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1950-01-25 第7回国会 衆議院 水産委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年一月二十五日(水曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 石原 圓吉君    理事 川村善八郎君 理事 鈴木 善幸君    理事 夏堀源三郎君 理事 平井 義一君    理事 林  好次君 理事 中西伊之助君    理事 小松 勇次君       小高 熹郎君    高木 松吉君       田口長治郎君    玉置 信一君       冨永格五郎君    二階堂 進君       奧村又十郎君    岡田 勢一君       水野彦治郎君  出席政府委員         水産庁長官   飯山 太平君  委員外出席者         水産庁次長   山本  豐君         農林事務官  松任谷健太郎君         農林事務官   奧田  孝君         農 林 技 官 高木  淳君         農 林 技 官 林  眞治君         農 林 技 官 十川 正夫君         農 林 技 官 兼友 大助君         農 林 技 官 石川 東吾君         專  門  員 小安 正三君         專  門  員 齋藤 一郎君     ――――――――――――― 昭和二十四年十二月二十四日  滯貨寒天買上げに関する請願小川平二君紹  介)(第九号)  日本海区研究所の位置を兵庫県に変更請願(  佐々木盛雄紹介)(第一五号)  かれいの統制撤廃に関する請願佐々木盛雄君  紹介)(第一六号)  対馬海域漁区拡張請願西村久之君外六名  紹介)(第二二号)  沖泊部落接收に伴い沖泊漁港修築に関する請願  (山本利壽紹介)(第六七号) 昭和二十五年一月十八日  伊勢湾内におけるばつち網使用禁止に関する請  願外二十三件(石原圓吉紹介)(第一一二  号)  魚族資源維持培養に関する請願小高熹郎君  紹介)(第一八四号)  漁業用資材価格差補給金存続請願小高熹  郎君紹介)(第一八五号)  漁業金融に関する請願小高熹郎君紹介)(第  一八六号)  漁船法並びに漁船船員法制定に関する請願(小  高熹郎君紹介)(第一八八号)  旋網漁業許可方針確立に関する請願小高熹郎  君紹介)(第一八九号)  にしん、さばの公定価格改訂に関する請願(田  口長治郎紹介)(第一九〇号)  白糠漁港築設の請願伊藤郷一君紹介)(第一  九二号)  すけそうたら漁場慣行專用漁業権に関する請願  (風間啓吉紹介)(第二一二号) 同月二十一日  沖端漁港施設拡充請願甲木保君外一名紹  介)(第二四七号)  海部郡下の区画漁業権農業協同組合に下付反  対の請願江崎真澄紹介)(第二八七号)  江口漁港修築費国庫補助請願床次徳二君紹  介)(第二九七号) 同月二十四日  無許可トロール船取締強化に関する請願(井  之口政雄君外一名紹介)(第三四五号) の審査を本委員会に付託された。 昭和二十四年十二月二十四日  有明海区に漁業調整事務局設置陳情書外一件  (第五五  号)  鮮魚並びに加工水産物出荷割当に関する陳情  書(第七三  号)  長崎県に対する漁業資材割当基準是正に関する  陳情書(第  七六号)  水産業協同組合法に関する陳情書  (第七  七号)  紀伊水道における瀬戸内海境界線変更反対の陳  情書  (第一〇五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  水産行政に関する件     ―――――――――――――
  2. 石原圓吉

    石原委員長 これより会議を開きます。  本委員会におきましては、去る二十三日に理事会を開きまして、本会期における大体の議事進行に関する方針について打合せをいたしたのでありますが、その間に御承知のように朝鮮海におきましては、多数の以西底びきその他が拿捕されまして、非常な衝撃を受けておるのでありまして、これが対策につきましても、非常な国際的な問題として考慮を要するということで、目下吉田総理を初め、関係各省等それぞれこれが対策考慮を煩わしておるのであります。また連合軍におきましてもこの点を非常に重要視されまして、たいへん御考慮をいただいておる次第であります。こういうような点からも、本委員会におきましては、相当なこれに対する対策を必要とすることをそれぞれ協議をいたしました次第でありまして、このことはさらに具体的にお諮りをしたいと考えておる次第であります。  なおこの会期相当法案が出る予定でありまして、御承知のように漁港法案のごときは、国会より提出するという方針を定めて、それぞれ調査研究をいたしておるわけであります。その他漁船法案枯渇防止に関する法案団体法の一部改正等、相当議案が輻湊する予定でありまして、これらを処理する上に、できるだけ水産庁長官初め部課長に御出席を求めて、本日はそれらに対し、できるだけ御質疑を願いたいというのが本日の委員会の主なる目的であります。水産庁長官は鉄道運賃問題でただいま席を抜けましたけれども、じきに出席される予定であります。山本次長高木漁船課長林漁港課長奧田統制課長石川資材課長高橋沿岸漁業課技官松任谷漁政部長、兼友遠洋漁業課長十川生産部長等が御臨席になつております。これより質疑を願います。
  3. 夏堀源三郎

    夏堀委員 日本漁船拿捕問題は国際関係に及ぼす重大な問題でありますので、いかがでありましようか、速記を止めていろいろ説明を承りたいと思いますが……。
  4. 石原圓吉

    石原委員長 御賛成のようでありますから、一応速記を止めて……。
  5. 石原圓吉

    石原委員長 速記を始めて……。
  6. 山本豐

    山本説明員 長官が参りまして詳しくお話するはずでありましたが、支障がありますので、私がかわりまして御説明申し上げます。なお生産部長その他関係課長も参つておりますので、お尋ねによつてまたお答えいたしたいと存じます。  大体内容は、一月九日の午後二時でありますが、第十一億広丸、同じく同日同時刻に第十二億広丸、それから一月の十一日の二十三時に第十七喜久丸、翌日の一月十二日の零時に第三大洋丸、二十五年一月十三日の二時に第三大漁丸、この五隻がごく最近拿捕されたようであります。さらに二十一日の午後四時に第二十二明玄丸がまた拿捕されたのであります。この二十一日のは、明玄丸は二隻あつたのでありますが、一隻は向うにつかまり、一隻は逃げて帰つたというような状況になつております。  この問題は水産庁といたしましても、非常に重大な問題であると考えまして、早々どういうふうな交渉を開始すべきかもちろんこれは連合軍当局の御援助を得なければ、わが方だけではどうにもなりませんので、水産庁といたしましてはいち早くNRSのヘリングトン氏といろいろ交渉を持ちつつ、その交渉方法考えておつたのであります。民間の方におきましても、以西底びきの協会の方からは、相当詳細な陳情書が参つております。またただいま委員長からお話がありましたように、民自党総裁とせられましても、これについて連合軍の方に何か申入れがあつたようであります。われわれの方は官庁でございますので、ただ申入れをする場合におきましても、特に外務省と連絡をとりまして、効果のあがるような方法でやらなければならぬと考えまして、ヘリングトン氏と常にどういう方法にするかということまで相談をしながら、いろいろ案を練りまして、先般来この案文を外務省交渉いたしまして、外務省を通じて内閣総理大臣からマ司令長官に出していた、だくといろ方法をとつたのであります。それはただいま途中にありますけれども、外務省におきましても、非常に重大視せられまして、外務省自体の独自の立場連合当局交渉があるようであります。その内容はつきり申し上げられませんけれども、相当連合軍に強く申入れをいたしまして、いろいろと交渉中であります。現在のごく概略でありますが、状況はそういうことになつております。なお御質問に応じまして、係から御説明申し上げます。
  7. 夏堀源三郎

