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1950-04-27 第7回国会 衆議院 考査特別委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十七日(木曜日)     午前十一時五分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 安部 俊吾君 理事 菅家 喜六君    理事 小玉 治行君 理事 高木 松吉君    理事 内藤  隆君 理事 吉武 惠市君    理事 小松 勇次君 理事 猪俣 浩三君    理事 梨木作次郎君 理事 石田 一松君       井手 光治君    小川 平二君       岡延右エ門君    木村 公平君       黒澤富次郎君    佐々木秀世君       篠田 弘作君    島田 末信君       田渕 光一君    塚原 俊郎君       西村 直己君   橋本登美三郎君       稻葉  修君    大森 玉木君       加藤 鐐造君    坂本 泰良君       横田甚太郎君    小平  忠君       岡田 春夫君  委員外出席者         証     人         (日本共産党書         記長)     徳田 球一君 四月二十六日  委員大橋武夫辞任につき、その補欠として橋  本登美三郎君が議長指名委員に選任された。 同月二十七日  委員尾関義一辞任につき、その補欠として黒  澤富次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  日本共産党在外胞引揚妨害問題     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会議を開きます。  日本共産党在外胞引揚妨害問題について調査を進めます。さつそく徳田球一君から証言を求めることといたします。  徳田君に申し上げますが、あらかじめ文書をもつて御通知いたしておきました通り、ただいまより日本共産党在外胞引揚妨害問題について証言を求めることといたします。  証言を求める前に、証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて默秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います……。
  3. 徳田球一

    徳田証人 宣誓する前にちよつと……。この宣誓をする以上は、大体証言というものはどんなものかということの範囲をきめてもらいたい。というのは、実際今までの考査委員会やその他の委員会においては、証言ではなしに意見をどんどん言つておる。そういうことは何も証人の義務じやない。証言とは何かということを、今日は委員長から嚴格に示してもらいたい……(発言する者あり)そんなことではいけない。証言をする必要上、証言というのはどんな範囲か、ぼくに対して証言……(発言する者あり)
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その点は十分心得ております。もちろん証言にあらざることは聽かせはいたしません。
  5. 徳田球一

    徳田証人 証言の点をはつきりしなければならない。証言は事実の認否であるから、この事実の認否いかんに関して……(発言する者あり)
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかつておる。
  7. 徳田球一

    徳田証人 何を言つておる。この事実の認否が……。(発言する者あり)法律によつて……。     〔発言する者あり〕
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では御起立を願います。     〔証人徳田球一君朗読〕    宣誓書   良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印願います。     〔徳田証人宣誓書署名捺印
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 傍聴人方々に一言申し上げます。——傍聴方々に一言申し上げます。傍聽中拍手をしたり、あるいは声を上げて賛成または反対などを言つたり、議事の妨害になることは一切しないよう御注意いたしておきます。これをお守りにならないときは、退場を命ずることもありますから、あらかじめ御注意いたしておきます。     〔発言する者多く、議場騒然
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静粛に願います。それでは証人に伺いますが、これは申し上げるまでもありませんが、答はこちらの質問したる範囲にとどめていただいて、議論にわたつたり、多岐にわたらぬようにお願いいたします。簡明に……。  まず承りたいことは、日本共産党ソ連日本人捕虜及び抑留者の帰還に対して、どういうようなお考えをもつて、どういうようなことをしておいでになりましたか、まず伺いたいと思います。
  12. 徳田球一

    徳田証人 日本共産党はなるべく早く帰すように、たびたびソビエト同盟代表部に対して懇請をしているのである。そのことは必要があれば、後々書類をもつて第六回大会以後の記録を差上げます。今ここで一々その記憶を呼び起して云々することは不可能でありますから、それは書類をもつて申し上げます。しかしこれは公然たる事実でありまして、アカ八タその他に公表せられているのであるから、それらに関して私がここであらためて証言する必要はないと認めます。  さらに問題は私が昨年の五月に早く皆帰してくれろということを、日本共産党中央委員会の名において、またそれを執行する書記長たる私の名において、早く帰してくれろということを頼んでやつた、これはソビエト同盟共産党中央委員会に頼んでやつたのは、これもアカ八タにちやんと出ております。これは諸君の御承知通り公知の事実であるから、さらにこれを証言する必要はないと私は認めます。
  13. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 内容に関する詳細なことは、あと書類でもまたアカハタでも出してもらえばよろしいですが、ただいつごろどういうことをやつた、いつごろどういうことをやつたという御記憶のある範囲を一々お示しを願いたい。
  14. 徳田球一

    徳田証人 日本共産党書記長というものは、きわめて忙しい身でありまして、そうして政治の大局に対して大きな手を打つのである。そういうこまかいことに対して一々言う必要はない。(発言する者多く、議場騒然)そういう手続上のことは事務員がやるのである。書記長がやるのではない……(議場騒然、聴取不能)堂々たる日本共産党の、いわゆる事務上の手続に関して、共産党書記長がやるべき限りでない。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いやどういうのですか、証人に伺いますが……(発言する者多く、議場騒然証人に伺いますが、一々記憶がないからというのか、それともそういうことは言う必要がないというのですか。そのいずれです。
  16. 徳田球一

    徳田証人 一々記憶がないです。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 覚えている……。
  18. 徳田球一

    徳田証人 いつの何日にどういうことをどうしてなんという記憶は、持つべきはずはない。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 記憶のある範囲でよろしい。     〔発言する者多く、議場騒然
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そちらの応答はやめてもらいたい。
  21. 徳田球一

    徳田証人 日本共産党書記長は一一こまかいことまで、そういういつ何日に何を書いて何を出したということまでは覚えておりません。しかし大体のことはアカハタにも出ておるし、この前からこの要請問題に関しては参議院あたりでたびたびやつているので、またアカ八タに出してあるはずです。そんなことまで私に聞かなくてもちやんとわかつておる。だからそれはよけいなことです。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在記憶はないですね。
  23. 徳田球一

    徳田証人 大体のことは君らは知つているじやないか。参議院記録を読まないか。記録を読まずにここに出ているのか。公然と記録があるのです。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいかぬ。そういうことではなくて、たといほかで言われても、われわれとしてあらためて聞きたいことがあるから、あなたの記憶のある限りを何月何日に……。
  25. 徳田球一

    徳田証人 何月何日に、そんなこと覚えているか。
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員長  いつごろ……。
  27. 徳田球一

    徳田証人 第六回大会には決議をもつて皆早く帰しなさいとちやんと言つておる。それから去年の五月に皆早く帰しなさいと言うた、その内容は何べんも言つておる。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それをはつきり言つてもらえばいいのです。  それでは次に伺いますが、日本共産党ソ連当局、または在ソ日本人との間に、今言われたこと以外にもいろいろ通信その他で連絡があつたというようなことを当委員会において証言しておる人はあるのですが、あなた書記長なりまたは党として、ソ連当局並びに在ソ日本人に対して通信なり意思表示をせられたことはございますか。
  29. 徳田球一

    徳田証人 在ソ日本人に対して私が特別に意思表示をしたということはないけれども、彼らから手紙は来ておる。それは赤十字病院へ来ておる、それは莫大なものなんで、何千通と来ておるはずだ。それらを一々私が見るわけにも行かぬ。それは秘書が全部見て、大体は手紙を出しておるはずです。しかしそれは内容は全然私は知らない。もしあなた方がそういう問題があるというならば、その現物を見せろ。見せればこの現物については、これはどの秘書が書いて、どういうつもりで書いたか聞きますから……。その内容現物がない以上は、ただああいうことを聞きました、こういうことを聞きましたでは、そんなものは当てにならぬ。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう手紙を出すのは、日本共産党あてで来ても、あなた方の方の事務局ではだれがそういうことをやるのですか。
  31. 徳田球一

    徳田証人 日本共産党あてに来たものは皆書記局がやります。それから私の名前で来たものは、私の秘書が大体皆やります。そんな小さい手紙まで見ていた日には、このはげ頭がなおさらはげ上つてしまう。(笑声)そんなはでなことはできません。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に伺いたいのは日本共産党としてソ連当局日本人捕虜及び抑留者の取扱いに対して一定方針なり、またはこれに対するあなた方の取扱い方について相当考えておやりになつたことであろうと思うのですが、それらに対する方針及びやられた事実に対して承りたいと思います。
  33. 徳田球一

    徳田証人 ちつとも意味がわからぬ。あなたの問われている意味がちつともわからぬ。第一ソビエト同盟にいるのをわれわれがどう取扱う。それはソ同盟が取扱うことであつて日本共産党がどう取扱う。そんなばかげたことはできるはずのものではない。そんなことはない。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうじやないのだ。在ソ抑留日本人に対して、共産党はこういうことをしてもらつたらよろしい、ああいうことをしてもらつたらよろしいという、その方針があつたように今までの証言が………。
  35. 徳田球一

    徳田証人 そんなことは絶対にない。あり得べきことでないじやないか。他国に対して、ソビエト同盟という国に対して、日本共産党がああいうことを注文するとか、こういうことを注文するとかいうことは絶対にない。それはあり得べきことではない。国際的の諸慣例から言つても、共産党がこれまでやつて来た慣例から言つても、そういうことは絶対にない。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではソ連に対しての方針は、あなたの言われたことを一応聞いておきますが、在ソ日本人に対する考えはあつたものと思いますが、それはいかがですか。
  37. 徳田球一

    徳田証人 ソビエト同盟の中にいて、ソビエト同盟が管理するのに、われわれがよけいなことを言う必要はない。われわれがどんな方針、こんな方針、そんなばかなことをする共産党は世界中に一つもない。わが日本共産党もかかる愚劣なことはいたしません。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし先ほどあなたが言われたように、通信その他をやつたということはお認めになるのですが、その通信にはりつぱな民主主義者になつて帰つてくれることを期待しているということを書いてあつたようです。それはあなた方の方針であつたようですが、それはどうですか。
  39. 徳田球一

    徳田証人 そんなばかなことはない。それはソビエト同盟に行つている人間からわれわれに一々手紙が来るから、個人々々に対しては……(「ばかとは何だ」と呼び、その他発言する者あり)よけいなことを言うな。こつちがしやべつておるじやないか。何をばか言つたか。ばかとは言いやせぬ。
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 お互いに用語には注意してもらいましよう。
  41. 徳田球一

    徳田証人 それは委員長から注意しなさい。(笑声)とにかく日本共産党が、われわれに対して個人的に来ているものに対してこれに返事を與える、それは個人的な話である。われわれはソビエト同盟の管理に関して、ソビエト同盟捕虜を待遇していることに対して注文をつけているのではない。個人のところへ手紙が来るのに、それに返事を出すのはあたりまえじやないか。そういうことに対して……(「全然話が違うじやないか」と呼ぶ者あり)よけいなことを言つて混乱させるなよ。あとで聞けよ。おれは委員長に話しているんじやないか。委員長何だ、そんなにまぜつ返すならおれは返事できない。
  42. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なるべくそこにとらわれずに頼みます。     〔「特急でやれ」と呼び、その他発言する者あり〕
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 靜粛に……靜粛に。
  44. 徳田球一

    徳田証人 なんだ、公平ともあろうものが一つも公平じやないじやないか。そんな不公正なことでだめじやないか。     〔発言する者あり〕
  45. 鍛冶良作

  46. 徳田球一

    徳田証人 とにかくこれは向うから手紙が来ておれば、こつちから返事をしておる。しかし返事内容は私は知らない。それはさつき言つたように、秘書が書いてやつたんだから、それを聞きたいならばその手紙を持つて来なさい。そうすればその手紙をどの秘書が書いたか、ちやんと筆跡を見ればわかりますから、その秘書にここに来て証言をさせます。(「そんな手紙は向うから持つて帰らさぬじやな、か」と呼ぶ者あり)よけいなことを言うな。
  47. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人議論じやありませんか。あなた先ほどあなたの方の書記長なり、あなたの祕書なりが出されたと言われるが、それらの手紙はいずれの手紙を見ましてもりつぱな民主主義者となつて帰つて日本におけるりつばな鬪士となつてくれることを希望する、期待すると書いてあるようですが、そういうことは党として出された、また書記長祕書といえども書記長の代理として出されたものであるから、それらに対しては一定方針があつたとわれわれは考えるのですが、その点はいかがですかとこう言うのです。
  48. 徳田球一

    徳田証人 一体それはだれの証言ですか。あなたそんな抽象的なことを言つてはだめだ。だれの証言か、それを  なぜ聞く必要があるかといえば……(「全部出す」と呼ぶ者あり)全部出せ。一体この日の丸梯団などのごときは何だ。この日の丸梯団ごときは、自分でもつて一切の権力を掌握する、これを指導する、こう言つておる。これは明らかに政治的野心を持つておる団体だ。この団体政治的の目的でもつてやつた証言が一体事実かどうかということは……。(「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり)なんだ、何がよけいなことだ。默つておれ。委員長默つておるのか。
  49. 鍛冶良作

  50. 徳田球一

    徳田証人 静粛になるまで答えをせぬ。(「委員長の聞くことに答えればいい」と呼ぶ者あり)よけいなことを言うな。答弁するのはおれの権利だ。(「何を言うか」と呼び、その他発言する者あり)委員長を通じてやれ、委員長を通じてやれ。(「そう興奮するな」と呼ぶ者あり)何が興奮だ、君らが興奮するんじやないか。一体その証言はだれがしたかも明らかにせずに、具体的な事実を持つて来ずに、そういう抽象的なことを言つてはだめだ。だからわれわれはこれを言うのだ。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人は質問に対して議論は困ると言いながら、証人自身がそんな議論をやつては困る。
  52. 徳田球一

    徳田証人 君が具体的なことを言わないからだ。具体的なことを言えば証言をするんだ。(「默つて聞けよ」と呼ぶ者あり)何を言うか、君らこそ黙つて聞けよ。おれが黙る必要があるか。おれが証言を求められておるのに默つておる必要があるか。証言を求められておるのに默つてつてもよければ默つておるよ。(笑声
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静粛に願います。不規則な発言も注意してもらいますが、そこの発言と応酬せられる証人もよほど注意してもらわぬと困る。これは証人にもう一ぺん伺いますが、そういう事実があつたことはあなたはお認めになるのですから、そういう通信をやるときに一定方針があつたものとわれわれは考えるが、それはなかつたのかあつたのか、これを聞いておるのです。
  54. 徳田球一

    徳田証人 そういう返事をやるときに一定方針があつたかなかつたか、そんなよけいな方針なんかない。われわれ共産党員はどういう方向でものを処理するかということはみんな心得ておるから、そんな一々の手紙を出すのに何の方針があるか、それほど共産党はちじこまつたものじやない。もつともつとおおらかなばつとしたものだ。(笑声
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この点に関しては参議院でもあなたはお認めになつていたようですが、たとえばあそこでやられた証言の中で、昭和二十三年五月ごろウオロシロフ地区などで、ソ同盟強化のため邁進し、りつぱな同志として帰国し、反動に対してともに闘う日の来るのを待つている。こういう手紙をあなた自身は書かれなかつたかもしらぬが、あなたの名前で出たということをお認めになつておるのですから、これらに対しても相当方針がなくては——あなたが言われずに書けるものでないと思いますが、その点はいかがですか。
  56. 徳田球一

    徳田証人 それはあなたはよく注意深く速記録を読まれたい。速記録はそんなふうに書いてないのです。私もそうは言つておらぬのです。そういうものを書いたかどうか、おれは知らぬのだ、それはすべて秘書がやるんだから祕書に聞きなさい、書いたかどうかは知らない、その祕書に聞いて確かめなさいと言つたのである。もしそういうものを秘書が書いたと仮定でするならば、私は政治的責任は負います、こう言つたのです。非常に寛大な非常に堂堂たる答弁をしておる。(笑声
  57. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは日本共産党一定方針に基いたものでない、こういう答弁と承つてよろしいのですね。
  58. 徳田球一

    徳田証人 よろしいです。
  59. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではそれ以上は議論になりますからあとにしましよう。  昭和二十四年九月十五日、カラカンダ地区九分所のクラブか何かにおいて、ソ連政治部将校が、証人から反動分子は帰してくれるなという要請があつたと言つたと聞いておりますが、かような要請をせられた事実はありますか。
  60. 徳田球一

    徳田証人 ありません。
  61. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうことを言つておやりになりましたか。
  62. 徳田球一

    徳田証人 やつたのはアカハタヘちやんと公表してあります通り、みんな早く帰しなさいと言つてやつた。
  63. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではこういうことは一体どこから出たものと思いますか。
  64. 徳田球一

    徳田証人 それは意見です。どこから出たかわかりません。ソ同盟へ行つて調べなさい。カラカンダ地区で出た事実を私がここでわかりますか。
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わからなければわからぬでいいが……。
  66. 徳田球一

    徳田証人 わからぬですよ。わかる術があつたら教えてください。そうすればその術を用いて探してみましよう。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いろいろ菅証人手記その他参議院及び当委員会において証言のあつた事実から、あなたが要請せられたかどうかはわからぬが、徳田要請であつたということを言つたということは明らかになつておると思いますが、その点に対してあなたの方では絶対にないとお思いになるのですか
  68. 徳田球一

    徳田証人 思います。またソビエト同盟当局タス通信権限を與えて、かかることはばかげた話だ、つくり話だということを言つております。だから諸君が文句があつたらソビエト同盟に行つて調べて来なさい。そうすれば判明する。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいまの証人証言はよほど重大だと思います。タス通信は絶対ないことをつくりごとだというならば、菅証人手記もつくりごとでありますか。
  70. 徳田球一

    徳田証人 そんなことは君らの考えることなんで、われわれの考えじやないのです。それは菅証人がどう言つたかわからぬ。それはそれで君らが認定するんだ、私の証言の限りではない。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはタス通信が全然つくりごとだと言われるから聞くんだ。
  72. 徳田球一

    徳田証人 タス通信がそう声明しておる以上、これはタス通信を通じて諸君考えればいいんだ。私は一々意見を言う必要はない。
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはあとでいいけれども、ちよつと重大なんだ。タス通信はつくりごとだと言つておるから全然ないことだ、こう言われることと、菅証人手記を出して、さらに当委員会においてもこれだけのことがあつたということを言つておることとタス通信とは全然違うのです。しかるにあなたはタス通信をもつてこの通りだということを言われることは、われわれとしてはふに落ちないが、これに対してどういうように考えますか。     〔「菅がいつそんなことを言うた」「でたらめ言うな」と呼び、その他発言する者あり〕
  74. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静粛に………静粛に願います。そこにおける応答はやめてもらいましよう。証人にお伺いするのは、証人タス通信は全然つくりごとだと言つておると言われるから出て来る言葉だが、これに対してどういうふうにあなたはお考えになりますか。
  75. 徳田球一

    徳田証人 タス通信ソビエト同盟政府権限を與えられてやつておるのですから、そのタス通信のやつておることはソビエト同盟政府の公表したものであり、一通信社のものではない。こういうものを公表する手続においては各国ともそれぞれ慣例を持つておるのであつてソビエト同盟政府においては常にタス通信権限を與えて発表するのが、これが常例である。だからしてこの常例である公式発表認めるとか認めないとかいうことは、それは諸君のかつてだ。しかしこれは国際慣例からいえば、ソビエト同盟政府発表である。こういう発表のあつたということを私は言つておるのである。そのことに対して諸君がどういう考えを起すかは、それは諸君の頭が解決するのである。私の証言する範囲ではない。そのりくつがわからぬならだめだ。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは重ねて承りますが、タス通信はとこまでも真実であつて、ほかのこれに反する証言はみなうそである、こう言われますか。
  77. 徳田球一

    徳田証人 うそであるかどうかは君らが認定する。私の意見を述べる必要はないわけだ。それは君らの鑑定のいかんだ。それは君らの頭で判断しなさい。私がよけいな君らの口論に対して干渉するには、あまりに忙しいんだ。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一応その程度にしておきましよう。  次に承りたいのは、ソ連において発刊せられておりました日本新聞は、その主要の大部分アカハタから伝えられておるようでありますが、これに関して日本共産党は何らかの関連があつたものでありますか、関連のなかつたものでありますか。
  79. 徳田球一

    徳田証人 絶対にありません。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし大部分アカハタの記事であるし、それからアカハタに載らないものでも、共産党首脳部の論説が始終載つてソ連における唯一の指導機関になつておる、こう言われておるのです。これはだれが見ても客観的に見まして、日本共産党と密接なる関係があつたものと認めざるを得ないのですが、その点に関して証人はいかに考えますか。
  81. 徳田球一

    徳田証人 それはあなた方が認めるというならどうでもいいけれども、しかしながら新聞というものは、日本で発行せられる新聞のうち、各国共産党アカハタは奪いとるようにして持つて行くんだ。がらくた新聞よりははるかに日本共産党機関紙であるアカハタの信用が国際的に大きく高まつておるんだから、これは奪い合うようにして持つて行くんだ。これは公に売つておるものであるから、そういう売つておるものをどう利用しようと、これは世間の人のみんなの自由だ。このことに対して日本共産党が一々干渉するわけには行かぬ。だからしてソビエト同盟におる日本人たちが日本共産党アカハタを利用しようとどうしようと、そんなことは彼らの自由である。私が一々どうのこうのという論議をつける必要は絶対にない。
  82. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 関連がないと言われればそれでもいいが、アカハタを特に何かの機関で送つてやるとかいうような連絡がありませんでしたか。
  83. 徳田球一

    徳田証人 絶対にない。日本共産党アカハタは、單にソビエト同盟ばかりでなく、世界のあらゆる国々、今ではペルーからもブラジルからも、ニユージーランドからも濠州からも、どこからもみんな注文が来ているんだ。みな送らざるを得ないじやないか。
  84. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に日本共産党は、ソ連の引揚者が帰還の上は全員入党することを企図しておつたというのでありますが、これに対してはどういう方法をとつて全員入党されるようにしておりましたか。
  85. 徳田球一

    徳田証人 そんな子供らしいことは考えたことがない。全員入党、そんな子供らしいことを考えるほど日本共産党は白痴的ではない。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは相川春喜君は全員入党を期待しておつたが、思うように行かなかつたと書いてあるのですが、これは相川春喜君個人意見ですか。
  87. 徳田球一

    徳田証人 それは相川君に聞きなさい。私が言うことではない。日本共産党の指導部では、みんな入るなどと、そんなばかなことを考えたことはない。そういうことはないから、そういうことに対してああのこうのと、そんなばかげた考え方はしたことはない。
  88. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはここでの証言ですが、全員入党を期待しておつたところが、思うように行かなかつた。そういうので、それでは幾らくらい入党したかと言つたら、三〇%くらい。どれくらい期待しておつたかと言つたら、少くとも六〇%や七〇%は入党するものと心得えておつた、かように明言しております。これに対してあなた方は全然関係のないことで、單に相川という一共産党員意見だと、こうおつしやるのですか。
  89. 徳田球一

    徳田証人 そうですよ。共産党はそんなことを考えるほどばかげてない。あなたは最初に全員と言い、あとから六〇%と言う(発言する者多し)それでは全員ではないじやないか。最初相川が全員と言い、あとから六〇%、そんなことは個人が……。(「落ちついて聞け」と呼び、その他発言する者あり)よけいなことを言うな。おれが証言するのに、なぜ君が干渉するんだ。(「みつともないじやないか」と呼び、その他発言する者あり)みつともあろうがなかろうが、おれのかつてだ。     〔発言する者あり〕
  90. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静粛々々。それはこうなんです。日本新聞には全員入党せいということを書いてある。そうして前衛には全員入党を期待しておつたが、思うようにならなかつた、こう書いてある。それで全員入党という方針は間違いなかつたか。しからばどのくらい入つたかというと、三〇%だと言う。どれくらい期待しておつたかというと、少くとも六〇%、七〇%は入る、こう言つておつた。前提は全員入党であると言う。
  91. 徳田球一

    徳田証人 君らは人の言うことを、みんな共産党の本部が一々指揮しているように思う。そういう妄想をしているから、そんな結論が出るんだ。そんなことはない。向うで日本新聞共産党と何ら関係はない。日本新聞がどう書こうと、向うから来ておる人間がどう言おうと、そんなことにわれわれが一々干渉する限りではない。絶対問題ではない。
  92. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その点はその程度にしておきます。  次に承りたいのは、日本共産党といわゆる国際共産党——コミンフオルムとの関係についてですが、どのような関係にあるのですか。
  93. 徳田球一

    徳田証人 絶対に具体的の関係はありません。
  94. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いわゆる野坂批判なるものは、このコミンフオルムからの要請というか、コミンフオルムの意見によつて野坂君の自己批判というものが現われたものと世上伝えられておりまするが、この点は相違はありませんか。
  95. 徳田球一

    徳田証人 それはかつてにあなた方考えなさい。それは何も帰還に関した問題ではない。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 関係があるから聞くのです。
  97. 徳田球一

    徳田証人 コミンフオルムは自分のすきな評論をすればよい。そのすきな評論に対して日本共産党員、あるいは日本共産党員でなくてもよろしい。だれでも自分に対していい忠告だと思えば、それに対して自己批判してもさしつかえないじやないか。そういうことは何も具体的の関連も何もないんだ。これは普通の新聞紙及び雑誌の記事と同じなんだ。何も特別な意義はない。
  98. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よい批判だと思えば、それによつてみずから批判すればよいと言われるが、全然関係のないものから批判するのもおかしい。それによつて動かされることもおかしいと思うか、その点はどうですか。
  99. 徳田球一

    徳田証人 それは意見にわたるから言わぬでもよいけれども、特別に教えておこう。それはこういうわけなんです。諸君新聞によつて公表され、新聞がどしどし攻撃をして来る。これは忠告であり、警告だ。自由党に対してもいろいろ新聞は書く。何も縁もゆかりもなくても書く。その縁もゆかりもないのに、書いたことに対して自分が反省するのは何でもない。日本新聞ばかりではない。世界全体の新聞が今吉田内閣や自由党に対して批判しているじやないか。これを君らが考えて、これに対して君らが反省するのはあたりまえのことじやないか。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それ以上は議論になるからやりません。  次に承りたいのは、共産党労働者情報局、いわゆるコミンフォルムの機関紙に、恒久平和のために、人民民主主義のために、こういうものがあるようです。この一九四九年六月一日号に載せられたあなたの論文が、この日本新聞の一九四九年六月十六日版に訳載せられておるのでありますが、これはどういう関係で出たものでありますか。
  101. 徳田球一

    徳田証人 これに載ります前に、私はアカハタにこれと同じ論文を書いております。ですからコミンフオルムの機関紙——あなたの訳はあまり上等の訳ではありません。恒久平和と人民民主主義のために、公式にはそう訳しております。そういう雑誌にアカハタに載つた私の論文を訳載しておる。それが今度は、それは世界中に売られるものでありますから、これを日本新聞が利用することはふしぎはないと思います。これからさらにこれを日本新聞に訳載するということは何もさしつかえないじやありませんか。特別何かあれがありますか。原稿料は一銭もとつておりません。アカ八タに載つておるのですから、これを転載するのだから、これは原稿料をとるべき限りのものではない。
  102. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつごろのアカ八タに載つたのですか。
  103. 徳田球一

    徳田証人 ちよつと答えておくが、日本共産党機関紙からこれを転載する分には、われわれはこれを禁止しておりません。転載し、大いに利用し、これを全世界に宣伝することは、われわれ共産党のはなはだもつて光栄とするところでありますから、何ら著作権に対して侵害云々の問題は起らないことを、ここにあらためて言うておく。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはアカハタにいつごろ載つた論文ですか。
  105. 徳田球一

    徳田証人 大体五月でしよう。それはなんならば、アカハタのあれを持つて来ます。そういう日にちまで覚えるには、あまりに忙しいのでね。
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは何か。——内藤隆君。
  107. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 私は非常におとなしいたちだから、徳田君、あまり兇暴性を発揮せぬようにお答え願いたい。まずお伺いしたいのは、今一番天下の大問題になつておるのは、徳田要請に対し二つの見方が出ております。一つは在ソ中民主運動に従事して、ソ連を祖国と言うような、そういう人々が帰つて来られまして、そうして徳田書記長要請問題については、アカハタに載つておるごとく、これをデマであるという一つのグループ。もう一つは明らかにこれを聞いた、こういう署名をしておる人々であります。この二つの見解は、明らかに共産主義と、これに反対するものとの差でありますが、徳田書記長は、この二つの見解に対してどうお考えになりますか。
  108. 徳田球一

