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1950-02-06 第7回国会 衆議院 考査特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年二月六日(月曜日)     午後一時四十一分開議  出席委員    委員長 鍛冶 良作君    理事 大橋 武夫君 理事 小玉 治行君    理事 高木 松吉君 理事 内藤  隆君    理事 小松 勇次君 理事 横田甚太郎君    理事 石田 一松君       岡延右エ門君    菅家 喜六君       篠田 弘作君    塚原 俊郎君       福田  一君    梨木作次郎君       岡田 春夫君    小林  進君       浦口 鉄男君  委員外出席者         証     人         (元配炭公団総          裁)     藤井 貞雄君         証     人         (配炭公団清算         人)      加藤 八郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  公団をめぐる不正事件配炭公団関係)  証人出頭要求に関する件     —————————————
  2. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。先般より調査を進めて参りました公団をめぐる不正事件のうちの油糧配給公団関係の分につきましては、一応証人の喚問を終了いたしましたので、次に大体基礎調査を終了いたしました配炭公団関係事件につきまして、委員会において本調査に着手いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認め、調査することに決定いたします。      ————◇—————
  4. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 次に本件につきましては、本日の委員会調査に支障なきよう理事諸君の御了承を得まして、配炭公団関係につき、本日、元配炭公団総裁藤井貞雄君、清算人加藤八郎君の両君に、それぞれ本委員会出頭を求める手続をいたしておきましたのでありますが、両君を本委員会証人として決定いたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認め、それでは証人として決定いたします。  なお八日に千代田商業株式会社常務取締役黒崎三市君、損害保險料率算定委員会理事長山根春衞君、東京石炭協会事務局長井上榮君、神奈川石炭協会專務理事今井薫君、十日に元配炭公団経理局長高柳徳藏君、元配炭公団業務局長馬屋原隆志君、元東京配炭局長松田三郎君、以上七名の諸君証人として本委員会出頭を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさよう手続をいたします。
  7. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではこれより配炭公団をめぐる不正事件につき調査を進めます。証人より証言を求めることといたします。  ただいまお見えになつている方は藤井貞雄さん。
  8. 藤井貞雄

    藤井証人 はい。
  9. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 加藤八郎さんですな。
  10. 加藤八郎

    加藤証人 はい。
  11. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あらかじめ文書で御了承願つておきました通り、本日正式に証人として証言を求めることに決定いたしましたから、御了承願います。  ではただいまより配炭公団をめぐる不正事件につきまして、皆さんより証言を求めることになりますが、証言を求める前に、各証人に一言申し上げます。昭和二十二年法律第二百二十五号議院における証人宣誓及び証言等に関する法律によりまして、証人証言を求める場合には、その前に宣誓をさせなければならぬことと相なつております。  宣誓または証言を拒むことのできるのは、証言証人または証人配偶者、四親等内の血族もしくは三親等内の姻族または証人とこれらの親族関係のあつた者及び証人の後見人または証人の後見を受ける者の刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項に関するとき、またはこれらの者の恥辱に帰すべとき事項に関するとき、及び医師歯科医師、薬剤師、薬種商、産婆、弁護士、弁理士弁護人公証人、宗教または祷祀の職にある者、またはこれらの職にあつた者がその職務上知つた事実であつて、默祕すべきものについて尋問を受けたときに限られておりまして、それ以外には証言を拒むことはできないことになつております。しかして証人が正当の理由がなくて宣誓または証言を拒んだときは、一年以下の禁錮または一万円以下の罰金に処せられ、かつ宣誓した証人虚僞の陳述をしたときは、三月以上十年以下の懲役に処せられることとなつておるのであります。一応このことを御承知つておいていただきたいと思います。  では法律の定めるところによりまして証人宣誓を求めます。御起立を願います。  藤井さん、代表してひとつそれを読んでいただきたい。     〔証人藤井貞雄君各証人を代表して朗読〕   宣誓書  良心に従つて、真実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。
  12. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 では署名捺印願います。     〔各証人宣誓書署名捺印
  13. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 証言を求める順序藤井さん、それから加藤さんといたしますから、加藤さんはいましばらく元の控室でお待ち願います。  藤井貞雄さんですね。
  14. 藤井貞雄

    藤井証人 はあ。
  15. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こちらから聞くときはすわつておられてよろしいが、発言されるときは立つてください。  あなたは配炭公団総裁をやつておられたようでありますが、いつからいつまでおやりでしたか。
  16. 藤井貞雄

    藤井証人 総裁は二十三年の九月から、二十四年の九月十五日に公団廃止になるまでやりました。
  17. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その前は何をおやりになつたのですか
  18. 藤井貞雄

    藤井証人 その前は——公団ができましたのが昭和二十二年の六月であります。当時副総裁として就任いたしまして、総裁になるまでは副総裁をやつておりました。
  19. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから公団関係せられぬ前は何をおやりでしたか。
  20. 藤井貞雄

    藤井証人 その前は公団母体であります地方石炭近畿石炭株式会社の社長をやつておりました。
  21. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 近畿石炭ですか。
  22. 藤井貞雄

    藤井証人 はあ。統制会社であります。
  23. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 現在は何をおやりですか。
  24. 藤井貞雄

    藤井証人 現在はまだ何もやつておりません。
  25. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何かまた元の会社でもおやりになつておるのではありませんか。
  26. 藤井貞雄

    藤井証人 始めようとは思つておりますが、まだ私はやつておりません。
  27. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 一切石炭会社等には関係ありませんか。
  28. 藤井貞雄

    藤井証人 はあ。私の近畿石炭の前、石炭販売業をやつておりました会社がございまして、その会社は今スタートしております。それを私は援助いたしておりますが、まだ役目にはついておりません。
  29. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何という会社ですか。
  30. 藤井貞雄

    藤井証人 福山協栄株式会社でございます。
  31. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 配炭公団組織並びに事業等について、概略御説明願いたいと思います。
  32. 藤井貞雄

    藤井証人 組織とは何でございますか。
  33. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 株式会社資本金はいくらとか、そんなようなこと。
  34. 藤井貞雄

    藤井証人 配炭公団基金が二億であります。
  35. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 資本金でしよう。
  36. 藤井貞雄

    藤井証人 基金と称しております。いわば資本金に該当するものでありますが、しかし政府出資金でありますから、基金であります。  公団の目的といいますか、これは経済安定本部長官の安める配給計画配給指示等に基きまして通産大臣監督のもとに石炭の適正なる配給をする、こういう公団法建前になつております。それでやつております仕事は、全国石炭並びにコークス亜炭、これの一手買取り、しこうしてこれの一手販売ということをやつておりますのと、価格を調整いたしますために、いわゆるプール価格をつくりまして、需要家に売り渡す石炭価格統制をいたしております。その他と関連いたしまして、輸送保管等仕事が付随するのはもとよりであります。いわゆる普通の会社で言う本社的のものが東京にございまして、各地方には、石炭を買い取ります機関支団申します。これが石炭の産地であります北海道、常磐、山口、九州、この四つ支団、それから亜炭につきましては仙台名古屋、これが石炭亜炭の買取り、積出し、こういう業務をいたしております。  それからこれを消費地配給いたします機関として配炭局というのがございます。これはおもなる消費地であります北海道仙台東京名古屋、広島、大阪、四国、九州、この八箇所であります。以上申し上げました支団配炭局の末端には、それぞれ支局、出張所、配給所分局、いろいろの名前で全国に約四百箇所あまりの店舗を持つております。それで石炭の他の公団とやや違いますところは、下部組織を持つておりませんので、公団みずからの手で最後の零細な一斤までの石炭を売つて、みずからその代金回收をするというのが、いささか他の公団と違つておると思います。本団におきましては、各局がございまして、いわゆる普通の会社で言う本社の機構とやや同じような仕事をいたしております。以上大体でございますが、申し上げました。
  37. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 職員はどのくらいおりましたか。
  38. 藤井貞雄

    藤井証人 職員は、最初公団が出発いたしましたときは、おおむね日本石炭地方石炭とが母体になつておりまして、たしか日本石炭が四千名くらいだつたと思います。四つ地方石炭がありましたが、これが約五千名くらい、約九千名くらいで仕事をいたしておりました。その後いろいろ業務の拡張並びに亜炭統制等を始めることになりましたので、最高がたしか一万四千名くらいだつたと記憶いたします。その後亜炭統制を撤廃いたしまして、当時約二千名くらいの職員の整理をいたしましたから、公団末期でありまする昨の九月現在におきましては、一万一千名くらいであつたと思います。
  39. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。  そこで今おつしやつたその仕事の内容について、その順序で聞いて行きたいと思いますが、あなたの方で石炭並びにコークスまたは亜炭生産者から受取つて、それを需要者へ渡すことになりますが、まずその仕事の過程はどういうことになつておりますか。大体の荒筋でよろしゆうございますから、お述べ願います。
  40. 藤井貞雄

    藤井証人 石炭坑所——坑所という言葉を使います。つまり炭坑の坑口と申しますが、坑所で受取りまして、それを公団の手によつて、それぞれの輸送機関であるいは港へ出し、あるいは貨車で直送する。さらに港へ出したものを港で貯炭し、揚げ地へ持つて来る。揚げ地へ持つて来ましたものを、それぞれ配炭局の手によりまして、運送業者その他を使いまして、需要者配給する、こういう順序であります。
  41. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこでこれを配給し、その他運搬するのにはどうしておりますか。
  42. 藤井貞雄

    藤井証人 これは公団は、公団法関係から不動産を所有できませんので、たとえば荷役設備等につきましては、日本石炭が所有しておりましたもの並びに地方石炭——これはいずれも閉鎖機関になりましたが、これを閉鎖機関から借りて、公団がみずから運営する、ないし各揚地におきます輸送会社というか、民間荷役会社と契約いたしまして、一切の運搬は輸送機関を別に雇うといいますか、契約をしてやる、こういう仕組みになつております。
  43. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると輸送そのものはあなたの方で直接やるのではなくて、輸送会社に頼んで、船なり汽車なりで運んだ、こういうことになるのですか。
  44. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  45. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのおもなるものはどんなものでした。
  46. 藤井貞雄

    藤井証人 一番大きいのは鉄道でございます。これは鉄道省がやる。それから機帆船は西日本石炭輸送会社、これが政府の方の石炭輸送一つ統制会社、いわば一種の独占機関となつている。これを利用いたしました。それから汽船は御承の運営会。こういうのがごく大ざつぱに申しまして、おもなる輸送機関であります。
  47. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 荒筋でよろしゆうございます。——これを送るときには保險もつけられたようですが、その保險はどういうことでやつておいでになりましたか。
  48. 藤井貞雄

    藤井証人 この保險は、なかんずく海上保險の問題になつて参りますが、従来今申しましたような仕事は、実は日本石炭がやつておりましたが、日本の大きな保險会社、八つか九つかありましたがこれとやはり公団が契約いたしまして、保險をつけております。私就任いたしましてまず最初に考えましたことは、ごく荒つぽい考え方でありますが、次第に石炭生産量もふえて来る、そうすると保險の金額は莫大なものになる、私は三十年この石炭仕事に携わつておるわけでありますが、今までの保險状態がどうなつておるかということを、業務局に命じていろいろ調べさせましたが、とてもなかなかめんどうなことで、従来のような方法では窓口もたくさんあつていけない。何とかひとつ統一したいという意向もありましたが、私は自家保險をやつたらどうかという一つテーマを出しまして、いろいろ研究させました。なるほど自家保險をやればいいだろう、いろいろ内部でも研究したようでありますけれども、何しろ公団が御承知のように暫定機関で、一年々々壽命を延ばされる。しかもこれは政府機関であるから、半年、一年というようなユニツトで自家保險をやつて、もしその間に非常な大きなロスが出たときはたいへんなことになる。大体自家保險というものは何年かの統計を見まして、大体これならば自分の方でなんぼかの保險の積立てをすればやつて行けるというような見通しをつけてやるのがほんとうなわけです。何分いろいろな面で少し公団経理も楽にしなければならぬというわけで、私どもがそのテーマを出して石究させましたけれども、今申しましたようなことで、公団暫定性から、なお公団の性格から言つて、そう特にもうけぬでもよいというようなことから、従来通り方法保險会社保險をかける。こういうようなことで参つたわけであります。
  49. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが、あなたの方は直接保險会社と契約しないで、何か中間機関をつくておりましたが、その点を……
  50. 藤井貞雄

    藤井証人 従来日本石炭のときには各地に、たしか九州に二箇所、それから宇部、北海道、こういう方面に保險代理店がおりまして、これが公団になりましても引続いて代理業務をやつてつたのであります。そこで、私が考えた今の自家保險がだめだ、しからば公団でもやはり保險をつけなければいけない。ところが内部でいろいろ聞きますと、従来の代理店では各地に分散しておつて、成績も上らないし、事務の処理も敏活を欠く。何とかこれを改善しなければいけないということがすでに日本石炭当時にもあつた。また保險会社の方からも、何とか窓口を一緒にしてもらいたい。そして事務の敏活をはかりたいというような意向なり機運なりがあつたわけです。そこでいろいろ研究しました案の中で、しからば公団がひとつ直接やろうじやないか。代理店というものは、なるほど日本石炭当時からこういうことであつたのではあろうが、この際むしろ直接にやろうという案についていろいろ検討いたしたのであります。ところが、はなはだこれは勘定高いような話になりますが、私どもの狙いは、代理店保險会社が一割の手数料を出している。これはもつたいないじやないか。だから何とかして人をふやさなければいかぬが、人をふやしてもこれを直接やつて、その一割を公団に返してくれという話を相当やつたわけなんですが、これはできない、公団に、荷主に返すということは保險会社としてはどうしてもできないいわゆる保險会社代理店手数料を拂うことはできるが、荷主には返されない。従つて直接やつても、レートを引下げるわけには絶対に行かない。そのレート自体につきましても、数字は存じませんが、相当大きな荷物でありまするから、私ども業務局からはいろいろ交渉する。もつともこれは日本石炭時代からの引続きでありまするから、日本石炭時代からも、おそらくは相当この点については折衝なり研究なりがあつたものと思うのでありまするが、ともかくもレートは引下げられぬ。しかもレートは引下げられぬのに、今度は直接やれば、われわれがさらに人数をふやさなければならない。さらに公団の手によつて、従来既得権と見られておりました日本石炭以来の代理店廃止をするという場合でも問題がある。そこで第二に考えましたことは、当時日本石炭中央石炭母体として公団にかわりました際に、公団従業員福利厚生施設を今度新たにつくることになつたのでありますが、その共済会の費用も政府の方で非常に削減された。これではいけないから、何とか共済会保險代理店をする手はなかろうかということも業務局でいろいろ研究をいたしたのでありまするが、これはどうも政府機関の別動隊共済会が、保險代理店をするということは法的にできない。しからば何とかこれをすつきりした形にして、窓口一つにするために、有力な代理業務をする機関はなかろうかということで、いろいろ研究いたしたのでありますが、結局どうもよい手がないということで、やむを得ず従来日本石炭がやつておりました代理店を、そのままの状態で半年ばかり経過いたしましたと記憶をいたしております。ほかにいろいろ仕事もございましたし、どうもいい方法がないということで、さりとてこれを方々に分割をさらにいたしましても、今申し上げましたように、ただ事務の煩瑣を来すばかりであつて、料率にはちつとも影響がないということで、公団窓口を一本にする、統合するといつて研究したのですが、具体的にいい方法がなくて、今申し上げましたように数箇月間経過した。そのうちに二十二年の十一月か十二月ごろだつたと思いまするが、当時公団理事であつて、幹事もしておりましたが、日本石炭の役員であるゆえをもつて公団にとどまることができないという、いわゆる追放と言いますか、そういうものが、五、六人一挙に出たのであります。その連中がただちに失職する。そこで自分らの従来の経験を生かしてひとつ商事会社をやろう、あるいは燃料もやり、いろいろな雑貨もやるということで会社をつくる、ついては公団のかねて窓口を一本にするというあのアイデアにも合致するのだし、われわれ保險業務についてもそれぞれの経験者なんだから、ひとつ自分の方でそれをやらしてくれぬかという話が持ち上りました。それで部内でいろいろ協議しました結果、渡りに船というと変でありますが、そういうことで私ども非常に困つておりました際でありましたから、しからばさつそく君の方が保險会社とよく話して、そしてその代理店をやつたらよかろう、しかし君の方がそういう業務をして不当な利益をとるということは、世間からとかくの非難も受けるし、またわれわれとしても何とか直接やつてレートは引上げてくれない、せめてその手数料の一部を君の方で遠慮して、それをわれわれは保險会社から共済会に寄付してもらうということにいたしたいので、そういう点について、十分保險会社とも話合いができてくればよろしい。また同時に君の方では、従来の日本石炭時代から各地に貧弱なばらばらとした代理店があるが、これの話も君の方でつけてもらわなければいかぬ。なお公団は、今人数は非常に切り詰めた人数でやつておるのだから、公団から人を貸すわけにもやるわけにも行かないから、君の方でしかるべくそのエキスパートを雇つてつてくれということで、十二月からと記憶いたしておりますが、千代田商業がその代理店をやるということに相なつて公団の解散まで参つております。
  51. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ではまたあとで詳しく聞きましよう。  その次に荷役について、大体の荒筋のことを……
  52. 藤井貞雄

