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1950-03-13 第7回国会 衆議院 水産委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十三日(月曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君    理事 早川  崇君       川端 佳夫君    田口長治郎君       田渕 光一君    玉置 信一君       冨永格五郎君    福田 喜東君       井之口政雄君    岡田 勢一君  委員外出席者         農林事務官         (水産庁漁政部         長)     松任谷健太郎君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   戸嶋 芳雄君         農 林 技 官 高橋清三郎君         專  門  員 小安 正三君 三月九日  為石に避難港築設の請願(岡延右エ門君外五名  紹介)(第一三二八号) の審査を本委員会に付託された。 同日  機船底びき網漁船に対し重油増配陳情書  (第五七八号)  児島湾の淡水化に伴う漁業対策に関する陳情書  (第五八二号)  漁村金融方策確立等に関する陳情書  (第五八五号)  水産業協同組合法中改正の陳情書  (第五八六号)  二名村漁港改修に関する陳情書  (第五八七号)  底びき漁業整理復元と漁区の調整等に関する  陳情書  (第五八八号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  水産行政に関する件を議題として審査を進めます。まず松田委員より御発言を願います。
  3. 松田鐵藏

    松田委員 漁船法案につきましては、さきに小委員会に付託されたのでありました。いろいろとGHQの方とも折衝いたしまして、ただいまお手元にお配りをしましたこの法案にまとめてみたのでありますが、この点委員長から御審議を願われまして、これでよかつたならば法案として、急速に上程していただくように願いたいと思います。
  4. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 ただいま松田委員から漁船法に関する小委員会中間報告があつたわけでありますが、これはいずれ関係方面の了解を得られますれば、小委員会をお開きになりまして、小委員会から正式に委員会報告され、委員会において討論、採決に入られるものと思いますが、ただいまの松山小委員長の御報告中間報告という取扱いでお進みにたりましたらどうかと思います。
  5. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま鈴木委員の御発言通りに、一応配付を受けたので、この案を各委員が検討するということにとどめてよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 石原圓吉

    石原委員長 それではさようとりはからいます。     —————————————
  7. 松田鐵藏

    松田委員 食用がえるのことにつきまして、いろいろと業者の方から陳情かありましたので、一応水産庁の係官から、ただいまの状況がどういうようになつておるか、要するに捕獲禁止をするという意向があやまり伝えられて、漁業者が非常に心配をしておるようでありまして、この点委員会に対する御報告を願いたいと思います。
  8. 高橋清三郎

    高橋説明員 ただいま御質問のありました食用がえるの捕獲に関する問題ですが、この問題にお答え申し上げます前に、食用がえるが現在輸出水産物として非常に重大な位置を占めておるということを申し上げなければならぬと思います。  これは戰前においても、かなり多額の輸出をしておつたのですが、ことに経戰後冷凍水産物輸出の増進に伴つて食用がえるの冷凍品輸出も、かなり大きな産額を占めるようになつたのであります。ことに昭和二十四年度、昨年度におきまして婆約三十八万ポンド、金額にしまして一億七十万円くらいの輸出額を広しております。ところが現在輸出されております食用かえるは、ほとんど全部天然繁殖したかえるでございます。これを輸出の値段が相当よいために、どんどん無制眠に採捕し三輸出に向けておるというような関係上、もしこのままに放任されますと、日ならずして濫獲の結果、ほとんど輸出がストツプするのじやないかという杞憂が持たれる状況になりましたので、輸出業者の方からも、またかえるの輸出について相当大きな関心を持つておる関係の各府県からも、何とか資源保護について手を打つてもらいたいという強い要望がありまし三昨年水産庁の方で、とりあえず資源保護方法としまして、小さなかえるだけはとらないようにしたらどうか、五百匁以下のかえるは捕獲を禁止するという規則を、各府県取締り規則の中に設ける措置をとつたのでございます。現在それが励行されておるわけですが、最近に至つて資源保護のために、單なる体重の捕獲制限だけでは小徹底であるから、なお一歩進めて、める一定期間はこれを捕獲しないよう、つまり禁りよう期間を設けてもらいたいという要望がかなり強く出ておるわけであります。ただいまの御質問は、おそらくこの禁りよう期間設定について、かえるのために被害を受けておる農業者側から出ておる要望だと存じますが、私どもとしても、食用がえるが一面において輸出水産物としてかなり重要心位置を占めておるが、しかし一面において農業者に対して相当被害を與えておるということを聞いておりますので、この禁りよう期間設定については軽率に省令その他の方法で全国的に制定するということは、かなり愼重を要する問題である。従つ資源保護のために、どうしてもそういう措置が必要であるという各府県の日主的な判断にまかせまして、農民側希望と合致する線で、各府県食用かえるの取締りをすることは一向かまわぬ。大体そういう方向で取扱つたらどうかというりように考えます。
  9. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまの説明で十分わかるのでありますが、時期の制限ということは、捕獲業者から言わせますと、やみ夜の晩でなければかえるを捕獲することができない。そうしますと一箇月に約十日間よりない、それに風があつて捕獲することができないというようなことで、いくら常時に捕獲しても一向にさしつかえないものであり、また農家から言わせますと、かえりと雷魚とざりがにだけは一匹もいないようにしたいというのが農家希望だというのであります。さように非常に農作物また養魚業者に対しては被害を與えるものでありますが、今日のように冷凍輸出物として重要な位置を占めているのであるから、捕獲禁止の時期ということは制限さしてもらわないように、できるだけ多く捕獲することを農家捕獲業者希望する、但し水産庁の言われる五十匁以下のかえるはとらないようにして、資源維持をはかりたい、それて十分繁殖は成立つのである、捕獲する方と農民の方からかような意見を私は聞いたのであります。この点をその場合の参考にしていただきたいと考えます。
  10. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 この食用がえるの禁りよう期設定の問題は、今御説明通り農作物に対する被害ということが一つの前提になつ三それに対する反対意見農家の面からも出ているわけでありますが、御当局專門的立場からみまして、この食用がえるがどの程度農作物に対して被害を與えるものなのか、またもし農作物に対して被害を與えるとするならば、農家の受ける被害の額と、わが国食用がえるの冷凍輸出をして、国際貿易上に得るところの利益とを比較勘案した場合に、国家的見地からみて、どういう関係にあるかということも、十分調査する必要があると思うのでありますが、これに対して、御当局はどのような御見解を持つておるが、その点を伺いたいと思います。
  11. 高橋清三郎

