運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1949-12-07 第7回国会 衆議院 人事委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十四年十二月七日(水曜日)     午後二時三十七分開議  出席委員    委員長 星島 二郎君    理事 小平 久雄君 理事 高橋 權六君    理事 吉武 惠市君 理事 赤松  勇君    理事 中曽根康弘君 理事 加藤  充君    理事 木村 俊夫君       岡西 明貞君    柳澤 義男君       成田 知巳君    園田  直君  出席政府委員         人  事  官 山下 興家君         (給與局長)         人事院事務官  瀧本 忠男君         (法制局長)         人事院事務官  岡部 史郎君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君         専  門  員 中御門經民君 十二月七日  委員松澤兼人君辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長の指名で委員に選任された。 同日  理事池見茂隆君の補欠として高橋權六君理事  に当選した。     —————————————   本日の会議に付した事件  理事の互選  公聽会開会に関する件  国家公務員給與額及び勤務地手当に関する報  告並び改訂に関する勧告についての説明聴取     —————————————
  2. 星島二郎

    ○星島委員長 これより人事委員会を開会いたします。  議事に入る前にお知らせすることがございます。去る四日の委員会におきまして、当委員会より承認を要求いたしました国家公務員給與並び人事行政に関する国政調査の件、及び国家公務員職階制についての公聴会開会の件は、いずれも同日議長より承認を得ました。また本日松沢兼人君が委員を辞任せられ、成田知巳君が新たに委員となられました。以上お知せしておきます。     —————————————
  3. 星島二郎

    ○星島委員長 ただいまより国家公務員職階制に関する法律案を議題といたします。前に申し上げました通り本案に関し公聴会を開会することにつきましては、議長承認を得ましたので、この際正式に日時その他につきましてお諮りいたします。  先刻の申合せ通り公聴会を開く日時は十二月十七日午前十時とし、意見を聞く問題は、国家公務員職階制についてといたしたいと思いますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。よつてさよう決定いたしました。議長にはこの旨を委員長より報告いたしておきます。また日時及び案件の公示及び公告につきましては、委員長においてさつそくその手続をとらせることにいたします。なお公述人の選定につきましては、後日の委員会におきまして、申出のあつた者及び学識経験者の中から選定することにいたします。
  5. 中曽根康弘

    中曽根委員 職階制公聴会に関して、ちよつとお伺いいたしたいことがあるのであります。この前の議会の終りぎわに、例の公務員試験制度について証人喚問をやつていただきたい。それについてはこの委員会の御同意を得たのでありますが、そちらの方がどうも先議になるべきものだろうと私は考えるのであります。従つてこの公聴会の中に、試験に関する要素も含まれるのかどうか。その点を委員長にお伺いいたしたいと思うのであります。
  6. 星島二郎

    ○星島委員長 職階制の中に、広義に言えるならば含むものと認めて、御期待に沿うようにいたしたいと思います。     —————————————
  7. 星島二郎

    ○星島委員長 ただいまより去る四日国会及び内閣に提出されました国家公務員給與額及び勤務地手当に関する報告並び改訂に関する勧告につきまして、政府当局よわ説明を聴扱いたします。山下人事官
  8. 山下興家

    山下(興)政府委員 きようは実は総裁が参るはずなのでございます。ところが病気であるので出席できるかできないかということついて、いろいろ相談したのでありますが、できるだけここに出席したいという話なので、少し遅れるかもしれません。私から説明いたします。  ただいま話のありました新給與案勧告について御報告を申し上げたいと思います。人事院は、国家公務員法の第二十八條と、それから政府職員の新給與実施に関する法律第二條の規定によりまして、本月四日国会内閣に対し報告をいたしますとともに、給與ベース改訂勧告をいたしたのであります。これは独身成年男子に対します標準生計費が、昨年七月の二千四百七十円からだんだん上昇いたしまして、本年の七月現在におきましては三千六百六円と相なりました。その結果、従来の給與では政府職員生活は次第に困難の度を増しましたし、また民間給與との不均衡が生じましたので、ここにその是正をはかつた次第でございます。標準生計費算出基礎といたしましては、経済安定本部立案昭和二十四年ないし二十五年度食糧需給計画に基きまして、国民一人あたり攝取栄養量を一千八百九十四カロリーといたしました。