運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1950-07-11 第7回国会 衆議院 考査特別委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年七月十一日(火曜日)     午後二時五十八分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 安部 俊吾君 理事 菅家 喜六君    理事 内藤  隆君 理事 石田 一松君    理事 小松 勇次君 理事 梨木作次郎君       井手 光治君    岡延右エ門君       島田 末信君    田渕 光一君       西村 直己君   橋本登美三郎君       稻葉  修君    横田甚太郎君       中村 寅太君    岡田 春夫君     ————————————— 本日の会議に付した事件  派遣委員調査報告聴取  委員会調査経過報告書に関する件  土居良子君表彰の件調査報告書に関する件  日本共産党の在外同胞引揚妨害問題調査報告書  に関する件     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  この際公団をめぐる不正事件配炭公団関係及び薪炭需給調節特別会計赤字問題につきまして、それぞれ派遣委員より報告を求めることといたします。第一班北海道班菅家喜六君。
  3. 菅家喜六

    菅家委員 第一班北海道班の御報告を申し上げます。去る六月十五日当委員会の決議に基きまして、鍛冶委員長並びに篠田、塚原両委員、それに不肖私の四名は、事務局員を帶同いたしまして、六月十八日午後六時五分上野発の列車で出発いたしました。十九日小樽着、翌二十日より小樽を初めといたしまして、札幌、釧路、留萠、室蘭の順序によりまして、配炭公団をめぐる北海道地域不正事件を主として調査をいたしました。その際あわせて薪炭特別会計をも調査いたして、七月二日に帰京いたした次第であります。  現地におきましては、配炭公団清算事務所北海道支部長小樽支部長、その他各地におきまする配炭公団のそれぞれの関係者を呼びまして、その真相を取調べいたしたのでございます。しかしてこれらの証人に対しては、ことさらに宣誓の形式を省きまして、任意供述の証言であつたことを付言いたしておく次第であります。この各地における調査状況は非常に広汎にわたりますので、時間の節約上これを省略して、いずれこれらの報告書に登載いたしまするので、その報告書によつて御承認を得たいと思う次第であります。簡単でありますが、以上をもつて一班北海道班報告といたす次第であります。
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは第四班中国四国班岡延右エ門君。
  5. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 中国地方における配炭公団現地調査報告をいたします。昭和二十五年六月二十日、二十一日の両日にわたり、配炭公団清算事務所広島支部関係者集合を求め、実情を聽取いたしました。出頭者は元広島配炭局長中国石炭株式会社社長津脇勘市君外五名であります。その他広島高等検察庁広島管区経済局中国財務局で各担当者より実情を聽取いたしました。津脇元配炭局長より、業務内容及び赤字原因について、また中国石炭社長として、第二会社設立の経緯、公団買入炭の状況岸支部長より貯炭処分及び売掛金回收状況山陽化学及び興亜石油よりは、売掛金に関する紛争について説明を求めました。  公団赤字の主なる原因は、石炭処分による損失でありまして、これは公団末期における山元の猛烈な送炭に起因いたしております。石炭について言えば、昨年三、四月ごろは、八万トン内外の貯炭が、五月には十万トン、六月十五万トン、七月二十四万トン、八月三十二万トン、九月十五日現在四十五万三百四百六十トンうなぎ上りに増加しております。しかしこれは帳簿面数量で、経済調査庁その他の立会いによつて実測した結果は、帳簿面より約九千トン欠斤があり、確認数量は四十四万四千七百十七トン金額にして十三億二百万円がたなおろし数量金額として確定いたしました。昭和二十四年九月十五日現在の商品損失予想を見ると、最終処分までの欠斤七千八百七十トン金額にして約二百五十四万円、廃棄を要するもの二千五百四十トン金額にして六百二十万円、格下げを要するもの九万六千二百トン金額にして四千六百八十万円、合計七千八百四十二万円のマイナス。コークスでは百四十三万円を欠損と見ております。  しかるに本年三月三十一日の処分価格実績を見ると、石炭は売上げ五億四千万円で、欠損予想の十倍に近い七億六千万円、コークスは三千二百十万円の欠損で、これは予想の二十三倍という驚くべき見積り違いをしています。すなわち石炭帳簿価格トン当り三千円のものが、トン当り千二百円見当コークストン四千八百円のものが、トン二千九百円にたたかれてしまつたのであります。これは公団手持炭が概してその規格を下まわつていたこと、宇部炭のごとき低品位炭が多かつたこと、ことに公団末期に、山元はろくろく選炭もせず、はなはだしいのは泥までもかき集めて洗いざらい送り込み、公団またこれを易々として受入れたことなど、品質規格に合わず、租悪炭が多かつたため、業者にさんざんたたかれた結果と見るべきであります。貯炭処分状況石炭について見ると、指定販売業者向けに販売した八月十五日から九月十五日までの一箇月間に、約十一万トン処分されていますが、生産業者への売りもどし一万二千トン、第二会社たる中国石炭への二万三千トンはよしとして、その他広島瓦斯、三菱化成、三井化学、日鉄工業などへ特別扱いとして七万五千トン処分されていることは、さらに調査を要する問題であると思います。清算に入つてから、すなわち九月十六日からは、一般に拂い下げることとしたが、十一月までに消化したのは約一万五千トンくらいでありました。十二月以降二次にわたる本団の指示価格があつて競争入札をさせておりますが、問題とならず、さらに本団の認可を得て九州炭は一格下げの上、引取賃三百円を引き、その九掛、宇部炭は二格下げ三百円引きの九掛と特認価格で拂い下げたが、これでもせいぜい五、六千トンどまりで問題になつておりません。かような売行不振は、距離的に好條件にある九州良質炭に押されたこと、粗悪炭の定評ある宇部炭も、公団廃止後は、品質改善値段競争によつて、良い品を安くの主義に転向し、加えて金詰まりによるダンピング的傾向も現われ、公団炭いよいよ窮地に追い込まれ、この一般的傾向は、公団側大幅値下げの遁辞ともなり、この間公団職員関係する買炭会社の功妙なかけひきも加わり、二月に至り、さらに九州炭格下げ三百三十円引き宇部炭格下げ三百三十円引きの大くずれとなり、これによつて二、三月で辛うじて三十五万トンを吐き出しております。三月分の拂出しを処分先ごとに見ると、中国石炭には五万トン口と十万トン口と二つあるが、前者は帳簿価格トン当り二千二百円をトン当り三百十円、後者は帳簿価格トン当り二千六百五十円をトン当り百十円、元本団業務局長をしていた馬屋原隆之社長をしている日本海陸運輸には約六万トンを、帳簿価格トン当り千九百四十円に対し、百四十円で拂い下げております。自然発火炭は約一万三千トンで、三ッ子島の五千三百トン日本海陸中国石炭外数社にトン百円で、阿賀貯炭場の二千三百六十トントン五十円、境貯炭場の二千八百トントン七十円で、いずれも中国石炭へ売却している。以上のごとき捨値によつても、遂に七万七千五十五トン残炭を見るに至つております。しかしこれは帳簿上の数量で、実際は四万七千二百六十八トンしか実在せぬということとなつております。  九月十五日から本年三月三十一日までの一般処分欠廃四万七千四百五十五トン一括処分欠廃二万九千七百八十七トン合計七万七千二百四十二トン、約一七%の欠廃を生じております。欠廃率のとり方もいろいろの條件によつて違うのでありますけれども、ごく甘く見て、九州炭については欠斤率、塊七%、粉六%、切込六%どまり宇部炭については、塊九%、粉七%、切込八%ぐらいで、自然発火風化率は、九州下級炭二%、宇部下級炭五%ぐらいであつて、一七%の欠廃率ははなはだ納得に苦しむところでございます。  中国石炭最終一括処分として、右帳簿面七万七千五十五トンを一千百六十三万円、トン当り百五十円、実在量に対するトン当り二百五十円見当で買受けております。