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1950-02-15 第7回国会 衆議院 選挙法改正に関する調査特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十五日(水曜日)     午後三時十八分開議  出席委員    委員長 生田 和平君    理事 加藤隆太郎君 理事 栗山長次郎君    理事 野村專太郎君 理事 前田 種男君    理事 土橋 一吉君 理事 井出一太郎君       江崎 真澄君    川西  清君       北澤 直吉君    田中 重彌君       中川 俊思君    山村新治郎君       鈴木 義男君    並木 芳雄君       立花 敏男君  委員外出席者           法制局参事 三浦 義男君 二月八日  委員小野孝辞任につき、その補欠として高橋  清治郎君が議長の指名で委員に選任された。 同月十五日  理事並木芳雄君の補欠として高橋清治郎君が理  事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  公職選挙法案起草に関する件     —————————————
  2. 生田和平

    生田委員長 これより会議を開きます。  議題に入ります前にまずお諮りいたします。理事である並木芳雄委員より、理事辞任申出がありました。この際これを許可し、その補欠選挙を行いたいと思いますが、これは投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 生田和平

    生田委員長 御異議なしと認めます。御異議なければ高橋清治郎君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 生田和平

    生田委員長 次は第九十三條の供託物沒收、第九十五條法定得票数の問題、第百四十四條のポスター枚数の問題、なお百四十七條についてお諮りいたしたいと思います。三浦部長より御説明申し上げます。
  5. 並木芳雄

    並木委員 委員長から、今まで空間ができたことをやはり一応報告しておいてもらわないと、何のためにこんなにこの前の委員会と今度の間に時日が経過したかということがはつきりしないと思うのです。御記憶でもございましようが、この前一両日待つてくれということで、ずいぶんすつたもんだして、ほとんど哀願するようにして、月曜日に討論にまで持つて行く、採決にまで持つて行く、というところで、委員会速記録は切れているはずです。あれから続いて今日の会議が、いきなり九十何條とかでおつ始まるような記事を見たら、この間は何をごたごたしていたのかと思う。その間には参議院の方の申出もあつたし、あれは両院委員の打合会もありました。そういうことも当然この委員会の態勢を整えるために、私は今日委員長から報告があるだろうと期待しておつたのですけれども……。
  6. 生田和平

    生田委員長 いや、御報告するつもりです。
  7. 並木芳雄

    並木委員 先にしてください。陰でごちやちやつて、知つている人は知つているかもしれないけれども、どこでごたごたして九十何條の供託金沒收ということが出て来たのかということを、承知している人はよいかもしれないが、いわゆる万機公論に決する委員会なんですから、秩序立ててもらわなければ、御相談に応じきれないと思うのです。
  8. 生田和平

    生田委員長 私はこれは委員長の責任において修正の動議を出したいと実は思つてつたのですが、今並木委員よりの御要求もありましたから一応御説明いたします。過日参議院からの申出がありまして、参議院衆議院との委員協議会を開きました。協議会の問題は、知事並びに市長は、選挙より六箇月前に辞職をしていなければ立候補できない、つまり立候補制限であります。一応参議院意見を聞いたのです。いま一つは、教育者地位利用の禁止の問題であります。この二つについて協議会を開いたのでありますが、参議院主張は、教育者地位利用現行法でやつてもらいたい。われわれ委員会改正案は、御承知通り教育者は全然学校の生徒、兒童等を利用して選挙運動をすることはできないということにきめておりますが、参議院は、従来の現行法通りに満二十才以上の生徒——これは特に生徒と言つておるのです。生徒には選挙運動をやらせてもさしつかえないじやないか、こういう御議論でありました。衆議院委員会の大体の御意見は、二十歳以上のものは男女ともに、自由に選挙運動ができるのである。それは何ゆえに教育者が直接選挙運動をさせることを忌避しなければならぬかということが食い違つてつたと思うのであります。  いま一つは、六箇月以前にやめなければ立候補ができない、立候補制限でありますが、これは従来本委員会方針が、現職立候補さえも制限いたしておりますし、また知事並びに市長限つて制限を加えるということは、平等の原則に反するというのが、衆議院委員諸君の御意見であつたと思います。但し、これは協議会でありまして、決定はいたしておりません。各自に党に持ち帰つて意見をおきめになるだろうというのでありまして、その際は單に参議院の御意見を聞いたにとどまるのでございます。これは別の日におきまして、参議院からただいま申し上げました第九十三條供託物沒收の件並びに九十五條法定得票数の問題、これについて修正をしてくれということを、小串委員長より私に申出があつたのは事実であります。委員長におきましては、いろいろ法制局とも相談をして調査をいたしておつたのでありますが、本日お手元に差上げてあるように修正するのが適当ではないかと考えまして、一応お諮りいたした次第であります。これが以上の経過であります。
  9. 並木芳雄

