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1950-04-13 第7回国会 衆議院 図書館運営委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十三日(木曜日)     午後二時四十二分開議  出席委員    委員長 東井三代次君    理事 水谷  昇君    千賀 康治君       木村 公平君    圓谷 光衞君       多田  勇君    渡部 義通君     早稻田柳右エ門君  委員外出席者         国立国会図書館         長       金森徳次郎君         国立国会図書館         参事         (調査立法考査         局長)     角倉 志朗君     ――――――――――――― 二月二十三日  委員北村徳太郎辞任につき、その補欠として  椎熊三郎君が議長指名委員に選任された。 三月四日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として東  井三代次君が議長指名委員に選任された。 同月七日  早稻田柳右エ門委員長辞任につき、東井三代  次君が議長指名委員長補欠選任された。 四月八日  委員椎熊三郎辞任につき、その補欠として北  村徳太郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国立国会図書館運営に関する経過報告聴取  国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する  規程案  金森国立国会図書館長米国議会図書館其の他  視察に関する報告聴取     ―――――――――――――
  2. 東井三代次

    東井委員長 これより会議を開きます。  議事に先立ちまして一言御あいさつを申し上げます。早稲田さんが委員長を御辞任になりまして、はからずも私がその後任として選任を受けたわけでありまして、何分不徳の者であり、また未熟の者でございますから、皆様にいろいろと今後ともご支援なり御同情を願わなければならぬと序ずるのであります。どうかよろしく御協力、御支援のほどをお願い申しあげておく次第であります。どうぞよろしくお願いいたします。  まず国立国会図書館法第十一條の規定に基きまして、国立国会図書館のその後の運営経過につきまして金森館長から報告を聴取いたしたいと存じます。なおこれは、同條第二項の規定によりまして、この運営経過につきましては、委員会審査の結果を議院に報告する義務がありますので、その点御承知おきを願います。金森国会図書館長
  3. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 図書館の従来の半年よりも前の経過につきましては、すでにこの委員会でも御報告を申し上要したし、またたびたびいろいろな機会に御報告を申し上げておりますので、過去大箇月の経過の大要を御説明申し上げたいと存じます。但し、事柄が非常にこまかい数字にわたりますので、大体の計数のこととは、おまわしをしておきましたところの国立国図書館経過報告資料についてごらんを願う方が都合がよいかと考えます。  あらかた申し上げますと、組織と言いますか、図書館の組立ての面につきましては、この間に支部図書館一つふえたのであります。それは支部学術会議図書館の設置でありまして、すでにこれに関します規定は、委員会で御承認を得まして、十一月三十日から施行しておる次第であります。人事につきましては、職員の数は何らの変更はございません。ある人々が退職をした、ある人々が新たに任ぜられて、ある人々が死亡したというような多少の変化はございますが、格別な問題の起つていることはございません。  次に働きの面について申し上げまするが、私ども図書館はいろいろな任務を持つておりまして、大きくわけますと、普通の図書館のような任務、それと違つた任務というふうにわけることができようと思います。普通の図書館のような任務はあとまわしにいたしまして、それでない方の大きいところを申し上げますと、いわゆる立法調査の点であります。この図書館が生まれます根源の一つは、立法調査を必要とするという点でございまして当初から立法調査の面につきまして力を強く用いるという気持で参りましたけれども、何分にも経験が乏しいのと、伝統がまだ短かいのと、参考資料がゆたかでないこと等のために、非常にみごとな成績を上げるというまでには参つておりませんが、大要申しますと、この半年の間に、およそ百九十一件の調査をしております。電話等によります簡単なものは、もとよりそこには含まれておりません。その詳細は別紙の計数の中に入つております。またこの調査資料を、短期間におよそ十八册ばかりつくりまして、必要な部面に配付しております。この点は、どういふ点にさらに発展をせしめなければならぬかということを常に顧慮いたしておりますけれども、要するに将来の日本働きに何らか十分なる役に立つことをしなければならぬしそれには打つべき手が多々あると考えておりまして、目下それの研究を進めております。  第一の問題は、今のように図書館のあり場所が、国会より離れているということは、あらゆる災いのもとになるのでありまして、何とかしてこの国会のへりにぴつたりくつついて、いつでも迅速に連絡がとれる、こういうふうにならなければならぬと考えております。従つてはなはだ不十分ではありまするが、とりあえず三宅坂に仮の建築をつくりまして、おもなる調査職員はそこに集つて、できるだけ簡便に国会と連繋がとれる方法を進めまして、本年の初めから、その形がいくらか整つたような姿であります。  なお次に考えておりまするのは、そういう調査を進めて行きまするためにも、また一般人々の利益に供するためにも、どうしてもかような調査に適する、いわば小さい図書館がなくてはならないと考えまして、それには政治法律に関しまするおもなる書物を集積して、調査にもすぐに役立てる、またそういうことに不便を感じておる人たちも、ここに来て調査ができる、こんなことを考えておりまして、順次計画を進め、来るべき年度の予算におきましてお認め願いましたその線に沿つて現在準備を進めており、本年の十月ごろから、ここにささやかながらも法律図書館ともいうべき一つ部門が生れて来る予定をいたしております。  それから次にやはり普通の図書館と少し異なりました働き行政、司法の各部門に対するサービス事務でありまするが、それは支部図書館として行政の各部にありまするものをうまく連絡統合して活用をはかるということが本質になつております。現在、各官庁及び最高裁判所支部図書館をつくつており、それぞれの専門書物を備えておりますけれども、しかし、これらのものがばらばらになつておりましては、ほとんど効果を生じませんので、せつかくたくさんのものが連絡して本部となり支部となつておるのでありまするから、この相互の間に材料を交換し、知識を交換し、そのほかあらゆる連絡をとるということが必要であろうと考えておりまして、過去六箇月内に、その考え方をもつてだんだんと調節をやつて参りまして、その一つの現われといたしまして各支部の持つておりまする書物目録を集めましてそれでもつて全体に北適する――小さい計画ではありまするが、総合カタログをつくりかけておるのであります。この六箇月内に三万八千八百九十六枚のカードをつくることができまして、累計をいたしますれば六万三千ばかりのカードになるのであります。現在はまだ少くて、十分の活動をいたしませんけれども、これが漸次蓄積せられますると、どういう書物がどこの支部図書館にあるということがわかりまして、その結果、各支部図書館便宜を得るばかりでなく、一般調査人々も便利が得られるようになつて行くであろう、こう考えております。  こまかいことはそのくらいにいたしまして、次に各国から書物がどんなふうに入つて来るかという事情を申し上げまするが御承知のように、現在はなかなか書物は入つて来ません買うことはできる筋にはなつておりまするけれども、ヨーロッパに対しましては、金の支払いが相当自由ではございません。アメリカに対しましては、ほとんど金を支払う道がございませんので、できるだけ金を用いずして手に入れるというよりほかに便法はございません。幸いにして、この六箇月の間に、ことにアメリカの方からケア物資として相当量をもらいましたし、またロックフヱラー財団から、文学的なる書類と社全科学に関する書類合せて一千册余のものの寄贈を受けました。これらの書物をもつて図書館の新しい外国文献の幕末としております。