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1949-12-21 第7回国会 衆議院 人事委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月二十一日(水曜日)     午前十一時四十七分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 小平 久雄君 理事 高橋 權六君    理事 藤枝 泉介君 理事 成田 知巳君    理事 中曽根康弘君 理事 土橋 一吉君    理事 逢澤  寛君 理事 平川 篤雄君       池田正之輔君    岡西 門真君       丹羽 彪吉君    丸山 直友君       松澤 兼人君    川上 貫一君  出席国務大臣         内閣官房長官  増田甲子七君  委員外出席者         專  門  員 安倍 三郎君         專  門  員 中御門經民君     ————————————— 本日の会議に付した事件  国家公務員に対する臨時年末手当支給に関す  る法律案内閣提出第四号)     —————————————
  2. 星島二郎

    ○星島委員長 これより人事委員会を開会いたします。  ただいまより国家公務員に対する臨時年末手当支給に関する法律案議題として、討論に付します。討論は通告の順序によつてこれを許します。藤枝泉介君。
  3. 藤枝泉介

    藤枝委員 私は民主自由党を代表いたしまして、ただいま議題になつておりまする法律案に対し、賛成の意を表するものであります。  本法案に関しまして、昨日の委員会を通じて明らかにせられた政府の意図は、今回の給與は多分に報奨的な、賞與的な色彩を有するものでありまして、最近における職員勤務状況、並びに年末の経済事情考慮した処置であるということであります。元来公務員給與体系は、昨日松澤委員からも発育がありましたが、できるだけ簡素であるべきものでありまするけれども、賞典的な給與につきましては、別途に考慮さるべきだろうと思います。特に本年の特殊事情、すなわち画期的な行政整理行つた後の、公務員勤務状況を見まするときに、その精励に対しまして賞與的な給與をなすことは、まことに妥当なことと言わねばならぬと思うのであります。また年末におきまするわが国の特異の経済事情考慮いたしますと、公務員の目下の給與條件とにらみ合せまして、何ほどかの年末賞典的な給與をなすことが、望ましいことであろうと思うのであります。わが党といたしましても、国鉄仲裁委員会裁定ともにらみ合せまして、この問題につきまして、急遽給與対策委員会を設けまして、そうして愼重審議をいたしたのでありまするが、一面国鉄仲裁委裁定を尊重するとともに、またただいま述べましたような理由によりまして、一般公務員に対しましても三千円程度の年末賞與的な給與をなすことを、政府に強く要望いたしたのでありまして、これに応じまして政府の最大限の努力が、この法律案に現われて来たものと考えておるのであります。もちろん安定経済の基盤となりまするところの、均衡予算実質をくずすということは許されないことでありまして、従つてかような給與は多々ますます弁ずではありまけれども、この均衡予算実質をくずさないという限度において、すなわち本年度予算の許し得る最大の限度におきまして、支給考慮しなければならぬと思うのでありまして、かような観点から見まして、今回の年末手当支給は確かに時宜を得た処置考えるのでありまして、私は全面的に賛意を表するとともに、本法案が成立いたしましたあかつきは、一日も早く実際の支給が行われるように、政府に迅速なる処置を要望して、私の討論を終るものであります。
  4. 星島二郎

