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1950-04-04 第7回国会 衆議院 災害地対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月四日(火曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 大内 一郎君    理事 青木  正君 理事 飯塚 定輔君    理事 小金 義照君 理事 小平 久雄君    理事 床次 徳二君 理事 笹森 順造君       青柳 一郎君    岡延右エ門君       小淵 光平君    角田 幸吉君       甲木  保君    川端 佳夫君       菅家 喜六君    小玉 治行君       小山 長規君    永井 英修君       中村  清君    野村專太郎君       三浦寅之助君    若林 義孝君       青野 武一君    森山 欽司君       中村 寅太君  出席政府委員         総理府事務官         (地方自治庁財         政部財政課長) 奥野 誠亮君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君  委員外出席者         文部事務官         (社会教育局文         化財保存課長) 宮地  茂君         文 部 技 官         (管理局教育施         設部長)    田中 徳治君         厚生事務官         (社会局物資課         長)      熊崎 正夫君         農 林 技 官         (農地局建設部         災害復旧課長) 川名 進一君         農 林 技 官 中田 幸吉君         経済安定事務官 石田 政夫君         経済安定技官  末松 信雄君     ————————————— 三月三十一日  委員上林山榮吉君及び小平忠君辞任につき、そ  の補欠として中島茂喜君及び笹森順造君が議長  の指名で委員に選任された。 四月四日  理事小平忠君の補欠として笹森順造君が理事に  当選した。     ————————————— 本日の会議に付した事件  理事の互選  派遣委員調査報告に関する件  災害対策に関する件  連合審査会開会に関する件     —————————————
  2. 大内一郎

    大内委員長 これより会議を開きます。  議題に入ります前に、お諮りいたします。理事であらせられた小平忠君が、去る三月三十一日委員を辞任いたされましたので、この際理事補欠選挙を行いたいと思います。それには投票の手続を省略して、委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 大内一郎

    大内委員長 御異議なしと認めます。よつて笹森順造君を理事に指名いたします。     —————————————
  4. 大内一郎

    大内委員長 次に派遣委員より報告聴取の件を議題といたします。調査報告を求めます。小平久雄君。
  5. 小平久雄

    小平(久)委員 青野武一委員森山欽司委員井之口政雄委員及び私の四名は、去る三月二十三日より三日間にわたり、栃木今市地方震災復旧状況調査いたして参つたのでありますが、本調査団を代表いたしまして、私よりその結果を簡單に御報告申し上げます。昨年十二月二十六日朝、栃木今市地方を襲いました地震は、同町を中心として、上都賀、河内両郡下二箇町八箇村にわたり、死者十指負傷者百六十余者出し建物山林農耕地等総額実に三十億円に達する被害を及ぼしたのであります。すなわち建築物関係被害額は二十三億円に及んでおり、その大部分は一般建築物被害であります。元来当地方は過去二百数十年間、地震に見舞われたことがなく、従つて建築には耐震構造を顧慮せずに、もつぱら火災予防の見地より、特産の石材が多く使用されておりますが、今回の災禍を受け主倉庫石蔵等、従来堅牢と目されておりました建物に、特に大きな被害をこうむつたのであります。一般住宅被害につきましては、今市町が最もはなはだしくそのほとんど全部が大小の差こそあれ被害を受けたのでありますが、ただ一般市民の注意が行き届きましたため、火災を発生せしめずに済みましたことは、不幸中の幸いであつたと言うことができるでありましよう。なお日光町におきましては、東照宮の国宝建造物は、総額六百五十万円の被害を受けておるのであります。次に土木関係におきましては、道路、河川の陥没、埋没、橋梁の崩落等計二百箇所、総額九千余万円、また耕地関係におきましては、被害農耕地一千百町歩、その他農道用水路等総額七千万円に及ぶ被害を受けたのでありますが、ことに農耕地被害額は、このほかに小規模の被害や、あるいは地表面に現われていない亀裂等、いまだ的確に捕捉することができない多くの被害がありますので、右の金額をはるかに上まわるものと考えられるのであります。  最後に山林関係につきましては、震源地が柔軟な粘土質よりなる山岳地帯でありましたために、被害が予想以上に大きく、美しく植林された山の側面が無残にも削り取られたり、二抱え以上もある大木が、川越しに投げ飛ばされて土砂の中に埋まつていたり、あるいは従来トラツクが通行し得るほどの林道が通じていた沢がえんえん一里にわたり杉と土砂とに埋まつていたりする光景は、真に驚嘆するほかはないのであります。林地の荒廃面績は一千六十六町歩山林関係被害総額は四億六千余万円に上つておりますが、これをこのまま放置しますときは、出水期に入りますと、堆積せる土砂の流出によりまして、必ずや下流地方に大水害を惹起するものと予想せられ、ここにこそ今次震災特殊性が存在すると言うことができ、砂防工事重要性がいやが上にも強調されねばならないゆえんなのであります。  以上の被害に対し、県当局並びに被害町村におきましては、これが対策に万全の措置を講じ、また地元民も問題の公共性を十分に理解しまして、まさに官民一体となつて復旧事業の推進に日夜懸命の努力を払つております姿ば、真に涙ぐましいものがあるのであります。栃木県当局におきましては、昭和二十四年度分として七千余万円、うち国庫支出金四千四百余万円、二十五年度分として二億五千四百万円、うち国庫支出金一億八千七百余万円、二十六年度分として四億五千七百余万円、うち国庫支出金二億八千一百余万円、総計七億八千二百万円、うち国庫支出金五億一千三百余万円の経費をもちまして復旧事業計画し、目下県及び各町村において着々その計画を進捗せしめておりますが、各町村におきましては、今や資金面で大なる困難に逢着しておるのであります。すなわち、地震当日がすでに年末であり、政府においては二十四年度分の公共事業費金額支出済でありましたため、十四年分としましては、国庫予算を見合いとして預金部より七千万円の融資を受けて、これを応急工事費に充てる手はずを整えたのでありますが、時期的に立ち遅れましたため、この工事費は未だ末端の町村に配分されるには至つていないのであります。そこで各町村におきましては、苗代期を旬日後に控えております関係上、町村自身あるいは部落民負担において、それぞれ農道用水路等復旧工事に着手しておるのでありますが、このような方法では、労賃、資材購入費等の多額の経費に対しまして、おのずから限度がありますので、資金面において早急の解決が切に要望されておるのであります。  他方砂防工事につきましては、県において行川、黒川、大芦川筋土木堰堤十箇所、林務堰堤百八十余箇所の築造計画を立てておりますが、そのうち土木堰堤五箇所、林務堰堤四十九箇所は、今夏の出水期前に完成する予定でありまして、その三分の二はすでに着工せられております。また、個人的災害分につきましては、県において交渉しました結果、勧業銀行並びに農林中央金庫より、町村または農業協同組合を通じて六千万円の融資を受けることとなつてはおりますが、これまたいまだ各個人の手に渡るに至つておりません。ことに農村におきましては、用水路等公共施設復旧に当面の努力が払われておりますため、大小亀裂に対する床締めなど耕地修復には、ほとんど着手しておりませず、たとえば土地の陥落により起伏を生じた田が、何らの手も加えられずに放置されておるような実情でありますので、たとい苗代期に用水が間に合うとしましても、耕地自体がこのようでありましては、本年度の収穫が大いに憂慮せられるのであります。  以上が被害並びに復旧状況の概要でありますが、今後復旧事業を促進し、あわせて今後の風水害を未然に防止するためとるべき対策としては、第一に、公共事業に対する国庫補助金の問題があげられるのであります。本震災は二十四年度中の災害でありますが、二十五年度予算がすでに編成された後に発生しましたため、これの復旧事業費は、二十五年度災害復旧事業費中、過年度分に計上されていないとしますならば、二十四、五年度分として県が予定しています国庫支出金二億三千余万円を、二十五年度新規災害分百億の中から完全に支出すべきであると考えられます。のみならず、二十五年度より実施を予想せられます一件十五万円以上全額国庫負担の制度を、本震災復旧事業にも及ぼすべきであると思われます。また農耕地被害面積一千百町歩のうち、国庫補助対象となりますのは、現行の一集団地町歩以上、一反歩当り事業費五千円以上の制限内におきましては、わずかに四百六十町歩、三千五百万円にすぎず、このような制限は、当地方のように、一戸当り耕作反別が少い山村実情に、はなはだしく沿わないと思われますので、すみやかに右の制限を緩和し、より積極的に農耕地復旧をはかる必要があると認められます。  次に、治山治水事業に関しましては、前に述べた県の計画予定通り進捗するとしましても、今夏の出水期に、例年以上の降雨がありますときは、水害は防ぎ得ない状況でありまして、その影響は利根川にまで及ぶのでありますから、工事をこれ以上遅滞せしめないことはもとより、今後さらに計画を促進し、築堤工事と並行」て造林、植材等山林修復にもすみやかに着手することにより、もつて万全を期する必要があると考えられます。また、大谷川上流華厳滝は、地震影響により崩壊の危険が生じましたので、同川及び下流の鬼怒川の堤防は、一般事業費を財源として急遽補強する必要があると認められたます。  第三に、個人に対する復興資金融資につきましては、前述の通り勧業銀行及び農林中央金庫より六千万円のわくを得たのでありますが、その利率が一割一分の高率であり、その上町村が転貸をすることになつて偽りますので、一般町村民は、利息負担の過重と担保の提供に悩み、また町村におきましては、将来元利償還不能となつた場合における町村負担を心配して、査定委員会を設け、町村民の申請を厳重に査定しておりますため、貸付融資罹災民の強い希望にもかかわらず、その範囲はきわめて限定され、時期的にも遅延するのやむなきに至つておるもののようであります。かような状態では、希望者全般に決して潤いませんので利率を五分以下に引下げ、その他融資条件の緩和をはかるなど、すみやかにその目的を達するように、当局の善処を要するものと認められます。  第四に、被害者に対する租税減免につきましては、去る一日より施行せられました災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律によりますと、所得税の軽減または免除を受ける者の範囲が、従来の所得金額十五万円より三十万円に引上げられておりますので、当地方農村居住者は、ほとんど全部が減免を受け得ることとなりますが、今市町内においては、なお減免せられない者が残りますので、これらのものに対する温情ある措置が要望せられ、他方住宅または家財に対する甚大なる被害の有無の認定にあたつては、被害者に不利とならないよう、特に注意すべきでありますとともに、今後完全復興までの数箇年間、被害地区に対して特別考慮が払われる必要があると認められます。なお、日光国宝被害は、同地の観光的重要性にかんがみましても、急ぎ修理する必要があると考えられます。  長後に、一般的に災雲対策としてとるべき措置としては、まず今次国会に提出を予想せられます平衡交付金法案中に、従来の特別配付税にかかるべきものとして被零町村に対しては当然特別交付金を交付するよう規定すべきものと認められます。  次に、今回の震災につきましては、災害救助法適用がなく、羅災民はこれを遺憾としておりますので、本法を適当に改正し、今回のごとき災害に際しましては、国家のあたたかい救助の手がすみやかに差伸べられるように措置することが、必要であると考えられます。
  6. 大内一郎