これを基礎として厚生省栄養調査によつて攝取項目とその量をきめました。それに消費者価格調査実効価格をかけ合せまして、食糧費を見出したのであります。またそのほかに消費者価格調査から得ました被服費だとか、住居費光熱費雑費などをこれに加えまして、勤務地手当が必要でない地域にそれを換算しまして見出したものが、この標準生計費であります。その金額は三千六百六円と相なつたのであります。  次に民間給與調査をいたしましたところが、それは官庁職員とほとんど同様な職務内容を持つております職員について取調べたのでありますが、それを一級ないし十四級に分類しまして、その級別平均額を見出したのであります。それでその十四級の俸給額二万百九十八円というのを、官庁職員の十四級六号と定めたのであります。またさきに見出しました三千六百六円を二級一号と定めました。その中間を等比級数で結んで、そうしてそれを一号ないし七十号の俸給額に刻んだのであります。勤務地手当に関しましては、本年五月特に三百八十一部市に対して調査をいたしました特別消費物価価格調査などによりまして研究をいたしましたが、その率は近来物資の輸送が改善されましたので、それによつて価格地域差が次第に縮まつて参りました。その結果勤務地手当の率は、今までの三割、二割、一割、ゼロというのを二割、一割五分、一割、五分、ゼロということに改正する必要を認めたのであります。扶養手当は、その性質から申しましても、また民間給與調査の結果に現われました結果から申しましても、現行通りで変更する必要がないと考えております。  以上申しましたことがこの概略でございますが、本案が実施されますと、ようやく政府職員給與民間給與との権衡がとれることとなるのであります。この程度の給與の増額でありますと、民間給與のつり上げとなるおそれもございませんし、また物価に影響を及ぼす心配もないものと信じております。  以上申し述べましたような次第でございますから、どうか御審議くださいまして、できるだけすみやかに本案が実行に移されて、公務員の待遇が一日も早く改善せられるようになることを切望する次第でございます。
  9. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 ただいま山下人事官から大略の御説明がございましたが、実際その衝に当りました給與局長といたしまして、本案をもう少し詳細に御説明申し上げたいと存じております。新給與水準といいますか、今回の勧告を作成いたしまする基礎は、ただいま人事官からお話がございましたように、直接には本年の四月に人事院がみずから行いました民間給與実態調査というものであります。この民間給與実態調査と、それから二十四年の七月から二十五年の六月に至る間の食糧需給計画に基きまする国民一人当り栄養攝取可能量、すなわち千八百九十四カロリーという数字、そうしてこの数字によりましていわゆるマーケツト・バスケツトというものをつくつたのでありますが、それをつくるにつきましては、厚生省栄養調査というものを参照いたしております。なお地域によりまする生計費差等というものが、昨年に比べまして大都市地方小都市あるいは町村というようなところの生計費差等というものが減少しつつあつたのでありまするが、われわれはその的確な資料といたしまして、本年の五月に総理庁統計局において行われました特別消費者価格調査というものを最大の資料といたした次第であります。従いましてわれわれが計算基礎に用いましたのは、以上のような資料が主たる資料でございまして、たとえば毎月勤労統計でありまするとか、あるいはCPS、いわゆる消費者価格調査、それから指数としてつくつてありますところのCP1、そういうようなものはこういう資料を生かして使いまするための補助手段であつたということを申し上げたいのであります。われわれは昨年勧告をいたしましたあとにおきまして、絶えず民間給與の動向、あるいは生計費推移状況というようなものにつきましては、研究を重ねておつたのであります。そういう際におきましては、CPSでありますとか、あるいは毎月勤労統計というものが、非常に有力な資料なつた次第であります。しかしながらわれわれが給與ベースを算定いたしまするには、そういうものだけではできないということを申し上げておきたいと思います。それで昨年の勧告以後におきまして、当時の状況を見ておりますると、賃金は上つて行く、生計費も上つて行くというような状況で、これは近く改訂しなければならぬということが当時——本年の一月ごろからすでにいろいろと予見されておつたのでありまするが、そのためにわれわれは本年の四月に、新年度に入りますと早々、民間給與実態調査というものを行つたのであります。また、これは総理庁でおやりになつたのでありまするけれども、われわれの方からいろいろお願いをいたしまして、希望等を述べまして、これも新年度に入ると早々できるように五月の時期を選びまして、特別消費者価格調査というものをやつたのであります。従いまして、時期的にもそういう資料が整備された後において、われわれの計算が可能になるということが言えるのであります。実際問題といたしましては、そういう資料が完全に使用し得るようになつたのは九月末である。当時におきまして毎月勤労統計またはCPSというものは、一番新しい資料といたしまして、いわゆる七月分が使い得たのであります。