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1950-03-20 第7回国会 衆議院 水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十日(月曜日)     午前十時五十四分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 早川  崇君       小高 熹郎君    田口長治郎君       田渕 光一君    玉置 信一君       富永格五郎君    福田 喜東君       井之口政雄君    岡田 勢一君  出席政府委員         農林政務次官  坂本  實君         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豊君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁生産部         統制課長)   奥田  孝君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁船課長)   高木  淳君         農 林 技 官         (水産庁漁政部         漁港課長)   林  真治君         農 林 技 官         (水産庁生産部         部遠洋漁業課         長)      兼友 大助君     ――――――――――――― 三月十八日  北洋漁業再開に関する請願井之口政雄君紹  介)(第一五六一号)  釜石漁港修築工事促進請願鈴木善幸君紹  介)(第一六五七号)  田老漁港修築請願鈴木善幸紹介)(第一  六五八号)  岩手県下の漁港災害復旧促進に関する請願(鈴  木善幸紹介)(第一六五九号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇七号)(予)  水産行政に関する件
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  去る十六日予備審査のため、本委員会に付託になりました臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案内閣提出第一〇七号を議題といたします。まず政府より提案理由説明を求めます。政府よりは坂本農林政務次官山本水産庁次長、兼友遠洋漁業課長奥田統制課長林漁港課長高木漁船課長等が御出席になつておられます。まず政府より提案説明を求めます。坂本政務次官。     ―――――――――――――
  3. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま提案されました臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由の概要を御説明申し上げます。  らつこ、おつとせいの猟獲の取締りにつきましては、すでに現行臘虎膃肭獣猟獲取締法によりましてその厳正に努力上で参つたのでありますが、事柄の性質上、遺憾ながら十分なる実効をあげがたい実情にあるのでありまして、これは、現在日本国の置かれている地位、並びに将来の問題に対する関連にかんがみて、特に考慮を要するものと考えられるのであります。しかして、このらつこ、おつとせいの違法な猟獲に対する取締実効を期するためには、さらに一歩を進めて、らつこ、おつとせいの毛皮及びその製品等の製造、加工及び販売について制限または禁止措置を講じ、適法な方法によつて取得されたもののみを流通せしめることとするのが最も効果的であろうと存ずるのであります。本案は、現行の臘虎、膃肭獣取締法の一部を改正しようとするものでありまして、その内容といたしますところは、先に述べました目的を達するため、らつこ、おつとせいの毛皮及びその製品販売等政府禁止または制限するものといたすことを主とし、その他罰金等の処置について、現行一般法令に適合せしめるための若干の改正を含んでおります。  以上が本案を提出するに至りました理由であります。何とぞ慎重審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望いたす次第であります。
  4. 石原圓吉

    石原委員長 本案はこの際質疑は次回に譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 石原圓吉

    石原委員長 それでは次回に譲ります。     ―――――――――――――
  6. 石原圓吉

    石原委員長 次に、御発言願います。
  7. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 先般農林大臣の談話をもちまして政府漁獲水産物全面的統制撤廃を公表したのでありますが、この統制撤廃いたしまして、自由取引に移行いたしますこの切りかえにつきましては、生産出荷、配給、消費全面にわたりまして、相当の変革があるわけであます。またこれに伴うところの金融上の措置も考慮しなければならぬ大きな問題だと思うのであります。つきましては、政府統制撤廃されるについては、十分それに対処する諸準備を用意されておると思うのでありますが、これに対する善後措置政府からこの際お聞かせ願いたいと存じます。
  8. 山本豊

    山本(豊)政府委員 先般閣議の議を経まして、四月一日から魚類全面的な統制撤廃を断行することといたしたのであります。かねてこの問題は時間の問題だということで、水産庁といたしましてもいろいろとその善後設置について考究はして参つたのであります。まず第一に考えられます点は、いわゆる市場機構がどういうようにかわつて参りますか、またそのかわるにつれての混乱最小限度に防止しなければならぬという点であろうと存じます。これにつきましては市場法改正を一応考究いたしたのでありまするが、関係方面との意見のいろいろ食い違う点もありまするし、最後的の案を得るに至らなかつたのであります。しからば今度どうするかという問題に逢着するわけでありまするが、一応ただいまの考えのところでは、旧中央卸売市場法によりまして、六大都市等につきましては善処したい。また地方関係におきましては、産地並びに地方消費地市場の問題でありまするが、これにつきましては、各府県におきまする条例を至急に制定していただきまして、これによつて善処していただく、そういう意味合い通牒を、とりあえず先般県知事あてに出したのであります。ただそうは申しましても、いろいろ各県においての事情も異なりまするし、ばらばらになりましても困るのであります。そういう意味合いで、近く最後的な打合せをやりたいと存じまして、二十三、四の両日に係官を集めまして、最後的な打合せを行いたいと考えておるのであります。  この市場関係並びに産地関係におきまして、もう一つ因る問題は、金融の問題であると思うのであります。先般来衆参両院におきましても、この金融混乱はどうするのかと、非常な質問攻めにあつておるのでありますが、これらにつきましても、われわれといたしましては、できるだけ現状を把握いたしまして、これに即応して、金融の急激な引締め等のないように、関係方面にも懇請をいたし、善処したいと考えておるのでありますが、この金融の問題は、非常にデリケートな関係がありまして、たとえば市場におきまするこげつきの資金調査というような問題になりますと、市場自体におきましても、現在の荷受け機関でありますが、将来の転換を予想いたしまして、あからさまのこげつき資金についての調査を非常にきらうのであります。また真実を求めましても、なかなかほんとうのことを聞かせてくれないというふうな事情相当にあるわけであります。また翻つて考えてみますと、こういう焦げつき資金相当にあるということになりますと、せつかく金融を何とか裏づけしてもらいたいと思つておりましても、むしろ実際の問題として、金融業者の方でよけい警戒をするようなことになるのではないかというふうにも考えられます。われわれといたしましては、むしろ市場の中でも、非常に信用のある荷受け機関も現にあるわけでありますから、そういうものが多く取扱えば、それに伴う金融というものは積極的にあり得ていいわけでありますので、そういう金融をできるだけスムースにやつて行きたい。また産地生産者回収金、これらの問題も区々でありまして、はつきりした数字はつかめないのであります。しかしおそらく産地関係におきましては、市場から、いわゆる出荷機関等に対する仕込み資金等も出しておる向きもあるわけであります。従つて、いわゆる仕切りができないので、未回収というような話のほかに、そういつた仕込み資金の決済もついていないという面もありまして、これらがある程度の相殺的な勘定もできるのじやないかというふうにも思われるのであります。そこで、この際、あまりこういう方向に焦げつきが幾らあるというようなことを声を大きくすることは、策としてよほど考えなければならぬというふうにも思うのであります。現に今東京、大阪等目ぼしい所の、これもきわめて大ざつぱな話なのでありますが、聞いてみますと、なるほど未回収金というものは、あるいは二、三億ないし数億に上る所もあるようであります。しかしながら、それがほんとうに焦げつきになるというものは、五%ないし一〇%、最悪の場合でも一五%ぐらいではないか、しかもそれで取引がストツプするわけではなくして、今後やはり苦しい中でも業者としては動かして参りまして、その間にだんだんと解消して行くというふうに、参る向きも少くないのではないかというふうに考えられるのであります。心配な点は、一昨年も日本銀行に参りまして、北海道の例のにしんの問題など、非常に気がかりになりますので、せつかく話合いをつけつつありました金融的措置につきましては、ひとつ急変のないように善処してもらいたいということを、お願いに参つたのでありますが、その際にも、金融業者の方として心配しておる点は、たとえば、荷受け機関が今度は卸にそのままに移行すると思うのでありますが、これらがその機会に、会社が個人にかわるとか、いろいろと統制ばらばらにかわるというふうなことになりますと、債権、債務の関係もわけがわからなくなるわけであります。これらを非常に金融業者としては心配しておるのであります。でありますから、われわれとしましては、これはもちろん直接ではありませんけれども、府県を通じ、あるいけまた市を通じまして、ここ二、三箇月程度は、それらのものが急変を来さないような何らか措置を講じたい。そうしますれば、金融業者の方も、大体従来通り考えのもとに、信用があれば金は出せる。また仕事の分量かふえれば、それだけのものは金融業者としても考えてもらえるのではないかというふうな気持を持つて帰つたのであります。それらの点を十分考慮いたしまして、金融のあつせんにつきましては、善処したいと考えておるわけであります。
  9. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 統制撤廃されました場合に、まず生産地におけるとこるの、漁業協同組合等のやつております共同販売事業がどうなるかということが、漁業協同組合関係者の非常に憂慮いたしておる点であります。今日水産業協同組合法の実施に伴いまして、新しく協同組合の組織が出て参つたのでありますが、諸般の事情から、いまだその基礎が強化されていないのであります。事業といたしましても、資材の面が非常にきゆうくつであり、かつマル公によつて規制されております関係から、主として組合経営費共同販売事業によつてこれをまかなつておるというのが実情であるのであります。これが今日まで、共同販売事業は、収集機関として指定されておりました関係から、その事業を比較的円滑に実施して参つたのでありますが、今回この統制撤廃によりまして、産地においても仲買いあるいは沖買い船等の進出によつて協同組合共同販売事業利用という面が、非常に弱体化して来るのではないか、その場合における漁業協同組合共販事業が、非常に大きな打撃をこうむる。この共販事業組合経営の一切をかけております現段階において、政府指導が適正に実施されませんならば、せつかく組織されましたところの漁業協同組合が、根底からくつがえるというような事態に相なると思うのであります。それについて、この統制撤廃関連いたしまして、協同組合等共販事業育成指導について、どういう御方針を持つておられるか、この点をお尋ねしたいと思います。
  10. 山本豊