そうして、できるだけ多くの人にそれを利用してもらいたいという考えをもつて便宜をはかつております。しかし。まだ書物がたくさんないのでありまするから、自然利用者の数も多くございませんので残念に思つておりまして、もう少しこの書物をふやす道はないかと考え、私がニユーヨークに参りまして、ロツクフヱラー財団のところに参りましたところが、ロツクフヱラー財団では、近き将来におきまして、実際研究、あるいは研究よりももつと低い意味の調査に役立つような書物相当多数寄贈する予定である、その書目は今現に調べておるということで、私のそのカードの一部を見せてもらつて参りました。こんなふうにして、だんだん書物を集め得られまするならば、相当業績をあげるに近かろうと思つておるのであります。  次に、もう一つ大きい問題として印刷カードの問題がございまして、すべての図書館自分カードをつくることは非常に手間をとるのでありまして、なかなか経費もかかりまが、もしも一册の書物について私の方でりつぱな正確な印刷カードをつくりまして、図書の分類もその中に明らかになつておるということであると、非常な便利が得られるという考えから、順次企てておりましたが、この期におきましては、相当これが順調に運びまして約七万八千枚余り、書物にいたしまして一万二千余のものに対応するものができて参りました。こういうカードは、われわれの図書館で使うことのほかに、今アメリカの希望によつて、そこにもこのカードを交換しております。また国内におき幸しても、漸次これが何らかの方法で用いられて行くようにも努力をしております。なおマイクロ・フイルム、マイクロカードも、この期におきまして若干仕事を果しております。マイクロカードは、実はまだ試みの程度であり、われわれの手でもマイクロカードができるということの実験をした程度にすぎませんけれども、もしこれが将来発展する価値があるものとするならば、われわれの手で相当実現できるだけの準備を整えております。  次に一般図書館仕事の面について申しますと、大体図書館書物は漸次増加するという姿でありまして、この期におきまして、この六箇月内に集りました書物相当多量になつておりますけれども、そんなに書物がたくさんわずかな間に発行せられるというわけでもございません。この期におきまして、われわれの図書館が特に労働科学研究所蔵書を四万册余り受入れましてこれがこの期の大きな書物を集めた数の中に入つておるのであります。そのほかは、数字は別册にありまするが、要するに二、三万研を越えないのであります。それから、なおできるだけ国会関係にわれわれの言物を利用していただくということの計画を立てまして――よく世間では、どうもジャーナリズムが軽率でありまして、国会議員の方が図書館にちつとも来られない、こんなふうなことを、おもしろおかしく書き立てるという傾向がありますが、私どもの立場から見れば心外千万であります。何れも国会議員方々が、忙しいからだをもつて、われわれの中央図書館書物を見においでになる必要はないのであります。分館の方に必要なる書物は備えてありますし、またそれ以上の必要があれば、いつでも本館から分館書物をまわすということになつております。それを知らずして、とかくの批評をいたしておりますが、この期に分館図書がどんなふうに利用せられたかと申しますと、相当利用せられておるのでありまして、そのわかつた数字は、別別の中に、閲覧者の数と、利用せられた書物の数とがともに掲げてあるのであります。大体現在の進行は今申しましたように、順調に一歩々々と進んでおるというふうに申し上げることができようかと思います。  ところで、ひとつまた国際的な問題が起つておりますのは、ユネスコとわれわれの図書館関係であります。法律の表から申しまして、ユネスコと私ども図書館とが直接関係があるということにはなりませんが、しかしユネスコは、学術及び教育の見地から世界の平和を高めて行くというものでありまして、図書館仕事は、これとほとんど密接しております。そこで、われわれの方から求むるに先だちまして、ユネスコ本部の方から申し入れがありまして、ユネスコに対して、何らかの努力をするという道順が発生したのであります。現在のところでは、ユネスコとの文書の交換、そしてユネスコから送付して来るものをわれわれの図書館に陳列して一般の方に供覧するということが主眼点でありまするが、さらにいま一つの問題が起りました。それは、ユネスコの方で、書物類、広く言つて文献につきましていろいろな調査をする企てが起つております。調査をすると申しますのは、一つの点を言えば、書物をいかに分類すべきか、こういうような問題であります。つまり、書物の効用をはつきりせしめまするに必要なあらゆる問題を国際的に研究しようということが起つておりまして、現にある程度まで手続が進行しているのでありまするが、それが日本に話かけられて来て、日本書物関係のある人々意見をとりまとめて、そのユネスコ書物に関する研究、ビブリオグラフイーに関しまする研究に対しまして、日本から相当資料を供給することが必要となつて来たのであります。今いろいろな情報を集めましてその基本の道をくふうしておりますけれども、要するに、日本図書館の、あるいは書物関係者意見をとりまとめて何らかはつきした形にしてユネスコに送るということになりましようが、それを図書館のどういう権能でやるかというと、ごく一般的な権能から来ておりますが、そういうことを要望せられており、来るべき年内には、ある程度仕事をする必要が起つて来ようかと思つております。  大体の経過は今申し上げました通りでありまするが、ここにひとつ問題が起つておりますのは、われわれの図書館のほんとうの建物の点であります。図書館建物につきましては、従来も多少は申し上げており、また建築委員会がありまして、その方で相当研究をしておりまするが、従来のものの考え方は、新しき図書館建物はどうしても国会建物とぴつたりとくつつがなければならぬ、これは言うまでもないことであります。そこで、これをくつつけまするために、現在の議会建物中心として考えてみますると、前とうしろと右と左、この四つしか考えることができません。ところが前の方は、これは国会の美観あるいは壮嚴さを保つために、よほど注意をしなければならない。また国会の右の方には、ほどよき敷地はございませんし、それぞれまた故障のありそうな敷地であるのであります。またこの国会うしろの方は、これも敷地の幅が狹くて、ただちに地形がくずれるというようなことでありましてこれははなはだ見込みが乏しい、そうすれば、この国会の左、つまりもとドイツ大使館中心といたしまして、ここに設計をするということが必要でありまして漸次その歩を進めて、もと建物のこわれたのを含めて、敷地をなるべくわれわれの手に移すことを努力して、漸次その調子が進みまして、今それを大蔵省に移管するという形になつております。ところが、ある官庁が、このドイツ大使館の跡に庁舎をつくりたいということを大蔵省に申し出まして、そこで大蔵省では、もしも図書館建築をするのにまだ余裕があるなら、その間そこに特殊の官庁のバラツクをつくりたい、こういう申出がありました。一応のりくつは成立いたしましたけれども、実際の事情は、今後その敷地図書館に向くようにだんだん整理して行かなければならぬところに、よそのバラックができますと、将来図書館建設に非常な障害が起るというようなことを考えまして、関係部局にその趣旨を明らかにしていわば反対の声を上げているのであります。現在のところは、しいてこれを使おうという空気がございません。各官庁の間に調和を保ちつつ、この所にわれわれの図書館建設されて行くようにと思つておりますけれども、しかしいろいろの障害が起るのでありまして、私ども図書館当局といたしましては、みずから微力と言うことはまことに情ないのでありますけれども、結局微力でありまして、ひとつ両院の図書館運営関係のある方々によつて、その点は必要な場合、強力にわれわれを御支持願いたい。これは報告に加えましてさような実情が起つておることを申し上げたのであります。しかし、これはただいまのところは大したことはございません。そこで私どもといたしましては、できるならば積極的にこれらの土地に対して図書館ができ上つて来るような順序をふんで行きたいのであります。その準備として多少の予算大蔵省に申し出たこともありまするけれども、今までのところ聞き入れられておりません。ただ昭和二十五年の予算の中におきまして、これに関係のある土地買收費が少しばかり考慮せられている程度であります。これは、私どもの方も、今後この図書館建築につきまして急速度に実行計画を進めて行きたいと思つておりまするのでしかるべく御了解及び御支持を願いたいと存じております。これで私の報告を終ります。
  4. 東井三代次

