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1950-03-16 第7回国会 衆議院 水産委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十六日(木曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 石原圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 早川  崇君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       玉置 信一君    冨永格五郎君       福田 喜東君    小松 勇次君       岡田 勢一君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         農林事務官         (水産庁次長) 山本  豊君         経済安定政務次         官       西村 久之君  委員外出席者         大蔵事務官         (銀行局総務課         長)      杉山知五郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   戸嶋 芳雄君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君 三月十五日  委員川村善八郎辞任につき、その補欠として  坪川信三君が議長指名委員に選任された。 同月十六日  委員坪川信三辞任につき、その補欠として川  村善八郎君が議長指名委員に選任された。 同日  川村善八郎君が理事補欠当選した。     ————————————— 三月十六日  臘虎膃肭獸猟獲取締法の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇七号)(予) 同月十三日  大洋漁港修築の請願(高倉定助君紹介)(第一  五二一号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  小委員及び小委員長補欠選任に関する件  水産行政に関する件     —————————————
  2. 石原圓吉

    ○石原委員長 これより会議を開きます。  一般水産行政に関する問題を議題に付しますが、さしあたり水産物統制撤廃が四月一日より実施されるということであります。この影響は、金融とからんで非常な大きな問題を起すおそれがあるのでありまして、これにつきまして政府当局よりの対策等に対する説明、並びに統制撤廃に対する実施方法等の御説明を願い、なお統制に関する小委員長よりの御発言も願いたいと思います。冨永委員
  3. 冨永格五郎

    冨永委員 鮮魚全面的統制撤廃に関しましては、本委員会におきましてこれを取上げまして、これを小委員会に付託せられましたので、小委員会といたしましては、水産庁当局並びに関係方面との折衝を続けて参つたのであります。途中の経緯といたしましては、にしんはあくまで五月十五日まで統制が残るという形勢もあつたのでありましたが、幸いに三百二十一万トンという昨年の実績がはつきりいたした関係もあつたり、また今日の経済社会情勢が当然統制撤廃を一日も早く断行する機運に相なりましたためと考えられるのでありますが、一昨十四日関係方面の了解も得たような次第でありまして、ただちに小委員会を開きまして、小委員の各位に御報告するのでございましたが、時間的にこれを許さなかつたような事情で、今日の委員会を借りて小委員皆さん御報告申し上げ、あわせて本委員会に報告する次第であります。  なおこれに関連しまして、ただいま委員長から、金融その他統制撤廃に関する実施説明につきまして、当局意見を徴されておるのでありますが、 今までも再々政府当局の談、大臣の談話、あるいは水産庁関係方面から、撤廃する、撤廃するという説も数回にわたつて新聞記事に載つておりまするようなわけで、渉外局発表記事であるとか、あるいは農林大臣新聞記者談記事が、ここ一両日ちらちら散見いたしましても、まだ確然とした事情をつかめないような事情にあるのであります。閣議決定も未了のように承つておるのでありまして、私どもといたしましては、政府当局におかれましても、すでに事はつきりといたしました今日の段階におきまして、急速にこれが発表、しかもその発表の漁民に対する普及徹底する方策、並びにこれによつて生ずるいろいろな面においての影響に関する対策をお立て願いたいと思うのであります。一応報告方々委員長の要請に基いて、政府当局の御答弁を承りたいと思います。
  4. 山本豊

    山本(豊)政府委員 魚類の統制撤廃の問題も、いろいろ皆さん方の御援助を得まして、前月ごろからいろいろと方面折衝しておつたのでありますが、ただいま冨永さんからお話がありましたように、一昨日一応関係方面としては、よろしかろうという結論に達したわけであります。そこで政府といたしましては、急速にこれを発表したいと考えまして、実はきよう中にも持まわり閣議等方法で、閣議の承認を得まして、その上で発表したい、こういうふうに考えておるわけであります。なお地方に対するこれの徹底方でありますが、この問題につきましては各府県にはとりあえず電報で、すでにそのことを通知はいたしたのであります。この二十二、三日ごろに係官を集めまして、今までいろいろと論議になつた問題につきましても、本格的に地方意見を聞きまして、ひとつ処置を講じたいと考えております。  これは問題になりまする点は、今までこの委員会におきましても、いろいろ議論になりましたように、大体市場の問題をどうするか、それから地方市場の問題をどうするか、あるいはまた金融の問題はどうするか、流通の実態の把握というような点についてはどうするかというような問題だろうと思うのでありますが、これらの点につきまして、従来もいろいろと研究し、また関係方面とも折衝を重ねて参つたのでありますが、必ずしもわれわれの考えておる通りに、関係方面考えも一致していない点もありますので、非常に困難をきわめておるのでありますが、この決定を見ました今日におきましては、急速にこれらの問題をさらに掘り下げまして、打つべき手を打ちたいと考えておるわけであります。
  5. 冨永格五郎

    冨永委員 はなはだ簡単な説明で、まことにその要を得ないのでありましたけれども、なおほかの委員方々からも、いろいろ質問もあろうと存じますので、その点は讓ることにいたしましても、さらにこれに関連いたしまして、魚油と魚かす統制撤廃は実現する段階至つてないように承知いたしたのでありますが、それに関して、当局はいかなる方法をとつておられるか、また鮮魚介全面的統制撤廃と関連して、そうした面に対する誤りなきを期する処置をどうとつておられるか等について承りたい。
  6. 山本豊

    山本(豊)政府委員 ちよつとさつきお答えしました点について、御訂正いたしますが、今連絡がありまして、きようの持ちまわり閣議という話もあつたのでありますが、安本等関係もありまして、あすの閣議にかけよう、その方がいいじやないかとのようであります。その点御訂正いたします。  それから魚かすにつきましては、実は年度計画がありまして、五月十五日までが一応の事業年度になつておるわけであります。食糧管理庁連絡をとつて、よくその処置考えたいと思つておるのでありますが、これはまあ現在におきましても、手持も相当持つておるようでありますし、四月一日に一ぺンに打切るということになりますと、混乱を来すと考えますので、規則も別でありますから、これだけはいま暫く存置しまして、その混乱のないような手を打つだけ打ちまして、その上で実施したい。こう考えております。
  7. 夏堀源三郎

    夏堀委員 水産物統制撤廃については、もうすでに新聞にも農林大臣の名によつて発表になつておりますので、これは決定的なことに考えてよいのだろうと思いますがそこでこうしたよ、うな事態に処するために、政府混乱防止のために、いかなる措置をとるかということを、私から何回もこの委員会で、質問の形で水産庁伺つておるのであります。しかし今山本次長の御答弁になつた程度で、一歩もまだ出ておらぬ。統制撤廃になつて、自由に買つて自由に販売するということに、いろいろ混乱があるのでありまして、たとえば四月一日からといえば、ちようどにしんの出まわるときにたります。最も大きな問題は、このにしんの問題がまずぶつかる。地方では何か自治的に統制をとりたいというような気分で動いておることも知つておるのです。けれども法律によつて統制撤廃されたものが、地方の自治的な統制によつてこれを押えることができるかどうか、私は不可能だと考えます。そうした場合に、自由になつたら、一つの秩序正しくこれを軌道に乗せる方法があるかいなや、私はあると思いますけれども、これに対して無為無策にして、何の施す手もないというところにいろいろ問題が残されているのであつて、かねがね私はこれに対する何か一つの基準を示して、こういう方法にしたらどうかということを、通牒の形ということを次長に申し入れたこともありましたけれども、これも何か関係筋の方で、通牒の形ということはよいとか悪いとかおつしやつたとも聞いておりまするが、官庁から経済混乱防止のために、これを軌道に乗せるための地方庁との連絡をとる通牒を妨げるということはあるかないか、私はないだろうと思います。一々そのようなものを気にしてサボるわけではないでしようけれども、四月一日の統制撤廃説は今に始つたことではない。もう一箇月も二箇月も前からうわさがあるのであつて、今から何かの方法をとるといつても、あるいはおそいかもしれませんが、とにかく適当な処置を講じなければならぬと思います。どういう方法で、どのような措置をとられるものであるか、そうして特に金融関係ですが、統制撤廃になつて、自由に買え、自由に販売するというものに対して、いかなる方法をもつて金融の道を與えるかということは、非常にむずかしい問題であります。聞くところによると、これもまた北海道の方のにしんの問題になりますが、手形によつて決済するというこれまでの習慣的な措置を、そのままやつてもらおうということを、北海道会議決定したということを聞いております。これが自治的統制考えからそういうようなことを発言して決定されたのではないか。けれども法律によつて撤廃されたものが、組合の協定くらいのことによつて守られようはずはないと私は考えております。そこにますます混乱を来すのではないか。そうした場合にどうすればいいかということは、これは私の考えも一応ありますけれども、全体から見た混乱防止、それから特に四月一日ということですから、一番大事な問題は、にしん、ほつけの大きな産額のものが混乱をし、魚価が暴落をし、漁獲代金及び出荷した資金が未収になるというようなことが問題になると思うのでありますが、この問題について、どういう方法によつてこれを軌道に乗せることができるかということのお考え——もうすでに何か研究しておらなければならないと思いますので、その点の御意向をお伺いいたしたいと思います。
  8. 山本豊

    山本(豊)政府委員 北海道にしんの問題につきましては、統制撤廃の時期が四月になるか五月になるか、実はわからなかつた事情もありましたが、いずれにいたしましても、ことに五月になるというようなことになりますと、漁期の最中にあたりますから、その混乱も特別ひどくなるわけでありますので、それを心配いたしまして、これの対策につきましては、夏堀さんからも御注意があり、われわれの方でもいろいろと考えておつたわけであります。そういう意味で、実は資料固め等もやろうと考えておつたのでありますが、ちようど三月の十一日でありましたか、函館でこれの関係者会合がありましたので、それに統制課係官を派遣したのであります。その席上でいろいろと懇談の結果、その会議では現地の拓銀関係者東北青森はもちろんでありますが、秋田、宮城、東北六県の日銀方々にお集り願いましてこのにしんのいわゆる引取り資金につきまして、いろいろ懇談を重ねたのであります。その結果は、いわゆる荷受け業者と全国のにしん船団協議会というものをつくりまして、これと銀行話合いをいたしまして、昨年度同様な方式でもつて、今のところ十億円程度の金を融通しようじやないかというような話合いがついた、こういうことなのであります。これはもちろん統制を前提として昨年あたりできた制度でありますけれども、私は銀行業者にしん業者がよく自主的に、お互いに信用を尊重しあつてやりますれば、これはしやくし定規には行かないかもしれませんが、ある程度この資金融通はやつて行けるのではないかと考えておるのであります。もちろん野放しにして政府の方で知らぬ顏をするということではありませんが、場合によりましては銀行に依頼もし、また事実上にもいろいろ連絡をとりまして、ぜひこの融通ができますように、強くお願いしたいと考えております。なおまだ詳しい話は聞いてないのでありますが、こういうような措置が実際に効果を来しますれば、この統制撤廃に関連して非常に悩んでおる問題が、ある程度何とかなるのではないかと考えられますので、全般の問題につきましては、いろいろと今まで御意見伺つてつたのでありますが、それらの線に沿いまして、われわれの方でも現在焦げついておる資金はどのくらいあるかという調査もやつておるのであります。また金融の面といたしましては、やはり焦げつき資金の回収をやる。こういう資金をこの際出すということは、なかなか言うべくして非常にむずかしいと思うのでありまして、むしろ流通過程にある資金がストップしないように、常時必要とする運転資金をある程度出していただきまして、そうしてすべりをよくするという方向にこの際持つて行きまして、この焦げつき資金の点につきましては、将来市場の機構の整備というような点にからみ合せて考えるのが、やはりいいのではないかと考えておるわけであります。  なおその他の点について、いろいろとわれわれの方でも至急に考えを重ねまして、ひとつ緩和をはかりたい。幸い府県係官会合を開きまして、新しい意見がありますれば、それらも聽取いたしまして、善処いたしたいと考えておる次第であります。
  9. 夏堀源三郎