    藤井証人 荷役は前段申し上げましたように、本団ではそういう問題はないのでありまして、各支団配炭局がやつておりまするから、御質問の要点がどういうことであるか存じませんが、それぞれの荷役業者と折衝いたして賃率の協定をしてやつております。
  53. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要するに荷役をやる会社が別にあつて、それに請負わしておつたのですね。あなたの方で直接はやらないわけですね。
  54. 藤井貞雄

    藤井証人 はい。
  55. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 何か荷役統制会社というものがあつたのですか。
  56. 藤井貞雄

    藤井証人 荷役統制会社と言いますか、港湾会社が各港に御承知のように統合して一つになつておりました。大阪大阪石炭運送というものが一手にやつております。東京その他各地とも、当時は例の統制時代でありますから、業者がみんな一諸になりまして、一つ機関で統合してやつております。
  57. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから商品保管はどういうことにしておりましたか。
  58. 藤井貞雄

    藤井証人 商品保管申しまますか、貯炭管理でございますね。
  59. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ええ。
  60. 藤井貞雄

    藤井証人 大体貯炭が厖大にできかけましたのが昭和二十四年の四、五月からでありまするから、それまでは御承知のように、石炭は足りない足りないで、ほとんど貯炭管理というようなものは別になかつたのでありまするが、公団廃止されまする三、四箇月前から、非常にむりな貯炭をせざるを得ない状態に追い込まれまして、公団末期には私はつきりしたことは記憶いたしておりませんが、約二千箇所近い貯炭場に、言いかえればむちやくちやな貯炭をせざるを得ないようなところまでやらなければ、五百万トンの石炭貯炭できないような状態になりましたので、管理の方はやかましく言つておりまするが、なかんづく大阪のような百万トンを越える貯炭、しかも次々と地元からは運んで来るという状態でありまするから、完全な貯炭管理ということについては、多少不備な点もあつたかと存じます。
  61. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要するにあなたの方で直接やつてつたのか、それともだれかにまかしておつたのか、その点を聞きたい。
  62. 藤井貞雄

    藤井証人 これは大体直接やる建前ですが、結果におきましては、遠隔な場所なんかは、おそらくその土地の貯炭場を提供しておるといいますか、あるいは荷役をしておるといいまするか、そういうものに常時のことはやらして、そしてこちらが監督をするという立場にあつたのじやないかと思います。今申し上げまするように、ずいぶん辺鄙なところにも貯炭いたしておりまするから、そこへ一々人を朝晩となしにつけているということは、おそらく末期においてはできなかつたと思います。
  63. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから販売代金回收は、直接あなたの方でやつておりましたか。
  64. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  65. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ほかのものにやらせておつたのではありませんね。
  66. 藤井貞雄

    藤井証人 ありません。
  67. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そこで今度は今聞いたことの一つ一つについて、詳細を聞きたいのですが、この石炭山元から受取りますね。そのときにはどういう方法受取つておいでになりますか。
  68. 藤井貞雄

    藤井証人 これはどういう方法申しまするか、いろいろ推移があつたのであります。先ほど申し上げましたように坑所で受取る。ところが坑所貨車に積みますのにも、従来日本石炭が同様な仕事をいたしておつたのでありまするが、やはり貨車が入りますのも、夜入ることも朝入ることもありまするし、なかなかその受取方というものは、現実には一々見るということはむずかしかつたわけであります。そこで当時公団ができました昭和二十二年六月時分から、その以後もそうでありまするが、われわれが受取りまするのをよく監督するという意味におきまして、山元駐在員というものを、全国に約二千名近くだつたと思いますが、つけたわけであります。それを山元駐在をさす。そこでやはりこういうバルキーなものでありますから、積む際に一々看貰して受取るわけに行きませんし、おおむね貨車積でありますから、従来どこの石炭貨車でどれだけの容積があれば大体何トンだという長い間の経験がありますので、そういうことでやつておりました。しかしやはりどうも欠斤が激しいとか——当時は社会不安もありました際で、途中で盗難にあつたりして、はたして山元で正常に受取つたのか。公団内部においても、支団に対しまして、今度来た船はこれだけの欠斤がある。今度来た貨車はこれだけの欠斤があると言つてやると、山元にある支団においては、いやわれわれの方では十分積んでやつたというようなことで、内部的な水かけ論が多くあつたわけであります。これではいかぬ。内部でやつてはいかぬというので、さらに山元駐在員を拡充しまして、そして山元受取つてファイナルなものにしよう。その後の欠斤は難船もあり、途中で盗まれる場合もありますし、貨車において途中で盗まれたケースもあります。それはそれぞれ監督機関を置いてやつて行こうということで、私ども業務上で一番苦心したのは、山元で正量荷渡しをやらなければいかぬ——正量取引という言葉を使つておりますが、これが常に生産業者との間の論争の種になつておりました。それから質の問題、この質がまたなかなかむずかしい問題であります。公団は御承知のように公団法によりまして、いい石炭であろうと悪い石炭であろうと、掘つたものは皆買わなければならぬ。しかもいわゆる石炭の政策というものは、二十三年度三千百万トンといい、二十四年度四千二百万トンといい、いずれも量の生産で、ともかくも量を掘る。自然粗惡炭も相当出て来る。私どもこれをどうして検定するか。ここにおいて分析機能の拡充を日本石炭時代よりも猛烈にやりましたが、なかなか資材の入手が困難であるとか、いろいろの隘路がありまして、早急に分析要員をふやすわけにも行かず、分析設備を増やすというわけにも行かぬ。受前りましたものの分析も、やはりある期間が経たなければ結果が出ませんが、その結果によりまして格下げ、格上げの操作をやつておりました。そういうことで、この検量検炭は公団の使命として、せめてこの点だけは全力を傾倒して行きたいと、あらゆる努力を拂つたのであります。公団発足当時よりは量においても質においても、公団の送り状に近いものが漸次出るようになつて、非常に改善されたと私どもは考えております。
  69. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 今いろいろ問題が起つたと言われるが、山元で問題が起らないで、着いてから問題が起るのじやないですか。
  70. 藤井貞雄

    藤井証人 いや、山元で問題が起るといいますのは、つまり山元受取つてしまいますから、その受取る際に、これはもう少し積めとか、これはまだ十五トンに足らぬとか、足るとか、十八トンの貨車に多いとか少いとか——これは要するに、炭質によつて重量と容積の関係が違いますから、同じ十五トンの貨車でも、十五トン積めない軽い石炭もありますし、あるいは十五トンの貨車に十六トン積んでも、十五トンの容積に満たぬのもあります。そういうことで、山元におきましても問題が起るわけであります。
  71. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 大して山元で起らぬで、こつちへ来てから少かつたとか品質が惡かつたとか、大ていそうなんでしよう。
  72. 藤井貞雄

    藤井証人 大きな問題は需要家に入つてからで、需要家の方から苦情が出るわけです。
  73. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、受取るときにルーズだつたからそういうことになるのではないですか。
  74. 藤井貞雄

    藤井証人 これは受取るときにルーズであつたということもあるかもしれません。口で一箇月三百万トンの石炭申しますが、種々雑多で、夜荷役貨車が入り次第積みます。公団内部でも、今申しましたように、支団ももう少しこれに対して嚴重にやらなければいかぬじやないかということで、結局地元に駐在員を置いて、公団の責任において受取ろうということになつたのであります。ルーズだつたとは思いませんが、たくさんの中ですから、自然そういうこともあり得たと思います。
  75. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 生産者からおどかされたという事実もあつたし、また買收されて問題を起したということもちよいちよいあつたでしよう。
  76. 藤井貞雄

    藤井証人 これはいろいろ言われておりますが、おどかされたというようなことはあまり聞いておりませんが、渡す方と受取る方でありまして、その間利害が常に相反しておりますから、自然問題が起りがちなことでもあり、起つたケースもあるだろうと思つております。どこにどういうケースがあつたということは、われわれの耳には入つておりません。
  77. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八月から検量検炭ということをやめたそうですね。
  78. 藤井貞雄

    藤井証人 あれは公団廃止がたしか九月十五日でありますから、一箇月前の八月十五日から、自由経済に移る過渡的な一つ方法として、生産者が自己の責任において山で積んで、自己の責任でこちらへ渡すということになつて山元で受取ることをやめたように記憶しております。
  79. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで先ほど言われたように、めちやくちやに出たんでしよう。
  80. 藤井貞雄

    藤井証人 数量は相当に出ました。
  81. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで計算もせず、めちやくちやにやつたものが入つて来たんではないですか。
  82. 藤井貞雄

    藤井証人 その当時はわかりませんでしたが、現在そういうようなことがあつたとかなかつたとか言つております。
  83. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それともう一つは、名前はよろしいが、駐在員は石炭についてほとんどしろうとが行つてつたそうですね。
  84. 藤井貞雄

    藤井証人 これはこういうことなんです。ほとんどしろうとが行つたということはちよつと極言でありますが、大体駐在員に二つの性質のものがあつたと思うのです。中には非常にエキスパートで、公団に入りますのにはあまりにも年齢がとり過ぎておる。それでせめて山元駐在員にでも採用してもらいたいと言つているもの。それから海外引揚げとか何とかで経験のあるものを募集したのでありますが、山元駐在員を募集するにつきましては、何月何日までに何名を配置せよ、何月何日までにどこそこのどこへは必ず配置せよということで、私ども駐在員の定員を充たす命令を非常にやかましく受けたのであります。ところが当時食糧も不足でありますし、住宅もありませんし、なかなか行く人がないわけであります。それで自然海外引揚者等が相当に入つておりますから、もう最初はほとんど、内地の石炭事情を知らないような者も、動員せざるを得なかつたという実情にもあるわけであります。
  85. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうなると、これはたいへんなことなんで、実際にいいものだと言つて悪いものが入つて来るし、百トンあると言つても、七十トンくらしか入つて来ないようなことでは損が行くのは当然だが、これはあなた方前に営利会社でやつてつたときには、どうしてやつてつたのですか。
  86. 藤井貞雄

    藤井証人 前にと言いますと、自由経済のときにですか。
  87. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうです。
  88. 藤井貞雄

    藤井証人 これは本質的の問題になりますが、石炭日本では、米と同じように余つた歴史が多いのであります。私三十数年ばかりやつておるのですが、元は石炭はああいうバルキーのものですから、ハンドリングするたびに途中で二%や三%欠斤が出るのは当然だ。元の言葉で言えば押石があつた生産者が百トンというときには百三トンあつて、それで百三トンの仕切りにした、こういうのが石炭の長い歴史だ。あるいは五分あるいは三分の押石をしたことがあります。ところが石灰が非常に少くなつて参りますと、やはりどうしても少く積んで多く渡したというような状態になりがちのものです。それで自由経済のときでありますと、おのおのの山からおのおのの山のものがそのままの形において移送され、需要家に入つて行くことになりますから、自然炭鉱の信用にもかかわりますし、クレームもつきますというようなことで、そう大した問題はなかつたのであります。戰争中から御承知のように石炭を堀れ堀れで、公団になります前から、もうすでに規格売炭で、銘柄で売るのではない。事実銘柄で一々おのおのの業者が積むというようなことは、輸送上からも、輸送機関がない——輸送機関は一緒になつておる。そうして百のものを送るのに六十の輸送機関しかないというのが、戰時中から戰後を通じての状態でありますから、自然おのおのの山からおのおのの工場へ別々に送るということはできないで、同じような規格のものは同じ工場へ、いわゆる規格売炭というようことで、戰時中から公団ができますずつと前に、日本石炭時代からあつたわけであります。そうするとやはり山の方としましては、これは人情のしからしめるところで、責任の所在といいますか、もう同じ規格のもので、ABCDの炭鉱が一緒になりますから、そういうものが行くものについて、これはお前の方は切れた君の方は足らなかつたと言つたところが、それぞれの責任の所在が明らかでないということで、これはおのおのの山元で、公団がひとつはつきり受取らなければいかぬということから、せめて山元売炭山元で仕切つてしまうというような方針に持つてつたわけであります。
  89. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなた方が営利会社でやつておるとすれば、そんな少いものをとつたりしたらたいへんだから、非常に嚴格にとられることだろうと思いますが、国家のものだからいいかげんにやるということに、根本があるのではないですか。
  90. 藤井貞雄

    藤井証人 これは何も配炭公団にそういう意識があつて、いいかげんにとつたということはないと思います。統制経済といいますか、しかも配炭公団は化けものみたいな厖大な組織でありますから、なかなか末端にも十分徹底しない、あるいは能動的な、能率的な働きもできぬというようなことは、公団の性格からあるいはあるかもしれぬと思います。
  91. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その程度にしておきましよう。次にたいへん多額の滯船料を支拂つておるようですが、これは幾らほどお拂いになりましたか。そうしてまた、どうしてこういう何億というたくさんの金を拂わなければならぬ実情になつたかを聞きたい。
  92. 藤井貞雄

    藤井証人 滯船料の問題は、私あまり詳しいことは存じませんが、私の記憶にありますのは、これはいつからいつまでの滯船料で、どういう内容か、私御質問の内容がよくわかりませんが、私が知つております滯船料の問題は、北海道に問題が一時あつたと思います。昭和二十三年の暮れか十月ごろからだと思いますが、北海道が非常な船混みで、私の記憶しております限りを申し上げますが、運営会から厖大な滯船料の請求があつた。そのときの実情は、配船というものは運営会がやる。そのほんとうの仕事はCTSがやつておるのでありますが、何でも当時一万トン級の船が、これだけ出るであろうといういわゆる出炭計画に応じてどんどん船を配船して来た。ところが北海道は御承知のように、当時いつも出炭計画から実際の出炭は下まわつてつたのであります。出炭は下まわる、片一方では計画配船をする。しかもその計画配船は公団の道外への積出し計画とマツチしないということで、私もその当時の事情は詳しく知りませんが、私の記憶に残つておりますのは、そういうようなことでやつたものは、これは当然運営会が滯船料を負担していいのじやないか。公団が負担すべきものじやないということで、いろいろやつて、そうしていつか海運総局もその間に入つて、結局その当時の厖大な滯船料は、運営会といい公団といい、ひとしく政府機関じやないか、だからとにかく一応公団の方で持つてくれというようなことがあつたやに記憶しておりますが、その後の運営会との用船契約につきまして、たしか相当程度そういうことも是正されたことになつておらぬかと思つておりますが、それ以上のことは私あまり詳しく存じません。
  93. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 要するに荷役の計画と船の計画とが、うまく行つておらなかつたということですね。
  94. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  95. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こちらで調べたのでは、三億以上と言つておりますが、営利会社でやるのでは、そんな厖大な金を出したらつぶれてしまいますが、やはり国家の金だから拂つてやるということになつたのではないですか。
  96. 藤井貞雄

    藤井証人 今申し上げたように、特にこの配船の問題は、われわれの自由には絶対ならなかつたという点は、はつきりしております。
  97. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 その次は荷役料金ですが、これも一般よりか非常に高い料金が出ておると言つておりますが、そういうことはありませんか。
  98. 藤井貞雄

    藤井証人 これは私公団が始まりましてから公団末期までに、非常に変化があつたように思つておりますが、公団最初の一箇年くらいは、私ども荷役料をマル公でやらすことに非常に努力をいたしました。当時とかく荷役にしろ、船賃にしろ、運搬賃にしろ、やみ運賃といいますか、やみ荷役といいますか、そういうものでなければ運送業者は動かなかつた。ところが公団はやみ運賃、やみ荷役料は一切相ならぬということで、その点は非常に厳重に各場所へ指示いたしておりますので、おそらくやみ運賃というものはなしに出ておるだろうと思います。その後昭和二十四年の三、四月ごろから、運輸機関あるいは荷役機関というものに相当ゆとりができて来ました。もつともその前からも多少ゆとりは出ておりましたが、私ども各場所長に命じまして、決して公団なるがゆえに、いわゆるマル公の運賃で拂うというようなルーズなことではいかん、われわれは公団の独立採算ということを今やかましく当局に要望しており、しかも公団は黒字をどうしても出さなければいかぬ、そこで実情に即して相当の値引きをさすように努力せよということは常にやかましく言つておりまするので、場所によりましては相当の値引きをいたした所もあります。なお場所によりましては、予期した通りの値引きができなかつた所もございます。なお運賃その他につきましても、やはり公団のやめます前の状態のときには、小運送会社も、一つの小運送会社が三つにも四つにもなつて来る。つまりそこに競争が起つて来るというようなこともございましたし、あるいは船運賃にいたしましても、機帆船が三割くらい引けるのを、公団は一割くらいしか引いていないというようなことも、聞きました都度いろいろ調べておりまするが、やはり公団のような計画輸送をいたしまするのには、個々にかつてのいいところを雇つて運賃をきめるようなわけには行きませんから、自然個々にやりますよりは幾分高かつたと思います。半分でいいとか、あるいは四割でいいとかいうような状態になりましたのは、もうすでに公団末期である八月、九月から以後の状態であつたのでありまして、これについては私ども配炭局長なり支団長に嚴重に言つておりまするから——まあ政府機関ということで、互いの身にひしひしと損益がただちにはね返つて来るという程度までには、あるいは行つていないかもしれませんが、公団の終期におきましては、あまり非難を受けるようなことはないのじやないかと考えております。
  99. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが公団廃止なつたら、とたんに三割方下つておるそうですね。
  100. 藤井貞雄