  7. 森山欽司

    森山委員 今小平委員から、今回の今市震災に関する網羅的な御報告があつたのでありますが、それにつきまして、まず第一番にお伺いいたしたいことは、今回の災害昭和二十四年の十二月末に起きました関係上、これらの予算措置については、政府としては手を打つ用意がなかつたというような状況下にあつたわけであります。ただいまの御報告にもありましたように、これの予算的措置を、昭和二十五年度予算中の予備費的な性格を有する百億の中からまかなう必要があるという御報告があつたのでありますが、この点について政府の側の御意見をお伺いいたします。
  8. 目黒清雄

    目黒政府委員 私の方の土木被害関係を御説明いたしますと、今予備金の百億から支出すべしというお話のようでありますが、百億は本年度災害のための予備金でありまして、まだこの支出が確定いたしておりません。そういうふうに百億を期待して、それまで災害復旧を延ばしておくということも、非常に実情に沿わないと思うのでありまして、われわれとしては、二十五年度よりこれを支出するために、すでにその操作を行つて選ります。従つて普通の災害と一括いたしまして、一部は全額補助をして行くという線に相なると思うのであります。おそらくこの百億を期待されるよりも、本年度災害費の四百七十億を期待される方が有敷ではないかと、われわれは感じております。
  9. 森山欽司

    森山委員 いずれにいたしましても、この今市震災に対する政府予算的措置というものが、今日までいまだ明確になつておらないことは、まことに遺憾にたえないのでございまして、震災がありましてから、すでに三月たつておるわけでございます。従つて政府といたしましては、急速に今回の地震に対する予算的措置について、明確なる御措置をおとりになつていただきたい。もとよりこれに対する資金的な裏づけは、ある程度つけられたわけでありますけれども、予算上幾らとか、科目的にどこから出すとか、金額的な確定という点について、県当局においても相当疑義を持つておられる点が多いというふうに聞きましたので、御質問申し上げた次第であります。
  10. 目黒清雄

    目黒政府委員 土木関係だけを申し上げておるのですが、土木関係におきましては、今のような予算措置の不明確さはないのでありまして、これは一般災害と同じように国庫補助をやるような段取りをいたし、現地査定もいたしておるわけであります。ただ、今お話通りに、二十四年度において支出できなかつたということは現実でありまするが、現地においては、もうすでに仕事をやつておりまするので、私の方では二十五年度一般災害と一括いたしまして支出するという段取りで行つておるのであります。ほかの方面にあるいはそういう明確さを欠いておるところがあるかもしれませんが、私の所はそういうふうに相なつております。
  11. 森山欽司

    森山委員 二十五年度予算の中から支出するにいたしましても一災害を受けたのは昨年の十二月でございまして、その間の資金繰りを、政府の御助力によつてある程度わくをいただいたのでありますけれども、ともかくその融資というものは、予算的にはつきり裏づけて参りませんので、時期的な問題で、県当局としては非常に心配しておるということを、われわれは聞いて参つたものですから、一応お伺いしたいと思います。
  12. 川名進一