    東井委員長 ただいまの館長経過報告に対して何か御質疑はございませんか。
  5. 渡部義通

    渡部委員 国立図書館一般図書館と違うところは、考査立法というようなことが非常に特殊なものであると同時に、重要視さるべきものであるということでありますが、それについては、もとより同感でありますけれども、後ほどの質問になるかもしれませんが、立法考査局内部構成がどういうふうになつておるのか、そういう点はわかりませんか。
  6. 角倉志朗

    角倉国会図書館調査立法考査局長 ごく簡単に御説明申し上げます。この局の全員は、今、専門調査員以下五十六名であります。もちろん調査員の中には相当経験者もありますし、ごく経験の浅い者もおりますが、これをどういう構成運営して行つたらよいかということは非常に研究を要する点でありまして、従来からたびたび問題になつておつたのでありますが、目下のところを申し上げますと、大体これを三つ部屋の単位にわからまして法律政治並びに外交というものであつて一つ部屋構成する。第二に経済関係、すなわち金融であるとか、あるいは農業であるとか、財政、建設等も含めまして、これで第二室を構成いたしております。第三室には、文教、労働、社会というもので構成をいたしておりますが、この部屋と申しますのは、一つプール・システムと申しますか、それがプールの役をなしまして、テーマテーマによつてレフアレンス並びにレポート業務に当るという構成になつております。従いまして室長というものは置いてございません。三つ部屋構成のほかに、主査と申しまして、これは分課規定等において姿を現わしておりませんけれども調査員の中で経験のございます者を主査といたしまして、その主査が各班の中心的な存在をなしております。第二室の中で農業を例にとりますと、農業主査が、農業関係に堪能な調査員並びに主事主事補を統括しておる金融で申しますと、金融経験者主査になりまして若い者の中心的な存在になつておる。そうしてこの主査が、テーマによりまして適当に部屋の者を動かす。レフアレンス業務並びにレポート作成に当つておる。この業務につきましては、調査員並びに主事主事補調査いたしましたものを、分担によつて主査が責任を持つてこれに校閲を加え、ディスカッシヨンの中心になつて行く。そうして、これを立法考査局次長手元に出します。そして次長手元でさらに検討を加え、各分野に応じまして専門調査員手元にも重要なものは提出しまして、そこで高度の経験に基く意見を加えていただく。そうして、あるものは刷りものにし、あるものはレフアレンスの回答をする、こういう建前になつております。ただレポート類でない個々のレフアレンスにつきましては、時間等の関係もございますので、一々專門調査員を煩わすということは不可能でありますので、はなはだしい場合には、次長手元も省略してお答え申し上げるということも実際にございます。今の機構がよいかどうかということは研究の余地があるのでありましていろいろ考慮を進めておりますが、現在の機構並びに運営の大略は以上の通りでございます。
  7. 渡部義通

    渡部委員 これは日本図書館全体についてそうでありますが、国会図書館においてもこの例に漏れず、外国図書收集について戦時中の約十四年間のブランクがあるわけであります。このブランクをわれわれはどうしても埋める必要があるというふうに考えておるわけであります。ところで、このプランクをどのようにして埋めるかという計画がなされておるかどうか、あるいは体系的にその順序を追つて進められておるかどうかという点を聞きたいと思います。私の考えでは、もし国会図書館内部に、そういうふうな調査と、それを実現する機構がまだできていないとすれば、それがまずつくられてそうしてどのような図書が收集さるべきかという問題は、これは十四年間の図書というものは厖大に上ると本の学術やその他の点においてなければならないようなものを集める必要がある。そうするためにはたとえば学術会議等連絡をとり、あるいは専門家に委嘱して、それぞれの専門に関する主要な図書はどういうものであるかということを詳細に検討して、それに基いて、それらの図書をどういうふうにして收集するかということを具体的に進めてもらうようなことはなされておるのかどうか、この点をひとつお聞きしたい。
  8. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 ただいまお尋ねの、書物を集める方針につきましては、国内書物集書委員会内部にこしらえまして、もつぱら研究を進めております。これも過去長い間書物がありながら、私どもの方の図書館は生れてからほんの二年でありまして、その蔵書は種々なる偶然の資料からできておりますので、非常に不完全であることを補正するためにやつておるのであります。ところが、今仰せになりました外国書物の方は、どうしても大切なことであつてやらなければならないのでありますが、事業はまだ手がついておりません。まずその基本になりますところの書物カード、またはカードにかわるべき目録類を漸次外国から手に入れまして、それに基いて各方面の御協力を得て、いかなる種類のものをここに收集すべきかということを考えた後に、だれがごの書物を手に入れるかという点に触れて行きたいというもくろみを持つております。しかし、これは実際はむずかいのでありまして私どもの方の予算相当にあり、書物を置きまする設備が完全であるならば、それもできますけれども、それよりも前にわれわれが書物自分のところだけで持つという必要はございません。種々なる図書館、種々なる機関が手わけをして重票な書物を持ち、それがうまく交流するということが一番合理的ではないかということも考えまして、目下その方法等について暗中模索しておるのでありますが、いずれ研究を進めまして、各方面の人に呼びかけて御意見を伺うということが大切だろうと存じております。
  9. 渡部義通

