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1950-02-07 第7回国会 衆議院 水産委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月七日(火曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 松田 鐵藏君 理事 林  好次君    理事 中西伊之助君 理事 早川  崇君       小高 熹郎君    川端 佳夫君       田口長治郎君    田渕 光一君       玉置 信一君    冨永格五郎君       二階堂 進君    小松 勇次君       井之口政雄君    岡田 勢一君  出席政府委員         大蔵事務次官         (主計局長)  河野 一之君         経済安定本部建          設交通局長   高野 與作君  委員外出席者         農 林 技 官 高木  淳君         農 林 技 官 林  眞治君         農 林 技 官 志道 吉次君         通商産業事務官 佐橋  滋君         専  門  員 小安 正三君 二月二日  委員坂本實君辞任につき、その補欠として福田  喜東君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 二月六日  海そう工業振興に関する陳情書  (第二〇八号)  国立水産研究所南九州設置陳情書  (第二一七号)  漁区拡張に関する陳情書  (第二二二号)  河川漁業に対する共同漁業権付與陳情書  (第二四一号)  水産金庫設置陳情書  (第二六一号)  水産業協同組合法等改正陳情書  (第二六二号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  小委員補欠選任  漁船並びに水産資材に関する件  漁港災害に関する件     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  本日の議事に入ります前に御報告申し上げます。去る二日坂本實君が委員を辞任され、その補欠として福田喜東君が議長指名委員に選任されました。  なお去る一月二十六日、七日、二月一日及び二日の委員の異動に伴い、水産金融並びに漁業災害補償に関する小委員及び漁港に関する小委員は各一名、漁業制度に関する小委員及び漁船並びに水産資材に関する小委員は各二名欠員になつておりますので、これが補欠選任を行いますが、これは委員長において指名するに御異議ありませんか。     「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石原圓吉

    石原委員長 御異議ないものと認めます。  それでは水産金融並びに漁業災害補償に関する小委員には福田喜東君を、漁港に関する小委員には井之口政雄君を、漁業制度に関する小委員には井之口政雄君及び保利茂君をまた漁船並びに水産資材に関する小委員には、弁之口政雄君及び保利茂君をそれぞれ指名いたします。  それではこれより漁港災害に関する件を議題といたします。鈴木君。
  4. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 水産庁沿岸漁業課長がお見えになつておりますので、この機会に伊豆の狩野川放水路の問題につきまして、水産当局見解並びにこれに対する建設省その他との折衝経過当局方針等をただしたいと存じます。  この狩野川放水路の開鑿の問題につきましては、かねて当委員会におきまして、決議をもつて政府に対して、総合的国土計画見地から適切なる対策を樹立することを要望してあつたのであります。これは静岡県の地元におきましては、一応口野放水路を出すという結論が出ておるようでありますが、しかしながら口野放水路を出す案を実行いたしますならば、あの内浦湾一体漁業生産が致命的な打撃を受けることは火を見るよりも明らかでありまして、内浦湾関係漁民の将来はまことに暗澹たるものがあるわけであります。のみならず本委員が当委員会において強調いたしましたように、内浦湾は、日本中部におけるかつおまぐろ漁業の生きえさ供給地として重要な使命を持つものでありまして、連合軍当局好意によつて逐次かつおまぐろ漁業が拡張されておりますその好意に対しましても、かつおまぐろ漁業振興対策の一環としての生きえさの確保という問題は、当委員会の重大な関心を持つところであります。その生きえさ供給地であるところの内浦湾一帯が、狩野川放水路によつて非常な打撃をこうむる結果に相なりますので、この見地から、当委員会としてはこの問題をただに地元静岡県の問題だけでなくて、大きな日本水産政策につながる問題であるという観点から、これは政府責任において、広い国土計画見地からその結論を出すべきであるという決議をいたしたのであります。おそらく当局は、この当委員会決議の線に沿いまして、建設水産当局において具体的折衝をなさつておると思うのでありますが、その折衝経過、またいかような結論に到達しておるのであるか、また水産当局はこれに対していかなる見解を持つておるか、この点を志道沿岸漁業課長にお尋ねしたいと思うのであります。
  5. 志道吉次

    志道説明員 ただいま鈴木委員からお話のありました、狩野川改修工事反対に関する措置の問題はいかがかというふうな御質問であります。これにつきましては、先般来この工事の結果が、内浦湾海面におけるところの漁業に甚大な影響を及ぼすという見地から、地元民がこれにこぞつて反対しておられることについては、水産庁といたしましても十分了承しておるのであります。また水産庁といたしましては、県当局に対しましてこの問題の重要性を認識させるとともに、十分根本的な資料調査方を要求しておるわけであります。同時に水産庁当局といたしましても係員を現地に派しまして、そうして十分水産資源の上から見ましたところの技術的な問題を織り込みましてこれに対する一応の結論を出して、静岡県の方へ提示しておるのであります。昨年の秋でありますが、藤原副知事が本庁に参られまして、かつ地元反対陳情はあつたけれども。しかしながらこれは地元民折衝し’かたがた県会議員皆さんと相談の結果、一応放水路結論を見出した、妥結に至つたということを聞いたのであります。しかしながらこの問題は後に及びまして地元民はそうした方面に対して承認を與えたという事実なしというふうなことを、重ねて水産庁の方に御意見存を得たのであります。こういう事情がありましたので、水産庁といたしましては、重ねて県当局に対しまして、一応これに対する通告を出したのであります。こういうふうな形になつておるのであります。水産庁といたしましては、先ほど申し上げましたごとく、一応この漁業に及ぼす重要性を十分看取いたしまして技術的な見地からいろいろな資料を提出して、一応の水産庁としての結論は出ているのであります。この結論につきましては、一応これは後日委員会の方にもお示ししましてけつこうだと思つております。私たち見地から申しますれば、内浦湾におきまするところの漁業というものは、これが遠洋漁業に及ぼす餌料供給地として、かつまた沿岸漁業振興の上から申しましても、あの立地的な要素から勘案いたしまして、きわめて重要であるということに対しましては、決して私たち反対ではないのであります。むしろわれわれは、水産の上から考えてみますと、漁業振興の上から、一番最初に計画されましたところのこの工事というものは、全面的にこれは不賛成であるということを警告したい、こういう意味のものであります。  結論といたしまして、その後の状態といたしましては、本件に対しまして、県当局水産課長でありますが、水産課長に対しましては、私の方といたしましてはその反対の旨を、よくこの点を釈明しているのでおります。これらの事情からいたしまして、まだ建設省当局とその点の折衝を進めておりません。その点、まだ事務的に連絡をつけてないのであります。しかしながら、当初申しましたごとく、きわめて重要な案件として、しかも水産部面にとつてきわめて重要な問題であると存じまして、われわれはどこまでこの案件をくつがえす方面に持つて行きたい、こういう方向に進んでいるということを一応御了承願いたいと存じます。
  6. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 沿岸漁業課長の御答弁で、水産当局の御意向は当委員会決議の趣旨に合致するものであるということが確認されるのでありますがしかしながらこの当委員会決議並びにただいまの水産庁の御方針をいかにして実現するかという問題であります。事柄はきわめて情勢が逼迫していると私ども見ているのでありまして、当委員会は、静岡県の地元ではとうていこの問題は解決ができない、政府責任において、建設省並び水産庁との折衝の結果によつて結論を出す以外にないということで、決議をして、政府に要請しているのでありまして、今までの御答弁では、何らその後において建設省からも水産庁に対して協議がない、また水産庁もこの問題に対して建設省に強力な折衝を行つていないというふうに思うのでありますが“この点について、もう一度建設省並び水産庁間の話合いの経過を承りたいと思います。
  7. 志道吉次

