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1950-03-13 第7回国会 衆議院 人事委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月十三日(月曜日)     午後二時三十七分開議  出席委員    委員長代理 理事 藤枝 泉介君    理事 逢澤  寛君 理事 上林山榮吉君    理事 小平 久雄君 理事 高橋 權六君    理事 成田 知巳君 理事 土橋 一吉君    理事 平川 篤夫君       岡西 明貞君    松澤 兼人君       園田  直君  出席国務大臣         国 務 大 臣 増田甲子七君  出席政府委員         人  事  官 山下 興家君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君         專  門  員 中御門經民君     ――――――――――――― 三月九日  委員柳澤義男君辞任につき、その補欠として寺  島隆太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月八月  政府職員の新給与実施に関する法律の一部を改  正する件法律案内閣提出第九〇号) 同月九日  公務員給与改訂に関する請願田島ひで君紹  介)(第一二六三号)  同(林百郎君紹介)(第一二九〇号)  内外三件(前田種男紹介)(第一二九一号)  営林労務者越冬資金支給請願江崎一治君  外一名紹介)(第一三一八号)  営林労務者專業労務者常勤職員として取扱  の請願江崎一治君外一名紹介)(第一三一九  号) の審査を本委員会に付託された。 同日  公務員給与改訂に関する陳情書外四件  (第五九五号) を本委員会に送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した事件  国家公務員職階制に関する法律案内閣提出  第一号)     ―――――――――――――
  2. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 これより人事委員会を開会いたします。  本日は委員長におさしつかえがありますので、私が委員長職務を行います。  議事に入る前にお知らせいたしておくことがあります。去る八日、政府職員の新給与実施に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第九〇号)の審査を本委員会に付託されました。また去る九日、柳津義男君が辞任せられ、寺島隆太郎君が新たに委員となられました。以上お知らせいたしておきます。  ただいまより国家公務員職階制に関する法律案を議題として、前会に引続き質疑を継続いたします。土橋一吉君。
  3. 土橋一吉

    土橋委員 本日は官房長官が出席されましたので、官房長官にお尋ね申し上げますが、本法律案を提出せられました当時、特に公聴会が十二月の十七日に開かれたのでありますが、その際公述人のきわめて有益な公述があつたのであります。これは過般参議院においても行われたのでありますが、そういうような内容を、この法案の中にどういうように盛り込んであるかということを、お聞きしたいと思うのであります。
  4. 増田甲子七

    増田国務大臣 土橋さんにお答え申し上げます。私多忙のために、実は公聴会に出席いたしませんで、たいへん恐縮に存じますが、いずれ公聴会速記録等を拜見いたしまして、できる限り公聴会意見のうち妥当適正なものは、法案の中へ織り込みたいと思つております。しかしこの法案審議経過等も、人事院の当局者はよく御主席になりましたが、政府側はあまり出席いたしませんために、つまびらかにいたしておりませんが、その審議模様等と調和のとれる関係において、考慮いたして参りたいと思つております。
  5. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、この法案が今審議過程にありますが、政府提出法案といたしまするならば、審議過程公聴会経過等考えまして、この国家公務員職階制に関する法律案は、時期尚早であるという意見が、ほとんど大部分の意見であります。また本案に賛成をする諸君におきましても、個々の條項については、あるいは修正を要求し、あるいは廃止を要求しておるのでありまするが、そういう公聴会の主張をはたして政府では尊重されて、そういう内容について御検討くださる余地があるかどうか。この点をお聞きしたいと思うのであります。
  6. 増田甲子七

    増田国務大臣 公聴会において、時期尚早であるとか、あるいはその他こういう條文はこういうふうに直したらよろしいという御意見がありまして、これが妥当適正と認められれば、政府といたしましてもこれらを採用するにやぶざかではありません。土橋君も御承知通り、皆さんにおかれましては従来非常に御熱心に御審議なされておつたのでありますが、公聴会で言われたところ、その他皆様方の適正な御意見はもとよりのこと、これらを取入れられまして適当な御審議をあそばして、適当な議決をしてくださることを政府は期待しております。もつとも職階法ができればこの議会において通過成立するということについても、政府はまた熱望いたしておる次第でございます。
  7. 土橋一吉

    土橋委員 ただいまのお話のうちに、通過を熱望しておる、ういうことを言われましたが、十二月末日に関係方面と折衝されまして、そのときに二週間以内にこの法案を通過させたいと考えておるというようなことが、官房長官かちマッコィ公務員課長代理説明があつたということを仄聞しておりますが、そういう事実はあつたでございましようか。
  8. 増田甲子七

