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1950-04-12 第7回国会 衆議院 水産委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十二日(水曜日)     午前十一時五十五分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 奧村又十郎君 理事 川村善八郎君    理事 鈴木 善幸君 理事 夏堀源三郎君    理事 松田 鐵藏君 理事 佐竹 新市君    理事 林  好次君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    田渕 光一君       冨永格五郎君    福田 喜東君       永田  節君    井之口政雄君       水野彦治郎君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         農林事務官(水         産庁次長)   山本  豐君  委員外出席者         農林事務官(水         産庁漁政部漁政         課長)     戸嶋 芳雄君         專  門  員 齋藤 一郎君     ――――――――――――― 四月十二日  委員長谷川四郎辞任につき、その補欠として  大森玉木君が議長の指名で委員に選任された。 同日  佐竹新市君が理事補欠当選した。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員補欠選任に関する件  水産行政に関する件  小委員長より中間報告聽取     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  去る十日理事佐竹新市君が委員辞任いたされましたので、理事が一名欠員となつております。この際理事補欠選任を行いたいと思いますが、投票の煩を省略し、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めます。よづて佐竹新市君を理事に指名いたします。  なお同君の委員辞任によりまして、漁業制度に関する小委員及び漁港に関する小委員がそれぞれ一名ずつ欠員となつておりますので、その補欠選任をすることとし、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認め、佐竹新市君を漁業制度に関する小委員及び漁港に関する小委員に指名いたします。  それでは水産行政に関する件を議題といたします。大臣が今すぐ参りますけれども、それまで水産庁次長並びに漁政課長が御出席ですから質問、御発議をお願いいたします。
  5. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産庁設置法の一部を改正する法律案衆議院内閣委員会でただいま審議されておるわけでありますが、本委員会の所管いたします水産政策全般に密接な関連を持つております関係から、当局の御説明を求めたいと存じます。
  6. 石原圓吉

    石原委員長 去る十日水産庁設置法の一部を改正する法律案予備審査のため内閣より本院に送付せられ、回目内閣委員会に付託せられたのでありますが、この法律案は本委員会といたしましても重大な関心が持たれますので、この際一応その内容説明当局より伺いたいと思います。
  7. 山本豐

    山本(豐)政府委員 水産庁設置法の一部を改正する法律案提案理由の概要を申し上げます。  御承知のように水産行政につきましては、常にその全体の運営の点から見まして、また同じく農林省内におきまして非常に重要な行政であるという関係におきまして、最近水産省設置というふうな論議もとかく出ておるのでありますが、水産庁といたしましては、その問題はその問題といたしまして、とりあえず本年の三月十四日に施行になりました、この新漁業法によります漁業制度の改革の実施の問題であります。この仕事が非常に大きな仕事になります。またあれだけの大法典を実施いたすのでありまして、その手続事務宣伝各般にわたりまして、非常な大仕事になるわけであります。これらに対する人員配置につきましても、各府県に対します予算につきましては、若干の人員等予算は計上してあるのでありまして、それをフルに動かしまして、何とかやつて参りたいと考えておるのでありますが、そのかんじんかなめになります水産庁内部におきまして、現在では單なる一課の仕事に属しておるのでありますが、これではとうてい迫力ある推進ができない。と申しましても、現在の四囲の情勢から見まして、この方面仕事に新しく一部を設けるとか、あるいはまた課をむやみにふやすということは困難でありますので、それらの点を、わくは大体現状のままにいたしまして、内部調整を十分はかわまして、これらの仕事の円満なる遂行をはかりたいということが一つであります。  もう一点は、去る四月の一日から、鮮魚介及び加工水産物統制が全面的に撤廃せられたのであります。さらにまた資材関係等におきまして、だんだんとこれは仕事も少くなつて来るわけであります。この資材とか統制のなくなりました仕事人員を、できるだけ有効適切に配置転換いたしまして、先ほど申しましたような重要な方面に重点を置いて、そうして事務調整をあんばいしたい、そのような観点から、今回の設置法の一部改正提案いたした次第であります。なおこれに附随いたしまして、若干他に漁船研究所の問題でありますとか、あるいはその他二、三の点もあつたのでありますが、これらは予算その他の関係で、もう一歩というところで解決に至らなかつたのであります。しかしこれにつきましては、次回において、さらに案を練り直して上程したいと考えておるのであります。今回の改正は、以上のような趣旨でもつて提案いたした次第であります。どうかひとつ十分街研究願いたいと思うのであります。
  8. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいまの次長説明を承つたのでありまするが、この一部を改正する法律案の末端に、「第七条の六第一項の表中水産物規格審議会の部を削り、同条第二項中「水産物規格審議会については指定農林物資検査法、」を削る。」こうなつておりますが、これはおそらく農林委員会掛案になつておりまする農林物資規格法案関連するものであろうと思うのでありまするが、結局農林物資規格法案が可決)決定されるのと関連して出なければ、この法案もそういう運びに相ならないという関連になるように考えるのでありますが、その点について御意見を承りたい。なおつけ加えて申し上げておきますが、統制撤廃に相なりましたけれども、現在やはり水産検査所があつて検査いたしておるのでありますから、おそらくこの条項は現在提案になつている、農林物資規格法案関連して、こういうことが出て来るもののように思うのでありますけれども農林物資規格法案は、必ずしも今日決定いたしているものではございませんが、その点の関連についてお伺いいたした
  9. 山本豐