    山本(豊)政府委員 産地におきまする協同組合育成強化という問題につきましては、水産庁といたしましても、今回の漁業制度改革等との関連におきましても、非常に重要視しておるのであります。そういう意味で、この漁業協同組合育成につきましては、まず第一に協同組合に従事をする役職員、あるいはまた事務員等養成等の問題も、これは非常に農村等に比べて遅れておると思うのであります。それらにつきましても、若干の予算を考慮いたしまして、今後大いに充実をはかつて参りたいと考えておるわけでありますが、ただ根本の問題は、やはり従来の協同組合と異なりまして、どこまでも自主的に、漁民個人々々が、自分の組合として奮い立たなければだめだと思うのであります。ことに補助政策と言いますか、従来農林省のとつて参りましたような政策が、今後はとり得ないような事情もあるわけでありまして、それらも関連いたしまして、どうしても組合自体が立ち上るということでなければならないと思うのであります。しかしそれにはやはり相当時日をかさなければ、この統制撤廃の前後一、二箇月の間に、見違えるように強化できるというような方策は、なかなか立ちがたいと思うのであります。要は一、二年の時日をかしていただいて、いろいろと政府の方でも、あの手この手でバツクをいたしまして、やつて行かなければならないと思うのであります。その一つは、やはり金融裏づけの問題などが、大きな問題であろうと思うのであります。これにつきましては、今回議会に出ております農林中央金庫法改正によりまして、見返り資金並びに出資の増額等によりまして、相当の額の金がかりに金庫にできると想像いたしますと、これに伴いまして、水産方面に出し得る金がかなり用意され得ると思うのであります。これらと関連を持たせまして、金融面裏づけをはかる、また単位の組合の自主的な強化をはかりまして、相ともに今後に処して行かなければならぬと思つておるのであります。何さま一、二箇月の間にはどうにもならないかと思うのでありますが、しかし決してわれわれは悲観しておるのではありませんので、今後一年、二年しばらく長い目で見ていただきますれば、必らずや相当の強いものになつて参る。こういうふうに確信を持つていたしておるわけであります。
  11. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 具体的にお尋ねしたいのでありますが、それは消費地卸売市場等につきまして、ただいま配付されました水産庁長官知事宛通牒でも見受けられますように、若干の準則的なものをお示しになつておるようであります。ただ生産地共同販売者あるいは市場等についての措置をどうするかということでありますが、政府消費地卸売市場と同じように、生産地におきましても、共同販売所なりあるいは産地の魚市場なりが現在開設されております場合に、衛生取締見地等からいたしましても、そういう施設のあるところで魚の陸揚げあるいは商取引が行われるように、衛生取締の面からの指導取締りによつて、自由かつてにどこでも魚が陸揚げされ、取引が行われるというようなことを押えまして、施設を有する漁業協同組合共同販売所出荷所等施設を持つておる所に必らず陸揚げさせ、そこで取引をさせる。もとより統制を解除するのでありますから、その場所における取引は何らの制約を加えない。公正明朗なる取引であればさしつかえないが、とにかく魚の取扱いはその場所利用せしむるということは、衛生取締の面、あるいは魚の鮮度保持上の見地からいつても、当然政府はそのように指導してさしつかえないのじやないか。そういうことを通じて、漁業協同組合あるいは同連合会等共同販売所共同出荷所を、今後とも十分機能を発揮せしむるような、十分利用せしむるような措置を、最小限度とられると思うのでありますが、これらをそういうぐあいに御指導なさる御意思はないかどうか。また法的にいつてそこまで指導し進めて行くととはむりなものであるかどうか、その点をお尋ねしたい。
  12. 山本豊

    山本(豊)政府委員 ちよつと速記をとめていただきたい。
  13. 石原圓吉

    石原委員長 では速記ちよつととめてください。     〔速記中止
  14. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めてください。
  15. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいまの御説明で当局の御気持はわかつたのでありますが、私は消費地及び生産地における施設、従来あつた衛生設備の完備した、真に生鮮食料品を扱うところの完備した施設は、衛生取締り見地から十分利用さすべきである。しからざる所でかかる魚のようなものを扱わせるべきでないということは、統制の観念を離れても、絶対に必要な行政措置であろうかと、私は考えるのであります。先進国であるアメリカ等におきましても、食料品を扱う場所施設等は、非常に衛生取締りがやかましい。製氷冷凍工場等におけるいろいろな防疫等施設、あるいは清掃等のことは、非常にやかましいのであります。このような一定の衛生取締り見地から、条件を具備――した施設において魚を扱わせる。取引内容は自由闊達に、公正明朗であればいいわけでありますから、その取引内容を規制することは、統制撤廃の本旨に反するのでありますけれども、衛生取締りの完備した施設のある所だけで扱わせるということは、決して統制撤廃方向に矛盾するものでないとわれわれは確信いたします。そこで関係方面に対しても、そういう目的から魚を取扱う場所を規制して行くということについては、堂々と御折衝を願いまして、従来の産地における共同販売所共同出荷所等施設を今後も活用して、そこを中心として魚の取引が行われるように御指導願いたい。また消費地におきましても、東京初め六大都市等の完備した市場施設を十分に活用すべきでありまして、場外等衛生施設の完備をしない所において扱うことは、いかに統制が解除されましても、公衆の衛生保健の面から厳にこれは取締るべきものであると、私どもは考えておるのであります。  次に統制撤廃に伴いまして、現在の生産消費状況からいたしまして、また深刻な金詰まり、有効需要の減退からいたしまして、魚の値下りは必至であると思うのであります。そこで、現に北海道にしん坪買船等につきましても、東北方面の買取り船団状況をいろいろ調査をいたしました場合に、はつきり現われておるのでありますが、現在準備に着手しております船団は例年の三分の一、多くいつて半分程度買取船しか北海道に行かないであろうという見通しを持つておるのであります。こういう場合になつて参りますと、今後の漁業生産を維持し、魚価経済を安定ならしめるためには、どうしても加工の面を積極的に指導される必要があると思うのであります。この加工によりまして、漁業生産の大きな波を打つて参ります点を、有効需要とマツチするように加工面においてこれを調整する。また加工に伴うところの保蔵施設その他の面で調節いたしまして、魚価の安定をはかるよりほかはないと思うのでありますが、今後水産物加工あるいは保蔵、しかしてこれらの加工品等貿易を含めたところの取引円滑化というような面について、どういう対策をお立てになつておるか、この点をお伺いしたい。
  16. 山本豊