    川名説明員 農林省農地局関係につきまして申し上げます。私の方も大体農地事務局を通じて査定を済ませまして、現在わかつておる程度は八千万円でございますが、これについては二十五年度から支出できるように言つております。
  13. 石田政夫

    石田説明員 ただいまの御質問に対しまして、それぞれ二十五年度予算につきまして、他の災害との均衡をにらみ合せまして、必要な点は、あまりにも均衡を失しないような範囲考えております。ただ問題は、二十五年度までだけとりあえずの措置といたしまして、御承知のようにつなぎ資金預金部資金措置考えまして、それによつて一応現地工事を進めて参つておるはずでございます。総括的に申しますと、そういうことでございます。
  14. 森山欽司

    森山委員 現在の農地あるいは土木関係についての災害は、国庫から補助が出ておりますが、この補助に関するところの現在における根拠法規、並びに将来におけるこの法規に対する改廃その他についての、御意図を伺いたいと思います。
  15. 目黒清雄

    目黒政府委員 土木関係根拠法規は、もとからあるのでありまして、災害国庫補助に関する法律というのがあります。これが根拠法規でありますが、御承知通り本年度はこれが全額国庫補助になるかもしれないという情勢にありますので、いずれこれは国会法案が提出される運びに相なるのではないかと考えております。従つてそれが二十五年度根拠法規になると思います。
  16. 森山欽司

    森山委員 二十四年度災害と、栃木県の地震の場合は、さかのぼつてというわけには行かないのでありますか。
  17. 目黒清雄

    目黒政府委員 今度出ます全額国庫補助対象というのは、過年度災害を含んでおりますので、さかのぼつてというよりは、二十五年度支出する災害費国庫補助規定に相なつております。
  18. 川名進一

    川名説明員 災害復旧に対する根拠法規に関してでありますが、農林省農地関係といたしましては、従来は地方財政法に弄りますところの例によつて補助して参つたのでありますが、現在のところこれを法律化して、災害助成法というようなものをつくりたいということで、それぞれ各省と事務関係の交渉は大体了しております。いずれこれが提出されることになりましたならば、また御審議を願うことになると思うのでありますが、その内容といたしましては、大体従来のものを法制化するというようなことで進めるような予定になつております。
  19. 森山欽司

    森山委員 農地関係については、その規定内容について従来と若干異なるというような趨勢にあるというように聞いておりますが、そういう事実はございませんか。
  20. 川名進一

    川名説明員 この補助率につきましては従来と同じ内容だと思います。ただ従来災害を取上げる基準につきましては補助要項をとつたのであります。その内容につきまして、われわれの方といたしましては幾分それをかえで、なおより合理的なものにして行きたいというような考えでおりますが、まだこの細かい点につきましては、ここで申し上げるまでには至つておりません。いずれはつきりわかりました上で、また御報告することにいたします。
  21. 森山欽司

    森山委員 今回の調査によりますと、三町歩以上というような基準があつたのでありますが、今回の災害地の附近には、きわめて山村がございまして、そういうところでは、そういうような団地を見出すことが困難で、もしこのような場合には、補助対象皆無というような実情が呈せられる傾向がありますので、そういうような点について、事務当局はどういうようにお考えになつておるか、お伺いいたしたいと思います。
  22. 川名進一

    川名説明員 耕地復旧一団地の五町歩とか三町歩とかいうことについては、従来各方面からいろいろ御批判をいただいておるのでありまして、必ずしも現在のが妥当ではないということも、われわれ考えております。そこで今後の考えといたしましては、小さな団地であつても、その被害の深刻なものについては、何とか網にかかるようにいたしたい、こういうことで現在進んでおります。被害が深刻であつても、面積が少いために落ちるというようなことは、非常に不公平でもありますので、その点は特に考えるようにいたしたい、こういうことで現在進んでおります。
  23. 森山欽司

    森山委員 そういう改正進捗状況は、今回の国会へ間に合う程度に御準備になつておりますか。
  24. 川名進一

    川名説明員 われわれといたしましても、ぜひ間に合せていただきたいというので、今各方面と折衝いたしております。それから申し落しましたが、耕地復旧団地の問題と、それから災害程度でありますが、われわれといたしましては、あくまでも、小さいが深刻なものは拾いたい。ただ耕耘と申しますか、田を耕すことによつて、大体元通になるようなささいなものについては、これは復旧ということでなしに、耕耘の片手間に直すというように考えておりますので、この点御承知願いたいと思います。
  25. 森山欽司

    森山委員 今回の地震においては、災害救助法適用が全然見られなかつたということについて、政府の御所見を承りたいと思います。
  26. 熊崎正夫

    熊崎説明員 厚生省の方から申し上げます。私の方では災害が発生いたしましたときに、実は厚生省といたしましては、あの程度災害であれば、当然災害救助法の発動があると考えておつたわけであります。ところが二十人目の日に、私が林厚生大臣と同道いたしまして、今市の方に参つたのでありますが、現地状況を見て参りますと、火災がなかつた。地割れその他はあつたけれども、実質的には衣料品も困らない、それからたき出しもやる必要がなかつた。大体災害救助法趣旨そのものは、応急救助をやる。応急救助をやるためには、家が焼けたり、あるいは家が流れたりして、衣料品を出さなければならない、またたき出しもしなければならない、学用品もやらなければならない、こういうような場合を予想しておりますのに、そういうようなものをやる必要はないというような災害状況であつたので、県当局としては、災害救助法適用する必要はないと決定したという、その趣旨がわかつたのであります。非常に地震としては特殊な場合の災害でありまして、県当局とつ措置は、万やむを得なかつた措置ではないかというように考えて帰つたわけであります。
  27. 森山欽司

    森山委員 災害救助法適用の必要がないというよりも、事態の真相は、災害救助法規定によるならば、その活動する余地がなかつたというのが、ほんとうではないかと思うのであります。従つて災害救助法二十三条の救助種類の中には、破損家屋応急修理復旧とか、応急仮設住宅、すなわち小屋がけ供与というように、そういう救助種類を増したならば、その必要があつたのではないでしようか。
  28. 熊崎正夫

    熊崎説明員 この点につきましては、大災害の場合には、そういうような小屋がけ——家屋修理までは認めておりませんが、小屋がけ等につきましては、今まで認めておりました例もございます。これは結局二十三条にございます避難所供与避難所の設備の中に、小屋がけも含むと解釈しております。しかし家屋修理ということになりますと、これは災害救助法は、一応災害が発生しまして、一週間ないし十日間までに応急救助は原則として終らなければならないという建前になつておるものでありまして、家屋修理等については、むしろ災害復旧の方に入るのではないかという解釈に立たざるを得ないので、その点まで現在の災害救助法では、適用することはちよつとむりであると考えざるを得ないと思うのであります。
  29. 森山欽司

