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1950-03-06 第7回国会 衆議院 水産委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月六日(月曜日)     午前十一時二十分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 鈴木 善幸君 理事 夏堀源三郎君    理事 平井 義一君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 中西伊之助君    理事 早川  崇君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    田渕 光一君       冨永格五郎君    福田 喜東君       小松 勇次君    中原 健次君  出席国務大臣         農 林 大 臣 森 幸太郎君  出席政府委員         経済調査官         (中央経済調査         庁査察部長)  吉田 龍雄君  委員外出席者         水産庁次長   山本  豐君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   戸嶋 芳雄君         農林事務官         (水産庁生産部         統制課長)   奥田  孝君         経済調査官         (中央経済調査         庁査察部食糧課         長)      關口八太郎君         專  門  員 齋藤 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  漁業税制改革に関する件  水産金融に関する件     —————————————
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  本日の議題は、水産物統制に関する件及び水産金融に関する件でありますが、まず水産物統制に関する件より審査を進めます。御発言を願います。
  3. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいま私ども手元に、中央経済調査庁査察部食糧課から資料が配付になつたのでありますが、この資料に関して一応御説明を願いたいと思います。
  4. 吉田龍雄

    吉田(龍)政府委員 お手元に配付いたしました資料の御説明をいたしたいと思います。ここにも書いてあります通り、これは昨年の十月統制が一部撤廃されました。その際関係方面から、統制が解かれた魚種について、その統制当時のやみ価格に対して、統制解除後の自由価格はどの程度変動を見たか、その点を調査して報告しろということで、一応とるべき資料等も、関係方面から指示されたわけであります。それに基いてとつたのでありまして、ここにも説明書が書いてあります通り、全国的に申しましても、八管区の所在地、すなわち北海道で申しますれば札幌市、東北で申しますれば仙台市というような、八大都市の末端小売面だけの価格をとつたのであります。それも先日御説明申しました通り小売面における小売価格を調べろという要請がありましたので、これをとつたのであります。そのとり方といたしましては、ここにも書いてあります通り消費者影響を與える度合いの高い小売店五を選定して調べろということでありまして、影響を與える度合いが高いというのは、すなわち家庭登録数の最も多いような店を選んで調べる。しかもそれが一つ所に偏することになりますると、正確な資料を得ることができませんので、市内各地を散在的にこれをとりまして、その正確を期したような次第であります。なお平均自由価格とり方につきましては、第三の「調査時期及価格」というところで説明してございます通り、毎月二十日現在の自由価格の中値をとつて、その価格といたしたような次第であります。調査品目は、にべ、えそ、ぐち、はも、すけそうたら、まだら、ほつけ、さけ、ぼら、これだけの魚種について調べたような次第であります。  なおこの統制撤廃後における自由価格変動、すなわち統制当時と自由になりましてからとの価格変動は、單に統制がはずれたために価格上つたというだけの問題ではないのであります。あるいはそれがために鮮度が非常によくなつた、また価格影響する漁期の問題、あるいは正月とか五月のような季節的な行事のあるような場合にも、著しく魚価影響を及ぼすものであるが、こういうようないろいろな條件は一応考えずに、單にその地方小売価格を見たのであります。であるから、この表だけから見て、小売価格統制撤廃後において著しく上つたということは考えられないのであつて、この点は背後にあるところの條件を十分考慮しなければならぬということは、関係方面にもよく伝えてあるので、その点は了解していることと思うのであります。以上お手元に差上げました資料についての補足的の説明をいたしました。もし御不審の点がありましたならば、さらにつけ加えて説明いたしたいと思います。
  5. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいま大体承りましたが、ここにあげられている中のすけそうたらの表を拝見いたしますと、これは一月二十日現在の調査のもののようでありますが、毎月二十日調査なされるとすれば、二月二十日のものがすでに調査せられているように思いますが、その点はまだ調査ができておらないのですか。また私ども関係方面で拝見して来た分は、これよりもつと金額が上つていたように思いますが、しかし最近の市況は、小売の方は遺憾ながら調べてありませんが、卸売関係では四割まで引下つているのが現実でございます。私三月に入つてからのことを申し上げているのですから、一月二十日現在の数字を三月に入つてから拝見したのでは、縁遠いことになりますので、表にはなつていなくても、二月二十日の分がお調べになつてつたら、お聞きかせ願いたいと思います。
  6. 吉田龍雄