もちろんこの価格は本団の裁定委員会の決定したものでありますけれども、公団貯炭の末路はかくも悲惨なものであります。  売掛金回收状況を見まするに、五月三十一日現在で、旧勘定残高二億一千万円、新勘定七千七百五十万円で、旧勘定煉豆炭業者石灰組合窯業等売掛六千万円は焦げつきとなる模様である。売掛金取立てにつき、中国財務局態度はすこぶる消極的で遺憾であつた。大蔵省の公団清算室は、各公団総裁級清算人を一人だけ送り、清算人付に三、四名の大蔵事務官を配しているが、清算事務所支部にも大蔵事務官を配属した方が効果的ではなかつたかと痛感した。炭代支拂いに関し、いろいろ紛争があるが、山陽化学興亜石油の事例は、公団時代需要者泣かせの一トピックとして取上げてみた。山陽化学昭和二十三年三月から宇部興産窒素工場硫安製造用ガス供給を主たる事業として設立された。公団より入荷する宇部炭は八級四千二百カロリー、灰分三四%、九級三千九百カロリー、灰分三八%と称しながら、実際はこの規格をはるかに下まわり、三千三百カロリーないし三千カ  ロリー、灰分四〇%ないし五〇%の低品位炭であつた。そのため副産物としてできるコーライト灰分七〇%という下物で、当時いかに家庭燃料不足時代といつても買い手はなかつた。会社では十月ごろから入荷する石炭を一一分析して、公団再々改善を申入れたが、依然として保証品位を下まわり、三万トンコーライトを擁してまつたく行き詰まり、二十三年末には公団炭代四千八百万円が未拂いとなつた。宇部炭品質不良はあえて山陽化学のみにとどまらず、一般的であり、石炭庁地方商工局も見かねて、二十四年一月には広島商工局配炭公団の主催で、宇部市に需要者の要望を聞くの会合を催し、持に山陽化学の問題を取上げて、炭鉱側に覚醒を求むること、会社側公団側と立会い分析を行うことを決定した。しかし立会い分析実施後も、少しはよくなつた程度で、依然保証品位を下まわつた。これはそもそも山の格付に端を発しているためで、八級炭の資格のない炭が八級炭として規格づけられているためである。というのは、サンプル採取員を買收したり、サンプル中味をすりかえたり、あるいは格付委員会情実格付をすることなどから起つて来るもので、規格売炭によつた公団炭の常識ともいうべきものである。一旦規格がきまれば、中味はどうでもレツテル通りに売買される。公団は月三回分析により、格付の再審をすることになつているが、実際は励行されない。山元駐在員検炭検量も多くはなれ合いであるから、公団に入る石炭は、質においても量においても不足することは明らかで、悪徳炭鉱公団のある間にかせげるだけかせげの主義品質、斤量のごまかしをやつたものである。その最後のしわ寄せが、トン五十円とか百円とかのべらぼうな値段となつてしまつたのである。山陽化学自分のところを掃きだめと間違えていると力んで、本年三月末品質不良による価格差金二千五百万円、ガス発生量の減少による損失九百万円、タール歩どまり低下三百四十万円、コーライト品質低下二千七百六十万円、合計六千五百万円の損害賠償東京簡易裁判所調停係民事特別調  停申立てをしている。興亞石油臨時作業として、有煙豆炭を製造することとなり、原料炭として特殊炭の割当を希望したが、思うように入荷できず、二十三年第三・四半期に、公団から九州の崎戸、大島、松島、大瀬の海中沈澱微粉を勧められたので、中級粉炭または中級塊炭六、海中沈澱微粉四の割合で配炭することを條件に、四百トンを引受けたところ、佐世保支部から千トン送りつけられた。しかもこの品は保証品位四千八百カロリーが、実際は三千八百カロリーしかなく、許容水分一五%が、二七%より三〇%あり、まるで水船で、バケツで汲み出すといつたしろものであつた。こんな始末で、送炭中止と立会い検炭をし、とにかく一時預かりの形式とし、爾後良質炭を割当て埋合せることとなつたが、公団側がこの約束を履行しなかつたため、炭代二百五十四万円を百万円に値切られてしまい、公団も手が出なかつた。これらも公団職員の仕事に対する誠実さが疑われる一つの例であり、こうしたことの累積が今日の結果を招来しているわけであります。  公団解散をめぐる不正事件として問題となつたのは、元広島配炭局宇部支局岩国出張所長、現岩国石炭株式会社専務取締役富中弘と、同支局小野田所長、現岩国石炭常務縦眞治が、自分たちの経営する会社資金獲得のため、架空な廃棄欠斤盗難炭をつくつたり、またデラ台風で流失したと称し、不当の利得をなしたことが発覚起訴された。その他元配炭公団宇部支局小野田出張所会計主任新内重藏は、防長石炭株式会社運転資金獲得のため、小野田セメントよりの未收金中二百万円を横領した事件で起訴されている。  以上をもつて中国地方における現地調査報告とするが、最後に一言したいのは、現地における損失予想、すなわち昨年の九月十五日に立てた商品損失予想実績との間に莫大な相違のあること、これは他も同様であろうと思う。しかし本団における商品損失予想は、最初から六十七億と見積つている。現地損失予想を基準として立てた見積りなれば、六十七億をはるかに上まわるわけであります。しかるに大体この線内で落ちつくというのが現在の見込みらしい。このことは本年二月以降の処分価格と照し合せ、思い半ばに過ぎるものがある。というのは二束三文の捨て値も、公団からすれば初めから織込済みのものであり、業者からすれば、この事情知つて追込み値段であつたということができるからであります。たびたび繰返すごとく、赤字最大原因貯炭処分にあつた。これにもし以上のようなかけひきがあつたとすれば、まことに重大な問題であります。私は各班の現地調査を総合して、この点を十二分に究明せられんことを希望して、現地報告といたす次第であります。
  6. 鍛冶良作

  7. 島田末信

    島田委員 私は今回の配炭公団並びに薪炭需給調節特別会計赤字問題に関する現地調査におきまして、ただいま報告されました岡委員とともに中国四国を担当したのでありますが、ただいま岡委員報告された以外の地域につきまして、その報告を申し上げたいと存じます。但し詳細は文書によつてあとから提出いたしたいと存じますから、ごく概要だけを申し上げたいと存じます。  まず配炭公団関係から申し上げるならば、昭和二十五年六月二十三、二十四、二十五の三日間にわたり、高松市の四国財務局分室及び坂出町の四国石炭株式会社関係者集合を求め、実情を聽取したのであります。出頭者は元四国配炭局長大橋正行君、配炭公団清算事務所四国支部長小森辰登君、同じく次長岩崎徳二郎君、  四国熱管理協会専務理事樋口幸雄君、以上が高松市であります。四国石炭株式会社社長佐土井榮君、専務取締役藤目一三名、四国通産局燃料課長浜田寛一君、元炭務係長森與吉君、香川県石炭協同組合専務理事戸山徳二郎君、以上が坂出町で、計九名で、その他高松高等検察庁高松管区経済局四国財務局にて、それぞれ担当者より実情を聽取するほか、坂出貯炭場の視察を行つたのであります。その現地調査によつて得たところを要約いたしますと、公団赤字原因は、大量貯炭の背負い込みにあるのでありますが、四国地方公団解散直後、全国に先だち、経済調査庁検察庁不正摘発によりまして、その後の処分は比較的良好のように思われたのであります。いろいろ調査内容やら、あるいは数字的な報告なりにつきましては、先ほど申したように、文書をもつて提出いたすことにいたします。  さらに薪炭需給調節特別会計赤字問題に関する現地調査でありますが、これは昭和二十四年八月その業務を停止してから、すでに約一箇年の間、これが整理に努めて来たのでありますが、全国木炭事務所の中には、今なお整理の完了せぬものがありまして、中国及び四国地区においては岡山、高松、高知の各木炭事務所がその例でありますから、本調査班はこれら三者の所管事務について調査を遂げたのであります。  以下その結果の概要報告するに先だち、調査の主眼をどこに置いたかと申しますと、第一は政府薪炭の受拂い、すなわち買入れと売渡しとの関係でありまして、両者の数量が一致しないところに、年二、三億に達する減耗損や、約十億と称せられる現物不足の問題が介在するのであります。  第二は特別会計停止時に保有した在庫薪炭処分であります。林野庁においては、当初特別会計業務停止による損失として、在庫品減耗値引き及び経費損、計二十億と推定していたのであります。  第三は債権債務整理状況であります。政府債権調定及び回收のいかんは、実質上本特別会計赤字に影響するからであります。しこうして以上の三点に関しては、また最も多く不当取引の発生する余地があるとされるのであります。  次に詳細な結果を各木炭事務所別に申し上げたいのでありますが、これも詳細は文書をもつて提出することにいたします。以上簡單でありますが、概要だけを御報告申し上げます。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは第二班の東北班橋本登美三郎君。
