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1950-02-28 第7回国会 衆議院 水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月二十八日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 松田 鐵藏君    理事 林  好次君 理事 中西伊之助君    理事 早川  崇君       小高 熹郎君    田口長治郎君       田渕 光一君    玉置 信一君       冨永格五郎君    福田 喜東君       小松 勇次君    岡田 勢一君       中原 健次君  出席政府委員        海上保安官        (海上保安庁燈        台部長)     柳澤 米吉君  委員外出席者         水産庁次長   山本  豐君         農林事務官         (水産庁漁政部         漁政課長)   戸嶋 芳雄君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君 二月二十八日  委員永田節君辞任につき、その補欠として森下  孝君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  水産行政に関する件     —————————————
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議開きます。  前もつてちよつと御報告申し上げておきます。漁業に関する税制改革に関する件は、小委員会立案を一応関係方面にも説明をして了承を得たのでありまして、閣議にかかる前に、なお関係大臣説明を求める予定になつております。この問題は地方行政委員会共同審議方法もどりたいと考えるのでありまして、その節にはぜひ委員諸君の御参加を願いたいと思います。  まず海上保安庁燈台部喜長柳澤君が出席されておりまするので、漁業燈台関係について説明を聴取いたしたいと思います。
  3. 柳澤米吉

    柳澤政府委員 漁業燈台につきましてちよつと御説明申し上げます。  近時各漁業組合から、燈台建設あるいはこれが改良に対しまして、非常な要望が来ております。現在新設の設置要望だけでも、大体百箇所に上つております。これにつきまして皆様方の御了解を得たい、かように考えておる次第であります。大体日本燈台は、明りのついておりますものが全部で千八十五ということになつております。その内訳は、海上保安庁のものが九百十六、公安局のものが十、国有鉄道のものが二十五、海上保安庁以外のものが百三十四という数字になつております。燈台は、御承知通りほとんど全部を政府において管理すべきであるという方針で、航路標識というものができまして、海上保安庁において、全額国費をもつて燈台を管理して行くということになつておりますが、その特殊の事情によりまして、私有的のものを許すということによりまして、他のものができて来るわけであります。なお明りのつかぬものを算えますと七十七ありまして、これが信号所でございます。二百八十八が晝標ということになつております。明りのつきますものを全部入れますと、千四百五十という数字になつておりますが、世界各国航路標識わが国航路標識を比べますと、日本航路標識は、海岸線に比べて夜標の数から行きますと大体九海里に一基となつておるのであります。この九海里に一基というのは他国に比べまして非常に暗いものであります。イタリー、アメリカ、オランダ、ドイツ等が大体一海里ないし三海里あるいは四海里に一基になつておるのに比べまして、日本におきましては大体九海里に一基、すなわち日本では明りのある燈台は、少くとも現在の倍にしなければならないという状態になつております。御承知通り海難は一日大体一億四千万円近くの損害をこうむつております。それにもかかわらず燈台が非常に発達しておらないということは、わが国海上が非常に不安ということになつておるのであります。