○
八嶋政府委員 ただいま
熱海市の
災害の
報告によりまして、私
どもに教えられまする点が、非常に多々あるのであります。私は
都市局長でありますので、
都市計画の
関係につきまして御
説明を申し上げたいと存じます。
実は先週の土曜日に、私と
住宅局長とが急遽
熱海市に参りまして、つぶさに
実情も承り、ただいまの御
報告にもございましたように
熱海市の今度の
大火の大きな
原因が、従来
都市計画が非常に不備であ
つたという点にあることを、私
どもも詳細に承
つたのでございますが、ただいま御
説明のありました
通りでございます。再びこうした
災害を惹起せしめないように、
市当局並びに、
県当局の御
意見も拝聽いたしまして、実は急遽
一つの案を作成いたしたのでございます。
図面によりまして簡単に御
説明申し上げる方が便利だろうと思うのでございます。
図面によりまして簡単に御
説明申し上げる方が便利だろうと思うのでございます。
非常に小さい
図面でありますので、はなはだ恐縮でありますが、今回焼けましたのは—御
承知の
通り二回
大火がございまして、四月五日に
駅前の附近がやられ、それから十日を経まして十三日に
中央街—先ほど御
説明がありましたように、
商店街並びに
官公街が大体
灰燼に帰したということに相な
つておるのでございます。
先ほども御
説明のございましたように、
片方は四千三百坪ですか、
片方は三万八千坪ですか、合せまして四万二千二百坪
程度に相な
つておるのでございます。
先ほども
お話のございましたように、非常に
道路が狭い、そこへも
つて来て
住宅が非常に
密集をいたしておる。これが今風の
大火の
原因であ
つたのでございます。
まず第一番に、この都心を流れておりまする、こちらが
初川、こちらが
糸川でございまするが、この川を境にいたしきて、両面におのおの六メートルずつの
歩道をつけまして、そうしてこれを
防火帯にしよう。
従つて中央街を大体三つにわけて行くという形を実はと
つたのでございます。この
初川は
先ほども
お話のございましたように、割合に、水が流れておるのでございます、大体二十二箇くらいの水が流れておるという
お話を承
つておるのでございますが、こららの
糸川になりますると、ほとんど水らしい水がない、いわゆる
温泉の
余り水であるとか、あるいは汚水というようなものが、ちよぼちよぼ流れているというような
実情でございます。そこで、この
初川からこちらに
水路をつけまして、そうしてこららの
糸川の方に分水をするということにいたしたいと思
つております。実は明治四十何年かにできた
上水道がございましたが、
水源地はここらにあるのでございまして、この
上水道の管が、
口径わずかに六インチくらいのものであ
つてそしてさらに腐蝕がはなはだしいという
関係上、さびがつきまして、有効の
口径がわずかに三インチくらいしかないというような
状況でございますので、
上水道もあまり役に立たなか
つたというような
現状でございます。実は
初川から
糸川へ水を引きたい、
水路をつけたい、そうして
糸川にも水を流したいということを考えておるのでございます。ところが、ここには
水口園というのがありまして、
丹那トンネルからの
湧水が
相当にあるのでございますが、そこで
自室発電をしてお
つたために、
権利の
関係上こららに給水することが従来できなか
つたというような
実情もあるようであります。これを何とかこの
機会におきまして
解決をしていただき、あるいはここで
発電をいたしました後における水がこちらに参りますれば、その点は非常によくなるのではないかと考えております。とにかくこららの
糸川に水を引きましてそして所々にせきを設けましてこの
両側に貯水池をつく
つて行こう、大体六箇ぐらいつくりまして、まさかの場合における措置に
当りたい、こういうぐあいに考えておるのでございます。
その次には、
道路の
幹線の
街路といたしまして、実は
海岸に至る
南北の一線があるのでございます。現在は大体九メートルくらいの
幅員にな
つておるのでございますが、これを大体十五メートルくらいに広げて行こう、こういうのがまず
一つと、それから
駅前から大分うねうねまわりまして、市
役所の方に参りまする
一つの
路線がございます。これは現在では
銀座街に出るところは大体九メートルくらいの
幅員にな
つておるのでございますが、これが途中におきましては六メートルくらいの非常に幅の狭い
街路が多いのでございます。焼けないところは別といたしまして、とにかく焼けたところからひとつ
都市計画を実行しようじやないかということで、ほんとうならば、私
どもも
都市計画の要請といたしましては十五メートルほしいところなんでございますけれ
ども、しかし非常に
土地が狭くて、しかも人家が
密集いたしておりまするので、そう大きな
街路をとることもできないということで、いろいろと
市当局、
県当局とも打合せを遂げました結果は、大体十二メートル
—車道といたしまして八メートル、
両側に二メートルくらいずつの
歩道でもつけるというようなことで、実は十二メートルの
幹線街路を一本つくろうじやないか。従いまして
南北に十五メートルの
幹線街路と、十二メートルの二本をまず入れる。それから
東西には、来宮の方に抜ける、これも現在は非常に
幅員が狭いのでございますが、これも十二メートルくらいにして行こう。それからこれは梅園の方に拔ける
道路でございますが、これも大体十二メートルで行こう。
従つて東西にやはり二本の
幹線を入れて参り、
南北に二本の
幹線を入れて参る。
あとはいろいろ
補助街路等も、従来は
袋路になりましたり非常に狹い、人もようやくすれすれに通るようなところもありましたので、これも四メートルないし七メートルくらいのところに持
つて行こう。
銀座街のようなところは、現在は八メートル
程度あるようでございますが、九メートルくらいの
路線にして行こう。それから
駅前も、あそこは御
承知の
通りに
地域が非常に狹い、これをある
程度拡大いたしたいと思
