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1950-02-13 第7回国会 衆議院 考査特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月十三日(月曜日)     午後一時五十二分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 大橋 武夫君 理事 吉武 惠市君    理事 猪俣 浩三君 理事 小松 勇次君    理事 横田甚太郎君 理事 石田 一松君       安部 俊吾君    岡延右エ門君       菅家 喜六君    塚原 俊郎君       福井  勇君    福田  一君       小林  進君    浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (東京石炭協         会事務局長)  井上  榮君         証     人         (神奈川県石炭         協会専務理事) 今井  薫君         証     人         (元配炭公団東         京配炭局長)  松田 三郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  証人出頭要求に関する件  公団をめぐる不正事件配炭公団関係)     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。明後十五日、元配炭公団総務局長村田裕四郎君に証人として出頭を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう決しました。なお先日延期いたしました馬屋原証人もその際出頭を求めることといたします。     —————————————
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは前回に引続き配炭公団をめぐる不正事件につき調査を進めます。さつそく証人より証言を求めることにいたします。  ただいまお見えになつております証人井上榮さん、今井薫さんですな。  これより配炭公団をめぐる不正事件について証言を求めることになりますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相つております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祈祷の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりましてそれ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることになつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  井上さん、ひとつ代表して読んでください。     〔証人井上榮君各証人を代表して朗読〕   宣誓書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印願います。     〔各証人宣誓書署名捺印
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証言を求める順序は、井上さん、それから今井さんといたしますから、今井さんはもう一度元の控室でしばらくお待ちください。  井上榮さんですな。
  7. 井上榮

    井上証人 そうでございます。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは東京石炭協会事務局長をしておいでのようですが、いつからおやりですか。
  9. 井上榮

    井上証人 昭和二十四年十二月十五日からでございます。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前に何をおやりでしたか。
  11. 井上榮

    井上証人 それまでは東京港運から出向しまして昭和二十年の八月から石炭協会に入りまして、業務部長ということでやりました。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから事務局長になつたのですね。
  13. 井上榮

    井上証人 さようでございます。二十四年十二月の十五日に……
  14. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前は東京港運の何をやつておられた。
  15. 井上榮

    井上証人 以前は東京港運の石炭部におりました。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十年八月一日にどこの業務部長ですか、石炭協会のですか。
  17. 井上榮

    井上証人 そうでございます。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは公団のできる前からずつとそのままであるのですか。
  19. 井上榮

    井上証人 石炭協会公団のできる前からありました。昭和十八年の六月二十五日に石炭協会というものができました。それで戰争が熾烈になりまして以前の石炭協会が業態を続けて行くことができなくなりまして、東京港運の当時常務をしておられた服部繁さんがあとを引継ぎまして、会長になられました。それから二、三の人間石炭協会を継続して行くことになりました。その以前は、明治三十三年ですかに石炭同業組合というものができまして、石炭同業組合の一事業として收集をやつておりました。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつ石炭協会になりましたか。
  21. 井上榮

    井上証人 石炭協会になりましたのは、昭和十八年六月二十六日に設立許可になりました。重要物産同業組合法というのが明治三十三年三月七日にできましたので、東京石炭同業組合というものが、その組合法によつて石炭收集業を営んでおつたのであります。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう目的でそれはできたものですか。
  23. 井上榮

    井上証人 荷役のはしけに石炭を積んで運搬しまして、運搬した残りのものが必ず多少ずつ集まりますので、それを各荷主々々に復元するために、その石炭の収集を組合としてすることになりました。それで収集したものを入札によつていたしておつたということを聞いておりました。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 復元するというのは、荷主所有物だから荷主にもどす、こういう意味ですね。
  25. 井上榮

    井上証人 はあ、それを入札によつて收集するのは、收集費がかかるものでございますから……
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでまた一ぺんもどしたやつを、あなたの方から入札で買うのですか。
  27. 井上榮

    井上証人 そうでございます。私の方が收集したものを、石炭業者入札で買いもとしていたわけなんです。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは復元であるが、收集するのに金がいるから、やはり手数料をもらうのじやないか。
  29. 井上榮

    井上証人 手数料ではなく、そのときの相場によつて入札でみなやつていたように聞いております。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 買つてもらうのですか。
  31. 井上榮

    井上証人 はあ。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは復元じやない、売るのだ。
  33. 井上榮

    井上証人 ええ、復元じやありません。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 監督官庁はあるのですか。
  35. 井上榮

    井上証人 はあ。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこの監督に属しておりましたか。
  37. 井上榮

    井上証人 現在は東京都でございます。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 都の何ですか。
  39. 井上榮

  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今のあなたのおつしやつた船に残る石炭というのは、俗に荷後炭と言つているのですね。
  41. 井上榮

    井上証人 そうでございます。
  42. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か荷後炭統制に関する通牒がありましたか。
  43. 井上榮

    井上証人 どこからでございますか。
  44. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはやはり監督官庁か何かではないかね。
  45. 井上榮

    井上証人 以前の協会の時代のときに、燃料局からございました。
  46. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう通牒がありましたか、覚えておりませんか。
  47. 井上榮

    井上証人 司法省から、再確認の配炭公団がもらつたものの写しを持つて参りました。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今私の聞いているのはこれです。こんなものがあつたのでしよう。
  49. 井上榮

    井上証人 ございます。
  50. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 司法省というのはどうなのですか。
  51. 井上榮

    井上証人 司法省というのは「荷後炭に関する法的疑義解明依頼の件」です。
  52. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから聞きましよう。それは統制に関する通牒のようだが、大体どういうことなのですか。
  53. 井上榮

    井上証人 読ませていただいてよろしうございますか。  荷後炭統制に関する地方長官宛燃料局長官通牒十六年十二月九日付荷炭取扱要綱  一、荷後炭(石炭荷役の際船内及船舶外に残留せる石炭)の取扱に付いては法令の定める場合を除くの外本要綱に依ること  二、荷後炭の取扱を合理的ならしむると共に之が統制を行う為石炭生産業及指定仲買団体を以て統制団体を結成すること  三、荷後炭は統制団体に於て蒐集し之を販売すること右の蒐集作業は道府県に於て指定したる者以外の者には之を行はしめざる様措置すること  四、統制団体は其の定款中に団体員たる生産業者及指定仲買団体は荷後炭を統制団体に譲渡する旨規定すると共に生産業者団体員に非ざるものに荷送する場合に於ては右と同様の旨両者に於て契約せしむること  五、統制団体は其の蒐集せる石炭を総て指定仲買団体販売すること  六 統制団体の荷後炭の販売公定価格(大口)の二円乃至二円五十銭引とすること。
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこに書いてある指定団体というのは——東京都における指定団体はあなたのところだつたのですか。そういうことなんでしよう。
  55. 井上榮

    井上証人 はあ。
  56. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京都における指定統制団体が、あなたの東京石炭協会だと聞いてよろしいのですね。
  57. 井上榮

    井上証人 指定仲買団体というのは、当時東京石炭株式会社じやなかつたかと思うのでございますけれども……
  58. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのところでこれを集めて、そうして売るんでしよう。
  59. 井上榮

    井上証人 はあ。売るんですけれども、統制品でありますから、私の方でじかに需要家に売ることはできませんで、その当時はたしか東京石炭株式会社統制団体でありますから、そこへ売つていたのだろうと思います。実はこの当時私たちよく存じなかつたことなのですからはなはだ……
  60. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それが今公団なつたわけですね。
  61. 井上榮

    井上証人 それが関東石炭販売株式会社から配炭公団に集約された。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからあなたが今言われた司法省の方の書類には、どういうことが書いてあるのですか。要領はわからぬですか。
  63. 井上榮

    井上証人 荷後炭取扱い要綱というのがありますから……
  64. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷後炭取扱いに関する照会の件ですか。どんなことかわかりませんか。
  65. 井上榮

    井上証人 荷後炭が法的に協会のものであるかないかということの疑義をただしていただいた書類だと思います。
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでどうなつた。
  67. 井上榮

    井上証人 それでこの所有権石炭協会のものであるということが、それにはでていると思いましたけれども……
  68. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 協会のものだと言うのか。
  69. 井上榮

    井上証人 はあ。
  70. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうじやないだろう。
  71. 井上榮

    井上証人 そういうふうに……
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではこちらで読んでみましようか。  一、所謂荷後炭は無主物と解すべきものではない。それが何人の所有に属するかは個々の取引内容に従つて決せらるべきものである。これを隔地者間における典型的な契約について考察するに   (1)先づ石炭売渡に関する契約積出港における船乗渡である場合には積出港における荷後炭は売主所有に属し、陸揚港における積卸の際の荷後炭は買主所有に属するものと云わねばならない。   (2) 石炭売渡に関する契約陸揚港における船側渡である場合には積出港における荷後炭はもとより陸揚港における積卸の際の荷後炭も売主所有に属するものと云わねばならない。  これは理論上そうだと思う。買主所有に属するか、売主所有に属するかで、協会所有に属しないということです。    尤も一旦買主に引渡した後において、更にこれを移動せしめたことによつて生じた陸揚港における荷後炭は買主所有に属することは勿論である。  右に掲げた以外の方法による取引の場合も大体右に準じて理解すべきものと考える。海岸にある炭礦において、石炭水洗作業中に流出した石炭無主物ではなく炭礦所有に属するものである。  二、荷後炭に関する明治四十四年十一月二十四日行政裁判所判例は今日においてもこれを維持すべきものと考える。  三、石炭について所権を有する炭礦業者石炭商等会員とする石炭協会が、会員から荷後炭の所有権を譲受けたことが事実であるとすれば本来会員の属すべき荷後炭の所有権右譲受後において石炭協会に属するものと云わねばならない。尤も配炭公団の設立された後においては積出港における荷送人は配炭公団であり従つて荷後炭は必ずしも石炭協会所有に属するものとは云えないから配炭公団石炭協会との間に荷後炭の帰属についての正確なる法律関係の設定を必要とするものと解する。  四、配炭公団石炭等売渡規則により石炭買取業務を有するものであるから荷後炭の所有権帰属が不明であつても、これを買取ることは特に惡意を有しない限り差支ないものと解する。  こういうのだ。これは協会公団とのとりきめでやることはさしつかえないけれども、荷送人が公団である以上は公団所有だ、こういうことなんですよ。そこであなたがさつき言われる復元ということになつて来るわけだ。だからそうなると、この買い取るということがすでにおかしい。
  73. 井上榮

    井上証人 買い取りであつて收集料として……
  74. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団の方の所有物をあなたの方で集めてやつたのつたら……
  75. 井上榮

    井上証人 それを收集料としていただいておることになつております。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 收集料ならいい。それを入札によつて売買すると言うから……
  77. 井上榮

    井上証人 それは以前組合自体はそういうことでありまして、それから現在も、配炭公団がなくなつてからは入札收集料をもらつておるようになつております。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうでしよう、收集料でしよう。
  79. 井上榮

    井上証人 私の申し上げ方が惡かつたので相済みません。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ではあなたのその石炭協会のおもなるメンバーをちよつと言つていただきたい。
  81. 井上榮

    井上証人 配炭公団中のでございますか。現在のですか。
  82. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在でもいい。
  83. 井上榮

    井上証人 現在ですと、生産業者の方の学識経験者が十七名でございます。それからもう一つ販売業者の方の学識経験者が十七名、それから関係会社学識経験者の方々が十名、合計四十四名でございます。
  84. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会員は……
  85. 井上榮

    井上証人 はあ。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから会長とか、理事とかは。
  87. 井上榮

    井上証人 理事が全部で十五名でありますが、十五名のうち一人欠員になつておりまして十四名でございます。
  88. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在が……
  89. 井上榮

    井上証人 はあ。それから監事が三名。
  90. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会長はだれでした。
  91. 井上榮

  92. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつから。
  93. 井上榮

    井上証人 昭和二十一年の一月十七日からです。
  94. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 前の理事つたのだね。
  95. 井上榮

    井上証人 そうでございます。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前はだれでした。
  97. 井上榮

    井上証人 服部繁でございます。
  98. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十七日にやめたの。
  99. 井上榮

    井上証人 十七日にやめられました。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 死んだのはいつでした。
  101. 井上榮

    井上証人 一月の二十四日でございます。
  102. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから一週間目に死んだの。
  103. 井上榮

    井上証人 さようでございます。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その次は筆頭理事というのがあつたそうだね。
  105. 井上榮

    井上証人 筆頭理事はありませんでしたけれども……
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ああ、ただ理事筆頭であるだけか。だれです。
  107. 井上榮

    井上証人 古くからやつていただいておりますが、配炭公団東京支局長松田三郎さん。
  108. 鍛冶良作

  109. 井上榮

    井上証人 そうでございます。配炭公団支局長じやありません。それから支局長の郡さんもやはりやつていただきました。それから日本通運株式会社隅田川支店長伊東。それから東京配炭局次長大槻さんです。
  110. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これだけか。
  111. 井上榮

    井上証人 これだけが理事でございます。
  112. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だつて十四名というのだが……
  113. 井上榮

    井上証人 それは前の配炭公団中の理事でございます。
  114. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こちらは石炭協会のことを聞いている。
  115. 井上榮

    井上証人 現在のことでございましようか。現在は十四名でございますけれども……
  116. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 じやあまあよろしい。こつちの言うことを答えなければだめだよ。松田三郎というのは東京配炭局長つたんだね。
  117. 井上榮

    井上証人 そうでございます。
  118. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在は……
  119. 井上榮

    井上証人 現在も局長だと思つております
  120. 鍛冶良作

  121. 井上榮

    井上証人 そうでございます。
  122. 鍛冶良作

  123. 井上榮

    井上証人 昨年の三月まで理事つたと思います。
  124. 鍛冶良作

  125. 井上榮

    井上証人 さようでございます。
  126. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから郡は。
  127. 井上榮

  128. 鍛冶良作

  129. 井上榮

    井上証人 はあ、監事でございます。
  130. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 監事か。理事じやないのか。
  131. 井上榮

    井上証人 さようでございます。
  132. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これも配炭局の……
  133. 井上榮

    井上証人 業務部長でございます。
  134. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 総務部長だろう。
  135. 井上榮

    井上証人 渡辺さんでございましよう。業務部長です。
  136. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから三宅正、これは。
  137. 井上榮

  138. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから大槻何と言うんだ。
  139. 井上榮

  140. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 男か女か。
  141. 井上榮

    井上証人 男でございます。
  142. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは。男で子というの……
  143. 井上榮

    井上証人 はい。この方が、小林さんがよされてから大槻さんがなられました。
  144. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは公団の何だつたの
  145. 井上榮

    井上証人 大槻さんでございますか。次長でございます。
  146. 鍛冶良作

  147. 井上榮

    井上証人 配炭局次長です。
  148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 えらいもんだな。そうすると、ほとんど配炭公団の現幹部があなたの方の理事監事になつているわけですね。
  149. 井上榮

    井上証人 はい。
  150. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今言つたように、それでは荷後炭というものの所有権は、元来は公団のものを、取扱うとすれば公団のものであるが、收集料としてもらつておるわけですか。
  151. 井上榮

    井上証人 はい。
  152. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが、その販売価格石炭公定価格と一緒じやないですか。
  153. 井上榮

    井上証人 公定価格よりも安かつたように記憶しております。
  154. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どれほど安かつた……
  155. 井上榮

    井上証人 大体一トンで二千円近く安かつたのじやないかと思いますけれども……
  156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では普通のは幾らです。
  157. 井上榮

    井上証人 私はマル公値段を知らないのでございますけれども、大体二千円ほど安いということを聞いております。
  158. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 石炭の原価をあなたは知らぬ……
  159. 井上榮

    井上証人 收集料の方はわかつておりますけれども……
  160. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほんとう石炭値段はわからぬ。
  161. 井上榮

    井上証人 はい。
  162. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 收集料幾らですか。
  163. 井上榮

    井上証人 一甲粉と言つているのでございますけれども、甲一号五級粉が二千四百円。それから二十四円の取引高税がついて、二千四百二十四円ということになつております。
  164. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはほんとう石炭値段を知らぬのか。
  165. 井上榮

    井上証人  はい。
  166. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうしてこの二千四百円という値段がついたんだ。
  167. 井上榮

    井上証人 それは物価庁でいつも公団とあれして値段をきめているものですから……
  168. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山元の買入れ値段……
  169. 井上榮

    井上証人 はい。
  170. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると同じものだそうだ。
  171. 井上榮

    井上証人 はあ、そういうふうに私も聞いておりましたけれども……
  172. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それならそう言わなければだめだ。山元買上げ値段と同じことだ。
  173. 井上榮

    井上証人 そのことだけ知つていても……
  174. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それならそう言うたらいい。そういうものはあなたの方と公団とで協議の上、これくらいにしたいものだといつて、そうして物価庁許可を得るのですか。
  175. 井上榮

    井上証人 大体荷後炭をきめるときは、分析して何級ということがきまつていると思つておりました。級がきまるものですから、私の方では値上げのことについてはお願いはしておりますけれども、別に私の方と公団と協議してこいうことではなくて、物価庁指示を仰いできめられたと思います。けれども……
  176. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だから指示を仰いできめるのだが、原案はあなたのところと公団とで、これぐらいはどうですと言うて持つて行つて、それで物価庁の方で承認を得るのでしよう。そうでないのですか。
  177. 井上榮

    井上証人 公団の方できめていただいたと記憶しております。
  178. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうして物価庁許可を得て……
  179. 井上榮

    井上証人 はい。
  180. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団ができてから、あなたの方から公団へ売つた数量はどれぐらいだかわかりませんか。
  181. 井上榮

    井上証人 約二万六千五百九十二トンと思つております。六分六厘となつておりますけれども……
  182. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その代金は……
  183. 井上榮

    井上証人 昭和二十二年の六月から昭和二十四年の九月の十五日までで五千百三十万九千九百三十八円九銭。
  184. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 配炭公団は去年の何月やめたのでしたか。
  185. 井上榮

    井上証人 九月の十五日。
  186. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これがやめることがわかつてから六、七、八、九の間にたいへんな荷後炭ができたそうだが、どうですか。二、三、四、五と六、七、八、九との比率はどれくらいのものが出ましたか。
  187. 井上榮

    井上証人 昭和二十四年の三月まで、東京運株式会社に大体下請させて仕事をしておりまして、四月になつてから東京港運が閉鎖機関仕事ができなくなつたものですから、人夫とか、あるいはもとの戰争前に收集していたところの收集業者許可を與えまして、それから急に数量が増加するようになりました。
  188. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいつそういうものをやりましたか。
  189. 井上榮

    井上証人 四月の一日から大体そういうことに……
  190. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、そういう下請業者が集めるようになつたら、急に荷後炭がふえて来たわけだね。
  191. 井上榮

    井上証人 はい。
  192. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうわけですか。
  193. 井上榮

    井上証人 今まで東京港運でやつておる時分は、收集箇所が大体八丁堀と千住と二箇所しかなかつたのですけれども、今度多くの人間にふやしたものですから、收集箇所がふえまして、一つには横流れや何かなくなつて、正常に收集されて来たためだと思つております。
  194. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 横流れがなくなれば、荷後炭が出るのか。
  195. 井上榮

    井上証人 荷後炭が横流れに多くなつておる……
  196. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今度は流れぬようになつた。
  197. 井上榮

    井上証人 はい。
  198. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それであなたの方にまわつて来るのが多くなつた。
  199. 井上榮

    井上証人 はい。それから八月の月に数字がふえたということは、一つには公団が廃止になりますので、今まで残炭とか貯炭がありましたのを全部出したということもございますね。貯炭場貯炭してあつたのが……
  200. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷後炭ですか。
  201. 井上榮

    井上証人 はい。それを公団の方へ納めたということで、数字上つてお出ることと思います。それからも一つには、常磐炭收集しておりましたのですけれども、低品位炭が、たしか六月ころだと思いますが、四千カロリー以下のものは自由販売になるということがありまして、四千三百か四千カロリーか、そこの点がまだはつきりしないでいまして、そのうちに荷物はどんどん貯炭になりますし、七月末決定しまして、四千三百カロリー以下のものが低品位自由販売ということになりました。それで私の方の收集した炭が、分析した結果四千三百以上ということで、一ぺんに公団の方へ、規格が通つたものですから納めたために、また数量もふえた。
  202. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、下請けにやらせるとすれば、あなたの協会というものは、ただ下請にやらせることを命ずるだけの仕事のものか。
  203. 井上榮

    井上証人 命ずるだけでなく、監督……
  204. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それだけですね。
  205. 井上榮

    井上証人 それから防犯とか、いろいろなそういつた設備でございますね、手前どもの方でつくつてつております……
  206. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを使わせる。
  207. 井上榮

    井上証人 はい。
  208. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それであなたの方で收集料というか、販売価格か知らぬが、そのうちどれだけとつておりました。
  209. 井上榮

    井上証人 九北物に対しては千五百円、それから千八百円というように……
  210. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 下請に二千四百円のうち千八百円拂つてつた
  211. 井上榮

    井上証人 そうでございます。千八百円拂つたものもありますし、千五百円のものもあります。
  212. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは時によつて違う。
  213. 井上榮

    井上証人 はい。
  214. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、八百円ないし六百円ずつあなたの方で頭はねしておつた
  215. 井上榮

    井上証人 はい。そのかわりに安いもので利潤のないものもある。
  216. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今あなた、防犯と言われたが、それから盗炭と言われたが、盗炭がずいぶん荷後炭になつて、あなたの方に流れて来るものだそうだね。
  217. 井上榮