    並木委員 参議院からのお申出については、こちらとしては何も議論をしなくていいのですか。向うのそういう申出というものは撤回でもしたのですか。
  10. 生田和平

    生田委員長 教育者地位利用の問題は、本委員会の従来の方針とは、御承知通りに食い違つております。また六箇月の條件をつけることも、従来の当委員会方針とは違つております。しかし当時の協議会において、参議院主張も一応道理があるという考え方もあるのであります。そこで参議院は、参議院みずから司令部行つて司令部意見を一応聞いて、もし司令部が同意できるのであれば、さらに衆議院の方では考慮してもらいたい、こういうことで今日保留になつております。今日ここで御相談いたしましても、司令部の許可がとれなければ、むろん無意味になるのでありますし、一旦本委員会が決定しておる事項でありますから、容易にこれを修正することはどうかと思いましたが、参議院があらかじめ司令部と交渉して意向を打診するという方針をとつておりますので、今ここで決定することは時期尚早であると考えております。  それでは第九十三條の供託物沒收の件並びに九十五條法定得票数の件、百四十四條のポスター枚数の件、百四十七條文書図画撤去の第二項の問題をあわせて議題に供したいと思います。三浦法制部長より御説明を願います。
  11. 三浦義男

    三浦法制局参事 九十三條、九十五條について御説明申し上げますが、九十五條の方を先に申し上げた方が、わかりがいいかと思いますので、その方から申し上げることにいたします。  九十五條は、法定得票数規定でございまして、法定得票数の率について、原案においては四分の一ということになつておるわけでございますが、四分の一と申しますと、これを昨年の衆議院議員の総選挙の場合の有効得票総数と比較して検討して参りますと、十五万二千票というのが四分の一以上の得票数になるわけでございます。ところが十五万二千票というような法定得票数では少し高過ぎるのではないか、立候補者の数等とあわせ考えた場合に、もう少し法定得票数を低くした方がよくはないかというような意見も出て来ておるわけでございますので、それらの点を考えまして、一応四分の一を五分の一にしてみたのであります。しかしながら五分の一もまたどうかという御意見もありますので、一応ここでお諮りしたいと思つておりますのは、九十五條のこの案にございます「四分の一」を「六分の一」以上の得票数を得たものということでお考えを願いたいと思つておるのでございます。六分の一ということになりますと得票数が大体十万一千九百票というような平均になるわけであります。これは昨年の衆議院議員の総選挙有効得票総数を基準にいたしまして割り出した数でございます。この得票数の率の問題は、これをあまリ下げて参りますと、結局地方選出参議院議員得票数よりも、かえつて甘くなるということになりまして、全国区の選出を害することになりますのであまりこれを下げるわけにも、理論上は参らないかと考えるのであります。現行法はただいま申しました九十五條の率を八分の一としたわけでありますから、八分の一といたしますと、七万六千票の法定得票数ということになるわけでございまして、これを地方選出参議院議員について例をとりますと、七万六千票は一県だけで、七万ぐらいを法定得票数といたしますのは、徳島鳥取栃木の三県ぐらいでありまして、あとは八方、九万、十万、平均いたしますと地方選出参議院議員では十万三千票という得票平均数としてとらなければ、地方選出参議院議員になれない、こういうように全国選出の場合にはそれよりも低い得票数でいい。こういうことになると矛盾があるわけでありまして、それらを勘案いたしまして六分の一以上にいたしますと、先ほど申しました十万一千票、それから四分の一にいたしますと十五万二千票ということになるのでありますが、五分の一にいたしますと十二万二千票。ここらを勘案いたしまして、六分の一ぐらいが適当ではなかろうか、かように考えまして、九十五條をさように御修正を願いたい、かように思つております。  それから九十三條の問題は、法定得票数がきまりますと、一定得票数以下のものに対して、いわゆる供託金沒收ということになるわけでありますが、この沒收率は法定得票数以下でなくてはならないわけでありますので、六分の一にいたしますれば、法定得票数を八分の一ぐらいにするのが適当であろうと思つておるわけであります。九十三條の二号の「六分の一」としてございましたのを「八分の一」ということに御修正を願いたい、かように考えております。現行法はこの供託金没収率を十分の一にいたしております。以上が九十三條、九十五條の問題であります。  それから百四十四條はポスターの数の問題でありますが、これを一号におきまして、衆議院議員選挙、それから参議院地方選出議員選挙都道府県知事及び都道府県教育委員会委員選挙、これをひつくるめまして、候補者一人に対して三千枚、こういうことになつておるわけであります。それから参議院全国選出議員については、二号に掲げてございまして二万枚、一の都道府県では一千枚、こういうことになつてつたわけでございます。これに対して参議院から都道府県の一千枚は少いから、これを四千枚ぐらいまで上げてくれという御意見もあつたわけでありますが、それらを勘案いたしまして、一応百四十四條第二号の但書の「一千枚」を「三千枚」としていただいたらと考えておるわけであります。