    吉田(龍)政府委員 二月分はまだ現在集計中でございまして、表にはまとまつておりません。もう二、三日お待ち願いたいと思います。
  7. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま農林大臣がお見えになりましたから、水産庁長官罷免の問題について経過を聽取いたしたいと思います。なお一応説明を求めまして、御意見がありましたならば、それに対しては速記をとどめて、御懇談形式で願いたいと思います。さよう御承知を願います。
  8. 森幸太郎

    森国務大臣 委員長よりの御要求でありますので、一応御報告申し上げます。実は一昨日でありましたか、決定いたしまして、水産委員会が開かれておりましたら、御報告申し上げようと思つて参つたのでありますが、すでに散会をされておりましたので、委員長にとりあえずその結果だけは御報告をいたしておいたようなわけであります。新聞等にかれこれ書かれまして、その間にほんとうの事情を誤り伝えるような向きもありましたので、はなはだ遺憾に存じておりましたが、ざつくばらんに申し上げたいと思います。なおこれは、今後問題がどういうふうに発展いたしますかわかりませんので、ただ表面に現われておることのみ一つ申し上げて、御了解を得たいと思うのであります。  それは、昨年来飯山長官が私に対して非協力であつたということであります。それを具体的に一々申し上げることは差控えたいと存じますが、特に説明書にもあげておきましたし、新聞にも出ておりましたが、昨年八月は、御承知通り行政整理のまつ最中でありまして、農林省はどうしても八月中に大体の整理をせなければならぬ方針をもつて、それぞれ事務の執行を進めておつたのであります。ときたま北海道に対する入船問題が起りまして、北海道東北新潟方面から入船の隻数について相当議論がたたかわされておつたのであります。しかし北海道北海道として有利な主張もあり、また関東方面新潟方面といたしましても、従来の関係から相当強い主張があつたのであります。しかしこの問題は、御列席の委員諸君等の御意見も承りまして、大体その結論は出ておりまして、農林省方針としてそれを支持いたすことに決定いたしておつたのであります。しかしなおそれに対して、北海道庁としましてはいろいろ不平があり、同意せざるような主張もあつたわけであります。一応委員諸君の御意見も承つた上であるし、本省としてはこの方針によつて進むべきであるという確固たる決定をいたしておつたのであります。それでこの問題について、長官はその八月、当時北海道へ行こうと言いましたが、行く必要はない。いまさら北海道行つても、北海道意見を聞くわけに行かない。すでに本省方針は決定しておるわけであるから、いまさら行つたつてむだであるから、出張してはならないと、強く私は主張しておつたのであります。しかるに無断で出張いたしまして、私は出張したということを聞きまして、山本次長にも、とうとう行つちやつたが、すぐ帰らなければいけないということで、本人に——しかし大臣が電報を打たなければ帰らぬという強硬な態度行つたのでありますが、行政整理の途中でありましたので、これを引きもどしたという状況であります。それでも十三日間出張しておつたという事情でありましたが、そういうかつて気ままなふるまいをいたしたのと、それから水産庁内部におきましても、これは私の責任であるかもしれませんが、行政的な統卒を欠いておるという事情でありましたので、これに漁業法はいろいろ問題がありましたけれども、一応通過いたすし、漁区拡張もここで幸いに司令部のとりはからいによつて決定いたしたような場合でありまするから、この際実業界から出身されておる長官のことであり、また将来実業界において活動されるということも考えまして、第六国会を終了したいい機会であるから、この際退職してもらつた方がいい。こういうことを考えまして、十二月の八日に、やめてもらつた方がいいという辞職の勧告をいたしたのであります。その後当人といたしましては、推薦された自分であるから、自分の一存にも行かないから、よく考慮いたしまして何分の御返事をいたすというのが、今日まで何らの回答もないのであります。この間いろいろ実業界の人々なり、また知合いの人々が、飯山氏の将来を考えて、円満なる態度に出るようにいろいろお骨折りになつたようでありますが、どういう理由でありますか、断固として辞表を出さないということになりましたので、私に対して非協力であり、また公務員としての適格性を欠いておるというこの点において、閣議で了解を求め、四日の日に退職の発令をしたようなわけであります。その間どこがどうだとか、ここがこうだとか、いろいろ問題がありますけれども、それは突き詰めてこれを握つたわけではありませんから、ただ私は、私の就任以来今日まで、水産庁長官として、大臣に心からなる協力をせないという点において辞職を要求し、それを聞かなかつたから断行いたしたような次第であります。  一応この問題について、皆さんもそれとなくいろいろ御心配くだすつたことと承つておるのであります。なおこういう問題について、一応の皆さんの御意見を非公式にでも承るのが順序であつたかとも存じまするが、私といたしましては、両院の委員長に対して私の意のあるところもお伝えいたし、御意見等も承つて、今日の処置に出たようなわけであります。  一応今日までの表に現わし得る範囲内において、御報告を申し上げた次第であります。
  9. 石原圓吉