従いまして、われわれは最新の資料といたしまして、七月の状況にすべての値を換算いたしまして、そうして今回の給與ベース俸給表計算をやつた、そういう次第をまず最初に申し上げておきたいというように考えます。そしてこの前提といたしまして、われわれは給與ベースというものをかえるという場合におきましては、單に一月あるいは二月くらいの毎月勤労統計でありまするとか、あるいは特別CPSというものだけの動きを見ておりまして、いわば神経過敏にそういう数字に拘泥いたしまして、かえるということはとてもできないので、やはり相当長期にわたつて傾向というものを見まして、そうして今後の傾向がどういうふうになるであろうということを予見いたしまして、これをつくらなければならないというふうに考えるのであります。  われわれが本案を作成いたしましたときの見通しとして、どういう見通しを持つておつたかということを簡単に申し上げますると、当時個々の事実といたしましては、あるいは企業整備の結果失業者が出ておりまするとか、あるいは失業者を出さないまでも賃金の切下げをしておるというような事情は、個々のニュースとしては聞くのでありますけれども、われわれはそういうような個々の事実に基いてやることはできないと思うのであります。どうしても統計によらざるを得ない。毎月勤労統計というのが、その金額において、われわれはそれが日本の全工場の賃金平均だというふうにはもちろん考えていないのでありまするけれども、その毎月の賃金の額がどういふうに動いて行くかという、いわゆる推移状況というものには相当の信用を置いているのであります。毎月勤労統計というものを見ておりますが、それがどういうふうに変化して行くかということを見ておりますと、これは昨年の十二月に、いわゆる経済三原則というようなものが行われ、いわゆるドツジ・ラインというものが行われたのでありますが、それを境といたしまして、この傾向は非常に違つているということは、すでに当時においても早くからわかつてつたのであります。従いましていわゆるドツジ・ラインの行われました後において、賃金傾向というものは一体どういう傾向をたどるであろう。上つて行くものであろうか、下つて行くものであろうか、あるいは持合いを保つものであろうか、これはたいへんむずかしい問題であります。こういう問題を推定いたしますのに、われわれは数学的な方法を用いて想定いたすということもやつたのであります。しかしながらまたそういう操作は数学的にただ現在の数字基礎にいたしまして、将来の数字を算出してみるということだけでは、これははなはだ片手落ちなのでありますから、いろいろの起つて来る経済現象というようなものを種々勘案いたしまして、そうして将来のことを予見するという必要が起つて来るのであります。われわれがいろいろやつてみますると、どうも貿易は不振でありそうだ、また国内滞貨ができ、またそのために原料を買い入れる資金が不足するというような材料が出まして、そうして将来においては賃金は下つて行くのではないかというようなことが考えられたのであります。しかしながらいろいろ数学的な研究そのほかのことをやつてみますると、どうも下つて行くとも一概には言えない。急激に民間賃金が上昇して行くというふうにも考えられない。どうもここ当分は今の経済事情が変化がない限りは、まずまず持合いを保つて行くのではないだろうか。あるいは名目賃金で申しまするならば、少々増加はするかもわからぬが、まず大きな見当といたしましては、持合いを保つて行くものであろうというふうに見当をつけたのであります。  それから各種物価指数等動きを観察したのでありまするが、たとえばやみ物価指数というようなものは、漸次下つて行くというような傾向もいろいろと知つておりました。しかしながらまたここに補給金撤廃というような問題もございまして、現在の傾向というものが今後持続されるというふうにも考えられない。従いましてわれわれが得ました結論といたしましては、いわゆる消費財に響いて来るような価格というものは、今後やはり持合いないしは幾分上るかもわからないが、その可能性は少い。まずまず保合であるというふうに大体判断を下しているのであります。  それから生計費につきましても、必ずしも下つて行かない。生計費指数といたしましてはいわゆるCPSに基いてつくりましたCPIというものがあるのでありますが、これは従来フイツシャー式という方法によつて計算されておつたのであります。フィツシヤー式というのはどういう方法であるかと申しますれば、指数というのはある一つ時点基礎にいたしまして、その時点に対して現在がどういうふうに変化しているかということを見るのであります。ところで非常に実質賃金の低下しておりますような場合におきましては、そういう非常に実質賃金の低下いたしましたときを基礎にとつて、その実質賃金が漸次向上しつつあるというような場合に、その非常に低い水準をとりまして議論いたしますならば、指数というものは漸次上つて行くという傾向になるのは当然のことであります。そこでいわゆる基準時点だけでなしに、現在の生活内容というものを加味いたしまして、現在の生活内容基準時点生活内容をもとにいたしまして、それで現在の金額判断すればどうなつておるか。