それは四千枚にいたしますと、衆議院議員あるいは参議院地方選出議員よりふえることになりますので、参議院の、ことに地方選出議員と比べまして、一府県單位でありますので、それよりも全国選出議員都道府県で張りますビラが多いのもおかしいのでありまして、一号の三千枚を四千枚にしない限り、二号の枚数はやはりそれと同じ程度にするのが適当であろうと考えますので、その意味において「三千枚」と二号を御訂正願いたいと思います。  なお第二号の問題につきまして、こういう御意見が出ておるわけであります。これは今まだ法文の字句にいたした案はでき上つておりませんが、その内容は、一号の衆議院議員選挙の場合、参議院地方選出議員その他都道府県知事都道府県教育委員会委員選挙の場合と比較いたしまして、たとえば東京選出衆議院議員の例をとりますと、東京都は七区にわかれております。そういたしますと、七区の中の各一区ごと候補者一人について三千枚のビラ衆議院では使える。ところが東京都全体を選挙区といたしております参議院地方選出議員とか、都道府県知事及び都道府県教育委員会委員ということになりますと、それが全体で三千枚ということでは、あまりに権衡が失しはしないかという御意見があるわけでありまして、これもごもつともだと思つております。参議院からその点の申入れが特にあつたわけではありませんが、そういう点を是正いたすといたしますならば、衆議院議員の一区と参議院地方選出議員の一選挙区とが同じ区域である場合におきましては、やはり基礎枚数を三千枚といたしますが、一都道府県区域内に衆議院議員選挙区が二区以上ある場合におきましては、その区数に応じて、一区について千枚ずつの枚数をふやしてやることにしたらどうかという案でございます。千枚をふやすということに対して、東京都に例をとりますと、東京都が七区でありますから、その中の一区については三千枚、残りの六区につきまして、一区千枚でありますから六千枝、それと三千枚とを加えまして、東京都の地方選出参議院議員は九千枚のビラが使えるということになるわけであります。さようなことでよろしいということでありますれば、字句委員長におまかせ願いまして、あとでなお正確な字句に整理いたしたいと考えております。  三号、四号の問題でありますが、傍線の右側に書いてありますのが、一応修正したいと考えまして書いた案でございます。なおこれを御訂正願いたいと思つておりますが、内容を読み上げますと、新しい案は、「都道府県議会議員、市の議会議員市長及び市の教育委員会委員選挙にあつては、公職候補者一人について」「一千枚」とありますのを従来通り「五百枚」「但し、地方自治法第百五十五條第二項(区を設ける指定市)の市の市長選挙にあつては、公職候補者一人について二千枚」かようなことにしていただきたい。これは五大市市長ポスター枚数を、原案におきましては五百枚となつてつたのでありますが、それを二千枚にいたしたい、こういうわけであります。それは五大市側からも希望がありましたし、なおまたよく考えてみますと、それも合理的な理由があるようであります。と申しますのは、たとえば五大市横浜に例をとりますと、横浜市は、衆議院選挙におきましては横浜市だけが一選挙区になつておるわけであります。そうしますと、一選挙区について衆議院議員は三千枚のビラが使える。ところが五大市市長は、市全体が一区域でありますので、それはやはり衆議院議員と同じ選挙区の区域であるから、三千枚使つてもよいじやないかということになるわけであります。しかしながら衆議院議員選挙地方選挙とは、その選挙性質にかんがみまして、多少そこに段階を設けてもよいのではないかというような意味合いから、五大市市長枚数衆議院並の三千枚にいたしませんで、二千枚程度にして、現在の原案におきまする五百枚をふやすことにいたしたわけであります。それ以外の選挙につきましては、やはり原案通り五百枚ということにしたいと思つております。  次は五号でございますが、従来の三号、四号を一緒にして三号といたしましたので、五号を四号といたしまして、これは町村議会議員及び長並びに町村教育委員会委員選挙ポスター枚数でありますが、これは原案が「百枚」になつておりましたのを、ほかの枚数をふやす関係で「三百枚」といたしましたけれども、五大市市長だけの枚数をふやして、都道府県議会議員枚数を五百枚に原案通りにいたします場合には、三百枚とすることを御訂正願つて、やはり原案通り百枚とすることに願いたい。これが百四十四條の問題であります。  それから百四十七條におきましては、文書図画撤去の問題でありまして、選挙当日、三町以内の区域に張られたポスターは、都道府県選挙管理委員会または市町村選挙管理委員会撤去しなければならないという規定が置かれたわけであります。これは委員会においても、議論がわかれたのでありますが、選挙当日ということになりますと、七時から投票が始まりますので、それに間に合せてはぐといたしますれば、夜中の十二時から朝の七時前までにはがなければならないために、実際に三町以内の区域撤去は容易でないというような事柄もありますので、実際にそれが可能な範囲に合せますために「約一町以内の区域」ということにしていただきまして、その中のビラをはぐ、こういうことに御訂正を願いましたら、いかがかと考えております。  なお百四十四條のポスターのところで、参議院地方選出議員につきまして、一区を増すごとに云々という言葉を入れますと、あるいは号をやはりそこに一号ふやすことになるかもわかりませんから、その点その形式につきましては、おまかせを願いたいと考えております。以上であります。
  12. 並木芳雄

