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1950-02-08 第7回国会 衆議院 考査特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月八日(水曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 大橋 武夫君 理事 高木 松吉君    理事 内藤  隆君 理事 猪俣 浩三君    理事 横田甚太郎君 理事 石田 一松君       安部 俊吾君    岡延右エ門君       菅家 喜六君    加藤 鐐造君       橋本 金一君    村瀬 宣親君       梨木作次郎君    岡田 春夫君       小林  進君    浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (配炭坑団清算         人)      加藤 八郎君         証     人         (千代田商業株         式会社常務取締         役)      黒崎 三市君         証     人         (損害保険料率         算定委員会理事         会)      山根 春衞君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公団をめぐる不正事件配炭公団関係)     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  配炭公団をめぐる不正事件について調査を進めます。さつそく証人より証言を求めることといたします。  ただいまお見えの証人加藤八郎さん、黒崎三市さん、山根春衞さんですね。  ではこれより配炭公団をめぐる不正事件につきまして証言を求めることになりますが、  証言を求める前に、各証人に一言申し上げますが、昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて黙秘すべきものについて尋問を受けたときに限られておりましてそれ以外には証言を拒むむことはできないことになつております。しかして、証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人が虚偽の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知になつておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  それでは加藤さん、代表して宣誓書を朗読してください。     〔証人加藤八郎君各証人を代表して朗読〕    宣 誓 書  良心に従つて真実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 署名捺印を願います。     〔各証人宣誓書署名捺印
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証言を求める順序は加藤さん、黒崎さん、山根さんといたしますから、加藤さん以外の証人はいま一度元の控室でお休み願います。  加藤八郎さんですな。
  5. 加藤八郎

    加藤證人 そうです。
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは配炭公団清算人になつておいでのようですが、いつからおやりですか。
  7. 加藤八郎

    加藤證人 昨年の九月の十六日からでございます。
  8. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前は何をおやりでしたか。
  9. 加藤八郎

    加藤證人 特別調達庁経理部長をしておりましたが、九月の十四日に大蔵省に帰りまして、大臣官房勤務を命ぜられて、十六日から清算人になりました。
  10. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは大蔵省事務官のままで清算人なつたわけですか。
  11. 加藤八郎

    加藤證人 さようでございます。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 清算人はどこで任命するのですか。
  13. 加藤八郎

    加藤證人 大蔵大臣が、部下の官吏から任命するということに、政令でなつております。
  14. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 配炭公団清算事務に着手せられてから、清算方法とでも申しますか、どういうような計画のもとにやられたか、大要だけをまず承りたい。
  15. 加藤八郎

    加藤證人 清算計画という、ものを大蔵大臣から示されまして、それに基いてやることになるのであります。清算計画というのは、要するに清算をどういう方法でやるかという大きな基本方針を示されたものでございます。
  16. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 内容の大体のことは思かりませんか。
  17. 加藤八郎

    加藤證人 どの清算でも同じだとわいますが、清算事務内容は、配炭公団解散令によりますと、まず債権の取立て、債務の返済、それから残余財産の引渡し、この三つの項目になつておりますが、具体的に申しますと、解散当時ございました五百万トンに余りま石炭、それから四十万トンに余るコークス、これを処分して行くということが一つであり、また解散当時百九十億円にわたります売掛金回收して行くということが第二の大きな仕事でありまして、もう一つは、これは法律上の清算人仕事としての処分ではありませんけれども、何せ厖大な陣容から急に人を減しましたので、この多数の離職者の就職あつせんというような仕事が非常な大きな仕事なつたと思います。大体この三つにつきましてやつて来ておるわけであります。
  18. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 配炭公団からの財産引継ぎについては、特に手続でもなさいましたか。
  19. 加藤八郎

    加藤證人 財産のうちで一番大きなものは、何と申しましてもその貯炭でありますが、これにつきましては、大蔵大臣が特に閣議にかけまして、たなおろしの調査を全面的にやるということをきめられましたので、十月から十一月の半ばごろまでにかけまして、全国津々浦々にございます二千以上の貯炭場所につきまして、各貯炭のたなおろしの査定をいたしまして、その内容によつて引継ぎを受けておる次第であります。  それから債権につきましては、各債務者に対しまして債務確認書をとりつけて確かめておるのでありますが、まだ全部確認書のとりつけが済んでおりません。
  20. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのたなおろしその他の仕事が済んで、いよいよそれを処分するようになるまでには、相当時間がかかつただろうと思いますが、どういう方法でそういうものをやられて、いつごろから処分にかかられたか、その点を承りたいと思います。
  21. 加藤八郎

    加藤證人 たなおろしの調査をいたします際に、大蔵大臣の希望によりまして検査院大蔵省現地機構でございます財務部、通産省の地方機関であります通産局、経済調査庁の四官庁が立ち合うことに相なりまして、それぞれ現地調査には、少くとも一つ官庁の係官が立ち合つてつたわけであります。その際の石炭測量方法でありますが、貯炭場の姿というものは、非常に形が整つておらないものが多いのでありまして、そういうものをできるだけ形を整えて、測量をしやすいようにする方法をとりましたけれども、容積をはかつて、さらに重量のトン数を出して行くというような方法をとつて参つたのであります。こうして貯炭場測量をやりましてこの山にはどれだけの容積があるかということは、その山についてその石炭の一立方メートル当りの目方幾らであるかという目方を出し、それから容積目方をかけ合せたものを出しまして、これがその貯炭場総トン数であるという計算をいたしたのであります。しかし石炭は一個、二個と数えるわけに行かない性質のものでありますので、その正確さにつきましては、いろいろ実際と違う数字も出て来る場合も多いだろうと思いますけれども、その当時の費用と時間では、それが最善だろうということで、そういう方法をもちまして、たなおろし調査をいたした次第であります。
  22. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは実際嚴重に行われておりましたか。
  23. 加藤八郎

    加藤證人 十月の初めごろから十一月の中ごろまで、全部当つて参りました。実地検査内容としましては相当詳しくやつていただいたのでありますが、先ほど申しましたように、そういう検査方法によつて実態をつかむということは、石炭についてはなかなかむずかしいものであるということが専門家意見でありましてその結果が実際の数量とどの程度合つているかということは、わからないのであります。しかしその当時として、それができるだけの方法であつたということで、その数字をたなおろしの調査数字として、われわれはやつておるわけであります。
  24. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たなおろしは、現在現実にあるものがどれだけあるかを見るものなのですが、帳簿上、ここにはこれだけあるということはあつたわけでしような。
  25. 加藤八郎

    加藤證人 それでその山の帳簿上のトン数幾らである。それに対しましてたなおろし調査の結果幾ら出て来た、その差額が要するに多くなれば益斤になるし、少くなれば欠斤として数字が現われて参ります。
  26. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは相当の違いがあつたのじやないですか。
  27. 加藤八郎

    加藤證人 集計しました総トン数で申しますと、帳簿面に対しまして十三万三千トンの欠斤というものが出て参つております。
  28. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 帳簿面と実際のたなおろしが違つたのは……。
  29. 加藤八郎

    加藤證人 そうでございます。
  30. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはどうしてそういうたくさんの欠斤ができたものなんです。
  31. 加藤八郎

    加藤證人 この十三万三千トンは、五百万トンの石炭について決して多くないのでありまして従来の貯炭のたなおろしを見ましても、大体その程度のものは毎期末において出ておるようであります。それでそういうものが生ずるのは、要するに取扱い上のロスもございましようし、また貯炭場のいろいろな貯炭状況によつて目減りをして、すでに使えないものができたとか、あるいは見積つて計算した数字が自然に減つて来るといつたようなことでありまして、その程度欠斤というものは、従来のたなおろしの結果から見ても自然に出ているようでありまして、むしろ専門家意見では、それでは足らぬというぐらいな意見を私は聞いておるのであります。
  32. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 従来の経験と言いますと、公団ができてからのことですか、それとも前からの石炭業者取扱つた場合でもという意味ですか。どつちです。
  33. 加藤八郎

    加藤證人 私が数学的に見ましたのは、公団になつてからの毎期末のたなおろしのときの欠斤数量でございますし、それから世間で言われているのは、業者がそういうものを取扱つた場合の欠斤としても、それだけのものは当然出るだろう。むしろ足らぬぐらいだというようなことを、専門家意見として聞いたこともございます。
  34. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがこの調査がずさんであつたがために、これに基くいろいろの不正事件が、各配炭所でもたいへん起つたと聞いておりますが、そのは点どうです。
  35. 加藤八郎

    加藤證人 たなおろしの調査にからんでそういう不正があつたという話は、私まだ聞いておりません。
  36. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや調査そのことでない。調査がずさんであつた。もつと具体的に言いますと、百トンあるものを五十トンよりないと言い、千トンあるものを三百トンよりないと言つたために、それだけ余分のものが出た。それが非常に横流しをしたり、横領せられたりしておる事実があると聞いておるのですが……。
  37. 加藤八郎

    加藤證人 私たちの知つている範囲におきましては、とにかく一山ごと関係官庁のお立会いを得て確認された数量でありますので、その数字というものは、われわれの信憑すべき何よりの数字であると考えておるのであります。ただその貯炭現実処分いたしました際に、その間にまた何がしかの欠斤が出たり、あるいはものによりましては、出斤が出たような場合もありますが、現実にその山が売れて、改斤をして処分したという場合には、さらに若干のものが出ておるのがございます。その間に不正でそういうふうにやつたということは、まだ私のところで具体的な話を承知しておる者はございません。
  38. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現実こちらの調査で調べたところでは、あなたの方でこれだけあると言われるのに——もう帳簿上全然なくなつているのに、大阪ではすでに一万トンあるという事実がわかつておりますし、それからそのほかなくなつて一つもなかつたと言つたそのあとで、配炭所横流しをして事件の起つたものも一、二にとどまらずわれわれの耳に入つておるのですが、そういうことをあなたは御承知ないですか。
  39. 加藤八郎

    加藤證人 大阪帳簿に載つていなかつたというような話を聞きましたのですが、それは要するに帳簿の処理が惡くて、そうであつたことをあとで発見したということを、大阪支部から聞いております。あと、たなおろし調査の不徹底と申しますか、そういうことにからんでの不正としては、私は存じません。
  40. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体各所配炭所で、公団に勤めておつた者が、すぐ石炭販売業会社をつくつておる事実はありますね。たいてい各所でやつておるようですね。
  41. 加藤八郎

    加藤證人 職員の退職した者がそういう会社をつくつたり、あるいは会社に入つたりした事実は各所にあります。
  42. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうしてみると、今まで公団におる者と今度新しくやる者とは、大体は同一人間ですね。
  43. 加藤八郎

    加藤證人 まあ人間は同一人間ということになりますね。
  44. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでそういうことが起つて来るのではないですか。事実あなたのところでそういうことはないですか。われわれは幾つも聞いておりますよ。五百トンあるものを百トンよりないと言つておいて、そうして四百トンだけ横へ流しておる。全然帳簿上なかつたものが、何百トンそこから売れておる、そういう事実があるのですが。
  45. 加藤八郎

    加藤證人 そういう事実につきましてそのたなおろしの数量のずさんさにかこつけて、そういうことをやつたということはよく私は存じませんが、ただ解散時におきまして、解散までの間にやめたような人たちが、そういう間違いがあつて取調べられておるとか、あるいは売掛金を着服したという事実がわかつたので、私の方から告訴した。あるいは事件がわかりましてから、本人たちに責任を持つてもらつてその体面を保持させたというようなケースはございましたが、たなおろし調査の不備につけ込んだ不正事実があつたということは、ただちに言い得ないかと私は考えております。
  46. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこにあるか知らぬが、とにかくそういうことで不正の行われた事実は、相当あるようですね。それからたなおろしした後の貯炭管理はどういうふうな方法でやつておられますか。
  47. 加藤八郎

    加藤證人 この貯炭管理は、御承知のように公団末期とでも申しましようか、昨年の一月ごろは全国公団貯炭としては百万トンもなかつたものが、四月ごろから非常に急激にふえて参りまして、遂に解散時におきましては五百万トンも越えるというような貯炭ふえ方でありましたので、貯炭場場所がない。それから予定通り計画的な貯炭ができなかつたというようなことで、ずいぶんむりな貯炭をしておつたのであります。それを引受けましてわれわれやつているわけでありますが、そういう原因がありまするので、全国的に見まして、貯炭管理ということは非常にむずかしい状況にあつたのであります。それで私たちといたしましても、引継ぎを受けましてから監視人をふやすとか、あるいは鉄條網をめぐらすとかいうような方法で、最善管理方法を盡して来ているのでありますが、何せ非常に貯炭場が多いということ、人手が少いということ、それからその貯炭状況が、必ずしも管理のしやすい場所にだけあるわけではなく、むりをして方々貯炭をいたしました関係上、適当でない場所まで貯炭をしなければならないというような実情にあるのであります。それでなるべく私たちといたしましては、管理場所の不便な貯炭なんかを先に処分して参りまして、そういう管理の煩わしさを避けたいと考えまして、そういうものから先に処分するように努めている次第であります。
  48. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たいへん所々で盗難が多いそうですね。
  49. 加藤八郎

    加藤證人 そういううわさもございますので、支部を激励いたしまして、貯炭管理については、できるだけの手を打つている次第でございますけれども、中にはそういう盗炭をされたような事実がございます。
  50. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから管理を実際にはだれにやらせているのですか、各貯炭場において。
  51. 加藤八郎

    加藤證人 公団の大きなところは、公団職員がみずからやつておりますが、場所によりましては、従来からの貯炭場荷扱人とでも申しましようか、そういうものがずつとおりまして、同時にその場所貯炭管理するというような形態をとつておりますものがあつたのでありますが、解散後におきましても、そういうものが残つております。
  52. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その荷扱人に事実上管理させているのが、最も多いのではないですか。公団そのものはほとんどないのではないですか。
  53. 加藤八郎

    加藤證人 数の上から言つたら、あるいは多いかもしれませんが、私清算人になりましてから、新たに監視人公団職員として——臨時職員でございますが、そういうものを使つてやらせたことも相当ございます。
  54. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは実際に調べた者の報告によりますと、荷扱人の所有の石炭と、公団石炭とは同一の場所に置いてありまして、聞いてみると、これが公団のだと言うかと思うと、これはまたおれのだと言うし、めちやくちやなものが大分あつたという話です。だから持つて行くときにはみな荷扱人石炭になつて、かつさらわれている事実があるようですが、そういうことはどうですか。
  55. 加藤八郎

    加藤證人 貯炭場を整然とわけてやるということは理想でございますが、厖大貯炭が急にふえて来たという状況にあつたので、しかも一般の生産業者自由販売になりましてからの新しい炭も当然そこにあげなければならぬというようなことで、そういう石炭市場が非常に狭いという関係から、一つ貯炭場としての区域の中に、公団貯炭もあれば、新しい業者の山から送つて来た炭も入るというような状況になつているところがございます。しかしそういう場合は、両者の区分をはつきりさせてやつて行くようにさせてあるのでありますから、全然まじつてしまうというようなことはないはずでございます。
  56. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まじつてしまわないでしようが、同じところにあるから、荷を積んで行くときに、みな——みなと言えば語弊があるかもしれぬが、大部分は荷扱者のものだと言つて、みな一緒にあることを幸いに、積んで出るということがたくさんあつたようですけれども、これは多いだ中から何でしようが、そういう事実はわれわれでも考えられるわけです。そうなつておれば、自然扱うのは商人ですからね。  それから非常に発火したそうですな。
  57. 加藤八郎

    加藤證人 随所は昨年の秋ごろからありまして、相当ございました。
  58. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どことどこが一番多かつたですか。
  59. 加藤八郎

    加藤證人 一つの一場所で、一番多くのそういう自然発火による損失を見ましたのは、北海道の留萠とか、あるいは室蘭の三角地帯といつた所に起つているのであります。
  60. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 まだそのほかもありましよう。ありませんか。
  61. 加藤八郎

    加藤證人 あります。
  62. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どこですか。
  63. 加藤八郎