    徳田証人 その考えを述べる必要はありません。それはあなたが考えればいいのです。私も考える。あなたも考える。すべての人々も考える。それは考えるだけで、何ら事実の証明、在否に対する証言にはなりません。
  109. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それを聞いた者は、これを事実として署名しております。しかもその人数から見れば、三百くらいのものでありまして、カラカンダ、この方面におつて、一九四九年九月の十五日に、その会合で聞いたという数も三百近いものであります。そうすると、その会合において聞いた者全部が、ほとんど徳田要請があつたと証言をしておる。しかるにあなたの言葉をかりて言うと、あの方面から帰つた者は約一万ある。その一万の人々がこれを証明しなければならぬというようなことを言つておられますが、おそらくはあの会場に入つた数だけで、その他の人々はまた聞きなんである。この三百の人々がこれを証明しておるのに、あなたは三百人の証明が……。     〔発言する者多く、議場騒然
  110. 徳田球一

    徳田証人 あなたの聞くのは何かわからぬ。
  111. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 要するに署名をして、徳田要請なるものを聞いた、いわゆるソビエトの政治将校から聞いたという者が三百余名署名をしておる。しかるにあそこにおつた者は約一万ほどであつた。その全部がこれを聞いたと言わなければ、これを立証し得ないじやないかというようなことをあなたはよくおつしやるが、おそらくあの会場に入つた者は三百名有余、その者が全部聞いたと言つておる。これでもあなたは事実ないと思うのですか。
  112. 徳田球一

    徳田証人 あなたに反問するけれども……。(「反問とは何だ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然)問い方が悪いのだ。こつちが反問するのはあたりまえだ。   「反問とは何だ」「反問は認めぬ」   と呼び、その他発言する者多く、   議場騒然
  113. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人証人……。     〔「反問とは何だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  114. 徳田球一

    徳田証人 默つて聞いておれ。反問というのは……。     〔発言する者多く、議場騒然
  115. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静粛——静粛。
  116. 徳田球一

    徳田証人 質問を正しく把握するために反問するのに何が悪いか。
  117. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 反問というから変に聞えるので、わからなかつたからもう一ぺん聞くのはいい。
  118. 徳田球一

    徳田証人 今の質問はわからぬから、どういうことを聞いたのか確かめようと思つたんだ。
  119. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 徳田君、四九年の九月十五日、カラカンダ地区のあの収容所で会合を開いた。その席上に入つた者が三百有余、その三百有余の者が署名をしてこれを証明しておる。当委員会に出頭した証人共産党系の者を除いたほとんどが、そういうことを答えておる。
  120. 徳田球一

    徳田証人 だから私はあなたにちよつと聞きたいのですがね、穏やかにな。收容所に三百何人しか入れなかつたというが、あなたは見て来ましたか。
  121. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 証言によつて聞いておる。
  122. 徳田球一

    徳田証人 その証言はだれが言つたんですか。
  123. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 速記録に全部残つておる。
  124. 徳田球一

    徳田証人 そこが問題ですよ。あの日の丸梯団が問題なんです。載つておればよろしい。この日の丸梯団を見れば、これは明らかに政治的なものなんだ。だからこういう政治的なものが何を言おうと、私の意見として、それは証言にはならないと思う。もしこれが正しい事実であるかどうかは、一つ証言と、これに対する反対側の証言と、これが一致して、ここに物証が上つて来ない限りは、これは私は証言にはならないと思う。
  125. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それで大体わかつた。
  126. 徳田球一

    徳田証人 大体じやいかぬ。しまいまで言わなければだめだ。証言というものはそういうものだ。そういうことに関して、この事実に関して、ソビエト同盟政府は、こんなものはつくりごとだと言つておる。だからこの全部を総合してみて君らが判断しなさい。私はそれ以上のことを言う必要はない。
  127. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 しからばもう一度お聞きしますが、あなたは菅通訳をどうお思いになりますか。
  128. 徳田球一

    徳田証人 どうも思いません。
  129. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 しからば菅通訳があの朝日、アカハタその他の新聞に自分のいわゆる手記なるものを発表したときに、たまたま参議院在外同胞引揚問題に関する特別委員会におきまして、あなた方の方の中野重治君のごときは、口をきわめて菅を呼べ、菅を呼べば一切の事実がわかる。かように叫んでおる。その菅がどういう証言をしたか、新聞にいかなる自分の意見発表したか御記憶でありますか。これによりますと、菅は明らかに政治将校の通訳をして、そうして徳田要請があつたということを証明しておる。
  130. 徳田球一

    徳田証人 どんな要請……。
  131. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 期待する。——要請と期待はあとで申し上げますが、要するに反動を帰すな、共産主義者にならなければ帰してくれるなというようなこと……。
  132. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは、私は菅君が言つたということは聞いたことがない。あなたが初めてそう言うておるのだ。
  133. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 速記録を見なさい。
  134. 徳田球一

    徳田証人 あるなら速記録を持つて来なさい。
  135. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要請と期待するという言葉の違いはあるが、そういうことを政治部将校言つたはつきり言つておる。
  136. 徳田球一

    徳田証人 期待すると言つたかどうか知らぬが、そういうことになつていない。帰してくれるなとかなんとか、そんなことは言つていない。速記録を持つて来い。君らはつくりごとをする必要はない。速記録を持つて来い。しかしながらそういうことを押し問答をして何になる。私の証言と何の関係があるか。そういうことは向うに記録があるのだから、その記録を見て君らが判断するのだ。私はそれに対して何ら関知するところじやない。私は菅証人と何らの関係もない。だからソ同盟に対してわれわれが調べ得る何らの権限もないがゆえに、私たちはソ同盟政府の発表しておることが一番事実だと見なければならない。これが国際的な考え方だと信ずる。
  137. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 要するに菅通訳の証言は、徳田要請とは言わない。要請とは言わないが、徳田日本共産党書記長はこれを期待しておると、こう言つた。ところがその期待という言葉はロシヤ語で原語をいろいろ聞いてみますと、要請とも訳し得る。
  138. 徳田球一

    徳田証人 それは君らのかつてだ。そんなことは君らがどう考えようとかつてだ。訳し得るとか、そんなよけいなことを言わなくともいい。(「何がよけいなことだ」と呼ぶ者あり)君はなんだ。横から口を出して言う必要があるか。     〔発言する者あり〕
  139. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人——徳田君、きようは君は証人なんだ。討論に来ておるのではない。
  140. 徳田球一

    徳田証人 だからよけいなことを言うな。(「委員に対してよけいなことを言うなとは何だ、委員権限を冒涜するものだ」と呼ぶ者あり)証人に対して、証人に権利はないというのか。証人は被告か。証人は人間としての権利がある。憲法に保障された権利がある。君らはおれの権利、基本的人権を無視するのか。
  141. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 とにかくこういう大問題をやつておるときに、あまり発言が乱れては……。     〔発言する者あり〕
  142. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかく不規則発言はやめてもらうが、いわんや証人から討論を吹つかけるようなことは愼んでもらいたい。静粛に……。
  143. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そこで菅通訳なるものは直接にそれを通訳したものなんだ。三百有余がこれを聞いておる。しかもその菅通訳なるものを、共産党諸君もこの人が真相を知つておると言つて証人として呼んだのだ。この証人が明らかにここに述べて行つたこの事実をあなたは否定しますか。
  144. 徳田球一

    徳田証人 否定する、しないじやない、速記録を持つて来ればわかる。よけいなことを言う必要はない。速記録を持つて来なさい。さつきから要求しておるのだ、速記録を持つて来てからの話だ。持つて来い。
  145. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 証人記憶範囲でいい。
  146. 徳田球一

    徳田証人 記憶範囲ではだめだ、速記の内容までおれが記憶しろと要求されるわけがない。向うの言うのはうそだ。速記録をなぜ持つて来ないか。
  147. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 そうすると徳田君は菅通訳の言はうそだと言うのですか。
  148. 徳田球一

    徳田証人 菅通訳の言はうそだとはだれも言わない。速記録を持つて来なさいと言つておるのだ。(「それはみなが聞いておるじやないか」と呼ぶ者あり)君らの言うのと向うの言うのとは違う。
  149. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 内藤君、佐々木君が関連質問を申し出ておるが、いいですか——佐々木君。
  150. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ただいま内藤委員から、菅証人証言に対しての徳田書記長証言を求めておるのでありますが、先般の委員会において、菅証人は二百二十八地区第九分所、これはカラカンダの收容所であります。そこで九月十五日にソ同盟政治部将校が約三百名近くの抑留者を集めまして、その席上、峯田並びに植松両抑留者から、われわれはいつになつたら帰れるのかと聞いた。そのことはどういう意味から聞いたかと申しますと、タス通信、あるいはソ同盟発表によつて、昨年中にソ同盟からは全部帰してやる。その数は九万五千名であるという発表があつたから、われわれはいつ帰れるのかという質問があつたのであります。そこで政治部将校はそれに答えた。そのソ同盟将校の言葉を、当時の通訳であつた菅君がそれを翻訳したのであります。その翻訳はどういう翻訳かと申しますと、いつ諸君が帰れるか、それは諸君自身にかかつておる。諸君がここで良心的に労働し、真正の民主主義者になるとき、そのとき諸君は帰れるのである。日本共産党徳田書記長は期待しておる。諸君がよく準備された民主主義者として帰国するように、反動分子としてではなくというこの翻訳をしておられるのであります。その翻訳を他の新聞並びにアカハタに記載されたことは、徳田さんは御承知でありますか。
  151. 徳田球一

    徳田証人 承知しております。
  152. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そこで私のお伺いしたいのは、こういう通信を、あるいは連絡をあなたがした覚えがあるかどうかということを聞きたいのであります。
  153. 徳田球一

    徳田証人 絶対にありません。私の要請しておるところのものは、アカハタちやんと歴然として載つておるのでありまして、これは公知の事実、これ以外には何ら通信、その他の要請をした覚えはありません。
  154. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そういたしますと、菅君の翻訳されたという、かつアカハタに載せた、それらのことはあなたは事実無根だとお考えになるのでありますか。
  155. 徳田球一

    徳田証人 事実無根ということを私は言うておるのではありません。私はこういう要請をしておらぬというのであります。彼らが何と言うか、それは私の関知するところではない。私と何の関係があるか。私はカラカンダに行つたわけでもあるまいし、何も私は一々そんなことを関知することはない。  私は私の出した要請だけに対して責任を持つのだ。
  156. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あなたも御存じの通り、菅君はこの証言をこの委員会において証言し、しかも次の日でしたか、死をもつて私は事実を委員会において証言をしたのである。この事実がいれられないといつて一命をも投げ出して、自分の証言をしたことが事実だと言つておる。しかも菅君が死をもつて事実を事実として国民の前に明らかにしたと同時に、この第九分所から帰られた方々、その言葉の期待であるか、要請であるか、あるいは希望であるかはいざ知らず、数十の人たちがこれを聞いたということは、この委員会において証言を得ております。そうした事実から判断いたしまして私たちは徳田氏からその通信がなかつた、あるいは連絡がないということでありますが、そういたしますと、こういうことがあつたということは、あなたは先ほどからつくりごとだとか、何とか申しますが、事実において政治部将校言つたということになれば、これはソ同盟政治部将校がみずからつくりごとをしたのであるとあなたはお考えになりますか。
  157. 徳田球一

    徳田証人 そんなことは、私は推理する必要はない推理する必要はありません。あるいはそういうことがあつたかどうかわからぬが、そういうことは問題ではない。私がそういう要請をしたかどうかが問題である。私の責任はそれ以上に出ない。それ以外のことをあなた方は御推理なさるなら、ごかつてに御自由に、かつ豊富になさらんことを特に希望しておく次第であります。
  158. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私はただいま関連質問でありますから、この質問をまたあとでいたしますが、この関連質問は菅君の証言のことでありますから、私たちはやはり菅君が死をもつて事実だと言つたこと、それから何百人という人が聞いたという事実、この事実と、徳田君が何にも知らないという事実においては、その軽重の差においては、多くの人たちがそれを証明し、かつまた菅君が死をもつて証言したことの方を真実なりと考えて、あとで私の証言に関する質問は続けます。一応関連質問だけは、これで打切つておきます。
  159. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 大体佐々木君の質問によつて、私の言わんとするところは盡きておるようでありますが、この間私国際ニユース映画を見ましたところが、あなたは非常に雄弁を振つて、菅君の死をあたかも考査委員会がその責任があるようにおつしやつておられましたが、あれはあなたの実際の声ですか。
  160. 徳田球一

    徳田証人 いつ、どこであつたのですか。そういうことは絶対にありません。実物を出して言いなさい。
  161. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 ニユースにおいてです。
  162. 徳田球一

    徳田証人 ニユ—スをわれわれはとられたことはない。菅君のそのことに関しては、絶対に言つたことはない。
  163. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 それではあなたは、菅君の死をどういうふうにお考えですか
  164. 徳田球一

    徳田証人 よけいなことだ。そんなことを考える必要はない。
  165. 内藤隆

    ○内藤(隆)委員 これは重大です。
  166. 徳田球一

    徳田証人 これは重大であろうが小大であろうが、そんなことを私は証言する必要はない。死んだのは死んだのだ。死んだのは君らが考えればいいじやないか。
  167. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 西村直己君。
  168. 西村直己

    ○西村(直)委員 先ほど徳田証人は、全員入党を考えたことはない、それを考えるのは白痴だ、こう言つておるが、私どもが今持つておる材料の中に、昨年の四月、日本共産党中央委員会事務局という名前で、各府県地区委員会あてに、ソ同盟帰還者の受入れ態勢を強化せよという指令を出しておる。その中にはつきり今度来る帰還者というものは、猛烈ないわゆる積極分子を——この二十数万と予想される積極分子を敵の謀略と懐柔から守つて、全員をわが党の組織に吸収することが大事である、これを書いております。これにつきまして私が聞きたいのは、日本共産党中央委員会名前で、各府県地区委員会あてに出している以上、徳田書記長の先ほどの言葉という全員入党は考えておらぬ。全然裏と表をしやべつておる。はつたりにすぎない。徳田証人いかがですか。
  169. 徳田球一

    徳田証人 それは原文を見せなさい。
  170. 西村直己

    ○西村(直)委員 原文はあとで見せる。
  171. 徳田球一

    徳田証人 君らは事務局と言うが、日本共産党事務局というものはない。だから原文を見せなさい。そんなものは偽造に違いない。どこから入つた指令だ。そんなものは、事務局というものはない。
  172. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはあなたは参議院で、それを認めたはずだ。
  173. 徳田球一

    徳田証人 参議院では、うちへ帰つて調べてみると言つた。調べてみたら、事務局というものは——出した覚えはない。
  174. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 参議院ではそう言つておる。
  175. 徳田球一

    徳田証人 そういうことはうちへ帰つて調べなければわからぬから、そんなことはいいかげんな答弁はできない。だからうちへ帰つて調べたら、事務局から出した指令というものはない。事務局などというものはないのだから、おかしいと思つたけれども、うちへ帰つて調べると言つたのだ。おれはこまかいことまで知らぬ。
  176. 西村直己

    ○西村(直)委員 これは大事な点でありまして、徳田証人は、参議院においてはつきりこの指令そのものを三四七号指令、すなわち一九四九年、昭和二十四年四月二日付で出した各府県地区委員会あてのこの指令は、はつきり認められておる。ただたまたまそのときの質問者が、委員会事務局などということを言つたために、今と同じように事務局のような事柄については、私は知らぬ、しかし指令を出したことは認めておるのであります。その速記録ちやんとここにあるのであります。
  177. 徳田球一

    徳田証人 そんなことはない。指令は認めておらぬ。そういう小さいことに関しては、おれは知らぬと言つておる。だけれども、そういうものは事務局から何か出たかもしれない。しかしうちへ行つて調べてみなければわからぬ、調べてみたら事務局というものから指令を出したためしはない。事務局などというものはありはせぬ。そんなものは原本を持つて来なさい。これがはたして確かであるかどうかをちやんと鑑定してやる。
  178. 西村直己

    ○西村(直)委員 これは参議院そのものにおきまして、はつきり認めておる。ただ自分は小さいことだから知らぬと言つておる。
  179. 徳田球一

    徳田証人 そうじやない、逆だよ。
  180. 西村直己

    ○西村(直)委員 そうだとするならば、私はこの問題は、少くとも党について小さい問題だと考えるのはおかしい。日本共産党書記長ともあろう者が、二十数万の帰つて来る者を全員入党させようという大方針である。小さい問題だと考えるような徳田球一とは、徳田球一が違うのではないか。
  181. 徳田球一

    徳田証人 そういうことはない。そういう一般方針などというものはない。だからおれは知らぬのだ。そんなものがあれば、ちやんと一般報告に書いてある。ちやんと方針に対しては書いてある。そういう一般方針の中に出ておらぬ。事務局の人間がそれは書いたかもしれない、それは私は知らぬ。だから中央委員会方針ではない。だから中央委員会がそういう方針を立てたということではない。
  182. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は読み上げてみます。これは岡元義人委員長からの質問で只今お手許に差上げました指令第三四七、昨年四月二日、日本共産党中央委員会事務局より出されました文書の中に「新らしく帰還する者は昨年度の帰還者より更に積極化しており、その大部分の者は云々と書いてあります。   この三四七号、これはわざわざ傍線が引つ張つてございますが、この点はどのような意味であるか、証人にお伺いいたしたいのであります。尚その次に「吾々は二十数万と予想される。」こういう工合に数字が書いてございますが、これは根拠のある数字でございますか。その点お伺いして置きたいと思います。
  183. 徳田球一

    証人徳田球一君) これは事務局から出したのですから私は知りません。私は書記長でこの事務局のことは知らん。もつと大きいことならば知つておる。
  184. 徳田球一

    徳田証人 事務局などというものはないのだ。     〔「偽証だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  185. 徳田球一

    徳田証人 事務局というものがあるか、原本を持つて来い。日本共産党中央委員会事務局というものは絶対にないのだ。それを持つて来い。
  186. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 事務局というのはあなたが言つたのだよ。岡元が言つたのじやない。あなたが、事務局から出たから知らぬと言うておる。われわれはそれについて聞いておる。
  187. 徳田球一

    徳田証人 そうじやない。向うが事務局から云々と言うて来ておる。原本を持つて来い。
  188. 西村直己

    ○西村(直)委員 もう一ぺん君の言うておることを速記録に書いてあるから、読んでみます。
  189. 徳田球一

    証人徳田球一君) これは事務局から出したのですから私は知りません。事務局から出したのじやないか。
  190. 徳田球一

    徳田証人 だから事務局というものから出しておるなら、私は知らぬと言うのだ。     〔「詭弁だ」と呼び、その他発言する者多し〕
  191. 徳田球一

    徳田証人 何が詭弁だ。事務局などというものはないのだ。お前さんはそんなよけいなことをかつてに言うな。
  192. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつも言うことですが、討論にわたつてはたいへんだ。証人らしく答弁してもらおう。
  193. 徳田球一

    徳田証人 けんかを吹つかけるならやるよ。
  194. 西村直己

    ○西村(直)委員 同じように同日の速記録に、なおやはり淺岡信夫委員から同じ問題に関連して「先程徳田証人事務局のやつたことであるから、そうした小さなことは……、自分は大きいことだけをやつている、」淺岡信夫委員自体も、徳田証人事務局でやつたということは知つておられる。それを受けて、そうした小さなことは、徳田書記長は大きいことだけやつているから知らぬ。「そこで私は証人にお尋ねしたい。この日本共産党中央委員会事務局から各府県地区委員会宛に出された通牒、これは事務局がやつているから知らんという。」そこで書記長が知る知らぬは別として、これに対する責任をおとりになるかと言つたらば、「証人徳田球一君)それは政治的な責任はあります。政治的な責任はありますけれども、この事実に関して、ああの、こうの答えることは、私がやつていない以上これを私は答弁することはできません。」この事実に関して、ちやんとあなたは参議院においては、指令そのものは認めておられる。あなたはこの速記録を取消しますか。
  195. 徳田球一

    徳田証人 そういう速記録にある事務局というものは、日本共産党にはない。事務局はないのだから、だからその内容を持つて来なさい。私はそれによつてうちへ行つて調べて、はたしてこれが事務局かどうか調べる、だから私はこれに関して何ら関知してないということを言つている。そういうものは関知しないのだ。書記長はそういう小さなことには関知しないから……。(「何を関知するのだ」と呼ぶ者あり)共産党書記長が関知しているのは、ちやんと一般報告に全部出ている。これを執行する者が全部やつている。君らは何も一般報告なんかは知らないじやないか。ちやんと一般報告をしている。それに対して執行をしている。
  196. 西村直己

    ○西村(直)委員 私はこれは徳田証人のきわめて詭弁であつて事務局というものはない。すなわち政治局、書記局はありますが、事務局はないと言う。しかしながら少くとも徳田証人参議院において、事実はあるが内容は知らぬという程度で逃げておられるその参議院における証言とこちらにおける証言とは全然食い違つている。その点をはつきりしていただきたい。
  197. 徳田球一

    徳田証人 全然違つておりません。全然違つておりません。私はそういうことは知らぬと言つた。(「政治責任をとると言つたではないか」と呼ぶ者あり)政治責任があればだよ、そういうような事実があればだよ、事実に関してだよ。それは事務局というものはないのだから、事務局というものはないのにどうして責任がとれるか。
  198. 西村直己

    ○西村(直)委員 どうも徳田証人のおつしやることは、よほど詭弁か、それでなければ私は精神鑑定を要する程度の状態に入つていると思う。参議院言つておられることは、事務局は知らぬけれども、しかし指令は認めている。内容についてはこまかには知らぬ、大書記長だから……。しかしながら私は方針については責任をとると言つている。ここへ来ると、事務局はないから、私はそんな指令は知らぬと言つて逃げようとせられる。本心から逃げようとして言つておられるのか。それとも病後であつて頭が混乱されて、精神が分裂しているのか、どつちかだと思いますが、いかがでありますか。     〔「そんな一方的なことは……」「ここを見ろ」と呼び、その他発言する者多く、離席する者あり〕
  199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 横田君、着席したまえ。(「関連質問]と呼び、その他発言する者あり)あとで許すときは許すから……。(発言する者あり)横田君、横田君、着席したまえ。着席したまえ。(発言する者あり)西村君、続けて……。
  200. 西村直己

    ○西村(直)委員 それでは私は一応問題は……。     〔発言する者あり〕
  201. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今許すから……。あとで許すから……。発言を許しているときはやめてください。西村君続けてください。
  202. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は……。     〔発言する者あり〕
  203. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 続けてください。
  204. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は、参議院においては認めておられるが、衆議院においては否定されているけれども、なお進行いたします。「二十数万と予想している。しかも新帰還者を敵の謀略から守り、わが党に全員吸収する。」これをはつきり書いております。  その次にさらにお伺いしたいのは、四月二日の指令、一応参議院で是認されている指令の中に「今度帰つて来る帰還者の大部分は積極的分子である。」とはつきり言つておられる。七月に帰つて来る、八月に帰つて来る人間を、すでに四月に党方針としては、今度帰つて来る人間は積極的なアクチーヴなやつである。共産主義者であるということをはつきり認識しておられる。そうなると先ほど委員長が質問された、何か党の方針を在ソ抑留者に対して持つておられたかというのに対して、全然持つていないということと私は相反すると思う。
  205. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは参議院でも言うておる通り、私はこの指令に対して全然知らぬと言うておる。(「委員長関連質問」と呼び、その他発言する者あり)私はそういうことに対して全然知らぬと言うておるのだ。内容は全然知らぬと言うておる。しかしこれが真実に党から出ておるものならば、政治的責任は負う。政治的責任というのは、一々こまかいことまで、ああの、こうのというわけではない。これがあるいは社会的に有害であつたとか何だとかいうときには、党はこれは自然政治的な責任を負わなければならぬ。そういう損害に対して、私は党員に対して政治的責任を負うのはあたりまえだ。だからしてこういうことに関しては、これは事務局が出しておるのだ。私は全然知らぬと言うておる。ところが事務局というものはないのだ。書記局というのはあるけれども事務局はない。(「ないものから出るわけがないじやないか」と呼び、その他発言する者あり)だから原本を見せなさいと言うのだ。
  206. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 西村君、関連質問の発言がありますが、まだやりますか。
  207. 徳田球一

    徳田証人 証言がまだ終つていない。それは事務局というものがあれば、これは私は責任を負わなければならぬ。事務局というものはないのだ。日本共産党始まつて以来、日本共産党中央委員会事務局というものはない。だから私は一々そういうことまで言うてしなくても、こんなものは問題にならないから、なあにそんなものはおれは知らぬ。だからこれを一々ほんとうに言うならば、原本を持つて来てくれ。こういう指令に関しては全部偽造なんだ。偽造指令がたくさん出ている。この偽造指令専門家さえある。日本共産党の偽造指令をこしらえて、これを売るところの専門家がある。反動時代にはそういうことに関して反動団体がやつている。われわれは幾らも資料を持つている。だからこういうにせ指令をもつて日本共産党を云々したつて、そんなものは責任はない。
  208. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 質問中ですが、からまわりするから私一応注意しますが、事務局から出ているから知らぬとはあなたが言うたことですよ。しかるにあなたは事務局というものはないから、そんなものは知らぬと言われたのでは、参議院うそのことを言われたことになる。その点が焦点なんです。
  209. 徳田球一

    徳田証人 そうではない。最初から事務局から事務局からと言うから、事務局ならばおれは知らぬという。事務局というものはないのだから……。
  210. 西村直己

    ○西村(直)委員 あくまでも参議院における徳田証人証言と、現在言つておられることは全然違うのでありまして、とにかく事務局から出たということは認めておる。内容についてはこまかにわからぬ、しかしながら政治的責任は負うと言つておる。そうすると、少くともこの指令は、名前事務局であろうが書記局であろうが、とにかく一応方針を受けて、行政的に処理をして行くところのビユーローから出した指令である。それに対して徳田書記長はつきり政治責任を負うという。しかもこの指令に基きまして、さらに京都のいわゆる府の委員会が、細胞活動の指示をして、そしてあの昨年の七月、八月の京都における帰還者の赤い大騒擾事件を起したことは事実であります。しかもそれを三月前の四月にすでに予定して指令を出しておられる。その政治責任は、何を負われるというのでありますか。
  211. 徳田球一

    徳田証人 政治責任は負います。それが犯罪ならば私は政治責任を負う。その問題に関しましては、吉田内閣がいかに彈圧したかという証拠である。日本共産党が大衆のためにこのお向えを誠実にやつているのに対して、いかに彈圧したか、痛烈無比の彈圧をしている。この政治的責任は、むしろ私は吉田内閣、自由党がとるべき性質のものであり、われわれがとるべき性質のものでないと私は信ずる。
  212. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 梨木君がさつきから関連質問を求めていますから……。
  213. 梨木作次郎

    ○梨木委員 先ほど西村委員から、徳田証人参議院における証言の問題について、一部分だけをとらえて、徳田証人言つておる全体の問題に関する証言を引用しない点があつたのです。だから私はここでもう一ぺん読んでみます。「草葉委員から証言を求められております」と、こういう岡元委員長の言葉に対しまして、徳田証人は「大体あなたは事務局であれしたと言うけれども、私は事務局であれを出したということは、私は見ていません。」こういうように答えておるのであります。だからこの点についても、西村委員はこの証人参議院における証言を、あたかも錯覚を起させるような質問をしておることは、非常に事実を曲げることになるので、こういう質問は今後愼んでもらいたい。
  214. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは篠田弘作君。
  215. 篠田弘作

    ○篠田委員 徳田君にお伺いいたしますが、徳田君が去年、多分七月ごろと思いますが、引揚者が舞鶴でもつて上陸の手続を拒否したり、あるいはいなかから迎えに来た親や兄弟の手を振り切つて代々木へ行つたり、あるいは女学生が迎えに出た日の丸の旗をとつて捨てたり、そういうような事件があつたときに、当時徳田君は考査委員をやつておられました。そうしてそのときちようどまつ最中でありましたが、徳田君はこの辺におられて、ぼくが徳田君と二人で話をして、引揚者の入党問題のやり方は、どうもあなたの方が失敗じやないか、これはやはり一応家に帰してから入党させた方がよかつたのじやないかということを、ぼくは直接あなたとここで話合いました。そのとき徳田君は率直に、そうだ、やつぱりあれは家に帰つてから入党させた方がよかつた、あれは失敗だつたということを、あなたが言われた御記憶は、今おありになりますか、なりませんか。その点だけ……。
  216. 徳田球一

    徳田証人 そんな雑談など覚えるほど悠長じやありません。
  217. 篠田弘作

    ○篠田委員 しかし少くとも天下の徳田書記長ともあろう者が、自分の引揚者という重大な問題に対して、しかもああいう社会的問題を起しておるときのその言葉が、雑談だからそういうことを覚えるほどのんきなことはできないと言われるならば、徳田書記長は一体何を覚えておるのかということをわれわれは疑わざるを得ない。
  218. 徳田球一