    山本(豊)政府委員 魚価値下りに伴いまして、いわゆる漁民の救済といいますか、それに対する方策という問題であろうと思うのでありますが、これはわれわれもしごく同感でありまして、こういうこともあり得ると存じまして、現在も見返り資金等につきましても、高度利用というような面を一つの重要な項目として取上げつつあるわけであります。むろんこれのみで終るつもりではないのでありまして、今後の方向といたしましては、そういう面も、資金さえ事情が許せばできるだけ拡充して参りたい、ことに生品等につきましても同様な問題が起つて来ると思います。しかしこの加工の面におきましても、やはりこういう金融難の時代におきましては、単に保蔵して時期を待つというのみになりますと、この滞貨のいわゆる金繰りの問題等も伴つて参りますので、やはり一般金融事情あるいは経済事情とよくにらみ合せて、やつて参らないと非常にまた経営難が出て来ると思うのであります。ことに加工保蔵とあわせまして、今後は貿易の面につきましても、十分考究して参りたいと考えております。いずれまた御審議いただくわけでありますが、水産庁機構改革の場合にも、新しい課につきましては、この加工保蔵貿易、こういうことを一体とした課をつくりまして、今後推進して参りたいと考えておる次第であります。貿易につきましては皆さんからもいろいろと御注文もありまして、実は係の方でもいろいろと現在までの状況でありますとか、現に行われつつある貿易のおもなるものであるとか、あるいは今後の見通しは有望であるかというような点も、多少の調査はいたしておるのでありまするが、なにさま全体の貿易自体が、新聞でも御承知のようにかけ声ばかりでありまして、なかなか遅々としてはかどらない関係もありますので、水産関係につきましても、いまだ十分なところまで参つていないのでありますが、今後はこれらのことにも十分注意を払いまして、資料も固め、また打つべき手を打つて参りたいと考えておるわけであります。
  17. 松田鐵藏

    松田委員 統制の問題でありますが、われわれは選挙に出るときは、統制撤廃ということを第一のスローガンに掲げて、国内の物価の安定を公約して来たのであります。魚類統制撤廃が四月一日を期して行われるということに対しては、まことにわれわれとしては、その公約の実行されることを喜ぶものであります。しかしていろいろと議論もあるようでありますが、生産者統制撤廃に対する気持は、おのずからわれわれのかけ声以上に、この統制撤廃というものに対しては、自覚と方針を定めていなければならないものでなかろうか。また定めていいことであろうと考えているのであります。そして統制撤廃された後において、はじめてわれわれが常に主張しておつた、創意くふうによつて魚価の安定をはからなければならない。そして行つてこそはじめて漁業経済が成り立つものであると考えておるものであります。私は前の委員会にも、この問題を農林大臣に申し上げたのでありますが、自治統制自主統制という言葉を使われるのを、非常に懸念いたすのであります。ところがただいまここに来ておる新聞を見ますと、北海道庁において、にしんに対して三月二十日から、五月二十日までの間に、これを自治統制することに成案がなつたということです。かかる事態が起きたならば、せつかくわれわれが委員会を通じ、わが自由党の立場から統制撤廃すると叫んで来たことが、かような事柄によつてその実現が不可能になるように思われるのであります。この点に対して、われわれは国の方針として統制撤廃を叫び、はじめて統制撤廃されるというときに、何のために三月二十日から五月二十日までの間に、にしんに対する統制を持続するか、つまり割当処理計画がきまつている。しかも昨年通りであるというような事柄が掲げられておるのであります。こうしたときにおいては、どのように今日の経済を官庁が支配するか。その方針によつて、今日の経済というものがどのように微妙に動いておるかということを、生産者にタツチさせることができるか。あるいはできない状態が来るのではないか。この点を非常に憂うるものであります。水産庁はこういう問題に対して、地方庁にどのような御指示をなさるか。また北海道庁のこうした行き過ぎが、統制規則に対する逆な面における違反にならないか。まことになげかわしい話だと考えるのでありまして、この点の見解をひとつお聞かせ願いたい。
  18. 山本豊

    山本(豊)政府委員 先般の委員会で不用意に私が自治統制と申しげまして、あとで松田さんからおしかりがありました。私も撤廃する以上全面的の撤廃意味しておるのでありまして、この点は同じ気持でおるつもりでありますが、ただにしんの問題につきましては、かねてから北海道の方でも非常に御心配がありましたし、特に金融の問題について非常に御心配なつたわけであります。そういう意味で、また別の委員からもいろいろにしん問題について御発言があつたわけであります。その前から、地元ではいろいろと銀行業者とまたにしん関係業者が集りまして、寄り寄り協議いたしまして、撤廃が実現いたしたあかつきにおきましても、この漁期の最中に混乱を来しちや困るというので、ただ金融だけはスムースに行くようにということで、御相談があつたわけであります。そこで私は金融を合理的にやるということになりますると、やはり大体どの業者がどれだけの数量を扱うか、またどの船団がどれだけ持つて帰るかという数字を、やはりある程度つかまないと――つかんだ方が金融業者の方からは金融がつけやすいであろう、こういうように想像できるのでありまして、そういう意味で銀行の業者の方も、市中銀行なり日本銀行なりがやはり取上げまして、一つの資金融通要綱といいまするか、そういうような一つ方針を立てましたし、またそれを受けている業者の方も、それがけつこうだということで、お互いに申合せ的に、それに賛意を表しているということだと思うのであります。ただもしこれに違反した場合にはどうなるかということでありまするが、むろんその場合には統制法規も何もないのでありますから、これは強制はむろんできないと思うのであります。どこまでも好意的に指導するという程度にとどまるものと思うのでありまして、そういう意味で、松田さんの言われた気持と同じ気持でわれわれ考えておるのであります。ただ新聞にいち早くそういう自治統制というような文言が大きく出たということは、まことに申訳ないと思うのでありますが、その字句の意味合いは、私さつき申し上げましたような、そういうふうな意味合いに解釈せざるを得ないのじやないかというふうに思うのであります。
  19. 松田鐵藏