    藤井証人 ちようど時期もそういうことになつておりましようし、そのときは公団が一本でありまするが、今度は荷主が何千、何万でやりますから、やはりそこに競争と統制であつたということとの差はおそらくあつたと思います。
  101. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京配炭局荷役会社の小川運輸なんというものは、あなたの方の荷役をやつて、たいへんな成金になつたそうですね。
  102. 藤井貞雄

    藤井証人 私そういうことはよく存じません。
  103. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 三割方も高い料金でどんどんやつていれば、成金にならざるを得ないだろう。それはそれだけにしておきましよう。  荷後炭というのが相当出たそうですが、これはどういう性質のものなのですか。
  104. 藤井貞雄

    藤井証人 荷後炭というのは昔からあるのでございますが、特に荷後炭と申します中には、汽船、帆船で積地から揚地に持つて参ります。その際に一応揚げて荷主に渡し、そのあとを掃除するというのが、いわゆる荷後炭でございます。それからいま一つは、これは大きな消費地と大きな積出し港だけであるのでありますが、荷役中に海中にこぼれるのを引揚げるというのが大体荷後炭なのであります。ところが荷後炭という問題は、私も三十数年石炭ばかりやつておりますが、まつたく困つた問題でありまして、長い歴史があるのでありますが、一体荷後炭の所有者はだれかという問題は、長年法律的にもいろいろ研究もされたり、議論もされたり、訴訟もあつたりしたのでありますが、無主物の適用といいますか、そういう解釈で、区役所に拾つた物を届けておいて、何箇月かの間何も言つて来なかつたら処分してよいのだとか、各揚地先ごとに石炭商の組合がありまして、これはみんなこの石炭商の組合のだれのものだとかいうことで、これを石炭商組合が所有するとかいうような解釈が行われておつたのであります。ところが先ほどちよつと触れましたように、石炭は余つた時代もありますから、この荷役炭を集めたり、沈沒炭を引揚げましても、買手がないという時代が非常に長かつた。しかしこれはどこかで一つにまとめてやらないと、荷役炭と称して斬髪炭と申しますか、はしけの上のものを斬髪してしまつてつて来るとか、船に残つてつたと称して、残しておつたとかいうようなことになつて、これがやみというか、犯罪というか、そういうものの温床になつて、私ども長い間これには困りました。しかしこれは費用がかかつてもよいから、とにかく一つの組合で、損得は超越してこれを收拾するということで、私は大阪に長くおりましたが、大正時代から一つの公益事業として社団法人をつくつて、府県庁の許可を得てやつてつたものであります。ところが戰時中から石炭が足りなくなつて、非常に高くなつて来た。そうすると少々の費用をかけても、そういう拾い揚げをして荷を集めれば莫大な利益が出る。ところがほんとうに揚げたのならよいが、あるいはまたほんとうの荷役をやるならばよいが、そうでなくて特に荷役をつくる。あるいはまた極端に申しますれば、落して揚げるというようなことで、やみに流れて困る。そこで司令部におきましても、この点については非常に関心を持たれまして、何とかこれを統一しなければならぬというので、若松、大阪、横浜というような主要な所には、その筋の指示を得まして社団法人をつくりまして、それから一本に私どもは買取るようになつた。しかし形は買取つたことになつておりますが、精神はいわゆる荷揚賃、拾揚賃を拂うというような精神でやつたのであります。何十年この荷役という問題ではわけのわからぬことが多かつたのでありますが、公団の引取り値段では——公団でなくてもその前の引取り値段ではペイしないときには、ほとんど月に何百トンしか来ない。ところが少し買上げがよいとか、やみの方がうるさいというときにはどつと持つて来る。なかなかこれについては、いわゆる古物商の鑑札を持つたものは全部やる。ところがそれについて古物商の鑑札ではいかぬ。何かとにかくこれは長年ややこしい問題です。
  105. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 東京なり横浜なりで、みんな今あなたのおつしやつた石炭協会というものはできたようですね。
  106. 藤井貞雄

    藤井証人 できました。
  107. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその石炭協会は、その荷後炭を集めて、そしてまとめて持つて来る機関であるべきだが、さらに下請業者に集めさして口銭を取るだけのものであつたそうですね。
  108. 藤井貞雄

    藤井証人 下請業者といいますか、これは私東京の例はよく知らないのですが、一番血の雨を降らしてうるさかつたのは若松でありますが、これは石炭協会というものがありましても、ざつくばらんに申し上げますと、そこのボスがおつて、なわ張りがあつて、どこそこの藤の木の下のものはおれが行くんだ、あるいはまき山のものはおれがやるんだということであるわけです。しからば権利を持つているかというと——権利といいますか、だれもそれに拾つてくれということを頼んだものでないのです。自然にそういうものができて、石炭の値が高くなつて来て、やみへ流すともうかると、そういうものが何十もできて来るわけです。そこでそういうものをみんな相手に公団がやるということは、目が届きませんから、これはなかなか公団としてはできない話です。だからそういうものを一手につまり買上げるというか、集めるというか、そういうようなものはいわゆる公益事業としなければいかぬ。これは普通の株式会社なんかではいかぬというので、いわゆる社団法人というものをつくつてつたわけです。これはさつきちよつと触れましたが、警察におきましても、あるいは地方の県におきましても、ないしは司令部におきましても、実に困り拔いて来た問題で、直接石炭協会なら石炭協会がみずから人夫を雇い、みずからやつておるというのは、大阪の例で見ますと、元はみずからやつてつたのですが、関西の風水害のときに、はしけだとか、道具だとか、いろいろなものをとられてしまつて、それ以来はやはり各自がそれぞれ立上つてやる。結局石炭協会というものは、それの統制機関といいますか……
  109. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 統制というか、頭をはねた。ピンはねといつて……
  110. 藤井貞雄

    藤井証人 頭をはねたということもないでしようが……
  111. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これもたいへんな金が拂われておるようですね。そのほかに、その下請がやかましかつた時分のやみ石炭というものは、ここから出たそうじやないですか。
  112. 藤井貞雄

    藤井証人 協会から出ませんけれども、各下請から……
  113. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それにもかかわらず、何億という金を拂つておりますね。
  114. 藤井貞雄

    藤井証人 それは買つたものだけは拂つております。これはあまり安い値段で買うと、必ず持つて来はしません。だからやはり普通の精炭が二千円すれば——どこが水準かということはなかなかむずかしいのですが、その揚賃との見合いがありますから、あるいは普通の精炭が二千円するときに、お前らの揚賃は千円だ、だから千円で持つて来いということになつたら、これは警察で取締るよりほか方法はないわけです。
  115. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはそれでよいが、先ほどあなたが言われた荷後炭が特に多く出たのではないですか。
  116. 藤井貞雄

    藤井証人 あれは非常に消長がありましてね、つまり多く出たということより、網の目を多くくぐるか、くぐらないかということで来るわけですね。
  117. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 はなはだしきに至つては、船の底に二重底か、三重底をこしらえておいて、そして底のものだけは動かぬで、上のものだけは上つてつて、それがいつまでもそこに残つておる。それが全部荷後炭になつたという話ですね。
  118. 藤井貞雄

    藤井証人 そういうこともあるかもしれませんが、とにかくこれはややこしいものです。
  119. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、荷後炭が多く出るのも困るが、それより大きな問題は、船底だけは動かぬのですから、それでこの船に一ぱい積んだら五十トンだとか、八十トンだとかいわれると、船底にあつたものだけは欠斤しておるわけですね。
  120. 藤井貞雄

    藤井証人 私どもはそういうことは考えませんが、私はこういう意見を出したことはしばしばです。これくらい警察でも法律でもわけのわからぬものはない。一体荷後炭というものはなくしたらどうか。これを買うとか買わぬとかいうことになるから、自然残さぬでもよいものを残したり、拾わぬでもよいものを拾うということを極端にやつておる。落して拾う。だからそういうものは一切買わぬことにするよりほかに、荷後炭を解決する方法はないということさえ私は言つたことがあるのです。しかしやはりあれだけ苦心して掘つたものだからというようなことから、これはおそらく今後とも石炭価格が高い限りは、解決はむずかしいものだと思つております。
  121. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それから先ほどもちよつと聞いたのですが、貯炭場の監視ですね。先ほどあなたの話を聞くと、もう今年は八月ぐらいからほとんど監視はできなかつた実情ですが……
  122. 藤井貞雄

    藤井証人 監視ができなかつたというのは少し言葉が強いと思いますが、実際問題といたしまして、公団が九月の十五日に廃止になりまして、現在その後公団の清算機関としてどういうことをやつておられるか私存じませんが、私ども想像いたしますところによりまして、人員も今申し上げますように非常に減つておりますし、貯炭場に一人つけましても二千人の人がいるとか、極端に申しますと、そういうことはとても今の残つておる人間でやれそうなことでもございませんし、結局警察力の手を借りて始終見てまわる、あるいは石灰を置く、そういうことは始終やつておりますが、さくをつくると申しましても、とてもあれだけのものにさくをつくるというようなことは、広つぱにどんどん揚げておりますし、これはできません。中にはある工場の中を借りたり、あるいは幸い戰災跡のさくのある所を借りたというようなことはやつております。鉄條網を張りめぐらしてやるというようなことはやつておりますが、現在もこの貯炭管理がうまく行つておるかどうかという御質問があれば、これは完全に行くということはおそらくできぬのじやないかと私は思つております。
  123. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは荷役会社に監視させておつたのではないですか。とても手がまわらぬから、お前の方で監視せよと言つて……
  124. 藤井貞雄

    藤井証人 そういう点はあるでしよう。たとえば上げたものは六百トン揚げた。これを出すときには出して、そのかわり六百トン切ればお前の方の責任だというようなことは、私ども長い間販売会社をやつておりますときにも、そのときには今のような厖大な人を抱えておるわけでございませんし、おのおの自分のところの專用というか、そういう貯炭場を持つておりますが、それでもやはりそこの運送店に責任管理をまかすというようなことは、ああいう厖大なものでありますから、あり得るわけです。
  125. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが実際調べてみると、そうあつてくれればよいのだけれども荷役会社自分の所有のものと、公団のものと一緒くたに置いて、そうしてこれは皆おれのものだと言つてつてつたりしたのは……
  126. 藤井貞雄

    藤井証人 そういうようなことはございません。
  127. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 実際そういうのを見て来ておりますよ。
  128. 藤井貞雄

    藤井証人 そういうことはあり得ぬと思います。
  129. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかしひどく斤量が減つて来ることだけは間違いないでしよう。
  130. 藤井貞雄

    藤井証人 それはこの公団がなくなつてから、昨年の九月十五日以後私は発言権はないのですが、そういうことはないと思います。
  131. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それではあとで聞きます。それから非常に発熱をして燒けたところがあつたそうですな。
  132. 藤井貞雄

    藤井証人 ございます。
  133. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これに対しては、どうしてそういうことになつたのですか。
  134. 藤井貞雄

    藤井証人 それは石炭の自然発火でございまして、硫黄分、揮発分がありますると、特に多いものは高く重ねますと、いわゆる俗の言葉で申しますとむれまして、熱を持つわけです。そして自然発火をいたすのです。この自然発火は九州炭、北海炭。北海炭の中でも例の水分の非常に多い天北炭、それから本土炭、常磐炭、宇部炭というようなものが起りがちなものでありますから、こういうものの貯炭にはなるべくそういうことのないように苦心をいたすのであります。しかし私の在任中にも東京の隅田の貯炭の自然発火、大阪にも一つありますし、公団末期におきましても、北海道の天北炭の貯炭の燃燒という問題が起つて来ました。
  135. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 普通はどのくらいの高さに積むものなんですか。
  136. 藤井貞雄

    藤井証人 普通どのくらいの高さに積むかということですが、まず石炭の常備貯炭申しますか、量の問題との関連がありまして、なるべく高く積まないようにというのが、この自然発火を防ぐ方法なのであります。だから普通はまず一間か二間半くらいの高さ……
  137. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところが留萌に行つてみると、何十尺と積んであるそうではないですか。
  138. 藤井貞雄

    藤井証人 留萌だけではありません。大阪に行きましても……
  139. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 室蘭にも……
  140. 藤井貞雄

    藤井証人 室蘭もそうでありましよう。まず一体どのくらいあれば……     〔「燒けた話ばかりしないで、進行しようじやないか」と呼ぶ者あり〕
  141. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 とにかく行つて見て来た者は、驚くべきものだ、常識で判断できないようなやり方で、あれで発火しなかつたらどうかしていると言つておる。  次は売掛代金はどうですか。回收はうまく行つておりますか。
  142. 藤井貞雄

    藤井証人 売掛代金は、私が公団をやめます昨年の九月の十五日で、約百九十億あつたと記憶いたしております。これは今まで公団は約二千億の売上げをやつておるわけなんですが、百九十億の売掛といいますと、大体二箇月あまりの売掛になるわけであります。
  143. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 近ごろは大分取立てが厳重になつたようだが、前はなかなかゆうちようなものだつたそうですな。
  144. 藤井貞雄

    藤井証人 それはどう申しますか、最初はそうございませなんだ。大体大きくなりかけましたのは、今私はつきり記憶いたしておりませんが、二十四年の四月ごろからではないかと思つております。それまで配炭公団の売掛の回收は、いわゆる末端までやつており、みずからそれをやつておるということについては、復金あたりからは回收が非常にうまく行つている、当時この売掛は一箇月くらいしかなかつたのですから、こういう程度であれば、公団としては私は決して惡い状態ではない……
  145. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 保險料は幾らほど拂つたか覚えはありませんか。こちらで調べたところでは、六億五千万円拂つたということになつているのですが、そんなものですか。
  146. 藤井貞雄

    藤井証人 私の在任中までは、五億台だと記憶しておりますが、はつきりした金額は五億七、八千万円ではなかつたかと思います。
  147. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それで損害金として保險金をもらわれたのは、幾らくらいありますか。
  148. 藤井貞雄

    藤井証人 これは大体保險料の一割か一割五分程度の損害金しかなかつたと思います。はつきり私は記憶して……
  149. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そういう意味からいいますと、もつと保險料率が下つてしかるべきものだという説がありますが、それはどうですか。
  150. 藤井貞雄

    藤井証人 これは公団の運営上大きな問題でありますから、私ども業務局も、対当猛烈に保險会社と折衝いたしてきめているはずでありまするから、高率だとは考えておらないのですが、その点はときどきかわつておりますから、はたして料率がなんぼであつたかということは、記憶いたしておりません。
  151. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 千代田商業といつて公団をやめられた人がつくつたのが、一手引受けの代理店になつておるのですね。そこから相当もどしが来ておるようですが……
  152. 藤井貞雄

    藤井証人 共済会に入つておるのです。
  153. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 最初三分五厘とつて、それから二十三年七月からは七分になつておる。相当な金ですね。全部で五千万円くらいになつております。
  154. 藤井貞雄

    藤井証人 そうはなつていないでしよう。はつきり覚えませんが。
  155. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 四千何百万円になつておる。これは実際に厚生施設に入つたのですか。
  156. 藤井貞雄

    藤井証人 全部入つております。
  157. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そんなに大きな厚生施設がいるのですか。
  158. 藤井貞雄

    藤井証人 一万何千人の共済会です。それがかりに二箇年間になりますか——共済会というのは、共済会の運営委員会というものがありますので、それでやつておりまするから、使途は非常にはつきりいたしております。
  159. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 千代田商業内部について、あなたは御承知でしようか。
  160. 藤井貞雄

    藤井証人 あまり詳しくは存じません。
  161. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 いろいろなところへ莫大な金が入つておるのですから、とにかく五分か六分で四千何百万円になるんだから、たいへんな金が入つておるはずですが、この内容を調べて見ると、交際費、会議費というものがほとんど支出の大分を占めておるそうですが、これはやはり公団のごちそう機関であるのではないですか。
  162. 藤井貞雄

    藤井証人 私は千代田商業が何か疑惑をもつて見られておるということをしばしば耳にいたしましたが、公団の役職員千代田商業との間におけるそういつたようなことは、断じてないと思います。
  163. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは公団をやめた人が独立してやつておるのですか。それとも事実上は公団におつて、そこへ名前だけ出しておるのではないのですか。
  164. 藤井貞雄

    藤井証人 いや全然違います。そうではありません。全然別個のあれです。公団から人も行つておりませんし、公団から金が出ているわけでもありませんし、何ら関係はありません。
  165. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかし何かごちそうでもするようなことがあつたら、ここで請負わせてやることはちよいちよいあつたのではないですか。
  166. 藤井貞雄

    藤井証人 絶対にありません。
  167. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ないですか、油糧産業などというのは……
  168. 藤井貞雄

    藤井証人 そういうことははなはだ心外なので、絶対にありません。十分お調べなすつて……
  169. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 公団廃止になりましてから、ここにおつた職員はたいていどういうことをしておりますか。
  170. 藤井貞雄

    藤井証人 大体公団の解散当時一万一千人ぐらいであつたと思いますが、そのうちで、これもごくラウンドの数字でありますが、約七千人ぐらいが今公団をやめておりまして、四千人くらいが今残つて清算事務をやつております。そして七千人のうちで、はつきりしたことはわかりませんが、約六、七割、これはやはり石炭の方面にそれぞれ就職をいたしております。あるいは自営もいたしております。あと二千人ぐらいが、全然石炭関係以外の方へ行つておるんじやないか、それから約千名足らずがまだ就職が決定いたしませんで、私どもその就職のことで今いろいろやつております。大体そういうことになつております。
  171. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 八月になつて、いよいよ来月から公団廃止になるということがきまつてから、八つの第二会社ができたそうですね。それは公団の下請になるのか、どういうことですか。
  172. 藤井貞雄