    加藤證人 仙台管内の塩釜、それから東京管内の汐崎、東京の都内だと思います。名古屋管内の伏木。
  64. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 富山県ですね。
  65. 加藤八郎

    加藤證人  はい。それから大阪管内の安治川、そういつたところなのでございますが……。
  66. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大体どのくらいずつ焼失したものですか。大体のトン数でいいですが……。
  67. 加藤八郎

    加藤證人 最近まで集計してみたものが一応ございますが、貯炭発火いたしたものが二十四万トンという数字が出ております。しかしこれは山のうち一箇所でも発火があつたという全数量をつかまえて来ると二十四万トンになるのございまして、その中でほんとに燃えてしまつて廃業になるという見込みのものが、八万トンになつております。
  68. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 失つたのは全部で二十四万トンですね。
  69. 加藤八郎

    加藤證人 それは山のうち燃えて参りますと、私どもの帳簿としては山のトン数を帳面に載せてありますので、その山全部の合計が二十四万トン。
  70. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際減炭とか廃業になつたのは八万トンですか。
  71. 加藤八郎

    加藤證人 さようでございます。
  72. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それくらいできかぬのじやないですか。留萠なんかの現状は証人よく御承知ですか。
  73. 加藤八郎

    加藤證人 一応支部報告をとつておりますので、その範囲において存じております。
  74. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もう燃えないけれども、始末にならぬからというので、消防庁か何かでその処分だといつて、全部道路へずつとまき散らしたさうで、留萠の町の者は二年分の石炭をみな持つているそうですが、——うそでないんだ。もしそれがうそであるとすれば、こつちの調査員報告間違つていることになりますが、みな処分しなければならぬというので、貯炭所から留萠の町までずつと道路にまき散らした。そこでそれをみんな町の者がとつた。ほかへ安く拂い下げたものもあるらしい。
  75. 加藤八郎

    加藤證人 さようでございます。発火いたしますと、灰にならないまでも、その熱が全面的に高くなつて発火するのでありますから、自然そういう場合に質も悪くなりまして、いわゆる保熱炭言つておりますが、そういうものは安く緊急に処分するというようなことにしてあるのであります。
  76. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうもその報告によると、留萠だけでもとてもたいへんな話らしい。どのうちでもみな二年分の石炭がたまつちやつたそうだ。そういう事実は、一体どうしてそんなに発火するようになつたのです。
  77. 加藤八郎

    加藤證人 これは結局公団の貯灰が急激にふえて来たために、貯炭場がなくて、普通よりも非常に高く積みます。七メートルも八メートルも積んだというふうなことがあるようでありますが、そうなりますると、自然と圧力が強くなり、激え出すので、しかも燃える淡はどちらかと申しますと、割合に品位の低い炭に多いのであります。結局公団末期の炭が比較的惡いものが多かつたというような事情もあると思いますが、要するに貯炭場所かなくて、むりに積んだというのが一番大きな原因になるのではないかと私には考えられます。
  78. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 石炭を受取るときには検査して受取るのでしような。ひどい質の惡いものは受取らぬことになるのではないですか。
  79. 加藤八郎

    加藤證人 清算前の事情でありますので、よく存じませんが、山元駐在員というのがおつて、検量、検炭はして受取つておるはずでございます。
  80. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、その惡いものが入つたとすれば、検査がルーズであつたということに帰着しませんか。
  81. 加藤八郎

    加藤證人 実際の規格よりもいい規格で受取るということではなしに、そういう低品位の炭が比較的多かつた。その通り質検査を受けましても、そういう惡い炭が多かつたということで、低品位の炭の貯炭が多くなつた、こういう点なのでございます。
  82. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やはり惡い炭は惡い炭として帳簿に載つておりますか。
  83. 加藤八郎

    加藤證人 はい。
  84. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何でも留萠は、貨車の中でもう火の出たものを持つて来てどんどん落して行つたという話だが、そういう話もありますが……。
  85. 加藤八郎

    加藤證人 そういう話は私は聞いておりませんが、ただ留萠なんかの貯炭の始まつたのは、そう古いことではなくて、急にふえましたのは六月、七月ころからのようでありますが、九月の初めに急に火をふいたというようなことから見ますと、われわれその他の方でも、あまり早く火がついたので実は驚いておるような次第でありますが、貨車の中で火をふいたというようなことは聞いておりません。
  86. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 掘つた炭はみな買い取らなければならぬというが、そんな火をふいたような炭も買わなければならぬのですか。
  87. 加藤八郎

    加藤證人 解散前のことなので私よくわかりませんが……。
  88. 鍛冶良作

    鍛冶委員長  それにしても、あなた方今考えてみられればわかるはずだ。そういうものが来れば燃えることはわかつているし、清算範囲にも関係のあることと思いますが、お調べを願いたいものです。いろいろの点がありますが、こういうふうでたいへんな赤字が出ると言われておるのですが、あなたの現在の見込みでは、幾らほどの赤字が出ると見込んでおられますか。
  89. 加藤八郎

    加藤證人 赤字と考えられるものは、結論的に現実にそれだけの赤字が目の前にあるというわけではございませんが、今後貯炭処分なり、僅権の回收なりをやりました結果を予想いたしまして出す数字でございますから、あらかじめ御承知おきいただきたいのでありますが、大体われわれのただいまの計算といたしましては、百十九億ばかりの赤字が出て来る。しかしこれを従来の剰余金というようなもの、繰越益金でございますか、そういうもので相殺いたしますと、四十三億はどの不足が出て来るという計算をいたしております。
  90. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 百十九億の大体の内訳を聞かしていただきたい。
  91. 加藤八郎

    加藤證人 この石炭、あるいはコークスの欠斤による損失が三十一億ばかり、それから今後の値下りと申しますか、要するに帳簿面の価格で売れなくて、値引きをしなければならないという予想のものが三十六億、それから解散から清算が済むまでの事業の運営費というものも経費として出るわけでありますから、それが大体十六億、その他取引高税の三千六百万円、あるいは支拂い利息、認証手形の利息であるとか、あるいは復金の借入金のまだ残つておるものの利息であるとか、そういうものが約七億ばかわ、それから解散後の事務運営費、人件費であるとか、事務費であるとか、そういうものが九億七千万円、売掛金回收不能額が十六億円、基本金が二億円、弁済の欠損の補填に充てるというような考えから、これも入れまして約百十九億の赤字が出る。それに対しまして、公団の従来から繰越して参りました未拂い剰余金が約五十七億ほどあり、解散前の期の剰余金が大体の予想で十八億ぐらい出る。その分を合せますと七十五億の剰余金が見込まれますので、それを差引いて四十三億だけが足らなくなつて来る、こういう計算でございます。
  92. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今の三十一億というのは、先ほど言われた十三万三千トンのたなおろしによつてつたのと、焼けた八万トン、合せて二十一万何千トン、それだけの損害ですか。もつと大きいのではないですか。
  93. 加藤八郎

    加藤證人 それだけではございません。
  94. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今後減炭することを見込んでですか。
  95. 加藤八郎

    加藤證人 さようでございます。
  96. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういうところで減炭しますか。
  97. 加藤八郎

    加藤證人 それは自然に風化欠斤するのも考えなければなりませんし、貯炭場の損失——普通の貯炭場でございますと、長年の貯炭によりまして地べたが、相等かたくきれいになつてつて、その上に積みますから損失はありませんが、にわかにつくつた貯炭場ですと、畑をすぐ貯炭場にしてしまうというようなところもありますので、そういう場合は自然に地めりをして、結局なくなつてしまうというようなことが相当考えられますので、今後生ずる欠斤を考えて見込んであるわけであります。
  98. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たいへんなものですね。減炭以外にこのような大きな損害ができるのは、あと値下りですか。
  99. 加藤八郎

    加藤證人 はあ。
  100. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 値下りはやむを得ぬかしらぬが、これだつてとるときに相当注意すれば、それほどでないという事実はありませんか。
  101. 加藤八郎

    加藤證人 この値下りという問題は、公用の石炭が割合に良質なものでありますと、値をくずさずに売れるのでありますが、非常に惡いものが多く、下級炭と見られるものが七割もあるというような状況になつております。石炭は統制撤廃当時すでに消費と見合うだけの生産があつたので、公団貯炭になりました五百万トンというものは、まつたく生産と販売の外にあるというような実情であつたのでありまして、これを売りさばくということを考えますと、統制時代に惡い炭を押しつけられておつたものが、自由になつたからよい炭を使いたいという一般の心理はいなめないのであります。ですから公団の惡い炭はふり向いてもくれぬというような状況で、自然そういう損耗の値引きを相当考えなければ売れない、こういうような見込みなのであります。
  102. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いろいろなことが考えられるのです。惡いものは惡いものとしてとつてあればよろしいのですが、相当のものとしてとつておいて、今度は実際において惡いものがあつたから値下げしなければならぬ、こういうのも相当あるではありませんか。
  103. 加藤八郎

    加藤證人 風化しやすい常磐、宇部炭というようなものは、結局貯炭をすればするほど品位が下つて行く。またそういう炭は品位が下るのみならず、塊炭が切身になつてしまうというような状況で、途中における自然の商品価値の下落ということがもちろんございます。
  104. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 初めから惡いものを惡いものとしておつたならばよいが、よいものとしてとつて、今になつたら惡くて値下げしなければならぬということになれば、公団はそれだけ損をするわけですが、そういう事実はありませんかというのです。
  105. 加藤八郎

    加藤證人 私としてはそういう事実は承知しておりません。
  106. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 帳簿の上に品位は書いてあるわけですか。
  107. 加藤八郎

    加藤證人 書いてございます。
  108. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その書いてある品位と現在の品位と違つていれば、惡いことになるでしよう。
  109. 加藤八郎

    加藤證人 たなおろし帳簿の際調査いたしまして、惡いものの格下げというようなことをいたしたわけでありますが、それは貯炭の自然的な減耗、風化というようなことで、品質の落ちて参つたのが大部分でございます。受入れた当時はたして規格のものであつたかどうかということは、清算後におきましてはちよつとつかめないのであります。
  110. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかしたなおろしのときでも、相当注意してもらわなければならぬ大きな事実だと思う。次に売さばきに困難のために相当値を下げてやらなければならぬというので、それを口実にして不当な格下げをしているという事実はありませんか。
  111. 加藤八郎

    加藤證人 格下げの点は、私たち非常にやかましく言つておるのでありまして、たなおろし調査の際の格下げは、立会い官庁が立会つてきめた内容でありますから、これをゆるめることは、何でございますが、普通の売買にあたつての格下げということは、全部本部に理由を掲げさせて、こういう事情で格を下げなければならぬということが判明したときに、それを下げてやるというようなことでやつて来ておるのであります。
  112. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こちらの方でいろいろ聞いております。次に荷後炭というものが非常に多く出たそうですが、これらの処分について今日不当に公団が金を支拂い、負担をしておるというような事実は認めませんか。
  113. 加藤八郎

    加藤證人 荷後炭の問題は、これは解散前の問題でございますか。
  114. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後においても、清算になつてからでも買いとつたりすることはないのですか。
  115. 加藤八郎

    加藤證人 ございません。精算前の荷後炭の取扱いの批判ということは、私よくわからないのでございます。
  116. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかしあなた清算人として不当なものがあるとすれば、やはりその埋め合せをすることを考えるべきじやないですか。一種の債務の取立てと同じようなものじやないですか。清算事務一つと思われるが……。
  117. 加藤八郎

    加藤證人 今のお尋ねの趣旨がよくわからないのでありますが……。
  118. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや、荷後炭という名前で出さぬでもいい。金が出ておつたりしたことが今日わかるとすれば、この支出に不当があるということは、清算人として言うべきことじやないか、こう言うのです。
  119. 加藤八郎

    加藤證人 たとえば荷後炭を実際……。
  120. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷後炭でないものを荷後炭だと言つてつたり、二十トンよりないものを五十トンあると言つてつたりしたことがわかれば、それだけ不当支出ですね、公団としてもちろん前の理事者の仕事です。
  121. 加藤八郎

    加藤證人 そういう事実がはつきりして来れば、それぞれ手続をとつて賠償させるとか何とかいうことを考えなければならないと思いますが、今までそういうことについての不当支出ということを、私耳にしておらないのでございます。
  122. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはこの事件として大いに関係のあることでありますから、これもわれわれとしてはあとでまた結論を申し上げますが、注意して清算に当つてもらいたいものだと思います。すべてこれは前のことですが、赤字百何十億などというのは、口でこそ言うが、個人でそれだけの赤字が出たらたいへんなことになるんだ。国家の金だから百何十億なんて済ましておられるのだ。これがどうして出たかをこの委員会で調べることか第一だから、それで申し上げるのです。  運送契約についてあなたとして今日、当時のやり方についての御批判なりまた見解なりはありませんか。
  123. 加藤八郎

    加藤證人 運送契約につきまして、その当時それぞれ苦心をしておつたようでありますが、特にそれが不当であるといつたようなことは、私感じておりません。
  124. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荷役契約についてはいかがでしよう。
  125. 加藤八郎

    加藤證人 荷役契約につきましては、これは本部として直接契約するのじやなく、各支部長にやらしておつたのでありますが、これにつきましては、やはりマル公価格を割つてつてもらうというような努力をしておつたようでありまして、これにつきましても、これが不当であると考えるものは、私聞いてございません
  126. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かあなたの方の公団の炭を貯蔵してある所は、非常に不便なところが多いそうですね。
  127. 加藤八郎

    加藤證人 急に貯炭がふえた関係上、従来適当な場所に置いたものがそこに置けなくなつて不便なところに置いたというのは確かにございます。
  128. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういうのもあるが、便利なところがあつても、わざわざ不便なところへ持つて行つた事実があるというのだ。そういうことはどうですか。
  129. 加藤八郎

    加藤證人 聞いておりません。
  130. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではこういうことを聞きましよう。何か一定の場所に置くと特別の荷役料はとれぬが、そこから離れると特別の荷役料がとれるそうです。奥出料がとれる。それだから全部奥出料のとれる所ばかりとは言わぬが、主としてそういう所に置いておつたという事実は言われておるのです。
  131. 加藤八郎

    加藤證人 そういう点についても、具体的な事例を聞いておりません。
  132. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは大いに調べてもらいたいものです。調査の結果われわれのところには現われておるのです。われわれはそんなことは知りはしませんから、聞いてみて、まことにあきれる話だが、事実あるようです。奥出料というものはあるのでしようね、それは間違いないでしようね。
  133. 加藤八郎

    加藤證人 私は聞いておりません。
  134. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつとでもその場所をはずれると奥出料がとれるから、なるべく奥出料のとれる所に持つて行く。これではどれだけあつて赤字の出るのはあたりまえです。保険契約については何か御意見はありませんか。
  135. 加藤八郎

    加藤證人 特に意見はございません。
  136. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 千代田商業株会社というのは御承知ですね。
  137. 加藤八郎

    加藤證人 知つております。
  138. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは保険の元請というか、一手代理店をやつてつたそうですが、これは間違いございませんか。
  139. 加藤八郎

    加藤證人 さようでございます。
  140. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その会社はたいへんもうかるそうですね。今何か厚生資金とか何とかいう名前だと聞いたが、とにかく莫大なる何千万円の金がもどつて来ておるようです、そういう事実はお認めになりませんか。
  141. 加藤八郎

    加藤證人 今のお話は聞きましたけれども、私の清算になつてからの運送関係は非常に小さくなりました。大体従来の形式をそのままやつたのでございますが、従来の取扱いが盛んに行われたときの輸送契約につきまして、千代田商事が保険の代理をやつておりまして、保険会社の方から共済会の方に寄付があつたということを聞いております。
  142. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いや保険会社ではない、代理店です。代理店が莫大な金がもうかつたものだから、もどしが来たわけです。拂わぬで済むものをそういう名前で拂つたとすれば、今日から考えて容赦のならぬことだと思うのですが、これは清算人として相当注意を拂つてつてもらわなければならぬ。これはもちろん会計検査院でやることでしようが……。しかも千代田商事というものの社員は、前に公団に勤めておつた人々だというのです。そうしてみると、どうも疑いの眼を持たざるを得ない、俗は言うトンネル会社のように思う。あなたの方になつてからも相当保険料は出ておりますね、相当の数字のようですね。六千二百万円ではありませんか。
  143. 加藤八郎