    山本(豐)政府委員 今国会に提出になつております農林物資規格法、この方に一括して一応入る関係にあるのでありまするが、今冨永委員のお説の通りに、この法律がもし通らなかつた場合にどうするかということでありまするが、その場合には、現在の農林省設置法案の中に、第三十四条に農林物資規格調査会というのがあります。この中の一部門というふうな運びになつて実質は動くことになつております。
  10. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま森農林大臣がお見えになりましたから、大臣に対する御質疑をお願いします。
  11. 松田鐵藏

    松田委員 農林大臣にお尋ねいたします。ただいま説明されました、水産庁設置法の一部を改正する法律案が出ましたが、これはこの説明により書て、十分われわれも蒙るのであります。この法律案に封じては、われわれはまことに適切だと考えます。現在水産庁長官がまだ空席になつているのであります。いかに法律案改正が出ましても、水産庁長官空席の場合に、この法律案が通過した場合において、これに基いて、次長説明によりますと、内部の相当大幅の改正をしなければならない、人事異動をしなければならない、そのような御説明であつたのであります。われわれはその改正もやむを得ないものであり、また時宜に適するものである、かように考えるのでありまするが、長官空席のうちに、この人事異動改正ということが行われた場合において、新たに專任される長官はどのような考えを持つておらるるかということは、これまた未知数の問題でありまするが、その異動行つた後において、またそろ、長官就任によつて異動を行うような場合があつても、まことに困るのではなかろうか、かように考えるものであります。本日の新聞を見ますと、長官の候補が二、三上つているように見受けられるのでありますが、どうか一日も早く水産庁長官を專任上ていただきたい、と同時に、内部人員転換に対しては、長官就任後にこれを行つていただきたい、かように考えるもの心ありまするが、長官はいつごろ專任されるものであるか、また私が希望する人事異動に対して、水産庁内においてはどのようにお考えになつておるか、承りたいと存ずるものであります。
  12. 森幸太郎

    森国務大臣 水産庁長官空席は一日もゆるがせにできないのであります。しかしながら適材を選ぶについては、十分考慮しなければならぬと存じまして、大体選考を了しまして、目下手続を進めているわけであります。ここ数日のうちには大体決定することと存じます。従つてこの法案が通過いたしますまでには、陣容は整えられると存じているわけであります。
  13. 山本豐

    山本(豐)政府委員 庁内の課長以下の人事配置転換でありまするが、大体課の数は現在とかわりないのであります。なくなる課もありますし、また新しくできる課もあります。結果において同数であります。従つて課長人事につきましては、そう大激変を来すということは予想しておらないのでありますが、ただわれわれの手元でこれを相当に急ぐ関係もありますので、ただいまのところ大体の腹案を練りつつありまして、ことに課員につきましては、なくなる課の課員を一日も早く安心させてやりたいということにつきまして、なくなる課長なりあるいはまた受入態勢課長なりとよく相談をいたしまして、ある程度の腹案を今持ちつつあるわけであります。今大臣お話のような状況でありますれば、もちろん最後決定までには、新しい長官の御批判もまつて、その上で決定運びになると思います。
  14. 冨永格五郎