    徳田証人 疑つてもいいよ。
  219. 篠田弘作

    ○篠田委員 二十何万の引揚者を入党させるということが小さい問題であつたり、あるいは自分の名前でソビエトに手紙を出したか出さないかという問題もこまかい問題であつたり、あるいは他党の委員と引揚問題について話し合い、しかも自分が明かに、これはやはり郷里へ帰つてから入党させる方がよかつたということをあなたはその節申されたのでありますけれども、それも雑談だから覚えないということになるならば、徳田書記長は何も覚えていないということになると思うんだが、これはどうでありますか。
  220. 徳田球一

    徳田証人 それはよけいな推察であつて、私には何ら関係のないことである。
  221. 篠田弘作

    ○篠田委員 それではあなたがあのとき、これは失敗だと言われたことは、別に自分の気持から出たことでなく、ただばつを合せられただけでありますか。
  222. 徳田球一

    徳田証人 そんなことを覚えていない。そんなことを覚えているほどの悠長な人間ではない。
  223. 篠田弘作

    ○篠田委員 すると頭がどうかしている……。
  224. 徳田球一

    徳田証人 狂つていてもいいよ。
  225. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 徳田書記長にお聞きいたしますが、お聞きいたします前に私申し上げておきたいことは、この引揚問題はもう全国民の監視の的の中に行われておる問題であり、また日本共産党としても、これは事実を事実として明らかにしなければならない真剣なる問題だと思うのであります。はなはだ失礼ですが、先ほどから証人は、けんかならやつてやろうかとか、そういう言葉自体が何となくわれわれには、この委員会の運用に対して、非常におもしろ半分的なやり方ではないかと思えまして、はなはだ遺憾にたえません。私も真剣にお聞きいたしますから、どうか証人もひとつ真剣にお答え願いたいと思うのであります。  そこでまず私は、引揚げ問題でありますから、徳田書記長個人のことばかりでなく、日本共産党としての考え方もお聞きいたさねばなりません。そういう点からひとつお答えを願いたいのでありますが、あなたは日本共産党書記長でありまするし、こういうことを聞くのははなはだ失礼でありますが、ポツダム宣言の第九條に——言葉はその通りではありませんが、その意味だけを申し上げますと、武装を解除された国の軍隊は、その郷里に帰つて、平和的な生産的な生活を営ましめなければならないという條項のあることを、あなたは御存じでございましようね。
  226. 徳田球一

    徳田証人 御存じです。
  227. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そういたしますと、いわゆる連合軍と日本国との間に行われたその條約は、もちろん日本においても、また連合国においても、これを実行しなければならないと私は考えますが、あなたもそうお考えでございましようか。
  228. 徳田球一

    徳田証人 そうです。
  229. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そのことに基いて、各国はいち早く日本の兵隊あるいは同胞を次々と帰してくれたのでありますが、不幸にしてソ同盟だけはそれから一年、二年、三年、四年半たつとも、いまだに全部帰したというような事実には到達しておりません。こうした厳正なるポツダム宣言があるにかかわらず、ソビエトが帰国を遅らしておるというその事実は、あなたは日本共産党書記長として、ソ同盟のとつた態度には——実に遺憾であると私たちは思いますが、あなたはどうお考えになりますか。
  230. 徳田球一

    徳田証人 私はソビエト同盟とのこまかい手続上のことは知りません。知りませんか、これは連合軍内のそれぞれの手続をして帰しておるのであります。そういう意味で、これが遅れたかどうかということは、私は各人のそれぞれの考えによつてきめられるものであると思う。これがどこの責任において遅れたかということは、軽々しく断定することはできない。しかるに実際上、これはその後のとりきめにおいて、ソ同盟はこの任務を果しておると言明しておる。かつもう全部、向うにおいて戰犯その他でとめ置かなければならない以外の者は帰しておると公表しておるのでありまするから、われわれはこれを信じ、かつポツダム宣言はこれを履行されておるものと認めるものであります。
  231. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 連合国のその国々の責任において、事情において、それぞれポツダム宣言の條項に対する処置をとられたということにおいては、私もその通りだと思います。ただソ同盟だけが他の国よりも二年も三年も四年も遅れておるという事実は、その国の責任においてなさねばならぬものとするならば、この引揚げが遅れておるというその責任は、ソ同盟がとらなければならないと私は考えますが、あなたはどうお考えになりますか。
  232. 徳田球一

    徳田証人 あんたがお考えになることは御自由でありまして、どうぞごゆつくりお考えください。
  233. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 この重大なる問題をあなたが御自由だという考え方で、しかもソ同盟というあなたが崇拝しておる国との関連性は直接間接、事務的にはないといたしましても、その思想においてはソ同盟とあなた方とは何らか相通ずるものがあるのであります。こうした重大問題がソ同盟において遅延されておるという事実において、私は私なりの考えを持ちます。しかしあなたはあなたなりとしての考えをこの委員会から、国会から、全国民は非常に期待しておるであろうと思います。私は私で解釈いたしますから、徳田書記長として、この遅れた事実に対するあなたのお考え方をお聞きしたい。
  234. 徳田球一

    徳田証人 あなたは遅れておる遅れておると言うけれども、この遅れておるということがはたしてポツダム宣言の履行においてそうであるか、各国内の事務の都合上、実際の仕事の運用上こうなつておるか、その点を判定していますか。私はそういう点は遺憾なしに行われておる、すなわちソ同盟から帰つて来た者はみな太つておる、そうしてりつぱに役立つておる。ほかの国から帰つた者には相当痛み入つた連中がおる。ことにマラリアその他でいまだに非常に困難を感じておる人もおる。それから国民党政府からは相当長い間帰されないのがいて、それが今度は内乱のために中共に今残つておる。これも中共政府は早く帰そうと言つておる。そういう事実もありまして、その国々のそれぞれの事態の発展によつて、早くなつたりおそくなつたりしておる次第である。そういうことに関してわれわれは神経を悩ます必要はない。連合軍はただちにこのことに関して正しくやつておることを信ずる。かつ諸君がそれほどのことを言うならば、帰つて来た幾百万の人間に対して、日本政府は何をしておる。日本政府は国民に対して職を與えず、それに対して窮乏を與え、はなはだしい圧制をしておるではないか。これはポツダム宣言に反することおびただしい。しかも吉田内閣は……。
  235. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 おくれたことについてどうかという質問に対して、それはちよつと脱線しておるではないか。
  236. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 徳田君の証言は、いわゆる三年にも四年にもなつておるが、ソビエトのとつた態度に対しては何ら遺憾だという証言を得られなかつたことは、全国民とともに私は非常に悲しむものであります。ただここであなたが先ほどから、ソ同盟のいわゆる抑留者に対する待遇その他のものが非常によくて、太つてみな帰つて来ておるとおつしやいましたが、先般来この委員会において証人を呼び証言を受けた、その証言内容を聞きますと、御承知かもしれませんが、一収容所には大体千人近くの抑留者が抑留されておる。しかもある抑留地区のごときは、その千人の中で、一年間のうちに二百五十名、いわゆる抑留者の四分の一なるものが栄養失調のために、あるいは寒さのために死んで行つた。しかもその死人に対する態度は、ただちに服を脱がし、ズボンをとり、ふんどし一つにして、極寒のあのシベリアの広野に積み上げて、そうして抑留者がその後逐次これを土に埋めたというような悲しむべき証言も私たちは得ておるのであります。これは先般加藤という証人もここで証言いたしました。その他ここにあがつておりまするソビエトの抑留者に対する態度は、もちろんいろんな事情もありましようが、捕虜として十分なる待遇が受けられないことも考えられます。各種の証言あるいはその他のことを想像いたしますると、相当苦しい思いをして来たということは私は事実であろうと思います。私はあなたとここで議論をしようとは思いませんが、ただ先般来シーボルト議長、あるいは日本政府の調査によりましても、三十七万六千名の日本人がまだいるであろうと発表し、調査されておるのであります。そこへもつて来て、昨年は九万五千人近く帰り、その後二千人あるいは四千人帰つて参りましたが、そうした数字を合算いたしましても、まだ二十万近くの人が帰つていない。その中にはあるいは戰犯その他いろんな事情で残されておる人もありましようが、先般のタス通信発表なり、ソ同盟発表によつて、これで全部だというならば、おそらくはこの二十万近くの抑留者は私は死んでおるのではなかろうかと想像されるのであります。こうした点から考えましても、多くの人たちが死んで行つた、あるいは栄養失調で倒れた、凍死をしたというようなこの事実を見ても、あなたはソビエトの抑留者に対する待遇が最も好條件であつた、しかも引揚者がみな太つて来たというようなことを、今自信をもつて言われるかどうかお聞きしたいのであります。
  237. 徳田球一

    徳田証人 諸君はここで証言を得たとかなんとか言うけれども、日の丸梯団などのごとき、その趣旨によると、日本人同胞同僚や戦友を敵に売り云々と書いてあるのであります。そしてこれらはソ同盟に対して、まるで自分らの仇敵のごとく復讐しようとしている。これらの人々の言つていることがはたして真実であるかどうか、きわめてこれは疑わしいのである。しかるに現にソビエト同盟から帰還している人々の様子を見ますと、ソ同盟においていかに俘虜が自由に芸術を愛し、そうして大工さんたち、労働者さんたちがあれだけにりつばに成長していることはみごとなものである。こういうことを見ずに、ただ日の丸梯団みたようなものの、相手を仇敵視して、これに対して復讐しようという、これはヒトラー的、フアシスト的な団体である。こういう者たちの言うことを諸君が信ずるならばこれはたいへんだ。私たちはこれは団体等規正令にも反している重大な反動団体認める。こういうものの証言を……。(発言する者多く聴取不能)かつこの生活につきましては、実際上ソビエト同盟から帰つた人々の手記はたくさんある。いわゆる偽造したものと偽造してないものとはよくわかるのだ。満洲におけることだの何だのを小説に書いて、もつともらしいようなことをいつてあとからばれたのはたくさんあるではないか。そういう種類のものを根拠にしてものを言うならば、これは全然話にならぬ。かつ……。(発言する者あり)もつとある。だまつておれ、答えないのがある。何でおれの話を切るのだ。(「それでわかつた」と呼び、その他発言する者あり)わかつたとは何だ質問に対して答える自由もまた剥奪されるのか。証人は質問に対して答える自由を持つている。君らそれを剥奪するというのか。     〔「何を言うか、だれが剥奪するといつた、わかつたというの、だ」と呼び、その他発言する者あり〕
  238. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで応答しておつては困るじやないか。
  239. 徳田球一

    徳田証人 帰還してない者が三十七万何ぼということを言うけれども、これは日本政府の方で出しておるこの根拠について、外務委員会その他において、たびたびその内容を示せ言われても、一つも示さないじやないか。事実は三十七万おらない。一々これに対して質問を発したのに対して、何ら答えてない。これは全部うそだということははつきりしておる。そういうことに関して、これを根拠にして、ソビエト同盟にまだ多数いると言うことは、根拠なき事実と私は信ずる。ソビエト同盟から帰つて来ておる人々の実態を見よ。実際太つておるではないか。ただちに仕事をしておるではないか。こういうところを見ずに、單に自分の都合のいいことだけで判定しようとするのは、私の賛成せざるところである。物事というものは、すべて総合して、全体からこれを判断しなければならぬ。一部的なもので判断しようとすることは、きわめて危険な考えであると私は信ずる。
  240. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 篠田君から関連質問をするそうですから、その問私は一つやります。あなたは、先ほど日の丸梯団だとか反動分子言つておることは、みなつくりごとだというお話ですが、それと、あなたはりつぱな共産党員、共産主義者は、決してそういうつくりごとうそは言わないということを、御信念をもつて言うことができますか。
  241. 徳田球一

    徳田証人 私は決してそういうことを言つたのではない。こういう日の丸梯団ごときは、相手方を仇敵視して、これに対して復讐するという気持で言つたことに対して、はたしてわれわれがこれを真実認めるかどうか。こういう政治的な精神をもつてちやんどそういうことをやろうという気持でもつて言う者は、これを信用すべきものではないということを言つておるのだ。だから必ずしも私はこれをうそだとは言わない。あるいはそうかもしれぬ。しかし政府的な、そういう意図でやる者に対しては、信用の置きがたいものがたくさんあるのだ。かつもう一つ日本共産党うそを言うとか言わぬとかいつているが、そんなことに対して私は云々しておるのではない。これはあるいは場合によつては、間違つてうそを言う者があるかもしれぬ。あるいは自分で知らないで、間違つて真実でないことを言うかもしれぬ。しかしこういう一々のこまかいことに関して、私にそういうことはないと確言しろというのは、まさに子供らしい質問であると私は信ずる。
  242. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そうしますと、今ちよつと日の丸梯団のような連中の言うことは、つくりごとであるから信用ならぬと言いました点……。
  243. 徳田球一

    徳田証人 私はそういうことによつてつくりごととか言うのではない。そういう政治的な意図をもつてやることに対しては信用できないと言つておる。つくりごと言つておるのではない。
  244. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 問題はさつきの方に逆もどりしますが、ここで高山君とか、あるいは小澤常次郎君、それから相原和光君などという今は共産党員であり、かつまた共産主義者であります。その人たちの証言内容速記録にありますが、たとえば相原和光君という人も、私は共産主義者だとはつきり申しております。その人が先般の証言において、菅君のいわゆる翻訳された期待という、この期待か要請かという問題で、大分長くお考えになられておりましたが、しかも原文のロシヤ語まで使つて期待であるということを聞いた。こう証言をしておるのですが、あなたは先ほどから言つたように、日の丸梯団だけでなく、あるいはあなた方のいわゆる共産主義を遵奉される人、共産党員である人さえもそれを証明しております。期待であるということにおいて……。それでもあなたはいわゆるあなたの党員であり、共産主義者の言つたことも、これを否定しますか。
  245. 徳田球一

    徳田証人 何だかわけがわからない。何を聞いているかわからない。何を期待するとか、訳さぬとかいうことは、どちらでもいい。おれの関知するところではない。おれは多少は知つておるけれども、ロシヤ語は知らぬ。そういうことは争う必要はちつとも認めない。
  246. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これはまた先ほどに返りますが、重大なことをわれわれは今証人から聞いたわけであります。要するに三年も四年も置くというそのことに対する何ら遺憾だという言葉も得られないし、これはいわゆるソ同盟の都合によつてつているのであるからというような、一方的な、しかもかつまたソビエトが抑留者に対して行いました行動を、みずから共産党員書記長である徳田君がこれを弁護し、擁護するようなことを、たまたま聞くのでありますが、あなたは昭和二十四年二月二十日、秋田市において講演をなさつたことがありますか。
  247. 徳田球一

    徳田証人 よく日にちは覚えぬが、大体講演したことはある。
  248. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 ありますか。
  249. 徳田球一

    徳田証人 ある。
  250. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その席上で引揚げ問題に対してお話があつたようですが、その引揚げ問題のお話をやられました記憶がございますでしようか。
  251. 徳田球一

    徳田証人 それは質問に答えた記憶がありますが、内容はどう答えたか、私覚えておりません。(「頭が悪いな」と呼ぶ者あり)悪くつたつてよけいなことだ、悪いから何だ。(「悪いじやないか。事実を言つたまでだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)よけいなことを言うな。
  252. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それで篠田君がおいでになりましたから、私一つ聞いてやめます。あなたが記憶がないというならば、私は記憶を呼び起すために、これは参考になるかもしれませんから申し上げます。もちろんあなたが直接講演の中に言うたのでなくて、引揚げ問題に対して共産党のいわゆる考え方を聞いた聽衆の一人があつたわけであります。それに対してあなたが答えて言うのには、ソ連の事情を聞いてみるに、ソ連にも五箇年計画というものがあつて、その計画の途上だ。輸送力等からいろいろ考えても限度がある。わが党としても、ソ同盟に対しては将来における善隣関係考えているので、むりを言うことはできないということを聞いたということがあるのですが、そういうことをおつしやつたのでございましようか。
  253. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは覚えていません。
  254. 篠田弘作

    ○篠田委員 引揚者の問題は、徳田さんも御存じの通り、残された家族にとつてはまつたく自分の生命を奪われるにも似たつらい問題であります。これが三十万残つておるか、あと何もないかということは、小さな問題では絶対にありません。これはいかに共産党の大書記長をもつて徳田君が自認されたとしても、これをもつて小さな問題であるというふうに徳田君が考えられるならば、日本共産党員というものは、何らの愛情もなければ、何らの日本人的な精神もないものであつて、もしそれによつて民族の独立であるとか、いろいろなことおつしやられても、これはまつたく百日の説法へ一つであると私は考えます。そういう意味合いでただいま佐々木君の御質問に対して、日の丸梯団政治的な宣伝であるというような回答をされましたけれども、單にそういうことを申し上げておるのは、日の丸梯団だけではありません。タス通信の残留民は二千四百六十七名であつて、九百七十一名は中国に引渡し、病人が九名残つておるだけだというようなタス通信発表に対しまして二十二日の日に総司令部のスポークスマンはこういうふうに述べております。三十万九千七十名の日本人は今なおソ連領土内に残つておるものと考えられるということを指摘しておる。これは総司令部のスポークスマンの言動であつて、決して日の丸梯団というがごとき、あなたの言葉をもつて言えば政治的な考えを持つて言つているのじやありません。それに対してこれをも否定されるかどうかということを、一言承りたいのであります。
  255. 徳田球一

    徳田証人 そういう誘導尋問に対して私は答える責任は持ちません。それは連合軍の総司令部のスポークスマンの言でありますから、言として聞いておきましよう。
  256. 篠田弘作

    ○篠田委員 それでは徳田さんにお伺いしますけれども、いわゆるタス通信発表は、あなたは非常に確信を持つてお信じになる。にもかかわらず一方連合国最高司令部のスポークスマンの話を誘導尋問であるというようにお考えになる根拠はどこにありましよう。
  257. 徳田球一

    徳田証人 そういう挑発には、こつちは応ずるわけには行きません。
  258. 篠田弘作

    ○篠田委員 連合軍最高司令部のスポークスマンの発表は挑発であると共産党書記長はお考えになりますか。
  259. 徳田球一

    徳田証人 そうじやない。篠田君の聞き方が挑発だというのだ。私は連合軍司令官のスポークスマンの発表発表として受取ります、こう言うておる。それとタス通信との違いの云々に関して私が論評を試みたり何かすることはできない。そういうことはでき得べからざることなんだ。そういうことを誘導尋問して挑発することに対して、私は絶対に答える必要はない。
  260. 篠田弘作

    ○篠田委員 タス通信発表であるにもかかわらず、日本にはまだ数十万の遺家族が現実に残つておるのであります。これらの人々は先般東京に集まりまして、そうしてソビエト大使館にも抗議を申し込み、また引揚者大会として新聞発表されておる通り、集まつて涙を流してこの帰還を希望しておるのであります。従つてわれわれは実際に徳田君の言われる通り、ソビエトに行つて調べたわけでも何でもありませんけれども、しかしこういう現実に日本の国民が遺家族として残され、孤児として残され、寡婦として残されている以上は、帰つて来ないという事実がある以上は、これが帰還を希望するのは事実であります。従つて私もタス通信発表を全面的に誤りであるという材料は持ち合せておりませんけれども、現実がこれにそぐわないのみならず、一方において日本に占領政策を行つておるところの総司令部のスポークスマンが、責任を持つて二十二日の日に三十万九千七十名の日本人が今なおソビエト領土内に残されておると考えられるということを発表している以上、これまた無責任なる政治的なかけひきであるというようにわれわれは解釈することはできないのであります。そこでわれわれ日本人としては、こういう二つの食い違つた数字が出ておる以上は、やはり日本人らしい感覚の上に立つて、どうしてもこの誤りをたださなければならないと考えるのであります。徳田書記長はいろいろこまかい話をしたことは忘れてしまわれる性質らしいのでありますが、徳田書記長は今ソビエトに対して何らの関係がないということをおつしやいましたけれども、徳田書記長は決してそういうふうに自身考えておりません。この前に北海道開発法の問題で私が国会で演説しましたとき、徳田君はあれは非常にいいことだ。それは共産党も北海道の総合開発に対しては共鳴しておる。それではあなたは何を共鳴されるかといえば、根室から千島一帯にかけての領域は漁業区域が非常に狭い。日本の漁船がちよつと出るとすぐ拿捕されるが、これについては共産党も大いに考えて、幸いにソビエトと共産党は仲がいいから、この海域、いわゆる漁区を広げるために努力するつもりであると言われた。私は同志の諸君に対しても、やはり徳書記長はなかなかものわかりがいいということを発表した記憶を持つておるのであります。そういう意味合いにおいて、あなたが一番最初にソビエトに対して何も働きかけておらないならばともかくも、実際において同胞の引揚げに対してアカハタ発表された通り政治にわたつて懇請をされ、いろいろなことをされておるのであります。そうしてみるならば、一方的にこの食い違つた二つの数字をタス通信だけを信用して、三十万九千七十名の残留日本人が残つておるというスポークスマンの発表に対して無関心でおられる原因は一体どこにあるか。それでも日本人としてほんとうに日本人に対する愛情をお持ちになるかどうか、私は一応お伺いしたいと思います。
  261. 徳田球一

    徳田証人 そういう選挙演説的なことじやだめです。私の質問にはならぬ。私は何も総司令部の発表に対して私が異議を申し立てるとか何とか言うのではない。また日本はそういうことはしてならないことになつている。そういうよけいなことを言わなくてもいいんです。わかつています。しかしながら彼が言う通り、四十何万幾らという遺家族がいるとかいないとか、それは大体どこから出た。われわれが調べるところによると、外務省やその他のやつている、あるいは府県知事市町村のやつているところでは、われわれは幾らいるかに対してどんどん質問しているけれども、そうして調べているけれども、これはみなごまかしている、四十何万幾ら集まつた、四十何万幾ら集まりはせぬ。それは代表者なるものが集まつただけなんだ。それがはたして真実であるかどうかに対しては、われわれは外務省その他に対して、あるいは厚生省の援護庁に対してもたびたび質問しておるけれども、これに対して明確なる解答をしておらぬ。伝えられるところによると、こういう書類を燒き捨てたという話もある。これが真実なりやいなやはよくわからぬが、風説によるとそういうことさえある。このことに関しても外務委員会その他で追究しているけれども、何ら的確な返事はない、だからはたして幾らいるかということはわからぬ。われわれは引揚げ問題に対しては、全力を上げてこれを早くやりたいと思つておる。思つているためにたびたび要請もしておる。われわれはソビート同盟に対して特別の関係があつた云々ではないんだ。これはわれわれがこういうものに関係があるなしにかかわらず、われわれは日本人として、やはり同胞が帰ることを主張しているのだ、何らそれに対して特別にソビエト同盟を擁護するために云々しているのではない。これは公の一般的な公理からわれわれは論じておるのである。
  262. 篠田弘作

    ○篠田委員 私は徳田君が特別なる考慮を持つてソビエトを擁護しているということは、一言も言つておりません。それにもかかわらず、徳田君がそういう言い訳をされるということはまことに語るに落ちるものであると私は考えるのであります。そこで徳田君はただいま三十万九千七十名の残留者が残つておる、これに対してどう思うかということに対して、そんなよけいなことは一つ考えない。こういうふうにおつしやつておりますけれども、しかし一番最初の委員長の質問、すなわち共産党ソ連日本人捕虜及び抑留者の帰還遅延に対していかなる対策または処置をとられたかという点に対して、同胞の引揚げに対してはいろいろと希望し、自分らのやつた手続についてはアカハタ発表してあると言われたけれども、それならばこの三十万の未帰還者に対するところの数字を云々するということがよけいであるならば、そうして実際において連合軍のやるがままにまかせていいということになれば、何のために同胞の引揚げに対していろいろな手続をとられ、あるいはまた対策をとられて、それをアカハタ発表されたかという点について御答弁をお願いしたい。
  263. 徳田球一

    徳田証人 決してそういうことは彼が言うようではない。われわれは三十何万幾らという数字に関しては、総司令部の発表に対して論議する権利を與えられていないんだ。そういうことに対して論議しろというのはそれが挑発だ言うんだ。だからわれわれはこういうことに関連しない。しかしながらわれわれは引揚げに対しては誠心誠意やつているではないか。ことに引揚げて来た五百何十万という人間の窮乏に対しては、われわれはたびたび援助資金云々のことに関してそれぞれやつぱり要求しているのだ。(発言する者あり)だまつていなきい。そういうことを自由党もやらなければいかぬはずだ。自由党は一つもやつていないじやないか。大いにやるべきだ。自分らが政権をとつた以上……。
  264. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 質問に対する答弁に限つてもらいたい。議論にわたるから……。
  265. 徳田球一

    徳田証人 だからこの今の問題もやつぱり議論なんだ。意見なんだ。そういうことは証言の限りではない。
  266. 篠田弘作

    ○篠田委員 徳田君はただいま、総司令部の発表に対しては論議する対象とはならない。いわば論議する限りではないということをおつしやつているにもかかわらず、先ほどタス通信発表は、ソビエトの政府から発表権限を與えられたものであるから——これは私も新聞で知つておりますが、これは全面的に信用してさしつかえないということを言われた。なぜソビエトの政府から発表されたものは全面的に信じてよろしくて、しかも連合国のスポークスマンから発表したものは論議する対象とならないのか、その点において、徳田君の御答弁はまことにしどろもどろであると言わざるを得ないのであります。その点について御答弁願いたい。
  267. 徳田球一

    徳田証人 それは、彼が政治的な無能力者だからである。総司令部の発表に対して論議すべき限りでないことは、これは論議してはいかぬことになつておる。そういうことがわからず何を言つている。それもソビエト同盟の政府から発表しているのに、われわれが一々調べる能力もなければ、調べる必要もない。調べることもできないのに、それを信じない信じないということは、一体どうしてそれが言えるのか、それは一応信じなければいかぬじやないか、信じてかつ策を立つべきものだ。ああのこうのという文句ばか言つてどうする。
  268. 塚原俊郎

    ○塚原委員 徳田証人は盛んにタスを引用されておる。参議院の引揚委員会でも聞けばわかるというようなことをおつしやつておりますが、あなたはタスというものを絶対に信頼しているのですか。
  269. 徳田球一

    徳田証人 タスというものを信頼する、しないではない。タス通信は……。(発言する者あり)よけいなことを言うな。おれが証言するのになぜよけいなことを言う。
  270. 塚原俊郎

    ○塚原委員 私は信ずるか、信じないか
  271. 徳田球一

    徳田証人 だから証言しているじやないか。答弁していないじやないじやないか。(「言え言え」と呼ぶ者あり)答弁しなくてもいいのか。答弁するのに何を言うのか。私はタス通信を信用する、信用せぬというのではないのだ。タス通信権限を與えてソビエト同盟が公表しているものじやないか。この公表を、政府の公表をわれわれが信ぜずに、めちやちやにこれに対して論評を加えてみたところで、今のところ論評を加えるべき何らのあれがあるか。
  272. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 絶対に信ずるんだね。
  273. 徳田球一

    徳田証人 絶対それは信ずるさ。ソ同盟の政府が出しているんだから信ぜざるを得ないじやないか。
  274. 塚原俊郎

    ○塚原委員 あなたはきのうまで御病気なさつて、非常にお気の毒だと思つて聞いているのですが、そのお元気ならば……。
  275. 徳田球一

    徳田証人 闘いは心配するに及ばず、お互いにどんどん死ぬまでやれ。
  276. 塚原俊郎

    ○塚原委員 その怒号と怒声を出さないで。重要な委員会の審議ですから落ちついてやつていただきたい。今のタスは絶対に信頼する。それからあなたが先ほどから……。
  277. 徳田球一

    徳田証人 タスを信頼するというのではない。ソビエト政府の発表に信頼するんだ。
  278. 塚原俊郎

    ○塚原委員 全世界にその名をうたわれているという意味においては、あなたはアカハタというものを盛んにたたえておられた。あなたはアカハタの記事も絶対に正しいと思われますか。
  279. 徳田球一

    徳田証人 アカハタの記事が正しいか正しくないかということは、一々それが正しいとは言えないかもしれない。人間のする仕事だから間違いはあります。間違いはあとから正します。必ず正すようにしてある。だからしてアカハタは大体において、われわれ労働者階級の新聞としてわれわれは信じてよろしい。間違いがあればいつでも訂正をいたします。
  280. 塚原俊郎

    ○塚原委員 信頼はするが、正しくないこともときどき報道するというふうに解釈していいのですか。
  281. 徳田球一

    徳田証人 そんなことはよけいな言い方です。それは人間のする仕事だから、間違いもなきにしもあらずです。間違いがあつたときはすべて丁寧に訂正いたします。それゆえわれわれは全体としてこれを信じてよろしい、こう言つているのです。
  282. 塚原俊郎