    夏堀委員 この問題について、以西底びきの方面からも、その他の団体からも、陳情なつたということであります。問題はマツカーサーライン内か外であるか、そうしてこれをはつきり確認するような何か方法ができつつあるかどうか。マツカーサーライン内であつて、なおかくのごとき方法がとられたということであるならば、これは日本漁業にとつて、また漁船の行動にとつてゆゆしき問題であります。今後の処置はただいま次長さんから御説明になりましたが、われわれとしては、この重大な時期にあたつて講和條約を前にして、国際関係に及ぼす影響は日本漁業にとつて非常に重大な問題でありますから、これを十分に調査して、われわれが今各方面から聽取した点について誤りひあるかどうか。もしマツカーサーライン内であつてそういう行為があつたとしたら、これに対して相当強い何かの方法をとらなければならぬ。またマツカーサーラインの外であつても、この問題の処置に対しては適当な方法ではないと考えられますので、その点については政府はどうお考えになつているか。これをまたお伺いしたいのであります。
  8. 山本豐

    山本説明員 御承知のように、このマツカーサーラインの嚴守につきましては、水産庁におきましても、進駐軍と密接なる連繋をとりまして、取締りを嚴重にやつておるのであります。その取締りを受ける業者立場からいいますれば、まことに情において気の毒なことでありまするけれども、日本が将来さらに漁業の発展を期するために、忍び得ざるを忍んでやつておるのであります。従いまして、その通常の取締り以外に、かりに線以外でありましても、不法発砲を受けるとかいうことにつきましては、これは私の考えでありますけれども、穏当でないと考えておるのであります。もちろん外部におきまして不当にそういう扱いを受けることももちろんでありまするが、ただ根本問題は、外であるか、内であるかということが、実はすんだ後での話でありまして、実際に確認が非常に困難な事情があると思うのであります。それらの点も明瞭にいたすべくいろいろと折衝をいたしておるのでありますが、処置につきましてはその結果をまちまして考えなければならぬと思うのでありますが、この六隻の船が全部揆を一にしてであるか、外であるかということは、実際はむずかしいと思うのであります。あるいはその一つ二つが外へ出ておる、あるいはまた大部分が線に近い中でそういうことになつたというような不統一なことがありはしないかと思うのでありますが、それらの点はまだ明確につかめないのであります。その結果をまちまして打つ手を打たなければならぬと考えておるのであります。
  9. 田口長治郎

    田口委員 支那東海以西底びきでは、船員の素質の関係からいたしまして、天測によつて船位置を出すというようなことのできる船舶はごくわずかでございまして、大部分のものは想定によつて、大体水深その他を考えて自分の船の位置を認定している、こういうような実情の操業をやつております。従つてこのマツカーサー線の外にあるか、あるいは内にあるかということは、なかなか的確にはつかめないような実情にあるのであります。この拿捕事件につきましては、私どもは、この線の内にある、外にあるという問題は大した問題ではなしに、線の外にありました場合においても、これはいわゆる公海にあるのでありまして、韓国あるいは中国が一国独自の立場におきまして、日本漁船拿捕するということは、まさに不法行為である、こういうふうに考えるのでございます。あたかも先方におきましては、各国の領海内に侵入したようなそういう考えでやつておるように考えますが、われわれの見解といたしましては、領海外の海に出漁しておるところの漁船を、連合国以外の国が勝手に拿捕するということは不法行為である、こういうようなふうに断定いたしておるのでございますが、政府におきましては、この見解でおられますかどうか。  それから第二に、今まで以西底びきでは、漁区拡張あるいは線の撤廃、こういうことを主張して参つたのでありますが、現状におきまして、かかる不法拿捕あるいは抑留という問題が起りますと、結局線を拡張いたしましても、以西底びきの事業の安定ということは期せられないのでございますが、これの保護あるいは治安維持、こういう問題につきまして、おそらく連合国の方でも特別の処置をとつておられると思うのでございますが、現在の程度におきましては、どうしてもほんとうに安心して仕事ができないような状態になつておる。この問題を解決することは、徹底的に連合軍保護していただくか、あるいは自衛的に、日本取締船その他がある程度武器を持つ、こういうことよりほかに方法がないと存ずるのでございますが、この連合国のなお一層の積極的の援助、あるいは日本漁業取締船武裝問題、こういう点につきまして、政府はどの程度連合国に対して折衝しておられるか、おさしつかえなければ、この問題について御回答を要望したいと存ずるのであります。
  10. 山本豐

    山本説明員 田口委員の御質問にお答えいたします。この線の内外にかかわらず不法発砲を受けるということは、不法行為であるかどうか、この点は私も田口委員と同じように考えるのでありまして、これは日本としまして、今日自由に公海に出ることはできないのでありますけれども、一応そういう前提を別にいたしますれば、やはりそういうところで不法扱いを受けるということは不法行為であると思うのでありますが、ただ何様連合軍占領下にありますので、その点をわれわれの方から声を大きくして言えるかどうかという点があるかと思うのであります。  次にこの取締船の問題でありますが、これはわれわれも、今後こういうことがひんぴんと起きるという場合には、やはり関係当局にもいろいろとお願いいたしまして、何とかこういう方法考えなければならぬと思うのであります。しかし何様この取締船の問題は関係方面いろいろ指図を受けまして、予算自体におきましても、いろいろと向うの御援助によつてつておるような事情であります。従いましてこういう事件がひんぴんと起きる場合には、そういう方面につきましても、強く今後交渉をしなければならぬかと考えておるのであります。現在のところまだそこの段階までは達しておらないのであります。
  11. 田口長治郎