    冨永委員 今の人事問題に関連もあり、課の編成にも関連があるのでああますので、農林大臣にこの場合一応お伺いいたしたいのですが、私ども手元農林物資規格法案が配布されて去るのであります。これはまだ農林委昌会提案されておるかどうか存じませんが、自由党政務調査会としては、これを取上げて数回検討を加えつつあり、現にきようも検討いたしたのであります。今水産庁設置法の一部を改正する法律案が、大臣おいでになる前から検討されておつたが、その末尾にも、やはりこれと関連した事項もあつたりいたしますので、この規格法案に対する大臣の御見解を、この場合承つておきたいと思うのであります。御承知通り、四月一日から統制撤廃になりましたが、やはり現にそれぞれ都道府県水産物検査所があつて検査をいたしておりますが、今日までの検査は、結局公定価格基本観念に置いた検査規格だと言つても過言ではないようにも考えられるのでありまして、むしろ自由経済に相なりますれば、電報一本で信用で取引するという段階になつておるので、いよいよ規格必要性を認める。しかしながら、われわれが今日まで当該係官から聞いておる範囲内では、やはり検査後変質の憂いがあるというようなものまでも取上げたりしておる事実もあるのでありまして、水産に関しましては、二百四十種類のものを四十種類に切り詰めたとは言いながら、なおかつ必ずしもこれで満足すべき段階ではないようにも考えられるのであります。いずれにいたしましても、この場合本水産委員会に御提案なつたものではございませんが、大臣見解を承つておきたいと思います。
  15. 森幸太郎

    森国務大臣 従来御承知通り農林水産物のすべてについて規格がありまして、公定価格等関係統制がついておつたわけでありますが、今回統制撤廃いたしまして、全然そういうふうな規格に対しての強制的な力はなくいたしまして、中央規格審議会を設けまして、これが地方申請によつて規格を定める。そして日本規格の商標を用いるということにいたしておるのであります。これはすべて各府県知事意思によつて、こういうふうな規格を設けた方がいい、惡いという自由意思にませておるのであります。申請のあつた場合に、規格審議会において規格をきめるというだけで、これはすべて各府県知事意思にまかすということになつているわけであります。
  16. 永田節

    永田委員 私は農林大臣水産庁次長ちよつとお伺いします。先ほどから議題になつております水産庁設置法の一部を改正する法律案、ただいま内閣委員会に付託になつているように伺つておりますが、いずれにしても、長官空席のままで人事交流であるとか、あるいはまた異動であるとかいうふうなことが行われるのは、私はいささか妥当を欠くものである、かように考えます。そこでこの際、長官就任になるまでは、さようなことは打切るというはつきりとした言明をいただきたい。また農林大臣に対して伺いたいことは、水産事業は常に生き物であつて、非常に危險の伴う事業であります。採算の面から行きましても、一つ当れば一攫千金の利益もあるが、間違つた場合には、すべての資材、身命をも犠牲に供するというふうな危險事業であるのであります。しかるに徴税の面から行きまして、農産物とか、あるいはまた林業物に対しては附加価値税制度がないのに、水産物に対して附加価値税のあるのは、一体大臣はどういう御見瀦のもとにさようにお定めになつたのか、ちよつと御意見を伺いたいと思います。
  17. 森幸太郎

    森国務大臣 人事の問題は所管大臣責任でやることであります。長官がないから人事異動ができないというように拘束される必要はないのであります。これは農林大臣の全責任においてやるのでありますから、御了承を願いたいと存じます。  なお附加価値税こ対しましては、シヤウプ勧告に基いて、地方税法が今提案されて審議されているわけであります。その問題につきましては、相当議論もあろうと存じます。また地方行政委員会の方においても今討議が進められておりますが、政府といたいましては、シヤウプ勧告に基いて、この方針によつて進むよりしかたがないという気持で、地方税制原案をつくつたようなわけであります。これについては国会討議も進められておるわけでありますが、政府といたしましては、この場合あの原案はやむを得ないものとして提出した次第であります。
  18. 松田鐵藏