    ○塚原委員 それでは三月の六日付のアカハタによりますと、四日モスクワ発のタス通信は、ソ同盟引揚の元軍人捕虜数名が徳田要請を言明したが、それは悪意あるつくり話だと否定しております。それもあなたは確かだとお思いになりますか。
  283. 徳田球一

    徳田証人 それは一々こまかいことを調べておりません。確めた後に確かかどうかを返答いたしましよう。
  284. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは事実知らぬのかね。
  285. 徳田球一

    徳田証人 知らぬかと言つて書記長がそんなこまかい新聞記事の一々まで調べられるか。調べてみて確かか、確かでないかを返答しろというなら返答しましよう。そういうことに一々答える必要はない。だれでもそうなんだ。新聞記事の一々に対しで、みなこの私が調べて私が答弁しなければならぬというはずはないのだ。うちへ行つて調べてみましよう。
  286. 塚原俊郎

    ○塚原委員 どうも証人は、都合の悪いことはごまかいことで書記長知つたことではないということをおつしやいますが、それはそれでもいいでしよう。あなたが病気中に考えた作戰かもしれませんから……。ただあなたが共産党で出している機関紙アカ八タに対して、相当侮辱を與えているということだけは、私は少しわかつたような気がするのですが。
  287. 徳田球一

    徳田証人 そう思うなら思いなさ
  288. 塚原俊郎

    ○塚原委員 三月六日付の私が今言いましたアカハタの記事をさかのぼつて、いわゆるタス通信というものを見てみますと、タスも全然でたらめなことを言つております。モスクワ放送によりますと、タスは、ソ連からの復員者のうちに某元日本人軍人捕虜——特定の單数の捕虜徳田要請を語つたとなつております。こういう報道をしております。またそれに関してモスクワ発のAP、UPも同様に伝えております。これをもととしてアカハタが編集する際に、アカハタはわざわざ元日本人捕虜数名というふうに訳しております。これは徳田さんの言葉じやないが、驚くべき事実です、驚くべき間違いです。文法知識の不足からこうなつたとは申し上げられません。(発言する者あり)すべての日本人は、先ほどから篠田委員も申しておるようにGHQの発表によつて徳田要請証人は少くとも四十六名はいるということをおそらく知つています。あなたはこれについてとやかく言うかもしれませんが、とにかく四十六名の証人があるということは知つております。それをタスはことさらに特定の一名として報道しております。この一名の報道、わずか一名ということによつて証言の価値を減少させて、否定に便ならしめようとしているということ以外に私は考えられません。さらにあなたが信頼すると言つていたアカハタは、特定の一名では日本人がなかなか信用しない、承知しないであろう。だからこれを数名として修正している。この一つの事実を見ましても、タスもアカハタも、徳田要請否定のために事実をことさらに歪曲して報道しているのであつて、いずれもまつたく全然信用することができないものであると私は思いますが、証人はいかにお考えになりますか。
  289. 徳田球一

    徳田証人 あなたが思うのは自由です。自由党は自由に思いなさい。私の関したことではない。
  290. 塚原俊郎

    ○塚原委員 おそらくこれは私だけではなく、あなた方共産党の一部の者を除いては、実にインチキな報道であると考えるでしよう。あなたもそれを認めていただきたいと思います。GHQ発表で、先ほども申しましたように、四十六名、タスは特定の軍人捕虜一名、それからアカハタでは数名、かように変化しているのは一体どうしたことか、もしかりにタスの報道をあなたとともに信用するとするならば、タスは特定の一名の証言を否定しておりまするからして、残り四十五名については何ら否定していないことになるという解釈もできます。しかも共産党が特定の数名だけを否定していることは、逆に残り四十名の証言はこれを肯定しているというふうにも解釈されます。だからタスは徳田要請を否定しているから……。それはデマだというあなたの証言というものは全然根拠がない。あなたははつきり認めた方がよい。根拠はまつたくなくなつています。なおタスを信頼すればするほど、徳田要請は事実であつたことになるのです。この辺ではつきり要請をしたということをあなたはおつしやつた方が、宣誓の趣旨にももとらないほんとうの言葉じやないかと思います。むしろそんな不正確なタスをあくまでも引用されるところに、あなたの祖国はソビエトだということ以外に私は考えられません。あなたがその手紙を出されたという事実を、あなたはこの事実によつて裏書きしているのです。
  291. 徳田球一

    徳田証人 それは君の議論です。
  292. 塚原俊郎

    ○塚原委員 ここでお聞きしたいが、一体あなたの祖国はどこですか。
  293. 徳田球一

    徳田証人 そういう議論はどつちでもいいのです。
  294. 塚原俊郎

    ○塚原委員 議論じやありません。     〔発言する者あり〕
  295. 徳田球一

    徳田証人 私は証言をするのだから、あなたはゆつくりおすわりになつて……。     〔「証人証言をすればいいのだよ。」と呼び、その他発言する者あり〕
  296. 塚原俊郎

    ○塚原委員 あなたの祖国はどこだ、日本なら日本だということを言つてください。
  297. 徳田球一

    徳田証人 だれの祖国だ、そんなことを聞く何のゆえんがあるか、私は日本に国籍がある以上日本じやないか、何だ。
  298. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでよろしい。
  299. 徳田球一

    徳田証人 よけいなことを言う。そういう挑発的なことを言うから……。(発言する者あり)それからなおかつ私は言わなければならない。(「ばかやろう」「ばかやろうとは何だ」と呼び、その他発言する者あり)おれが答えるのに何だ。     〔「退場を命じろ、退場を命じろ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然
  300. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 委員外でそこにおつて発言しては困るから、退場してもらいます。退場さしてください。     〔発言する者あり〕
  301. 徳田球一

    徳田証人 人の証言を妨げるのか。ぼくはもつと答える必要がある。(「不見識だよ、なぜ証人を侮辱するような質問を許すのだ」と呼び、その他発言する者あり)証人を侮辱するのか、国会議員は日本人じやないのか。なぜ君は……。
  302. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 議論はよしたまえ。     〔「うるざいぞ」「何がうるさい」と呼び、その他発言するもの多く、議場騒然
  303. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 静かに。
  304. 徳田球一

    徳田証人 一体今の塚原君の質問は何だ。質問になつていないじやないか。人を侮辱しているじやないか。証人を侮辱して、言えというのか。
  305. 塚原俊郎

    ○塚原委員 祖国はどこ……。     〔議場騒然、聴取不能〕
  306. 徳田球一

    徳田証人 なぜそんなことを言う必要があるか。われわれは日本人にきまつている。そんなよけいなことを言う必要はない。(「どこなんだ、君」「まだ住所姓名を聞いてないじやないか」と呼び、その他発言する者あり)おれはまだ答える必要があるのだ。
  307. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかのことならば別だが、祖国に関することは……。
  308. 徳田球一

    徳田証人 そういうことを言つているのじやないのだ。祖国云々の前に、もつとたくさん言つているのだ。これをみな答えなければならない。     [「わかつた、われわれの聞いたことはわかつた。言う必要はない」と呼ぶ者あり〕
  309. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なるべく簡明にしてもらわぬと、いろいろ何するから、簡明に質問してもらいましよう。     〔「証言の前に証人名前を……」   と呼び、その他発言する者あり)
  310. 徳田球一

    徳田証人 おれの住所姓名はここにちやんとあるじやないか。(「証人には聞くことになつているのだ」と呼ぶ者あり)ばかなことを言うな、おれの名前は議員の……。(「議員であつて証人だよ」と呼び、その他発言する者多く聴取不能)
  311. 塚原俊郎

    ○塚原委員 私はまだゆつくり一時間でも二時間でもやります。あなたから祖国は日本であるというはつきりした御答弁をいただいて、私はその御答弁だけでけつこうです。あなたが他のいろいろなことを答えられるとおつしやいましたけれども、証人委員の質問に関してのみお答え願えばよろしい。その前の質問に対する証言はいりません。ただあなたは祖国は日本であると言う。あなたは偽りの共産主義者じやないかと私は思うのです。あなたはうそ証言をしている。あなたははつきり言つた方がいいのですよ。始終あなた方が言つている職法から見て、あなた方の国はソ通なんですから、ことさらに日本だなんという必要はないのです。証人が……。(議場騒然、聴取不能)
  312. 徳田球一

    徳田証人 どこからそんなことを……。     〔「黙つて聞いておれ」「質問に答えろ」と呼ぶ者あり〕
  313. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 討論会ではないのだから、質問する者は質問をして、答える者は答えてもらわなければ、途中でそういうことを言つてつては速記も何もとれない。
  314. 塚原俊郎

    ○塚原委員 ユーゴスラビアのチトーは、私は社会主義の国ソ連を愛する。同じく社会主義の国ユーゴをソ連より少く愛することはできないということを言つております。チトーはソ連を祖国と考えなかつたがために、ソ連から傲慢だ、尊大だ、やれ民族主義的偏向だということを言われている。人殺しだとか、スパイだとか、聞くにたえないようなことを言われている。しかるに日本共産党はまだコミンフォルムからにせものだと言われておりません。それだからあなた方の祖国がソ連だということははつきりしている……。(発言する者多く、聴取不能)そういういいかげんなことを言う必要はない。あなたはうそ言つている。はつきり言いなさい。あなたがほんとうの共産主義者であるならば、徳田要請ソ連へ送るということはあたり前のことなんだ。私がほんとうの共産主義者ならそれをやりますよ。
  315. 徳田球一

    徳田証人 君は共産主義ということを知りもしないくせに、よけいなことを言うな。
  316. 塚原俊郎

    ○塚原委員 共産主義者としてそうした要請を送つたという事実を、あなたは告白されたらいいでしよう。     〔発言する者あり〕
  317. 徳田球一

    徳田証人 まあまあおれが答えるから……。共産主義ということを知りもしないくせに、何で共産主義の講義なんかするのだ、よけいなことを言うな。共産主義者というものは、共産党に入つて実行しない者はだめだ。そんな者が共産主義を云々するわけがどこにあるか、そういう連中には答える必要はない。しかし現在青年祖国戦線というものをつくつているのだ。共産主義者並びに一般青年が青年祖国戦線というものをこしらえている。それはわが日本がわれわれの祖国であればこそ、祖国戦線というものをこしらえているのだ。そういうようなことはあたりまえのことなんだ。それをああのこうのとぶつくさぶつくさ言つて、そして誘発的に、誘導的に一定の断定を下そうというのは、この委員会の趣旨に反する。
  318. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まあよろしい。
  319. 高木松吉

    ○高木(松)委員 議事進行について申し上げます。  徳用証人も相当疲れたように思いますから、この際休憩しまして、午後に続行されんことを望みます。
  320. 徳田球一

    徳田証人 私もでき得る限りは早く終らしたい。(「夜までやる」と呼ぶ者あり)夜までやつてもよろしい、やつてもいいが、とにかく愚論はよそうじやないか。質問はもう大体わかつているのだ。(発言する者あり)だからとにかく早くやつて、今のうちに十分かそこらやつて、質問は大体盡きているのだから……。     〔「盡くしていない」「証人からそう   いう注文をするやつがあるか」と   呼びその他発言する者あり〕
  321. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私の動議を採決してください。
  322. 徳田球一

    徳田証人 人をもてあそぶようなことは必要でない。委員長、人をもてあそぶようなことはしないようにしてほしい。     〔「よけいなことを言うな」と呼ぶ者あり〕
  323. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは三十分間休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後二時四十八分開議
  324. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  引続き徳田君より証言を求めることにいたします。
  325. 梨木作次郎

    ○梨木委員 議事進行について……。午前中の委員の質問のうち、特に塚原委員徳田証人に対する質問の中で、白状した方がよかろうというような趣旨の質問があつたと思うのであります。それは委員としては、証人に対するまことに侮蔑的な意味の質問であつて、これはお取消しになつた方がよいと思うのでありますが、委員長からそのようにおとりはからいを願いたいと思います。
  326. 塚原俊郎

    ○塚原委員 私の名前が出たようでしたから、それは速記録をお読みになれば梨木さんはよくおわかりだと思いますが、私は決して侮蔑的な言葉を吐いた覚えはありません。いやしくも一党の書記長たる徳田さんにそういうことを吐くわけはありません。また侮蔑的なことということは、私たちは逆にやられておることがたびたびあります。私はちつとも侮蔑的な意味のことを言つた覚えはありませんから、取消す必要はないと思います。
  327. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いずれ速記録を坂調べた上で善処することにいたしましよう。
  328. 安部俊吾

    ○安部委員 午前中の本委員会における審議につきましては、どうも証人ははなはだふまじめであつた。行きあたりばつたりの、いいころかげんな証言が多いという印象を與えるのでありますが、これは重要な問題でありますから、きわめて真剣に、率直に御答弁を願いたいのであります。  私の聞かんとするところは、まず午前中に委員長から野坂批判問題並びに日本共産党の国際的な点に触れましたが、証人答弁ははなはだ要領を得ないのであります。私の満足することができない点か多々ありますので、野坂批判問題に関して、コミンフオルムの機関紙の一九五〇年第一号所載論文、プラウダには一月七日であります。筆者は評論家オブザーバ」という署名でありますが、そのうちに「中国、朝鮮におけるアメリカ帝国主義者の掠奪計画が失敗した後、彼らは日本ソ同盟ならびにアジア諸国の民主運動にたいする軍事冒險の主要基地とみなし、日本を重視するにいたつた。」こういうようなことを書いておるのでありますが、これはこの野坂批判に対するオブザーバーの論文というものは正当でありますか、あるいはこれは間違つておつたとあなたは考えられますか、イエス、ノ—の答弁要請します。
  329. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは、何も今回の証言には何ら必要がないのである。私はそういうものに対して意見を述べる必要はない。それは中央委員会が、この積極的意義を認めて、われわれは中央委員会全体として仕事をやつて行くということの決議をしてありますから、その決議をごらんになりますれば、日本共産党の態度はわかるのでありまして、それはアカハタちやんと載つておりますから、私がここにあらためて証言をする必要はないと思います。
  330. 安部俊吾

    ○安部委員 私はこの問題は、きわめて今回の共産党が海外同胞引揚げに妨害したという、この問題にきわめて重要な関連を持つておると思うのでありまして、私はそれを質問するのであります。どうですか。
  331. 徳田球一

    徳田証人 それは日本共産党中央委員会が、これに対して決議をしているのでありまして、この決議こそ問題になるのであります。私個人意見は問題になりません。
  332. 安部俊吾

    ○安部委員 このオブザーバーというところの論文に対して、あなたは反対でありまするか、あるいはこれは正当と考えるのでありますか、まずそれから………。
  333. 徳田球一

    徳田証人 そんなことはよけいなことです。日本共産党中央委員会がこれに対する決議をしておるのに、私が意見を述べる必要があるか。意見を聞く必要はないじやないか。     〔発言する者あり〕
  334. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人に聞くが、あなたは中央委員会の決議でわかつておると言われるが、それは皆にわかつておりやせんのだから、こういう決議があるからこれによつたと、こう言つてもらえばいい。
  335. 徳田球一

    徳田証人 わからぬならばアカハタを買つて読んだらいいじやないか。それから十八回中央委員会総会の決定集というものが出ておるんだから、これ場は二十五円だからお買いなさい。
  336. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体どういうことだといつたらすぐわかる。ここで読むわけにいかぬ。
  337. 徳田球一

    徳田証人 君らは事務局を持つているのだ。事務局が金を出しで買えばいいじやないか。私が一々そういうことを問題にする必要はない。このあれに対して積極的にわれわれは意見が一致しておると言つておるんだ。
  338. 安部俊吾

    ○安部委員 証人答弁を拒否するのですか。答えないのですか。
  339. 徳田球一

    徳田証人 答えぬじやない。そういうことは答える必要のないものだ。公表されている事実を答える必要があるか。公表されておる事実を諸君が調べればわかる。
  340. 安部俊吾

    ○安部委員 日本共産党に対する重六問題……。
  341. 徳田球一

    徳田証人 アカハタを持つて来てやるから読みなさい。おれが読んでやるから持つて来い。
  342. 安部俊吾

    ○安部委員 そんなものは読む必要はない。材料を持つて聞いておる。
  343. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要旨だけを答えればいい。
  344. 安部俊吾

    ○安部委員 もう一ぺん聞くが、このオブザーバーの野坂批判に対する論文は、あなたは認めるか認めないか。
  345. 徳田球一

    徳田証人 おれが認め認めぬじやない。中央委員会が……(発言する者あり)書記長の責任……。(発言する者あり)書記長だから中央委員会じやないか。そんなわからぬばかな……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然、聴取不能〕
  346. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 席に着いて……。
  347. 安部俊吾

    ○安部委員 おれは考査委員会委員として……。(発言する者あり)今の質問に答弁してください。
  348. 徳田球一

    徳田証人 日本共産党中央委員会第十八回拡大委員会はだ、この問題に関して積極的に意見は一致していると表明している。その通り。また私は書記長としてそれを認める。
  349. 安部俊吾

    ○安部委員 野坂批判に対するオブザーバ—の論文に対して、これと同調するというのですな。認めるというのですな。
  350. 徳田球一

    徳田証人 わからぬことを言うね。そうじやない。拡大中央委員会が決定をもつて、これを積極的に意義を認めると言つている。書記長はこの決定に従うのは当然である。書記長はこれを執行するのが当然である。
  351. 安部俊吾

    ○安部委員 積極的に何を認めておるんだ。
  352. 徳田球一

    徳田証人 意義を認めておる。
  353. 安部俊吾

    ○安部委員 このオブザーバーの……。
  354. 徳田球一

    徳田証人 論文の意義を認めていると書いてある。
  355. 安部俊吾

    ○安部委員 それではこの文章の中にあるすべてを認めておるわけだな。
  356. 徳田球一

    徳田証人 その文句の通りだよ。
  357. 安部俊吾

    ○安部委員 それならばこういうことを認めるわけだな。まず手はじめに、なんの根拠もない、いろんな口実をつけて、彼らは、対日講和をひきのばし、それによつて長期間日本占領を合理化しようとしている。アメリカの掠奪者どもは、日本反動の手をかりて一切の運動を弾圧し、共産党、労働組合をふんさいしようとし、また、日本の真の主人公になろうと大わらわである。すでに、現在日本の一切の政治経済面のさい配をふるつている。」こういう文句があるが、これも認めたのですか。
  358. 徳田球一

    徳田証人 ちやんと言つておるじやないか。
  359. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一切を認めたということですね。
  360. 安部俊吾

    ○安部委員 認めたのですね。
  361. 徳田球一

    徳田証人 あたりまえだ。
  362. 安部俊吾

    ○安部委員 認めてはなはだ悪かつた。やはり日本共産党は国際間に何らの関連もないのだとあなたが御証言になりましたが、そうではなく、ただちにこの問題に関しまして野坂参三君自身は「私の自己批判」といつて、二月六日付アカハタに掲載している文句がある。それは「過去四年半の私の論文や演説を、全面的に、徹底的に検討することが必要ではあるが、それは他日にゆずることにして、とりあえず、中央委員会でおこなつた私の発言を骨子として「評論家」の指摘した諸問題に重点をおいて、一応の自己批判をつぎに発表することにした。これは、全共産党員ならびに私を支持してくれた人々にたいする私の義務である。」こういうことを書いておつて、そうして最後に「右の結論を、つきつめていえば、占領下においても、主として議会を通じて、人民政権の樹立が可能であるということになる。これが、今日の状態から見れば、原則的に誤つていることは、容易にわかる。」そうして「私はけつして、議会主義をいつているのではない。議会におけるこの力は、議会外のわれわれの力の反映にすぎない。議会の議員が主ではなくて、議会外のわれわれの大衆活動および大衆の支持、これが議会に反映する。だから、われわれの活動の基調は、大衆活動、大衆の支持をうける活動である。この力があれば、議会において、多くの代表者を出すこともできると思う」こういうふうに言つて、このオブザーバーの批判を全面的に受諾して、自分が誤りであつたということを承認しておるのでありますが、あなたもこの野坂君と同様な見解を持つておりますか。
  363. 徳田球一

    徳田証人 そういうことに対しては、中央委員会は決定しておりますから、その中央委員会の決定に書記長は従い、かつこれを執行するものであります。
  364. 安部俊吾

    ○安部委員 中央委員会の決定はどういうことでありますか。
  365. 徳田球一

    徳田証人 中央委員会の決定は、この野坂君の自己批判を認める、そうしてこれを実行するということになつておる。
  366. 安部俊吾

    ○安部委員 それならばちようど野坂君が自己批判に言つているように、議会制度を認めない、やはり今までの日本共産党のとつて来た態度は悪かつたということを認められるのですか。
  367. 徳田球一

    徳田証人 議会制度を認めないということは、どこにも書いてない。議会主義だ。議会的な改良主義、これがいかぬというのだ。われわれ共産党は、戦闘的に議会を利用運用する戦闘的議会主義ということを言つている。それを言うのであつて、議会制度を認めないとは、どこにも書いてない。
  368. 安部俊吾

    ○安部委員 議会主義ということは議会制度じやないか。
  369. 徳田球一

    徳田証人 議会主義は議会制度と違う。そんなことを議論する必要はない。
  370. 安部俊吾

    ○安部委員 それでは共産党というものは、議会政治の運営を認めない。しこうしてオブザーバーの言つたような、いわゆる暴力的な行動によつて革命を遂行しよう、こういうことをあなたはお認めになるのですか。
  371. 徳田球一

    徳田証人 そういう誘導尋問はよした方かよろしい。そこに書いてあるから、その書いてある通り理解すればよろしいのだ。誘導尋問なんかに答える必要はない。
  372. 安部俊吾

    ○安部委員 これに関して私はあなたに質問する前提として、あなたはどういう考えを持つているか聞いているのだ。
  373. 徳田球一

    徳田証人 そんなよけいなことを言わぬでも、書いてあるのだから、書いてある通り理解すればよろしい。そんな誘導尋問に答える必要はない。
  374. 安部俊吾

    ○安部委員 それではこの批判に「かくのごとく野坂は、アメリカ占領軍が存在する場合でも平和な方法によつて日本が直接社会主義へ移行することが可能であるというようなブルジヨア的な俗物的言辞をはいている、これらの見解を野坂は以前にも持つていた。たとえば彼が準備し、公表された共産党のマニフエスト案にも、また一九四六年五月ブルジヨア新聞たる毎日新聞に公表された論説にも野坂は次のように確言している。「人民多数の支持に依拠し人民自身の努力にたより、党は平和的な手段て、資本主義よりももつと完成された社会主義制度に発展させようと企図している」こういうことを言つておるが、これを認められますが。
  375. 徳田球一

    徳田証人 決議にある通りだ。
  376. 安部俊吾

    ○安部委員 それならば共産党というものは、先ほど委員長が、日本共産党はその国際性を認めるかと言つた場合に、あなたはどういうふうに答弁をしておるか、日本共産党はその国際性を認めるかということに対して、あなたはこれを認めるわけですね。日本共産党の国際性に関して……。
  377. 徳田球一

    徳田証人 国際性、それはどういうことだ。
  378. 安部俊吾

    ○安部委員 あなたは委員長の尋問に対して、国際的関連はないと言つたが、国際的関連があるということを認めるのですね。
  379. 徳田球一

    徳田証人 国際的な関連はありません。国際的な関連がないと先ほど言うたのだ。もう二度と同じ証言を繰返す必要はない。諸君つて何だつて、外国の新聞が批判するのはあたりまえじやないか。その批判に対して自分で反省して、この批判は正しいということはあたりまえじやないか。そういうことをしたつて、それが何も国際的な関連があるというものではない。
  380. 安部俊吾

    ○安部委員 それは違う。
  381. 徳田球一

    徳田証人 君は違うと認める。おれは違わぬと認める。それは意見の相違だ。
  382. 篠田弘作

    ○篠田委員 ただいま徳田書記長から言われるわれわれの行動に対して外国の新聞がこれを批判するという建前と、それからコミンフオルムが今まで愛される日本共産党として立つて来た、いわゆる野坂理論というものに対する批判というものとの間に、雲泥の相違があるのであります。それはなぜかと申しますと、今回の共産党が三十五名も三十六名も衆議院議員の選挙で多数をとつたということは、これはいわゆるコミンフオルムなどの影響というものは受けておらないのだ。日本の民族の独立のために、日本人の幸福のために、日本人的な立場において愛される共産党としての活動をするという、そういう宣言、そういうやり方というものが実際において国民の支持を得て、特殊な人ではあるが三十五名も出たというわけだ。ところが今度の批判というものは、そういうものに対する根本的な批判であります。言いかえれば共産主義というものが、今まで議会政治の方向に向つて議会政治を肯定し、日本の憲法を肯定して、その範囲内において日本の革命をするということに対する国民の信頼と支持というものが、根本的にくつがえされた。なぜかというと、これは野坂自己批判にもはつきり言つておる。「以上に述べたような私の誤りは、どこに思想的根源があるか。一、その根源は、目前の戦術のために」——すなわち選挙に勝つ、あるいは国民の支持を受ける愛される共産党になりだいとかいう、そういう戦術のために「マルクス・レーニン主義的原則を軽視、または無視した点にある。われわれは、複雑で困難な特殊の事情のもとで活動しなければならないし、また合法性をまもらなければならぬ。そのためには、日々の闘争においては、いろいろのかけ引きや、えん曲な言葉も用いなければならぬ。ところが、私は、これにあまりにこうでいして、原則を踏みはずす傾向を生んだ。特殊性を強調しすぎて、原則を軽視した」——原則とは何であるか。これは最近日にちは忘れましたが、たしか三月九日であつたと記憶しておりますが、野坂批判の直後に出たコミンフオルムの第二回の批判におきまして、アカハタに掲載されておりましたが、そこにいわゆる議会主義というものによつて人民の解放はあり得ない、人民を解放するためには、特に植民地並びに従属国家におけるところの人民の解放のためには、人民解放軍を用いなければならないということがアカハタちやんと掲載されておる。人民解放軍というような、現在のところではとうてい許されないものが、言いかえれば一つの軍事力なり、あるいは暴力なりというものかなければ、日本の共産主義の革命というものは行えないということを、ちやんとコミンフオルムでも批判し、アカハタちやんと書いておる。それをごまかして、目前の戦術のためにとらわれすぎて、いわゆるレーニニズムの根本原則というものを離れたということを彼が是認して、ここに自己批判をやつて天下に声明しておる。こういう意味から申しますと、私は日本共産党考え方というものは、戦術的にははつきり野坂さんが肯定しておるような面はあるけれども、戦略的にはあくよでも国際的なプロレタリアート、あるいは革命分子との団体である。従つてコミンフオルムとの関係はつきりしておるということを認めざるを得ない。そういう意味であなたの言つておることはまつたくうそであると思いますが、野坂さんの言明を肯定するならば、そこに当然人民解放軍ということも起つて来なければならぬと思います。その点についてどういうふうに考えられるか。
  383. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは意見です。共産党の問題に関して論議なさるなら大いになさりなさい。われわれも傾聴いたしましよう。しかしながらそういう意見に対しては、私は答える必要はちよつともない。私の答えなければならないことは、マルクス・レーニン主義によつてわれわれが武装され、われわれが、これ実行すればするほど、全日本人民はわが党を一層愛し、わが党はもつと堂々として議会に多数を占めるであろう。間違つたことをすれば、これはかえつてくつがえるのである。現にわれわれがこれを自己批判をして堂々進んだ結果、この一月から現在までにおきまして、われわれは大衆団体内において、わが党のグループは一大躍進をしておる。われわれの闘争は大衆の上に非常なる支持を受けている。われわれがほんとうに愛されつつあることを、特に篠田君に御説明申し上げる次第であります。
  384. 篠田弘作

    ○篠田委員 この人民解放軍の問題並びにいわゆる共産主義的な一つの武装の問題というものを、軍なる意見として解釈するわけには行きません。これはなぜそうかと申しますと、今度のいわゆる引揚者を帰すか帰さないかという問題が、いわゆる真なるところの民主主義者、真実な民主主義者——われわれの言うような自由なる民主主義者ではなしに、いわゆる共産主義的な一つの民主主義者、共産主義者であります。共産主義者になつて帰さなければならないという必要は、それはやはり日本の共産主義革命を行う、日本において共産主義革命を、議会主義によつては行えない、言いかえればすなわち人民解放軍なり、あるいは一つの何らかの実力行動を行うところの尖兵として送り帰そうと解釈しなければならない。これはあたりまえであります。そういう意味合いにおいても、もしどのようなかつこうでも、自由なる民主主義によつて、おのおのの欲するところによつて、おのおのの欲する政党を支持し、議会主義によつてやるというようなら、必ずしもいわゆる真正なる共産主義者になつて帰つて来る必要はないのであります。それをどうしても帰さなければならぬというのは、現在議会主義によつて共産主義革命は日本において行えない、こういう結論に達するのでありますから、單なる徳田君の意見を聞いておるのではない。そういう本質的な問題があるから、私はお伺いしておるのであります。
  385. 徳田球一

