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三浦法制局参事 九十三條、九十
五條について御
説明申し上げますが、九十
五條の方を先に申し上げた方が、わかりがいいかと思いますので、その方から申し上げることにいたします。
九十
五條は、
法定得票数の
規定でございまして、
法定得票数の率について、
原案においては四分の一ということにな
つておるわけでございますが、四分の一と申しますと、これを昨年の
衆議院議員の総
選挙の場合の
有効得票総数と比較して検討して参りますと、十五万二千票というのが四分の一以上の
得票数になるわけでございます。ところが十五万二千票というような
法定得票数では少し高過ぎるのではないか、立
候補者の数等とあわせ考えた場合に、もう少し
法定得票数を低くした方がよくはないかというような
意見も出て来ておるわけでございますので、それらの点を考えまして、一応四分の一を五分の一にしてみたのであります。しかしながら五分の一もまたどうかという御
意見もありますので、一応ここでお諮りしたいと
思つておりますのは、九十
五條のこの案にございます「四分の一」を「六分の一」以上の
得票数を得たものということでお考えを願いたいと
思つておるのでございます。六分の一ということになりますと
得票数が大体十万一千九百票というような
平均になるわけであります。これは昨年の
衆議院議員の総
選挙の
有効得票総数を基準にいたしまして割り出した数でございます。この
得票数の率の問題は、これをあまリ下げて参りますと、結局
地方選出の
参議院議員の
得票数よりも、かえ
つて甘くなるということになりまして、
全国区の
選出を害することになりますのであまりこれを下げるわけにも、理論上は参らないかと考えるのであります。
現行法はただいま申しました九十
五條の率を八分の一としたわけでありますから、八分の一といたしますと、七万六千票の
法定得票数ということになるわけでございまして、これを
地方選出の
参議院議員について例をとりますと、七万六千票は一県だけで、七万ぐらいを
法定得票数といたしますのは、
徳島、
鳥取、
栃木の三県ぐらいでありまして、
あとは八方、九万、十万、
平均いたしますと
地方選出の
参議院議員では十万三千票という
得票を
平均数としてとらなければ、
地方選出の
参議院議員になれない、こういうように
全国選出の場合にはそれよりも低い
得票数でいい。こういうことになると矛盾があるわけでありまして、それらを勘案いたしまして六分の一以上にいたしますと、先ほど申しました十万一千票、それから四分の一にいたしますと十五万二千票ということになるのでありますが、五分の一にいたしますと十二万二千票。ここらを勘案いたしまして、六分の一ぐらいが適当ではなかろうか、かように考えまして、九十
五條をさように御
修正を願いたい、かように
思つております。
それから九十三條の問題は、
法定得票数がきまりますと、
一定得票数以下のものに対して、いわゆる
供託金の
沒收ということになるわけでありますが、この
沒收率は
法定得票数以下でなくてはならないわけでありますので、六分の一にいたしますれば、
法定得票数を八分の一ぐらいにするのが適当であろうと
思つておるわけであります。九十三條の二号の「六分の一」としてございましたのを「八分の一」ということに御
修正を願いたい、かように考えております。
現行法はこの
供託金の
没収率を十分の一にいたしております。以上が九十三條、九十
五條の問題であります。
それから百四十四條は
ポスターの数の問題でありますが、これを一号におきまして、
衆議院議員の
選挙、それから
参議院の
地方選出議員の
選挙、
都道府県知事及び
都道府県の
教育委員会の
委員の
選挙、これをひつくるめまして、
候補者一人に対して三千枚、こういうことにな
つておるわけであります。それから
参議院の
全国選出議員については、二号に掲げてございまして二万枚、一の
都道府県では一千枚、こういうことにな
つてお
つたわけでございます。これに対して
参議院から
都道府県の一千枚は少いから、これを四千枚ぐらいまで上げてくれという御
意見もあ
つたわけでありますが、それらを勘案いたしまして、一応百四十四條第二号の
但書の「一千枚」を「三千枚」としていただいたらと考えておるわけであります。それは四千枚にいたしますと、
衆議院議員あるいは
参議院の
地方選出議員よりふえることになりますので、
参議院の、ことに
地方選出の
議員と比べまして、一
府県單位でありますので、それよりも
全国選出議員が
都道府県で張ります
ビラが多いのもおかしいのでありまして、一号の三千枚を四千枚にしない限り、二号の
枚数はやはりそれと同じ
程度にするのが適当であろうと考えますので、その
意味において「三千枚」と二号を御
訂正願いたいと思います。
なお第二号の問題につきまして、こういう御
意見が出ておるわけであります。これは今まだ法文の
字句にいたした案はでき上
つておりませんが、その
内容は、一号の
衆議院議員の
選挙の場合、
参議院地方選出議員その他
都道府県知事、
都道府県教育委員会の
委員の
選挙の場合と比較いたしまして、たとえば