また現在の生活内容、今度は逆にさかのぼりまして基準時点ではどうなつておるか、こういうようなことを両方から眺めまして、そうしてそれを二つかけ合せてさらに平方で開くというような方法を、フィツシヤー式というような名で呼ばれております。すなわち実質賃金が次第に向上して行くと、非常に低い実質賃金の場合から向上して参るという場合には、フイツシヤー式というのが指数としては非常に重宝なものであるというふうに考えられておりました。このフイツシヤー式指数によりますると、現在まで、これは七月までしか計算がしてございませんが、必ずしもCPIというものが下つておるとは言えないのであります。ところが総理庁統計局におきましてはこのフィツシヤー式指数は本年の七月で打切りまして、そのかわりにラスパイレス式という指数を用いたのであります。この指数を用いまして本年七月以降はその指数によることはもちろんでありますが、昨年一月からずつと逆に計算いたしまして、昨年の一月ないし十二月を平均いたしまして、そういう基礎のもとに昨年の一月からこつちの動きをずつと見るということをいたしておつたのであります。御存じのように昨年は戦前に比べましてまだ実質賃金は五割そこそこでございます。すなわち非常にこの生活内容も低い状況であります。そういうときをとつてあるのでありますが、しかしいろいろな観点から二十三年度生活というものが一応落ちついたと考えて、そろして今度はそういう一つ生活内容というものを基礎に置きまして、そういう生活をいたすとすれば、現在はどういうふうにお金がかかつておるか。実質賃金が五割というところでそういうことを考えるということを、現在やつておるのであります。その指数によりますると、いわゆるラスパイレス指数によりますると、本年五月以降におきましては、漸次生計費は下つておるという状況が現われておるのであります。ところがただいま私が御説明申し上げましたように、指数の本質的な性格というものを見てみますると、一見消費者価格指数というものが下つてつても、これは現在の実情において、もう下つておるからそれでいいというふうに判断していいものかどうかという点につきましては、やはり問題が残るというふうに考えるのであります。いろいろ勘案してみまするのに、生計費も今後補給金撤廃というようなもののために、いろいろ消費財に響いて参りまして、そうして少くも来年の一、二、三月ごろまでにおきましては、やはり幾分の上昇をして行くであろうというような見当を持つておりました。すなわち七月を基準にいたしましてわれわれは計算いたすのでありますけれども、将来の見通しといたしまして物価生計費賃金、こういうようなものはまずまず七月の状況が、ここしばらくは持合いになるという一つ見通しを持つてつたのであります。かかる見通しのもとにわれわれは作業をやつた次第であります。  作業につきましてはただいま人事官から概括的なお話があつたのでありますが、なおその計算基礎等につきまして、若干補足いたしますれば、本年は安本の食糧需給計画によりますると、国民一人当り攝取カロリーというものは、一日について千八百九十四カロリーということになつております。昨年の計算に用いましたのは千八百五十カロリーでございます。お配りいたしておりまするこの資料の一ページ目のところをお開きくださいまして、お聞きとり願いたいというふうに考えます。昨年は千八百五十カロリーであつたのに、本年千八百九十四カロリーとするのはけしからぬじやないかというお話がなきにしもあらずというように考えるのでありますけれども、千八百九十四カロリーというものは、これは経済安定本部におまして、二十四年の七月から二十五年の六月間においては、国民一人当りこれだけは攝取ができるのである。一般国民はこれだけとるのである。そういうような事情がありますので、官吏だけが千八百五十カロリーに押えられなければならぬという事情はないのであります。従いましてわれわれは国民として許されているところの栄養攝取量というものを基礎にいたして、計算いたした次第であります。このカロリーというものは、これは食品別栄養量というものは違うわけでありますけれども、この食品には可食部分廃棄部分というものがあるのであります。これはいろいろなものによつてその率が違いますが、極端な例を申しますと、たとえばはまぐり、しじみというようなものにおきましては、鶏はからを食うのでありますけれども、普通の場合はからを捨てる。それは廃棄部分が非常に多いのであります。またいも等におきましても皮をむく。従いましてそういう状況をいろいろ計算いたしまして、ほんとう国民一人当り攝取し得るカロリーは、どれだけになるかということを換算いたしてみますと、千八百九十四カロリーということになるのであります。これは国民一人あたり攝取可能カロリーでありますから、実は国民にはおとなもおりますし、老人、子供というふうにおるのでありまして、おのおのその攝取量が違う。これを成人の單身男子に換算いたしてみますとどういうことになるかと申しますと、その次に書いてありますように二千二百八十五カロリーということになるのであります。参考までに昨年の数字を掲げてございますが、昨年はこれが千二百カロリーである。すなわち本年度におきましては成年男子につきまして、八十五カロリーだけ一日に攝取カロリーがふえておる。こういうことになります。