    高橋説明員 ただいまの鈴木委員からの御質問でございますが、御質問調査の数字は、ただいままでございません。ただ農作物被害を及ぼすということは、私どもごく最近になつて耳にしておるのであります。その内容を聞きますと、主として田植え後に苗をかえるが踏み倒して、そのために枯死させる場合もあるという程度で、そう大きな被害を及ぼすというふうには、実は今まで聞いていなかつたのであります。ただ先ほど松田委員のおつしやられたざりがに被害というものは、かなり大きなものである。田植えをした稻の苗を片つぱしから食い切つてしまう、場合によつて田植えを二度もしなければいかぬ地方さえあるというふうに聞いておるのでありますが、かえるの場合は、今まではそう大きな被害を及ぼすという話は聞いていなかつたのであります。ただいままで、その点については調査をしておりませんでしたが、ただいまの鈴木委員の御注意によりまして、早急にそういうことを調査いたしたいと思います。
  12. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 どうもその辺がわからないのでありますが、農家にそのように大した被害がないということであれば、このかえるの繁殖保護資源維持のために、禁りよう時期を設定するということは、適切な措置だと思いますが、ただ農家人たち反対をしておりますところには、それぞれ根拠があるのではないか。ただ踏み倒すというようなことであれば、当然稲の根の周辺を欄拝することによつて肥料有効価値を高めるというような効用さえ見受けられるのであります。でありますから、かえるが苗を踏み倒すことによつて稻が枯死するのであるか、あるいは逆に肥料を攪拌をいたしまして、肥料効果を高めておるという結果が、調査の上出来るかもわからないと思うのであります。これらの点を、早急に科学的に御調査いただきまして、もし農家反対する根拠がそこに見出されないということであれば、禁りよう期を設定する等の適切なる御措置は、むしろ積極的におとりになることがよいのではないか、いずれにしてもそういう調査が不完備であつて、水かけ論的になつておることは、今後の行政を進められる上からも非常に困ることであると、われわれは考えるのであります。従つて早急にその結論を出していただきたいと存ずるものであります。
  13. 夏堀源三郎

    夏堀委員 この問題は、ただいま鈴木委員からも申されましたように、調査をして決定しなければならぬと思いますが、大体被害程度貿易による関係については、こうした收入利害関係は一致しておるのではないかと思う。たとえば私の聞くところによると、四国方面、千葉県、埼玉県方面が多いようでありますが、被害がその地区にあれば、その利益もまたその地区にはあるということになります。また輸出振興の建前から、なお相当大きく伸ばさなければならぬのではないか、先ほど言われた三十八万というのを、もつと増加しなければならぬのではないかというような気がするのであります。その方法として、禁りよう期間を七、八と二箇月間設けたらどうかという説もあります。これに対しては、いろいろ理由があるのであります。私もよくわかりませんけれども、大体七、八月の時期は、夏の時期であるから、輸送面が非常に困難だという関係と、それからまたこの時期はかえるがみな方々へ散らばるので、非常に捕獲が困難だということ、また農繁期で捕獲に困難だというようなこと、それからとつたものの輸送の時期については、ちようどアメリカあたりでも相当とれるそうでありますが、その時期とかちあつているというようなことになりますので、七、八の二箇月間の禁りようというようなこととにらみ合せて、一方では保護繁育を加え三その輸出の時期については、適正な時期をねらつてやれば、非常に有利であるということも聞いておりますけれども、結局問題は農家利害関係にあると思いますので、十分御調査の上、この問題を善処されんことを願います。
  14. 松田鐵藏

    松田委員 私は陳情を受けたのでありますが、実際の面はわかちないのであります。またただいま夏堀委員発言は、はつきりしたことはわからぬというような御意見のようにも承つておりまして、重大な水産輸出品であるために、われわれ水産常任委員会としても、重観して考えるべきでないかと思うのでありまして、委員長においては、近いうちに現地を詳細に調査して、われわれにその認識を與えられんことを希望いたします。
  15. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 今、野生食用がえるの問題だけを論議したようでありますが、かつて輸出面における重要性から、食用がえるの積極的な養殖当局奨励された歴史を持つておるのでありますが、御当局が言われるがごとく、わが国輸出冷凍品として重要な地位を占めておるのであれば、軍なる野生食用がえるの繁殖保護、禁りよう区の設定を考慮されるのみならず、野生にあらざるものの養殖等にいかなる積極的対策をおとりになつておるか、積極的な指導、奨励施策を持つておられるか。この点も合せてお伺いしておきたいと思います。
  16. 高橋清三郎

    高橋説明員 食用がえるの養殖奨励対策でございますが、御案内の通りに、終戰後食用がえるのみならず、養魚関係が全面的に餌料の絶対量が非常に不足しておるというような関係上、非常に戰前に比べて生産が減退しておるわけでありますが、食用がえるの場合におきましても、ここ二、三年の間は天然生産のものが割合に多かつたために、まだ積極的に養殖をしなければならぬというところまで来ておりませんでしたが、ここ一両年のうちには、お話のように相当これを積極的に養殖までしなければ、輸出が保たれぬのじやないかというような情勢にまでなつて来ております。しかし現在までには、まだ水産庁としては、これに対して積極的に養殖奨励するということを考えておりません。ただ昨年あたりから、暫定的な方法としまして、天然生産を維持する方法に、人工的な施策を加える。つまり現在いまだ天然生産のかえるが保護されていない地方で、かえるの生産繁殖に適当するというような地域に対して、種がえるを移植するというような方法は、各府県府県費をもつてつておりますが、その一部に対して水産庁から試験を委託するというような方法で、ごく微温的な奨励はいたしております。しかしまだ積極的な対策はとつておりません
  17. 福田喜東

