたわけでございます。従つて現在の補正予算後の金額は千七百億になつておりますので、千七百億は年度末までに徴收できるかどうかという御質問であろうかと思うのでございますが、非常に困難のように考えております。しかし何とかわれわれといたしましては調査を進め、実情合つた課税をいたすことによつて、この補正予算金額程度收入を上げたいというので、目下努力中でございます。しかし見通しといたしましては、相当困難が伴うというふうに考えております。  次に現在まで予定申告をしたものがどれだけあるかというお話でございます。六月予定申告というのがありますが、これによりますと所得で五千四百十六億になつております。これに対しまして、十月の修正予定申告でさらにふえております。その増査いたしました所得金額が四百五十二億でございます。それから六月予定申告に対する仮更生決定を行いましたが、これは人員で全体の人間の大体三%程度でございます。約二十一万の納税者に対して行つておりますが、それによる増査所得金額は二百四十八億になつております。今問題になつております十月修正予定申告に対する仮更正決定が、どの程度行われるかということは、まだはつきりした計数をつかんでおりません。先般も国税局長会議におきましてその資料を求めたのでありますが、なお税務署の方で作業が進行中でありまして、国税局においてもはつきりした数字をつかんでおりません。ただ全体の感じといたしましては、納税者総数の三%程度の者に対して行われておるであろうというふうに考えております。今後の見通しでありますが、今度仮更正決定行つた人たちにつきましては、税務官庁といたしましては、相当自信のある資料に基いてやつておるわけでありますので、再び本更正決定をやるというような場合は、ごく特殊な場合に限られるであろう。すなわちその人について、具体的にあと資料が出て来たというような場合に限られるのではないかというふうに考えております。なお全体のかりに三割といたしますれば、前に六月予定申告に対する仮更正決定をやつた人員が三分でありますので、三割三分ぐらいの者が一応済んでいるかつこうになつております。残りの六割七分の人間がどうなるかということは、そのうち相当部分が申告税員として取扱われ得るのではなかろうか。それらの点は一月末までに確定する予定でございます。その六割七分のうち、申告税員として取扱われた残りの人に対しては、これは確定申告でわれわれの相当と認める金額が申告されなければ、本更正決定になるであろう。その人員の予想は今のところつきませんが、あるいは一割から一割五分くらいにとどまるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  9. 塚田十一郎

    塚田委員 ちよつと関連して……。ただいま課長の御説明になりました中で、最初に私、課税所得は二千八億と伺つたのでありますが、これは何か聞き違いであつたか。二千八億の中から千七百億所得税收入というのは、ちよつと筋が通らぬようですが……。
  10. 村山達雄

    村山説明員 まさに間違いました。二千八億——二千八十億と申しましたのは課税税額見込みでございました。所得といたしましては八千八百六十五億位程度見込んでおります。
  11. 塚田十一郎

    塚田委員 そういたしますと八千八百六十五億の中から、規則通りそれに税法を適用すれば二千八十億は上るだろう。若干のしんしやくを認めて千七百億は予算に組んである、こういう考え方ですか。
  12. 村山達雄

    村山説明員 お答え申し上げます。課税税額としては二千八十億程度考えておりますが、従来の例によりますと、どうしてもその後誤謬訂正を免れない。また納税者の方でも今すぐには納めがたいということは、過去の経験で実証されておりますので、このうち大体今年は前年あたりよりだんだん徴收歩合が上まわつておりますが、七四・五%程度のものは入るだろう、それで千七百億くらいと考えております。
  13. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま村山課長の御説明がありましたが、私は第六国会におきましても、平田主税局長を中心にいたしまして質問いたしたのであります。今度は第七国会にかわつたのであります。そのかわります間一週間ばかりありましたので、自分選挙区の各税務署ちよつとのぞいてみました。そうしてみると、聞き捨てならぬことを言つているところがある。ちよつと御参考までに申し上げるからお聞き取り願いたい。ここにも書類を持つておるのでありますが、他の選挙区は愛知県第四区でございます。ここに申し上げるのはガラ紡というのでありまして、ガラ紡くず纖維を再製するのでありますが、これに対しまして一台に幾らということを昨年は見積つた。大体二十万円ということを見積つたそうでありますが、この一つの例を申し上げます。ここに持つておりますが、愛知県東加茂郡松平村大字桂野河合一郎君は、二十三年には三十二万円の確定申告をしておつた。今度は五割増しであるというわけで、本年は四十五万円出した。ところが今度は修正決定で六十万九千円さしずせられたと聞いております。してみますると、二十三年度は三十二万円でありますから、二十四年度は五割増しの四十五万円、そうすると結局二十四年の修正は倍額の約六十万円にもなるということにつきましては、これは一つの例でありますが、ちよつと多過ぎるのではないかと思います。これはもちろん国税庁の方では直接監督してないと言えばそうでありますが、ただ私の憂えるところは、本庁から言われて来ておるからどうしてもとらなければならぬということを、下級官吏が言つておるのです。はなはだ不見識きわまるものであると私ども思うのです。そんなことはないはずでありますが、もし間違つてそういう傾向があるといたしますならば、嚴重に監督しなければならぬと思います。その辺承りたい。
  14. 村山達雄

    村山説明員 ただいまの御質問でありますが、本庁から今年各財務局に対しあるいは税務署に対して、幾らとれということは今年度は絶対に申し上げておりません。ただ国税庁見込みは立つております。見込みについての批評は当然のことでありますが、やつております。国税庁におきましては税務署からおそらく見込みをとつておるであろうと思います。全体の数字としてさえそうでありますから、いわんや個々納税者に対して幾ら決定すべきであろうというようなことは、国税庁においてはもちろんやつておりません。しかし同税庁においても、税務署の方から相談をかけられればやるということはあり得るだろうと思います。それ以外に積極的に乘り出して、一人々々の納税者に対して幾ら決定すべきであるということは、申し上げていないと思つております。ただいまの問題でありますが、去年三十万円、今年の予定申告四十五万円、今度は更正決定で六十万九千円、少し多いのじやないかというお話でございます。今までずつと見ておりますと、大体これは今までの調査の実績でございますが、誤謬訂正後の金額に対しまして、平均でありますから個々の人に当てはまりませんが、調査の結果約七割ぐらいのところが出ております。内容をつぶさに見ますと前年より減つておる人もあります。それから前年の二倍三倍という人もあります。これは一般の景気変動ももちろんありましようけれども、それ以外にたとえば個々の人について言えばそれぞれ状況が違うということと、前年の決定金額がはたして正しかつたかという点も考えてみれば、疑いなきを得ないわけでございまして、われわれといたしましては前年に対する倍数というようなものを、一つ目度として考えておるだけでありまして、具体的に決定いたします場合には今年の所得を捕捉して、それで行くという方針をとつておりますので、税務署なり国税庁の方に御申出願えればただちに検討できると思います。さように御了承願います。
  15. 三宅則義

