○井之口
委員 ちよつと五項目くらい質問したいと思います。今までの魚に対するところの官僚
統制の害悪は、皆さん方の御承知の
通りでございまして、
マル公があ
つても何ら
マル公が実行されず、かえ
つてやみで
魚価が高くな
つている。しかも
魚価か高くな
つているのに、その利益はだれのふところに入
つて行くかといえば、実際漁業をや
つている
漁民のふところには入らないで、みんなやみをや
つている不当な人たちのところに入るというふうで、
消費者にと
つても利益でなく、
生産者にと
つても利益でなく、これが官僚
統制として品質をますます悪くさせる。あらゆる方面からこの害悪は、われわれがもう十分に知り尽しておるところであります。ところでその官僚
統制を今度
全面的に
撤廃する、これは自由党の
政策でありますが、先ほどから
鈴木さん、
山本さんもいろいろと発言してお出でになりますが、
全面的に
撤廃すると、ただちに弱肉強食が起る。そのためにさまざまの害悪が、また続々と現われて来る。すでにそれに対するところの理念のいろいろの質疑だつたと思うのであります。
まず第一の質問といたしまして、官僚
統制を
撤廃して、
全面的に自由
経済にしてしまうと、先ほどからいろいろ懸念されております
通り、荷受機関の跡始末やら、それから
協同組合がどうな
つて行くやら、
資金面がどうな
つて行くやら、
魚価がどうな
つて行くやら、失
業者がどうな
つて行くやら、実にたくさんの問題が起るわけでありますが、これを防止する方法として、やはり人民
統制というふうなものを実行することが最も適当ではないか、われわれはこう思います。それに対する御意見をまず承りたい。
次に先ほどお話の
通り、もし今の官僚
統制を
撤廃いたしましたならば、弱肉強食になりまして、実際その弱肉強食は、
地方の官僚機関がまたこれを助成するような
方向に持
つて行つて、そうして独占的な漁業に対する支配が確立する。また
販売の上に対する独占的な機構が、
地方の官僚と結託して、あるいは許可制度とかさまざまな形で行われて来るんじやなかろうかと思うのでありますが、その点につきまして、これを十分防止する方法を、
政府において講じられているかどうか、そういう方面に対して、全般的な考慮が払われているかどうかということを、御質問したいと思います。
それから第三番目に荷受機関の焦げつきの問題でありますが、先ほどは
山本次長さんのお話でこういう焦げつきはあまりほじくらぬ方がいいという御意見だつたように聞えましたのですが、そういうことはまつたくけしからぬことで、むしろこういうものはうんとほじくり出して、国民の前に明らかにして、どういうわけでこうした焦げつきが起
つて来たのか、その不当不正を明らかにしないことには、将来公共的なこうしたものを取扱ういろいろな機関の粛正ということはできないと思うのでありますが、それを徹底的にやられる意思はないのであろうか、やられるとすれば、どういうふうにやられるか、一体どれくらいの額になりそうな予想を持
つておるか、場合によ
つては
政府からまた予算的な処置をも
つてこの穴埋めというふうなことも起
つて来るのではなかろうかと
考えるのですが、それに対してどういう御意見でございますか。
次にいよいよ
統制がはずされまして、自由
販売ということになりますと、
協同組合の今日までの
販売事業が、
資金の面その他大商業資本の進出等によりまして、徹底的に弾圧されてしまいはしないだろうか、そのために
協同組合に対してどういう援助をしてこれを
育成しようとされるか、その辺をひとつ具体的に話していただきたいと思います。
資金の点も、
協同組合は
資金が非常に欠乏しております。商業資本が大きな
資金をも
つて買出しに参りましたならば、それこそこれに対抗することができないことは明らかであります。そうかとい
つて、しからばこの
協同組合に融資をするという場合に、この融資を
見返り資金等から融資をするとすれば、この
見返り資金なるものは日本の借金だ、外国からの借金をどんどんそういうところに注ぎ込んで
行つて、はたしてこの
協同組合が順当な発育を遂げることができるであろうか、これは大きな疑問とせざるを得ないのであります。またさつきの
荷受け機関の焦げつきに対しても、
資金面が云々されておりましたがそういう方面に大部分の大きな
資金が注ぎ込まれておりまして、この
協同組合のような方面に
資金が注ぎ込まれないとうことにでもなれば、これは今までやつた不正のしりぬぐいというような点にしか
資金が役立たないと思うのですが、この辺もどうお
考えになりますか。それから
統制をはずしましたならば、これは普通の中以下の、また零細
漁民にと
つては、今までの
魚価がまつたく不当に
マル公が適用されて、ほどんど掠奪されるという形でやられておつたために、今度自由
販売にでもなれば
魚価が上
つて来るだろうという期待を多く持
つている。しかるに事実は先ほどから
松田さんも言
つておられるように、
魚価がどんどん下
つて来る。中以下の
漁民はほとんど
生産費を償わないような
魚価にな
つて来る。一方零細漁家に対するいろんな資材の配給というものは、
統制価格でも
つて高いものが、またはより以上にやみ価格の高いものがまわ
つて来る。両方からのはさみ撃ちにな
つて、中以下の漁家がつぶれて行くのではなかろうか。
にしん漁業に対しても三分の一くらいの船しか
行つてはいないということで、漁業の萎靡沈滞ということが、こういう方面から起
つて来るのではなかろうか。
せつかく自由
経済で
漁民を助けてやるというふうな、りつぱな自由党のスローガンが、実際や
つてみるととんでもないことに
なつと来るような気がするのであります。それから中以下の漁家の破産、倒壊、失業、または大きな遠洋漁業の方でも失
業者が出て来るでありましようが、そういう方面の失
業者に対する失業防止策、失業対策が
政府の名において何か考慮されているかどうか。
さらにもう一点
貿易関係でありますか、日本の漁獲品の現在の輸出が、非常に低価格で売られているのじやなかろうかということを懸念するのであります。その点について、そうでなければならないというようなことを具体的にお示し願いたい。