    松田委員 農林大臣は、ただいま永田委員質問に対して、人事任免はすべて農林大臣の権限において行うものである、かように説明されましたが、それは私どももその通りと存ずるものでありまするが、近く長官が專任される予定である。ゆえにそういうことであれば、なおさらのこと長官の專任された後において行いたい、かように次長は言われておるのでありまして、この点大臣は隅の隅までおわかりになつておるわけでもなく、行政の画に対する責任と、また任免権を持つておられることはもつともでありますか、先ほど次長の言われるような線によつて、それを参考として異動改正をしていただきたい、かように考えるものでありまして、農林大臣御了承願いたいと存じますが、いかがなものでございましようか。
  19. 森幸太郎

    森国務大臣 実際問題としては、今山本次長の答えた通りであります。しかし先ほどのように、長官のできるまではやつてはいけないということになりますと、長官人事責任を負うことになりますから、これは農林大臣責任であるということを申したわけであります。
  20. 冨永格五郎

    冨永委員 先ほど私は農林物資規格法案に関する農林大臣の御見解を承つたのであります。またこれが提案されていないのに質問するのははなはだ恐縮に存じますか、もう期日もあまりございませんので、幸いきよう御出席の機会を利用して、質問さしていただきます。  先ほどの大臣の御見解によりますと、各都道府県において、それぞれの立場から規格をきめるということでございましたか、そういたしますと、私ども考え方と大分食違いができるわけでありまして、都道府県によつて、それぞれの規格が非常に違うような結果を招来するおそれがあるのではないかということが、一応考えられるのであります。もちろんこの法案を見ますと、都道府県によつてきめるというような条項が見当らないのであります。第十一条に「同様な条件の下にある者に対して不公正に差別を附するものでなく、適当であると認めるときは、これを日本農林規格として制定しなければならない。」というふうにはあるのでありますけれども、先ほど御見解をお述べになりましたようなことになりますと、そこに非常に混乱が起るのではないかという点が一つ。それからお述べになりましたような御見解はつきり示しておる字句か見当らないという点について、一応お尋ねいたしたいと思います。
  21. 森幸太郎

    森国務大臣 お答えいたします。各府県まちまちに規格を決めるのではないのであります。中央規格審議会という農産物、林産物、水産物規格を定める組織ができておるのであります。しかし各府県知事がそれを必要と認めない場合においては、いいわけであります。知事かこういうものに対しての規格を定めてほしいという場合においては、中央農林規格審議会がこれをきめたことによつて日本農林規格証標を貼附させるということになつております。国家が一応の規格を定めるわけでありますが、しかし府県知事において、自分の県は木材などはきめなくてもいいということでありますれば、そういう場合はさしつかえない。これを強制的に全国画一的にきあるというわけではないのであります。
  22. 永田節

    永田委員 先はど大臣は、私の質問に答えて、シャウプ勧告案によつて附加価値税政府方針としてはやるのだというふうに言われましたが、私はこれは大臣に非常に愼重を期していただきたいと思うのでありますが、シヤウプ勧告なるものは、要するに勧告でありまして、その実態は政府責任であります。従つて基本は、なるほどシヤウプの御勧告はあつたようですが、その実施の面にあたりましては、要路の大臣責任ではないかと思うのであります。そこで私は今日議論されつつあるところの水産物に対する附加価値税は、万難を廃してひとつ農林大臣撤廃していただくように、御努力を願いたいと思いますが、せつかく議論されつつある問題でありますので、今からでも遅くありません、要するに問題は農林大臣のお考え一つによつて、この問題は解決かできると私は考えます。そこでさらに大臣の御決心を伺いたい。それから人事の問題につきまして、私が決定的なことを申し述べたように受取られたようでありますが、そうではありません。あなたの方で、近く水産庁長官もきまるというような予想のもとにあるときに、にわかに人事交流を行うということは、かえつてあとから就任されるところの長官もやりいい人もありましよう、やりずらい人もありましようから、すでに予想されておる長官があるとしましたならば、しばらく時間をかけまして、新しい長官就任の後において、大臣意思もくんで、さらに行政明朗化をはかることが、最も緊急な、しかも賢明な策ではなかろうかと思うのであります。この点についても大臣の御善処を要望いたします。
  23. 井之口政雄