    渡部委員 私最近多くの学者に接する機会が非常に多いわけですが、この人たらは、各大業においても予算が少くて、ほとんど收集することができない、日本図書さえも收集することができないので、いわんや外国為替関係からして非常に高価にあたるものをどうしても收集することができない、そのために研究者が悩んでおるだけではなしに、日本の文化の上に非常に大きい障害を来しておると思う、これはどうしても解決してもらわなければならぬのだが、それには、国会図書館のようなところでは比較的やりよいだろう、少くとも国会図書館において全力をあげて、こういう重大な問題を解決してほしいというのが、学会全般にわたる声なんです。この点については、日本に、外国のきわめて重要な水準を持つようなものが、一定の期間のものが全然ないようなことがあれば、これは一つの国辱でもあるわけでありまして、それをなすためには、国会はやはり相当大きい力を払つてもこれだけは実現せんければならぬと思います。これは日本の文化全体の上から言つても、当面の研究者の非常に困難な状態を打開する上から言つても、ぜひともやる必要があるので、この点を具体的に立案されて委員会に提出されることを急いでいただきたいと考えておるわけなんです。そうなれば、委員会としましても、おそらくはこの問題について反対される方はないだろうと思いますので、これを全委員会の意思として、この問題を実現して行くために努力するということができますならば、現在の学界の悩みも、日本の文化面における欠陥も補うことができるだろうという考えをもつておりますので、ぜひともこの点は促進していただきたいと思います。
  10. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 御説まことに、ごもつともと考えております。現在、私どもの方の図書購入費は、この新しい予算によりましても、千六百万円を越えておりませんので、実は御希望の点に遠ざかることはなはだしいのでありますし、かつまた現在の情勢で、どこまでこれができるかということについて相当懸念をもつておりましたために、今まで、いわばその点を第二におきましたけれども、お話の点は非常に重要であるというふうに考えます。従つて、何とか御希望をお持ちになる男方と連絡をとりまして、そうして物事の進行をはかりたいというふうに考えておりますが、そのときには何分御尽力をお願いいたします。
  11. 渡部義通

    渡部委員 具体的にどういう方針があつて――これにはどれだけのものを要するかというふうなことが明らかにされれば、いろいろな方法があるのじやないかといふうに思われるわけです。だから、具体的にさつそく着手していただいて、学界その他の要望にぜひとも応ずるように、私たちもできるだけのことはしますので、ひとつやつていただきたいと思います。
  12. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 お説の趣旨に従つて方面に話しかけて、もう少し詳細に御意見を伺いまして実行方法考えてみたいと思つております。
  13. 圓谷光衞

    圓谷委員 国会図書館法を立法いたします際に、アメリカのタラツプ、ブラウンの両氏が参られまして、レフアレンス・ライブラリー、立法図書館をつくられました際に、国会の立法にサービスするために、現在ある法制局とこれを一つにしてやつたらどうかという示唆を受けたのですが、その当時、法制局の方は拡張いたしまして、国会図書館と立法図書館を合一することが不可能であつたように私は思つておりますが、館長アメリカを御視察になりまして、アメリカ国会図書館がどんな機構で活用されておるか、その状況を承りたいと思います。
  14. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 今のお尋ねの点は、前からやかましい問題でありまして私ども、この図書館を引受けてから、予算を要求いたしますときに、私の方の調査員をたくさん計上してもらいたいという努力をいたしましたが、実際は、両院の方に調査職員が合計して百人ばかり計上せられました。国会図書館の方は全部で六十人より少い定員が盛り込まれて、比重がかなりかわつて来たというような結果を生じました。そこでその点を考えまして、アメリカではどんなふうになつておるの溝をかということをだんだん見て行きましたが、アメリカでも、その点はそんなにはつきりしておりません。やはり物事は動くように動くと申しますか、実際やつてみると、どうしてもそこに必要な筋に従つて制度が発達するというのではないかと思いますが、アメリカでもやはり両方にあるのでありまして、アメリカ国会図書館には、正式に百八十人ばかり、それに加うるに臨時の人もあると思いますので、それを加えますれば、その上に百人以上もふえることと思いますが、とにかく百八十人ばかりの人があつて立法調査従つておる。ところが議会の方では、私はこまかい数字は覚えておりませんけれども議会のおもなる委員会には、相当腕ききの立法調査のできる人がついておりまして、一つ委員会に五人もついておりますれば、そこには二人やそこらの立法技術者もおるというようになつておるのであります。のみならず、議会全体といたしまして上院にはたしか七人の法律委員がありますし、下院にはたしか六人の法律委員がありまして、これは議員でなく職員であります。それが立法に関する法律專門のことの意見を述べておる、こういうふうになつております。これをつめて申しますと、日本の今の議会の行き道と、筋道はそんなに違つてはおりません。ただ数の問題におきまして国会図書館の方には非常にたくさんの職員がおる。両院にあるところの法律技術者の数はきわめて少数であるというような結果になつております。今、日本の実情は、国会図書館の方が非常に数が少くて、予算を増してもらおうと思つても、ひとり日本大蔵省が異議を述べられるばかりでなく、そのほかにも異議を主張するところがあちらこちらにございまして、まだ思うように行つておりません。こういうような点は、アメリカの実情がわれわれにとつて参考になるのではないか、やはり主従おのずから別であるというような気持をしております。
  15. 圓谷光衞