    田口委員 この日本漁船拿捕しに参りますところの先方の船が、政府その他と関連のある秩序整然たる行為であるか、あるいは單に日本漁船を、海賊行為として拿捕して持つて行く、これが目的でやつておるかということが、すべての問題を考える場合におきまして非常に重要な問題と考えるのであります。私の知るところによりますと、どうも先方政府関係のある場合は非常に少いようでございまして、むしろ非常に無秩序に、そうして單に船が欲しい、こういうような、昔から中国なんかにありました海賊行為によりまして船を拿捕する、こういう種類のものが非常に多いように考えるのでございます。もしそういう考えで船の拿捕に従事しておりますと、これは日一日あるいは年一年とますます多くなるのでございまして、この点は何らか自衞方法によつて身を守る、あるいは連合軍によつて保護される、こういうことがなければ、結局以西底びき漁業あるいはトロール漁業、こういうものは壊滅に瀕することになつてしまう。現にかくのごとく拿捕船が出ますと、従業員は非常に戰々兢々としておりまして、沖に出る気持も漸次薄らいでしまう。のみならず、大事な船はどんどん少くなつてしまう。こういうようなことで、現在五千八百万貫程度日本の食糧に貢献しているこの漁業が、少くとも四十年の歴史がある、その間に日本として研究研究を重ねて今日の状態になりましたこの漁業が、壊滅に瀕する、こういうような実情になると思います。私は韓国あるいは中国の、ほんとう秩序のある拿捕でありますれば、またいろいろな方法がありますけれども、海賊的の行為によつて拿捕しに来る、こういうような問題になりますれば、折衝その他の、いわゆる実力行為でない方法でこの問題を解決するということは非常に困難である。ただ唯一の方法は、実力によつてみずからの船を保護する、あるいは連合軍保護によつて安定して漁業をなす、この方法よりほかに道がないと存ずるのであります。ただいまの政府お話によりまして、この二つの線に沿うて関係方面と格段の交渉あるいはお願いをしておられるようなことでございますから、この問題は急速に何らかの具体策を講じていただいて、そうしてせつかくここまで伸びました以西底びきを破滅の状態に陥れてしまう、こういうことをすみやかに防止していただくように、私現在の拿捕船海賊的行為からいたしまして特に要望いたす次第でございます。
  12. 川村善八郎

    川村委員 拿捕船の問題については、各委員から詳細に申し上げておりますので、私はあまり長い時間申し上げません。  去る一月十七日に以西底びき綱あるいはトロール業者代表から、拿捕船が数隻あつたということで、内閣総理大臣にその旨を訴え、政府処置についての陳情があつたのであります。このことにつきましては、業者の声を承りますと、  一、拿捕船が彼らの内乱及び密輸の具に供されている形跡がある。  二、拿捕時の状況を見るに常に武器をもつて威嚇し、拿捕位置の判定については何ら反証を徴することなくしやにむに拉致すること。  三、武器船乗組員幹部は正規の官憲とは認めがたいものが多いこと。  こう三つの点をあげて、これの防止策政府に講ずるよう、またそれぞれ連合軍陳情をするような訴えをいたしております。そこでそのことが、先ほどの答弁からいたしますとまだ明らかになつておらないようでありますが、大体いつごろまでに水産庁当局は明らかにする確信があるかどうか。このことを伺いますのは、実は民自党におきましてもこの問題を取上げまして、私がそれぞれ関係者に相はかり、さらに民自党役員会におきましても、マツカーサー司令部にそれぞれの陳情をしなければならぬという段階まで行つているのであります。そこで問題になりますのは、先ほど読みました三項目の問題と、さらにそのライン内でやつておるかどうか、それからライン外で拉致されたのであるかどうかといつたようなことが非常に問題になりますので、われわれもその点を憂慮しておるのであります。聞くところによりますと、ライン内にいる船をさらにそれ以上の圏内に入つて射撃をする。そのためにライン外に出る。出たものを、ライン外に出たのじやないかと言つて無謀にも拿捕するというような仕組みをやつておるということも聞いておるのでありますが、いずれにいたしましても、彼らの無謀には黙つておくことはできませんけれども、これらをはつきりしない以上は民自党としても、取上げることは取上げても、はつきりライン内であるという確信を持つて、いわゆる連合軍、特にマツカーサー司令部に対して、強く当ることができないという悩みを持つておるのであります。従つてこの私が申し上げた事実がはたしてそうだとするならば、これを明らかにする責任は、政府当局すなわち水産庁にあるのではなかろうかと思いますので、まずこの点をいつごろまでにはつきりすることができるかどうかということを、お伺いしたいのであります。
  13. 山本豐

    山本説明員 拿捕船拿捕されたときの状況、また相手方あるいはその場所等を今いろいろと調査しているわけでありますが、それがいつごろまでに明瞭になるかというお尋ねであります。この点は政府当局監視船も当時はかなりその現場よりは遠くに離れておりましたせいもあると思うのでありますが、水産庁関係の方では明確に申し込まれなかつたのであります。その後第二、第三のそういう問題のないようにという意味で、監視船は至急にその付近にまわしたのでありますけれども、それは済んだことの役には立たないのであります。そこでこの点につきましては、水産庁としましては、極力連合軍当局の御盡力によりまして、一日も早くその点が明瞭になるように、またその結果をまつてそれ相応な申入れあるいは交渉をしていただくように、極力お願いをしておるわけであります。連合軍の方におかれましても、それらの点につきましては非常に理解を持つていただきまして、とにかく応急の措置としましては、この拿捕船並びにその乗組員を少くとも一日も早く帰してもらう、これが一とう大切だと思うのであります。そういう線なり、あるいはそれと合してその際の一切の状況につきまして、韓国の方ではどういうふうに考えておるかというような意味のことを、連合軍を通じて今折衝してもらつておるわけであります。これは直接交渉ができないものでありますので、その間多少の時日がかかることはやむを得ないのでありますけれども、そういうような方法、手段を講じまして、極力水産庁としましては、外務省並びに進駐軍当局の御理解にすがつて、一生懸命やつておるわけであります。
  14. 川村善八郎

    川村委員 そこで、ただいまの御答弁から行きますと、極力やつておるが、その事実ははつきりできない、これはむりもないことだと思います。しかしわれわれといたしましては、一日も早くこの拿捕船の問題を解決つけなければ、あなたが申されたように、やはり生産意欲を失しますと、食糧問題に大きな暗影を来しますので、政府当局は、できるだけすみやかにこのことを明らかにするようにしていただきたいと思うのであります。さらにわれわれ民自党といたしましては、三つの点を取上げてマツカーサー司令部陳情しようと取運んでいるのであります。その一つは、日本漁船並びに乗組員人命保護のために、連合軍艦艇を常時出動せしめられたいこと、二、現に運航しおる日本監視船武装を強加する等、実効ある保護方法を講ぜしめられたいこと、三、抑留中の漁船及び乗組員をすみやかに返還するように交渉せられたいこと、この三点を取上げまして、極力実施されることを陳情しようとしているのであります。この点につきまして、もしも日本政府とわれわれ民自党のこれからやらんとすることと、あまりに食い違いがありましては、大きな波紋を生むこともないではないと考えますので、もちろんこうしたわれわれ民自党のやることに、政府がその内容をとやかくすべきものではないと思いますけれども、ただいま申し上げましたこの三点について、水産庁当局のお考えはどうであるかということを、まずお伺いいたします。
  15. 山本豐