    石原委員長 農林大臣に申し入れます。ただいま水産関係は非常な危機に陷つておるのでありまして、水産金融の問題、統制撤廃に関する問題、漁業関係する税の問題、漁区拡張問題等、重大な問題が相当に山積しておるのであります。この場合において、水産庁長官罷免によつていかなる情勢が生ずるかということを、本委員会は、こぞつて委員諸君が心配をしておる次第であります。従つて大臣の今後の御方針並びにまた委員諸君意見要望もお聞きとりを願つて、十分この長官罷免直後における水産行政を誤らないようにし、かつ漁業の今後の進展を阻害しないようにするという点について、これより速記をとめて、しばらく御懇談形式をもつてお願いをいたしたいと思います。——ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止
  10. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めてください。  お諮りします。大臣は次の委員会に行かれるために時間が切れて来たそうであります。なおただいま懇談中に、後任長官はなるべくすみやかに業界より採用する、なおその採用については、常任委員会意見を尊重するという農林大臣の御説明を了としまして、この程度にとどめたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 石原圓吉

    石原委員長 なおこの際農林大臣に希望を申し上げておきます。この国会におきまして、議員提出として漁港法案並びに漁船法案を法制化したいというために、その準備を遂げて、今委員会は小委員会を設けて準備をいたしております。なお政府より提出を予想されておる水産物枯渇防止法案団体法の一部改正法案、オホーツク海オツトセーの一部改正法案等が、いまだ出ないのでありまして、これが早く提出されること、並びに法案の通過に対しても、農林大臣の一段の御考慮を仰ぎたいと思います。
  12. 松田鐵藏

    松田委員 ただいまも議論になつております鮮魚の統制であります。これは北海道の問題でありますが、にしんの統制北海道においては今年も持続するというような方針を持つて、いろいろの準備をされておるのであります。ただいま中央経済調査庁から配付された資料によりまして、その筋にはこういう資料を出してあるためか存じませんが、統制撤廃の時期がもうろうとしておるのでありまして、魚価の一日増に下つておる今日、早く統制撤廃しなければ、水産業者は創意くふうによつて魚価の安定をはかることもでき得ないし、また建込費用捻出方法も、なかなかでき得ないような状況にあるのでありまして、一日も早く魚の統制撤廃をお願いしたいと存ずるものであります。強い御方針によつて長官を首切つたような意思によつて、ひとつ統制撤廃をしていただきたい、かように考えるのであります。
  13. 石原圓吉