そこでわれわれはこの二千二百八十五カロリー基礎にいたしましてマーケットバスケットというものを作成いたしましたのであります。マーケット・バスケツトという言葉はあまり耳なれておりませんが、その言葉が示しますように、いわゆる市場に持つて参りますところの買物かごというような意味でなかろうふと思います。日本語にまだ適訳されておりませんが、そう思うのであります。すなわちお米が幾ら、麦が幾ら、野菜が幾らというように、それぞれ食品別にある一定電量を考えまして、かみ合された一つのものである。これに現在行われておりますところの実効価格というものをぶちかけて計算いたしますならば、その一つ生活内容というものの値段が、そのときどきの値段によつて計算がされて来る。こういうものがマーケット・バスケツトであるというふうにお考え願いたい。ほんとうを言いますと食いものだけでなしに、被服費住居費光熱費雑費というようなものを、皆そういうふうに計画的に一つ生活内容として考えるべきでありましようが、実はマーケツト・バスケツトをつくるということは、非常にむずかしいのであります。われわれの現在の能力をもつていたしますれば、せいぜい食料品についてだけで、従つて被服費住居費光熱費雑費等につきましては、これは便宜な手段によつておるということになつております。そうしてわれわれが今俸給表を考えなければならないというところは、これはいわゆる勤務地手当のつかないところであります。その勤務地手当のつかないところで俸給表を考えなければならない。ところが先ほども申しましたように、地域による生計費差等というものは、昨年に比べれば漸次接近しつつある。これは毎月のいわゆるCPSによりますと、CPSというのは二十八都市調査が行われておりますが、二十八都市CPSから帰納的に考えてみますと、漸次接近しつつあるということがわかつてつたのでありますけれども、本年の五月の特別CPSをもちまして、決定的にそういう判断をいたしたのであります。すなわちその結果によりますと、地域手当のつかないところは、東京から二割下である。すなわち地域手当のつかない地域基礎にいたしますれば、一番地域手当の多いところも二割でよろしい、こういう結果になつたのであります。従いまして値段計算いたしまする基盤というものは、昨年の地域手当のつかない丙地とは異なつている。ここにまた一つの問題があるわけであります。それでマーケットバスケットというものを、地域手当のつかない地域ですべて考えて行くということをいたしますれば、理想的なのでありますけれども、これまた資料が十分なかつたり、いろいろな事情がございますので、われわれは一番資料の豊富な東京につきまして、このマーケット・バスケツトを作成したのでありますが、その値が六十八円十一銭というふうになつております。このように東京においてその値をつくりまして、CPS等の各種の資料を用いまして、これを地域手当のつかない地域に換算すればどうなるかということをやつてみますと、先ほど人事官からお話がございましたように、結局においては三千六百六円というものが出るのでありますが、その前に計算の便宜といたしまして、いろいろやつております。  それはまず東京についてマーケツト・バスケットの一日の値を算出いたしまして、それを月額に換算し、さらにCPSで言うところの小都市にまず換算いたしました。そうして小都市におきましての被服費住居費光熱費雑費というようなものを、実際のCPS数字から出す。そのCPS数字は、やはり世帯別に調査しておるのでありますから、老人もおりますし、子供も女もおるわけでありまして、すべてが出て参るわけでありますが、それを成年男子に換算してみるとどうなるかという数字を出します。次にその両者を加えて、さらに地域手当のつかない地域に換算するというような方法をとつておるのであります。まず小都市においてはどういうことになつたかと申しますと、東京計算いたしましたCPSを月額に直して、これをCPSで言うところの小都市に換算いたしますと、千六百六十二円ということになり、食糧費以外の小計が千五百四十二円ということになりますので、これを加えまして三千二百四円ということになります。これをさらにこの地域手当のつかない地域に換算いたしますと、三千百五円になります。この三千百五円は、そういう地域において生活いたしまするために、手取り賃金として必要であるという数字でございます。これは税金もございまするし、また共済組合、年金等の掛金もあるわけでございますから、そういうものを逆算いたしまして、いわゆる総賃金と申しますか、平均差引前の賃金に直して計算いたしますると、これが三千六百六円になり、去年は二千四百七十円であつたということになります。すなわち成年單身男子扶養手当のつない地域における生活費が三千六百六円ということになります。これが去年は二千四百七十円でありました。繰返して申し上げますが、この二千四百七十円、三千六百六円というものは、同じ基盤でそのことが考えられているのではないのであります。カロリーも増しておりますし、それを判断いたしまする地域も違つておるのであります。従いまして、二千四百七十円にある率をかければ、三千六百六円になるというものではない。これは非常に大切なところなのでありまして、去年の状況をもとにいたしまして傾向を見て、それにある率をかけて今年の計算をしたのではないのであります。