    志道説明員 二十四年の十一月の二十四日でありますが、参議院の建設委員会で、狩野川改修工事に伴う放水路の開発に対する請願が、静岡県の松原茂作という方から実は出ておつたのでありまして、これにつきまして、実は建設省関係係官らもこれに出席されまして、この問題につきましていろいろ意見を闘わしたのであります。私たち水産庁といたしましては、水産立場から申しまするならば、原案はあくまで反対だということについて意見を申し上げておると同時に、あの当時の記憶でありまするが、建設省当局としてもこの問題は十分調査をしてということで、たしか保留になつたと私記憶しておるのであります。そういうふうな状態で、向うといたしましては、事問題が大きいのでありまする関係上、その帰趨につきましてはきわめて重大に、慎重にこれを考慮しておる。この問題はただちにこれを右する左するという結論を得るのでなく、私たちの考えますることについては、向うとしましても、相当慎重にこれを処理するということを十分察知したというふうな形で、その後の関係におきましては、私ども事務当局といたしまして、直接向う折衝しておりません。この点遷延いたしましてまことに申訳ないと思つておりますが、かような状態で、建設当局としては非常に愼重に事を構えておるという事実は、これをもつて一応御了承願えると思つております。
  8. 石原圓吉

    石原委員長 この問題についても建設省では狩野川放水路調査費を相当この期に計上しておるということを間接に聞くのでありまするが、そういう点を御調査なつたことがあるのでありましようか、もし事実国が調査費を計上するというような情勢とあれば、水産庁としては非常に緩慢なように見えるのでありまするが、その辺に対する御見解を一応御説明を願います。
  9. 志道吉次

    志道説明員 ただいま委員長からのお話でありまするが、この点は私ども全然聞いておらないのでありまして、もしそのことがあるといたしますならば、水産庁といたしましても、十分この問題は両方相呼応してこれに対して考えなくちやならぬと思つておりますが、ただいま私初めてこれを承知いたしたというような状態でありますので、この点はなお向うの方とも内容をよく調査したい、こう思つております。
  10. 石原圓吉

    石原委員長 この問題はこの程度にいたしましよう。
  11. 松田鐵藏

    松田委員 小委員会に付託されておりました漁船法の問題について、今まで私ども委員会としていろいろな方法によつて強力に押そうと考えておるのでありますが、この点に対する事務当局といたしまして、運輸省関係との折衝内容を明らかに御報告願いたいと存じます。
  12. 高木淳

    高木説明員 前会の小委員会お話し申し上げましたように、あの停頓の状態から、昨日運輸省から新らしい交渉参つたのでございます……
  13. 石原圓吉

    石原委員長 ちよつと速記をとめて……     〔速記中止
  14. 石原圓吉

    石原委員長 速記をとつてください。お諮りします。この漁船法に関しましては、後刻小委員会を開くことになつておりますから、小委員会十分審議をすることにして、この程度にとどめたいと思いますが、いかがでしようか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 石原圓吉

    石原委員長 ではさようにいたします。それから綿業課長説明を求めます。今日までの水産庁との交渉のもとにあるところの繊維関係について概略の現在までの経過お話願いたい。
  16. 松田鐵藏

    松田委員 この問題はさきに小委員会に付託されて、私が委員の方々と小委員会へ諮つて通産省に対してもいろいろ折衝しておつたのであります。しかもその問題は、昨日もおそくまで通産省水産庁係官安本物価庁折衝中であつて、まだ最後の結論段階まで達しておらないのである。先ほど水産庁資材課長も来たが、委員長にその意味を話して了解を求めて、通産省との打合せのために帰つてもらつたのであります。ところが今通産省綿業課長がおいでになつておるのに、その内容をここで発表せよ、過程を発表せよということは――小委員会に対しておまかせになつてつたものを、今ここで委員会を開いて、その内容を発表せよということは、私はまことに遺憾と思うのであります。
  17. 石原圓吉