    井上証人 そういうことはないと私は思つております。
  218. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんならそれはわからぬかしらんが、ずいぶん来るそうだ。それから下請業者にわけてやつてたくさん出たと、こういうのだが、東京港運時代もどうかしらぬが、たいていそこで取扱う船には二重底、三重底というものがあつたというのだが、それはどうしておるかい。
  219. 井上榮

    井上証人 二重底、三重底というものはないと思いますけれども……
  220. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ないと思うつて、あるかもしれないのか、どつちだ。
  221. 井上榮

    井上証人 ないと思つておりますが……
  222. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ないと思つておりますがというが、天下周知の事実のようだね。それはみな荷後炭であるのか、その底の中のは。間違いないですか、さようなことは……
  223. 井上榮

    井上証人 そういうことはないと思いますけれども……
  224. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それだから、たくさん出たのだ。二軍底で、下にあるものは全部荷後炭になるのだから、たくさん出るわけであるけれども、それよりも用捨のならぬことは、二重底三重底になると、ここにたまつておるのは、これは荷後炭が出るというだけならまだいいが、船一隻の石炭の量というものは何十トンとかときまつているそうだな。
  225. 井上榮

    井上証人 船々によりまして……
  226. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうだろう。そうするとこの船なら五十トンとか二十トンとかきまるのでしよう。
  227. 井上榮

    井上証人 はあ。
  228. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこの上のものだけやるのだから、五十トンやると言つても底にあるもの、下のものがおりて来ることになるのだ。
  229. 井上榮

    井上証人 しかし船によりまして、大体検定マークというものがついておりますから……
  230. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのマークがついておるから、そこの中に二重底、三重底とたまつておるから、いつでもこれは動かぬわけですから、この上のものだけが行くことになるのだから、これはたいへんなことになるのだ。
  231. 井上榮

    井上証人 たまにはそういつたような船はあるかもしれませんけれども、全部の船はそういつたことがないと……
  232. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たまでもそんなことがあつたらたいへんなことになる。そこでぼくは聞きたい。あなた方自分の商売だつたらそんなことを許すものはないのだ。さようなことがたまにでもあつたのだとするならば、どうしてそういうことを見のがすのだい。公団というものは官吏になつておるのだね。国家の役人ですね。そういうことがないために役人になつてつたはずなんだが、それがそういうことが公然行われるに至つては、あきれざるを得ないのだが……  さつき言われたほかにコークスも相当扱つておられるね。
  233. 井上榮

    井上証人 約三十トンばかりあります。
  234. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 代金は幾らぐらいでしよう。
  235. 井上榮

    井上証人 二十六万四千八百五十二円四十銭であります。
  236. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると五千百五十七万円ぐらいになつておりますね。
  237. 井上榮

    井上証人 ……
  238. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方の協会では非常に諸所へ寄付金が多く出ておるそうだが、どういうところへおもにしております。
  239. 井上榮

    井上証人 今まで出しておりましたところは、水上生活者の官民協会とか、あるいは水上民生館、水上小学校それから改善協会というようなところに出しております。
  240. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうところへ……
  241. 井上榮

    井上証人 はあ。
  242. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかどうだね。
  243. 井上榮

    井上証人 そのほかは東京港運の従業員組合
  244. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もつと聞きたいものがあるが、あなたは言わぬか。言わぬならこつちから言おうか。第一番は東京配炭局
  245. 井上榮

    井上証人 はあ。配炭局にも幾らかしております。
  246. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 はあじやない、それを言わなくつちや。第一番に言わなければならない。東京配炭局——公団ですね。
  247. 井上榮

    井上証人 はあ。
  248. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どれだけ寄付しておりますか。
  249. 井上榮

    井上証人 二十四年四月二十三日に配炭公団共済会東京支部に五万円寄付しました。それから二十二年十二月二十六日に配炭局従業員組合に二万円でございます。それから二十三年二月二十七日に同じく従業員組合に一万円でございます。二十二年十一月十四日に東京配炭局野球部に一万一千円寄付いたしております。配炭公団関係はこれだけだと思います。
  250. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはもつとも大口の方はそこらじやないですか。
  251. 井上榮

    井上証人 それだけであります。そのほかに配炭公団には寄付はしていないと思いますけれども……
  252. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは大口の方だろう。それから水上警察へずいぶん行つていますね。
  253. 井上榮

    井上証人 水上警察の官民協会に二十三年三月二十二日に一万円でございます。それから四月二十四日には水上警察の南千住派出所の建設に二万円寄付しております。それから七月十二日に官民協会に二万円寄付しております。それから十月六日にやはり水上の官民協会に一万円寄付しております。それから二月十日に官民協会に五千円寄付しております。それだけだと思いますけれども……
  254. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京港湾荷役改善協会、これは何ですか。
  255. 井上榮

    井上証人 東京都でやつておるのだと思いますけれども、人足やあるいは水上生活者とか、沖仲士、そういうような連中の病院や何かの施設を設けたもので、そこへよく寄付しております。
  256. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これが一番大きいじやないか。東京都の中にあるのですか。
  257. 井上榮

    井上証人 事務所は芝浦にございます。
  258. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 都の一つの機関だね。
  259. 井上榮

    井上証人 さようでございます。
  260. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十万円ずつ二度寄付しておりますね。
  261. 井上榮

    井上証人 はあ。
  262. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから蒐集業者親睦会というのは……
  263. 井上榮

    井上証人 これは石炭協会石炭收集しておる組合でございます。
  264. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こういうものがなかつたのを、二十四年になつて一ぺんに出て行つておるのですね。
  265. 井上榮

    井上証人 これは二十四年の五月ごろか六月ごろにできたと思つております。
  266. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 親睦会というのは何か一ぱい飲む会だろう。
  267. 井上榮

    井上証人 いえ、下請業者の集まりの会でございます。
  268. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か事業でもやつておるのですか。
  269. 井上榮

    井上証人 事業はやつておりませんけれども……
  270. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やつておらないのだつたら一ぱい飲む会だろう。
  271. 井上榮

    井上証人 そうばかりではないと思いますけれども……
  272. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それがどうも——二十四年十二月になつて二度に二十万円行つておりますね。たいへん気前のよいものだな。
  273. 井上榮

    井上証人 これは石炭協会が改組するときに二十万円寄付しております。業者としないで親睦会の方へ行つたのです。
  274. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた何でさつき聞いたときに、今聞いたところを言わぬか。寄付したつて言わぬのは、何か言うたら都合の惡いことでもあるのか。
  275. 井上榮

    井上証人 そんなことはございません。
  276. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 じや何で言わなかつた
  277. 井上榮

    井上証人 申し上げるのを落したのだと思います。
  278. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほど聞いたように、あなたの方の幹部のおもなるものは、配炭公団の現重役のようですが、どういうわけでそういう人を入れたのですか。
  279. 井上榮

    井上証人 荷主配炭公団なものですから、それで配炭公団に入つていただいたわけであります。
  280. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは都合がいいか知らぬが、りくつの上から考えると、売人も買人が一緒のものになつてしまつたら、値段をつけるのも配炭公団でつけられる。売人も買人も一つのものだから、値段も向うで都合のいいようにきめてやるというように聞えるが、その点はどうです。
  281. 井上榮

    井上証人 ……
  282. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一体公団の役人というものは、先ほど言つたように公務員ですね。そういう自分の関係した仕事理事などになれぬのじやないですか。
  283. 井上榮

    井上証人 それは人事院の方から許可をとつてやりました。
  284. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 許可をとるほどの必要性を聞きたい。
  285. 井上榮

    井上証人 この石炭協会というものは、今までもずつと関係者だけでやつてつたものでありますから、荷扱いの関係者だけてございますから、協会に入つていただいたのだと思つております。
  286. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これらの人に報酬は拂つておりますか。
  287. 井上榮

    井上証人 報酬は拂つておりません。
  288. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 報酬は拂わぬが、何か金が出ておりますね。
  289. 井上榮

    井上証人 盆暮れに二、三千円のものを品物で差上げておりました。
  290. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかに確かに出ておりませんか。
  291. 井上榮

    井上証人 出ておりません。
  292. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 退職手当を出したそうですね。
  293. 井上榮

    井上証人 社員はいただきました。
  294. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これらの役員には。
  295. 井上榮

    井上証人 まだ出しておりません。これは更正予算をまだ東京都の方に出しておりませんから、こういうふうにきめましたけれども、まだ出しておりません。
  296. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 役職員退職手当表というものが、二十四年十一月末現在で出ておるが……
  297. 井上榮

    井上証人 一回つくりましたけれども、まだ出しておりません。
  298. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 許可があれば出すのですか。
  299. 井上榮

    井上証人 これはもう一度新しいところの理事者の方々に御相談してきめたいということを申しておりました。
  300. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 松田三郎に十万円、小林勝助に二万円、前の理事会で決定したのですね。
  301. 井上榮

    井上証人 これは小委員会と理事会でこういうものをつくりましたけれども、まだ出しておりません。
  302. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 記念品贈呈内訳となつておるが、これは出たのではないですか。そのほかにまだあるね、松田三郎に二万円顧問料として……
  303. 井上榮

    井上証人 私の方は出しておりませんけれども……
  304. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 服部への十万円は出したのですか。
  305. 井上榮

    井上証人 まだ出しておりません。
  306. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 出すはずであつたが、こつちで調べ始めたから、やめたんじやないですか。それとも出たけれども、また元へもどして出さぬことにしたのじやないですか。
  307. 井上榮

    井上証人 そういうことはありません。
  308. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ある一説では、公団の役員の交際費の捻出先はこの協会だと言われておるが、そんなことはありませんか。
  309. 井上榮

    井上証人 絶対にありません。
  310. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ごちそうするようなこともなかつたですか。ほかの人を呼んで来てあなたの方で……
  311. 井上榮

    井上証人 そういうことはありません。
  312. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 絶対ないね。
  313. 井上榮

    井上証人 その点だけはありません。そういうことはかつてありません。
  314. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではそれはまあそう聞いておきましよう。服部会長は一月十七日にやめたというが、どういう事情でやめたのですか。
  315. 井上榮

    井上証人 やめまして常位顧問になられております。
  316. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何でやめたのですか。
  317. 井上榮

    井上証人 自分がそのいすにすわることは何ではないからというのでやめました。
  318. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほんとうの理由はどういうのか。
  319. 井上榮

    井上証人 会長のよされた理由は、東京港運の閉鎖機関で、詐欺横領の疑いで調べられたりなんかしたことがあつたものですから、それで自分はこの職から辞したいという意思表示をされておりました。
  320. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいつごろ調べられたんですか。
  321. 井上榮

    井上証人 去年の十月であります。
  322. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 調べられた結果は、どういうことになりましたか。
  323. 井上榮

    井上証人 まだきまりませんでした。
  324. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでやめて一週間後の二十四日に自殺せられたそうですね。
  325. 井上榮

    井上証人 はあ。
  326. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからさらに四日たつて奥さんも自殺したそうですね。
  327. 井上榮

    井上証人 そうです。
  328. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まことにお気の毒な話だが、それほど自殺しなければならぬ何か原因がありましたか。
  329. 井上榮

    井上証人 昨年の十二月の初めごろから大分神経衰弱が高じて来まして、悲観していたようでした。
  330. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京港運へ拂わなければならぬ百三十五万円を預かつてつてその東京港運が閉鎖機関に指定されたために、そのまま渡さずに協会に残つてつたそうですね。そしてそれが原因だといううわさがあるがそうですか。
  331. 井上榮

    井上証人 そうです。
  332. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この百三十五万円も、服部一人が着服したのではなくて、いろいろの名義でみた役員の方へ渡つたり交際費に使つた金だと言われておるそうだが、これはどうだね。
  333. 井上榮

    井上証人 そういうことはないと思います。
  334. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 服部一人で使つたか。
  335. 井上榮

    井上証人 はあ。
  336. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 百三十五万円ぐらいなら自殺もしまいが、さらにあと一千万円という説明のつかぬ金があると言われておるが。
  337. 井上榮

    井上証人 東京港運の方ですか。
  338. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 港運だろうが何だろうが……
  339. 井上榮

    井上証人 東京港運の閉鎖機関の一千万円横領の疑いで調べられました。
  340. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 百三十五万円のほかにかね。
  341. 井上榮

    井上証人 はあ。それで百三十三万九千六百何十円という金をやはり使われたものですから……
  342. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかに一千万円あるのでしよう。
  343. 井上榮

    井上証人 そうです。
  344. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどうなつたのですか。
  345. 井上榮

    井上証人 これは東京港運の方の金でございます。石炭協会の方の金は百三十三万円。
  346. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうか。東京港運に拂うべき金を自分で持つていて使つたのだが、それは全部港運の金じやないか。
  347. 井上榮

    井上証人 まあ、そうでございますね。東京港運の方の金を……
  348. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかの一千万円はどういうのかね。
  349. 井上榮

    井上証人 それは東京港運会社の金でございます。石炭協会の方とは関係がない金でございます。石炭協会と関係のある金は百三十三万円でございます。
  350. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが服部は一人で使つたのじやないそうじやないか。
  351. 井上榮

    井上証人 その点はどうも私にはわかりませんけれども、石炭協会に関係して使つたことはありませんが……
  352. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 使つたとすれば、石炭協会に関係のない金を使うのか。何かほかの仕事でもやつておりましたか。
  353. 井上榮

    井上証人 東京港運の生産担当者ですから。
  354. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それ以上あなたは知りませんか。
  355. 井上榮

    井上証人 知りません。
  356. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 知つてつて知らぬと言うても偽証罪になりますよ。
  357. 井上榮

    井上証人 そういうことはありません。
  358. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まあ、知らなければやむを得ぬでしよう。皆さん何かほかにありますか。
  359. 安部俊吾

    ○安部委員 私途中から入つて来たのですが、今委員長の質問を聞いていると、この石炭協会というのは、何か荷後炭の利益を公団の役員と幹部の人が占めようという意図で創立された団体ですね。一つのトンネル会社というわけじやないのですか。
  360. 井上榮

    井上証人 トンネル会社じやないと思つておりますけれども。
  361. 安部俊吾

    ○安部委員 それならば、どういうわけで公団の幹部と役員が、この石炭協会の幹部になつたのですか。
  362. 井上榮

    井上証人 それは関係会社の方から幹部になつていただいたものと思います。
  363. 安部俊吾

    ○安部委員 関係会社とは。
  364. 井上榮

    井上証人 荷物を扱いますところの……
  365. 安部俊吾

    ○安部委員 しかし公団のは役人であり、これは純然たる商人ですから、そういう関係は常識から考えれば許されてはならぬ。それをどういう法律かわからぬけれども、特に人事院の許可を得て、そういうような最も利益のある、やみ行為のできる、また公団と同一幹部ならばいろいろな便宜がある——ほかの者が公平にこういうことを取扱うよりも、そういう関係があればつまり二重人格であるから、一方においては公団の役員であり、一方においては協会の役員であるということで、他人に知らないいろいろな利益があつたということは想像できるわけですね。私らもそういうように考えるが、つまりそういう目的でこれを創設されたものでしよう。
  366. 井上榮

    井上証人 いいえ、公団の方々に役員になつていただいたということは、内部において不正のないように入つていただいたように思います。
  367. 安部俊吾

    ○安部委員 しかし不正のないようにというならば、特に第三者のこういうような希望者から、何らそういう方面に利益関係のない、公団の役人とは別個の公平な立場にある純然たる商売人をもつて組織すべきが当然だと思うが、一方においては役人であり、一方においては商売人である。しかも自分のかつてなことができるような組織になつておると思われますが、そうじやないですか。
  368. 井上榮

    井上証人 そういうふうにばかりわれわれは解釈しておりません。
  369. 安部俊吾

    ○安部委員 あなたは解釈しておらないかもしれないが、実際結果においてそうなつたのではありませんか。業者の船底に二重、三重のたながあつたということですが、そういうことがあつたのですか。先ほどの委員長のお話が明確を欠いておつたようですが……
  370. 井上榮

    井上証人 私はそういうものを見たことがないのですけれども……
  371. 安部俊吾

    ○安部委員 しかし、そういうことをあなたは事務局長として聞き及んだことはなかつたのですか。
  372. 井上榮

    井上証人 そういうことのないように、常にはしけ業者に注意しておりました。
  373. 安部俊吾

    ○安部委員 そういうようなうわさを聞いたことはありませんか。ほかの人が大分知つておるのですが、あなたが知らぬというのはおかしい。
  374. 井上榮

    井上証人 あまりうわさは聞いたことがないのです。
  375. 安部俊吾

    ○安部委員 一ぺんぐらい聞いたことはありませんか。虚心坦懐にお話願いたいと思います。ものを隠す必要はない。裁判所じやないのですから、事実を糾明したいのですから……
  376. 井上榮

    井上証人 うわさには一、二回聞いたことがありますけれども……
  377. 安部俊吾

    ○安部委員 あなたは、協会事務局長として何か方法をとりましたか。あるかないか、それに対して何か調査しましたか。
  378. 井上榮

    井上証人 現場監督に調査させました。
  379. 安部俊吾

    ○安部委員 その結果、報告させましたか。
  380. 井上榮

    井上証人 そういうものはないということを聞いております。
  381. 安部俊吾

    ○安部委員 文書か何かで、そういう回答がありましたか。
  382. 井上榮

    井上証人 口頭でありました。
  383. 安部俊吾

    ○安部委員 それから、先ほど委員長からの質問で、六、七、八、九月に非常に急激に増加したということについて、あなたの答弁があいまいもことして了解できないのですが、單にやみに横流ししておつたのがなくなつたために、正規の公団に納めるようになつたのだというようなお話でありましたが、その通りでありますか。
  384. 井上榮

    井上証人 そうです。
  385. 安部俊吾

    ○安部委員 やみに流したのは、だれが流したのですか。
  386. 井上榮

    井上証人 やみ船がよく出まして、そういうものをなるたけないように、官庁や何かに言つておりましたけれども……
  387. 安部俊吾

    ○安部委員 やみ船というのは一体どこに属する船ですか。あなたの石炭協会に属する船ですか。
  388. 井上榮

    井上証人 いいえ、違います。
  389. 安部俊吾

    ○安部委員 あなたの協会に入つておる職員が関係ある船ですか。
  390. 井上榮

    井上証人 いいえ、違います。
  391. 安部俊吾

    ○安部委員 それでは、どういうふうにして手に入れるのですか。
  392. 井上榮

    井上証人 協会でもつて船頭手伝い料というものを一トン三百五十円拂つておりますけれども、やみ船や何か来ますと、七百円から千円ぐらい拂つておるということを聞いております。
  393. 安部俊吾

    ○安部委員 船頭が売るのですね。
  394. 井上榮

    井上証人 そういうことです。
  395. 安部俊吾

    ○安部委員 船頭が、荷後炭というものをあなたの方の協会によこさずに、直接売つて、その金は船頭のポケツトに入るわけですね。
  396. 井上榮

    井上証人 そうです。
  397. 安部俊吾

    ○安部委員 そういうようなことが六、七、八、九月非常に急減したというような点から見ますと、そのやみ流しは相当量に達したわけですね。あなたの方で計算しておよそどれほどに達したと思いますか。
  398. 井上榮

    井上証人 大体入荷トン数で、荷後炭の数字はふえたり減つたりすることかありますが……
  399. 安部俊吾

    ○安部委員 それがやみに流れるために、その前はあまり多くなかつたが、その後は多くなつた。やみに流れたためならば、やみに流れた量というのは相当の量に達しておるでしよう。
  400. 井上榮

    井上証人 やみに流れた量というのは想像がつきませんけれども、大体月に三、四百トンずつくらい流れたのではないかと思われます。
  401. 安部俊吾

    ○安部委員 それはあなたの方の関係でなくても、だれが監督するのですか。
  402. 井上榮

    井上証人 水上署だろうと思いますれども……
  403. 安部俊吾

    ○安部委員 水上警察署の方へ特に多額の寄付をしておるように印象づけられますが、そうじやないですか。
  404. 井上榮

    井上証人 官民協会の方は別になつておりますけれども、うちの前の服部会長が官民協会会長をしておりましてそれで官民協会の方へときどき寄付したように思われますけれども……
  405. 安部俊吾

    ○安部委員 官民協会とあなたの協会とは、どういう関係があるのですか。
  406. 井上榮

    井上証人 官民協会会員になつております。
  407. 安部俊吾

    ○安部委員 いろいろの団体が入つたものが官民協会ですね。
  408. 井上榮

    井上証人 そうです。
  409. 安部俊吾

    ○安部委員 それは公団と、あなたのような下請負をするような商売の人が組織したものが、官民協会ですね。
  410. 井上榮

    井上証人 公団は入つておるかどうか、わかりませんけれども、廻漕屋とか、荷役会社とか、そういつた連中が入つております。
  411. 安部俊吾

    ○安部委員 水上警察の関係について寄付したものは、官民協会の一メンバーとして寄付したのですね。
  412. 井上榮

    井上証人 そうです。
  413. 安部俊吾

    ○安部委員 大分寄付しておるのですが、大体一箇月平均どのくらい利益があつたのですか。石炭協会として荷後炭を取扱われて、帳面から見て、隠れたるものはないとしても、どれほどの利益があつたのですか。
  414. 井上榮