    森山委員 県当局とわれわれ調査団とが折衝したときの意見では、災害救助法適用余地がないという方が正確な表現であつて適用する必要がないという感じをわれわれは受取らなかつたのであります。現に栃木県当局としては、すでに厚生省の方に、お手元にまわつておるかと思うのですが、災害救助法改正意見出しておる。それには救助種類を拡充する、すなわち法二十三条の救助種類の中に、破損家屋応急的な修理復旧あるいは応急的な仮設住宅の供与という問題を加えてくれという意見もありますし、また救助費につきましては、これの全額国庫負担の要望もあるわけであります。そういう意味から申して、私は今回の地震災害実情から見まして、災害救助法が発動し得なかつたのは、今回の災害が発動する必要がないほど、きわめて軽微なものであつたというよりも、その目先に起つた災害に対して、それを救済するだけの受入れ態勢を災害救助法自体が持つておらなかつたといつた方が正確ではないかと考えるのでありますが、いかがですか。
  30. 熊崎正夫

    熊崎説明員 ただいまの御意見は、きわめてごもつともな御意見だと思います。この点については、災害救助法の現在の施行面につきまして、厚生省としましても、いろいろな点で不備な点があるということは、前から痛感いたしておるわけであります。特に災害地に対しまして応急救助をやる場合に、国庫補助を出すという場合の規定が、実は足りないのであります。災害救助法昭和二十二年に成立いたしたのでありますが、そのときの規定の仕方は、結局応急救助に使つた費用が、その県の当時の財政方針を測定する基準になつておる地租、家屋税、事業税の三収益税の標準賦課率で算定しましたものの百分の五を超えた場合に、これこれの補助をする、最高百分の九十まで補助をするというように、補助のやり方は小さな災害につきましては、全然補助が行かないで、非常に大きな災害についてだけ最高百分の九十まで行くという建前をとつております関係上、実は救助内容をただいま申しましたように、家屋修理等を入れましても、現在のところでは、それが相当多額にならない限り、国庫補助対象にならないという法の不備があるわけであります。これは前々から各県の方からは、災害救助法適用につきまして、相当程度以上のものについては、金額国庫負担にしたらどうかというような要望が、再三厚生省の方にも参つております。この点につきましてはできるだけ私の方では、すみやかに県当局と交渉いたしまして、何とか至急解決いたしたいという考えで、目下折衝いたしておりますが、ただ現在のところでは、そういうふうなかつこうになつておりまして、相当の大災害でなければ、国庫補助は望めないという法律の不備と申しますか、遺憾な点があることを御了承願いたいと思います。
  31. 森山欽司

    森山委員 これに関連いたしまして、これも県当局からの要望あるいは意見として伺つたのでありますが、現行制度におきましては、犠牲者の救助は、その災害救助法に定めた応急救助と若干の義捐金による見舞程度で、これを完全に救済する方法がないという状況であるので、これに対して共済制度による災害保険制度というようなものを設けられたらどうかという御意見があつたのでありますが、これについていかがお考えになりますか。
  32. 熊崎正夫

    熊崎説明員 その点につきましても、厚生省といたしましては一応博の方の要望にこたえる意味で、将来研究いたしたいというふうに考えております。この点につきましては地方自治庁あたりとも十分連絡をとりまして、将来の大きな問題として考えて行かなければならぬのではないか、こういうように考えております。
  33. 森山欽司

    森山委員 最後に日光の二社一寺の国宝建造物に対する災害が、先ほどの報告によりますと六百五十万円の多額に上つておるのであります。これが措置について、政府対策をお伺いいたしたい。
  34. 宮地茂

    宮地説明員 日光の一社一寺の災害復旧でございますが、大体御承知のように、日光建物とか石段とか、ああしたものが国宝になつておりまして、あの境内の中にあるものすべてが国宝に指定されておるといつたわけではありません。そうした関係から、法的にはいろいろ問題が起るのですが、要するに二社一寺としまして、今度の災害で大体六百万円程度の損害をこうむつております。これに対しましてそう言つては何ですが、額も少額でありますし、それに文部省といたしましても、二十五年度に一社一存の修興を大体二千万円で、その半額を国庫補助として修理をやりたいというふうに考えております。その六百万円の中でへ全部やれば理想でしようが、国宝でないものもありますし、一般の民家の災害と違いまして、ただちに着手しなければならぬといつたようなものでございませんで、その間修理に緩急の度もございますので、どうしてもやらなければならないもの、観光的見地からももちろんですが、文化財の保存といつた面からどうしてもやらなければならないといつたものが大体土百万円ばかりございます。従つてただいま国宝修理国庫補助費が一千万円、それに寺側が一千万円、二千万円で来年度やろうとしておる。その中に二百万円を含めまして修理をいたしたい、こういうように考えております。
  35. 小平久雄

    小平(久)委員 今回の今市震災につきましては、法の許可範囲内において、当局においてもそれぞれ善処願つたわけでありますが、地元民からいたしますれば、何と申しましても災害にかかつた直後でありますから、こういう際には国家のあたたかい手が速急に及ぶもの、また及ぶのが当然であるというふうに考えておりますので、そういう罹災民の感情からいたしますと、国家の救助、援助がはなはだ薄い、こういう感じを非常に強く持つておるようであります。これらの点につきましては、報舎にも申し上げておいたのですが、特に復興資金の問題について、そういう感じを抱いておるようであります。大蔵省から見えておられますれば承りたいのでありますが、さきに報告にも申し上げました通り、現在は罹災をした場合、家屋なり何なりの私有物を復旧しなければならぬというときには、そこに法的に自然に資金が流れて行くという道が何ら開けておらないようであります。そこで今回も県のあつせん等によりまして、六千万円かのわくを勧銀、農林中金からとつたようでありますが、これがなかなか実際的に流れて行かぬ。たとえば今市町におきましては約三千戸が罹災したようでありますが、実際今市町の査定委員会において査定して、これなら貸し付けてやろうというものは、わずかに三百数千戸にすぎない、一割余にしか及ばないという次第でありまして、かような関係からしてれ特に提供する担保も持たないといつたような貧困な部類に属する家庭が非常に困つておる、こういう実情でありますので、何とかもう少しそういう場合には、国家の補助とまで行かないならば、せめて融資でもすみやかに行く道をとることが、どうしても必要だと思うのでありますが、そういう点についてひとつ当局のお考えをまず伺いたい——その点は政府委員がお見えになつておりませんければ、それはあとにしまして、その他二、三伺いたいと思いますが、まず河川局長さんに伺います。局長さんも御承知のように、今回の震災震源地とも目されております行川でありますが、これは黒川あるいは思川を通じまして赤間の遊水池に入り、やがては利根に注ぐ、こういつた水系になつておりますので、現在におきましては、今市を中心とします震災を受けた土地よりも、むしろその水系に関連を持つところの下流民が非常に恐怖を抱いておる。一旦出水があるならば、あの川の中に流れ出しておる土砂が一挙に流れるだろう、あるいはさらにゆるんでおる山がくずれて土砂が流出するだろう、こういうので非常にこの点を心配いたしておるのであります。現に去る一日に降りました雨でも、この水系は約一メートル余増水いたして、しかもどす無い水が流れて来ておるというぐあいでありますので、出水季になりますと、さらにさらにかような傾向が増大するのではないかと思われるのであります。そこで下流としましては、ただ単に震災を受けた都市ばかりでなく、その水系の堤防等の補強ということを、この際ぜひともやつてもらわぬことには、それこそ下流の農民、栃木県の穀倉地帯ともいうべき土地が参つてしまうという心配を非常に抱いておるのであります。この下流の堤防の補強ということにつきまして、本省においては、どんなふうにお考えになつておりますか、この機会に承つておきたいと思います。
  36. 目黒清雄