    加藤證人 そのくらいあるかもしれません。
  144. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これはわれわれの常識から考えると、相当そこに負担せぬでもいいものが出ているような気がします。今後とも大いに注意していただきたいと思います。
  145. 加藤八郎

    加藤證人 承知いたしました。
  146. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 売掛け代金の未収は十六億だと先ほどあなたはおつしやいましたが、人によるともつと大きいだろうという人もありますが、これは大丈夫見込みがありますか。
  147. 加藤八郎

    加藤證人 売掛金回收については、非常に実は強硬にやつておりますので、十六億程度で済むだろうと考えて実はその予算を立てたわけであります。
  148. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 十六億にしてもたいへんなものだ。それより出たらなお困るのだが、どうしてそういう莫大な回收不能のものが出るのですか。
  149. 加藤八郎

    加藤證人 結局公団解散前の時代について申しますと、石炭あるいはコークスを売る場合に、相手方の資産信用ということを調査して資力が薄弱であれば売らぬということもできなかつたような制度のようでありましたし、また配給キツプを持つて来れば、それには渡さなければならぬというような制度でもありましたので、そういうものがたまりたまつて、その中にとれないものもあつたということが、清算の結了にあたつて全部出て来る。従つて公団の従来の三千億ばかりの売上げ代金の中から、最後の仕上げの際にとれないものが出て来るということで、その売上げ代金の総金額から言えば、大半その程度のものが、当然にと申しては何でございますが、そういうような実情にありましたので、売掛金回收不能というものの出て来ることが予想されるのであります。公団解散後においては、要するに新しい取引としてただ炭をやるということでなしに、回收一方ですから、拂う方にいたしましても、今後新しく炭をもらうというようなときに、拂うなら拂うというような場合でも、もう今後は前に言つたような意味での取引はなくなるというのでございますから、回收が非常に困難な事情にあることをお含みいただきたいのでございます。
  150. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 清算事務に移つてから、たいへん回收がよく行つているというので、われわれも喜んでいるのですが、その反面清算前のときには、回收がルーズだつたということも予想されるわけです。一昨日の総裁の話だと、やはり拂わぬものにまでもやるようなことになりますかと言つたら、そんなばかなことはないということでしたが、それよりも取立てればとれるものを、とらないでどんどんやつていたというような事実があつたとも言われておりますが、これもあなたの就任前のことですが、これは公団様々で、公団から買つておれば支拂いが遅れるから、非常に資金が楽だつたということを聞くのですから……。
  151. 加藤八郎

    加藤證人 公団の時代でも、代金の取立については故意に怠慢であつたということはなかつたと思います。
  152. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これこそ済んだあとの祭りですが、今後のこともありますから、よく注意していただきたい。  それから先ほどちよつと言いましたが、公団職員はたいていその勤めておつたところで、俗に言う第二会社をつくつて販売の業務に従事しているそうですが、どうですか。
  153. 加藤八郎

    加藤證人 やめた入が皆第二会社行つたということではございませんで、要するに公団職員の中で、そういう従来の経験を生かして、同志相募つて会社をつくつたとか、あるいは既存の会社に相当たくさん残つているというような実情なんでございます。
  154. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 先ほどもちよつと言つたのですが、公団におつた者と、新しい販売会社行つたものと、勤める資格が違うか知らぬが、同じ人間が当つているのですね。それだからそこに非常にややこしいものが起ると言われるのですが、あなた方として、それほどの弊害はお認めにならぬですか。
  155. 加藤八郎

    加藤證人 第二会社という言葉は俗称だと思いますが、結局公団職員で、そういう多数の人が入つている会社に対してどういう取扱いをするかということは、私も清算人になりましてから、時に注意いたしておるところでございまして一般の販売会社公団から人がたくさん行つているところの、俗に言われる第二会社との間に取引上の差別を設けたり、特別な利益を與えるということは絶対にしないようにということを、常に言つておるのでございます。そういう意味合いにおきまして、特別な利益を與えているというようなことはないと思います。
  156. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのところで使つておる者で、現在清算事務に携わつておる人は、たいてい前からおるのでしようね。
  157. 加藤八郎

    加藤證人 さようでございます。
  158. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、第二会社をつくつて向うで販売会社をやつている者と、今あなたの方で清算事務をやつている者とは、すべて元の同僚ですね。
  159. 加藤八郎

    加藤證人 そういう者か多くなります。
  160. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうなると、自然そこにいやなことが起るものですよ。  以上いろいろ聞きましたことは、赤字の出た原因がどこにあるかということと、今後あなたに清算事務に携わつてもらう以上は、一厘でもいいから赤字を少くしてもらいたいというところから申し上げるのでありまして、ただいま申し上げましたこと以外にも、清算の上で相当注意していただければ、百二十億などという大きなものでなく、幾らか減ることが多いかと思いますが、何か特別に赤字をなくするということについての御見解はありませか。
  161. 加藤八郎

    加藤證人 大蔵省公団清算をやるようになりましたのは、要するに清算による財政上の赤字を少くしなければならないという趣旨からだろうと思いますので、われわれといたしましても、赤字軽減については、常に頭を悩ましているのでございます。赤字の一番大きな原因と考えられますことは、先ほど申し上げましたように、今後の石炭の処理にかかつて来ることが一番多いのであります。それで比較的品位の惡い、しかも規格のまちまちなものが混炭されておるものもございまするし、また置場が非常に不便な所にあつて、市場とは縁が遠いというようなものが全国にありまするので、これを処分することは非常に困難なのでありまして、何とかしてこれを早く処分したい。それにわれわれの考えを申しますと、公団として一日も早く一般の消費者なり、あるいは販売業者の方に買つてもらつて、その手で今後処分して行くことが国家的に見て一番むだのないことじやないかと考えられるのであります。しかしながら今販売業者といえども、多数の炭を一度に買うだけの資力もございませんし、この際ひとつそういうものに対しまする金融でも考えていただいて引取つてもらう、そうすれば自然販売業者は自分たちの商売として、そういうものを最もよく処分する、売込みということは、やはり餅屋で、一番具体的な処分として適切な処理もできましようから、なるべくそういうふうに売り込んで行きたい。また消費者の方におきましても、多数の物をかかえ込むということは金繰り上なかなかできないのでありますが、これも必要な炭をなるべく金融でもつけて公団のものを買つてもらう、そうすれば自分の貯炭場において自分が管理するということで、むだがだんだん少くなるだろうということも考えられまして、私の今後の処分として、ぜひひとつ金融でも考えて買取つてもらうことを推し進めて行きたい。実はかように考えております。あと二、三経費の節約とか何かございましようけれども、これは金額的に見ても、大きな問題としては、貯炭をうまく処分して行くための金融をぜひお願いしたいような気がいたします。
  162. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かありますか——岡延右エ門君。
  163. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 ちよつと証人にお尋ねいたしますが、出先の清算事務所ですね。これはほとんど石炭販売業者が占拠しておるということですが、清算人承知しておられますか。またそれに対して何か特殊の契約でもしておられますか。
  164. 加藤八郎

    加藤證人 元の職員が入つております第二会社のことでございますか。
  165. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 まあそういうことでしよう。
  166. 加藤八郎

    加藤證人 そういうふうに元おつたものが会社をつくつた、それで極力事務所等を探したけれどもない、そんなことで公団の部屋の一部を、余裕ある場所を借りておるのがございます。この場合には正式に契約をいたしまして、そういうものからはつきり賃貸料をとつて、そうして公団が三月末までに清算を結了することになつておりますので、嚴重にその期間内に立ちのくということを條件として、使わせておることを承知しております。
  167. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 留萠石炭が燃燒した際、公団から消防署あるいは市役所にたくさんの寄付金をしておるといううわさがあるのですが、清算人承知しておられるのですか。またその金額はどの程度であるか。
  168. 加藤八郎

    加藤證人 留萠市に対しまして消防用ポンプだとか、ホースの損害を受けたということで、約百七十八万円ばかり請求が参りまして、本部も承認を與えまして、小樽の支部から拂つてございます。
  169. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 これは相手は公の役所ですが、火事があつた場合はそういうものを負担しなければならぬ、また実際に負担しておるわけですが、それに対して清算人はどういうふうにお考えになりますか、これは当然やるべきことだとお考えになりますか。
  170. 加藤八郎

    加藤證人 今ちよつと私間違つて申しました。本部の承認を得てと申しましたが、未承認のままでやりましたのでございましたが、その事実を聞いたのであります。おそらく小樽の支部といたしましては、留萠貯炭場発火をいたしまして、消防署のごやつかいになつた。ああいう貯炭場の火事というような場合には、ホースも非常にいたむし、またそのために消防自動車も特にひどく酷使されて、結局そういう減耗を何とかしてやりたいというような考えから、小樽の支部ではこういう金を市に出したのではないかと思うのでございますが、支部がそういう点につきまして、十分に本部と事前に打合せて承認、あるいは研究をするという点について、若干そういう手続をしなかつたということについて手ぬかりがあつたと思われます。
  171. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 証人欠斤が十三万三千トンとおつしやるようでありますが、荷後炭として買入れた二十一万トン余りもあるのでありますが、この欠斤と少し食い違いがあるのではないかと思うのですが……。
  172. 加藤八郎

    加藤證人 荷後炭の買入れについては、これはいつごろの買入れでございますか。
  173. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 各協会からの買入れた総数です。二十何万トンというのは……。
  174. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 売掛け代金の大口滞納先はわかつておりましようか、大体のところで……。
  175. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは調査部に報告が来ております。
  176. 岡延右エ門

    ○岡(延)委員 要するにいろいろな原因がかち合つて国庫に大きな負担をかけることになつておるわけですが、その総額があるいは数千万円、数十億と言われ、あるいは大きく見積る者は百二十億、こういうふうに想像しておるのでありますが、清算人の現在までやつておられる段階において、どの程度の負担を国庫にかけるものか、その見通しがわかつておれば申し述べていただきたい。
  177. 加藤八郎

    加藤證人 百十九億という損失を予想いたしましたのは、これは予想でございまして、もちろん今後の成行きでどういう結論が出るかということはわからぬわけでありますが、われわれといたしましては、予算の範囲内でぜひまかなつて行きたい。さらに今後国会で予算を承認されました場合に、四十三億という赤字のことは認められましても、それ以内において、できるならば赤字を少くやつて行きたいと考えておるのでございますけれども、現在の予想といたしましては、先ほど委員長からのお尋ねがありましてお答えいたしましたような各理由に基きまして、大体百十九億というような赤字を予想されておるのでございまして、今これよりも少く、どの程度までになるというような見込みはございません。
  178. 浦口鉄男

    ○浦口委員 一つお尋ねいたします。公団が昨年の九月十五日に清算事務に入ります当時に、石炭だけでも四百八十万トンの貯炭があつたわけであります。この貯炭が非常にふえたことは、石炭生産業者公団の廃止と需要の減退を見込んで、末期においてどんと売り込んで来たという原因もあるのでありますが、それが現在でも非常にさばけないでいるという原因は、いろいろあると思うのであります。その一つ原因といたしまして、従来石炭の配給は、安本において重点的にチケツトを発行していたわけでありますが、昨年の春ごろから石炭が増産されて来たことと、いわゆる有効需要がだんだん減退して来たにかかわらず、末期において安本が従来の重点配給ということを相かわらずかえないで、一般の民需に対して切符を発行しなかつたために、このストツクが非常にさばけなかつた、こういう原因も言えるのでありますが、そういう点についてお考えはございますか。
  179. 加藤八郎

    加藤證人 貯炭のふえて参りました状況を計数的に見ますと、私たちの方の調べといたしましては、二十四年の一月ごろまでは百万トン越したことはございません。大体公団貯炭として残つておりますものは三十万トン、四十万トンというような状況であつたのでありますが、これが二十三年の九月ごろから若干ずつふえて参りまして、去年の一月ごろは九十三万トンというようなストツクであつたのであります。それが二月、三月、四月、五月とだんだんふえて参りまして遂に六月には二百三十万トン、二百万トン台になり、さらに七月には三百万トン台になり、八月には四百万トン台になりまして、九月の十五日には五百三万トンというような厖大貯炭になつて参つたのであります。これは生産計画が四千二百万トンの計画として実施されたものが着々効を奏しまして、ふえて来たというようなことが一番大きな原因でございましようし、またその雲要の面から申しましても、長い統計の数字は私持ちませんけれども、昨年の一月、二月、三月あたりは大体二百八十万トンか三百万トン程度の需要のような統計が出ておるのでございます。それでこのわれわれの持つおります貯炭の五百万トンの内容は、先ほども申し上げましたように、非常に惡い炭が多いのでありますが、もつともそういうものは、結局市場から見ますと今利用されないものがございまして、処分に困つておる時代なのでございます。この増産が順調に行つたというようなことが貯炭の大きな原因であり、また公団の廃止ということを見越しまして、生産業者としても極力これに乗つかろうということで送り込んだというような現象も加わつておると思われます。
  180. 浦口鉄男

    ○浦口委員 そういたしますと、とりわけ清算事務に入つた当時の安本の、いわゆる石炭の需要計画が非常にまずかつた、こういうことをお認めになりますか。
  181. 加藤八郎

    加藤證人 解散前の安本の計画の立て方並びにそれによる切符の配給の方法というような実際の動きは、私あまり詳しく存じませんので、責任ある御返事をいたしかねますので、御勘弁を願います。
  182. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 簡単に二、三お尋ねいたします。  先ほど委員長の御報告の中で、初めの方にお話があつたのですが、清算が進められておられるけれども、三月中に済まさなければならない、その見通しはどういうことになつておりますか。
  183. 加藤八郎

    加藤證人 結論を先に申しますと、三月までにいたしますことことは、非常に至難と考えられるのでございます。実はこの配炭公団解散の時に、清算結了の時期をいつにするかということが相当問題でございまして、その当時の関係省といたしましては、打明けた話を申し上げるのでありますが、事務的に見てどうしても一年ではむりだというので、解散令の原案には今年の九月末までに清算を結了するというように書いてあつたそうであります。それが関係方面の非常に強い意向もありまして、三月までにやれということで、政令が三月末になつております。もともと非常にむりであつたという気もいたすのですが、私これを引取けて見て考えますと、大体出百万トンございました貯炭が、一月末ごうまでに大体半分しか処分できませんでした。あと二箇月ばかりの間にこれを急速に処分せざるを得ないのでありますが、これを急に処分することになりますと、どうしてもダンピングでもしなければ売れないことにもなりますし、またそういう足元を見誘かされてたたかれるおそれもありますので、できたら若干今の期日を延ばしていただきたいような感じを私は持つております。
  184. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 今お話の貯炭の未処理分は半分くらいあるというお話ですが、具体的に数字をお伺いしたい。  それから若干清算結了の期日を延ばしてもらいたいということですが、大体どれくらい延ばすというようなお見通しをつけておられますか。
  185. 加藤八郎