    徳田証人 それは篠田君が考えるならちつともさしつかえありません。しかし私は何もシベリアにおいて行われ、ソ同盟において行われておることは干渉した覚えはない。そんなことに何ら日本共産党は責任を持たない。私自身もそういうことに何も責任を持ちません。
  386. 篠田弘作

    ○篠田委員 私はソ同盟において行われ、シベリアにおいで行われておることを聞いておるのではない。日本における一つの革命というものは、議会主義によつて行い得ないということを、野坂批判においてはつきり国民が認識しておる。それをまたいわゆる中央委員会において承認されている以上は、われわれの奉ずるところの憲法によつて保障されておる議会主義というものは、徳田さんは議会改良主義と言われますが、要するに現在の議会主義であります。そういうものを徳田さんは否定されておるのであるかどうかということを伺つておきます。
  387. 徳田球一

    徳田証人 それは非常に間違つておる。論旨が非常に間違つておる。そうではない。憲法は議会制度を認めておるのである。憲法は議会主義を認めておるのではない。この議会制度をいかに使うかということは各党々々の問題であります。自由党はこれを巨由党的に運用するでありましよう。社会党は社会党的に運用するでありましよう。わが共産党は、わが共産党のマルクス・レーニン主義によつてこれを運用するでありましよう。それだけのものであつて、それ以外の何物でもありません。それ以外はお互いの意見だ。(「議会制度を認めるのか」と呼ぶ者あり)議会制度を認めておるから議会制度で鬪つておる。改良主義的議会主義か、われわれの戦鬪的議会主義かによつて相違がある。
  388. 篠田弘作

    ○篠田委員 私は改良的議会主義ということは言つておりません。徳田さんがそう言われたということを申し上げておるのであります。そこで、議会制度は認めるが、議会主義は認めないということは、徳田さんは本末を転倒しておると思うのであります。なぜかというと、議会制度というものはあくまでも制度であつて、議会主義という一つの主義から生ずる結論である。これは結論であつて原因ではありません。議会制度は議会主義を奉ずるかどうかにある。議会主義を奉ずるならば、いかなる制度をもつてその議会を運用するかによつて結論が出て来るのである。その現われた結果だけをとつて、その元をとらないという考え方は、これは詭弁であるか、無知であるか、いずれかであると思います。
  389. 徳田球一

    徳田証人 そういうことはお互いの論議である。この論議に対しては私は答える必要はない。もしそういうことを真に論議して、お互いに大衆の前でどつちが支持を得るかということは、これは政治的な全場面における活動である。この考査委員会議論すべき性質のものではない。
  390. 塚原俊郎

    ○塚原委員 徳田書記長は議会制度をお認めになるという御証言をなさいましたが、レーニンの「国家と革命」の六十二ページには「代議機関なしにはわれわれは民主主義を考えることはできず、プロレタリア民主主義でも同様であるが、議会制度なしにわれわれはそれを考えることができるし、考えねばならぬのである」ということを書いてあります。あなたは、そうするとマルクス・レーニン主義というものを否定なさるのですか。
  391. 徳田球一

    徳田証人 それは子供らしい話です。なぜならば、議会制度は現在あることを認めるかというが、これは現在あるじやないか、認めぬと言つてどうするんだ。われわれの革命は、われわれの将来の社会主義の発展に対して、いかなる方針をもつて、いかなる方向でこれを推し進めるかということに対してレーニンは言うているのである。現在の議会の制度、この制度これ自体の現実を認めるか認めないかということとは別問題である。そういうことがわからぬようでは、おそらくこの「国家と革命」を論議する能力なきものと私は認定する。     〔「詭弁だ」「名論」と呼び、その他発言する者あり〕
  392. 塚原俊郎

    ○塚原委員 詭弁であろうと名論であろうと、どちらでもけつこうですが、結局あなたはレーニン主義を否定しているか、偽証しているか、どつちかです。
  393. 徳田球一

    徳田証人 そういうことはよけいなことです。レーニン主義はわれわれが知つているのである。それは塚原君はあまり知らぬようです。それは共産主義者でない以上、マルクス・レーニン主義はわからぬ。マルクス・レーニン主義は共産主義運動を体験し、実際に実行して初めて体得し得るのである。本を読んだくらいでマルクス・レーニン主義がわかるなら、マルクス・レーニン主義は必要ありません。
  394. 塚原俊郎

    ○塚原委員 今の徳田証人徳田証言は、非常に欺瞞的なものが含まれていると私は考えます。一応これで終ります。
  395. 安部俊吾

    ○安部委員 日本共産党昭和二十一年のメーデーに引続き、食糧メーデーによる吉田内閣実現阻止の攻勢、これが昭和二十二年一月末に最高潮に達したものである。いわゆる二・一総ストの問題、それから昭和二十四年の労働夏季攻勢というようになつている。食糧メーデーが敢行された際には、東京では二十万の大衆が動員されて、いわゆる宮城デモンストレーンヨンがあつたのであります。また昭和二十二年一月、全官公労組、二百六十万を仲介にして、史上空前の一大ゼネスト計画が進行したのである。また東京都の公安條例反対デモに発端したいわゆる五・三〇事件を契機として、新交番、あるいは国鉄、国電スト、広島の日鋼事件、東芝加茂事件、福島県平事件等々、いろいろな事件が発生しているのでありますが、これがすなわち議会主義を排撃した、いわゆる実際の暴力行動による革命を企図したものでありますか、この点に関しまして明確な御答弁を願いたい。
  396. 徳田球一

    徳田証人 みずからそう理解せられるのは御自由であります。そういうことの論議をする必要はありません、
  397. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことであつたかどうかということです。
  398. 徳田球一

    徳田証人 そういうことの事実を彼が指摘しても、それは何にもなりません。それを彼がどう理解するかということは、彼のかつてです。
  399. 安部俊吾

    ○安部委員 日本共産党においては、日本においてはこういうような暴力行動によつて革命を企図しているということは、嚴たるこれは事実であります。一方においてはいわゆる国際的関連をもつて、シベリアに抑留されたわが同胞に関しましてはいわゆる徳田要請なるものによつて、完全なるいわゆる民主主義者、共産主義者とならざる者は帰してはならぬということを要請している。これはいわゆるこの日本国内における暴力主義と相関連しているということは、きわめてこれは巧妙に、また論理的にあるべきはずだと思うのでありますが、その点いかがですか。
  400. 徳田球一

    徳田証人 それは自分でかつてな熱を吹いて、これはどうですかと言つて、そんなことに答えられますか。あなたの意見じやないか。徳田要請があつたということがどこにある。徳田要請というものは、これはアカハタちやんと掲げてある通り、みんな帰しなさいと言つている。そんなことを答える必要はない。かつ委員長は、こういう質問に対してもつと、あなたが先ほど私に約束した通り証言に値するものをやつてもらいたい
  401. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 議論にわたるものはいかぬが、そういう事実があるとか、ないとか……。
  402. 安部俊吾

    ○安部委員 先ほど同僚議員の西村君、塚原君もすでに指摘されましたが、幾多め証人が、單にいわゆる日の丸梯団に属する者だけではなく、共産党員であり、もしくは共産主義を奉ずる者が、この委員会においてりつぱに証言しておるのであります。またこれは参議院の海外同胞引揚に関する本会議の議事録でありますが、そのうちにこういうものがある。    供述書       京都府舞鶴市一九五〇年       二月十四日私は、私の良心に従い、何事も附加せず、又何事も隠さず真実を申立てることを確言する。私は自分の意思によつて次のことを宣言する。   一九四九年九月十五日、ソ連カラカンダ地区第九小収容所において、捕虜収容所政治部ヒラトフ少尉が該収容所長心得マツセルスキー(音訳)  立会の下に、日本人通訳官を通して左記の声明をなせしことを私の良心に基き誓言します。   「我々は日本共産党徳田書記長より、共産党員にならざるものは何人と雖も帰還せざるようとの申入れを受けている。よつて反動的の者は一人も帰還せしめることはできない。  お前達は皆直ちに入党するが得策であろう。」この供述は一葉に書かれ、威圧の下に作られたものではありません。   全文終り      署名松尾茂雄(音訳)印〇証人     歩兵少佐 P・Bマウントジ          ヨイ署名     CMP中尉 A・T・ヴオロナキ           ス署名こういう供述書があるのでありまして、これが、承るところによりますれば、四十四通あるという。対日理事会のシーボルド議長もこれを発表しておるのであります。またここに召喚されたところの多くの証人も、徳田要請があるということを良心に従つてほんとうにこれを申し上げるとして証言をしておるのでありまするこれをもつてみましても、あなた一人がそうでないと否定するということは、はなはだ論理的に合わないと考えるのでありますが、いかがでありますか。
  403. 徳田球一

    徳田証人 安部君が論理的に合わないというのは、安部君の言い分なんで、合わないと彼が思つたからといつて、何もおれがこれに束縛せられる必要があるか。おれの要請ちやんとアカハタに載つている。それ以外に何もないのだ。どんなことが起ろうと、おれら責任を負う必要はないのだ。
  404. 安部俊吾

    ○安部委員 昔から話がある。十目の見るところ十指の指さすところ、それ嚴なり。およそ帰つた多数の人間がそういうことを証言しておる。またこういうような供述書が最も責任ある当局によつて出ておるのであります。そういう場合におきまして、日本内国における共産党の行動、シベリアにおけるところの興産主義者のやつておることと総合して見るに、あなたの要請というものは確かに……。     〔発言する者、離席する者多く、議場騒然
  405. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなところで言い合つていないで入つてくれ。委員においても、不規則発言は困るが、委員外の不規則発言は絶対に禁止します。
  406. 安部俊吾

    ○安部委員 これは單に私だけの推断であるからかつてにせいというお話でありますが、それははなはだあなたが誠意を欠いておりはしないか。大体先ほどの御答弁によりましても、さきに同僚佐々木委員が指摘いたしたのでありますが、留守宅におる者が陰ぜんをすえて、毎日彼らがいつ帰つて来るか、一日も早く帰つて来ることを希望しておる。およそそれはどの家庭でもそうである。われわれ国民がみなそういうような希望を持つておるのでありますが、日本共産党書記長である徳田球一氏は、こんなことは関しない、どうでもいいというのですか、それはまかしておればいいじやないか、こういうようなことでありますが、そういうことを言つて、きわめて冷酷な、きわめて不人情な、きわめて人情に薄いような行動が日本共産党方針でありますかどうであるか、これを明かにしていただきたい。
  407. 徳田球一

    徳田証人 そういうことを言つて、これが日本共産党方針であるかとは何だ。安部君自身考えを自分で言つて、それは日本共産党方針であるか、そんな問い方があるか。絶対にそんなことはない。
  408. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なければないと言えばいい。
  409. 徳田球一

    徳田証人 ないから、ないと言うているじやないか。委員長委員長、おれは疲れておるから、小便をして来る。     〔徳田証人退席〕
  410. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとこの際議事進行について……。     〔佐々木(秀)委員「議事進行は、証人が来てからやりなさい」と呼ぶ〕
  411. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 議事進行ならいいだろう。石田君。
  412. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は決してへんぱに考えるのじやないのですけれども、各証人要請があつた、期待があつたということを証言したのも事実です。しかし中には、一部にはこれを否定したような人もあります。それはわずかあつた。しかしここの委員会では、ソ連政治将校がそうしたことを発言した、このことを菅通訳が通訳して聞いた、こういうことがあつたということを多数の証言によつて一応認めるのは、この委員会の職務であつて権限であると思います。しかしそれだからといつて、今ただちに、ここで証人を喚問する場合に、徳田自身要請をなしたのだという結論に結びつけて、それを事実としてここで質問なさつておるのですけれども、これはちよつと筋が違うと思う。向うの将校が言つたという事実は、多数の証人によつて明らかにされておる。しかしその将校の言つたことが、徳田氏の要請に基いてなされたものか、それとも向うの将校自身の判断によつてなされたものであるか、この事実を究明しなければならぬ。それと全然離れて、思想問題とかいうことばかり質問がなされていて、まるでこの事件の核心に触れていないようであります。これではせつかく証人を呼んでも、時間的な空費になると思う。だから、ぜひこの核心に触れるところの質問に委員長も注意して整理して、多くの委員発言を許してもらいたい。
  413. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 午前中、私も第九分所における徳田要請なるものが事実であるかどうかということは十分質問したはずであります。ただ委員がその委員考え方によつていわゆる思想的な問題、あるいは共産党の行動、あるいは引揚者に対するいろいろな手段、こうした方法から質問して、それが事実であるかどうかということを委員自体が考えることにおいては、何も委員長、他の方から束縛する必要がないと思う。日本共産党に関してのいわゆる証言を求めておる、それ以外のことならよけいなことであるかもしれぬが、今まで委員証言を求めておるのは、決してこの問題以外のものではないと私は考えますから、そういう束縛やなんかは必要ないと思います。
  414. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 委員各位においても、その意味において発言しておられますから、そのつもりでお願いいたします。  なおこの際委員長から一言申し上げます。ただいままでの委員会の状況にもかんがみまして、委員諸君におかれましては、他の委員証言を求めておる間は、不規則発言を愼んでいただきまして、正規の発言を許された際に証言を求められるようにお願いいたしますとともに、徳田証人におかれましても、証言は求められた範囲内に限られること、委員と討論にわたることのないこと、及び委員の不規則発言には応酬せられないで御証言なさるようにお願いいたします。また傍聴の議員諸君及び一般の傍聴人の方にも御注意を申し上げます。傍聴人が不規則発言をなして委員会の議事の進行を妨げることのないように願います。もし傍聴人が騒擾にわたる場合は、委員会の秩序のために退場を命ずることがありますから、あらかじめ御了承を願います。以上特に委員会の議事の円滑かつすみやかなる進行のために、この際委員長から委員各位、証人及び傍聽人諸君にお願いする次第であります。では引続き証言を求めることといたします。
  415. 安部俊吾

    ○安部委員 多くのわが同胞が、戦争が済んで後に、いわゆる終戦後五箇年にわたりまして非常な悲惨な状態にあつて、重労働に従事しておつた者がたくさんあるのであります。たとえば森林の採伐、貸車の荷役、鉱山における激しい労働、道路の建築、鉄道の修理、土木工事、そういうようなきわめて過激な労働に従事しておつて、しかもノルマといういわゆる労働の基準に達しなければ、食いものも、適当な栄養を攝取することができなかつたというような状態にあつたのであります。しかもたくさんの者が非常な過労のために、あるいは栄養失調のために死んでおる。そうしてまたその死んだ者が、先ほどもわが同僚委員から指摘せられたごとく、ほとんど埋葬も適切な埋葬をされていない。軒の下に死骸が重ねられておる。そうしてそれがかんかん凍つたままで、いわばその手も足ももげてしまうというような悲惨な状態にあつたのであります。そういう場合において、日本共産党書記長ともあるべき最も責任の重い、日本の国籍のある徳田球一君がこれを黙視して、しかもこれをすみやかに帰していかぬというような要請をするということは、はなは、だけしからぬことであるが、一方徳田君がそういうことを否定したにしても、四囲の状況から判断すれば、われわれが徳田君とは異なつたところの結論に達するのでありますが、君はこういうような、五箇年にわたる悲惨な海外同胞に対して、一片の同情と涙もあるかないかということを聞きたい。
  416. 徳田球一

    徳田証人 どうもそういう質問は、適当な質問ではないと私は思う。しかし私は答えますが、私の受けた報告と、安部君の受けたシベリアその他ソビエト同盟における報告とは、まつたく雲泥の差があるのでありまして、それは私は一々反駁する必要はないと思う。しかしながらわれわれはいかなる事態にあろうとも、これが早く帰つて来られるようにということを、たびたび要請しておるのでありまして、第六回全国大会もこれを要請し、かつ私も中央委員会の名においてこれを要請しておるのであります。われわれが何ら涙もないようなことをしているということの断定は、それは当らないと私は信じます。
  417. 西村直己

    ○西村(直)委員 関連して……。徳田君の証言は先ほどから第六回党大会の決定であり、かつその次の年ですか、その次の次の年の中央委員会で、おそらく五月五日のことを言われたのだと思いますが、ソ連帰還促進の要請をしたと言われますが、そのほかに徳田書記長は帰還促進に対して、いろいろ御心配を願つた事実ありやいなやをお伺いいたします。
  418. 徳田球一

    徳田証人 それは私も代表の一人といたしまして、ほかの民主団体の人々と一緒に、また帰還者を待つておる留守家族と一緒に、ソビエト同盟代表部に行きまして、二、三回にわたつて早く帰られるように要請をしております。このことはみなそれぞれやはり新聞記者も帯同しでおるのでありまして、それはみな報告されておる。その都度新聞に載つておるものであります。
  419. 西村直己

    ○西村(直)委員 私が調べたところでは、これはむしろ徳田証人が言われる以上に世間公知の事実である。参議院においても、衆議院においても、引揚促進の委員会を設けて、しかも民間団体におきましては、例の断食所願までやつて、親なり兄弟の帰つて来るのを祈つておる。なお徳田証人が言われましたのは、一九四七年十二月二十三日の第六回党大会の決議のことを言われた。それまでの以前において日本共産党なるものが、少くとも表向きに、しかも堂々とあるいはソ連あるいはソ同盟代表部に対して、あるいは大会の決議をもつて、あるいは中央委員会名等によつて、帰還促進の運動をした形跡はわれわれには見えないのであります。むしろその時代においては、日本政府が船を出さないから、食糧を送らないからといつて日本共産党はただ日本政府に対して攻撃を加えるのみであつたということを私は考えるのであります。なおもう一度お伺いいたしますが、それ以前においても、何か堂々たる促進運動の文書なり、党決定をなさつた事実がありますか。
  420. 徳田球一

    徳田証人 堂々たるか、微々たるかは知りませんが——堂々たるか、微々たるかは人の見るところによつて決しましよう。しかしわが党は終始一貫してこの要請をやつておる。しかもこの要請の最も大事なことは、日本政府の態度なり、日本政府が反ソ的な行動をやる。かつまた日本政府がこの帰還者に対する施設その他が行き届きませんと、これはどうしても促進はされない。だからして日本政府に対してこれらのことを要求するのは、必然それは引揚者の引揚げ促進をするものでありまして、そういうことはちやんとしておりますから、御心配なく安心して……。
  421. 西村直己

    ○西村(直)委員 一九四七年、すなわち昭和二十二年の暮れに至つてあわててこの決議をやつておる。それ以前において、微々たるものさえもはつきりおつしやらない。しかも私が申し上げて……(「共産党がまつ先にやつているじやないか」と呼ぶ者あり)黙つている。私が調べたのを申し上げますると、一九四六年、昭和二十一年八月末においてすでに中国、濠北地区の大部分は終り、その十二月に中部太平洋地区の引揚げが完了して、ほとんどいわゆるソ連と満洲以外の大部分昭和二十一年の十二月までに完了しておる。十二月十九日に至つて米ソ協定ができて、月五万名ずつ帰そうという協定ができたのですが、しかしこの協定さえも二十三年、二十四年の冬季の凍結状態を理由にして、ともかく二万六千名ばかりの引揚げしか行われていないのであります。しかもこの間におきまして日本共産党は、ただ日本政府をいたずらに船がない船がないといつて、いわゆるデマ宣伝をやつておつた事実だけであつて、ようやく十二月二十三日、すなわち翌年昭和二十工年十二月の二十三日に至つて初めて党決定をなしおる。ここにわれわれは、日本共産党が少くとも積極的な意思を持つて帰還促進をやつておつたとは認められないのであります。  なおさらに続いて一九四七年十二月二十三日の第六回党大会の決議について伺いたいのであります。これは大会の決議であります。
  422. 徳田球一

    徳田証人 ちよつと待て、前に私は答弁しなくてもよろしいのですか。西村君は言いつぱなしで、こつちはつんぼさじきにいてよいのですか。こつちは默つていていいのか。言いつぱなしではいけない。
  423. 西村直己

    ○西村(直)委員 その引揚げ促進の党大会の決議の中においてこういうことを言つております。第一項は引揚げて来た人間を、ただ革命的闘争に立ち上らせる。いわゆる反動と闘うために、帰つて来た人間を指導しろ、こういうことが第一項であります。第二項目に、初めてこの引揚げの問題に触れておるのであります。しかもこのときに、他の政党が積極的にやつておるんだとはつきり言つておるのであります。在外同胞が現在なお八十万ある。その大部分ソ連にある。在外同胞帰還促進運動は、自、民、社、国協各政党は積極的にこれを取上げておる。われわれは従来の防禦的、あるいは弁解的態度を一擲して、この人民的要求を積極的に取上げて云々、ここで初めて共産党は、あとの政党についてわれわれもやらなければならぬ、弁解的であり防禦的であることはいかぬという決議をあなたはなさつておられるが、あれをあなたの方では、まさかうそとはおつしやいますまい。
  424. 徳田球一

    徳田証人 うそでないからどうしたというのだ。あたりまえじやないか。
  425. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 うそでないなら、先ほど言つたように、その前に事実上そういう運動をされたことがあつたかどうか、その点なんです。
  426. 徳田球一

    徳田証人 前に事実やつておつたのであるが、それは微々たるか堂々たるかわからぬけれども、今おれは記憶がないから、うちに行つて調べて持つて来よう。
  427. 西村直己

    ○西村(直)委員 共産党自体が八十万の在ソ同盟があると認めておる段階において、しかも徳田証人に言わせれば、微々たるか何かわからぬが、うちに帰らなければその方針を思い出せない。それはおそらく私はこれをやつておらないと思いますが……。
  428. 徳田球一

    徳田証人 そういうことをやつさもつさやつても何も役に立たぬ。だからしてこつちは不正確なことを言うよりは、正確なことを言わなければいかぬ。私も年は五十七になつておるから、そう何年も前のことを一々小さいことまで覚えておられるか。
  429. 西村直己

    ○西村(直)委員 小さいことじやない。党大会の決定じやないか。
  430. 徳田球一

    徳田証人 大会の決定は覚えておると言うておるじやないか。その前の微微たることは一々覚えている必要はない。だからしてそれは必要であれば、調べて報告する。
  431. 篠田弘作

    ○篠田委員 午前中の徳田君に対する委員長の質問並びに委員の質問に対する徳田君の答弁の中にも、また私が質問をした連合軍の最高司令部のスポークスマン一あるいはタス通信発表の数字に対する回答の中にも、徳田君は、そういう連合軍のやつておることについては、われわれが関知すべきものでもないし、また関知する対象にもならないのだ。向うにおまかせしておる。こういうふうに答弁されたのであります。しかるに午後の答弁におきましては、初めて早く帰つてくれるように要請しておる——初めて要請という言葉を使つて、早く帰つてくれるように要請しておるということを言われておるのであります。そこで今回の委員会の調査並びにこの証人喚問というものは、この要請の一点に集中されておるのでありまして、徳田君は午前中の証言を翻して、初めてここに早く帰つて来てくれるように要請しておるということを言われたのでありますが、この要請が條件的な要請であるか、あるいは無條件的な要請であるかということによつて今回の問題が解決するのであります。徳田君はたびたび要請されたそうでありますが、これは反動もアクチーヴももちろんすべてを含めて、早く帰してくれという無條件的なる要請であるか、それとも何らかそこに條件がついておつたかということをお伺いしたい。
  432. 徳田球一

    徳田証人 篠田君はよほど頭が悪いのです。そういう質問の仕方はないと思います。そもそもこの三十七万幾らという総司令部のスポークスマンの発表に対しては、われわれが関知する問題じやない。それに論評を加える権利をわれわれは與えられないということを言つておる。全然間違つています。  それから私は午前中からずつと続いて、アカハタちやんと載つておる私の要請は、それには何らの條件をつけてないのだ。だれもかれも帰りなさい、帰してくださいと言つておる要請発表し、それはちやんとアカハタに載つておりますと言つておるのである。それは最初から言うておる。何も今午後になつて翻しているのではありません。そういう点をもつとよく御勉強くださいまして、親切に証人には御質問あらんことを切にお願いする次第であります。
  433. 篠田弘作

    ○篠田委員 私は非常に親切に質問をしておるつもりでありますが、ただ徳田君が早く帰つて来てくれるようにという要請をしばしばした、その要請は何らかの條件がついておつたか、さもなければ條件がついておらなかつたかということを聞いておるのであつて、これに対してはつきり言つていただけばいいのです。
  434. 徳田球一

    徳田証人 それは午前中から今まで、終始何らそういう條件はついておりません、無條件になるべく早くと言つておるのです。
  435. 西村直己

    ○西村(直)委員 先ほどの問題でいま少しお聞きしたいのですが、第六回党大会前において、いかなる党の決定をなされたか。これは、少くとも書記長である身分を持つておられるならば、あれだけ八十万、数十万の人間、とにかく国内においては何百万の家族が騒いでおる状況下において、少くとも共産党としては無関心ではおられなかつただろうと思う。その点について何か事実を御証言願いたい。
  436. 徳田球一

    徳田証人 不正確になつてはいけませんから、今私は覚えておりませんから、それはうちへ行つてちやんと調べてやりましよう。これは今覚えておりません。
  437. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は党大会前はおそらくないものと思う。特に党大会の決議の中に、こういうことを書いております。はつきりこれは申し上げますが、全党員、全党機関は、この問題に対して従来の無関心を一擲して全人民鬪争に云々とあり、無関心という言葉、従来は全党員、全機関はこの問題に対して無関心であつた、こういうことが書いてあるのでありますが、これはどうお考えになるか。
  438. 徳田球一

    徳田証人 どう考えるか。その通りである。しかしその当時がそうだからといつて要請をしなかつたあるいは運動をしなかつたという理由にはならない。それは調べてみればわかる。そんなかつてな独断をして質問をしても、それはむだな話だと考える。だから具体的な事実を調べて報告をするという以上、それ以上何のあれがあるか。何の疑問とするところがあるか。
  439. 西村直己

    ○西村(直)委員 さらにその結論において、わずかに引揚げの問題について何をやつたのかというと、復員船の食糧と配給品をふやせ。これだけがあなた方の党大会における引揚げ促進の最後の結論であります。引揚者に対して船をふやせ。しかもその一年以前に、シーボルト議長の正式声明、あるいはGHQの正式声明があつて、毎月千六万人を帰そうと言つておる。しかも砕氷船まで送るという交渉をしておる。そのときに日本共産党は、ただ船を送れ、配給品をふやせ、具体的行動は……。(「自由党は何をした」と呼ぶ者あり)自由党自身のやり方については、自、民、社、国協各党は積極的に取上げておると書いてある。ここで私は徳田証人に伺いたいのは、日本共産党は、少くとも引揚げ促進問題について、他の政党よりこの党大会まで積極的におやりになつたということが言えますか。
  440. 徳田球一

    徳田証人 それはみなそれぞれの人の感覚である。それぞれみな考えればよろしい。党としては、実質上ほんとうに熱心にやつておるのがわれわれである。ほかの党ではたして熱心にやつておるか、ことに自由党においてそうだ。自由党においては、自分の責任であるのに、帰つて来ている者に対する待遇はどうだ。船の設備、その他の食糧問題に関しては具体的な事実がある。船の設備や食糧がないために乗せなかつたという事実がある。五千人も六千人も乗せられるものを二千人しか乗せなかつた事実がある。だからしてこの施設をやることが、ほんとうに親切な意味における促進であるということを断言する。
  441. 西村直己

    ○西村(直)委員 徳田証人は復員船の配置の問題に今触れておりますが、これは絶対に事実無根であると思うのであります。そこでむしろ選挙を前にして引揚げ対策のデマを衝くというようなパンフレツトを非常に出して、これ弁解に努めた事実がある。このパンフレツトを私はここにも持つて来ておりますが、むしろ問題は自由党を攻撃される、あるいはその他の政党を攻撃される。党大会はつきり言つておるじやないですか。自由党、民主党、社会党、国協党、各政党は、積極的にこの問題を取上げている。われわれの党は無関心であるから、これから一生懸命やらなければいかぬ。それには船をまわせ、食糧の配給をふやせという要求を出そうということを決議しておる。そうするとそれ以前においては、あなた方は積極的な熱意を持つておらなかつたという事実を、党大会認めておるではないか。
  442. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは押し問答したつて何もならない。どう考えようとそれは諸君の自由だ。
  443. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからあつたかないかでいいんだ。
  444. 徳田球一