近時漁業関係におきまして、漁区が割合海岸から遠くなつて来たという関係で、以前におきましては、朝早く出て、晝間作業をして夜間帰つて来るということで、地理に明るいために燈台に対する要望割合に少なかつたのでありますが、近時遠距離に漁船が進むために、燈台に対する要望が非常に大きくクローズアップされて来ております。これに対しまして、漁獲高増産という点から、各漁業組合あるいは市町村から、ぜひ燈台をやらねばならぬという要望が出て来ておるわけであります。われわれといたしましては、海損状態漁獲高増産という二つの面から見まして、燈台はぜひやらねばならぬということを考えました結果、大体の統計で現わしましてお手元に配りました航路標識整備箇所船舶交通量及びその損害表というものがございますが、この表によつて一々損害を計算してやつておるのであります。大体この表によりますと、もし燈台を百六十三基づくつたとしまして、これが総工費は約十億の予算になりますが、これに対しまして生産の増強及び海難損害、それを入れますと、大体三十二億という数字になりまして、一箇年におきまして、三十二億の海損を助けることができる。あるいは増産をすることができる。しかるにその工費は大体十億でありますから、三箇月ないし四箇月をもつて、立てました工費海損を助けることによつて浮き上るという状況になつております。従いましてこの燈台というものをぜひとも御認識になりまして、これからひとつ日本の再建に対して大いに援助を願いたい、かように考える次第であります。  それでは日本燈台は、日本海面の上で、どういうふうになつておるかということを、ちよつとお時間を拝借して申し上げておきます。日本海面の上を照らす燈台は、全海面のうちほとんど暗黒——燈台が全然見えないという箇所が、大体一八%、すなわち全海面の五分の一は燈台が全然見えない。従いましてここにおける海損というものは、非常に多いのであります。人命もまた相当にこれによつていためられておるわけであります。御承知のごとく、燈台二つ燈台を同時に見ることが非常に大切なのでございますが、この燈台の全然見えない所が日本海面には二〇%、すなわち五分の一あるということは、いかに日本燈台が遅れておるかということを指し示すものであると考える次第であります。次に燈台の一箇所しか見えないところ、これは大体全海面の三〇%になつております。従いまして残りの五〇%が燈台二つ見える箇所であるわけであります。日本は御承知通り世界第一の海難国であります。これには、いろいろの原因がございましようが、燈台の設備の非常に不完全ということが大いなる原因をなしておるように考えるのであります一従いまして、われわれといたしましては、各漁業組合及び市町村の御要望によりまして、燈台施設ということにつきましては鋭意努力しておるのでございますが、いろいろの御都合があるようでございまして、これの建設が非常に遅れておる状態で、まことに申訳ないと考えておる次第であります。この点に関しまして、今後もわれわれは非常に努力したいと考えておるのでございまして、何分の御援助を得たいと考えておる次第であります。  なお日本海岸燈台のある状況につきまして、図面をもつてお示ししたいと思います。この黄色く塗つてある所が、燈台が一つ見える所、それから赤く塗つてあるのは二つ見える所、何も塗つてない所はほとんど見えない箇所でありますが、これが相当に出ております。従つてこういう所にはぜひ燈台をつけて海難を防いで行かなければならぬのであります。それからこれは裏日本の方でありますが、一箇所しか見えない、あるいは全然見えないというのが相当あります。また北海道あたりに行きますと、青函連絡の近くは割合燈台がございますが、そのほかはほとんど燈台の見えない所になつております。従いまして、われわれといたしましては、この燈台のないことによりまして非常なる海損の起ることを恐れておるわけであります。  以上簡單でございますが、燈台の現況を申し上げまして、私のお話を終ろうと思います。なおいろいろ御叱声を願えれば幸いであります。
  4. 石原圓吉