    目黒政府委員 今度の震災によつて山が相当荒廃しまして、その土砂下流に流れて来るということを、われわれは危険を感じておるのであります。従いまして、まずわれわれといたしましては、下流の堤防のかさ上げよりは、現地においてできるだけ土砂をとめたいという趣旨で——これはどうしても砂防によらなければならない。もちろん砂防と申しましても、私のところでやつております砂防と、農林省関係の砂防とがありますが、両々相まつて山の土砂の流出をとめなければならぬ、そういうところにまず力を入れたいと考えておつたのであります。ところがこれが砂防というものが私の方の災害土木費の法律によりますと、災害費としてとれないのであります。大体原形といいますか、もとあつた工作物の復旧は、災害費としてとれますが、新しく堰堤を築造するということは、災害費としてはとれないという現在の形になつております。これには相当われわれも矛盾があると考えておるのでありますが、災害費が相当に激増して参ります関係上、できるだけ災害便乗を押えるという趣旨のもとに、原形復旧という線に限定されて来たのであります。従つてわれわれとしては、来年度の砂防費をもつて、これを幾らかでもまかなつて行きたい、こういう考え方で進んでおるのであります。栃木県の割当は、まだはつきりしておりませんが、大体その点を加味いたしまして、昨年は一千三百万円程度の非常に少額でありましたが、来年度はある程度これを増額し、これに四千万円程度の配当をしようかというつもりでおりますので、この金をもつて幾らかの堰堤をそこべ築造し、ただいまのお話通りに十箇所ありますが、そのうちの五箇所でもまず砂防に手をつけまして、応急に押えて行きたいというつもりでおります。しかしながらそれでもどうしても押え切れぬ、下流土砂が流出する傾向が多分にあるということに相なりますれば、下流堤防のかさ上げというような問題も起きると考えられまするが、差迫つてのわれわれの行き方は、以上の通りでございます。
  37. 小平久雄

    小平(久)委員 その点は、一層の御善処をお願いいたすことにしまして、次に厚亀省の方にお伺いしたいと思います。先ほど森山君の質問に対しまして、災害救助法に関する御意見を承つたのでありますが、先ほども御説明がありましたように、従来の救助費の支出は、地租、家屋税あるいは事業税というようなものを標準にいたしまして、支出をいたしておつたようでありますが、今回の税制改正によりますと、御承知通り、こういつた種目の地方税が整理をされることになつております。従つてこの救助法も、当然改正を要するものと思うのでありますが、今後この救助費の支出につきましては、一体どういう心のを標準として支出をなさる御構想か、その点を承りたいと思います。
  38. 熊崎正夫

    熊崎説明員 その点につきましては、実は税制のかわることも見越しまして、われわれの方でいろいろと考究いたしておるわけでありますが、ただ自治庁の方との完全な了解も、現在まだできておりませんし、さしあたつてそういうふうな改正をやらなければならぬ前に、一応今の法律考え方といたしましては、二十五年度災害につきましては、一応前年度の三収益税の算定に従つて行くという行き方をとつておりますので、できるならば、われわれとしましては、今度の国会改正の案を上程いたしたいというふうに考えておりましたけれども、これは大蔵省地方自治庁との連絡の上、来るべき国会までに一応成案を得て、それまでの間には平衡交付金の方の算定方法その他も大体定まつて来るであろうから、それに基いた上で、はつきりした方針をきめたらよいのではないかというふうに話合いをいたしまして、実はそれまで時期を待つという態度をとつておるわけであります。
  39. 小平久雄

    小平(久)委員 それでは次に地方自治庁の方にお伺いします。これも先ほどの報告のうちに述べておいたのでありますが、今回罹災いたしました関係地元の町村としますと、平衡交付金制度が設けられましても、町村が管理いたしております公共施設等の復旧のために、どうしても特別なる平衡交付金の配付をしてもらいたいという要求がきわめて強いのであります。いかんせんまだ平衡交付金法案は出ておりませんので、われわれわかりませんが、その点はどういうふうになる御予定でありますか、承りたいと思います。
  40. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 災害を受けました団体では、災害復旧費に相当の額を支出しなければならないわけであります。どの程度災害復旧費がいるかということを、各地方団体の財政事情を測定いたします場合に、勘案するわけであります。さしあたつて具体的にどういう方法をとるかということは、お話のようにまだ平衡交付金法が提案もされておりませんので、詳しく述べることは穏当ではないわけでありますが、大体さしあたつて必要なものは、あるいは地方債でまかなうというような方法をとらなければならないのであります。その際に、掛金いたしましたものにつきまして、後年度において元利を返して行く、その場合にその元利の支払い額というものを、その地方団体の財政事情にそのまま見込んで行く、そうすると必要な災害復旧費というものが結局において確保されることになる、そういうように考えております。
  41. 小平久雄

    小平(久)委員 そしますと、その年度において特別交付金とも称すべき制度をおつくりにならないお考えでありますか。
  42. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 平衡交付金制度によりましてれ各地方団体の財政事情を測定いたします際には、なるたけ客観的な基準を用いて、そこに行政官庁の意思が加わることのないようにして行きたいという考え方をしております。今お話のありましたように、臨時応急的ないろいろな支出というものが、災害の場合にはかさむだろうと思います。しかしこれを客観的に補足する明確な基準というものがなかなか得られませんので、そういうものにつきましては、さらに地方財政平衡交付金制度の中で、いろいろな特別な尺度を用いて、配分します特別交付金の制度というものを、やはり織り込んでいるわけであります。その面において、客観的な基準では捕捉しがたいものも、さらにつき上げて行きたいというような考え方をいたしているわけであります。
  43. 小平久雄

    小平(久)委員 文部省の当局に承りますが、文部省関係としましては、特にわれわれが耳にしましたところでは、第一に、小学校等の修復の問題、これについての補助が一体どうなるだろうかというような不安が非常に多かつたのです。第二には、今回の震災につきましては、東大に付属されている地震研究所がありますが、それがいち早く現地に参りまして、震源その他についての調査をなさつたようでありますが、開くところによりますと、これらせつかく出て参りました調査員の方方が、経費がないために、あるいは民家にとまつてやつかいになるとか、その他ほとんど本来の国の予算で活動するというようなことはできません。そのために、せつかくの地震の原因等に関する調査も、そこそこにして引揚げられて、いまだに震源地がどこなのかはつきりしないというような実情であります。幸いにして、今市の中学校の先生で篤志家がありまして、その人が引続いて手伝つてつているようでありますが、そういうような実情でありまして、われわれといたしましても、はなはだその点が遺憾に考えられたのです。地震でありますから、いつどこに起るかわかりませんが、起きた地震の震源関係も、まだはつきりしない、その調査費もないということでは、きわめて心細いと思うのでありますがこれらの点につきまして、当局の御意見を承つておきたいと思うのであります。
  44. 田中徳治