    夏堀委員 にしんの決済を手形によつて決済するということは、たいへんけつこうなことでありますが、ただいま申し上げたように、それは統制時代に行われることであつて統制撤廃になると、一方は金を持つて行つて、金の力で安く買おうという行動に出る者があるのは当然であります。そのために、それにつられて金のない者が手形ではちよつと買えないという事態が生ずるのではないか、これがいわゆる統制と自由との境目においての最も苦しいところであります。それはすでにそういう傾向になつておるのであります。大蔵省総務課長もお見えになつておりまするが、そうした場合に、そのときになつてからどうこう言つてもおそいのです。各地方でいわゆる積取り船団というものが組織になつておるそうです。この組合員に対して、適当に地方銀行の手によつて融通する態勢を持つておらなければ、いかぬのじやないかと考えられるのであります。そこで、こうしたような季節的な資金に対しては、何か特別に、わく外によつて融資方法を各地方銀行に與えることができるものであるかどうか、これを一応お伺いしておきます。
  10. 杉山知五郎

    杉山説明員 ただいまの出漁資金の問題でありますが、統制撤廃になりましても、従来のように手形で決済できる範囲におきましては、やはりなるべく手形に乗せることが取引流通を促進する措置かと考えておる次第であります。その場合の資金の手当でございますが、さしあたり北海道につきましては、北拓に対しまして、先般国庫の預託金四箇月ものが合計五億円、特にこぶつきでつけております。その他二箇月及び三箇月の資金は、相当他の銀行に比しまして多くつけておるわけでありまして、こういうさしあたり必要資金には相当まわし得ると考えております。それから東北地方におきましてもも地方銀行が大銀行に比しまして今回の、預託制度におきましては、相当優遇をいたしておるわけでありまして、従来でございますと、大体預託金中、約三分の一が十一大銀行行つておりましたものが、今回は六分の一程度に引下げまして、地方銀行及び長期金融をいたす銀行及び金庫に重点を置いておるのでございます。もちろんこういう資金ばかりでは十分でないわけでございますから、それで不足いたします場合には、銀行といたしましては、当然担保物件をもつて日銀貸出を仰ぐわけでございます。この点につきましては、現在の状態で、まだ担保物件は十分あるわけでございますので、特別措置をとらずとも、大体貸出は円滑に行くというふうに期待いたしております。H銀といたしましても、本年度は相当多くの債務償還等がございまして、今後またオペレーション及び貸し付けられる限度は相当豊富に持つておりますので、一、三月の徴税の時期に際しましても、貸出オペレーションは相当活発にやる方針でやつております。従いまして、今のところは、銀行に対する資金融通は、必要なものである限りは十分出て参る態勢でございますので、特に必要な資金等において、私ども日銀に頼みまして、融資あつせん等をさらに積極化いたしたい。これは地方のそれぞれの資金需要を至急調査いたしまして、なるべく措置をとりたいと思います。
  11. 夏堀源三郎

    夏堀委員 地方銀行担保ということは、何か国債等のことを指して申されておるのですか。
  12. 杉山知五郎

    杉山説明員 日銀といたしましては、日銀法によりまして国債、社債、手形等所要物件担保としてとるようになつております。今のような出漁資金の場合には、結局商業手形担保も相当多くなつております。
  13. 夏堀源三郎

    夏堀委員 数が相当多くなりましたから、何かこうした措置に対してわく云々ということを言つておるのですが、これはどういうのでしようか。
  14. 杉山知五郎

    杉山説明員 現在わくというような表現を用いておりますのは、中小企業のいわゆる別わく融資であります。別わく融資と申します意味は、普通ならばこれだけの額は高い金利が適用されるというのを、この中小企業別わく融資の額のものだけは、これだけのわくにプラスをいたしまして、ここまでは高い金利をかけないといつたような、特殊の措置を講ずる意味において、別わくと称しておるのであります。これは金利上の問題でございまして、それ以外に特にわくといつたような表現を用いているものはないわけでございます。それで今回の出漁資金の問題につきましても、特にわくというようなものを設定することなく、それぞれの金融機関に応じまして、所要資金貸出しをいたしたいと思つております。その場合に、ある銀行には多少資金が足りない、ある銀行は多少あるという場合には、日銀が間に入りまして、資金の楽なところからまわすといつたような措置が必要かと考えるのであります。これについては、大蔵省といたしましては、さつそく日銀と相談して、具体的の措置をとりたいと考えております。
  15. 夏堀源三郎

    夏堀委員 私の予想では、盛漁期になりますと、金を持つているものは安く買えるというようなことによつて、先ほど申し上げたような混乱を来すのであつて、そうした場合に、北海道あるいは青森県あるいは新潟、ここに取引のある銀行に対しては、特に生産地との関連において特別なわく——わくというものはないと言われますが、銀行の方ではわくはあると言つております。まあ、何でもよろしいが、特別な金融措置を講じてもらいたい。たとえば北海道にしんが大漁であつた場合に、横取り船が金がなくて行かれない。そうした場合には、これは魚かすを大量に製造することも考えられる。そこにまた金の必要ができて来るのであつて、その加工面に対しても、特別にこの措置を講じなければならぬと考えるのであります。特ににしんとほつけ措置に対しては、季節的な資金でありますがゆえに、非常にこの数が多いのでありますが、これは、今ここであなたが明白に、こういうことをやるのだとおつしやられても、その通り行くか行かないかわかりませんので、日銀とよく折衝いたしまして、これに対する具体的な研究をなさつて、あらためてまた御答弁をいただきたいと思います。  それから山本次長のおつしやつた、全体の今までの出荷機関に対する整備、これは当然やらなければならぬのでありますけれども、そこまで行く段階においてどうするかということがあるのであつて、これに対しては、こげつきの分に対して云々するということはできない。それはそうであります。しからばこれにかわるべき臨時的金融措置ということを、なんとかしようということでありますけれども、これはなかなか水産庁のお声がかりでやつたところで、その通りには行かぬと思いますので、この過渡期おいての措置を、臨時的にどういう方向へ持つて行けばよいかということのお考えがあつたならば、お伺いいたしたいと思います。
  16. 山本豊

    山本(豊)政府委員 特に特別の金融方法ということは、なかなか困難だと思うのであります。ただわれわれの方でも、年間の魚の動きの調べはあるわけでありますし、それに即応する資金は、大体八大都市と海なし県とを合せて二十四億くらい、春と秋三箇月くらいの金がいるわけであります。これを春なら春の一期を見ますと、十二億ということになるわけでありますが、このうちのある部分を——これは普通の信用取引になるわけでございますが、たとえば銀行から、こげつきがあるから貸出しをストップするとか、いろいろな理由かあると思いますが、そういうことをひとつがまんしていただいて、魚の流通がストップしないように、銀行も一はだ脱いでいただくということを、今考えておるわけであります。それ以上の名案が、ただいまのところないわけでありますが、なおよく研究してみたいと考えておるわけであります。
  17. 夏堀源三郎

    夏堀委員 その解決点を見出すために、私が過般の協議会においても、特に共産党から反対がありましたが、仲買制度というものに重点をおいて、説明したのであります。信用のない出荷機関に対して、あなた方がいかに出してやれと言つても、銀行は出しつこはないことはわかつております。あるいは今までの漁業者も入つておりますし、また実際仲買行為あるいは加工をやつておる連中というものが、そこにあるわけでありますから、この連中保証金制度、共同の連帶責任、そうした方向で、新しく出発する態度によつて金融の道を開くほかはないと考えたので、これに重点を置いて、今まで説明をしておるわけであります。これに対して銀行でこうしよう、ああしようといつても、相手の銀行が出さぬというならばそれまでであつて、いわゆる銀行信用を求めて、安心して出せる方法をまず考えるということ以外にはないと存じます。そこで先ほど何か地方係官を集めて会議を開きたいというような、御意見があつたようでありますが、これはいつお開きになる御予定になつておりますか。
  18. 山本豊