    三宅(則)委員 私のお聞き申し上げたいと思います事柄は、私のかねての持論でありますが、やはり各地方に大中小というような三段階くらいに各業種別模範工場模範商人模範農業者というようなものを置いたならば、その人を正確に調べますと大体その線に沿つて来るのではないか。ところがシヤウプ氏の今回の勧告案によりますと、そうしたものはボス的な存在になるからというような理由もありましよう。どうも感服しないというお話でありますが、事実私が調査したとろによりますと、各税務署で一人で千百件くらい決定しておる。そのうち調査して決定しておるのは一割ないし一割五分、あと九割というものは見ないで決定しておる。なぜかというと税務署に台帳があつて、去年の何倍、一昨年の何倍と簡單に見ておるのが今日の実情であります。もちろん税務官吏は月給は安いし手当も少い。年齢も若い。経験が未熟であるという点もありましようが、こういうような点から考えますと、シヤウプさんはそうおつしやられますが、どうしても模範商人模範工場というようなものを置いて、それにならうということが実際は税務署も便利であり、納税者も便利であると思いますが、それに対する構想はありませんか。それを伺いたい。
  16. 村山達雄

    村山説明員 お答え申し上げます。ただいまのお話でございますが、非常に正直に申し上げますとむずかしい問題であります。と申しますのは現在たとえば所得税でありますれば、本官一人当り全国に五、六百人の納税者平均して受持つておるわけであります。これが実際調査にかかりますのは、前年の課税に対する異議申立ての紛争が済んでからでございます。大体早くできて七月あたりからしかかかれない、こういう実情にあります。特に遅れましたものにおきましては、今年は十月くらいから初めて本腰が入れられたという事情であります。なかなか調査に参りましても遺憾ながら記帳を持つていない。あるいは持つておられても正確な記帳と思われない。あるいは持つておると推定されるかも知れぬが、遺憾ながら提示を受けないというような事情にありまして、なかなか記帳に基かないで所得調査するということは、困難な事態に立至つております。今日まで調査いたしました数字は、大体におきましてお話のありました通り一割七分から、この月末で二割くらいに行こうかと思つております。これをもとといたしまして各種経済資料あるいは経済統計であるとか、あるいはそれぞれの発送関係資料を押える。いずれにいたしましても間接的な資料を押える。そのほか個々の店舗に臨みまして一応外形標準というものをとりきめまして、これらのものを二割について調べて、できるだけわれわれとしては権衡をとるようにしておるわけであります。残りの八割につきましては大体調べたものを基礎に、権衡上推定せざるを得ないという実情にあるわけでございます。先ほどお話がありましたが、その場合これは模範的なものであるかどうかということがわかるかどうか。そういうものを大いに奬励したならばどうかというお話はごもつともと思いますが、ただ遺憾ながらあまりにも多くの人が記録を持たない場合には、持つてつても正確でないということになりますと、何人が一体模範であるかということを甄別すること自体が、非常に困難のような状況にあります。ただいま東京都におきましては、一種のガラス張り経営ということが行われております。これは全部書くということでやつております。これも非常に参考なつております。来年からは青色申告制が採用されますと、これはうまく行けば納税者自発的意思によりまして、すべてが模範工場なりあるいは模範商店になり得るであろう。われわれとしては来年度青色申告の運用上、ぜひともこれを現在の税政行政のもやもやしておるものを打開する大きな方策として、考えて行きたいというふうに考えておりますから、さよう御了承願います。
  17. 塚田十一郎

    塚田委員 ただいまの村山課長の御説明は、私どもはある程度了解はするのであります。人間が足りない。みんな調べられない。調べなければ今度は更正決定をしなくちやならぬはずのものでありますが、今の段階ではやむを得ないということはある程度了承するのであります。ただ私どもが非常に問題にしておりますのは、四つか五つをお調べになつて、それでもつて他のものを類推して行くというか、その場合についてなのであります。もう一つはそれはそういうふうに類推されてもいいでしようが、これには非常な誤謬が入つて来る可能性があるものであるということを、十分頭に置いていただかないと、そこでそういうふうに分類されたものについて、今度類推を受けた人たちが材料を出してこれと争うときに、十分謙虚な気持でそれを受けいれていただかないと困る。ところがそういうのを持つて行きますと、そこになおかつ担当の調査官などにはそういう素直に受けいれる気持を妨げるものがある。それはさつき課長はそういうことはないだろうと言われたけれども、やはりあるのでして、この人はこの町でこのくらいのランクになければならぬのだという先入観念、これは一応町の事業を見ていればわかるのですけれども経済がこういう状態になりますと、そういう常識で判断できない要素が十分あるはずなのですから、個々人たちについてそういう類推したものに対して、十分証拠資料を出して争つたときに、ぜひこれは素直に受けいれて、その真偽をひとつ判定して、それを資料にして直すものは直すというようにしてやつて行かないと、今のやり方は国民を納得させることもできない。従つてわれわれもそういう徴税方式というものをほうつておけない。こういうことになるので、これは十分ひとつ中央から第一線に徹底するようにしていただくということにして、今のような過渡的な時代におけるやむを得ない調査を、徹底しないで更正決定をして行くという方法はしばらく見ておく、こういうことに私どもは考えておるわけです。その点について国税局が今までにどういう態度をとつておられるか。また課長はどういう考え方でいられるか。それをひとつ参考までに伺つておきたいと思います。
  18. 村山達雄

