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1950-04-26 第7回国会 衆議院 厚生委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月二十六日(水曜日)     午後三時五十五分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 青柳 一郎君 理事 今泉 貞雄君    理事 大石 武一君 理事 松永 佛骨君    理事 苅田アサノ君       高橋  等君    田中  元君       中川 俊思君    提 ツルヨ君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     太宰 博邦君         厚生事務官         (児童局長)  高田 正巳君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君     ————————————— 本日の会議に付した事件  児童福祉法の一部を改正する法律案内閣提出  第一四三号)  予防接種法等による国庫負担特例等に関する  法律案内閣提出第一四四号)     —————————————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  まず日程を追加いたしまして、児童福祉法の一部を改正する法律案議題として審議に入ることにいたします。まず政府より提案理由説明を聽取することにいたします。高田政府委員
  3. 高田正巳

    高田政府委員 ちようど大臣が御不在でございますので、委員長のお許しを得まして、私から提案理由説明をいたします。  ただいま提案になりました、児童福祉法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  児童福祉法昭和二十二年十二月公布、二十三年一月より施行され、昨年六月第五回国会におきまして、施行律の経験にかんがみその一部を改正いたしましたが、今回次のような理由によつて、その一部を改正する必要が生じたのであります。  今回改正いたしたい第一点は、療育施設虚弱児施設肢体不自由児施設にわけることであります。第五回国会における改正によりまして、盲聾唖者施設療育施設からわけて一つ児童福祉施設としましたが、さらに現在の虚弱な児童と、肢体機能の不自由な児童両者対象とすることになつています。しかしこの両者保護方法性質が異つており、盲聾唖児施設と同様に、別個の児童福祉施設を考える必要があるわけであります。従つて療育施設虚弱児施設と、肢体不自由児施設にわけ、前者においては身体の虚弱な児童に適正な環境を與えて、その健康増進をはかり、後者においては上肢、下肢または体幹機能の不自由な児童を治療するとともに、独立自治に必要な知識、技能を與えることにしたわけであります。  改正の第二点は、中央児童福祉審議会委員及び臨時委員は、非常勤の国家公務員であり、任命権者である厚生大臣によつて任命せられるので、「委嘱する」という表現をやめたことであります。これに伴いまして都道府県児童福祉審議会及び市町村児童福祉審議会委員及び臨時委員につきましても、同じ取扱いをすることにいたしました。  次に改正いたしましたのは、妊娠届出を受理した市町村長義務についでありまして、保健所を設置しております市の市長は、都道府県知事に、その他の市町村長は、都道府県保健所長を経て都道府県知事に、そのことを報告しなければならぬという規定を新たに設けました。これは都道府県知事が行います母子手帳交付及び妊産婦保健指導と一貫させるためであります。  第四の改正点は、現在厚生省で定められております児童福祉施設設備び運営についての最低基準を、里親における養育についても拡充するということであります。これは里親委託せられた児童養育のために必要な点を定めて、里親養育を科学的、合理的なものとし、児童の健全な育成を保障することを目的としております。そしてこの最低基準を維持するために、行政庁里親に対して必要な報告をさせ、児童福祉に関する事務に従事する官吏または吏員に、実地につき監督させることができることにいたしました。  第五に改正いたしました点は、都道府県支弁することになつております児童相談所に要する費用のうち、設備に要するもの以外の費用を、相談及び鑑別に要する費用と、それ以外の費用とにわけて規定することにいたしました。これは後者費用が従来の国庫補助金制度から、新しい地方財政平衡交付金制度に切りかえられまするために、相談及び鑑別に要する費用と別に規定しておく方が、地方団体予算編成上適当と思われるためであります。児童相談所設備に要する費用相談及び鑑別に要する費用は、従来通り国庫補助することになつております。  