    増田国務大臣 そういう事実はございません。ただ私がマッコィさんに会見した事実はございます。またリゾーさんに会見した事実はございます。できるだけ早く通過成立することを希望はしておりますが、日にち等については何ら私も聞いておりません。
  9. 土橋一吉

    土橋委員 さらに三月八日の閣議で、政府はしばしば本会議においても説明されておりますように、給与ベース改訂を行わない。しかし実質的な賃金の向上は十分考慮したい。こういうような説明政府からされておりますが、聞くところによりますと、三月八日の閣議で、来るべき年度末に何とか差繰つて公務員諸君に平均九千円程度手当を支給したいというような閣議決定がなされたということを新聞が報道しておりますが、もしかようなことがあつたとするならば、その内容について一応この委員会に御説明願いたいと思うのであります。
  10. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答え申し上げます。土橋さんの今おつしやつたような具体的な話はないのでございます。ただ政府といたしましては、こういうことを常に考えております。総理以下同じ考えでございますが、それは公務員給与ベースは、現在のところ総合均衡予算、あるいは経済安定施策の遂行のためには、やむを得ず引上けがたいのであります。しかし昭和五ないし九年に比べまして、実質賃金が終戦後逐年逓増しておるとは言いながら、まだ低いのでございますから、でき得る限り実質的の給与を向上せしめたい、実質賃金の改善をはかりたい、こういうことを考えております。その際どういうところを目当考えておるかと申しますと、欠員等があつた場合に、これを補充せずして現在員が非常に勉強してくれておるような場合、あるいは物件費人件費等節約を現在の公務員諸君が勉強してはかつてくれたような場合に、事業量なり事務量を減少せしめず、能率を増推してくださつたならば、そういうようなところから何か昇給なり、あるいは従来不行届きであつた手当なりを、十二分に差上げるようにいたさなくてはならぬというようなことは考えております。大体そういうような抽象的なことでございまして、まだ何ら具体的の、いわゆる賞与制度だとか、そういうことは考えておるわけではないのでございます。
  11. 土橋一吉

    土橋委員 そうしますと、欠員不補充によつて浮いて来るところの剰余金なり、あるいは事務簡素化節約によつて若干の余裕が出来たならば、賞与制度についても考えてみたい、この程度のお考えである。こういうふうに考えてよろしゆうございましようか。
  12. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答え申し上げます。今御指摘前半は、私は完全に肯定しますが、後半の、それをもつて貸与制度云々というものに充てるべく考慮するということは、この際言いかねる次第でございます。
  13. 土橋一吉

    土橋委員 過日の新聞が、今私が申し上げたような内容を報道しておるのでございます。つまり一般公務員特別公務員は、事務費のうちから五%、人件費から三%、旅費その他のもので一〇%、合計四十五億の予算の捻出を考えてある。これは一人約九千円で税込みのものである。また府県においては約六十億円、市町村においては三十億円、公共企業体のガスあるいは電車というような諸君には六億円というような記事か出ておりますので、合計しますと百四十一億円でありまして、大体この目安は一箇月分の給与に、さらに一箇月分の三割程度加えたものというような常識的なものに一応考えたのでありますが、この際私は特に官房長官にお聞きしておきたい点は、どこの官庁におきましても、たとえば電気通信省あるいは郵政省部内におきましては、年度末が近くなりますと、中央官庁及び監督関係官庁におきましては、常に出張をするのでございます。これは官房長官も長くその職におられましてよく御承知と思いますが、実際は出張する何らの根拠もなければ、何らの理由もないような場合に、やはり三泊四日等の出張をするのでございます。そうして事実は一日程度出張いたしまして、あとは家におるというようなことが現実であります。今申し上げた両省の関係においてもそうでありますが、他の一般行政官庁においては盛んにこれが行われておるのでございます。こういうような事実について官房長官はどういうふうに考そておるか御説明願いたいと思います。
  14. 増田甲子七

    増田国務大臣 土橋さんの御質問のうち、前半は、そういう事実はございません。ただいま賞与制度を打立てるという考えもございませんし、三%、五%を物件費人件費から捻出する。そうして四十五億をもつて九千円に該当するというようなこともないのであります。但し今各種の研究はいたしておりまするが、具体的な各種新聞記事等は、政府において責任を負えないのみならず、政府側から発表したものでは全然ないことを、この際明瞭に申し上げておきます。  それからその後半でございますが、実際においてそういう事実がないにもかかわらず、事実を仮装する。そうしてそれを給与に乗せるというようなことが、従来は、あるいはいわゆる徳政といつたような意味合いにおいてあつたかもしれませんが、将来はそういうことがないように期したいと思つております。
  15. 土橋一吉