    藤井証人 これはこういうことから来たのであります。公団一万何千人の人をどうして就職さすかということについて、私ども責任者として非常に頭を痛めたわけであります。公団が突然に廃止されるということになりましたので、それぞれこの就職機関をつくり、また生産者販売業者の方へもとつてもらおう。しかし公団は厖大な機関も持つておるし、さらに八月の十五日から生産者が直接やる。さらに九月十五日からは自由にやれるということになりましても、それは大消費地はやれるだろう。しかし各末端に行きますと、おそらく当時の事情はまさしくその通りであつたのでありますが、販売業者も資金がなくて立てない。また生産業者も、いろいろの施設、あるいは設備、あるいは人というような問題で立てない。このまま公団を裸にしてフリーにしてしまうと、とうてい石炭配給というものが末端にはうまく行かぬ、だから何とか過渡期においてもこれらの配給の混乱を避けなければならぬ、同時に公団のせつかくのエキスパートがあちこち散らばるから、せめて公団貯炭の処分にでもそういう人間を使つて、第二会社という言葉は何もなかつたのですが、公団職員で金を出し合つてでも、ひとつ会社をやるように慫慂しようじやないかということを、政府とも相談し合いましてつくつたわけなのであります。しかしこれは非常に立ち上りが遅くて、たしか東京公団廃止前後にできたと思いますが、できてないところもございます。九州あたりはできていないのではないかと思つております。北海道もごくわずかなもので、公団廃止になりまして、非常にあとからできたということを伺つております。
  173. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 やはり買入れ及び配給仕事をやるのですか。
  174. 藤井貞雄

    藤井証人 いやそれは何もやりません。ただ一つ販売業者です。
  175. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 このほかに——第二会社のほかにまた販売会社というものもできておるのではありませんか。
  176. 藤井貞雄

    藤井証人 今のお言葉の第二会社というものは、公団従業員をもつてする会社を言うのですが、これは全然販売会社です。
  177. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 全部販売会社ですか。
  178. 藤井貞雄

    藤井証人 全部販売会社であります。
  179. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 ところがその販売会社に、たいていあなたの方の持つておられる石炭を扱わせておるようだが、もう日本各地にわたつて百トンや二百トンあつたものはないことにして、それでなくなつたと思つてつてみると、ずいぶん石炭が売れておるという事実があつて、たいへんなことが起つておるようだが、この事実をあなたは知りませんか。
  180. 藤井貞雄

    藤井証人 いや存じません。そういうことはないでしよう。
  181. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 だつて経済調査庁や何かで調べておることは聞いておらぬですか。
  182. 藤井貞雄

    藤井証人 経済調査庁でやつていることは知つております。むしろ経済調査庁、通産局、財務局、会計検査院立会いのもとに公団調査をしたことは聞いておりますが、今の委員長のお話のような事実は聞いておりません。
  183. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 私の知つたのでも、何一つもなかつたというのに、何百トンの石炭を売つておる。帳面ではなかつたことになつておる。
  184. 藤井貞雄

    藤井証人 これは今の清算後の仕事になつておりますから、私もよく存じませんし、どういうことになつておるかは、そういうことは聞いておりません。
  185. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 こういうふうにいろいろわれわれとして不審な点はたくさんあるのですが、結局においてどうですか、これを今ここで清算すると、どれくらいの赤字が出るとあなたは思つておりまか。
  186. 藤井貞雄

    藤井証人 これは私ども昨年の九月にいよいよ公団がやめになる。そこで安本の方から、一体ここで公団をやめるとどのくらいな公団の赤字になるだろうかという話もあり、また同時に私どもも一体どうなるだろうかということを、当時いろいろ研究をいたしたのであります。このどれだけ赤字になるかという問題は、要するに清算をやるやり方、言いかえれば貯炭の売りさばき方、それから売掛代金回收の仕方ということにかかつて来るわけなのであります。そこで私が記憶いたしておりまする限りにおきましては、当時安本にも出したと思つておりますが、百九十億の売掛金があつたわけであります。一体この売掛金のうちでどれだけが腐つておるだろうか、どれだけが腐るだろうか、売掛けがとれなくなるだろうかということを、いろいろ各配炭局の資料で研究いたしたのでありますが、まずこの中で十六億ぐらいではなかろうかということを——これもどうも実は天井をにらんだような数字でありまして、あるいはそんなにないという説もありました。いやまだあるだろうという説もございましたが、一方の見方としまして、今まで公団二千億商売している。そうすると一分売掛け倒れがあつたとして二十億ではないかという観点から、二十億ぐらいという——これは勘でございますが、お話もございました。それで今の十六億というのは、少し余裕を見た数字だと私は当時思つておりました。それから当時、しからば公団の利益といいますか、剩余金といいますか、剩余金が八十一億あつたわけであります。そうするとこの八十一億の範囲内で公団閉鎖事務が終了すればパーになる。この清算事務で百億赤が出れば、差引き見合わすとざつと二十億の損になるということでありましたが、このときに私どもが計算いたしましたのは、売掛けはこれぐらいの損であろう、それから貯炭欠斤、それから今度は自由販売になり、これだけの五百万トンの貯炭を持てば、これは当然石炭も非常に濫売される。しかも公団貯炭は銘柄になつていない低品位炭も多い。そういうことで一体何ぼ下げて売つたら売れるだろうか、一体何ぼの期間にこれを売るか、すべていずれも仮定でございますので、そのときに私ども約九十億くらいの赤字になるだろう。貯炭管理費もいれば、認証手形の利息もいるということで、書類を出したのでありますが、これは結局公団がなくなりまして、あとの貯炭のさばき方、それからさばく期間、売掛けを回收する期間、その売掛けを回收する方法、こういうことにかかつて来ると考えております。
  187. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは今九十億と言われるが、それにいろいろ諸掛り、金利を入れますと、またたいへんなものになりましよう。
  188. 藤井貞雄

    藤井証人 私どもが入れましたのは、はつきりした数字は覚えておりませんが、金利なんかも七、八億見ておりました。管理費も七、八億見たと思います。それから公団が半年続くのが——司令部では半年ということになつておりますが、これも七、八億かかる。それから欠斤はたしか一割ぐらい見たと思います。それから風化する等、そういうものでたしかそういう数字が出たと思います。
  189. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは九十億の赤字と言われるが、これがもし個人会社、もしくは個人であつたら、大騒動のことだろうと思うが、これは九十億くらい損してもさしつかえないものですか。
  190. 藤井貞雄

    藤井証人 さしつかえないという考えは毛頭持つておりません。持つておりませんが、ああいうぐあいに、五百万トンの貯炭を私どもがどうしても持たなければならぬような公団の性格からして、そういう状態になることは、もし先ほど委員長のお話のように、これが普通の個人会社といいますか、いわゆる株主の会社である場合、それだけの貯炭をかかえるようなこともおそらくありません。買取りも制限してございましようし、また公団の売掛けにしましても、金のおそくなるときにはおそらく入れもしますまい。これは公団の性質上クーポンのあるところには渡さなければいけない。また生産したものは買わなければいけないという事態に追い込まれ、またそういう性格のものであるということも、もう御承知とは思いますが、決して簡單にそういうことを私は考えておるわけではないのであります。
  191. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 しかしその損害は結局国の損害、ひいては国民全体の損害になるわけですね。
  192. 藤井貞雄

    藤井証人 さようであります。
  193. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 われわれはたいへんなことと思つておりますが……。統制の弊害ですか。統制というものであつたがゆえに、それだけの損害はやむを得ぬという御意見ですか。
  194. 藤井貞雄

    藤井証人 統制申しますか、要するに公団法がああいうような買取りをしなければいけない、クーポンのあるものには渡さなければいけない。そういう指定生産資材割当規則といいますか、片一方には公団法で買わなければいけない。そういういわゆる統制の結果と申しますか、そういうことになると思います。
  195. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 石炭国管と何か関係あるように思いますが、どうですか。
  196. 藤井貞雄

    藤井証人 国管とは直接の関係はどうでございますか、国管法は増産の目的にあるのだということでありますが、私ども詳しくは存じませんが、あの国管制定当時はむしろあとからつけた文句であつて、これはイデオロギーで出たものではないかというように、私ども個人としては考えてもおつたわけです。
  197. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そうすると、あなたがさつき言われた、悪い炭でも掘つた以上は買わなければならぬ。これは悪い炭でも国家が補助して掘らせることになつておりますが、そういうことは多少影響がありましようね。
  198. 藤井貞雄

    藤井証人 そういう意味においてはございます。それからまた同時に、これはひとり国管法ということだけでなしに、従来からのいわゆる石炭行政というものが、一つの至上命令として三千万トンは絶対に掘れ、三千六百万トンは絶対に掘れ、四千二百万トンは絶対に掘れ、かかつただけの單価で買つてやるのだということで、要するに量の生産というものが、大きい意味におきましては、日本石炭行政を誤つたものである。常に私は、配炭公団をやります際におきましても、また運営上におきましても、最初のうちにおきましては、これだけ輸送機関が不足しておる、これだけの荷役機関が不足しておる。しかるになぜどろを掘れということを奨励するのか、要するに熱を掘らなければいかぬということを私はしばしば言うて、またお前はそういうことを言うと言われたこともあるわけです。
  199. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 わかりました。ほかにどなたかありますか。
  200. 菅家喜六

    ○菅家委員 証人にお尋ねしますが、配炭公団法の第十七條を見ますと「配炭公団は、業務開始の際、業務方法を定めて、経済安定本部総務長官に提出し、その認可を受けなければならない。」こういうことが規定されてあります。ところが公団は、この規定に基いて業務規定を作成して申請したが、認可にならないでそのままになつて、その業務規定でやられたようですが、その理由はどういうわけでありますか。
  201. 藤井貞雄

    藤井証人 業務規定は認可になつておると私は信じております。
  202. 菅家喜六

    ○菅家委員 なつておりますか。
  203. 藤井貞雄

    藤井証人 はあ。
  204. 菅家喜六

    ○菅家委員 私どもの調べたところによると、業務規定の認可はなかつたように思います。間違いありませんか。
  205. 藤井貞雄

    藤井証人 間違いないと信じておりますが……
  206. 菅家喜六

    ○菅家委員 その点はどちらの調べが間違いかもしれませんが、不認可のままで解散してしまつたような調査をわれわれはいたしておりますが……
  207. 藤井貞雄

    藤井証人 そういうことはあり得ぬことだと思つております……
  208. 菅家喜六

    ○菅家委員 あり得ぬことであるのがそうなつておるから、お尋ねするのです。総裁であるから、あなたはそれがわからないはずはない。正確なところをお答え願いたい。だろうというようなことじや責任のあるあなたとしては困る。一番大切な業務規定でありますから……
  209. 藤井貞雄

    藤井証人 私は運営しております際に、業務規定が認可を受けてないということは毛頭考えたこともございません。当然認可を受けておるものと信じております。
  210. 菅家喜六

    ○菅家委員 さらに四半期ごとの資金の計画も同様で、認可を受けなくてはならぬことになつておりますが、四半期ごとの資金計画というものも、ただ單なる了解程度で公式の認可を受けておられないように私ども承知しておりますが、そういう事実がございましたか。
  211. 藤井貞雄

    藤井証人 それも同様に、あるいは手続的にずれがあるとか何とかいうことはございましようが、むしろ公団はそういうような法律的なことといいますか、そういうことはやり過ぎるくらいやつておるように私は思つておるのでございます。
  212. 菅家喜六

    ○菅家委員 そうすると、四半期ごとにおける資金の計画も、認可を受けておるという証人の御答弁は、間違いないと承つてよろしいですか。
  213. 藤井貞雄

    藤井証人 受けておると信じます。しかしもしお調べになりまして、事実上受けてないという委員の方のお言葉でございましたら、私もさらに調べてみますし、あるいはまたその方のそれぞれの所管の責任者がおりますから、そういう者を通じて確めてみたいと思います。
  214. 菅家喜六

    ○菅家委員 しかしあなたが就任されておる間のこれだけの重要な事柄がはつきりしないということは、ちよつと私どもにはふに落ちないのであります。こまかい部分じやないのであつても根本の大きな問題のこの二つがあなたの方でわからない、どうか知らぬが、いま一応調べてみるというようなあいまいな証言のように受取れる。これは了解程度で、認可を受けておらないのじやないですか。
  215. 藤井貞雄

    藤井証人 いやそうではないと思います。認可を受けていると思います。
  216. 菅家喜六

    ○菅家委員 私の調査が間違いかもしれませんが、なおこちらの方でも調べてみることにいたします。  それから、公団の外郭団体と申しましようか、たとえば日本石炭協会とか、地方石炭協会とかいうような外郭団体がどのくらいあるかということを……
  217. 藤井貞雄

    藤井証人 公団には外郭団体というものはございません。
  218. 菅家喜六

    ○菅家委員 日本石炭協会というものは外郭団体ではないのですか。
  219. 藤井貞雄

    藤井証人 日本石炭協会というのは、生産者の協会でありますから、公団とは関係がございません。
  220. 藤井貞雄

    藤井証人 荷後炭の石炭協会ですか。大阪石炭協会とか、東京石炭協会とか……
  221. 菅家喜六

    ○菅家委員 だから地方石炭協会ですが、それと公団とはどういう関係になつておりますか。
  222. 藤井貞雄

    藤井証人 公団との関係は、先ほど委員長の御質問によつて御説明申し上げましたように……
  223. 菅家喜六

    ○菅家委員 直接なり間接なり、公団関係があるのかないのか。
  224. 藤井貞雄

    藤井証人 ある、ないを今お答えしようと思つたのですが、関係がありというならば、各場所の者を理事のうちに入れているという意味においては、関係がございます。
  225. 菅家喜六

    ○菅家委員 だから関係があるのでしよう、そういう意味から言つたら。これは公団との一種の関係を持つ一つの外郭団体ということができないのですか。
  226. 藤井貞雄

    藤井証人 外郭団体という言葉自身が、どうも私はよくお答えができませんが、そういう意味合いであるものが外郭団体ということであれば、あるいは外郭団体であるかもしれません。
  227. 菅家喜六

    ○菅家委員 一体この石炭協会とか何とか、これは外郭団体でなくてもけつこうですが、これらの協会費というものは、どういうふうにしてまかなわれておるのですか。
  228. 藤井貞雄

    藤井証人 協会費は協会が荷後炭收、給業者といいますか、そういうものに支拂う金、それから公団が協会に拂う金との差額ができるわけでありますから、それが経費になつておると思います。
  229. 菅家喜六

    ○菅家委員 それから炭鉱福祉協会というものがありますか。
  230. 藤井貞雄

    藤井証人 ございます。
  231. 菅家喜六

    ○菅家委員 これはどういう性質のものですか。
  232. 藤井貞雄

    藤井証人 これは公団とは何も関係のないものでございます。それは炭鉱従業員の福利厚生を目的としてつくつてあるもので、公団とは何ら関係がございません。
  233. 菅家喜六

    ○菅家委員 それから総裁の報酬はどのくらいでございましようか。
  234. 藤井貞雄

    藤井証人 私の報酬は、何回も何とかベースでかわつたのでありますが、最後は三万二千円くらいだつたと思います。
  235. 菅家喜六

    ○菅家委員 そのほかに機密費とか、また交際費というものはございませんか。
  236. 藤井貞雄

    藤井証人 機密費は一銭もございません。交際費は理事一人について一万円ずつ予算から出ておりました。
  237. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 月ですか。
  238. 藤井貞雄

    藤井証人 はい。
  239. 菅家喜六

    ○菅家委員 理事は何名おられたのですか。
  240. 藤井貞雄

    藤井証人 理事は、理事と監事合計で、最初十六名であつたと思いますが、その後漸次やめましたから、総裁、副総裁を入れまして九名くらいになつたと思います。
  241. 菅家喜六

    ○菅家委員 検量委員会というのがありますか。
  242. 藤井貞雄

    藤井証人 はい。
  243. 菅家喜六

    ○菅家委員 この構成はどういうようになつておりますか。
  244. 藤井貞雄

    藤井証人 検量委員会というのは、先ほど委員長からお尋ねがありました際にお答えいたしましたが、各積地で石炭を積みまして、揚地に持つて来る。ところがここで欠斤が出る。これをまた山に抗議しなければならぬということで、公団がひとりで検量したものでは認証力が少い。それで、需要者輸送業者、その他の公団以外の人に立会つてもらう。あわせてそういうような委員会をつくることによつて、こういつたように公団においては、揚地においては公正に看貫した結果を生産業者に知らせんとするものであるということを言うためと、兼ねた委員会であります。
  245. 菅家喜六

    ○菅家委員 その委員会の手当であるとか、また謝礼金であるとか、会議費というようなものは、どのくらい使われて、どういうようになつておりますか。
  246. 藤井貞雄

    藤井証人 それは私は数字的に記憶しておりません。各場所がやりますから、大した金額ではないと思つておりますが、どのくらい——また大阪委員会が何回委員会を開きましたか、それは存じておりません。
  247. 菅家喜六