    石原委員長 何かこれに対して御質問がありましたらお願いします。——それではこの程度にとどめます。     —————————————
  5. 石原圓吉

    石原委員長 次に山本水産庁次長より最近の見返り資金水産方面に関する状況の御説明をお願いします。
  6. 山本豐

    山本説明員 見返り資金の問題につきましては、皆さんも御承知だと思うのですが、これは昨年度の五、六月ごろから起つておるのであります。当初閣議決定の際に、農林関係のほかの資金と同様に大体のわくがきまつたのであります。その当時の状況を申しますと、大体水産関係では、北海道魚田開発アメリカ式きんちやくと、この二つに重点を置きまして、いろいろやつて参つたのでありますが、結局アメリカ式さんちやくにおきましては、見返り資金は出ませんので、これは金融あつせんというような線でその後動いて参つております。魚田開発につきましては、これは閣議決定の線に沿つていろいろ交渉して参つたのでありますが、今日までまだ資金融通の時期に達しておりません。これは見返り資金全体の問題でもあつたのでありますが、そういう状況でありまして、水産業につきましては、その他の金融制度についていろいろ考慮はしておるのでありますが、なかなかよい方法もないのであります。かろうじて昨年手形制度というものを制定いたしまして、これによつて活路を見出して来ておるような状況であるのであります。そこで今後の問題といたしましては、やはり見返り資金等に相当依存して、行き詰まつた水産金融の打開の重要な一助にしたい、こういうように考えまして、ここ一箇月前から、新しい二十五年度の見返り資金計画安本中心としまして、いろいろと折衝いたしておるのであります。経過はいろいろあります。われわれといたしましてはこれにすがりつくようなかつこうになりまして、初めは漁港の補助金にかわるようなものでも、何とかこれに乘つからないだろうかというようなことまでも考えたのでありますが、落ちつくところ、この資金性質からいたしまして、いろいろのものを盛りだくさん盛つて参りましても、なかなかその方で聞いていただけないというようなことで、現在のところで申しますと、北海道魚田開発沿岸漁船の代船建造、南氷洋の捕鯨母船建造、それから冷蔵施設、特に北海道高度利用施設、こういうような点に問題の中心が集まつて来ておるのであります。この線に沿いまして、できるだけ多額の融通が得られますように、われわれとしてはいろいろ折衝をしておるのであります。現在代船建造でありますとか、捕鯨の問題でありますとか、魚田開発の問題でありますとか、こういう点につきましてはそう金額開きはないのであります。北海道高度利用施設につきましては、皆さんの御要求はうすうす聞いておりまするし、これらの点について、金額的に安定本部との間には相当まだ開きがあるのであります。もちろんある程度のものは認められるであろうと確信を持つておるのでありますが、ただ金額の点において非常に開きがあるということと、御承知のように、これはこの委員会でもたびたび申し上げたのでありますが、この北海道高度利用の問題は、当初は、とにかく手取り早くできるところというような意味で、主として大きな企業施設を持つておるようなところを中心考えておつたのでありますが、それでは沿岸漁業者のためにならぬというような御意見もいろいろと出て参りまして、現在では逆に道漁民をむしろ中心にいたしまして、これに若干の企業家を加えまして、総合的に北海道施設分布状況とにらみ合せまして、しかも熱意のある業者等をこれに参加させて、全体として解決して行きたい、こういうふうに考えまして、その線で現在やつておるのであります。こういう希望者だけを募りましても、二十数件に上るのでありますが、とうていその全体を入れるわけには参らないのであります。われわれといたしまして、この加工施設分布状況なり、またそのやりたいという希望者資産程度、あるいは熱意程度、こういう点を勘案いたしまして、大体十ぐらいなところを一応今目標にして、折衝いたしておるのであります。金額にはなお開きがございますが、この点につきましては、今後ともわれわれといたしましては努力いたしたいと考えておるのであります。委員諸公におかれましても、また別途いろいろと御援助いただきたい、かように考えておるわけであります。
  7. 冨永格五郎

    冨永委員 ただいまの御説明で、水産関係に関する見返り資金範囲を一応了承した次第であります。この場合お伺いいたしますが、当初魚田開発、それから冷蔵施設等は、それぞれAクラスBクラスというような段階をつけられてあつたように聞いておりましたが、やはります第一にこれに手をつける、第二にこれに手をつけるという段階は、現在もそういうふうに考えられているのかどうか。それから総額におきまして三十億というふうに承つてつたのですが、現在水産庁が公表せられておる金額が、おおよそどの程度目標としておられるか。それから水産庁が現在折衝しておられる金額は、ある程度可能性を持たれておるかどうかという点の見通しについて承りたい。先般金融の小委員会におきまして、安定本部の清島金融政策課長が出席せられてのお話によりますと、大体見返り資金をもつて漁業金融をするという考え方ではなく、見返り資金をもつて誘い水、呼び水というような、つまり見返り資金という金融上における看板を借りることによつて市中銀行からまかないをするようにということであつたのでありますけれども、しかしその誘い水も、やはり程度の問題でありまして、あまりにわずかな誘い水であれば、それにつながつて出て来る金融もあり得ないわけでありますので、その点われわれからも、安定本部方面にもいろいろ話をいたしてはおりましたが、水産庁との折衝経過について一応承りたいと思います。
  8. 山本豐