    福田(喜)委員 まず食用がえるのことでございますが、この点につきまして、禁漁区域設定というようなことは、特別に食用がえるに関心があり、ウエートのあるところはお考えいただいてもけつこうだと思いますが、全国画一的に禁りよう区を設けて、とることを禁止するというようなことは、われわれの地方としては絶対反対せざるを得ない。こういうことに関しましてはも罰則等を設けまして、子供がとつてもすぐひつかかるというようなことは、今日の現状から見まして、非常な逆行であろうと思います。この点は、十分行政的な御調査を煩わしていただきたいと思います。もつと農村に及ぼす影響といいますか、農作物に及ぼす影響というものを十分御考慮していただいて、それにつきまして御報告をいただいて、委員会でも十分御検討を煩わしたいと思います。  それからもう一つは、水産金融の問題で政府委員の方にお願いしたいのでありますが、見返り資金預金部資金及び市中銀行から、中小企業、ことに水産業に対して、最近どういうふうな貸出しの状況であるか、その特色はどういうところであるか、組合に対するもの、個人の業者に対するもの、およその傾向でもおわかりになりましたならば、おさしつかえのない程度で、最近の傾向を概略御報告いただきたい。月一億の見返り資金なんかは、大体どの程度に出ておるか、もしおわかりでございましたら、ひとつ報告いただきたいのです。
  18. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 金融の問題につきましては、いろいろと事務的には努力をしておるのでございまするが、何分長期設備資金等につきましては、貸出しの資金減問題等もございまして、難航を続けておる現状になつておるわけであります。御承知のように、資金から申しますと、組合金融企業金融というようになつておりまして、組合金融関係につきましては、復金打切り伴つて農林漁業復興資金がストツプしましたので、それにかわるべきものとして、極力エイド・ファンドの獲得に努力しておるのでありますが、これとてもなかなか金融ベース関係から申しまして、とりにくくて、わずかに今年度魚田開発関係のみが、一億程度わくがとれたということで、その具体化につきまして、北海道庁等現地生産組合というようなところと連絡をいたしまして、中金折衝いたしても最近の見通しでは、八千万円程度のものを農林中央金庫であつせんするというような段取りになつたわけでございます。それからその他の中金プロパー組合金融関係から申しますと、なかなかこの点も、預金とのにらみ合せ、あるいは積立金とのにらみ合せといつたような関係で、二十四、五億程度中金からの組合に対する融資があるというような現状になつておるわけでございまするが、そのうち設備資金関係は、ごくわずかなものになつておるわけであります。昨年以来いろいろとお世話になりました漁業手形関係から申しまして、大体これは資材資金でございまするが、十点程度現在融資を見ておるわけでございます。そのうち組合金融農林金庫中心になつておりますものが、約半分の五億程度というところに行つておるのでございます。それから企業金融関係でございまするが、これもやはり復金打切りで、ひたすらエイドファンドなり、あるいはマーケットオペレーション関係なり、あるいは融資あつせん関係なりについて努力しておつたのでございまするが、エイド・ファンド関係は、他の産業と比べますと、水産業関係は公共的な色彩と、それから基本産業的な色彩がなかなか認められがたく、エイド・フアンドからは本年度は全然落ちておるのでございます。  それからマーケット・オペレーシヨンの関係につきましては、いろいろと、大中の、たとえばアメリカきんちやく綱の関係でありますとか、あるいは極洋捕鯨母船建造とかいつた関係につきましては、融資あつせんとともに、多少の融資をされておるのでございますが、中小企業関係につきましては、さらに現在事務的に必要な部面を掲げまして、あつせん連絡をいたしておる状態になつておるわけであります。なお手形関係につきましては、先ほど申しましたように企業部面につきましても、十億円の実績の中で、組合金融以外のものが、多少企業金融に流れるというふうになつておるのでございます。このほかかんてんの滞貨金融といつた点につきましても、農林中央金庫折衝を重ねまして、先月ようやく生産資金でありまする三千万円程度融資することに決定いたしまし三現在その仕事が進行しております。かような現在実績でございまするが、来年度の特に見返り資金の問題につきましては、現在安定本部中心種々折衝をいたしておるのでございます。そこでその計画につきましては、御承知通り初め水産庁でいろいろと立案しまして、企業関係につきましては捕鯨母船高度利用冷凍設備付以西漁船建造、キャッー・チャー・ボートの建造といつたもの、それから組合関係につきましては北海道の魚田開発沿岸漁船の代船建設、それから倉庫でありますとか、そのまの公共施設冷凍冷蔵施設といつた種類のものにつきまして、合計しまして四十七億円程度見返り資金の要求をしたわけでございます。ところが最近になりまして、見返り資金の総わくが、大体四百五十億円程度にきまりそうな予定でございまして、これによりますると、わずかにエイド・ファンドにつきましては、魚田開発くらいしか救い上げ得ないというような情勢にもなつております。聞くところによりますれば、安定本部といたしましても、四百五十億円くらいの私企業への投資関係では何ともならぬから、これを六百七、八十億円程度私企業部面を拡充し三種々の需要に対してこたえたいというような意図のもとに修正を加えておるのでございます。明日の開映にもこの問題がかかるということを聞いておりますので、われわれの方といたしましても、先ほどお話し申し上げました四十七億円程度見返り資金の期待というものが、極力貫徹できますように、大臣に閣議でも、安定本部でも主張していただくように御連絡しておるのでございます。従いまして、現在見返り資金関係を別にいたしますれば、漁業手形による資材資金問題の推進と、設備資金で申しますると、農林中央金庫からの組合金融という点、それからさらに中小企業部面に対しましては、半分半分の、例の見返り資金中小企業の資、金計画ということに載せ得るように、いろいろ、と問題が出ました都度、一御あつせんを申し上げておるというような現状になつておるのでございます。
  19. 福田喜東