去年は去年の計算、今年は今年の計算で、これは違うのでありまして、本年の七月の状況に基いて計算したものが三千六百六円でありますから、比較をすることは自由でありますが、その計算過程におきまして、去年の数字基礎にして、それにある率をかけて出したものではないということを、特に申し上げておきたいと考えております。以上のようにいたしまして、成年單身男子の一箇月あたり生計費が、三千六百六円というふうに出て参つたのであります。  それから民間給與調査というのは、どういうことをやつたかと申しますると、従来べースということを言います際にも絶えず毎月勤労統計賃金額というものが一つの目標になつてつたのであります。これが民間における平均賃金と考えられておつたのであります。しかしながら官吏の年齢構成と申しますか、あるいは男女構成、あるいは非常に技術的な作業、あるいはごく軽い給仕のような作業というように、いろいろな仕事があるわけでありまするが、そういうものの内容は民間と非常に違つておる。従いまして毎月勤労統計資料として出て参つたものだけとりまして、これが官吏の給與水準でなければならぬということは、はなはだずさんな言い方であります。また民間給與にいたしまして竜、たとえば毎月勤労統計というものは、比較的大工場について調査がされておる。従いまして中小工場というようなところの状況は、よく現われていないというようなことがありまして、必ずしも民間の平均であるということはなかなか言いにくい。但しこれは傾向を見るのには非常によろしいということは申せるのであります。そこでわれわれが官庁の賃金水準が民間とどういう関係にあるかということを見ますためには、官庁の職務と同じような職務をやつておる民間の人は、どういう賃金をもらつておるかということを見なければならないのであります。そこで職務内容、責任の程度の同じようなものをとつて比較いたしまして、初めて官庁の給與は民間に比べて低いということが確認されるわけであります。昨年もこの民間給與調査というものを行つたのでありまするが、本年もまたこれと同様の調査行つたのであります。その結果は先ほどからごらんいただいておる説明資料の民間給餌調査の結果というところをお開き願うとわかりますが、民間において官庁の職務と同じような職務を調査いたしまして、官庁は級によつて職務内容というものがきまつておりまするが、それに分類して、それの平均額を求めてみますと、一番左の欄に書いてございまするように、一級が三千二百十四円、二級と申すのは守衛というような年をとつた人が多いのでありますが、これが六千六百二十九円となつておりますが、これはわれわれの方としては使わなかつた。三級のところが六千百十五円となつておりまして、以下ずつと上りまして、十二級のところが一万八千八百六十七円、十四級が二万九千八百八十八円となつております。ただしこの十三級、十四級というところになりますると、数が非常に少いと同時に、その賃金額に変動が非債に激しいのでありまして、平均をとつてみても意味がないので、われわれは便宜十二級まで用いました。あとは数字的操作によつて十三級、十四級といふものをきめたのであります。この四月における民間の値をもとにして、民間給與調査は全国にわたつてつておりまするから、まずわれわれの計算の便宜のために、地域給のつかない地域にこれを直して考えればその金額はどのくらいになるか。この民間給與の中には、家族手当も含まれておりますし、特殊勤務手当というものも含まれておりまするから、もし官庁と同じような扶養手当が支給されるものとしたならば、どれだけ引いたらいいか。さらに特殊勤務手当を引いたらどれだけになるかというようにして、官庁の俸給表に相当する級別の額というものを求めたのであります。この級別の額を求めますのに、そのままではなかなかでこぼこが多いので、さらに数学的な補正を行いまして、なめらかなものにいたしました。但しその額は四月の額であります。従いまして、われわれ議論を七月でしているのでありまするから、七月に換算しなければならない。このために毎月勤労統計傾向を用いたのであります。すなわち毎月勤労統計の工業平均賃金の四月の額が、七月にはどれだけに増加しておつたかと言いますと、二・三%増加しておつたので、一・〇二三というものをかけて七月の値を出したということになつておりまして、一番右の欄に書いてありますように、一級が三千五百九十三円、二級が四千百三円、十四級が二千百九十八円という数字になつております。  われわれは新俸給表を算定いたしますのに、この一番右の欄と、先ほど申しました三千六百六円というものを、二つの基礎にいたしたのであります。三千六百六円という数字は、ここでごらんいただきますればおわかりになりますように、一級と二級の間の数字であります。すなわち三千六百六円をこの一級と二級の間の辺に当てはめますれば、これでよろしいということになるのでありますが、なお別の見地からいろいろ考察いたしてみました。すなわも東京における各省・各庁の五級職以下の調査をいたしたのであります。その結果はやはりお手元の資料に書いてございますから、あとでごらん願いたいと思うのであります。三級というところでは扶養家族が幾らか出ております。ところが二級、一級というところではほとんど扶養家族がない。その平均年齢はどれくらいかと申しますと、数え年で十八・六才くらい、満年齢に直しますと満十八才ということになります。