    石原委員長 農林大臣に対する質疑は、これでもつて終りといたします。     —————————————
  14. 石原圓吉

    石原委員長 それでは前の統制に関する件、冨永君。
  15. 冨永格五郎

    冨永委員 統制撤廃魚価格変動状況調査表の一番最後昭和二十五年一月二十日現在のものについて、中央経済調査庁意見を申し上げ、結論づけておきたいと思います。東京札幌の二つ並んでおりますが、すけそうだらの小売価格東京が旧マル公が十円、二十四年十月一日のやみ値が二十円、札幌生産地における主要消費地でありますが、旧マル公が五円五十銭、二十四年十月一日のやみ値が十円であります。従つてどもはこの表から見ましてはきわめて不合理であり、納得しがたいものが多々あるのであります。それは結局小売商は一般的ではないでありましようが、ごく一小部分ではありましようけれども、どうも取扱つてもうからないものは、あまりこれを取扱いたがらないという傾向がありますために、結局こうした不合理な数字が現われるものと思います。従つてこういう表をつくります場合には、どうしても搬入数量相当大きく取上げてお考えにならなければならず、また取扱つてもらえないから他地方に逆送されるという事実も、多々伴つて生ずるのであります。私ども関係方面で二月二十日現在で拜見した数字は、さらに私どもから見て不合理な数字が、調査庁から出ておるように考えますが、先ほども申し上げた通り、すけそうだらは大量に消費地に搬入され、価格は暴落している。しかも小売業者は全然見向いても見ないというような状況に相なつておる。一般大衆的な、大量にとれるすけそうだらがそうなつておる事実を考えました場合に、調査庁としては、こうした資料をおつくりになる場合に、資料そのものが、調査庁自身でお考えになつてきわめて不合理な実態があることをもお考えになれば、きわめて明瞭なことだろうと思います。従つてこの場合政治力を加味した資料をつくるということは許されていないのでありましようけれども水産物統制撤廃を実現し得るかどうかという最後的な段階に来た今日、このごろの実情考慮せられまして、地方各地から集まりました資料訂正したりすることは許されなくても、中央経済調査庁としての意見なり、卸方面取扱つておる実況なり、生産状況搬入数量等を加味せられたものを付託せられて、御提出になるお考えがないかどうか。私は少くとも今日の段階においては、そうしたところまで考察せられることが絶対必要であると考えるものであります。調査庁資料が、撤廃をするかしないかの非常に重要な資料になる段階にある現在においては、少くも日本政府の一部分を構成する調査庁の仕事もまた、そういう点を十分に考慮する責任があるもののように思いますが、これに対する御意見はどうか。それから二月二十日現在のものはまだ整つてないように思うのですが、まだ提出しておらないのですか。それとも何らかの形式において——正式でないまでも、意見を述べられて、ある資料になるようなものを提出されておるのかどうか、この二点を一応承つておきたいと思います。
  16. 吉田龍雄