    松田委員 今日の魚の値下りというもののその原因はどこにあるか、端的に言つたならば、魚価が今までの統制によつてあまりにも高過ぎたということであります。それからもう一つ統制のために販売業者、小売屋が暴利をむさぶつておつたということであります。この二つが私は今日の魚の売れ行きの著しい減退を来し、また消費が非常に不足になつておることだと、かように考えておるものであります。私土曜、日曜にかけて名古屋、大阪方面の市況を調べて参つたのであります。ところが、その中に著しく現われて来ておることは、今まさに名古屋、大阪ではせり売りをやつております。このせり売りをやつておりながら、買出人はまことにわずかな数よりいない。なぜわずかの数よりいないかというと、今までの買い方が、わずかの数量を持つて行つて、高く売りつけて一日の生活費を得ていたこの慣例と、つまり統制によつて長い間行つて来た経済観念がそうさしておるのでありまして、また金詰まりの関係もありまするが、そうしたことで、またもう一つは、市場法がどのようにかわるかということであります。これを非常に懸念しておるようであります。それからもう一つは、仲買人というものをわずかな数より許さぬというような方法を、各地で行つております。名古屋あたりは塩干に十人、鮮魚に十五人という仲買より許さないというようなことを言つております。また東京においては、百二十名より仲買いを許さぬというようなことを言つております。かようなことであつたならば、とうていこれらの販売ということも思いやられるのであります。仲買いの数というものは、その力のある者に対しては、相当数許すべきであります。そうして行かなかつたならば、この仲買人だけによつて、今の小売業者と同じようなことが実現でき得ないとも考えられぬのであります。この点十分注意すべきではないか、しかもただいま申し上げたように、わずかのものを持つて行つて、その日の生活の資料を得ようとした観念がいまだとれない。薄利多売という考え方を持つていないということであります。われわれが最も美しい自由経済に持つて行くためには、この観念を捨て去らなければならない。いいものを薄利多売によつて消費者に十分に歓迎されつつ、喜んで買つてもらうようになつて行かなければならないのであります。この点を十分考えて、これからの市場法にも、相当考えなければならない点が幾多あると思うのですが、また魚価値下り――つまりわれわれ生産者統制されて、おつた当時のことを考えてつまりやみにも売れることを考えて、まだその観念を取り去れないものがあるのであります。かようなことであるがために、もし統制をしておつたならば、最高の価格が統制価格であり、それが一つの基準になるということで、われわれの方の北海道にしん業者も、またこのことを夢みているのではなかろうかと考えているのであります。今や世の中のかわり方、経済のかわり方というものを十分認知させなければならないときに来ておつて、いまだにこういう観念を持つている生産業者があるうちに、官庁がことさらに北海道にしんに対する統制の基本方針をきめたなどということは、なおさらその観念を遅らされるものであつて、われわれは常に言う創意とくふうによつて、漁業の生産経済を維持しなければならないという考え方をもつて指導しているのに、かような方法でやられたならば、とうていいつまでたつて漁民は浮ぶ瀬がないのであります。新聞ですからほんとうのことはわかりませんが、こうしたことでやられたならば、生身欠きをもつて、ただの三日か四日でもつて金融の対象になるものをも――金になるものをも、ついにその魚をどこどこに売らなければならないということになつたならば、とうてい生産者というものは浮ぶ瀬がないということになるのでありまして、どうか北海道庁に対しては、漁民の誤てる考え方を、一日も早く是正するように要望することを、御通知願いたいと存ずるのであります。決して漁民考えているような魚価というものはあり得ないのであります。この点に対するもつと高度の利用の方法を考えるとか――昨年のようなあの二本取りの身欠きなどをやつたつて絶対に売れつこない。それから赤さびの出た塩にしんをつくつたつて、これまた絶対に売れつこがない。また東京へ塩にしんや、船に箱詰でないものをここへ持つて来ようなんということを考えている者もあるようでありますが、こういうことをしても、絶対に原価もあがらぬような状態になるのであつて、この点よく北海道庁に対して、誤れることのないように、生産者に対して十分なる認識を与えるように、水産庁から御忠告を願いたいと存ずるものであります。
  20. 井之口政雄

    ○井之口委員 ちよつと五項目くらい質問したいと思います。今までの魚に対するところの官僚統制の害悪は、皆さん方の御承知の通りでございまして、マル公があつても何らマル公が実行されず、かえつてやみで魚価が高くなつている。しかも魚価か高くなつているのに、その利益はだれのふところに入つて行くかといえば、実際漁業をやつている漁民のふところには入らないで、みんなやみをやつている不当な人たちのところに入るというふうで、消費者にとつても利益でなく、生産者にとつても利益でなく、これが官僚統制として品質をますます悪くさせる。あらゆる方面からこの害悪は、われわれがもう十分に知り尽しておるところであります。ところでその官僚統制を今度全面的に撤廃する、これは自由党の政策でありますが、先ほどから鈴木さん、山本さんもいろいろと発言してお出でになりますが、全面的に撤廃すると、ただちに弱肉強食が起る。そのためにさまざまの害悪が、また続々と現われて来る。すでにそれに対するところの理念のいろいろの質疑だつたと思うのであります。  まず第一の質問といたしまして、官僚統制撤廃して、全面的に自由経済にしてしまうと、先ほどからいろいろ懸念されております通り、荷受機関の跡始末やら、それから協同組合がどうなつて行くやら、資金面がどうなつて行くやら、魚価がどうなつて行くやら、失業者がどうなつて行くやら、実にたくさんの問題が起るわけでありますが、これを防止する方法として、やはり人民統制というふうなものを実行することが最も適当ではないか、われわれはこう思います。それに対する御意見をまず承りたい。  次に先ほどお話の通り、もし今の官僚統制撤廃いたしましたならば、弱肉強食になりまして、実際その弱肉強食は、地方の官僚機関がまたこれを助成するような方向に持つて行つて、そうして独占的な漁業に対する支配が確立する。また販売の上に対する独占的な機構が、地方の官僚と結託して、あるいは許可制度とかさまざまな形で行われて来るんじやなかろうかと思うのでありますが、その点につきまして、これを十分防止する方法を、政府において講じられているかどうか、そういう方面に対して、全般的な考慮が払われているかどうかということを、御質問したいと思います。  それから第三番目に荷受機関の焦げつきの問題でありますが、先ほどは山本次長さんのお話でこういう焦げつきはあまりほじくらぬ方がいいという御意見だつたように聞えましたのですが、そういうことはまつたくけしからぬことで、むしろこういうものはうんとほじくり出して、国民の前に明らかにして、どういうわけでこうした焦げつきが起つて来たのか、その不当不正を明らかにしないことには、将来公共的なこうしたものを取扱ういろいろな機関の粛正ということはできないと思うのでありますが、それを徹底的にやられる意思はないのであろうか、やられるとすれば、どういうふうにやられるか、一体どれくらいの額になりそうな予想を持つておるか、場合によつて政府からまた予算的な処置をもつてこの穴埋めというふうなことも起つて来るのではなかろうかと考えるのですが、それに対してどういう御意見でございますか。  次にいよいよ統制がはずされまして、自由販売ということになりますと、協同組合の今日までの販売事業が、資金の面その他大商業資本の進出等によりまして、徹底的に弾圧されてしまいはしないだろうか、そのために協同組合に対してどういう援助をしてこれを育成しようとされるか、その辺をひとつ具体的に話していただきたいと思います。資金の点も、協同組合資金が非常に欠乏しております。商業資本が大きな資金をもつて買出しに参りましたならば、それこそこれに対抗することができないことは明らかであります。そうかといつて、しからばこの協同組合に融資をするという場合に、この融資を見返り資金等から融資をするとすれば、この見返り資金なるものは日本の借金だ、外国からの借金をどんどんそういうところに注ぎ込んで行つて、はたしてこの協同組合が順当な発育を遂げることができるであろうか、これは大きな疑問とせざるを得ないのであります。またさつきの荷受け機関の焦げつきに対しても、資金面が云々されておりましたがそういう方面に大部分の大きな資金が注ぎ込まれておりまして、この協同組合のような方面に資金が注ぎ込まれないとうことにでもなれば、これは今までやつた不正のしりぬぐいというような点にしか資金が役立たないと思うのですが、この辺もどうお考えになりますか。それから統制をはずしましたならば、これは普通の中以下の、また零細漁民にとつては、今までの魚価がまつたく不当にマル公が適用されて、ほどんど掠奪されるという形でやられておつたために、今度自由販売にでもなれば魚価が上つて来るだろうという期待を多く持つている。しかるに事実は先ほどから松田さんも言つておられるように、魚価がどんどん下つて来る。中以下の漁民はほとんど生産費を償わないような魚価になつて来る。一方零細漁家に対するいろんな資材の配給というものは、統制価格でもつて高いものが、またはより以上にやみ価格の高いものがまわつて来る。両方からのはさみ撃ちになつて、中以下の漁家がつぶれて行くのではなかろうか。にしん漁業に対しても三分の一くらいの船しか行つてはいないということで、漁業の萎靡沈滞ということが、こういう方面から起つて来るのではなかろうか。せつかく自由経済漁民を助けてやるというふうな、りつぱな自由党のスローガンが、実際やつてみるととんでもないことになつと来るような気がするのであります。それから中以下の漁家の破産、倒壊、失業、または大きな遠洋漁業の方でも失業者が出て来るでありましようが、そういう方面の失業者に対する失業防止策、失業対策が政府の名において何か考慮されているかどうか。  さらにもう一点貿易関係でありますか、日本の漁獲品の現在の輸出が、非常に低価格で売られているのじやなかろうかということを懸念するのであります。その点について、そうでなければならないというようなことを具体的にお示し願いたい。
  21. 松田鐵藏