    石原委員長 それは誤解です。
  18. 松田鐵藏

    松田委員 誤解ではありません。私は自分の見解として話をします。しかもただいま水産庁資材課長は私を通じて了解を求めて帰つておる、その問題と同一の問題である。今その父渉過程に入うておるのであつて、それをどこまで発表するといつたところで――発表することは一向さしつかえないことと思いますが、時日が窮迫を来しておりますので、いま一日か二日でもつて補給金の問題を片づけようとして、昨日もおそくまでかかつておる。これからもその折衝に行こうとしておるのであつて、私は今そういう時間的のずれを考えるときにおいて、早くこの方法をとつてもらつた方がお互いにわれわれの立場としても都合がいいのではないかと考えておるのでありますが、まことに今の委員長のやり方に対しては、私は遺憾の意を表します。
  19. 石原圓吉

    石原委員長 それは昨日委員会出席を求められる御要求がありましたから、内容を聞くのでなしに経過を聞くのであります。そうして委員会記録にとどめておくということの必要を感じたから、簡單なる経過の報告を求めるのでありまして、内容を聞くのではないのであります。その点誤解のないようにしてもらいたい。
  20. 松田鐵藏

    松田委員 ぼくは非常に遺憾の意を表しておきます。
  21. 石原圓吉

    石原委員長 経過だけを簡單に述べてください。
  22. 佐橋滋

    佐橋説明員 この前ここへ出席いたしまして、数字を申し上げましたが、結局現在までのところ、二・四半期以前の切符に対しまして、現物と見合つておりませんのが二十九万五千玉あることはこの前申し上げた通りであります。それでその後二十九万五千玉を追加発券しようということで進んでおるわけであります。ここで問題になるのは、これに対して補給金がはたしてつくかどうかということが最大の問題でありまして、次は数量が確保できるかどうか、この二点でありますが、数量の点につきましては、その後安本との交渉の結果、大体これに近い数字を出すことができるという見通しがついたわけであります。ところでこの数字に見合う補給金の問題でありますが、もう大分長い間物価庁に対し、水産庁及び通産省折衝を重ねておりますが、いまだに決定に至らないのであります。それでこの二十九万五千玉の数字に対しましては、水産庁終戰後に発券されました二重発券を整理いたしまして、大体二十万玉の数字が出れば、しかもこれに補給金がついて出れば、旧原料二・四半期以前の切符の問題も解消するという見通しが立ちましたので、現在では二十九万五千玉を二十万玉に圧縮しまして交渉を進めておるわけであります。補給金の問題につきましては、現在われわれが唯一の希望を持つておりますのは、水産資材補給金の総わくの中でマニラ麻に対する補給金に若干の余剰が生じております。これを綿の方にまわしていただくということで、問題のかなりの部分は解決いたすわけでありますが、なおそれでも補給金が不足をいたしますので、その追加分の問題とあわせて、今のマニラ麻補給金余剰をまわすというようなことで交渉しておるわけであります。きのうは物価庁の渡辺第一部長に対しまして、われわれの方は繊維局長以下全部出まして話をしたわけでありますが、結論が出ませんので、続いて折衝をいたして、早急にこの問題を片づけて、皆さんの御期待に沿いたいと考えておるものであります。
  23. 石原圓吉

    石原委員長 この問題はこの程度にとどめたいと思います。  次に安本建設交通局長がお見えになりましたから、御発言を願います。鈴木君。
  24. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 安本建設交通局長に対し、きわめて重要な問題になつておりますところの、漁港災害復旧に対する国庫助成の問題について、安本当同の御見解をただしたいと思います。シヤウプ勧告によりまして、災害土木工事に対して昭和二十五年度に限り全額国庫助成をするということは、閣議決定を経ておるということを私ども聞いておるのであります。しかるに政府の一部におきまして、漁港災害復旧に対しては、全額国庫負担を必ずしも採用するものでないという見解が一部にあるようであります。この漁港に対する災害国庫助成の問題は、明治四十四年三月の法律第十五号による災害土木工事に対する国庫助成についての法律には、確かに道路河川港湾等政令に載つておるが、漁港は載つてないということは事実であります。しかしながら政府はその必要を認めまして、助成率は若干低率ではありましたけれども予算措置によりまして数十年にわたつて、やはり漁港に対しても災害助成をやつておるのであります。しかるに今日二十五年度の特別措置にあたりまして、突如として明治四十四年の古証文をひつぱり出して来まして、漁港港湾とは違うということで、国庫助成差等をつけようという見解政府の一部にあるということは、本委員会並びに全国の漁業関係者のまことに意外とし、かつ遺憾に存じておるところであります。シヤウプ勧告の精神は、地方自治体財政負担を軽からしめて、地方自治体財政を安定ならしむるところにあるのでありまして、日本再建の大きな施策であります。でありますから明治四十四年のこの法律に優先いたしまして、この吉田内閣政策は強力に推進されなければならぬということを私ども考えておるわけであります。地方自治団体の管理維持いたします一般港湾と、地方自治団体の管理維持いたします漁港との間に、何ゆえに差等をつけなければならないかということが、大きなわれわれの疑問点であるわけでありまするが、安本当局としては、この問題に対していかなる御方針を持つておられるか、この点をお伺いしたいと思います。
  25. 高野與作

    高野政府委員 災害全額国庫負担の問題は、いろいろ欠点も長所もございまして、久しい論議の結果、特に土木災害一般公共に利害の最も多いものだけを取り上げて、全額国庫負担にする、こういうふうに最近決定になりましたことは御承知の通りであります。そこでただいま問題になりまするのは、お話通り漁港でありますが、港湾等関係上いろいろ問題もございまして、私ども経済安定本部といたしましては、慎重審議の結果、漁港の主要なるものは一般港湾と同格に取扱うこと、全額国庫負担にしよう、こういうふうに、私の方では意見をまとめまして提案しておるわけでありまするが、最近は法律には書きませんが、しかし政令でこれを処置したらどうだ、こういう見解であります。ただしかし、今のところまだ一部見解の相違があるように私聞いております。近くそれは調整されることと思つております。またそういうふうに私ども見解を満足するような政令案にいたすべく努力いたしつつあります。御了承願います。
  26. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 安定御当局の御方針が明確になりまして、私ども非常に意を強うするものであります。そこでただいまの建設局長お話の中に、主異なる漁港というお言葉がありましたが、この際国会の記録内容をはつきりさせますために、くどいようでありますが、重ねてお尋ねしたいのであります。私ども見解では、主要なる漁港というのは、漁業協同組合等のいわゆる収益的な団体が維持管理いたします港湾は別でありますが、市町村自治体か管理維持する漁港は、一般港湾と同球に取扱い得べきものであるという見解つております。この点当局の御見解が、私どもと相一致するものであるやいなやを重ねてお尋ねしたいと思うのであります。それからもう一つ、それは所管が運輸省であろうと水産庁であろうと、そういう内容のものは、やはり一般港湾と同じように扱われる御見解でありますか。これが二点であります。  それから第三点といたしまして、漁業協同組合等が維持管理いたします港に対しましては、二十五年度において、いかなる国の助成方針を持つておられるか。この三つの点をお尋ねしたいと思います。
  27. 高野與作