    山本説明員 非常に重要な点でありまして、後ほど長官からも御答弁があるかと思うのでありますが、私の考えていることだけを申し上げたいと思うのであります。この三点のうちの、乗組員をすみやかに返すということにつきましては、われわれまつたく同感でありますし、またこのことはもちろん堂々と主張していいことでありますので、これは問題ないと思うのであります。二の監視船武装の点、それから連合軍当局の常時出動の点でありますが、これも政府としましても、お願いする分にはさしつかえないと思うのでありますが、ただこれは見通しを申しますれば、連合軍のいろいろ御都合もあることでありましようし、これが必ず実現できそうであるかどうかということにつきましては、われわれも実は自信がないのであります。しかしそういうことも今後ひんぴんとして続くようでありますれば、やはりこういうことにつきましては、政府としましてはひとつ民自党の皆さんと調子を合せまして、連合軍当局に強くお願いに上るということなら、さしつかえないのではないかというふうに考えております。
  16. 小松勇次

    小松委員 以西底びきに関連してお尋ねしたい。この資源保護目的によりまして行政措置の第一歩を踏み出したものは、以西底びきに対する減船問題であります。昨年この減船案水産庁によつて大体計画が立ち、すでにその対象たるべきものに対しては適当な措置をとられているようでありますが、その当時この水産委員会におきましても、減船対象となるべきものについては、一組稼動者、一組業者はこれを除外することを要求いたしておつたのであります。しかるにかかわらず水産庁の立案によりますと、一組業者も整理の対象になつているように承つているのであります。これらに対してはその後解除の方法をおとりになるのか、どういうお考えでいるのか、もし一組業者に対しての解除の方法をおとりになるとするならば、いつそういう措置をとるか、その点を承りたい。
  17. 山本豐

    山本説明員 お答えいたします。一組業者は整理から除外するという申合せがあつたのでありますが、その後協会のいろいろ政治に関係する審議会と言いますか、これは皆さんの代表が集つておられるのでありますが、そこでいろいろ論議をしました結果、やはり一組業者は、非常にこれはなまなましい生活の問題が密接にくつついておりますので、特別の事情があるものにつきましては、よく考えようというふうなことに方針の一部修正がありました。それを受けまして水産庁としましても、そういうものに該当するものをいろいろと愼重に考究中であつたのであります。大体見当がついておりますので、これは近くそれぞれにその旨を通知したいと考えております。
  18. 石原圓吉

    石原委員長 この場合冨永委員より運賃統制問題、市場問題、貿易問題に対する御報告があります。冨永君。
  19. 冨永格五郎

    ○冨永委員 昨年の休会前に、小委員会に付託になりました運賃問題につきまして、経過並びに結果等について、一応委員会に報告しておきたいと思います。小委員会といたしましては、民主自由党政務調査会を主体といたしまして、これが運賃の一月から三月末日までの臨時の取扱いに対しての、水産関係の割引問題を主として審議いたした次第でありましたが、御承知の通り運賃は八割上げにはなりましたが、一割五分の割引を要求したのであります。ところが現在さらに四月一日から等級が改正に相なりますので、これにつきまして、水産庁と協力いたしまして、運輸省方面に積極的に現在話合いを続けておるわけであります。水産庁長官は運賃の審議会に現に今日も出席していただいておるわけでありますが、この場合運輸省貨物関係の意向と、それから現存この程度折衝過程にあるということを一応御参考に申し上げておきまして、なお各委員から指導、鞭撻、御協力をいただくようにいたしたい、かように考える次第でございます。  大体今日見通しのついております問題は、高級魚は六級すえ置きになると思いますが、くじらの四級が六級に、塩魚は大体すえ置きで、氷は大体五級を六級に、干魚は一、二級引上げられることは免れない情勢で断りますが、私ども一番問題にいたします大衆魚の六級を何級に格下げができるかという問題であります。これは昨日までのところでは、一応七級と考えられておりますが、七級について、現布きめておりまする割引遠距離一割五分等を考えますと、たとえば北海道のような場合は七級から下まわるというような程度のところまで下げることに相なるわけであります。大衆魚、冷凍魚の場合でありますが、しかしこの割引問題はあるいは場合によつては、突然またかわらないとも限らないので、一応私どもは水産庁と連絡いたしまして、八級で実現するようにしたい、こう考えております。今のところまだ議論はそういう曙光を見出すところへは行つておりません。実は七級の一割五分まで行つておりますが、ぜひともそういたしたい、と申しますのは、現在運輸省は百三十万トンを予定しておりますが、昨年の実績百六十五万トンを見ます場合に、大衆魚その他の水産関係を格下げすることによつて、水産関係として九億円の減収を運輸省は主張いたしておりますが、私どもの計算では、輸送キロの増と運搬増量を見込みますから、むしろ三億円の増になるそろばんになります。こういう意味合いで現在交渉中でありますから御了承願います。  なおそれに関連して統制撤廃の問題でありますが、これは今日、御承知の通りすでに予算には計上されておらないのでありまして、新聞紙上その他によつても、三月末日をもつて撤廃になるというふうなことを一般的に考えられておりますが、必ずしもまだ関係方面の了承を得ておらない実情のように聞きもし、また私どもの話合いをしている程度では、そういうふうに考えられるのであります。従つて今日安本を中心にして、物価庁、水産庁その他において、それぞれこれが撤廃をすることが、国民生活の上においていい結果が現われても、絶対にそれによる悪影響はないという資料を、今日積極的にとりまとめ中でございます。  それから中央卸売市場法案の問題でありますが、これは農林省内においても、必ずしも水曜部と農林部関係が一致しておらない点があるのでございます。まだ関係方面考え方とも、必ずしも今日一致しておる段階には至つておりません。しかしながら参議院関係におきましては、国政調査の許可を待て各六大都市方面に出張調査をいたしているのでございますが、衆議院としては、必ずしもそれまでにしなくても、統制撤廃後の市場のあり方について、きわめて重要な影響を持つものについては、十分委員会としては今後とも検討して行くようにいたさなければならない、かように考えております。それで東京卸売市場あるいは横浜卸売市場等についても、それぞれの調査をいたそうとは考えておりますが、現在のところ日程はまだきめておりませんので、緊急小委員会を開いて、現在の水産庁あるいは農林省特産課等においての考え方、また委員会としての考え方等をとりまとめるようにして、関係方面とも折衝いたしたい、こういうふうに現在のところ考えております。  なお貿易の問題でございますが、御承知の通り輸出貿易は昨年十二月一日に、それから輸入貿易は本年一月一日民間に移管の措置が講ぜられましたので、総司令部の関係においては、輸出入貿易上課せられていた重大な制約は、原則的に取除かれ、自由取引を建前とする状態に復帰したのであります。また一方国内の取引も、多年の統制状態から脱却して、先ほど申し上げましたよりに、三月末日ですべてが撤廃されて自由に取引されるようになり、いわゆる多年の経験を活用して、貿易振興をすべき時機が到来したのでありますけれども、しかし終戰以来管理貿易でありましたために、一面また保護を受けて来た等の関係もあつて、必ずしもただちにそういう考え方に立脚して活動すべきかどうかという点、多大の検討を要する問題があるわけであります。たとえば対華貿易が、今日の場合水産関係としては非常に重要な関係を持つのでありますが、御承知の通りの状況でありますので、この点に関しては急速な復活を関係方面に懇請しなければならないと考えている次第であります。なお小委員会におきましては、委員各位の御検討をいただくことによつて、さらに御報告をすることにいたしますが、大体においては、生産部門としては輸出水産物の生産及び加工業者を登録制にしてはどうか、また輸出部門におきましては、通産省と連繋を持つて、安売りの防止あるいは無暴な競争の排除というようなことが考えられるわけであります。それからこまかい内容等につきましては、必ずしも小委員会におきまして委員の方々の御意見をとりまとめたものではございません。大体休会中においての動き方につきまして、以上簡単でございますが、御報告を申し上げておきます。特にこの場合運賃問題は、ここ二、三日中におよその結論に到達するような状況にありますので、何とぞ委員各位の御熱心な御援助お願い申し上げて、御報告にかえたい次第であります。
  20. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 今国会に水定関係の法律案が数件政府より提出される予定に聞いておるのでありますが、当委員会といたしましては、先般の理事会で、今会期中にこれら予定されたところの法律案を、全部議了いたしますように、十分なる審議ができますようにいろいろその取扱い方について検討を加えたのでありますが、その結論といたしまして、政府の提案する法律案は、すべて二月十日までにこれを本委員会に回付されるように提出するということを、委員長より公式に政府当局に対して要求することに決定を見たわけであります。そこで私ども委員会が、今後一定の計画を持つて審議を進めて参ります都合もあるわけでおりますが、現在政府の方の御準備が、それぞれの法案についてどの程度に進捗いたしておるか、またそれぞれの法案がおおむね何日ごろに国会に提出される予定に相なつておるか。またそれぞれの法案の概要等につきまして、次長及び関係部課長より御説明願いたいと存じます。
  21. 山本豐