    山本説明員 冨永委員の御質問にお答えいたします。第一の、A、Bのクラス段階が現在もなおあるかという御質問でありますが、当初は私の方といたしましては、安定本部と、それからNRSと、両方——NRSの方は極祕に援助をお願いしたわけでありますが、こ両方にいろいろ折衝いたしたのであります。その当時におきましては、Aクラスとか、Bクラスという話はたしかにあつたのでありますが、しかしこれもNRSあたりの御意見安定本部考え方とは、また若干食い違いがあつたわけであります。しかしいろいろと折衝いたしまして、現在におきましては、大体先ほど申しましたような項目が、Aでもなし、Bでもなしに、とにかく安定本部としても一応考慮の中にある、こう言つてよいのではないかと思うのであります。  次に、金額の問題でありますが、この点は当初われわれの方の要求は、御承知のように大体三十億程度考えておつたのであります。しかしこれは先ほど冨永さんがおつしやいましたように、見返り資金誘い水になりまして、若干そのほかに、たとえば農林中央金庫だとか自己資金がこれにまざつて出るというようなことになりますと、見返り資金は若干少くても、全体としては融資額がある程度出るわけでありますので、そういうふうな事情の変化もありまして、かたがたまた安定本部のいろいろ全体のわくのきめ方の段階に入つて参りまして、相当にこれを落せとか、これはもう少し金額を減らしてもらわなければ困るというようなお話もありまして、現在のところ、ざつくばらんに申しますと、見返り資金としまして、この程度ならという安定本部の線の話でありますが、むろんこれは安定本部でも、最上級の幹部の方のところまでまだ行つてないのでありますが、大体主務官ところ程度の話でありまするけれども、十億見当見返り資金、これなら可能性があるのではないかというふうに、われわれは看取しておるのであります。しかしこの十億程度でありまするが、これにつきましては、先ほど申しましたように、この金を誘い水的に出すことの関係もありますので、なお二、三億のものは、これに農林中央金庫あたり手持資金が加わりまして、結局十二、三億は出るのではなかろうか、従つていわゆる業者自己負担をまぜますと、全体としては二十億くらいの事業が可能性があるのではないかというふうに考えておるわけであります。もちろんこれでは、われわれとしては十分だとは考えてないのでありまして、なお二、三の点につきまして、特に北海道の問題につきましては、この二、三日の間にも、いろいろと詳しい現在の施設分布図等もつくりまして、折衝を続けておるのであります。できるだけ多く実現ができますように、努力いたしておるわけであります。
  9. 冨永格五郎

    冨永委員 大体了承いたしましたが、ただこの場合特に次長見解を承つておきたいと思います問題は、ただいま次長の御説明にもございましたが、魚田開発、代船建造捕鯨その他冷蔵施設等の借り入れる方面は、必ずしも協同組合というふうにきまつておらないように承つておるのでありますが、しかしその取扱い金融機関農林中金というふうに、安本日銀関係方面でも話されておりまするが、そう相なりますると、御承知通り農林中金は一応協同組合だけを扱うことになつておるという内容等から見ますれば、そうした場合には、はたして協同組合以外の企業体方面にはいかなる方法金融されることになるのか、あるいは法律を改正するのだというような話も巷間承りますが、そういう点までも考えておられるのかどうか、この点次長見解だけを承つておきたいと思います。
  10. 山本豐

    山本説明員 今の御質問の点は、水産庁でも非常に心配しておる一点でありまして、先週来も係に、この点をはつきりさすように、了解方を言いつけておつたのでありますが、これは話を聞きますると、今度農林中金改正法がこの国会に出ておるのでありますが、そのうちでもやはり問題になつて考えかかつたときもあつたようであります。しかし最近の大蔵省見解は、この見返り資金をとにかく各企業者が、金額の大小にかかわらず一々その書類をつくつて関係方面並びに日銀その他に折衝することは手数がかかるという意味合いもございまして、見返り資金を先ほど申されましたように誘い水といいますか、一ところの金庫——これは何も中金に限らないのでありますが、最も多く出るような流れの一つの銀行にまとめて出しまして、それを引当てにして増資するとか、あるいはまた債券発行の増額をするとかいうことをしまして、若干のものを尾ひれをつけて融資をする、しかもその場合には、そういう資金性質上いわゆる員外貸付という問題も、本来ならば協同組合関係から言いますれば余裕金運用範囲しかできないわけでありますが、大蔵省はその点を了解しておる、こういうふうに聞いておる。なおこの点は非常に重要な点でありますので、ひとつ責任ある人の話を私ども直接承つて参りたいと思い、けさ出て来るときに係の人に確めて見ましたら、大体大蔵省了解しているという話でありましたので、安心しておるのでありますが、重要な点でありますから、なお確めた上で御返事いたしたいと思います。
  11. 石原圓吉