    福田(喜)委員 たいへんありがとうございました。その中で松任谷さんの題しやつた例の十五箇月予算は月一億、全国各県四十数行の市中銀行に、エイド・ファンドから融資一件の貸出し最高三百万円、その半分は市中銀行手持資金でまかない、これに対しては金利が七分五厘、一方見返り資金の分は一割一分五厘と定つておるようであります。これによつて中小企業融資の道は開かれたのでありますが、あれは水産業だけではありません。あの中で水産業に対して今まで何件くらい貸し出されたか、およそわかりましようか。
  20. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 中小企業資金関係実績でございまするが、現在私どもの方に報告しておりますのは、総括でございまして、この中で水産関係がどの程度になつておるかという明細につきましては、現在資料の手持ちがございませんので、あとで調べてお答え申し上げたいと思います。  総体の実績関係と申しますると、中小企業関係の当初計画は、九月から出発しておりまするが、一月の関係で八百万円、二月の関係が四千三百万円、それから二月末で関係方面が承認した額が、合計して含めたものでございますが、約三億円ということになつております。三月へ繰越されたのが二億四千八百万円程度予定されております。これは一切の額でございまして、そういうわずかな実績でございまして、はたしてこの水産業関係にどの程度つておりますか、調べましてお答え申し上げたいと思います。
  21. 夏堀源三郎

    夏堀委員 水産金融は本委員会におしばしば取上げて、私の手元で案をつくつて政府に具体的にこれを実施することを要求しておるのであります。中小企業関係は、最近大蔵大臣の放言、あるいは蜷川長官の問題、そうしたようなことが大きく作用をなしておると申しましようか。何かしら一応かつこうをつけるというようなことで政府はおる。また市中銀行も、中小企業に対しては何かしち転換策を講じなければならぬというような空気で動いておる、これは察知されるのであります。しかるに水産金融の面に対しては、ほとんど無視されておると私は解釈しております。数日前に私まことに憤慨にたえませんので、大蔵大臣に直接折衝して参りましたが、水産金融に対して、あなたはこの前漁業資材のときにあなたの所に参つていろいろ折衝したときに、金融関係で何とかいたすからという約束をしたはずである。けれどもあなたの方では、一向に水産金融に対しては冷淡であるから、一体うそをつくのかということで、私は申し上げたのであります。それに対して大蔵大臣は、やりましよう、ただ私の方ではよくわからないのだからその資料によつて、たとえばどこ県どこ銀行にどのくらいの額を出せばよいのか、それがはつきりさえすれば、その資料によつて日銀の方にぼくの方から折衝しようという話まで行つておるのであります。翌日すぐ私が、事務当局の方にもそのことを伝えなければいかぬと思いまして、大蔵省に参りまして、銀行局長会つてそのことを申し伝えました。大蔵大臣はその決意をしておる。われわれ議会においてはすでに問題を取上げて、具体的にこうせよということを要求しておるの。だがちつともこれが実施されようどころの騒ぎでなぐ、また計画にさえ乗つていないということである。けしからぬと思う。これは水産庁としても責任があると思うから、水産庁の方には私の方から十分申し入れてあるけれども、これに対してあなたの方でも、緊密な折衝の上にこれを実施せられんことを要求してあるのだから、あなたの方でも十分協力してもらいたい。わかりました、そういたしましようという約束でわかれておるのであります。見返り資金及びいろいろな預金部資金というようなことは、かねてから本委員会でこれを取上げて、水産庁の方にも、いろいろ御苦労なされておるようでございましたけれども、すつぽり行つていない。今御報告なつ通り、われわれの希望するその何分の一にも行つておらないのであります。われわれはこの程度のことに頼つておることはできないのである。しかもこの間の委員会において坂上げたというが、今日ただいま困るのであつて、そんなゆうちような問題ではないのだ。この急場を何によつて救うか。たとえば、この間もあなたの方に陳情に参つた東北の出荷団体は、二億七千万円のいわゆる未收の金は、これは永久にとれないかもしれない。こうしたようなものは、今統制から自由に移向しようとする段階において、莫大な損害をしなければならぬという段階に立つちやつたのです。非常に混乱状態になつたから、何とかしてもらいたいという陳情があつたはずでありますが、その通りなのです。そうした面を私もよく知りておりますので、これに対する対策、それから先ほど御説明なつ漁業手形はどうなつておるか、水産当局つておりますか。まずこれをお伺いしたいのであります。私の調査したところでは、漁業手形は非常な危機に瀕しておる。積立金さえできないのであります。ただいまもう漁業者は信用できない。この漁業手形をそのまま進めるということは、おそやく不可能であろうと思います。これはこの前の小委員会において、日銀から何か資料によつてそういろ申出はあつたのであります。この点を私非常に憂慮して、いろいろ調査たしましたところが、その通りであるということがわかりました。そこでこの機構の制度を委員会でやらなければならぬということを、過般の委員会で決議として申し出てあるのであります。けれどもこれに対しては、機構の整備すなわち出荷機関が漁業手形の取扱いに対して、全然責任のあり方を明確にしておらなかつたということに欠陥があるのであつて、そこで私は次長にこういうことを申し入れておぎました。通牒によつて出荷機関がこの漁業手形に対して事務的責任を負うような、いわゆる集荷に対する責任、それからそのブロックたとえば組合の共同責任によつて借入れたブロックは、いやでもおうでも指定された出荷機関に必ず漁獲收入を通知するものであるということを挿入しなければならぬので曲る、それをあらためて通牒の形で出してもらいたいと言いましたところが、通牒を出すということはあちらさんの何かしら好ましからざる行為であるという解釈でもあるらしいようで、困るということであります。もし行政上の処置——よき政治をするために、公共団体に対して何かしら連絡をとる通牒さえ中央から出すことができないということに、正式に解釈されるべきものであるかどうか。それは出したくなくて言つたのか、ほんとうにその通牒を出してはいかぬということであるかどうか、その程度まで考えて行きますると、水産庁金融問題に限らず、最近水産長官が室席になつておりますが、加えてそのような見解にまで達しておりますると、もう何をか言わんやであります。私どもはあなた方に対してどのようなことを申入れしたところで、それは何の効果もないところであると解釈してよろしいのかどうか。今後の水産行政に対して、私どもはきつく監視をしなければならぬのであつて、もしそれを一歩あやまつたならば、日本の水産は完全に壊滅状態になることは当然であると考えますので、中央より地方に対して、一片の通牒による連絡さえ遠慮しなければならぬということであつたならば、これはたいへんな問題であろうと思うのであります。これはできないことであるならば、どういうことをすればよいの史地方の課長会議を開いても何か向うの意見のような言いまわしをして、会議の形によつて軌道に乗せることも一案でありましよう。けれどもこれをただ放置しておくということは、絶対いかぬと思います。今まで水産小委員会において取上げられた事項について、水産庁において何か計画性を持つておりまするかどうか、早い言葉で言えば、やる意思があるかどうかということであります。先ほど私が申し上げたように、大蔵大臣は、これに対しては積極的に乗り出そうということを公約しております。銀行局長も協力しようということを、この間も言つておる。かんじんの中心となる水産庁はその計画さえ持つておらぬ。なぜかこの問題をまとめようとして話を持ちかけると、今資料がないからそのうちにということで、一時のがれということが今までのやり方であつた。しかしもうそれをやむを得ずして、まあそのうちに何とかなるであろうとして待つておるわけには行かぬのであります。そこで急速にあなた方の御決意を承つて、できないならできない、できるのだりたらどういう方法でやるかということを——今漁政部長がここに一人おつて、これに対する明確な御答弁を承るということは、私は期待してお力ません。次の機会でもよろしゆうございますからも今の答弁の責任者の次長でもよろしい。これを各方面会議に付して、私の今申し上げたことに対する明確な御答弁を承りたい。そうしてなお大蔵大臣の言つた、必要な金額をどこの県のどこの銀行からどれくらい出せばいいという計画をほしい。これは大ざつぱなことにも私は聞いておりましたけれどもも責任のある大蔵大臣が、まさかうそをついたとは考えておりませんので、これは実施してくれるものと私は信じております。ゆえにあなたの方から、各府県にどれくらいの資金計画で、どういう方法で持つて来ればいいかということについて、それを各府県に通牒ではいかぬのであつたなら、会議をして——私は通牒でいいと思います。もしそういう通牒さえ出すことはできないというなら、水産庁は解散しても何も用がないのだから私はさしつかえないと思います。そうした方法で急速に各府県に呼びかけて、その必要資金計画、事業計画をお求めになつて、そして大蔵当局折衝し、大蔵当局から日銀に折衝して、これを急速に軌道に乗せなければならぬと考えているのであります。そうしたようなことを、きよう、あす、あさつてと一日々々を延ばすことになると、時期を失するのでありますから、あなた方ただちにきようにでも会を開いて、そういう方法をおやりになる意思があるかどうか、これをまず改あて事務的折衝に対するあなたのお考えを伺いたい。  またこれまで水産常任委員会が、あなた方に対して要求した事項に対して、との程度やるのか、やらないのか、やれないならばやれないなりに、この行政面において、何か特別な措置を講じなければならぬ。これに対して水産常任委員会は、別な方法で活動する準備をしておりますので、この点に対してあとで、次の委員会でもよろしい、当面の責任者である部長から、明確な御答弁を伺うために、適当な方法会議を囲いて、偽らざるあなた方の御決意と、その方法について承りたいと思います。
  22. 石原圓吉