    村山説明員 ただいまの御趣旨でありますが、はなはだごもつともであると思います。この点は国税庁発足以来長官名をもちまして、しばしば嚴重に言つております。言語、動作その他応対におきまして非常識にわたることのないように、特に納税者のつらい立場を考えて、懇切丁寧にやるべきであるという——当然のことではありまするが、この点は長官名をもちまして数次にわたつてつております。  なお同様な見地からいたしまして、本庁におきまして、苦情相談所というようなものが設けられたのも、その趣旨でございます。近く各国税局苦情相談所の分室を設けることになつております。今度の更正決定につきましては、おそらくその点はやはり同じように問題になると思いますので、この点は先般の国税課長会議におきまして、また部長会議におきまして再々申し上げておりますので、もしそういうことがありましたら、遠慮なしにひとつ御批判をいただきたいと思います。国税庁におきましてはよろしく処置をとるつもりでございます。  なお先ほど権衡課税から来る更正決定というものは、誤謬を免れないというお話、これはごもつともであろうと思いまするけれども、われわれの方といたしますと、これは一つ見込みでありまするから、実際の所得よりも高いものもある。安いものもあるわけであります。その場合に実際の所得より安く決定された場合には、これはもちろん何も言つて来ない。高い場合に言つて来るであろうとわれわれは考えておる。ところが納税者の方に御面接していろいろ伺つてみますと、不平の内容というものが必ずしもはつきりしない。つまり自分の今度の決定された金額は、自分所得金額と同様であるけれども、しかし税額の負担が重いというのか、つまり税法がむりだとおつしやるのか、あるいは決定された所得金額自分の実際の所得金額以上であり、つまり不当な決定であるとおつしやるのか、あるいは自分決定された所得金額は実際の所得金額以上ではないのだが、ほかの人に比べて高いというのか、あるいはその以上のうちのいずれでもないけれども、とにかく今さしあたり納める税金がないという意味で重いとおつしやるのか、あるいは二つ以上のことであるのか、これらの点で異議申立てて来る方々におきましても、必ずしも明確でないのであります。ですからこれらの点を明確にしていただいて、それでいろいろお話願えれば、税務当局としてはその処置がすみやかに行くだろうと思います。もしそういうことがありましたらよろしく御指導願いたい、かように考えております。
  19. 小山長規

    小山委員 今の三宅君の質問、それからただいまの質問と関連してでありますが、議論の焦点は外形標準をどういうふうにとつておるかということにあるのでありますが、残念ながらわれわれはあなた方がとつておる外形標準内容を知らない。それでこれはすぐに間に合うかどうかわかりませんが、もし間に合わなければ来国会に間に合うように、農業なら農業あるいは商業なら商業工業なら工業に対してあなた方が持つておられる外形標準——もつと新しい外形標準一つ。それからそれが二十二年度に比較してどういうふうに改善されたかという——改善したということを主税局長及び高橋長官はたびたび言つておられますから、どういうふうに改善したか。それをひとつ示すところの資料をお願いいたしたいのであります。こういう点、ことに農業の場合には、たとえば私のところは宮崎県でありますが、宮崎県の小林という所に税務署がある。ところが実際とつておるところの外形標準は、熊本のどこか近所でとつ外形標準で、小林なら小林の農民に適用しておる。これが昨年までの実情であります。でありますからこれを今度は改善して、なるべく税務署に近いところでやると言われておるが、実際やつておるかどうか。それも知りたいのでありますから、そういう趣旨で、私は主として農業について知りたいのであります。その他商業工業について東京都、福岡の例をとるとか、その他なるたけこまかくあなた方はどういう外形標準をとつておるか。それを知りたいのであります。そうしてその内容は、たとえば農業なら農業の場合には、二毛作なら二毛作人たちは米を何俵生産して、あるいは麦を何俵生産して、その生産費幾ら見積つている、その生産費内容はどういうふうに見積つているということが実は知りたいのでありますが、その資料はありましようか。あるいは近くそれを提出されるか。それを伺つておきたい。
  20. 村山達雄

    村山説明員 お答え申し上げます。外形標準お話でありますが、これを現在完全に利用しておりますのは農業所得についてであります。いわゆる農業所得標準率と申しまして、これは地区を相当こまかく割つております。昨年はたとえば郡別程度にしか行きませんでしたけれども、今年は市町村別で、しかもそのうち山間部平坦部とそれから中間部というようなものにわけまして、大体三つぐらいに地域をわけております。それで標準をつくります場合には、一応收穫が問題になるわけであります。そのほかに收穫と申しましても、主食関係や野菜の関係、それから主食といたしましても春作、それから秋作、それから工芸作物、その他の各種作物にわかれております。それから経費はそれの見込み経費を実調いたすわけであります。ただその実際調査をいたします場合に、税務署の恣意が働いてはどうしてもいいものができません。全部現在は抽籤でやつております。一定の納税者を配列いたしまして、それで抽籤をやる。つまりランダム調査を完全に施行している。従つて現在の作報の方式と似ている。あれをもう少しこまかくしたものでやつて行きまして、それで実際の面につきまして、それぞれの作物の種類ごとに経費の割合を出すのであります。その経費の割合によりまして、適用地域を大体今言つた市町村を三つくらいにわけてやつているわけであります。現在国税庁の手元にはありませんが、税務署におきましてはすでに十月の修正予定申告の慫慂のために標準率を調製して、納税者の皆様にお示ししているわけであります。ただ何分にもその当時にできました標準率は、実際の收穫後やつたわけでありませんので、ただ一つの予想をつけております。今度のように收穫実績の見込みが従来の予想とかわると見込まれる地域につきましては、確定田畑標準率の場合にまた若干の変更を見るであろう。おそらくその点は一月中ごろまでにはぜひとも完成いたしたいというので、目下作報ともいろいろな資料上の連絡をとつているのでございます。その際になりますれば、大体のところはお示しできるのではないかと考えております。  それから商工業につきましては外形標準で、たとえば雇人が何人おつて、どういう店舗で、どういう業種で、どういう場所でやつているという外形標準がかりにあつた場合に、自働的に所得幾らでというような方式は現在のところとつてはおりませんし、またなかなかとり得ないであろう恵思つております。おつしやるところの外形標準に該当するものがもしあるとすれば、收入に対する所得の歩合、われわれの言葉で言つております所得標準率であります。これを使つているわけでありますが、今年は全国的に相当大規模に作業をやつたわけであります。集めてみた結果は一定の法則は見出し得ないのでありまして、これは元の調査そのものがある程度不十分ではなかつたであろうかということで、これはわれわれの方は全国的に統一いたしまして採用するということは、遺憾ながら今年はできない。来年度あたりもし青色申告のような方々が大勢できますれば、その青色申告者について調査したものは、それ以外のものの人に使つても相当な正確性を持つのではなかろうか。ことしはさしあたり各局が大体従来から持つておりまする所得標準率、各局がそれぞれ最前の努力を盡して検討して修正した標準率によつておるわけであります。国税庁としては現在統一した標準率を持つていないということを申し上げます。
  21. 小山長規