  9. 橋本登美三郎

    橋本(登)委員 東北班は本員並びに稻葉委員、さらに安部委員の三名でありまして、石炭公団関係については稻葉委員から報告があると思います。本員は薪炭特別会計赤字問題調査について現地調査報告を申し上げます。  六月二十日より岩手宮城福島の三県に出張いたしまして、それぞれ関係当局者並び指定集荷及び卸売業者の参集を求めて、詳細な事情を聽取したのであります。  昭和十五年薪炭需給調節特別会計が設定せられてから、特に戰時中並びに戰後の種々なる制約のもとにおいて、国民生活の確保のために、生産者並び関係業者が非常な努力を拂われた事実については、赤字問題とは別個に、東北各県の官民の努力に対して、深く感謝の意を表する次第であります。しかるにこれらの努力と協力があつたにかかわらず、結果においてこの努力を裏切るがごとき厖大なる赤字が現われましたことについては、またそれに伴う不正事件がありましたことは、まことに遺憾にたえないところでございまして、現地調査の結果は、この赤字原因と目されるものが、数点あるのでありますが、特に四点を指摘したいと思うのであります。第一は、統制事務を悪用いたしました一部不正業者のから供出、あるいは幽霊供出によるところの悪徳行為の結果があります。第二は、統制による薪炭の取扱いが、まつたく商行為であるにもかかわらず、これを無視した官僚の統制事務におけるところの責任が一つあります。第三は、監督官庁が規定または契約に一切の責任を転嫁してしまつて、しかもその監督官庁がその責任を十分に盡しておらぬ。こういうのが第三点であります。第四点は、本庁特別会計の組立てにおいて、実際上の運営を無視した予算が組まれておるのではないか、これが実績との間に非常な差違が生じた結果が、五十数億という厖大赤字が出た原因であるように考えられるので、この点については、本省について詳細に予算的検討を行う必要があると思うのであります。  本報告におきまして、現地関係の前記三項目について簡單調査の実例を申し上げますと、第一のから供出幽霊供出につきましては、岩手水沢町のまきのから供出でありますが、まき生産者菅原政治が、政府まき輸送代行機関である日本通運株式会社水沢支店車扱い、並びに作業係長鈴木榮、同金ヶ崎営業所長であるところの高橋吉藏、並びに発送係員である菅谷現二等を、共謀または欺罔いたしまして、現品の搬入がないにもかかわらず、搬入したものとして仮受領証を発行せしめまして、それを胆沢林産農業協同組合を通じて盛岡木炭事務所より代金を受取つたので、これが昭和二十三年八月から十二月までの間に数十回にわたつて連続的に行われ、その金額は一千二百二十六万余円になりまして、そのうち現実供出した金額を差引きましても、なお八百六十五万円という厖大金額を騙取したのであります。本件はもちろんそれぞれ詐欺罪または背任罪として、二十五年三月に起訴せられて、盛岡地方裁判所水沢支部の公判に付されております。同じくこれと似たような事件でありますが、福島県下におきましても、まき生産者尾形今朝吉渡邊徳小野徳四郎などが、政府代行機関であり、検收員であるところの、日通の福島支店金谷川営業所長矢仲貞雄福島薪炭林産組合福島出張所総務主任柴山桂その他と共謀して、供出のないにもかかわらず供出したことく装つて、これが仮受領証を発行せしめ、また数字が改竄などを行いまして、合計二十一万二千九百束のまきのから供出によりまして、代金七百三十万円を入手しているのであります。この不正供出は、まじめに供出努力いたしました生産者の名誉を傷つけるばかりでなくして、まことにその結果が多方面に及んでおるのであります。しかしその原因は、先ほど申し上げました第二点の統制業務が、單なる書類の往復をもつて巨額の金額が自由になし得る制度の欠陷と、数十万円または数百万円の商品供出するにあたつて、その生産行程において資金が必要であるにかかわらず、この資金調達について政府が考慮しておられなかつた。またこれがために一種の商行為であるように考えて、これらの供出代金というものを、前渡金の借入れをしたつもりでもつて悪徳業者が利用したというところにあります。従つて現実に暴露せられました事件としてはこの程度のものでありますけれども、相当にこれらのことが実際上行われておつたように考えられるのであります。しかも政府昭和二十四年七月三十一日に政府薪炭買上げを廃止いたしまして、手持品大量売渡し行つたのでありますが、その場合において帳簿数字によつてこの拂下げを行いました結果、これらの騙取いたしました幽霊供出もしくはから供出なるものは、数字上これを下請機関である連合会との間に決済を済ませておりますので、実際これによつて国家損害を與えておらぬのが現状であります。こういうような不正や悪徳が公然と行われましたについては、結局先ほど指摘いたしました第三の点でありますが、統制方式というものが、政府生産現場から積出しの駅に至るまでを生産指定業者と契約して責任を負わしめ、また駅から消費地までは、指定輸送業者と契約して政府代行機関を置く、こういうふうな方式をとつて監督官庁としては、まつたく金銭上においては責任を負わないような建前をとつておる。こういうようなずるい、まことに巧妙な統制方式を利用することによつて、一方においては不正が行われ、一方においては官庁責任を負わないという態度になつておるのであります。しかもこういうような巧妙な方式を埋め合せるような意味合いから来たと考えられるのでありますが、いろいろな名目によつてこれらの費用を加算させておるのであります。たとえば減耗率の設定、資材費検收補佐費横持料保管料、積下し、引つけ料、その他数多くの項目によつて実際上は相当の費用業者もしくは生産業者に支拂われておる。こういうような方式をとつておるようであります。世間において問題にされたのは、二十四年七月以降において、政府手持薪炭を一齊に売りもとしておりますが、政府においては昭和十五年特別会計を設定して以来、いまだ今日まで一回のたなおろしもせず、二十四年七月の買上げ廃止後において、初めて実施したわけであつて岩手県、福島県、宮城県においても、相当数量のものを一挙に売りもどしを行つたのでありますが、この値引きについては、特に評価委員会のようなものを設定して、公正なる値段を決定すべきであつたと思われるのでありますが、單に二、三の関係官庁専門家の意見を徴しただけで、決定しているのであります。岩手県において調べますと、在庫品平均三割三分を値引きして拂い下げているので、約二千五百万円の国家損害となり、福島県にあつては、在庫品平均四割八分の値引き拂下げているので、約一千二百万円の国家損害となつているのであります。これらは主として輸送の不円滑及び風水害による自然減耗が主であつて、これが厖大なる特別会計赤字が出た原因とは考えられないのでありまして、これらの生産県が十年間に取扱いました数量は、岩手県、宮城県、福島県の三県において約四十億に達しておるのに対しまして、これらの損耗が約五千万円でありますから、この比率は必ずしも不当な減耗率とは考えられないのであります。  以上の現地調査から考えましても、これらの赤字の根源は、もちろん現地当局並びに一部関係業者においてもその責任がないとは言えないのでありますけれども、根本の重大なる原因は、特別会計の運用自体にあることをわれわれは推論せざるを得ないのであつて、この特別会計それ自体について愼重なる検討が必要であり、官業による統制がいかに国民経済にとつて不利であり、原則として官業による統制経済を行うべきでないということを、調査の結果からわれわれは明らかにすることができたのであります。なおこれら関係書類については、随行の事務局員から提出することになつておりますので、それによつて調査を願います。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 同じく東北班稻葉修君。
  11. 稻葉修