    石原委員長 高度加工に対する見返り資金関係ですが、北海道に限定されるような次長の御説明のようでありますが、北海道以外の、つまり全国のたとえば製氷冷凍工場が破壊されてそのままになつておる、カン詰工場もその状態におる、また漁船冷房装置をするとか機械のとりかえをするとかいうことのできないために、船が動かない、そういうものが非常に多いと思うのですが、その点に対してはどういう方針をとつておられるのですか。
  12. 山本豐

    山本説明員 その点はわれわれといたしましても、当初計画のときにはやはり考えを持つてつたのであります。ただ国内の各方面に同じような事情はあるのでありますが、特に北海道は土地が僻遠でもありますし、魚の鮮度の問題におきましても、これは地理的に考えましても非常に重要である。ことに漁獲量が非常に多い所でありますので、総合的に取上げる施設としましては、北海道だけを重点的に考えたのであります。しかしながら、それ以外のたとえば内地におきます大消費地附近施設が、今委員長がおつしやいましたような非常に老朽のところも少くないと思うのであります。これらにつきましては、具体的な案件として、例の中小企業のいわゆる見返り資金というのもあるわけであります。そこで北海道高度利用関係に載らない方面につきましては、もちろん多数出てくると困るのでありますが、そんなにたくさん殺到することはないと思うのでありまして、ぼつぼつ出て来る場合には、これらにつきましても、水産庁はやはり同じ立場で大いに金融あつせんをいたしまして御援助申し上げたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  13. 石原圓吉

    石原委員長 もう一つお尋ねいたしますが、ただいま御説明のような方針を、どんな場合に具体的にその企業者とかあるいは工場主と申しますか、船主と申しますか、それらの方面より具体的な計画書を提出して、そのものに対しての見返り資金支出方水産庁においてとりなすものであるか、あるいは全国のそれらの必要性のあるものを水産庁見当をつけて、それに対して何ほどかの見返り資金を支出すべく考慮のうちに入れるものであるか、そのどちらの方法をとられるか、その方針はいかがですか。
  14. 山本豐

    山本説明員 私の方といたしましても、全国でいわゆる施設の足らない所という一応の見当はつくと思うのであります。ですからもちろん非常に足らないような所につきましては、水産庁としても熱意のある業者をむしろ慫慂してやつてもいいと思うのでありますが、ただ大局的にいいますと、内地の特に消費地方面冷蔵冷凍施設というのは、大体戰前の域に達しておると思うのであります。もつとも先ほど申しましたように、その施設が非常に非能率的になつておる。老朽である。これを新らしく能率的なものにするという方面における必要性は、私も痛感しておるのでありますが、そういう状況でありますので、むしろどつちかと申しますと、熱意があり、また必要性のあるところから個別に申し出がありまして、その内容を検討をいたしまして、これはもつともだというものについて、水産庁としてはごあつせんをした方が、かえつてその時宜に適するのじやないかと考えております。
  15. 石原圓吉

    石原委員長 他に御質疑はありません——この問題はこの程度にとどめます。     —————————————
  16. 石原圓吉

    石原委員長 次にさしあたり問題になつております漁業関係する税制制度に対して、当局のただいまとつておられる御方針及び実情の御説明をお願いします。
  17. 山本豐