東京都
選出の
衆議院議員の例をとりますと、
東京都は七区にわかれております。そういたしますと、七区の中の各一区
ごとに
候補者一人について三千枚の
ビラが
衆議院では使える。ところが
東京都全体を
選挙区といたしております
参議院の
地方選出議員とか、
都道府県知事及び
都道府県教育委員会の
委員ということになりますと、それが全体で三千枚ということでは、あまりに権衡が失しはしないかという御
意見があるわけでありまして、これもご
もつともだと
思つております。
参議院からその点の申入れが特にあ
つたわけではありませんが、そういう点を是正いたすといたしますならば、
衆議院議員の一区と
参議院の
地方選出議員の一
選挙区とが同じ
区域である場合におきましては、やはり
基礎枚数を三千枚といたしますが、一
都道府県の
区域内に
衆議院議員の
選挙区が二区以上ある場合におきましては、その
区数に応じて、一区について千枚ずつの
枚数をふやしてやることにしたらどうかという案でございます。千枚をふやすということに対して、
東京都に例をとりますと、
東京都が七区でありますから、その中の一区については三千枚、残りの六区につきまして、一区千枚でありますから六千枝、それと三千枚とを加えまして、
東京都の
地方選出参議院議員は九千枚の
ビラが使えるということになるわけであります。さようなことでよろしいということでありますれば、
字句は
委員長におまかせ願いまして、
あとでなお正確な
字句に整理いたしたいと考えております。
三号、四号の問題でありますが、傍線の右側に書いてありますのが、一応
修正したいと考えまして書いた案でございます。なおこれを御
訂正願いたいと
思つておりますが、
内容を読み上げますと、新しい案は、「
都道府県の
議会の
議員、市の
議会の
議員、
市長及び市の
教育委員会の
委員の
選挙にあ
つては、
公職の
候補者一人について」「一千枚」とありますのを従来
通り「五百枚」「但し、
地方自治法第百五十
五條第二項(区を設ける指定市)の市の
市長の
選挙にあ
つては、
公職の
候補者一人について二千枚」かようなことにしていただきたい。これは
五大市の
市長の
ポスターの
枚数を、
原案におきましては五百枚とな
つてお
つたのでありますが、それを二千枚にいたしたい、こういうわけであります。それは
五大市側からも
希望がありましたし、なおまたよく考えてみますと、それも合理的な
理由があるようであります。と申しますのは、たとえば
五大市の
横浜に例をとりますと、
横浜市は、
衆議院の
選挙におきましては
横浜市だけが一
選挙区にな
つておるわけであります。そうしますと、一
選挙区について
衆議院議員は三千枚の
ビラが使える。ところが
五大市の
市長は、市全体が一
区域でありますので、それはやはり
衆議院議員と同じ
選挙区の
区域であるから、三千枚
使つてもよいじやないかということになるわけであります。しかしながら
衆議院議員の
選挙と
地方の
選挙とは、その
選挙の
性質にかんがみまして、多少そこに段階を設けてもよいのではないかというような
意味合いから、
五大市の
市長の
枚数は
衆議院並の三千枚にいたしませんで、二千枚
程度にして、現在の
原案におきまする五百枚をふやすことにいたしたわけであります。それ以外の
選挙につきましては、やはり
原案通り五百枚ということにしたいと
思つております。
次は五号でございますが、従来の三号、四号を一緒にして三号といたしましたので、五号を四号といたしまして、これは
町村の
議会の
議員及び長並びに
町村の
教育委員会の
委員の
選挙の
ポスターの
枚数でありますが、これは
原案が「百枚」にな
つておりましたのを、ほかの
枚数をふやす関係で「三百枚」といたしましたけれども、
五大市の
市長だけの
枚数をふやして、
都道府県の
議会の
議員の
枚数を五百枚に
原案通りにいたします場合には、三百枚とすることを御
訂正願つて、やはり
原案通り百枚とすることに願いたい。これが百四十四條の問題であります。
それから百四十
七條におきましては、
文書図画の
撤去の問題でありまして、
選挙当日、三町以内の
区域に張られた
ポスターは、
都道府県選挙管理委員会または
市町村選挙管理委員会が
撤去しなければならないという
規定が置かれたわけであります。これは
委員会においても、
議論がわかれたのでありますが、
選挙当日ということになりますと、七時から
投票が始まりますので、それに間に合せてはぐといたしますれば、夜中の十二時から朝の七時前までにはがなければならないために、実際に三町以内の
区域の
撤去は容易でないというような事柄もありますので、実際にそれが可能な範囲に合せますために「約一町以内の
区域」ということにしていただきまして、その中の
ビラをはぐ、こういうことに御
訂正を願いましたら、いかがかと考えております。
なお百四十四條の
ポスターのところで、
参議院の
地方選出議員につきまして、一区を増す
ごとに云々という言葉を入れますと、あるいは号をやはりそこに一号ふやすことになるかもわかりませんから、その点その形式につきましては、おまかせを願いたいと考えております。以上であります。