    並木委員 全国区の場合に、そうすると法定得票は十万票内外ということでございますか。
  13. 三浦義男

    三浦法制局参事 さようでございます。六分の一にいたしますと十万一千九百七十五票、これは昨年の衆議院議員の総選挙における有効投票総数を、この法律上の一定の率によつて割りましたのが、そういうふうになつております。
  14. 並木芳雄

    並木委員 聞き落しましたが、参議院地方選出議員の場合には、幾らになりますか。
  15. 三浦義男

    三浦法制局参事 参議院地方選出議員につきましては、この率が四分の一になつておりますので、それで各都道府県区域内にある有権者の総数、それからその選挙の場合におけるその有効投票数、こういうものと関連して考えなければならないわけでありまして、各府県ごとに数字が非常に違つております。その二、三の例を申し上げますと、東京都におきましては、四分の一の法定得票数ということになりますと、十一万五千七百票でございます。ラウンド・ナンバーで申します。それから多いところで申しますと、岐阜県が十五万五千票、山口県が十五万七千九百票、低いところを申し上げますと、栃木県が七万票、鳥取県が六万四千票、徳島県が七万票、こういうようなことになつております。大体地方選出参議院議員平均得票数は、昨年の衆議院議員の総選挙有効投票数で割り出しますと、十万三千六百七十票、こういうことになつております。
  16. 並木芳雄