    吉田(龍)政府委員 私どもの方から関係方面提出しました資料は、先ほどお話いたしましたように、向うから要請されたところのもので、私どもはそれを出す場合には、その背後にあるところの、魚の統制が実際どういうふうになつておるか、また自由魚との関係において、統制の励行が現在どんな実情であるかということは、詳しく関係方面には話してあるのでございます。單にこの表だけをあちらの方に出したのではないのでありますから、全国的の魚の統制実情というものが、現在いかなる実態にあるかということも、一応は関係方面も知つてくれると思います。  なおこの際私ども考えておる点を一、二つけ加えて申しておきたいと思うのでありますが、私が説明するまでもなく、新規則が施行になりまして以後、自由魚範囲に入りました魚の数が非常に多くなつた従つて自由魚統制魚との両建になつておる関係でもつて、集荷、荷受けはもちろんでありますけれども小売面において特に混乱を来しているのであります。こういうような実情からいたしまして、取締り立場から申しましても、現在強力にこれを取締つて行くことが、非常に困難な立場に置かれておるのであります。従つて調査庁といたしましては、こういうような制度のもとにおいては、ただ規則通り実行するということは、産業界実態に沿わないという実情も十分わかつておるのでありまして、この点は十分に考えまして、單なる法規をたてにとつて取締りをするというようなことでなく、その取締りの結果が、あるいは配給面において、あるいは生産面において、どういう影響を起すかということを十分顧慮して、現在の魚に関しては査察を実施するようにということも、再三地方機関の方にも注意はしておりますので、現在の魚の査察というものが、従来とはよほど末端においてはかわて来ておることは、各位も御承知のことと思うのであります。今後におきましても、私どもといたしましては、非常な早いテンポをもつてかわりつつありますところの経済情勢の変化に即応して、魚の統制の要否というものも、おのずからそれに対する考え方もかわつて来なければならないのであります。この点十分われわれといたしましては考えまして、現在の統制実態はつきりと関係方面にも伝えまして、関係方面に誤りのないところの判断をしてもらえるように、努力して行きたいと思います。またそれに必要な資料等も、今後できるだけ整備いたして提出したいと思つておるのであります。  最後につけ加えておきまするが、二月の小売価格調査は、おそらく資料各地からはもうすでに集つたかと思いますが、私どもの方といたしましては、これを集計しておりませんし、また関係方面にも、これについては資料は全然まだ提出しておらないのであります。できるだけ早く整理いたしまして、関係方面にもまた国会にも提出いたしたいと思います。
  17. 田口長治郎

    田口委員 この資料につきまして、端的に表面から見ますると、いかにも今魚の統制撤廃しては非常に値上りする、こういうような材料になつておるように考えるのでございます。御承知通り魚価格は、平常の年におきましては、十月から二月までは非常に値が高くて、三月の下旬から六月までは値が下る。二月の下旬から六月まで下るものを、十月から二月までの上るもので大体平均して、一箇年間の計算ができておる。こういうようなことで、何十年となしに日本の魚の需給関係におきまして、価格構成がそうなつておるのであります。この調査は、結局一年の中で魚の値が上る十月から一月までの材料をとつておる。しかもそのときに統制撤廃されておる。これは当然上る時期に統制撤廃されておるのでありますから、こういう表が必ず出ることにきまつておるのでございます。この表をもし出されるとすれば、三月の下旬から六月までの、例年魚が下るこの反面の表も、参考としてつくらなければいけないと考えるのであります。御承知通り秋になりますと、夏の間は夏枯れのために供給が少かつたのが、急に気候が涼しくなつて食慾が増す、祭りがある、運動会がある、こういうようなことで、秋からずつと魚が上つて来るのであります。上るときに撤廃して、そうして上つたということを端的に示してある。少くともその反面の理由をこれにくつつけなければいかぬと考えるのであります。それから今日の小売価格構成がどうしてできておるかということにつきましては、一昨日も松田委員からるる申し述べられましたように、中央市場行つて見ておりますと、まず小売人鮮度の新しいものを三分の一くらいをさつさと買いまして、あとの三分の二は買わないと言つて受取らない。それをそのままに放任するわけに行きませんから、荷受け機関の方で、何とかとつてくれ、こういうようなことで受渡しをされております。そういうような状態からいたしまして、結局小売価格構成は、小売人がかつて方法でつくつておる。生産価格、あるいは卸価格は、常にそういうような状態において構成されておるのでありまして、生産者立場から申しますと、小売価格いかようになつても、実に安い価格ですべてを引取られておる、こういうような実情にあるのであります。生産者価格考慮に入れないで、この小売価格だけで資料をつくつておられる。こういうことも私ははなはだ不満であります。そういう点から考えまして、少くとも調査庁におきましては、ぐち、あるいは、えそ、ここに列記しております種類の魚が、東京なら東京、あるいは福岡なら福岡、そういうところに生産者から着きましたら、その荷物につきまとうて、最後消費者が受取るところまで、その各段階において、どういう価格において販売されておるか、そこまでの資料をこれにつけて出されることが、至当ではないかと考えるのであります。従つてこの表の参考資料として、例年の三月から六月までの魚価の下り状態、それから一つの魚について、生産者荷受け機関に送り届けて、それが売れて行く各段階におきまして、魚がどういうふうに売られておるか、こういうこともはつきり資料を整えて、書類として先方に出していただきたいのであります。これは、お互いに口頭の説明だけでは徹底をいたしません。ことに一面こういう資料があります以上は、一方の資料もまた書類としてお出しにならなければ徹底しないと思いますから、その点は特に要望しておきます。
  18. 夏堀源三郎