    井上証人 多い月と少い月とで別ですけれども、大体五十万見当じやないかと思いますけれども……
  415. 安部俊吾

    ○安部委員 そうして荷後炭を一箇月に何トンぐらい取扱つたのですか。
  416. 井上榮

    井上証人 七、八百トン平均になりはしないかと思います。もう少し少くなるかもしれません。六百トン平均かもしれません。
  417. 安部俊吾

    ○安部委員 トンあたり幾らの利益があるわけですか。
  418. 井上榮

    井上証人 トン当り七、八百円平均じやないかと思います。
  419. 安部俊吾

    ○安部委員 七、八百円で五十万円になりますか。——職員は何人ぐらいありましたか。委員長がお聞きになつたと思いますが、もう一ぺんお聞きしておきたい。
  420. 井上榮

    井上証人 職員は会長以下十三人であります。
  421. 安部俊吾

    ○安部委員 これは役職員ですね。
  422. 井上榮

    井上証人 会長は役員でありますけれども、以下十三人であります。
  423. 安部俊吾

    ○安部委員 以下というのは、会長のほかに副会長とか、あるいは常務……
  424. 井上榮

    井上証人 そういうものはありません。
  425. 安部俊吾

    ○安部委員 会長とあとは職員ですか。
  426. 井上榮

    井上証人 はい、以下十二名であります。
  427. 安部俊吾

    ○安部委員 そういう人の給料はどれほど拂つているのですか。
  428. 井上榮

    井上証人 月に二十五、六万と思つております。
  429. 安部俊吾

    ○安部委員 それは五十万円の利益の中から拂つておりますか、それとも給料を拂つたほかに、五十万円の純益があつたのですか。
  430. 井上榮

    井上証人 五十万円の中から拂つております。
  431. 安部俊吾

    ○安部委員 そうすると公団の職員があなたの方の協会の幹部になつているが、そういう人も給料を受けておりましたか。
  432. 井上榮

    井上証人 拂つておりません。
  433. 安部俊吾

    ○安部委員 十二名の中には公団の公吏も入つておるでしよう。
  434. 井上榮

    井上証人 入つておりません。公団の方々には何も拂つておりません。
  435. 安部俊吾

    ○安部委員 公団の人たちはどういうことをしたのですか。協会に一箇月に一ぺんぐらい来て顔を出しただけですか。あるいは一日に一回来たのですか。あるいは一日に三時間か四時間働くのですか。
  436. 井上榮

    井上証人 公団の方は理事会か総会のあるほかは、あまりお見えになりません。
  437. 安部俊吾

    ○安部委員 理事会や総会に来てどういうことをするのですか。発言をするのですか。
  438. 井上榮

    井上証人 はい。
  439. 安部俊吾

    ○安部委員 どういうことですか、たとえば計画ですか、あるいは公団が特別の恩典をこうむつて、あるいはさらに多くの方面、何か運送の方面とかいろいろな方面にできるだけ安い運賃を拂つて、多くの利益を得ようというような相談でしようね。
  440. 井上榮

    井上証人 そのときの事項々々によつて理事会とか総会を招集しておりましたですが……
  441. 安部俊吾

    ○安部委員 はつきりしないですね。今まで事務局長をしておいでになつたのだから、どういう発言をしたのか、わかるでしよう。
  442. 井上榮

    井上証人 今までの議事録や何かを持つて来ておりませんので……
  443. 安部俊吾

    ○安部委員 大体でよろしい。
  444. 井上榮

    井上証人 收集料の値上げのときとか、下拂いの値上げのときとか、職員の待遇改善など、そういうときに、みな理事会にかけてやつておりました。
  445. 安部俊吾

    ○安部委員 さつき聞き漏らしましたが、幹部は何名ぐらいおりますか。委員長が増田さんとか、小林さんとか言いましたね。そういう方は何人ぐらいありましたか。
  446. 井上榮

    井上証人 公団からは理事の方は局長次長支局長三人であります。
  447. 安部俊吾

    ○安部委員 三人の方は報酬をとらないのですか。
  448. 井上榮

    井上証人 そうであります。
  449. 安部俊吾

    ○安部委員 一体多忙な人がそういうような計画とか、公団の運営に関していろいろな会議に列席て、そうして発言する場合にはいろいろな準備をし、調査して来ただろうが、一銭の報酬も得ないというのは何かおかしいですな。給料としては報酬しなかつたけれども、どういう方面かでその金を得て——先ほど委員長への答えに、あなたは何か盆、暮れに二千円ほどの品物をやつたというのですが、どうもそれは私に納得が行きません。今日の場合、二千円ぐらいの品物とは何か知らぬが、そういうことはあり得べきことではない。そういう点が私は納得できないのですが、ボーナスとか何かの形式の上でもほかにあつたのではありませんか。
  450. 井上榮

    井上証人 そういうものは差上げておりません。
  451. 安部俊吾

    ○安部委員 それならば何かの利益があるのですか。商売に対して恩典に浴するのですか。物の価を差引いてやるとか何とか、何か利益がなくて、公団の職員が世人の誤解を受くるようなことまでやつて——石炭協会はトンネル会社のように見られてもしかたがないのだ。公団の幹部がそれになつていなければトンネル会社と言わぬけれども、そういう人が最高幹部になつておれば、やはりトンネル会社と人は思う。それに関係して一箇年に盆暮れ二回にわたつて二千円やそこらの物品をもらつて、それで満足しているようなことは私は今日においてあり得ないと思うのです。その点はどうですか。
  452. 井上榮

    井上証人 先ほども委員長からお話がありましたけれども、絶対に私の方としては金銭は差上げておりません。ただ盆暮れに二、三千円のものを差上げていただけでございます。
  453. 安部俊吾

    ○安部委員 あなたは事務局長として報酬は得ていたのですね。はなはだ失礼な話ですが、どれだけ……
  454. 井上榮

    井上証人 二万二千円くらいです。
  455. 安部俊吾

    ○安部委員 毎月ですね。
  456. 井上榮

    井上証人 はい。
  457. 安部俊吾

    ○安部委員 それから退職手当はどのくらいですか。
  458. 井上榮

    井上証人 私がいただきましたのは十八万円ばかりです。
  459. 安部俊吾

    ○安部委員 ほかの職員はどうですか。いろいろな人がこれほどはなくても、一万五千円の月給とか……
  460. 井上榮

    井上証人 私が一番古くからいたものですからそれだけいただいておりました。
  461. 安部俊吾

    ○安部委員 巷間伝うるところによれば、協会の人々は非常に金まわりがよくて、收入が多かつたというような話もあつたのでありますが、このおつしやつた以外に何か收入がありましたか。
  462. 井上榮

    井上証人 收入はありませんでした。
  463. 安部俊吾

    ○安部委員 一体寄付はどういうわけですか。これは委員長からもお話がありましたが、どういうわけで寄付したのですか。はつきり徹底しなかつたのですが。
  464. 井上榮

    井上証人 公団のですか。
  465. 安部俊吾

    ○安部委員 そうです。寄付がずいぶん多いですよ。まあ従業員組合に一万円とか二万円とか、あるいは配炭局の野球部とか、そんなものの一万円とかいうものはどうでもいいのですが、ほかの方面に二十五万円も寄付したとか、二度に二十五万円というのでしよう。これは下請会社とのいわゆる親睦会というのは、飲む会のように聞えるのだが、それに二十五万円出費したのは多くはないですか。
  466. 井上榮

    井上証人 これは退職手当の意味で出しましたけれども……
  467. 安部俊吾

    ○安部委員 解散するときにですね。
  468. 井上榮

    井上証人 そうです。
  469. 安部俊吾

    ○安部委員 解散するときにその剰余金は幾らぐらいあつたのですか。
  470. 井上榮

    井上証人 たしか二百五十万円見当だつたと思います。
  471. 安部俊吾

    ○安部委員 それをおのおの分配したようなわけになつておりますね。
  472. 井上榮

    井上証人 ……
  473. 安部俊吾

    ○安部委員 服部会長の交際費など、いろいろありましたか。
  474. 井上榮

    井上証人 はい。
  475. 安部俊吾

    ○安部委員 それは幾らぐらいでしたか。
  476. 井上榮

    井上証人 交際費というものは別に出しておりません。打合せ会費でときどき出しておりました。
  477. 安部俊吾

    ○安部委員 幾らぐらいですか。
  478. 井上榮

    井上証人 全額でありますか。
  479. 安部俊吾

    ○安部委員 そうです。
  480. 井上榮

    井上証人 公団の期間中は二十八箇月間ですから、その期間中に五十万円ぐらい出ておつたかと思います。
  481. 安部俊吾

    ○安部委員 もう少し出ておつたかもしれぬね。五十万円のしかもしれぬね。そうして服部会長というのは、この公団とはどういう関係がありますか。
  482. 井上榮

    井上証人 関係ございません。
  483. 安部俊吾

    ○安部委員 何の関係もないのですか。
  484. 井上榮

    井上証人 はあ。
  485. 安部俊吾

    ○安部委員 公団の幹部とか何かいろいろな私的関係、友人関係とかもいろいろな縁故とか……
  486. 井上榮

    井上証人 そういうことはありませんです。
  487. 安部俊吾

    ○安部委員 いろいろの打合せのために招待して、どこかで会合したこともあるのですな。その交際費によつて……
  488. 井上榮

    井上証人 公団の職員の方とは、そういうことはありません。
  489. 安部俊吾

    ○安部委員 絶対にないですか。
  490. 井上榮

    井上証人 はあ。会長自身の交際費としてお用いになりましたことはありましたけれども、公団の方々と会長と特別に会われたということはないと私は思つておりますけれども……
  491. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと聞くが、先ほどあなたは月どれだけ扱うと言つた、荷物を……
  492. 井上榮

    井上証人 トン数でございますか。七、八百トン……
  493. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなものできかぬようじやないか。
  494. 井上榮

    井上証人 平均しましてですね。
  495. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 千トンくらいじやないか。
  496. 井上榮

    井上証人 千トンになりますか。
  497. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 千トンまでにならぬかもしれないが、約千トンくらいになるのじやないですか。
  498. 井上榮

    井上証人 数字的のことはよく今記憶しておりませんが……
  499. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうして六百円ないし八百円をとるのだが、中をとつて七百円としても、月七十万はあるはずだが、六十万円以上は間違いなくあると思うが、あなたは先ほど五十万円と言つたが……
  500. 井上榮

    井上証人 私の言い違いだつたと思います。
  501. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それからあなたの方はちよいちよい改組するそうだな。一年か二年に一回ずつくらい……
  502. 井上榮

    井上証人 改組したことはありませんですけれども……
  503. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ない……
  504. 井上榮

    井上証人 はあ。
  505. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年の暮れもやつたのだろう。
  506. 井上榮

    井上証人 去年の暮れ初めてでございます。
  507. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 初めてか。
  508. 井上榮

    井上証人 はあ。
  509. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで今安部さんが聞かれたが、その余つた金は相当あつたでしよう。
  510. 井上榮

    井上証人 はあ。
  511. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十三人の人間で月七十万円からの金をもうけておつたのじや余つてしようがないはずだ。その金はみなどうしました。
  512. 井上榮

    井上証人 ほんとうに荷物が上つて何するようになつたのは、二十三年の暮れごろから荷物がたくさんあるようになりまして、それまでは微々たる数字でございましたから、あまり余剰金も出なかつたのでございます。
  513. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年はずいぶんできたでしよう。それはどうした……
  514. 井上榮

    井上証人 それで建物をつくりまして事務所を五百万円ばかりかけましてつくりましたし……
  515. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あとは……
  516. 井上榮

    井上証人 あとはあとは十月末で二百万円くらい余剰金があつたと思いますが……
  517. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この退職手当なんかをこうやつて出す案が出ておるが、しかし協会というものは現在もあるのでしよう。ただ名前をかえただけか。
  518. 井上榮

    井上証人 名前も同じ名前でございます。
  519. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじやその改組というのは何だ。
  520. 井上榮

    井上証人 今までは配炭団と、その関係会社の二、三でやつておりましたけれども、今度は多くの会員になりまして、形がかわつたものですから、改組ということで退職手当やなんかみなに出すようになりましたけれども……
  521. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 同じ仕事をしているものに何百万円の退職手当が出るということがわれわれはふしぎなのだ。それを聞いておる。それ以上なんでしよう。それからさつき聞いておると、横流しと言われるが、あなたの話を聞くと、横流しではなく、それはみなどろぼう炭じやないか。そういうのだろう。船頭が黙つてほかに持つて行つて売るといえば、どろぼうじやないか。横流しじやないじやないか。
  522. 井上榮

    井上証人 われわれの方では横流し横流しと言つておるのです。(笑声)
  523. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは驚くべきことなんだ。そこなんだ。そこが大事なところなんだ。旧来横流し炭というものの出るのは、荷後炭が根本だつたと言われておるのだが、あなたの方から相当なものが出たのでしよう。横流し炭と称して……
  524. 井上榮

    井上証人 私の方からそういうものを出しておりませんですけれども……
  525. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 君の手から出ぬかもしれぬが、君の協会取扱うものから出たことは間違いないでしよう。
  526. 井上榮

    井上証人 協会では絶対に出しませんですけれども……
  527. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどろぼうされたからか。
  528. 井上榮

    井上証人 協会は、正常にみな公団の方に收集したものを持つて行つておりますけれども……
  529. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それなのにどうしてそういうものが出るのか。あなたの言う横流しがどうして出るのだ。
  530. 井上榮

    井上証人 それは全然違う人間がやつているのです。
  531. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どろぼうして行くんだろう。
  532. 井上榮

    井上証人 はあ。
  533. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どろぼうして行くことになるのだが、そんなに月に何百トン——四百トンといつたか、そんなに簡單にどろぼうできるものかい。
  534. 井上榮

    井上証人 機帆船や何かでやつておりますから、相当できるのじやないかと思いますけれども……
  535. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もしそういうことがあるとすれば、あなた方は監督不行届きということになるのだ。どれだけ何したからというて、そんなに平気で、横流しがありましたといつて、どろぼうされているのだから、もしそうだつたら——そうじやないのじやないか。君らはそういうことを言うて、君らの方で横流ししておるのだろうが……
  536. 井上榮

    井上証人 われわれの方では絶対にそういうことはしませんけれども……
  537. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それだから警察へも寄付をたくさんせんならぬことになるのだ。そうでなかつたら困るだろう。そんな仕事はできないだろう。
  538. 井上榮

    井上証人 その点は絶対にありませんね。
  539. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まあ、それでいいよ。何かほかに——浦口君。
  540. 浦口鉄男

    ○浦口委員 横流れ炭のことは大体わかりましたが、こういうことがないかと思いまして、ちよつとお尋ねするのですが、公団に二千四百二十四円で一トンお渡しになつて、帳簿上はそういうことになつておりますが、現物は事実公団にお運びになるわけですか、どうですか。
  541. 井上榮

    井上証人 はあ。
  542. 浦口鉄男

    ○浦口委員 私が心配していることは、公団に渡すことは帳簿上はそうなつておりましても、協会の方で業者の方に直接お売りになる、こういうことが事実……
  543. 井上榮

    井上証人 協会ではやつておりません。
  544. 浦口鉄男

    ○浦口委員 絶対ありませんか。
  545. 井上榮

    井上証人 はあ。
  546. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それでは石炭協会は社団法人ですか。
  547. 井上榮

    井上証人 そうでございます。社団法人でございます。
  548. 浦口鉄男

    ○浦口委員 私規則を読んでいないのでありますが、剰余金の処理はどういうふうに規約ではなつておりますか。
  549. 井上榮

    井上証人 剰余金のたくさんできた場合でも、少くともみな繰越しております。それからたくさんできましたときには、寄付行為をしていたことはありましたけれども……
  550. 浦口鉄男

    ○浦口委員 事実收入が目立つて来たのは二十三年の終りごろからと、こういうふうにさつきお話があつたのですが、二十三年の一月ごろからでも、やはり一月は千トン、二月が七百トン、月に平均して六、七百トンお扱いになつているわけです。そうすると先ほどのように、一トンについて六百円ないし七百円の利潤があるとしますと、やはり月に……
  551. 井上榮

    井上証人 私の思い違いでございました。二十二年の暮れからいくらかふえるようになりまして、その前までは月に百五十トン平均くらいのものでした。二十二年を二十三年と思い違いしておりました。
  552. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それではわかりました、そこでお聞きしたいのは、社団法人というこの協会の性格からいいましても、やり場のないほどもうかるということは、どうもたいへんおかしいと思うのでありますが、しかもそれが寄付をするというくらいなことで、どうもわれわれちよつと納得が行かないのでありますが、実際下請会社に荷揚料として拂うのはトン千六百円ないし千八百円と、こういうお話がさつきありましたが、それを二千四百二十四円で公団に買取つてもらうわけですが、あまり値が開き過ぎるのであります。この規定はいつごろ公団とお話合いになつてきめられた価格ですか。
  553. 井上榮

    井上証人 値上りしたのが二十三年の暮れごろだつたと思いますけれども、その前はやはり値段が少いものですから、收入金もやはり少くなりまして、それで値上りが多くなつて幅が上つたものですから、協会の方の收入も多くなつたと思つております。
  554. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうしますと、その二十三年末に値上りする前は、下請け会社に拂う荷揚料と公団の買上料との差はどのくらいあつたのですか。
  555. 井上榮

    井上証人 三、四百円から五百円程度だつたと記憶しております。
  556. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それでもけつこう採算がとれていたと思うのでありますが、なぜそれを二十三年末にまた値上げをしなければならなかつたのですか。その値上げをするときには、先ほどのお話を聞いておりますと、公団の人やら理事の方がお集まりになつておきめになつたということですが、そのきめられたときの模様をちよつとお知らせ願いたいと思います。どういう理由でまたその幅を上げたかということを聞きたい。
  557. 井上榮

    井上証人 たしか二十三年か二十四年の春だつたと思いますけれども、値上りになりまして、手伝い料として上げたり何かすると、かえつて石炭の船は收入があるけれども、雑貨とか鋼材とかを積む船には收入がないから、あまり上げてはいけないというので、下の方にはあまり値を上げないでおりましたが、それでも協会の設備を全部戰災のときに焼いてしまつたし、また收集船とか貯炭場の設備とか、あるいは事務所がなくなつたものですから、事務所をつくるために、その方に余剰金をまわすようにして施設をつくつておりました。
  558. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そうしますと、結局下請会社の方はそれ以上上げなくても採算がとれるが……
  559. 井上榮

    井上証人 下請会社の方はその以前は千二百円拂つていましたのを、そのときに千五百円にいたしまして、数字的なことは私今記憶しておりませんけれども、たしかそのときに、二百円ぐらい以前よりも余分に利潤が上るようになつたのだと私は記憶しております。
  560. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それをきめた人は、どういう人が集まつてきめられたのですか。
  561. 井上榮

    井上証人 大体会長がきめておりました。
  562. 浦口鉄男

    ○浦口委員 会長一人で……
  563. 井上榮

    井上証人 はあ。
  564. 浦口鉄男

    ○浦口委員 わかりました。
  565. 小松勇次

    ○小松委員 簡單にお尋ねいたしますが、あなたの方の東京石炭協会というものは、設立の目的はどういうところにあつたのでしようか。この点を重ねてお尋ねしたいと思います。
  566. 井上榮

    井上証人 この石炭協会は、以前石炭同業組合でありましたのが、戰争によつて同業組合法が廃止されまして、昭和十八年の六月二十六日に石炭協会というものになりました。それで目的は輸送中における不正行為の防止というようなことでございます。それからまたそのほかに、以前公団なつたときには、この收集したものの收集料をいただいて、公団の方へその石炭を全部渡しておりました。
  567. 小松勇次

    ○小松委員 輸送中の不正行為を防止するということも仕事一つでありますが、その不正行為を防止するために、どういうお仕事をなさつておりましたか。
  568. 井上榮

    井上証人 大体が水の上のことなものですから、水上署に常に連絡をとりまして、船頭が間違いを起さないように、それから石炭を積んでおるところの回漕業者、それから石炭を積んだり揚げたりする沿岸の業者、こういう連中と常に会合しまして、船頭に注意を與え、あるいは人足に注意をして、きれいに荷物を揚げるようにといつたようなことをしておりました。
  569. 小松勇次

    ○小松委員 いろいろさようなお仕事もなさつたのでありましようけれども、それでもなおかつ荷後炭の横流しがあるというようなことは、不正行為の防止が徹底していなかつた一つだと私は思うのでありまして、はなはだ遺憾にたえないのであります。あなたの方のお仕事のおもなるものは、不正行為の防止というようなことはつけたりであつて、実際はこの荷後炭の始末をしてもうけるということが、あなたの方のお仕事のおもなるものではなかつたかと思いますが、さようでありますか。
  570. 井上榮

    井上証人 もうけるということはそんなにやらないつもりでおりました。
  571. 小松勇次

    ○小松委員 もうけるという言葉は不穏の言葉であつたならば、私は財団法人のあなたの方の協会に対して失礼でありますから取消しますけれども、事実はさように見られるように私は思うのであります。そうしてあなたの方のお仕事が、この荷後炭の始末をすることがおもなものであつたとするならば、この荷後炭の所有というものが、先ほど委員長がいろいろ朗読されました文書により、司法省の解釈等から伺いましても、公団のものであるということがわれわれに大体納得できるのであります。従つてこの荷後炭は公団所有である。しからばこの荷後炭を始末するのには、公団の許しがなかつたならばできないと思うのであります。それならばあなたの方で荷後炭を始末するのには、公団と何かの御契約がなくてはならないと思うのであります。そういう点はどういう内容になつておるか、その点を伺いたいのであります。
  572. 井上榮