    小山委員 それではただいまお話農業外形標準については、私が要求した資料は非常に厖大なものになりそうでありますから、もしあまりに厖大なものになつて手数がかかるということであれば、私が要求したいのは実は宮崎県、福岡県、東京都、それから東北のある一県を標準にしたものをいただきたい。これを比較して、そしてどんなふうに改革されたか、どういうふうに所得見積つておるか、これが知りたい。宮崎県については各税務署別にやつていただきたい。  それから商工業外形標準については、所得標準率でおやりになる。それは国税庁としてはまとまつたやり方でやつていないということでありますが、そういたしますと、各税務署決定するところの所得標準率と、それから予算と申しますか、国全体の予算のほかに各税務署予算があるでありましようが、その予算との間にやはり相当な関連性を、実際問題としては税務署では持つであろうと思うのであります。各税務署見積つておるところの予算というものは、あなた方の方でさらに克明に検討された上でそれを認められておるのか。あるいは税務署に全然まかしておられるのか。その辺のところも一応伺つておきたい。
  22. 村山達雄

    村山説明員 最初農業標準率の問題でありますが、確定田畑標準率ができますれば、お求めによりましてサンプルを差上げたいと思います。現在概算田畑標準率の方は国税庁にないのであります。大体が重平均したようなものしか持つていないのでございます。ある地区で実際適用しようというものは持つていないのでございます。もしどうしても御必要とあらばあらためて求めなくてはなりません。  それから営業の方の所得標準率のことでありますが、これは税務署の方は一応局に見込みを出しておるのであります。われわれの方は税務署までは見ておりません。局が適当な批判をしているわけであります。それと標準率関係は、はつきり申しますと関連はないといつてよいのでございます。ということは、標準率というものは管内におきます各種の中庸と認められる業種について調べた結果、相当克明に調べるはずでございます。收入経費、しかも経費もそれぞれ仕入れ原価のようなもの、それから営業経費、それからそれ以外の公租、公課、地代とか償却といつたように分析いたしまして、收入に対するそれぞれの経費のウエイトを求めておるわけであります。それらのものをある程度算術平均いたしたものをもつて、大体それ以外の人に対して、もし所得が帳面の上からわからなかつた場合において、その所得率として適用しておるわけでございます。ですから本来から言いますれば、そういうものを適用したあとで、初めて税務署見込みというものが確実になつて来るわけでございますが、何しろ求められる時期が、それより時期的に早まりましたので、結果的に言いますと、それとは違つた数字が出て来る。結局そこの税務署としては幾らになるかということは、それらの標準率を使つて具体的に決定された金額が、すなわちその税務署税額になるわけでございます。その点はわれわれの方としてもやかましく追究しているわけではございません。
  23. 大上司

    ○大上委員 関連質問ですが、結論は標準率すなわち二、三の実際調査をなさつて類推するという問題もあろうと思いますが、まず私のお尋ねいたしたいと思う点は、今村山説明員がおつしやつたが、正確な帳簿がない。なるほどこれは肯定いたします。ところがこの際において、各会社にしてもあるいは個人の企業者にしても、税法——一般的な公開の法律はよくわかつておりますが、この扱い方と言いますか、たとえば経費の点においても、勘定科目上、実際会社が交際費を十万円使つた。ところがこれはいろいろな内部規定と言いますか、あらゆる面から見て、役所の方が六万円しか認めないというような点が出て来る。あるいは償却の面においても同様の問題が出て来ると思います。従つてこの場合に納税者の立場においては善意に解釈いたしまして、実際いつたものを計上してバランスを出して来た。ところが役所においては経費面においてこれを否認してかかる。ここに大きな齟齬があると思います。それでこれをさらにつづめて行きますと、経済は動いておる。ところが過去の決算によつて決定するのでありますから、今説明の中にありました通り所得額は大体その程度に来ておるのだが、納税額が金がないから高いという陳情もあろうと思います。それはよく了解いたしますが、結論は各会社が出したバランス上は当然支出した。会社は経費として拂つておる。それを役所が否認しておる。但しこの程度では否認しないということは、善意に解釈して各担当者は知らない。そうしますとここに問題は、それだけが会社としましては税の大きな負担になろうと思います。これを是正する意味において、今度の青色申告制度ができたと思いますが、要するに経済は動いておる。動いた過去の記録である記録のつけ方、見方が聞違つておる。結論は、理論的な会計学上においてどこまでも所得の基準をお立てになるのか。あるいはそうでなく、役所はかつてにそれを否認して、独自なものをもつて将来の所得計算の基礎になさるのか。これが大きな取扱い方針の三つの岐路だろうと思います。理論会計学上から来たものと、役所がそれをかつてに否認なさつたもので、今までのような取扱い方針でお行きになるならば、当然今度の外形標準の問題も出て来ると思う。それでこの扱いに対してどういうふうに将来運営なさるか。その点を一点関連質問としてお尋ねしたいと思います。
  24. 村山達雄

    村山説明員 非常にむずかしい問題でありますが、たとえば今のお話の固定資産の減価償却の問題でありますれば、現在法人税法の施行細則におきまして、事業ごと、種類ごと、耐用年数ごとにそれぞれ償却率がきまつております。従つてこの税法に規定されておる償却率がいいか惡いかは別として、今のところ法律上は減価償却に関しましてはかなり明確であります。ただおつしやるところの交際費のような問題になりますと、相当問題はあるのであります。結局考え方が二つあるわけであります。一つはその交際費を出せば、特に会社の場合には、いかなる意味においてもそれは損金ではなかろうという見方であります。しかし他方において、その交際費ははたして損金かもしれないが、それを使つた者の所得を構成するという面がありはしないか。つまり給與なり何かになりはしないであろうか。こういう疑いがあるわけであります。特に同族会社につきましては、御承知のように行為計算否認の規定がございます。従つて主として今言つた点が問題になりますのは同族会社でございますが、これが同族会社の首脳の社長なり、あるいはそれらに類した人たちの交際費に使うということになりますと、実を言いますと個人に対する賞與とも認められるわけであります。そうなりまして極端な場合になりますと、否認する場合がある。非同族会社の問題につきましては、まさに理論的な問題としてはおつしやる通りの問題が残つておるわけでありますが、現在ははつきりしたことを申し上げませんが、おそらく御指摘の通りある妥当なところまで損金に認めて、それ以上は損金に認めない。しかし同時に認めない分を、個人の賞與なりあるいは給與として課税しておるまでには、行つていないという実情にあろうかと思います。将来の問題といたしましては、これらの点に関してはつきり税法できめて、解釈上の論議を起さないという措置が望ましいのではなかろうか。従つてたとえば所得税法等におきましても、今度は一つ一つ所得の計算に関しまして、詳細なる規定を命令その他で設けたいというので、現在大蔵省と相談中でございます。なお法人税につきましても、これは規定に書ききれるかどうかわかりませんけれども、いずれにいたしましても扱いをきめましたら、全部解釈につきましては天下に公表する必要があろうというふうに、考えておるわけでございます。
  25. 三宅則義