    山本説明員 漁業者に対する税の問題につきましては、広く農業、林業漁業を含めて、御承知のように今度のシヤウプ勧告によりまして、大蔵省でいろいろ立案があるわけであります。これに関連いたしまして、農林省といたしましても、省全体として強く希望の点を大蔵省に申し入れまして、実現方をはからねばならぬというので、大体官房の調査課長中心になりまして、これに林業あるいは水産関係のその方に明かるい事務官がある程度参加いたしまして、ここでいろいろ研究をし、またこまかい折衝大蔵当局関係方面とずつとやつて参つたわけであります。その結論は、ときどき省議におきまして関係課長から報告を受けており、またそれに即応して各局で必要のある意見を申し出て、まとめつつあるわけであります。大体申しますと、水産庁で最も関心を持つております点は附加価値税の点でありまして、この点につきましては、どういたしましても家族労働を主とする漁業にとつては、免税してほしいということを考えておるのであります。この点につきましては、附加価値税の法案の中にもその書き方はかわつておつたと思うのでありますが、家族労働漁業については大蔵省大分関心を持つておるのであります。これはおそらく大蔵省としても了解がつくのじやないかというふうに考えております。  次に一体附加価値税のようなものは漁業者には非常に酷である。ことに二十七年度以降は御承知のように免許料許可料というものも出て参るわけであります。でき得ますれば二十七年を待たずに、今日からひとつ免税してもらいたい。こういうふうに懇請しておるわけであります。これは見通しの問題も大事でありまして、この先々この一点張りでも行けない事情も出て来るのじやないか。どうしてもかかる場合には、せめて税率の点で現在要求されております三%でございましたか、それの半分くらいにしてもらう、あるいはまた附加価値の収入基礎となる収益の算定を、ある程度限界を設けてもらうとか、こういうようなことを要求しておるわけであります。  なお協同組合などの問題もあるのでありますが、これはひとり漁業協同組合のみの問題ではなくて、農業協同組合その他と関係がありますので、これらについては、そういう方面と共同戰線を張つて交渉したいと考えておるのであります。  なお所得税の問題でありますが、これにつきましては家族労働の基礎控除の問題を強く要求しておるわけであります。それからなお農業と違いまして、漁村の非常に遅れておる事情考慮いたしまして、青色申告というふうな点につきましても、できるだけ簡易な方法を採用できますように、しかも簡易であつてもこの特別の取扱いに加われるような方法を何とか考慮してやりたい。この一点を強く所得税については考えておるわけであります。  その他、漁業権税の問題あるいは船船舶税の問題、いろいろあるわけでありますが、大体大筋はそういう点を、水産庁としては重視いたしまして、大蔵省方面となお折衝を続けておるわけであります。
  18. 石原圓吉

    石原委員長 別段御質疑はありません——田口君。
  19. 田口長治郎

    ○田口委員 この附加価値税につきまして、最も重要な点は、採算が引合わない漁業に対して非常な増税になる、採算が引合つておるところの漁業に対しては割合に軽くなる、結局、成績が不幸にしてあまり上らなかつた、こういう漁業に対しては非常に税が大きくなる関係にあるのでございます。今日の漁業経営から申しまして、百パーセントどの船もそろつて成績がいい、こういうような漁業は、日本の各種漁業をながめてみましても、一つもない状態でありまして、ほとんど二分の一の漁業は収支償う、二分の一は今年は欠損をしておる、こういうような状態にあることが現在の日本漁業の実態でございます。二分の一収支が合わない、こういう種類の漁業に対して税金が非常に重くなり、従来の税金と比べると非常な苛酷な金額になる、そうして収支が償う漁業が比較的に軽くなる、こういうような税のかけ方というものは、結局没落過程にある漁業を、なおさら頭をたたく、こういうような実情になると考えるのでございますが、この点に対して、もしこういう税を政府が認容するといたしますと、結局弱い者いじめといいますか、あるいは経営が非常に苦境に陷つたる者にさらに税で苦しめる、こういうような結果になると思うのでございますが、この点について、水産庁といたしましては、数学的に御研究されたと思うのでございます。その結果についてどういうような方針で行かれるか、御意見を承りたいと存ずるのであります。
  20. 山本豐