    加藤證人 貯炭処分いたしました状況を申しますと、五百三万トンばかりの貯炭解散当時あつたのでありますが、現在までにだんだん処分して参りまして、今計数上残つておりますのは、二百七十万トンばかりでございます。そのうちすでに契約ができておつて納めなければならない、たとえば国鉄なんかに納めているわけですが、そういうものを今後ずつと取つてもらう契約数量で逐次納めている残り、要するに計画に乗つているものを総計いたしますと、さらに二十万トンほどございますので、結局まだ計画の立たないと申しますのが大体二百五十万トン程度になるのでございます。これを処分して参ることになるのですが、二箇月くらいの間に売り盡すということは、先ほども申しましたように特別な金融でもして早く消費者なり生産業着に買い取つてもらうということを考えて行きますれば、あるいは三月末までに全部買い取つてもらえるというようなことも参えられるかもしれませんが、そういうことが円滑に行きませんと相当売れ残つてしまう。しかしてこれが売れ残つて四月、五月、六月とだんだん延びて行くことは必ずしもいいことではありませんで、むしろ貯炭の質が惡くなり、あるいはまた自然発火が起るというおそれもありますので、なるべくそういう発火のおそれがあるような炭をさきに処分するつもりでありますが、しかし三月末までという一線を画しましてそれ以後は売らないということになると、三月末までにダンピングでもして処分する。そうなればまた四十三億の赤字じや食いとめられぬという実情にありますので、ぜひこれは必要な期間だけは最小限度に切つていただきたいと考えているのでありますが、それが三箇月でいいのでありますか、四箇月がいいのでありますか、今、はつきりした見通しはございません。
  186. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 非常に抽象的なお話なんですが、二百五十万トンといいますと、日本の生産の大体一箇月の三分の二くらいになると思いますが、それだけの分をあと整理して行くことになると、おそらく不可能だろうと思う。しかしあなたのお話りように、石炭は風化して品質が下つて来るのですから、三月以後に延ばしても不可能じやないか、そこであなたは清算人としてお考えになつておられることは、三月以降に延ばしてもらいたいというお考えのようでありますが、はたして延ばしてみて清算の見通しがつくのか。むしろそれによつて赤字を累積して行く方が大きくなるのではないか。かようにわれわれは考えるのですが、こういう点について清算人の責任者として、三月以降の見通しがおそらくお立ちになつておられるだろうと思いますから、こういう点をもう少し伺いたい。
  187. 加藤八郎

    加藤證人 三月以降は持ち越すことは、ものによりましてはかえつて風化などで品質を惡くして損するということがありますが、中には貯炭管理が非常によく行つているものがありまして、今にわかに発火するとか、あるいは盗難というようなおそれのない場所ももちろんあるのであります。ことに名古屋地区は貯炭状況がよろしいようであります。そういう場合には、三月末までだということになりますと、買う方でも公団が三月末までに処分するのだから安くするだろうとか、あるいはそうでなくちや買わぬということになると値が下りますので、そういう意味で消極的に値下りを防ぎたいということで、三月以降若干延ばした方がいい面もあるという考えであります。ただ何と申しましても、残つている数量が非常に多いので、清算人の責任において今すぐ見通しが立つと申しますと、率直に申しまして実はなかなか立ちません。結局金融の援助を受けるとか、あるいは国が一般の滞貨金融の一環として、配炭公団石炭の処理等にあたつて考えてやるというようなことをお考えいただいて、処理を促進していただくようにお願いしたい。また一般的に生産業者、販売業者といたしましても、実はあまり公団の炭について関心を持ちませんが、しかしながらそういう人たちの協力を得なければなかなかむずかしいと思いますので、そういう面に向つて極力働きかけて、協力を頼むようにしたいと私ども考えている次第であります。
  188. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ともかくも今百十九億円という赤字を見込んでおられますが、二百五十万トンの貯炭が未処理のままになつて行くということを見て、赤字がプラス、アルフアーになるだろうということだけは見通しがつけられるのですが。こういう点は清算人の方でも十分注意される必要がある。  それからもう一つ、先ほど大蔵省清算計画によつて、大体清算方法は、貯炭の処理と売掛金回收財産処分と、大体三つのものである。かようにお話になつておりますが、一般の通念としては、清算の場合においては、従来の経理の問題については、これは触れないことになつておりますが、公団自体の経理については全然清算機関としては一応そのまま見ないで、そのあとの処理の問題だけをお考えになつておりますか。
  189. 加藤八郎

    加藤證人 経理の点と申しますと、公団の従来の経理というものは、自然これは取引のしりが現われて来るわけでありましてその経理の内容について何か不正の事実があつたとかどうとかということでありますれば、これは当然公団清算人といたしましても、その損害賠償を請求するとかというような手続をとつて補填しなければならぬと思います。その他普通の場合でございましたならば、時にそれを直させるというようなことは、決算上現わけているものは仕方がないと思つているのであります。
  190. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 先ほど委員長から言いましたように、百十九億円という厖大な額に上つており、巷間うわさされるところによると、経理上の問題について相当疑惑がある。また検事局なんかにおいても、経理上問題を地方の支部等において調べられている事実がある、帳簿上のものがそのまま正しいものという上に立たれて、清算人清算を進められて行くということが、はたして妥当であるか。こういう点をもう少しお伺いしたい。
  191. 加藤八郎

    加藤證人 はつきりそういう事実がわかりまして、損害賠償の民事訴訟と同時に、事件をこちらから告発したような場合もございまして、そういうものは判明次第清算人として処置しなければならないと考えております。
  192. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それから先ほど剰余金として七十五億円、その内沢に上半期の剰余金が五十七億円あつたというようにお話になつたように聞いたのですが、この五十七億というのは当然公団解散以前の收益でありますが、これは公団法によると二箇月以内に大蔵省に金を返さなければならないことになつている。ところが清算人証言、あるいはまた総裁の証言、すべての証言は五十七億円を返さないで、そのまま握つておられるように私は聞いたのであります。こういう点につきましてその間の事情、もしお返しになつておらないとするならば、われわれから言いますと公団法の違反になる、かように考えますが、いかがなものであります。
  193. 加藤八郎

    加藤證人 五十七億と申しましたのは、二十三年度下期までの分であります。これは一部納代命令が参りまして、六億何がしかを前に納付した事実がございます。これは納付命令によつて納付することになつているそうでありまして、これは命令がないから、おそらく決算上そのまま残つているのだろうと考えております。
  194. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 これは加藤さんは大蔵省の方ですからおわかりでしようが、公団法の規定から言いましても、当然これは二箇月以内に納付することになつている。あるいはまた復金債その他の問題において、公団関係の復金に償還すべき金としては、私ははつきりした記憶がありませんが、たしか六十億円に近いものがあつたはずでありますが、これは当然この剰余金の中から償還されて行かなければならない金であります。こういう点が全然見られないで、清算の場合において、これはまだ命令が出ておらないからそのままになつているのだろう、こういう形では清算が十分にできるとは考えられない。こういう点についてもつと嚴密にお調べになる必要があるのじやないか。それから具体的な問題として二つ三つお伺いしたいのですが、公団事務所の本部の跡はどういう形になつておりますか。
  195. 加藤八郎

    加藤證人 本部の事務所は今千代田ビルというのと、それから経理は丸ビルの中にございますが、あともう一つ事務は二十八号に入つておりますが、これはいずれも借りものでございまして整理が済み次第明けて返す、こういうことになります。
  196. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 公団のものじやないのですか、建物は……。
  197. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全部借りものです。
  198. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 公団あとに日本海陸運輸株式会社というのがあるのは御存じですが。
  199. 加藤八郎

    加藤證人 これは明き次第、これを逐次持主の方に返すのでございます。返したものをまた海陸運輸の方に、こういうことです。
  200. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 いや、そうでなくて、海陸運輸が借りておつたのは御存じですか。
  201. 加藤八郎

    加藤證人 存じております。
  202. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうすると、馬屋原という人がここにたしか勤務しておるはずですが、公団時代にこの人はやはり公団の事務局長か何かやつてつた。この人が海陸運輸に勤めておることも御存じですか。
  203. 加藤八郎

    加藤證人 知つております。
  204. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでこの海陸運輸には、たしか公団貯炭用の石炭の一手運送をやらしておるはずですが、そういう事実がございますか。
  205. 加藤八郎

    加藤證人 一手運送というのは何ですが、国鉄に納める分につきましての取扱いをやらしてございます。
  206. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 国鉄の分だけですか。
  207. 加藤八郎

    加藤證人 そうでございます。
  208. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それじや馬屋原という人は業務局長であつて海陸運輸の石炭部長もやつた。先ほど委員長の言われたように、同じ人間が二会社の中にもぐり込んでおる実例を明確にしておるわけです。  鉄道省用炭を運送させるということを海陸運輸にきめさせたのは、たしか清算人清算に入られてからだと存じますが、そうでございますか。
  209. 加藤八郎

    加藤證人 入つてからでございます。
  210. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それはどういう方法で省用炭を運ばせるように契約をされましたか。入札によりましたか、随意契約によりましたか。
  211. 加藤八郎

    加藤證人 公団の方で直接にやれるものはなるべく自分でやつて参りますが、全国的に人員不足というようなことで、間に合わぬ場合にはそういう取扱いをやらせるということにいたしておりまして、その場合にどういう値段でやるかということを、一番われわれとしては問題にいたして研究いたしたのでありますが、日本海陸にやらせたということは、結局省用炭につきましてその会社を使うことが一番便利である。国鉄の方でも、従来から省用炭につきましては、その会社が取扱つておるようでございますし、そういう便宜をはかりまして、やらせて行くように決定いたしたのでございます。
  212. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 その契約の方法はどういう方法ですか。
  213. 加藤八郎

    加藤證人 随意契約でございます。
  214. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 そうなつて参りますと、先ほどの委員長のお話の通りに、公団時代に業務局長であつた人がトラルク関係仕事をして、随意契約でこれをやつて行くということになつて参りますと、先ほど清算人のお話のように、ことさらにいわゆる役職員で差別を設けて、させないようにしておるという言明をされておる。こういうお話と大分かわつて来ると思うのですが……
  215. 加藤八郎

    加藤證人 その取扱いについて、全国的に一元的にやれるというところを見てやらしたわけでありまして、また一面国鉄の方でも、従来の取扱いから見てやらしてほしいというような意向もありまして、それでそういうふうに落ちついたわけなんであります。
  216. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それではあともう少し簡單に……。日本海陸運輸というのはわれわれの調べた限りでは、部屋の賃貸料も拂つておらないし、馬屋原という人は、前の業務局長であつたころの地位を相当利用して、清算後も食い入つておるというような事情をわれわれは聞いております。こういう点について、風説等何かお聞きになつておりませんか。
  217. 加藤八郎

    加藤證人 部屋の賃貸料をどうこうということはないだろうと思います。また前の業務局長であつた関係を利用して、いろいろ公団の内部に巣を食つてどうこうしておるということは、私はないと思つております。
  218. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それからもう一つお尋ねいたしますが、公団時代の現務課長というのですが、佐藤晋という人を御存じないですか。
  219. 加藤八郎

    加藤證人 存じておりません。
  220. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 それでは公団の廃止と同時に、公団の持つておるトラツクをほとんど全部拂い下げて、別な会社をつくつたといううわさなり、事実なりを御存じないですか。
  221. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 清算前ですね。
  222. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 切りかえのときですかね。
  223. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 清算人に移らぬ前か、そこが大事なところなんだ。いずれにしてもそういう事実を知りませんか。
  224. 加藤八郎

    加藤證人 まとめてどこかに処分したということは私記憶がありませんが、トラツクの中には国有のものがございまして、資源庁の所管になつて使われておつたのであります。これが公団解散になりましてから、一般の国有財産として大蔵省の管財等に引継いだということになつておりますが、公団所有のものを一括してどうこうということは、実は私記憶がないのであります。
  225. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 私の方で調べておる資料では、大蔵省の方の国有のものとして、返されたものもあるのはもちろん事実でありますが、その残りの公団の持つておもトラツクの大半を、非常に不当な価格で——一台十万円くらいだつたと聞いておりますが、一括して拂下げを受けて、もれで第二会社をつくつて、小運送をやつておる。この中に佐藤晋という人が入つてつた。こういう事実を私確かめておるのですが、こういう事実をお聞きになつたことはございませんか。
  226. 加藤八郎

    加藤證人 私どもその話を詳しく承知しておりませんので、よく調べてみます。
  227. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 ともかくそういうような形で小運送会社をつくつて、しかも清算人に移られましてから、公団貯炭の小運送契約を、入札でなくて随意契約でおきめになつてつておられる。こういう話をわれわれ聞いておるのです。この点をお聞きいたします。
  228. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その会社の名前はわからないのですか。
  229. 岡田春夫

    ○岡田(春)委員 名前がどうもはつりしないのですが、もう少したつたらわかります。
  230. 石田一松

    ○石田(一)委員 簡単にお尋ねいたしますが、室蘭の貯炭場の一万二千七百トンというものが、廃棄炭として無償で販売会社に譲り渡されておるという事実があるのですが、これは清算人として承認していらつしやるのですか。
  231. 加藤八郎

    加藤證人 室蘭の山嶽地帶の発火いたしました保熱炭処分いたします際に、結局灰になつたものも相当ありますので、その処理と、それからそのうちから売れるものも若干あろうと思いますので、その売れる收入と見合いますと、むしろ公団自身で処分しても利益が出て来ないというようなことで、処分したという事実を知つております。
  232. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうすると、それは灰になつた部分と売れる部分との率を検討なさいまして、その結果公団として事実上これを処分する場合に、これはお売りにならぬ方が利益であると、こういう観点に立つて、廃棄炭として一部のものを、すなわち一万二千七百トンというものを廃棄したということは、精算人として御承知である。そこでただいま申し上げました一万二千トン余の中に、いわゆる売れる可能性のあるものが八千トンばかりあつた。しかもこれがトン当り千五百円とか千七百円で市場に売出された。こういうことがあつたのですが、そういう計算からいたしましても、これは廃棄炭として宣言して、無償で販売会社に譲り渡してやらせた方が公団の利益になつたのかということをお尋ねしたい。
  233. 加藤八郎

    加藤證人 私たちの方で支部から報告をとつたものによりますと、その廃棄される炭の実際に商品価値として売れるものが、どのくらい含んでおるであろうかということを、支部で計算したそうであります。その際に大体四千トンは売れるだろうというような計算をして、一方それをシフトする費用と見合いました際に、これでは利益が出ないであろうということでやつたということありますが、あとでいろいろ処分先の実情を調べてみますと、結局見込みよりも若干売れるものが多く出たために、三十万円ほど利益が出てあつたという結論になつたという報告がございます。
  234. 石田一松

    ○石田(一)委員 そうしますと、これは支部人たちが、少くとも支部人たちを使つてすなわち公団支部処分をするならば、支部の後の計算においても、たとえばただいまの三十数万円というわずかな金だかどうか知りませんが、それだけでも利益があつた。しかも実際にこれをやつたならば、嚴密に廃棄の中にどのくらいの販売価値のものがあつたかということを検討するならば、おそらく私はこうしたことはなさらなかつたのではないかと思いますが、しかしながらこれはそういう報告を受けていらつしやるという清算人の御証言でありますので、それでとどめます。  聞くところによりますと、いわゆる売掛け代金の未回收のものを、最近相当強力に回收手段をとつてやる。こういうことを聞いておるのでありますが、これは公団清算人という責任で、この未回收の売掛け代金を強硬に回收するのか、それともこれは大蔵省とか何とか、当局にその回收を委任して、たとえば税金の徴收のような形でやるのか、こういうことであります。
  235. 加藤八郎

    加藤證人 配炭公団売掛金回收は、これはどこまでも公団債権としてございますので、国税徴收法の適用をもつてやるということはできません。それで公団としてできる限りこれを強力に取立てるというだけの方針でございます。
  236. 石田一松

    ○石田(一)委員 公団のいわゆる債権であるので、これを強力に御回收なさるということは、まことにけつこうな処置であると思うのでありますが、要するに強力に未回收の売掛け代金を回收するという、その強力ということですね。それはいわゆる徴税法によるところの、そういう性質のものではない。しからばそれはただ單に民事のいわゆる訴訟として債権債務関係で、法廷の争いに持つて行くのか。それともその他に強行する方法があるのか、こういうことであります。
  237. 加藤八郎

    加藤證人 私たちの今までやつて参りましたことを申しますと、その債務をはつきり確認してもらつておかなければならないという点がありますので、その確認書をとりまして、それからできるだけ早く拂つてもらう。しかしこういうときでございますので、一度に取る上げられてしまうと会社が経営が成立たない。場合によつては破産をするというようなおそれのあるものもございますので、それで大半三月までに清算を結了するという前提のもとに、月賦にでもしてとにかく間違いなく納めてもらいたいということを約束し、公正証書の契約をとりかわしたり、あるいは銀行を支拂い場所とする約束手形をとりかわしたりして、その債権を確保しておるのでありまして、どうしても相手が拂わないというような場合には、結局民事訴訟に持つてつて訴訟をするということにならざるを得ないのであります。また現に訴訟を起しておるのもございます。
  238. 石田一松