    土橋委員 ただいまの御答弁では、あつたかもわからないというのですが、現にあつたということを私らは知つておるのであります。そういう不正は特に中央官庁監督官庁に多いのでございます。(「府県でもあるよ」と呼ぶ者あり)従つてその中央官庁監督官庁諸君が、下級の現場なり、下級官署に参りまして、何らの仕事もしないで――特に若い公務員諸君もそうでありますが、給与の高い責任者もそういうような場合が多いのでございますが、そういうような者に対しては、もし資料を整えまして政府に提出する場合に、いかような御処置なり、態度をおとりくださるか。明確に御答弁願いたいと思います。
  16. 増田甲子七

    増田国務大臣 従来、たとえば年度末にためておいて、いわゆる慰労出張といつたようなことをした例はあります。これは土橋さんも御存じの通りであります。あるいは土橋さん自身なさつたかどうか私は存じませんが、そういう事実もあります。なお三日で出張するようなところを、四日の出張ということにして、一日分だけは小づかいにして差上げるといつたようなことも、全然なかつたとは言えないと思います。それですから土橋さんの御指摘の事実によつて、こちらは考えたいと思つております。ただ従来徳政といつたような意味で。官吏給与があまりひどいから、この際三日の出張で済むところを四日にしておいて、一日だけごまかすというようなことが全然なかつたとは言えませんから、将来は事実に即応した出張をし、あるいは費用を使うように、われわれは監督官庁として十分気をつけて参りたいと思つております。
  17. 土橋一吉

    土橋委員 ただいま官房長官は、私があつたかもそういう官職におつたかのような錯覚と誤解を、委員諸君に与える重大な発言をされたのでありますが、まことに失礼ではございますが、私はそういう被害を受けた下級郵便官署におつたのであります。すなわち外国郵便通信事務を担当しておりたのでありまして、まのあたりそういう上級官庁職員がわれわれの現場に参りまして、きわめて不遜なる態度で、しかも横柄なる言動をもつてわれわれに対処したのを見たのでありまして、その被害者の側でありますが、そういう内容を見ないでただいまのような発言は、日ごろの御聰明さと、きわめて物事を研究的に考えておられる官房長官の言葉としては、まつたく当を失するものであります。少くとも私は吉田内閣の代表的な地位におられる官房長官が、国会議員であり、しかも数度労働問題に関して会見をしておつて、十分御承知の間柄であるにもかかわらず、ただいまのような発言をするということは、本委員会におきまする私に対する侮辱と考えております。これは官房長官が知らずして発育したならばともかく、しいてそういう印象を与えるために発言をしたというならば、委員会における重大なる官房長官責任問題であります。従いまして私はこの責任を明確にしていただきまして、さらに御質問申し上げますが、一体ひやかす考えでこういう発言をしたのか。それともほんとうに私が上級職の逓信本省なり、あるいは逓信局役人であつたということを知つてつて、そういうことを言つたのか、私は中央郵便局外国郵便課の課員だつたのであります。こういう点について、一回あなたのただいまの御発言内容について、御説明を願いたいと思います。
  18. 増田甲子七

    増田国務大臣 ただいま例を申し上げてたいへん恐縮でありましたが、土橋さんはあるいはなかつたとは存じますがと申し上げておるわけでありますから、その点御了承を願います。しかしながら大体のところを申しますと、現業官庁よりは否現業官庁の方が年度出張が多くて、現業官庁の法が年度出張は少ないと思つております。私が今申したのは、三日で済むところを四日というように、出張命令を書いてやつたことはあるのではないか。また旅費が余つて大蔵省の方に返してもしようがないというので使つてしまうということは悪例である。土橋さんにはそういうことがあつたかどうかは知らないかというように申したのでありますから、その点はあしからず御了承願いたいと思います。  なお出張中堅幹部以上でしようが、むしろそういう慰労出張等をやるならば、あまねく均霑させた方がいい。どうせこれもあまりいいことではないが、そういう点については公平をはかる必要があると思います。しかし全体として慰労出張なんかはまずすべきでない。職務出張は必要に応じて出張すべきものであると考えておりますから、従来弊風がありましたならば、将来は気をつけて参りたいと思つております。
  19. 土橋一吉