    並木委員 私は全国区を選挙区として出る人の得票としては、常識的に考えても、十万票内外では少いではないかというふうな感じを受けたのですが、この点はいかがでしようか。ほかの委員の方の御意見伺つてみたい。これですと、今のように十五万も必要とするようなところもあるのですから、そうするとその人たちはどつちにしても出られる。一つの県で十五万もとるだけの実力があるならば、全国区で出ても当選するということであるが、やはり全国区と地方区との特色を、選挙法に出して行かなくちやいけないじやないか。そうすると、どつちへ行つても、当選できるというのじやなくて、全国区で出るのは、全国区を区とした候補者がやはり出べきものであり、地方区選挙区としてはそれに特色を持つた候補者が出るようなのが、この二つのやはり並存される理由であると思うのです。その理由があるかどうかということについては、非常に疑問があることは、先般来議論されておるところですが、そういう見地から考えますと、やはり全国区で十万内外当選でぎるようになると、いささかかなえの軽重を問われるようなきらいがある。少くともその倍の二十万票ぐらいとるのでなければ、第一立候補することも考えものじやないか。ことにこの間ちよつと打合会のときに問題になつたのですが、今度は広告のためにたつた五万円出すつもりにすれば、百万円ぐらいに相当する広告ができるのです。今度の全国区の選挙というものは、無料はがきや、無料ポスター、ラジオの無料放送、新聞の無料広告、こういう点を考えますと、私は少くとも今度の改正においては、相当得票数を多くすべきじやないかというふうに考えるのです。
  17. 生田和平

    生田委員長 私は理論的には、まつたく御同感です。但し五分の一を割るような人が当選をして、この規定によつて失格するという場合が万一生じた場合には、補欠選挙をしなければならぬ、これはたいへんだと思うのです。それでありますから、お説はごもつともだと思いますけれども、十分の余裕を置いておかなければならぬのではないか。かりにこれを四分の一を六分の一にしましても、必ずしも法の上の欠点はないのではないか、こういうふうに考えております。ただ万一の場合を予想して、失格するような人があつたならば困る、こういうのが趣意でございます。つけ加えて申し上げますと、参議院では、現行法の八分の一にしてくれという希望なんです。しかし八分の一は、いかにも少な過ぎるというので、その間の六分の一をとつたわけであります。——その他について御意見ありませんでしようか、ポスター枚数問題等……。
  18. 土橋一吉

    土橋委員 ただいま議論しているのは、第九十五條であろうと思うのでありますが、九十五條の第二号の参議院全国選出議員選挙で、六分の一の法定得票数を得る場合に、地方選出の場合の比率は四分の一と書いてありますが、これを変更する必要があるんじやないかと思います。私は少くとも六分の一程度に変更すべきじやなかろうかと考えておりますが、三浦法制部長の御意見ちよつと聞かせていただきたい。
  19. 三浦義男

    三浦法制局参事 参議院地方選出議員につきましては、衆議院議員選挙の場合とかりに比較いたしますと、一県一区の衆議院議員選挙の場合におきましては、やはり得票数は四分の一以上、こういうことになつております。そうしますと、一県一区を單位とする参議院地方選出議員選挙の場合は、大体それと同じ率の四分の一以上、ということは、そう不合理ではないだろう、かように考えているわけであります。なおまた衆議院議員におきましては、選挙区がわかれているのが多いわけでありまするが、選挙区がわかれておれば、その選挙区内における四分の一以上の得票数、こういうことになつておりますので、全国ちよつと性質違つておりますから、衆議院議員の率と大体同様の比率で考えることは、別にさしつかえないように考えております。
  20. 土橋一吉

    土橋委員 今の御説明は、全県一区の場合の例をさしておられると考えます。それは私もよくわかるのですが、そうでない数選挙区の衆議院議員選挙区を持つているような所の参議院地方選出議員の場合の、四分の一の例をひとつ聞かせていただきたい。
  21. 三浦義男