    三宅(則)委員 先ほど私の質問に対して、小山君なり大上君なりから御質問になりましたが、私はやはり小山君が先ほど仰せになりました通り、実は前国会のときしかられた。君は大蔵委員だろう。そうだと言うと、それなら今年度何倍かけることが予定されておるか知つておるか。実は知らぬ、こう言つた。そうすると、大蔵委員であつて税務署を監督する地位にあるものが知らぬ、行政官吏にやられることはもつてのほかだ、もつとしつかり委員会で聞いてくれということを選挙民から言われた。たまたま小山君からも御質問があつたわけですが、これは国税局、たとえば東京なら東京、名古屋なら名古屋、その局管内くらいは、同じ業種に対しては同じような形態においてという意味合いにおいて、祕密会議でも開いておるのでありましようか。岡崎の税務署では一台二十万円と決定し、豊橋の税務署管内では一台十五万と決定し、大浜の税務署管内では十二万と昭和二十三年度決定したということを言つておりました。同じ名古屋の財務局であります以上は、隣郡の税務署くらいは、少くとも同じ業体に対しましては相談し合つてつたらどうかと思いまするが、そういうことは越権であろうかどうか。かつて税務署ごとにやつておるものであろうか。それとも財務局の監督でやつておるものであろうか。それをちよつと伺いたい。
  26. 村山達雄

    村山説明員 ただいまの具体的の御質問に対しましては、実はお答えする資料を持つておりませんので、一般論として申し上げます。これは国税局におきましてかなり重要な問題であるというふうに認められますれば、それぞれの関係税務署を集めまして、それぞれの説明を聞いて、なるほどどこどこの税務署では幾ら見積りをする、その他の税務署においては一台幾ら見積ることはもつともであるというような場合には、それでやらせるし、もし間違つておる場合には局で補正を命ずることもあります。しかしこのごろはなかなかそこまで国税局各種の業種について、具体的に権衡をとつてつておるということは、ごく少いだろうと思います。問題が起きた場合にやつておるという実情にあるのではなかろうかというふうに推定しておるのでございます。国税庁の方ではたとえば織物とか、あるいは酒屋とか、あるいは旅館とか、比較的権衡のとりやすいものについては、全国的に権衡をとつてもらいたいという要望はあるのでございますが、ことしは遺憾ながら手が足りぬ関係から、かんべんしてくれと言つておるわけであります。来年あたりから税制全般が改正になりますれば、何とか合理的な事務運営の方式を見出しまして、その余力をもつてできるだけ公平な課税に精進いたしたい、かように考えておりますから御了承願いたいのであります。
  27. 塚田十一郎

    塚田委員 いろいろ問題が広範に展開しておるようでありますが、農業所得の問題が出ましたので、私も少し関連してお尋ねをさしていただきたいと思います。私は先般来新潟県の実情についていろいろ調査をしておるのであります。ことし問題になつております点は、他の府県はどういうぐあいかは存じませんが、新潟県の場合には、まず第一段の收量の認定の点で問題になつておる。收量はどういう認定をしておるかということをお尋ねしたところが、事前割当に対して、農林省の前の收穫予想の調べのときには、新潟県は大体一〇五%だということで、事前割当に対して一〇五%の收量があるものだという認定をまずしておる。さらにその收量に対しまして一〇五%といいますと、新潟県の標準は反当り二石四斗二升くらいだというお話でありますが、その二石四斗二升に対して、今度石当り平均單価を四千三百五十円という三等米標準価格でやつておられる。收入の面にはそれだけの措置をしてそれで大体反当り約一万一千円くらいの数字が出ておつたように思われるのであります。そこでこの收入の面だけを見ますと、第一に五%増というものがその後の実際のあれでは非常に違つておる。県の農務課あたりで調べたのでも、摘出しました五つか六つの村の実績が出ておりましたが、ほとんど全部の村が事前割当量よりも減收しておる。ただ一つの村が事前割当と同じ数量の実績だつたというように出ておる。それにもかかわらず依然として一応きめられた五%という線を固執して、第一線の税務署の当局の方々はこれで申告しろということを、非常に強く主張しておるという話であります。それで平均單価四千二百五十円という数字に対しては、新潟県の場合は、台風の被害や病虫害なんかいろいろな関係がありまして、くず米、青米が多くて、おそらく去年まで考えられなかつた五等米、もしくは五等米にも至らないものが相当数入つておるという事情があるにもかかわらず、その点が十分考慮されないということが、地元民の一つの問題になつておる点のようであります。  それから経費面についてでありますが、今の一万一千円に対して、大体私の計算によりますと約四〇%ということになつております。しかし一万一千円に対して四〇%ときめたのではなしに、経費を詳細に計算したら大体それくらいの数字が出ておるようですが、この中に税務署の認定と、生産県連なんかの調査と非常に食い違いがあります点は、租税公課と償却に非常な食い違いがあるらしく思われるのであります。租税公課にどうしてそれだけの食い違いがあるかと調べてみましたところが、やはり租税公課は平均で見ておられるのでありまして、その平均で見ておられるということは、地域的に非常によけいに——ことに水利組合費なんかによけいにかかる場所があつて非常に違う。それから新潟県の場合には、全体として普通他の府県——少くとも雪やなんかの害のない府県においては、資本的支出と考えられるようないろいろな支出が毎年々々繰返してある。だからして形の上で見ておると資本的支出のようだが、実質はやはり最小限度維持補修の資本でしかないものを、資本的支出に見ておられるまうなところに食い違いがあるらしい。  それから償却の面は、ああいう雪国の濕地地滯でありますところでは、物が非常に早く損失する。それから一戸当りの耕作面積が相当広いのでありますから、同じ一つのものでも一年に使用する量が違うために、償却の度が非常に強い。そういう点を特殊に見てもらえないというようなことがあるらしいのであります。こまかい点は、これは局地的の問題でありますから、私は国税庁に対しては一々御相談に上つておらないので、今関東信越国税局と折衝して御相談申し上げておるのですが、ただ国税庁としての根本的なお考え方をぜひ承つておきたい。結局そういうような事情があつて、確かにそれはもつともだと考えられるようなものであれば、ぜひこれは認めていただかなければならぬし、またそういうようにお考えになつていただいておると思われるのであります。ですからよく国税局と御相談申し上げて、国税局で納得をいただけたものは、国税庁においてももちろんもう一度お考え願うことはけつこうでありますが、やはり筋の通つたものは、そういう特殊なものは特殊なものとしてぜひお認め願わないと、適正なものが出て来ないというふうに考えておるが、その点についての考え方を伺つておきたいと思います。
  28. 村山達雄