    ○菅家委員 それでは、もう一点だけ最後にお伺いいたしますが、会計の問題であります。一体私ども委員は、先ほど委員長からも尋問があつたようでありますが結局赤字の問題で、各種公団をめぐつて不正事件があり、非常に厖大な赤字を生んでいる。これが国民の疑惑の的になつている。この公団はどうして一体こういう赤字が出て来たかという真相を知りたいのであります。同時に、その赤字をめぐつての各公団不正事件があるということも天下ひとしく言つているところである。そこであなたの方の公団の会計、これは会計の第二十條に「配炭公団は、前條の各期毎に財産目録、貸借対照表及び損益計算書を作成し、毎事業年度経過後二箇月以内に、これを経済安定本部総務長官に提出し、その承認を受けなければならない。」これは各所に張り出すことになつていますが、この正式の二十條によるもの以外に、何らか下部組織に別な帳面で合計をやつてつたという事実をわれわれは聞いておりますが、総裁はそういうことは御承知ありませんか。
  248. 藤井貞雄

    藤井証人 存じもいたしませんし、さようなことはないと思つております。
  249. 菅家喜六

    ○菅家委員 そういたしますと、これは配炭局であるか、その下部組織の支部であるかわかりませんが、そういうものが出て来たときには、総裁はどういうような責任をとられますか。お知りにならぬというのでありますか、すでに局、支部においてそういう問題を起しているところがあります。新聞等にそれが報ぜられている。表向きの帳面と、表向きでない内緒の帳面があつて、どういう金かわからぬが、それによつて経理されている。しかも表向きのものはこの二十條によつて安定本部総務長官の承認を受けて、しかも張出しをしなければならぬことになつている。各事務所に備えておかなければならないことになつている。それを備えない局、支部もある。しかもこの二十條による会計の規定によらない別の運転の——どのくらいの金であつたか、あるということが地方の新聞に伝えられております。すでにそういう事件を起しているところがあるのであります。
  250. 藤井貞雄

    藤井証人 そういうことは私はないと思つております。
  251. 菅家喜六

    ○菅家委員 ないと思うと言つても、現にそういう事実があるのですが、お知りにならぬですか。
  252. 藤井貞雄

    藤井証人 存じません。
  253. 菅家喜六

    ○菅家委員 それではひとつ委員長の方で、第十七條によるところの配炭公団は、業務開始の際に業務方法を定めたる安本長官の認可を受けておらないように私は思うのですが、受けておるかどうか、この事実の真相を委員長の方で御調査願いたいのが一つ
  254. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 あなたは二十三年の八月中旬に、行政管理庁の監察部からあなたの方へ監査に来たことは覚えていますか。
  255. 藤井貞雄

    藤井証人 二十三年の八月ですか——何回もいろいろおいでなつたから——それではとにかくおいでになつたのでしよう。はつきりいたしませんが……
  256. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 そのときの報告書に、今ここで問われたことがちやんと出ている。
  257. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございますか。
  258. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 これは重要なことですよ。四半期ごとの資金計画の承認、計画は提出し折衝はしているが、承認はない。但し事実上は安本の承諾を得てやつておるようである。それから今言う業務規定を申請中であつて、いまだ認可がない。しかし現実にはこの規定によつて執務しておる。
  259. 藤井貞雄

    藤井証人 御調査の結果そういうことであれば、先ほど申し上げましたように、私の知つております限りにおいて、そういうことがあつたということは、今初耳なんです。
  260. 菅家喜六

    ○菅家委員 そうすると、重ねて証人にお尋ねするが、先ほどは業務規定とか、そういうことはあり得ない。自分の知り得る範囲においては認可をとつたという御証言であつたが、今度はあいまいになつて来た。あるいは承認を受けたかもしれないし、許可がなかつたかもしれないという証言に承つてよろしいのですか。これは重要な問題であります。根本をなすところの業務規定というものは、認可を受けたか受けなかつたかということを、総裁が知らないなら知らないで、あいまいなる証言でけつこうです。何もしいるわけではありません。先ほどは受けられたというお話ではありませんか。
  261. 藤井貞雄

    藤井証人 私は当然受けておるものと信ずるということです。
  262. 菅家喜六

    ○菅家委員 受けておるものと信ずる。そうすると受けておらなかつたときは、あなたは僞証になりますよ。
  263. 藤井貞雄

    藤井証人 僞証というほどの問題ではないと思います。
  264. 菅家喜六

    ○菅家委員 どうして……
  265. 藤井貞雄

    藤井証人 私は当然受けて……
  266. 菅家喜六

    ○菅家委員 私はあなたを証人としてお尋ねしておるのですが、受けておるというものが受けておらなかつたときには、僞証になるのじやありませんか。最高の責任者であるところの総裁が、かくのごときことを認可を受けたか受けないかはつきりしないならば、はつきりしないでよろしい。受けたつもりであるというようなあいまいなことによつてこの場を糊塗されることは、はなはだけしからぬと思う。
  267. 藤井貞雄

    藤井証人 いやこの場を糊塗するのでも何でもないのです。
  268. 菅家喜六

    ○菅家委員 それではどうですか、はつきりしておるのですか。
  269. 藤井貞雄

    藤井証人 私はそのような重大問題であるがゆえに、当然認可を受けておるものと信ずる。しかし今委員長から、行政管理庁の方でそういうものは受けていなかつた。申請はしているが、許可はまだしていなかつたということがあるかどうかというお話がありましたから、それでは私はそういうことは耳にいたしておりませんけれども、そういうことがあつたのかもしれぬということを、今考えているわけであります。私の思つている通りをそのまま申し上げているのですから、僞証にはならぬと思います。
  270. 菅家喜六

    ○菅家委員 これは委員会としてその点は重大でありますから、はつきりした調査をひとつ——ただちにわかることでありますから……
  271. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それはひとつはつきりしましよう。——その後受けておつたかもしれませんが、この監査をしたときには受けておらなかつた。八月十六日、十七日と……
  272. 藤井貞雄

    藤井証人 はあ、さようでございます。
  273. 菅家喜六

    ○菅家委員 そのまま解散になつたかということです。私どもの方では、これは安本の方のあれを見ればすぐわかります。  それからもう一点証人にお尋ねすることは、退職されるときの退職資金といいますか、それは幾らほどでしたか。
  274. 藤井貞雄

    藤井証人 私ですか。
  275. 菅家喜六

    ○菅家委員 むろん証人にお尋ねしておるのですから、あなた以外のことはお尋ねいたしません。
  276. 藤井貞雄

    藤井証人 私は八万幾ら、何かはしたがございました。
  277. 菅家喜六

    ○菅家委員 約八万円ですな。
  278. 藤井貞雄

    藤井証人 はあ。
  279. 菅家喜六

    ○菅家委員 それから委員長、もう一つ会計の問題でありますが、仙台配炭局下部組織に、先ほど申しました表向きの会計以外に、特殊な帳面を備えてやつてつた。別帳面が警察にあげられたということを、地方の新聞に書いております。これは場所を指定しておりますから、この仙台配炭局下部組織のことを、調査員か何かで調査することを、私は提議しておきます。
  280. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 それは至急調べさせます。
  281. 菅家喜六

    ○菅家委員 それだけで私は終ります。
  282. 高木松吉

    ○高木(松)委員 私ちよつと中座したので、あるいは重複するかもしれぬが、簡單にお伺いしたい。その前にお断りしておきたいのは、過去にできた刑事問題とか何とかいうことをあなたに聞こうとするのではない。要するに国民負担があなたの言うところでも九十億、約百二十億と言う人もあるし、百五十億と言う人もあります。実際清算してみなければわからないでしようが、相当の巨額の負担を国民にかけることに相なつておるのです。そこであなたが配炭公団総裁として長い間勤められて、この配炭公団方式によるところのいわゆる経済活動というものは、日本国民のために利益になつておりますか。言いかえれば従来通りのいわゆる配炭方法をした方がいいのか、配炭方式によつて、この法律によつてつた方が国民の利益と考えられますか。あなたはそれをどつちに思われるですか。  なおその前に、もしこの配炭公団方式によるところのやり方によつて欠陷があつたとすれば、どの点とどの点とが欠陷であり、どの点が長所であるかというふうに、こまかく説明していただければけつこうだと思います。
  283. 藤井貞雄

    藤井証人 お答えを申し上げます。非常に大きな問題でございますし、またお答えがあるいは前後いたすかもしれぬと思いますが、ただいまの御質問は、言いかえれば配炭公団の功罪と申しますか、こういうことになると思うのでございます。私は配炭公団がした仕事の中で、どういうことが日本の経済の再建に役に立つたかということについて、まず申し上げたいと思います。敗戰後に日本石炭は非常に減産されまして、一時月額わずかに五、六十万トンというようなさんたんなる状況になつた。そこで石炭の増産がいわゆる至上命令として、あらゆる施策が施されたのでありますが、この間に処しまして、配炭公団が設立されましたときは、ようやく石炭の出炭量が月額二百万トンの程度に回復いたしておつたのであります。しかしながらこの二百万トンという数字は、その当時の日本石炭の需要から見ますると、非常に不足する石炭であつた。そこでもしあの当時に、全然自由経済によつてこの石炭の販売ということが放任されておつたといたしますれば、おそらくは石炭のやみ取引というものは横行いたしたいと思います。なお価格もどこまで上つたかわからないという状態なつたと思います。なお一般需要家から見ましても、それぞれ統制をされまして、鉄の値段、セメントの値段、肥料の値段、すべて統制を受けておる。その他の二次製品も同様でありますが、こういう際にもし計画的に石炭配給する機関がなかつたならば、ある特殊の値段を高く買う、金拂いのよい、しかしてそれは必ずしも国家の要請する産業でなくとも、そういうような方面におそらく石炭は流れただろう、こういうことを私は思うのであります。こういう意味合いにおきまして、あの当時の状態といたしまして、国の要請する産業に、数量的にも質的にも適切な配給をするということは、絶対必要であり、なお配炭公団は、私は不肖ながら私の力の限りをつくまして、その目的は達成できているのじやないかと思います。こういういつたような点は、配炭公団のごとき一つ統制機関をもつてすることによつて、初めて遂行し得たものだ、かように考えております。ところが一方、公団最初つくりますときには、いわゆる公社、パブリツク・コーポレションとして出発をいたしましたし、私どももそういつたような意味合いにおいて公団に入つたのでありますが、漸次これが政府機関、遂には政府の一部という、まつたく官庁と同じような組織にされた。現場をもつております企業体の性格として、こういつたようないわゆる政府機関としてやるということについては、非常に不便なことが多いし、また能率があがらない、非能率になる、こういう点におきましては、配炭公団といたしましては性格的に来る欠陷が非常に多かつた。なお組織が今申し上げますように非常に厖大で、一万数千人の人を抱え、さらにみずから最後までやらなければならぬというような組織でありますために、どうしても能動的な運営ができなかつた。それはまあ私の至らざるところもあると思いまするが、組織そのものもそのようであり、とかく官僚的に流れ、独善的に流れるという弊害も起つて来ているというようなことになつている。なお、そういうような機関でありまするがゆえに、一方非常に経済再建上適正配炭をして、利益を與えているが、一方今申し上げるような欠陷もあつた。これの功罪いずれであるかということにつきましては、私はそのときと方法によりまして、どちらかにウエイトがあるというようなことは、これはまあ一般の人の判断にまかすよりしかたがないものじやないかということでございまして、少くともあの当時には、こういうような制度は必要であつた。しかしながら政府機関とし、官庁と同様にしたために、非能率になつたから、いろいろ能率の惡い結果で国民にも迷惑をかけている点も多々ある。さらに公団法それ自体、あるいはまた石炭の政策それ自体というようなことがからみ合つて来まして、非常に公団の赤字を増して来る、こういうような状態になつてつた。功罪いずれかということは、私からはいずれであつたということは、はつきり申し上げかねるのであります。大体以上です。
  284. 高木松吉

    ○高木(松)委員 そこで先ほどあなたの御説明の中に、放任しておいたらという話がありましたね。むろん、ああいう日本の情勢のときに、これほど強化しなくても、ある程度の統制はしなくちやならない。従つて、あなたが今比較した言葉の中に、放任の内容が、あたかも手放しの自由経済にまかすというようなものと比較されたが、私どもはそうじやない。やはりああいう客観情勢には、おのずからある程度の統制は必要であつたろうが、公団方式のような強い統制は、かえつて害あつて益がないのじやないかということを問うておるのです。その点どうですか。
  285. 藤井貞雄

    藤井証人 よくわかりました先ほどの御質問が私の聞き違いであつたかも存じませんが、こういうような統制をしないであつた場合というようなお話がありましたから、実は両極端を申し上げたのです。ただいまの御質問に対して、さらに私の、これは私個人の意見でありますが、お答えしたいと思う。本来この公団方式をとります前に、戰後のこういつたような配給機関のあり方は一体どうあるべきかということが、朝野の問題になりまして、まず一番先に最も重要な産業である石炭配給機構をどうするかということが、当時非常に大きな問題になりまして、石炭コークス配給機構改善委員会というものができた。その際に私も委員の末席を汚しまして、貴衆両院からもそれぞれ委員がお出ましになりまして、あるいは学界からも出ますし、その他の各層を集めたメンバーによる委員会が構成されて、約一箇月半にわたつて議論いたしたのであります。その当時甲論乙駁がありましたが、私はこういつた公団方式というような最高度の統制方式ではうまく行かぬ、またそうする必要はない、全然私企業にゆだねるということは、これはあるいはいかぬかもしれないが、しかし最も能率的にやるのは公共企業体として、そして独立採算制をもつて政府機関、官吏とかいつたようなことにしないで、あくまでも企業意欲を働かすようなことにしなければいかぬ。そしてまた組織もこういうような一本の厖大なものにしてはいかぬ。これはやはり統制をするものと実施するものと、おのおの別別の機関としてそして末端を能動的に働かすべきであるということを主張いたしました。また当時の内閣であり、また委員長であつた星島商工大臣が、その委員長をしておられたのでありますが、結局その委員会の結論も、今私が言つたようなことに一応なつたわけなんです。しかし不幸にしてその委員会の主張は入れられずして、公団統制方式という高度の統制方式になつたのでありまして、ただいまの御質問に対する私のお答えは、当時の事情を申し上げまして、その後も私かわつておりませんし、また現在でも私はそういうような組織であつたなれば、さらに能率的な運営ができたであろうということを考えております。
  286. 高木松吉

    ○高木(松)委員 あなたの先ほどのお言葉の中に、性格的に欠陷があると言いましたが、その性格的な欠陷の具体的なものをはつきりさせておきたいと思うのです。
  287. 藤井貞雄

    藤井証人 これは具体的の、まず卑近な事実を申しますと、すべて国家予算で縛られておる、そうすると私ども現場を持つております公団は、夜となし晝となしに、貨車も着けば船も入つて来る、また荷役もしなければいかぬ、そういうようなことで、また仕事もそのときの経済情勢に応じて繁閑が非常に出て来る、またこういう仕事もやれ、ああいう仕事もやれということが、常にその筋から命令を受けて来る。その際に、一たびきめられたいろいろの予算に縛られて、もう予算がないから夜勤もできない。あるいはまた予算がないから出張もさせられない。これは非常に卑近なことですが、そういうようなことで、しばしば私ども苦しめられたわけであります。あるいはまたときによると、これが普通のもう少し彈力性のあるものでありますれば、テンポラリーにいろいろの大きな仕事が来たときに、すぐ人を雇う、こういうこともできましようが、それもなかなか予算の関係上できない。さらに政府機関であつて、船が持てない、自動車が持てない、あるいはトラツク・スケールがやれない、不動産は持てない、こういうようなことのために、やはりほんとうに自分の力で自分が動かして行くというようなことができない。平素の営業に対して、そういつたような一つの官庁とひとしいような性格であるために、動きがとれない。自然気分的にも、やはり従業員がいわゆるお役人かたぎと申しますか、そういうことになりがちである、こういうことを申上げたわけであります。
  288. 高木松吉

    ○高木(松)委員 それから最後に経済能力の問題ですが、人的に能力を全面的に発揮する場合において、この制度が大きな障害になつていることはございませんか。公団職員の能力発揮にこの制度が大きな障害になつている点はございませんか。
  289. 藤井貞雄

    藤井証人 ございます。
  290. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その点を明らかにしてもらいたい。
  291. 藤井貞雄

    藤井証人 それは根本的には、公団暫定性ということが、公団の能率を阻害する非常に大きな原因だと思つております。と言いますのは、最初公団をつくりました際に、日本石炭地方石炭の社員をおおむねそのまま收容したのでありますが、それでも少いので、他からも入れたのであります。私ども最初から経営をいたしますときに、公団は暫定的なものである、あるいはもう一年で期間を延ばさないのだ、そのうち安本長官がいつでも命令すればやめるのだ、これでは私は経営の衝にあたることはできぬ、こういう経済界の不安なときに、いつ首切るかわからぬというような制度で人を使つて行けと言うたつて、なかなか人は働くものではない。また一面から言えば暫定的である。公団のようなものがいつまでもあるようなことでは、日本は復興しないのだから、やはりこういつたようなものは、一日も早くなくなるように日本の経済がなくなつてくれることが望ましい、暫定性ということはやむを得ぬが、しからば公団廃止する場合には、やはり相当の退職金をやる、いわゆる退職規定の設定ということはぜひやつてくれ、そうしなければ公団従業員は喜んで職につくわけには行かぬ。普通三井でも三菱でも、あるいは損をして経営されるかもしれない、あるいは不況になり、損されるかもしれないということがあるが、公団のように屋台骨がくずれて、あすの日からお前らはもうやめてくれ、こういう性格のあるところでは、せめて退職金もやる、あるいはまた他の就職も相当に政府が責任を持つ、こういうような性格でやつてもらわねばいかぬということは、しばしば当局にも要請いたしたのでありますが、公団暫定性ということによつて従業員が大地に足につけた仕事ができなくなる。その後それにしても二年や三年は続くだろうというぐらいのことは考えて行きおる間に、毎期議会におきましても、いや公団はいついつつぶすのだ、いついつつぶせるのだ、こういうことを聞いて、私ども一万数千人の従業員をなだめて仕事をさすということには、ほんとうに苦心して参りました。私は公団暫定性ということと、いわゆる従業員の将来に対する身分の保障といいますか、あるいは安心感を與える、そういうことがなかつたことは、一番大きな欠陷であつたと思います。
  292. 高木松吉