    ○星島委員長 成田知巳君。
  5. 成田知巳

    成田委員 日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されております法案に対して、全面的に反対意見を申し述べます。  ただいま民自党の方からも御意見がありまして、年末賞與で報奨的なものだから賛成だという御意見があつたのでありますが、社会党といたしましては、報奨的な年末手当を出すことは現在年末に迫りまして生活苦に悩んでおる国家公務員のことを考えますと、反対ではございません。しかしながらその前提といたしまして、十二月四日人事院から勧告されましたところの賃金ベース改訂が当然行わるべきでありまして、この改訂が行われた上の年末賞與としてならば賛成でございますが、この改訂を行わずに年末賞與、年末手当という形で、この改訂をすりかえんとしておる今回の法案のねらいに対して、私どもは絶対に賛成するわけには行かないのであります。当委員会大蔵大臣だとか、あるいは増田官房長官ベース改訂に対する反対理由といたしまして、第一には減税その他の政府施策によつて実質賃金向上するという見通しに立つておられるようでありますが、はたして減税が行われるかどうかということは、少くとも勤労所得税について考えますと、非常な疑問があるわけでありまして、今回のシヤウプ税制改革案によるところの勤労所得税考えてみますると、形式的には一応減税になつておりまするが、実質的にはむしろ増税になつておるという点が多々あるわけであります。と申しますのは、昨年七月と本年七月の物価を比較して見ますると、貨幣価値において大体五割減になつておる。従つて昨年一万円の所得のあつた人は、ことしの七月は一万五千円の所得となるわけでありますが、独身者月一万円の現行の所得税は千六百四十五円であります。改正案でありますと千五百五十八円になつておりますから、形式的には八十十円の減税になつておりますが、貨幣価値の減を考慮に入れまして、一万五千円として改正税率を適用すると、税金は三千百四十一円となつて実質的には千六百八十三円の増税となつております。その他地方税増税ということも考えますと、減税ということも考えられない。さらにまた主食の値上り電力料金値上り地代家賃値上り等考えますと、賃金実質的な向上ということは一場の夢でありまして、賃金実質的に切下げられると、こう考えるのが妥当であると考えるのであります。さらにまた一歩譲りまして、昨日の委員会でも申しましたが、実質賃金向上するといたしましても、今回の人事院勧告を見ますると、賃金ース改訂の二大理由といたしまして、物価騰貴民間給與の不均衡、はなはだしいアンバランスを指摘しているのでありまして、民間給與との関係考えますと、たとい実質賃金向上があつたといたしましても、人事院勧告は当然受入れらるべぎでありまして、この点を無視して改訂を行わないという政府態度に対して、私たちは絶対賛成するわけには行かないのであります。また賃金ベース改訂意思なしという政府の第二の理由といたしまして、最近物価横ばい状態になつているけれども、インフレの再発の危険はなしとしない。賃金ベース改訂をやると、民間給與影響を及ぼし、賃金物価悪循環を来して、インフレ再班の危険があるから、均衡予算の建前から、賃金ベース改訂は行わないという政府の御意見でありますが、この政府の見解も、経済の動き、現在の日本経済状態見通しを、誤つていると言わざるを得ないのでありまして、現に昨年六千三百七円ベース引上げたときでも、民間賃金ベースには何等影響はなかつた物価には影響はなかつた。昨年のインフレ上昇期においてさえ、絵與ース改訂は、何ら賃金物価悪循環を来していないのでありまして、現在すでに政府デイス・インフレと言つておりますが、深刻なる安定恐慌時代、デフレーシヨンを現出しておりますところの今日におきまして、賃金ース改訂賃金物価悪循環を来すということは、とうてい想像かできないのでありまして、こういう覧点から考えますと、政府賃金ベース改訂意思なしとするその根拠については、何ら合理的なものを発見することができないのであります。特にさらに今度の年末賞與は、たつた二千九百二十円ばかりの、すずめの涙ほどのものでありまして、これに対して減税措置、あるいは税金分割拙いというようなものも、何ら考慮されてないということになります、私たちはこの法案に対して絶対賛成するわけには参りません。  以上の理由をもつて社会党は絶対反対意思を表明する次第であります。
  6. 星島二郎