    高野政府委員 政令に入れるといたしますならば、地方公共団体が管理するものという言葉ででも入れなければならぬのではないかと考えております。  それから第二点の運輸省が管理しております港湾は、運輸省管理港湾という中へ包括されておるわけであります。実はこの漁港港湾の問題が特に混雑しておるのは、非常に小さいものが指定港湾の中に入つておる。漁港以下のもの、あるいは漁港でもそれよりももつと大きいものがある、こういつたことがそもそも非常にやつかいな問題であります。しかしこの法律の上から申しますと“港湾の中よりそういう小さいものを除くということは、ちよつとできないことであろうと思いますので、これはやはり港湾として取扱われるべきものではないか、こう考えられます。  それから第三点の全額国庫補助から漏れましたのは、従来通り補助する、こういうふうに考えております。
  28. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 もう一点だけお尋ねしたいのであります。今政府でも、この法律案並びに政令案を御審議中と承知いたしておるのでありますが、ただいまの高野局長お話は、政令の中ではつきりさせたいという御意向のようであつたのでありますが、自治庁の方にまわつておる政令案の中には、漁港の問題を全然抹殺しておる。安本当局では政令案の中には、漁港港湾同様に処置するように案を作成したが、自治庁の方にまわつておる政令案には、これが抹殺されておるということを仄聞いたしておるのでありますが、その間の経緯を承りたいと思います。
  29. 高野與作

    高野政府委員 ただいま折衝過程にありますが、この法律起安箇所は一省であります。従つて経済安定本部といたしましては、意見を申し述べ、またこれが決定にあたりても、強力に参加いたすはずでありますが、他の関係各省の相当強い意見もあります。まだそれが最後的に決定するわけじやないと思いますが、事務当局としては、まだそう最後的な段階に来ておらぬと思います。この上は責任ある大臣にお聞きくださることを希望いたします。
  30. 川村善八郎

    川村委員 関連事項でございますが、実は案には載つておらないのであります。今鈴木君の言われた通りであります。そこで安本高野局長の御意思は、第四條第五項にただ港湾とありますが、漁港という字句を入れる意思があるかどうか、ここへそれを入れていただくという御答弁をいただきましたならば、まことにけつこうでありますが、ただ入れることに努力するというだけでなく、入れることを強硬に御主張なさる御意思であるかどうか、この点を伺います。
  31. 高野與作

    高野政府委員 私が個人の意見を申し上げましてもいたし方がないのであります。ひとつそういつたことは、やはり大臣にお聞き願つて、――私ども先ほど申し上げました通り、まだ承服しておりません。私ども原案はそうなつておりません。それでその政令案を目下まだ次官会議にも閣議にも諮つていないはずでございますから、さよう御了承を願います。
  32. 石原圓吉

    石原委員長 それでは主計局長がお見えになりましたから、どうぞ――川村君。
  33. 川村善八郎

    川村委員 去る二月の一日の水産常任委員会におきまして、漁港災害に対する国庫負担に関して、巷間伝わるところによりますと非常に不安な状態にあるということから、それを明らかにするために河野主計局長に御出席願つて鈴木委員から御質問があり、御答弁を願つたのであります。その御答弁によりますと、港湾漁港の区別が非常に困難である。しかしわれわれとすれば、港湾漁港も同一の観点に置くべきであるという見解から、収益的の施設に対しては全額負担ということは容易でないと思うが、その他防波堤とかあるいは突堤とかいうような、公共の川に供するところの施設に対しては、港湾同様全額国費で災害の復旧をするという御答弁をいただいたので、まことにわれわれは安心をしたのであります。しかし事務的には何かここに不安があるというようなことから、さらにこれを確かめるべく、昨日鈴木委員とともに河野主計局長にお会いいたしまして、その見解を明らかにせんとしたのであります。河野主計局長には、特に漁港に対するところの御認識を深め、さらに港湾漁港との間に今日非常な見解の相違のあつたことにも同情されまして、ただいま私が申し上げたような御返答をいただいたのであります。すなわち公共の用に供する地方公共団体の管理しておりますところの漁港に対しては、港湾同様に全額国費負担をもつて復旧させる。但し荷揚場とかあるいは魚揚場とかいうような、特に一部の収益に属するものに対しましては、これは国庫の負担でなく、補助にして何とか復旧をさせて行く意向であるというお答えをいただいて、これまた再び安心をしたのであります。そこで今日幸いにお忙しい中をお繰り合わせを願つて、御出席をされたのでありますから、さらに委員の方々のおいてのこの席上において、簡單でよろしゆうございますから御答弁を願いたいのでございます。
  34. 河野一之