    山本説明員 ただいまの鈴木委員からの御質問に対しましてお答えいたします。実は昨日も農林省の省議におきまして、今国会に提出する農林省全体の法案の打合会があつたわけであります。各局から持ち出しました法案が非常に多数に上りますので、これではとうていその審議その他に支障を来すというので、省議でもいろいろとその重要度を審議いたしました。結局水産庁法案につきましては、大体題目を申しますると、先ほど委員長からお話がありましたように、漁船法案、それから水産業協同組合法の一部改正法案、水産資源枯渇防止法案、らつこ、おつとせい獣猟獲取締法の一部改正法案一それから水産庁設置法一部改正法案、この五つに大体きめました。いずれもこれはAクラスに入れてもらつているわけであります。  そこでその実際の進捗の度合を申しますと、漁船法の方は、運輸省との関連もありまして、向うが出されるのと並行して出さなければならないというので、いつでも出せるように準備だけは進めなければならぬというので関係方面にも折衝いたし、また係の方としましてはいろいろと今練つておるのであります。これはただいまのところ司令部と折衝中であります。文書課とか、内部の関係では一応審議は済んでおるのであります。あとは運輸省との関連もありますので、法務府との最後的な段階には達しておりませんが、大体準備はできております。  それから水産業協同組合法の一部改正法案、これは大体司令部とも――改正の要点が五、六点あるわけでありますが、おもなる点につきまして、大体司令部の方と意見が一致いたしまして、その線に沿うて今草案をつくり、これは文書課も法務府も一応審議済みであります。本日朝出がけに閣議稟請案に判をついて来たような次第でありまして、いつでもこちらに持ち込めるのであります。  次に水産資源枯渇防止法案、これは御承知のように、予算の裏づけの点で、この前の国会のときから一応法案の字句その他は何べんも練つてつたのでありますから、その点さえ解決すれば、いつでも準備できるようになつておるのでありますが、その予算の点につきましても、証券交付というような方法につきまして、大蔵省は大体これをのんでくれました。あとは進駐軍の方の、これはNRSの方は異議はないのでありますが、財政部の方の最後的な返事さえあれば、いつでもできるわけであります。法務府、文書課、全部審議は済んでおります。  らつこ、おつとせい獣猟獲取締法の一部改正でありますが、これはきわめて簡單な改正でありまして、今まだ交渉中でありますけれども、一、二日ありますればいずれも結論は出るというふうに考えております。  水産庁設置法の一部改正でありますが、これは水産庁を離れてはおらないのでありますが、そう厄介なものではありません。これは農林省設置法の一部改正も出ますので、それとあわせて進めて参りたいと考えております。鈴木委員は二月十日までというお話でありましたが、急げば多分それぐらいまでには間に合せ得るのではないかと考えております。なおこの点は長官と相談して、なお皆さんと連絡の上進めて参りたいと考えております。
  22. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 次長さんの御説明によりまして、大体の準備の模様を承知いたしたのでありますが、本委員会といたしまして、またそれぞれ各小委員会といたしまして、この会期は参議院選挙その他の都合から、おおむね三月中に実質的な議事を完了したいという情勢にありますので、水産関係としても、これら五つの重要法案を審議して参りますためには、相当馬力をかけて審議を進めなければならぬと思うのであります。つきましては、今の御説明で大分法案も固まつて来ておるようでありますので、委員長におかれましては、水産庁当局と御連絡をいただきまして、内容の固まつた法案から、成規の提案がなくても、逐次関係部課長から説明の聽収をお願いするようにおとりはからいを願いたいと思うのであります。
  23. 石原圓吉

    石原委員長 ただいま鈴木君の御発言に対して、それぞれとりはからいをいたします。なお二月十日までに全部法案を出し切るということは、ぜひ実行するように当局へ要望をいたしておきます。  明日はこのらつこ、おつとせい獣に関する一部改正、それから水産業協同組合の一部を改正に関して質疑を行い、当局説明を求めるために委員会を開くことにいたしますから、さよう御承知を願います。
  24. 冨永格五郎

    ○冨永委員 この見返り資金の高度処理加工施設に対する使用割当につきまして、現在まで相当借入れ申込みの書類が、水産庁に提出されて安定本部に回付されて、それぞれ審査を受ける段階にまで進んでいると承知いたしておるのでありますが、安定本部の考え方が、必ずしも水産庁考え方と一致しておらないので、ある程度の暗礁に乗り上げているというふうにも聞かされておるのでありますが、この問題に対して水産庁当局説明を承つておきたいと思います。
  25. 山本豐

    山本説明員 本日漁政課長が出るはずだつたのでありますが、ちよつと私用があつてつておりませんので、詳細の点はまたあとから漁政課長から御説明させたいと思うのでありますが、年末私もこの問題で安定局へ参りまして、生産次長ともいろいろ懇談したのであります。要するに安定局としましては、水産関係でどれに重点を置くかという点で、その高度利用もあれば、その他二、三あるわけでありますので、そういう点についてまだ最後の決定的なところに来ていないのであります。しかしこれは水産庁といたしましては、NRS等の要望もあつたのでありまして、NRSの要望と安定本部の要望を両方にらみ合せまして実は考えておるのであります。おそらくこちらの考えておる通りまるまるは困難かと思いますが、高度利用につきましてはNRSの方でも相当理解あるように聞いておるのでありますが、なおもう少しいたしますれば、ある程度の目鼻はつけてくれるのではなかろうかと考えております。
  26. 冨永格五郎