    ○星島委員長 中曽根康弘君。
  7. 中曽根康弘

    中曽根委員 私は民主党を代表いたしまして、本法案に対して絶対反対の意を表するものであります。  御承知のように昭和二十四年十一月四日に、人事院総裁から衆議院議長参議院議長及び内閣総理大臣に対して、給與ベース改訂に関する報告勧告が出ております。この報告並びに勧告の内容は、要するにベース改訂しろ、生計費指数その他において三割近くの上昇を示しているから、当然べース改訂さるべきであるという勧告であります。しかるに政府が提出した国家公務員に対する臨時年末手当支給に関する法律案なるものを読んでみますと、これはベース改訂ではない。しかも提案理由を読んでみると、臨時年末手当支給する必要かある。こういうふうに書いてあるだけです。私はこの両者を見た場合に、最初はこれは公務員に対してプフス・アルフアでボーナスでくれてやるのだ。ベース改訂はさらに別個に考慮して出してくれるのだ、こういうふうに解釈しておつた民事自党はなかなか味なことをやると思つてつた。ところが政府説明を聞くと、年末手当支給というものが、実は勧告に対する応答であるというふうに解釈される。これは実に心外にたえないこころなのであります。  御存じのように国家公務員法が制定されたのは、これは国家公務員に対して労働運動上の重大な制限を加える。しかしそのかわり人事院という中立的な、専門的な機関をつくつて国家公務員生活を保護してやるという趣旨であつた従つて労働運動制限が加えられた。その反面において保護を加られなければならぬことは、理の当然であります。しかも三割近くの生計費上昇を見るのでありますから、客観的に見ても、べース改訂は当然しかるべきでなければならない。それがこのような年末手当という涙金によつて糊塗しようという態度は、私は国家公務員権利義務に対する非常な侵害であると考えるのであります。元来議会主義というものを奉じている限りにおいては、われわれは本質上尊重しなければならぬ、しかし吉田内閣が最近やつている政策というものを見ると、きわめて議会を無視した、みずから法治国家たることを放棄するような政策をやつておる。これがすでに国家公務員に対する年末手当の問題に出ているし、最近においては食確法ポ政令によつて制定する——議会の開会中政令によつて制憲して、しかもそれを実施する緊急の必要かあるかと思えばそうではない、今年はやらぬと言う。こういう議会を無視した独裁政府的な様相を呈している。こういう状況を見て、私は一面において国家公務員生活を保護する緊迫な事態を、われわれは考えなければならぬと同時に、このような法秩序を無視する吉田独裁政府のやり方に対して、超党派的に国会権威にかけて、われわれの権限は守らなければならないと考えるのであります。  もう一つここで申し上げなければならないのは、大蔵大臣の労働問題に対する考え方であります。過般来国鉄仲裁委員会におきまして仲裁案が提示された。また最近におきましては国家公務員に対する勧告案が提示された。これらの問題は内閣補正予算編成するときに、当然出て来ることを予想しなければならぬ問題であつた。しかるにあの補正予算編成するときに、閣議においてごのべースの問題なり、国鉄賃金の問題なりが論議されたということは、私はあまり知らない。労働攻勢が熾烈になつて、あわてふためいて関係方面に陳情やら愁訴嘆願をしておるということは知つておりますけれども、あの補正予算の基礎をつくるときに、一日とか二日とか三日とか、この問題で労働大臣がんばつたとか、官房長官が親心を示したという事実を知らない。それは労働問題あるいは賃金問題なんかは、もうドツジ・ラインの名に隠れてこれを放棄できるのだ。