    ○石田(一)委員 実はそれで、決して強行なさることについて私たちはどうこう言うのではありません。大いにやつていただきたいのでありますが、ただいまのお言葉の中にありました、要するに債務確認書をとつて、しかも三月末と申しますと、もうすでにあと一箇月余りでありますが、この期間に、しかし最近の各企業の金詰まりということ、それに対する対策も政府において立てておられるのでありますが、時期のずれ等もありまして要するに取立てが強行せられるということで、産業の復興等に、実際面に相当有力なる企業というものが、この強力なる回收ぶりのために、ただいまお話になりましたように経営が成立たぬとか、破産するとかいうことになる。たとい一部にしろ、私は公団石炭を廃棄したということのある反面、この部面の回收というものは、全日本の産業に及ぼす大きな問題だと考えても、決してこれは行き過ぎではないと思います。ただその中で未回收になつておる部分があるのでといえばそれまででありますが、相当大きな影響を與えると思うのであります。これについて政府とか、あるいは大蔵省あたりに直接に交渉なさいましてこれらのいわゆる売掛け代金をただ決済しないで、産業会社が何かの資金的な援助を受けるとか何とかいうふうなことを、清算人として何か政治的な方面のことをお考えになつておられますか。
  239. 加藤八郎

    加藤證人 先ほど申しましたように破産をしてまで、しかも将来さらにその会社が伸びるという場合に、むりやりにとるということは私たちとしても忍び得ないところでありまして、それでこの債権債務の処理の協議会を実はつくつてございます。これは金融機関に入つてもらいまして、公団側とそれから大蔵省、安本とかいうようなところがメンバーでございますが、これはもちろん官制上の協議会というものではありません。そういうものをつくつて、具体的にこういつた金を取立てるについては、金融機関の方でも援助して行くというような——すぐその金はとれぬけれども、さらにその会社から売り拂つた代金を回收できれば手に入つて来るという、いわゆる関連産業の金が入るという面がございますので、そういう金融機関にはあの手この手もあつて、ずつと金が入るようにやつてくれるというようなこともありますので、そういう懇談会で極力やつております。また大きなところで、国家的に見てもぜひそういう仕事を残さなければならぬというような場合には、先ほど貯炭処分について、金融を考えるようにお願いしたいと申しましたが、これはやはり売掛金回收についても私はその気持を持つておるのでありまして、大蔵当局にも実は内々そういう、問題についての援助を懇請してございます。
  240. 石田一松

    ○石田(一)委員 まことにけつこうな証言を得たのでありますが、私たち公団に対して、これだけの赤字あるいは売掛け代金の未回收厖大なものが出た。この事実に対しては、国民的な立場から相当の義憤を感ずるのであります。しかし検察庁的にあらゆる公団の問題を追究して行く。しかもこの売掛け代金を強力に回收することをわれわれが要請する立場ではあるのでありますが、しかしそのことがあまりに強行されるために、たとえば幾らかでも復興のきざしの見えている必要産業が、そのために萎靡沈滯する結果を来すことになれば、これは公団赤字を生んだ上に、その結果として日本の産業の発展に惡影響を及ぼすというような二重の惡を重ねるという結果になると思うのでありまして、ただいまの債権債務処理の協議会などをおつくりになつて、しかも金融機関、大蔵当局あたりとも十分緊密な連絡をおとりになりまして、この点についても万人が納得し得る方法で、ぜひそうした強行の中にも、いわゆる政治性を発揮してもらいたい。こういうことを私は希望として申し述べます。
  241. 梨木作次郎

    ○梨木委員 先ほど日本海陸運輸の問題が出たのですが、これに関連してもう少しこの点を聞きたいと思う。証人は今ここの常務になつておる馬屋原という人が、以前に配炭公団の業務局長をやつてつたということは御存じでしようと思うのですが、いかがですか
  242. 加藤八郎

    加藤證人 存じております。
  243. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこで、馬屋原さんが公団をやめたのはいつで、やめてから海陸運輸の常務になつたのはいつかということをお伺いいたします。
  244. 加藤八郎

    加藤證人 今はつきりしたことを存じませんが、とにかく私が公団清算人として赴任しましたときには、すでにおらない人でありましたので、いつやめて行きましたか、おそらく公団解散ということで、八月か九月の初めにやめられたのだろうと思います。
  245. 梨木作次郎

    ○梨木委員 馬屋原さんが海陸運輸へ入つてから後、それまでは国鉄用の石炭の輸送をこの海陸運輸でやつてつたのが、その後この馬屋原さんがここへ入るや、配炭公団貯炭を一手に独占して輸送をするような仕事を引受けるようになつたというふうに聞いておるのでありますが、そこのところはどうなつておりますか。
  246. 加藤八郎

    加藤證人 国鉄と折衝しまして、公団の炭を買つてもらうことになつてからの問題でございます。それは国鉄は、公団の廃止になりました直後において、一般の市場から入札で炭を買うというふうにしておられたのでありますが、これが司令部から、官需用の炭は公団の炭を優先的に使うようにというマーカツトのメモランダムが出まして、それによつてわれわれが国鉄に炭を買つてもらわなければならない。それで国鉄にわれわれの貯炭の中で使えるものを買つてもらおうということになりましたので、それから国鉄に炭を納めるという仕事が始まつたのでありますから、そのあとであろうと思います。
  247. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうなれば元配炭公団の業務局長の地位にあつた人が、今は日本海陸運輸の常務になつておる。こういう関係会社に対して、配炭公団貯炭を独占的に輸送をやらせるということを認めるとすれば、その間に配炭公団としては、今の業績から言つて、決して利益なような結果にはならない。旧の地位を利用しまして、海陸運輸の方に利益をはかるということは、常識上そう考えられるのでありますが、あなたは清算人としてどう考えますか、そういう点についての配慮をされましたですか、それを伺いたい。
  248. 加藤八郎

    加藤證人 海陸運輸にやらせるときのことといたしましては、あすこは国鉄とも人的なつながりがあるらしいのでありまして、納炭上非常に円滑に進む。この炭がよく国鉄のボイラー用に向くとか向かぬとかいうようなトラブルも、現地ではいろいろ起るらしいのであります。そういうようなときに、スムースに仕事が進められるというような便宜も考慮しまして、日本海陸を使うことがよろしいというような話を私は聞いております。その後において公団職員が、前の業務局長だというので、いろいろ特別な便宜を與えたということはもちろんないのでございますが、それぞれ現実に納めるところの職員が、日本海陸の方の現地の者に仕事をやらせておるのでありますが、その場合にアンデユー・インフルエンスを用いて、馬屋原さんがどうしたというようなことはないと思つております。
  249. 梨木作次郎

    ○梨木委員 具体的な点はもちろん材料は提供しますが、それは別として、清算人として、元配炭公団のそういう重要な地位にあつた人が、今度さらに海陸運輸の常務になつてそこのものを扱うということになれば、これは従来も公団関係については、従来の業者公団に入つたり、また公団とのいろいろな関係を結ぶような第二会社的なものの重要な地位につくということは、法律上嚴重に禁止しておる。そういう精神から言つて、少くとも私は日本海陸運輸、こういつた独占的なものに運送一切をまかせることは、私は妥当ではないと思うが、あなたは妥当だと考えられますか、あなたの判断を伺いたい。
  250. 加藤八郎

    加藤證人 その当時、いろいろ先ほど申しましたような実情から判断しまして、妥当であると思いましてやつたわけであります。
  251. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それではいろいろ不正や適当でないような取引が行われている場合に、あなたはこれをどういうぐあいに扱われますか。たとえば先ほど一つ出ました部屋の賃貸料を拂わずにおるということ、こういう点はどうなんですか。
  252. 加藤八郎

    加藤證人 先ほど申しましたように、私の方から貸しているのじやありませんで、結局私の方は部屋が明きますと元の所有者に返す。それで返すときに、向うがまたそれに貸すというようなことで行つているのでありますが、賃貸料を拂わぬでおるということは、私は承知しておりません。
  253. 梨木作次郎

    ○梨木委員 今ビルの部屋を借りるということはたいへんなことだ。  一坪十万円とか五万円とかかかつておる。それを簡単に返して、すぐまたそこを借りる。その間に、普通の常識から言うならば、やはり権利金というものがつく、そういう取引はどうなつておりますか。それについてあなたの調査は……。
  254. 加藤八郎

    加藤證人 私の方では、権利金という言葉はどうでありますか知りませんが、求償権、あの施設に公団として金をかけた、造作その他にかけた費用で価値が高くなつております有益費を償還してもらうことになつております。そういう権利はもちろん持つております。
  255. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そういうものをどういうぐあいに扱われましたか。
  256. 加藤八郎

    加藤證人 それは返還の際に、そういうものを返してもらう。
  257. 梨木作次郎

    ○梨木委員 いくら返してもらいましたか。
  258. 加藤八郎

    加藤證人 今金額は覚えておりませんが要するに坪数に応じたものをとつておりました。
  259. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とつたことは間違いありませんね。
  260. 加藤八郎

    加藤證人 とつたと思います。はつきり記憶がありません。
  261. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そのビルの持主はだれですか。
  262. 加藤八郎

    加藤證人 千代田建物株式会社
  263. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この千代田建物から配炭公団が借りるときには、権利金か何か拂つておるのじやありませんか。
  264. 加藤八郎

    加藤證人 それは拂つていないはずであります。
  265. 梨木作次郎

    ○梨木委員 昨年の八月十五日に、特殊産業向けの石炭がトン当り今まで千円であつたのが、三千四百円に上つたわけでありますが、この八月十五日以後に三井化学、三井合成へ、八月十五日前に買つたことにして、約一万二千トンを売つたことにしておるのでありますが、この点の経理並びに事実関係をお調べになりましたか。
  266. 加藤八郎

    加藤證人 今のお話の点、記憶ありません。
  267. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ちよつと待つて、いつになつてそれをやつた
  268. 梨木作次郎

    ○梨木委員 これは九月になつてから。
  269. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 精算前かね。解散したのは九月の十六日……。
  270. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その前です。八月十五日以後、九月十五日前、この期間において実際には買つておるのです。従つてそれはトン当り三千四百円拂わなければならないものを、八月十五日前に買つたと称して千円しか拂つておらないわけだ。その間二千数百万円の不当な損害を配炭公団として受けておるわけです。これをお調べになつておらない。これはひとつ調べてもらいたい。これは私の方でちやんと材料を握つておりますから。
  271. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八月十五日前は安かつたですね。そこで八月十五日前に買つたことにして、そうしてまた八月十五日前に売つたことにしたと。
  272. 梨木作次郎

    ○梨木委員 買つた方は別にして、売つた方だけ……。
  273. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団は損していないね。損しておれば、売つたことになつたもので、買つたことになつたやつがもうけておる。そこで売つたのはどこです。
  274. 梨木作次郎

    ○梨木委員 公団に売つた三井鉱山。
  275. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三井鉱山から安く公団が買つたことにして……。
  276. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その点は別にしなければいかぬ。売つた方だけにして……。
  277. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実は八月十五日以後に公団が買つて、その後に三井化学とか三井合成とかへ売つておるらしいのだ。それを八月十五日前に買つてつたことにしておつたという事実があるかどうか。これは調べればわかると思いますから、それをひとつ調べて報告してもらいたい。その実情その他を……。
  278. 加藤八郎

    加藤證人 承知しました。
  279. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 総裁はそういう事実があつた言つております。どういうことでやつておるのか。そこで公団についてそれによつて損得があつたかどうか。その点報告してもらいましよう。
  280. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それからもう一つは日新化学というのがある。この日新化学というのは、八月十五日前に買つておるのでありますが、値上りになるというので、従来のわくの少くとも二倍以上を買い込んでおるわけです。それによつてやはりもうけておる。だからこれはどうなつておるか。従来月幾らというわくがあるわけですね。その倍以上を八月十五日前にトン当り千円で買い込んでおる。これはどういうことになつておるか、この実情を調べてほしい。ここでこの間藤井総裁に伺つたら、三井関係は、期日以後のやつを期日前にさかのぼらしたことは、そうすることが公平だと思つたので、そうしたのだと言われておりましたが、なぜそれが公平になるのか、こういう点を調べていただきたい。私の方の想像では、よそなんかそういうぐあいにやつておるから、前に買い込みをやつておるので、そういう業者との均衡関係からさかのぼらしたのだと、こういうのかもしれませんが、それならあれがどろぼうしたらおれもどろぼうするという、そういう公平の原則というのはわからない。  それから炭鉱福利協会というのがあるのですが、これを御存じですね。この炭鉱福利協会に対しまして、石炭のトン当り七円を支拂うことになつておるのですが、この関係をあなたはお調べになつてありますかどうか、これをひとつ聞きたいのです。
  281. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはきのう言つてつた。価格に見積つてあると言う。それを支拂うことになると、大豆協会のあれと同じことになる。
  282. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこのところを聞きたい。大豆協会とはちよつと違うのだが……。
  283. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではあらためて聞きましよう。炭鉱福利協会というのがあることを御承知ですか。
  284. 加藤八郎

    加藤證人 聞いております。
  285. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 聞いておる程度ですか。そこで石炭価格の見積りに、その福利協会へやる分として七円をよけいにパリテイー計算の中へ入れたのだが、そういうことは御承知ですか。
  286. 加藤八郎

    加藤證人 單価計算の場合に、そういう炭鉱福利協会の分を計算に入れて計算されるのであります。
  287. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、その金はあなたのところへ石炭を使う者から金が入りますね。それはどうして福利協会へもどることになるのですか。
  288. 加藤八郎

    加藤證人 どういう手続でそれを出すことになつておりますか、私よく存じませんが、おそらく主務官庁の指令によつて、その金額をこちらから納めるということになるのではないかと思いますが……。
  289. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それははつきりわかりませんね。
  290. 加藤八郎

    加藤證人 ちよつと私記憶ございません。
  291. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは法律上の手続その他があるのですが、これもひとつ間違いのないところを調べて報告を願いたいものです。
  292. 加藤八郎

    加藤證人 承知いたしました。
  293. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それに関連してこういうことを調べていただきたいのです。つまり大体年に三千万トン出るとすれば、トン当り七円とすると二億一千万円ですな。これを配炭公団の方で一旦保管しておいて、炭鉱福利協会の請求があつたときに拂うのか、そういう事実関係はどういうぐあいに事務の扱いをしておつたのか、そうして炭鉱福利協会の経理の内容をひとつ知らせていただきたい。
  294. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 経理の内容はここで調べるわけに行かぬです。それはこつちであらためて調べましよう。これは大豆協会のあれと同じことで、問題になることだ。
  295. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それからこういうことを私たちは聞いておる。第二会社と関連するわけですが、従来の配炭公団関係人たちが、今度販売会社をつくつたことは御承知でありますね。この人たちにやはり今の貯炭を実は売りさばいておりますね。ところが実際あなたの方で、容積はつかまりますが、品質なんかは——どこにはどういう品質の石炭がどれくらいあるということを、正確にあなたの方でつかまれておりますか。
  296. 加藤八郎

    加藤證人 その集計は参つておりますが、具体的にどの場所に、どの品位の炭がどれぐらいずつあるということは、これは各支部まで行かないとわかりません。
  297. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこでこういうことをわれわれは聞いておるのです。つまりいい石灰の上へ惡い石灰をおつかぶせて、これは惡いのだということで、現場でそういうぐあいに一応引継ぎをする。これはみんな穴を知つているのです。従来の人はそういうことを知つておるから、これは惡いのだと言つて拂下げを受けまして、実は非常に不当な利益をあげている。これが第二会社のねらいなのですよ。これをあなたは御存じですか。
  298. 加藤八郎