    ○冨永委員 ただいまの次長答弁はきわめて不満足の答弁であります。ただおざなりの答弁をされているように聞えます。御承知の通り、見返り資金は必ずしも水産部門ばかりがこれを重要視するものではないのでありまして、ともすれば水産関係は、いつの機会でも投げられがちになる傾向が多々あるように考えておるのでございます。従つて委員長におかれましては、当委員会におきまして、これを御処理くださいますことはけつこうでございますが、もしまた金融委員会あるいはその他の委員会に御付託になつて、積極的にお進めくださるようになれば、なおけつこうだと思うのであります。金の利用の問題につきましても、あちこちの考え方が必ずしも一致しないということのために、荏苒日をむなしゆういたしますことでは、今日の水産行政の活発化にかんがみまして、また貿易振展等の関連性等から見ましても、関係方面の意図はさらに国内には何らの活用が行われないという結果になると思うのでありまして、この道が開かれている限り、われわれはこれに深甚な考慮を拂つて、急速に使い得るように善処していただきたい。特に委員長お願いする次第であります。
  27. 鈴木善幸

    ○鈴木(善)委員 冨永委員の御発言に関連して、私から一言若干の意見を申し述べたいと思うのであります。  エイド・フアンドの資金を水産の方面にいかに導入するかという問題は、業界あげてその取扱い方を注視しておる重大な問題であります。旧臘当局から資料として配付されました内容を検討いたしましても、沿岸漁村方面に多大の反響を呼んでおるのであります。政府考えておられるエイド・フアンドの使い方につきまして、全面的にわれわれはその考え方を否認するものではないのでありますが、たとえば水産物の高度加工の施設の拡充について、日魯あるいは日冷その他の大資本漁業会社方面に重点的にお出しになるような計画もあるようでありますが、これにつきましては、沿岸の漁村、協同組合関係におきましては、きわめて批判的にこれを見ておるのであります。御承知のように、わが国の全沿岸にあります生産地の製氷、冷凍工場等は、戰時以来の資材難、資金難のために腐朽いたしておりまして、いろいろな故障を起し、あるいは破損部の修理等ができずに、その機能は著しく低下し、機能を喪失しておるものさえあるのであります。私どもは新しい施設も水履物の高度利用のためにもとより必要でありますけれども、既設のこれら全沿岸の水産物を鮮度を保持し、有効に水産物の食糧化をはかるための、これらの施設が現に腐朽して、その機能が著しく低下しておることは大きな問題であるのであります。これらの諾施設にもしエイド・フアンドを活用することになりますれば、その金額は比較的少額であつても、その効果はきわめて絶大であるのであります。このような見地から協同組合系統団体方面においては、連合会あるいは單位協同組合の持つておるこれらの製氷、冷凍、加工諸施設の改善修理等についても、エイド・フアンドの活用をぜひ実現してほしい、こういう要望が強く盛り上つておるのであります。当局におきましては、日本の水産全体の大きな視野から見ていただきまして、漁獲高の八〇%以上が沿岸漁業に依存しておるこの現実の上に立つて、しかも資金その他の面で恵まれない協同組合、漁民諸君にとつて、経済の中枢的関係にある協同組合を育成強化する見地に立ちまして、こういうような方面にもエイド・フアンドの活用をぜひ実現するように御善処願いたいということを希望としてつけ加えるものであります。
  28. 冨永格五郎

    ○冨永委員 それからきようわれわれ議員に電波法案が配付になつたのでありますが、御承知の通り漁業関係につきましては、遠洋といわず沿岸といわず、漁船関係が相当あると思うのであります。この電波法案に関連して水産庁当局がお調べになつておる点を、ひとつこの場合お開かせ願いたいと思います。
  29. 高木淳

    高木説明員 富永さんからの御質問でございますが、ちようど関係がありますので、何かの機会に御相談をいただこうと思つておりますが、これは閣議を通りますときに、水産庁長官の方に相談がありまして、これに関してこちらから意見を申し上げて、それを向うで取上げて修在していただいておりますが、その後今度国会に出ました案を拜見いたしますと、関係筋の意向広あつて多少かわつたところもありまして、それに対して漁民に及ぼす影響が相当あります点、だけをここにあげて、印刷をこちらに持つて来ておりますが、まだそのほかにいろいろありましたら……。
  30. 冨永格五郎

    ○冨永委員 おかりました。
  31. 中西伊之助

    ○中西委員 私水産庁の御方針を承りたいと思うのであります。これは直接の所管としては運輸省なんでありますが、十一月二十一日に神戸海上保安部保險課長から保安庁の方に報告しておる――これは新聞にも出ておるのでありますが、大量に底びきを検挙した。ことに由良その他淡路の海岸一帯に底びきが検挙されておる。こういう陳情は、前に神奈川県の三浦牛島の漁民諸君からも陳情がありましたが、大型の底びきが盛んに漁場を荒すというので、これは取締つてもらいたいというふうな陳情もあつたようでありますが、神戸の海上保安部ではこれを検挙した。それは非常にけつこうであります。三十トン以上のそうした不当なものに対してはどんどん検挙してもらいたい。これはその他の零細漁民の希望でもありまするが、と同時に、一トン、二トンの零細漁民の今まで大体黙認されていた漁民までが大量に検挙されておるのであります。これはそうした沿岸漁民、零細漁民の生活を脅かすものでありまして、非常に罪なやり方であろうと思うのであります。逆にそうしたものを検挙する口実のために、少数の大型を検挙する。そうしてその他の多数の零細漁民を一齊に検挙されておるのでありますが、これに対して水産庁としてはどういうふうな御見解を持つておられますか。沿岸漁民でもう生活が破滅に瀕しておる。漁民がわずかなあの一トン、ニトンでやつておるのを片つぱしから検挙してしまつたという形勢があるのでありますが、これは水産庁にも重大な関係があると考えておりますから、長官の御意見を伺いたいと思います。
  32. 十川正夫