    石原委員長 この場合委員長よりもお許しを得て希望を述べておきます。  金融の問題はまつたく緊急さし迫つた問題でありまして、常任委員会においては、小委員長が主となつて対策の案を立てて、大蔵大臣銀行局長へも迫つているわけであります。しかるに水産庁においては、金融関係は常任委員会の方にまかせておけばいいというような、非常なゆうちような心持があるのではないかという感がするのであります。これは非常な重大な問題でありまして、たとえば漁港法案であるとか、漁船法案であるとか、こういう法制化することは、常任委員会の当然の責務でありますけれども金融もよくするということに対する一つの手強い委員会対策案というものが立つたならば、それを盾に水産庁金融関係の人々が非常な力を得たものとして、ここにそれが実現を期すべきがほんとうであると私は思うのであります。しかるに常任委員会で案が立つても、ただそれをながめているというような態度に見えることは、まことに遺憾であります。であるから、すみやかにこの金融関係に対する問題で、水産庁は部課長会議を開いて、これが具体方法と、実現するにはどうしたらよいかということをきめてもらつて、われわれの方へ示してもらう、われわれもまたそれによつて協力することは協力する。実現する主体は、あくまで水産庁でなければならぬと思うのであります。漁業手形にありましても、農業手形は都道府県の農業協同組合連合会が主体となつて、農業資金の融通をしているわけであります。そうしたならば、農業手形と同様に、漁業手形も都道府県の水産漁業組合連合会、もしくは信用組合連合会が取扱うようにして、それに相当資金政府より中金等を通じて確保するというようなことについても、具体的にそれらの研究調査を遂げているのかどうか、農業協同組合部面はさような方面に活動しているけれども漁業組合通合会は何ら関知することができぬというようなことは、今非常な危機に瀕しているところの漁村の状態からいうても、私は水産庁のやり方がはなはだ緩慢であると思うのであります。ゆえにそれらの具体案を、至急水産庁関係の部課長の会合によつて案を立てることを、すみやかに実行するように、ここに要望をいたします。
  23. 夏堀源三郎