    土橋委員 ただいまの申訳的な弁解で、私もこの問題をしいて取上げようといたしませんが、事実の問題としては、先ほど後方で委員が、府県でもあるよというようにおつしやつてつたが、まつたくこれは日本肯庁制度の弊害の一つでございます。従つて、やるならば全部にやらしたいという気持もあるというような発言があることは、官房長官自身がかつて長官を勤められた当時の経験から照して、御自分が語るに落ちる態度であると思うのであります。こういうことは昔の天皇陛下においては許されたと思いますけれども、今日国民諸君が非常な税金を納めるために苦しんで、むしろ旗を立てて税務署、あるいは所轄官庁陳情をし、あるいは要請をし、あるいは税金の引下げ、修正を要求しておるただいまの時期においては、政府がそのような慰労出張を認めるとか、あるいはそういうことをやるということは、まさに職権濫用であります。いついかなる場合がありましても、そういうものを容認するかのような発言は――この速記録にもとどまつておりますし、委員諸君も聞いておられますが、重大な発言であります。もしこういうように血税が收奪されて、国民が困つている際に、そのような態度官房長官ともあろう者が、本委員会においてかかる発言をせられるということは、きわめて遺憾であります。そのようなことは絶対に認めない。特に緊急やむを得ざる監督上、事務調査上必要なものは最小限度にとどめ、あとは電話連絡なり、あるいは電報連絡なり、通牒、指令をもつて行う所存を持つているというのならば、官房長官はこの委員会におきまして、公務員諸君のために正しい意見を発表しておるということになるのでありますが、今のような発言であるならば、官房長官は、かつて自分北海道長官、あるいは福島県知事、あるいは運輸大臣であつたときと同じような状態で、国家予算を使う公務員諸君のから出張慰労出張というものを容認するものと思うのでありますが、これについて明確なる御答弁を願いたいと思います。
  20. 増田甲子七

    増田国務大臣 私は従来とかくあつたことについて申し上げた次第でありまして、これは弊風であるということは、きわめて明瞭に発言をいたしております。弊風でございますから、絶滅を期したいというつもりで、注意いたして参る所存であります。ことに旅費が相当ぜいたくに使われているという点については、私は元来不本意に思つております。地方分権ということは、政府与党の大政策の一つでもございますが、日本民主化をされて、中央集権が分散されておるにもかかわらず、非常に出張が多いのであります。また何でも陳情ということで、しかも大挙して陳情に来るのでありますが、結局それは何を使つておるかというと、府県費市町村費使つております。一面においては担税者税金が重くて困ると言つておりますが、その税金使つて、おれはあの大臣のところに行つて来た、おれはあの局長のところに行つて来たというような陳情が非常にたくさんある。私は民主化された憲法のもとにおいて、そういうことが最近においては非常に多いのではないか。従来の自分の貧しい約十五、六年にわたる役人生活を通じて、最近はことに多いのではないかと思つております。お説のごとく、通信関係を利用すれば事が済む場合もありましよう。あるいは手紙などで済む場合もありましようが、それが一々東京に行つて、おれはこうやつて来たのだというようなことで、むだをしております。地方におきましても、たとえば知事がやれば済むところを、県会議員も行く、村会議員も行く。その他有志諸君もやつて来るということで、一人で済むところを十人、二十人、多いところでは百人も来る。これらの費用はみんな税金からまかなわれております。そういうことは、今の役人の俸給が乏しいから、年度慰労出張で一種の徳政をやるというようなこととは離れますが、これも弊風でありますので、絶滅を期したいのであります。なお旅費等が相当ルーズに使われているということについては、ことに地方分権が行われて、中央集権民主化されている今日、特に気をつけて参りたいと思つております。この点は土橋国会議員もぜひ御協力を願いたいと思います。
  21. 土橋一吉

    土橋委員 人間というものは、自分立場中心にものを考えるものでありまして、私が今申し上げた点は、上級官職におる者、中央官庁におる者、監督官庁におる者が、予算範国内でから出張をして、慰労出張をして、給与の補正的な意味行つておる。これは所轄大臣も非公然で大体認めておる。こういう事実に対して官房長官はどう考えるか、こういうことを私はお尋ね申し上げた。官房長官は、自分がただいま政権をとり、そうして地方分与金なり、そういうものの配分、許可、認可というようなものを中心に、地方から上つて来る地方の府県知事なり、あるいは県議会の議長なり、こういうものについての御答弁をなさつておられます。これはいずれにいたしましても、どちらもよくありませんが、私どもは今国家公務員法審議をしておるのでございます。従つて地方公務員諸君がどういうことをおやりになるかは、官房長官といえども地方県知事地方村会県会等内容については、そうおせつかいにならない方が適当でなかろうかと私は考えておるのでございます。今のような発言をして答えるということは、まだ中央集権的な、天皇制のような気持があつて、たしなめる意味官房長官は言つておると思いますが、これは違うのでありますから、あなたもよくお慎しみ願つた方がよいと思います。ただ私は中央官庁における国家公務員が、から出張をするということについてどうか。そういう現実の事実をわれわれが摘出した場合には、これに対してどういう処分をし、どういうふうに国費を使うべきかということについて、私は明確なる所信を承つておるので、ございまして、地方公務員諸君は、官房長官といえどもこれをどうこうする権限はないと思いますので、その点について御答弁願いたいと思うのであります。
  22. 増田甲子七