    三浦法制局参事 その点は、現行法も四分の一と、参議院地方選出議員についてなつております。参議院地方選出議員法定得票数は、変更していないのであります。現在四分の一になつておりますので、その通りにしてあるわけであります。
  22. 生田和平

    生田委員長 別に御異議ありませんか。——それでは第九十三條、第九十五條、第百四十四條及び第百四十七條修正については、ただいまの三浦部長説明の案のように決定したいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 生田和平

    生田委員長 御異議なければさよう決定いたします。  治に新聞紙雑誌報道及び評論等の自由に関する事項議題といたします。本事項については前回すでに質疑は打切られております。御意見のある方は御発言を願います。
  24. 土橋一吉

    土橋委員 過日来新聞紙雑誌報道及び評論の自由に関しましては、幾多の質疑なり、あるいは意見の開陳があつたのでありますが、私はここに出されておりまする百四十八條の但書以下の規定は、まつたくこれは憲法表現の自由、報道の自由ないしあらゆる表現の自由を妨げているところの、憲法違反規定であろうと考えるのであります。その基本的態度につきましては、過日の委員会において一応説明を加えておつたのでありますが、さらに私は明確にする意味で、憲法違反であるゆえんを明確にしたいと思うのであります。その理由は、御承知ごと憲法第十一條におきましては「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に與えられる。」このように大前提を規定してあります。加えまして第二十一條に至りましては「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」「検閲はこれをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。」こういう基本的な條項が書いてあるのであります。従いましてこの規定は、さらに第十二條に同じように、「この憲法国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。」このように明記してあるのであります。ところがただいま意見が一致しようかとしておりますこの規定を見ますると、この規定におきましては、「但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」こういうふうに規定してあるのでございます。ここで非常に疑問を抱きますることは「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等」という文字でございます。これは少くとも過日の三浦法制部長の御説明を承りますと、これが必ずしも制限條項ではなくして、一つの例示的事項のような解釈であつたと思うのであります。そうなつて参りますと、そういうすべての事案につきまして、表現の自由を濫用したというこの大前提のもとに、すべて第二百三十五條第二項の規定を受けるのであります。しかもこの規定は苛酷な罰則を要求しているのであります。こうなつて参りますと、——憲法の第十二條の後段に書いてあります「又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負う。」こういう規定意味は、決してここに書いてありますような、すべて表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならないという事項と相関連をしましても、少くともここに書いてあるような広範囲の意味において制限をするものではないのであります。そうなつて参りますと、本文から説明をいたしますならば、少くともこの法律で定めるところの選挙運動制限に関する規定は「新聞紙又は雑誌が、選挙に関し、報道及び評論を掲載するの自由を妨げるものではない」という大前題が、いよいよ但書の最後の、表現の自由を濫用するという文句によつて、すべて打消されるのであります。私はこの憲法規定をしております第十二條の後段の規定からいつても、そこまで解釈は及ばないと思うのでございます。でございますから、私は当初委員会に出席して以来、常に主張しておりますごとく、委員長がかつての試案で書いておりますように、「選挙の公正を害してはならない」という程度制限で、私は十分であろうと思うのであります。  そのおもなる理由を簡単に御説明申し上げますならば、少くとも選挙においては、最も言論が活発に行われ、しかも報道の自由なりあるいは評論の自由なり、言論の自由が十分に確保せられることが、民主主義国家における大本であろうと思うのであります。かかる意味においても、憲法二十一條が明確に規定しておりますので、こういう点を十分勘案してみますと、この虚偽の事実を記載するとか、事実を歪曲して記載する等、表現の自由を濫用するという文句は、前段に書いてあります憲法の基本的な権利を大きくかぶせまして、これを制限するという結論になるのでございます。従いまして、これは解釈上の問題ではなくして、この法案をつくろうとしております基本的な選挙に関するところの制限という、こういう大きなものから出て来ておるものでありまして、この文字だけにとらわれるわけではございませんが、少くとも私はこのような評論の自由、あるいは報道の自由に対する制限を行うことは、憲法の違反である、かように考えておるのであります。従つて委員会におかれましても、この点を十分考慮せられまして、但書以下の事項は、当時委員長が示されておりましたような内容をもつて、十分であろう、このように私は考えておるのであります。  次は虚偽の事項の公表の罪でございますが、この罰則もきわめて苛酷にわたつておりますので、こういう罰則は撤去するのが至当ではないかと、考えておるのでございます。そうでございませんと、これから近いうちに参議院議員選挙が予定されておりますが、そういう場合にも、思わない不幸な結果に陥る人がたくさん出て来るのでございます。こういう点を勘案いたしまして、すみやかにこの罰則は撤去するのが至当である、このように私は考えておるのであります。  なお百四十八條の第二項の規定でございますが、これはこの前の三浦法制部長のごの法文に対する的確なる解釈の指示によりまして、私も十分了解したのでありますが、この罰則につきましても、私は二百四十三條の罰則第六号がきわめて苛酷でありますので、この罰則は緩和すべきである、こういう態度を表明しておきたいと思うのであります。
  25. 並木芳雄