第六には、これも地方財政平衡交付金によつて交付せられることになりました児童福祉施設入所者、及び里親委任児童保護費につきまして、入所に要する費用入所び委託後の保護に要する費用とからなることを明らかにして、予算編成の便に資することにいたしますとともに、入所後及び委託後の費用は、前に述べました児童福祉施設設備及び運営と、里親養育について定められた最低基準を維持するに足りるものでなければならないことといたしまして、都道府県及び市町村における適正なる児童保護費支弁を確保させることにいたしました。さらにこれまでは、この費用国庫補助が十分の八ありました関係上、厚生大臣児童保護が適正であるかどうかについて、金の面から地方団体を十分指導できましたが、今後も国庫補助があるとないとにかかわらず、地方団体における児童保護費最低基準に合致して、適正に支弁されることを確保する必要がありますので、新たに規定を設けまして、保護費支弁が適正に行われているかいなかについて、厚生大臣は、当該官吏都道府県または市町村事務処理状況を、都道府県知事は、当該吏員市町村事務処理状況を、それぞれ実地について調査させることができることにいたしました。  最後改正いたしましたのは、従来都道府県知事が、本人またはその扶養義務者から徴収することにいたしておりました一時保護に要する費用は、今後徴収しないことにした点であります。これは元来一時保護性質から見ましても、一時保護せられる者、及び扶養義務者は、ほとんど暫用負担能力なく、実際には徴収することができないという実情に基いております。  何とぞよろしく御審議の上、これが制定に御協力をお願い申し上げます。  ただいまの提案理由説明で大体尽きておるのでございますが、なお若干事務的につけ加えさしていただきたいと存じます。  条文は非常に長うございまして、一見めんどうなように見えますけれども、改正の一番大きな要点は、平衡交付金制度に伴う関係でございます。その他はいずれもごく事務的な手続の問題でありまするとか、あるいはまたこの際学問的な意味におきまして、規定改正して置いた方がいいというふうなものでございますので、あまり実質的な、大きな問題はないかと存ずるのであります。  改正法律案の第一項の「第七条、第二十七条第一項第三号、第三十一条及び第三十四条第二項中「療養施設盲ろうあ児施設」を「盲ろうあ児施設虚弱児施設、し体不自由児施設」に改める。」これは一ページの一番最後の行から始まつております第四十三条の次に二条を加えまして、療養施設虚弱児施設肢体不自由児施設にわけた。かようなことがあとの方で出て参りますので、それに伴う条文整理であります。  それから「第九条第三項中「夫々これを命じ、又は委嘱する。」を「夫々これを任命する。」に改める。」これはほんとうの手続的な規定で、ございまして、先ほどの大臣提案理由説明にありましたように、従来官吏と民間の方々たちとわけて規定しておりましたが、さような区別をする必要がなくなりましたので、この際整理をいたしたい、こういう趣旨でございます。  それから次の「第二十条に次の一項を加える。」というわけで、そこに三行ほどの条文を加えていただきたい、かようなことでございますが、これもごく手続的な問題でございまして、従来の二十条の規定だけでありますると、都道府県知事まで妊娠届出が達しない。なお言葉をかえて申しますると、都道府県知事が、保健婦指導母子手帳交付といううふうなことを保健所長を動員してやつておるわけでございます。それが従来の規定だけでありますると、特別な市を除きまして、一般の市町村におきましては、妊娠届出市町村長だけにとどまりまして、保健所長に何ら知らされない、こういうかつこうになつておりましたので、保健指導母子手帳交付というふうなことが、そこではしごこく都合が悪い。こういうので、それぞれ市町村長保健所長を経て、都道府県知事にこのことを報告しなければならない。かような規定を入れていただきたいという意味合いでございます。  それから「第四十三条を削り、第四十三条の二を第四十三条とし、同条の次に次の二条を加える。」これで四十三条の二と四十三条の三を加えていただきまして、現在の療育施設として一本になつておりまする児童福祉施設を、虚弱児施設肢体不自由児施設とにわける、こういうことでございます。からだの弱い子と、肢体の不自由な子とは、対象としての児童性質が違つておりまして、従つて保護を加えまする方法に相違がございますので、これはわけておいた方が、事柄の実態にぴつたりいたすかと存じまして、この際御改正を願いたい、かような意味合いでございます。  次の「第四十五条中「児童福祉施設設備及び運営について」を「児童福祉施設設備及び運営並びに里親の行う養育について」に改める。」児童福祉施設設備及び運営につきましては、現在の四十五条で最低基準を定めるということになつておりまして、厚生省令最低基準を定めてございます。