    田中説明員 科学研究費補助などで、考慮されるかとも考えておりますが、その方の担当者が見えておりませんから、後刻連絡して御報告いたします。今の地方の小学校なり、中学校なり、高等学校なり、この方の災害に対しましては、従来補助をいたしております。二十四年度におきましては、その方の補助予算の都合上困難でございますが一応二十五年度におきまして所定災害費の方から補助をとりたいというふうに考えまして、安本とも現在折衝いたしております。
  45. 小平久雄

    小平(久)委員 地震研究所の問題でありますが、今回の地震の場合には非常に余震が多くて、当初のうちは山林等には係官なども入つて行かれないという状況であつたのでありますが、そんな関係で、この上また地震が起きるのではないかという不安が非常に強いのです。従いまして、今申し上げましたように、今回の地震はどうして起つたのだということを地方民に知らせまして、今後心配ないならば、ないというような、権威ある発表を望んでおるのであります。あなたは御担当じやないようでありますから、あなたに申し上げてもしかたがないかもしれませんが、どうか係の方にその旨を強く伝えておいていただきたいと思うのであります。
  46. 田中徳治

    田中説明員 御趣旨の点十分伝えまして、いずれ御報告いたすことにいたします。
  47. 若林義孝

    ○若林委員 今回の御調査に直接関係はないのでありますが、やはり事柄が事柄でありますので、この際お伺いをして、将来の対策を御考究願いたいと思います。  昭和二十一年の南海地震災害でありますが、聞くところによりますと、二十四年度でこの災害対策が打切られておるようでありますが、事実その当時直接地震によるところの災害であるように思わなかつたのが、年を経るに従いまして、その時を契機といたしまして、土地全体が沈下しておる状態が各所に現われておるのであります。特に岡山の南海岸のごときは、いろいろ論があつたのでありますが、最近になつて明瞭にいわゆる地盤全体の沈下であるという結論が出たような次第であります。こういうものに対して、これは過般建設省から技官が数名おいでになりましたけれども、各所でこの南海地震災害の現状が明確になつて来た。それから二十四年度で打切ることはなしに、なお延長をして行くことを国会でも要望を出していただきたいという御意見を承つたのでありますが、私一昨日岡山県の一部分を見て参つたのでありますが、優に五百町歩ばかりのところの麥が水浸しとなつておるのであります。写真をとつておくように言つておきましたから、やがて送つて来ることと思うのでありますが、今一寸の土地といえども相当の費用をお使いになりまして、増産に資するためにお力をお出しになつておるにかかわらず、こういう尨大な土地が施設をおろそかにするために、荒廃に帰するというようなことになつておるのであります。これは排水設備を相当強化いたしますことによつて、ただちに解決し得るものだと思いますがこの排水設備にいたしましても、現在の農村実情から見るならば、自力をもつてやれない。なお電力料金のごときは、一昼夜まわしますと五千円以上かかるというような電力を要するのであります。今のところ、もう一基あるならば、二百町歩くらいは救えるというような状態でありますが、これは私一昨日見て参つてこれだけの事柄を申し上げるのでありますが、なお五百町歩に及ぶところの浸水をして、姿自身が冠水しております。もう少しすれば出て来るでありましようが、これもほとんど実収を得られないことになるのじやないかと思います。これについて農林当局並びに安本その他はどういうふうにお考えになるか、南海地震影響は、岡山県一箇所だけではなかろうと思うのでありますが、各省でそういう御調査をなさつたことがありましようか。
  48. 川名進一

    川名説明員 南海震災対策につきましては、二十三年以来の地盤沈下対策をいたしまして、取上げて参つたのでありますが、それは二十五年度も引続いてやつております。その後、なお中国から四国にかけまして、地盤の沈下、高潮の災害が多かつたので、京大その他の大学方面の方々を委員とした特別委員にお願いいたしまして、あの付近の地盤沈下、高潮の災害状況を、実は調査していただいたわけであります。昨年度におきまして、大体ある程度の見通しがつきましたので、二十四年度の補正予算から、高潮災害といたしまして取上げて参りました。二十五年度も、そのようにしてやつて行きたいというように考えております。
  49. 若林義孝

    ○若林委員 高潮災害という名前で、これが継続されることになるのでありますか。
  50. 川名進一

    川名説明員 そうです。
  51. 若林義孝

    ○若林委員 岡山だけでなしに、ほかにも相当ございましようが、岡山の方は今御配慮を願つております児島湾の淡水化の問題とからみまして、このような場合に淡水化をやられたら、おそらく、今の三倍ないし五倍くらいは災害をひどく受けるであろうというので、農民としては非常に落ちつく心のない状態であります。おそらく陳情その他がお手元に届いているじやないかと思うのでありますが、これをひとつ計画があるのでしたら、特に岡山の分はそういう意味を持つておりますので、格別の御考慮を加え、対策を樹立していただきたいと思うのであります。
  52. 川名進一

    川名説明員 児島湾の淡水化の問題は、実はほかの課で主管しておりますので、それとの関連がどうなるかということは、ここでは申し上げられませんが、いろいろ関係方面とも協議してみたいと思います。
  53. 青野武一

    青野委員 私は災害復旧課長に、重ねて今の岡山の地盤沈下の問題で特に一言お伺いしておきたいのであります。実は今市方面の施設のことも、社会党からお供をしたのでありますので、いろいろ御質問したいことがありますが、森山小平、両君の御質問もありましたので、大体大蔵省の関係で、税金のことで少しお伺いしたいと思つておりますが、大蔵省の預金部の資金課長がお見えになつておりませんので、岡山の今お話の地盤沈下の問題について、こういつた地盤沈下で非常に困つておる農民に、国家的にどういう補償をされるか、あるいは二十四年度はそういうものは全然復旧をしないという方針になつておるか、これをまず第一にお尋ねしたい。
  54. 川名進一

    川名説明員 われわれの方としましては、この地盤沈下の災害復旧事業としまして取上げた点につきましては、打切るというのではなく、それが農作物に支障がない程度に復活するまでやつておるわけです。打切ることは考えておりません。
  55. 青野武一