    松田委員 ただいま井之口委員の言われている中に、非常に関連した問題があるので、一応話してみたいと思います。井之口さんは何か誤解されているのではなかろうか、政友会、民政党当時の資本主義経済をいまだに考えておられるのでなかろうか。自由党のスローガンである自由経済というものは、さような考え方を持つているものじやないということを申し上げたいと存ずるのであります。共産党が言われておる、働かざる者食うべからずというのが、自由党のスローガンであります。この点誤解のないようにお願いしたいと思うのであります。このまじめな働かざる者食うべからずという考え方を持つて、新しい最も進歩した自由経済に立つて行こうというのであります。魚はあまりに統制しておつたから高いのである、統制撤廃すれば需要と生産を調整のできる価格になるので安くなるのであつて一般大衆が非常に利益を得るのである、自由党はかように考えておるのであります。この点誤解のないように決して……弱肉強食などという考え方を持つてはいないのが、自由党の自由経済に対するスローガンであることを政府委員にかわつて私から申し上げておきたいと思います。また荷受け機関の焦げつきというものは、東京市場を見ると、共産党の方々が荷受け機関に対して金を払わぬのが焦げつきになつておるのでありまして、どうかこういうものを早く払つていただくように、お願いしたいと思つております。また失業というものに対しては、私は出ないと思つております。なぜならば、ただいま申し上げるように、働かざる者食うべからずということで、漁民はいつでも働けるだけの力を持つているので、一生懸命に働いたならば、少しくらい不漁したところで、決して失業することはなく、どんどん沖に出て行けるだけの力を持つているのが漁民でありまして、その力のない者は、共産党員にあるかもしれないが、たいていの国民はそうではないと考えおりますから、関連してこの程度のことを申し上げておきます。
  22. 坂本實

    坂本政府委員 こまかな点につきましては、事務当局から御答弁を申し上げますが、私から一応の考え方を申し上げてみたいと思います。まず官僚統制についてのお考えは、われわれも共産党の諸君と御同様に、どうしてもこれは多くの欠陥がある、かように考えており、しかもまた経済の機構は、少くとも自由であるということが原則である、かように考えております。従いまして今回鮮魚介の統制撤廃いたしますことも、結局生産者のためにもあるいは消費者のためにもいいことでなければならないのであります。かような意味におきまして、この鮮魚介の統制撤廃になります過渡期には、いろいろな現象も起つて来るかと思うのでありますが、結果におきましては、先ほども申し上げますように、漁業家もこれによつて仕合せする、また消費者もこれによつて仕合せする、こういうことでなければならないと思います。今後起つて来るでありましよう価格――いわゆる自然価格でありますが、これがどういう結果が出て来るかということであります。もちろん価格形成は需要供給の関係によつてつて来るのでありまして、供給の面から見ますならば、まだ資材についても相当高価でありまして、また不十分な面も多いのでありまして、漁業家がかなり潤沢な資材を使うためには、金のむりもあろうかと思います。なおまた一般の人件費等も相当に多いのでありますから、営業費等も相当かさむであろうことを考えまして、相当の価格を維持したいということは、これは生産者として当然考えることであろうと思うのであります。なおまた需要の面から見ますと、最近食糧事情がよほど緩和して参つたのであります。少くとも鮮魚につきましては、鮮度のいいものが高く売れる。鮮度の悪いものは非常に値が下つて来る。こういうことは一般的に現われております現象であり、なおまた鮮魚介の場合には、特にそういつた面が起つて来るのではないか、かように考えるのであります。生産者の方々におきましても、今後あらゆる創意、くふう、努力によつて、りつぱな新鮮な魚を市場に送つていただくならば、必ずりつぱな値段がとれる、かように私は思うのであります。ただこの間におきまして、先ほど来各委員からいろいろ御指摘もありますが、商業機構というものが、まだ完全に復活いたしておりません。かような面におきまして、多少の時間はかかるものと存じますが、この間に処しましては、われわれといたしましても、万遺漏のないように指導を惜しまないつもりでございます。
  23. 山本豊

    山本(豊)政府委員 二、三気のついたところをお答えいたします。順序は逆になるかもしれませんが、貿易関係についての輸出の点であります。ただいま資料を持つておりませんので、はつきりしたことは次の機会にお答えいたしたいと思いますが、これは価格は皆不利であるというわけではないのであります。かんてん等は最近は有利になつておると思います。なおこれは調べたものかありますから、次の機会にお答えしたいと思います。  それから荷受け機関の焦げつきの問題でありますが、これは実は木炭の特別会計の場合なんかと違いまして、魚類統制についてはいろいろさしずは官庁の方でありましたけれども、売買の関係はすべてこれは企業家なりあるいは売買当事者にまかせてあるわけであります。でありますから政府としては全然関知しないとは申しませんけれども、これが消費者なり生産者なり、影響する面においては、政府としてもできるだけ親切に善処しなければならぬと思いますが、焦げつきを国家の補償によつてやるというふうな点については、現在においては考えていないのであります。ただこれらの事情もよく調査いたしまして、政府でできるだけ金融あつせんをしてやつて、その結果が魚の流通に非常な混乱を来さないというふうなことは、われわれとしても期待いたしておるのであります。できるだけそういう面で処置したいと考えておるのであります。それから協同組合販売事業の問題でありますが、これは先ほど鈴木さんからもいろいろ御注意があつたのでありますが、われわれとしては、今後零細者の集まりでありますこの協同組合を、できるだけ強化しなければならぬという考えで進んでおるのであります。今日の金融難のときに、資本家が進出することによつて協同組合が非常に後退するというふうな見方もあるかと思いますが、今日の金融難はひとり協同組合のみでないのでありまして、ことに中小企業家全体においても、非常に金には困つておるのであります。でありますから零細漁民といえども、その結束がかたければ、この間に処して、対等とまで行かなくとも、相当に進出して行けるのでないかというふうに考えておるわけであります。それから統制撤廃後の自由経済になりますと弱肉強食になりまして、独占的なものが非常に進出して来て、零細な漁民は非常な圧迫を受けるということに対する政府考えということでありますが、これは御承知のように、今度の漁業法の制度の改革のねらいをお考えいただけば、政府としても相当に思い切つて考えを新たにして出発しておるわけであります。ことに戦後いち早く独禁法等の集中排除法、こういうふうな法律もありまして、ことにこの方面においては、関係方面でも非常に神経過敏でありまして、こういう面と今度の漁業法の改革の精神、この二つの観点から、われわれとしては処置して行くわけでありますから、御心配のような点にはならないのじやないかと考えておるわけであります。
  24. 井之口政雄