    徳田証人 大会で決定している通りだ。
  445. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからそれでいい。
  446. 徳田球一

    徳田証人 だからそれ以前にやつたかどうかということは今覚えてないから、あとで調べて出すというも……。
  447. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それならよろしい。
  448. 西村直己

    ○西村(直)委員 とにかくそれ以前のことは、一党の大書記長ともあろう者が、大方針について何も覚えていない、家へ帰つて調べて来るとおつしやるのでは、われわれはこれ以上質問は続けられません。おそらくないと私は聞いておりますが、もしあるならば、党大会の決定なりあるいは中央委員会の決定なりを堂々と天下に見せてもらいたい。
  449. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だから積極的でなかつたということは、その通りだと言われているのだから、それでよい。
  450. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 お伺いしたいのは、西村委員からのいわゆる数の問題で、私ちよつと疑問に思いますので、その点をお伺いしたい。証人タス通信発表は、ソ連政府からの発表であるからそれは信頼する、こういうことを先ほど申されました。そうして日本のいわゆる政府やあるいは連合国の数の発表はでたらめだ。こういうふうに申されましたので、あなたの証言通りに私は了承いたしまして、タスの発表が事実であるという点から推してお聞きしたいのですが、タス通信の一九四七年五月二十日の発表によりますと、ソビエトには五十九万四千名おると発表しております。ところがあなた方共産党の一九四七年十二月二十三日の第六回党大会では、現在なお八十万あり、その大部分ソ同盟にあるとはつきり決議されているのであります。そうするとタスの発表とあなた方のこの八十万あつて、その大部分ソ連にあるということと、どつちを信用してよろしいのですか、それを承りたい。
  451. 徳田球一

    徳田証人 佐々木君の質問のうちの最初の部分は、タス通信をわれわれが信用して、日本政府並びに総司令部の発表はわれわれは認めぬ、こう言つておりますが、それは違います。そういう表現を私はしたことはない。日本政府のものに対しては、われわれは徹底的に外務委員会その他でついておりますから、これはうそだということはよくわかつております。しかし総司令部の発表に関しましては、われわれには評論する権限はないということは、たびたび言うておるのでありまして、それと比較することは、これは私はいかぬと思う。私はそういう表現をした覚えはない。  さてその次の質問でありますが、八十万云々というのは全体のことを言つておるのだ。ソビエト同盟以外に、中共その他全体のことを言つておるのである。そのうちの大部分が五十九万か六十万近いものである。これがソビエト同盟にいたということは事実なんだ。数字上の間違いはありません。
  452. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それで先ほどから数が問題になつておるのですが、九万五千名帰つて、その後二千ないし四千帰つて来たが、あとはもうソビエトには残留者はないと思われるということをあなたははつきり申された。そうするとそこに数字的に五十九万四千名、このうち九万五千名ははつきりしておりますが、それ以外の数字をお持ちであるからこそ、あなたはソビエトにはもういないんだということが申されると思いますが、その数字の記憶をひとつここで発表願いたいと思います。
  453. 徳田球一

    徳田証人 今の言い分は非常に違います。なぜならば、ソビエト同盟発表はそうではありません。全部いないとは言つていません。まだ千四百幾らある、それから九百幾らはどうしているというようなことをみな言つております。だからそのことは今の佐々木君の質問とは違います。そこでこの数字のことに関して、こまかく入り込んでああのこうのと言うことは、今ここで私はこれを一々計算してどうということはできません。その答がもし必要だというならば、家へ帰つて計算して出しましよう。今そんなことを言つたつて、一々こまかい勘定をして来ておるのではありません。
  454. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 私は先ほどから二千名や三千名残つておるのを言つておるのではないのです。この数字は私の手元にあるのです。五十九万四千名いたということはタス通信が完全に発表しておる。タス通信をあなたは信用すると言う。またこれは確実であろうとあなたは言つた。それからわれわれの記憶では、昨年の九万五千名は記憶にあるのです。それから残つている数が現在いわゆる戰犯やその他を入れて九千四百五十六名いるという発表も私らは知つておるのです。九千四百五十六名プラス九万五千名プラス先般二回帰つて来たあの数字を含めても十万そこそこなんです。そうするとあなたの方の神山君がいつかの国会討論会の席上において、ソビエトにおいては二十七万名死んだということを言われた。それであなたはそのことに対して参議院証言を求められたところが、神山君はとつさの討論会に出たのであつて、二十七万名死んだであろうなどということについては、われわれは責任を負えない、こういうようなことも言われたのですが、私らが総合すると、大体二十七万名死んだというものに五十九万六千名プラスすると、あなた方が第六回大会においておきめになつた八十万というものの大部分は、ソ同盟にあるということと合致するのです。それである程度の数字をお持ちになるがゆえに、タス通信発表真実であつて、その他の発表は信頼できない、あるいは日本政府の発表ごときはむしろでたらめだとおつしやられるのだろうと思われますので、私はあなたにその数字の概算をお聞きしなければ、どつちが真実かということがわからないのでお聞きしているのです。
  455. 徳田球一

    徳田証人 数字のことに対して一々ごたごた言つたつて、なかなかそう綿密にはできませんが、しかしこれはこういうことです。佐々木君の考えと私の考えと大分違います。それは最初に八十万のうち五十九万幾ら、その五十九万幾らは全体でありますから、その後のずつと来ておりますのは五十何万幾ら来ておるはずです。全部で大体六十万近く日本に来ておるのだ。これはソビエト同盟から発表しております。だからこの数字は合います。(「合わないぞ」と呼ぶ者あり)それは見解の相違です。合います。だからこの点は、そういうことに関して疑問があるならば、押し合つてもどうにもならぬから、いずれ書類を出しますから、われわれの信ずるところと佐々木君の信ずるところがどう違うか、それをこの委員会あとでやつてください。  それからもう一つの二十七万死んだ云々というのは、あとで神山君に聞いてみましたならば、こう言つております。神山君はあのとき時間がなくて、こ十七万幾ら死んだというけれども何々と言おうと思うときに、二十七万で切られてしまつた。それで二十七万余が死んだというように聞える、まつたくばかげていると言つています。必要ならば神山君を呼んで聞いてもらいたい。われわれは二十七万幾ら死んだということを認めているわけではありません。それはほかから出ている数字でありまて、われわれが出している数字ではないということをはつきり申し上げておきます。
  456. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方でそれだけ確信があるならば、一日も早く数字を合せて報告を願いたい。
  457. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 徳田君の話がちよつと違うんです。私の言つたのは、一九四七年にタスが発表したものを、その後帰つて来たから大体数字が合うと言つたが、タスの発表の五十九万四千名おるということは、一九四七年におると言つたのではなくて、終戰直後、昭和二十年九月十二日現在をもつて五十九万四千名おると発表しておるのです。だから徳田君の、次々と帰つて来たから数字が合うということとは全然違う。だから先ほどから徳田君は、タスの発表ソ連政府の発表だから間違いない、こう言つておる。それを今あなたは、次々帰つて来たから数字が合うじやないかと言つたが、それらがなおあなた方は八十万ある、その大部分ソ同盟におるということを言われたですが……。
  458. 徳田球一

    徳田証人 大部分じやないですか。八十万のうち五十九万幾ら、大体六十万近い、半数以上だから大部分です。
  459. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 そういう詭弁をもつて——部分というのは八〇%九〇%をわれわれは大部分と言う。
  460. 徳田球一

    徳田証人 見解の相違です。
  461. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それを半分以上ならば大部分と言う。それはそれ以上追究いたしません。  それで申し上げたいのは、あなたは先ほどから、タス通信以外の発表は信じられないというような言葉で言われておる。しからばタス通信が、あるいは今まで帰したということも事実だというならば、タス通信を信用するならば、タス通信はこれだけいて、そうして抑留した四年何箇月の間になんぼ死亡した、その死亡した者と、抑留した者と、残留してる者と、帰つた者とを知らしてこそわれわれは信頼し得るのであつて、現に日本の国内では、いまなお帰らない留守家族のあることをわれわれは多数知つておる。そうすると、あなたの言われたタス通信の信頼感というものは、ただ單にこれだけ残つてるんだ、あといないのだというだけで信頼できますか。死んだ者が幾ら、抑留した者が幾らという数字が出て来なければ、われわれは信頼し得られないと思いますが、あなたは一方的のタス通信の残留者だけの発表でも、なおタス通信を信頼できるという証言ができるでしようか。
  462. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは見解の相違です。死んだ人がどうのこうの、発表すればなおいいでしよう。何もわれわれはそれを惡いとは言いません。なおいいでしよう。しかし発表しないものはどうする。今実際上最も信頼し得るものは、現場において現実にこれを処理しているソビエト同盟政府発表以外に、どうして信頼することができるか。それを言つてるので、そんなりくつを言つたつて問題にならぬと思う。
  463. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 議論にわたるのではないが、われわれの最も信頼できるのは、タス通信でもありません、あるいはまたその他の調査でもありません。現に多数の帰らざる留守家族があるという、その事実をわれわれは最も信頼するのであります。これ以上私は議論にわたりませんが、先ほど私の質問中まだはつきりしない点があるのですが、たとえば抑留された人たちはまるまる太つて帰つて来てるじやないか、それから待遇がよくされてるじやないか、こういうことをあなたは先ほどから盛んに言われてる。またあなたばかりではありません。共産党に入党された引揚者は一様にそう言つております。また小澤君のごときも、ここに速記録がありますが、向うで三年も四年も置かれることに対しては何らふしぎにも思つていない、ソ同盟に労力を提供して、そうしてソ同盟のために盡すことは当然であるという速記録があります。あとで読んでもよろしゆうございますが、こういう考え方を持つて共産党員方々並びに徳田書記長は、ソ同盟が今日まで三年も四年も帰さなかつたというこのことに対して、私はぜめて遺憾であつたぐらいのことを聞きたいのですが、もう一回これに対して、あなたはどうお考えになつてるかということをお聞きしたい。
  464. 徳田球一

    徳田証人 そういう誘導尋問には答えられません。現に帰つて来ているのだ、現に太つて帰つて来ているのだ、それは報告の相違です。
  465. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 あと一言だけつけ加えます。太つて帰つて来た、あるいはいい待遇を受けたという証人証言を得たのは、いわゆるアクチーヴと向うでいうところの、共産主義者として特別の扱いをされた人たち、あるいはまた政治工作員として働いた人たち、あるいは人民委員会委員長であつた人たちは、それはすき燒も食べさせられたり、あるいはカフエーにも行つていたと言われます。あなたは太つて帰つて来たということをいまだに固執されておりますが、その考えは間違いであり、それはいわゆるアクチーヴの特別の扱いであつたということだけを申し上げて、一応終りたいと思います。
  466. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は思想とか何とかは聞きません、それはあなたの自由ですから。ただ御承知通りにこの委員会で、あなたがソ連の当局に対して、反動は帰すなという要請をなすつたことがあるという証言を、向うで聞いた人たちがこの委員会でしておるのであります。であるので、もしそういうことをあなたが、日本の憲法で許された政党の最高の責任者である書記長として、日本人にそうした意想的な区別をつけて、その者たちを捕虜の中から帰すなという要請をなすつたということならば、これはたいへんな問題である。こういう観点から私は、あなたがそういうことをなさつたかどうかということについて事実をぜひ知りたいと思うのであります。そういう観点に立つてまず証人にお尋ねしたいことは、日本共産党として、あるいは書記長として、ソ連当局に対して何らか直接通信をするところの方法なり手段なり、あるいは通信をなすつた事実があるかどうかということであります。
  467. 徳田球一

    徳田証人 それは絶対にありません。私の要請しましたのも、ソビエト同盟政府に対して要請したのではないのでありまして、全ソビエト共産党中央委員会に対して要請したのであります。それも公式の郵便をもつてやつたのでありまして、その他に何らのソ連当局との接触はございません。
  468. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいまのお話によりますと、直接ソ連当局との通信は、特別のものではない、ただ一般の郵便物で、ソビエト地区の全中央委員会か何かに対してなしたというお言葉でありますが、ソビエト地区の全中央委員会に対して、一般の郵便物によつてなされておるそのこと自体は、ソ連政治部等に対する影響力があるとお考えになつておやりになつたか、その要請中央委員会に伝わるならば、その要請の効果が現われるとお考えなつたことですか。
  469. 徳田球一

    徳田証人 それはソビエト共産党中央委員会でありまして、地区ではございませんから、ちよつと訂正をさしていただきたいと思います。共産党中央委員会要請いたしますれば、中央委員会から、それはソビエト政府に対しまして影響のある行動はなし得るものと考えております。
  470. 石田一松

    ○石田(一)委員 その点につきまして、その要請をなされましたということは一九四九年五月五日ですか、引揚げ促進の要請をこういう中央委員会の議決か何かの形でお出しになつたのでありますか。
  471. 徳田球一

    徳田証人 そうです。それは中央委員会で決定いたしまして、書記長徳田球一という名において出してございます。
  472. 石田一松

    ○石田(一)委員 その決定の内容アカバタ等にもうすでに発表してあるという先ほどからの御証言でありますが、その中に、たとえばわれわれ委員会でたびたび証言を多数の人から聞きました中で、反動ではなくて完全な民主主義者になつてとか、あるいは反動は返すなとかいう疑われるような文句、あるいはそれに類似した文句、こういうものがこの要請の文書の中にはまじつておりませんでしようか。
  473. 徳田球一

    徳田証人 それは絶対にまじつておりません。日本国民はこの帰還に対して非常に注意をし、衷心早く帰ることを希望しておるから、でき得る限り早く帰してもらいたいという趣旨で言つておるのでありまして、何ら條件は加えておりません。
  474. 石田一松

    ○石田(一)委員 そこでお尋ねしたいのですが——ちよつと委員長、これはお調べ願つたでしようか。一般郵便物が郵便局のポストに投函することによつて、たとえばソ連の収容所あるいはソ連の党の中央委員会にその郵便物が届くかどうか、そのことを先般調査を願いたいと要求しておいたわけでありますが……。
  475. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一般郵便物というのは、内国郵便料では行かぬそうですが、外国郵便料で郵便局へ出せば行くのだそうです。
  476. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、共産党書記長という名前でこの要請以外に、たとえばソ連の収容所の捕虜から、捕虜用として赤十字社から発行された往復はがきを書いてよこした。これに対して書記長名前返事をお出しになつたことはございませんでしようか。
  477. 徳田球一

    徳田証人 それは書記長という名前ではありませんので、それは個人的に来ておりますから、徳田球一という名前秘書が処理してやつております。それは赤十字社で来る無料の往復はがき、これの返事だけでありまして、別にそれ以外の手紙は出しておりません。
  478. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、そういう往復はがきが特に共産党書記長にはたくさん来ると思うのですが、あなたの秘書があなたの代筆としてその返信をお出しになる、このお出しになつた文面は一々あなたが覚えていらつしやらないのは当然でありますが、あるいはまた今回問題になつているような、いわゆる反動は帰してくれるな、反動帰つてもらつては困るんだとか、あるいは帰つたら大いにひとつやつてくれとか、共産党に入つて反動をたたいてくれとかいうような要請に似たものを徳田球一という名前で、あるいは秘書の方が出しているのではないかということも考えられると思うのですが、そのことはあなた自身の責任にはなりませんか。
  479. 徳田球一

    徳田証人 そういうことに関しましては、秘書にもその後話してみましたが、そういうことは大体書いてないそうです。反動は帰すなとか、いや何だとかいうそういう條件つきのことは書いてないようです。大体日本で民主主義運動が盛んになつておるし、帰つて来て大いに奪鬪してもらいたいという趣旨のことでありまして、これは日本帰つて来てからのことでありますから、何ら向うでの生活及び向うからこつちへ帰ることに関しましての條件なり、いろいろの申入れというようなものはしていないと秘書は言うておるのであります。
  480. 石田一松

    ○石田(一)委員 おそらく参議院在外同胞引揚問題に関する特別委員会証人として出られた方が、かたかなで書いたはがきの文面を記憶を呼び起して答弁しておるのでありますが、それによりますと「お元気にて同盟強化のため邁進され、りつぱな鬪士として帰国され、反動に対し、ともに闘いの来る日をお待ちしております。日本共産党徳田書記長。」こういうかたかな文があるのですが、この中の要するに反動に対して、帰つたならばともに闘う日があることをお待ちしておると、この文句が反動と鬪う者でなければわれわれは帰つて来てもらわなくてもいいのだというように、これを読んだ人は解釈すると思うのですが、こういうはがきについては、秘書の方からお聞きになつたことはございませんか。
  481. 徳田球一

    徳田証人 それも後ほど秘書に聞きました。ところがそういうことは大体書いた覚えはない、現物があれば自分の筆跡がわかるから認否をします、こう言つておりますが、現物がないために、おそらく思い違いであろう。と申しますのは、日本共産党徳田書記長なんというのは、人に手紙をやるのにそういうことは書かぬのが私の方の習慣でありまして、大体徳田球一で通します。それからもし書記長という名前をどうしても書かなければならぬときには、日本共産党中央委員会書記長徳田球一でありまして、徳田書記長というようなことは書く習慣にはなつておりません。
  482. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでこれは先ほどの通信等に関する質問でございますが、たとえば徳田証人日本に駐在していらつしやるソ連の駐日代表とでもいいますか、大使館等の役人——役人というのはあるいはないかもしれませんが、軍人あるいは代表のデレヴイヤンコ氏あたりにお会いになつたことがありますか。それからまたお会いになりたいと思えばただちにお会いになれますか、どうですか。
  483. 徳田球一

    徳田証人 それは公然たる招待がありますれば、その招待に行きまして会つたことはあります。それからこつちから要請しまして行きますときには、これは多人数で行くのであります。そういうときにはデレヴイヤンコ中将には会つたことはありません。ほかの人が大体会うわけであります。それは公然とみんなの人と一緒に会うわけでありまして、何ら秘密のようなことはしたことは絶対にありません。すべてそういうときにはいろいろの人と一緒に立会いまして、ちやんと通訳を通じてやつておりますから、何ら疑わしい筋になるようなことはないと思つております。
  484. 石田一松

    ○石田(一)委員 公然とおつしやいますと、それはある大会とか何とかが催された、その決議文を持つていらつしやるような場合であろうと私は今証人のお言葉のうちにそう察したのですが、特に共産党のおもなる幹部諸君大勢が、デレヴイヤンコ中将あるいはソ連のいわゆる代表的地位にある方にお会いになつて、政局等についての意見の交換をなさることはございませんでしようか。
  485. 徳田球一

    徳田証人 そういうことはまつたくありません。大体招待せられますのは十一月七日から十一日、十二日ごろにありまして、そういうときは大体はお酒の出るパーテイ、いわゆるカクテル・パーテイといいますか、そういうものであります。それからその他におきましては、向うの祝祭日その他におきまして呼ばれることがあります。それは大体共産党だけではないのでありまして、共産党も、社会党も、自由党も呼ばれております。ただ自由党の方々はおいでにならないので、はなはだ遺憾であると考えるのであります。(笑声)皆さんがおいでくださいますれば、大体の状況はおわかりになると思うのであります。それからそのほかの場合には、大会をわれわれが開きまして要請をするというようなことはないのでありまして、大体引揚げ者の問題、あるいはまた通商関係の促進をするというような問題、あるいはまた文化的な交驩をするというような問題のときに行くのでありまして、それらはすべてほかの人々も一緒に行くわけであります。
  486. 石田一松

    ○石田(一)委員 ただいまの質問に関連するのですが、たとえばソ連の收容所から日本に帰還する帰還者の数とか、あるいは今後帰還する人々の思想的傾向等があらかじめ駐日ソ連の代表あたりから共産党に対して通信される、あるいは報告されるということはありませんか。
  487. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは絶対にありません。
  488. 石田一松

    ○石田(一)委員 この前の参議院の引揚げに関する特別委員会における証人証言によりますと、共産党中央委員会の指令三百四十七号というものを証人は一応確認されておるように証言がなされておりますけれども、このことはいかがでございましようか。
  489. 徳田球一

    徳田証人 それは確認したわけではないのでありまして、私はその内容を全然知りませんから、そういう内容は知らぬ。それは事務局から出したかもしれないけれども、その内容は私の知らぬところである。それでこれを調べましたら、事務局という名前で指令を出したことはありません。書記局で大体指令を出すのでありますから、その事務局の指令というものは大体にせ指令であると私は考えておる次第であります。
  490. 石田一松

    ○石田(一)委員 では重複するようでありますから、この点は省くことにいたしましよう。そこで全国の日本共産党の地区委員といいますか、いろんな委員制度になつておるようでありますが、それらの人々から自分の地区内に帰つて来た帰還者の入党数、あるいは帰還者の思想傾向等がそのときどきに党の書記局あたりに報告されて来るということにはなつていないのでしようか。
  491. 徳田球一

    徳田証人 それは報告がされております。但しそれは一般的な党員の傾向並びに入党の数、そういうものと一緒になつておるのでありまして、帰還者だけ特別扱いをしておるというのはありません。すべてそういう報告は毎期毎期定期的に報告して来ますから、その間に特別の事項につきまして、帰還者だけが特に扱われる場合はございます。
  492. 石田一松

    ○石田(一)委員 そういたしますと、書記局なんかへ一応そうした党員の事情が定期的に報告されるといたしますと、最近大きく取上げられた帰還者の入党の状況等については、書記長として一応概略的な数とか、あるいは帰還者総数に対するパーセンテージとかいうものを、もし御記憶でございましたら、念のためお聞かせ願いたいと思います。
  493. 徳田球一

    徳田証人 今正確の数字は覚えておりません。もし必要がありますれば、家へ帰りまして調べて出します。但し実際上入党云々ということがどれくらいのパーセンテージになるかということをつかむことはなかなか困難でありまして、一たび入党しましても、山の奥にいたり、あるいは海岸の辺鄙なところにいたりまして、あとで連絡がとれなかつたりするのもありますから、はたして正確にどれくらいであつたかというようなことは、なかなか捕捉しがたいところがあります。しかしそれらのものがほんとうに必要でございましたならば、取調べてただちに報告をいたします。
  494. 石田一松

    ○石田(一)委員 この点に関しましては、共産党に入党したとおつしやるある引揚者が、概略でありますけれども、帰還者の何パーセントぐらいが入党しておるということも、ここで証言していらつしやるのですが、それは決して権威のある証言でないと私は思つておる。特にこの際委員長にこの点に関して、もちろんこれが一人も漏れないということは不可能でありますから、概略数でも証人から文書による御報告が願えればまことに参考になる、こう思いますので、ぜひそういうふうにおとりはからい願います。
  495. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただこの間からの証言を聞きますと、入党の申込みをしたのが許可になつておらないのもある。そこに違いがありますから、あなたのは入党の許可のあつた数ということで……。
  496. 石田一松

    ○石田(一)委員 それでまた話がかわりますが、参議院に最初証人として出頭されましたなくなられた菅証人は、私の知つております範囲では、参議院における共産党委員の方たちも、これには非常に関心を持つていらつしやいまして、菅証人を呼ぶことに積極的に動いておるようでありましたけれども、書記長にお尋ねするのですが、参議院の方の議員、あるいは衆議院の方の代議士の中に、この菅証人委員会に出席する前に、すでに菅証人の存在を知つており、しかも菅証人がどこにおるという事実を共産党自体は御承知であつたかなかつたか、この点を伺います。
  497. 徳田球一

    徳田証人 それは朝日新聞にも投書がありましたし、アカハタにも没書がありました。アカハタちやんと住所も書いて堂々と投書があつたようですから、それはむろん知つておつたと思います。
  498. 石田一松

    ○石田(一)委員 私のお聞きしたいと思いますのは、アカハタあるいは朝日新聞等に菅氏の投書がある以前に、菅通訳を呼んで聞くことが一番この核心に触れることであるというふうに主張なすつた代議士あるいは参議院議員はありましたか。
  499. 徳田球一

    徳田証人 いや、それはありません。私の方の知りましたのは、投書があつて後でありますから、その前に菅という人がおるかどうか、全然関知しないところであります。
  500. 石田一松

    ○石田(一)委員 私は参議院共産党に属していらつしやる委員の方が、特に菅証人を呼びました気持はわかるのです。そこで菅証人についての問題はいろいろと起きておりますが、先ほども証人は死んだ者は死んだんだと、非常に簡單におつしやいましたが、実は非常に重大な問題であると思つております。要するにあの徳田要請があつたとか、徳田氏が期待しておるとかいうふうに、現在日本語で日の丸梯団の方とか方々の方がおつしやつておるのは、菅氏のロシヤ語を通訳したその言葉が根拠になつて現在こういうことになつておると思うのです。それはなぜかと申しますと、先ほどお尋ねしましたはがき等にはもちろん徳田球一という署名があつたかもしれぬ。しかし秘書の方はそういうことを書いた覚えはないとおつしやつておる。そうすると、あなた自体がそういう一つ要請ソ連の收容所におる人直接ではなく、ソ連当局になすつた、このことが大きな問題になつておるのであります。そこでこの際もう一度念のためにお聞きしたいのでありますが、この五月五日の要請の全文は、もちろんアカハタに掲げてあることと思いますが、このことについて決定をなさるときに、党内事情でまことに恐れ入りますが、そうした條件をつけなければいかぬというような、少数意見というようなものはなかつたかどうか。もちろん結論が出ておるのでありますから、これは蛇足で愚問であるかもしれませんが、もしそういうことが他の党員にでもちよつと漏れていたような事実があれば、おそらく私は秘書の方がはがきを出す。また議員の方がお出しになろうとも、そうした誤つた、まだ議事が決定されない前の、要するにある一部の意見が加えられるようなことがあつたのではないか、こういう心配を、私の杞憂かもしれませんが、持つておりますが、そういう事実はありませんか。
  501. 徳田球一

    徳田証人 そういう事実はまつたくありません。それから菅氏の死につきましては、私はここでは簡單に死なれたということを申し上げましたが、そういうことに対して私の感想なり評論なりを申しますことは、証人として実は愼しむべきことだと考えまして、特に省いたわけでありますから、御了承を願いたいと思います。
  502. 梨木作次郎

    ○梨木委員 先ほど西村委員の質問の中で、一九四七年の二月の日本共産党の第六回大会以前において、共産党が引揚げの問題についてどのような努力をしたかということについては、今のところよく覚えておられないということでありましたが、私の調べたところによりますと、次の通りなのですが、この点についてもし記憶を呼び起されましたらお答えを願いたいと思います。  それは一九四五年の十月十日、これは徳田さんもそれから志賀さん、その他共産党方々が会合された日でありますが、その会合された翌々日に、志賀義雄さんは連合軍総司令部に引揚げの問題について懇請に行つておられる、この事実。それから一九四六年の二月の二十日に、これは共産党がまず提唱いたしまして、当時の各政党に呼びかけまして、日本劇場におきまして、引揚者留守家族大会というものを開きまして、ここで残留同胞の引揚げ促進受入れ態勢の完備、留守遺家族の生活擁護、この三つの問題を大会において決定いたしまして、そうしてこれを政府、それから当時の連合軍総司令部に陳情、要請しておる事実があるのであります。これは共産党がまずまつ先に提唱してこれをやつておる事実があるのであります。それからこの要請によりまして、連合軍総司令部の方では当時約二百隻のリバーテイー船を日本政府に貸與されて、これによつて当時の、このソビエト地区を除く朝鮮、中国、南方諸地域、これらの引揚げが非常に促進された事実があるのでありますが、この点。それからその後二月から三月にかけまして、同じく志賀義雄さんは連合軍総司令部へその引揚げの特に引揚船の配船の問題、その他につきまして、横浜へほとんど毎日のように当局に懇請に行つておられる、こういう事実。それからさらに一九四六年の四月の二十九日に京橋の公会堂におきまして、第二回引揚者大会がこれも開かれております。この大会議長は、共産党の久富君が司会をやつております。こういう事実。この大会の決議に基いて、やはり政府並びに国会に陳情をやつておるという事実。それから一九四六年の七月の十五日、これはやはり引揚者の全国大会を芝の日赤の講堂でやつております。さらにその大会の司会者も、これまた共産党の久富氏がやつておる。それからさらに越えまして一九四六年の九月九日になりますと、大体このころまでには朝鮮、中国、南方諸地域の引揚げがほぼ経つたのであります。そうすると政府は何ゆえか知らぬが、例のリバーテイー船を全部返してしまつた。そうしてさらに海員の大量首切り、これが一九四六年九月にあつた大量首切りであります。こういう海員組合諸君の大量首切りをやることによつて、続いて起るべきソビエト地区の引揚げのための輸送船の配船が非常に減少しておる。従つて引揚げが遅延するという問題に逢着いたしましたので、当時共産党は先頭に立ちまして、この海員組合の組合員の首切りに対しては反対の闘争をやつておる、こうした事実。それから一九四七年二月の第六回大会になるのでありますが、このように共産党はこの海外の引揚者の促進に対しては非常な努力をした事実があるのでありますが、この点は私の調べたところにおいてこういう事実が判明しておるのであります。この点についての証人の御記憶がありましたらおつしやつていただきたい。
  503. 徳田球一