ところがこの里親委託いたしました場合に、その里親の行う養育については、最低基準を定めることに従来なつておりませんでした。これも今後ますます里親制度を普及させて行きたいというときにあたりまして、やはり最低基準を定めまして、その里親養育というものをもう少し合理的に、十分に監督もできるようにして行きたい、かような意味合いでございます。  次の六項でございますが、これも今の里親関連いたしましたものでございまして、この四十六条は「児童福祉施設の長」の下に「及び里親」を加えまして、児童福祉施設の長から、いろいろ報告を求めたり、あるいは最低基準に適合しておる運営をやつておるかどうか、設備は適合しておるかどうかということを監督する、その監督規定の中にも、里親という言葉を入れておさたい。これは前の五項と相関連した改正でございます。  次の項は虚弱児施設及び肢体不自由児施設養育施設をわけましたことに関連いたしまする条文整理でございます。  次は「第五十条第三号を次のように改める。 三 児童相談所に要する費用(第八号及び第十号の費用を除く。)」これは平衡交付金関連をいたしました事柄ではございまするが、あまり実体的には意味のない改正でございます。と申しまするのは、児童相談所に要する費用の中で、そこの括弧の中に書いてあります八号というのは、相談及び鑑別に要する費用であり、十号は設備に要する費用でございます。その両者を除きまして、あと費用——主として人件費が中心でありますが、その方は平衡交付金に入ることに相なり、相談鑑別設備に要する費用は、従来通り補助をいたすということに相なりましたので、その二つをわけまして、平衡交付金に入つたものと、補助金に残つておるものとを規定上わけますることが、地方団体予算編成する場合等に便宜かと存じまして、さようにわけたわけであります。あまり実体的な改正ではございません。  その次の項、これと一つ飛びまして、三ページの一番最後の行から始まつておりまする項、その次の項、この辺が平衡交付金関連いたしまして若干実体的な関係を持つた改正でございます。ちよつと読ましていただきますが、「第五十条第六号及び第七号を次のように改める。六 市町村長が、都道府県の設置する助産施設母子寮又は保育所について第二十二条から第二十四条までに規定する措置をとつた場合において、」これは助産施設母子寮保育所という措置をとることを指すわけであります。「措置をとつた場合において、入所後の保証につき、第四十五条の最低基準を維持するために要する費用七 都道府県知事が、第二十七条第一項第三号に規定する措置をとつた場合において、」これは前の助産施設母子寮保育所という措置以外の福祉措置を全部指しておるわけでございます。その措置をとつた場合において「入所に要する費用及び入所後の保護につき、第四十五条の最低基準を維持するために要する費用(国の設置する乳児院養護施設精神薄弱児施設盲ろうあ児施設虚弱児施設、し体不自由児施設又は教護院入所させた児童につき、その入所後に要する費用を除く。)」この二つの各号の条文は、以前のものと言葉が大分かわつておりますけれども、実体的にかわりました点は二点でございまして、六号、七号共通の問題であります。その一つ措置をいたしました場合に、児童福祉施設入所する以前の費用、すなわちこの子供を移送する費用、かような費用と、それから入つたあと保護費というものと、その二つがこの措置に伴う費用としてあるのだということを明確に規定いたしましたことが一つ、それから入つた後におきまして、入所後の保護費につきまして、第四十五条の最低基準を維持するために要する費用という言葉を入れましたのが、その第二点でございます。それでこの五十条というのは、これは新旧対照条文がございまするが、ごらんいただきまするとわかりますように、五十条というのは、元来都道府県負担する費用を列挙した条文でございます。それで、本文は「左の各号に掲げる費用は、都道府県支弁とする。」こういうことに相なつておるわけでございます。そうしてその各号にこの六号と七号が出て参るわけでありますが、それに今の入所後の保護費というものにつきましては、いずれの場合にも「第四十五条の最低基準を維持するために要する費用」は支弁しなければならないというふうに、ここに挿入をいたしたのであります。このことによりまして、現在ありまする最低基準をもう少し詳細に、——カロリーでありますとか、すべての面において、詳細に最低基準規定いたしまして、子供入所後の処遇というものを確保いたしたい。それに要する費用というものを平衡交付金の中で確保いたしたい。かような意味合いで、この規定を挿入いたしたわけでございます。  その次の項は、先ほどのところで御説明を申し上げた事項と同様なことでございまして、それで説明は尽きておると存じます。  それから「第五十条第一号を次のように改める。」そこにやはり先ほどの第五十条を改正すると同じような改正が盛り込んであるわけでございます。