    稻葉委員 配炭公団現地調査東北班の御報告を申し上げます。  六月十九日、二十日、二十二日の三日間平市元配炭公団常磐支団事務所及び仙台市仙台管区経済局、盛岡市盛岡地方検察庁関係者の出頭を求め、実情を聽取した結果は以下の通りであります。出頭者は小名浜貯炭場係員小牧重三君、元常磐支団経理課長寺田大次郎君、仙台管区経済局監査部長野間忠義君、配炭公団清算事務所仙台支部長小野昌治君、盛岡地方検察庁副検事菊池貞治君の五名であります。寺田、小牧両君よりは主として常磐支団関係、小野君よりは仙台配炭局関係、野間君よりは公団運営を監査した結果、菊池君よりは不正事件の捜査顛末につき、それぞれ実情を聽取したほか、小名浜貯炭場の視察を行つた次第であります。  まず第一に常磐支団の業務の大体は、茨城、福島両県下で生産される石炭を一手に買取り、これを仙台、東京、名古屋の配炭局へ輸送し、着駅または港頭で引渡すものでありますが、公団発足以来、廃止までの間に当支団が買取つた石炭数量は、六百六十三万三千四百八十二トン金額にして百十億七千三百五十四万二千円、解散時の昭和二十四年九月十五日現在における持越数量は九千二百六十四トンで、同年十二月末までに、東京、仙台両配炭局へ拂出しを終つております。当支団管下の貯炭場は荒川沖と、海上輸送の積地貯炭場である小名浜の二箇所でありますが、たなおろし実施時における欠斤状況は、荒川沖が二百九十五トンで、これは同所の受入数量九千六十一トンに対し三%弱にあたり、さして問題にするほどの数量ではありません。小名浜の場合は、キテイ台風により千二百トンを流失しております。これは船積みの関係から、台風でも来れば当然流失を免れぬ地点に貯炭した結果でありますが、その原因公団係員の怠慢、不手際に帰するよりも、むしろ後に述べるがごとき不合理きわまる常磐炭の海上輸送を、監督官庁並びに本団が強行させた結果の犠牲の一部と見る方が妥当のように思われるのであります。   第二に常磐支団からの送炭は、公団末期において、特に規格以下の粗悪炭が多く、東京、仙台両配炭局における貯炭場の自然発火は、ほとんど常磐すそもの炭がその原因となつているという非難がありますので、炭質検査及び検量が適正に行われていたかどうかにつき、関係者から実情を聽取しました。寺田元支団経理課長の説明では、規格の決定は支団直属の分析所で科学的に分析の上なされるもので、試料の採取は約二週間前に採取員が出向くむねを山元に通知いたしますが、実際の日時は通知せず、試料は原則として貨車積の石炭から採取するので、この間に不正や情実の介在する余地はなく、また検量の点についても、再三山元駐在員へ注意して厳重に励行させていたので、間違いはないと信ずるという話しでありましたが、富士炭鉱その他二、三の石炭については、揚地の東京配炭局から規格以下の粗悪炭であるとのクレームが起り、山元へ交渉して格下げした事実を認め、さらに公団末期における夜間積出しの際、あるいは粗悪炭の混入、欠斤があつたかもしれず、その点保証しがたいと付言しております。  仙台管区経済局の監査報告によれば、分析所の試料採取員が山元へ出向く日時は秘匿されてあるはずなのに、事実は詳細な日程が事前に漏れていたのを常としていたらしく、試料についても山元で工作された疑いがなきにしもあらざる状態で、さらに山元駐在員のほとんどがしろうとの引揚者、復員者を採用したものであり、その点遺憾の点があつたことは、小野仙台支部長も認めておる次第であります。これらの山元駐在員は、配置の不適正から住居の関係で、担当積出駅へ汽車通勤する者が多く、かつ時間外勤務をやらぬことや、デスク・ワークの多いこと等のために、現場に行つて立会う時間が少い結果、完全な検量は不可能で、特に夜間積出しの場合など、ほとんど立会つていなかつたの実情であり、常磐支団、仙台配炭局への山元駐在員からの報告書は、実地監査の結果から見て、まつたく信を置くに足りぬものであると、野間経済監査部長も言つております。この間の事情を最もよく語るものは、小牧、小名浜貯炭場係員の証言で、同人は同貯炭場に貨車で送られて来る石炭コークスの検量を目測で行い、また船積みの荷役に立会うことを職務としていたものであるが、同人の言によると、公団末期山元がむりをして夜間貨車積みしたものに粗悪炭が多かつたように思われます。一例をあげると、一見して規格以下のひどい石炭が送られて来たので、特に置場をかえて貯炭し、ただちに支団へその旨を通告したところ、あらためて分析の結果、規格にかわりなしということで、夜間積み出したため、貨車の清掃が十分でなく、そのため粗悪に見えたのであろうとの説明であつたというのであるが、一見して粗悪炭とわかり、そのため置場までかえて貯炭するほど土砂その他異物の混入した石炭を、一部良質炭の再分析の結果だけで、山元格下げを交渉する等のこともなく押し通したというのは、支団当事者の不誠意、無責任さを語るものであると思われます。また欠斤について同人の言によると、送られて来る石炭が貨車の側板から二、三寸低下しているのは普通のことなので、この点も支団に注意したところ、山元駐在員の説明では、貨車連結のたびに炭質によつて低下するもので、欠斤ではないとのことでありました。これを要するに、当支団の検量、検質が完全なものでなく、その結果、公団末期において常磐炭の悪名をとどろかしたゆえんも、ある程度うなずけるものがあると思われます。  常磐支団関係調査において最も注目に値するのは、常磐炭の海上輸送の問題であります。すなわち常磐炭の東部地区向け輸送は、すべて陸運によるを有利とするもので、常磐線綴駅を基点として、清水港及び名古屋港を着地とした場合の運賃比較は、海送費は陸送費の約三倍高についております。しかるに公団は、昭和二十三年四月六日より二十四年一月二十九日までの間に、試験輸送と称して二十回にわたり清水、名古屋、大船渡港向け合計三千十トンの海上輸送を試みました。これによる汽車運賃との差額合計は、清水港向け分三百五十万円、名古屋向け分五百四十九万円、計八百九十九万円となり、大船渡港向け二回分千二百五十八トン分を加算すると、さらにその額は増大します。常磐炭の海上輸送は、経済的に不利であるばかりでなく、能率的にも、小名浜港は水深わずか六メートルで、六、七百トン以下の小型船でなければ、直接船を岸壁に横づけさせることができないので、この種船舶では一気に大量の輸送をすることもできません。また貨車により埠頭までの中間輸送も必要であります。当時すでに鉄道側の配車事情も好転して来ているので、東部地区向けについては、陸運直送にまさると思われる点は少しもないにかかわらず、これを実施し、理由は、支団側では、石炭庁よりの慫慂により、試験輸送として、公団本部のさしずのままに、配船に対する積込みを行つたと称しております。本試みは昭和二十四年一月末をもつて一応打切られたはずでありますが、実際は公団廃止時期まで、その後も引続き行われたもので、結局昭和二十三年四月より同二十四年九月までの間に、二万六百七十一トンを海上輸送しております。これを同期間内における静岡、愛知両県向け鉄道輸送数量計三十万四千六百八十七トンに比べると、わずかに六%にすぎず、陸運直送力の不足を補うために、三倍も高い運賃をかけて海送したという弁解は成り立たないのであります。寺田元支団経理課長も、常磐炭の海上輸送については、支団は当初から反対で、配炭計画をきめる炭繰会議席上でも、数次にわたつてこの問題について反対意見を主張して来たが、本団のいれるところとならなかつたのは、まことに了解に苦しむものであると言つているし、仙台管区経済局でも、昭和二十四年三月の第一次監査において、常磐炭海上輸送の不合理を詳細に指摘し、同年六月中央経済調査庁を通じて、全国の監査報告とともに通産大臣あてに勧告書を提出したはずであると、野間監査部長も証言しております。本問題は配炭公団赤字累増の一因とも見られますが、監督官庁並びに公団が、現地の反対勧告を無視して、あくまでも不合理な常磐炭の海上輸送を嚴に実施した理由につき、あらためて通産省資源庁の責任当局から説明を求  める必要があると存ずるのであります。  次に仙台配炭局関係でありますが、同局の業務の大体は、小野支部長の説明によると、地方別の配炭計画に基いて、北海道、常磐両支団から供給を受け、さらに山形、秋田、岩手、青森の各県下から産出されるいわゆる本土炭を收買し、産業別割当によつて東北六県の需要者平均月間十万トンを配給していたものであります。このうち進駐軍向け及び釜石製鉄所用が半数を占め、残り半分を一般需要家に供給したのでありますけれども、東北地方は零細な工場が多く、大口需要家はほとんどない状態でありました。仙台配炭局が販売した数量並びに金額の総計は、石炭二百二十万トン、七十五億円、コークス三十六万トン、十六億円、亜炭十九万トン、二億円、金額にして総計九十五億円であります。