    ○井之口委員 これは将来をもつて明瞭になつて来るだろうと思いますが、とりわけちよつと意見を申しておかなければならぬのは、今日の自由経済は、政友会時代の自由経済と違つて、弱肉強食でないのだというふうなお考えがあつたようでございます。政友会時代の自由経済とはそれは違うでありましよう。その違うところが、今日の自由経済なのであつて、もうすでにりつぱな自由経済というものは行われない。そのうち独占的なものがすでに現われている独占的なものが、この自由経済を阻止しつつある。そういうふうな自由経済だという意味にわれわれは解釈するのであります。なお社会主義の社会で、働かざる者食うべからずということを言つておりますが、これはいろいろ金利生活者、それから大産業の株券によつて生活しておる人たち、あるいはそこの資本家の代表者としての重役、社長というふうな人たち、なるほどそういう人たちも働いてはいるでしよう。しかしそういう者は、むしろわれわれとしては、人民たちによつて生産が行われますれば、これはりつぱに実際働いておる人たちによつて企業が運営されるのでありますからして、むしろそういうのは働かない人間だとわれわれは考えております。むしろ今の状態において、働かざる者食うべからずということを、この資本主義の中で言われる方々の意見をよく参酌してみますると、これは失業という状態になつて、強制的に働くことができないことになつておる人たちは食う必要はないのだというふうに考えるのは弱肉強食、それこそ資本主義の解釈だとわれわれは思つております。  なお貿易関係につきましては、ただいまも仰せられておりましたが、なおひとつ資料を出していただいて、そうしてまたそれによつて研究してみたいと思つております。
  25. 坂本實

    坂本政府委員 ただいま井之口委員からいろいろお説を承つたのでありますが、政友会時代の自由経済というお話が出たのでありますが、自由というものはどこまでも自由でありまして、その時代によつて経済事情がいろいろ違うものでありますから、あるいは政友会時代、あるいは憲政会時代というものはあるかもしれませんが、私は何も政友会の立てた自由経済というものはあり得ないと実は思うのであります。ただ今日の実情は、御承知のように戦時、戦後を通じまして、いろいろな過程をとつて今日に至つたのでありますが、御承知のように、悪性のインフレも一応終束をいたしまして、すべての需要供給の面も大体ある程度おちつきを見せた。そこでかようなものにつきましては、いわゆる経済政策はすベて自由にするということがよかろうと思う。ただこの際私どもが考えますことは、先ほど申し上げました通り、過渡期でありますから、ただこれを自由に放任してしまうということは、これは警戒しなければならぬと思うのであります。この点につきましては、政府当局といたしましては十分慎重な態度で臨みたい、かようなことは考えられておるのであります。さらにまたわれわれの考えておりますことも、働く者が暖衣飽食するということは許されないのでありますが、たとえば鮮魚介の例を一つつて見ましても、いわゆる権力統制によりまして、鮮度のいいものも悪いものも、皆同じ価格で売られるという事態がすでに不自然なのでありまして、やはりその人の努力によりくふうによりまして、りつぱな製品市場に出まわつて来る、そこに大きな意味があるとおもうのであります。水産業界の健全な発達、真の意味の向上もそこにある、かように実は考えておるような次第であります。
  26. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 議案に直接関連のある質問は大体尽きたようでありますから、私は政府委員長に対して一応お伺いしておきたいと思うのであります。それは本国会も、延びてもそう長くはないのではないかという見通しをつけておるのであります。従つて政府が本国会にとれだけの法案を提案し、それを委員会でまとまりをつけたいという希望を持つておるかという点をお伺いしたいと思います。伺いますと資源枯渇防止法案を参議院の委員会に先に提案されたということでありますが、もちろんこれは衆議院の委員会が非常に法案の審議が忙しいというような場合には、そうした方法もあり得ることでありましようが、しかし今日の水産委員会において審議を続けておる内容等から見ますと、小委員会に府託されて、小委員会において結論づけるために、相当進んでおるものもあるのであります。従つて資源枯褐防止法が参議院で審議されて衆議院に回付され、衆議院で審議したものが、参議院との審議の内容が異なつた場合に、参議院にこれをまわす。参議院でさらに修正して衆議院にまわるというようなことになりますと、相当な時間を要することになるわけてありますが、これはどういうお考えで参議院に先に提出されたか、こういう点について、政府側の御意見をお伺いいたします。  それから委員長に、委員会の運営方針についてお伺いしたいのでありますが、今まで当委員会提案されておる法安はきわめて少いのでありまして、前段申し上げましたように、小委員会等においてまとめれば、すぐまとまるのではないかと考えるのでありますが、その都度本委員会を開いて質疑応答を重ねておりましても、なかなかまとまりがつかぬように思うのであります。小委員会でまとめるなり、あるいは懇談の形式でやりましても、その方針が確立されると思います。そういうことになりますれば、審議も非常にスムースに、急速に進むように思うのでありますが、委員長委員会の運営の方法を、どういうふうにお考えになつておるか、この点をお伺いする次第であります。
  27. 川村善八郎

    ○川村委員 ちよつと関連してお伺いしたいのであります。水産業協同組合法の一部改正は、参議院ではもうすでに取上げられて案が成立つたということであります。聞くところによりますと、政府案はすでに出来上つて関係方面のオーケーをとられたということも一応耳にはさんだのでありますが、ただいま玉置委員が言われるように、本国会に提出しなければならぬ法案がたくさんあるにかかわらず、一方では参議院の方にすでに提案されておる、あるいは水協法の一部改正が参議院では案が成立つたというふうになつておる。しからば衆議院の方はどうかというと、提案もされておらない。政府案は、どういうものであるかということも、はつきりわれわれに明示されておらないのですが、委員会の運営とさらに政府の態度について、一致されないような点があるのではなかろうかと思いますから、王置委員の質問に関連して私もお尋ねいたします。
  28. 山本豊