つております。大体
駅前から四十五メートルくらいの線で広場をとりたい。そうして駅の線路に沿いましての
道路、この
幹線に
沿つて裏口にまわります
路線、これも十二メーートル、このようにいたしまして、
駅前の整備をはか
つて行こう、こういうふうに実は考えたのでございます。
こういう
幹線街路をつくるにつきましては、
買收で行くか、それとも
区画整理で行くか、ということが次の大きな問題になるのでございますが、
買收になりますと、
相当地価が高いので、実は莫大な費用を要するのでございます。
従つてこれは
相当むずかしいのみならず、
買收になりますと、
買收区画部分に
当りまする
人たちだけが、
土地を提供しなければならないことになりますので、この
買收というものもなかなかむずかしいというのが
現状でございまするし、また従来
火災で焼けました能代にいたしましても、飯田にいたしましても、
買收で行くということは非常にむずかしいという情勢でございます。
従つて、この
土地を生み出すについては、皆
各人に共同で犠牲を忍んでもらうことの方がいいのじやないか。そうなれば、結論として
区画整理を実施することが一番よいのではなかろうか、こういうことに実は相なるのでございます。それで
市当局並びに
市議会といたしましても、
区画整理は非常に
けつこうだが、しかし
区画整理をやることになると、いろいろ
換地とかいうことに
相当に手数を要する、
従つてそういう案をつく
つておるうらにだんだんと家ができて、結局は
都市計画がものにならぬじやないか、その点がいかがかという話があ
つたのでございます。しかしそれはわずかに三%の四万何千坪の
土地でございますので、日比谷公園よりも少し大きい
土地でございます。ことに幸いにいたしまして、この
都市は昨年六百分の
地図ができておるのでございますが、これの
原図が金庫にしま
つてありましたので、これが非常に役に立
つたのでございます。それができていないと、測量から始めなければならぬということにな
つて、
相当に時間がかかるのでございますが、たまたま六百分の
地図ができておりましたので、やろうと思えば一夜にでもできるというので、実は徹夜をいたしましてこの
幹線を入れまして、この案が
市当局並びに市議全等において御
承認願えるならばという
前提のもとに、実は私
どもの
路線をつく
つたのでございます。そして
あとは、数
ブロツクごとにわけまして
権利者の
協議でひとつ話合いをさせて
換地の問題をきめて行こう。その
換地もできるだけ
現地換地を尊重いたしますように—多少の移転の
換地もあるだろうと思いますけれ
ども、とにかくそういうことで行けば、何もむずかしいことはないというので、まず
幹線街路をきめて、そうして
建築線を指定してしまう。こういうことになれば、
建築線の範囲内において、家が建つということになるので、—これはどうせ
区画整理もやらなければならぬのであるから、できても、
バラツクくらいのものしかできないというような
前提のもとに、
お話を申し上げたのであります。そうなれば
区画整理もひとつや
つてもらいたい、こういうような御
意見があ
つたのでございます。そこでこの
区画整理は県がひとつ施行をしてもらいたいという市の御
意見でございましたので、県の
土木部長にも
承認を求めまして、県がこれを実施するということにいたしましたのでございます。
都市計画法によりますれば、第十三條によ
つて、
災害の場合においては急速を要するので、
公共団体がこの
区画整理を施行するという道が、実は開けておるのでございます。これで行きますと、大体
各人が
公共地のために提供をいたさなければならない
土地、いわゆる
減歩と申しまするがこれは大体
中央部におきましては一四%、それからこちらの方になりますと三七%というような
程度に相なるのでございます。どうしてもつぶれ地というようなものを補うという意味におきましても、また一方におきまして将来への
防火という点に備えまして、
街路は
相当広げましたとはいうものの、これでは輻射熱を防ぐというわけには行きませんので、どうしても将来は堅牢
建築物というものを奨励して参らなければならぬということになりまして、この点は
住宅局の所管に相なるのでございまするけれ
ども、大体はこの
銀座通り、それから
海岸のこの
通りの一帯、ここにハッチがかけてございまするが、この地帯を甲種
防火地域にする、いわゆる鉄筋とか堅牢
建築でなければ建ててはならないということに大体指定をいたしたのであります。そから
あとの
地域は準
防火地域ということにいたしまして、いわゆるモルタル塗り以上のものでなければ
建築はできない、単なる木造では
建築はできない、大体こういうことに指定しようということで、私
どもの
意見を大体きめたのでございます。
翌日、市御
当局の対策
委員会にこの案をかけてみたのでございますが、当日はいろいろと国の補助なり、また国の融資の問題等の点につきまして、もつと建設大臣なり政府御
当局の御
意見ご拝聽したいというようなことがございましたが、そういうことで実はその日の対策
委員会においては決定はいたさなか
つたのでございます。あくる日知事並びに市長、全市
会議員が上京いたしまして、建設大臣にも
陳情をされ大臣室において緊急市会を招集いたされまして、実はこの
都市計画案につきまして、全員によ
つてこれをのもうということに確定をいたしたのでございます。旧式には現にできて知りまする
都市計画審議会というものの議を経まして建設大臣が決定をするということになるのでございますけれ
ども、とにかく実体的にはただいま申し上げましたように
市当局並びに議会方面が、これをのもうということになりましたので、また事業主も大体きまりましたので、あくる日からすぐ建設線の指定にとりかかりまして、できるだけ早くこの
換地の決定をはかりたいということで、私の方からも
区画整理の係員を派遣いたしまして、援助を申し上げておるような
実情でございます。
大体以上が
都市計画の
概要であります。