これら販売代金回收状態はどうであるかといいますと、小野支部長の証言によれば、そもそも公団法の建前では、荷渡しが第一義、代金回収は第二義になつていて、割当証明書さえあれば、代金回收のいかんにかかわらず配給しなければなりませんでした。配炭局部内においても、この点で業務部と経理部がそれぞれの立場から常に対立し、争つていたほどであります。このため公団発足半箇年にして、売掛代金回收状況は相当憂慮すべき状態に立ち至つていたと言つております。野間経済局監査部長の証言もこれを裏書きして、二十四年三月の第一次監査時において、すでに炭代回收は非常に悪い状況にあり、逐月増加の傾向をたどつていました。すなわち仙台配炭局の石炭代金回收は二十三年十二月末で三億六千七百九十一万一千円、二十四年三月末には四億九千五百八十六万二千円に増加を見ております。同じくコークスの未回收は二十三年十二月末で二億一千九百九万九千円、二十四年三月末が二億九千九百七十三万九千円となつております。この原因は金融の逼迫によることはもちろんでありますが、延滞利子もとらず、また荷渡し抑制等の措置も講じていません。分団側の代金回收に対する消極的態度もまた大いにあずかつて力あるものとして、仙台経済局では直接仙台配炭局に対して嚴重改善方を申し入れております。配炭局では、かたがた関係方面からも炭代の強硬回收工作をなすよう指令を受けていたので、二十四年四月以降は、荷渡し後三箇月以上代金納入の遅れている者には爾後の送炭を停止し、かつ日歩五銭の延滞利子を徴收する等の措置をとるに至つたのであります。しかしなお二十四年九月十五日現在の、公団解散時における売掛金回收額は、亜炭を除き十四億円に達していたが、本年五月三十一日現在の残高は五億三千万円となつております。このうち三億三千万円は釜石製鉄所の分で、これは七月中には完済されるはずであり、結局どうしても回收不可能と思われるのは七千万円程度と見込まれております。他は時日をかければ回收可能と思われるのであるが、本年九月三十日の精算時には、なお一億四千万円程度の未回收金を残す予定で、小野支部長も九月三十日までに精算することは不可能であると申しております。  当配炭局の昭和二十四年九月十五日現在におけるたなおろし当時の欠斤及び廃棄炭の数量は、欠斤七千百九十六トン、五六%、廃棄炭四千六百四十七トン、三%でありますが、これらの欠斤廃棄炭を生じた理由として、小野支部長の説明によりますと、山形、秋田、岩手、青森の四県下から産出されるいわゆる本土炭は、炭質がすこぶる悪く、他地方ではまつたく需要がなくて、東北地方で消化する以外に道のない石炭でありますが、昭和二十四年初頭から需給状態が緩和されて来たのに加えて、炭代の強硬回收工作を始めてからは、本土炭の貯炭が急にダブつき出し、さらに公団廃止の声を聞くに至つてからは、本土炭や常磐すそものの低品位炭が、貯炭能力を超えて続々と送り込まれるに至り、当配炭局の常時貯炭能力は二万トンであるのに、二十四年四月には五、六万トン最終時には途中炭を含めて十六万トンにもはね上つたのであります。このため貯炭場も急場の間に合わず、畑地、濕地等不適当な場所に貯炭するも、またやむを得ない状態に追い込まれました。本来本土炭の下級炭は、一箇月も野積みすれば、風化してボロボロの状態となり、また常磐すそもの炭は硫黄分、揮発分が多く、自然発火のおそれが多分にあるもので、このため塩釜、船川、紫野の貯炭場では、遂に自然発火を起すに至つたが、これらの事情欠斤廃棄格下炭を出した理由であると述べております。  なお貯炭拂出しを完了した本年五月三十一日現在の最終欠斤廃棄、格下炭の数量は、欠斤一万一千トン廃棄炭七千トン、格下炭五万トンに達しております。仙台経済局の監査も、この間の事情も大体認めておりますが、ただ貯炭の管理状況が不良で、自然発火の予防措置、発火後の処置、及び盗炭防止に関して必要な考慮が十分に拂われていなかつた点を指摘しております。なお格下げについては、作為的なものはなく、やむを得ざるものと認めております。  公団廃止後の残炭処理につきましては、本団の指示価格に基き、東部石炭販売会社ほか数社の販売業者に逐次拂出しを行い、また廃棄炭に近き炭も、その都度財務局の許可を得た例外価格で拂出しを行つていて、東北地方においては協同組合の設立による一括処分等は行われなかつた次第であります。東部石炭販売会社資金二百五十万円をもつて設立され、専務、常務、監査役を初め、営業経理両部長を旧公団職員が占める第二会社的性格が濃厚なものであるが、同社への拂出し数量金額並びに入金額は、石炭六万一千トン、五千六百万円、コークス九千七百トン、二千四百万円、総計八千万円のうち、本年六月末までに一千七百六十五万円が入金し、残高は六千二百万円となつているのであります。その他例外価格で同社に拂い出した石炭は千五十六トンで、代金回收済みであります。この間に情実的な拂出しが行われたかいなかについては、目下のところでは残念ながら確認されていない。ただ最終的に残つた廃棄炭を無償で同社に引取らせる申請については、仙台財務局でなお検討中であります。  次に亜炭代金の回收見通しについてでありますが、これはすこぶる悪く、ほとんど回收不能に近いものと見られております。統制廃止当時、亜炭の貯炭の量は約十五万トンでありましたが、生産業者公団の手でこれを処理されると、ダンピングのおそれがあつて不利であるとなし、盛んに売りもどしの運動を行つた結果、価格査定委員会の査定に基いて、公団業者と売買契約を結びました。この売りもどし亜炭代は七千五百万円で、昭和二十四年三月三十一日までに、三回の分割拂いで代金を完済する契約でありましたが、期日までに一銭の入金もなく、その後総司令部の指示もあり、数度嚴重督促に及びましたが、なおほとんど入金のない状態でございます。中央の方針では、昨年十二月一齊に強制執行をするはずでありましたが、業者実情からそれも不可ときまり、目下悪質な業者の百件に対し、金額にして三千万円の訴訟を起しております。  次に東北地方配炭公団不正事件は、常磐支団関係で選別炭の横流し事件があり、福島地方検察庁平支部で、支団業務部副部長鶴山菊二郎外四名の公団職員を、物価統制令違反の幇助並びに收賄の罪名で起訴しましたが、一審では無罪の判決があり、これに対し検事控訴がなされております。目下係争中であります。  仙台配炭局関係では、厨川貯炭場の盗難事件と盛岡支局の荷後炭売捌事件がありますが、盛岡地方検察庁により、前者は犯人三名が窃盗罪で起訴され、後者は横流しの代金十三万四千円を被疑者の元支局長帷子康三が弁償した結果、起訴猶予となつております。いずれも地方的な小事件でありますけれども、厨川貯炭場から白晝堂々と十三台分の石炭が搬出されておるのに、公団職員中だれ一人これに気づかなかつたということは、貯炭管理に対する公団職員の怠慢、関心の程度がうかがわれ、また横流しした荷後炭代金の大半が接待費に費消されていたということは、まことに注目に値すると同時に、遺憾にたえない次第であります。  最後公団赤字の根本的原因について、小野仙台支部長に意見を徴したところ、公団赤字の大部分は、公団末期における貯炭の激増に基くものでありまして、これは公団法の不備により、公団が無制限に買取り義務を負わされていた結果であります。また昭和二十三年秋ごろより、すでに需給関係東北地方におきましては緩和され、経済事情もかわつて来ておるにもかかわらず、政府はいつまでも四千二百万トンの看板を掲げて増産政策を推進した結果、公団は需要のない石炭をいたずらに買い込んで、これをどろに化してしまうという始末となつたものであります。公団廃止の時期もおそきに失したきらいがあり、急激にこれを廃止せず、需給緩和の見通しのついたころより、段階を経て廃止いたしたならば、かくのごとき混乱も避けられ、従つて赤字も出なかつたのであろうと思うのであります。以上御報告を終る次第であります。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 第三班、名古屋、大阪班、田渕光一君。
  13. 田渕光一