    夏堀委員 一昨日の委員会で、漁業に関する税制改革に対する要望事項、それから水産金融に関する問題をお諮りになつたのでありますが、この中に若干訂正の御意見もあつたようでありまするから、ここにその意をくんで訂正案をつくつて参つたのであります。これは全部朗読しないで、修正の分だけを申し上げてよろしゆうございましようか。
  19. 石原圓吉

    石原委員長 けつこうです。
  20. 夏堀源三郎

    夏堀委員 第一に、「漁業は原則として非課税とし、大資本漁業等に対してのみ政令にて定められることとすべきである。」それから第三のところですが、「政令によつて定められる漁業といえども、左の事項を勘案して免税あるいは減税の措置をとるべきである。」理由としては、「漁業は生命、財産を、危險にさらして、かつ事業の経営が自然の制約を受けることがきわめて強い。」こういう字句の訂正であります。それから、「政令により定められたる事業の税率を、現行の三%の場合を一%とするか、または附加価値收入金額の三〇%として算定すること。」この点であります。
  21. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま夏堀小委員長の御報告になりました水産金融に関する件及び漁業に関する税制改革に関する件につきまして、その報告通り委員会において決議し、所管大臣、官庁に参考送付する手続をとることに御異議ありませんか。
  22. 田口長治郎

    田口委員 ただいまの小委員長の、大資本の経営にかかる漁業という言葉でありますが、かりに定置漁業について考えてみましても、太洋も定置漁業をやつておりますし、またほんとうに定置漁業一箇統を経営しておる人もあります。こういうような漁業の種類という点から考えますと、大資本家の経営する漁業という言葉では、技術的にもはなはだむずかしいことになると考えますから、特種な漁業という言葉に訂正されてはいかがかと思いますが、その点お伺いいたします。
  23. 夏堀源三郎

    夏堀委員 これは、政令にて定めるということがあるのであつて政府がこの点を、どれが特定な業種別であるかということを勘案して決定するというような意味で、申し上げたのであります。定置は全部大資本に入るのか、あるいは以西底びきも大資本に入るのか、あるいは捕鯨だけが大資本であるのかということは、まだ相当検討の余地があるだろうと思いますけれども、今この委員会において、各業種別に対して審議するということは、ちよつとむずかしいだろうと思いますので、ばつとしておいたのであります。
  24. 田口長治郎