労働基準法におきましても、満十八才というものは純成人として取扱われておるということもございますし、また現在二級一号の任用基準というものは、新制の中学校を卒業いたしまして、一年ないし二年経過したところで格づけされるわけであります。その年齢は十八才くらいであります。かかる諸事情を勘案いたしてみまするのに、三千六百六円という数字ほ、二級の一号にきめるのが適当であろうという結論に到達いたしたのであります。  それから十四級の平均でありますところの二万百九十八円というものは、七十号に格づけいたしまして、そうしてその間を等比級数でつないだ。そのような方法によりまして、われわれは一号ないし七十豪の俸給表をつくりました。それから一般俸給表を作成した、こういうことになるのであります。なぜ等比級数でつなぐかという御質問があるかわかりませんが、これはいわゆる職員といわれております人々の昇給というようなものを、いろいろ統計的に観察しておりますと、上り方が、たとえば昇給の場合に百円ずつ昇給するというように確定するのは非常にまれなのでありまして、おおむね率でいたすのであります。そうして多数観察の結果は、やはりこの指数函数というものが一番よく適合するということも、われわれ経験の結果知つておりますので、これは指数で結ばれた。これは昨年も同様でございます。そのようにいたしまして、本年の一号ないし七十号というものは結ばれたのであります。その一号ないし七十号がどういうふうになつておるかと申しますと、今ごらんいただいております表から三枚目のころに新給與案と現行号俸との比率というのがございますから、ごらん願いたいと思います。新号俸におきましては、先ほど申しましたように二級一号というのが三号になるのであります。通しで申しますと三号になります。これが三千六百六円ということになります。ずつと次のページのまん中の欄の上から二つ目に七十号というのがございます。ここが二万百九十八円ということになつております。この間をここに掲げておりますような数字で結んで行つた。その二号から一号の差額はどれだけである、三号から二号の差額はどれだけかと申しますと、横けいの欄に八十九円、九十二円というふうに書いてございます。これは上に行くほどその差額は幾らかずつ増加いたすのであります。現行の号俸と新号俸とを比較いたしてみますれば、三段目に書いてございますように、一号におきましては四二・七%の増加になつておるのであります。それからずつとパーセントは減じまして、たとえば二十号俸のところでは三六%になつておる。四十号俸のところでは二九・四%漸次漸減いたしまして七十号俸のところでは二〇%、こういうふうに現在の号俵と新号俸との比率というものは、号俸が進むに従いまして逓減いたしておる。こういうことを一つ申し上げておきたいと思います。なお現在の号俸の一級一号と七十号と比較いたして見ますならば、二千四百円から一万六千八百三十四円、この倍率は約七倍になつておりまするが、新号俸におきましては一号が三千四百二十五円、七十号が二万百九十八円で、約五・九倍というふうに幅が縮まつておるのであります。  以上のごとくいたしまして、一号ないし七十号を定めました。この一号ないし七十号をもとといたしまして、一般俸給表というものを作成しておるのであります。現行の一般俸給表といささか異なつておりまして、どういうところが違つておるかと申しますと、二級、三級、四給というところは従来は一号ないし七号しかなかつたのでありますが、これを八、九、十と延でしたのであります。すなわちこの給は、現在の呼び方でいたしまするならば、官吏ではないのでありますけれども、こういうところに頭打ちが非常に多いというわけで、この点を少し延ばすことにいたしました。さらに従来六級と十級のところに、理由なくして号俸が一号飛んで、すなわちこの間の昇給というものは理由なくして、ほかのところに比べますと、大幅の昇給をするというところが二、三箇所あつたのでございますが、その点はもう現在は何ら理由がございませんので、その点を是正して、そして二級の大幅の昇給ということは、七十号俸のところにはないというふうに改正いたしたのであります。以上のごとくして一般俸給表をつくりました。特別俸給表は今回は従前通りの形をそのまま用いたのであります。  なお今回は新たに検察官等を一緒に勧告いたしたのであります。検察官等は、従来一般職でありながら別の法律で定まつてつたのでありますが、なるべく今後は統一して参る方がよろしいという方針のもとに、これを同じ勧告の中に入れまして、今後新給與実施に関する法律を改正いたしまする際には、特別俸給表としてこれを差加えるということをいたしたいと考えておる次第であります。資料がいろいろ附加されておりますが、要はただいま申し上げたようなことが書いてあるわけであります。なお本日二、三点資料をお配りいたしましたが、これは今一般職の公務員給與ベースを上げることによつて賃金物価に影響があるかどうかという点を検討したものが一点であります。これは六千三百円ベース改訂のときにおきましても、すでに影響はなかつた。