    井上証人 はなはだ申訳ないことをしましたけれども、きよう契約書を持つて来ることを忘れました。契約書をとりかわしております。
  573. 小松勇次

    ○小松委員 契約書はあるのですか。
  574. 井上榮

    井上証人 はあ。
  575. 小松勇次

    ○小松委員 その契約書には、今のようにトン幾らというようなことが明らかになつておるわけですか。
  576. 井上榮

    井上証人 はあ。銘柄と品名と値段がちやんと書いてあります。
  577. 小松勇次

    ○小松委員 それから先ほど来いろいろ損益のお尋ねに対しまして、剰余金が二百五十万円ばかりおありになるというお話であつたのでありますが、これは私の聞き違いかもしれませんが、最終の決算の剰余金でありますかどうか、その点を伺いたい。
  578. 井上榮

    井上証人 十月の三十日ころだと私は思つておりましたけれども……
  579. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、なおお尋ねしたいのでありまするが、十月三十日の決算におけるあなたの方の総收入が幾ら、総支出がどのくらいになつておりますか
  580. 井上榮

    井上証人 はなはだ申訳ございませんけれども、今ちよつとわかりません。
  581. 小松勇次

    ○小松委員 わからなければやむを得ません。あなたの方ではこのたび荷後炭の始末が終つた関係か何か知りませんが、改組したとかいうお話がただいまあつたのであります。いろいろ社員の諸君その他にもお手当を差上げた。そうすると剰余金もあなたのおつしやる改組という言葉に従つて、適当にすでに処分されたのでありますか。
  582. 井上榮

    井上証人 社員だけが退職金をいだきました。
  583. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、役員の諸君には退職手当その他のものは支給いたして、ございませんか。
  584. 井上榮

    井上証人 ありません。
  585. 小松勇次

    ○小松委員 その手当等は二百五十万円の剰余金からお出しになつておりますか。
  586. 井上榮

    井上証人 そうであります。
  587. 小松勇次

    ○小松委員 私の方の調査したのを見ますと、いろいろ車馬賃とか慰労金とかいうのを支給してあるようでありますが、そういうことがありますか。
  588. 井上榮

    井上証人 役員の方々ですか。
  589. 小松勇次

    ○小松委員 はあ。
  590. 井上榮

    井上証人 東京石炭協会ではそういうのを出したことはありません。
  591. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、あなたの方の協会は、どういうものが費用のおもなものですか。
  592. 井上榮

    井上証人 費用のおもなものは、第一番に給料であります。
  593. 小松勇次

    ○小松委員 給料がどのくらいになりますか。
  594. 井上榮

    井上証人 日に約二十五万見当と思つております。
  595. 小松勇次

    ○小松委員 私が先ほど伺つた総支出がどれほどあろかということは、こういうことを少し分析してみたいと思つてつたのでありますが、なお聞くところによりますと、先ほどどなたかからお話もありましたが、あなたの方の費用の多くが公団の宴会などに非常に支出しておるというようなことにも伺つておるのですが、あなたないとかおつしやつていたのですが、ありやしませんか。
  596. 井上榮

    井上証人 公団の方々がお見えになつたというようなことはありません。
  597. 小松勇次

    ○小松委員 公団の方々がお見えにならなくても、公団の代拂いをしたようなこと、公団の方々との宴会費を出したこともなし、そういうこともないのですか。
  598. 井上榮

    井上証人 そういうことはありません。公団の方々が盆とか暮れとかにお見えになつて、忘年会とかということはやつたことがありますけれども……
  599. 小松勇次

    ○小松委員 それじやあるのですね。そうするとあなたのおつしやることは……
  600. 井上榮

    井上証人 私の思いますのは、公団の方がどなたか、協会以外の方をお連れになつて飲み食いするとか、あるいは代佛いするとか、そういうことがあつたのではないかというように私はお伺いしたものですから……
  601. 小松勇次

    ○小松委員 そういうこともありはしなかつたか。
  602. 井上榮

    井上証人 そういうことはありません。
  603. 小松勇次

    ○小松委員 まだそのほかにあなた方の方で、宴会費がなかなか多額に出ているようにわれわれの方では見ておるのですが、そういうことはなかつたか、その宴会費の中には公団の人と一緒に飲み食いした、そういう費用も入つてはいやしないか。
  604. 井上榮

    井上証人 二十二年の暮れ、二十三年の暮れですか春ですかに、皆さんをお呼びしたことはあるようです。
  605. 小松勇次

    ○小松委員 お呼びした方はどなたをお呼びしたのでありますか。
  606. 井上榮

    井上証人 荷後炭に関係ある方です。
  607. 小松勇次

    ○小松委員 荷後炭に関係ある方とは公団の方ですか。
  608. 井上榮

    井上証人 公団東京配炭局の荷後炭でいつもごやつかいになつている方。
  609. 小松勇次

    ○小松委員 公団の職員か役員ですね。
  610. 井上榮

    井上証人 職員です。
  611. 小松勇次

    ○小松委員 役員もあるですか。
  612. 井上榮

    井上証人 役員の方はもちろんおいでになつた。
  613. 小松勇次

    ○小松委員 やはり宴会費は相当出ておりますね。
  614. 井上榮

    井上証人 公団の方々に対する宴会費というものは、理事会と総会でございます。そういうものはあります。
  615. 小松勇次

    ○小松委員 どうです。あなたが宴会費と目されるものは年にどのくらいあります。
  616. 井上榮

    井上証人 年に会議費で出ておりますけれども……
  617. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会議費と交際費と合せてどのくらいになつているのか。
  618. 井上榮

    井上証人 年に六十万か七十万くらいでしよう。
  619. 小松勇次

    ○小松委員 年にですか、それは帳面上ですな。帳面の科目においてはそういうことになつている。実際の内容はどうかしらぬけれども、はなはだどうも失礼な言葉をあなたに申し上げるのですが、どうもそういう疑惑があるのです。今あなたに私がお伺いして、宴会費はないとおつしやつた。そしてまただんだんそういうことを……
  620. 井上榮

    井上証人 これはお言葉ですが、大体船頭だとか人足だとか、われわれの方で扱つているものは人夫と船頭なのでございます。それに毛の生えたような人間ばかりでありまして、そういうような連中と毎月一回ないし二回くらいは打合会をやつた。その席であとで酒を出すとか、食事をするとかいうことを主にしてやつておりますけれども、公団の方々が年中お見えになつて飲み食いされたとか、そういうようなことは、たまにはありますけれどもたまといいましても、年に二度や三回は何かの打合せのついでにお見えになつておりましたことはありますけれども、そのほかありません。
  621. 小松勇次

    ○小松委員 公団の方々に対しては、これは日本人の儀礼かもしれませんが、盆暮れには相当のお使い物はあなたの方でもやつてつたのでしような。そういうことはありませんか。
  622. 井上榮

    井上証人 そういうことはあまりありませんですけれども——あまりにも何にも二、三千円程度のものを差上げているだけであります。
  623. 小松勇次

    ○小松委員 それから先ほどあなたの方のいろいろ寄付のことについてお伺いされた方があつたのでありますが、この寄付は私の方で調べ書を見ますと、多額の寄付金の出ておるのは、石炭の何かはしけ料の検定のマークの施設費がたいへん多い額でありますが。
  624. 井上榮

    井上証人 東京ではそれは寄付に入つておりませんですが。
  625. 小松勇次

    ○小松委員 東京では寄付に入つておりませんか。
  626. 井上榮

    井上証人 はい。
  627. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方はこういうものの寄付はないですね。
  628. 井上榮

    井上証人 さようです。先ほど委員長に申し上げましたけれども、前会長が百三十三万三千何がしというものをお持ちになつてそれはやはり検定マークなど、東京港運へ支拂うべき……
  629. 小松勇次

    ○小松委員 寄付金という性質のものではないのですね。
  630. 井上榮

    井上証人 私の方は無償でやつているのですから……
  631. 小松勇次

    ○小松委員 この施設はどこがするのですか。
  632. 井上榮

    井上証人 施設は人夫屋に請負せております。
  633. 小松勇次

    ○小松委員 仕事はそうでしようけれども、その管理、維持はどこがやつておりますか。こういう施設物の管理維持は……
  634. 井上榮

    井上証人 東京でやつた場合は、東京港運でやりました。昨年でございますが……
  635. 小松勇次

    ○小松委員 あなたの方ではこういうものに絶対寄付はないのですね。
  636. 井上榮

    井上証人 私の方は帳面ではそういう寄付になつておりません。
  637. 小松勇次

    ○小松委員 こういう施設に対する費用は出しておりますか。
  638. 井上榮

    井上証人 ですから、先ほども申し上げましたように、百三十三万円……
  639. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団の人を呼んだことはないと言われたがあなたの方の役員間で、いろいろの交際の金は出ておるでしようね。
  640. 井上榮

    井上証人 役員では交際の金は出しておりません。
  641. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、会食したり何かすることがちよいちよいあるでしよう。協会の役員として……
  642. 井上榮

    井上証人 協会の役員として年に理事会とか総会のほかに、二、三度あつたかと思います。
  643. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 またお客さんでもあつたら、役員全体で接待するということもあるでしよう。
  644. 井上榮

    井上証人 それは何か特別の打合会もとか、防犯に対して警視庁の方々とか、あるいは東京港運の連中も出るというように、みんなで御協議願つたときのほかにはありませんけれども、そういうことはありました。
  645. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたが言う役員たるものは、公団の最高幹部だろう、だから公団の人が金を使つたかと言われるのです。それはなるほどあなたは公団じやない、協会だと言われるかもしれんけれども、あなたの言われる協会がすなわち公団の役員です。しかも最高幹部です。
  646. 井上榮

    井上証人 私の方は役員として御出席願つておるものでありますから……
  647. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからそれが公団じやないですか、それを言うのですよ、それをあなたが公団でないと言つても、公団でないことはない。第一東京配炭局長、配炭次長経理部長、それが公団でないと言つたつて通らぬですよ。まあそれだけわかればいいでしよう。  御質問ありませんか。
  648. 小林進

    小林(進)委員 個人尋問のようになりますけれども、荷後炭の所有権の問題は別にしまして、ただ毎月百五十トンないし二百トンであつたものが、公団がしまう間近になると、べらぼうに数量がふえたということついて、何か協会あるいは公団で特別に打たれた手がありましたら、ひとつお知らせ願いたいと思います。もつと具体的に言えば、所有権法律論なんかは別にしましても、ともかく百トンなら百トンで来た品物が、そのまま公団、いわゆる国家の財産として百トンで納められるのですから、その中に荷後炭が多く出るということは、それはだれが見てもそれだけ国家に損害を與えることは、三つ子の常識でもわかることであります。その常識をお持ちになるならば、今公団がしまうというときに、どんどんその荷後炭がふえることについて、一応国民の一人であるならば、少しぐらいはふしぎに思われて、何らかそれを防止する手を打つのが当然だと私は思います。そういうことをやられたかどうかをお聞きしたいのであります。
  649. 井上榮

    井上証人 七月の月にも大分出ましたものですから、八月の月に二回、八月の初めと八月の末にこの関係者、いわゆる何々株式会社とか何々荷役株式会社という方々をお呼びしまして、こういうふうにたくさんの数字が出たのではわれわれが迷惑するから、絶対こういうことのないように、もう少し嚴重に船頭に伝達をしてもらいたいし、また人足も丁寧に揚げるようにやつてもらいたいということをよくお願いしましたし、また公団もこれに対して強硬に文句も言つて来ております。
  650. 小林進

    小林(進)委員 それでは別の問題になりますが、あなたのお話によりますと、荷後石炭の買上げの価格の改訂を、二十三年度の末日ごろおやりになつたとおつしやいましたが、これは間違いありませんか。そのときに一回おやりになつただけでございますかどうか、お聞きいたします。
  651. 井上榮

    井上証人 いや、まだ何回かあつたと思います。二十二年にもあつたと記憶しております。
  652. 小林進

    小林(進)委員 そうすると、二十二年と二十三年……
  653. 井上榮

    井上証人 二十三年も二度ぐらいあつたのではないかと思います。
  654. 小林進

    小林(進)委員 二十四年はいかがでございますか。
  655. 井上榮

    井上証人 二十四年の春か、二十三年の暮れですか、一回あつたと思います。
  656. 小林進

    小林(進)委員 実はこれに対して、公団の総裁の御証言をあなたにひとつ申し上げますと、荷後石炭の改訂はしばしばやつた。それは値段を安くすると公団に出さないいわゆる協会の方へ出さないで、みなやみに流してしまう。そのやみを抑えるためには、どうしても値段を改訂してどんどん買つてやる必要があるということで、しばしば改訂をやつた。こう言われておるのでありますが、この御証言はいかがですか、そういうことが事実で、ございましようか。
  657. 井上榮

    井上証人 先ほど申し上げましたように二十二年ごろにたしか二回ぐらいあつたと思いますし、二十三年ごろから二十四年にかけて二回ないし一回あつたように思つております。ですから公団期間中に四回か五回の値上りはあつたと思つております。あるいは三回かもわかりませんけれども、ちよつとはつきりしたことは……
  658. 小林進

    小林(進)委員 それではいま一つお聞きしたいのは、値段を上げないとみなやみに流れるから、それを買うために値段を上げて買うというこの考え方が公団ないし協会の立場から見て正しいとお考えになりますかどうか。あなた方が今まで業務をおやりになつていたその常識で、正しいとお考えになるかどうかという問題です。
  659. 井上榮

    井上証人 やみに流さないで、やみに流す炭があるなら、協会の方へ持つて来いというようにやつて来たのです。
  660. 小林進

    小林(進)委員 私ども対外者からながめると、さつきも言うように国家の品物をやみによそへ流されるのがおつかなくて、また国家の費用で採算が合うように買つてやるというこの考え自体が、ぼくは非常にあなた方の考え方が腐つていると思う。本来ならば、それはあくまでも別な力で抑えても、やみに流さないようにするという処置をなぜ講じなかつたか。そこにどうも荷役する荷後石炭と、あなた方の協会公団との間に、どうも私どもが考えてすつきりしないもやもやしたものがあるように考える。いま少し荷後石炭というものに対する観念が強ければそんな高い値段で買つてやるというような手段でなくて、もつと強固な、嚴正な手段をとられて然るべきだと思いますが、そこがふに落ちませんのと、それから先ほどあなたが言われましたように、この石炭は、何といつてもどろぼう炭であると申し上げてもいいが、本来そういうふうに自由に横に流し得る性質のものでないことは間違いない。それを扱う人たちを毎月呼んでごちそうをされるというのもおかしいのですが、どういうわけでそういう方々にごちそうされたり、御気嫌をとつたりするのですか。やはり荷後の石炭をたくさん持つて来てくれるので、それを余計出してもらうように一生懸命お得意さんをサービスして酒や何かをやつておるというふうにしかとれないのですが、そう解釈してよろしゆうございますか。どろぼう炭というのはちよつと言い過ぎだと思いますが……
  661. 井上榮

    井上証人 実際にはそういうことはないと思つております。とにかくわれわれが一番おそれていたことは横流れということでありまして、何でも横流しをするな、正当に出さなくてはいけない。一方昔からの收集の線を見ますと、荷後炭の收集が末期にはめちやめちやにふえましたけれども——めちやめちやということはいけない言葉ですけれども、とにかく收集の多かつたということは事実でございます。横流しということを一番おそれていたものですから、そういうことのないように常に打合会をやつて……
  662. 小林進

    小林(進)委員 ごちそうをしておられた。
  663. 井上榮

    井上証人 はあ。
  664. 小林進

    小林(進)委員 それも一応確かにりくつはあると思いますが、それだけではどうものみ込めないのです。
  665. 井上榮

    井上証人 どうも口下手でありますから、うまく説明できませんが……
  666. 小林進

    小林(進)委員 いま一つ、この荷後炭を左右される方は改善荷役協会と何か関係がございますか。これは荷役関係に働いておられるからですか。
  667. 井上榮

    井上証人 あの荷役協会会員ではございません。
  668. 小林進

    小林(進)委員 全然別個ですか。
  669. 井上榮

    井上証人 沖人夫や何かの機関になつております。
  670. 小林進

    小林(進)委員 あなたの方でここへ相当多額の寄付をされておるようでありますが、何か荷役協会の御機嫌をとらねばならぬような——荷役協会ににらまれると不利になるので、ひが目かもしれませんが、そういう見方もできるわけです。荷役協会に寄付されたという理由は何ですか。
  671. 井上榮

    井上証人 東京港運がありました時代は、東京港運に相当めんどうを見てもらつてつておりましたけれども、東京港運が解体したために、一軒の会社が何十軒かの会社にわかれました。それに以前と違いまして非常に不況になつたものですから、改善協会を維持して行くことができなくなりまして、向うの理事者の方から何とかめんどうを見てもらいたい。それになくなられた服部会長が以前理事理事長をしていたことがあつて、前から改善協会にはいろいろ関係しておりましたから、それで寄付をしたと私は思つております。
  672. 小林進

    小林(進)委員 わかりました。
  673. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじや済みました。ごくろうさんでした。  今井薫さんですね。あなたは神奈川県石炭協会の専務理事をやつておいでのようですが、いつからおやりです。
  674. 今井薫

    今井証人 昭和二十一年ごろからやつております。たしか二月末からだと思つております。
  675. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今日も専務理事ですか。
  676. 今井薫

    今井証人 そうでございます。
  677. 鍛冶良作

  678. 今井薫

    今井証人 私がすべてやつております。
  679. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたはその前は何をおやりになつておりましたか。
  680. 今井薫

    今井証人 私は京浜運輸におりました。
  681. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何をやつておりました。
  682. 今井薫

    今井証人 京浜運輸へ入りまして、初めは船員部長をやつておりました。それから保船部長もやりました。東京支店の支店長代理もやりました。それから年齢の関係で嘱託になりました。それから石炭協会に入りました。
  683. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 神奈川石炭協会というものの沿革を簡單に聞きたいのですが、いつごろどういう目的でできたのですか。
  684. 今井薫

    今井証人 私は途中から入りましたので、できました当時の詳しいことはあまり存じませんが、聞くところによりますと、同業者でやつておりました同業組合が解散にたりました当時、石炭を流すということはいけない、これを何とかよい方法で集めなければならぬということで石炭協会ができて、通牒か何かによつて県の認可を得てやつたということは承つております。
  685. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 流すということは荷後を……
  686. 今井薫

    今井証人 荷後を一定のところに集めませんで、いろいろな方面に流れてしまうことはいかぬからということで、集める機関なり防犯という建前からつくつたということは伺つております。
  687. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは商工大臣の認可を得てつくつたのですか。
  688. 今井薫

    今井証人 そうでございます。商工大臣の認可は昭和十八年八月十二日付になつております。
  689. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後何回も改組せられたそうですね。
  690. 今井薫

    今井証人 その後一回改組しました。
  691. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつ。
  692. 今井薫

    今井証人 それは昨年の十二月に改組しました。十二月に改組が始まりまして、一月に定款をかえまして、現在の公団の協力機関としてやつたのです。
  693. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうところがかわつたのですか。
  694. 今井薫

    今井証人 定款は結局所有主が公団であるから、その公団が実際にやるべきことだということでやりました。しかし公団としては、労務者を使つて、非常にめんどうな仕事はやれないということなので、それではどういう方法でやるか、やはりこれはなれた協会にやらせなければいかぬということで——その前にも実は第八軍の経済局から荷後炭のことで呼ばれまして、その当時局長も参りましたし、私も参りましたが、公団が直接やつた方がよいのじやないかというような意見も出ましたが、どうしても公団ではできない、そんならだれにやらしたらよいか、では現在の神奈川県石炭協会の内容をできるだけ改めてやつたらどうかということで進んで参つたのであります。
  695. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでどういうふうにかわつたのか。
  696. 今井薫

    今井証人 いや内部の理事者が多くかわつただけで、仕事の方面は前からやつております通りです。
  697. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 人員が変更しただけですか。
  698. 今井薫

    今井証人 そうです。
  699. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじや改組じやないじやないですか。それは役員の更迭じやありませんか。
  700. 今井薫

    今井証人 しかし仕事の面もいろいろかえて行くということでやりましたのですが……
  701. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 仕事はかわつておらぬのでしよう、同じことをやつておるのでしよう。
  702. 今井薫

    今井証人 そうです。
  703. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その点はあとで聞きましよう。昭和十六年十二月に荷後炭統制に関する通牒というものが商工省燃料局長から出ましたね。
  704. 今井薫

    今井証人 それは出ております。
  705. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さらに司法省から荷後炭の所有権に関する何か回答を得たこともありますね。
  706. 今井薫

    今井証人 あれは公団でやりましたのを、写しをいただいたのであります。
  707. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは知つておりますね。
  708. 今井薫

    今井証人 はい。
  709. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方の主要役員はだれとだれですか。まず会長から伺いましよう。
  710. 今井薫

    今井証人 会長は現在は松田三郎という人です。
  711. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはどういう人ですか。
  712. 今井薫

    今井証人 公団東京配炭局局長です。現在は何か清算の事務をやつております。
  713. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから東京石炭協会筆頭理事でもありましたね。
  714. 今井薫