    圓谷委員 次に、先ほど館長経過報告の中に、図書館の現在使つておる元の赤坂離宮は、もともと図書館につくつたのではなくて、国会からも非常に遠くて不便である、そこで前に図書館建築の図面もできておるのですが、出発してすでに三年ですのに、いまだに本格的の建築に進まないということであります。国家財政の面からただちにできないことは私も承知しておりますが、二十六年度において、全部のうらの幾分かを本予算にとるというような御計画があるとすれば、われわれ委員としても、その館長の構想によつて計画を実施したいという気持を持つておりますが、その構想がおありであるならばお伺いしたい。
  16. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 私、国会図書館長の命を受けましてから一番苦心をしておりまするのは、図書館建物をどうするかという点であります。日本にもたくさんの図書館があり、外国にももとよりたくさんの図書館がありますけれども、どこも建物の見地からいつて完全であるとは言い切れないのでありまして、ことにわれわれの図書館のような、かなり広い部面の仕事を持つておりますところは、建築についてはよほどくふうを凝らさなければならないのであります。図書館建築委員会は、一応法律従つてできておりますけれども、実際に現在では、ほんとうにその計画を立てるだけの陣容を持つておりません。これは何でもつくればいいというようなものではないのでありまして、現在アメリカ国会図書館でも、その主たる建物は使う上に非常に不便で、これではいけないということで、別の建物を増築しまして、ここに主力を注いでおるようなありさまであります。カナダのオツタワへ参りまして、オツタワのいわば国会図書館を見ましたところが、これは中の人にも聞きましたけれども、見かけはりつぱであるけれども、実際使う上に不便であつて、しようがない、これでほどうしても困る、こういうような苦情も言つておりましたし、なかなか図書館建築は、新しい技術の発達に伴いまして相当くふうをしなければならないのであります。たとえば書物は、普通で言えば風通しのいい、虫の食わないところに置けばいいというふうにいわれております。書物を読むには、光が十分よく来る、気持のいいところで読むのがいいといわれておりましたけれども、どうも近ごろは、それに対する反対の見解がありまして書物はどこへ置いても、空気の調節さえすればいい、水をふせぎ、火をふせぐには、むしろ地下のようなところが番いい、現にハ―バード大学では、貴重なる本は全部地下一階、二階に納めておるというような話であります。また明りの点におきましても、大体人工光線を使いまして、天然の光線には大して重きを置かない。もつぱら主力を図書館の役に立つ方面に注いでおるというわけでありますから、どうしても図書館建築相当注意深い計画を立でなければならないのであります。そこで、私ども今まで技術者に若干御相談は申し上げて始りまするし、ある程度研究はしておりまするけれども、それだけの大きな計画を持つて、ことに図書館法ができまするときのアメリカの助言者が申しましたような、およそ五万坪の図書館をつくり、その中に非常にたくさんの研究室を設けるという案になつて参りますと、そう軽々しく案は立てられないのでありまして、相当人々に委嘱しまして十分の研究をしなければならぬのでありまするから、すぐに図書館の本建築にとりかかるということは、今のところ好ましくないではないかという気がいたします。従つて、現在の必要から、中間の建物、ほんとうの建物に至るまでのものをまずくふういたしまして、本建築につきましてはう少し注意深い研究をしなければなるまいかと、ひそかに考えております。  そこで第一に計画いたしたいのは、図書館そのものをつくるのではなくて、図書館建築について十分なる調査研究をする一つの設備をつくりたいと思つております。たとえば、この議会建物ができまするときに、めんどうな調査をされたように附き及んでおるのでありますが、それと図書館とはもとより違いますけれども、やはりそれに必要な研究が大切であろうと忠つております。実際アメリカ国会図書館などを見ますると、地下二階、三階に及びましてその下に、ほとんど工場の設備にひとしいような、われわれにはよくわかりませんけれども、機械設備があるというふうでありまするから、これが有機的に一体をなしておるもので、どうも一部からつくるのはむずかしいのであります。今お話になりました点は十分考慮をいたしまして、まず調査に必要な設備を考える、これが第一であります。  第二には、さしあたりの目的にかなうような建築物をごしらえるという順序を踏みまして本建築に入りたいと思つております。さきにも申しましたように、敷地が手をつけられずにおりますために、いろいろの故障が起り、またそのために赤坂離宮に長く根をおろしておるという傾向がございますけれども、これはなるべく研く解決するつもりでおります。
  17. 圓谷光衞

    圓谷委員 館長の構想がそうだとしますと、赤坂離宮にはずつとおらなければならぬということになると思いますが、私は、あの赤坂離宮、現在の図書館のところは、きのうも行つて参りましたが、非常にもつたいない、あのままにしておいたら荒廃に帰するのではないかということを心配しておるのです。しかも国会図書館とは名ばかりであつて、実際聞いてみますと、国会議員が来るかというと、さつぱり行つていないということでありますので、必要であつて、どうしてもこれを国会図書館に使つた以上は、立法その他について国会が最も利用できるという態勢をつくつて行かなければ、結論において国会図書館はいつもあとまわしである、あまり必要のないものであるということになれば、館長の言われるようなものは、いかなる方法をもつてもできないと私は思う。議員の宿舎にしても、議員にサービスすることはいいけれども、一人に一部屋ずつつくるというようなこと、これは議員それぞれが必要だということで決議してつくることになつたと私は思いますが、国会図書館も、せつかくできた以上は、もう少し何とか予算をとつて、利用しやすいものをこの近くにつくつてもらいたい。それも、館長の言うような理想では、これから二十年、三十年かからなければできないような気がするのです。この国会もずいぶん長いことかかつたようなお話ですが、そうでなく、来年あたり相当予算をとつてつくつてみたらどうかというので私は今質問したのですが、そういう意思があるのですかどうですか承りたいと思います。
  18. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 仰せの点、ごもつともでございます。いずれにしましても、やりかけるにしても設計しなければできません。その前に私のほしいのは、不燃質のもので相当役に立つものをまず一つつくりたいのです。それは、そんなに百年、二百年も必要はございませんが、何しろ貴重な書物を入れるのでありますから、どうしても燃えない設備でなければいけないのであります。それで、今のところはそんなにたくさんの書物を持つておるわけではないのでありますから、それ相応の大きさのものでいいわけでそれをつくつて、順次計画を進めて、そうして本建築のりつぱなものをつくる。そのときには資材も便利になり、いろいろな工事もやりやすくなるというふうになりましようけれども、仰せのことは、これからなおよく研究して考えてみます。但し今のところは、そういう二段に考えたいと思つているのです。
  19. 千賀康治