    山本説明員 水産庁といたしましては、その点はいろいろと係の方におきまして、方々でこまかい資料などもつくつて研究をしておるわけであります。その内容につきましては、私資料を持ちませんので申し上げかねますが、今御指摘の点は、われわれとしましても大体同感であるわけでありまして、その場合に、今度は所得税につきましては、その損失が後年度に繰延べして帳消しできるような方法になつておるのでありますが、そういうふうな方法がもし附加価値税に採用できるものであれば、これは非常にけつこうなことではないかと思うのであります。ただ附加価値税と所得税とは、これはわれわれしろうとでわかりませんが、税の趣旨がいろいろ違うわけでありますから、はたしてそれを聞いてくれるかどうかわかりませんが、そういう線で何とか所得の全然ない年は附加価値税もやめてもらう、全廃論をすれば別でありますが、そういうふうな線を所得税の例に一つくつつけまして、こつちの方でも要求してみたらどうかというふうに考えております。
  21. 田口長治郎

    ○田口委員 ただいま申しました点におきまして、附加価値税というものは、非常に大きな矛盾があると考えるのでありますが、これは議会におきましても、その点についていかなる対策をもつて進むかということも研究しなければならぬと思います。これは官庁同士の非常に重大な問題でありますから、その点特に御考慮になりまして、大蔵省その他と十分の折衝をしていただきたい、こういう要望をいたしたいと思うのであります。
  22. 石原圓吉

    石原委員長 あわせてちよつとただしておきますが、この附加価値税につきましては、最近の閣議方針が決定されるようでありますが、水産庁よりはむろん農林大臣に実情を説明し、かつ閣議において水産関係の削除等の主張があるべきはずだと思うのであります。これに対して、次長はどういう御方針をとつておられますか。一応説明を求めておきます。
  23. 山本豐

    山本説明員 たびたび閣議の機会——これは大臣が御出席にならない場合もありますけれども、次官以下の各局長は出席しておりますが、その席では、水産庁意見は、先ほど申し上げましたような線で、時々いろいろ主張いたしまして、それに即応する訂正方を大蔵省に申入れいたしまして、ある程度了解のついたものもあるわけであります。なおこの閣議前におきましては、重要な問題でありますので、われわれといたしましても、次官以下には始終連絡はあるわけでありますが、大臣にもよく御説明いたしまして、われわれの言いたいことを十分に言つてもらうように努力いたしたいと思つております。
  24. 石原圓吉

    石原委員長 農林大臣に対しては即刻次長より申入れを要望します。その結果、大臣の意向によつては、さらに他の方法をとるべきであると考えるのでありまして、至急そのお会いになつた実情を非公式に委員長までお知らせあることを要望しておきます。  他に御質疑はありません——それでは本日はこの程度にとどめたいと思いますが、この際漁業制度に関する小委員長鈴木善幸君より、午後二時より小委員会を開会する旨の申出がありました。御了承願います。  なお水産次長にただしておくことがあります。水産物枯渇防止法案、団体法一部改正法案でありますが、これはすみやかに提案されることを期待しているのでありまして、これがだんだん遅れることは、会期も本年は期日が繰上げられるような情勢でありますから、時間的に間に合わないことは非常に漁民のために不利、不便であります。よつてすみやかに提出されるように、たとい水産庁長官が御病気でありましても、次長の権限において提出されるようなとりはからいを、至急要望いたします。なお大体の見当がつくならば、この際説明を求めておきます。
  25. 山本豐

    山本説明員 委員長から御好意ある御忠告をいただいたのでありますが、実はわれわれの方においても、その点非常に気がかりでありまして、大分前にこの両法案は例のGSの方に提出してあるわけであります。GSの方さえ了承をいただければ、すぐにも提案できるわけでありまして、係の方にはその間にいろいろ説明書とか、その他をしたくしておけというように、言いつけてあるのであります。もうそう長くはかからないと思いますが、一昨日も関係方面に行く機会がありましたので、NRSの方からもGSの方に督促方を依頼しておいたような実情でございます。極力お話のように努力いたしたいと思います。
  26. 小高熹郎