    井之口委員 ただいまも委員の方から附加価値税の問題が出ましたが、附加価値税の廃止については、水産委員会委員の希望であります。自由党委員諸君も、この問題に対してやはり反対しておいでになります。御承知通り、今日の沿岸漁業はほとんど荒廃の状態に立ち至つておる。この上に重い税金がかかつて来る。このほかにも地方税としてさまぞれなものがかかつて来るのでありますが、それに関しまして、ただシヤウプ勧告によるのだからしかたがないというふうで、農林大臣においては全然投げ出されておいでになるのですか。これに対しては、われわれも修正意見を出しておりますが、それに対して今まで農林大臣として、漁民の負担を軽くするために、どれくらいの努力をなさいましたか。将来これに対して見通しはどうお持ちになるかこれが一つ。  次にもう一つ、この間漁網の関係で三十万玉近くのチケットの過剰があつたようであります。あれをその後どうなさいましたか、この点ひとつお聞きしたいと思います。  もう一つは、今度いよいよ水産物統制をはずされまして、従来の荷受け機関もみな清算されるだろうと思うが、それについて約数億の焦げつきがあるというようなお話ですが、そういうことに対しても――これは政府聯関じやないにしても、国家で何とかするというような意思を今でも持つておいでになるのでしようか。今日そういうことは一切しないと言明できるでしようか、どうですか。  それからもう一つお聞きしたいことは、例の紀伊水道瀬戸内海からの排除問題でありますが、これは争議院においては通過いたしましたが、いまだ参議院においては通過しておりません。それに地元からは、これに対して非常に反対運動が起つておりまして、香川からも、あるいは徳島からも和歌山からも、兵庫からも、岡山からも、みな漁業協同組合方々が、どんどん請願に出ておいでになるようで、関西地区ではラジオでも放送して、こういうことをやられたたらば、将来の沿岸漁業を全部荒廃に期せしめることであるという反対が大分起つておるのであります。なお水産庁方々にお聞きいたしましても、どうもこれは不合理であるというふうなことを、しばしば漏らされておるのでありますが、これに対しまして、大臣責任ある今日のお考えはどうでありましようか。将来もしこれがか議院でも通過して実施せられるようになつたならば、沿岸漁民に対して、相当大きな荒廃の原因を與えるのではないかと思います。まずその四つの問題に対して伺いたい。
  24. 森幸太郎

    森国務大臣 政府提案いたします法案は、御承知通り今日の場合、いろいろの手続を経なけれげ提案せられないのでありますが、出しました以上は、政府は全責任を持つておるわけであります。その間に農林大臣として今日まで努力したか、ああしたかというような点は、法案として政府責任をもつて提案いたました以上は、唯一無二原案と申すより、政府は申し上げる道がないのであります。私は内輪の話を先ほど申したのでありますが、今回の税制改正につきましては、シヤウプ氏の勧告もありまして、それがただちに日本の実情に合うか合わないかということについては、相当議論もあつたのでありますが、この附加価値税というものに対しましては、価値の生ずるものに対しては課税するという、この根本原則によつて勧告されておるのでありまして、原案をつくるまでにつきましては、水産庁立場として、また農林省立場としてなすべきところはできるだけの努力をいたして参つたのでありますが、こうやつて原案として提出いたしました以上は、全責任政府が持つておるのでありまして、これが唯一無二法案であるということを申し上げるより道がないのであります。立法府であるところの国会において、この原案がいけないとする場合におきましては、御修正くださることは御随意であり、また当然のことでありますが、政府といたしましては、今日の場合にここに出ております地方税法原案が、今日の立場といたしましては唯一無二のものであると御了承願いたいと存じます。  なお綿糸の問題につきましては、他よりもお話かあろうと思いますが、一部的のことでありますから、内容を詳しく存知上ておりません。  また市場の改廃、統制撤廃につきまして、市場取引所のいろいろの債権、債務の関係が残されておると承知いたしておりますが、そういうようなものに対しましては、政府責任においてこれを処理するというわけにはでき得ません。しかしながら場合にによりましては、漁業協同組合立場としての折衡に対して、努力いたすべきはもちろんでありますが、これは政府はそういう場合において、責任を持つてこれを解決するという段階ではない、かように考えております。  それから瀬戸内海の問題につきましては、当委員会において御決議になつたわけでありますが、今後参議院においてどういうふうに取扱われるかわかりませんが、これまた国会において決定されるのでありますから、その御決議に向つては、行政庁といたしましては、その方針に基いて行くよりしかたがないのであります。しかしなから原案考え政府立場といたしまして、また皆さんの御修正の立場といたしまして、期するところは、日本水産漁業がうまく円満に営まれるということでなければならぬと存じますから、もし実施の上におきまして弊害があるということになれば、またさらに行政事務の上において適当に考慮を払い、また法制の改正を必要とすれば、またあらためて御相談申し上げる機会があろう、かように考えるわけであります。
  25. 井之口政雄