    山本(豊)政府委員 二十二、三日ごろであります。
  19. 夏堀源三郎

    夏堀委員 その際に議会で取上げた問題、及びこれまであなた方の構想として考えておつたであろう地方條例のようなものを、十分に御説明になつて、各府県意向もさんしやくして、大体その席上でこれをきめるということになりますか。それは別として、さしあたりこの混乱防止する点において、地方出荷機関仲買人行為、それから消費地のそれも合せて考えなければならぬと思います。今のところ、にしん、ほつけはおそらく盛漁期において、非常に暴落するのではないだろうか、こういう予想があります。それはこういう根拠があるのであります。出荷しても金が来ないのではないだろうか、そうすると金まわりのいい出荷機関に殺到するわけでありますから、消化し切れないということで、結局金がないないということにつられて、自然の勢いとして、やむを得ず魚価の低落ということになりはせぬかと考えられるわけであります。そうしますと消費地に対する金融方面か何か、これに積極的な検討をしておいて、いざとなつたならば、ただちに臨時的な措置をとるのだということを、やはり水産庁及び大蔵省方面が、日銀折衝して、適当な措置を講ずる心構えがなければならぬと存じますが、その点も合せてこの機会に要望しておきます。  きようは安本西村政務次官もお見えになつておりますが、この前の小委員会決定し、委員会で決議になつておりますが、ただいま申し上げたように機構整備によつて金融上の問題、それから魚価の調整、こういうことを委員会で決議しておりますが、そのうちの第五項目に、「生産者を主体とする組織により大消費地に冷蔵庫、水産倉庫を設置し水産物の需給調整並びに魚価の適正を図ること、なおこれが建設には見返り資金の運用を図ること。」この一項目を加えております。夏季の魚獲品に対して、非常に魚価が低落することか予想される。その際に東京には冷蔵庫が不足しておる。それで生産者の方からあまりに安く買われるので、冷蔵庫に入れてくれんかといつたところで、一回も生産者の要望を入れたためしがないのであります。生産者としても、そこに責任があるのでありますが、いろいろと場合はある思いますが、昨年の暮あたり、冷凍品を出荷して、暮の資金の非常にきゆうくつな場合に、値段が三割も四割も暴落を来した。それで安く売つたけれども、三日、四日たつてそれがまた公定に回復して、その差益を仲買いがとつたか、荷主がとつたか知りませんけれども、商人という立場において利益をせしめておるという事実もありますので、こういうようなことを調整するために、六大都市に冷蔵庫及び生産倉庫の相当大規模なものを建設することが、全水産漁業者のために非常によろしいのではないか。こういうことにこそ見返り資金を思い切つて出すことがいいのじやないかと考えて、委員会にもはかつて、これを強力に進めようと考えておるのであります。その後水産庁の方でも一応調査して、大体二千トン程度のものでどれくらいの費用を要するかということを、今調査しておるようでありますけれども、私の調査したところによりますと、大体東京都だけで五千トンの不足を生じておるということであります。しかし五千トンの収容能力ある冷蔵庫は厖大なものですから、三千トンくらいの冷蔵庫を創設する。そうすると、今東京都で持つておる冷蔵庫と合せて、どうにか一応かつこうがつくのじやないだろうか、こういうことになるようであります。これを新会社をつくつて、見返り資金をこれに貸し與えるか、あるいは東京都にこれをやらして、——今冷蔵庫を東京都で持つておるから、東京都でやらして、生産者及び消費地連中との委員会の組織によつて、この運営の方法の万全を期するか、この両案を持つて今いろいろ研究しておりますが、まず先だつものは金ということですから、案ばかりできたところで金がなければどうにもならぬ。さしあたりこの建設費用として二億円を必要とする。会社の場合には、五千万円の資金を必要とする。会社の場合は、五千万円の会社をつくることなのです。これは可能であるようであります。それよりも東京都が今持つておる冷蔵庫もありますので、これとも合せて、運営上の万全を期してやる方がいいのじやないかということになりますと、東京都にこれを経営させる方がいいのじやないか。公共団体に対しては、見返り資金はむしろ非常に出しやすいのじやないかというような面もありますので、これは水産庁からあらためて安本の方に折衝することにはなつておりますけれども、きようは西村政務次官がせつかくお見えになつておりますから、このことに対して、当委員会で問題を取上げておるのでありますから、この機会に御意向をお漏らし願いたいと存じます。
  20. 西村久之

    西村(久)政府委員 夏堀君にお答え申し上げます。魚価を保持し、消費者に鮮度の落ちない品物を選正な価格で販売をするというために、水産倉庫並びに冷蔵庫の設備の必要なことは御意見通りであります。ただ、今お述べになりました、これを建設するのに見返り資金を運用する考えはないかというようなお尋ねのようでございますが、見返り資金を運用することも可能であろうと存じます。ただ見返り資金を運用する場合に、金をかけてつくつた品物の利用の仕方いかんによつて、見返り資金の返済等の案件が立てられるわけであります。見返り資金を運用するとすれば、先ほど来しばしば御意見としてお述べになりました、仲買い制度でもできました際に、仲買い組合の建設に基く冷蔵庫というか、責任を持つてその運営をやつて行くような機関が運用する冷蔵庫でなければならないのではないかと、私はかように考えておるのであります。冷蔵庫の必要は御意見通りに痛感いたしまするが、見返り資金を運用するにあたつて、魚を冷蔵する人方と、冷蔵庫を持つ人方との関係が、すこぶる微妙な関係にあると思いまするので、私の意見としては、仲買い組合というようなものがお建てになる。その場合に設備資金が不足を生ずるから、その設備資金に見返り資金の運用を願う。そうして利用して上つて参りました利益をもつて見返り資金を返済する。こういう見返り資金の運用の考え方であれば、可能でなかろうかと私は考えております。東京都がおやりになるにいたしましても、これを仲買い組合等が利用せずに、地方地方の小仲買いと申しますか、小売業者に魚を流して、そうして一定の利潤で売りさばくというようになつて参りますと、結局冷蔵庫は大きいものを建てましても、冷蔵庫の利用がつきかねるということになつて参るきらいがありますので、私は魚を動かす人方が建設されるのが妥当ではないか、かように考えております。
  21. 夏堀源三郎

    夏堀委員 冷蔵庫の利用は、委員会においても十分この点に重点を置いて検討したのですが、今政務次官のおつしやつた仲買い組合を中心としてやるということに対しては、利益を追求する、だだそれだけの存在である仲買い組合であつては危険である。そこで、生産者の、統制撤廃なり、自由販売になつてたたかれ通しにたたかれて、金詰まりを運用されて、非常な苦境に陷つておる段階を救済すべき手段として、この設備を必要とするということに考えた次第でございますが、組織の点においては、生産者五〇%あるいは六〇%、そうして荷受け機関、仲買いその他の一般から大体四〇%ないし五〇%という組織において、これを建設することがよろしいのではないか。この程度考えておりますが、ただ私、先ほど申し上げた東京都においてということは、これからまだ折衝してどうなるかわかりませんけれども、東京都の場合、あの場内に設置する場合に、それを寄付の形においてという何か條例があるそうです。そうすると、たとえば会社をつくつて冷蔵庫を建設しても、それが寄付にとられたのではたいへんなことになりますので、そういうむずかしいことがあるとすれば、東京都のためにやることであり、生産者のためにやることであるから、東京都がこの建設の責任者となつて、そうしてこれに対する見返り資金を仰いだらどうか。そうしてこの運用の方法は、さつきも申しましたように、生産者と荷受け機関、仲買い方面が、合作の委員会制度において、この運営の万全を期するということが公平でいいではないか、こう考えておるわけであります。ただ安本として、そうした問題を取上げて検討中なので、見返り資金を二十五年において、今後そうした計画に出し得るかどうかということの、御意見を承りたいと思うのであります。
  22. 西村久之

    西村(久)政府委員 まだ閣議決定を経ていない関係の問題ではありまするが、安定本部といたしまして、冷蔵設備に見返り資金を出して行こうという考え方を持つて、今日まで進んでいることを御了承おきを願いたいと思います。従いまして、たとえて申し上げますと、ここに一億なら一億というわくがあるからといつて、その一億のわくに拘泥する必要はないと思います。一通り出して行くというわくができますれば、わくの範囲外でも厳選をいたしまして、そうして了解を願えば、資金そのものの活用が効果的でありますならば、金はわく以上に増して、見返り資金の運用はできるという信念を持つておりますので、安定本部として、水産倉庫あるいは冷蔵設備に対して見返り資金を使つてみようという考えのあることだけを、ここにはつきり申し上げておきます。
  23. 夏堀源三郎

    夏堀委員 よくわかりました。それで、新聞紙の報道によりますと、日米、日水方面は、もう金額も決定になつておるように見えておりますが、今私の申し述べましたことは、全日本水産業者のための計画でありますので、一会社のそれとは違い、範囲が非常に広いのでありますから、その意味を十分に御参酌くださいまして、安本において、このわく外の相当金額を、こういう方面に運用せられんことを切望して私の質問を終ります。
  24. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 安本ならびに水産庁、いわゆる政府当局の御努力によりまして、来る四月一日から全面的に水産物統制撤廃実施されることに相なりましたことは、政府の御努力に対して敬意を表するとともに、私たち、第五国会以来熱望しておりました立場といたしまして、まことに御同慶にたえない次第であります。そこで、先ほど総体的な、金融その他についての質問がありましたが私は、当面北海道として重大な関心を持ち、しかも業者が今まで非常に焦慮しておりましたにしん漁に対する今後の対策について、二、三水産庁並びに西村政務次官にお伺いいたしたいと思うのであります。  にしん統制撤廃後における混乱防止する策として、私は今まで数回にわたつて水産庁並びに安本政府委員の方に質問いたしたのでありましたが、統制をはずした後における自治統制という面について、どういうようにお考えになつておられるか。  それから、その対策と併行いたしまして、金融関係して来ることでありますが、先ほどの夏堀委員の御質問に対して、全国的なこうした業者に対する御方針は、ほぼ承りましたのですが、にしんに対しては、明確にその方針を把握することができないので、特に御質問申し上げる次第です。これから消費地における購入の面におきまして、農業協同組合であるとか、消費組合であるとか、その他の団体が共同購買をしようというような計画のもとに、資金を必要として来るわけでありますが、こうした団体に対して金融措置をお考えになつておれれるかどうか。  それから買付船団のお話をさつきもちよつと触れておられましたが、この買付船団の問題が、今日金融逼迫の折柄、昨年のようなぐあいに参るまいと心配しておるのでありますが、こうした買付船団が消費地の団体と亘結いたしまして、資金を持つて買付に行こうとする場合の資金貸與の措置、こういう方面について水産庁はいかがお考えになつておるか、この点をまず第一にお伺いいたしたいと思います。
  25. 山本豊

    山本(豊)政府委員 にしん対策につきまして、いろいろとお尋ねがあつたのでありますが、大体のことは、先ほど夏堀委員にお答えしたところで御了解がつくかと思うのでありますが、自治統制はどうするかというお尋ねであります。これはことに金融の面ともにらみ合せまして政府といたしましても、将来長くこういう制度を存置するということは、研究の余地があろうと思うのでありますが、今回この統制撤廃の直後におきましての自治統制ということは、これは非常に必要なことであり、政府としても期待いたしておるわけであります。そういたしまして、先ほど申しましたような船団の協議会というようなものと、銀行の方も、関係銀行の協力によりまして、連絡会議等で、両方が自治的によく連絡をとりまして、従来の信用を基礎として取引をしていただくということが、最も望ましいのではないかというふうに考えておるわけであります。先般北海道で開かれました会議も、実を申しますると、統制撤廃になるかもしれぬが、その場合にはどうするかというふうな前提をもちまして、会議か開かれたのでありまして、そういう意味合いにおきましても、銀行業者の方でも相当好意を持つてくれておることは事実であろうと思うのであります。残るところは、それらを水産庁なり、また大蔵省なりが、よく日銀等とも連絡をとりまして、中央の方でもこれを強くバツクして行くということが必要でないかと思つておるのであります。  それから、消費地の団体の共同購買の資金のお話が出ましたが、今度の統制撤廃によりまして、先ほどからもいろいろと各委員からお話が出ておりますように、生産者が非常にたたかれるということを防止することは、非常に大切でありまして、そのためにも生産者に対する金融というものを、まず第一に考えるのが常道でないかというように考えておるのであります。従いまして、今後は生産者の共同販売組織というようなものも、やはり消費地の共同購入と相呼応をして、これを強化促進することが大切であると思うのであります。そういう意味合いにおきましても、協同組合あたりに、やはり資金が非常に必要になつて参ると思うのでありまして、これらの点につきましては、農林中央金庫の線で、できるだけ今後の資金流通がつきまするように、努力をして参りたいと考えておるのであります。  それからもう一つ消費地の団体と直結して、買付船団が金を借りるというお話も出たのでありますが、これにつきましても、大体以上団体等について申し上げましたのと大同小異のことしか考えられないと思うのであります。簡単でございますが、お答え申し上げます。
  26. 西村久之