    ○田渕委員 時間の都合と、大体調査の範囲が非常に広かつたので、完全な調査は目下なしつつあるのでありまして、中間報告にして、後刻書類もしくは次の委員会報告したいと思います。  大体私の受持ちましたところは東海と近畿でありまして、主としてこの消費面であります。少くともこの配炭公団のこの赤字が大阪、名古屋において多く出ておるという主眼のもとに調査したのであります。六月二十二日に、名古屋市の東海財務局に、名古屋の配炭公団清算事務所名古屋支部長である渡邊耕二君、東海財務局管財第一課長岩沙徳二君、名古屋管区経済局物資調査課の課長池田廣男君、東海有煙炭協同組合理事長倉岡逸人君、加越石炭協同組合理事長米倉外次郎君、瀬戸陶磁器工業協同組合業務課長美和比呂志君、愛知県煉炭事業協同組合理事長森國雄君を呼びまして、調べたのであります。それから六月二十四日、二十五日には大阪の近畿財務局におきまして、配炭公団清算事務所大支部長、元の大阪配炭公団支局長でありました小澤幸助君、大阪石炭協同組合理事長大西善郎君、大阪石炭コークス株式会社常務取締役岩井長政君、近畿財務局長鹿島準太郎君、大阪管区経済局査察部長鈴木武男君、大阪府煉炭工業会次長藤本義清君を調べたのであります。簡單に申しまするならば、公団廃止当時に百五万トン貯炭のありましたものを、三十万トンを進駐軍、鉄道、あるいは日発に処分をいたしまして、残り七十五万トンという厖大なものを、わずか一億七百万円で処分いたしておるのであります。大体金額にいたしまして、購入当時三十三億に近いものを、わずかに一億七百万円で処分したというころにわれわれは着目をいたしまして、はたしてこれはどういう方面から来たかということを調べましたところが、名古屋におきましても、大阪におきましても、経済科学局長マーカットの指令によるものだと逃げたのであります。そこで中央でマーカット指令の写しをとつてみました。ただいま読み上げますが、こういう指令が出ておりますものを、ことさらにただちに処分しろというようなぐあいに、えてかつてな解釈をして処分したのであります。すなわち経本宛経済科学局覚書(一九四九・八・二四)を読みますと、「二、日本政府の勧告は次の如く修正及解釈の上受諾する。  三、石炭生産の向上及配炭公団貯炭増加の結果下記の目的達成のため成るべく早期に対策を講ずることが必要である。  (イ)できるだけ早く如何なる場合にも九月十五日以前に公団による石炭の買取を取り止める。公団は同日迄に正式に廃止せられ清算のためにのみ残存する。  (口)直ちに公団の手持石炭の秩序立つた処分を開始し遅くも明年四月一日迄に完全な処分を行う。」この(口)が問題であるのであります。こういう指令に基いて、その七項に「経本長官は上記対策実施に関する計画を作成し、遅くも八月二十七日迄に提出されたい。」こういう指令が出ておりますので、当時の安本長官がこの三日間に出した計画によつて処分されなければならない。しかるにマーカットはただちに幾らでもいいから売つてしまえという指令を出したのだというのであります。三十三億という金額のものをわずか一億七百万円で処分したというのは大阪だけであります。たとえば名古屋におきましても、無煙炭は八十五円で処分しておる。また大阪におきましては百二十円で拂い下げた無煙炭を、住友金属、いわゆる扶桑金属でありますが、これに七百トンを二千二百円でやつておる。いずれも調べますと、配炭公団の前職員たちが第二会社にひとしい組合をつくつて、これにどんどん処分してしまつた。かような重大なことを、限られた日数で十分な調査はできないのであります。まずわれわれはこの経済科学局長の指令の内容調査し、また経済安定本部長官の計画を調査すること、そうしてこの指令によつてどういうぐあいに処分したかという点まで行かなければ、結論は出ないのであります。目下それを調査しておるのであります。少くとも石炭屋が寄つてつくつた日本石炭株式会社、それが配炭公団と看板をかえて、そうして配炭公団が、先刻岡委員から報告があつた通り、山元からどんどん土であろうが、炭であろうが、送つて来るものは何でも受取つたということがあつたわけであります。ことにこの問題については、大阪に重点を置かなければならなかつたのであります。かような意味で目下調査中であります。  それから薪炭特別会計に対しましても、名古屋大阪を十分調査いたしましたが、ことにはなはだしいのは三重県の空気木炭でありました。わずか一日にして数箇村の伝票をつくつて、一千万円の金をとつてしまつた。そうして二月から十一月まで九箇月間これを無利息で使つておつた。また石炭その他の登録制に関して、はなはだしいのは一千万円近い金を消費して、これらをみな焦げつかしておるという状態、こういうものがわずかに一週間や十日で調査できるものではありません。私は愛知県、三重県、岐阜県、富山県、石川県、さらに近畿におきましては京都、大阪、和歌山、奈良、滋賀、兵庫、この二府四県の調査をするのには、まだ相当な日数が要すると思いますから、十分調査の上後刻報告したいと思います。
  14. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 第五班九州班、中村寅太君。
  15. 中村寅太

    ○中村(寅)委員 九州方面調査班は、本員ほか坂本委員、横田委員、中薗調査員及び白井事務補助員の計五名で、旧福岡配炭局関係及び旧九州支団関係につき、六月十九日以降左の証人を喚問あるいはまた出張調査をしたのであります。元配炭公団福岡配炭局長、現配炭公団九州支部長戸村民二、福岡地方検察庁検事正堀部浅、元配炭公団九州支団長堀久保正治、元配炭公団九州支団現業課長長岡隆、元西日本石炭輸送株式会社経理部管理課長益雪小太郎、元西日本石炭輸送株式会社業務部副部長柳井庸夫、若松石炭協会副会長幸田悟明、唐津石炭協会会長兼唐津港運株式会社社長小林又右衛門、以上であります。  なお石炭及びコークスの保管状況につき若松、戸畑、八幡地区の保管場及び唐津地区の保管場を調査したのであります。調査概要はきわめて広汎にわたつておりますので追つて文書で提出したいと思います。  なお薪炭特別会計赤字問題に関して、福岡木炭事務所に日高事務局員と同時に、本員並びに坂本委員、横田委員、中薗調査員、白井事務補助員と六名で木炭事務所調査いたしたのでありますが、その結果の内容につきましても、文書報告いたしたいと思います。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは派遣委員報告はこの程度にいたします。     —————————————
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次にお諮りいたします。本委員会はその設置の決議に基き、月一回意見を付した調査報告書を議院に提出することになつておりますが、委員派遣等もありまして延びのびになつておりましたが、本日お手元に配付してあります通りの簡單調査の経過報告書を、委員会報告書として決定いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは御異議ないものと認め、本委員会報告書として提出することといたします。なお字句の整理等につきましては委員長に御一任願います。     —————————————
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に土居良子君表彰の件につきましては、調査部において検討整理いたしました結果、お手元に差し上げてある通りの土居良子君表彰の件調査報告書原案を作成いたしましたので、本報告書案を議題といたします。まずお手元に差し上げて、後に事務当局において訂正した箇所がありますので、その点を申し上げまして案を確定いたしたいと思います。第四枚目第十一行の「肱川村全般について麦の供出完了日の状況」とありますその下へ、「が年ごとに改善されて来たこと」と、これだけ入れていただきたい。それではこれより本報告書原案について討論に入ります。横田甚太郎君。
  20. 横田甚太郎