    田口委員 大資本ですか。大資本家の経営ですか。
  25. 夏堀源三郎

    夏堀委員 大資本です。
  26. 田口長治郎

    田口委員 それならけつこうです。
  27. 中西伊之助

    ○中西委員 一昨日、これについてよく調査して、その賛否あるいは討議なりをするということになつたのですが、突然委員長が採決をされたようでありますが、多少これについて私異議があります。  金融でありますけれども、大体仲買制度の復活ということでありますが、これは従来仲買制度というものが、いかに弊害があつて、高度の中間搾取をやつて生産者といわず、消費者といわず、非常にその点で不利益であつたということは、もうどなたも御存じだろうと思うのです。今仄聞いたしますと、すでに仲買制度の特権を與えるという者が、東京都におきまして百四十七人でありますか、こういうことを断行されるとなりますと、漁民の民主化の上からいつても、また協同組合のごときも、その圧力によつて無力化することは申すまでもないことでありまして、今の農業協同組合が無力化しておる二の舞を演ずるような結果になるだろうと私は考えております。その点におきまして、仲買制度を復活することは反対です。  それから、まだ金融についてもありますが、省略いたしまして、税金であります。大体一、二項は賛成でありますが、第五項で、前記一及び二以外の漁業に対しては税率を半分にするという、この以外の漁業と申しますると、どういう漁業でありまするか。これを原案作成者にお聞きしたいのであります。大体これでは、遠洋漁業あるいは大漁業資本家という意味にとれるのでありますが、それならば、そうした高度の利潤を得ておるところの、零細漁民以外の漁業大資本家に対しては、もつと税金をかけてよいとわれわれは思つております。この点、あるいは日水もしくは日魯漁業その他が、この以外の漁業に該当するということになれば、この税の半額ということに対しては、私は反対であります。大体この以外の漁業というのは、どういうふうなことを申されますか。原案提出者にお尋ねいたします。
  28. 夏堀源三郎

    夏堀委員 そのことは、今修正案によつて修正しよう、こう思つておるわけであります。大資本ということを、どこに線を引くかということは、これからまたいろいろ御意見を承つて政府との間に折衝が始まるであろうと思います。半額ということではなくて、今私の申し上げたことは、三%の場合は一%にするか、または附加価値税を收入金額のいわゆる三〇%として算定すること、こう修正しようということであります。あなたが何か資本漁業に対して税を賦課することが、当然かのような御意見でありますけれども、それは收益によつて賦課するということであれば、私の考えとしては、やむを得ないとは思いまするけれども、非常な危機が迫つておる現段階において、收益を生まなくとも、固定資産税、及び附加価値税、及び免許料、許可料、こうしたものが二重、三重に賦課されることによつて、そうでなくとも、補給金の打切りによつて漁業は立行かないという段階に入つておるのであつて、加えてこの漁業にかけてはいかぬ、こういうことなんであります。これははつきりしておりますので、誤解のないように、ただ税金を資本漁業者からとればいいんだという政治のあり方は、産業を破壊するものである。一歩間違えば、そこまで行くであろうということを憂慮して、この修正案を出したわけであります。  なお仲買の問題ですが、これはあえて私は固守するわけではありませんが、現在市場機構の整備をやつております。銀行はなぜ金を出さぬのか。いわゆる自由にして、漁業手形にさえ積立金はないのだ。いわゆる自由に走ろうとするから、そのわくに入つていないために、金融はできないのだということになつておるので、このために、市場機構の整備を非常に急がなければならぬということであります。そのために、いわゆる買受け人即仲買いということ、これはどつちがいいか、あえて固執するものではありませんけれども、現実の問題として、仲買制度を認めないで業務規定がつくれるかということであります。どこの府県でも、仲買制度なくして業務の開始ができるかどうか。おそらく不可能であろう。そこに仲買制度というものをきめて、そうして銀行に対する保証金、そうしてその資格を定めて、初めて金融機関の信用を高めるということによつて生産者は安心して取引ができるだろう。けれども一方から考えれば、仲買そのものは搾取機関であるかのように誤解を持つている人もあるではないか。こうも考えられるけれども、そうではないのです。この間——これは私の方ですが、出荷機関が全智全能を傾けて、同じ種目の魚をどこへでもいいから出荷せよといつた場合に、その出荷された仕切金と、入札によつて現われたその数字とを比較、検討して、一割五分方入札の方が高かつた。そうしたような、一方は自由によつて発動し、利益を求めようとすることが目的であるから、それだけにいわゆる生産者に高くする、その仕切りを支拂いすることができるといろ現実の問題は、いかんともすることができないだろう。そこに現在の混乱時代をこのままにしておくのであつたならば、おそらく仕切りどころの騒ぎではない、その仕切金さえとることができないという段階に入つておるわけです。よつてこの機構の整備、及び実際になくてはならないところの制度として、生かして置かなければならぬという仲買制度をここに加えたわけであります。三崎では、すでに一億円の仕切り会社をつくつて、仲買人の制度をきめて、そうして取引を開始しようという準備でありますが、金があまりにも大きいので、五千万円ということにしたらどうだという説も立つておるそうであります。それだけに仲買制度は、市場機構の整備と相まつて、強く発動しなければ、生産者のためにも、決して利益にならぬだろうと考えて、この字句をここに挿入したわけであります。委員諸君の御意見によつて、この字句がどうもきらいだということであれば、これは削除することもさしつかえありませんけれども、現実の姿は、その通りなんでありますので、一応御了承を願います。
  29. 松田鐵藏