    並木委員 民主党の方は、どうも私いささか憎まれ役を背負い込んで、残念に思つているのですけれども、最初から申し上げました通り、現段階においては、新聞の報道はけつこうですが、評論については個人に関するものはやはり禁止すべきではないかという意向であります。もちろん、ただいまもお話がございましたし、この委員会でも、もうるる議論されました通り、言論の自由、表現の自由ということは、私たちも重々知つてもおりますし、感じてもいるのですけれども、やはりこの公職選挙法をつくつた趣旨から見まして、予見されるところの弊害を除去しておかなければならない使命があると思うのです。ですから、結局予見される弊害と、実際においてどつちが大きいかという価値判断になるのだろうと思いますが、私の方といたしましては、現段階においては、どうしても一挙に個人に対する評論まで、ここで自由にするという結論に達しないわけでございます。政党の政策綱領、そういつたものに対する評論はけつこうでございますけれども、個人に対する評論というものは、やはり留保したい、こういう関係にあるのでございます。  それからまたこれに関連しまして、個人に対する評論の自由までも認めるについては、弊害の予想される点を考慮して、いつかもお答えになりましたように、新聞紙とか雑誌などの定義というものを確立して、何とかしてこの方から防禦できないものであろうかということを考えておつたのですが、この前の三浦部長のお話によつても、やはり新聞とか雑誌の定義ができないという御意向でございますので、この方面からその弊害を除去して行くことはできなくなつたわけであります。それからこの前御説明つたところによつて明らかなるごとく、この案によりますと、ほとんど戸別に新聞なり雑誌を売つて歩いてもいいということになつた。しかも新聞や雑誌に対する定義が明確でございませんから、要するに新聞の名をかりて文書図画の頒布の制限規定というものは、蹂躙されるおそれが多分にあると思う。とういう点を考えますと、一方において戸別訪問は嚴に禁止しておりながら、こういう方法によるところの実質上の戸別訪問ができるおそれなどもありますので、かれこれ考え合せてみますと、私たちは、やはり選挙のときに混乱を来し、相当大きな弊害をもたらすであろう、こういう関係から、その責任上これに対してにわかに賛成できない状態であります。
  26. 土橋一吉