    西村(久)政府委員 私も一言補足申し上げておきますが、委員皆さん方のお考えは、混乱が来ることを前提として、そうして自由経済に引きもどすのに対してのいろいろな処置を、御意見としてお述べになつて、最も重要視されるのは資金であるというふうな観点からの御質疑のように伺われるのであります。しかしながら資金そのものにいたしましても、統制撤廃して自由経済にもどします際には、多少の混乱はありましても、転換をすべきものであります。一々その混乱を防ぐために政府資金措置考え——これは考えておあげもしなければなりませんけれども、なかなか困難な実情にあることは、御賢察を願わなければならぬのであります。夏堀君からの御質疑もよく私はわかります。しかしながら金を持つて買いに行く人がおつて、収支のバランスが合つて、売られる人はここで売つたつてさしつかえないのであります。その人方がどこへ持つて行こうとも、持つてつた先で、また輸送費等をかけておもうけになるというようなときに、お売りになるのは自由であります。こういうふうな戦前の自由経済時代の線にし向けて行こうという考え方で、統制も四月一日から放そうというのでありますから、銀行の方に融資わくがほしい、金を貸してもらつて日限からまわす——これは夏堀君の御意見通りに、まわすことはまわしましても、銀行自体に対する資金政府が保証しようとしない限りには、銀行自体が、その業態に不安がありますれば出さないのであります。銀行は自衛上その方法をとるのであります。それが今日のような状態になつてつております。それで金をいくらまわしましても、政府日銀の金をただ持つて行つて、お前に貸付して回収し得たい場合には、日銀が損をするのであるというような金の出し方は、されぬのであります。日銀日銀として、あるいは預金部の金を運行するにいたしましても、確固として返つて来る確信のあろ融資方法をとつて、市中銀行に金を流す、こういうことになりますので、市中銀行は自分が見熟みがつかなければ、結局貸出しをしないというような結果になつて来ておるのであります。今後これを政府考えてなるたけ資金面に支障を来さないような方法をいろいろ考えております。すなわち御承知の通り、農林中金の資本金を増して増資する、これを見返り資金で引受けて、二十倍程度の債券発行を認め、農林中金から農業方面なり漁業方面融資の努力を願おうというふうな考え方も、実は考えておるのでありますけれども、この金を動かす時分には、相手方が信用がなければ金を貸し出る方がなかなか貸さないのであります。従いまして、結論といたしまして、自力を土台として、他力にたよらないということを土台として、今後自由経済に立ち向う方針をまずとつていただくように、お願い申し上げたいのであります。やむを得ず混乱を来すようなものに対して、国の経済の根抵に亀裂を生ずるような場合には、政府はとるべき処置をとつて混乱を防ぐことに努力いたすことにはやぶさかでありませんが、建前としてはそういう考え方をとつていただきたいのであります。先ほど水産庁次長からもいろいろな話があり、大蔵当局からもお話がありましたが、相手の借りようとする人が信用がなければ、金はなかなか借り得ない状態に追い込まれて来る。こういうふうに私は考えておりますので、一応考え方を申し上げて、御参考に供したいと思います。
  27. 玉置信一

    ○玉置(信)委員 ただいま政務次官のお話ごもつとも私どもと拜聽いたしたのであります。自由経済に移行する建前が、かくあることは私も承知いたしております。ただ自治統制をやる場合の生産者の保護ということを考えるという、その点だけを私は質問申し上げたのでありまして、応急措置として混乱を少く食いとめるということに対して、市中銀行が協同組合あたり等に対して融資をするということが政府の方針にあるということだけで、相当な好影響をもたらす、かように私は考えまして、この観点から私の考えを申し上げたわけでございまして、重ねて山本次長に対して、ただいま言明されたことをよく徹底するように、お願いしたいと思うのであります。  あと二つばかり簡單にお尋ねします。資金問題で、ただいま大蔵省杉山説明員から、これは実は十分オペレーシヨンの中小企業資金の借出し等をとつてあるというお話がございましたが、実は先般私一走り国に帰つて参りましたところが、ただいま政務次官のお話になつたことがきわめて適切であり、正当だということを私も承つて来たのです。それはどういうことかというと、地区的に見て、北海道全体で月一千万、その一割の百万円が私のところの地区に対する北託の貸付のわくである、こういうことになりますと、その百万円に対してどれだけの貸付けをしているかというと、われわれから見ますと、相当回収の見込みの立つもの——先ほど政務次官のお話の通りでありまして、市中銀行は営利の銀行として経営している立場から、回収可能のものでなければ貸せないという建前をとつております。また信用状態から百万円以上も貸してやりたいと思つても、わくは百万円であるというようなことで、さしあたり見当をつけておるものはしからばどれだけかというと、三十万か五十万、この三十万か五十万の金を借りるのに、しかも銀行信用を置けるものであつたならば、そんなごくわずかな金を借りなくても、借りない方がいいということになつて、結局百万円の金もどこにも利用されてないというのが現実であるということを、北託の支店長から承つて来たわけであります。これはほんの一例にすぎませんが、大体この中小企業資金は市中銀行においてその信用状況をにらみ合せますときに、ほとんど大蔵省の思つておられることとは正反対に、何ら貸付利用がされないと言つてもいいくらいに、極端に少い額であるのであります。これは非常に市中銀行としてむりからぬことであるが、これに対して大蔵省はどういう見解を持ち、今後中小企業の貸付に対しては、銀行等に対してどういうような指示をされる方針であるか、お伺いします。  次は魚肥の統制撤廃の問題でありますが、先ほどお伺いするところによりますと、政府当局におきましても、一日も早く撤廃実施するようにと努力されるということのようでございます。実は一昨年以来の魚肥がまだ産地においては停滞しておるような現状であります。また消費地に来て、農協等でせつかく入荷した肥料も、とれないで滞貨しておるという現状でございます。これはどういうわけかというと、従来統制わくによつてその時期に、その場所に、また需要希望の地に、急速にこれを販売輸送ができなかつたという一大欠陷がこの結果をもたらしておるわけであります。従いまして、昨年、一昨年の滞貨かある上に、また今年相当の滞貨ができるであろうということを予想されます。ことに統制わくをはずした結果はおいては、肥料をつくらなければならぬものが、地域的に見て相当出て来ると思うのでありますが、この肥料が、またまた肥料を製造して輸送する時期になつて、なおかつ統制撤廃されないということになると、私は相当生産者が窮境に陷り、また消費地において困るのではないかとかように考えているわけです。何とかして政府特に西村政務次官におかれましては、生産終了の時期までに統制撤廃するように、格段の御努力をお願いしたいと思うのでありますが、こうした点についての見通しがありますれば、お話を願いたいと思います。
  28. 西村久之

    西村(久)政府委員 肥料等の関係で魚肥が困つている。従つてこの統制をすみやかに解除するようにという御意見であります。この点につきましてはまことに同感であるのでございますけれども、御案内の通り魚肥と他の肥料との関係をにらみ合せまして、農業政策の施策の一環として進んでおります関係上、魚肥だけを統制から離して、他の肥料を統制するということが非常に難事でありますので、他の肥料との関係を勘案いたしまして、なるたけ早い時期に統制を解くことに努力いたしたい、かように考えます。他の点はほかの政府委員からお答えをいたします。
  29. 杉山知五郎

    杉山説明員 金融機関貸出しの増加の問題でございますが、たとえば去年の四月から十二月までにおきまして、大体二千七、八百億見当であります。これは二十三年度の同期と比べまして、七百億以上もふえているわけでございます。二十三年の四月から十二月を見ますれば、大体二千億見当であります。このように銀行貸出しがふえておりますのは、一方で政府資金が相当締つておりますので、これを操作いたしますために、銀行の方の貸出しをできるだけ多くいたす必要がございまして、日本銀行貸出し及び国債等の買上げ等によつて、この資金の裏づけをいたすということで進んで参つているわけであります。ただいま御指摘の北海道地区の問題につきましてはも銀行の預金と貸出しとの構成内容から見ましても、すでに相当貸してある関係と、それから国債の保有高が他の銀行に比べて特にいいという状態でもないわけでございますので、今後の方策といたしましては、北拓の自己増資を行いますとともに、優先株を見返り資金において購入いたしまして、これによつて金融債を出して参りたい。こういう施策を至急にとることによつて資金の調達を二十五年度には早急に増額いたすように考えているわけであります。今のところ北拓以外を含めまして、大体五つの金融機関において、明年度は五百二十八億円の金融債を出す予定であります。これによつて少し長い方の資金も自由にできますし、長期の運転資金もまかなえるようにする考えであります。
  30. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 この前の委員会におきまして、金融の問題に関しまして活発な討論が行われて、その結果政府当局の御答弁を承るというように相なつてつたかに、私は記憶しているのでございます。まず第一にお伺いいたしたいのはもその点かどうたつておるかということでございます。
  31. 石原圓吉