    村山説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。おつしやる通り大体今年の第一回農林省予想収穫高を大体のペースにいたしまして、それに税務署の方で調べました過去の実情を織り込んで、各地ごとに予想収穫量というようなものでやつたのであります。しかしそのベースとしては、何といつても第一回の農林省の予想収穫高は相当あつたのですが、その後実際に刈りとつてみますと、かなり台風とか水害の影響を受けて、非常に目減りがしているということを全国的に聞くわけであります。われわれもおそらく事実であろうというふうに考えておるわけであります。  なお御指摘のありましたように現在三等米を基準にしてやつておりますが、品質が非常に悪いというのは全国各地から聞いております。しかし大した影響もないというところもございます。これらの問題は一般的な事実であろうと思つておりますが、それを計数整理をいたしまして、これでもつて税務当局として大丈夫であるという標準率に改訂いたしますには、まだ若干かすに日をもつてしなければいけない問題であろうというので、現在われわれといたしましては、作報の数字が固まるのを見ておるわけであります。もちろん作報の数字が固まりましても、作報の数字通りやるというわけではございませんで、これは一つの統計資料である。これを基礎にして税務署としてわれわれの方に自信があるものを作成し、幸いにして納税者の方々にも納得していただけるようなものをつくり上げたい。しかしいずれにいたしましても、大勢はその作報の数字が固まらないというところにあります。それらのことによつて、さらに確定標準率をつくります際に、もう一ぺん練り直す必要のある地域については、練り面したいと考えております。お話の新潟県でございますが、なるほど雪国につきましては、おつしやるようなこともあろうかと思います。この点先般関東信越国税庁に行きましたところ、それらの点はある程度見てあるということの言明を得ましたので、われわれとしては安心しておつたわけであります。なおそれらの点にお気づきの点がありましたら、いつでも御指摘願えますれば、われわれの方としても十分考慮してみたいと考えております。ただもう一つ償却の問題について申し上げますと、これは農家の方々とわれわれの方の意見は、必ずしも一致を見ていない実情にあります。もう一つお断り申し上げておきたいのは、現在われわれが見ております償却は、実を申しますと、法人税法の施行細則できめております耐用年数から見た償却額を相当上まわつておる。三割や四割は上まわつたところで適用しておる実情にありますので、この辺もひとつ御了承願いたいと思います。
  29. 三宅則義

    三宅(則)委員 ただいま高橋長官がおいでになりましたから、長官にひとつお伺いいたしたいと思います。長官のおいでになります前に村山課長にお伺いいたした点でありますが、関連しておりますからお尋ね申し上げます。本年の十月の修正申告を実はこの十二月十五日に、わが選挙区の愛知県の方ではやつておるのです。そして来年の二月にはほんとうの更正決定があるかもしれぬ。もう一ぺんやられたのではたまらぬというので、実は私のところに百人以上も手紙をよこしておる。ぜひ聞いてもらいたいという陳情を受けておるのですが、これを安心せしめるために、この修正決定で納得したものは、今度三月には更生決定をしないのだ、こういう線でありましようかということを念を押しておきたい。但し不純なものがあつた場合にはもちろんこれは別でありますが、純真なる納税者に対しましては、この十二月十五日の更正決定をなされた以上は、さらに来年の一月、二月はやらぬという御趣旨でありましようか。長官にもう一ぺんお伺いいたしたいと思います。
  30. 高橋衞

    高橋説明員 今年は実はできるだけ納税者の御納得を得て、納税とていただきたいという趣旨をもちまして、第一回の申告時期であります六月の場合におきましても、それまでに調査できました実額調査の線を大体の基準といたしまして、いろいろ御申告をお願いいするように、各納税者に申し上げたのであります。ところがその成績が昨年は予算額に対して三割九分でありましたが、本年は四割八分になりまして、ある程度の改善は見たのであります。しかしなお満足すべき状態ではありませんし、また昨年度すなわち本年春におきますような非常な混乱を生ずることは、絶対避くべきであるというような考え方から、実は十月末が申告日でありますけれども、その後においても期限が過ぎてもやむを得ない、何とかしてできるだけ精一ぱいのところを御申告を願いたいということで、六月からその後はおきます実額調査のいろいろな数字を基本といたしまして、実額調査をいたした方々につきましてはその額について、しからざる方については大体その基準に基きまして権衡をとりまして、修正申告をお願いいたしたのであります。ただいまお話通り原則としてその線で御申告願つたならば、さらに確定決定をすることはいたさないことにして行きたいと考えております。しかしながらなおその後におきましても、御承知の通り所得税は一月から十二月までの所得に対する課税でありますので、なお実額調査をずつとどんどん進めて行くつもりでございます。従つて実際調査いたしました結果、それよりも大きな金額が出ましたというような場合においては、それがわずかな差異であります場合には、もちろん御申告通り確定申告に対する更正決定をするようなことは考えておりませんけれども、それがある程度の大きさになります場合におきましては、やはりいま一度確定申告に対する更正決定をいたさざるを得ないものと思うのであります。その点御了承願いたいと思います。
  31. 三宅則義