    十川説明員 由良の附近に戦争中に便宜上一時底びき網漁業を許したことがあり、その片鱗が残つておりまして、現在の段階において問題になつておることを聞いておりまするが、これにつきましては、もちろん規則の正面から申しますと瀬戸内で底びきをやることはいけないことであります。まして大型の三十トン以上というものがあそこで操業することになりますと、資源に対して壊滅的な影響を與えるのでありまして、それにつきまして地元の者と相談いたしまして、瀬戸内の中でこのような大きな漁船が操業することのないようにいたしたい。それは取締りもやりますが、かと申しまして、取締り一方のみで参りましても、実際問題として、その出漁を絶滅することは非常に困難でありますから、適当の転業方策を考えてやることが必要であると考えております。御論の零細漁民というのは、おそらく無許可操業だろうと思うのですけれども、これにつきましては、私の方で十分に情報を得ておりませんので、どのような無許可漁船がどの場所で操業しておるかはつきりいたしておりませんので、今すぐにこれについて明確にお答えすることができないのでありますが、詳細なおよく調べて、適当に処置したいと思つております。
  33. 石原圓吉

    石原委員長 水産長官に要望します。先刻来見返り資金いわゆるただいまの行き詰まつておる沿岸漁業の資金の問題でありまするが、御承知のように漁業組合連合会並びに信用細管連合会ができましたけれども、ほとんどことごとく経営難であります。とうていこのままでは立ち行かないというのが実情でありまして、これに対して、水産庁はこれら団体法案によつてそれぞれ組織はさせたが、これをうまく生かして行くことに対しての何らかの対策がなければならぬと思うのでありますが、それに対してどういう御方針を持つておるか。ことに最も苦しいのは資金でありますが、その資金の面においては、いわゆる大洋、日水その他大漁関係へはまとまつた融資の便宜を與えんとしつつあるように聞えるのでありまして、その一部を各沿岸漁業団体方面へ融資することが、最も妥当な緊急な問題であろうかと思うのであります。この問題には先刻来冨永君、鈴木君等より有用な意見が出たのでありますが、いわゆる漁業団体の救済と申しますか、一時的の立ち行く方法を與えるに対してのお考え、並びに見返り資金その他の融資の問題について、どういう御方針、お考えを持つておられるか、一応この際御意見を伺いたいのであります。
  34. 飯山太平

    ○飯山政府委員 ただいま委員長から刻下の最も重大な事柄である協同組合連合会その他団体に対する金融政策としてどういうものを考えておるか、こういうお尋ねでありますので、お答えいたしたいと思います。昨年第七国会開会の際に、田口委員から預金部資金とエイド資金の二つを、休会中に何とか目鼻をつけてほしい、こういう御要望がありました。これは今の問題とも関連いたしますことで、ごもつともの御要求であつたので、私どもはその後休会中、このエイド資金並びに預金部資金の運営に関しまして、大蔵当局並びに安本方面折衝いたしたのでありますが、預金部資金は、愛知銀行局長の話で何とか考えられるであろうというようなお話がここであつたのであります。私どももその線に浩つて、いろいろ御相談しましたが、預金部の資金はやはり現在きめられている用途以上にいかぬというような話で、遺憾ながらそれはできなかつた。エイド資金につきましては、企業関係と組合関係というものを二本建にいたしまして、できるだけわれわれはこの企業と同様もしくは以上に組合関係の金融にこれを向けてもらうというような考えを立てまして折衝いたしたのでありますが、ただいま未客員長のお言葉の中に、大漁業いわゆる資本関係にはたくさんのものが行くようであるが、組合の方には何らそれがない、こういうお話でありましたが、御承知の通りエイド資金は、非常に審査がやかましいのであります。ずいぶん各産業について日本銀行にも出ておりまするけれども、非常に審査をパスするものは少い。それは要するに回収の確実性と、それからその事業の有望性と申しますか、あるいは必要性と申しますか、そういう点をからんで非常に厳格な審査をされるために、組合の経営ということになりますると、どうもそこに当てはまりにくいのであります。しかしながらわれわれとしては、いまなお安本の方にその線で折衝を続けておるのでありますが、どうしても現在のようなエイド資金及び預金部資金というようなものを当てにしておつたのでは、今お話の通り急場の間に合わないのであります。それで昨年末にも中央金庫に折衝いたしまして、何とかつなぎ的な団体の資金の方法を講じてほしい。その際に折衝の過程におきましては、漁業法の施行も近くあるのであるし、これが実施された場合には、二十七年産からは大体十何億かの補償金の返済をする、こういうことになつておりまするので、この二十五、二十六の二箇年の間にこの補償金を見返りと申しますか、先づけになりますけれども、何とかこれを一部でも組合関係の資金に融通する道をつけてほしいということを相談しておるのでありまするが、これは今までそういう例がないし、なかなかむずかしい問題であるが、しかし国家が将来補償するということが法律に定められておるのでありまするから、その返済をするということについては、最も確実性を持つておるというので、将来の漁業証券を――担保にはなりませんが、何かそれをつなぎ的に考えていただきたいというので、この問題は今も話を進めておるのであります。中金の方では御津知の通り、これは組合関係の資金機関でありますので、ただいま二十七億全国に出ておるそうであります。そしてその大半は組合関係になつておるようであります。しかし、これは年末でありましたが、預金がわずかに八千万円というようなことでは、これ以上は非常に困難だ、こういうことで今度増資される、四億を八億にされるという法案がいずれ出ることと思いまするが、その際に何とかして一億くらいは増資の分を持つてもらうようにしないと、これ以上の資金の融通は困難であるというようなことで、私どもは中金と協力いたしまして、休会中に各ブロツクに貯蓄増強運動――この困つているときに貯蓄増強ということはいかにも話が合わぬようでありますけれども、しかしここに融資を受けるという前提がある以上、そこに多少のむりをしてもとにかく漁のいいような場合には、大漁貯金というような名称のもとに貯蓄をしていただく、しかしそれは預けておく余裕はもちろんないのでありまするから、それを見返りに融資を受ける、あるいは何倍かの融資を受けるというようなふうに持つて行かなければならぬということでやつておりますが、そういう方法で、具体的に今幾ら団体に行くかというようなところまでは行つておりません。しかし何といつても今エイド資金と預金部資金は、そういうことで団体に直接向けるということは非常にむずかしいのでありますから、われわれといたしましては、今のような貯金を通じて、この補償証券を何とか先づけの担保というようなことで融資を求めるということが、現在としては具体的な方法として取上げられておるわけであります。  それから今の、協同組合の連合会がせつかく組織されてもそれが運営できないということは、私どももまつたく同感でありまして、これを打開しない限りは制度の実施も効を奏し得ないということにはまつたく同感であります。しかし今のように制度の実施がまだ三月ということを控えておりますので、これが実現するにいたしましても、今ただちにここで証券を見返りとして何がしかを出すということはできません。こういう事情でありまするので、委員長の御要望である具体策については、今ここに具体的に申し上げる材料を持つておりません。しかしながらこれは私どもとしましては、できるだけそういう方法で行くよりほかに現在道がありません。それでその間に私どもは、中小企業庁の、中小企業の方は割合に短期の資金の融通が、新聞でも御案内の通り講ぜられましたので、その方面に中小企業の範囲内において、漁業もしくは水産加工業というようなものをできるだけ利用する。これは一部利用されたものもあります。また一部利用しようとしているものもあります。現在としては水産庁としまして、ここに具体的な資金の実行案というものを立てておりません。結局中金によつて団体の強化をはかるという以外には現在としては方法がないのであります。ただエイド資金の中に、北海道におきまして高度利用の施設を組合において行うというような御計画もありまするので、これについては目下安本とせつかく交渉中であります。具体的の案としては、その北海道における高度利用に関する施設を、組合において行うという面においエイド資金を極力要請すると、こういう実情であります。
  35. 石原圓吉