    ○小高委員 ちよつと伺いたいことがあります。これは千葉県の九十九里海岸に起つている事象でございますが、米軍の実彈射撃によつて漁業者が非常な影響を受けまして、今や打続く不漁のために疲弊困憊をしているその上に、ちようど片貝を中心とする数里の間、実彈射撃が間断なく昨年来行われておりますために、たまたま銚子附近へ漁が出ましても、その漁は当然九十九里、勝浦方面へ続くべきであるにもかかわらず、それが中断されている。音響のために魚類が離散して行くものかどうかはわかりませんが、そういう影響が一つと、いま一つはこのためにその地区に限つて出漁できない。午前とか午後とか時間を切られて、なるべく漁業に支障のないように、時間の繰合せは米軍においてもしてくれているのでありますけれども、しかし漁のことでございますから、午前中漁のあるときもあるし、またにわかに漁が出て来ても、正午からただちに演習を開始するというならば、漁を見ながら引上げなければいけないというような事情等もありまして、音響により魚類が遠ざけられて行くような気がすることが一つと、いま一つはたまたましけ後において漁が始まりましても、時間の都合上これを打切らなければいけないこと等から、この演習による非常な影響を受けまして、今や九十九里の片貝を中心とする漁民は、塗炭の苦しみにあるのであります。こういう事例がただ單に九十九里の沿岸のみでなく、全国各地にあるのではないかと思うのでありますが、かようなことは当然政府がある程度補償をすべきものである。見てやらなければかわいそうである。もとより国家の国防上から考えまするとき、この演習に対しては、私どもは協力しなければならないのでございます、その線は明らかに漁民も了承しているのでございますが、いかにせんその小部分だけが、につちもさつちも行かないというような苦しみにあるのでありまして、国家全般から考えるとき、これは何とか施策を施さなければいけないのではなかろうかと考えられるのでありますが、これに対して政府当局はどういうお考えを持つておられるか、また九十九里のみでなく、こういう事例が全国どの地区に現われているかということ等も、あわせて伺いたいのであります。
  27. 山本豐

    山本説明員 はつきりしたことは私も聞いていないのでありますが、裏日本の方でもそういう例が一、二あるような——先般福井県の副知事が来たときに、そういうお話を聞いた程度の情報があるだけであります。この近い千葉県にそういうことがあるということは、初めて承つたのでありますが、これにつきましては、今のお話のように非常に漁民のためにはお気の毒だと思うのであります。先ほどもお話がありましたように、米軍の軍事行動に関することでありますので、うかつにとやかく言うわけには参らないと思います。ただこれが非常に恒久的に各方面にあるということになりますれば、むろん補償とか、そういつた方面の問題も大いに取上げなければならぬと思うのでありますが、一般的にいつまであるという通知に接しないのであります。しかし全国的に相当こういうことがあるということであるならば、穏便にわれわれの方からそのやり方なり何なりについて懇願するより手はないのであります。そういう処置も一応やつた上で、お話のような点を考えて行くのが順序でないかと考えます。なおごく近い例でありますので、われわれの方でもそういう事情をよく調べまして、どういうように処置していいか考えてみたいと思います。
  28. 小高熹郎

    ○小高委員 ただいま水産庁次長の御答弁にありますように、米軍の軍行動であり、また国防に関することでございますから、漁民もこれには反対しておらないのであります。でありますが、その一局部は生業が成立たないというような非常に悲惨な状態、これはこの地区において一部が犠牲になつているのであるから、国の漁業上の政策とあわせて、全般的な施策において、あたたかい手をさし延べ、補償してやるということは、当然なし得ることと思いますので、すみやかに御調査の上で、この結末について善処あらんことを要望いたしまして打切ります。
  29. 石原圓吉

    石原委員長 本日はこの程度にとどめたいと思います。つきましては田淵委員より、和歌山県の勝浦町長より陳情があつて、それの聴取を求めておりますので、散会後にただちに陳情を聞きたいと思います。どうか委員諸君だけしばらくおとどまりを願います。  これをもつて散会します。     午前十一時三十七分散会