    ○千賀委員 圓谷同僚もある意見を持つておいでになりますが、私は、この点は岡谷先生と図書館長との間に食違いがあるなら、図書館長の方の説に同調をいたします。赤坂の離宮にいつまでもおるべきでないということは圓谷委員と全然同感で、一刻も早くあすこは立ちのいて日本の純国宝として保存ができるようにし、これを利用するにいたしましても、現在のように粗末に使わずに保存と利用と両方ができる道を講じたいと考えておりますが、図書館を新しくつくるのに、この議会ができた当時の日本の文化水準であつたならば、当時八八艦隊とか何とかいつて軍艦などはいくらでもつくろうという時代でしたから、この建物は巡洋艦か駆逐艦一ぱいでできろというくらいのもので、国民は、この一つつくるのに、さほど民族の建築学の粋を尽し、また民族の富をここに集中したというような気持なしにできる文化を持つておつた時代の所産であつたのです。ところが、今日これくらいなものを一つつくろうと思いましても、現在の日本の廃頽した建築文化あるいは経済生活、国家の貧弱な経済というようなことすベてを織り込んで考えてみますると、今政府があげ得る予算で、これをもう一軒つくつてみようと考えてもできるかできないか、これはなかなかだれしも想像がつかないというような程度まで日本は落ら込んでおります。そこで、今の日本建築文化を標準にして考えまして、百年の計を誤らざる図書館をつくろうと考えましても、しよせんは不可能であり、また可能なことをやれば、すこぶる粗末になる、あまりにも民族の悲哀を暴露しなければならぬということになります。でありまするから、長く後世に残るような建築をしようとする場合には、しばらくは見送つて、もう少しわれわれのすべての復興を見てからがよろしいということは、私も館長と同じく考えておりますが、第一段の赤坂は、早くもつとあれを保存する目的と兼ね合せて利用ができるというように切りかえて行こうとしますと、やはりあの国会図書館はどこかに立ちのいて行かなければならぬ。立ちのくとすれば、御承知通り図書館の一番の生命は何といつて蔵書でありますから、その蔵書が、不燃性であり、また書物の保存に適当な設備のできる所で、そういう書庫を持つた所に行かなければならぬことは言うまでもありません。その意味で、本を読む所は、今度できた議員会館のごときバラツクだつてけつこう間に合う。そこで、安い経費でできるだけ保存、利用という面において先金に近い書庫を解く建築いたしまして、閲覧室はバラックか何かで、保存期間は十年とか二十年とかということはあまり頭に入れなくてもよいということでやつて行くことがやはりよいだろうと思います。私は、この点は館長の意思に同意を表する次第でありますが、それでもやはり、この委員の中でも、すでに圓谷先生と私とでは見解が違うというようなことで、千人に近い国会議員の一人一人からいえば、甲論乙駁で、帰趨がなかなか求められぬだろう思います。りつぱなものを永久的につくるという意見と、私らのように暫定的にやつて行こうという議論とが対立いたし書て、なかなかこれはうまく行かないだろうと思いますが、きようわれわれに御提示をいただきましたこのプランでも、これは暫定的なものではないようです。これはかなり永久的なものを計画されたプランの一部分だと思いますが、とにかく国会図書館はある目標のもとに不断の歩みを続けているのだということを議員全体が知つてくれるためには、われわれだけがこれを見るだけでなく、全衆参議員にやはりこういうものは見せていただいて、とにかく国会図書館のために何かをしなければならないという気持を、こういうものによつても強く起させることが必要かと思います。やはりこうしたものはしばらく時間を置いて、暫定的なもので間に合せて、ほんとうの民族の熱意を傾倒した文化を保存すべきようなものは、もう少し後にやるということで行けば、容易に多くの賛成者を得られ、同時に財政計画の方も大いに推進して行くことができると思います。先ほど私の隣におつた多田君も、やはり私にそういうことを言つて行かれましたが、これを本委員だけにとどめずに、こういうような建築ということについて一つの空気を起すのには、なるべく全議員に対して働きかける方がよいだろうということには私も同様に感じますが、その点どのようにお考えになりますか。
  20. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 今お説を伺いまして、非常に喜びの念にたえません。ひとつそういう線で、皆さん方にこの図書館の行く道を理解していただきたいと思つております。
  21. 渡部義通

    渡部委員 図書館予算の問題ですが、当局の方で、いつも予算を立てられて、そうして持つて行かれると、ぺしやんこにされてしまう。これはこの施設及び事業のために、どれどれのものにどれだけのものがかかるというようなことをはつきり委員会に示されて、そういう連絡を過去においてなさつたのかどうかまた今後もそういうふうにされる意思があるかどうか。そういうことが実現するとすれば、委員会における予算実現の腰のあり方が違つて来るのではないかと思うが、そういうことが事実上委員の間にはかつていないわけです。どういう方面の施設または事業にどれだけのものが必要か、こういう計画があるというようなことが委員の中にわからなければ、予算面に現われて来た、ペしやんこにされたものについてだけわれわれが議論しなければならぬというような事態が起きると思うのです。そういう点はどうなのです。
  22. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 実は二十五年度の予算を組みますときには、予定よりも早く大蔵省から書願を要求せられましたので、しかもそのときがちようど国会の皆様方がおいでにならないときでありましたので、とつさの時期であつたことと、今の特殊の事情であつたというために、非常に手落らがありまして、委員会等の御了解を求め、御指示を仰ぐという余裕がなかつたのであります。それはたびたび実は申しあげておる次第でありますが、私ども何とかして先に御意見を伺つてやわたいと思つております。今後事情の許す限り、その法をもつて臨みたいと思つております。
  23. 渡部義通

    渡部委員 次に別な問題ですが、先ほど館長報告の中に、ユネスコ国会図書館との間にある関係ができた。たとえばその関係というものは、ユネスコ本部からの申入れによつて、ある形での協力をする。その協力の範囲というものがどういう範囲なのか、具体的にお聞きしたい。
  24. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 図書館は、何と言つて図書館の範囲でしか活動できませんので、ユネスコ全体の問題から行きますと、図書館権能よりもずつと広い分野にわたつておりますけれどもユネスコ本部の方から見ますと、そういう見はからいもあまり十分でないので、やや包括的な言葉で現われておるのでございますけれども、おのずからそこに手わけをしなければならぬのであります。現在文部省と外務省が、この問題に若干あるいは相当の関与をしております。そこへ図書館が割り込むといふことによつて日本官庁にありがらな権限争いを起すといような色彩もないではございません。私どもは、そういうことは喜びません。そこで、私どもといたしましては、図書館として必要な限度にとどめるというふうに心しております。図書館として必要なる限度というのはどういうことかと申しますと、図書の面で、日本図書ユネスコ関係のところに希望に応じて配付する。またユネスコ関係図書日本の方に送つてもらつてわれわれが郵便局のような働きをいたしまして、関係図書館に渡す。同時に、私の方の図書館が一通りのものを陳列して、読者の便利に供する。これが一番図書関係する面でありまして、この点でありますれば、どことも抵触を起さないで、その権能を楽しんでユネスコ協力することができるというのでありまして、大体この線を通つて連絡を持つているのです。ところが、先に一つ述べましたのは、どうも私どもはまだ詳細なことはわかりませんけれども、このユネスコの方に文献に関する調査委員会がありまして書物その他の文献を主体として、これに関係するあらゆる問題を研究しようということであるらしいのであります。先にも申しました書物の世界的な基本的分類というものを考てるとか、あるいは印刷の様式とか、紙の大きさとか、そういうものにつきまして、ユネスコの方で相当研究をしておるらしいのであります。その点につきまして、われわれまた協力を求められておりますが、この場合の協力は、われわれひとりの協力ではございませんで、日本でそういうことに関係ある人の意見をとりまとめて、日本側のまとまつた、あるいはまとまるに近い意見として、そのユネスコ調査会の研究資料に資する。こんなことが、ただいまの問題になつております。これは口で申しますと何でもないことのようでありますけれども、実は日本図書館人あるいは図書関係する文化人というものの団結はほとんどございませんので、あらためてある程度連絡をとつて意見をまとめるというのは相当めんどうな仕事でございますけれども、これがこの数箇月の間にしなければならぬという問題になつておるという意味であります。
  25. 渡部義通