    井之口委員 適当な考慮と言われますが、まずどういうふうな考慮が可能であるかが、今日からでも予想できませんでしようか。
  26. 森幸太郎

    森国務大臣 これは衆議院において修正されましたものが、参議院においてどういう取扱いになるかわかりません。その結果を見なければわからないのでありますが、ますその結果において、先ほど申しました通り、立案いたしました政府立場と、修正されました立法府の立場と、皆さんの立場と、こう違つておるわけであります。なお実施のあかつきにおいて、当利考え政府考え辿りである、あるいは政府考え国会が修正されたことは、やはり妥当であるという結論を見た上でなければ、私はその問題に対して、どうする、こうするということは今申し上げられない、かように考えております。
  27. 井之口政雄

    井之口委員 これは水産庁のどなたでしたか、ちよつと忘れましたが、しれはやはり不合理である。どうもこれは出てしまつたけれども、非常に困つておるんだというようなお考えを述べておつたようであります。そうすると、今の大臣のお考えと、水産庁のお考えとどうも違うようでありますが、十分に監督をして、下の意見大臣は参酌上ておいでになりますかどうですか。
  28. 森幸太郎

    森国務大臣 事務当局といたしましては、原案をつくる場合におきまして、責任をもつて巨細な点まで注意を払つて原案をうくるわけであります。それでありますから原案に対しましては、事務当局としては全責任を持つておるわけであります。また政府として持つておるわけであります。しかし国会においてこれが修正されますならば、これは当初考えたこととは違つて来たわけでありますから、当初研究しことと、立法府の意思の発表とが非常にかわつている。それだから困つたことだということを申し上げるのは当然であると思います。しかしながらあくまでも皆さんの御決議を尊重して行政して行かなければならないのでありますし、なお皆さんの御決議に対しましては、十分検討を加えて、皆さんの御意思に沿うように行政して行かなければならぬ。それだから事務当局としては、困つたつたと言うのは、これは一応そういう気持になるのは、それほど原案に忠実であつたのだろうと思いますが、その結果についてさらに苦慮すべきである、かように考えております。     ―――――――――――――
  29. 石原圓吉

    石原委員長 農林大臣に対する質疑はこの程度にとどめましてこの際お諮りいたします。  去る三月二十七日の委員会におきまして、水産協同組合法の一部を改正する法律案を、漁業制度に関する小委員会の審査に付したのでありますが、これよりその審査の経過に関し、同委員長より中間報告を聽取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 石原圓吉