    青野委員 重ねてお尋ねします。これは私の直接の関係ではございませんで、別に非常に密接な関係を持つておりますが、愛媛県の瀬戸内海寄りに西条というところがある。ここには御承知通り、幕末時代非常に有力な人が権力を持つて、海を二、三里埋め立てて碁盤の目のように土手をつくつた。そうして山手から海岸の方に向つて縦二里、横一里半ぐらいのところを埋め立てて水田をつくつてあつた。これは別府と同じように、日本でも珍しい田地田畑で、各農民の台所は、みな水がふいて出る打抜き井戸をつくつてあつた。ところが南海地震のときに、非常に大きなゆれがありましたので三尺ほど沈下した。海面から見て三尺沈下したから、ほとんど何十年間ぶくぶく水がふいているので、田地田畑には水の不足はないが、潮の引いたときに水門を明けて海に流していた水が流れなくなつた。それで一昼夜するとその水があふれてしまつてどうにもならぬ。県の財政ではどうにもならぬし、地方の市町村ではこれまたどうにもならぬ。これは橘村でしたか、最後に合併した村でありますが、そこに石槌山の奥から流れて来る加茂川という川がある。その川の堤防が弱いので、三日も四日も雨が降りますと、その堤防に向つてものすごい勢いで水が流れて来て堤防がびりびり動いておる。一ぺんどつと来られると、村全体が水浸しになる。こういうものはいくら県に陳情しても県の財政ではどうにもならぬ、市としてもどうにもならぬ。ここは平均一反で九俵ぐらいできるところですが、どうにも心配で、農民が安心できない。こういろので自由党の愛媛県出身の代議士諸君が努力してくれておるということは聞いておりますが、これは私どもと全然関係のないところであつて、一地方の問題であつても、国家的に救済してやらなければどうにもならない。私ども栃木県の今市震災調査に参りましたが、山林にしてみても、あるいは農耕地にしましても、岸壁にしましても、これは地方の財政ではどうにもならぬ。しかも仕事がもう三箇月も遅れておる。それから出水期を控えて、山の方は亀裂が生じており、雨が降ればどうなるかわからない。今目に見えておるところは、大体推定できますが、出水季にどういう災害が起るかわからぬという気持を、災害地の諸君は持つているので、こういうことにつきまして、もし農林省関係でどうにもならぬというならば、議会で特別な法律でもつくつて救済せねばなるまい。これはこの前同僚と一緒に今市に行つたとき、座談会でも申し上げたが、税務関係の責任者より、この被害民より税金をとらないというわけには行かないが、大体好意的に督促状も出さず、じつと模様を見ているというようなお話がありました。そういうような気の毒な立場にあるものには、国家的の基本対策を立ててやらなければ、解決しないと思う。最近御承知のように、戦時中の強行採炭によつて特別鉱害が約九十八億あり——これは私の出ておる福岡県でありますが、これらも各党各派が超党派的な立場に立つて関係方面とも非常に苦しんで折衝しまして、五箇年計画で約五十億円がまとまりましたが、昨年の九月十五日の配炭公団の廃止から今日まで、ずつと田地田畑が水浸しで一二日も雨が降りますと芝一帯くらいの田地は水のはけ口がない。地方の財政ではやれないし、市町村でもやれない。それで福岡県の議員や町会議員を連れて、県知事が先頭に立つて十七、八日も二、三十人もの諸君が自費で上つて来て各党にお願いし、それぞれの方面に陳情して、ようやく大体の目鼻がついたようなわけでありますが、そうした熱意をもつて陳情や歎願に来れば、何とか目鼻がつくが、全然そういうことをしないと、いつまでたつても放任しておくというようなことでは困ると思う。ただいまの岡山の地盤沈下と同じように、愛媛県の西条市なんかは、有力な人が議員として出ておりましても、いまだに目鼻がついていない。こういうところには、農林省としても適当な人を現地にやつていただいて、十分地元の人の陳情も聞き、みずから地下たびをはいて調査をしてもらつて、これは国家的な見地から何とかしなければならぬであろうということになれば、具体的に案を立ててもらいたい。私はほかにたくさん質問を持つておりますけれども、同僚議員よりいろいろ御質問がありましたので、重複を避けまして、大蔵省関係に税金のことでお尋ねしたい。もし今日おいでがなければ、私の質問を保留しておきたいと思いますので、この点お願いしておきます。
  56. 川名進一

    川名説明員 ただいまお話の西条の橘村ですが、これにつきましては、私まだよく存じておりませんけれども、地盤沈下の災害または高潮災害で、農地の排水ということでどうしてもやらなければならないものは、おそらく取上げてあると思いますが、その点よく調査して御報告いたしたいと思います。
  57. 小平久雄

    小平(久)委員 せつかく林野庁から見えているようですから、一言だけ希望を申し上げておきたい思います。  御承知のように、今回の今市震災の損害は、主として山林地方にあつたのです。従つて今後の対策としまして、県当局等においては、山林砂防という点を非常に重視しております。また先ほどの河川局長さんのお話のように、あの土砂下流に流さないように、なるべく上の方でとめたい。こういうことで河川砂防の方も計画を練つておりますが、それに先行するのは、何と申しましても山林砂防であります。そういう点から見まして、山林の砂防につきましては、林野庁当局においても、この上とも御援助を願わなければならぬ。数十箇所の山林砂防の計画をしておりますが、これなども、できるならば何箇年間でやるというのではなく、出水期までには全部やつてしまうということでなければ、下流の方は安心しておられないのであります。そういう点について、林野庁当局の御所見を承れればけつこうだと思いますが、特に今後の御善処を私はお願いする次第であります。
  58. 中田幸吉

    中田説明員 ただいま小平委員から御質問がありましたが、先ほど目黒河川局長からお話がございましたように、現地におきましても、山地の崩壊が約一千六十六町歩、従来まれに見るような被害でございまして、特に該地方は、林業といたしまして今市、鹿沼、栃木、この方面に対する林木供給源になつておりまして、そういう点から、なおさら早急に復旧しなければならぬ。それから現地が非常に峻嶮な山が多い、土壌が不確定、従つて山の崩壊も非常に多かつた。これは私現地調査に参りまして、つぶさに見て参りましたが、従来の山林でこれほど被害の多かつたところは、今までにないのであります。特に今予算上の折衝につきましては、経済安定本部とか、あるいは大蔵省とも折衝いたしまして、先ほどいろいろお話のございました金融の問題につきましても努力をいたしまして、われわれとしては、はなはだ不本意な少額でありますけれども、一応許されました範囲の金で、何とか出水季までに少しでも早く土砂の流出を防止する、こういう関係で県の土木部の方と協議いたしまして、総合的な土砂の流出を防止する計画を立てまして、先ほどの小平委員の視察においでになりました御報告の中にありましたような計画通り、目下実行しつつあるのであります。それで今最も困難を来しておりますのは、山地に亀裂の入りました箇所が、出水季あるいは特に梅雨季という場合に、多少の降雨でございましても、すぐ亀裂面から大きく土砂が崩落するというような結果がある程度予測されますので、それに対する対策としましてれ種々耕作物を入れましたり、あるいはまた直接下流耕地をお持ちの農民の方々、その他の土地の方方の御助力を得まして、その亀裂修復を目下やりつつあるわけであります。それで今のところは、最も激甚な、と申しましても、ほとんどすべてがそうでありますけれども、特に下流地域に大きな影響を与えます部分につきましては、出水季までに全部復旧をなし、さらに甚大な損害が起らないように防除する、こういう方向で進んでおります。予算の面につきましては、二十四年度の第四・四半期に余りました経費は、一応栃木県の方へまわしまして、復旧費の中にそれを入れてやつております。また二十五年度の分につきましては、私の方は過年度分についての災害復旧費というものはございませんので、できるだけ予備費の方からでも支出していただくように、目下安定本部なり大蔵省の方にお願いしておるわけであります。それから従来一般の治山事業と申してやつておりまする仕事の方としましても、この面を勘案いたしまして、昨年よりも倍くらいの金額をこれにつぎ込み、できるだけ早く第一・四半期、六月の末までには、最も危険な箇所の大部分を修復したい、かように考えまして、県の方なりあるいは前橋営林局がちようど管内でありますので、そちらの方の援助なりを願いまして、極力指導督励をいたしておる次第でございます。今後の問題につきましても、できるだけ早く、できれば二十五年一ぱいに全部を修復したいと考えております。
  59. 森山欽司