こういう労働者生活を軽視した根本的な性格から来ているだろうと思うのであります。  また人事院そのものについても、かつて吉田総理あるいは増田官房長官から、国警長官簡單に首にしようと思つたり、内閣の中にあるのだから自分ができる、こういうある先入観をもつてつたのが、あの通り大失態を演じた。それと同時に人事院というものも内閣の機構にあるのだから。簡單にやれるだろう。こういう人事院を軽視した考えをもつてやられたのだろうと思う。こういう点、私は現内閣態度をはなはだ遺憾とする。特にこの問題に関しては補正予算編成のときに何らの考慮が行あれなかつた。今になつてあわてふためいたという事実を強く指摘するものでありますが、このことは来年度予算編成、来年度予算單価の算定に関しては、さらに現内閣に強く警告をしなければならない問題であります。この理由をもつて私は本案に対して絶対的な反対を表明するのであります。さらにつけ加えて、私はわれわれの考えを強く要望したいと思うのでありますが、その第一は、来年度ースの問題であります。来年度ベースの問題については、いよいよ来年度一般会計特別会計予算編成をやられておるときであります。ともかく本年度においてすら三割くらいの上昇を示している。来年度における国民所得工業生産活動は、われわれの聞いた範囲においては、やや上昇を示すということを言つておる。やや上昇を示すということを、この均衡予算でやるということになると、やはりある程度物価騰貴というものは否定できない。のみならず補給金撤廃政策をやろうというのですから、公定価格上昇は免れない。しかも官公吏というのは、配給による部分が非常に多いのですから、結局公定価格上昇による被害を一番かぶる層なのであります。こういう面から見ても、来年度ース改訂というものは必至である。内閣が来年度予算編成するに際しては、この点に関して深甚なる注目と考慮を煩わしたいと思います。ドツジ原則によつて均衡予算だから金がない。こう言われるかもしれませんが、七百億の債務償還を一部繰延べてもいい。債務償還ということはデフレ政策であつて、必ずしもデイス・インフレを強調するものではないのでありますから、そういう点について填重なる考慮を煩わしたいのであります。  第一には、一般国家公務員がこの程度のものによつてすずめの涙をもらうのでありますが、もう一つ考えなければならぬのは、地方公共団体職員の問題であります。これらについても当然一般会計かちある程度補給がなされなければ、地方団体地方財政は今や破滅に瀕しているので、地方団体はやつて行けない。従つて中央政府において、また一般会計あるいは特別会計において、しかるべき考慮が当然拂われなければならないということを申し上げたいのであります。  最後に年末調整の問題でありますが、この問題に関して、実はこのようなすずめの涙のような金だけでは、とてもやつて行けない。そこで野党各派が連合して、この年末調整税金分割拂いにしてくれ、あるいは本年度免税にしてくれ、こういう要望を出して、本委員会において実は決議案を出そうとした。しかし與党反対によつてこれはできない。あの本会議において民主自由党、御承知通り国鉄裁定に対してはできるだけ尊重しろという決議案をみずから出している。しからばこの委員会においても当然それらの行為は、われわれと同調しなければならぬと思うのですが、それをこの委員会に限つてやらぬ。これば前後撞着もはなはだしいと思います。われわれの考えはあくまで正しいと信じております。よつて政府において、本年度年末調整分割拂い、あるいは免税という点について、可及的すみやかに措置を講ぜられんことを要望いたします。  以上申し上げて、私は本案に対して反対の意を表明するものであります。
  8. 星島二郎