    三宅(則)委員 今高橋長官が熱心に御答弁になつたのでありますが、私はいわゆる選挙区の区民を代表しておりますから、お聞き取りを願いたい。これは知識や経験の足らぬからでもありましようが、国家的予算を考えないで言つたことでありましようが、たとえば昨年の決定よりも五割なら五割を増して出した場合においては、更正決定はしない、こういう手紙を出しております。ところが情勢が変化して来れば五割ではない、七割も八割も更正決定をしなければならぬことは当然でありまして、そういうような手紙を出すことはどうかと思います。それは勧告でありましようが、早く言うとその人の認識を高めさせるためか、三割なら三割を出せば更正決定をいたさないということを印刷しておりますが、そういうことを知つておられるかどうか。御説明を聞きたい。
  32. 高橋衞

    高橋説明員 ただいまのお話は六月の申告の際に期待倍数を大体お示しして、昨年からたとえばある業種については五割程度増額した所得について御申告願えば、仮更正決定をしないという趣旨の手紙を差上げた向きがあるかと思うのであります。しかしながらそれはどこまでも仮更正決定とはつきり書いてあるつもりであります。決して確定申告に対する更正決定という意味ではございません。途中において仮更正決定をすることをしないで更正決定しますれば、そのときから加算税がかかります。従つてそういう趣旨で差上げたつもりでありますが、おそらくはそういうことがなかなか一般の納税者には徹底しがたいという面から、ただいま三宅さんのお話のような誤解を生じたのではないかと考えます。その点念のために申し上げておきます。
  33. 三宅則義

    三宅(則)委員 今のお話通りでありまして、実はよく読んでみれば更生決定をしないということになるのでありますが、納税者の方はそうは思わないでピンと来る。五割なら五割旧しておけばもう大丈夫だ、こういうふうに安心しておる。ところがたまたまそれが倍額等に来ますと、飛んで来て私どもに騒がれるのですが、これはやはり納税者に納得せしめるように、手紙を出すときには、これはまた変更することもあるをいうことをつけ加えたならば、そういう誤解は免れるのではないかと思いますが、参考に申し上げたい。ただ私どもの遺憾にたえません点は、やはりこの場でお聞きいたしたことでございますが、まだ税務官吏の方は若いのでありまして、権力の濫用ということは地方へ行けば行くほどある。はなはだ不見識きわまるものと思うのでありますが、これはひとつどうか長官から、各国税局長あるいは税務署長に至りまするまで、親切丁寧に、熱心に、忠実に取扱えということをたびたびひとつ訓示してもらいたい。もし誤つて自分納税者のところへ行つて権力を濫用するというような点がありました場合においては、私はこれに対して氏名をとつて、この委員会を通じて嚴重に抗議を申し込みたい、こう思います。  もう一つ関連して申し上げたい事柄は、納税者自分の税金をたとえば一割、二割というものをおつことしておいたという場合においては、たとえば物品税等においては五割ないし十割罰金をとられる。ところが税務官吏の方が誤つて多くきめた場合に、一体だれが責任を負うか。だれも責任を負わない。また今度は反対に誤つて過小にきめた場合に、だれの責任か。国家が損をする。彼らは責任を負つていない。これははなはだ不見識きわまるものと考えますから、納税者にある程度までに嚴重に納税することを勧告いたしますならば、徴税官吏の方にもひとつ嚴重に勧告する必要があると思うが、長官のお考えはどうでありましようか。ひとつお伺いいたしたい。
  34. 高橋衞

    高橋説明員 職員の訓練と申しますか、監督につきましては、実は国税庁発足以来、それ以前におきましても絶えず注意して来たところでありますが、特に国税庁の発足以来長官に直属いたしまするところの五十名の監察官を置きまして、身分上の監督を嚴重にいたしておるのであります。そのほか実は八月に、もつぱら職員の態度とかまたは身分の非違というものについて、納税者の方々の直接のお声をお聞きしたいという考えからいたしまして、本庁苦情相談所を設けました次第であります。その結果相当多数の方からいろいろニユースなり実相をお伝え願いまして、それによつて処分した官吏も相当数あるわけであります。お話通り現在の税務官吏の大多数が非常に若い、経験も少いというふうなことからいたしまして、税法についても十分の勉強ができてない者もありまするし、またことに必要なところの経験年数に欠けるという面よりいたしまして、自然税の決定について十分に実相を把握し得ないところから、やむを得ず権力に訴えるというふうな面も相当あつたかと思うのでありますが、それらの点は絶えず繰返し私どもも各現地に対しまして機会あるごとに訓示して、できるだけ早くこういうふうな点を訂正いたしたい、根絶いたしたいというふうに考えておるわけであります。  なお税務官吏の過大に決定した場合、また過小に決定した場合の責任という問題につきましても、これは税務署並びに税務官吏の成績を判定するところの最大の要件にいたしておりますので、そういうこをがたび重なつた者に対しましては、当然その責任を追究するという考えでおりますから、その点御了承願いたいと思います。
  35. 三宅則義

    三宅(則)委員 私がさらにお尋ねいたしたいと思いまするのは、実は滯納がたいへんふえて来たのです。このことはわれわれは金詰まりの問題だと思う。国税庁の長官に金詰まりの話を聞くことははなはだ恐縮でありますが、実際は中小企業もしくは零細な工業に対しましては金詰まりがはなはだしい。ここで参考までに申し上げておきまするが、興業銀行、勧業銀行等が金融いたしまする場合において、中小企業に対しましては非常に断る率が多い。しかるに何億とか何千万円とかいうような大金融になりますと、割合簡單に調査もできるし進行が早い。ところが三百万円以下、百万円とか五十万円とかいうような零細金融になりますと、なかなか手がまわらぬ。こういうふうな中小企業におきましては、今日は滯納が続出いたしておると思うのであります。これに対して日歩二十銭とかの追徴税をとられますと、御承知の通り年にいたしまして七割何歩になるわけでありまして、これが一箇年もしくは一箇年半になりますと、倍額もしくはそれ以上にまで本税の罰金が出て来ることになりまするが、今度シヤウプ博士の勧告案によりまして、たいへん減つたわけであります。しかし現在滯納処分をせられつつあるもの、もしくはそれについての徴税いたしました額は、どのくらいに上つておりましようか、承りたいと思います。
  36. 高橋衞