    森山委員 山林関係しておるのでございますが、今回の地震調査いたしますと、山林災害地域は、必ずしも伐採したあとに限らず、相当雑木の茂つておるところにも、甚大な被害が見られたというのでありますが、今後の震災に伴う被害の発生ということを考ますと、その被害は、結局山林の伐採が相当奥深くまで過度に進んでおる関係上、予想以上に大きくなるのではないかというふうに考えられるわけであります。現在のような状況でもつて山の木を切つて行くということになれば、いかに河川あるいは土木関係、あるいは山林関係砂防工事をやつたといたしましても、防げるものじやないという感じを持つておるので、従つてこういうような地域における山林の所有権について、何らかの全般的考慮を加える必要があるのではないかという感じもいたすのでありますが、それについて御所見を伺いたい。
  60. 中田幸吉

    中田説明員 ただいまお話のございましたことは、ごもつとものことでございまして、ただ所有権云々の問題につきましては、私担当でございませんので、ここではつきり申し上げることはちよつと困難かと思います。ただ伐採が現在のように進んでおる、こういう場合に災害をかえつて大きくするのではないかという御説は、もつともだと考えております。それで現在私の方でやつておりまする対策といたしましては、森林法に基きまして、最も危険な区域というところは、制限をいたしております。これは保安林に編入をいたしまして、その地帯については補償というか、免税をいたしておるわけであります。ただいま申されました趣旨につきましては、私らの林野庁の方としても考えておるのでありまして、その一つの現われとして、二十五年度におきましては総合的に予算の配賦を考えまして、つまり相当未開発の林野が残つておる地帯につきましては、これを集中的に開発して行く、なおただいまおつじやいましたように、伐採が進んでおりまして、山が非常に荒れておる地域には、伐採を全然入れない、つまり林道の計画を抑制いたしまして、造林なり砂防なりそういつたものを集中的に行つて、できるだけ早く林力の回復をはかり、全体的に均一なと申しますか、片寄つた伐採をしないような方法を現在とりつつございます。その所有権の問題をちよつと申し上げておきますが、これは別に所有権の指定といつたものをしなくても、ひとつ考え方としましては、法的に何か制限をする、特定の地域と申しますか、重要流域の上流地帯、あるいは特に下流河川、あるいは里山が荒れておるような山につきましては、伐採の制限なり、その他のいろいろな面で制限をして行く、こういうような方法がある程度考えられるのじやないかと思つております。そういつた面から考えまして、最近森林法の改正といつたことも、ある程度考えられておるようではございますが、その点につきましては、ここで私は申し上げかねますので、いずれ次の機会に部長あるいは長官の方から御説明を申し上げることになると思います。
  61. 森山欽司

    森山委員 それでは森林法について、一種の制限的な法規を加えることを目下考究中であるという趣旨でございますね。
  62. 中田幸吉

    中田説明員 制限の方は、ただいまでも加えております。それは保安林に編入いたしまして、制限をやつております。もう一つは、施業案というものをつくりまして、森林、特に民有林の経営を指導しておるわけでございますが、これをもう少し強力なものにいたしまして法的な根拠をつける、こういう方向に進みつつあるのじやないかと考えております。
  63. 森山欽司

    森山委員 従来程度制限をもつて、国土保全上十分だというふうな見方をされておるのでしようか。
  64. 中田幸吉

    中田説明員 これは十分でないと考えております。それで従来のように保安林のみである程度制限をいたしましても、御承知のように、日本は非常に私有林が多うございますので、保安林だけで制限をするということはむりじやないか。私が今不十分と申し上げましたのは、その点でございまして、それ以外に何か伐採の制限あるいは施業案の強行といつたものにつきましての、法的な根拠を考究中と私は考えております。
  65. 森山欽司

    森山委員 私が先ほど所有権という言葉を使つたのは、いろいろな意味で刺激の多い言葉でありますが、要するに現在のような災害をまのあたりに見たときに、この治山治水事業というものを、大きく見ると、山林の経営というものについて、従来より一層の制限というものがなければ、いたずらに穴の明いたバケツでもつて水をくむようなもので、国土保全の見地からいえば、あとからあとから災害が続出して来るのじやないかという印象を強く受けますので、御質問した次第であります。これに関連いたしまして、山林の培養のために、従来造林補助金というものを出しておつたのでありますが、これはどういうことになつておりますか。
  66. 中田幸吉

    中田説明員 私その担当でございませんので、よく存じませんが、私の知つております範囲でお答え申し上げます。従来個人でも県でもあるいは会社でも、すべて造林事業につきまして、国票四割、県が一割、つまり半分を国と県とで持ちまして、あとの五割を山の持主と申しますか、個人なり会社なりというようなものが持ちまして、実行しております。
  67. 森山欽司

    森山委員 そうしますと、今回のこういう特別な震災地などにつきましては、特に最近の状況から見て造林する必要があると思いますし、特に補助金を増加するというような措置考えることが、災害復旧の一翼としても、必要ではないかと私どもは思いますし、地元にもそういう要望がございますので、あなたはその係でないといたしましたならば、そういう点を、ひとつよろしく御伝言願いたいと思います。
  68. 中田幸吉

    中田説明員 ただいまの点につきましては、帰りましてから、関係の係によく話しておきます。  なお私の方でやつております山林砂防というものは、単に堰堤をつくるとか、石垣をつくるとかいうのが目的ではなくて、くずれた所を全部造林するのが目的でございますので、そういう点の造林は三分の二の補助率をもつて補助をしております。一般の造林と申しますよりも、そういつたくずれた所にいたします造林は、私の方では三分の二の補助率でやつているということをお答えしておきます。
  69. 森山欽司

    森山委員 先ほど小学校の災害について、文部省の方としては、これを補助しているというお話でありますが、その具体的な手続はどうなつておるか伺いたいと思います。
  70. 大内一郎

    大内委員長 文部省の方はもうここにおられませんから、あらためて御答弁願うことにいたします。     —————————————
  71. 大内一郎

    大内委員長 ただいま大蔵委員会において審議中の昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律案は、本委員会といたしましても重大な関心が持たれますので一同法案に関し、大蔵委員会と連合審査会を開催することとし、その旨申出を行いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  72. 大内一郎

    大内委員長 御異議なしと認めます。よつてその旨委員長より大蔵委員会に申し入れることにいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後零時四十八分散会