    ○星島委員長 土橋一吉君。
  9. 土橋一吉

    土橋委員 私は共産党を代表いたしまして、ただいま上程されております国家公務員に対する臨時年末手当支給に関する法律案につきまして、反対意見を表明するものであります。その根本的な原因は、国家公務員国家公務員法の制定によりまして、団体交渉ないし罷業権制限あるいは禁止という條項があることは、明らかにその生活が擁護せられ、公務員諸君給與に関する問題は、国家公務員法が明記いたしておりますように、第二條あるいは第二十八條等によりまして、当然人事院がこれを科学的に検討して、政府なり国会に対する勧告なり、あるいは具申なり、その他の方法によつて給與の改善がはかられることが至当でありますが、さらに政府職員の新給與実施に関する法律の第九條の條項に照しましても、当然そのような処置は、人事院が総括的に統裁しているのであります。しかるにもかかわらず府政が人事院と何らの協定もなく、相談もなくして、一方的にこのような年末手当支給に関する問題を上程するということにつきましては、明らかに私は国家公務員に対する給與に関して、二つの大きな頭からこの問題を処理しようとしていることで、この吉田政府の根本的な誤りにつきまして、まずわれわれは反対しなければならぬと思うのであります。公務員諸君の登録の問題なり、政治活動制限に関する問題なり、あるいはその他の制限につきましては、政府はこれに対しまして絶大なる賛意を表しながら、給與改訂に関するどころの勧告を、人事院はすでに十二月二日にこれを発したのであります。しかるに政府は、いまだ人事院勧告に対するこの九千七百円ベース引上げについては、何ら考慮することなく、しかもただいま昭和二十五年度予算編成中でありますにかかわらず、こういう問題については少しもこれを取上げないのであります。取上げないのみならず、国鉄仲裁裁定書をあぐりまして、ただいまのような赤字の累積なり、生活の困窮ということが明瞭になりまするや、政府人事院と無関係に、ただいまのような法律案を上程いたしまして、そうして公務員諸君給與をせんとするのであります。この公務員諸君給與をせんとすること自身につきましては、われわれはあえて反対をいたしませんが、しかしながら政府態度人事院の九千七百円ベース引上げ勧告に対しまして、この臨時年末手当をもつてすりかえんとしておる。この態度について私は反対するのであります。さて人事院が少くとも国家公務員法によりまして、政府勧告なり国会勧告する場合には、常にその勧告を尊重しなければならないことは、言をまたないのであります。しかるにもかかわらず、今日すでに三週間程度をけみしますにもかかわりませず、何ら人事院勧告については政府は具体的な措置を講じておりません。従いましてこういう観点におきまして、私たち吉田政府の今までの政策をながめて参りますと、労働階級にとりましては常に低賃金政策を強要いたしまして、また一方におきましては低米価政策を強要いたしまして、外国資本の導入に対しまして、きわめて容易な態勢をとると同時に、日本勤労階級を非常な苦しみに陥れておるのであります。これは低賃金政策のみならず、今日まで吉田政府がとつておりまする諸般の政策を見ますと、たとえば食糧確保臨時措置法における態度、あるいは外国貿易及び外国為替に関する管理等法律を見ましても、日本のあらゆる産業に対しまして、外国資本がとうとうとして入つて参りまして、そのもとに日本勤労階級が常に低賃金に泣かされ、しかも罷業権団体交渉権などが制限あるいは禁止をせられまして、そうして一部の国際資本に何諛迎合するところの、日本独占金融資本の擁護を期するような政策を、多々行つて来たのであります。現に昨日の新聞であつた思いますが、わが国小麦協定に参加しておりませんが、この小麦協定に今年は参加することが可能であるというような情報も、新聞が伝えておるのであります。そういたしますと、日本食糧生産等に関する問題につきましても、農家にとりましては非常な問題であります。こういう政策を逐次行いまして、そうして特定の国家に依存をする。しかしわれわれは全面講和を念願いたしておりますが、その線に反対をいたしまして、單独講和の線をも出そうとするようなことを積み重ねておる。その一端が年末給與にも現われておるのであります。こういう観点から、われわれはただいまの政府法律案につきましては、反対意見を表明するものであります。  第二点といたしましては、九千七百円べスにつきましても、昨日の政府説明によりますと、今年四月を基準として説明しておりますが、この六千三百七円ベース改訂は、昨年の七月の生計費なり、あるいは全国工業労働者の平均の賃金から算定いたしまして、そうして十二月当初において、七月の場合から考えて当然六千三百七円ベース支給が至当である。こういう観点から昨年の十二月にこの点が決定したのであります。ところが政府予算二百六十五億のうちからこれを分割いたしまして、当初は三箇月の予定でありましたが、これを四箇月といたしました関係上、これが非常に公務員諸君にとりましては不幸な現象となつたのであります。かてて加えまして年末調整ということをやりまして、公務員のある者は二十年勤続で百三十五円、ある者は十数円を頂戴したという不幸な結果を見たのでありまして、四月から六千三百七円が完全実施なつた。こういうことを説明しておりますが、これは根本的な誤りでありまして、当時人事院勧告いたしました精神は七月当初において少くとも二千四百円程度成年男子生計費が必要である。こういう観点から出されましてそうして四月におきましては第五回国会におきまして、政府が御承知のように郵便料金は五割上げ、鉄道料金もさらに六割上げ、その他諸物価を上げました関係上、当然当時におきまして六千三百七円べースでは食べて行けない状況であつたのであります。