    河野(一)政府委員 大体御質問のありましたように取扱うつもりでございます。私ども普通に港湾と申します場合に、漁港とか普通の港湾ということを、あまり区別いたしておらないのでございます。これは一般的にはそういうような御用例があるのでありますが、今回港湾法という法律が提出に相なるようでありますが、その港湾におきましても、港湾の定義というものがはつきりいたしておりません。輸送の用に供する施設であろうと思いますが、その中で運輸大臣が指定した港湾港湾になる。こういうかつこうになりまして、港湾というものの定義が実ははつきりいたしておらないのであります。私ども港湾という意味は、漁港もその他に普通に言う漁港も全部含めたような趣旨で考えているわけであります。それから事実上港湾の中に入りますかどうか。海岸堤防というようなものも、ものによりましては港湾的役目をしているものもあります。しかし普通に常識で言う港湾というふうに考えているわけでありまして、今まで農林省と運輸省の間におきまして、漁法と港湾との間について、権限その他についていろいろ問題があるのであります。実際問題といたしましては、漁港の方は、そういう公共的施設のほかに収益的ないろいろな施設もこめて、農林省で災害復旧――復旧と申しましても、これには改良が入るのでありまして、原形復旧以上のものがあるのでありますが、農林省でやる。運輸省におきましては、農林省の方でお取上げになりましたものはやらない。しかし漁港であろうと、普通にいう港湾であろうと、それが公共団体の負担で維持管理するものであつて災害をこうむつたものの原形復旧ということについては、運輸省で、取上げてやる。これに対して三分の二の補助をやつておる次第であります。権限あるいは所管官庁の違いによつて、同じような施設が違つた取扱いを受けるということは好ましくない次第でありますので、先ほどお話のありましたような、同一の取扱いをするのが適当であろう。全額国庫負担法律の適用についても、大体そういうふうに考えて行きたい、運用もまたそういうふうにして行きたい、こう考えておる次第であります。
  35. 川村善八郎

    川村委員 さらにお伺いしたいのは、近く昭和二十五年度における災害復旧国庫負担の特例に関する法律と同じく政令が出るということを承つておるのです。私らがその案の一部を拝見いたしましたものは、政令案の第四條の中に五項目盛られております。その最後の五項には港湾となつておりますが、港湾のみ全額国費負担で復旧をするというように、われわれが字句的に考えますと見受けられるのであります。これに対しても、昨日局長の意見を承つたところが、港湾漁港も同じような考え方を持つてつて決して港湾を全額負担で復旧し、漁港を差別待遇するというような意見は何ら持つていない、港湾というのは一般に漁港を含むのだという見解をわれわれは持つておる、こういうお言葉であつたのであります。ただ局長以上の方々はそういう御見解でありましようけれども事務当局の、すなわち下部の方に行きますと、ともすれば港湾漁港とは別個なものであるというような考えを持つておる向きが多いのであります。従つて最後に至つて紛糾を来したり、あるいはそれを中心にいろいろな問題を起すようなことがあつては、われわれはかえつて局長さんの御意思にも反するようなことがあると思いますのでこの際明らかにしておきたいことは、すなわち第五項の港湾というところに漁港も含むという、はつきりしたことを明記してもらいたい。かように考えるのでありますが、この点につきまして御答弁を願います。
  36. 河野一之

    河野(一)政府委員 川村さんにお答え申し上げます。この政令案はまだ熟しておりませんで、ただ法律の運用方針といつたようなものであります。それから政令で未熟である点などにおいて、どういうような考え方をいたすかという私案的なもので考えておりますので、どういうような字句でつくるかということは、法律案を提出しまして、それの御審議の状況等によりまして考えてみたいと思つております。ただ確定した上ではないのでありますが、私どもが考えておりましたのは、従来災害土木費国庫補助規程というのかありまして――御承知の通りでありますが、それにそういう文句が書いてございます。それに対して三分の二を與えられておる、それを全額国庫からやるのだというところから、そういうような文句が来ておるわけでありまして、その場合に従来災害の復旧をどこでやるかという点が、いろいろ問題になつておるのでありますが、道路、河川、あるいは砂防につきましては建設省がやり、あるいは港湾につきましては運輸省がやつておる。その中に漁港も取上げておるというような状況になつております。今後災害復旧をやります場合に権限官庁が問題になるのでありまして、漁港災害復旧は農林省でやるのだ、運輸省では全然取上げないというようなことになりますれば、漁港というような文句をそこにはつきり入れて行くということになるのでありますが、実際問題としてそういうふうになつておらない。災害土木費国庫補助規程は、実態は別として形式的なもので区別される。そういうようなことから政令の文句は一応考えましたわけであります。普通の今までやつて来ておりました農林省関係災害復旧と、災害土木費国庫補助規程の実態上の差異は、こういうふうなことにあるのじやないかと思うのでありますが、法律の方のものでありますと、必ずそういう災害があつたならば、国は三分の二を決算的にも補助しなければならない。しかし余れば返さなければならない。ところが農林省で取上げております災害復旧は、改良工事も入つておりますし、予算的な措置でやればやるきりで、制限をいたさないというのが主であります。従いまして、災害土木費国庫補助規程の方によりますと、災害はどういうものであるか、従つて復旧工事をやる場合には原形復旧であつて、それ以上のものはない。原形復旧とはどういうものを言うのであるかということが、こまかく規定されておりまするし、それから事実問題といたしまして、少くとも十万円以上の工事についてはほとんど実地にあたつて検査いたしております。それから設計を見まして、これはほんとうに幾らかかるかということを実地に見るわけであります。それからその規定に合致しておるかどうかというようなことも見るわけであります。それからでき上りましたあとで検査をいたします。そういう点で非常に嚴格な監督を受けておるわけであります。三分の二の補助でありますから当然でありますが、そういうことに実際問題としてなつております。農林省の方では決算的なものでありませんから、事実そうでない。しかし今後農林省におきましてそういう検査を的確にやれということになりますと、この点については大分様子がかわつて参ります。さしあたりといたしまして、農林省においてどういうふうにお考えになつておるか、これも御相談申し上げてみないとわからないのでありますが、私の方で考えましたのは、災害土木費国庫補助規程にいう道路とか河川とか、砂防とかを考えております。そういうように政令ではなつたわけであります。しかしこれも御審議の次第もありますので、確定する前にもう一回検討したいと考えております。御了承願いたいと思います。
  37. 川村善八郎