    徳田証人 はなはだ済みませんが、私も大分年をとりまして、いろいろのことが大分ありますために、全部は覚えておりませんが、そのうちの二、三は覚えております。たとえば日本劇場でやつたこと、それから芝の日赤でやつたこと、二、三は覚えております。     〔「なぜさつき言わなかつた」と呼ぶ者あり)しかしながら先ほど言わなかつたのは、正確を期するために、調べて来て出せばいいのでありまして、こういうことを一々何もここでもつて狂言をしたり、あるいは何も右から左にぺらぺらしやべらなかつたからといつてちつとも恥辱には感じておらぬ次第であります。また家に帰つてよく調べまして、実際どれだけあつたかということを申し上げたいと存じます。大体はあなたの言われるようなことであつたように考える次第であります。
  504. 西村直己

    ○西村(直)委員 今梨木君の言われました事柄は、おそらく反政府闘争、言いかえれば政府が引揚げ促進に対してなつておらぬという表現です。その攻撃旦伝行事は、共産党としてやつておられる。しかしながらいわゆるマツカーサー司令部は十六万名を月々入れようじやないか、それから砕氷船を出すといつて、やかましくなつて、あわてて第六回の党大会において、民自党初め各政党はみんなしつかりやつておるから、うちの政党も弁解的、防禦的な態度を一擲しよう、そうしてこれから積極的に取上げよう。しかも全党員、全党機関は、この問題に対しての従来の無関心を一擲してと、党大会でみずからはつきり全員の決議をやつておるのであります。おそらく私は梨木君の言われるようなことではない。私がさらに梨木君の質問に関連してお聞きしたい点が二、三ございますのは、午前中の問題に関連してでございますが、先ほど石田君の質問におきまして、三四七指令、すなわち一九四九年四月二日付の日本共産党中央委員会事務局名の各府県地区委員会あての指令の問題でございます。この指令は、私書に調べましたところ、参議院のいわゆる徳田証人をお呼びしました委員会におきましても、徳田証人のお手元にも、各委員のお手元にも配つたものだそうであります。これは名前がいわゆる事務局になつておりますけれども、参議院速記録で、当日の徳田証人の言をはつきり読みますれば、事務局というものをはつきり認められておるのであります。しかるに午前中においては、事務局なんというものはないんだといつて逃げておられますが、それならば、私は徳田書記長はいわゆる詭弁と申しますか、うそをついておられると思うのであります。これは事務局から出したのですから、私は知りません、こういう言葉であります。そうして亀沢証人が問題にしたところのカラカンダでなく、ウオロシーロフ地区のはがきの問題につきましても、はがきは自分が秘書に書かしたのだからという前提のもとに、私が送つたんじやない、事務局がやつたんだ、それは事務局が送つておると言つて徳田証人自体が事務局という言葉を盛んに使つておられる。またさらに他の材料で申し上げますならば、いわゆるそのはがきを扱つたと称せられるところの秘書でありますか、何でありますか、山田敦君という共産党の内部の人が呼び出されております。それもやはり事務局認めております。「再三私が申し上げる通り、私が命令を受けたのは書記局から受けたのです。書記局には書記局のまた事務局があります。ですからもつとたぐつて言えば、書記局を通じて、事務局を通じて、私のところに来たのです。私は」云々と書いて、その書記局の下に事務局があるということを書いてあります。こういうような意味で、私は徳田証人事務局というものがないから、この命令そのものは知らぬ。こういうことは私は参議院証言と合わない。こう思うのであります。
  505. 徳田球一

    徳田証人 第一の問題は、大会の決議がああのこうのと言うけれども、しかしその前にやつたつて、やつた事実があればそれはやつたんじやないか。何もそういうことをぐずぐず言う必要はない。それは反政府闘争もあろうし、反政府鬪争とともに要請もあろう。何もそんなことは内容が決定するんだ。そんなことにぐずぐず言う限りでないと私は信じます。しかし大会においてわれわれがああいう決議をしたのは、共産党は自分の行為に対してはきわめて謙讓でありますから、不足の部分に対しましては、不足があつたら大いにこれからやろうということになつておるのであります。何もそういうことを一々あげ足をとつてどうのこうのと言たつて、それは問題にならぬと思います。  それから第二の問題は、事務局ということが紙に刷つて来ました。来たけれども、私はこれは事務局というものはないということは知つておる。知つておるけれども、それは書記局でなければならぬと思うけれども、この書類が出て来たから、この原本に対して一々追究することは今のところ何も必要はないと感じたから、これは出しておるかもしれぬ。内容は知らぬのだ。しかし事務局というのは実際はないんだから、事務局というものがあれば、指令が事務局から出ていれば、それは問題になるけれども、事務局というものは実際ないし、指令がそこから出ておらぬから、私はこれはにせ指令だと申すのであります。何も私が認めたとかなんとかいうことではございません。そういうことは君らがどういうふうに断定するかしらぬが、断定すればよろしい。私の方は事務局というのはありませんから、だからそれはそう言うたのである。それを何とか地区に何とかいう手紙だとかなんとか言いますけれども、その手紙のことに関しましては、私自身書いた覚えはありません。これはみな秘書が書くんだ。しかし秘書が書いたとするならばという前提を持つているのだ。それを必ずしも出したとは言つておらぬ。しかも事務局から云々といつたかもしれぬけれども、それは言葉のあやでそう言つたかもしれぬが、実際には事務局というものはない。だから山田君はそれを最後に書記局云々と言つておるのだ。だからしてそういう点につきまして、事務局というのはないんだから、かつてあつた覚えもないんだから、それを私が認めたならば、認めたものが間違いであつて書記局というものがほんとうだ。だから事務局から出したものはにせ指令だということを断定してはばからないのである。
  506. 西村直己

    ○西村(直)委員 私は、徳田証人はやはり詭弁を弄されておると思います。山田証人自体が「書記局には書記局の又事務局があります。」とはつきり証言台の上で証言しておる。またかりに一歩讓つて徳田氏は大書記長であるから、事務屋のごときは、書記局の下の方に並んでおる人を事務屋だと言われてもけつこうでありますが、少くともウオロシーロフに出したはがきについても、これは事務局で送つたことをはつきり言つておられる。またこの指令自体についても事務局から送つたんだから、内容について云々。しかし政治責任はとると言つておられる。またもう一つは、はつきりした事例をお示しするならば、同じく参議院の引揚委員会の三月二十七日の材料がございますが、あなたの方の同志中野重治君がこの指令なるものを大体認めておられるのであります。これは読んでみてもよろしいのですが、中野重治君が「「引揚者受入態勢強化に関する昨昭和二十四年四月二日付日本共産党指令第三四七号」、これはたしか日本共産党何とか事務所と書いてあつたあれだろうと思いますが、この四月二日付のそういう指令は出ておらないのです。しかし三月二十日付の指令というのは、あれは事務局、こういうふうな名前はついていないが出ているのですが、」といつて中野重治氏はやはり参議院速記録事務局ということを言つておるのですが。
  507. 徳田球一

    徳田証人 だからこらんなさい。事務局が出しておるのは日にちも違うし、にせ指令だ。本指令は書記局から出ておるでしよう。私はそれは見ません。この本指令について原本があるなら見せてくださいと私は言うているのだ。
  508. 西村直己

    ○西村(直)委員 しかしこれは当時参議院においては、内容が問題になつたのでありまして、日付そのものは大した問題でないのです。しかも最後には、それは三月二十日という日付がほんとうだという中野委員発言がございました。岡元委員長から、これは内容においては一緒なんですねと念を押しておる。中野重治委員が、これはにせ指令だ、うそだと言つて反駁すべきところを反駁をやつていないじやないか。
  509. 徳田球一

    徳田証人 それはあと内容を調べてみましよう。内容がどうであるかこうであるかは知りませんから、それは事務局から出しておるというその原本を見せてくれれば、私はそれを調査して、これがどういうものであるかということを答弁いたしましよう。さもない限りは、私はそういうことは答弁はできません。
  510. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 参議院ではあなたにこれを写してあるのを渡した。
  511. 徳田球一

    徳田証人 渡してあるというのは、事務局というものはないのであるからにせ指令だと私は言つている。日にちも違うし、番号も違うから、それはにせ指令だ。それがなぜそういうふうに出たかということは問題である。だからして私はその原本があれば調べます。
  512. 西村直己

    ○西村(直)委員 おそらくこれは、私は中野重治君の発言記録を見、それから徳田証人参議院における発言状況、山田証人発言状況からみまして、多少の日付は問題になるかもしれませんが、しかし内容そのものにおいてはまず間違いがない指令である。この指令自体がやはり京都においてあれだけの事件を起し、京都における行動としては革命の行動に持つて行こうというふうに細胞組織を動かしておるのが事実であります。従いまして、おそらくこの原本あるいは原本に近いものは参議院にあると私は思うのでありますが、どうか参議院の引揚委員会について適当な機会にこれを御調査願いたいのであります。おそらく徳田証人言つておられることは、かなりにあいまい模糊として、私の聞いておるところではある程度肯定しながらある程度逃げておられる。しかし中野重治氏の発言は、内容的に一応認めておられる。こういう違いがあります。
  513. 徳田球一

    徳田証人 だから持つて来なさい。それを見せてください、知らないというんじやない。
  514. 島田末信

    ○島田委員 私は先ほどの石田君の質問に関連してお尋ねいたします。証人参議院在外同胞引揚問題に関する特別委員会におきまして、こういうことを言つております。「何とかいう男が、向うから帰つて来た男が、何とか証言しているというけれども、それと同じところから菅という人、この人がちやんと朝日新聞にも出している。こんな事実はなかつたんだ……。かれらはロシヤ語を知らない。ロシヤ語を知つている通訳である菅君がこれを立証しておる以上、これは何で呼ぶ必要がある。朝日新聞うそをいうならば、うそだと思うならば、なぜ菅君を呼んで諸君はこれを調べないか。」となつておりますが、これは間違いありませんか。
  515. 徳田球一

    徳田証人 何だ何だ。
  516. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは徳田君の証言でしよう。
  517. 島田末信

    ○島田委員 そうです。それに間違いないかと言うのです。速記録に載つておる。
  518. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう証言をあなたがしたことは間違いないかということです。
  519. 徳田球一

    徳田証人 それは間違いないでしよう。速記録に載つておれば間違いないでしよう。
  520. 島田末信

    ○島田委員 もしこの証言が間違いないとしますれば、証人は菅君の立証を非常に重要視しており、また自分には最も有利な証言者であると信用しておると思いますが、その根拠はどんなものですか。
  521. 徳田球一

    徳田証人 そんな根拠はどこにもありません。通訳だから、それは最も真に近いものが出るでしよう。出るでしようけれども、それが私の要請と何の関係があるか。     〔「大いにある」と呼び、その他発言する者あり〕
  522. 島田末信

    ○島田委員 私は今要請関係があるとかないとか端的にお問いしておるのではありません。この会議録にあるあなたの言われたことが事実であるか。また事実であるとすれば、菅君の立証を非常に重要視せられており、また菅君が立証する上においてあなたに有利な証言者であるということを一応認めておられるかということを私はお聞きしておるのです。その根拠をお聞きしておるのです。
  523. 徳田球一

    徳田証人 有利かどうかそんなことは問題じやない。それは通訳だから、通訳が一番真実を吐くのであります。私に有利であるか有利でないか、それは問題ではない。それは通訳が言うたのだ。日本人のロシヤ語を知らない者が感ずることと知つておる者が感ずることとでは、知つておる者の方が真実に近いということは当然であろう。不利に動くか有利に動くか、そんなことは問題じやない。
  524. 島田末信

    ○島田委員 証人は菅君がロシヤ語を知つておるから、そうして通訳として非常に真実を吐く立場にあるから、その立証を重要現しておるのだ、こういうふうに私はお聞きしたのでありますが、そうなると菅君の立証ないし証言というものは、真実を物語りあるいは真実に最も近心証言であるということは、徳田証人もこれを納得しておられるというふうに私は考えるのですが、その通りで間違いありませんか。
  525. 徳田球一

    徳田証人 それは真実であるかどうかは別の裏づけがなければいけない。要するにこれはソ同盟側のこういうことを言つたかどうかということの別の裏づけがあれば、これは真実性は確かにありましよう。しかしながらそういうほかの日本人から聞いたことよりは真実に近いでしようね。
  526. 島田末信

    ○島田委員 一応菅君の問題は、いわゆる通訳として非常に真実に近い証人であるということについては、大体意見が一致しておると思われます。私は別にこれ以上徳田証人要請問題がどうとかということはお聞きしません。すべてカラカンダ地区九分所における事実がどうであつたかということ、それから証言によつてわれわれが十分に真実を得ればいいと思いますからして、これ以上お聞きすることはいたしませんが、同時に先般来ここに立たれました証人から私がお聞きしたところでは、ソ連におきましては、本物の共産主義者を民主主義者と言つており、同時に本物の民主主義者、いわゆる共産主義者、これ以外に対しては反動分子として認めたということを証言しておるのであります。これはソ連における場合でありますが、わが日本におきましては、日本共産党共産党員以外の者に対しては反動分子として扱われておりますか。これは日本共産党書記長である徳田さんにお聞きするのがよろしいと思いますが。
  527. 徳田球一

    徳田証人 それは世間一般の動向を見てみますれば、そうでないことははつきりしておる。共産党員のみならず、共産党に入らない人でも進歩的分子はたくさんおりますから、それを反動と言うことは共産党はいたしません。それからシベリアその他のソ連地区におきまして民主主義者というのは、共産主義者ではないのであります。共産主義者と言えば共産党に入党した者でありますから、向うでは入党できませんから、だからして共産主義者ではありません。
  528. 島田末信

    ○島田委員 私がお聞きした範囲内では、いわゆる共産主義の信奉者と申しますか、あるいは共産主義を遵奉する方々、こういう本物の民主主義者以外は反動分子として扱つておるというふうに聞きましたが、日本におきましては、共産党共産党員以外の者に対しましてもいろいろ進歩的な者も認めておるというふうな証言でありますが、そうなりますと、ソ連のいわゆる共産主義者以外の者を扱う態度と、日本内地における共産党が他の者を扱う場合の態度とには、おのずから区分があるように思われますが、そういうふうに考えてよろしゆうございますか。
  529. 徳田球一

    徳田証人 それはあなたの御感想でどうでもよろしゆうございますけれども、ソビエト同盟でも、共産党員と党外の支持者というものはたくさんおるのでありまして、これらはすべてむろん進歩的分子である。その党外の支持者というものは党員の十数倍に及ぶでありましよう。そういう点からいたしまして、われわれが今とつておる日本における進歩的分子と、ソビエト同盟における進歩的分子とは、質やいろいろの点では差はありましようけれども、大体同一方向で行つておると考えるのであります。
  530. 島田末信

    ○島田委員 ただいまの証言では、ソ連においても共産党及び共産党以外の支持者、こういう者を一応進歩的な分子と認めておる。また日本におきましても共産党員だけでなくて、共産党の支持者、そういう者を含めて進歩的分子と言つておるということで、大体共通しておるという話でありますが、こういう点からかりに共通しておるものといたしますれば、進歩的分子とみなす以外の者に対しましては、これを反動分子と呼び、あるいはこれを反動分子とみなしておるということも共通しておると解釈してよろしゆうございますか。
  531. 徳田球一

    徳田証人 そうではありません。大衆の中には反動でもない、進歩的分子でもない、中間層というものは非常に莫大なものであります。それはソビエト同盟でもそうであります。ソビエト同盟でも党員もいる。党外の支持者もおる。そのほかにも何も反動ではなく、中立というのではなく、ぼやつとしておるのがたくさんおります。大衆にはそういうのが多いのでありまして、時の動きに従つてこれが進歩的な方向に向い、あるいは反動的な方向に左右される場合があるのであります。でありますから、これは必ずしもそういう者以外は全部反動だと規定するのは間違いであると信ずるのであります。
  532. 島田末信

    ○島田委員 大体輪廓はわかりましたが、しからば反動的分子とみなす範囲について、何かここに説明のできる限定されたものがありますか。
  533. 徳田球一

    徳田証人 反動分子というのは、階級的な敵でありますから、すべて労働者並びにこれらとともに勤労者として働く人々及び中小商工業者その他を除きまして、実際上階級的にわれわれを彈圧するところの分子は、これは反動分子であると考えるのであります。
  534. 島田末信

    ○島田委員 それではソ連から帰つた帰還者全体を見渡しまして、証人反動分子とみなす範囲はありますか。たとえばどういう人々をさしますか。
  535. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは私は一々こまかく調べておりませんから、私はこれに答弁をすることはできません。
  536. 島田末信

    ○島田委員 それでは反動分子が帰還したことは認めますか。
  537. 徳田球一

    徳田証人 反動分子であろうと何であろうと帰還しておりますから、何も反動分子だけは……。
  538. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、帰還した人間に反動分子があるかというのです。
  539. 徳田球一

    徳田証人 それはありましよう。私も顔を一々見たわけではありませんが、それはありましよう。
  540. 島田末信

    ○島田委員 ソビエトの抑留者が帰還してこの証人台に立ちました。そういう人々の言を聞いてみますと、反動分子に対してはあくまで敵として闘う、あるいはまた徹底的に憎しみを感ずるということを証言しておりますが、日本共産党におきましても、ただいま申されたようないわゆる進歩的分子であるとか、また兵権党員か、ソビエトの味方となる将来性を持ち得る者に対しては反動分子とみなしていないという証言でありますが、しからば反動に対しては徹底的な憎しみ、敵としての扱いをやはり持ちましたか。
  541. 徳田球一

    徳田証人 それは階級敵ですから憎しみを感ずるでしよう。あんた方がわれわれに対して憎しみを感ずると同じでしよう。現に感じておる。共産党に対してこういう考査委員会に出すような問題……。(発言する者あり)憎しみがなければこれはできるものじやない。それはね、共産党に対して諸君が憎しみを感ずると同時に、われわれ……。(発言する者多く、聽取不能)何が妨害しておる。
  542. 島田末信

    ○島田委員 反動に対しまして共産党はあくまで敵とこれを信じ、また憎しみを徹底的に感ずるということは、証人のただいまの証言はつきりいたしましたが、しからば共産党ソ連における抑留者の引揚げについてこれを促進したと言いますが、そういう敵と考え、徹底的に憎しみを感ずる反動に対しても引揚げを促進するというお気持になりましたか。
  543. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは帰つて来なければわからぬです。向うでは反動のつもりでも、おれは日本へ帰つたらば軍国主義をやるんだといつた人間でも、日本帰つてみればこういうひどいざまでは、これはおれの考えが間違つておつた、これはどうしても共産党に入らねばならぬというのもいますから、何も向うでどういう傾向があつたからといつたとて、そんなことに気を病むほど日本共産党は気は小さくありません。非常に広大であります。あらゆる人間をわれわれは入れまして、これを訓練し、これを進歩的な方向に向けることが共産党の任務であることを、特に御承知あらんことをお願いする次第であります。
  544. 島田末信

    ○島田委員 ただいまの証言で、少くとも反動に対しては憎しみを感じ、敵と感ずるという立場から申しまして、ソ連抑留者の中の反動分子に対しては帰つてもらいたくないというのが人情の自然だと思いまするし、     〔委員長退席、高木(松)委員長代理着席〕 共産党のあり方から言つて、これはまことに当然なことだと思いますが、これは徳田書記長があるいは要請したとかしなかつたとか、あるいはまたどういう行動をもつて反動の帰還を阻止したとかいうことのあるなしは別といたしまして、日本共産党考え方、また態度、あるいはあり方から申しまして、反動帰つてもらいたくない、でき得れば本物の共産主義者となつて帰つてもらいたいということがむしろ共産党の自然なあり方であると思いますが、徳田書記長はこれをどうお認めになりますか。
  545. 徳田球一

    徳田証人 それはあなた方のブルジヨア理論の帰結でありまして、共産党はマルクス・レーニン主義でそういう帰結にはなりません。マルクス・レーニン主義者はこれを階級敵と憎み、またこれと鬪うことを期しながらも、この人の性格いかんによりましては、これをあべこべにすることは可能であります。そういうことにつきましては、共産党は非常に広大な気持を持つておりますから、決してあんた方のおつしやるようた結論には達しません。現に元大将の板垣征四郎氏の子供さんは自分自身言つております。自分は反動であつたけれども、非常に強い軍国主義者であつたけれども、実際仕事をやつてみると、これが間違いであつたことがわかつた。だからして自分はあらためて民主主義者となり、日本に帰りましては共産党に入つたということは、諸君はこの証言台で聞かれたでありましよう。ですからしてわれわれは、何も反動とか何とかいうことが向うで言われておることに対しまして、何もそれに対して帰ることやいろいろなことに対しまして、特別な條件をつけたりなんかするようなことはありません。これはなかつたことは事実であつて、そういうことに対しまして、ブルジヨア的な理論で一つの仮想的な結論を出すということは私は反対である。
  546. 島田末信

    ○島田委員 これは見解の相違かもしれぬが、事実から申しまして、私はむしろ共産党の立場に立つてものを考えてみたいと思つておるのであります。すなわちソ連抑留者が一人でも多く共産主義者になるということは、共産党はもとより希望しておることであります。同時に反動分子とみなされる者も、たとえば日数はかかるが、大いに政治教育をやつて共産主義者となつて帰つてもらいたいということも事実だろうと思います。そのためになるほど反動分子は帰してもらいたくないということではなくして、帰すためには日数をかけ、年月をかけてもいいから共産主義的政治教育を十分施して帰つてもらいたいということが、すなわち現在証人の言われました広大無辺な共産党のあり方だつたかもしれませんが、私の側から言いますれば、そういう広大無辺な気持は、ここに反動分子をして日本への帰還を四年、五年と遅らすということは、私自身は十分確認いたしまして質問を打切ります。
  547. 徳田球一

    徳田証人 そういう確認は自分でしたつて、それは問題にならぬと思います。だからして……。     〔発言する者あり〕
  548. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 徳田発言を許しません。
  549. 篠田弘作

    ○篠田委員 反動分子であろうと何であろうと、憎しみは持つけれども、これに対して板垣征四郎氏のむすこさんのように、また共産党の方へ入つて来る。こういうようなお話でありますが、それならば、ソビエトの一九一七年の革命以来、ソビエトにはレーニンとともに力をあわせた、あるいはレーニンの時代にスターリンとともに政治局員であつた人々がたくさんおりましたが、これがトロツキーはトロツキーとして(「トロツキーだ」と呼ぶ者あり)トロツキーというんだ。默つとれ。トロツキーはメキンコでもつて亡命中死にましたが、そのほかの政治局員はことごとくスターリン以外は血の粛清にあつておる。反動分子すら戒心させるという広大無辺な共産党が、革命の同志であるところの共産党員を何のために血の粛清をしたか。
  550. 徳田球一

    徳田証人 それがマルクス・レーニン主義を知らざるゆえんでありまして、そういうことに対する理解を私がここで喋々述べるといたしますれば、おそらく三十五、六時間かかると思います。そういうものを私はここでレクチユアするところの義務はありません。それだから私はあらかじめ答えた。ここで委員長ちよつと話をした。証言だけすればいい、認否認めればいい、そういうことに対して私が講義をする必要はないと思います。
  551. 篠田弘作

    ○篠田委員 私は徳田君の講義を聞こうとは思いません。いわんやそこでやじつておる共産党員は、共産党員として議会まで来ておるけれども、トロツキーすらもトロツキーだとか呼んでおるような、ロシヤ語のわからぬようなそんな人間の講義はもちろん聞く必要はないのであります。しかし言いかえれば、政治局員であるところの人々を血の粛清をした、その無情がはつきりわからないで、どうして反動といえどもこれを戒心さして自分の方に入れるというような、広大無辺と自称するところのこの共産党の気持というものがわかるでありましようか。私たちは広大無辺と言いながら、少しでも気持が違えば昔の同志、きのうまでの同志をも血の粛清にする、日本共産党の失敗はここにあつだ。ピストルでもつて同志を殺した。そういつたようなことがいわゆる地下にくぐつておる時代からの共産党の失敗だ。現在においても共産党の内部、少くとも共産党機関紙であるところのアカハタを通じて、いわゆる国際共産主義者であるところの志賀君とその他の現幹部諸君との間に争いがある。そういう意味から言つても広大無辺という徳田君の……。     〔発言する者あり〕
  552. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 靜粛に願います。
  553. 篠田弘作

    ○篠田委員 徳田君がいらざることを言つておる。広大無辺なんていうことは聞いていない。広大無辺などよけいなことを言うから、それではそれに関連して血の粛清はどうであるかということを質問しておる。だから広大無辺という発言をした以上は、それに関連するところの質問に対して答えるだけの義務は当然であると思う。
  554. 徳田球一

    徳田証人 それならば事実で答えましよう。事は事実で答えた方がいいでしよう。どうですか。
  555. 高木松吉

    ○高木(松)委員長代理 どうぞ。
  556. 徳田球一

    徳田証人 現にソビエト同盟から反動であるとか何とか言つて帰つて来た人たちが、日本へ来て実際入党しておるんです。(「してない者もある」と呼ぶ者あり)そんなことだれも言やせん。しておる者があると言うのだ。だから実際はね。情勢が動けばかつて来るんです、人間というものは。これまで政治局員であろうとも、情勢がかわつて、かれらが困難に際して階級的な裏切りをやる場合は粛清をせざるを得ない。あたりまえだ。     〔高本(松)委員長代理退席、委員長着席〕 党が全人民のために真に共産主義を樹立するために闘うならば、それはそういう裏切り者に対しては、断固たる処置をするのが当然である。しかしながら諸君は知るであろう、ギリシヤ正教の坊主さんたちも、この長い間の闘争のうちに、彼らが次第々々に進歩的になり、現在では共産党の方向に対して彼らが支持者になつていることは明らかではないか。そういう事実を諸君が見られるならば、それは普通に言う意味におけるブルジヨア的な論理では、とうてい理解できないところがある。ここにマルクス・レーニズムがあるのである。すなわちマルクス・レーニズムというものは、時勢の発展によつて、知らない間に量が質にかわる、こういう大変化、ここに問題が存在するのである。であるから政治局員もかわつて裏切り者ともなり、またこれまで反動的な抵抗を試みておつた者も党の方向へ動いて来ることがあるのだ。(「広大無辺じやないぞ」と呼ぶ者あり)それが広大無辺だ。
  557. 篠田弘作

    ○篠田委員 ただいまマルクス主義というものが、長い問の教育によつて、量が質にかわるというようにおつしやいました。民主主義の原則というものは、結局量である。現在の民主主義は少くも量である。どんないい質を持つてつても、一人では何にもできない。質は量に伴うので、質のいいものがたくさんなければならない。たとえば悪い質のものでもたくさんあつた場合には、それは結局において——たとえばわれわれの投票の点を考えても、投票の内容がどうあろうとも量がこれを決定するのである。いいか悪いかは別問題として、質が量に伴うということが、少くとも現在の民主主義の原則である。そうすると今行われている民主主義というものと、これを基調とするところの国会というものとの関係から見て、量が質にかわるという今の徳田さんの証言というものは民主主義の否定であると思うがどうか。
  558. 徳田球一

    徳田証人 それは何だか私にはわけがわからない。それがわかりませんから私には答えられません。そんな理論というものは、私たちの聞いた範囲ではチンプンカンプンで、さつぱりわからない。
  559. 篠田弘作

    ○篠田委員 民主主義の原則は、質は量に伴うくらいのことがわからなければ、あなたの言う民主主義というものは何であるか、私たちにはわからないのである。  それではもう一つわかりやすく聞きますが、あなた方は、裏切り者を粛清することは何らさしつかえないと言われるが、裏切りであるという決定をどういう段階においてされるか。今あなたは、反動といえども、これを教育すれば共産主義者になつて、たくさん入党しているということを言われるのである。そうすれば、日の丸梯団といえども共産党の指導いかんによつて共産党員になる。こういう者に対して、あなたは先ほど憎しみを感ずると言われたが、愛情を感じなければならぬはずである。いわんや革命をともにやり、ツアーの圧制に対して血を流して革命をやつた人間が、たまたま意見が違うか、あるいはどういうことをやつたかわからないが、その途中の段階において血の粛清をするということが認められていいのか。これをひとつお伺いする。
  560. 徳田球一