    増田国務大臣 中央からの関係は、私が前会、前々会において明瞭にしばしば申し上げた通り、将来特に気をつけて、弊風絶滅を期したい、このことをさらに確言いたします。  その次に地方関係のことは、やはり地方財政各種立場からむだな消費をしないようにということは、中央でこれは国民のためにわれわれは国民にかわつていろいろ世話をやくという立場もあります、そういう立場からも私は言つておるのです。しかして中央集権というものはだんだんなくなつておる今日、どうか地方においては、何でもかでも中央に行かなければ解決がつかぬというよなことがないように期したいということを、あなたの言われたこととたまたま感想を同じくいたしますから、特にこの機会において発言した次第であります。  それから将来、実際文書偽造的なことをするというようなことがあれば、これは相当の措置をいたして参りたいと思つております。
  23. 土橋一吉

    土橋委員 この問題はこの質問だけで終りたいと思いますが、現実には実際に日本高級官僚諸君、あるいは中央官庁課長局長次官というような人は、きわめてそういう点は上手に、つまり官庁の金を自分のから出張のためにまわすことについては熟練工でございます。これは長年そういう方面に養われておる熟練工でございますので、普通のしろうとではちよつとこれに対する反駁はできないと思うのであります。しかし官庁内において下級官吏諸君がまのあたり――私もそういう経験をしばしば中央郵便局在職当時持つておりますが、こういうものに対して官房長官自身が明確な御答弁を願いませんと、そういうものは認めない。そういうことをやつたときには、どんどん摘発してくれというような御用意がございませんと、これは解決しないのでございます。その点を私は切に官房長官にお願いします。  もう一つお伺いする点は、最近各官庁次官級諸君参議院に、保守政党を名乗りまして、ただいま立候補しようというような段階にあるやに私は聞いております。特にある省におきましては、その諸君がすでにもう世間一般の世評でも、ある政党を名乗りまして、しかも保守反動政党を名乗りまして、来るべき参議院議員に立候補しようという際に、その次官自分の統轄しておりますところの人事部とか、そういうものを使いまして、官庁の組織を利用して、官庁内においてある特定の保守反動政党のために、選挙運動をしておるというような事実が顕著にあるのでございます。しかるにかかわらず、公務員諸君政治活動をすれば、これを首を切るというような、この矛盾をしている官庁の仕組みということについて、どういうふうに考えておるか、御説明願いたいと思うのであります。
  24. 増田甲子七

    増田国務大臣 お答え申し上げます。次官あるいは局長等で、来るべき参議院選挙に立候補したいという諸君は、すでに官房長官通牒をもつてやめさせております。ただ一人まだ、やめたくて辞表を出しておりますが、後任の適当な者を得られないために、本意にあらずしてとどまつておる者がございますが、しかしこれも地方出張その他はやめさせております。また人事等も非常に気をつけさせて、御指摘のような遺憾なきを期しております。これはただにわれわれは上級官吏にとどまりません。中級官吏でありましても、下級官りでありましても、いやしくも参議院議員に打つて出たいという諸君は、官吏の統制力が選挙に悪用されるというようなことなきを期するために、またそういう悪評が立つてもまずいのでございますから、できるだけ早くやむべきものである、またやめてもらいたい、こう考えておる次第であります。ただいま御指摘の、あるいはあなたの意中の人と違うかもしれませんが、その人はいわゆる保守党でもなければ、また左翼、過激党でもないのであります。
  25. 土橋一吉