    山本(豊)政府委員 あるいは私の聞き違いかもしれませんが、大体本年政府で出します予定のものは四つあるわけであります。水産庁設置法案と、資源枯渇防止法案と、協同組合法の改正案と、臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部改正案と、この四つでありますが、王置委員から先ほどお話がありましたが、資源枯渇防止法案は、まだGSから正式の返事が来ていないと思うのです。従つて参議院には出していないと私は思つておるのでありますが、あるいは多少連絡の不十分の点があつたかとも思いますが、この中のある部分にGSの方で若干意見がありますので、出したとは私は思つておらぬのです。そこで何かそれは腹案みたいなものを参議院の方が送れとおつしやるので、渡したのかとも思われるのですが、なお至急に確かめます。それから協同組合法はGSの返事は参つております。これは近く出したい、かように考えております。臘虎膃肭獣は本日出したわけですが、水産庁設置法は、これはGSとの折衝関係がありまして、大体の機構の点は話が大分早くついたのですが、例の資源研究所と水産職員教育審議会、この二つの点が、大蔵省と最後的な話がつかなくて、今回はそれはともかくやめるということで、二、三日前に態度をきめまして、これは今文書課を通じて手続をしております。大体そういうふうに思つておるのですが、なお今の資源枯渇防止法案の点は、きよう帰りまして確かめまして、委員長の方に御通知いたします。
  29. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 そうすると、資源枯渇防止法案を、参議院で審議されておるということは、予備審査なのですか。
  30. 山本豊

    山本(豊)政府委員 そうじやないかと私は思います。私の気持としましては、これは予算に関係がありますから、両委員長に御相談しなければならぬのですが、これはそのときの法案の出方にもよりましようけれども、むしろこつちへ最初にお願いした方がよいのじやないかという気持を持つておりますから、なお御相談したいと思います。
  31. 石原圓吉

    石原委員長 玉置君の御質問に関連して、委員長の見解を申し上げます。参議院に先に提案されたのは、本日予備審査に審議をした臘虎膃肭獣猟獲取締法の一部改正法案であります。これは先に参議院に提出されたそうでありますが、これは私、委員長として非常に遺憾に思つておるのであります。すなわち衆議院の方にどの法案も先に提出すべきものである、私はそういう見解を持つておるのであります。これは水産庁長官等の欠員のような場合に起る問題であるとすれば、たいへんよろしくないと思うのであります。むろん閣議で決定して、そうして提出されるものであると思うのでありますが、この際水産庁法律案は、すべて衆議院へ先に提出すべしということを、強くこの機会に要望しておく次第であります。なお本日の予備審査は、臘虎膃肭獣でありまするが、これも小委員に付すべきものか、付さずに委員会で決定すべきかということは、次の委員会で質疑応答を済ました上におきめ願いたいと考えております。
  32. 井之口政雄

    ○井之口委員 今のはそれでいいとして、山本次長さんから、荷受け機関の欠損について、おうよそどれくらいになる見当か、もしわかつておつたら、概算でよろしいのですが、あるいはそれに対する補償運動がもはや起つて来て、政府に要望なんかがありはしないか、そういう点もひとつお聞かせ願いたいと思います。
  33. 山本豊

    山本(豊)政府委員 六大都市を中心に、今各府県の係官を通じて、大体概略でもよいからということで調べさしております。ですからはつきりした金額はちよつと申し上げられる時期に達しておりません。そのほか産地の方面ではどうであろうかという問題は、非常にやかましい所と、そうでない所とあると思うのですが、それらも二十三、四日の県の係官の会議のときには、大体の空気は伝えてくれる、こう思つております。現在のところはつきりした数字はつかんでおりません。
  34. 井之口政雄

    ○井之口委員 業者からの補償運動は起つておりませんか。
  35. 山本豊

    山本政府委員 そういうものは来ておりません。荷受けの方は、むしろ今の信用ということを第一にいたしまして、こつちの方で何か君らの希望はないかということを聞いてやるくらいの状況なのです。
  36. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 統制撤廃後においての取引の状態、まだおわかりにならぬことは当然であると私は思つておりますが、これは東北から来たのだけでも、この間二億七千万円という数字が出ておりました。大体私は十億円くらいはあるのじやないか、こう算定しております。きようも実は日本銀行に参つて、ただいまこの席に着いたところでありますが、この問題を金融機関はどう取扱いをするかということになるのですが、委員会においては、この問題を取上げて決議し、そして政府に対して実施方を要求してあるのであります。けれどもそういう問題が一応議会においては取上げ、決議しておつたということのみであつて、実際にこれをどういう方向に運んで行くかということは、おそらく水産庁においても、まだ何の手も打つていないと思います。要は金融機関の考え方であり、運び方にあるのであつて、結局日銀では、非常に危機に迫つたこの段階において、どのくらい地方銀行の方に金融をなすかということが、いわゆる問題となるのであつて、これに対しては、日銀はまだ何の対策も講じようともしておりません。政府においても、日銀に対して、強く何かしら要望しておるようなことがあるか、こう存じまして伺いましたけれども、これもたいしたことはないようであります。議会においてこの問題を強く取上げたけれども、結局何のなすところなく、またこれに対する対策はないとすれば、一体どうなのであるか。井之口君でしたか、何か補償云々ということも言つておりますけれども、これはおそらく不可能なことでありましよう。結局金をまわすことがいやなんだから、せめて手形の決済方法か何かによつて――消費地取引生産地取引に対する金融機関の関係の手形決済方法だけでも、これを円滑にやつてくれることを私は希望しておりますけれども、これもなかなかようやつておらぬ。わずかに今度のにしんの積取り船団に対する決済の方法は、これは手形で決済するということになつたようでありますけれども、これも統制撤廃後において、どういう価格が現われるかはわからぬのであつて統制価格で決済することになれば、これは簡単ですけれども、一体十貫目千円になるものやら、百円になるものやらさつぱりわからぬ。そういう場合に、手形の決済といつたところで、どういう金額がここに現われて来るかということさえもわからぬのじやないか。そこで手形の決済はいいのですけれども、これによつて生ずる差額、その差額を現金て支払いせんければならぬということになるだろう。そこで予想によつて現われた価格、その価格の差額を現金で支払いする場合に、銀行が差額に対して融通し得るかどうかということも、当然問題になるわけで、産地の方からはじやんやんやつて来ております。しかしこれも容易ではない。それは業者において適当に信用がある者はやつたらいい。信用のない者はしようがないのだというような態度であつて、積極的にこの金融面に対して何らの対策を講じようということはないようです。しかしないといつて、このままにしておくこともできないだろうと思いますので、しからばどうすればいいかということですが、大蔵省、水産庁が日銀に対する呼びかけをもつと活発にして、何ちか対策をつくつてもらいたいと思います。私水産金融の小委員長として、数回懇談会を開いて、日銀の方からもいろいろ意見を承つておりますけれども、いかに対策を練つて、これをこうしようといつたところで、水産庁の方ではぼうつとしておるので、もう一歩も進められぬで、手をあげてしまつた。四月一日から統制撤廃なつた際に、私の予想しておつた非常に混乱するであろうということが、現実の問題として現われるであろう。すでにあの新聞で発表になつた日、東京都では、仲買い問題にからんで、何か非常に混乱を来した、会議は大分もめたというようなことを聞いておりますが、そうしたようなことが方々にあつた。結局最後には、生産者が仕切金さえ受取ることができないという事態になるのだろうと存じます。このことはこの前から申し上げてあるので、そうした事態の来ないように持つて行くために、水産庁が何らかの対策を講じてもらいたいと思いますが、いかがでしようか。山本次長さんがその後これに対して、名案とまでは行かなくてもせめてこうしようという方法で、ひとつ議会の協力を求め、そして金融機関に対する呼びかけをして、これを一応軌道に乗せようという意見があるかどうか。このくらいはここでちよつと言明してもらいたいと思います。
  37. 山本豊