こういう基準を今日何ら顧みることなく、政府は得々として説明されております。われわれはこの意味合におきましても、現在の六千三百七円ベースというものは、明らかに労働者が食べて行けない。労働力生産ができない賃金であることを確認しておるのであります。これは一般工場労働者におきましても、あるいは商業等を営んでおります従業員諸君にいたしましても、当然今日給與ペース引上げられておるのでありますから、今日におきましては二割ないし三割の低賃金であることは、万人ひとしく認めておるのであります。それにもかかわりませず、政府が将来行うであろうところのいわゆる安定政策、あるいはその他の政策によりまして、当然物価横ばいをするというような期待的な説明によつて賃金ベース引上げを阻止しておるのであります。吉田政府は、第一項に私が申し述べましたような日本勤労階級を犠牲にして、そうして勤労階級賃金引上げなり、あるいは年末賞與等に対しまじては、ただちに経済原則を出してみたり、あるいは賃金原則を出してみまして、常に押えておる。こういう態度は、われわれは一部の資本家諸君のために、国の政治を担当しておる吉田政府本質を現わしておると思うのであります。こういう観点から、給與ース引上げは、少くともただいまの人事院勧告しておりまするこの程度最小限度として、政府人事院権威国家公務員法の命ずるところによりまして、支給するのが当然でありまして、われわれは国鉄労働組合が要求せられております九千七百円ベース引上げということにつきましては、賛成をしておりまして、この程度に相なることが絶対必要である。こういう観点からただいま上程されておりまする法律もさることでありますが、給與ベース引上げということは、将来大きな課題といたしまして、私は議員各位がこの問題について真劍にお考えおき願いたいということを希望するのであります。  次に第三点といたしましては、超過勤務手当でございます。この問題については去る第六回国会最終日に、全部の諸君賛成を得まして、決議をされておりますが、いまだにその支給が各官庁においては完全に支給されていないのであります。当然これは政府支拂うべきものを支拂わないのであります。これは今年四月以来、政府かあらゆる業者に対しまして支拂いの遅延をいたし、あるいは未拂い等をいたしまして、この結果国会においても政府支拂促進委員会というようなまことにわれわれ国会議員といたしましては想像もできないような委員会がつくられたのでありますが、その線と同様に超過勤務手当につきましても、現在われわれが知る範囲におきましては、いまだに拂つていないのであります。これも給與に関する大きな問題でありますので、こういう点すら政府が今日サボタージユをいたしておりまする点からかんがみまじて、このようなものは論をまたず支給すべきである、かように考えておるのであります。  次は税金の問題でありますが、昨年の例からかんがみまして、われわれは年末調整ということは、できるならばこれは廃止をしてもらいまして、そうして政府が出されました平均三千一円、公務員につきましては二千九百二十円でありますが、そういうものを敢然として出していただけるような態勢を政府がとるべきだ、かように考えておるのであります。ところがいろいろ伺つてみますと、どうしても税法は曲げられない。ただ具体的な問題において、そういうことをなし得るであろうというような御説明でもあつたのでありますが、われわれの経験によりますと、実際問題としてはそういうことはできないのであります。それは年末調整は源泉課税でありますから、どうしても政府の方から月給を頂戴する前に引かなければならぬという指令が出なくても、これは当然引かれるのでありますので、そういたしますと現在出されておりますわくというものが、最高は五千円を越えることはできませんので、どうしてもこれは年末調整をとられ、従業員諸君といたしましては、実際問題として何らの恩典に浴することができないのであります。こういう不都合な年末調整等がございますので、われわれはこの点からもこの年末手当がきわめて不十分なものであるということを考えておるのであります。この点からわれわれはさらに反対をするものであります。  第四点といたしましては、吉田政府がこの低賃金政策を継続する限り、日本勤労階級を中心とする生産の復興、祖国の再建、さらに文化国家となり得るといういうな、憲法が明記しておりまする重大な全人民的な課題は逐次崩壊をいたしまして、そしてかつての台湾国なり、かつての朝鮮国と同じように、外国資本のもとに日本全体の人民が苦しんで来るというような、きわめて不幸な現象か現われつつあるのであります。こういう現象につきましては、日本共産党はまつこうから反対をして、この低賃金政策を打破りまして、働いておる者が仕合せになるような、働く者こそ祖国再建の重大なにない手でありますので、そういう諸君生活向上のために、この財政の問題も、また政治の問題も、それを中心として取上げられるような政治を要望してやまないのであります。こういう観点から吉田政府はすみやかにこの年末手当をめぐりましても、この政策のきわめて貧弱であると同時に、一部の資本家を擁護するような誤つた政策は、すみやかに打倒しなければならない、こういう観点を持つておるのであります。かかる観点からわれわれはこの法律案につきましては、絶対反対意見を表明して、将来給與ベース引上げにつきましては、なお一層全野党が一致いたしまして、この問題を実現するために、また公務員諸君生活を守り、国家公務員法に命ずるところの根本的な精神を、われわれは少くともある程度は生かさなければならぬ、かように考えるのでございます。
  10. 星島二郎