    土橋委員 ただいま並木委員のお話になつ意味も、われわれにはよくわかるのでありますが、もう一つここでお考え願いたい点は、この但書に書いてありますところの虚偽の事実を記載し、または事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用する、この文句は、先ほど申し上げるのが落ちたのでありますが、さらに敷衍をいたしますならば、これはかつて関係方面から示しておりましたプレス・コード違反に関するところの新聞なり雑誌なり、あるいはその他出版物が当然守らなければならないところの一つの道義的な、あるいはそういう業務上における当然負うべき一つの規範であります。こういうものを選挙法に書かれますことは、明らかにプレス・コードのその内容をただちに法文化する、しかもそれが表現の自由を濫用するという文句になつて集約をせられるという点に相なつているのであります。そうなつて参りますと、かつて示されております新聞人なり、あるいは雑誌人等が当然徳義的に考えて行かなければならぬという範疇までこれが罰則を付したところの強行規定と相なるのであります。しかも最も活発をきわめ、旺盛自由でなければならない言論の公開が行われるときに、これが法文化するということは、私は少くとも憲法が予定しているような言論、集会、結社の自由の一環として、まことに不都合なものであると考えているのであります。従いまして、こういう規定をこの法文の中に入れて行くことは、悔いを千載に残すものである。なおかつ現在の政府の政策から考えましても、この点はぜひ本委員会が英断をもつて除去しない限り、こういう幣風が将来に残るということになりまして、われわれかつて道徳的な規範をもつて考えておつた者も、すべて峻嚴なる罰則を付した法律によつて規律せられる、こういうことになつて参りますと、すべての言論、あるいは報道評論というものが、非常に一方的な方向へ、端的に申し上げるならば、権力なり金力を要するような方向へこれが動くのでございます。こういう点を憂いまして、われわれはぜひともこの規定は除去すべきことを繰返して発言させていただきたいと思うのであります。
  27. 鈴木義男

    ○鈴木(義)委員 私ども社会党では、前に意見を述べてありますから、重ねて詳しく述べることを略しますが、報道及び評論の自由は、憲法で保障されておるものであつて、それを規定するとせざるとを問わず、保障されておるのであります。その点については、むしろ蛇足であつて、必要のない規定であるように考えておるのであります。ただ但書を生かして行くために、わかりきつたことを書いたものと了解して、賛成をするわけであります。その点においては、土橋君の心配は少しもないはずだと思うのであります。しかしてこの「虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する」というようなことは、いかなる場合でもよろしくないことは当然でありまして、そういうことはプレス・コードに照してなすべからざることである。それをなそうと思う者が、この規定をじやまにすると考えるよりほかない。当然これは正当の規定である。こんな規定はなくても、実は選挙妨害罪の規定がありますから、それを活用してやることはできるのでありますし、さらに個人の名誉を害するようなことも、やはり名誉毀損罪で刑事上の制裁を與えることもできるのであります。ゆえにこれはなくてもいいのでありますが、わが国民意識の現状にかんがみて、あつてもじやまにならぬし、はつきりさせておくために、やつておく方がよかろう、こう思うのであります。むろん、この規定が濫用されて、無辜の者が処罰されるというようなことがあつてはならぬ。ないことを確信いたしますし、実際に虚偽の事実を書いた、あるいは事実を歪曲して選挙妨害をやつた者だけが処罰されるものである、こういうことを前提として賛成をいたすものであります。この修正は、なきにまさるという意味において、賛成をいたすのであります。
  28. 並木芳雄

    並木委員 関連して三浦君にお伺いしたいのですが、最近巷間に伝えられておる新聞紙法案とか何とかいうのは、どんなものでしようか。何か法制部の方で御存じありませんか。政府の案として出すとか出さぬとか言われておる。その内容なんか、私たち知らないのですが、新聞というものを制限するような法案ではないのですか、お伺いいたします。
  29. 三浦義男

    三浦法制局参事 実はその点につきましては、新聞の報道でただ承知しておるだけでありまして、内容は何にも聞いておりませんし、またわれわれの方にも、政府の方から何らの連絡もございませんし、また議員の方から、そういう立案を依頼されたこともございませんので、内容については、何にも存じ上げていないと申し上げるよりほかございません。
  30. 野村專太郎

    ○野村委員 この問題につきましては、憲法の條章に明定しておるにもかかわらず、従来の選挙法がこれを拒んでおつたわけでありまして、こういう点から、憲法の條章をそのままこの公職選挙法が取上げることは、当然のことであろうと考えております。しかしこれに対する但書は、憲法の條章を実現しながら、常識的に報道自由の権威を保全する、この意味において、この但書は必要なものである、かように考えておりますので、原案に賛成するものです。
  31. 生田和平

    生田委員長 それではちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  32. 生田和平

    生田委員長 速記を始めてください。  次会は公報をもつて通知いたします。本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十一分散会