    川村委員 ただいま局長のお話によつて明らかになつたのでありますが、ただこの場合港湾漁港の名目の違いはあるけれども内容においては大体同じものがたくさんあるのであります。検査とか査定という問題については、港湾は嚴格で農林省はややゆるやかであるというお言葉もあつたのでありますが、国庫負担と申す以上は、当然査定なり検査なりは嚴格にしなければならぬのであります。そうしたような点におきましては、水産庁当局と大蔵当局とわれわれは十分折衝を重ねまして、その線に沿わせたいと考えております、ただここに政令におきまして、港湾と一項目うたつたということについては、先ほど申し上げましたように、下部に行つて相当に誤解を受け、あるいはそれがために紛糾するということが必ずあると思いますので、ぜひ港湾というところの下に漁港も含むというように一項加えていただきたいことをお願いいたします。  それからもう一点お伺いいたしますことは、近く政府提出で港湾法が上程されるということを聞いております。また一方水産庁の所管に属する漁港法案は、議員提出で今国会に提出をするというところまで行きまして、大体関係方面了解は得たのであります。すでに各省との関係の問題は、折衝の結果大体において折合いがついたのでありますけれども、大蔵当局と最も関連がある予算に関する負担金の問題については、まだ十分折衝もないようでありますし、われわれも一回も折衝したことがないので、この点が残されております。われわれの案につきましては、第一種から第三種までの漁港につきましては、国庫負担金が四分の三、第四種の漁港については五分の四というふうな案になつておるのであります。そこでこれに対しては大蔵省もいろいろ意見があり、主計局長としては昨日もちよつと意見を漏らされたのでありますが、われわれは決してこうした原案をどこまでも固守するのではありません。国家の財政から見て、でき得るだけの国家負担を要求するのでありますが、国家の財政も大体わかつておりますので、この原案はどこまでも讓らないで大蔵省と衝突したまま提案しようとは考えておりません。ただ法律を制止する以上は、現状のままであつてはいけないということから、法律を制定して、計画的に漁港の修築をし、漁業生産の増強をはかつて、食糧問題を解決つけようという大きなねらいであるわけであります。現在から少しでも国家の負担を多くして、その線に沿うて漁業生産の増強をいたしたいということをわれわれは念願しておるのでありますから、われわれは大蔵当局と十分折衝の余地あることは考えております。でき得れば近く大蔵当局、率直に言いますと主計局長のところとよく練り合つて、最後案を決定して、お互いによい法律であつたというふうにして、議員提出で一日も早く通したいと考えておりますので、この点局長さんの意見はどうであるか。簡單に申し上げると、われわれには折衝の余地が残されている。従つて話し合えば大体片づくのではなかろうか、かように考えまして、話合いの機会を與えることが必要ではなかろうかと思いますので、この点御相談的に言つておるわけであります。
  38. 河野一之

    河野(一)政府委員 漁港法の問題につきましては、私も詳しく存じ上げないのでありますが、多少お話を聞いておるのでありまして、これはこういうふうな問題があるかと思うのであります。実は明年度の地方財政の問題でありますが、国と地方の間における財政負担、国費、地方費の問題、それから行政を国でやるがいいか、地方でやるかいいか、出先機関については当然この問題があるわけでありますが、そういつた問題につきまして、地方行政調査委員会議というものができることになつておりまして、これは目下提出いたしてございます予算に計上されておるわけであります。すなわち経費の負担と、行政の責任とは同一でなければならないということかシヤウプ勧告にもあるのでありますが、現在その関係が非常に入り乱れております。これを調整するという措置が明年度中にとられるのだと存じます。従いまして漁港の問題につきまして、どこがやるのであるか、あるいは負担をどこでするのであるかということも、当然検討されるわけだと思うのでありますが、大体の見通しといたしまして、おそらく国でやるということは、あまりないのではないかというふうに考えられるわけであります。ただ経費の負担の問題でありますが、やはりこれは根本論でありますが、行政の責任がありますと、経費の負担も相当行政の責任を負うところでやらねばならない。自分のところで仕事をやつておる金はよその方が出すのだということでは運営が円滑に行かない。それからまた弊害もございます。そういう点もあわせて御考慮を願わなければならないのではないかと私は、考えております。具体的の補助率あるいは負担率の問題でありますが、これは現在港湾法が提出になるのだと存じますが、それとの関係もございますのでこの点につきましてはいろいろと御意見を拜聽いたしまして、適当なところを見出すように考えたいというふうに思つておる次第であります。
  39. 川村善八郎

    川村委員 ただいまの局長さんの御意見はまことに当を得た御意見であると思います。ただわれわれが漁港法を本年制定いたしましても、実施は準備その他の関係で一年を要するのかということから、昭和二十六年度から実施したい、かように考えておりますので、必ずしも本年の予算とは摩擦がないということだけははつきりしております。どうか話し合う機会を一日も早くお願いいたしまして、私の質疑をこれで終ります。
  40. 鈴木善幸

    鈴木(善)委員 漁港災害復旧に対する補助費の問題で、川村委員の御発言に関連いたしまして、補足的な二、三の点を河野局長にお尋ねいたしたい。  河野局長の御答弁の中に、この災害復旧を今後やる場合に、災害補助の規定に基いてそれを主管する官庁を統一してやつたらどうかというような意味の御発言もあつたのでありますが、私ども法律あるいは政令を制定実施いたします場合に、国民の立場から考えていただいて、官庁の取扱いの便宜主義に堕さないで、国民の側からの立場でお考えを願いたい、こう考えるものであります。と申しますのは、現在機能的に見まして漁港と目せられるものが、河野局長も御指摘のように運輸省にも所管され、水産庁にも所管されておる。このことがわが国の漁業政策を推進する観点から、また漁業者の立場から見まして、非常に不便を痛感いたしておるわけであります。そのことが今回議員提出として漁港法案を今国会に提出することに相なつたわけでありますが、そういう見地からいたしまして、漁港災害復旧に対する二十五年度の特別措置に関しましても、漁港に関する限りは農林省をしてこれを統一的になさしめてもらいたい。もとよりその取扱いにつきましては、従来の農林省がやつてつておるようなやり方ではなく、あくまで災害土木事業に対する国庫補助の規定の基準に基いて、査定もし決算もするというようなぐあいに、その規定に準拠したところの取扱い方で、水産庁をしてこれを統一的に扱わしめる。こういうぐあいに大蔵当局としても、ぜひこの際御方針を立てていただきたい。これに対する河野局長の御所見をただしたいと思うのであります。  それから第二点といたしましていわゆる收益的な船だまり等の港でありますが、これらにつきましては、従来通りの国庫補助をなさる御方針であるかどうか。もししかりといたしますならば、その国が負担いたします以外の残額についての地方起債を、従前通りお認めになる御方針であるかどうか、この二点だけお尋ねしたいと思います。
  41. 河野一之