    今井証人 その点は私よく存じません。
  715. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か理事におなりになつておるということは聞いておりますね。
  716. 今井薫

    今井証人 いや詳しくは知りません。
  717. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その次に理事にどういう人がおりましたか。
  718. 今井薫

    今井証人 現在は次長大槻さんという人がおります。
  719. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはほかに商売は。
  720. 今井薫

  721. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京配炭局次長ですね。松田会長のすぐ下におる人ですね。それから。
  722. 今井薫

    今井証人 それから渡辺友安、これは元配炭局におられましたが、現在は自分で商売を始めております。
  723. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 元は何でしたか。
  724. 今井薫

  725. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これも石炭協会理事を兼ねておりますね。
  726. 今井薫

    今井証人 そうかもしれません。それから横浜支局の小野吉造という人がなつておりますが、これは今やめております。
  727. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これも配炭局横浜支部長ですね。
  728. 今井薫

    今井証人 しかしそれは配炭局廃止と同時に、辞表をお出しになつておやめになつております。
  729. 鍛冶良作

  730. 今井薫

    今井証人 小林さんは以前おなりになりましたが、ほかにおいでになるために自分でおやめになつて、そのかわりに大槻さんが交代してやられました。
  731. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 理事であつたことは間違いないね。
  732. 今井薫

    今井証人 そうです。
  733. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは東京配次局の理事長つたでしよう。
  734. 今井薫

    今井証人 そうです。
  735. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大槻と入れかわつたのですね。
  736. 今井薫

    今井証人 そうです。
  737. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかく公団で、しかもあなたの方の直接の取引先になる東京配炭局の首脳部があんたの方の理事になつておる、こう聞いてさしつかえないですね。
  738. 今井薫

    今井証人 そうです。そのほかにも理事はございます。鈴木さんに伊藤さん。
  739. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは港運関係から来ているのだね。
  740. 今井薫

    今井証人 そうです。三名の理事がここにおりますが……
  741. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷後炭というものはどういうものですか。
  742. 今井薫

    今井証人 荷後炭と申しますと、船で積んで参りまして、それをはしけに沖取りいたしまして、一定の場所、貯炭場なり、また駅なりに持つて行きまして、貨車に積むなり貯炭所に揚げまして、揚げ終つた後に残つたものを掃除して掃き寄せたものが荷後炭で、今横浜でやつておりますのは、荷役中に海の中に墜落したものを上げております。これは保安の方の許可を受けてやつております。
  743. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この荷後炭はあなたの方で集めるわけですね。
  744. 今井薫

    今井証人 そうです。
  745. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 下請に集めさしておるそうですね。
  746. 今井薫

    今井証人 私の方では小舟を持ちました従業員を約五十名ばかり使いまして、それがたえずくるくるまわつております。
  747. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か組をつくつてつているのではないのですか。
  748. 今井薫

    今井証人 組ではないのです。私の方は大体直営のような形でやつております。そうして船一ぱいは一人では動きませんから、乗組の手伝いはおりますが、これは私の方は直接には扱いきれませんからやりません。それで約五十ぱいの船を集めております。但しそのうちで二十三、四はいがサナで、そのほかのものは玉とガンガラというのがある。玉と申しますのは竹の先に玉のついた網で、沿岸の浅いところをそれで探るのです。それを従来玉と称している。それからガンガラと申しますのは少し深いところで、おもりのついた網を沈めて、船を漕いでひつかかつたものを揚げる、こういう形でやつております。
  749. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはみんなあんたの方でやつておりますか。
  750. 今井薫

    今井証人 そうです。
  751. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこであんたの方は揚げたのだが、この荷後炭の所有についてずいぶん前から問題があつたそうだね。それで今司法省の回答なんかも……
  752. 今井薫

    今井証人 私ども実は協会に入りましたときには、そういう点はあまり詳しくは存じませんでしたけれども、それからいろいろ聞きまして、所有権の問題はこういうぐあいになつておるということで実はやつております。
  753. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あれを見ますと、所有権荷主にあるということになつていますね。ところがあんたはそれを引揚げるとどう処分しておりますか。
  754. 今井薫

    今井証人 これを引揚げましたならば、やはり公団に全部引渡します。そして收集費としてもらつておる。
  755. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 收集料ですね。実際は売る売ると言つている。
  756. 今井薫

    今井証人 やはり昔の言葉が残つていまして、売るとか売らぬとかいうようなことを言つておりますが、大体目的は收集費でございます。
  757. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが收集費と名前をつけるけれども、値段石炭の買取りの公定価格と一緒ではないのですか。
  758. 今井薫

    今井証人 そんなことはありません。その点私どもはわかりません。
  759. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山元値段はどのくらいになつておりますか。
  760. 今井薫

    今井証人 公団に行きましたものは五級二千四百円くらい……
  761. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山元値段を知らぬか。
  762. 今井薫

    今井証人 山元のは存じません。私どもの收集費につきまして公団の方ではいろいろ検討されて、それだけ拂つておるのです。
  763. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは石炭屋さんじやないか。それが今山元幾らしておつて、どのくらいで売つておるということを知らぬか。
  764. 今井薫

    今井証人 私は石炭屋ではなくて、收集屋です。以前から石炭の価格ということについては考えておりません。
  765. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二千四百円。
  766. 今井薫

    今井証人 これは級によつてつております。
  767. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方でどれだけ取扱いましたか。公団になつてからでよろしいです。
  768. 今井薫

    今井証人 公用に引渡したものが、先日事務局の方へ表を出しておきましたが、八千四百七十七トン幾う、こういうことになつております。これが帳面で確実なところです。
  769. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなことはないだろう。何万だろう。
  770. 今井薫

    今井証人 失礼しました。これはちよつとそろばんで出しませんとわかりませんが、大体二十二年の六月から二十三年の三月までが八千四百三十トン、それから二十三年四月から二十四年三月までが一万八千五百六十二トンでございます。それから二十四年四月から二十四年九月までに荷渡ししたものが八千四百七十七トン幾らになつておるが、この中で六百五十六トンはあとへ繰越しております。そういう程度に荷渡ししております。
  771. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 代金は総計幾らくらいになつておるか。
  772. 今井薫

    今井証人 六千八百五十万二千百八十円三十八銭でございます。
  773. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはコークスを入れてですね。
  774. 今井薫

    今井証人 そうです。コークスも入つております。提出いたしました表にコークスの点がはつきりしておりませんが、コークスは一年間に幾らもない、二十トンが三十トンしかない。
  775. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが去年の六月から七、八、九へかけてたいへん激増しておるそうですね。
  776. 今井薫

    今井証人 おととしでございますか。
  777. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年だ。二十四年の公団がなくなる直前。
  778. 今井薫

    今井証人 いや私の方はそういう点はありません。
  779. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなことはない。ここに書いてあるじやないか。六月には九百四十七トン。
  780. 今井薫

    今井証人 これは私の方は一昨年でございます。
  781. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 このふえたのが……
  782. 今井薫

    今井証人 その時分に少しよけい出しております。二十四年六月は千トンで三十六トンでございます。七月が千トンで六十一トンでございます。二十三年六月ごろがちよつとふえております。
  783. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 去年の七月が千九百四十トン、八月は千七百四十六トン。
  784. 今井薫

    今井証人 千九百四十トンは引渡した数字でございます。揚げましても引渡しの月を越して向うに渡す場合があります。その前の九百四十七トンがずれておりますから、そこで数字上つております。別段公団に引渡すのがふえたわけでありません。一昨年は五、六と少しふえております。
  785. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一昨年も九月が相当ふえておるが、これはどういうわけですか。
  786. 今井薫

    今井証人 ここのところは、ちようど前の京浜運輸でございますね、京浜運輸が解体になる前に非常にはしけの修繕が行き届かなかつたので、サナが非常にこわれて、修繕が行き届がなかつということで荷後が非常にふえた。そうしてこれが解体いたしまして、この表に現われておりますように各分散しますと同持に、一箇月もたたないうちにサナが直つて、それでその月がずつと減つて来たわけです。
  787. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷後炭というのは、先ほどから言うように公団のものでしよう。荷後炭が多く出るということは、公団石炭が減るということでしよう。
  788. 今井薫

    今井証人 そうです。
  789. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうなるとサナがいたんでおつたらなぜ直さなかつたか。サナがいたんでおつて荷後がよけい出たということを手放しで言えますか。サナがいたんでおるから下へ落ちることが多いのです。
  790. 今井薫

    今井証人 それは開くところによると、相当問題になつてつたようでございますけれども、やはり大きい会社の時分には修繕が遅れておつたようです。
  791. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一体協会というのはどういうことをする役か。ただ荷後炭をたくさん出して、それを売ることが目的の会社ですか。
  792. 今井薫

    今井証人 そうじやございません。
  793. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 横流れすることの防止、盗炭の出ることの防止でしよう。
  794. 今井薫

    今井証人 そうです。
  795. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 サナがいたんでおつたら、こぼれるのを防ぐために直すということがあなたの方の責務じやないか。
  796. 今井薫

    今井証人 これは荷主の方から、公団から相当やかましくお話があつたように聞いております。
  797. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団がやらぬでも、あなたの方の本務じやないか。そういうことを黙つてつて、荷後がずいぶんたくさんあつたと喜んでおつたのですか。これが個人の仕事であつたら、営利会社であつたら、そんなことを黙つておるものはおりはしませんよ。どうしてそんなことを大目にやれるのですか。国家のものだから、人のものだかりと思つておるからだろう。そこに根本がある。そんなサナがこわれておつたから、荷後が多く出ましたなどと言えるものではない。国家に対して何と申訳するのですか。
  798. 今井薫

    今井証人 その点は認めます。
  799. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方から、ずいぶんいろいろの方面に寄付金がたくさん出ておりますね。ずいぶん寄付しておるが、おもにどういう方面に寄付せられたか。
  800. 今井薫

    今井証人 そこに書き出しておきましたようなところにいたしております。
  801. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大きなものを拾つて見ますか。二十二年は大したことがないな。それにしても警察方面が多いですね。それから配炭公団横浜支局文化部寄付金、加賀町警察署武道奨励費寄付金、神奈川警察署武道奨励費寄付金、東京配炭局文化祭寄付金、神奈川警察署武道始寄付金、——これは大したことはない。横浜防犯協力会寄付金、多いのはこういうものですね。
  802. 今井薫

    今井証人 それから二十二年度で一番大きいのは、関東の水害地に援護をやりました。
  803. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十三年度になると横浜防犯協力会寄付金四万八千五百円、横浜港湾荷役改善協会寄付金十万円。この港湾荷役改善協会とか、沿岸荷役推進協会とかいうものはどういうものなのですか、
  804. 今井薫

    今井証人 港湾荷役改善協会といいますのは、財団法人で、港の労務者の弁当をつくつております。それでやはり経理なかなか困難だということで……
  805. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 弁当をつくつてつておるのか。
  806. 今井薫

    今井証人 いやそうでもございません。それを毎日労務者に配給してそうして沖に持つて行つて仕事をさしておるわけであります。推進協会と申しますのは、主として沿岸方面をやつております。
  807. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その次に大きいのを拾うと、加賀町警察署防犯協力会寄付金五万円、配炭公団横浜支局文化部寄付金五千円。その次は神奈川警察署防犯思想普及費寄付金二万円、配炭公団横浜支局文化祭寄付金。二十四年度は、東京配炭局労働組合寄付金五万円、神奈川県石炭同業会寄付金三万円、あとは警察だ。これはどうして、こういう公団だの警察へおもに寄付せられなければならないのです。
  808. 今井薫

    今井証人 警察の方は、警備面で非常に協力を願つておりますので、その面でますます御協力願うことで寄付さしていただく。武道始めというのは例年あることと、それから武道奨励をおやりになるということですから……
  809. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その横流しをつかまえたり、盗んで行くやつをつかまえたりするからですか。
  810. 今井薫

    今井証人 ええ、そういうことに御協力を願つておるからです。
  811. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 警察がそういうことをやるのはあたりまえじやないですか。そういうことをやはり寄付金という名前で、いつぱい持つて行かなければならないものかね。  荷後炭の中から非常に横流しが出たそうですね。
  812. 今井薫

    今井証人 それはいつごろでございましようか。
  813. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 統制の嚴重なときに横流しをした。やみの石炭が流れたそうですね。
  814. 今井薫

    今井証人 どうも机の上の仕事で……。横流しをやるやつは夜夜中に行つていろんなことをやるらしいのでありまして……。われわれの方は、以前は軍の方から。パスポートをもらつておりましたが、船の方は一昨年から内地に委讓になりまして、京浜港長から船の方のパスポートを出すことになりまして港内の航行をやることになつております。私どもの方は制限をされて、日没から日出までは出てはいかぬことになつておる。往々悪いことをするやつは、夜出て行くんじやないかと思うんです。
  815. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき東京の人に聞くと、船長と結託して皆買つて行くんだと言つている。
  816. 今井薫

    今井証人 横に流すやつは船長と結託している場合もあるかもしれません。われわれはその点は机の前におりますから、詳しいことはわかりかねますが、しかし頭はねと称するやつは、船長の了解を得なければ、なかなかとれないだろうと思います。そういう面についても、始終私どもの方も取締りたいと思つておるので、あすまた警察の関係者を呼んで打合せ会をやることにしているんですが、それにつきましては、この前に安定局の方にも御協力願いまして、やはり会をこしらえたり、いろいろやつおるのであります。
  817. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 横流しと言うけれども、どろぼうだ。
  818. 今井薫

    今井証人 そうです。
  819. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれのものをどろぼうして行くんだ。公団のものでしよう。そうじやないですか。
  820. 今井薫

    今井証人 そうです。
  821. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 横流しじやない。公団のものは国家のものだ。国家のものを盗んで行くのを称して、横流しと言つているのじやないですか。
  822. 今井薫

    今井証人 われわれの方でも警備員はおりますが、そういうものがありますれば、われわれの方は司法権がないから押えることができないとすれば、警察の方にお願いして、御協力を願うことを絶えずやつておるのであります。
  823. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから荷後炭の中には、どろ炭というのも入つているそうですね。
  824. 今井薫

    今井証人 私どもの方ではどろ淡というのはありません。
  825. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どろぼう炭のことだよ。それをどろ炭と言つているそうだよ。公然のものらしい。  荷後炭というのはどういうんです。あなた方嚴重にやつておると言うが、嚴重にやつているなら、そんなものが出るわけはない。どろ炭が荷後炭になつて公団が盗まれて、それがまた公団にもどつて金をとられているんだから、たまつたもんじやない。
  826. 今井薫

    今井証人 私の方の従業者がやりましたとすれば、あるいはそういう形になりますけれども、ほかのいろいろなやつが港にはたくさんいるんです。それが一例で言えば、石炭のあるときは石炭をやる。石炭がなければほかのものを拾う。何でも手当り次第にやるようなものが昔からずいぶんおるのであります。そういうものがやるとすれば、公団に行かずして直接消費者の方に行くかもしれない。私どもの手を経ないと公団に入りませんから……。しかし私どもの従業員は少くともパス・ポートを出しておりますだけに、もしそういうことをやつてわかれば、二代なり、三代なり親の代からやつておるやつもおるのでありますが、そうすると、それがすぐ首になつてしまうということになると、生活の上で路頭に迷うことになりますから、おそらくそういうことはないと信じてやつております、なお平素からやかましく言つております。
  827. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはその程度にしておきましよう。そこで先ほど聞いたら、公団の最高幹部があなたの方の最高幹部になつておるのですが、そういうことはさしつかえないのでしようか。
  828. 今井薫

    今井証人 その点は、しかし登記をします時分には、やはり公務員だからすぐは就職できないということで、何か許可を得られて、その許可証をつけまして登記いたしました。
  829. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことはあるが、あなたの方から收集料をもらうのか、売るのか知らぬが、とにかくあなたの取引先は公団ですね。東京配炭局ですね。その取引先の役入の一番上の人があなたの方の何をしておるとすれば、売人と買人は一つ人間で繰りまわしていると言われてもしかたがないが、そういうことは何か考えませんか。
  830. 今井薫

    今井証人 そう考えればそうもなるわけですが、しかし協会の内部を嚴重に取締つて行こうというのが主でありました。仕事の面につきましてはわれわれが従来通りのやり方で、経験によつてどんどんやつておるのであります。
  831. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 相当の利益がありましようね。あなた方では一年にどのくらいの利益が上つておりますか。
  832. 今井薫

    今井証人 二十三年度は剰余金がありましたが、最近はやはり下拂いも相当上げてやりましたり、最近は数量も減つておりますから、経理面にそう大した余裕はないと思つております。
  833. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 下拂いはどれほど拂つておりますか、トン当り。
  834. 今井薫

    今井証人 トンでサナの方は千六百七十円拂つております。それからガンガラの方は税金を引きまして、手取り千五百五十円くらいになるようになつていますから、千八百円くらい拂つております。
  835. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六百円あまりあなたの方にあるわけですね。
  836. 今井薫

    今井証人 はい。そのほかに水揚げだとか、これは契約は機関乗りになつております。自動車に積むのは私の方で積みます。そのほかに横に持つて行く場合がある。貯炭場をかえます場合、一定の場所に船で運ぶ場合がある、自動車を使う、そういうすべての費用はこつちが持つ。それから貯炭場の費用とかいうものは皆私の方で持ちます。
  837. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 世上石炭協会というものは、公団が荷後炭で出る利益を自分の方へ改めるためのトンネル協会だと言われております。あなたはそう言うけれども、なぜそう言うかというと、今言つたように売る者と買う者と一緒だ。しかも二千四百円という値段はだれがきめるのですか。
  838. 今井薫

    今井証人 それはこのくらいの程度でやれるかと公団の方できめていただいて、私の方でそれでやれなければやれないと申し上げるが、やれる程度ならお引受けして……
  839. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのきめる者が、公団とはいうもののあなたの協会の首脳部がきめて、そこでもうけさせてやつているのじやないか。
  840. 今井薫

    今井証人 この公団になります前にも、そういうふうに收集費ということできめてやつておりました。
  841. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 別にそういうことはさしつかえないかと思われますか。なるほどそう言われて見ればへんだと思いませんか。
  842. 今井薫

    今井証人 そうですね。やはり両方になるということは、ちよつとそういう質問を受けますと、どうかというふうに考えるわけであります。
  843. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 法律上では双方代理というものは禁止してある。一人の人が両方の売人と買人になるということは一切禁ぜられておる。しかるに石炭公団だけはそれがさしつかえないものだとなつたらたいへんな話だ。そうしてあなたの方は、これらの現職の公務員である公団の首脳部に対して月々相当の金を車馬賃として拂つておるようですね。
  844. 今井薫

    今井証人 はあ、車馬賃として出しておりまする。
  845. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 松田会長には幾ら拂つておりますか。
  846. 今井薫

    今井証人 松田会長にはこの前一万円拂つておると思います。車馬賃はお盆に一万円拂つておる。
  847. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから改組したために、記念品として相当のものが行つておりますね。
  848. 今井薫

    今井証人 はあ、二万円行つております。
  849. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その他……
  850. 今井薫

    今井証人 その他には大したものはございません。
  851. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小林勝助はどうだ。
  852. 今井薫

    今井証人 小林さんはやはり前に参與になつております。その関係で参與を解任していただきましたから……。松田さんは顧問です。それから小林さんは参與です。
  853. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三宅。
  854. 今井薫

    今井証人 三宅、渡辺、これは参與になつております。
  855. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 みんな記念品及び退職金として三万円、三万円出ておりますね。
  856. 今井薫

    今井証人 三宅さんは監事になつてつた。それで公団が廃止と同時に監事をおやめになりましたから、その退職金として二万円を……
  857. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほどちよつと言つたが、改組と称してもただ人間がかわつただけなのだが、それを改組としたのは、こういう金を出そうと思つたからじやないか。
  858. 今井薫

    今井証人 そういうことはありません。
  859. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 改組したとき剰余金はどれだけあつたか。
  860. 今井薫

    今井証人 改組しましたときの剰余金は相当なものでありました。
  861. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何百万円だろう。こういうふうにしてみんななくなつてしまつたんだろう。
  862. 今井薫

    今井証人 そうじやありません。みな決算書に出ておりますよ。土地を買いましたり、家を建てましたり、全部明細に出ております。私が二十一年に協会に参りましたときには、協会にはちようど銀行頭金としましてはたしか二百円ばかりありました。そうして事業を始めます時分に三万五十円の借入金をしておりまして、そのまだ返済が一万八千円か九千円ほど残つております。そうして私ども参りました時分には、二、三箇月は給與がとれなくて元の会社から給與をもらつていてやりました。
  863. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あんた自身も前も専務理事であり、現在も専務理事ですね。
  864. 今井薫

    今井証人 そうです。
  865. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 改組したもせぬも同じだね。
  866. 今井薫

    今井証人 一旦辞表を出しまして……
  867. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 また新しく…
  868. 今井薫

    今井証人 選挙の結果なりましたから……
  869. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 手当、賞與ともとして、三十六万円あなたに行つておりますね。
  870. 今井薫

    今井証人 はあ、いただいております。
  871. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 辞表を出して、任命してもらつただけで三十六万円行くということは、われわれにはちよつと合点が行かぬが、それは別に不審はないのかね。それが改組だつたのかね。とにかく何百万円でしよう。こういうふうにみな賞與、手当、退職金、記念品というもので出たのは……
  872. 今井薫