    石原委員長 御異議なしと認めます。鈴木善幸君。
  31. 松田鐵藏

    松田委員 その前にちよつと井之口君に申し上げます。先ほど井之口委員から農林大臣質問されました綿糸の問題は、前に資材委員長といたしまして、その後の経過を委員会に報告いたしまして、すべてが了承されておるのでありまして、その内容は、わずかのところは数字が食い違うかもしれませんが、約二十万玉の数字的の不足を来たしたのであります。二十二年の、今までの民間の統制機関と水産庁との切りかえのときの誤り、つまり誤差、二重に発券されておつたものが約八万玉あつたのであります。これは打切りをするより道がなくなつたのでありまして、結局二軍になつておるということであつたので為ります。それからマニラ・ロープの補給金が一億六千万円あつたので、この一億六千万円を綿糸の方べまわしまして、それから通産省の保留分とを合せまして十一万玉、その数に対上て補給金を出して、綿糸の問題はほとんどけりがついたことを前に御郵告を申し上げまして御了承を得たのでありまして、井之口委員にこことを申し上げまして御了承願いたいと思います。
  32. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産協同組合法の一部を改正する法律案につきましては、委員会から漁業制度に関する小委員会に移されましてから、二回にわたり小委員会を開催いたしまして、愼重審査を進めたのであります。その結果、小委員会といたしまして、一応の修正草案を作成いたしたのであります。しかしながらこの協同組合法は非常に重要な法律案でありまする関係から、参議院と十分意見の交換をいたしまして、参議院の水産常任委員会の修正草案と、当小委員会の修正草案とを持ちよりまして、でき得れば両委員会意見の一致したところをもちまして修正案といたしたいという考え方で、当委員会が作成いたしました修正草案を参議院の水産委員会に御説明を申しあげ、参議院のご意見もいろいろ承りまして、以下申し上げるところの大体の中間的結論を得た次第であります。  その要旨を申し上げますと、まず第一点は組合員の資格の問題であります。現行法におきましては「漁業を営み、又はこれに従事する日数が一年を通じて三十日から九十日までの間で定款で定ある日次をこえる」もの、これが正組合員の資格に相なつてつたのを、「一年に九十日以上漁業を営み、又はこれに従事する」ということに改めたい。その理由といたしましては、最低三十日の就業日数をもちまして協同組合の正組合員にいたしますことは、專業者にあらざるところの、非常に軽度の兼業者までも正組合員の資格をこれによつて付與されることになるのであります。農業協同組合及び漁業協同組合の成案にあたりましては今後の農業団体、漁業団体は、農民にあらざる者の支配から農漁民を解放して、真に働く農漁民の自主的な協同組織として、これを民主化すべきであるという指令があつたのでありますが、この三十日から九十日ということでは、北海道あるいは三陸その他の地方におきまして、いかの漁期その他等にも見られますように、宿屋の主人であるとかあるいは風呂屋の番頭であるとか、あるいは学校の先生たちが、ほんとうの片手間に沖に出て、副職的に漁業收入を上げているのですが、それが三十日以上になるということは、さしたる努力ではないわけであります。その結果真の專業漁民にあらざるところの、これらの非漁民とも称すべき人たちが、正組合員となつて議決権を持ち、役員の被選挙権を持つて組合を支配するということは、先般申し上げました指令の精神にも合致せざるものであり、組合の純化を妨げるものとして、かように修正いたしたいと考えておるのであります。  第二の点は、これは准組合員の資格の中で、第十八条の第三項第一号の改正規定中、「住所」の下に「又は事業場」を加える。また同項第号の改正規定中、「及び漁業を営む漁業協同組合」を削り、さらに同項第四号の改正規定中、「三百トン」を「五百トン」に改めたい。まずその関係を御説明申し上げますが、この十八条の第三噴第一号の改正規定中「住所」の下に「又は事業場」を加える。このことは政府提案のミス・プリントとでも称すべき点でありまして、これは当然「又は事業場」を加えるべきであります。その次の同項第二号の改正規定中、「及び漁業を営む漁業協同組合」を削る。この問題は水産協同組合の准組合昌に漁業を営む漁業協同組合が准組合昌として加入するという規定であります。協同組合協同組合の准組合員になるということは、協同組合の組織法といたしまして非常におかしな規定であります。もしも二つの協同組合が一緒になつて仕事をする必要がありますならば、一対一の関係に立つた連合会をつくり得るわけであります。