官吏の給與ベースを上げることが、何ら民間賃金を引上げることにならず、また一般物価に影響しなかつたということは、統計が明らかに示しておるのでありますけれども、今度はどういう事情が起きるであろうかということをいろいろ考えました結果、こういう資料をつくつておるのでありますが、われわれの見るところによりますと、一般職に属する国家公務員のみならず、地方職員、それから国有鉄道、専売会社あるいは公団というようなものが、国家公務員と同様に俸給是正がされるということがございましても、なおかつ国民全体の購買力からいたしますならば、たかだか一・八四%——これは資料に書いてございますが、その程度の購買力の増加にしかならない。こういう研究をいたしておるのであります。従いまして今回の官公吏の給與ベース改訂というものは、購買力にさしたる変動をもたらすものではない。現実に民間の大会社の賃金水準を表明しておると見られる毎月勤労統計等の数字よりははるかに低いのでありますから、これまた民間の賃金に影響することはございません。すなわちわれわれの現在の見通しといたしましては、官公吏の給與ベースを上げるということは、何ら民間賃金なり物価生計費には影響はないであろうというふうに考えておる次第でありまして、そういうような資料をお手元に差上げました。なお先ほどラスパイレス、ライッシャーというようなめんどうなことを申されましたが、それがどういうふうになつておるかという一覧表みたいなものをお手元に差上げた次第でございます。なおこの図表は、民間給與に比べまして官庁の給與がいかに遅れておるかということを表わしたグラフを差上げた次第でございます。以上をもちまして新給與水準に関します一応の説明を終らしていただきます。
  10. 星島二郎

    ○星島委員長 これで政府側の説明は終了いたしましたが、意見のある質問は次会に願うことにいたしまして、本日は今御説明された範囲の資料について何かお尋ねしたい点がありますればどうぞ。
  11. 高橋權六

    高橋(權)委員 非常に御丁寧にページも厚く謄写をしていただいておりますが、でき得べくんばナンバーを打つていただき、ページを書いておいていただくと、何ページの何番ということかすぐわかるのであります。それからこの十二月四日付の中に転職の職種云云とあるのですが、こんな字が書いてある。衆議院議員なるわれわれは天下の指標になるものであつて、字が間違つてつてもわからないようではいかぬと思うから言うのだが、職の字、転の字にしても、こんなつくりが書いてあるのでちよつと面くらうのですが、何か統一して、国字改正なら国字改正で字を間違わないようにしていただきたい。食べることも大切でありますが、国民ほんとうの字を教えることも必要だと思いますから、この点御注意あるようお願いしたいと思います。
  12. 柳澤義男

    ○柳澤委員 ただいまたいへん詳しく御説明いただきましたが、物価及び民間給與に影響を及ぼさないという御説明は、非常に大事なことであります。しかもそれに対する相当詳しい資料を頂戴いたしたのですが、これに関するもう少し資料に準拠した詳しい御説明を伺えないものでしようか。
  13. 瀧本忠男

    瀧本政府委員 お手元に差上げております表題について高橋委員から御指摘がありましたが、はなはだ恐縮であります。われわれ早急の間に資料をまとめて、はなはだ不体裁なものをつくりましたが、ただいま整理してきれいなものにしてから、旬日の問に差上げるつもりで、おります。  給與物価との関係についてというのをごらん願いたい。現在のいわゆる労働力と考えられる人口、そういう人が勤労収入によつて生活いたしておるわけでありますが、そういう人の給與の見積り、なおそういう人の收入総額を見積りまして、官公吏の收入を見積り、また官公吏がそういう中でどれだけのパーセントに当つておるであろうか。その官公吏の給與総額というようなものを見積り、かつ今度もし給與べースが改訂されまするならば、それが官公吏全体についてはどれくらいな上昇になるであろうか。以上のような趣旨によつて計算いたしましたものが、この説明書に書いておるところでございます。その計算によりますると、七ページに書いてありまするが、官公吏の給與水準千五百七十円ということに増加いたしまするなら、これは六千三百七円に対する増加率約二五%に当りまするが、それが購買力全体に対してはたかだか一・八四%に相なるという計算をわれわれの方でいたしましたので、御参考までにお目にかけた次第であります。
  14. 星島二郎

    ○星島委員長 この際お知らせ並びにお諮りいたしたいことがあります。本日理事池見茂隆君より、都合によつて理事を辞任したい旨のお届けがございますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。よつて池見君の理事辞任を許可いたします。  ただいまの池見君の辞任によりまして、理事一名が欠員となつておりますので、この際理事補欠選任を行いたいと思いますが、これは先例によりまして選挙の手続を省略し、ただちに委員長より指名いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 星島二郎

    ○星島委員長 御異議なしと認めます。それでは高橋權六君理事に指名いたします。  本日はこの程度にいたしまして、次会は十四日午前十時より開会いたすことにいたします。     午後三時三十八分散会