    ○高木(松)委員 その点はわかりましたが、私のいま一つ聞かんとすることは、先ほど経済活動をする公団仕事が役人式になつてしまつて、おもしろくないというあなたのお言葉があつた。そこでその点を明らかにしてもらいたいと思うのです。要するに公団方式をとるために、人間の経済活動に対する全能力を発揮せずに、能力が減退している事実はあるかないかという点について……
  293. 藤井貞雄

    藤井証人 もとよりございます。
  294. 小松勇次

    ○小松委員 お尋ねいたしますが、あなたが退職せられまして、清算人に業務を引継ぎされましたときに、どのくらいの貯炭の数量がおありになつたのか、その点をちよつとお聞きいたします。
  295. 藤井貞雄

    藤井証人 私が九月の十五日限り解任になりまして、清算人に財産を引継ぐことになつたのでありますが、これは何分今申し上げました全国の二千箇所の貯炭でもありますし、場所もたくさん持つておりますので、あの当時にはただちにどれだけの数量であるかということはわからなかつたのであります。帳簿面の数量は大体わかりますが、それにいたしましても途中炭があり、さらに公団坑所において受取る数字があり、また港頭において受取る数字がある、そういうものを公団の本部において集計することは相当難澁をきわめたのでありますが、その後まとまつたところによりますと、約五百万トンという数字でございます。
  296. 小松勇次

    ○小松委員 その五百万トンという数字は販売可能の数量でありますか、この点いかがですか。
  297. 藤井貞雄

    藤井証人 販売可能数量かという御質問でありますが、私も職を離れておりますから詳しい数字は存じませんが、一箇月のただいまの出炭量が約三百二、三十万トンだと思つております。この需要最盛期におきまして、やはり消費量もその出炭量にやや見合つておる数字ではないかと私は思つております。従いましてこの厖大な貯炭が販売可能かどうかという御質問につきましては、何と申しますか、需給関係がおおむねただいま申し上げるような数字でありますから、生産をこのままにし、そうして生産炭を買つて、みんなに売らすということになれば、この公団貯炭というものはなかなか売れないだろうと思うのです。それからある特殊な方面に、あるいは国の力によるとか、あるいはその他の炭代の支拂い條件であるとか、あるいは価格の問題であるとかいうことで、特に振り向けるということであれば、この貯炭はさばけますが、生産炭の方がさらに貯炭になる、こういうような状態であると思います。
  298. 小松勇次

    ○小松委員 そうすると、この五百万トンの貯炭数量というものは、あなたが解職されて後において清算人が御調査なつた数量であるのでございますか。
  299. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。これは私どもがそのときに——先ほど委員長からの御質問にお答えした際に、解散当時は約八十億の剩余金を持つてつたが、これが清算をすれば九十億ぐらいの損失になるだろうという予想の数字は、私どもは四百八十万トンくらいだろうと思つておりました、それがいろいろ精査いたしました結果、五百万トンという数字が、その後清算公団の手によつて出されておる数字であります。
  300. 小松勇次

    ○小松委員 なおお尋ねしたいのでありますが、この五百万トンの清算公団の数字は、この中にはいろいろ品質の上下があると思うのでありますが、そういう点については何も御存じにありませんか。こういう点が含まれてこそ、初めて清算上九十億の赤字が出るとか、あるいはその赤字が何十億にとどまるとかいうような予想が立つと思われるのであります。先ほどのあなたの九十億の赤字云々というお話も、大体にあなたが在任当時の貯炭の帳簿価格においても、いろいろの品質の相違その他の数量を基準にしての予想であろうと思うのであります。従つてこの五百万トンの数量にいたしましても、内容においてどういうぐあいになつておるか、品質の上下はどういうぐあいになつておるかそういう点は御存じありませんか。
  301. 藤井貞雄

    藤井証人 大体のところは存じておりますが、これはまあ非常に專門的の説明になりますので、資料を持つて参りませんとわかりかねますが、大体公団貯炭がふえましたのは、第一に貯炭の増嵩を来しましたのが無焔と煽石であります。これが非常に早くより需給関係のバランスが破れまして、私ども無焔と煽石は早く出炭の抑制をするか、買取りを控えなければならぬということを同僚にやかましく申しておりました。その次に余りかげんになりましたのが低品位炭、雑炭、要するに品質の惡い石炭、これが余りかげんになつて来た。それで公団といたしまして、いい石炭まで余りかげんになりましたのは、昨年の五月からであります。五月に——それまでの数字は大体生産が月間三百万トンくらいでありました。そうしてわれわれの荷渡しも大体三百万トンくらいであつた。ところが五月に炭鉱ストがありまして、たしか五、六十万トンの減産になつた。しかるにもかかわらず需要はさらにそれを下まわつた。こういうときに、私どもは初めてこれはたいへんだ。こういう状態で行つては、遂には上級炭、中級炭も過剩になつて来るということを考えたものでありますから、すでに今の五百万トンの中で、上級炭、中級炭は比較的少いのであります。下級炭、煽石、無焔ないし雑炭というような数字が相当多いのであります。こういうことをも考慮に入れまして、下級炭は、たとえば千五百円も引かなければ売れぬだろう。上級炭は五百円くらいも値引きすれば売れるだろうというようなことを、專門的に考えましての大体の数字の結論でございます。
  302. 小松勇次

    ○小松委員 五百万トンの数量を処分いたしますとすれば、どのくらいの欠損でとどまるか、その点おわかりでございましようか。
  303. 藤井貞雄

    藤井証人 これは私在任中の数字は先ほど申し上げた通りでありまするが、その後私解任になりまして、清算人の手によつて爾来進行中でございます。また売るべき値段につきましても、清算公団になりましてからは、大蔵省の所管になつて、大蔵省と相談して清算人の方がおやりになつております。私はそれに関與いたしておりませんから、どういう途上で、どういう値段で、どういう数字が現在出ておるかというようなことは詳しく存じません。
  304. 小松勇次

    ○小松委員 されば話を転じましてお伺いしたいのでありますが、清算の結果、いずれにしても莫大な赤字が生ずるということは事実であります。しからば何がゆえにかような赤字が生じたか、くどくお伺いするようでありますけれども、その根本の理由を重ねてお聞かせ願いたい。
  305. 藤井貞雄

    藤井証人 根本の理由といいますか、第一、公団の清算過程に入つての赤字の最も大きなファクターは何かといえば、貯炭の処理と売掛金の問題であります。そこでしからばなぜこういう貯炭が起きたか。この貯炭が厖大でなければ公団の赤字というものはあまり出ない。また売掛けが現金で当時とつておれば、売掛けのロスもない、こういうことになるわけです。そこで先ほど来からしばしば申し上げましたように、公団法によりまして、生産された石炭公団は買わなければならない、こういう法律があるわけであります。そこで公団はどうしても掘つた石炭は買わなければならぬ。ところが一方有効需要の減退によりまして、需要が減退するということであれば、当然そこに公団の手持ちとならざるを得ないという事実が、公団貯炭を厖大ならしめたゆえんであります。さらに売掛金の問題も、いわゆる指定生産資材割当規則によりまして、クーポンを示されますならば、これは配炭しなければいけない。こういう一つの規則がある。私どもとかく野人でありますから、そういう規則よりも、私公団をやつておりまして、そんなべらぼうな話があるか、金をくれぬやつにやるやつがあるかということで、先ほど委員の方から御質問がありましたように、これは公団にもう少し自主性を持たして、そういう法律があろうとも、金を全然くれぬところに、公団は慈善事業をやつておるわけではないからやる必要はない。だから業務規定に、指定生産資材割当規則の正当な理由なくしてということで、金をくれなければ正当の理由はないわけであるから、そういうことでぜひ安本を動かせということで、相当安本に交渉をして、そういうことを入れさしたのでありますが、さて片一方はクーポンを握つておりまして、そうしてクーポンを発行する。どこは金がおくれるからやれぬと言うと、しかしそれをすぐとめてくれては困る、それはやつてくれ。れんたんは何ぼつくらなければいけないのだ、あるいは石灰はどれだけ生産しなければ農業用にまわすことはできないのだ。だかられんたん屋の支拂いが惡くても、石灰屋の支拂いが惡くても、とにかくしばらくやつてくれということで、私ども指定生産資材割当規則によつて公団を運営しなければならぬということを言われる限りにおいては、これはやはりそれだけ売掛けがふえて行く。これは私は、やはり公団法のいわゆる公団統制方式の欠陷であると思う。これがすなわち根本である。その他あるいは公団の運営上において、お前はまずかつたじやないか、みんな仕事を十分しなかつたじやないかというようなおしかりはあろうと思いますが、そういう点は私どもの行き届かぬところでありますが、根本の理由はそこにあると私は思います。
  306. 小松勇次

    ○小松委員 なお山元駐在しておる駐在員が、品質検査、量の検査その他をされておつたようでありますが、そういう人が検査を怠つたために、まつたく検査なしのものが素通りしたり、そういうことが一つの欠損になつて赤字を生じたというようなことはないか。また輸送関係において、機帆船等に非常に厖大な船賃を拂う、あるいは繋船料のごときも船会社の言い放題に拂う。こういうようなことも経営面におけるところの赤字を生んだ一因ではないか。こういうことについては何らお考えはございませんか。
  307. 藤井貞雄

    藤井証人 山元駐在員が受取るときの検査が十分でないために、一定の規格より惡いものを買つたような事実はないかという御質問だと思うのですが、あるいはたくさんな山元従業員でありますし、それから先刻も申し上げましたように、夜荷役もございましようし、早荷役もございましようし、公団が朝晝晩とついてもおりませんから、そういうようなことによつての点も、私は否定はいたしません。あるいは中にはあつたかもしれぬと思います。  それから今の輸送業者に高い運賃を拂う、高い配船料を拂つたかということでございまするが、これは物の見方でございまして、先ほど運営会の問題は具体的に申し上げましたが、業者が非常にたくさんわかれまして、自由競争をやつておりますとき、また今のごとく自由な時代におきましては、自分がやりたくないところにはやらぬ、いわゆる計画配炭というものはしなくてもよいというようなときでありますれば、あるいは相当な運賃の値引きというようなこともできたかもしれませんが、やはり計画配炭、これが公団の絶対の使命である。クーポンを出しておるところにはどうしてもやらなければならぬ。そうしてそのやるためには、もう毎月々々業種別に、工場別にクーポンに対して何パーセントやつたか、ここは八〇%やつたが、ここは七〇%ではないか、これはどういう理由かということを、一々その筋へ詳細なデーターを私ども出さなければなぬということになつておる関係上、やはり自然に運賃の非常に引き合わないようなところも、やみ運賃でなしに、公定でやらなけばならぬ、あるいは比較的に行きやすいようなときも、多少高かつたかもしれぬというようなことは、これは計画配給、計画輸送をやつておるところの一つの欠陷として、これも私は絶無であるとは申しません。こういうこともあるいはあつたのではないかと思います。
  308. 小松勇次

    ○小松委員 この公団廃止されましてから後の貯炭の売却について、聞くところによりますと、指定販売業者というものが、全国に幾つか指定されたそうであります。そうして公団関係の人たちによつて、いわゆる第二会社みたいなものが組織されておるというような話を聞いておるのでありますが、さようなことは御存じかどうか。またあなたはそういうものの中に入つていらつしやるかどうか。その点をお伺いしたい。
  309. 藤井貞雄

    藤井証人 私はそういう中には全然入つておりませんし、むろん関係もございません。それから指定販売会社というものができて公団貯炭を売り、そうして第二会社に特に売つているというお話がございましたが、これは私は公団をやめる間際にも、公団従業員をもつてする今のお話の第二会社——第二会社という言葉は私ども使つておりませんが、それも一般の販売業者も絶対に機会均等になつておる。だから特定の人にのみ公団貯炭を売るということは、これは絶対にあり得ぬぞということをやかましく言つておりますから、その後清算人の手によつて清算事務を行われておる現在の配給公団の清算事務においては、おそらくさようなことはない、さように考えております。
  310. 横田甚太郎

    ○横田委員 公団と取引関係のあつた銀行の数、それから名称、所在地、それをちよつと言つていただきたい。
  311. 藤井貞雄

    藤井証人 本団は私も全部は記憶いたしておりませんが、帝国銀行、富士銀行、千代田銀行、東京銀行、興銀、それから復金、第一、住友銀行、今の大阪銀行ですか、そういう五大銀行はたいがいあつたと思います。
  312. 横田甚太郎

    ○横田委員 それは本団の取引ですね。
  313. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  314. 横田甚太郎

    ○横田委員 それから各地にあるところの支団とか、支所は別にやつておるのでございますか。
  315. 藤井貞雄

    藤井証人 ございます。
  316. 横田甚太郎

    ○横田委員 それではその契約の年月日、あるいは契約の條件、金銭のやりとりの状況を言つていただきたい。
  317. 藤井貞雄

    藤井証人 そういうことは私は始終いたしておりますから、そういう点だけをお答え申し上げます。公団が末端まで二トン、三トンの石炭を売つて集金いたしますから、それでずいぶん各地で銀行取引をやかましく言つて開始方を末端何百箇所に申込みがある。ところが公団は非常に金がきゆうくつでありますので、かつてに銀行取引をしては相ならぬ。公団が多数の銀行と取引すると、一つの口座にわずか残つてつても、いわゆる手持ちの金というのは多くなつて来る。そうすると、やはり復金から金を借りなければいかぬからということで、銀行の数は局限して、各現地から本団経由で、こういう事由によつてこことここは取引をしなければいかぬということを、本店経由で許可主義になつております。しかし各ローカルの支部がたくさんございますから、その点はまた書類でよろしかつたら……
  318. 横田甚太郎

    ○横田委員 どうぞ。そういたしますと、あなたがわかつておればよろしいのですが、わかつておられなかつたら、経理部長からでも聞いてはつきりしていただきたい。というのは、公団の預けた金は大体どういう人に貸されたか、どんなようなところに、どんな人にであつたか、おぼろ気ながら御存じかどうか。もし知つておられたら、どういう事業にそれを使つておられたか。
  319. 藤井貞雄

    藤井証人 これは公団の預けておる金というものは原則的にはないのです。これは本質論になるのですが、公団の運営というものは一体何ぞやということになりますが、結局公団は早く売つたものを回收して炭鉱業者に拂わなければならないから、公団の預けた金が——預けたといつても、定期預金はもとよりございませんし、これはもう預けたが最後、じやんじやん本部は末端から吸收することに努め、片一方では生産業者に月に三回拂わなければなりませんから、停滯しておるとすれば、そこで、たとえば給料を拂うとか、あるいは荷役賃を拂うとかいうような金が停滯しておるのであつて、そういうような金はございません。
  320. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうですか。それでは次に本年の一月にマル公の運賃が一割下つたですね。それでも十分やつて行けるのでしよう。やつて行けるにもかかわらず、今まで運賃が非常に高かつた。だから機帆船一船の運賃の基準と、石炭なんかを運んでもらうときの運賃の基準の比率を一ぺん聞かしていただきたい。
  321. 藤井貞雄

    藤井証人 ちよつと質問のポイントがわからないのですが……
  322. 横田甚太郎

    ○横田委員 機帆船で石炭を運ぶときの基準と、それから他のものを運ぶときの運賃とではどのくらい開きがあつたのですか。
  323. 藤井貞雄

    藤井証人 ちよつと御質問が……
  324. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 機帆船の賃料は、特に石炭がほかのものよりも高かつたのじやないかということです。
  325. 藤井貞雄

    藤井証人 それは、需給関係によるのであつて一口に言えません。一時は雑貨が非常によくて石炭の方は安いので機帆船が来なかつた。そこで私どもは先ほど申し上げたような計画配船をするためには、政府の方で西日本機帆船に命じて——命じといいますか、極力交渉して何月はこれだけ船腹は絶対に確保しなければならぬ、何月はこれだけ確保しなければならぬと言つたが、それにもかかわらず、雑貨が高いときは、いわゆる地区の統制の中に入つておらない機帆船がどんどんそつちへ行きますから、船は出て来ない。ところが今度は雑貨が非常に荷物が少くなつて動かぬようになつて来ると、またじやんじやんこつちに来て使つてくれ、使つてくれと言つて来るわけです。
  326. 横田甚太郎