五十条の方は都道府県負担する費用、五十一条の方は市町村負担する費用、そのいずれにも前申しましたような二点の改正——入所に要する費用入所後の費用二つあるのだということを明確にいたしますことと、入所後の費用につきましては、最低基準を維持するために要する費用を入れましたことの二点でございます。  それからその次の項は、二行ばかりの条文でございますが、これはいずれも条文整理でございまして、別に実体的な関係はございません。これは今まで申し上げました事柄関連する条文整理でございます。  それから「第五十三条の次に次の一条を加える。第五十三条の二厚生大臣は、第五十条第六号若しくは第七号又は第五十一条第一号の費用支弁が適正に行われているか否かについて、当該官吏をして都道府県又は市町村事務処理状況を、都道府県知事は、第五十一条第一号の費用支弁が適正に行われているか否かについて、当該吏員をして、市町村事務処理状況を、それぞれ実地につき調査させることができる。」この規定が五十条、五十一条の改正関連をいたしまして、それらの改正によりまして、それぞれ都道府県市町村最低基準を維持するに足るだけの保護費を支出しなければならないというふうに義務づけられるわけでありまするけれども、それが実際に適正に、その費用の支出をいたしておるかどうかということを、厚生大臣なり都道府県知事なりが、それぞれ現地について調査をする権限を規定した条文でございます。この条文を新しく一条挿入しておきたい、かような意味合いでございます。  それから一番最後の「第五十六条第一項中「第六号及び第八号まで」を「第六号及び第七号」に改める。」すなわち第八号を除いたわけであります。これは先ほどの提案理由説明の中にございましたように、この第八号と申しまするのは一時保護に要する費用でございまして、この一時保護に要する費用を、従来は本人または扶養義務者のとれる者からとる、こういう規定が五十六条にございます。その中にありましたので、とらなければならぬことになつておつたにでありますけれども、実際問題といたしまして、一時保護という事柄性質上、さようなことは不適当であろう。なおまた実際にとれる人は非常に少ないのでありまするから、とるという規定を除きまして、都道府県負担だけにする、かような意見合い改正でございます。  非常に簡單でおわかりにくかつたかと存じまするが、以上事務的に各条文の御説明を申し上げました。     —————————————
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 次に日程を追加いたしまして、予防接種法等による国庫負担特例等に関する法律案議題といたしまして審査に入りたいと思います。まず政府委員より提案理由説明を聽取することにいたします。太宰政府委員
  5. 太宰博邦

    太宰政府委員 ただいま議題になりました予防接種法等による国庫負担特例等に関する法律案について御説明申し上げます。  昨年シヤウプ使節団によつて税制改革の勧告が発表され、わが国の財政制度について重大な示唆が與えられたのでありますが、なかんずく地方財政につきましては、従来の国庫補助金及び地方配付税制度にかわるべき画期的な制度といたしまして、地方財政平衡交付金制度の設定が勧告せられたのであります。本制度実施するため、政府におきましては、地方財政平衡交付金法案を本国会提案したのでありますが、この法律施行に伴いまして、厚生省の所管にかかる法律の中で、地方財政平衡交付金に繰入れられる国庫及び都道府県負担に関する規定につきまして、その適用停止する等の必要を生じた次第でございます。  この法律案の大要について御説明申し上げますと、まず第一条は、厚生省関係行政費中、地方財政平衡交付金に繰入れられる国庫及び都道府県負担に関する規定適用停止を、予防接種法その他六法律において規定しようとするものでございます。本条は地方財政平衡交付金法附則第十五項と歩調をそろえる必要がございますので、同項にならいまして、一応その適用停止昭和二十五年度に限ることとしたのであります。  第二条は伝染病予防法の一部改正であります。これは伝染病予防法第十六条の二を改正いたしまして、都道府県または市町村が平常時に行いまするところの鼠族昆虫駆除実施義務づけるとともに、この実施人員の設置、薬品等設備についての基準を政令で定めることといたしました。これによつて地方財政平衡交付金制度のもとにおいて、鼠族昆虫駆除実施に法的な根拠を與え、あわせて伝染病が流行し、または流行のおそれある場合について、伝染病予防上さらに必要な駆除をなさしめ得るように規定したのでございます。  以上が本法案の骨子でありますが、何とぞ御審議の上、すみやかに可決せられますようお願いする次第でございます
  6. 堀川恭平

    堀川委員長 本日はこの程度で散会いたしまして、次会は明日午後一時から開会いたします。     午後四時二十二分散会