    河野(一)政府委員 鈴木さんにお答え申し上げます。所管の問題でありますが、これは御趣旨のようになれば非常にけつこうだろうというふうに考えております。従来災害復旧の土木につきましては、古い昔は内務省でありまして、これは災害の検査に相当大きなスタツフを持つておりまして、徹底的にやつております。農林省は最近水産庁も相当機構が拡充されましたが、そういう点についてはまだ大分遅れておるようでございますから、おつしやるようになればはなはだけつこうであります。  第二点の船だまりでございますが、これについてはやはり補助をいたして行く方針でございます。その片割れであります起債につきましても、考えておる次第であります。明年度の起債の総額は、おそらく三百億程度になるかと思いますが、災害復旧費を全額国で長打いたしました関係上、前年二十四年は三百十億程度の起債なんでございますが、同じ三百億につきましても非常に幅の広いものになりまして御趣旨のようなところに十分まわり得るのではないかというように考えております。
  42. 冨永格五郎

    ○冨永委員 災害品復旧事業費の問題につきまして、川村委員並びに鈴木委員からそれぞれ質疑がございましたが、これに関連して一応建設省としての考え方を承つておきたいと思うのでありますが、それは過日大蔵省の主計局の東條さんと、安本の山本副長官と、この大蔵省案としておつくりになつていられる原案を出す前に、いろいろお話合いをなされておると承つておるのであります。先ほど川村委員質問に対して、河野さんは、これは政府原案である云々というお答えでございましたが、もちろんその点はまさにそうだと思うのであります。しかしながら第四條の、先ほど川村委員からも再々質疑がありましたが、一、二、三、四、五とあります内容の点につきまして、それぞれやはり安本と大蔵省との間ではそうした話合いがあつて、そうしてその覚書によりますと、ほとんど農林省関係は削除されて、しかも私ども直接非常に大きく影響のあります漁港が、はつきりと削除されておるという事実を漏れ承つた次第であります。このことが事実であるなしということを今申し上げるのではありませんが、これは確かに原案ではございますけれども、この原案ができるまでのいろいろな各省の折衝過程におきましては、漁港が書かれてあつたのを削除されてあるという事実がありますだけに、われわれとしては非常に大きな不安を感じ、また重大な関心を持たざるを得ないような場面に追い込まれているもののように考えている次第でございます。もちろん当委員会といたしましても、これが考え方につきましては、徹底的にただすべきはただし、先ほど川村委員から述べられたように、漁港も含まれるように、私ども委員責任において努力するものではありまするけれども、こうした事実について建設省当局は御承知であつたかどうか。あるいは御承知でなかつたとすれば、建設省はいかなるお考えをお持ちになられるかどうか。この二点についてお伺いいたしたいと思います。
  43. 河野一之

    河野(一)政府委員 実は災害復旧費の全額国庫負担の問題は、いろいろないきさつを経ておりまするので、かつての場合には、災害の範囲をどういうふうにいたすかという問題が一つと、災害を受けたものの対象をどうするかという二つの問題があつたわけであります。今法律を提出して御審議を仰ごうとしておりますのは、台風、洪水それから地震、高潮というふうなものでありますが、たとえて申しますと、旱害というようなものが災害に入るかどうか、鉱害というようなものが入るかどうか、そういう点の問題がございました。それから対象の問題でありますか、災害をどういうところにとるかによつてこの対象が非常にかわつて来るわけであります。たとえば農地でありますと、旱害ということが一つの問題になる。病虫害も一種の災害になるわけですが、これは常識的に入れないといたしましても、旱害の場合でありますと、道路、河川、港湾というものはいたまないけれども農地はいたみまするので対象となる。これは災害の対象をどうとるかということと相関連しておつた問題でございます。それで一応旱害というものは入れなかつたのであります。そうして漁港も同じようなところがあるのでありまして、そういつたようなものについては大体除外して行くのがいいのではないかという考え方と、そうでなしに、それも災害であるからやはりやるのだという両方の意見がありまして、最近まではそこまできまらなかつた次第なのであります。それで港湾といたしました場合にも、漁港というようなものも同じように扱うという趣旨のことは、私ども初めから考えておつたわけであります。それは法律に表われましたところでは、港湾というところで表われておるのであります。そのほかに荒廃林地の問題もありますし、それから農地の問題もありまするので、そういうようなものにつきましては、ここに含ましめないという趣旨のことに最近きまりました。その過渡的な段階におきまして、それの範囲の問題と対象の問題が入り乱れて、ごつちやに論議を鬪わされておつた時代がありまするので、そういうふうなこともあつたかと思いますが、私どもの考えとしまして、当初から現象のいかんでなしに、そういつた実態をとらえて、全額負担の問題を考えるべきものであると考えておつたわけであります。卑近な例を申し上げますと、終戰直後のことでありましたけれども、福岡県の山の中だつたと思うのでありますが、戰時中に貯蔵いたしておりました爆弾が破裂しまして、それが山を飛ばしまして、水をせきとめて災害を受けたというようなことがあるのであります。こういう人為的と申しますか、少し自然の原因とは違うものは、今まで災害とは見られなかつた。従つて災害土木費国庫補助規程では救われなかつたわけであります。災害意味をどの程度に考えるかということにつきましては、そういう例もあるかと思いまして、政令に定めるものというふうにいたしたのでありまして、この災害の原因と対象の問題は相関連して考えられるべきものである。そういうような、いろいろな理論的なけじめというものをどこに置くかという、人々のいろいろなお考えがありまして、途中でそういうようなことになつたかと思います。私どもの考えといたしましては、当初から今申し上げたような考えで進んでいるわけであります。
  44. 中西伊之助