    土橋委員 ただいまの点は、おそらくこれはおあいにくさまと相なると思いますが、私が考えておりますのは、あなたのお考えと別と思います。その候補者、いわゆる次官は、明らかに保守反動政党を名乗つて出ることに相なつております。世間、新聞あるいは官庁が持つておりますところの雑誌等よつて、明確に自己宣伝をし、事前の選挙運動をしております。そうしてしかも人事部長とか、そういう職員を使いまして、事もあろうに書問執務中にウィスキー等を飲みまして、下級地方局長を集めまして、選挙運動に関するような言辞を弄しておるのでございます。こういう諸君が――なるほど御指摘通りに、官房長官通牒をもつて一応とりやめだでありましようけれども、そういう政治運動をやつてつて、しかも現実地方においては、社会党の支部なり、あるいは共産党の細胞が政治活動をすると、ただちにこれを首を切る。こういうような状態について官房長官はどう考えておるか。この点をお聞きしておるのでございまして、下級官吏といえども公務員でございます。政治活動国家公務員法によつて禁じております。上級職であつても、ただこれをやめてもらうというのでは、人事院規則が許さないじやないかと思う。そういう懸念のあつた者は、調べたしただちにこれを馘首し、免職するという態度をとらないでおいて、ただやめてもらつて保守反動政党を名乗つて出ることには賛成し――今のお話によると、左翼極左主義はいない。その政党は何を指しているか、おそらく本委員会委員は全部御承知と思います。そういう政党日本にはないのであります。少くとも左翼極左主義という政党はないのであつて保守反動的な政党は、今日日本においてはたくさん残存しておるのでございまして三百有余の政党の中には数多い政党のものでございます。従つて私は町者のこの不都合な対照的な地位において、高級官僚が官庁の組織を利用し、官の金を使い、しかも保守政党を名乗つて新聞にも発表し、あるいは官庁の機関誌にも堂々とこれを載せられて、なお在職しておるということについて、なぜ人事院規則を通用して、その保守反動政党に所属しておる次官を馘首しないか。ここに問題があるのであります。そういう片手落ちをするところが、吉田内閣のいわゆる本領でなかろうか。官房長官の心中がまさにそこにあるのではなかろうかと考えますが、いかがでありましようか。
  26. 増田甲子七

    増田国務大臣 賢明なる土橋君としては、ずいぶん間違つたことをおつしやる。われわれはむしろ土橋君からほめてもらいたいくらいなんです。というのは、普通であれば、おそらく次官局長等は五月ごろまで在職したでしよう。従来そういうことをどの内閣もしておつた。これはいけないというわけで官房長官通牒を出して、大臣と人事院総裁、その他人事関係長官に私が通牒を出しまして、二月二十一日までにやめろというわけで、二十一日までにやめております。ところが一人の次官だけは――これは具体的に申してもよいのです。農林次官は、やめたいのですけれども、あとの人が得られないというわけで、不本意ながらやめないでおるのであります。しかし君は出張することもやめろ――あなたの御指摘になつた地方局長云々とおつしやるから、農林省は地方局長を持つておりませんから、これとは違うと思いますが、ひとつ具体的に論じてください。そうしたらその人の人事を、任命官庁というような関係の、全体の国政を調整するという立場がありますから、任命権者を監督するような立場から、嚴重にそういうことなきを期して行きたいと思つております。それから一般論として、官吏政治活動をすることはよろしくありません。だから政治活動のゆえをもつて淘汰されるということは、これは左翼政党であろうと右翼政党であろうと当然であろう、こう思つております。
  27. 土橋一吉

    土橋委員 そうすると、共産党の細胞が政治活動らしいビラをまいたというときに、細胞の解散を命じて馘首するという現実は、過日法務庁内あるいは地検内一部において起つたのございます。ところが現に参議院議員の候補者である次官はちやんと保守政党を名乗つておるわけでございます。そういう場合に、明確にわかつております。しかも自分が長い間――明確に名前を言つてもよろしゆうございますが……
  28. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 具体的に責任を持つて指摘された方がいいぢやないですか。
  29. 土橋一吉

    土橋委員 それでは私は明確に指摘したいと思いまするが、電気通信次官鈴木恭一君は、来るべき参議院選挙にある政党を名乗つて出られる由に、われわれは新聞でも拜見しております。ところが、本人の在職中、楠瀬人事部長がその件について地方の部長と現に相談をし、しかも私が在席し、ほぼそのような内容であろうと推定される、あるいは推測し得るような話合いをしておるのでございます。しかも晝間、電気通信省人事部長室において、ウイスキーを飲んでおるのでございます。私に飲まないかと言うから、私はウイスキーは飲めませんが、儀礼的に席にすわつたのであります。しかしこういうような態度は、私は遺憾な現象であろうと思うのでございます。こういう現実を――すでに鈴木恭一君はあらゆる雑誌等において、電気通信業務の民主化なり、あるいはあらゆる問題について論文を書いて、私たちから見れば、明らかに事前運動を展開されておるのであります。しかも今あなたが御説明くださつたような、二月の二十一日かしりませんが、とにかく一応やめておる。こういう事実についてどういうふうにあなたは考えておられるか。この点をお聞きしたいのであります。
  30. 増田甲子七

    増田国務大臣 鈴木恭一君はやめております。すでに官吏ではないのであります。
  31. 土橋一吉

    土橋委員 すでにやめましても、その以前における行動について、あなたはどういうふうにこの事実を見るか。私はまのあたりこれを見て、しかも今申し上げたように、選挙運動とどうしても常識上思われるような行勅を……(「日にちを言え」と呼ぶ者あり)日にちはあとで明確に申します。日にちという声がありまするから、あとで追つて私は日記帳を見て、明確にお話を申し上げまするが、そういうような国家の重要な地位におる中央官庁諸君が、このようなふしだらな状態におるということについて、官房長官は、すでにやめたとはいえ、なおそういう一部の諸君は現職にとどまつておるのであります。こういうのに対してどういう態度をおとりになるか。明確に御答弁を願いたいのであります。
  32. 増田甲子七