    ○石原委員長 ちよつとお諮りいたします。ただいま農林大臣が御出席になりましたので、農林大臣に対する御質問もあわせてお願いをいたします。
  32. 福田喜東

    ○福田(喜)委員 そこで第一点は、この委員会におきまして、それぞれ関係地方の御要求等もありましようが、見返り資金の放出のことであります。その点につきまして高度利用、冷凍、冷蔵という方面に非常に御主張のあるのは、まことにごもつともでありますが、一般に、見返り資金を水産方面に、どういうような順位をもつて要請するか。水産御当局は、見返り資金を水産業界に要求するについて、いわゆるスキャップの当局と、いかなる方針のもとに交渉しているか。その経過、経緯、そういう点についてお聞かせ願いたいということ。  それからその利用先につきまして、いかなる業種といいますか、いかなる種類の仕事に最も重点的に、これをどういうふうな方法で利用するか。こういう点について、どういうような御交渉をやつておられるか。その点の経過を聞かしていただきたい。  それからいま一つは、われわれは今西村政務次官のお話を聞きますと、いかに見返り資金なり、あるいは預金部資金なりを出しても、銀行は営業であるから、この点におきまして商売が成り立たぬとなるとなかなか出しにくい。別言すれば、政府保証かなければ、銀行は自己の危険負担においてなかなか貸してくれない。こういつたことを言つておられたのであります。こういうことになりますと、政府保証というものは、われわれが聞くところによると、今日の状況ではなかなか関係方面が許してくれないということであります。そうしますと、水産業界に対する金融が、なかなか掛声だけ勇ましくて、現実はむりではないか。こういう結論に相なるように思いまするが、この点に対する御見解をひとつ承りたい。銀行に対して政府当局が要請するといいますか、強圧を加えるという方針が今日はない以上、いかなる措置を講じても、これはむだなものであろうか。何らか特別の、金融に対して打つべき手はほかにないものか。こういう点について御意見を聞かしていただきたいのであります。承るところによりますと、見返り資金と、それから銀行の手持ち資金でもつて貸出しをした場合に、償還は銀行の、自分の資金の方を先にしてもよろしい。これによつて銀行貸出しを奨励しているということも、われわれは承つているわけでありますか、これだけでは実は足らないのでありまして、何らかもう少し積極的な手はないものだろうか。その点についても御意見を承りたいと思います。
  33. 西村久之

    西村(久)政府委員 見返り資金を使います関係の問題についてお尋ねがありたのでありますが、これは協同組合かやるにいたしましても、その施設を工台といたしまして、どういう施設を協同組合がやるか。こういう施設をやつて、こういうふうな関係になつて来るので設備資金がいる。その施設をやります際に、三年なら三年、五年なら五年で借入金は元利償還ができる。こういう計画が立つて、その書類か出て参りますのを検討いたしまして、そうして見返り資金の貸付をしていいか悪いかという決定をいたすのでありま。計画される事柄の内容がはつきりいたしませんと、どの分は貸す、どの分は貸さないという御返事ができないわけであります。それから先ほどお尋ねになりました銀行関係の問題でありますが、私が申し上げましたように、市中銀行は自衞手段をとりまして、なかなかよう貸さぬのであります。そういうふうな関係で、今まで市中から金をまわすのだ、まわすのだというような調子で来たのが、今日のような金詰まりになつて、水産関係ばかりでなしに、各種の企業が金融に困つてしまうという状態に追い込まれているのであります。これはまた銀行から考えますと、自衛上損をして、赤字を出してまで、銀行自体が金を貸すというようなことは、商売でありますからようなされないのも、これは私どもよくわかるのであります。それで、最も農業なり漁業方面連絡のつきやすい、しかも理解のいい農林中金を利用いたしまして、農林中金の現在の金では貸付資金が足りませんので、資本金を増加いたしまして、その増加の分を見返り資金でひとまず引受けをして、二十倍程度の債券を発行することを認めて行けば、相当額の資金が中金にできるではないか。この金を御意見のような適切なる施設等に運用する、こういう考え方をとつて、現在進みつつあるわけでございます。あながち市中銀行のみに頼つているわけでございません。いろいろ打つ手は打つて考えておりますけれども、金という問題になりますと、なかなか過去の復興金融金庫の金を使つたように簡單に、政府の金でも行かないのでありまして、この点も御了承おきを願いたいのであります。  もう一つお尋ねの点でありますが、これを先にしてこれをあとにするという順位はございません。国の再建に役立つ仕事であり、適切な設備でありまするならば、見返り資金の運用は可能であると存じておるのであります。
  34. 小高熹郎

    ○小高委員 水産金融の面につきまして、はなはだしくこの面が虐待されておるような気がいたしまする関係上、昨年の十一月と思いましたが、私は大蔵省当局に向いまして、全国の各業種別の納税基準を示してもらいたい。そり納税を農業の面において、畜産においてどのくらい、あるいはまた蚕糸業、林業の面においてどのくらいというように、おのおのの業種別で、総括したるところの税金、もちろんそれを要求するのは、水産に関する納税をどのくらい全国的に水産業者がしておるか。その納税の率を見たいからでございます。確かに私はその率を詳細に検討するいとまがないのでありまするが、私の見通しにおいては、納税負担に対するところの義務は果す。しかしながらこれに対するところのめんどうの見方が少いという一つの根拠をねらつて、その数字を要求したのでございますが、その後愛知銀行局長にこれを要求しましたところ、近くお答えいたしますというのであります。前回にも請求いたしたのでありますが、いまだこの資料があると言いながら出て参りません。この資料をすみやかに提示してもりいたいことが一点。  いま一つ水産庁次長にお尋ねいたしますが、水産物が自治統制になる関係上、極度に金融上支障を来す。これに対して協同組合金融しなければなりないというような御意見でありますか、どうも議論が抽象的であつて、答えが出ない。私どもは抽象論を要求するのでなく、結果を、答えを要求するりであります。そういう意味においし、昭和二十四年の一月から二月一ぱいまで、一体何十何億、水産関係において、農林中央金庫が貸し出しをしてくれたかというこの数字及び四月以降——ただいま三月でございますから、四月以降と申し上げますが、将来対してこの数箇月中、水産金融に対して少くともどのくらいの数字が出せるという見通しがあつてよいはずだ。またなければならないはずである。それに対してこの見通し数字を承りたいのであります。この数字、過去の数字及び近き将来の数字を承りませんと、魚民から私どもは絶えず質問を受けるでございますが、返答に困りますので、その点を一点お尋ねしたい。  さらに次には農林大臣に対して御質問いたしまするが、それは金融問題とはちよつと場面がかわりますが、靜岡県の狩野川に対しまする海面汚濁の問題であります。御承知の通り、靜岡県の靜浦地方は、全国に有名なかつをえさいわし漁場でありまして、これに狩野川の汚水、濁水を入れられましたならば、その被害がはなはだしい。もしさようなことが生ずるとしますならば、狩野川附近の農村の被害の何十倍に達するところの、水産業者のかつを不漁による被害というものが予想せられるのでございまして、そのような問題を靜岡県当局におきましても、相当問題にして、かなり論議されておるようでございまするが、はからずも昨年末に至りまして、当委員会にこの問題が持込まれたのでございます。これに対して、水産のウエイト、重要性ということからお考えをいただきまして、かかる問題はひとつはかりにかけて、そうして再び起らないように、適当な御善処を願いたいのでございまするが、これに対しまする農林大臣の所信を伺いたいのでございます。以上三点を質問いたします。
  35. 森幸太郎

    ○森国務大臣 狩野川の通水問題について私の考えておることをお答えいたします。ここへも請願書が出ておりますが、かつて水産委員会から、狩野川の通水工事に対しては、最も愼重に考慮をしてもらいたいという水産委員長の名によつて申し入れがあつたのであります。私は靜岡へ参りましたときに、この問題は相当長い間係争されておるということを聞いております。しかし聞いておりましても、実地を知らないので、建設大臣にも一応建設省の方針を聞いておつたのでありますが、先般靜岡の沼津へ参りまして、よい幸いでありますので、狩野川の状況を見て参つたのであります。まあ地方の人の要求するところはともかくといたしまして、奥山の濫伐、過伐によつて、河底が非常に高くなつてしまつた。従つて堤防を高くする。河底が上る、堤防を高くするという、これは山林を荒した結果こうなるのが当然であります。府県によりましては、川の下を汽車が通つておるというような情勢もありますが、ちようどそういう現状に今まさにならんとしておるのでありまして、たまたま大出水の場合におきましては、河底に注ぐべき水が、河底に注がないために、沿岸の土地に浸水して、その浸水した水のはけ口がないために、せつかく仕付けた田畑が皆無作となります。現に私の見たときも、昨年の稻がそのまま刈らずに捨ててあつた場所も見て参りました。これは国土建設の上から、何とか処置せなければならないということは、だれもが考える問題でございます。しからば今計画されておる靜浦でありますか、あそこにこれを抜いた場合にどうなるか、一年中通じて水を流すのかどうか、またその水を流す時期が限定されるのかどうかということも、調査せなければならぬと思います。また靜浦方面の漁場がどういう状態にあるかということも、十分調査しなければならないのであります。先般知事の意見も一応聞いてはおりましたが、どうかして両者がうまく妥結のできる方法がないかと私は今考慮をいたしておるのであります。従つて水産試験場の技術的立場において、これがどういう影響を及ぼすか、また出水の時期においてどうであるべきかというようなことを、科学的に研究を進めさせて、そうして建設省とよく交渉いたしまして、両者忍ぶべきところは忍び、助け合うところは助け合つて、対立をなさずして、国土建設の上において、また食糧増産の上に、あるいは水産増殖の上において、ためになり、害にならないような方法考えたい、かような考えをもつて今調査を進めておるわけであります。
  36. 山本豊

    山本(豊)政府委員 協同組合に対する貸付状況の月々の動きをお尋ねになつたのでありますが、正確な資料をただいま持つておりませんので、後刻ところを得ましてお答えしたいと思うのでありますが、大体最近、昨年の十一月ごろの状況で申しますると、農林金庫の水産方面に対する貸付の総額が、二十一億ということになつております。しかしその後も次第にふえつつありますから、現在はおそらく三十億近くなつておるのではないかと思います。二十四年度の月々の動き等詳細調べまして、またお答えするなり、あるいは資料でお上げしたいと思います。
  37. 杉山知五郎

    杉山説明員 水産業の占めまする租税全体の中のパーセント及び実額等につきましては、至急主税局長の方から資料を提出していただくようにとりはからいます。
  38. 小高熹郎

    ○小高委員 さらに次長に御質問いたしますが、ここ数箇月間非常に現在の問題として悩んでおるので、その将来の見通しをお尋ねしたのでありますが、そのお答えがございませんが、その見通しをお聞かせいただきたい。  それからもう一点、農林大臣にさらにお願いでございますが、私ども水産常任委員会で狩野川の問題を取上げまして、これは大体及ぼすところがはなはだ大きいのであつて、水産常任委員会としては困る、この水路を開かれては、水産業に及ぼす影響があつてはなはだ迷惑であるというような意見が多いのでありますから、どうかその点を考慮に入れて、今後の御調査の上においてもさらに一段と愼重になさつていただきたいということを、重ねて希望いたします。
  39. 山本豊

