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小高委員 水産行政を語る場合、
水産教育というものが大きく取上げられなければならないのでございますが、先ほど
委員長の
指名せられました小
委員会及び
委員会のうちに、
水産教育という面が織り込まれておらないということを非常に遺憾に思うのでございます。
昭和二十五年へのわれわれの期待は何ぞやと言うならば、それは
講和條約をすみやかに締結してもらいたい。そして
民主的文化国家としての
日本の存在を国際的に認めてもらいたい。この
考え方は、けだし全
国民をあげての
希望であろうと思うのでございます。さような際に先般
農地法が施行せられ、また
労働法が制定されまして今次成立いたしました
漁業法、この三つのきわめて
民主化を標榜したる
法律案ができた以上、この三本の足の上に立
つて、
日本がほんとうに国際的に
民主国家として認められる日のいよいよ近きことを、私
どもは
希望するとともに、その線に向
つて強く歩を進めなければならないと思うのでございます。かような際に、
講和條約が締結されましたならば、一体わが国の
国民中どの業種が、どの職業に携
つておる者が、一番諸
外国人との接触が早いのかということに相なりますとき、
農業人が船に乗
つて諸
外国へ上陸するには、
ちよつと間がございましよう。また
工業人が、一部の
技術家及び
指導者を除いては、そう
簡單に
外国の土地に上陸して行くということも困難でございましよう。そういうことを
考えますとき、
水産人は
講和條約が締結されると同時に、ただちにカリフォルニアの
沿岸に上陸するでありましよう。あるいはメキシコへ行くでありましよう。濠州へ行くでありましよう。ミッドウェーへ行くでありましよう。こういうことを
考えますとき、
日本は過去における戰争の償いをしなければならない。また償いとともに国際信義をいよいよ高めて、そして今までの
日本の立場と今後のわが国の立場とは違うのだということを、名実ともに明らかにしなけれにならないと思うのでございます。さような際に、過去におけるわが国の移民史あるいは外交史をひもともとならば、そこに排日あり侮日あり、
日本人は排斥されておる事実か幾多あるのでございます。その事実をさらに探求いたしますならば、そこに
水産人がわが国の品格を下げた。教養の低い教育程度の低い
水産人が、船に乗
つて諸
外国へ出向く。そして内地における感覚でふるま
つた結果、
日本人信ずるに足らずというようなそしりを受けたことは、国際的に
日本人の品位を落してお
つたのではないか。新しき世界観に立脚して、そしてほんとうにこの国を建て直して行かなければならないということを
考えますとき、そこに
水産業の重要性を、今こそ強度に認識して行かなければならないという
必要性を感ずるのでございます。その意味におきまして、今から足踏みをして訓練をしておくということが必要なのでございますが、
政府において、ことに遠洋
漁業者に関する漁区は、やがて第三次の拡張も許されるかもしれません。そういう連合国の、ことにヘリントン氏を中心とされる
漁業部の
方々が、わが国に対して非常に好意を寄せてお
つてくださるので、その好意にこたえるためには、漁区拡張と相ま
つて、それに沿うところの
水産人をつく
つて行かなければならない。これに対して再教育というか、教育というより訓練をしなければいけないと思うのでございますが、この
方法に対して
政府はいかがお
考えに相な
つておるか。
水産業を提唱する場合に二つの道があろうと思うのであります。
一つはこれから生れ出でんとする
漁業青少年の教育をどうするか、
水産教育の場合には、初等教育に
水産教育の面をどう盛り上げるか。それから中等教育、また
水産高等学校の教育、これらの段階が
考えられるのでありますが、この面に向けて
水産高等学校等へ入れない者に対しては、
政府はどう助成して行くかということを、一応今から
考えなければならないと思うのでございます。高等学校へは行きたくともなかなか行けない、これをどう手を打
つて高等
水産教育を受けさせるように仕向けるかということが
一つと、いま
一つは、すでに齢四十になり、五十になり、あるいは六十にな
つて、いまさら
水産学校へも入れないという現在の
漁業従事者に対して、即効薬的の
漁業教育と言うよりも、むしろ訓練と言
つた方が適当であろうと思いますが、この教育訓練をどういたすか、この二つの教育の指針を明らかにしなければ、
水産日本を代表する
水産人として、国際的に雄飛することはできません。こういうことを
考えてそれからそれへと掘り下げて
考えますとき、もし
水産教育の完璧が期し得られないとするならば、
講和條約がかりに締結されたとしても、海の面についてはある程度の制約を與えられやしないか。かような程度の低い
国民の跳梁をたくましくさせては、いかぬということに相なりはしないかということを
考えますと、これは
日本国の問題として、
水産教育に対するところの根本的な施策が強度に行われなければならない、私はかように断定してはばからないものでございます。この意味において
委員長に御
質問いたしたいことは、この次の機会でもよろしうございますが、
水産教育という面をとり入れた小
委員会等をつくる御
意思があるかどうかという点であります。
政府へ向
つてお尋ねいたしたいことは、遠洋
漁業従事者及び
沿岸漁業等にも含めて用いたのでございますが、再教育、再訓練ということに対して、いかなる方途とお
考えをお持ちでございますか、この点であります。