    ○横田委員 簡單に申しますと、石炭を運ぶときには特に高かつたというわけではございませんね。
  327. 藤井貞雄

    藤井証人 ございません。
  328. 横田甚太郎

    ○横田委員 そうすると、去年の一月に運賃が一割下つておりますね。物価が上つて運賃が一割下つておる。それでもやつて行けるのに、物価がそれよりも安い間に、一割運賃が高かつたというのはどういうわけですか。
  329. 藤井貞雄

    藤井証人 昨年の一月がどうであつたかということは、業務局がやつてつたことで、私はこまかいことは存じません。今申し上げたように、他の物資との比較でありまするから、一時雑貨がほとんど動かなくなるということで石炭の方へやつて来るというときは、非常にけはいが弱くなつて来る。しかしマル公の運賃は海運総局も立合つて物価庁できめるのでありますから、そのときによつてわれわれは一割負けさせたこともありますし、二割負けさせたこともあります。だからそのときの運賃の情勢で、ほかの物価が上つておるのに運賃がなぜ高くなつたか、安くなつたかということは、これはどうも質問の御要点が、ちよつとポイントがはずれておると思います。
  330. 横田甚太郎

    ○横田委員 一割下げてもやつて行けるのでしよう。それが前に高かつたのです。その間にたとえば石炭をこぼすのが多い。また船底に隠しておる石炭が多いというようなことが、俗に世間では言われておる私たちはそこに疑惑を持つのです。だからそういう場合において、特別に高い運賃を計上しておられた理由を聞きたかつた
  331. 藤井貞雄

    藤井証人 特別に高い運賃を計上する……
  332. 横田甚太郎

    ○横田委員  一割下つてもやつて行けるのでしよう。一割下つても行けるのを、なぜそれまで高くしてあつたのですか。俗に世間でこれは高いじやないか、高いじやないかと言われるようになつて、あわてて下げた理由は何ですか。
  333. 藤井貞雄

    藤井証人 世間で一割高いじやないかと言われて、あわてて下げたということじやないのでございます。
  334. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 物価庁できめるのかね。
  335. 藤井貞雄

    藤井証人 そうです。物価庁できめるのであります。
  336. 横田甚太郎

    ○横田委員 たしかに物価庁できめたのですか。
  337. 藤井貞雄

    藤井証人 それはもう価格は全部物価庁ですから……
  338. 横田甚太郎

    ○横田委員 油糧公団のときと一緒と違いますか。
  339. 藤井貞雄

    藤井証人 いや……
  340. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでは次に簡單に聞きますが、たとえて申しますと、臨時石炭鉱業管理法なんかには、あなたはあまり乘気でなかつた。賛成でなかつた石炭統制機構とか、あるいは統制の様式に対してはあまり乘気でなかつた。うまく行かないというように言つておられたように思いますが、それにもかかわらず公団総裁についておられた。そのいきさつは一体どんな理由ですか。
  341. 藤井貞雄

    藤井証人 私が就任して来たときに、組合から同じような質問を受けました。先ほど一番前の委員の方からお尋ねがありましたときにもお答えしたように、おれは、こういう公団のような高度の統制方式はうまく行かぬと思つている。そこで、ぼくはいろいろの事情によつて配炭公団の副総裁を引受けたが、ぼくの運用方針は、かねて考えているように役人くさくなく、官吏くさくなく、統制くさくなく、ほんとうに親切に、民間人としての気構えでやらなければならぬ。かねてぼくが言つておるように、各場所に相当権威を持たせて、そのときの事情においてやる方針でおるんだというような考えも、今も同じだ、こう言つたのですが、それがやはり今の御質問に対するのと同じ答えになるのでございます。
  342. 横田甚太郎

    ○横田委員 それでけつこうです。
  343. 梨木作次郎

    ○梨木委員 最初伺いたいのは石炭の買取りの手続です。これは具体的には生産者から何か申込みでもあつて、それに基いて公団の方で買受けの約束をして、それから手続が進んで行くというような、そういう具体的なことをまず伺いたい。
  344. 藤井貞雄

    藤井証人 これは非常に專門的になるのですが、大きな線を申しますと、その筋から今度石炭価格を何ぼにする、たとえば二千三百円なら二千二百円ベースだという線が出るのです。これが日本のあらゆる物価の基本になりますから、その数字が出るわけでありますが、最初は九百何十円、今度は二千何百円になりましたが、そのときの基本線が出るわけであります。ところがそれをどういう線に持つて行くかというと、当時は原価主義であつたわけです。だからそれまでに炭鉱業者から、あらゆる資料が物価庁に出ておるわけであります。そこでその一つのベース・ラインが出まして、それと合うように私どもは計算するだけなのです。そこで何々炭鉱の何という石炭は何ぼになるの何という石炭は何ぼになるということを、私ども事務的にはじくわけです。従つてお前のところの石炭を高うせいとか、安うせいという、いわゆる買取り価格の決定は公団は何もしないで、物価庁の事務のアシストをするということだけなのです。
  345. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それでは、まだ生産されておらないものをあらかじめ売りたいと言つて来た場合は、どういうぐあいに扱うのですか。つまりもう少し具体的に申しますと、これは一体買取りについてわくがあるのですか。一箇月に幾らずつ、どの炭鉱から買うというような一定のわくというようなものがあるわけですか。
  346. 藤井貞雄

    藤井証人 出たものはみな買わなければならぬ。
  347. 梨木作次郎

    ○梨木委員 出たものはみな買わなければならぬといたしますと、掘つて出たと言つても具体的にどこまで出たときには買わなければならぬのですか。
  348. 藤井貞雄

    藤井証人 それは坑所まで出たときです。
  349. 梨木作次郎

    ○梨木委員 坑所まで出たときに買うのですか。
  350. 藤井貞雄

    藤井証人 さようであります。
  351. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その坑所まで出たことをあなたの方では確認をするのですか。確認をしなければ買う義務が生じて来ないのですか。
  352. 藤井貞雄

    藤井証人 ですから私どもの方は車両売りになるのですから、会社の方で車に積みます。貨車なら貨車に積むまでは生産者のものです。仕切り場というものがありまして、海岸炭鉱でしたら、海岸炭鉱で船に持つてつて、船に積んだときがいわゆる公団の所有になるわけです。
  353. 梨木作次郎

    ○梨木委員 次に伺いますが、昨年の九月十五日から公団がたしか廃止なつた。そして八月十五日にその廃止が決定したと思いますが、そこで八月十五日現在で価格の引上げが行われることになつたはずですね。この点について当時八月十五日現在で値段の引上げがあるということで、当時まだ実際に生産されていないものを、公団が後になつてつておきながら、これを八月十五日以前にさかのぼらして買つたというような事実をわれわれは聞いておるのでありますが、この点についてあなたの方の当時の買取りの扱い方を聞きたいのです。
  354. 藤井貞雄

    藤井証人 御質問の要点がちよつと私にはわからないのですが……
  355. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それではもつと具体的に聞きましよう。こういう事実があるのです。端的に聞きます。配炭公団石炭局の調整課長代理で江波戸という人がおりますが、この人を御存じですか。
  356. 藤井貞雄

    藤井証人 知つております。
  357. 梨木作次郎

    ○梨木委員 この江波戸という人が八月十五日を過ぎて、九月になつて三井鉱山に対して、実際は後になつてつているのですが、石炭三万トンを八月十五日前に買つたような手続をするようにと指示している事実があるのですが、こういう点についてあなたは何か聞き及んでおられることはございませんか。
  358. 藤井貞雄

    藤井証人 ございます。これは詳しいことではなく、私間違つているかもしれませんが、特産向けの石炭について、ある一定の日にちから特産向けの価格が改訂になつた。ところがそれからできる製品との関係上、何か物価庁の指示によつて、今お話のような操作を公団でやつたのだということを聞いておりますが、内容はよく存じません。おそくなつてから、物価庁指示によつてそういうことをやつたということを聞いております。
  359. 梨木作次郎

    ○梨木委員 それではこの程度のことは聞いておられるわけですね。相手方はわかつておりますか、配炭公団石炭局調整課長代理の江波戸という人が、九月三日あたりに、三井鉱山から三万トンの石炭を買入れるように努力しろという指示をして、それに基いて結局八月十五日前に買つたということにした。そしてこの特産向けの物はたしかトン当り千円だつたわけですね。それが新価格になつて三千四百円になるわけですね。その差額の二千二百円を八月十五日前には千円で買取れるわけになりますね。そこで三万トンを買い取らしておいて、そのうちの一万二千トンをさらに三井化学並びに三井合成へ向けるものとして、八月十五日前に買つたようにしてもらい、これによつて価格の差益金約二千数百万円を三井化学並びに三井合成にもうけさしているという事実があるわけです。こういう程度の輪郭のことをあなたは聞き及んでおられますか。
  360. 藤井貞雄

    藤井証人 そういう詳しいことは聞いておりません。また同時に江波戸という人物のおつたことは存じておりますが、その件で、江波戸が担当者であつたかどうかということも私は存じません。三井合成かどこかで、特産向けのことで、物価庁の指示によつて何か事務的に処理したという程度のことを聞いております。
  361. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると、その江波戸という人がやつたのは、物価庁の指示でやつたということになるのですか。それははつきりそういうことになつておるのですか。
  362. 藤井貞雄

    藤井証人 私はそう聞いております。また公団がかつてに特産向けのものの値段をいじるということは、できないはずです。
  363. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そういうふうに八月十五日以後に買つたものを、八月十五日以前に買つたというごまかし、それは不正だと思いますが、そういうことは今までたびたびあつたのですか。
  364. 藤井貞雄

    藤井証人 聞いたことはございません。
  365. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そういうことは、だれが見ても明らかに不正だと思いますがね。
  366. 藤井貞雄

    藤井証人 私は内容が不正ということよりも、逆に副産品との関係で、そうする方が公平だというように伺つているのです。私もそれの関係はよく存じませんが、そういう事務的処理をする方が公平だということになつておるのであります。
  367. 梨木作次郎

    ○梨木委員 あなたはそうすることが公平だというようなことをを、今考えておられるらしいですが、私はそれは納得が行かない。そういうことをもつと詳しく説明できる人はだれですか。
  368. 藤井貞雄

    藤井証人 業務局長です。
  369. 梨木作次郎

    ○梨木委員 業務局長は何という人ですか。
  370. 藤井貞雄

    藤井証人 当時の業務局長は、先ほど委員長からお話のあつた馬屋原隆志という人だつたと思います。多分その人が業務局長のときだつたと思います。
  371. 梨木作次郎

    ○梨木委員 その次に伺いますが、江波戸さんという人が、解散になつた後に三井鉱山の方へ勤めることになつたという事実をあなたは知つておりますか。
  372. 藤井貞雄

    藤井証人 存じております。
  373. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると端的に言えば、三井の方へ二千数百万円をもうけさして、そこにかわつてつたというふうにわれわれから見ると考えられるのですが、この点はどうですか。
  374. 藤井貞雄

    藤井証人 江波戸君が三井へ行つているということは聞いておりますが、私としてはそういうことはよくわかりません。
  375. 梨木作次郎

    ○梨木委員 もう一つ伺いますが、積出実務協力費というものがありますね。これは何ですか、ちよつと説明してください。トンあたり幾らか拂つているようですね。
  376. 藤井貞雄

    藤井証人 これは指定会社ではございませんか。指定会社の……
  377. 梨木作次郎

    ○梨木委員 何だか知らないけれども、積出実務協力費というものを公団から拂つているのです。これは一体どういう性質のものですか。
  378. 藤井貞雄

    藤井証人 協力費というのは、こまかい問題で、私の感違いがあるかも存じませんが、北海道とか常磐とか、あるいは西九州、北九州、宇部、あの中小炭鉱がありますね。そのときに、私どもが炭代を月に三十トン、五十トンということを一々やれませんから、常磐石炭とか北海道石炭とか、その他北九州石炭とか西九州石炭とか、指定会社がありますが、そこへの費用じやございませんか。それとも山元駐在員を置きます前に、積出しの事務を委託しておりましたから、その委託料かどつちかだと思います。
  379. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると、それははつきりわからないのですね。私の調べたところによると、私もよくわからないのですが、今あなたがあとで言われた、駐在員ができる前の事務代行らしいですが、それでもはつきりしない。そういうものを拂つているのですが、その後またこれが値上げになつているのですが、その間ちよつと私の方で納得できない点があるので、それはあなたの方でわかりませんか。
  380. 藤井貞雄

    藤井証人 わかりません。
  381. 梨木作次郎

    ○梨木委員 これも業務局長ならわかりますか。
  382. 藤井貞雄

    藤井証人 それはやはり業務局長ならわかると思います。
  383. 梨木作次郎

    ○梨木委員 次に、先ほど横田君からあなたに聞いた際に、つまり銀行に預金をいたしますね。その預金はほとんど受取つて、すぐまた拂わなければならぬことになるので、恒常的に預金というのはそうないというお話があつたように聞いたのですが、私たちが調べたところでは、二十三年度の決算で、当時六十億未拂いがあつた。ところがその時分預金が五十四億あつたというふうに聞いているのです。これはやはりりくつから言えば、そんなに預金がないはずだと言われても、やはりりくつ通りに行かないので、そこに問題があるわけで、事実はやはり恒常的に相当の預金を公団は持つているのじやないですか。
  384. 藤井貞雄

    藤井証人 今あなたのおつしやるあれは、どこかでぽつと線を引けば、公団は毎旬締切り、即時八割を現金で拂うのですから、つまり月に三回生産者に拂うのですから、その拂う寸前におきましては、一箇月の石炭の支拂い代金がかりに百二十億あるとすれば、一旬の四十億という金は公団になければ支拂いができませんので、私の申し上げたのは、各地方に置いておく金は、給料を拂うとか何とかいう以外に、定期預金というようなものはないということを申し上げたのです。
  385. 梨木作次郎

    ○梨木委員 私の方の調べでは、現在も剰余金が七十五億八千万円あることになつている。こういう金はどうなつているのですか。
  386. 藤井貞雄

    藤井証人 それは基金と違いまして、剩余金は当然返さなければならぬですね。ところが公団基金は御承知の二億なんです。ところが二億は什器であるとか、全国のあれで、ほとんどそれは使つてしまつているのです。今度一億に減資いたしましたけれども、一体公団というものは、何の金でやつて行くかということで、本来は復金以外からは金が借りられないので、復金の融資でやつていた。ところが復金が昨年の四月以来出すことは相ならぬということになつて来たものですから、自然国庫に納入すべき金がやはり一つの融通資金にならない限り、普通銀行から借りるわけには絶対に行かない。それがやはり公団一つの運営資金になつているわけです。
  387. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そうすると、この七十五億はそんな関係で、運営資金として公団が保有していることになるわけですね。
  388. 藤井貞雄

    藤井証人 保有といいますか、結局公団は片方に貯炭があり、売掛金があります。炭代は拂つちやつて、あと認証手形の残がありますから、当然どこからかこの貯炭のある限り、売掛金のある限り、その金は借りなければならぬ。
  389. 梨木作次郎

    ○梨木委員 そこでこの七十五億は、先ほどおつしやいました銀行へ預けてあるわけですね。
  390. 藤井貞雄

    藤井証人 いや、銀行それ自体へは預けてございません。
  391. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どこにあるのですか。
  392. 藤井貞雄

    藤井証人 どこにあるといつて、そういう質問を受けるのはおかしいと思うのですが……
  393. 梨木作次郎

    ○梨木委員 どういうふうに扱つているのですか。
  394. 藤井貞雄

    藤井証人 それは貸借にそういう金があるのですから……
  395. 梨木作次郎

    ○梨木委員 現金があるわけじやないのですね。
  396. 藤井貞雄

    藤井証人 ありません。それは帳面の上の金なんです。
  397. 梨木作次郎

    ○梨木委員 もう一つ伺います。売掛金がとれないものがありますね。この一番大口の拂つておらないものはどこですか、わかりませんか。
  398. 藤井貞雄

    藤井証人 私は先刻申し上げましたように、九月十五日からの清算事務には加わつておらないのですから、今どうなつているか存じません。
  399. 石田一松

    ○石田(一)委員 ちよつと証人にお尋ねいたしますが、先ほど証言の中に、解散当時約八十億の公団の財産があつた、その八十億というのは、ただいま梨木君の七十五億のことでございますか。
  400. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  401. 石田一松

    ○石田(一)委員 それで証人は、この公団廃止することになつて、清算公団となつて、その後あらゆる面から検討した結果、約九十億ぐらいの赤字が出るだろうという算定をなさいました。一般では百二十億ぐらいの厖大な赤字が出ると言うておりますが、これは仮定のもとに立つようでありますが、もしこの配炭公団廃止されないで、そのまま今後継続されるとしても、今現在あげられているような赤字は、必然的に公団の性質として出るべき赤字であつたかどうか、こういうことであります。
  402. 藤井貞雄

    藤井証人 ただいまの御質問は前提がいろいろあると思いますが、公団があの姿のままで続いておつた、これは物理的におそらく続き得ないと思います。つまりあの当時にやめてさえも、五百万トンの貯炭を私ども持たざるを得なかつた。普通の貯炭は四十万トンから五十万トンがせい一ぱいなんですから、それを五百万トンの貯炭を持たざるを得ない。しからばあれが三箇月も四箇月も、あるいは極端に言えば今まで続けておつたら、どうなるか。これは石炭がじやんじやん消費がふえればよろしゆうございますが、消費は減る、出炭は順当だということでは、これは続けようといつたつて——おそらくあれをむちやくちやに続けた、こう言い得るだろうと思う。そこでもしその後続けておつたらどうなるかという御質問に対しては、ちよつと私はお答えのしようがないのでございます。ただこういうことは言えると思います。売掛金の問題なんか、とるのに、あと石炭をやつておればこれはとれるのです。ストックしてあつたら、あとはもうとれないのです。そういう点はあると思います。
  403. 石田一松