    徳田証人 そういうことはりくつなんでね。そういうことについてやつていた日には、問題にならぬと思う。それは今までの党員であつても、これが裏切り者になるということは行動が示すのです。行動がね。それを覚えておいてください。行動が決定するのです。單に口先や何かで言う討論や何かだけが決定するのでなく、行動が決定します。それから実際反動であつた者も、共産党員になり得る可能性があります。ありますけれども、しかしそれはなつたときの話である。ならない前は、やはり階級敵である以上は鬪わなければならない。実際鬪つて、鬪いの中に今度は考え方をかえまして、そしてこれが質的にかわつて来るのである。そういうことは世間にたくさん具体的にあることであつて、一々二、三のことでこれを断定するわけには行きませんが、どうか共産主義に関することの本をお読みになりまして、真に共産主義的行動をやつてごらんなさい。そうすれば篠田君といえどもかわりますから、どうか御遠慮なくおやりになることを希望いたします。
  561. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なるべく議論にわたらないことを希望します。
  562. 篠田弘作

    ○篠田委員 同じ同志であつても、行動が少くも現在の主流と違う、あるいは共産主義的な考え方と違うという場合には粛清をする。こういうことであるならば、これはあたりまえのことであつて、何も広大無辺などというよけいなことをしやべる必要はありません。しかし広大無辺論はその辺で打切つておきますが、先ほど徳田君は、ジビエトから帰つて来る者はみな太つて帰つて来るということを言われました。これに対して佐々木君から、アクチーヴであるとか、あるいは向うのスパイをやつた人間は、なるほど牛なべも食つておつたろうし、うまいことをやつておつたから、太つて帰つて来たのもある。現にこの間ここに呼んだ証人の中でも、大分太つて帰つて来た者があることは私も認めます。しかしせんだつて帰つて来た引揚者の話でありますが、これがUPを通じてこちらにも来、アメリカにも行つておりますが、その中にこういうことを言つております。路傍に落ちていたくつのかかと一つ拾つたという理由で十年、樺太の女は、生理日に休んだという簡単な理由で、生産サボの極印を押されて十年、腐つたじやがいもを七つ盗んで二年、日本新聞で内地でさけが一匹千円もすると書いてあるので、そんなばかなことがあるのかと言つたとたんに七年、浜に打上げられた死んだにしんを一匹拾つたということによつて、国有財産を盗んだという理由で八年の刑にされたとある。これはいわゆる天下の毎日新聞が責任を持つてその紙面に書いてある。(笑声)毎日新聞を笑うのか。毎日新聞は少くとも日本において三百万くらいの読者を持つているりつぱな新聞である。それが責任を持つて書いている。一方において数人の人間が太つて帰つて来たからというて、これが全部太つて帰つて来たろうとは言えない。ところが引揚者の中に、にしんをたつた一匹拾つて、国有財産を盗んだということによつて、八年の懲役を受けている者があると、ちやんと天下の公器に書いてある。これに対して徳田書記長は一体どういうふうにお考えになるか、それを最後にお聞きして、私の質問を終ります。
  563. 徳田球一

    徳田証人 それは篠田君がどう考えられようとかつてです。しかし新聞が全部真実を伝えるということはありません。吉田首相が何と言つておるとか新聞の書いていること、それが真実か。それと同じです。毎日新聞ごときがソビエト同盟に対して真実を書くということはあり得ないと私は思う。なぜならば、毎日新聞が天下公知の反ソ反共新聞であることは事実である。われわれのことに関しましては、たびたびうそを書いていることは天下周知の事実である。それゆえにソビエト同盟の内情につきまして毎日新聞が書いたからといつて真実であるとは言えない。
  564. 篠田弘作

    ○篠田委員 新聞真実を常に伝えておる。新聞に書いてあるということが必ずしも信用ができないとおつしやるならば、タス通信もこれはまた通信である。あるいはアカハタもまた新聞の一種であるというのならば、あなた方はこれに対しても信用が置けないということが成立つと思うのだけれども、これはどうでありますか。
  565. 徳田球一

    徳田証人 それは議論です。必ずしもと私は言つたのだ。反ソ反共の新聞ソビエト同盟に関し、共産党に関して書くことが、これが真実だということはできないと私は言うのだ。それは立場々々だ。階級的な性質というものが決定するのである。そういうものに対して、一々これがこれだからこうだということはできません。それから私の言うているのは、ダス通信ソビエト同盟の公式の声明のことを言うておるのであつてタス通信に対して云々しているのではない。階級的に言つて正しいものは、われわれの立場から見れば、この方向の方が正しいということを言つておる。     〔「委員長意見にわたる質問は、押えたらいいじやないか」と呼ぶ者あり〕
  566. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 私は常に意見にわたることを言わぬように言つておるのだが、両方で言つておるのだからやむを得ません。
  567. 篠田弘作

    ○篠田委員 それでは今の徳田さんの御議論によりますと、毎日新聞は反ソ反共の新聞であるから信用ができないということであります。私は毎日新聞か反ソ反共であるかどうかということは知りません。しかしそういう点から言うならば、タス通信アカハタ以外の日本新聞というものは、ことごとく反ソ反共であるとお考えになるかどうか、これをひとつお伺いいたします。
  568. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは答える必要はない。反ソ反共であるかないかは個々について見わけるのである。すべしが反ソ反共だという、そんなばかなことはだれも言いはせぬ。そうじやない、毎日新聞がそうだと言つている。すべての新聞がそうだとは言つていない。(「言つた言つた」と呼ぶ者あり)言つていない。速記録を調べなさい。そんなばかなことはない。毎日新聞は反ソ反共だから、ソビエト同盟及び共産党に関して毎日新聞が書くことに対しては、われわれは信用を置くことはできない、こう言うたのだ、何もあらゆる新聞が反ソ反共とはだれも言いはせぬ。
  569. 篠田弘作

    ○篠田委員 それでは日本新聞に適用されておるところのプレス・コードというものが総司令部の覚書にあります。このプレス・コードは、報道については自由な立場において、新聞の持つ責任とその意義とを十分に教え込んであると同時に、特に二ユースの真実性並びに宣伝の範囲というものに重点が置かれております。それは社説であつても広告であつても、そのほかすべての面にそれが適用されている。報道は嚴重に真実を守らなければならない。直接間接とを問わず、公安を害する事項は一切掲載してはならないといつたような、またその他たくさんあります。連合軍に対し事実に反し、または利益に反する批判をしてはならない。連合軍に対し破壊的な批判を加えてはならない、不信な態度を招くような記事を掲載してはならない。連合軍の動靜は公表されざる限りにおいて、これについて記載してはならないというようなもろもろの條項がたくさんありますが、しからば毎日新聞はこういつたような制限を無視して、惡意を持つて反ソ反共の言論をもてあそぶ、あるいは真実をおおつて国民に報道しておる。言いかえればプレス・コード違反をやつているということをあなたはこの点において言明されるか、お聞きしたい。
  570. 徳田球一

    徳田証人 そんなことを一々答える必要はありません。それは具体的な事実で論議しましよう。——具体的な事実で……。こういう事実に対してはプレス・コード違反のことはあります。たとえばわが共産党に関してプレス・コード違反のものはどんどんついてあやまちを皆指摘しております。そうしてちやんと誤りは正させてあります。これは具体的な事実に対してやりましよう。
  571. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今篠田君の毎日新聞の記事、そのことです。その記事がどうだというのです。
  572. 徳田球一

    徳田証人 その記事がどうかこうかということは、私はまだ研究しておりませんから、これをどうこうと言うことはできません。できませんが、概略して言つて反ソ反共の新聞ソビエト同盟のことに関して書いたものは、私は信用ができないと言つておる。信用ができない。
  573. 井手光治

    ○井手(光)委員 証人にお尋ねいたしますが、昭和二十四年九月十五日カラガンダ地区で政治部将校が、証人から反動分子は帰してくれるなと要請した。このことがあるかということに対して、要請した事実はないということを証人はお述べになつております。どうして要請した事実がないかということは、ただいまもお話がありまするように、右はタス通信ソ同盟の政府の公の発表機関としてこれを否定しておる、この事実をもつて自分が要請した事実がないということを証人言つております。これは違いありませんね。
  574. 徳田球一

    徳田証人 私はそこだけをとつておるのではない。私自身のやつた要請アカバタにちやんと載つているのである。それにはそういうことは書いてないんだ。私自身のことを言うている。それをさらに裏書きして、ソビエト同盟からこういうふうに発表しているじやないか。これは二次的な問題だ、私のことは私自身の行動によつて証明しておるのである。
  575. 井手光治

    ○井手(光)委員 そこであなた自身は、自分の気持の上と及びタス通信発表とを両々裏書きして言つております。そこでこれは悲しいかなカラガンダ地区に徳田証人はおつたことがない。われわれもカラカンダ地区におつたことがないのでありまするから、カラカンダ地区の具体的な事実によつて判断するより仕方がない。これは押問答である。あなたは否定しておるし、こちらは肯定しておるのであるから……。具体的な反証をあげるためには、カラカンダ地区でどういう事実が行われたかということを調べるよりこの問題の結論が出て来ない。そこで考査委員カラカンダ地区における具体的な事実を究明するために、多数の証人を長期にわたつて調査尋問をして、ここに事実を明らかにしておるのだ。それをあなたはタス通信及び自分の気持の上にそうであつたとしておる。しかしあなたはいかにタス通信ソ同盟の政府の公の機関であると言つても、事実の前にはいかに公の機関の発表であろうと、これは事実を曲げることはできない。その点はどうです。
  576. 徳田球一

    徳田証人 私は私の信じている事実を言うておる。私はそういうことはしたことがないと事実を言うておる。私がやつとるかどうかは日本において決定されるのでありまして、それがカラカンダ地区で決定されるということはどこにありますか。
  577. 井手光治

    ○井手(光)委員 問題はカラカンダ地区その他の地区において起きたことを調べておる。日本にあつたことを調べておるのではないのです。問題をはき違えては困る。タス通信発表やあなたの気持を調べておるのではない。カラカンダ地区においてどういう要請が行われておつたかという具体的事実を調べておるわけでありますから、その具体的事実が事実であつたということはこれはやむを得ないであろう。それはあなたが、タス通信発表ソ同盟政府の公の機関の意思発表であるからこれを信ずるというのと同じような意味において、カラカンダ地区において行われた具体的事実が多数の証人によつて証言された場合は、同じような立場において事実であるということを肯定することは当然であるとお思いになるか、その点を伺いたい。
  578. 徳田球一

    徳田証人 それは非常に感違いしております。カラカンダ地区でどういうことが行われたかということは、私の何ら関連するところではない。私が何を要請したかということが問題なんだ。そういうことは私はやつていないということを言つておる。そういうことをカラカンダ地区で何と言おうと、かんと言おうと、何ら私には関係ありません。
  579. 井手光治

    ○井手(光)委員 どうも徳田証人は少しタス通信発表と自分の気持にとらわれ過ぎているのではないか。カラカンダ地区においていかなることが行われたか。カラカンダ地区において、これはよその国の将校が言うたのではないんですよ。ソ同盟政治部の将校が三百人以上の人を集めて、徳田要請はかくのごとき事実があつたということを発表して、初めてこの問題は起きておる。そこでその事実があつたかどうかということを多数の証人を呼んで調査をしておるのです。でありますから、この事実がかりに証人の気持の上でどうあろうが、タス通信発表がどうあろうが、それは事実としてわれわれは肯定します。あなたの気持もそうでなかつたということも認めましよう。タス通信発表も、あるいはソ同盟の公の機関の発表であるから、そうでないということも認めましよう。しかしそれと同じような意味において、カラカンダ地区において多数の証人証言をした事実も、それと同じ意味において認めざるを得ないのではないか。あなたの気持はどうだ、こういうことなんです。
  580. 徳田球一

    徳田証人 そんなことは私の気持を聞いたつてわかるか。私は私のやつたことに対して言うておる。気持ではないんです。気持とは感情です。そうじやない、私は事実を言つておるのです。私はそういう要請なんか絶対にしたことはないんだ。現に私の要請しているのはアカハタちやんと出ておるではないか。物証があるではないか。これを言うておる。だからしてカラカンダ地区でどんなことが行われようと、かんのことが行われようと、私と何ら関連のないことなんだ。だからそれをあなた方どうお認めになろうとそれはごかつてで、御自由に自由主義的にひとつおやりにならんことを特にお願いする次第であります。
  581. 井手光治

    ○井手(光)委員 そうなりますと、徳田君があなた自体のこともタス通信の公の発表において否定し、及びあなたの気持においてそうでなかつたということを否定しても、われわれはそれを信ずることはできない。何となれば、カラカンダ地区における具体的証人の事実すらもあなたは否定するのであるから、あなた自体のこともわれわれは否定せざるを得ないということになりますよ。でありますから、こういう具体的な問題について多数の証人証言をしたことは、タス通信発表がどうあろうがこうあろうが、事実は認めざるを得ないのではないかということをお尋ねしたい。
  582. 徳田球一

    徳田証人 そういうことはよけいなことです。私は私の事実を言つておるのです。私の気持を言うておるのではないんです。カラカンダ地区でどんなことがあろうと、私は見たこともなければ聞いたこともない。それはあなた方がどうお調べになるか、それはあなた方のお任務であるから、任務を盡されることに対して何ら私はああの、こうのと言いません。私は何も言わない。私はそういうことはやらなかつたということを私自身の行為で証明しておるのですから、あなたがどうおつしやろうとそれ以上のことは言う必要はない。また言うことはできません。
  583. 井手光治

    ○井手(光)委員 あなたのおつしやることは、自分は気持の上でも事実の上でもそういう行動をとつておらぬ、しかもタス通信が裏書きしておることをあなたは否定しておるのです。しかしいくら否定しても事実は事実です。そこでカラカンダ地区政治部の将校によつて徳田要請があつたという事実を、多数の証人証言をしておる。そこであなたはやらなかつた。あるいはタス通信もこれを発表しておるということは、事実に基かざるタス通信発表であり……(発言する者あり)カラカンダ地区で事実行われたということを否定しておるということは、あなたお認めになりますか、その点をちよつと……。
  584. 徳田球一

    徳田証人 何だかわけがわからない。私が今言つた以上のことは証言にならぬ。なんだかんだとごたごた言つたつて、そんなことは私にはちつとも証言をする義務はないと思います。何だかわけがわからない。
  585. 井手光治

    ○井手(光)委員 わけがわからないと言うけれども、ちよつと頭を冷静にしてもらいたい。カラカンダ地区における徳田要請の具体的な事実を調べておるということを、あなたは頭の中からはずしちやいけませんぞ。それをあなたそういうふうに曲げちやいかぬ。
  586. 徳田球一

    徳田証人 何を曲げておる。
  587. 井手光治

    ○井手(光)委員 曲げてる。
  588. 徳田球一

    徳田証人 どういうふうに。
  589. 井手光治

    ○井手(光)委員 事実を曲げてるから妙な議論になる。それが問題の核心なんだ。この点に関する具体的な事実は証人によつて明らかにされておるのです。この考査委員会において、この事実があれば、この事実によつてあなたはタス通信発表がどうあろうとも、その事実というむのは認めざるを得ないだろうと私は思う。
  590. 徳田球一

    徳田証人 それは彼がそうだろうという彼の断定です。彼の断定を私に押しつけたつてそれはだめです。私は私の事実を言つてるので、カラカンダで何が起ろうがかにが起ろうが、どんな証人が呼ばれたからといつて、私はそれを立ち会つて聞いておるわけでもなんでもないし、その証人の物証があるわけでもないんだし、私は私の具体的な事実において、私はこれだけのことをしていて、こういうことはしておらぬというだけの話なんです。カラガンダ地区に対してあなた方がお調べになろうと何しようと、それはあなた方の任務です。そこであなた方がそれに対してどういう決定をなさろうと、それは私と別問題です。
  591. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 大分証人も疲れたようですが、去る四月二十五日に日本帰還者同盟第二回全国大会というのをいたしましたのを御存じですか。
  592. 徳田球一

    徳田証人 あつたかもしれません。
  593. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 聞いておりませんか。
  594. 徳田球一

    徳田証人 あつたようです。
  595. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 その内容は知りませんか。
  596. 徳田球一

    徳田証人 知りません。
  597. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 それでは私はちよつとこういうことがあつたということだけ証人にお話しておきたいと思う。昨日でしたか、この帰還者同盟の第二回全国大会参加者一同というので、その代表者として小澤常次郎という人——この人は先般この徳田要請の問題で証人に呼んだ人でありますが、この代表者からこの委員会に対しての面会の要求があつたのですが、委員長は都合が惡かつたので私が会いました。そうするとその引揚者の大会においては、徳田証人の喚問を即日とりやめろ、同時にまた考査委員会は解散せよ、こういうことをきめておるのであります。この小澤常次郎という人は共産党員であります。共産党自体としても、あなたの要請があつたかなかつたかということは、これは事実は事実として明らかにするのが、共産党のためにもなろうかと考えるのでありますが、あなたの党の党員であられる代議士諸君やあるいは党員であられるところの人々が私のところへ来て、そういうことを言われるということは、はなはだ遺憾だと思うのであります。しかしその内容を知らないということであれば、ただそういうことがあつたということだけを申し上げておきます。  それからもう一つは、二十三日の引揚者のうち草加敬助という人は、ナホトカから帰るときに向うのアクチーヴの会合があつた。そして今参議院なり衆議院において、カラカンダにおけるソ連将校が言われたあの問題が起きておるから、帰つたらみんなでそれのもみ消し運動をやらなければならないということがきめられたということを言つておる。その後共産党がいろいろとこの問題のもみ消しのために活動されておるということを聞いております。共産党としては、徳田要請真実でなければ、真実でないことを確めることに努力すべきだと私は思うのであります。あなたは今日、そういう事実はないとおつしやる。しかしいろんな封書なりあるいは赤十字のはがきなり、それが事務局かあるいは秘書か、どこかしりませんが、あなたの名前でもつて向うに送られたという事実だけは認めていらつしやる。そうするとソビエトの政治将校がそういうものを取上げて、日本共産党徳田書記長はこういうことを期待しておるぞ——要請でも期待でもけつこうですが、そういうことのために引揚者が一箇所でもあるいは半年でも、民主主義者としての、共産主義者としての教育が行われたということであれば、それは秘書がやつた、あるいは事務局がやつたといいながら、あなた自身としても相当な責任をお感じにならなければならないと思いますが、そのお考えをお聞きしたいのであります。
  598. 徳田球一

    徳田証人 そういうことは私の責任ではないと思います。私が手紙を出したというのは、向うからいろいろのことを言うて来たことに対して、それと話をしただけのことです。ですからそれが要請となるはずはありません。手紙のやりとりというものは、お互いに自分の気持やいろんなものを書いてやるだけのことであります。いやしくも要請といえば、それはソビエト同盟政府に対しての問題であります。單なる俘虜との手紙のやりとりが要請になるというりくつはないと思います。それがいかなる経過をとりましようと、そういうことはあり得ないと思います。私はこの問題についての証言の全体を聞いておりませんけれども、私の出しておる手紙内容が非常におかしい。それから手紙を收容所あてに出しているといいますけれども、收容所あてには出せません。御承知通りすべて赤十字から来ますものは、往復はがきでありまして、こちらはロシヤ語は書けませんから、向うからちやんとここに出してくれといつてロシヤ語は書いてある。それを出すのですから、收容所あてということはあり得ない。そういうことからしまして、こういうことに対して私の責任を感ずべき何ものもないと考える次第であります。
  599. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 これは見解の相違になりますから質問はいたしません。いやしくも日本共産党徳田書記長名前をもちまして、手紙なり通信なりがあつたということは事実でありまするし、また徳田書記長もそれを認めているのであつて、われわれはもしそういう名前をもつて、しかも秘書である者が出したとするならば、その責任は、われわれならばとらなくてはならぬ、こう考えているのであります。同時にまた今までの証人の中には、それはアクチーヴであつた人もありましよう。あるいは反動と言われた人もありましよう。しかし多数の証人宣誓をして証言をして、期待であるか、要請であるかはわかりませんが、第九分所において、ソ連将校よりそういう話があつたという事実だけは、われわれは今否定することはできませんから、そのことも事実として考えて、とりあえず私の質問を終ります。
  600. 横田甚太郎

    ○横田委員 尋問も長時間にわたつております。大体五つのことを一回に質問いたします。  第一は、事務局論議であります。二つ目は、日の丸梯団のことであります。しかも三百七十四名の署名云々の問題であります。三番目は菅証言問題、四番目は三十七万未帰還の問題、五番目が共産党の引揚げ妨害の問題であります。これはみな国会の速記録並びに公的資料によつてやりますから……。  第一に尋ねたいのは、徳田書記長参議院におきまして、事務局論議を五回やつておられます。これ以外にあるかないか。それによりますと「指令第三四七、昨年四日二日、日本共産党中央委員会事務局より出されました文書の中に「新らしく帰還する者は昨年度の帰還者より更に積極化しており、その大部分の者は直ちに党組織に参加して闘うことを決意して帰るのである」傍線が引つ張つてございますが、この点はどのような意味であるか、証人にお伺いいたしたいのであります。」これを岡元義人委員長言つているのであります。それから書記長はこれに対しまして「これは事務局から出したのですから私は知りません。私は書記長でこの事務局のことは知らん。もつと大きいことならば知つておる。」次に「先程徳田証人事務局のやつたことであるから、そうした小さなことは……」という質問に対して、証人徳田氏は「それは事務局がどういうつもりで書いたかは、事務局に聽きなさい。私は政治的責任を負います。これが政治問題になるならば、私は政治的責任を負う。」それから次が「大体あなたは事務局であれしたと言うけれども、私は事務局であれを出したということは私は見ていません。覚えてもおりません」こういうことを言つておる。それから西村委員は、ばんばん疊みかけるし、参議院のときもそうであつたのでありますが、あたかも事務局があつたように印象づけるような質疑応答になつておつたので、ここではたして事務局があつたかなかつたということが一点です。  それから三百七十四名の署名云々ですが、三百七十四名の人たちが徳田要請があつたということを聞いて、ここへ来られて全部が証言されたのではないということ。しかもここにおいて遺憾なことは、たしかここに図が張つてあつたときに、質問者の一人として、峯田氏という人があつたのです。証人にも峯田という人も来られていた。梨木君のごときは、質問された峯田君がその人であつたような質問をしている自由党の人に、確められたような現状だつたのです。そのために来ておる人は三百七十四名ではなしに、小笠原、山森、日高、橋本、相原、菅、この六人しか来ておらない。ところが六人がいつの間にか三百七十四名がすべてここで証言したように引きずつて行くところの條件のもとにおいて、証言を聞いている。  それから菅証人のことでありますが……。
  601. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人にそんなことを聞いたつてしようがない。
  602. 横田甚太郎

    ○横田委員 菅証人を尋問したときは、こういうふうな條件のもとにおいて、もつと遺憾な状態において尋問をやつている。菅証人は「何時諸君が帰れるか、夫は諸君自身に懸つている。諸君が此処で良心的に労働し真正の民主主義者になる時、その時諸君は帰れるのである。日本共産党徳田書記長は……」ここで日本共産党書記長徳田日本共産党徳田書記長にかわつたとかで少し議論があつた。「期待している。諸君が良く準備された民主主義者として帰国する様に、反動分子としてでなく。」こういうふうな証言をして菅君は死んでいる。その死んでいる人の言葉がさらに発展している……。
  603. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 待ちたまえ。徳田証人に尋問するのに、それは徳田証人は何も経験したことじやない。どういうことを聞くのか。
  604. 横田甚太郎

    ○横田委員 われわれはそれを材料にしてどんどん聞いて行くのだ。ところがこれによると、われわれはいつ帰れるかという質問があつたときに……。(発言する者多く、聽取不能)十一月までに日本人捕虜全部を帰還させる……(発言する者多く聽取不能)反動には適用されないというのは、日本共産党書記長徳田球一より党の名において、思想教育を徹底し、共産主義者にあらざれば帰国せしめないようにという要請があつたからだというように出版物は発展している。そうするとしばらく日がたつて来ると、あなたかも徳田書記長がこう言つたごとく、菅君が証言したように印象づけている……。
  605. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは委員会に対する君の意見であるようだが、証人に対する尋問とは思われません。そんなものは認められない。
  606. 徳田球一

    徳田証人 証人は疲れていますから……。
  607. 横田甚太郎

    ○横田委員 それから三十七万帰らないと規定してかかつているが、三十七万帰つていないという証拠はどこにあるか、どこにそういう資料があるか、政府はただの一回もそれを出していないじやないか……。
  608. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 横田君、君の質問は証人に対する質問と認められない。よしたまえ。かえつて時間を食うだけです。  ほかに質問はありませんか。証人も疲れておられるようですから、早く切上げたい。
  609. 田渕光一

    ○田渕委員 一九四九年の五月五日に、日本共産党中央委員会書記長徳田球一名前で、全ソ連共産党中央委員会要請したとおつしやいましたが、その大体の要請内容日本人を帰せという意味だつたと思いますが、大体どんな文面であつたかということをお伺いしたいと思います。
  610. 徳田球一

    徳田証人 一年もたつていますから、全文はなかなか……。あなたも一年もたつたら全文はなかなか覚えておられないと思います。
  611. 田渕光一

    ○田渕委員 私は徳田書記長が少くとも全ソ中央委員会要請されたのは、在ソ日本人捕虜を帰していただきたいという御観念から出されたものだと思います。そういう重大なことをただ日本人を帰せといつたようなくらいのことで、一年の間に記憶がないというのは、不熱心じやないかと思います。
  612. 徳田球一

    徳田証人 それならば言いましよう。それはこういうことです。日本人はこの引揚げ問題に非常に関心を持つている。みな衷心から帰つてもらうように希望しているんだから、だから早くひとつ帰してもらいたいという内容です。
  613. 田渕光一

    ○田渕委員 わかりました。あと継続して休憩後にいたします。
  614. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証人も疲れているようですから、なるべくひとつ簡單に切り上げましよう。
  615. 田渕光一

    ○田渕委員 それではもう一点伺います。少くともこの要請というものをされたのが、全ソ共産党中央委員会から政治部へまわり、あるいはソ連政府にまわらなければ実施されないのであります。日本共産党としてのこの決議が、全ソ共産党中央委員会から政治部へまわるものでありますかどうかを、およそ想像されて出されたのでありますか、どうですか。
  616. 徳田球一

    徳田証人 これは中央委員会要請いたしますれば、中央委員会の意思の決定は政府に通ぜられますから、だからしてそれは政府がその要請に対しては、考慮を拂うでありましよう。
  617. 田渕光一

    ○田渕委員 そこで私は三月十八日の参議院における菅証言、また四月五日の当委員会における菅証言を思い出したいのであります。ところが日本共産党中央委員会書記長徳田球一として要請したとおつしやつています。それが全ソ共産党中央委員会要請が受付けられ、それが政府へ行つて政治部の将校へまわつて来ておりますから、政治部の将校は徳田球一君からこういうぐあいに要請が来ておりますということを当然言うたものと思うのであります。一九四九年九月十五日のエルマーラエフ政治部将校が、徳田球一君がこういうことを言つて来ている。これをはつきり三月十八日菅証人言つております。徳田ナデーエツアはこれは期待だと言つております。この期待と要請を私は論ずるのではありませんけれども、少くとも菅証人は私の質問に対して、期待と訳すのが普通で、要請と訳すのはきついようでありますと言つて、翌日なくなられておるのであります。ところが日本共産党要請が全ソ共産党中央委員会要請を受付けられて、それがソ連の政府まで行つて、それが政治部将校を通じてカラカンダでやられたものと私は思うのであります。この点に関して私は、あなたは要請ということがあつたとかなかつたとか言われますが、大体こういうような要請をしたのだということがよくわかりました。それであなたは概略の記憶を想像されて、あるいは思い起されて言われたのでありましようが、そのうちに、完全な真正な民主主義者となつて帰れというようなことはおつしやらなかつたでしようか。
  618. 徳田球一

    徳田証人 そんなことは絶対にありません。それはもし御必要がありますれば、アカハタのその記事をこつちへ証拠物として提出をいたします。しかしながらすでにあなた方は見ていらつしやるだろうと思うから……。あなた方はそれを見てください。大した問題じやないんだから……。
  619. 佐々木秀世

    ○佐々木(秀)委員 証人も病後でもあり、大分お疲れでもあるようでございますから、本日はこの程度にして、もし必要でもあれば後刻相談して喚問するということにいたして、本日はこれにて切り上げていただきたい。
  620. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ただいまの佐々木君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  621. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なしと認めまして、本日はこれにて散会いたします。     午後五時五十三分散会