    松田委員 補足してひとつお話しておきたいと存じますが、仲買の制度というものに対する、今、夏堀委員金融または荷さばきというものに対しての、重要な点を説明されましたが、もう一つ現実の問題として、現在の自由品を共産党の小売業者が、中央築地の市場内で買つておるのであります。ところがこれは金を拂わぬために、どうすることもできなくて、月賦にして支拂いをしようという制度で、ようやく購入をしておる現実の姿であります。かようなことであつたならば、とうてい卸売業者、つまり荷受け機関、ここにある卸売業者、及び生産者が一番困つておる仕切金、及び金融の点を、どのように円滑ならしめるか、こういうことでありまして、これは現実の問題でありますから、ひとつ調査願つて、いかに仲買いというものが必要であるかということを御研究願つたならば……。現実の問題を、よくひとつ研究を願いたいと思います。
  30. 林好次

    ○林(好)委員 ちよつと私は中西さんに伺いたいのですが、この仲買制度の復活の重要性の問題につきましては、それぞれ小委員長からお話がございましたが、とにかく仲買制度を復活することによつて、この制度は高度の中間搾取機関であるというような御議論で、反対があるわけでありますが、しかしそれだけではきわめて抽象的でありまして、その制度がいけないということであれば、現在の鮮魚の統制がはずれて自由になつた場合に、いかなる方法をもつてやることが、生産者のためになり、あるいは消費者のためになるのであるか。共産党としてはつきりした代案があつて質問しておられるのであるか。私ども、抽象的で話がはつきりいたしませんので、それをはつきりお伺いしたいと思います。
  31. 中西伊之助

    ○中西委員 仲買人に対する金融については異存はないのです。従来の仲買制度というものが、醜態百出で中間搾取であつた。でありますから今後のそうした制度を設定するにしても、やはりそうしたことを復活する——そういう方法で復活するということには反対でありまして、今の資金の枯渇ということについて、購入資金を供給するということはむろん賛成であります。だから仲買制度、そういうふうな名前でなく、もう少し従来の弊害を矯正するような制度にしてもらいたい、こういうのであります。
  32. 石原圓吉

    石原委員長 大体中西委員の御意見は、御希望の点が相当あるようでありまして、多数の意見は、小委員長報告通りに決することに御異議ないようでありますが、さようとりはからうことに御異議ありませんか。もしなんならばこの委員会は、起立に問うことはほとんどないのでありますけれども、やむを得なくば起立に問いたいと思います。中西委員のお立場もありましようから、この際小委員長案に御賛成の方の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  33. 石原圓吉

    石原委員長 起立多数。よつて夏堀小委員長報告通り決しました。
  34. 川端佳夫

    ○川端委員 大体議事も終つたようでございますが、この際漁業法に伴う海区設定の問題につきまして、紀伊水道の取扱いに関する陳情を瀬戸内海の関係各県の代表がいたしたいというので、本委員会に参つておりますから、おとりはからいを願いたいと思います。
  35. 石原圓吉

    石原委員長 本日の委員会はこの程度にとどめ、散会後水産物統制に関する小委員会を即時開会いたしたいと思います。  なお川端委員より御発言の瀬戸内海の陳情につきましては、散会後ただちに御聽取くださるようにお願いいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時五十二分散会