    今井証人 いや、退職金はそう出ておりません。大体二十七万円の予算で出しておりますから……。しかしその時分に私はやめるかどうか……
  873. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十七万円じやないでしよう。あなた一人で三十六万円とつておるでしよう。
  874. 今井薫

    今井証人 いや、三十六万円というのは、私は職業でありますから、月々もらつておりますので、月三万円です。それも最初からではなく、最近三万円になりました。
  875. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは職業だからよいが、公務員がこういうところへ来て、車馬賃とか記念品とかをもらつていいかどうか、相当問題だと思う。三十六万円のほかにまだあなたはもらつておるのじやないか。
  876. 今井薫

    今井証人 四万円ですか。
  877. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ええ。
  878. 今井薫

    今井証人 その四万円は辞表を出してやめるかやめぬかわからぬというようなことだつたので、一応みんな年限を限つて……
  879. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 退職金四万円か。
  880. 今井薫

    今井証人 そうでございます。
  881. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかあなたの方は非常に宴会費がたくさんいつておるそうですね。
  882. 今井薫

    今井証人 宴会日はあまり使つていないつもりなんです。私はそういうことはあまり好まない方で、そう昨年度もたくさんは使つてないつもりでございますが、しかしこれは見方によりますから……
  883. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十三年度、二十四年にどれほど使つておりますか。
  884. 今井薫

    今井証人 二十三年度には三十七万円ほど使つております。
  885. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは何かね。
  886. 今井薫

    今井証人 会議費、これは総会とか理事会、それから現場の関係等です。
  887. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかに交際費があるでしよう。
  888. 今井薫

    今井証人 交際費が十二万円。
  889. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 交際費はだれの交際費になつておるのかね。会長の交際費ですか。
  890. 今井薫

    今井証人 そういうものじやございません。
  891. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかに会長の交際費があるでしよう。
  892. 今井薫

    今井証人 交際費は香奠とか祝い物を得意先に出しますので……
  893. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 会長の交際費は……
  894. 今井薫

    今井証人 給料の出し方を交際費で幾分か出したものがあると思います。
  895. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その十何万円の中で……
  896. 今井薫

    今井証人 ええ。それはやはり税金を收めて、大体月一万円くらいですから大したものじやない。事実これは帳面に載つております。私の方では会議費は、御承知の労務者を使つて現場の方をあやつつて行くものですから、始終現場の打合せとか何とかいうもので、従業員が五十人かおりますから、そういうものを集めたりする場合もあります。また一時的にやる場合もあります。
  897. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 質疑はありませんか。——横田甚太郎
  898. 横田甚太郎

    ○横田委員 石炭協会は荷後炭をいつごろから取扱うようになつたのですか。荷後炭を取扱うためにこの協会をこしらえたのですか。
  899. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは荷後炭を取扱うためです。初めからそう言つておる。
  900. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうしたら、その目的をぼやかすために、海上輸送中の不正を取締るということをかぶせたわけですね。——わかりにくかつたら簡單に言いますと、こうなんです。あなたが先ほどから言つておられる問題のうちに、海上輸送の不正が数々あつた。それを取締つてつたと言われたが、その海上輸送の不正とは一体どんなことなのですか。
  901. 今井薫

    今井証人 海上輸送の不正とは、私は申し上げなかつたのでございますが、やはり荷後のほかに、委員長もおつしやるように、いろいろ頭をはねるとか何とかするような者があれば、これはむろん私の方でできるだけ取締りをやりますし、残りましたものを集めないと、それを船夫がタバコ銭その他にするためにもいろいろな方面に売るというようなおそれもあるので、取締ると同時に、それを集めておる、そうして一定の場所に納める、こういうことをやつておるのであります。
  902. 横田甚太郎

    ○横田委員 私の聞き違いかもしれませんが、海上で不正を働くことを親の代からやつておる人もあるというように言われておるのですが、そういう人たちは一体どんな人か聞かしていただきたい。
  903. 今井薫

    今井証人 いや私はそうは申し上げないつもりであります。親の代からやつておるというのは、私どもの従業員は、明治何年から荷後掃きをやつてつて、親の代からやつておるということを申し上げたのであります。そういうものであつて、非常に私どもの従業員はおとなしく従順な者が多い、こう申し上げたつもりであります。
  904. 横田甚太郎

    ○横田委員 親の代からやつておるというのは、だれが一体何をやつておるのですか。
  905. 今井薫

    今井証人 私どもの従業員をやつておるのです。
  906. 横田甚太郎

    ○横田委員 親の代から働いておるというのは、あなたの従業員のうちに親の代から同じ職業に従事しておる人があるという意味でございますか。
  907. 今井薫

    今井証人 そうでございます。一番古いのは三代もやつておるのがあります。
  908. 横田甚太郎

    ○横田委員 わかりました、聞き違いでした。
  909. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方の予算決算を見ると、予備費は、予算では四百十八万七千円、決算では三百五十六万八千円使つておる。これは二十三年度の決算にこう書いてあるのだから、使つたのだろうね。
  910. 今井薫

    今井証人 その間で品物を買いました。それを予備費で出しております。
  911. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんな品物です。
  912. 今井薫

    今井証人 土地とか船とかいうものを……
  913. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを予備費で出すのですか。そんなたくさん予備費を残しておくのですか。一番大きな予算じやないですか。
  914. 今井薫

    今井証人 四百七十二万円ですか、それはその前にありますものを予備費から買いました。
  915. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうじやないですよ。予算としてすでに四百十八万七千円出している。そうして決算で三百五十六万八千円出ているんですよ。そういうものを急に買わなければならないようになつた場合、予算がなければ予備費を使つてもいいが、初めからそういうものを買うことがわかつてつて、予備費へ四百万円も持つて行くというのは合点がいかぬ。
  916. 今井薫

    今井証人 これは前の会長の時分でございますが、途中で予想外に剰余金が出たので、仕事をするのに便利が惡いものですから、多少買うということを途中でやつたのです。
  917. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 金が余つたからというのと違うぜ。予算に四百何十万円出ておるのですね。金が余つたから、急にいるから出したと言うが、決算面でも出ている。予算で四百何十万出しておいて、決算で三百何十万出しておるんだ。それはもうかつたから買つたという場合とは違う。
  918. 今井薫

    今井証人 これは途中でたしか更正予算をつくつたと思います。
  919. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじや実際に何を買つたんです。
  920. 今井薫

    今井証人 実際はここにありますものを買つたのです。その次に予備資金の内訳がございますが、土地を……
  921. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 土地の方に幾らか足してやつたんですね。準備資金の足らぬものを……
  922. 今井薫

    今井証人 そういう意味です。
  923. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やつぱりここに出ておるのじやないか。金比羅神社後援会、何やら振興会、博覧会協賛会、退職慰労金、そういうものがみんな出ているじやないか。参與記念品料なんていうものが、やはりここから出て行つておる。——まあいいでしよう。
  924. 安部俊吾

    ○安部委員 証人に伺いますが、あなたのところの協会会長松田三郎と言いましたね。東京配炭局局長ですね。
  925. 今井薫

    今井証人 はあ。
  926. 安部俊吾

    ○安部委員 それからあなたの前に証人としてこの委員会で証言された、東京石炭協会事務局長井上榮ですか、この人の証言によると、東京石炭協会の幹部は、東京配炭局長の松田三郎、そのほか小林という人、あるいは三宅さんとかいう人が幹部なんですが、一体これは東京、神奈川のほか、仙台であるとか、名古屋、大阪、広島、四国とか配炭局のある所には、みんな石炭協会があつて、神奈川とか東京石炭協会がやるような営業をやつておるのですね。その会長や幹部は、やはりそこの配炭局局長がそういうことになつておるのですか。
  927. 今井薫

    今井証人 その点はちよつと私わかりませんが、地方の方は、あるいは配炭局の方が幹部に入つているところもあるかもしれません。大阪あたりにもあります。大体全国で私の聞いておりますところは七つあるのです。東京、神奈川、新潟、大阪、門司、若松、多度津にあります。ただ九州方面はどういう方がおやりになつておるか、ちよつと存じません。新潟は何でも協会と申しましても、月にわずかしか揚りませんので、ほとんど協会はよそうかという話も聞いております。その後どうなつておるか知りません。
  928. 安部俊吾

    ○安部委員 協会の構成なるものは、神奈川とか東京のように、配炭局局長とか、あるいはそこの最高幹部というようなものが石炭協会の役員になつておるわけですね。
  929. 今井薫

    今井証人 さあ、他の方はわかりません。
  930. 安部俊吾

    ○安部委員 新潟の方はどうですか。
  931. 今井薫

    今井証人 新潟の方はよく内容は存じません。新潟はほとんど二、三十店で、やめておるのじやないかと思いますが、よくわかりません。一番多いのは若松が多いので、若松は最初は公団の人でないように聞いております。
  932. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかに ありませんか。
  933. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、東京配炭公団配炭局長の松田三郎という人は、元あなたのところの顧問だとさつきおつしやつたようですが……
  934. 今井薫

    今井証人 そうです。以前松永という人が会長をしておりました時分に、やはりこれは公団仕事の面で関係があるからというので、顧問になつていただいて、その後、先ほど申しましたように、公団は直接やりませんが、しかし公団の延長として、やはり十分に取締つてやらなければいかぬということで、昨年の一月ごろに松永さんがおやめになつて松田さんの方に今度はかわつたわけです。
  935. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると 顧問に松田さんを迎えたというのは、公団から監視を受けたのですか。
  936. 今井薫

    今井証人 やはり取締りの面ですから、監視と申しましようか。いろいろ事業上について、石炭のことが詳しうございますから、御相談を願うためにやつたように考えます。
  937. 石田一松

    ○石田(一)委員 この後にいらつしやるはずなんですが、松田さんがあなたの方の顧問か何かになつていて、報酬とか、あるいはまたたびたび宴会や何かやられたとか、また退職金とか記念品とかいうものをおやりになつたとかいうことがあるんですか。この点はどうですか。
  938. 今井薫

    今井証人 これはこちらの事務局の方に表も出してある通りに、退職金は渡してありますが、平素手当というものは出しておりません。別段に御招待申し上げるということもいたしておりません。横浜の方は東京とは違いまして、品物の取引はやはり横浜支局でやつております。それで契約東京配炭局契約する。そして受渡しは横浜でやる。それからさつき契約のことでお話がございましたが、契約の面もやはり松田さんが会長になられて、契約面は、これは形式にとらわれるようでございますけれども、私が専務理事として代表しまして、そして協会の方の責任者として判をつく。片方は松田さんが局長として契約書をとりかわす。せんじ詰めれば同じことでございますが……
  939. 石田一松

    ○石田(一)委員 退職金を松田さんに渡したとおつしやいましたが、幾ら渡したのですか。
  940. 今井薫

    今井証人 二万円でございます。
  941. 石田一松

    ○石田(一)委員 記念命とか何とか……
  942. 今井薫

    今井証人 それは記念品料として二万円渡しました。
  943. 石田一松

    ○石田(一)委員 それから今の予備金の支出の四百万円とか三百六十万円とかいつて、たいへんわれわれとしては大きな金額ですが、あなたの方の協会では大したことはないでしようが、この金の使途が物を買つたということをおつしやつておりますが、荷後炭の回收を直接するためには、相当うるさいものが昔からあつた。とにかく手のつけられないものだというような証言をしている証人もあるのです。そうした際にずいぶん手のつけられないものがいて、これについて少くとも水上警察とか、経済的な警察の面とか、いろいろと協会の責任者としては打つ手を打たないと、いろいろ、私は商売土都合が惡いのではないかと思うのですよ。そういう面で、要するにいわゆる支出というものが今の予備金あたりから出されて、しかも品物を買つたとか、あるいはたれそれの宴会費だとかいうふうに帳簿にうまく記載されておるような感じがしてしかたがないのですが、その方面の連絡は全然ないのですか。
  944. 今井薫

    今井証人 私の方はそういう面はありません。それで横浜はたいへん警察の面が多いのでございまして、とてもそんなことをやつていたのではやり切れないのです。頭を下げる一本で、実は第二港湾司令部、あすこに藤野という人ががんばつておられて、主としてあすこで京浜地区の交通にはパスポートをもらつて、各警察には頭を下げる程度でやつております。その点でうまく行かない点があるかもしれませんが、そこは私の腕のないところになりますけれども、東京は水上一本らしいですけれども、横浜の方は警察が六つも七つもある。そこでその面がどちらへそういうことを連絡をとりましても、なかなかうまく行かないのでございます。
  945. 石田一松

    ○石田(一)委員 六つか七つあつたために、費用がたくさんかかつたのではありませんか。
  946. 今井薫

    今井証人 そういうものはありません。よけい出ましたのは、ここにもあげてありますところの土地を六百坪も買つたとか……
  947. 石田一松

    ○石田(一)委員 それはけつこうなのです。あなたがここであるとおつしやたらたいへんですから、ないとおつしやることはあなたの権利であるから、ここで認めておるのですからかまいません。それでさつき委員長が言つたはずですが、今疑問になつ松田さんという人は配炭局長ですが、この人は何か聞いてみると、配炭公団配炭局長であつて、そうした職にはつけないところの職についていて、余分の月給とか收入をかせぐというふうに聞えるのですが、この人はどういう入か知つていますか。
  948. 今井薫

    今井証人 私は深く存じません。それは私が石炭の方に関係しましてから初めて知つた人なんです。
  949. 石田一松

    ○石田(一)委員 いつごろですか。
  950. 今井薫

    今井証人 私は二十一年に入りました。初めは配炭公団に関係なくしてやつておりました。それから配淡公団に二十二年の六月になりましてから、受渡しの面は横浜ですから、あまり東京との連絡はなかつたのです。
  951. 石田一松

    ○石田(一)委員 あなたの方の前の会長はなくなられたのではないですか。
  952. 今井薫

    今井証人 それは私が入る前に協会ができまして、すぐになくなられたのではないかと思います。中村という人がやつておりました。場合は十八年にできまして、私は二十一年に入つたのですから、その前になくなられたのです。
  953. 石田一松

    ○石田(一)委員 そのなくなられたのは病気か何かですか。
  954. 今井薫

    今井証人 私はよく存じません。
  955. 石田一松

    ○石田(一)委員 何か聞いておるでしよう。
  956. 今井薫

    今井証人 病気ではないかと思います。別段にそういうかわつたことでなくなられたとは聞いておりません。それは調べればすぐわかりますが……
  957. 石田一松

    ○石田(一)委員 わかりました。
  958. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京配炭局はどこにあるのですか。
  959. 今井薫

    今井証人 東京配炭局は浅草にあります。
  960. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで横浜は東京配炭局の管内ですね。
  961. 今井薫

    今井証人 そうです。契約の面は東京配炭局契約で、渡すのは横浜の支局です。
  962. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際に東京配炭局長東京石炭協会理事もやつておるし、横浜もやつておるというのですが、あなた方の方に出れますか。
  963. 今井薫

    今井証人 ほとんどおいでにならないです。それで私が実はやつておるようなわけです。
  964. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 名前を借りただけですね。
  965. 今井薫

    今井証人 以前松永さんの時分は、鶴屋町に四十五坪の家を買つてつておりまして、松永さんは京浜の社長ですから、その中を借りてやつておりまして、松永さんは絶えず来ていただいておつたのです。松田さんにかわりましてからは、ほとんど忙しいからおいでにならないです。
  966. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう者を顧問にしたり、会長にしなければならない理由がどこにあるのですか。事実上出られないではないですか。それでは監督もへちまもあつたものではない。それはどういうことなんですか。
  967. 今井薫

    今井証人 配炭局のなんであるから、配炭局が直接やるべきものをこつちがやるという面から、いろいろ格官庁にも御相談になつてそうしてまあ幹部として入つてつてもらおうというので……
  968. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 取締りはできますか。
  969. 今井薫

    今井証人 しかし私が今やつておりましたものですから、私は……
  970. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからあんたがおればいいじやあないですか。どうして名前だけを借りるのです。
  971. 今井薫

    今井証人 しかしそれはおしかりを受けましても、私が別段やつたわけではないし、私は……
  972. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あんたをしかつているわけではないですが、われわれは実際の事の真実を聞いておるのだよ。どういうわけで名前だけを借りなければならないのか。
  973. 今井薫

    今井証人 しかし問題の大きいことは、むろん相談に行つております。日常のことで私でできることは大体私がやつております。私は以前は専務理事と申しまして、ちようど協会に入りまして七箇月半、定款が専務理事という定款で、職員であつた。それではどうも私の責任でもつてつて、皆様に御迷惑がかかつてはいけないというので、御相談しまして、私が自分でやつたことは自分で責任を持つという考えをもつてつたわけです。
  974. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 顧問に推したり、会長にして名前だけもらつておれば、どういう便があるのです。——説明できませんか。できなければしようがない。それじやあいいでしよう。済みました。
  975. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 松田三郎さんですね。
  976. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  977. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより配炭公団をめぐる不正事件について証言を求めることにいたします。  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。     〔証人松田三郎君朗読〕    宣誓書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います
  978. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印を願います。     〔松田証人宣誓書署名捺印
  979. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは配炭公団東京配炭局長をしておられたそうですが、いつからいつまでですか。
  980. 松田三郎

    松田証人 昭和二十二年六月四日から、二十四年九月十五日までです。
  981. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 結局配炭公団の初めから終りまでですね。
  982. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  983. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後は。
  984. 松田三郎

    松田証人 十七日付で、ただいま配炭公団清算事務所東京支部長をやつております。
  985. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 九月からずつとやつているのですね。
  986. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  987. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前は何をおやりでした。
  988. 松田三郎

    松田証人 関東石炭販売株式会社の専務取締役をやつておりました。
  989. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはおもに普通石炭を扱われる会社だつたのですか。
  990. 松田三郎

    松田証人 当時まだ統制が解除になりませんので、大体販売業者は、日本石炭と地方各八地区に販売会社がありました。その関東販売会社であります。
  991. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷後炭も扱つておりましたか、関東石炭で。
  992. 松田三郎

    松田証人 扱つておりました。
  993. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一手でやつておりましたか。
  994. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  995. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京配炭局の管轄区域はどことどこでありますか。
  996. 松田三郎

    松田証人 東京都、神奈川県、山梨県、長野県、新潟県、栃木県、茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、その後行政地域の管轄がかわつたのでありまして、二十四年七月一日から靜岡県も東京配次局の管区に入りました。
  997. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ずいぶん広いのですね。
  998. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  999. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京配炭局取扱つておられた石炭数量はどのくらいのものですか。一箇月平均して……
  1000. 松田三郎

    松田証人 昭和二十二年六月から解体いたしますまでの概算数字は、一千万トンぐらいになると思います。
  1001. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると二年ちよつとですね。
  1002. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1003. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 月五十万トンぐらい……
  1004. 松田三郎

    松田証人 いや、そんなにはなりません。三十五万トンぐらいの数字でございます。
  1005. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 昨年解散になつたときに、あなたの方の手持炭はどのくらいありましたか。
  1006. 松田三郎

    松田証人 帳簿面では百十万トンちよつとでございます。十一月十五日各関係官庁のお立会いで御査定を受けましたときの数字が、八十一万幾らになつております。途中炭と合せて百四万トンばかりになつております。
  1007. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ずいぶん減つたものですね。これはどうしてそれほど帳面と査定との違いが出たのですか。
  1008. 松田三郎

    松田証人 約百十万トンが百四万トンでありますから、六万トンばかりの欠になるのです。
  1009. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さつき八十万トンと言われたようですが……
  1010. 松田三郎

    松田証人 それはちよつと私の説明が惡かつたので、途中炭を抜いておりました。ですから百十万トンが百四万トンばかりに減つていることになります。
  1011. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはおもにどういうことでそれだけ減つたのですか。
  1012. 松田三郎

    松田証人 欠斤、品いたみ等の関係であります。
  1013. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 欠斤とは、どういうことですか。
  1014. 松田三郎

    松田証人 何と申しますか。結局なくなるのでございますね。
  1015. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 百トン来たというのに、事実は九十トンしかなかつたということになるのですね。
  1016. 松田三郎

    松田証人 それは測定でありまして、当時の算定の基礎が、一立方メートルの箱をこしらえまして、入れて踏みつけて容積をはかつておるわけです。その測定して来た数字と帳簿面の数字との相違なのでございます。大体ばらものでございますから、石炭を動かすたびに何がしか切れることは事実でございます。その数字で約六万何千トンかの欠減が出て来るわけでございます。
  1017. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 貯炭場はずいぶんたくさんあつたようですが、港としてはおもにどことどこですか。
  1018. 松田三郎

    松田証人 東京、芝浦、それから横浜、新潟、京浜地区では川崎にもございます。それに直江津、あとで入りました清水、これがおもなる港でございます。
  1019. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この港にはそれぞれ石炭協会というものはありますか。
  1020. 松田三郎

    松田証人 東京と横浜と新潟だけにしかございません。
  1021. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方では三箇所ですね。  現在多くの手持炭は相当処分できましたか。
  1022. 松田三郎

    松田証人 最近の数字では、約半数片づけておりますが、まだ五十万トンばかり手持ちで残つておると思います。そのうちで逐次契約等を進めておりますので、三月末をもちまして、三十万トンくらいが四月以降へ残るのじやないかと考えております。
  1023. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今売りさばきの方法はどういうことでやつておりますか。入札ですか。
  1024. 松田三郎