    石原委員長 一応了承しましたが、その程度では非常に困難を生ずるのでないかと私は思うのでありまして、このできました漁業協同組合及び連合会、信用組合、これがことごとく経営難という情勢であります。これは私が説明しないでも水産庁でよくおわかりと思うのであります。それがだんだん窮迫して来た。そこに新漁業法案の施行といろ問題がぶつつかつて来たわけでありまして、この団体が強化されれば非常によろしいが、これが弱体化するほど、漁業法案の施行にも地方的に非常な混乱を来すおそれが多分にあると思うのであります。この問題は関連して不可分のものと私は見るものでありまして、ここにほんとう水産庁長官初め諸君が結束して、さらにこの際政治力を十二分に発揮してもらわねばならぬときであると思うのでありまして、委員会におきましてももちろん御協力はいたしまするが、どうかこの点は特に当面の緊急な問題としてお考えを願いたいということを要望しておくものであります。  次にただいま申されました水産資源枯渇防止に関しても明日の審議の中に入れたいと思いますから、さよう御承知おきを願います。  この場合に御報告申し上げます。カナダの水産大臣が今月三十一日に来朝されるそうでありまして、水産常任委員会は適当なときに、敬意を表する意味を加えて会見を申し入れたのであります。ただいまのところ確答はないのでありますが、参衆両院の委員長を初め、委員の少数の者が会見ができるかのように思われるのであります。それは多分二月の二日になろうと思うのでありまして、なるべくならば短時間でも委員全部が会見するようなことにしたいという手配をしておりますけれども、あるいは時間的関係やいろいろの事情でそう行かないかもしれませんので、この機会にカナダ水産庁長官に対して要望すべき点、その他申し入れるべき点等について、お気づきの点はどうかそれまでにお聞かせ願いたいと思います。  次に水産省設置の問題でありますが、各地より委員長の手元へは口頭、書面等で、すでに昨年来大会等の決議による陳情その他が出ているのであつて、最近朝鮮海拿捕問題、また近く講和会議の開催されるというような時期にあたつて、一ときも早く水陸省を設置しなければ、日本の水室の全体としての大なる不利益であるから、この際一日も早くこの設置に努力されたいという要望が多いのでありまして、この点はお互いによくその必要を感じているわけでありますが、これが具体化に対する方法について、日を期してさらに御意見を伺い、御相談を願いたいと思いますので、それぞれどうか御研究を願いたいのであります。  次に法案の問題でありまするが、市場法に関しては、参議院においては国政調査の形式で香現地調査等をしているそうであります。ただいま間接に聞きますと、政府としてはこの際この法案提出に対するはつきりした様子がわからないのでありまするが、実際において水産庁がこの法案を必要なりという見解なれば、これは協力してその実現を期さなければならぬと考えるのでありまして、この点に対しては、水産庁において一層の御検討を至急願つて、さらにその結果を伺いたいと考えるのであります。  なお団体法の一部改正でありまするが、連合会三百以内の団体は認められ、全国的に最も必要なるところの漁業組合連合会その他信連等は数が多いために認められないというような、非常に不徹底な点があるのであります。これは水産庁において、関係方面の了解を得る上になお努力が足らぬと私は考えるのでありまして、この点はこの数日中にも十分努力をお願いいたしたいと思うのであります。大体以上を報告し御要望を申し上げる次第であります。  なお会期関係上十分迅速にそれぞれの法案をまとめて行きたいと思うのでありまして、明日も委員会を開きまするが、御承知のように午後は重要な本会議が連続的にあるわけでありまするから、ぜひ定時瞬間に御出席を願うて御審議を願うようにお願いいたしたいと思います。
  36. 奧村又十郎

    ○奧村委員 この国会には終戰後初めて規定の通りの予算も提出されて、終戦後初めて国会としての面目をとりもどせると思うのであります。それで落着いた審議がこの国会を通じて行われる、特に水産委員長より、この国会における水産委員会の議事運営についての御方針を承り、私御要望を申し上げたいのでありますが、従来の水産委員会の運営では、ややもすると散漫に陷つて、十分の効果を発揮できなかつたというきらいがあつたように思うのであります。それで、委員長もそう考えておられるでしようが、なるべくその日の議題あるいは審議の範囲を区切つて委員長において議事を適当にある程度制限せられて、重点的にやつていただきたい。今までは水産行政関係は、何もかも一本に短時間でやられた。従つてほとんどすべてが結論を得られずに、要領を得ていないことが多かつたように思いますので、その点ひとつ委員長の権限でもつて、ある程度議事の制限をお願いしたい。また水産庁においても各課長、部長を総花式に出ていただいて、そしてそれで重点的に話ができるかというと、そうではなくほんの顔ばかりそろえていただいて、審議がはかどらないということでは、水産行政の面においてもはなはだ遺憾な面があると思うので、その点をお願いしたいと思います。  そこでもう一つそれに関連して、分水産金融の点について、うまく行かない、また今度シヤウプ税制によつて漁業に関する税制の問題が桜木的にかわつて来る。特に漁業権税、漁業に関する所得税というものが、非常に農村と比べて不利な取扱いを受けられる心配がある。ところがこれも水産庁長官初め、水産庁の係官にいかに来ていただいてそれをお尋ねし、また要望したつて、これは限度がある。御存じの通り、水産庁長官は常時閣議に出て発言する権利がない。従つて長官にいかにわれわれがつつ込んでも限度があり、水産委員会水産庁関係は、水産というものに限られて幅が狭い。この意味においてたとえば水産の金融、水産の税制ということになれば、やはり水産委員会のメンバーが大蔵委員会あるいは予算委員会、あるいは税制においては地方財政委員会というものに出て、大きな全面的な立場から水産というものをつかまえて、そうして大きな角度から行きませんと、水産委員会のみに取上げて行く幅の狭いやり方では効果がないので、大きく委員長として水産問題を取上げていただきたいと思うのでありますが、委員長の御意見を承りたいと思います。
  37. 石原圓吉

    石原委員長 しごく同感であります。その金融、税その他について、これまでも幾らかそういう方面へも渡りをつけたわけでありますけれども、不徹底であつたのでありますが、この際は各委員会へ合同審議その他発言を求める機会等、できるだけそれらの手配をせなければならぬと考えております。  明日は先刻申しましたように水産資源枯渇防止、らつこ、おつとせいに関する一部修正、水産業協同組合法の一部改正、この三つを議題といたしまして十分御審議を願いたいと思います。本日はこれをもつて散会します。     午後零時四十三分散会