    増田国務大臣 まずその鈴木恭一君が電気通信関係について、諾雑誌その他に論文を出したということが選挙運動だとおつしやいますが、選挙に関して何か依頼文でも出せば別ですけれども、電気通信関係はついて論文を出したということは、一学究なり、一行政官として、当然とるべき態度であつて、これを選挙運動だというふうにおつしやるのは、あなたのこじつけであると私は断定せざるを得ないのであります。  それからもう一つ、役所で酒を飲んでおつたということはよろしくありませんが、その際選挙運動でもあなたは御依頼を受けたのでございましようか。
  33. 土橋一吉

    土橋委員 私は、案件が違いますから――公務員諸君の公傷による災害について、その官庁がどういう態度で公傷のめんどうを見るかという交渉に参つたのであります。そこで楠瀬人事部長は長年の知合いでもありまするので、本省転勤以来初めて私がお会いをして、敬意を表する意味で参つたのであります。ところがその部屋でしばらくの聞沈黙を守りまして、そうして他の来客もありましたが、その諸君は黙して語らず、空気は非常におかしいのでありまするから、しばらくは世間話をしておりますと、なるほどピーナツッが出る。ウィスキーがテーブルの下から出るというような状態で、今私が申し上げるような推測をせられるような話が――本委員会において説明申し上げたように、選挙運動と推測をせられるような話の内容であります。こういうようなことは、すでに鈴木恭一君が次官当時において行われておるのであります。そうすると常識上考えまして、私たちはこのような官吏に対しては、断固たる処分を官房長官はとらなければならぬというふうに考えまするが、いかがでありましようか。
  34. 増田甲子七

    増田国務大臣 とにかく晝問酒を飲んでおつたということは、これがもし事実とすればよろしくございませんから、調べます。あとは諸般の状況を総合するのに、選挙運動の話と推測せられるということは、これは責任を持つた発言としてはどうかと思う次第であります。いわゆる選挙なら選挙について依頼するという明確な意思表示がない限りは、諸般の状況を総合して、選挙運動の話があつたらしいと推測するとあなたはおつしやいましたが、そういう言葉はいかがかと思います。
  35. 土橋一吉

    土橋委員 一体官房長官は、私が申し上げたように、当時の速記録もあるわけでなし、酒を飲んでおつて、そういうような内容に該当する話をしておつたということを言つた場合に、あなたの立場としては、いずれにしましても中央官庁において鈴木恭一君が、電気通信次官の重職をにない、かつそのもとにおける人事部長が、そのような内容を常識上私には推測せられるという、きわめて穏健な言葉で申しておるのであります。そういうことをやつた場合に、あなたとしては、私が言つた内容の言葉じりをつかまえて、この委員会において、推測という言葉だからどうも答弁できないということでは、私は不満足である。まず最初の問題としましては、鈴木恭一君が、参議院議員といううわさが立たないで、しかもだれも知らないで論文を書いておれば、それはあなたの仰せの通りである。しかしながら参議院議員に立候補する、しかも保守反動政党を名乗つて立候補するということは、世間周知の事実かと思う。そういうものをどんどんお書きになつて発表せられるということは、官吏の電気通信次官という地位を利用しておやりになつているというふうに、一応私は考えるのでございます。それを邪推であるとか、それがどうもいかぬというのは、これはあなたのお考えで、私はしいては言いませんけれども、そういう態度が全部ひつくるまつて、まことに公務員として、特定の政党の利益のために、官庁の機構なり官の金を使つておるこの事実は許すべからざるものであるというふうに私は考えるのてございます。総体的にものを見ていただきませんと、ただ一部分のみをもつて今のような御答弁をくださることは、私は非常に遺憾でありまするが、今私が申し上げた質問内容全体から見て、あなたも聰明と言われる人でございますので、大体わかるはずであります。そうすると、こういう選挙運動中央官庁において行う高級官僚諸君に対しては、どういう態度を持つておるか。単に鈴木恭一君なり人事部長の問題ではございません。将来も必ず起ることでございますから、その点を特に明確にお聞きしておきたいのであります。
  36. 増田甲子七

