○
河野(一)
政府委員 実は
災害復旧費の
全額国庫負担の問題は、いろいろないきさつを経ておりまするので、か
つての場合には、
災害の範囲をどういうふうにいたすかという問題が一つと、
災害を受けたものの対象をどうするかという二つの問題があ
つたわけであります。今
法律を提出して御
審議を仰ごうとしておりますのは、台風、洪水それから地震、高潮というふうなものでありますが、たとえて申しますと、旱害というようなものが
災害に入るかどうか、鉱害というようなものが入るかどうか、そういう点の問題がございました。それから対象の問題でありますか、
災害をどういうところにとるかによ
つてこの対象が非常にかわ
つて来るわけであります。たとえば農地でありますと、旱害ということが一つの問題になる。病虫害も一種の
災害になるわけですが、これは常識的に入れないといたしましても、旱害の場合でありますと、道路、河川、
港湾というものはいたまないけれ
ども農地はいたみまするので対象となる。これは
災害の対象をどうとるかということと相関連してお
つた問題でございます。それで一応旱害というものは入れなか
つたのであります。そうして
漁港も同じようなところがあるのでありまして、そうい
つたようなものについては大体除外して行くのがいいのではないかという考え方と、そうでなしに、それも
災害であるからやはりやるのだという両方の
意見がありまして、最近まではそこまできまらなか
つた次第なのであります。それで
港湾といたしました場合にも、
漁港というようなものも同じように扱うという趣旨のことは、私
ども初めから考えてお
つたわけであります。それは
法律に表われましたところでは、
港湾というところで表われておるのであります。そのほかに荒廃林地の問題もありますし、それから農地の問題もありまするので、そういうようなものにつきましては、ここに含ましめないという趣旨のことに最近きまりました。その過渡的な
段階におきまして、それの範囲の問題と対象の問題が入り乱れて、ごつちやに論議を鬪わされてお
つた時代がありまするので、そういうふうなこともあ
つたかと思いますが、私
どもの考えとしまして、当初から現象のいかんでなしに、そうい
つた実態をとらえて、全額負担の問題を考えるべきものであると考えてお
つたわけであります。卑近な例を申し上げますと、終戰直後のことでありましたけれ
ども、福岡県の山の中だ
つたと思うのでありますが、戰時中に貯蔵いたしておりました爆弾が破裂しまして、それが山を飛ばしまして、水をせきとめて
災害を受けたというようなことがあるのであります。こういう人為的と申しますか、少し自然の原因とは違うものは、今まで
災害とは見られなか
つた。従
つて災害土木費国庫補助規程では救われなか
つたわけであります。
災害の
意味をどの
程度に考えるかということにつきましては、そういう例もあるかと思いまして、
政令に定めるものというふうにいたしたのでありまして、この
災害の原因と対象の問題は相関連して考えられるべきものである。そういうような、いろいろな理論的なけじめというものをどこに置くかという、人々のいろいろなお考えがありまして、途中でそういうようなことに
なつたかと思います。私
どもの考えといたしましては、当初から今申し上げたような考えで進んでいるわけであります。