    夏堀委員 漁業に関する税制改革に対する要望事項の中に、過般御協議を願つた際に、固定資産税については触れておりませんでしたので、一応第五として固定資産税について立案をいたしましたので、この点を委員各位にお諮りを願いたいと思います。これを朗読いたします。  五、固定資産税について   漁船の固定資産税については再評価において左の如く処置せられたし。  理 由   シャウプ勧告に変動所得及損失の繰延、繰もどしが認められているということは、漁業がいかに不安定な事業であるかを如実に立証するに足るものである。資産においても家屋工場のごとく資産を保護すべき十分なる保險制度を活用することは不可、能である。一例をあげれば、建造後四年未満の総トン数三十トン以上の漁船については保險金額は保險価格の五割を超えた額を引受けないこととなつている。危險性ある漁船なるがために、財産の保護制度さえ十分に認められておらない不安定事業である水産においてはも資産保護制度の不十分及び償却の不安定性の理由より漁船の再評価に際しては、他の陸上施設資産とは別個に評価基準及び固定資産税課税率の設定について特段の考慮をはかるべきである。こういう一項目を第五として追加いたすことをお諮りを願います。
  24. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま夏堀君の追加の要求の件は、さようとりはからうことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 石原圓吉

    石原委員長 さよう決しました。
  26. 福田喜東

    福田(喜)委員 実はさつきの金融のことについてお願い申し上げたいのであります。わが党においても御承知のごとく、先般池田蔵相の発言以来、中小企業緊急対策を立てたのでございますが、この点について、これは私ら考えますと、インフレ收束途上における当面の中小企業の深刻な状態は、水産業が特にひどいと思う。つきましては、あの国庫指定預金百五十億円のうち、百億円を地方銀行、農林中金、商工中金、並びに無蓋、信用組合等に預託し、地方金融の円滑をはかる。あるいはまた日銀中小企業向け別わくの限度を三月末までに五十億円に拡大する。中小企業調査による設備資金所要額約七十億につき、特別の措置を講じ、貸出しを促進するとか、不動産金融として国庫指定預金より二十五億円を勧銀並びに北拓に前貸しし、三月中に早急に実施するとか、銀行の貸出し担保として証券及び不動産を積極的に利用する。あるいはまた信用組合の設立を促進するというような対策が出ておるわけでございますが、この点につきまして、水産庁としては、たとえば七十億円につきまして、特別の措置を講じて貸出しを促進する、あるいは国庫指定預金百五十億円のうち、百億円を地方銀行云々ということにつきまして、水産金融として特別な対策を講じておるとか、あるいは日銀の別わくの拡大につきまして、何か申し出をするとか、そういうことにつきまして、私は水産庁だけではなくて、農林大臣が責任を持つて、この点につきまし三何らかの対策を早急に講じていただかなければ、中小の漁民というものは、このまま死滅するのではないかということを、私は痛切に感ずるわけであります。つきましては、次の委員会におきまして、早急に何らかの応急の策を講じまして、具体的のこういう方面に進みたいということの案を、委員会へお示しいただければ、はなはだ幸いと思うものでございます。この点につきまして、特に御考慮を煩わしたいと思います。  それから次に税の問題でございまするが、最近われわれの九州地方におきましては、税務署が盛んに差押えをやつておりまして、漁船でありまするとか、漁区を差押えて、まつたく出漁不能な状態になつておるということがままあるのでございます。こういうものにつきましては、現下の中小企業対策の一環といたしまして、こういうものを差押えるということにつきまして、水産庁といたしましては、国税庁その他と折衝していただきまして、この零細漁民に対する措置、これは企業対策ではなくて、むしろ労働問題である、労働対策であると言つても過言ではないわけでございまして、早急にこの実情を御調査になりまして、至急に手を打つていただきたい。こういうことを痛切に感じて、ここに要望申し上げる次第であります。
  27. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 私はここに一つの提案をいたしまして、委員各位の御賛成を得て、委員長において適当の措置をとつていただきたいと思うのであります。それはただいま夏堀委員からも、福田委員からもお話がございましたように、水産金融の問題はきわめて緊迫の情勢にあるわけであります。また漁業者税の税制改革に対する取扱いをいかにするかという問題も大きな問題であります。また水産物の統制の問題もしかりである。また先般松田委員が、当委員会において農林大臣に言われましたところの漁業用燃油の獲得の問題も、大きな業界の注視の問題であります。このように水産の重要問題が山積いたしまして、一つとして解決の曙光を見ない、しかも水産庁長官は罷免のまま放置されている。おそらく農林大臣は、水産庁長官を罷免して、後任を專任するまでは農相みずから陣頭に立つて水産行政を解決する決意を持つておられると思うのであります。かかる意味におきまして、当委員会はかかる重要な問題を、農林大臣の責任において強力に推進していただきますために、次回の委員会より農林大臣の御出席を求めまして、当委員会のいろいろな立案並びに当局に対する要望を、農相みずから取上げて、水産問題の解決に処せらるるよう、委員長より農林大臣に対して御要求あられるよう希望するものであります。
  28. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま鈴木委員よりの、農林大臣を次の委員会より出席せしめよという御意見は、至極適当であると思います。委員長はこの御意見に応じ、すみやかにその要望を申し出て置きます。
  29. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 いろいろの事項につきまして御意見があつたわけでございますが、私ども事務的な仕事をやつております者といたしまては、一つ一つごもつともだと思われるのでございまして、お話の線に沿いまして、至急内部で関係課と打合せまして、御趣旨に沿うように善処して参りたい、かように存じております。
  30. 岡田勢一