    松田証人 ただいまのところ、入札は十二月八日を最初に、逐次一部十県の各支局でやりましたけれども、非常に成績が思わしくございません。大体本団の御指示を得た価格を土台にいたしまして、少しでも欠損を少からしめるよう値売りをすべく、ただいまのところでは随意契約をおもにやつておるわけでございます。しかしこの大量の品物は販売業者の手によつてのみ片づく見込みがございません。本団でもたいへん御心配していただきまして、進駐軍向けでありますとか、あるいは鉄道用炭というような大品消費の方へ大量に向けるようにいたして参つております。
  1025. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では現在は、その以外の販売は自由契約でやつておるわけですね。
  1026. 松田三郎

    松田証人 はい、私の方が販売業者に売りまして市場へ出していただいております。
  1027. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その販売業者はたいていあなた方のところにおつた、その土地におつた公団の人がつくつた会社だそうですね。
  1028. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1029. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 俗はそれを公団の第二会社といつている。
  1030. 松田三郎

    松田証人 御承知の公団の手持炭ができました後に、生産業者の方々が各地にお立ちなりまして生産業者の方々に直接つながりを持つ販売業者がたくさんできておるわけで、こういう方々が相当販売能力を持つておりまするし、一方公団におりました職員のつくつておりまする会社は——たいてい公団の職員と申しますると、地方は、元の石炭業者、あるいは番頭さん、またはせがれさんという面が多いのでございます。そういう御連中も公団解体後、いわゆるあなた様が申された第二会社的なものをつくつておるわけです。そういう御連中も、また販売能力の面におきましては相当力を持つているわけです。しかも公団にありまする石炭は、品質のいいものは進駐軍向けでありまするとか、鉄道向けでありまするとか、相当大口にまとまりまするので、いい炭はそちらの方にしか参りません。比較的に品いたみをいたしておりまするものを荷さばきいたしまするには、統制時代が相当長くございましたので、そうした経験を持ちまするいわゆる第二会社の方、または生産業者に直結いたしておりません販売業者が相当おるのでございます。そういう方々が各地に散在いたしておりまするので、そういう方々のグループである協同組合と申しますか、そういう方々と、公団の職員でやめられた方々におもに荷さばきをしていただいているわけでございます。
  1031. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがそれはりくつはそうだが、その間にいろいろの情実があつておもしろくないという評判があるのですが、どうですか。
  1032. 松田三郎

    松田証人 私はないことを確信しているのでございますけれども……
  1033. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし全然残つておらなかつたと言つているのに、第二会社が何百トン、何千トンの石炭を売つたり、それから千トンよりないと言つているのに、二千トンあつたりしたことがずいぶんあるようじやないですか。
  1034. 松田三郎

    松田証人 私の管区にはそういうものは聞いておりません。
  1035. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 経済調査庁では相当あげている……
  1036. 松田三郎

    松田証人 それは私のところにはないことを確信いたします。
  1037. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 私は聞いておりますが、あなたの方にはない……。それと代金の回收はどうですか。
  1038. 松田三郎

    松田証人 これはまつたく私も実は、心痛いたしておるわけでございますが、御承知の通り、こういう販売業者が出ましたのは昨年の九月以降でございます。金詰まりが年末に際して特にひどうございましたので、代金の回收は必ずしも良好だとは申し上げられません。
  1039. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは第二会社へ売つたら、なおさら情実でとれないのではないかね、そういうことはないかね。
  1040. 松田三郎

    松田証人 そういうことをしたのでは、私自身も三十年間京浜地区でこれで飯を食べておるのでありますから、人様に顔向けができないのでありまするので、ただいまの考えでは、そういうことはなかろうと考えております。
  1041. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 顔向けのできないことが起つているのではないかな、とにかく代金の回收はあまり成績がおもしろくないようですね。その後手持ち炭がずいぶんまた減つて行くのじやないですか、だんだん査定した後からも欠斤が出て来るのではないですか。
  1042. 松田三郎

    松田証人 いくらか出ます。御承知の通り私の方の扱つた手持ち炭は、約百四万トンという十一月の査定数字に根拠を置くとしましても、その中の半数以上が比較的品いたみの早い常磐地区のものでありまするとか、あるいは九州、北海道のすそ物が多いのでございます。昨年の九月以降入りましたものの中には、すでに山元で何がしか貯蔵されておつたものがあるわけでございます。それが真夏の暑い太陽の光線を受け、さらに雨ざらしになるという関係から非常にもろい炭になり、いたみやすいのでございます。従つてそれが土にめり込む、あるいは風で吹つ飛ぶというものが多いのでございます。約半数以上がそうした品物、でありますだけに、査定後の目減りも相当多かろうことを心配しているわけでございます。
  1043. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうことで発煙したり、なくなつたりするのですね。流失したものなんか相当あつたそうじやないですか。
  1044. 松田三郎

    松田証人 これはキテイ台風のときに約一万トンばかり流失いたしました。急遽手を盡して——潮の上げ潮、ひけ潮の関係で流れ去つたものもありますが、約一割くらいは揚げましたですけれども、キテイ台風では相当被害をこうむつております。
  1045. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが群馬県なんかでは、実際なくなつておらぬのに災害でなくなつたと言つて、ほかへ隠れておつたのがあつたそうじやないですか。
  1046. 松田三郎

    松田証人 そういう報告もひとつ受けたこともございますけれども、何かの間違いであつたと考えられます。
  1047. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうのはちよいちよいあるようですよ。土浦でも相当あつたようですね。
  1048. 松田三郎

    松田証人 土浦にはどうでございましたか、記憶にございませんが……
  1049. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何千トンとかなくなつたというような……
  1050. 松田三郎

    松田証人 そういうことはございませんでしよう。
  1051. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まあこれは非常に注意してもらわぬと、たいへんな赤字が出ておるのですからね。
  1052. 松田三郎

    松田証人 はい。
  1053. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こういうことで、あなたの方で損失が幾らぐらいあると思つておりますか。
  1054. 松田三郎

    松田証人 この間の数字では、商品から来ます損失は十六億何がしかの数字になつております。
  1055. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのところだけでですか。
  1056. 松田三郎

    松田証人 さようであります
  1057. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたも長く石炭業をやつておいでになるのだが、あなたの個人の事業でこれだけの損失が行つたら、たいへんなことだと思う。
  1058. 松田三郎

    松田証人 ごもつともです。御承知の通り公団が廃止されるかされないかということは、昭和二十四年四月以降延長された当時に問題になつたわけであります。由来私の方の貯炭量は、平均いたしまして三万トンぐらいしかないのであります。三万トンぐらいの数字は、当時の使用量から見まして、些々たる数字でありますが、漸次公団が廃止されるというけはいが濃厚のときに、積地の方から揚地の方へ強制的に荷物をまわされた、こういう事実もあるのであります。山に置きますと、山の方には置場も、ございませんし、公団法の建前上買い取らなければならぬことにもなつておるのであります。しよせんは消費地で消化されるがゆえに、京阪神、または東浜地区にまわせ、こういう本団的な御意見もあつたのであります。私の方は二十四年の二月から貯炭が十万トン以上にふえた。とうてい私にはこれを消化する自信がございませんので、さように持つて来られても困るということを、本団の局長会議等でも数回述べたのでありますけれども、公団の建前上、事情やむを得ぬから京浜地区、または京阪神でとれということで、二月当時十万トンでありましたものが、数箇月の間に百万トンからの数字なつた。こういう実情にあるのでありまして、まつたく国家に対してどうしてこの損失をカバーするか、私も微力でありますが、実は日夜心痛をしておるわけであります。
  1059. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは実際営利会社なり、個人だつたらたいへんなことですよ。国家なるがゆえに、そのままでよいということになつたらたいへんだと思いますが……
  1060. 松田三郎

    松田証人 そうです。
  1061. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なお売掛金から回収するものも相当あるのではありませんか。
  1062. 松田三郎

    松田証人 それはただいまのところで、はつきりいたしておりますものは二千四百万円です。
  1063. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなものですか。
  1064. 松田三郎

    松田証人 ただいまのところはそうです。私の手元で今日まで売り上げました金額は、約三百億になるわけであります。その三百億のうちで、三月公団に終止符を打ちました場合に、四月に取残されるであろう未収金でございますが、これが実は一月一日現在で——話をもとから申しますと、九月十五日現在での売掛金は、私のところで四十億ちよつとあつたのであります。それを十月、十一月、十二月で十七、八億取上げまして二十二億五千万円ばかりが一月一日現在での売掛残でございます。これを三月までなるべく回収すべく努力を傾注しておるのでございますが、ただいまの計画では、約十五穂だけを三月までに取上げまして、七億何十万円かの金額が四月以降に残るであろう。その中でほんとうに貸倒れになるのが、はつきりした目途をつけて申し上げられないのでありますが、まず一割五分、一億四百万円という数字が一応出るのでありますが、一億四百万円ばかりの売掛けの貸倒れができるのではないか、実はかような数字になつておるのであります。
  1065. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これらも個人の商売だつたら、なかなかそんなところに売らないわけだがね。
  1066. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1067. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 運送や荷役契約は、どういう方法でやつておりましたか。
  1068. 松田三郎

    松田証人 どういう方法と申しますと……
  1069. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 相手方はどういうことできめていたのですか。
  1070. 松田三郎

    松田証人 それは公団の発足いたしましたものが二十二年の六月でありますが、たしか二十二年の七月に、第一次の物価改訂があつたと思います。その物価改訂当時のマル公で、私の方と運送業者と協定いたしまして、三十三年はまだ非常な混乱期でもありましたのと、諸物価高騰で、労働攻勢等も強いので、各荷役業者が相当値上げの要求を出しておつたのであります。そのうちに二十三年の六月かと思いますが、第二次の改訂がございました。当時約三倍近い値上りを見たのでありますが、これまた値下げをするわけに参りませんので、四囲の情勢上、そのマル公をもちまして契約を持続いたしました。その後二十三年から二十四年にかけまして、食糧事情も幾らかよくなりましたのと、荷物の入り方が幾らか少いような心持ちかありましたので、二十四年四月以降値下げを徳通すべく、相当各荷役業者に交渉いたしました。あいにく二十四年はちようどはしけ業者で申しますと、恥東港運株式会社が解体いたしまして、各独立体になる時期でありましたので、引取る上から見て、引取れば当然サービス荷役をしなければならぬ関係から、作事等に非常に経費がかかるというので、なかなか応じてくれません。これは全国的な問題でもありますし、常にこういう契約は本国の許可を得て締結いたしておるわけでありますので、本団とタイアップいたしまして、相当強くつつぱつたのでありますが、辛うじて二%何がしかの、顔を立てる程度しか負けていただけません。さらに公団解体後、各荷役業者がお得意の争奪戰から、協定料率と申しますか、それを下まわつた競争がはげしくなりましたので、これを利用いたしまして、さらに私の方も値下げを慫慂したわけでありますが、十一月ごろになりまして、ようやくわれわれの要望がいれられまして、そのときは幾らになりましたか、四、五パーセントぐらいの値下げをさせることができました。  公団の諸掛り等につきましては、本団に業務局というのがございまして業務局が全国を統轄いたしております関係上、それぞれの出先の場所は、それぞれの業者と交渉いたしました顛末を逐一本団に申し入れまして、本団のOKをとつて契約することになつております。思うほど値下げをさせられなかつたことは、はなはだ遺憾に考えております。
  1071. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかしその後運賃が一割五分から三割ぐらい安くなつたのじやないか。
  1072. 松田三郎

    松田証人 最近でございますか。
  1073. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうです。荷役賃が。五%ぐらいではないようですよ。
  1074. 松田三郎

    松田証人 両方合せて私の方は七・八パーセント……
  1075. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一割五分ないし三割だから、たいへんな差だが……
  1076. 松田三郎

    松田証人 当時のマル公から見まして私どもは約一割ぐらいにしかなりませんでした。
  1077. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 おもにどういうものを相手にしておりました、運送、荷役は。
  1078. 松田三郎

    松田証人 いろいろございまして、鉄道納めの方は日通でありますし、はしけの方は回漕業者……
  1079. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京港運か。
  1080. 松田三郎

    松田証人 東京港運は早目に解体いたしましたので、最近のものは運送業者全部でございます。
  1081. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小川運輸というのがあるそうですね。
  1082. 松田三郎

    松田証人 あります。
  1083. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは一番大きいのですか。
  1084. 松田三郎

    松田証人 大きいのでございます。
  1085. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ずいぶんもうけたそうだな、たいへんなものだそうですな。
  1086. 松田三郎

    松田証人 そうですが。
  1087. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはあなたが一番よく知つておるだろう。いわゆる新興成金だそうだが、たいへんなものだと世上言われておりますが、事実はどうですか。
  1088. 松田三郎

    松田証人 向うの内容は私にはわかりません。
  1089. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷役奨励金というものが出ておつたそうですね。
  1090. 松田三郎

    松田証人 私には記憶がございません。
  1091. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方で出さなければ本団で出すのか、まさかそんなことはないでしよう。荷役はあなたの方で取扱うのだから……
  1092. 松田三郎

    松田証人 そういうことがあるかどうか、帰りましてからまた調べて御報告申し上げますが、私の記憶にはございません。
  1093. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの知らぬものが出るわけがなかろう。奨励金などという、あなたの知らぬものが出ておつたらたいへんだ。
  1094. 松田三郎

    松田証人 法定賃率以上上まわつておるものはないのですから、奨励金は出ておるわけはないと思いますが……
  1095. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方から出ておることに間違いないそうですよ。
  1096. 松田三郎

    松田証人 さようでございますか。
  1097. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 世界の事情はかわつたかしれませんが、二箇月、三箇月でたちまちにして一割五分ないし三割下る運賃であつたものを、あなた方、公団当時はもつとこれを下げさせる方法はなかつたのですか。
  1098. 松田三郎

    松田証人 そういう交渉はしたのでございますが、今にして思うと遺憾にたえませんですが、できませんでした。
  1099. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いわんや奨励金が出るに至つては、ますます驚くべきだね。あなたほんとうに知りませんか。
  1100. 松田三郎

    松田証人 知りません。
  1101. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 局長の知らぬ金が出るということはなかろう。
  1102. 松田三郎

    松田証人 どういう性質の奨励金になつておるのですか。
  1103. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷役奨励金です。荷役というのは全国に統一しておるのですか。
  1104. 松田三郎

    松田証人 統一と申しますと……
  1105. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全国をたいてい統一しておつたか、所によつて上げ下げがあつたのですか。
  1106. 松田三郎

    松田証人 それは幾らか違つてつただろうと思います。
  1107. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小川運輸に至つては、二億九千四百万円の利益が出ておるでしよう。
  1108. 松田三郎

    松田証人 そんな金額になりますかな。
  1109. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これもあなた自身の商売であれば、もつとたたく方法があつたろうと思います。  東京、横浜に石炭協会というものがありましたね。
  1110. 松田三郎

    松田証人 ございます。
  1111. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはどういうことを目的でできたものですか。
  1112. 松田三郎

    松田証人 荷後炭を收集いたしまして、公団に納めておつた機関であります。
  1113. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷後炭というのは、一体たれの所有物だと心得ておられますか。
  1114. 松田三郎

    松田証人 公団になりましてからは、大体公団所有物だと考えます。
  1115. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが協会から買つておるようですね。
  1116. 松田三郎

    松田証人 買取りという名は使つておりますが、收集料として拂つております。
  1117. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 山元石炭料と同じものをやつておるそうじやないですか。
  1118. 松田三郎

    松田証人 はい。
  1119. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それじや買つておるのじやないですか。名前は收集料か知らぬが、そんなに出さねばならぬものですか。
  1120. 松田三郎

    松田証人 それはあまり安くいたしますと、他へ横流れするおそれがあるという観点から、ああいう値段にしたのであろうと考えられるわけであります。あれも全国に——東京、横浜以外にもございますので、本団の業務局が物価庁と打合せの上で、支拂い金額がきめられたわけであります。
  1121. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 物価庁の承認を得ておるようですが、きめるのは公団ですね。——そこで東京、横浜いずれにもあなたが関係しておいでになりますね。
  1122. 松田三郎

    松田証人 はい。
  1123. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京は何でした。
  1124. 松田三郎

    松田証人 理事でございます。
  1125. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 俗に筆頭理事と言われておる。横浜は……
  1126. 松田三郎

    松田証人 会長でございます。
  1127. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前は……
  1128. 松田三郎

    松田証人 顧問をいたしておりました。
  1129. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方で荷後炭は協会から買つておるのですね。
  1130. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1131. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 協会売主であなたの方は買主ですね。
  1132. 松田三郎

    松田証人 はい。
  1133. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう売主買主と、両方にあなたは責任者として関係してさしつかえないものですか。
  1134. 松田三郎

    松田証人 荷後炭は所有権公団に大体あるわけでありますので、いわばこれを直営すべき筋合いかとも考えるわけであります。第八軍の横浜の方にも一度お目にかかりまして、この御意見等が出たのでありますけれども、なかなか荷後炭の收集というものは、以前からある仕事でありますが、なまやさしいことではあの事業はやりきれないものですから、従つて協会のようなものを間に介在させて、一種の公団の代行機関のようなかつこうでやることになつてつたわけであります。私たちがこれに関係いたしますにつきましても、もちろん本団の御了解を得ておりますし、むしろ考え方によりましたら、積極的に指導の立場にあらねばならぬというような本団の一部御意向もありまして、荷主のようなかつこうでありますが、関係を持続しておつたわけであります。
  1135. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 われわれには非常にふに落ちない。さつきの今井証人に聞くと、あなたが会長で、今井氏は専務理事ですね。そこで東京配炭局契約をするときには、あなたが配炭局の代表者になつて出されたそうだが、ほんとうを言えば、その売人もあなたが代表者だ、買人もあなたが代表者だ、それを名前をかえて今井にしておるそうだが、私ら法律家だが、さようなことは法律上絶対に許せぬものと心得ておるが、あなた方のところではそういうことはさしつかえないものかどうか、売主の代表者であり買主の代表者である、それが契約するということはあり得ることですか。
  1136. 松田三郎

    松田証人 どうも法律的な解釈は私はよくわかりません。
  1137. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれにだつてわかることだ。売人と買人と一人で契約をしておつては、たまるものじやない。そんなことは法律を知らぬでもわかりきつておる常識だ。それからはなはだ失礼だが、あなたは東京配炭局長なんでしよう。
  1138. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1139. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこにおられるのですか、いつも勤めておられるのは。
  1140. 松田三郎

    松田証人 配炭局におります。
  1141. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 場所はどこですか。
  1142. 松田三郎

    松田証人 浅草橋です。
  1143. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから東京石炭協会事務所はどこにあるのでありますか。
  1144. 松田三郎

    松田証人 茅場町であります。
  1145. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 横浜は横浜港でしようね。
  1146. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1147. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際を言つてそんなに事務がとれますか。
  1148. 松田三郎

    松田証人 それで当時、実は前の会長松永氏がやめられたあと、ぜひ私にというお話がありましたのですが、固辞いたしました。本団との打合せで、やはりこれは局長がやつたらよかろうというお話で、私が受けることはいたしましたが、私は東京に忙しい仕事を持つておりまするので、とうてい前任者のようなめんどうは見られませんものですから、たまたま私の方の業務部長が横浜在住者でありますので、この方を会長代理的にお扱い願うことを前提として、名前だけ私が会長を引受けたようなことになつております。
  1149. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前に、顧問はどうですか。顧問だつてできはしますまい。
  1150. 松田三郎

    松田証人 たまにしか……
  1151. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは協会として、あなたに名前を連ねてもらうことが非常に便益であるがゆえにやつたものと思うのだが、どういう便益があるのですか。
  1152. 松田三郎

    松田証人 それはよく私にはわかりませんけれども、実は私も過去において、荷後炭協会の前身、重要物産同業組合法によります石炭同業組合というのがございましたが、そこの常務理事もを長くいたしておりましたので、おそらく私の過去における経験を活用するような気持で顧問に推戴を受けたのた、さように私は考えております。
  1153. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかしあなた方公団というものは、国家公務員ですからね。
  1154. 松田三郎

    松田証人 従いまして、これは公務員法に基きましてその筋の御認可も得ておるはずでございます。
  1155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 認可した者もどうかと思うが、認可をすればいいといつてつて行く人は、なおさらわれわれにはどうかと思われる。たいへんな利益のあるものですね、先ほどから聞いてみると。
  1156. 松田三郎

    松田証人 需給のバランスのとれない時分には、もうかることになるのでありますが、しかし非常に損をしなければならぬ時代も実はあるわけなんでございます。私も過去において関係いたしておりました時分に、たいへん赤字が出て、組合自体がピンチに陷つたようなことも実はございます。最近はたいへん荷物が足りませんものですかり、利益は相当上つてつたように考えまする
  1157. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京協会も神奈川協会も、いずれもその大部分はあなたの方の主脳者ですね。
  1158. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1159. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう自分の手下の、自分で直接やるべき仕事をやつておる、そういう利益のあるものへ公団の公務員が入つて行くということは、これはあなた方はそうでないと言われるかもしれぬが、世間では非常にそれに疑惑を持ちます。だからトンネル会社と言われておる。公団の幹部が利益を得るためにつくつたトンネル会社だと言われておるのです。それが社団法人にはなつておりますけれども。  ことにあなたには、横浜から車馬賃が来ておりますね。
  1160. 松田三郎