    渡部委員 ユネスコだけでなく、からに他の国際的な文化団体等から同様の申込みがあつたような場合には、やはり国会図書館として、その申込みに応じて、同じような範囲に関する限りは協力するということになるわけですか。
  26. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 大体これがめんどうなもので、われわれは法律の中で生きておりますから、法律の解釈の範囲内で動かなければなりませんが、今まで図書の交換とか、あるいは配付を依頼によつてつておるということは、これはどこの部局から来ておるものでも、世界中のどの図書館から言つて来ましても親切にやつております。それからまた、図書に関して何かのビブリオグラフイーの調査の要求がある。たとえば日本にはある特定のことについてどういう書物があるかというようなことを尋ねて来ます。これも世界のすべてにわたつて図書館に関する便宜を供する、こういう点でやつております。でありますから、ほかのところからいろいろな理由によつて同じような希望を述べて来られますれば、たいてい私の方でそれを引受けて措置できるものと考えております。
  27. 渡部義通

    渡部委員 その点では了解できました。もしユネスコというものが、もつと広汎な形で協力を求めて来るといつたようなことになつた場合には、国会図書館は、こういう一定の国際的な団体と独立の意思を持つて活動されるのか、それともこの委員会に諮られて、その決定によつて、またその限度において活動されることになるのか、この点をお伺いします。
  28. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 あまり広いことを求めて来られたら、われわれ図書館の方としては、これを受入れることができないと思つております。大体一般的に言えば、これは国内的には多分文部省の所管に含まれるものが多かろうと思つております。私どもの方は、この法律で与えられた権能の中で、文献に関して世界と交渉を持つということがございますから、その範囲でやるということよりいたしかたございません。今のいろいろな日本の文化人の意見をまとめてやるということは、これぼ非常に例外でありますけれども、実は法律的に言えば権能に属するかどうかわかりませんが、ただわれわれの外国と交渉をするための必要欠くべからざる準備作業としてそれをやる、こういう趣旨でやつております。
  29. 渡部義通

    渡部委員 事ユネスコに関する問題でありましたので、私は以上の質問をしたわけでありますが、ユネスコは国連の関係のものではあつても、一定の立場を持つておることは明らかなのであります。従つて、これと深い関連をもつて図書館運営されるようなことがあるとすれば、これはやはり国会の意思に従つてやらなければならぬというふうに私たちは考えておるわけなのであります。また現在のユネスコが、日本科学、教育、文化人の広汎な支持を受けておるかどうかということも決して受けておると断言し得る状態にあるとは、私たち現実の状態を見て言えないと思つておるわけであります。ただ図書の問題、カタログとかビブリオグラフイーといつたようなものについてならばともかくとして、国会図書館としてユネスコの運動のためにこれをなされるということになれば、これはわれわれ図書館運営委員として、一定の方針を討論する必要があるのではないかというふうに考えておるわけなのです。この点をはつきりさせておいてもらいたい。
  30. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 その点は、もう初めからはつきりしておりまして私ども図書館業務以外には一歩も出てない。でありますから、外国の外少公がかつた団体、あるいは公でなくても、もし余裕があるならば個人の希望でも、図書館業務の範囲では始終応接しております。大体その限度でやつております。ただその中でいくらか進んでおるというのは、ユネスコの文献を送つて来たら、こちらでなるべく注意して、人に見られるようにしてやろう、これぐらいの気持は持つております。ただ図書館でどういうものをどうするかということは、大体図書館業務の範囲できめられると考えております。
  31. 東井三代次

    東井委員長 ほかに御質疑はございませんか、御質疑もないようでございますから、次の日程に移ります。     ―――――――――――――
  32. 東井三代次

    東井委員長 お手元に配付してあります国立国会図書館職員定員規程の一部を改正する規程案を議題といたします。館長の説明を求めます。金森国会図認館長
  33. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 今日御承認を経たいと思つて差出した案は、国会図書館職員の定員を若干増加するという趣旨のものであります。このことは、すでに予算のときに内容を申し上げておきました。今回予算が通過いたしましたについて、主事調査員の範囲におきまして、定員の増加をこの規程の上にのぼせるというだけの趣旨であります。何のために増員が必要であるかということを、予算のときの御説明と重複するきらいはございますけれども、念のために申し上げますと、調査員につきましては、今回法律図書館を一部として設けたいという考えに基きまして二人の調査員を増加いたします。るし、労働科学図書館を引継いだということによりまして、その全体の統轄をいたしますために調査員を一人、合計三人を増加する趣旨であります。それから主事につきましては、やはり法律図書館の設置に伴いまして三人を増し、労働科学図書館――これは図書館というほどのものでなく、ごく小さいものでありますが、それのために主事を一人増加する。それからまた、書物を受入れましてこれを整理して行く事務がだんだん増加いたしまして、ことにこれから買入れます書物の数も、予算の許す範囲において相当増加いたしますので、これに処するために十人の主事を設ける。また国際業務部の中におきまして、文献摘録と申しますか、日本にできております価値ある文献につきまして、その内容を摘録いたしましてその摘録したものを、そのままも使いますけれども、それを外国語に飜訳いたしまして、その摘録を世界に配付することができるというような、いわば文献学的の仕事になりまするが、それのために十人の主事を増加する。ほかに人事制度が複雑になりまして、職階制の発達に伴つて一人の主事を増す。こういうわけで、調査員については三人、主事については二十五人を増加する趣旨であります。そうして予算が完全な年度とれておりません。法律図書館はどうしても開設が遅れますので、施行時期は、法律図書館職員については十月一日から、その他の職員は七月一日からこれを増加するという次第でございまして予算のときの方針と寸毫も違つておりません。御承認を願いたいと思います。
  34. 東井三代次

    東井委員長 ただいまの館長の御説明に対し何か御質疑がありませんか。
  35. 千賀康治

    ○千賀委員 むろんこれは必要なことであると思つておりますが、大蔵省及びその筋の方のオーケーは大丈夫でしようか。
  36. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 これは予算のときに論議をいたしまして、それだけの予算をもらつておりますので、この点については全然間違いございまん。
  37. 東井三代次

    東井委員長 ほかに御質疑はございませんか――質疑ないものと認めます。国立国会図書館職員規程の一部を改正する規程案を承認するに御異議はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 東井三代次

    東井委員長 御異議なしと認めます。それでは同規程を承認するに決しました。  なお図書館法第十一條の規定によります委員会の審査の結果の議院への報告につきましては委員長に御一任願いたいと思います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕     ―――――――――――――
  39. 東井三代次