    加藤證人 そういう事実は聞いておりません。
  299. 梨木作次郎

    ○梨木委員 これは事実なのですよ。そこで第二会社、従来の配炭公団関係人たちがつくつているそういう販売会社貯炭の拂下げをするようなことをやれば、ますます不正が増大して行くわけです。だから私は、そういうところへ拂い下げちやいかぬという見解をとつておるのでありまして、この点は今後の清算上重大な関係がありますので、この点を考慮してもらいたいと思います。
  300. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 室蘭に間違いない事実があつたという報告を受けております。
  301. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この貯炭を売つておられますが、これは公売にしておられるのですか。公入札か公売か、そういう方法で売りさばきをしておられるのですか。
  302. 加藤八郎

    加藤證人 最初国のものでありますから、なるべく官庁のやつているような、嚴格な意味での公入札が一番正しいとも思いますし、またそういう意味でひとつつてみようと思いまして、昨年の十二月の初めに公入札をやりましたけれども、成績が非常に惡いというようなことがわかりましたし、また増産で石炭があり余つているような場合に入札をやることは、かえつて値段をたたかれるというような事情がわかりましたので、最近はそんな方法ではとても厖大貯炭を売り盡すことはできないと考えまして——もちろんやめたわけではありません。必要によつてはやりますけれども、公入札を原則としてお打ません。
  303. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると、このなかなか売れないもの、公入札しても落札する人がない、それは一体どういうぐあいに処理される方針なのですか。それともう一つつけ加えて、その売掛け代金で期限までにとれないというのは、あとはどういうふうに処理される御方針ですか。これをちよつと伺いたい。
  304. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公入札で売れない。やるとかえつて値をたたかれる憂いがある。
  305. 梨木作次郎

    ○梨木委員 落札しない、売れないのもあるのです。去年の十二月は売れなかつたが、それはよろしゆうございます。
  306. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは済みました。御苦労さんでした。  黒崎三市さんですね。
  307. 黒崎三市

    黒崎證人 はい。
  308. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こもらから聞くときはかけておられてよろしいですが、あなたが発言されるときは、許可を求めて立つて答弁願います。  あなたは千代田商業株式会下社の常務取締役をやつておいでになりましたか。
  309. 黒崎三市

    黒崎證人  やつております。
  310. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いつからいつまでですか。
  311. 黒崎三市

    黒崎證人  常務になりましたのは最近です。初めは取締役であります。
  312. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 取締役になつたのはいつで、常務になつたのはいつですか。
  313. 黒崎三市

    黒崎證人 取締役になりましたのは二十二年の十二月——十一月の創立総会のあとでございます。
  314. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから常務にいつなりましたか。
  315. 黒崎三市

    黒崎證人 常務には二十四年の十二月であります。
  316. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 取締役をやつておられて、どういう仕事を担任しておいでになりましたか。
  317. 黒崎三市

    黒崎證人 主として海上保險の方のことをやつておりました。
  318. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 保險部長を兼ねておられたのではありませんか。
  319. 黒崎三市

    黒崎證人 さようであります。
  320. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは取締役のときからですね。
  321. 黒崎三市

    黒崎證人 そうであります。
  322. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、二十二年の十二月から取締役になつて保險部長を兼ねておつた。そう聞いてよろしゆうございますね。
  323. 黒崎三市

    黒崎證人 さようであります。
  324. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在もそうですか。
  325. 黒崎三市

    黒崎證人 さようであります。
  326. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二十二年の十一月前は、何をおやりになつておりましたか。
  327. 黒崎三市

    黒崎證人 前は配炭公団の常勤嘱託でありました。
  328. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 理事ではなかつたですか。
  329. 黒崎三市

    黒崎證人 理事は二十二年の十月にやめました。やめて任務を離れて、後任者に引継ぐまでの暫定期間は、常勤嘱託をやつておりました。
  330. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 すると二十二年の十月までは配炭公団理事であつた、こういうのですね。
  331. 黒崎三市

    黒崎證人 さようであります。
  332. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 理事でどういう仕事をしておいでになりましたか。
  333. 黒崎三市

    黒崎證人 北海道支団長をやつておりました。
  334. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 理事におなりになつたのは、二十二年の何月ですか。
  335. 黒崎三市

    黒崎證人 理事になりましたのは公団ができて同時ですから、二十一年の六月です。
  336. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団ができたのは二十二年でしよう。
  337. 黒崎三市

    黒崎證人 そうですか、それでは二十二年の大月です。
  338. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前は何をおやりでしたか。
  339. 黒崎三市

    黒崎證人 日本石炭株式会社理事で、小樽支店におりました。
  340. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 千代田商業株会社というのは、いつ設立せられましたか。
  341. 黒崎三市

    黒崎證人 二十二年の十一月二十五日だと思つております。
  342. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どういう目的で設立されたのですか。
  343. 黒崎三市

    黒崎證人 戰時中に日本石灰の理事であつたということで、配炭公団の役員に就任ができないということに決定いたしまして、二十二年の十月に辞表を出すに至りました、当時私どもの同僚が六人一諸にやめることになつたのです。それでこれといつて生活まわりも見込みがつかなかつたものですから、やめた六人の者が相談をいたしまして、商事会社をつくつて、雑貨の商売とか、統制外の燃料、海陸の輸送業もそれから保險の代理業というようなことをやるという建前でつくつたわけであります。初めは保險の代理業ということについては、そこまでは考えておらなかつたのでありますが、ちようどそういう商事会社をつくることについて、同志が寄り寄り相談をしておりましたときに、たまたま配炭公団の方で海上保險の統合という問題があつて、代理店を設定したいということがありましたものですから、それではぜひ私どもの会社にそれをやらしていただきたいということをお願いいたしまして、それをやつたのであります。
  344. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではその会社ができましてから、保險の代理店以外の商売はおやりになりましたか。
  345. 黒崎三市

    黒崎證人 やりました。
  346. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どんなことをやりましたか。
  347. 黒崎三市

    黒崎證人 いろいろ雑貨品の商売、それからただいま申し上げました統制外の燃料、ガラ炭とか有煙豆炭、ピツチ豆炭、それから火災保險の代理業、運送保險の代理業、それから印刷なんかもちよつとやりましたが、これは一部しかやつておりません。その他夏は蚊取線香とかスナツプの商売、疊なんかも商売いたしました。
  348. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 相当やつたのですね。
  349. 黒崎三市

    黒崎證人 はい。
  350. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで会社を設立せられたるおもなる人々は、どういう人とどういう人ですか。
  351. 黒崎三市

    黒崎證人 社長は梶長作君。
  352. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは配炭公団の何をしておつた人ですか。
  353. 黒崎三市

    黒崎證人 やめるときには専務理事であつた人です。  それから取締役で石橋謙之君、これはやめるときには理事で、九州支団長でした。  それから私、それから平尾正義君、公団の監事です。それから森本靖男君、これも公団の監事です。それから石橋周也君、これは公団理事でコークス局長でありました。それからあとから赤坂庄三、宇佐美徹一の両君が取締役に就任いたしました。
  354. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは公団の何であつた人ですか。
  355. 黒崎三市

    黒崎證人 公団の方の関係はありません。
  356. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 当時の公団総裁であつた菅禮之助氏はどういう関係にありましたか。
  357. 黒崎三市

    黒崎證人 何も関係はありません。
  358. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この会社に……。
  359. 黒崎三市

    黒崎證人 はい。
  360. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 資本金は幾らですか。
  361. 黒崎三市

    黒崎證人 こしらえましたときは十九万五千円です。
  362. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後増資しましたか。
  363. 黒崎三市

    黒崎證人 その後二十三年の十二月、百万円に増資いたしました。
  364. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 増資のときに菅さんは株を持つたのですか。最初のときに……。
  365. 黒崎三市

    黒崎證人 いや全然株を持ちません。
  366. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それに間違いありませんか。
  367. 黒崎三市

    黒崎證人 間違いありません。増資のときに資金が足りなかつたものですから、前々からいろいろまたごひいきをいただき御後援も願つてつたものですから、菅さんにお願いして二千株だけ持つてもらいました。
  368. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それを聞いておるのです。
  369. 黒崎三市

    黒崎證人 そうですか。
  370. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 株を持つたことはないかというのです。
  371. 黒崎三市

    黒崎證人 いや増資のときにお願いして、二千株だけは持つてもらつたのであります。二十三年の十二月です。
  372. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 二千株の株主になつたことは間違いないですね。
  373. 黒崎三市

    黒崎證人 さようでございます。
  374. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方と配炭公団とどういう関係にあるわけです。できてからは……。
  375. 黒崎三市

    黒崎證人 私の方はつまり配炭公団の積荷の海上保險をつけましたときの代理事務をしておつたわけです。
  376. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは代理業というものは、保險会社の代理店なのか、公団の代理業なのか。
  377. 黒崎三市

    黒崎證人 保險会社の代理店です。
  378. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 りくつはそうだが、あなたが言われたように、実際はこの一割の手数料をできるものなら公団はとりたい。けれどもそれではいかぬと保險会社に言われたものだから、それではひとつ代理店をつくろうじやないか、こういつてつたのでしよう。
  379. 黒崎三市

    黒崎證人 いやそうじやありません。全然そうではありません。
  380. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 きのう前の総裁はそう言つていましたよ。負けるというわけには行かぬから、代理店をつくられたら、その代理店の手数料をお上げします。こう言つたのだよ。
  381. 黒崎三市

    黒崎證人 それは保險会社の方から代理店の手数料をいただく……。
  382. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だからそこで公団は、でき得るものなら、保險料をたくさんつけることだから負けてもらいたいと言つたら、それはそういうわけには行きません。代理店手数料ならお上げします……。
  383. 黒崎三市

    黒崎證人 それは代理店にですな。
  384. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 代理店に……。そういう名義でならお上げします。こう言つたから、それではひとつ代理店をこつちでやることにしよう、こういうのでつくつた、こう言つておるよ。
  385. 黒崎三市

    黒崎證人 いや私どもでは全然そんなことはありません。先ほど申し上げたようないきさつで、商事会社をつくつて経営上つまり收入の点において非常な不安があつたわけです。一方そういう海上保險の統合という問題について、窓口を一本にして代理店をつくりたいというような御意思があることを承つてつたものですから、われわれもその点は十分経験があるから、その代理店にぜひひとつ御選定を願いたいということをお願いしたわけです。
  386. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 窓口一本ということが、それが問題なんだ。窓口一本というのは、まとめて手数料がとれる所ということだ。手数料という名義でもとしてもらう所という意味でしよう。
  387. 黒崎三市

    黒崎證人 それは代理店が保險会社からもらうわけですね。
  388. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 窓口一本でしなくたつて、代理店でやるなら旧来からやつている代理店でやればいいのです。窓口一本にしようというのは、どういうわけなんですか。
  389. 黒崎三市

    黒崎證人 それは私の記憶するところによりますと、従来は日本石炭時代に、全国でたしか四つの代理店があつたと思います。北海道は北日本物産——三井物産の第二会社で、その前は三井物産がやつてつたが三井物産が解体されて北日本物産、北海道はこの北日本物産がたしか代理店だつたと思う。それから九州は日本石炭時代から引続いて、若松の方は宇佐美徹一君、佐世保の方は赤坂庄三君、それから宇部は陽和商事と思いましたが、そこが代理店だ思います。それがなかなか代理店としても仕事がうまく行かなかつた。事務が澁滯した。なかなかクレームにしても、その解決に一年あるいは一年半もかかるというようなことで、非常に保險会社でも困り、公団も整理に苦しんでおつた。それは事実なのでございます。それじや困るから、何とかしてひとつ改善の方法はないかということを中央で研究しておられたようであります。私は当時小樽にいましたから、その中央での研究はよくは知りませんでした。
  390. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかの代理店はそういうふうに成績が惡かつた
  391. 黒崎三市

    黒崎證人 非常に成績が惡かつたのです。
  392. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう成績の惡い店主をこの会社に入れたのはどういうわけです。そういうものは擯斥すべきものではないですか。
  393. 黒崎三市

    黒崎證人 それは私どもが面目を一新して、相当に事務能率もあげて、それから公団の方でも私の方の人間が、内部の公団でやるべき、あるいは荷主のやるべき仕事も、一部といいますか、この事務については大部分のことを仕事をした。それで仕事も早くなりましたし、それから清算の方も非常に早く、迅速にしかも簡単にやるということで、保險会社の方からも非常にほめられたことも数回あるのです。模範代理店であるくらいに言われておつた。これは代理店としては相当な成績をあげたと、こう考えております。
  394. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで赤坂、宇佐美はどうして入れなければならないのか。
  395. 黒崎三市

    黒崎證人 それは私どもも整理するときに、やめてもらおうか、いろいろのあれがありましたのですが、ぜひひとつあなた方の中に入つて、その傘下で仕事がしたいという御希望があつたものですから、二人は取締役に返つて、その店の使用人も、什器その他のものも会社の方で買取つて、一緒に仕事をしたわけでございます。
  396. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要するに窓口一本にしたからでしよう。窓口一本にしたから、捨てておくわけに行かぬで、入れたのでしよう。
  397. 黒崎三市

    黒崎證人 それはそういうことになるかもしれませんね。(笑声)
  398. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それ以外に考えられはしない。
  399. 黒崎三市

    黒崎證人 整理をしたということで、そういうことになりましような。
  400. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その窓口一本ということは、そうではないとおつしやるのだね。それじやあ承りましよう。あなたの方の代理店で、この保險の手数料をとつたら、公団へ割もどしをやる約束をせられたそうですが、どれだけ……。
  401. 黒崎三市

    黒崎證人 それは絶対にございません。
  402. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ない。
  403. 黒崎三市

    黒崎證人 はい。私の方から直接割もどしなんということは全然ありません。
  404. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団の厚生資金という名義で出すことになつてつたというが、それはどうです。
  405. 黒崎三市

    黒崎證人 それはつまり私どもの会社をつくりましたときの成立ちが、先ほど申し上げたような状況であつたので、一割の代理店料をまるまるもらうということは不当じやないか。そして少くとも公団をパージされた人が、公団人間よりも收入が多くなるなんということは不当利得だ。だからせいぜい経費を償うか償わない程度でがまんしてもらわなければならぬ。あとはひとつほかの商売もあるのだから、それでやつてもらいたい、そういうことで、最初二十三年の六月までですが、六分五厘でやつたのでございます。
  406. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六分五厘で、三分五厘渡すわけですね。
  407. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、渡しません。私の方ではもらいません。それでそのときに……。
  408. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 六分五厘というのはどういうのだ。
  409. 黒崎三市

    黒崎證人 一割のうち……。一割代理店の手数料があるわけです。それを六分五厘で、つまり私の方はそれでがまんしたわけです。
  410. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三分五厘はどうした。
  411. 黒崎三市

    黒崎證人 三分五厘は、全然私の方はもらいません。
  412. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうした。
  413. 黒崎三市

    黒崎證人 それは保險会社の方から、公団の方に御寄付願うということになつたわけです。
  414. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 保險会社から……。
  415. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。それはちやんとそのときに、公団と保險会社と私の方の三者で打合せの結果、一応お前は六分五厘でがまんせい、あとの三分五厘は、これは公団の共済会の方に寄付する、こういうことでございます。
  416. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは今、純然たる保險会社の代理店だと言われたのですよ。
  417. 黒崎三市

    黒崎證人 代理店としては保險会社の代理店です。
  418. 梨木作次郎

    ○梨木委員長 どうして手数料を公団に渡すのです。公団の何です、あなたは一体。
  419. 黒崎三市

    黒崎證人 それは代理店は保險会社の代理店でもあるけれども、やはり荷主があの代理店はいかぬ、こうおつしやられれば、代理店はほとんど成立たぬわけです。ですからやはり荷主の息もかかるということでしような。
  420. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすれば荷毛に割もどしを渡さなければならぬでしよう。
  421. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、割もどしは絶対させないです。
  422. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 割もどしでないと言つても、一割もらうでしよう。
  423. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、私の方は初めから一割もらわないのです。保險会社から、お前のところの代理店の手数料は六分五厘だということで、一筆参つておるわけです。
  424. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一体先ほどから私が聞いてはあなたが一つ一つ言われるのだが、ここでみんな聞いておるが、そんなことはだれもふに落ちぬじやないか。間違いありませんか。
  425. 黒崎三市

    黒崎證人 間違いありません。
  426. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 間違うと偽証罪が起りますが、よろしゆうございますか。
  427. 黒崎三市