    ○岡田(勢)委員 今日の水産経営の危機を救うために、まず当面の問題として、第一に金融を打開しなければならぬという諸君の御意見、まつたく同感であります。ついてはそれに対して一つ方法として、見返り資金を獲得するということが、一般の国内の金融にも非常な好影響を来すことになると思うのでありますが、先ほど部長から説明がありました経済安定本部との交渉の経過について、水産庁側の要望しておられる四十五価円のわくを考えておるようですが、それはただいまの私企業に対する見返り資金の予定が、四百五十億という範囲内ではなかなか実現しない。六百七十億ということに拡張されたならば、相当貢献するであろうという部長のお話でございましたが、今までの経済安定本部との交渉の過程において、四百五十億の私企業わくにつきましては、大体水産金融及び見返り資金がどれくらいの額で予定をされておつたのであるか、その数字がわかつておりますかどうか。それからもう一つはも六百七十億円を獲得されたときに、はたして四十五億円のわくがとれるのかどうか、その見込みかどうかということを、あなたに御説明を願いたいと思います。  それともう一つは、捕鯨母船などの大企業に対して、今日まで見返り資金が幾らとれておるか、今日まで水産中小企業に対しては、見返り資金がとれていないと思うのですが、四十五億の、あるいは若干少くなるかもしれぬが、とれた場合に、中小企業に対する振り当てをどういうふうに考えておられるかという点を、御説明を願いたい。
  31. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 まだ具体的にきまりました数字ではございませんので、こまかく内訳をお話申し上げる段階には至つておりませんが、先ほど申しましたように七四百五十億の案によりますれば、農林、水産全体のわくが十五億程度しかない、それから六百七、八十億になりましても、三十五、六億程度しかないというような状態にあります。それから中小企業わくといたしましては、大体十二億から十八億の間で勘案をされておるというふうになつておるわけであります。水産関係が、この中でどの程度入るかというような内訳につきましては、まだそこまできまつておりませんので、水産庁といたしましては、とにかく当初計画が最小限度のものであるというふうな意味合いをもちまして、極力主張をしておるという段階であります。
  32. 岡田勢一

    ○岡田(勢)委員 四百五十億のわく内で、農林、水産に対して十億というふうなお話で、ことに水産業に対する割当は、農林省の全体としては少くなりはせぬかと思うのですが、そのくらいのわずかなことでは、今心配しておる水産企業の危機というものは、とても救済できないのではないかと思います。そこで水産庁当局は、農林本省内部においても、一般の農林、水産金融の中から水産を非常に重視して、そのわくを獲得するように、積極的の御努力をせられておるかどうか、それがなければなかなか獲得はできないのではないかと思います。  それからもう一つ、あなたのお答えのなかつたのは、大企業である捕鯨などに一今まで見返り資金が出ておるかどうかということです。
  33. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 大企業の捕鯨等につきましては、現在見返り資金は、全然出ておらないのであります。  それから農林省内部の見返り資金の配分の問題でございまするが、御承知のように農林金融課という担当の課が官房にありまするが、各局の要求が熾烈でありますために。農林金融課では、このわくを査定するといつたようなことをせずに、大体農林、水産業資金需要をとりまとめまして、安定本部に取次ぎ要求しておる。それによりまして、主として安定本部で全体の私企業に対するわくの限度からいたしまして、各種産業部門の緊要度、需要度を考えまして配分いたしておるといろ現状であります。
  34. 福田喜東

    福田(喜)委員 再三発言してまことに恐縮でありますが、私ども地方におきましては、他の地方と違いまして、大企業者が比較的少く、中小の漁民というものが非常に多く、零細業者が多いのでありまして、この手紙にもありますように、毎日々々電報も来る、手紙も来る。われわれのところに頻繁な督促が参りまして、このまま放置するときには、税金と融資難のためにまつたく倒産してしまうか、死んでしまう。食うや食わずの境を彷徨しておるということを言つて来ておるわけであります。市中金融機関はもちろん、農林中金もほとんど相手にしてくれない。こういうような状態であるときには、国民金融公庫からでも、生活資金としてでも、とにかく金を借りる方法はないのかという衷情を訴えて来ておるわけでありますが、今日まで夏堀委員を初めとしまして、いわゆる金融問題については、抽象的な討論の域は脱したわけでありますので、われわれといたしましては、鈴木委員とともにこれを火急の、真に死活の問題として、この金融と税制の問題というものを、当面の問題としてどうするか、現実をどうして行くかということについて、至急農林犬馬の出席を煩わしまして、あとうならば、小委員会等でなく、全員委員会として、この金融、税制の問題は、各別の地方について早急の手を打つように、委員長のもとにおいて、御検討を煩わしたいのであります。来るべき中小企業の危機というものが、その緊迫の程度が漁民については、一層切実であるにかかわらず、この委員会は、私が見ますと、まるで眠つておるような状況であります。平たい言葉で申しますならば、しりに火のついたようなこの状況を、委員長手元において即刻打開するところの、何らかの方途を講じていただくことを提案するものであります。
  35. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま福田委員並びに鈴木委員夏堀委員からの御発言を参酌いたしまして、最も近い日に農林大臣の出席を求め、各位との間に十分の折衝を重ねることの手配をつけたいと思います。それまでに各小委員長並びに各理事等の御会合を願いまして、農林大臣に対し要求する点、対策等について、十分御審議を願いたいと思います。それらの日にちはおまかせを願いたいと思います。  以上のようにとりはからうことに御異蔵ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 田渕光一

    ○田渕委員 今まで中小企業に対し、あるいは捕鯨船の母船などに対して、水産庁としては見返り資金を使つたことがあるのですか。今まで使つておらないのか、それを伺いたいと思います。
  37. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 見返り資金は、御承知通り本年度からの問題でありまして、二十四年度におきましては、魚田開発わくを一億計上されたのであります。二十四年度のその計画につきましても、いろいろの要求毒した存であります知、当初のことでもありますし、また水産業関係と磁力、油脂その他の基本産業の新規需要といつたような関係もありまして、遺憾ながらこの一億の程度しか認められなかつたというわけであります。その一億のわくが現在農林中央金庫中心にいたしまして、具体化されつつあるという段階であります。
  38. 田渕光一