二つ以上の協同組合が集まれば連合会をつくれるという規定があるわけでありますので、これは准組合員などとして加入するような組織法でなく、その際は連合会組織で行くべきである。こういう考え方からこれを削除いたしたい。  次に「三百トン」を「五百トン」に改める点でありますが、この協同組合の准組合員になりますところの法人の資格を、常時使用する者三百人、また使用漁船の総トン数三百トン、こういう条件になつておるのでありますが、常時使用する従業員が三百名ということにべースを置きますと、その使用漁船の総トン数は、五百トン程度になることが妥当であります。常時従業する従業員が三百人であり、総トン数が三百トンということは、これは明らかに漁業の実態を知らざるところの、バランスのとれない規定に相なるわけでありまして、三百トンと総トン数を押えますれば、三百人を常時使用する者というこの三百人の規定は、実質的には百五十人なり二百人なりの制限に相なるわけであります。でありますから常時使用する者、従業員三百人というものにベースを合せますためには、使用トン数を五百トンに改めるのがわが国の漁業の実態から妥当である、こういう結論であります。  次に第三十六条の二の改正規定中「競争関係にある事業」の下に「(当該組合の組合員の営みまたは従事する漁業及び当該組合の所属する漁業協同組合連合会の行う事業を除く。)」を、「これに従事する者」の下に只当該事業を営む法人その他の団体の役員及び職員を含む。)」を加える。こういうことに修正いたしたいと考えておるのであります。この政府提案によりますれば、競争関係にある事業漁業であろうと流通過程心おける事業関係であろうと、全部一切組合の行う事業と、組合員の行う事業とが、競争関係にある場合には、役員に就任できない。あるいは主要職員に就任できない。こういうこと厚なつておるのでありますが、その中で漁業に関する限りは競争関係に立つものと解釈はできないのであります。たとえば漁業協同組合が、定置漁業を組合自営によつてやるごとになりました場合に、漁民が自分の生業として漁業をやつているために、漁業自営の組合の役員に、その当該組合の漁民がなれないという結果が、これから出て来るようでは、真の立法の精神に反することに相なりますので、漁業に関する限りは、競争関係にはないという見解のもとに、このように改めたい。こう存ずるものであります。  次に、第四十三条第一項中「貸借対照表」の下に「損益計算書」を加えるる。また第四十八条第一項第六号中「貸借対照表」の下に「損益計算書、」を加える。こういう点でありますが、これは組合の事業報告書の中に、当然損益計算書も入つておるという解釈から、政府の方では改正案に盛つていないのでありますけれども、これはやはりはつきりと貸借対照表と損益計算書というものを作成することが、かえつてはつきりするわけでありますのでで、かように修正いたしたいと考えておるのであります。  次に、大きな修正点といたしまして都道府県の区域を越える区域を地区とする連合会に関する規定であります。その第八十九条を削除いたしまして、第八十七条の条文を改正いたすことによりまして、次のように連合会を組織し得るようにいたしたいと考えておるものであります。  農業協同組合の場合と大体同じ構想でありまして、都道府県の区域をこえる区域を地区とするところの連合会としては、信連、販連、購連、指導厚生連、こういう四本建の連合会がつくれるようにいたしまして、それに、それぞれの連合会は他の仕事を兼ねることができないという事業面の制限を加えながら、従来法律で認められなかつたところの全国的な規模の信連、販連、購連、指導厚生連を設立できるような道を開こう、こういう修正であります。このことは現在統制撤廃その他の経済諸情勢によりまして、商業資本の攻勢が非常にはげしくなつてつておるのであります。しかるに沿岸漁民が共同の力によつて漁村の振興をはかり、漁民経済を安定せしめるためには、どうしてもこのような系統的連合会の全国組織によつて、商業資本に対抗しなければ、自分の環境を改善向上せしめることができないという観点から、ぜひこのような修正をいたしたいと考えておるものであります。その他字句上の正誤にも相当する小修正が各所にあるわけでありますが、そういう点をこの機会にただいま申し上げましたおもな修正点と合せまして、お手元に配りました修正案を用意いたしたわけであります。参議院及び衆議院の小委員会が、意見の交換を遂げまして一応このような成案を得ましたから、これをもつて衆参両院一緒になつて関係方面その他との折衝をいたしたいと考えておるものであります。この点を中間報告をいたしますと同時に、委員各位の御了承を得たいと存ずるものであります。
  33. 石原圓吉

    石原委員長 これをもつて本日は散会します。     午後零時五十五分散会