○
鈴木(善)
委員 自由党を代表いたしましてこの臘虎
膃肭獣猟獲
取締法の一部を
改正する
法律案に対しまして賛意を表するものであり
ます。
まず今回の
改正法律案で、私ども
政府当局にいろいろ
質疑を行い、また慎重に審議いたしました結果、最も問題にいたしましたのは、陸上におけるらつこ、おつとせいの
獣皮またはその
製品の
製造、もしくは
加工または
販売等につきまして、
制限または
禁止の面を拡張し、しかも個人の
所持にまで及ぼすという点であ
つたのであり
ますが、当局の説明によりまして、この
所持の
制限または
禁止の條項は、施行規則において個人には及ばない、こういうぐあいに
規定されることが明確になりましたので、この
改正に対する私どもの疑問の点はおおむね解決されたわけであり
ます。この
改正法律案は、客観情勢上これを可決すべきものと私ども認めるものであり
ます。そもそもらつこ、おつとせい猟穫の
取締りを徹底的に行い
ますことは——か
つて米、英、露三国と
日本の四箇国で、らつこ、おつとせいの
保護條約を結んでおりましたが、
わが国は単独でこれを脱退いたしまして、戦時中積極的に海上猟獲を行い、人類にと
つて非常に貴重な資源を
相当濫獲してお
つた。終戦後、
わが国が
国際間におきまして信用を回復し、
日本の漁業者も
国際間の平和な同僚として仲間入りをする必要に迫られておる現在の客観情勢と、この貴重な資源の
保護をはかり
ます建前から、私どもは
取締りの完璧を期するために、この
取締りを、海上における
取締りからさらに陸上にまで及ぼすことは、当然
日本国としてとるべき措置と考えるものであり
ます。
ただいま共産党の
井之口君から
討論があ
つたのであり
ますが、米英のみならず、共産党の諸君の非常に信頼しておるところのソ連も加入しておるこの臘虎
膃肭獣保護條約に、私どもがこのような措置を講じまして、将来再び復帰加入したいという念願から発しておる今回の
法律案につきまして、ソ連に非常な尊敬と敬意を払
つておる共産党の諸君が反対することを、私ども意外に感じた次第であり
ます。なお
井之口君の御発言の中に、らつこ、おつとせいのわが
近海での
回遊状況がいまだ
調査不十分であり、つまびらかでないからという御言葉がありましたが、この
調査を徹底的に行いまして正確なる
回遊の
状況、その頭数、また海上猟獲が今後のらつこ、おつとせいの
繁殖に与える
影響を生物学的にも十分研究を遂げ、そういう成果がはつきりいたしました上で、陸上あるいは海上において計画的に捕獲するという順序に進むべきものでありまして、
調査不十分の今日の海上猟獲を依然として続けることは資源の
保護上
相当危険を伴うおそれがあるのであり
ます。私どもは、事前に
調査を徹底的に行い、しかる後科学的な
立場において適正なる捕獲をなす、こういう順序で進まなければならぬと考えるものであり
ます。
この際私は、自由党の
立場から
希望意見を申し述べ
ます。それは、この
法律によりましてらつこ、おつとせいの
繁殖保護が十分期せられました上は、すみやかにもとの四箇国の臘虎、
膃肭獣保護條約に復帰加入する機会を迎えたいという熱願を持
つていることであり
ます。次は
わが国の
沿岸に来遊いたし
まするらつこ、おつとせいが、はたしてプリビロフ群島からのものであるか、あるいは海豹島からのものであるか。またこれらのらつこ、おつとせい群が、
わが国の
近海における貴重な
さけ、
ますその他の有用水族をどの
程度捕食いたし、漁業の面にどういう悪
影響を及ぼしているかという事情を、十分
調査研究を遂げられまして、その
調査の結果、適当なる隻数によ
つて海上猟獲を
行つても、資源の保持上大した悪
影響がないという科学的
結論に到達いたしましたならば、陸上捕獲のみならず、海上においても一定限度の捕獲を認むべきものであると思い
ますが、これは一にかか
つて今後の
調査の結果にまたなければならぬと思うのであり
ます。私どもは、らつこ、おつとせいの資源の
保護上、今日の一部を
改正する
法律案に対しまして、希望を申し述べまして、全面的に賛意を表するものであり
ます。