    ○中西委員 漁港災害費も当局から御報告になつたかと思いますが、私知らないのです。あの二十四年度の予算の中に編成されているはずですが、キティー台風その他で相当漁港災害があり、私ども災害委員会から調査に参りましたが、その後どういうふうになつておるか、お聞きしたいと思います。
  45. 河野一之

    河野(一)政府委員 具体的に南海方面災害の復旧はどういうふうになつておるか、数字もございませんので申し上げかねますが、一般に災害と言われておるのは、自然災害ということに常識主なつておりますが、二十三年度までに残つておる工事が大体七百億、二十四年に起つたものが九百億ということになりますので、千六百億でありますが、これは査定を経ていない府県からの数字でありますので、大体七割ないし八割程度にいろいろ検査の結果なるようであります。そうなると千三百億ということになるが、そのうち土木災害は、二十二年までのものが約六十億、二十三年度のもので残つているものが三百五十億、二十四年に起つたものが四百五十億というふうなことではないかと思います。そういたしますと、すでに検査を経たいわゆる土木災害、これは道路、河川、港湾、一部の漁港も入つておると思いますが、それが約九百億ということでありまして、それ以外の災害は約四百億、二十五年度の予算におきましては、三百七十億を過去の災害に計上しであるわけであります。二十五年に新しく起つて来るだろうと思われる災害に百億充ててあります。起債の方面におきましては、前年は百二、三十億程度つたと思いますが、明年もおそらく同程度のものは充てられると思います。しかし今までの土木災害につきましては、全額国庫負担をするわけでありますから、起債の実際上の必要範囲が非常に広くなつて災害の復旧については画期的な進歩になるのではないかというふうに考えております。全般的のことで恐縮でありますが、以上申し述べた次第であります。
  46. 井之口政雄

    ○井之口委員 三十五年度の予算の中に、公共事業費やら、いろいろなものを全部ひつくるめまして、港湾方面に支出される国庫負担がどのくらいになりますか。またそのうち漁港方面に対してはどのくらいの率になりますか。
  47. 河野一之

    河野(一)政府委員 ただいま資料を持つて参りませんでしたが、たしか漁港の改良は十二億ではなかつたかと思います。  それから災害関係は、農林災害関係ちよつと覚えておりませんが、港湾関係は二十億ほどでございます。漁港がどのくらいになつておりますか、農林災害の中に入つておる分と、港湾災害の中に入つておる分と両方ございますが、ちよつと手元に資料がございませんので、申し上げかねる次第であります。
  48. 井之口政雄

    ○井之口委員 港湾関係全体で二十億ですか。
  49. 河野一之

    河野(一)政府委員 先ほど申し上げました災害の復旧というのが二十億、そのほかに漁港の改良というのがございます。修築、船だまりとか、そういつたものが、たしか漁港関係で十二億程度ではなかつたかと思います。
  50. 井之口政雄

    ○井之口委員 新しく港湾の拡張とか、新設とか、いろいろなそういう方面には組んでいないのですか。
  51. 河野一之

    河野(一)政府委員 予算の組み方としましては、漁港は別となつております。
  52. 井之口政雄

    ○井之口委員 全体の港湾として……
  53. 河野一之

    河野(一)政府委員 港湾にもピンからキリまでありまして、横浜とか神戸とかという大きなところと、漁港は比較的小さいのがたくさんあるわけでありますが、漁港はたしか今百何十か手をつけております。原則的に、今手をつけておりますものを完成することに重点を置いておりますが、新規の港湾も取上げてやる予定になつております。ただこの点につきましては、いろいろ安定本部の方で、経済効果というような点もごらんになりまして、具体的にきめられるわけでありますが、まだ確定的に、どこの港湾をやるというふうにきまつておりません。大体金のわくとしてはその程度であります。
  54. 井之口政雄

    ○井之口委員 大港湾並びに従来軍港であつたようなところ、そうした方面へ多くの支出が見積られておるのではなかろうかと思うのであります。現にいろいろ道路方面も、ほとんど軍事道路としてしか理解できないような道路が、非常に拡張されておるようですが、港湾方面もそういう方面に対する拡張がたくさん行われておるのではなかろうかと思うのでありますが、その点はどうでございますか。
  55. 河野一之

    河野(一)政府委員 軍事的の方の関係を私は存じませんが、やはり全体の効果を見て、出入貨物のトン数であるとか、そうしたことを見てやることになつております。もちろん大きな港湾につきましては、修築工事には巨額の金を要するのでありますから、たくさんの金が要るとは思いますけれども、決して小さな港湾あるいは漁港というようなものについて軽視しておるというわけでは絶対にありませんで、その個々のものを見て重点的に施工しておることには間違いありません。
  56. 井之口政雄

    ○井之口委員 国が負担するもの、並びに地方自治体において負担するようなもので、大港湾に投下されるところの予算の大体について、具体的に政府において今日計画を持つておいでになりますでしようか。その発表ができますか。
  57. 河野一之

    河野(一)政府委員 これは経済安定本部から申し上げた方が適当だと思います。一応の予算を積算するのでありますから、一応の予定はあると思いますが、どこにどうというふうに確定的にきまつておりません。公共事業自体がそういうふうな運用をするということになつておりますので、各四半期において、そのとき何をやつたらよいかということを具体的にきめることになつており、あらかじめの確定的なものは現在ないわけであります。
  58. 石原圓吉

    石原委員長 本日はこの直後に漁船法の小委員会がありますから、本委員会はこの程度にとどめたいと思います。  これをもつて散会いたします。     午前十一時五十六分散会