    ○横田委員 こういうような小さい問題は、別に賛成したり反対したりするほどの問題ではないのですが、ただ無條件には賛成できない。しかし悪意ある反対もする必要はない。ただ事実を正視して、共産党の態度を明確にし、結局において反対しておきます。  調査報告書が非常に羅列的であり、表彰するために文字を連ね、文句を探すというきらいがある。その一例をあげてみますと、表彰の基礎になつておるのは善行兒童となつておる。その善行の基礎が孝養と増産であり、供出の完納となつているが、そのお母さんが死んだときの遺言に供出を完納しなさいと言つております。この遺言をこの子は現実に守つておりますが、しかしこのお母さんの言葉は、昭和二十二年当時の日本の供出制度がどのくらい悪かつたかということをのろつている証拠だ。この母が現在生きており、また日本政府において日本の農業法規を守るのであれば、供出のためのこの遺言は不要であつたのだ。そういう言葉が現実に入つておるということは、非常にお母さんが供出に悩んでおつて、日本政府の收奪がひどかつた証拠だ。それからこの子は増産した増産したと言いますけれども、お父さんのいた当時においては畑が三反二畝、田が三反、計六反二畝あつた。それが今度証人を呼んで調べますと、四反五畝に減反しております。減反しておつて増産したとはどうしてもわれわれには受取れないのであります。農業は個々の経営であるにもかかわらず、この子たちの耕作が増産したとなつている。さらに反当收量が上つておらないにもかかわらず、増産したというのは実にインチキである。また供出の性質というものがはつきりしておらぬ。供出したしたと言つておるが、米で、出したのか、麦で出したのかはつきりしておらない。これを谷本証人について調べてみますと、二十三年、二十四年は麦とかんしよの供出をしただけだと言つております。また萬願寺証人は、とうもろこしを青年たちが十一日、十二日の二日間交替で植えてやつたと証言しております。米はこの子はあまりたくさんつくつておらないのであります。青木知事も、良子の供出は麦でございますとはつきり言つておる。米を供出したということは一つも言つておらない。また五島証人は供出の面ばかりなく善行兒童だと言つて逃げております。同証人はさらに、生産に邁進し供出を完納したその一部で、小さい子供をまつたくこの子一人で背負つてつておるという意味で、こういう年齢層の、こういう貧農の——そういう意味で取上げるので、その点ちよつと調書と合わないのですと言つて証言を逃げておる。この事実よりして、この子の農耕と供出問題がはつきりして来る。供出の出ないのは、政府生産者の引合わない価格で百姓のつくつたものを強奪しようとするから、これではたまらぬと人民がそのやり方に対して、自己の労働の成果を守るため、また来年の農耕を守るための当然の経済行為なのであります。その供出をこういうふうに観念的にすりかえておるということは非常に下劣なやり方である。そのためにこの証人たちはこう言つております。強権発動寸前であつたこの村の空気が一変して、従前の供出よりは早く村の供出が出たと言つております。さらに二十三年度、二十四年度の供出は、それこそ良子の勝利であつた、二年続いて肱川村で完遂のトップを切つて、村民の供出意欲を昂揚させたと言つているが、こんなでたらめな見方があるかどうか。田が一反二畝、畑が三反三畝計四反五畝の田畑をつくつております。もしもこの子が米をつくつておるとすれば、反当二石として二石四斗しか收穫しておらない。しかも全部麦をつくつたとして、この村では反当一石だといわれているので、四石五斗であります。米が二石四斗、麦が四石五斗でありまして、この子たちはこれだけの收穫しかないのであります。良子が十七歳、妹が十五歳、弟が十二歳、その妹が十歳、次の妹が七歳の五人家族であつて、一人平均三合として一日一升五合、一年間に五石四斗七升五合の米がいるのであります。本年も良子はいつでも供出できるように、十俵の麦が積んであると五島証人が証言しておりますが、これは以上の農業法規から割り出して行きますと、自分の食うための麦や米が積んであるのでありまして、供出の米や麦が積んであるのではない。それにもかかわらず、十俵の麦が積んであるというような、実にでたらめなわけのわからぬ証言を聞き流している。だから供出の本質も農業の事情もわからず、何を言つているのやら、褒めるために言葉と行動を探す色気づいた野良猫のようなあきれはてた考査である。良子は供出できない量しかとれておらないのであつて、それが供出させられたとすれば、一時出せる程度にちよつと供出のまね事をして、すぐまた配給を受けねばならない。日本経済に意義のない供出ごつこをしていたのであります。転落農家と完全農家の問題の本質のわからないごまかし農業観に感心しているがために、こんな表彰をするようなことになつて来るのであります。日農業はこんな平穏なものではないの   であります。このことがわかつているのにあえてこう扱うやり方は、全国にたくさんある戰争犠牲者や戰災孤児をごまかすために、こういうようなどこにもある善事を——日本人はみなこんな不自由と不合理と耐乏の中に生きているのだ。それを政策的に取上げ、この子をほめることによつて人民の不平を押え、ごまかすための表彰行為で、このチヤンピオンにされた良子さんを日本共産党は気の毒に思い、この子の今後にこそ、いや全国に散在するこのような犠牲者にもつと完璧な対策を立てることを忘れてはならないということを明言します。そうすることによつてのみ初めて青少年犯罪の防止になり、新日本の真の民主的の復興にもなり、心身の健全な青少年の育成にもなり、あるいは育成の実があがるのであります。この基礎的な政策を忘れて、考査委員会で單にほめて済ます、こんなことをするから、ははん、これでは愛媛県、明禮がおる考査事務局、参議院選挙というように結ばれて、日本の難問の本質的整理にはならないで、逆にわれわれ選挙で力んで当選して来た議員が論議を重ね、民主化をはかり、基本的人権を規定して、かえつて業者とパンパンがふえ、警察をふやすことによつて、かえつて治安が気づかわれるような不可解な日本となつてしまつたのであります。この点を明らかにいたしまして、日本共産党は本表彰のあいまいさを警告して反対しておきます。最後にこれをほめたいのであるならば、総理大臣とか、あるいは関係閣僚がほめられたらいいのでありまして、しかもこの子は全国において内外人からほめられ過したのであります。またいろいろな雑誌にほめられているのです。それをことに一々考査委員会においてほめる必要はない。これだけをはつきりしておきまして、反対しておきます。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小松勇次君。
  22. 小松勇次

    ○小松委員 ただいま本件につきまして共産党の方から反対の御意見があつたのでありますが、私はこの言葉を意外に承つたのであります。私は本件に対しては賛成する者でありますので、賛成の意見を簡單に申し上げておきたいと思うのであります。  私どもは日本の再建の基礎は青少年の蹶起と貢献に期待するところが多いのでありますゆえに、常に青少年の問題について多大の関心を深めている者であります。従つて、不良青少年の処罰等に対しましても、罪を犯した者に対してはこれを罰すべきは当然でありますけれども、罰することは罪を改めさせることにあると私は思つているのであります。このような意味よりいたしまして、もちろん罰することもなさねばならぬけれども、さらに進んで明るい面を求めて、りつぱな青少年を世に顯彰することを特に考えねばならぬと思うのであります。従つて、りつぱな青少年があるということは、青少年に対する施策の裏づけとなるものと確信するのであります。さきに本院におきまして、昨年四月十四日でありましたか、各派共同提案の青少年犯罪防止に関する決議案が、民主党、自由党、社会党、共産党まで賛成いたしまして、これが満場一致で可決されているのであります。かようなことも一に青少年の活動に期待するところが多いからであつたと思うのであります。今ここに青少年対策の裏づけとも申すべきりつぱな少女が発見されたのに対しまして、これを表彰すべきものとすることはまことに当然なことであると私は思うのであります。わが意を得たるものと私は思つているのであります。そうしてこの際政府に対しまして、本委員会を通じてさらに健全な青少年の保護育成に関しまして、強力に施策を推進するように要求することは、青少年対策の決議を満場一致をもつて可決いたしました点からも当然のことであり、また同時にこれに反対する御意思がどこにあるかということを私は疑わざるを得ないのであります。ことに本件の調査におきましては、その眼目は良子の生活そのものであつて供出で村民の供出意欲を高揚させたというようなことは良子の知らぬ結果でありまして、そのようなことは本件でおもな問題としていないのであります。その証拠には、この調査報告書の第二章の観点、第四章第一節及び第六章の結論の第一で明らかであるのであります。よつて、本委員は四月十四日のこの青少年犯罪防止に関する決議を推進し、なおここに青少年の前途に光明を認め、明るい日本再建のために土居良子の表彰に賛成する者であります。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 他に討論の通告もありませんから、討論はこれにて終了いたしました。  それではこれより採決いたします。本報告書原案を本委員会報告書として決定するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数。よつて報告書原案を本委員会報告書として決定いたします。なお字句の整理並びに政府に対する表彰の要求等につきましては、委員長に御一任願います。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に日本共産党の在外同胞引揚妨害問題につきましては、先日中間報告書を提出いたしたのでありますが、このたび委員長においてすでにお手元に配布してある通りの調査報告書の原案を作成したのであります。これを議題といたします。  これより本調査報告書原案につき討論に入ります。梨木作次郎君。