    高橋説明員 滯納金額については、四月末すなわち五月一日に新年度に繰越されました税額が、たしか七百六十一億円上つていると思うのであります。これが整理は非常に緊急の問題であると考えまして、その後関係筋からの注意の喚起もありましたので、七月から十月までを滯納整理期間といたしまして、全力をあげてこれが整理に努力をいたしました結果、十月末におけるところの滯納金額は四百五億円と相なつたのであります。しかもそのうち過年度分の滯納税額は百八十億円を残す程度なつたかと思うのであります。従いまして滯納税額は今日相当多いのではありまするけれども、たとえば二十三年度の当時、二十二年度の当時と比較いたしますると、事態は非常に改善されているように考えておるのであります。
  37. 三宅則義

    三宅(則)委員 長官に物品税のことを聞くことははなはだ失礼でありますが、一応根本原因だけを聞きますからお答えを願いたい。もしお答えができなかつた場合においては、明日でもよろしいから係官をおつかわしくださつて、詳細なる御答弁を願いたい。実は今度取引高税が一月から廃止になる。取引高税については私がここで申し上げるまでもなく、業者は非常に惡税であると言つてつておる。これはわが民主自由党の根本方針でもありまするし、撤廃に邁進いたしたい。確かに撤廃になるのであります。現在十二月でありますが、十一月分も十二月分もとつていると思うのであります。これに対しまして割当をやつているということを聞いておりますが、まだ割当制度を完全にやつておられますかどうか。自主的にやられるようになつておりますか。その辺を承りたい。
  38. 高橋衞

    高橋説明員 御承知の通り年度までは努力目標というものを各税務署に設定いたしましたが、今年度は当初から努力目標というものは全然設定しておりません。ただこれは歳入当局といたしまして、絶えずどの程度の歳入が本年度内に得られるかという見通しをつける必要がありますので、各税務署から、また各国税局から大体二月に一回くらいずつ、今までの收入実績並びに今後の見通しというものについての調査は要求しております。しかしながらお話のような取引高税の割当、取引高税のみならず物品税につきましても、割当というふうな目標というものは絶対に指示しておりませんから御了承願います。
  39. 三宅則義

    三宅(則)委員 長官は確かに割当はしないとおつしやいますが、出先官憲になりますと、これは実際割当なんだから寄付と思つてつてもらいたい。取引があるかないかわからぬけれども……。そうしたようなことで強要しているというようなことを、私どものところに出入りいたします人々から聞かされている。もちろんそうしたことがなければけつこうでありまするが、もう一、二回で終ることでありますから、あまり追究はいたしません。ただ物品税につきましては、私の調査したところによりますと、あなたの言うところと違う。私は第五国会におきまして、物品税というものは六割ないし七割くらいは完納できて、あとの一、二割くらいが脱税であろう、こう考えておつた。ところがもちろん業種にもよりますが、実際といたしまして半分以下が納めている税金であつてあとの半分くらいは納めきれない。所得税があり、物品税があり、取引高税があり、各税があつてやりきれないというので、はなはだしきは心ならずも一割、二割、三割というものは免税したという気持で横洗しをいたした。この横流しをしたということによつて税額が違つてつた。こういうことを聞いておりますが、政府はどのくらいに御観測でありますか。その辺を承つておきたい。
  40. 高橋衞

    高橋説明員 物品税についてどの程度脱税になつているかというお尋ねでありますが、これはわれわれ国税庁当局といたしましても、見当がつきかねるのであります。御承知の通り取引高税ができましてから、相当税務署の職員を増員していただいたのでありますけれども、何分にも本年度になりましてから、取引高税が毎月申告をし、毎月納税をするという制度になりましたので、非常に手数が煩雑になりまして、そのためにほとんどすべての職員をそつちの方に吸収されまして、物品税の検査等につきましても実は私どもの意に満たない、はなはだ不満足な程度にしか検査ができてないというのが実情でございます。従つて昨年よりはある程度脱税が多くありはしないかということを、実はおそれておる次第であります。しかしながらちようど今月をもつて取引高税も廃止されますので、相当多数の——全国で五千六百人だけがこの取引高税の仕事に従事しておるのでありますが、これらの方々にひとつ物品税の方の検査を今後十分に励行していただきまして、これらの脱税を根絶いたしたい、そう考えておる次第であります。
  41. 川野芳滿

    川野委員長 ちよつと三宅君に御相談申し上げますが、実は三時から銀行代表と会うことになつておりますので、また明日にお願いしたいのですが……。
  42. 三宅則義

    三宅(則)委員 それでは時間が迫りましたからもう一点だけお伺いします。実は最初からやりますと今ごろ終るわけですが、途中で質問者がありましたために遅くなりました。まだ物品税についてたくさん聞きたいのでありますが、一つだけ参考に聞いておきたい。というのは今度シヤウプ勧告案をまつまでもなく、事務用品であるとか文房具は免税に成功いたしました。あなたの方はもちろん立法者でありませんからわかりませんでしようが、事実をひとつ申し上げたい。文房具にもアルバムあるいは短册とか色紙とか、一部分高級品もありますが、大部分はアルバム等におきましても中学校あるいは高等学校、小学校等の卒業記念アルバムもしくは学習用の調査したものを記録したアルバム、こういうものが八〇%まで占めておる。色紙、短册等におきましても、これまた女学校の習字の手本とかあるいは学習用に使つておるものが大部分である。ところが今度の税法によりまして三〇%という物品税がかかつておる。私はここに端的に申し上げてみますると、小さい百円、百五十円、二百円ぐらいのアルバムをつくるのは家内工業でやつておる。大企業でない。ところがそういうものは原紙において一割かかり、物品税は三割かかる。こういうことになつたらとうてい貧弱な製造業者は負担がしきれないのではないか。こういうものに対して私が言うてははなはだ失礼でありますが、完全に納税することはできませんとともに、そんなことは気の毒でたまらぬ。こういう点からいたしまして、あなたは立法者でありませんが、ぜひ実情を把握せられまして、大蔵当局の方にこんな零細なものはやめてしまえというくらいの勇気をもつて進んでいただきたい、かように思います。私ももちろん言いますが、そうした零細企業の物品税は今後省くような方法にいたしたいと思いまするが、長官の御感想はどうでありましようか。
  43. 高橋衞

    高橋説明員 お話になりました通り、私ども国会において御決議になりました税法を忠実に執行するのが職務でありますので、ただいまのお話の点は十分に立法当局の方にお伝えいたすことにいたしたいと存じます。
  44. 川野芳滿

    川野委員長 徴税の問題は大きな問題でございますので、当委員会においても愼重審議いたしたいと存じますが、実は本日は銀行代表と会見することにも相なつておりますので、明日午後一時から開会することにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。     午後三時三分散会