    ○星島委員長 逢澤寛君。
  11. 逢澤寛

    ○逢澤委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま提案になつております臨時年末手当支給に関する問題に対しまして、賛成意見を申し上げるものであります。ただその額におきましては、いま少しく公務員諸君の要望に沿いたいと思うておるのでありまするが、先ほど来官房長官からいろいろ意見を拝承いたしまして、現下のわが国の課せられておるところの経済原則など、また国民全体の経済生活などの点のお話を拝承いたしましてこの額もまたやむを得ないと存じて、賛成をするものであります。  ただ政府におきましても、公務員諸君の窮状はよく了承して、それがゆえにそれぞれの方面にも非常な努力を拂われましてここに至つた。こういうお話でありましたが、そういうような意味合いにおきましても、私どもはでき得るならばこの際課税だけは免除していただきたい、こういう希望を持つております。ところがいろいろ調査いたして見ますと、どうも課税を免除するということは行きにくいということが判明いたしましたので、そこでその代案といたしまして、たいへん手数のかかることではありまするが、この際に限りまして、せめて分割拂いの適用でもすることかできまするならば、仕合せだと考えております。これだけを付しまして、私は本案賛成をいたします。
  12. 星島二郎

    ○星島委員長 平川篤雄君。
  13. 平川篤雄

    ○平川委員 私は新政治議会を代表いたしまして、ただいま御提案になつております臨時年末手当法律案に対しまして、反対意見を表明するものであります。  先ほど與党の委員から「賞與的な支給というものは必要であるというようなお話があつたのでありますが、私は大体この賞與的な性質の給與考えるべきでないという立場をもつて、前々国会に提案をせられました六千三百七円べース法律に対して、賛成をいたしたものであります。昨夜をもつて打切られましたハンストでありますが、あのハンズトの状況考えて見ますときに一体命がけで賞與的のものを要求するというようなことはできない。町を歩いてみまして、例のクリスマスやあるいはお正月を控えて、非常に競争状態を呈しておるのでありますが、これはむしろ非常な悲惨な感じを私どもは受けざるを得ない。しかもその町の一角には、命がけでハンストをしておるという風景は、凄愴な感じを抱かしめるのであります。かような状況を目の前に控えながら、依然わずかな恩恵的なものを與えなければならないというような感覚を、もし政府並びに與党諸君がお持ちになつておるとすれば、これは非常な間違いであると私は思わざるを得ないのであります。そもそもこのような追い詰められた合法的争議方法によつてやらなければならないというようなふうになつておりますのは、累積いたしました生活費の不足という問題でありまして、そういう点では、政府のこの提案理由を見ましても、その経済事情考慮するとか、あるいは仄聞するところによりますと、国鉄裁定の問題については、與党諸君の方から、何か附帯降順が出るそうでありますが、公務員給與一般より低いようだから善処せよ、というようなことが出るどいうことを聞いておるのでありまするが、さようなふうに、すでにもう認めておいでになる問題であります。そういうような観点から考えますと、当然組合の一部にとなえられております二箇月分くらいの支給というのが、私はやはり妥当であるというふうに考えるのであります。しかし金額はともかくといたしまして、ただいまも申しましたように、ともかくもこの事態に対する政府並びに與党の見方というものに、非常な誤りがあると私は考えざるを得ないのであります。  さらに、この均衡予算をくずさない程度においてやるというようなことを言つておられるのでありますがなおそ一れに関連して、私先般来非常に苦々しく思いましたのは、野党のこの方面についての討論に際しまして、しばしば運賃値上げになぜお前たち反対したというやじが飛ぶのであります。これは野党としてはちつとも痛痒を感じない。大体不思議なのは、この間補正予算が出たばかりであります。しかも切詰めて詰めて、大事なものまで落したのであるという説明がせられておりますにもかかわらず、わずかな日しかたたないのに、もう事務費の節約とか何とかいうことをやれば、これだけの財源が捻出できるというようなことこそ、これは国民が最も不可解な、納得できないことであつて、さようなずさんな予算を提出いたしておるいうことは、私は政府としては非常に大きな責任であると考えるのであります。