    ○石田(一)委員 実は私のお聞きしたかつたのは、ただいま証人の指摘されたような、要するに公団廃止するという一つの現実のために、世間一般に言われる百二十億とか、あるいは証人証言された九十億という赤字の中には、公団廃止するという事実自体が原因となつて赤字となつたものが相当の金額に上るのではないか、この点についてのもし御算定ができるならば、ほぼどういう金額が出るだろう、こういう御証言を願いたい。こう思つたのです。
  404. 藤井貞雄

    藤井証人 この算定ということはむずかしいのですが、今申し上げるように、一つの営業を続けて行くと、もう買わぬでもいい石炭をじやんじやん買つて、そうしてやりたくないところへも物を売つて、そうして一日からぽんとやめるといえば、私は当然損失が出る、そう思つておる。ただその出る程度は、いつにかかつて今後の石炭の需給の関係と、さらにどういう方法によつてその石炭を処分すれば、最も有利に処分できて、国民の負担を軽くすることができるか、こういう問題だろうと思うのです。私は証人でございますから、証言以外には申してはならぬのでありましようが、私は公団をやめますときに、要するにここまで来た事態は、これは現実の姿であつて、いかんともしがたい。私自身がまずかつたということもあるだろう。そこで今後政党各位におかれましても、ほんとうに国民の負担を少くするのには、この清算事務についてなぜもう少し関心を持つて公団貯炭の処置をどうするか、売掛けはどうするかということをやらないのか、私は大蔵省もなぜそういうテーマを投げつけて、ほんとうに衆知をしぼつた方法をやらないかということを、しばしば私は進言している。
  405. 石田一松

    ○石田(一)委員 次にちよつとお尋ねをいたしますが、これは決して私は議論をするつもりで申し上げるのではございません。ただ証人の意見といいますか、いわゆる証言を求めたいと思うのですが、先ほど公団の赤字に出た根本理由というような意味で、他の委員からお尋ねしたときに、要するに公団の清算過程の大きな赤字は、いわゆる貯炭の増大と売掛け代金の未回收、これが赤字の大きな面である。そのことについて証人証言なさいましたのに、公団は生産炭を買う義務がある。その義務があるので、掘出された石炭だけは全部買う。しかしながらただいまもおつしやつているうちに、この五百万トンからの貯炭が売れない。先ほどの証言では、要するに有効需要というものが低下しているわけであるので、結局公団貯炭は手持ちが多くなるばかりだ。こういうことをおつしやつている。そしてこれを御説明になつた理由は、こういう公団の機構にあるので、五百万トンの貯炭ができて赤字が増大したということは、公団自体の組織にあるかのような説明でありましたが、これは要するに経済界の、いわゆる国民の石炭に対する有効需要というものの低下そのものが、この大きな五百万トンの貯炭というものを生んだのであつて、ただいまも証人のおつしやつているように、需要が盛んであつて、五百万トンを消化するだけの需要があるならば、これならば公団もそのまま存続していて何ら赤字は出ない。こういうことになるのであつて、結局この原因は、私は今日本の置かれている現状からして、経済政策とか、あるいは政府のいわゆる産業面に対する処置のよろしきを得るか得ないかということが、有効需要を増大するかしないかということの大きな原因になるのであつて、私はこのことがただちに公団の責任であるとこういうふうに御説明なすつたことは、ちよつと違うのではないかと思います。もう一つの理由として、証人は、公団は指定生産資材の割当規定で、クーポンを持つて来た者には、金をもらつてももらわなくても石炭をやらなければならぬ。それがために売掛け代金が増大した。こういうことをおつしやつているのでありますが、昨年の九月の十五日に廃止と決定した。それまで公団が服従しなければならなかつたいわゆる公団法というもののこれが欠陷だと、こういうふうにおつしやつているのであります。これは私はもつともだと思う。それはあの当時まで施行されていた公団法の一部の欠陥であつて、これは本質的には先ほど証人もおつしやつたけれども、計画経済とか、統制そのものがいけないという説明には、私は全然ならぬのではないかと思う。ただ言いたいことは、石炭を配分する方法に欠陷があつたのだ、しかもその方法の直接の担当者であるところの公団組織するところの、人そのものに大いなる欠陷があつたから、こうした問題が起つたのである。私はこのことを全然証人——中には遺憾に思うという言葉もありましたけれども、私は非常に良心的には認めるのですけれども、さながら公団法に欠陷があつたからこんな赤字が出たのであつて、今までの公団のおもなる職員、あるいは総裁、副総裁というような者には全然責任がなく、法律に責任があるかのごとき証言をなすつていらつしやるようですが、私は少くとも先ほど他の委員からも言つておりましたが、自由経済と言つても、自由放任のむちやくちやなものじやないのだ、こう言つておられました。少くともこれからの世界の経済というものが、大きい小さいかは別問題として、一つのわくの中、計画の中で行われなければならぬことは現実の問題だと思います。これについてあなたが先ほど統制がいけないのだ、あるいは公団法の施行がいけないのだということを言つて、この赤字の問題を公団法の法の欠陥に持つて行かれるということは、私は公団総裁としてのあなたのお言葉としては、ちよつと受取れないと思うのですが、これは人の欠陷が大きな問題ではなかつたか。このことをひとつ聞きたい。それのためには、こういうことが言われると思う。これを具体的に言いますと、配炭公団職員、たとえば何々部長とか、課長とか、局長というような人たちが、あの荷後炭の石炭協会の役員とか、顧問とか、嘱託とか、いろいろな名義でこの石炭協会にくつついて行く、そうしてあなたの先ほどの証言では実に言語道断な、実にどうにもこうにもならないような者たちと一緒になるような形で、月々一万、二万というような顧問手当とか、嘱託手当とか、こんなものを自分でふところに入れようとするような職員が何人集まつたつて、どんなりつぱな法律ができたつて、赤字が出るのが当然だと思う。しかし私が聞きたいのは、この配炭公団の局長、課長、部長というような人たちが、今申し上げた石炭協会の役員の中で、顧問になつたりしたような事実を、総裁は今まで御存じなかつたか、御存じであつたならば、どういう人たちがこの方面に関係していたか、このことをはつきり御証言を願いたい。こういうふうに思います。
  406. 藤井貞雄

    藤井証人 私の言葉があるいは足りなくて、そういうことがあつたかと思いますが、もとより私自身至らざる点は多々あつたと思います。これはその都度私ども申し上げておるつもりでありますが、最後に具体的の事実として、配炭公団の部長、局長その他が石炭協会の嘱託だ、顧問だと言うて金をとつておる、私は断じてそういうことはない。公団石炭協会に対しては、先刻しばしば申し上げましたように、あの買入れの対象といいまするか、請負いの対象の窓口一つにするために、その筋とも相談いたしまして、司令部の意向も十分聞きまして、財団法人石炭協会をつくりまして、それには公団人をたいがい一名と思つておりますが、そこの役員に送つておりますけれども、もとより無報酬でありまするし、それから送ることも、そういうことはすべて兼職禁止でありまするから、政府の許可を得ております。いわんやそれから嘱託料だの顧問料だのとつておることは、私は断じてないと思う。
  407. 石田一松

    ○石田(一)委員 総裁はそういうことはないと信ずるこうおつしやいまして、私もない方がいいと思います。事実あればこれはまたたいへんな問題であります。よけいなことのようですが、業務規定が安本の方から許可になつていたか、いなかつたかということを、そんなことは許可にならなかつたことはないと信ずるとおつしやつておる総裁のことですから、こういうこまかいことはおそらくないと御信じになるのが当然のことであると私は思います。先ほどよけいな意見を申し述べたようですが、御証言の中に何か足りないものがあるような気持がいたしました。私はこれは少くとも法律の問題でなくて、人の問題だ、機構の問題でなくて、機構を形づくつている人の善悪がこのいわゆる赤字を生む、生まないの問題に大きな関係を持つておる。このことだけはぜひ私は断言したいというふうに思いましたので、よけいなことを申し上げまして、どうも失礼しました。
  408. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 小林君。
  409. 小林進

    ○小林(進)委員 簡單に三つばかりお聞きしたいと思いますが、元総裁は御存じなければ、御存じないでけつこうなんです。われわれの調査の中に出て来ましたことで、聞き漏れたことを補充的にお聞きするのでありますが、一番目は菅家君が質問いたしました問題で、結局公団法の十七條で、認可になつていないという問題に関連するのでありますが、石炭価格の問題であります。総裁にお聞きしたいのは、この石炭価格の中に福利協会の費用としてトン七円、坑木補償金といたしまして金十三円トシ、特別鉱害補償金としてトン十三円五十銭の代金が含まれているということを御存じでございますか。
  410. 藤井貞雄

    藤井証人 存じております。
  411. 小林進

    ○小林(進)委員 こういうふうに今三つの炭代以外の代金が含まれていることに対して、私どもの方の調査では、物価庁の方でそういう代金を含むことをまだ承認していない、あるいは物価庁に聞きましても、何か言を左右にしてはつきりした言葉を與えられないというのでありまするが、これに対して総裁の方では、この価格を正式に承認を得たとお考えになつておりまするか、あるいはまだ得ていないとお考えになつておりまするか、この点をひとつお伺いしたいと思うのであります。
  412. 藤井貞雄

    藤井証人 これは承認とか承認でないとかの問題ではないと私は思つております。性質上これは物価庁の告示で出て、私どもは告示によつてつまりその事務をとつている、こういう性質のものだと存じております。
  413. 小林進

    ○小林(進)委員 そういたしますと、物価庁では告示でこの値段を示したわけですね。
  414. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  415. 小林進

    ○小林(進)委員 そうすると、問題は物価庁にわれわれは追求してみる必要がある。
  416. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  417. 小林進

    ○小林(進)委員 よくわかりました。次に石炭協会の荷後石炭の問題でありますが、石炭協会は社団法人で、営利会社でないということを御証言になりましたが、それにつきまして、二年三箇月の間に石炭協会が公団に納めました石炭が二十一万トン、価格にして一億二千万円を公団からとつておるわけでありますが、しからばこの一億二千万円の金を、社団法人の石炭協会がどんなぐあいにこれを処分しておるか、総裁は御存じでございますか。
  418. 藤井貞雄

    藤井証人 それは、石炭協会がどうしたとかいう内容は私は存じませんが、それは引上賃に大部分を拂つて、その剩余金があれば社団法人石炭協会の資産として残つておるものだ、こう考えております。
  419. 小林進

    ○小林(進)委員 この石炭協会に関連しまして、今石田君が質問いたしたのでありますが、公団の方が顧問だ、役員だなどというようなことで、不当な賞與金や顧問料をもらつておるものはないというただいまの御証言でありましたが、私ども調査によりますと、東京公団の局長の松田三郎という方が、この石炭協会から昨年の十一月に記念品代というような名目でありますか何かで、十万円をもらつておるというのでありますが、これは御存じでございましようか。
  420. 藤井貞雄

    藤井証人 存じません。
  421. 小林進

    ○小林(進)委員 ご存じなければよろしゆうございます。その次にいま一つお伺いしたいのは、虎の門寮というのをご存じでありますか。もし虎の門寮というのをご存じでありましたならば、知つている、知つていないだけ、ひとつお聞かせ願えばいいと思うのでありますが……
  422. 藤井貞雄

    藤井証人 存じております。公団の分室でありますから……
  423. 小林進

    ○小林(進)委員 そうすると、その虎の門寮は一体だれの御所有になつておるのですか。
  424. 藤井貞雄

    藤井証人 あれは野村宗一郎君の所有物であります。
  425. 小林進

    ○小林(進)委員 野村宗一郎さんとおつしやるのは、あなたの前の総裁でいらつしやいますか。
  426. 藤井貞雄

    藤井証人 公団の人ではございません。
  427. 小林進

    ○小林(進)委員 これはどういう方なんでしようか。
  428. 藤井貞雄

    藤井証人 公団には寮が全国でずいぶんたくさんございますが、公団は不動産が所有できませんので、全部借りておりますから、東京にも合宿なんかがずいぶんございますから、そのうちの一つでございます。
  429. 小林進

    ○小林(進)委員 公団の寮として野村宗一郎氏からお借りになつておるのですね、公団が……
  430. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。
  431. 小林進

    ○小林(進)委員 その今お借りになつております虎の門寮というのは、公団で一体何をおやりになるところなんでございましようか。
  432. 藤井貞雄

    藤井証人 今は返してないと思つております。公団がありました当時は、最初の目的は石炭の炭繰り会議などをいたしますのに、三十名くらいで一ところに泊つて、ほとんど徹夜作業をして司令部に出さなければならぬ、それで公団が一時やかましく言われたんですが、どうしても東京都内にそういうものがない、それで当時温泉場がさびれておりまして、よくそういうところに行つたんでございますが、ぜひそういうところがほしいということで、公団の寮として借りたと記憶いたしております。宿泊をさせております。
  433. 小林進

    ○小林(進)委員 私ども調査では、宿泊というより高級宴会場で、相当はでに公団がおやりになつたというような実証が上つて来ておるわけでございますが、こまかいことは総裁御存じなければ、次々にお聞きして行きたいと思います。  その虎の門寮の設備や調度品一切は、もちろんやはり公団が全部御準備なさつたわけですか。
  434. 藤井貞雄

    藤井証人 これはひとり虎の門寮がどうなつておるか——宿泊所なり、あるいは独身者を入れておるところ、あるいは世帶持ちを入れておるところというのがたくさんございますので、どの程度公団が負担して、どの程度家主が負担したかということは、私は存じません。
  435. 小林進

    ○小林(進)委員 次にこれに関連いたしまして、一つでよろしゆうございますが、一体野村宗一郎という方は、これはどんな経歴の方でございましようか、
  436. 藤井貞雄

    藤井証人 これは前に石炭商をやつておりました。
  437. 小林進

    ○小林(進)委員 やはり石炭の御商売ですか。
  438. 藤井貞雄

    藤井証人 さようでございます。その後日鉄の子会社としてというか、日鉄などから資本が出て輸送会社を経営しておつた方です。
  439. 小林進

    ○小林(進)委員 何かあなたの公団の方の仕事関係はございませんか。
  440. 藤井貞雄

    藤井証人 関係はございました。
  441. 小林進

    ○小林(進)委員 その寮を提供したという以外にどういうふうな関係が……
  442. 藤井貞雄

    藤井証人 寮を提供したといいますか、寮はその野村君から借りたわけですが、これは公団の前の日本石炭当時に、私の記憶によりますると、あの例の格外炭といいますか、洗滌炭といいますか、今まで捨てておつた石炭が、非常にやみ市場を横行したわけです。その際に日鉄のそういつたような捨てておつた石炭を、洗炭機をすえて洗つて、そうして公団に売つてつた選別業者というものが、九州には各地にずいぶんあつて、そのうちの一人のような仕事をしておつたという意味におきまして、公団との関係がございました。
  443. 小林進

    ○小林(進)委員 日鉄からずいぶん出ております荷後炭の問題ですが、その荷後炭の協会の役員にはなつておられないと思いますけれども、非常に密接な関係といいますか、むしろ実権を握つておられたというような調査資料が出て来ておりますが、これらには関係がございますか。
  444. 藤井貞雄

    藤井証人 荷後炭とは全然関係はございますまい。私はそれは存じませんが、全然別のサイドだと思います。
  445. 小林進

    ○小林(進)委員 わかりました。これはまたいずれ……  いま一つ、これで終りですが、前にもどつて石炭価格の中には物価庁の証認、不証認は別として、福利協会の費用としてトン七円が入つているにもかかわらず、これでやはり不足といたしまして、いわゆるさつき言われた保險金の中から、また別に保險の割もどし金を福利協会にお入れになつていたわけですか。福利協会には二つの口から金が入つておるというわけですか。
  446. 藤井貞雄

    藤井証人 はなはだ失礼ですが、これはあなたの質問のポイントが全然違つておるのです。片一方の福利協会費であるとか、あるいは坑木の費用、鉱害費用、これは石炭価格構成のための一つのアイテムなのです。それは全然とんちんかんな御質問なのです。
  447. 小林進

    ○小林(進)委員 これはわかりました。
  448. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 よろしゆうございますか——それでは済みました。長い間どうも御苦労でした。  まだあと一名の証人が残つておりますが、時間も大分経過いたしましたので、本日はこの程度にとどめ、明後八日引続き加藤証人証言を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  449. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認めます。それではさようとりはからいます。なお先ほど八日に出頭を求めることに決定いたしました証人中、井上榮君及び今井薫君は十三日月曜に出頭を求めることに変更いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  450. 鍛冶良作

    鍛冶委員長 御異議なきものと認め、さようとりはからいます。  加藤証人に申し上げますが、本日は大分時間を経過いたしましたので、これから証言を求めることになりますと大分遅くなりますから、明後八日午後一時から引続き証言を求めることに決しましたので、はなはだ恐縮でありますが、さよう御了承願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後五時二十六分散会