    東井委員長 次に、今回金森図書館長には渡米議員団の一員として二箇月にわたつて視察旅行を終えられて無事に御帰国になつたのでありますが、本日は、アメリカ議会及びアメリカ議会図書館につきまして、その御視察になつたところをわれわれ図書館運営委員にお明かせ願つて、今後の図書館運営上の参考の資に供したいと思いますが、ただいまからその御視察談をお聞かせ願いたいと思います。では金森図書館長にお願いいたします。
  40. 金森徳次郎

    金森国会図書館長 本年の一月に私がアメリカへ参りますときに、この委員会におきまして、特に図書館の設立せられましたときに非常に好意を寄せられたアメリカの三人の図書館人に対して、委員会において議決せられ、委員長の名によつてつくられましたところの三つの文書を私が携帯して参りました。そのてんまつは早く御報告申し上げるはずでございましたけれども、実は元の委員長の早稻田議員に対しまして、旅先より書面をもつて報告はいたしましたが、それ以後におきまして、皆さまにまだ申し上げる機会を持つておりませんでした。書面は三通ありまして、一つはブラウン氏、一つはタラップ氏、一つはエヴアンス氏に宛てられたものでありまして、ブラウン氏は、実はアメリカでは僻陬の地に住んでおられるのでありまして、南方のミシシッピー川の川口に近い所に住んでおられますが、年七十余才の身をもつて、よそへ行つて図書館仕事をしておられたわけであります。これは容易にとり次ぐことができないのではないか、都便で出すのと同じ結果になるのではないかと心配して参りましたが、幸い私のスケジュールがニユーオルレアンスを通ることになつておりました。そこでニユーオルレアンスに行きましたとき、ブラウンさんがわざわざ汽車に乗つて出て来られまして、そこでこれをお渡しいたしました。ブラウン氏は非常に喜んでおられ、かつ図書館が二年の間にこの辺まで来たということは非常に喜ばしいというふうに言つておられました。私はそのときに、新しい図書館の各部面の写冥をアルバムにはりつけたものを持つて見せて、若干説明をしたのであります。次にエヴアンス氏とクラツプ氏に対しましては、これは国会図書館に持つてつてお渡しするのが正当であると思いまして、実はそれよりも前にシカゴで御両人に会いましたけれども、わざわざこれを渡さないで、国会図書館の中に持つて行きまして、日本の代表団が全部列席し、その他関係者が列席する所におきましてこれをお渡しいたしました。なお先ほど申しました写真帳もごらんに入れました。その写真帳は一册しかございませんので、国会図書館に寄贈するという形にいたしました。国会図書館は、これを図書館の保存用として受取るという受取をわれわれに与えられたのであります。これに対しまして、エヴアンズ、クラツプの両氏は、このメッセージに対しまして感謝の意を表せられまして、持におせじと理解する方がむしろいいとは思いますけれどもいろいろな点について、アメリカ国会図書館もなお果していないようなことが日本図書館では行われておる、こういようなことを言つておられました。その意味はわかつておりますけれども、向うの国会図書館は、行政部、司法部の図書館と緊密な連繋をとることができない。いわば町を行く人のお互いの連繋のような、ごく軽い連繋であります。ところが日本の制度におきましては、各官庁図書館とわれわれ国会図書館との間に非常な緊密な連繋がとれておる。この点を主として言われておられたと思うのであります。事実、その点は日本の方がまさつておるような気がしておりました。  以上は、私が特におさしずを受けていたしましたところの任務の御報告でございます。
  41. 東井三代次

    東井委員長 それでは館長の公式の御報告が終りましたようですから、これから懇談に移つて細部に関する御報告を聞きたいと思いますが、その前に、ただいま館長からお話がありましたそのメッセージが、早稻田前委員長からここへ、手元にお届けになつておりますので、それを朗読させてもらいたいと思います。どうぞお聞き取を願いたいと思います。  「拝啓、日本国会の衆議院図書館運営委員会を代表されまして不肖あてに出されましたお手紙は、当地の連邦議会図書館における歓迎午餐会の席上、訪米議員団長山崎氏から直接に受取りました。私は国立国会図書館が非情な発展をされたことを知り、たいへん嬉しく思います。これはひとり国会図書館長の名譽のみならず、図書館運営委員会及び国会自身の名譽であると存じます。アメリカ合衆国における連邦議会図書館は、連邦立法機関の公僕たることを誇りとしており、かつ全幅の努力をあげて連邦議会の議員や委員会に対し、その立法過程に役立つべき正確な信頼し得る情報を提供しておるのでありますが、私はこれはちようど同じように、国会図書館日本国会仕事に対して有効に貢献されるようになることを希望しております。そしてまた国会図書館が、図書館によつて実現され得る多くの便益のために有力な力とならんことを希望いたしております。貴下の同僚の方々を当地に迎えたことは私の再びとするところで阿りますが、代表団の緒氏が当地において見聞されたことが、お国へ帰られてからそれぞれ役立つことを願うものであります。私もまた、いつかそのうちに貴国の国会国会図書館を訪問することができるようにと願つております。敬具。一九五〇年三月一日、連邦議会図書館長ルーサー・H・エヴアンズ。」  次にに副船印長ヴアーナー・W・クラツプ氏よりは、「拝啓、私は国立国会図書館の設立についての助言のため日本へ派遣されたアメリカ図書館使節団の二名の中の一人として、昨年十二月付のお手紙をありがたく落手いたしました。そのお手紙は、一九五〇年二月二十七日、貴国の議員代表団が当地来訪の際、国会図書館金森徳次郎博士から直接いただきました。国会図書館が誕生する機縁となつ図書館運営委員会委員諸君との討議は、私のこれまでの最も愉快な経験一つでありました。従つて、そういう当時の議論から生れた制度が、かくもすみやかに、かくもりつぱに発展されたということは、ほんとうに嬉しく思うところであります。私は、この図書館が初めの計画されたところに基いて議員諸氏及び一般日本人々にとつて非常に有用な存在となつて行くものと確信するものであります。今やすでに連邦議会図書館国立国会図書館との関係は種種多方面にわたつて相互に便宜を与え合つております。私はかつて国立国会図書館がその目録カードを印刷すれば、それはアメリカ連邦議会図得館やその他のアメリカ図書館日本の出版物の目録調製をするのに役立つだろうということを示唆いたしましたが、そのことがすでに実現されたのであります。このような事柄は必ずや今後も継続し、かつますます双方にとつて意義を増すであろう一つ関係を示すものであります。最後に御丁重なるごあいさつの言葉に深謝するとともに、国会図書館の設立に尽力された委員諸君に何とぞよろしく御鳳声ください。敬具。一九五〇年三月二十日、連邦議会図書館長補ヴアーナー・W・クラツプ」こういう二通の書面でありました。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時十八分散会