    山本(豊)政府委員 二十五年度の水産関係の必要とするいろいろの資金の需要の調べでございますが、こういう全体のものの調べを今とりまとめつつあるわけでありまして、大体できておりますので、それらをよく検討いたしまして、次会に先ほど申しました数字と御一緒にお答えいたしたいと思います。
  40. 夏堀源三郎

    夏堀委員 農林大臣にお伺いいたします。最近人事問題について二つのおもしろい問題がでつち上つた一つ中小企業の問題、それに加えて大蔵大臣の放言、これが大きく社会に取上げられて政治問題となり、そうしてこの問題を銀行等においても相当検討して、非常に活発に動いて来たということであります。もう一つは、その反対に水産庁長官の問題であります。これは前の委員会において農林大臣の御意見もありましたし、委員諸君の御意見発表になつたのでありますけれども、この結末は何が何だか結局責任をとらせたんだ、罷免させたんだということで、ぼやつとなつちやつて、結果において水産庁は非常に沈滞して、委員会でいかに質疑応答を重ねたところでどうにもならんと、私ども考えております。これにどうして活気を入れるかということが問題になつておるのであります。さしあたり農林大臣は、次の水産庁長官を御任命になる、その御構想は何かおありでしようけれども、その時期及びどのようなことをお考えになつておるか。それで現在の沈滞した水産庁の問題をどうお考えになつておるか。最高責任者としての御意見を承わりたい。  なお先ほど金融問題で私いろいろ質疑をしましたが、中小企業を大きく取上げられたけれども、漁業関係はまつたく無規されておるというか軽視されておるというか、たとえば税金関係でも、これはどうかと思いますけれども、ある地方では非常に生活に困つて、不漁の結果どうにもならぬとした場合に、船舶、しかも零細漁民の小型船舶、漁具及びバッテリー、帆、そうしたようなものも差押処分を受けておるのであります。これは一体いいのか悪いのか、これは明らかに国税徴収法によつて、第十七條に職業に必要なる器具及びその材料は差押えしてはならぬということが明示してあるようであります。なお最近復金及び勧銀方面から償還期がだんだん来ておりますので、非常に強いことになつております。これは当然なことでありますが、戰災において燒失した船舶、当時軍から徴用されたか、だれも好んでその徴用に応ずるものはないのであります。しかしそうした事態によつて、やむを得ず徴用されて船舶は燒失し、それに対する保險金さえ満足に受取れない。かかる金融関係においてどう政府はあつせんするのか。現在の代船はある程度建造されたのでありますけれども、こうしたはめになつて、なお現在において、債権者として当然やるべきことではあるかもしれませんけれども、これに対して強硬に処分、処置をするということに対して、政府はどのようなお考えを持つておられますか。  なおもう一つ金融関係で、今大臣がお見えになります前に、金融対策に対していろいろ質疑をいたしましたが、私はこの際に大きく恒久対策として、この問題を根本的に解決をつけなければ割り切れないものである、こう考えております。まず漁業法の改正だより、漁業権証券の交付は二箇年後になるわけであります。これは漁業権証券の交付によつて、その証券を現金化するということを、日銀等の操作によつてやらなければ、どうにもならぬような状態になつておる。それによつて水産業の金融は、根本的に解決がつくのではないだろうか。できろならばここに水産金庫の設置を要望したい。これに対して水産庁長官は、ごもつともである、そういう線で進みたいものであるという答弁に接しておるのであります。私はここに大蔵大臣にきよう申し入れたいことがあるから、これはできるかどうかわからぬが大きな問題なので、漁業法改正によつて漁業権証券の交付は二箇年後になろのでありますが、目下の窮迫せる現状にかんがみまして、これに対してのつなぎ資金として、政府より何か仮支出の方法を法的に研究して、ここに充当すべき資金をも、見返り資金の運用と相まつて、急速にこれが実現をはかつて、水産金庫を設置するということによつての水産金融の根本的な解決策を、ここに見出さなければいかぬではないか。私がこう申しましたところで、二箇年後の証券の交付を、今からそのようなことを言つてもこれはむりである。こうお考えになることは当然であります。私もむりなことは知つております。けれども日本の水産は、補給金の打切りによつてまた統制撤廃魚価の暴落、加えてこの金詰まりによつて、もう二進も三進もできないのだ、いわゆる壊滅状態に瀕しつつあるのだ、そうして政府及び国民は、これはいわゆる政治的な面が足らぬということは、われわれにもこの責任はあるではありましようけれども、これに対して顧みるものがないといたしますならば、三百万漁民の名によつてわれわれは政府に対して何かしら要求せざるを得ない段階に到達するおそれが多分にあると思いますので、これに対する根本策を講じてもらはなければならぬ。きようはきようのお願い、あしたはあしたのお願い。こう委員会で毎日騒いでおつたところで、その効果まことに乏しい。それでこれに対する根本対策は、こうした大きな問題によつて解決点を見出す以外にはないではないだろうか。しかしそれは非常に困難なことである。非常に困難なことであるから、これを一拳に打建てるということはむずかしいというのであるならば、政治という力によつて国民を救済することは、これはいやだというように解釈してよろしいか。私がただいま申し上げましたように、税金のために生活必需品及び生活資材さえも差押処分を受けねばならぬ漁民の窮状を訴えて、世界一の産業である水産を、伸ばせば伸びる力を持つているにもかかわらず、政治力の乏しいために、そのまま無視、軽視されるということに対して遺憾の意を表するのであります。先ほども申し上げましたように、現状のままでは水産は壊滅状態になるおそれが多分にある。ゆえにここに大きな政治力によつて、救済し得る対策農林大臣はお持ちになつておるかどうか。これは今はこの程度でありますけれども、おそらく次の秋漁期には資材を購入する場合に、二倍、二倍半に上るためにそれの購入ができず、魚価の安いために経営が成り立たないということになろおそれが多分にあることを私は心配して、今この問題を取上げたのでありますけれども、これ以上零細漁民はどうにも生計が成り立たず、一村落全部その日の生活ができないということがざらにあるのではないだろうか。これの対策はどういう方法を持つて行けばいいのだろうか、これをお伺いしたいのであります。  そしてなおあと質問者もあるでしようから簡單にしますが、私は西村政務次官の先ほどおつしやつた自由経済論に対して、いささか意見を異にしておるものであります。なるほど自由経済は力のあるものが金を持つて行つて安いものを買つて来ることは一向さしつかえない。どこへ持つて行こうと一向さしつかえない。それはその通りであります。力の弱いものは整理され、力の強いものは伸びるということは自由経済の建前でありますけれども、現段階中小企業を基盤として日本の経済を再建するという立場をとるのは、何ら現在もかわりはないと思うがしかるに見返り資金等の運用についても、一般の中小企業及び零細漁民に直接わたるような形にはなつておらず、大資本企業体にのみ融資されておる現状である。これを組合の組織によつて弱い中小企業を救済することがいわゆる政治であり、自由企業においてなお一層それを強化したければならぬという考えを持つことは、当然であると私は考えております。にしん漁業においても金のないものは銀行融通を受けることができませんために、動くことができないで困る。そのために一般消費者も困る。こうしたことを自由主義経済の極端なあり方によつて放置するならば、需給関係混乱し、生活は脅かされ、生産は停頓する。それで政治が成り立つかということを、私は言わざるを得ないのであります。そうした意味において、政務次官の言つたことは私は違つた意見を持つているものであります。極端な資本主義のあり方に対しては、私は遺憾の意を表するものであります。経済力の乏しい中小企業農漁村の大衆に対して、政府かどこまでも救いの手を伸ばさなければ、私は自由党としても今後において非常に困難な段階に入ることをおそれるのであります。おそらくこれは政治家として、どなたも考えざるを得ないことであり、自由経済に対する極端な資本主義的なあり方に対しては、私は過渡期において相当大きな政治的な手を伸ばさなければならぬと思います。以上農林大臣と、先ほど西村政務次官のおつしやつたことに対し、私の意見を加えまして、御答弁を煩わす次第であります。
  41. 林好次

    ○林(好)委員 ちよつと農林大臣夏堀さんの御質問に関連してお尋ねをいたしたいと存じます。ただいま夏堀委員からもお話がありましたように、水産庁長官は罷免問題によつて現在空白になつておるわけであります。しかしながら水産の問題については、本国会に提案される重要法案も多数ありますし、その他一般の水産行政においても、長官が空白になつておるために、遅々として振わないのであります。現在のような状況では、おそらく本国会にすべての法案が提案されないのではなかろうかというような心配を、私どもは持つておるものであります。従つて後任長官が見つかるまでは、農林大臣がみずから水産行政のために陣頭に立つて、御奮闘をいただきます御意思があるかないかということを、お伺いいたしますことと、また後任長官につきましては、ただいま申し上げましたように、一日も早く決定をしていただかなければ、水産行政に非常な支障を来すのでございまして、これらの点について、農林大臣からお答えをいただきたいと存じます。
  42. 森幸太郎