  26. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この報告書を見ましてまず第一におかしく感ずるのは、結論として書かれてある事実と、結論を引出す前提となつておるところの前段の部分とは、あたかも木に竹を継いだように不自然であり、いわば牽強附会の感を禁じ得ないのであります。前段に書かれてあること自体きわめてへんぱであり、かつ独断的であります。それでさえも、ここから結論のごとき断定を引出すことは、何か特別の政治的意図を持たない限り、普通の神経と常識を持つている者にはとうていできない芸当であります。これを端的に暴露しておるものとして一例をあげますならば、結論の中では次のように書かれておるのであります。すなわち「社会生活の不熟は、民主運動の展開中に、他人より先に、他人に後れずに帰国しようという心理に駆られて、常に自己防衛と、他人の排擠とに腐心し、これが陰惨なるつるし上げを発明するに至つた。およそこれらの現象は、シベリヤ抑留生活という特異な環境に置かれて露呈した日本民族の悲しむべき欠陷であるから、決してわれわれシベリヤ抑留者を指彈するものではない」云々と書いておるのでありますが、これを要するに、結論は社会生活の不熟と民族の悲しむべき欠陷が、シベリヤ抑留生活という特異な環境で露呈したことを認めておるのでありまして、こうした條件と環境が、ありもしないいわゆる徳田要請の疑心暗鬼を生み出したことは明白であります。日本共産党と何の関係もなかつたことを結論自体が認めながら、一方では普通の論理を無視して、いわゆる徳田要請と共産党の引揚げ妨害を強引に認定するの矛盾と不当を露呈しておるのであります。  以下私は本報告書に対する反対の理由を明らかにします。第一この報告書はまつたく事実に相違しておるのであります。(「ノーノー」)いわゆる反動を帰すなという徳田要請なる事実のなかつたことは、当事者である徳田球一証人並びに相手方のソ同盟の政府の公式発表によつてすでに明確になつておるのであつて、本委員会における証人調べによつても、これを裏づけるような信用し得べき証言というものは存在しないのであります。報告書では亀沢証人の証言をほとんど唯一の有力な証拠として援用しておるのでありますが、この証言のごときは、国際慣例や国際常識、または法律的行政的実際から見て、とうてい信用し得ない内容を含んでおるのであります。たとえば亀沢証人によると、ソ連側政治部員キシロフ中尉が、收容所あてのロシヤ語の印刷体の文書を示して読んで聞かせたと言つておるのでありますが、これがかりにその通り真実であつたとしましても、これをもつて徳田球一氏がソ同盟政府に対し、反動は帰すなという要請をしたことを直接証明する証拠となり得ないことは明白な事実であります。このことは報告書自身も証明しておるのであります。すなわち石田委員は、「しかし将校の言つたことが徳田氏の要請に基いてなされたものか、それとも向うの将校自身の判断によつてなされたものであるか、この事実を究明しなければならぬ」と注意を喚起したと報告書は記載しておるのであります。結局報告書は、「何人の証人を尋問しても遂に亘相を捉えることは至難であつて、当該政治部将校を証人台に立たせて尋問する以外には適切な方法がない。然しかかる方法は採り得ざることは勿論である。」こういうように記載いたしまして、悲鳴をあげておるのであります。直接的証拠がなく、従つて真相を究明する術のなかつたことを告白しておるのであります。またこの亀沢証言によると、問題の文章はロシヤ語の印刷体であつたと言つておるのでありますが、今日の日本の置かれている国際関係からいたしまして、一市民が、ソ同盟の政府機関の人である收容所所長あてに、かかる要請のできないことは、ほんのわずかな国際常識を持つた者にもわかる通りであります。しかもそれがロシヤ語の印刷された文章であるというに至つては、こういうものでどうして徳田球一氏の要請を裏づける証拠とすることができるでありましようか。明らかに異常神経の持主か、それとも恥知らずな政治的策謀を追求する以外に、かかる非常識を支持し得ないと信ずるのであります。  次に、日本共産党が引揚げを妨害したという事実認定の点であります。報告書には次のように書かれております。「故にもし未だ十分に人間変革を遂げざるものは、これが帰還を遅らせて、政治教育を行う必要ありとするのが、ソ連当局の方針であつたとしたら、言葉を換えれば反動分子の帰国を遅らせるというのが方針であつたとしたら、日本共産党もまたこれに協力したと考えられるのである。然るに矢浪証人の言の如く、ソ同盟当局は、日本人の帰国に関し反動と民主主義者とは区別しなかつたというのが真実であつたとすれば、事実は反動の帰国が遅らされているのであるから、ソ連当局が日本新聞や日本共産党の要望を容るるに至つた結果だといわざるを得なくなり、従つて引揚げ妨害は日本新聞であり反フアシスト委員会であり、日本共産党であると結論せざるを得なくなる。」こういうように言つておるのであります。これで明らかなことは、引揚げ妨害の結論を生み出す前提が、すべて仮定と独断の上に立つていることであります。  これを要するに、何々が何々であるとするならば、日本共産党は引揚げを妨害したことになるということに帰着するのであります。このとは仮定と想像の上に立つて現実に闘つている日本共産党の実践行動を抜きにして、いわば夢と妄想を取上げ、これに難くせをつけようとするの類であつて、その不当なることは、三歳の童子にも明白なことであります。  次に、第二番目の反対の理由を明らかにします。かようにいたしまして、偏見と独断、仮定と想像の上に立つて、いわゆる徳田要請なるものをでつち上げ、日本共産党が引揚げを妨害したことく断定している本報告書は、明らかに左記の目的を追求する政治的な策謀と断ぜざるを得ないのであります。第一に、吉田内閣の反動政策に対する人民大衆の怒りと反抗の先頭に立つて、自由と平和と独立のために闘う日本共産党に対し、人民の間における共産党の信頼と支持を破壊せんとするためのデマ宣伝の材料をつくりあげ、これをもつて共産党と大衆を切り離し、あわせて日本共産党彈圧の口実にしようとするものであることは明白であります。このことは、第七国会の会期の終了間際にあわててつくつた中間報告を、去る参議院選挙において自由党の諸君が、いかに共産党の誹謗と中傷の材料に使つたかの事実によつて、雄弁にこれを証明することができる。そしてその後における政府とつた共産党彈圧の一連の行為が、おおい隠せない形でこれを証明しておるのであります。特に共産党が戰争の危険を警告し、平和を守る運動を果敢に展開しているときに、共産党に対する彈圧は、戰争の準備につながるものであることは、明らかであると思うのであります。人民の国会であり、考査委員会であるはずの公的機関を、一党一派の政治的策謀の道具にするがごとき印象を與えることに対しましては、人民の名において断固反対せざるを得ないのであります。  以上の理由によつて、私は本報告書に反対するものであります。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 他に討論の通告もありませんから、討論は終了いたします。  ではこれより採決に入ります。本報告書原案を本委員会報告書として決定するに賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 起立多数。よつて報告書原案を、本委員会報告書として決定いたします。  なお字句の整理等に関しましては、委員長に御一任願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十七分散会