    増田国務大臣 時間がありませんからまたごの次に――五時ごろになつたら出て参ります。そのときに場合によつたらお答えいたしますが、とにかく晝間長所で酒を飲んでおつたということはよろしくないことでありますから、嚴重に調査いたします。あとのことは、たとえばそのとき選挙運動のお話でもありましたかと言えば、私の質問に対してあなたは、諸般の状況を総合するに酒も飲んでおつたし、しかも保守反動政党にも属するのであるから、おそらく選挙の話であろうというふうに推測するとおつしやいますが、それでは困るのであります。おれが出たいらか頼むという話が、あなたでなくても、第三者同士ででもやつてつたとか何とか言われなければ、私は困ると思います。しかしながら晝間酒を飲んでおつたということはよろしくありませんから、この点は嚴重調査いたします。それからあなたの立場でわれわれの政党を見れば保守反動かもしれませんが、またわれわれの立場であなたの政党を見れば、あなたの方は反動なのでありますから、その点はよく御了解を願います。
  37. 土橋一吉

    土橋委員 人事官人事に質問する前に、私は委員長の御処置はきわめて不適当であろうと思います。まだ答弁が半ばでありまして、私はこの関連事項について明確に申し上げようと、日記を繰りながら、その日にちなり、特に個人が現在在職中でありますので、本人の身分をも考慮して、本人が私に申し述べた選挙運動の趣旨をも、私はためらつてつたのであります。そういつたことについて明確に説明する機会を与えないで、官房長官を退出させるということは、この委員会の空気を見て、委員長としてとるべきでない。やはり一分か二分は、当然これに対して委員質問を許し、官房長官の明確なる答弁をせしめて、そうしてひとまずけりがついたという、諸般の情勢を見た上で、退出を命ずるのは至当でありますけれども、今私は日記帳を調べながら、どういうことを言つたらいいかということを、日にちを調べ中であつたにもかかわらず、そういう点は委員長はなはだこの委員会の運営はまずいと思いますから、将来慎んでやつてもらいたい。
  38. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 土橋君にお答えいたしますけれども、先ほど官房長官は、三時に他に用事があるというお話でございましたので、そのことを申し上げて、あなたも官房長官に対する質問は、他は留保してこの一点だけというお話でございましたから、お許しを申し上げたし、またその応答を、しかもこれだけというお話でありましたけれども、数回にわたつてお許しをいたしておるのでございまして、十分私は委員長職務を忠実に実行いたしたと思います。しかし官房長官の御質問に対しましては、なお他に適当なときを見はからいまして、またあなたの質問ができますようにとりはからいますことは、十分にいたします。
  39. 土橋一吉

    土橋委員 私はそれでは一応了解しまして、官房長官に対するただいまの選挙運動に関する点については、次期発言を留保しまして、山下人事官にお尋ね申し上げようと思います。なお時間がただいま三時二十分余をまわつておるのでございますので、私たち党としましてもいろいろな会議を持つておりますので、しばらくの間の質問で打切つていただきまして、そうして委員諸君も一名もおりません。私だけしかおりませんので、私は五分間だけ質問をしまして本日は打切るように、委員長にはからつていただきたいと考えております。
  40. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 土橋君にお尋ねいたしますが、職階制に関しましての御質問をなお続行されるおつもりでございますか。
  41. 土橋一吉

    土橋委員 そうです。――それならばきようはだれもおりませんし、山下人事官と私だけであります。しかも委員長の三名の、この委員会としては二名の構成であります。こういう不都合な、しかも委員会としては権威のない構成を持つておりますので、本日は中止せられまして、そうして後日残余の質問については、山下人事官に御出席を願つて行うということにはからつていただきたいと思います。
  42. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 土橋君に申し上げますが、職階制に関する質問はずいぶん長い間やつておりますので、あなた一人お残りになつておるのでもりますから、できるだけ早い機会に質問だけは終局いたしたいと思つておるのです。御都合がよろしければきようひとつ質問を、山下人事官の方は御都合がよろしいようでありますので、いろいろ党のお仕事もあるのでございましようけれども、質問を続行していただきたいと思うのであります。
  43. 土橋一吉

    土橋委員 私はきよういろいろな党の仕事もありますので、なお二名の構成をもつて委員会を成立さしておるというようなことは、まことに不見識な話でございまして、他の公務員諸君を代表しておると言われている政党諸君も、多数おられるはずであります。あるいは与党の諸君もおられるのであります。特に絶対多数を持つておる与党の諸君が、委員長をおいてはほかに一名もないというような委員の構成は、まつたく本委員会の権威を失墜するものでございますから、山下人事官にはまことにお気の毒でありますが、日をかえまして、他の委員諸君が十分出られまして、そうして発意をさせていただきたいというふうに私はお願いをして、打切りたいと思うのであります。
  44. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕、
  45. 藤枝泉介

    藤枝委員長代理 速記を始めてください。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもつてお知らせすることにいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十八分散会