むしろさような、運賃値上げにお前たちはなぜ反対したかというような、何といひますか、軽蔑のつもりで言われるのでありましようけれども、これは反対にお返ししなければならない。また薪炭需給調節なんかの問題につきましても、三十億ばかりは、いわゆる生産にも何にも影響のないところの、かえつて今までの失政の罪悪を補うような三十億ばかりの金が出ている。さようなむりをする金がありますならばこの重大な労働の問題につきまして政府政治的に考慮することは、何らむずかしいことではなかつたろうと想像せられるのであります。さような点から考えまして、この予算の範囲というようなことは、まつたく言いのがれでありまして、さようなことを今ばたばた言わなければならないような、やはり政府一般労働情勢に対する感覚のあり方というものに、私どもは非常な疑問を抱くものであります。そのような点を考慮いたしますときに、しばしば野党の方から聞きましたベース改訂についての政府意見でありますが、私どもは一沫の不安を持つのであります。確かに今までの言明によりますれぼ、人事院勧告に従つたベース改訂は行われないだろうというような気がいたしますが、これは何としてもやつてもらわなければいけない。これをやらないでそのような恩恵的な三千円に足らざる賞典をもつてすりかえたということであるならば、これはただ政府の事態に対する認識の足らざるところを現わすだけでなしに、一層わが国の労働問題に対して不側の状態が生じて来るのではないかということを、私どもは最も憂えておるのであります。昨夜なんか御承知のように非番に険悪な事態がございまして、野党の方面ではこれをなだめるのに何としたものであろうかというような相談さえ、夜に入つて行つたような事実もある。そのようなことを考えていただきまして、絶対にベース改訂というものへ持つてつてもらわなければならないと思う。さらにたびたび各委員から申されましたように、税金分割拂いの点につきましても、かくなりました以上は、政府の自発的な善処を強く要望せざるを得ないわけであります。かような二点を要望いたしまして、私は今申しましたような理由によつて、絶対に不賛成の意を表するのであります。
  14. 星島二郎

    ○星島委員長 これにて討論は終局いたしました。採決に入る前に委員長といたしまして、政府の所見をただしたいことがあります。今回の処置によりまして、不満足ではありますけれども、この年末に相当の給與のあることは喜ばしいのでありますが、それにいたしましても税が非帶に高いので、せつかくの喜びを減殺するような趣がありますので、全免したいことはもちろんでありますが、全免は税の体系を乱るものとしてむずかしいことと思いますが、何か徴税に対しまして手心を加えていただくわけにはいかぬでしようか。政府の所見をただしたいと思います。
  15. 増田甲子七

    ○増田國務大臣 今回の年末手当は、普道の收入にプラスした収入になるものでありますから、税率はいきおい高くなる次第でございます。この点何とかいたしまして、税負担をあるいは将来に遅らすとかいうようなことについて、委員長の御希望は委員の皆さんの代表的の御希望のように拝聽いたしましたから、政府においてもせつかく研究いたしたいと思つておる次第でございます。但しなかなか税法の改正というような問題もございまして、めんどうではないか。幾分でも何らかの方法によつて、税負担を来月にずらせるというようなことを、研究してみたいと考えておる次第でざずいます。
  16. 星島二郎

    ○星島委員長 引続き本案議題として採決を行います。本案賛成諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  17. 星島二郎

    ○星島委員長 起立多数。よつて本案は原案の通り可決いたしました。  この際お諮りいたします。衆議院規則第八十六條によりまする本案に関する委員会報告書は、先例によりまして委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長に御一任をいただくものと決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時三十五分散会