    黒崎證人 はい。
  428. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、あなたの代理店は保險会社から六分五厘で引受けたのですね。
  429. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。
  430. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 保險会社はどういう意味で三分五厘公団に渡すのですか。さようなことはできぬものだ、絶対いかぬということで、一割だけ公団に渡すのですか。
  431. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、公団に渡したのではないです。共済会の方へ……。
  432. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 共済会であろうと何であろうと——公団以外のものですね。人格は違うのですか。
  433. 黒崎三市

    黒崎證人 違うものではないのですかね。私は知りませんけれでも、公団ではないと思います。あれはたしか全然違つた経済でや、つておるように聞いております。
  434. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 職員組合ですか。
  435. 黒崎三市

    黒崎證人 職員組合ではないです。
  436. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何ですか。
  437. 黒崎三市

    黒崎證人 福利厚生のためにできておる、あれは別途の機関でございます。
  438. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団の内部のものでしよう。
  439. 黒崎三市

    黒崎證人 内部のものではございません。人間は、つまり会員は内部の人間が目標になりましようけれども、これは全然違うのでしよう。
  440. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 職員組合があるのじやないですか。
  441. 黒崎三市

    黒崎證人 職員組合以外のものですが……。
  442. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 職員組合以外のものなら、公団自身じやないか。職員組合ではないのですね。職員組合でなかつたら、公団の中にそういう名目のものがあるのでしよう。だから公団でしようが……。
  443. 黒崎三市

    黒崎證人 それは公団とは違いませんかな。私はそれは存じませんが……。
  444. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それなら一体その福利協会というものから、それだけよこせとでも請求したのですか。あなたのところなり、保險会社なりに……。
  445. 黒崎三市

    黒崎證人 私はそれは存じません。
  446. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一体そういう話はだれがしたのですか。あなたは保險部長でしよう。
  447. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、保險部長ですから……。
  448. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれが言つた……。
  449. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、私も参加したのですけれども、お前の方の口銭は六分五厘だ、それからたしか三分五厘は——五厘は保險会社が十社ありますから、その方の組合の経費の一部に使う。あと三分は共済会に寄付するのだというふうに話がまとまつたわけです。だれがどういうことでもないわけです。私の方は六分五厘で辞退した結果、そこにそういう余剰ができた結果、そういうことになつたのですね。
  450. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 辞退した——辞退するというのは……。それだからあなたがやつたのでしよう。
  451. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、大体は今申し上げたように……。
  452. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは全然知らぬと言うなら、会社から天くだり的に命令を受けたのですか。
  453. 黒崎三市

    黒崎證人 そういうことはありません。
  454. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それならあなたが承知したからだろう。
  455. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、それはそのときの打合せでもつてそういうことになつたわけです。
  456. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 打合せと言うが、君自身が打合せたのじやないか——一体あなたはそういうことを言つてつていいのですか。ここは一体どこだと思つておるのです。でたらめなこと……。
  457. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、でたらめなことは決してございません。
  458. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それならどうして知らぬ……。
  459. 黒崎三市

    黒崎證人 知らぬとは決して申し上げません。三者の契約でやつたのですから……。
  460. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは公団からだれが出て契約をいたしましたか。当時の……。
  461. 黒崎三市

    黒崎證人 業務局長だと思います。
  462. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団のですか。
  463. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。
  464. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで公団は知らぬのか、公団は別ですか。
  465. 黒崎三市

    黒崎證人 公団は知らぬとは申しません。公団に返したというのではないだろうと思います。
  466. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団の業務局長が来てとることにきめて行つたのだろう。業務局長とは何ですか、公団の総支配人じやないか。それで公団は知らぬのだとは一体どういうことなのか。
  467. 黒崎三市

    黒崎證人 公団の会計の経理の中に入つた金ではない。こう申し上げたのであります。
  468. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 むしろ公団がとつてつて、会計の中に入れなければならぬ——なお惡いのだ、それが問題なのだ。あなたも相当の方だが、そういうことを言うておつてはいけませんよ。もつとはつきりしたことを……。そんなことではいけませんよ。われわれは何もあなた方を罪に落すようなことを言つておるのじやないのですから、そういうことを言つてつては、だれが聞いてもまじめに聞きませんよ、あなたの言つておることを……。  もう一ぺんあらためて聞きますが、保險会社は三分五厘公団へ渡す、お前のところへ六分やるといつたことは間違いありませんか。
  469. 黒崎三市

    黒崎證人 それは保險会社が言つたのではありません。
  470. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たれが言つたのですか。
  471. 黒崎三市

    黒崎證人 結局そういう形になつたのですが、六分五厘で、つまりお前の方はがまんしてくれと言つたのは、それは公団の担当者です。
  472. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 担当者 …。だから保險会社が直接お前六分五厘でやれということを言つたわけではない……。
  473. 黒崎三市

    黒崎證人 お前のところの代理店の手数料は六分五厘だぞということに、つまり保險会社の方から、言われたのです。
  474. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうして三分は共済会へ持つてつて、五厘は……。
  475. 黒崎三市

    黒崎證人 五厘は保險会社が十社ございますから、その方の組合の経費に使う……。
  476. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうしてその三分五厘の金は、あなたの方から言つたのではなく保險会社から言つたというのは間違いがありませんか。
  477. 黒崎三市

    黒崎證人 さようでございます。
  478. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 きのう総裁も言つておるし、われわれも知つておるが、さようなことをすれば、保險会社は保險会社同士の協定違反になる。その点からそんなことはできないわけだが、間違いありませんか。
  479. 黒崎三市

    黒崎證人 間違いありません。
  480. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 保險会社ではそういうことはできないのでしよう。値も引くわけに行かぬ。だから一割あげますと、こういうのであるというのだが、それは間違いで、あなたの言われることがほんとうなのですね。
  481. 黒崎三市

    黒崎證人 ほんとうです。
  482. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 間違つていたら考えはありましような。
  483. 黒崎三市

    黒崎證人 はい。
  484. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その後また歩合がかわつたそうですね。
  485. 黒崎三市

    黒崎證人 かわりました。
  486. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうかわりましたか。
  487. 黒崎三市

    黒崎證人 二十三年七月、單価がたしか二・五倍あがつたとき、單価の改訂のとき、三分にかわつた……。
  488. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたの方が三分…。
  489. 黒崎三市

    黒崎證人 私の方の手数料が三分……。
  490. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公庫が七分ですか。
  491. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。
  492. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これもだれがそういうことを言つたのですか。
  493. 黒崎三市

    黒崎證人 同じ経路でそういうことに……。
  494. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だれがそうしろと言つたのですか。お前の方は三分でよかろう、こつちは七分でよかろうということは……。
  495. 黒崎三市

    黒崎證人 公団の方の側の……。
  496. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団の方の業務局長ですか。
  497. 黒崎三市

    黒崎證人 保險会社はそれでよろしいと言つて、相かわらず向うへ渡しておりました。
  498. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 間違いがありませんか。
  499. 黒崎三市

    黒崎證人 ええ。
  500. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さようなことはあるべきではないが、あなたが間違いがないと言うならしようがない。
  501. 黒崎三市

    黒崎證人 私はちよつと御参考までに、私が直接立ち会つたわけでございませんけれども、三分とか七分とかの問題は保險の、つまり料率算定委員会というものがあるそうでございます。それに幹事会社が案を出して正式に各社の了解を求めて、そういうとりはからいをしたというように私は聞いております。ですから、普通の保險上の取締り規則から行きますと、現在はもちろん饗応その他のこともやれないことは知つております。
  502. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その算定委員会というものは、どういうものでつくつておるのですか。
  503. 黒崎三市

    黒崎證人 それは損害保險会社が全部メンバーになつてできておると思います。
  504. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 この七分にかわつたときには、保險十社にどれだけもどすことにしましたか。
  505. 黒崎三市

    黒崎證人 十社はありません。
  506. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全然なかつたのですか。
  507. 黒崎三市

    黒崎證人 ええ。
  508. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 七分全部公団ですね。
  509. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。
  510. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのほかにあなたは仕事をしたと言われるが、印刷並びに日用品等の販売もやられたのですか。
  511. 黒崎三市

    黒崎證人 さようでございます。
  512. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それも公団の品物を扱われたのですか。
  513. 黒崎三市

    黒崎證人 全然そうではありません。印刷は少しやりましたけれども、その他のものは全然公団仕事ではないと思います。私もその方は直接担当しておりませんけれども、大部分の商品は公団外だと思います。
  514. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全然ないということと、ないと思いますということとは大分違うが、どつちですか。
  515. 黒崎三市

    黒崎證人 少しあつたと思います。
  516. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 少しあつた——だんだんかわつて来るね。あなたのところは宴会費その他の集会費をたいへん拂つておいでるようですが、それはあなたの会社で使われたものですか。
  517. 黒崎三市

    黒崎證人 さようでございます。
  518. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 たいへんな金ですが……。
  519. 黒崎三市

    黒崎證人 それほどたいへんとは思いませんけれども、私の方で使つております。
  520. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団でごちそうするというようなことがあると、あなたの方へ御用仰せつけがあつたということですが……。
  521. 黒崎三市

    黒崎證人 全然ございません。
  522. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 さようなことはないですか。
  523. 黒崎三市

    黒崎證人 ええありません。
  524. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それも間違いありませんか。
  525. 黒崎三市

    黒崎證人 間違いありません。
  526. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、あなたの会社は大分使われたのですが、どれだけ使つてつたのですか。——どれほどそういう宴会費、会議費というものはいつたのですか。
  527. 黒崎三市

    黒崎證人 はつきりしたことは今覚えておりませんけれども、最近第三期といいますか、私のときになつて決算の第三期、去年の九月の実績です。交際費が百一万円くらいですか、会議費が六十六万円ぐらいだつたと思います。
  528. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一期の計算で。
  529. 黒崎三市

    黒崎證人 一期の計算です。
  530. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 百六十万円が一期に。
  531. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。
  532. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、一年に三百何十万円いつていますね。
  533. 黒崎三市

    黒崎證人 それは一番最近のものでございます。
  534. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで大したことはないのですか。
  535. 黒崎三市

    黒崎證人 店が東京以外に六店ございます。それで五十人からの人間がおりましたものですから、各地にわけまして、東京が月交際費が五万くらい、会議費が二万か三万だと思います。その他の六店に平均しますと、月交際費が二万円ぐらいですか、会議費が一万か一万二、三千円見当になつております。それで私どもの公団は、海上保險の代理店の仕事が收入の大部分で、ございましたけれども、どうせもう公団というものはそう長く続くものじやないということで、公団をやめた後いかにして、会社を生かして行くかについて、私ども苦心をしておつたのでございます。それで公団の存続中、つまり燃料の統制時代ですが、今の統制外の粉炭とか、ガラコークスとか、豆炭とかいうものの商売について将来自由値段になつたときの準備に、その方の地盤開拓に力を入れておつたのです。正常にわれわれは公団解消後の経営の継続ということを念頭に置いておつたものですから、その方の得意先を接待するとか、いろいろな方面に相当の金も使つたのです。それから保險会社も一社ではありません。幹事会社は一社ですけれども、十社です。その方のいろいろな関係も始終ありましたので、打合せとか、あるいはその他相談とか救助とかいうときの会合なんかもあつたものですから、それでその方の経費がかかつたわけであります。それからせつかく保險の代理店をやりまして、海上保險、火災保險、運送保險なんかも相当にやつて来たものですから、なるべくその経験を生かして将来に使いたいということで、保險会社に対する何といいますか、接触についても常に気を配つてそういう経費がかかつたという点もあると思います。
  536. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかく資本金が百万円の会社で、どれだけ利益があるかしれないが、交際費その他で三百万円も使うということは、われわれは驚くべきものだが、あなた別に驚くべきものじやないですか。そんな会社はおそらくなかろうな。
  537. 黒崎三市

    黒崎證人 資本の出入り、つまり金の出入りが大きかつた点もありますし、それから店も何しろ七箇所にわかれておつたので、これの接触する方面も多かつたために、経費もかかつたということになるわけであります。
  538. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こちらで調べたところによりますと、二十三年九月末の経費支出明細表によると、人件費二百万円——あなたは人件費は人も多かつたと言われますが、人件費二百万円、交際費が百四十八万円、会議費が八十三万円、会計二百三十一万円というものが使われており、人件費よりも交際費、会議費の方が多い。ちよつと珍らしい会社ですね。
  539. 黒崎三市

    黒崎證人 その点は、ただいま申し上げましたように、公団はどうせ期間の長いものでありませんから、公団がなくなつた時分に、代理店の会社——あるいは会社をやめてしまえばそれきりでありますけれども、そういう意思は毛頭ありませんし、公団がなくなつた後の商売の地盤を開拓したい。もともと役員の大部分のものがみな石炭の出身者ばかりですから、なるべく石炭の方に販路、地盤をつくつて行きたいということでありまして、それが頭にあつて、多少捨石という感じはもちろんしたのですけれども、その方面に相当の交際費を使つたということであります。
  540. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはいろいろの意味でばらまいたかもしれないが、もうけがなければばらまけないのだが、それはたいへんもうけのある会社だね。費用がいらぬで……。それであなたの方のその元請の保險会社の十社とはどういうものですか。
  541. 黒崎三市

    黒崎證人 東京海上火災、大正海上火災、大阪住友、同和火災海上、日本火災海上、安田火災海上、千代田火災海上、日産火災海上、日新火災海上、それからあとから入つたのですが、日動火災海上、それで十社です。
  542. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それであなたの方を代理店として公団と保險契約を結ぶ、こういうことですか。
  543. 黒崎三市

    黒崎證人 さようでございます。
  544. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから先ほど言われた保險算定委員会は、この十社と……。
  545. 黒崎三市

    黒崎證人 本社のほかに、損害保險会社が五社か六社かあつたと思いますが、それは存じません。損害保險会社が算定委員会というものを組織しているように思つております。
  546. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団の方はだれも入らぬのですか。
  547. 黒崎三市

    黒崎證人 入つておりませんでした、そのメンバーには。
  548. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 委員会の……。
  549. 黒崎三市

    黒崎證人 全然入つておりません。
  550. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そしてどうしてきまるのです。
  551. 黒崎三市

    黒崎證人 これは私が自分で直接やつているわけじやありませんから、聞いているところによりますと、過去のいろいろなクレームとか、保險料とかのデーターを集めまして、そして保險業種別にまともな保險料率というものを出すと聞いておりました。出す方法は、料率算定法という法律があるそうであります。それによつて出す。出したものを大蔵省と物価庁との認可を得て、それで公布といいますか、実施されるというふうに聞いております。
  552. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団のものは関係しないのですか。
  553. 黒崎三市

    黒崎證人 関係してないと思います。保險会社ばかりだろうと思います。
  554. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、言つてみればやはり向うからの天くだり保險料ですね。
  555. 黒崎三市

    黒崎證人 まあそうでしような。
  556. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大蔵省か安本か入つておるかもしれないが……。
  557. 黒崎三市

    黒崎證人 さようです。
  558. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 なるほどそれじや大きな割もどしもできるわけだね、これでは。あなた方がこの手数料によつて受けた利益金は幾らくらいですか、わかりませんか。
  559. 黒崎三市

    黒崎證人 いつまでのあれですか。累計ですか。
  560. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 累計です。
  561. 黒崎三市

    黒崎證人 会社が始まつて最近まで……。
  562. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在まだやつておりますね。
  563. 黒崎三市

    黒崎證人 やつております。ほかの方の公団以外のやつをやつております。代理店の手数料として頂戴したのは二千三百万くらいじやないかと思います。
  564. 鍛冶良作

  565. 黒崎三市

    黒崎證人 さあ。これはちよつと私今覚えておりません。
  566. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 どうでした、この保險料はもつと負けさせれば負けさせられるものだとか、ほかのところよりか高いというようなことはありませんでしたか。これはあなたにそういうことを聞くだけやぼかもしれないが。
  567. 黒崎三市

    黒崎證人 私はそういうことを考えたことはありませんでした。
  568. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 もつと負けてもよさそうなものだということを、考えたことはありませんか。
  569. 黒崎三市