    松田証人 はあ。
  1161. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 顧問料も来ておりますね。そういうことはさしつかえないですか。
  1162. 松田三郎

    松田証人 私はさしつかえないと思つていただいたのでございますけれども。
  1163. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京からは。
  1164. 松田三郎

    松田証人 いただいておりません。
  1165. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か十万円あなたにお上げすることになつておるそうですね。
  1166. 松田三郎

    松田証人 それは協会の改組を契機として、記念品を贈呈するという委員会の案を総会で出されたのでありますが、私は公務員でありまするし多額な記念品は頂戴すべからざるものと心得まして、かたく辞退の意思を表示いたしたのであります。また今後ともそういうものを頂戴する意思は毛頭持つておりません。
  1167. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 出ることにきまつてるようですね。決議してしまつたようだ。
  1168. 松田三郎

    松田証人 しかし御存じの通り、あれは定款の規定から参りましても、予算でありまするので、その筋の認可を必要とするわけであります。まだ認可の手続もとつておりません。なおまた最近改組されまして、参加いたしました者は生産業者販売業者の方が相当おるのでございます。私の固辞いたしております意思の反映は、そういう機会をとえらて具現したい。現に会長をいたしております方にもその意思表示はいたしております。
  1169. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし案はだれが立てたのですか。あなたは固辞されたにしても、あなたは理事じやないか。だれが十万円あなたに……
  1170. 松田三郎

    松田証人 私は関與いたしておりません。
  1171. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは理事ですよ。
  1172. 松田三郎

    松田証人 理事だけれども、総会でいかにして財産を処分するかということが付議されまして、小委員に立案方をまかされて、その小委員の立案いたしましたものを総会にまたかけられたわけでございます。私はそういう多額のものをもらうべき筋合いのものと考えておりませんので、はつきりお断り申し上げたわけであります。
  1173. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それなら決議しなかつたはずだ。決議したあとでいらぬと言われたのでしよう。一ぺん決議したのでしよう。
  1174. 松田三郎

    松田証人 非常に固辞したのでありますが、支出はまた何とでも考えられるからというので、会長がむりにあれは決議まで持つてつたのでございます。
  1175. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかくあなたは理事で、原案を出して、それで決議ができたんだ。今日は固辞しておられましようが、世上では私の方で手を入れたからとらぬようになつたそうだ、そう言われておる。
  1176. 松田三郎

    松田証人 はなはだ遺憾でありまするが、私の不徳のいたすところかもわかりませんが、私にそういう意思のないことを、当時からはつきり申し上げてあるのでございます。
  1177. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京石炭協会長は一月にやめられたですね。
  1178. 松田三郎

    松田証人 やめました。
  1179. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 服部……
  1180. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1181. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうしてやめたんですか。
  1182. 松田三郎

    松田証人 それは組織の内容がかわるからでございます。旧来は荷主公団であり、扱うものがはしけ業者でありました。荷主とはしけ業者の協会でありましたのが、公団が九月十五日になくなりましたので、当然荷主生産業者であり、販売業者でありますので、そういう御連中はこの協会を盛り立てるべきだというので、改組することになりました。従いましてその御連中の中から、生産業者のうちから会長を出していただこう、こういう方針のもとに話合いがつきまして、服部氏がやめられたのであります。
  1183. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほんとうですか。
  1184. 松田三郎

    松田証人 ほんとうでございます。
  1185. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一週間経つて自殺された……
  1186. 松田三郎

    松田証人 一週間でありますかな。
  1187. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十七日にやめて、二十四日に死んでおられる。それではそれはどういうわけだ。
  1188. 松田三郎

    松田証人 はつきりそのことは私にはわかりませんですけれども……
  1189. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの東京石炭協会の業務局長事務局長か、井上という人がおりますね。さつき出ましたが、初めそういうようなこと言つてつたが、私が追及したら、刑事事件が起きたがためにやめたので、死なれたのも、その原因だと言つたのですが、あなたはそうは思いませんか。
  1190. 松田三郎

    松田証人 あるいはそうかとも考えますけれども……
  1191. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あるいはじやないでしよう。どういう刑事事件です。
  1192. 松田三郎

    松田証人 東京港運関係のものと、それから協会関係のものがあるかと思います。
  1193. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 総計千何百万円かの金が行方不明になつたのだそうですね。それで申訳ないと言つてつたのだが、その千何百万円は服部氏一人のふところに入つておらないそうですが、いずれに行つておるかは聞いておりませんか。
  1194. 松田三郎

    松田証人 承知いたしません。
  1195. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう事件も聞いたことがないか。
  1196. 松田三郎

    松田証人 事件は伺つております。
  1197. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それならはつきりわかるだろう。はなはだこれに対してはおもしろくない風評があるのですが、あなた方ふに落ちることはありませんか。千何百万円の金というものは、服部氏一人が入れておるのではない。どういう方面へ行つておるか御承知ないのですか。
  1198. 松田三郎

    松田証人 わかりませんですな。
  1199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まあわからぬと言われればそれ以上言つてもしようがない。要するに聞けば、あなたにはほんとう石炭屋さんですが、この道の達人だ。先ほどからの説明を聞いておつても、あなた方のような達人がこの公団の主要メンバーになつてつて、こんなに大きな損害が出るということは、これは一体どういうのです。あなたの方だけでも、先ほどの説明を聞くと何千万ですか、何十億ですか、よもやあなたの仕事つたら、こんなに損は行くまいと思うのだが、十六億幾らに、回收不能の貸しが約二十億からのものになるだろうと思う。よもやあなた自身で商売しておられたら、かような損害があろう道理はないと思うのだな。
  1200. 松田三郎

    松田証人 そういう点で責められますと、まつたく汗顔の至りでございまして、返す言葉はないのでございますけれども、しかし当時の事情から申しまして、買いとつた石炭東京にのみしわを寄せられた結果でありますので、その点もひとつ御了承いただきたいと思うのであります。
  1201. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは何ですか、公団法で買いとらなければならぬことになつてつたのだね。
  1202. 松田三郎

    松田証人 さようでございます。
  1203. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まあそういうところもあつたでしよう。たしかに公団も惡かつたところがあろう。それからまた一つには、回收不能の原因もある程度わかつてはおりますが、それはあるかもしれぬが、それにしてもどうもひどいのだ。この間から清算人に聞いてみると、損害が最低百二十億と言われておるのですが、そういうことから、ここにおいて国政調査としてあなた方に聞かなければならぬことになつたのです。  ほかにありませんか。安部俊吾君。
  1204. 安部俊吾

    ○安部委員 証人にお尋ねいたします。先ほど運送契約あるいは荷役契約に関しましては、できるだけ運賃を安くする、その方面に努力した、結局五%くらいの値下げをしたというのでありますが、一体その運賃の特に高い機帆船というものを、必要以上に利用して、いたというようなことがあるのですが、どういうわけですか。
  1205. 松田三郎

    松田証人 機帆船は、当時はしけが非常に不足いたしました時分に利用した面はございますが、御承知の通り機帆船の運賃は、はしけ運賃より相当高まわりいたしておりますので、やむを得ず機帆船を使う場合には、はしけ以上に値下げを必要とするというので、今ちよつと記憶にはございませんが、二割以上の値下げをさして契約しておつたはずでございます。
  1206. 安部俊吾

    ○安部委員 機帆船の営業者とあなた方はどういう関係にあるのです。何か特別な関係にでもあるのですか。
  1207. 松田三郎

    松田証人 特別な関係と申しますと……
  1208. 安部俊吾

    ○安部委員 機帆船をあなた方が特に……
  1209. 松田三郎

    松田証人 必要とする。
  1210. 安部俊吾

    ○安部委員 あなた方が特にそういうものを、高い運賃を拂つてなおかつ使用せんければならぬという原因ですね。何か特殊な関係があつてそういうことをやつたのですか。
  1211. 松田三郎

    松田証人 機帆船は御承知のように主としてコークスに使つた。コークスの製造工場が鶴見、神奈川方面にございますので、小名浜でありますとか、清水というような方面にコークスをまわす場合に、油を使つての機帆船を利用しておつたわけであります。はしけが足りないときに、そのはしけをさらに廻転しようとするには、本船が非常に遅れますので、待船料がかかりますので、現場の方といたしまして、ときにあいておる機帆船を使つたという事実があるわけであります。はしけ不足から来た機帆船利用ということが、最初であつたと考えるわけであります。
  1212. 安部俊吾

    ○安部委員 それはどうしても一時的のものでなくして、大分長い期間継続したのでしよう。やはりそれははしけが不足のために、そういう長い期間機帆船を使わなくちやならぬような事情があつたのですか。
  1213. 松田三郎

    松田証人 それは現場の方で、のつぴきならぬときに使う建前になつておりましたので……
  1214. 安部俊吾

    ○安部委員 のつぴきならぬとき以外にも、これを使つたような傾向があるのですね。
  1215. 松田三郎

    松田証人 石炭に関して、平水の京浜地区の近まわりのものには、私はあまりないと考えるのでございますけれども……
  1216. 安部俊吾

    ○安部委員 それからひとり運送契約に関して非常に不正だつたのみならず、山元における計算も非常にルーズであつたということも、百何十億という非常な赤字を出す原因じやないですか。特に証人東京配炭局長として一部十県、さらに静岡県をも加えれば十一県になるわけですが、そういうような広汎な地域において、責任ある職責を全うしなければならぬところの地位にありながら、どうもさつきからの証言を聞いておりましたが、非常に不正というようなことが、單に何とかカバーしてうまく答えて行けば、それで通るというような態度が一部にある。国家のためにはなはだ相済まぬとか、国民のためにはなはだ相済まぬとか、そういうような気持は微塵もないように見受けるのでありますが、はなはだ遺憾でありまして、特にまた、これは議論にもなりまするが、横浜の神奈川県石炭協会東京石炭協会、しかもそれがトンネル会社とも称せられるような、何か利益を得んがために、特にその地位職責を利用して第二会社を組織して、しかもそこの会長となり、あるいは筆頭理事となつて、甘い汁を吸つたということは、これは結果においても証明せられておる。そういうことをやつて、公務員でありながら車馬賃もいただいた、それからいろいろなつけ届けも受取つた。しかも十万円という退職金も決議になつた。しかもそれは自分のあずかり知ることではなかつた、こういうことを言われるのでありますが、一体心境はどうですか。公団の、しかも東京配炭局局長となるものが、しかも非常な赤字がだんだん出て来る、うまく行かぬという場合に、その第二会社を組織して、そうして非常な利益を得るというようなことをやる。そういう心境であるからして、こういう不結果な、きわめて醜態を演じたことになるのではないかと思うのです。そういう場合第二会社をつくつたことには、いろいろ理由がありますが、しかし委員長言つたように、法律上これを認めることはできない。売る人に買う人でどうにでもなるのではありませんか。あなたがこれだけの物を買うと言つて、それを買い上げる。しかもそれが收集するだけの賃金にしかすぎないのでなくて、山元石炭の値と、同様の値をもつて買いとるということは、実に言語道断だと私は思いますが、その点に対するあなたの心境なり、もし弁解せられるところがあれば伺いたいと思います。
  1217. 松田三郎

    松田証人 東京配炭局をお預かりしている私の立場として、たとえ事情のいかんにせよ、十八億からの赤字が出るという見通しをつけました事実については、まつたく国家に対しても相済まないことだと考えております。その点は私の不敏のいたすところで、内心すこぶる忸怩たるものがあるのでございます。今の協会の問題については、当時私はまつたく固辞しておりましたが、本団の代行をさせるような協会に改組したのだからやれということで、遂に蹶起したようなわけであります。結果から見て、かれこれ御批判はあろうと思いますが、私の心境までそうだつたというふうに批判されることは、私としては非常に残念にたえないのであります。この点は私の気持もひとつ御洞察が願いたいのであります。
  1218. 安部俊吾

    ○安部委員 東京と横浜とでは大分距離が離れていますね。そこの会長となつて、また東京石炭協会理事になるということは、時間がないように思われますし、そういうふうに精力を分散するということは、ちよつと普通の人にはできないことですが、あなたにはできたのですか。
  1219. 松田三郎

    松田証人 会長としての職責は、自分としても全うしなかつたと思います。常に会長代理なり、専務理事なりに仕事はめんどうを見てもらつておりました。
  1220. 安部俊吾

    ○安部委員 先ほど委員長からも御質問がありましたが、何か石炭局長としての地位のあるあなたの名を掲げて——名だけの会長とか理事とかいうようなことにすぎず、それによつて何かの利益があるというような理由であなたを会長と仰ぎ、また理事に推薦したというわけではないのですか。
  1221. 松田三郎

    松田証人 そういうことはないように思います。
  1222. 安部俊吾

    ○安部委員 先ほどの証人の御答弁の中に、第八軍の責任者にお目にかかつて了解を得たというお話がありましたね。
  1223. 松田三郎

    松田証人 そうではありません。
  1224. 安部俊吾

    ○安部委員 第八軍の方にお目にかかつてあたなが許可を得たという当人はだれですか。
  1225. 松田三郎

    松田証人 荷後炭の問題は、ひとり京浜地区だけではありません。当時全国的に秩序が非常に乱れておりましたので、各地とも非常に弊害が多かつた。そこで司令部の方でも、大阪並びに若松方面まで、公団の職員を引連れて出られた事実があるのでございます。当時相前後いたしまして横浜でも、荷後炭の横流れ防止という面からお話がございまして、私がかつてそういう面にも経験を持つているというので、二世の方でしたが、その方に呼ばれて出向いたわけでございます。そのときに所有権公団にあるから、公団で直営すればよいのではないかというお話も出たのでございます。しかし私が過去の経験から申しましても、荷後炭收集という問題はなかなかやつかいな問題が付随するのでありまして、とうてい私には直営する自信がないと、かように申し上げました。たまさか協会が各地ともやつているものでありますから、しからばその協会横流れ防止の運営委員会のようなものでも設けて、さらにその目的完遂に骨折つたがよかろうということで、横浜では関係官庁の方々とときどき寄り合いまして、横流れ防止等について御相談をしたのであります。その経緯を申し上げたのであります。
  1226. 安部俊吾

    ○安部委員 私の伺つたのはその点ではありません。こういう質問が委員長からあつたのです。大体所有権公団にあるものを、協会の方で、どろぼう炭と言われるように、どこからか持つて来たものが非常に量が多かつた。それをただ持つて来て、賃金だけ拂つて、しかもそれを山元石炭と同様な価格で売つた。これははなはだ不合理ではないかというような点に触れましたところが、あなたは、いやそれは收集料としていただくことになつたのだが、第八軍の責任ある人にお目にかかつて了解を得たというようにおつしやつておりました。
  1227. 松田三郎

    松田証人 私がもしそういうふうに申し上げましたならば間違いであります。賃金等の問題につきましては、第八軍の方からは何もお話は出ておりません。
  1228. 安部俊吾

    ○安部委員 そういう風評のようなことを第八軍で許すはずはありません。はなはだもつてこれはけしからぬことであると思つております。
  1229. 松田三郎

    松田証人 さようには申し上げなかつたと思います。
  1230. 安部俊吾

    ○安部委員 これははなはだ遺憾です。もしそういうようなカムフラージをするために第八軍の名を使つたようなことがあれば……
  1231. 松田三郎

    松田証人 それは絶対にありません。
  1232. 安部俊吾

    ○安部委員 それから保險などは、配炭局としてはどういう関係がありますか。
  1233. 松田三郎

    松田証人 保險契約は本団でやつておりまして、私の方は事故があつたときだけ処理することになつております。
  1234. 安部俊吾

    ○安部委員 大分欠勤するというようなお話も承りましたが、運営の方法は非常にルーズになつた、だからどうでもいいというような点があつたように思えて遺憾であります。先ほど服部会長のことに関して質問がありましたが、服部会長協会会長で、あなたが理事つたか非常にいろいろの関係があるわけですね。理事会長というものは協会の運営、あるいは損益などに関していろいろ御相談があるわけですね。何か服部会長といろいろの関係がありましたか。
  1235. 松田三郎

    松田証人 ございません。理事会、総会以外には何も関係ございません。
  1236. 安部俊吾

    ○安部委員 しかし会長理事というものはいろいろ協議し、相提携して事を進行するようなことになつているのではありませんか。
  1237. 松田三郎

    松田証人 それは協会仕事に限つてはございますが、それ以外にはございません。
  1238. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかに御質疑はございませんか。
  1239. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつと証人にお尋ねしますが、先ほどから聞いておりますと、あなたは配炭局長としていろいろと貯炭販売し、あるいは神奈川石炭協会等において、あなた自身が販売者であり、しかも荷受人であるというような形になつているというので、何か相当の金額が行方不明になるのではないか、そこにいまわしいことがあるのではないかというような風説です。実は私は配炭公団の労働者諸君を知つておりまして、いくらかあなたのことも聞いております。ここで何もあなたを弁護するわけではないが、まことに失礼な言い分ですが、あなたは現在正直のところ財産はどのくらい持つていらつしやいますか。今の話からすると、少くとも二、三千万円くらはどこかに貯金しているのではないかというように思えますが……
  1240. 松田三郎

    松田証人 小さい家が一軒と、預金がわずかばかりしかございませんが、その家も実は友人から借金して買つているような始末であります。
  1241. 石田一松

    ○石田(一)委員 子供さんが何とか——私たちは商売がそういう関係ですが、何か劇団か何かにいて、あなたを助けるので働いているとかいうような話を聞いていたのですが、そういうことがありますか。
  1242. 松田三郎

    松田証人 はい。せがれは劇団の方の演出をやつておりながら、私の立場にも理解を持つてくれておるので、最近はアルバイトとして働いてくれております。
  1243. 石田一松

    ○石田(一)委員 それからもう一つ私が聞きたいと思いますのは、前の東京石炭協会会長がなくなられたのですね。この人がなくなられたことで一千八百万円とかいう大きな穴が明いている問題ですが、このことであなたは何か言いたいことがあるのではないですか。この際はつきりそれを、死者にむちうつとか何とかいう意味でなく——私の聞いた範囲のことでは、あなたがおそらくここで何か言おうか言うまいかというような気持があるらしいのですが、あの人がもし生きていたならば、すべてがわかるんだというようなことがあるのじやないですか。要するにあの人が死んだために、何かしらあなたのところにしわ寄せが来ているということを言いたいことがあつたら、あなたの話を聞いている私として、その面のことは死者にむちうつことになるかどうか知らぬけれども、むしろこの際これをはつきり証言なすつた方が、今後の委員会としても、この公団の始末等を調査する上において非常に参考になると思うのですが、もしそういう御意思がありましたら、もしそういう事実がありましたら、一応証言していただきたい。もしそういう事実がなければ、あえて証言を求めようとはしません。
  1244. 松田三郎

    松田証人 一千何百万円という問題は、その内容をよく存じません。しかし東京石炭協会の金を、百三十五万円だけは氏が何かにお使いになつておるという事実は、昨年の十二月に私が本人から聞いたわけであります。それも幾日でありましたか、局へ参りまして、ぜひひとつ私に助けてくれというお話が出たのであります。何事かと聞いてみましたら、その百三十五万円の金を使つた、使つたについては横領事件ができるので、理事諸君との間に私と示談書をこしらえてもらいたいと思うから、まげてひとつ調印してくれぬかというお話が出たのであります。初めて聞いて、私は実はびつくりしたのであります。たまたま次長もおりましたので、私がはつきり、それはできません。ことに大金でもありますし、私は理事の一人として、あなたと示談書を締結するようなことは絶対できませんからということで、はつきりお断り申し上げました。何かその金の出し方をほかにお考え願つて協会の横領事件というようなものを片づけていただけるならば、たいへん仕合せだ。これは、その席上には私の方の大槻次長もおつたのでありますが、私からはつきりお断りいたしました。その百三十五万円の金がどうして使われたかということが、きわめて私にふしぎでありますので、その内容を聞いてみましたところが、はしけ船は、ああいういれものでありますので、一々積み上げた石炭を看貫で受渡しするのでは、非常に非能率になるのでありまして、私が協会に関係いたしましてから、協会の得た金は公益的に使うべきであるがゆえに、東京では根府川から手ごろの石を買い求めまして、これをはかりではかつて、そのはしけ船に積み込んで、百トンなら百トンのところにマークを打つ、さらに九十トンマークを打つというようなことで仕事をする。東京も横浜も、私が協会に関係してから、協会の差益をもつて、生計の一助にもと思つて取引をお願いしたのであります。当時東京港運が一手の会社でありましたから、下請の業者にその仕事をやらせました。しかし東京港運といたしましても、その全額が拂えないから協会と折半いたしましよう。その金が合計で二百七十万円になるそうであります。そうすると百三十五万円は協会の負担であるわけであります。その協会の負担である金が、すでに東京港運が下請のものに拂つてありました関係上、その東京港運の持つ債権に該当する百三十五万円を、服部氏がその下請の会社からのブランクのレシートで領收書にいたしまして、協会の方の経理操作は完了したわけであります。その百三十五万円というものの横領事件がその筋で問題になつたから、私に、示談書に判を押してくれ、示談にしておいてくれ、こういう申入れを受けたのであります、服部氏の死をめぐりまして、まつたく死人にむちうつようで、はなはだ心苦しいのでありますが、しかし事実は事実として、ただいまのようなことがございますので、その事情を御承知願いたいと思います。
  1245. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしゆうございますか——それでは済みました。御苦労様でした。  本日はこれで散会いたします。     午後七時四十六分散会