    ○森国務大臣 水産行政についていろいろ御親切な御忠告を受けて感謝します。行政部面のことでありますから、行政庁をあずかつておる私の責任において水産行政をやつて行くつもりであります。水産庁長官が欠員であるがために、日本の水産行政が停滞するということは、断じてあつてはならないし、やらせません。近く後任も決定するわけでありますが、それまでの間は、山本次長水産庁長官の心得としてその責任に置いておくわけであります。行政庁のことでありますので、行政長官として私が責任を持つてやることだけは御了承を得たいと存じます。御忠告はありがたくお受けいたします。  なお金融問題については、かつて水産金融金庫、中小金融金庫等をつくる計画があつたのであります。しかしながらこれはその資金面において関係方面の了解を得ることができ得なかつたので、これが実現は不可能になつたわけであります。農林中央金庫によつて農林水産の資金融通するという重大な責任が加わつてつたのでありますので、今回農林中央金庫の内容を充実いたしまして、少くとも百五十億万円の巨額を融通し得られる計画を進めておるわけであります。従つて見返り資金等からもその資金を求めておるわけでありますが、御承知の通り見返り資金は特に関係方面との折衝が困難でありますので、政府の一方的考え方によつてこれを実現することは不可能でありますが、水産業方面においても相当の額が見込まれておるのであります。これはひとり大きい資本漁業にのみなすことでないのでありまして零細なる漁業においても、この資金の恩恵に浴せしめるという考え方を持つておるのであります。ただここで私が申し上げておきたいことは、農業においても、水産においても、この原始産業はまことに力が弱いのであります。ことに沿岸漁業においても、自家労力でやるような漁業者は、資金もなく。また收入も少いので、まことに弱いのであります。こういう信用力のない農業者、水産業者に対しましては、どうして金の融通をするかということは、ひとり法制化されておるところの協同組合の力によらなければならぬのであります。今同漁業協同組合が改組されましていよいよ新しく漁業協同組合も設置せられまして、この漁業は原始産業であり、まことに力弱いものであるが、漁業協同組合の大きい力によつて、ますます資本化して行くということが考えられるのであります。それで農林中央金庫においても、漁業協同組合の健全なる発達を見、その健全なる協同組合を信頼して、金融の道を開くということが残されておる問題でありますので、政府においては、漁業協同組合を、どうかしてほんとうのりつぱな協同組合につくり上げたいと考えておるわけであります。今回近く水産物統制撤廃いたします。自由な立場に置くのでありますが、西村政務次官がどういうふうにお答えになりましたか。自由主義のことはいろいろ考え方がありますが、決して政府は極端なる自由主義をもつて臨まんとするのではありません。そこに働きがいのある事態でなければならぬ。今までのように統制をしておりますと、横着をしておつても働いても、その報いられるところが同じことであるという、この悪平等な思想が、今日までの経済社会を支配して参りましたので、今日われわれは、これを自由主義経済にもどしたいという気持であるのであります。働けば働くだけ、それだけの報いるものが自分にあるということでなければならぬと考えるのであります。しかし手放しの自由主義であつてはならない。そこに社会政策を織り込んだよきところのものを集めて、大きい力として大きいものに対抗せしめるという、社会政策を織り込んだ自由主義でなければならぬと考えておるのであります。極端な、弱いものは滅びろ、大きいものはますます大きくなれという昔の古き自由主義ではないのであります。ことに農業者においても、漁業者においてもまことに小さいものなのでありますから、協同組合の発達によつて、大きい力となつて、お互いが助け合つて行くというように指導して行きたいと考えておるわけであります。
  43. 夏堀源三郎

    夏堀委員 ただいま農林大臣の御答弁で、協同組合の強化をはかるということでありますが、それはその通りであります。しかし私どもの今見た目では、協同組合はむしろ弱体化したのではないか。これは法律上の考えはよろしいでしようけれども、現段階においてはまだ強化されておらぬ。そうした段階において、協同組合を強化する方法はどこにあるか。これに対しては、組合の組束した力に対して金融をする以外にはないのだ。その金融をしたくとも、弱いから金融機関は出さぬのだ。なるほど農林中央金庫はこれから増資及び見返り資金によつて、いろいろなことが計画にはございましようけれども、しかしこれを実施する段階において、やはり依然として弱い者は弱い者なりに、これを強くする方法はやはり金融によつてということになるので、そこで今私が申し上げたことは、政治は、やはり非常に困窮しておる者に対して救いの手を伸ばすことが当然なのであつて、ただ貸しても返せぬからそれでは貸さぬということだけでは困るのである。そこにこの百七十億円の漁業権証券が、組合の所有しておる分が、私の勘定では大体百三、四十億円くらいになるのではないだろうか。これを見返りとして今の組合の強化をはかりそうして金融を與えるということが非常によろしいのではないか。ただそれに対する金融といつたところで、これはばらまいたのではしようがない。水産金融金庫を設置して、根本的な金融対策を確立することが、最も良策ではないかという意味で申し上げたのであつて農林大臣の御答弁なつたらその趣旨と、私の考えと同一であります。ただその方法をどこに持つて行くかということを私が今質問しているのであつ、今の御答弁では抽象的でぴんと私には来ませんので、この点をもう一ぺん御答弁にあずかり“そうして現在非常に窮迫しておる零細漁民に対しての、何らかの救済的打開策があるかどうか。そうして水産庁には、これに対して各府県からこういうものの調査資料をお集めになつておろかどうか。私の方もいろいろ調べておりますけれども、先ほど申し上げましたような漁具、生活資材、ただ一つつておるそれさえも、法律を犯して税務署の官吏が差押えて、国民の生活権さえ奪つておるのではないか。これを政府はどう見るか。これはある一端にすぎないのでありますけれども、こうしたことがたくさん出たのではたいへんなことでありますが、こういうものに対する資料を水産庁で十分お集めになつて、これに対する対策を講じなければならぬ。いわゆる窮迫せる漁村の窮乏を、政治的にいかにして救済の方法を立てるか。このことを農林大臣にお伺いしておるのであります。
  44. 森幸太郎

    ○森国務大臣 今例示されたような生活必需的な漁具を差押えするということは、これは違法なことであります。もしそういうふうな事実がありといたすたらば、もつてのほかの次第であります。これは大蔵大臣に対して十分に警告をいたしまして、さようなことのないようにいたしたいと考えております。  次に御質問になつておることは、抽象的にこの力弱き漁業者をどうして救うか、こういう御質問でありましたが、これは漁業者も農業者も同じでありますが、しつかりと自分で立ち上るという考え方を持つてもらわなければならぬと思うのであります。今回漁業協同組合に改組いたしました、あるいは農業協同組合に改組いたしましたゆえんは、従来水産業会といい、あるいは農業会といい、一つの戦時立法と申しますか、政府のやる仕事を農業会水産業会という会に、これを代行せしめたということが相当あるのであります。つまり行政の一環をこの業会を通じて実施する。それでありますから、強制加入であります。農業会をつくれ、あるいは水産業会をつくれ、そうしてほかの漁業者の組織を三分の二以上のものでつくつた以上は、その指定区域におけるところの業者は、いやでも応でもこれに加入しなければならぬ、こういうことであります。農業会においても、水産業会と同様であつたのであります。さような非民主的なことで、業者自身が欲せないことでも、国家の総合的な施策を考えれば、これを行わしめたということは御承知の通りであります。それを根本的に改めて、民主主義的な組織に改める。それが今回の協同組合の趣旨であります。従つて任意加入ということですなわち出たり入つたりするとは自由であります。そうして一地区において二つできようと三つできようと、その地方の実態においてやります。でありますから協同組合をつくろうとつくるまいと、業者の自由意思にまかしておる、まことに民主的な組織であります。しかもこれらの協同組合というものに対しては、政府は絶対にくちばしを入れてはならないのであります。指導してはならないのであります。農業者が自分らの農業を経営する上において、同じ立場におるものが集まつて農業協同組合をつくる。漁業者が自分の漁業を発達せしめるために、同じ環境にある漁業者が集まつて協同組合をつくる。こういうのであります。いわゆるまつたく自主的な立場でつくるのでありまして、政府からああしろ、こうしろというさしずは、絶対に許されないのであります。従つて今後の農業においても、水産漁業においても、自分らの業を発達するということはどうして行つた方かいいかという、各業者の自覚によつて、この協同組合を生かして行く。そういう立場に協同組合ができ上つて、そこで政府はこれらの協同組合がうまく行くように、その指導の面において、あるいはこれらの経営の面において指導者なり、あるいは技術者の養成等をこちらが指導して行く、応援して行くということを考えておるのであります。この点をよく漁業者なり、農業者が自覚してもらつて、初めてこの協同組合というものが軌道に乗つて来るのではだかろうか、またそうして軌道に乗せるべきであると考えておるわけであります。
  45. 松田鐵藏

    ○松田委員 われわれは、選挙の当時公約いたしました水産物統制が、政府の努力によりまして近く撤廃になるという朗報を得たのでありまして、これに対しては満腔の敬意を表する次第であります。だがあまりにも遅過ぎたのにいささかあきたらぬ点があるのであります。ところがいまだに統制を持続されておるものは、生産される面に対しては肥料があります。この肥料の点は先ほど西村政務次官から御説明があつたので、これを了とするものであります。資材の点につきましては重油でありますが、この前農林大臣の御出席の場合に、これをお話申し上げたのでありますが、今日盛漁期を前に控えて重油の現在まで獲得しておる数量は四十七万キロという数字になつておる。しかもこれが天然資源局において、反対の空気が非常に強かつたのにもかかわらず、水産庁は基本割当の方法をとつたのであります。私ども委員会において、何のために基本割当をしなければならないかということを議論をしたのでありますが、その当時の資材課長の説明によりますと、これが最善の方法であるというように申しておつたのであります。現在におきましては、故障を生じて出漁不可能な船に対しましても、稼働船として油が配給されるというような段階になつておるのであります。少いものをわずかな数量をわけ與えるのには、働かざる者食うべからずであつて、真に働いておる者にこそ、油の配給をやるのが、至当な考え方ではなかろうかと、われわれは常にこの点を主張しておるのでありますが、現在いまだに基本配給の域を脱していないのであります。この点に対して水産庁、また農林大臣に、ただちに基本配給をやめて、その漁獲高によつて配給の方法を構ぜられんことをお願いするものであります。また四十七万キロの数量においては、年々漁獲が不足になつて来る傾向がありまして、いかにしてもこの四十七万キロではとうていまかない切れない実態にあることは、水産庁もよくわかつておるのでありますから、二割ないし三割の増配をされんことを、特に農林大臣はGHQに対して、御善処あらんことをお願いしたいと存ずるものであります。  また先ほど来、いろいろ議論の出ておりました鮮魚統制撤廃の点で、自治統制という言葉が各委員の方から出ておつたようであります。この点に対して水産庁はよくお考えを願いたい。せつかく国が、またわが党が努力の結果、統制撤廃を今日する段階になつたのに対して、自治統制とかいう考え方を持つておるなどということは、またその言葉を使うということさえも、われわれは選挙民に対して、まことにはずかしい話ではないかと思う。それは自主統制のあやまりではなかろうかと私は考えるのでありますが、この自主統制ということは資本主義下においても、りつぱに行われなければならないものであり、イギリスにおいては、四十年以前からにしんの自主統制が行われておるが、これは輸出貿易に供せんがための一つの会社の自主統制を行うものでありまして、自治統制などということをやつたときにおいては、必ずや前の統制と同じような結果を来すことは、火を見るよりも明らかなのでありまして、この点に対して水産庁は地行自治体に対しては、できるだけ自治統制などという指導をしないように、お願いしたいと存ずるものであります。この点お願いしておきたいと存じますが、今の油の点について御答弁を願いたいと思います。
  46. 森幸太郎