    ○田渕委員 これはまことに私初めて伺つてびつくりしたのです。たとえば通産省の中にある資源庁などにおいては、先般麻生鉱業に対して九千何百万円の見返り資金が適用されております。また古河鉱業に対して一億二千万円ということで、非常に地下資源、陸上資源には見返り資金が多く割当てられる。資源庁の見返り資金のとり方がうまいのか、あるいはその技術がうまいの、地下資源の開発、特に石炭部門などに対しまして、非常に多額の金が一企業体に出されておるのに、余水産面の魚田その他で一億のわくということは、水産庁が資源庁よりも予算折衝の仕方が惡いといいましようか、何か欠階がなければ、それほどひどいことにはならないと思う。一企業体に一億何千万、九千万の金が供與されたことは、新聞紙上で皆様御承知のことであると思います。もう少し水産庁が積極的に見返り資金わくをとるという方法を研究して、何か降路があるならば、委員会で積極的にこれに協力してやつて行く方法があるのじやないかと思います。あますに石炭部門い大きく金が放出されて、水産庁関係に関する限りは、どうもわずか一億ぐらいのはした金であるということを聞いて、びつくりしたわけでありますが、われわれも協力いたしますから、もう少しデーターを集め、あるいはわくをとる方一どんどん御進行つて、積極的にこの見返り資金の活用というものに対して、大蔵当局に当つてもらうよう希望いたします。
  39. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 先般農村の不況からいたしまして、農業用の報奨物資が相当量滞貨をしておる。また繊維資材その他の暴落によりまして、報奨資材の価格よりも下まわつておるところから、農業方面におきましては、それぞれ政府において対策を立てて、農業協同組合等の手持のものは、これを問屋が引取りをするとか、あるいは滞貨金融をするとか、価格の値下りの差額については政府が補償するとか、適切な措置を講じたようであります。水産の方におきましても、漁業の出荷の報奨用資材として、雨ガツパその他若干の報奨物資を出しておつたのでありますが、これが最近における漁村の極度の不況から、同様の関係に立つておるのであります。これは漁政部長も御存じかどうかわかりませんが、約六万着余りの米軍放出の雨ガツパを再製いたしまして、これを出荷の報奨用として出した。そういうようなものが、最近の漁村の金融の逼迫あるいは一般市価の暴落等によつて滞貨いたしておるのであります。それを割当配給から希望配給に切りかえる等の措置を先般とつたようでありますけれども、すでにそのような微温的な措置では、これらの滞貨を処理することができないという状態にあるわけでありますが、これも農業用報奨物資と同様の措置を、水産庁においてもおとりになる御意向であるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。  もう一点は、漁船保險につきまして国の再保險面ます。もし沿とが伝えられるのであります。もし沿岸漁業において有力なる分野を占めておりますかつお七まぐろ業者が、独自の保險組合をつくるということになりますならば、県單位の保險組合はきわめて弱体化することは火を見るよりも明らかであります。これに対して当局は、このかつお、まぐろの連合会を中心としたところの保險組合を、お認めになる御方針であるか、もしお認めになるとすれ、それによつて各県の漁船保險組合が弱体化すると思うのでありますが、それを育成して行く対策をお持ちになつておるかどうか、この二つの点をお伺いしたいのであります。
  40. 松任谷健太郎

    松任谷説明員 第一番の水産関係におきます報奨物資の滞貨の処理の問題でございまするが、この点につきましては、水産庁といたしましては数字を調査集計の上、農業と同程度に処理して行かなければならぬと思つておるの一でございます。ただその程度がどの程度でございますか、まだ全体の関係を詳細私実は承つておりませんので、御報告できないのは遺憾でございますが、少くともそういう事実がございま一一すれば、農業同様の処置をして参らなければならぬというううに考える次第一でございます。  それから第二番の、漁船保險の赤字の金融の問題でございまするが、これは一昨年以来、漁船保險の加入実績その他遭難の危險率の問題というようなことからいたしまして、災害が多かつたのでございますので、赤字が五千万円程度出ておるでございますが、それは一応日銀の方から借り入れまして、現在経理をやつておるのでございまして、最近におきましては種々方面からの御支援、御指導の結果、大分漁船保險の実績も上つて参りまして、日銀の預入金が二千万円にもなつておりまするし、そのほか現金といたしまして五百万円程度預金もできて参るようなことになつたわけでございますが、そういう関係で日銀の方からあまり返還を催促しなくなつたというような状況でございまするし、全然漁船保險に対しての融資関係について、面倒を見ておらないというようなことではございませんで、一応現在日銀の方から五千万円の赤字の金融をしていただいて、経営條件を改善しておるというような状態でございます。  それから第三番目のかつお、まぐろ連合会の漁船組合保險の創設の問題でございまするが、この点は最近私どもも聞いたのでございまして、どういう実情であるかということを、実はかつお、まぐろ連合会の方に聞合せたのでございます。その結果、何かかつお、まぐろ連合会の事業といたしまして遭難救済の事業があつて、これを具体化しなければならぬというような計画があるのでございます。それで現在連合会といたしまして、遭難予防というようなところに重点を置いて、かつ遭難救済ということになりますと、ある程度保險関係にもタッチしなければいかぬのではなかろうかというようなことが、総会か理事会の席上で問題になりまして、寄り寄り調査研究をしておるというような状態だそうでございます。それでまだ漁船保險組合をつくるとかつくらぬというようなことは、総会でも理事会でも議決をしたこともなし、またそういう方向で進だがいいかどうかというようなことも、きまつておらないという話を承りましたので、一応漁船保險協会の方とも、今後実情を説明かたがた協議を進めて参りたいというふうに考えておるのでございます。しかしながらお話がございましたように、既存の漁船保險組合の育成強化につきまし七は、十分水産庁といたしまして弔努力して参りたいというふうに考えておる次第でございます。
  41. 石原圓吉

    石原委員長 本日はこの程度にとどめたいと思います。なお理事会、小委員長合同会は、さらに公報で通知したいと思います。  本日はこれでもつて散会します。     午後零時二十九分散会