    黒崎證人 それが、何しろできた基礎がそういうことで、千編一律のような、ほとんど公定価格のようなものでしたから、負けられるものじやないと考えておりました。
  570. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だつて、委員会できめて出すのでしよう。認可を受けるだけでしよう。決定は委員会がきめる。その委員会は、私はまたいろいろ関係者が入つているのだと思つたら、保險会社だけだというのなら、保險会社の天くだりだ。なるほど公団は相当赤字の出るのは当然だね。まあいいでしよう。何か御質疑がありますか。——浦口君。
  571. 浦口鉄男

    ○浦口委員 一つ二つお尋ねいたします。保險の代理業として、公団以外の保險料をどのくらいお扱いになりましたか。
  572. 黒崎三市

    黒崎證人 ずつと今までですか。会社をこしらえてから最近まででございますか。
  573. 浦口鉄男

    ○浦口委員 はあ。
  574. 黒崎三市

    黒崎證人 それはちよつと数字を覚えておりません。
  575. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それではこういうふうに聞きましよう。先ほど公団から受けた手数料による利益が二千三百万円くらいと、こうおつしやいましたから、この利益の面から、公団以外の契約を扱つて受けた利益がどのくらいあるか。そういうふうにお聞きいたしましよう。
  576. 黒崎三市

    黒崎證人 公団の海上保險のほかは、雑保險というふうにわれわれ整理をしております。それと、それから今の商売の益金で、それを一本にして半期半期に計算しておつた。海上保險の中には、鉱工品の貿易公団の輸出炭のあれも代理店をやらしてもらつておりましたから、それも一部入つておるかと思います。内容は私今はつきり覚えておりませんけれども……。
  577. 浦口鉄男

    ○浦口委員 なぜそういうことをお聞きするかと申しますと、たとえば火災保險の代理店は、公団なら公団だけのものを扱つておると、これは代理業として違反になる。そういう規定があるわけです。ですからそれを御承知でやつたとすれば、会社がこれを黙認したかどうか、こういう問題が起るわけです。これは公団と限りませんが、ある一定の契約者の契約だけしか持つていないものは、これは代理店として認められないわけです。そういう規定があるわけです。
  578. 黒崎三市

    黒崎證人 代理店の募集取締規則によりますと、自分のものを自分で身がわりの代理店をつくつて、そこで代理業をやるということはいけない。しかも私なら私が別の名前で、実体は同じものだ、こういう場合に、五割以上他人のあれをやつている場合、これはさしつかえない。五割以下の場合は自己代理店と見る。これは代理店としては資格がないというふうに私どもは承知しております。
  579. 浦口鉄男

    ○浦口委員 ではお宅の会社の場合には、それにひつかからないと、こういう意味ですか。
  580. 黒崎三市

    黒崎證人 全然ひつかからないのです。
  581. 浦口鉄男

    ○浦口委員 それでは先ほどの手数料の問題ですが、実は千代田商業株会社が規定の手数料の一割をもらつてその利益の中から契約者にいろいろな意味でこれをもどす。もどすという言葉ではないのでありますが、礼をするとか、こういうことは事実あり得る。ただ相手が公団という公の性格をもつたものである場合に、ここに問題が起るわけでありますが、普通においてはそういうことがあり得るわけです。ですから私はこの一割の規定の手数料をおとりになつて、その契約の内容が、非常に公団から多く恩恵をこうむつておる、こういう意味で、何らかの名目でおもどしになるということは、私は格別違法でないと思う。それを先ほどからいろいろお聞きいたしますと、会社が千代田商業には、お前の方は六分五厘の手数料でがまんしろ、こういうことは事実われわれの常識ではないと思うのです。そういうことをあくまで固執されるのは、今静かに聞いておりますと、どうしても千代田商業と公団の間に何か黙約があつて、しかもそれをおおうために会社の責任に転嫁されておる、こういうふうにわれわれは感ずるのであります。その点もう一度はつきりお聞かせ願いたい。
  582. 黒崎三市

    黒崎證人 先ほど委員長に御返事申し上げました通り、最初は六分五厘、二十三年七月からは三分、私ども代理店の手数料は、それ以外には一銭ももらつておりません。公団の海上保險に関する限り、私の方から黙約とか、あるいは別途に一割もらつて、その一部をどうとかいうことは毛頭いたしませんでした。
  583. 浦口鉄男

    ○浦口委員 料率算定委員会は、私の考えるところでは、公団石炭に対する保險料を算定する委員会であつて、手数料がこの委員会によつて増減されるということはないと思つておりますが、その点いかがですか。
  584. 黒崎三市

    黒崎證人 料率算定委員会の内容は、私そのメンバーでも何でもありませんからよく存じませんけれども、石炭の保險料ばかりではないのです。損害保險料に属するものも各種の保險料……。
  585. 浦口鉄男

    ○浦口委員 先ほどの黒崎さんのお話は、火災保險業者の料率算定委員会で決定公認して手数料を変更した。もつとはつきり申しますと、公団の方へおもどしした、こういうふうにわれわれには聞えたのでありますが、そういうことは事実ないのですか。それはどうお考えですか。
  586. 黒崎三市

    黒崎證人 それは、そういう料率算定委員会に付議して各社の承認を得た、こういうふうに私は聞いておりました。
  587. 浦口鉄男

    ○浦口委員 どうしてもそうおつしやるならば、保險会社を調べてみなければわからぬが、保險会社の違反になるのです。実は私は火災保險会社に十五年もいたので大体知つておる。これは火災保險会社の方も調べることにいたします。  もう一つお尋ねいたします。実は油糧公団の問題がこの考査委員会にかかりましたときに、油脂原料などに対する火災保險について、よく包括契約ということを言われたのですが、千代田商業でも配炭公団石炭に対して、包括契約ということをおやりになつたかどうか。
  588. 黒崎三市

    黒崎證人 配炭公団と乗合い各社と申しますか、先ほどの最初の九社と、あとからの一社とは包括契約になつた。そして千代田商業はその各社の代理店である、こういうことになつたのです。
  589. 浦口鉄男

    ○浦口委員 その場合に、油糧公団ではこういう事実があるのであります。石炭にたとえますと、ここに百万トンなら百万トンある。これを二箇月なら二箇月一応契約をするわけです。そしてこれを十日なり半月なりたつてから、実はあれは間違つていた、五十万トンしかなかつたということで、火災保險会社に要求して訂正して保險料をもどさせる。そうしてもどさせた保險料をいわゆる裏勘定に入れて、それから宴会費とかいろいろそういうものを支出していた。こういう例が油糧公団に五百三十八万円もあつたのです。石炭配給公団では、そういう包括契約に対して、当時の契約が間違つていたという意味で、訂正して拂いもどした例があるかないかということを、お聞きしたいと思います。
  590. 黒崎三市

    黒崎證人 あれは御承知の通りオープン・ポリシーですから、荷主が公団であつて、いかなるものであつても、各積出港から積んだ場合は、包括する契約になつているわけであります。トン数間違つておりましたり、あるいは炭価が間違つておりましたり、あるいはダブつたりすることは時々ありましたが、それはその都度あとから訂正するという形で、多くもらつたものはもちろん返し、少いものはさらに追加するという形式でやつておりました。
  591. 浦口鉄男

    ○浦口委員 念を押しておくわけですが、その、返してもらつた保險料が公団に返らないでいたというふうなことはありませんか。あるいは公団に返つても裏勘定に返された、そういうふうな実例はございませんか。
  592. 黒崎三市

    黒崎證人 全然ございません。
  593. 浦口鉄男

    ○浦口委員 ではよろしゆうございます。
  594. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ちよつと先ほどの点をもう少し明確にしておいていただきたいと思います。千代田商業株会社配炭公団と保險会社と、この三者が集まつて、最近は三分五厘を公団の方へ割もどと、あなたの方では日歩五厘の手数料を拂う、こういう相談をしたことになるわけですが、そういうぐあいに承つてよろしいですか。
  595. 黒崎三市

    黒崎證人 公団と保險会社と千代田商業と、三者協定の上で最後に料率が決定した。いろいろのいきさつがあつて、六分五厘と三分五厘であつたのが、三者協定の結果だというふうになつたわけです。
  596. 梨木作次郎

    ○梨木委員 保險会社の代理人が全部集まり、さらに配炭公団とあなたの方が参加して協議したということになるのですか。
  597. 黒崎三市

    黒崎證人 九社または十社の幹事会社東京海上、副幹事会社が当時は日本海上火災——副幹事会社はイロハ順で一年交代ということになつていたと思います。今申し上げました公団と保險会社と千代田商業と打合せ協議をする場合に、保險会社を代表して出られたのは東京海上であります。
  598. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると、東京海上はどなたが出、あなたの方ではどなたが出、配炭公団はどなたが出たということは今わかりますか。
  599. 黒崎三市

    黒崎證人 そこへ行きつくまでには数回打合せをいたしまして、千代田の方からは私が出たり社長が出たり、あるいは一緒に出たり、公団とか保險会社もその都度部長が出たり、あるいは貨物担当者が出られたりしておりましたから、いつだれがということは記憶しておりません。
  600. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは配炭公団関係は主としてどなたが出ておつたか、この程度のことはわかりましよう。
  601. 黒崎三市

    黒崎證人 業務局長、それから保險担当の現務課長、当時は林君だと思います。
  602. 梨木作次郎

    ○梨木委員 業務は。
  603. 黒崎三市

    黒崎證人 業務は馬屋原隆志。
  604. 梨木作次郎

    ○梨木委員 あなたの方とこういう協定ができる前に、保險料の割もどしは行われておつたのですか、おらないのですか。
  605. 黒崎三市

    黒崎證人 全然なかつたと思いますが、その方の担当をしておりませんから、私は承知しておりません。
  606. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうしますと、この協定をすることによつて、保險会社は新しく三分五厘を従来の利益の中から吐き出すような結果になつたわけですね。
  607. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。
  608. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 代理店の手数料の一割というのはきまつているんだろう。
  609. 黒崎三市

    黒崎證人 最高一割まで出してよろしいということでございます。
  610. 梨木作次郎

    ○梨木委員 しかし出ているかどうか、あなたは御存じないわけですね。
  611. 黒崎三市

    黒崎證人 そうです。
  612. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この九社ないし十社を一括してあなたの方は代理されるわけでありますが、そこで新しくもつと他の保險会社配炭公団と保險契約をしたい場合には、必ずあなたの代理店を通じなければ契約をしない建前になつてつたのでありましようか。
  613. 黒崎三市

    黒崎證人 いや、そういうことは全然ありません。私どもの手を通さなければできないという機構ではなかつたのです。私どもの方はふえようが減ろうが、そこまでは権限もありませんでしたし、関與もできなかつた
  614. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 窓口を一本にするということは、ほかへ出さぬということじやないですか。
  615. 黒崎三市

    黒崎證人 今の御質問の趣旨は十社とか九社以外にさらに……。
  616. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたのところを代理店ときめた以上は、あなたのところ以外にほかへ契約をしないことになつておるんだろう。
  617. 黒崎三市

    黒崎證人 そこまで聞いておりませんでしたが……。
  618. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはおかしいじやないですか。窓口を一本にするということは、ほかへ出さないということだろう。
  619. 黒崎三市

    黒崎證人 趣旨はそうであれば、そういう問題が起きたときには、必ず御相談があるだろうと思います。
  620. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなことはあるわけはない。
  621. 梨木作次郎

    ○梨木委員 配炭公団としては、自由に保險契約ができる状態にあるかないかということが配炭公団の経理上問題があるから、そこを伺つておる。ところが最初のあなたの話では、これはそもそもできたのが窓口を一本にすることで、あなたの手を通じなければやれないのだということになつて来ておるわけでありますから、少しくどいようですが聞いたわけでありまして、違つて来るということになると、また元へもどるのです。
  622. 黒崎三市

    黒崎證人 窓口を一本にしようというのは、公団が従来非常な事務澁滯があつたとか、不便があつたとか、整理が遅れたとか、仕事がなかなか思う通りに行かない、成績が上らないということで、いろいろ研究の結果、窓口一本ということが公団の内部で研究されたと私は承つてつたのであります。ですからさらに窓口を二つ、三つにするということは、公団の方でお考えになるわけで、私どもの代理店の立場から言いますと、なるべくそういうことのない方を非常に希望するわけでありますけれども、私の方からそれはいかんとか何とかいうようなことは、そのときの実際問題が起きますと、困りますから、ぜひ従来通りやらしてもらいたい、こうお願いしたと思います。もちろん公団がそういう御希望で、窓口をさらに二本、三本とするということになれば、それは拒否するだけです。代理店の契約はやめるということになれば、それきりの話だと思います。その権利は何もないわけであります。
  623. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなばかなことはあるべきはずがない、あなたは大分上手にりくつを言いなさるが、契約書の第四條に、保險会社千代田商業株会社との間において代理店契約を締結し、公団の海上の保險に関する業務を代理取扱わしめ、公団はこれを通じ海上保險契約の申込み等をなす。ちやんときまつておるのだ。またそうでなかつたならば窓口一本というわけはないじやないか、あなたのところ以外にやらぬと書いてある。
  624. 黒崎三市

    黒崎證人 それはそうです。
  625. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その次に伺いましよう。この十社の間に保險料率についての協定をやつたとさつき伺つたのですが、この十社の中には、配炭公団に関する保險料率について、一つの協定をなされておるのでありますか。
  626. 黒崎三市

    黒崎證人 私の聞いておるところによりますと、料率委員会できめたところにおいては、本社以外のものも、全部損害保険の団体が加盟しておるように承つております。そこできめたものは各社共通のものです。
  627. 梨木作次郎

    ○梨木委員 ところが私の聞きたいのは、ほかの会社も。十社以外のものも集まつて配炭公団に関して一つの料率を協定したかどうか聞いておる。
  628. 黒崎三市

    黒崎證人 それは私存じません。
  629. 梨木作次郎

    ○梨木委員 しかし事実上あなたが扱つておるんだから……。
  630. 黒崎三市

    黒崎證人 扱つておりますけれども、それは保險会社のきめた料率で計算したり算出するだけで、料率が安いとか高いとかいつても、これはどうにもなりません。
  631. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それではその次に伺いますが、解散した後において、配炭公団との間に行われておつた保險契約、これはその後どういうぐあいに実際行われておるか、おわかりじやないですか。
  632. 黒崎三市

    黒崎證人 各社でございますか。
  633. 梨木作次郎

    ○梨木委員 各社並びに各炭鉱業者
  634. 黒崎三市

    黒崎證人 炭鉱業者はそれぞれいろいろな因縁もありましようし、商取引の関係もありましようが、一社または数社にきめて実際やつておるように聞いております。それから私の方からまた従来の縁故によりまして、配炭公団から拔けた各炭鉱の方面にもお願いいたしまして、そして保險会社の方の御援助も願つて、代理契約を結んでおるところが、私の方でも十社くらいあります。
  635. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこでその点をお伺いしたいのですが、解散なつた後あなた方が結んでおるその契約と、従来配炭公団と結んでおつた保險契約との間に、何か差はありませんか。
  636. 黒崎三市

    黒崎證人 汽船はございません。機帆船はその後たしか二度ばかり料率が改訂されて、少し下つております。
  637. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それでは済みました。御苦労さまでした。  この際お諮りいたします。大分時間も経過いたしましたので、本日はこの程度にとどめ、山根証人につきましては、明後十日引続き証言を求めることにいたしたいと存じますが、御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  638. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めまして、それではさよう決します。     —————————————
  639. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次にお諮りいたします。二月十日に出頭を求めることに決定をいたしておりました松田三郎証人につきましては、調査関係上十三日に出頭を求め、井上、今井証人の次に証言を求めることが適当であると思いますが、さよう決定いたして御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  640. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議ないものと認めまして、さよう決します。  山根証人に申し上げますが、本日は時刻も大分おそくなりましたので、明後十日午後一時より引続き証言を求めることに決定いたしましたので、はなはだ恐縮ですが、さよう御了承の上、明後日御出頭願います。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時四十一分散会