    ○森国務大臣 資材の配給は、一時リンク制になつてつたことは御承知の通りであります。しかし漁業というものは、出漁いたしましても必ず漁獲があるかはわからないのでありまして、たまさか何らかの漁もなくて帰つて来ると、油は使つたがそのためによけいに油をもらえないという不自然な状況にあると思う。これは大体統制しておつた魚類に対してはリンクしておつたが、統制外の特殊な漁業にはリンクがないというような不自然のことが行われておつたのであります。当初司令部の方針といたしましては、食糧確保の上において、漁獲高によつてこれをリンクすべきだという考え方が、一応あつたようでありますが、これは実際に合いません。従つて今のような方法に切りかえてやつておるわけであります。しかし十分たる量を獲得でき得ないのでありますが、できるだけその実際に適合するような数量の配給をいたしたい。また配給すべきであると考えておるわけであります。なお自主統制とかなんとかいうお話がありましたが、これは統制撤廃いたしましたならば、あくまでも撤廃でありまして、断じてさようなことはない、統制を根本的にはずした以上は、あくまでも自由な立場に置かれるというふうに御承知願いたいと存じます。
  47. 夏堀源三郎

    夏堀委員 今国をあげての大きな問題となつている地方税の問題ですが、特に漁業者は立ち行くか立ち行かないかという段階に入つておりまして、附加価値税、固定資産税というように、牧益によらざろものに賦課されるということは大問題でありますので、委員会においてこの問題を取上げて、一応政府に対して要望をいたしておきます。過般大臣室で大臣説明しておられますけれどもちようどきようはよい機会でありますから、本委員会を通じて、大臣にこのことを説明していただきたいと思います。御承知の通り農業、林業は非課税であるにかかわらず、漁業に対してのみ課税するということは、不合理であると考えるのであります。この理由はどこにあるかといえば、捕鯨のような大企業を持つておる会社もありますので、ここに零細漁民との関係において非常に矛盾しておる。それを一括して漁業にはやはり課税するという観点に立つたのではないか、こう私は考えまするので後日地方行政委員会に合同審議会を申し込んでおりますが、その案として、漁業は原則として非課税とし、大資本——これは業種別にあげてよいかどうか検討したいと思いますが、大資本に対してのみ政令によつてこれを定める、こういうことに考えております。なお固定資産について、これは御承知の通り漁業は非常に危険な業であるために、漁船保険にいたしても資産を十分に保護しておらぬのであります。たとえば三十トン以上の船舶に対しては、四箇年以内の船舶に対して、保険金額の五割を越えてはならないと、漁船保険法に明記しております。いわゆる財産さえ保護されておらないのであります。ここに陸上の資産と違つておるわけがあるのであつて、こういう場合に、特殊な漁業でありますので、地方税制改革に対しては、附加価値税、固定資産税、その他所得の面もありまするが、これはすでに書類をもつて大臣のお手元にまで差上げておりますので、十分にこの点を御検討くださいまして、この段階に来れば非常にむずかしいそうでありますけれども、ひとつ大臣の政治力をもつて漁業者の特別な苦しい立場に御同情くださいまして、善処せられんことをお願いいたします。
  48. 森幸太郎

    ○森国務大臣 地方税の設定につきましては、先般夏堀委員より、今お持ちになつておる資料をいただきまして、るろ事情を承つたのであります。地方税設定は御承知のシャウプの勧告に基きまして、政府が起案いたしたのでありますが、今なお難航を続けておりまして、これは予算審議の関係から急速に提案せなければならないというので、意見の一致を見ないような場合もあつたのでありますが、大体もうしかたがない、この程度で提案せざるを得ぬというので、原案のとりまとめをいたしたのであります。今お述べになりましたように、農業、林業が課税されておらない。それに畜産業、水産業が課税されておることは不合理である、こういう御議論のようであります。それで夏堀委員からの御意見によれば、漁業も課税せないのである。しかしながら政令で定めるものについてはこれを除くというふうに、いわゆる資本主義的な漁業——二十種か三十種くらいであるから、それを政令で定めて課税したらどうか、こういう御意見であるのであります。もちろん自家労力でやられる漁業には課税しないのであります。しかしながら農業と申しましても、これが資本的に企業化してやる場合においては、これは課税されるのであります。林業も課税せないということになつておりますけれども、会社等、資本的に大きく、木材あるいは薪炭等の生産をやれば、これは林業といいながらも課税されるのであります。しかし大体において農業、林業というものは課税されないと言つてさしつかえないのでありますが、水産業と申しますと、何分零細な自家労力の漁業者がその八割、九割を占めておるのであるから、課税せない。しかしながらこれこれのものだけは課税するということを政令できめたらどうか、こういう御意見でありますが、この法の建前で、課税すべきかすべきでないかということは検討を加えて、課税するとしたならば、政令によつてこれこれは除く、いわゆる除外するものを政令に持つて来るのであります。政令によつて課税するものをきめるということは、立法の形式から申しましても、これは不合理なのであります。ことに水産業としましては、たくさんな資本主義漁業があるのでありまして、漁業全体を課税せないということは一応理論が立たないのであります。それでありますからこの点は夏堀委員にもよく申し上げておつたのでありますが、政令で課税するものをきめるということは理論が立ちませんので、一応は課税される。しかしながら自家労力をもつてする零細漁業には課税せない、こういう建前になつておるのであります。この点はひとつ十分御了承をお願いしたいと思いますが、提案の上におきましては、もちろん立法府の皆様でありまするから、あくまでも不合理な原案を政府が出しました場合においては、適当に修正されることは立法府の権限に属するわけでありますが、政府の立場といたしましては、シャウプ勧告案に基いて出したような次第であることを、御了承願いたいと思います。
  49. 夏堀源三郎

    夏堀委員 よくわかりました。しかし私の申し上げることは確かに当ると考えております。漁業のような原始産業のたくさんにあるものに、附加価値税のようなこうした苛酷な課税をすることによつて、結局事業は成立たぬ。その設備を売り拂つて、いわゆる商業資本に転換するという傾向が出て来るんじやないか。ここにますます漁業は衰退するということに、結果においてなることを私は恐れるのであります。そこで税によつて産業を壊滅状態に持つて来ることは、非常に恐るべきことであつてすでに昨年と本年とを比べて、全産業の生産は若干下まわておるようなことが朝日新聞などに見えておりますが、特にこの地方税の実行において、ますますそういう傾向が強くなつて、結局商業資本が非常に多くなるこういう傾向になりはせぬか。自立経済が破壊されるんじやないかと考えておるのであります。そうしたようなことをお含みの上で——なるほど一応はあちらの考えでありますから、ただいまの大臣答弁はやむを得ないでしようけれども、一応漁業の原始産業ということをもう一ぺんお考えになつて、先に申し上げたことを強力にお進めあらんことをお願いいたします。     —————————————
  50. 早川崇

    ○早川委員 質疑と関係ないのですが、本会議関係がありますので、ちよつと御報告申し上げます。一昨日の漁業法の一部改正法律案の討論にあたりまして共産党の井之口議員の発言中、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━この報告は事実にまつたく背反し、委員長並びに現地を視察された委員各位の名誉を傷つけますので、後日漁業法の審議にこの記録が残ることは、非常に委員会としても迷惑であります。従つて共産党の方にただいま抗議を申し込みましたところ、春日委員からこの文句の中で、「━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━」という文句を、本日の本会議において議長を通じて訂正するということの回答がございました。この点御報告しておきます。
  51. 石原圓吉

    ○石原委員長 ただいまの御報告に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 石原圓吉

    ○石原委員長 異議なしと認めます、
  53. 石原圓吉

    ○石原委員長 この際農林大臣に申し上げておきますが、本委員会は、去る十三日と、昨十五日に、委員会及び理事会、小委員会を開催しまして、目下差追つておる法案の出ないこと、その他統制撤廃による市場の整理を要する問題、その他の重要問題につきまして回を重ねて審議をしたのでありますが、その一定の要望といたしましては、水産庁長官ができるまでは、本委員会へは農林大臣が出席することを要望するという点と、水産庁長官はなるべくすみやかに後任者の選定を望むという、この二つの申合せをしたわけでありますから、この際農林大臣の御了承を願つておきます。
  54. 森幸太郎

    ○森国務大臣 今のような御希望は一応ごもつともと存じますが、国会と政府との立場におきまして、大臣は一人しかおらないのであります。農林大臣がおらなければ困るというようなことでは、御御承知のごとく、きようも参議院に農林委員会があり、予算委員会が今開かれて、私も出席を要求されているのであります。そのために政務次官というものが議会と行政府との連絡のためにあるのであります。ことに水産庁長官というものは行政の事務官であります。その事務官が今欠員であるから、それがために長官の心得を次長に命じておるのでありますから、少くとも農林行政においては欠陷がないのであります。しかるに農林大臣が、出て来なければ水産委員会というものは開けない。それでは結局あなたの方で委員会というものはお開きになれないことになる。はなはだそういうことでは議院の運営をみずから傷つけられることではないかと存じます。私は佑申入れがありましても、その通り私がここに出得ないことは御了承願いたいと思います。
  55. 石原圓吉

    ○石原委員長 それはちよつと森農林大臣の聞き違いだと思います。この時局下水産関係の問題をすみやかに解決したいから、なるべく農林大臣委員会へ出席を望むというので、絶対に出席せよ、しなければ委員会を開かないというような、さような非常識な、極端な申合せではないのであります。でき得るだけ出席を望む、こういう程度でありますから、どうぞそう四角張らずに御了承を願います。(拍手)
  56. 石原圓吉

    ○石原委員長 なおこの際お諮りいたします。昨十五日川村善八郎君の辞任に伴い、理事補欠選任、水産金融並びに漁業災害補償に関する小委員、漁業制度に関する小委員、漁港に関する小委員水産物集荷配給並びに水産貿易に関する小委員、漁船並びに水産資材に関する小委員各一名の補欠選任、及び漁港に関する小委員長補欠選任を行いたいと思いますが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 石原圓吉

    ○石原委員長 それでは本日川村善八郎君が再び議長において委員に選任されましたので、前同様、以上の理事、各小委員、漁港に関する小委員長川村善八郎君を指名いたします。     —————————————
  58. 石原圓吉

    ○石原委員長 次に狩野川の問題で多数の方々、が陳情に参つておられますから、散会後その諸君の陳情をお聞き取り願いたいと思います。つきましてはこの場合委員長より参考に申し上げたいのは、最近委員長一行が燒津、清水へ参りました当時、関係者が参りましてこの狩野川放水路の問題は、今の放水路の附近、淡島の定置漁業の経営者およそ七、八十名が反対するだけであつて、その他の漁村関係者は反対しないことになつたという話を聞いたのであります。これは意外のことであるということさ、私どもは非常なる不安を感じたのであります。絶対さようなことはなかろうとは思つてつたが、その後関係者より何らの申入れがなかつたのでありますが、本日遠藤三郎君の御紹介による請願書が出まして、この多数の署名の請願書が出たわけであります。水産問題については、さしあたり最も重要な事件と考えますので、委員諸君のこの陳情のお聞取りを、散会後ただちにお願いする次第であります。  本委員会はこれをもつて散会します。     午後一時十七分散会