    山本(豊)政府委員 われわれとしては、今お話のような線で、いろいろと苦心して考え参つたのであります。しかし相手が日銀であります。いわゆる金融というものは救済ではないのでありまして、一応りくつの通つたことでないと、日銀へ持つて参りましても、ただ聞き置く程度で終つてしまうのであります。そこで先般来から六大市場を中心に、大体どういう状況にあるかという点について、いろいろ聞き込んだり、また頼んでみたりしたのでありますが、現在の荷受け会社の気持としては、どつちかと申しますと、今後の信用の問題も関係いたしますのと、実際には相当な未回収資金がありましても、今後半年かかつてもとれなくなるだろうという、この真の焦げつきと思われるものは、比較的パーセントが低い。これは一部の人の意見であるかもしれませんが、そう言われる人もあるのでありまして、これはむしろ中央市場の方としては、あまりわいわい言われぬ方が、たとえば今後の金融――正常金融でありますけれども、金融の面としてはありがたいのだというようなことを言う人も、一部の意見かもしれませんがあるのであります。そういう点もありまして、たとえば小売業者からの未払金の焦げつきはどうであろうとか、あるいは産地に対する仕切のこげつきはどれくらいあるとかいうような、こうした区別をした業者別の金額は、なかなかまともに知らしてくれない。そういうことではいけませんので、代表者を呼んで、大づかみのところを聞いてみたのでありますが、その結果そういうふうな話でありまして、ただ問題はそれはそれでいいかと申しますと、実際に四月一日の切りかえのときのことを考えまして、むしろ平常取扱い数量、これは大体見当がつくと思いますから、それに対する運転資金といいますか、これは従来でもあつたわけでありますが、そういうものをこの際金融機関としてはむやみに引締めるとか、撤廃なつたから、これは解消になつた。従つてこれは絶対に貸さぬのだというふうに出られて参りますと、非常に混乱を来しますので、そういうことのないように、非常にくどくなるようでありますが、金融機関にお願いするほかないのではないか。残る問題は、産地の問題が一つあると思うのであります。産地生産者のいわゆる前渡金を荷受け機関は見返りとしてやる。逆に荷受け機関産地仕込み資金を入れて決済するというものもあるのであります。これらは決済の相殺的な関係にも相なりますので、これらの空気も先ほど夏堀さんからお話がありましたように、東北方面のああいう数字は私も承知しておりますが、これなども下手に新聞に出たりしますと、たださえ――今まである程度貸しておつた銀行も、非常に引締めて来るということに相なりますと、かえつて策として得たものではないと思います。しかし事実困つておる事情は、われわれとしては十分それを承知したして、銀行、日銀、大蔵当局等にも、政治的にいろいろお願いすることは考えておるわけであります。ただそのほかの、たとえばにしんの方の関係の、産地のいわゆる焦げつきの問題に対しましては、ただいま具体的陳情も来ておりませんが――ないとは申し上げられませんが、おそらく今度の二十三日の会議に、各地の係官を通じてよく話を聞きたいと考えておるわけであります。
  38. 夏堀源三郎

    ○夏堀委員 抽象的なことを承つてもいたし方ないのですが、委員会としては緊急対策、恒久対策等、いろいろな案をつくつて政府に要望し、この間も農林大臣に対して、恒久対策として漁業権証券のいわゆる現金化、水産金融金庫設置問題等も質問しておきましたか、これも法律的に研究してもらいたいと思いますし、なお緊急対策としてのただいまのような問題も、急速に何とかしなければなりませんが、委員会は積極的にこれを進めて、大蔵大臣にも会つてこれに対する協力方を懇請し、大蔵省銀行局にも会つて、何とか協議してもらいたい。具体的にこういう方向に持つて行こうじやないかと言つて、協力方を依頼しておりますけれども、水産庁が主体となつて会議を開いて、関係方面、いわゆる銀行方面と会議を開いて、私も水産の金融委員長をしておりますので、私も出席させていただいて、十分にその意見の交換をいたし、これに対する結論を求めまして、議会の考えておること、銀行の考えておること、また水産庁、大蔵省で考えておることを総合して、持つて行こうという結論を求めて、これを実施し得るような体制に持つて行きたいと考えております。ここでいかに何と言つたところで、どうにもいたしかたがありませんから、山本次長には、近近のうちにそうした会合を開いて、私どもの意見も十分に聴取し、今申し上げたような方法でこれを進めて、すみやかに実施し得る段階に進めていただきたいと思うのであります。よろしくお願いいたします。     ―――――――――――――
  39. 川村善八郎

    ○川村委員 この機会に漁港に関する小委員長として漁港法案に対する中間の報告を申し上げたいと思います。  漁港の重要性は今さら申し上げるまでもありません。従つてこれの築設に対しましては、法律をもつて計画的にこれを定め、さらに予算の裏づけをして、漁港の築設の完成を期するということから、二月の委員会で強力にこれを取上げまして、本委員会では議員提出で本国会をどうしても通過させようということに相なりまして、これを小委員会に付託に相なつたのであります。その後各省との関係がありましたので、いろいろと折衝いたしました結果、第三次案かできまして、先月の二十八日に関係方面に提出したのであります。関係方面の水産部におきましては、今月の二日にこの法律でよろしいということを、GSの方へ答申をしたということであります。さらに私は一昨日の土曜日に、水産部のヨーさんに会つて承つたところ、まさにその通り出してあるということがはつきりいたしました。さらにGSの方に、一日も早くオーケーをいただくようお願いしましたところが、実は今まで係官が二人であつたのが一人で、いろいろな法案が山積しておる。一人のために陳情やその他電話等の応対で、実際手がまわりかねておるような状態で、このままで行くと、本国会に出すことは容易でないから、二、三日専門的にこれをやつて、そうして二、三日中にオーケーかいなかということを回答しよう。今明日にそれをよく検討して返事をしようということに相なつております。ただいままでの経過はさようになつております。オーケーが参りますと小委員会を開き、さらに本委員会にその報告を申し上げてこれを取上げ、ぜひとも今国会に通過させたいと考えておる次第であります。
  40. 林好次

    ○林(好)委員 ちよつと水産の金融の問題についてお願いを申し上げたいと存じます。いつの会議にも、また本日の会議におきましても、水産金融の問題は急に迫つておる問題でございまして、各委員からるる御意見等がございましたが、遺憾ながら現在の政府といたしましては、水産の金融の問題についてはさらに確固たる見通しかないようでありまして、まことに遺憾に存じておるものでございます。先ほどからも委員からお話がございましたように、北海道にしん金融の問題は、緊急のうちの緊急を要する問題でございます。先ほど鈴木委員からもお話がございましたように、おそらく金融関係で、内地方面からにしん船団で買付に参ります船は、相当減るはずであります。また現在の鮮魚介の需給関係から申しましても、にしん加工面相当数量まわるということも予想されますし、また水産試験場の報道によりましても、本年は北海道にしんは四年生が非常に多くとれます関係上、相当大量を見込まれておるわけでございます。従つて相当にしん製品ができるものと私どもは考えておるわけでございます。もちろん現在のにしん金融につきましては、着業資金はすでに済んでおりますので、生にしんの買付資金及び製品に対する金融を、ぜひとも水産庁及び政府において考えていただきませんと、漁村の経済はおそらく成り立たないのじやないか。せつかくにしんをとりましても、漁村はかえつてとつたために非常な困難をするというような結果に相なるように考えますので、このにしん製品金融につきましては、特段の御配慮をいただきますように、切にお願いを申し上げておく次第であります。
  41. 石原圓吉

    石原委員長 本日はこの程度にとどめたいと思います。次会は公報をもつてお知らせいたします。  これにて散会いたします。     午後零時三十五分散会