○
丸山委員 第一番目の
医師の
国家試験制度改善に関する
請願は、
日本インーターン連合会からでございまして代表者宮澤修とい人からの
請願でございます。
趣旨は、
医師の水準を確保するために、
国家試験制度が行われておるわけでございます。これはまことにけつこうなことでありますけれども、戰争による教育
施設の荒廃と、勤労動員、さらに戰後の経済状態の窮迫によるアルバイト学生の
増加等の悪條件のために、非常に多数の不合格者を出し、第六回の
国家試験の合格率は、六二・八%であるということであります。
医学校が
医師の養成を目的として、長い年数教育しておるのに、最後の線において
医者となることができないために、その全部の修業期間という過程が無に帰するということから考えて、この
制度に
改善を加えてもらいたいというのが
趣旨でございます。その
方法といたしましてあげておりまするのは、国庫負担により、
医学教育機関を充実してもらいたいということ、卒業試験をも
つて国家試験にかえてもらいたいということ、
国家試験を実地修練の前に行
つてもらいたいということ、試験問題はできる限り、イエス・ノー式を採用してもらいたいということ、
国家試験の日付を一定にして、合格したかいなかの発表をなるべく早くや
つてもらいたいということ、
国家試験に必要なる費用は、国庫で負担してもらいたいということ、
国家試験の場所を増設されたいということ、不合格者の答案を返還して、以後は不合格の課目のみに單位制として、試験をや
つてもらいたいということ、
国家試験の試験
委員をなるべく早く決定して発表してもらいたいということが、その
請願の要綱でございます。
次に、第八の
医学の
実地修練制度改善に関する
請願について申し上げます。これも同じく
日本インターン連合会からでございまして、代表者宮澤修でございます。この
請願の
趣旨は、
医師の素質を向上するために、実地修練
制度が行われてから三年にな
つておるけれども、敗戰の混迷期に生れ、悪化した
社会経済上の
事情のために、大きな矛盾がある。だからこれを
改善されたいというのでありまして、その要項といたしましては、実地修練生を修練
施設においては
職員として取扱
つていただきたい。これは今まで
医者の少い病院では、実質的にインターン生を
医師と同様に勤務に使
つておるが、無給であることから、かなりの困難を生じておる。またある病院によ
つては、無給にであることを利用して、現在勤めておる
医師の首切りをや
つて、修練生を主体として病院を経営しようとしておるような傾向がある等の不都合があるということであります。また鉄道病院等においては、修練生は鉄道
関係の
職員でないという
理由から、それの利用、入院等を拒絶しておるというようなこともあるということであります。また病院における
職員でないために、診療、検査等を行うのに、看護婦の助力を求めるのに非常に困難を来しておるために、インターンが完全に行われないような形がある。その他いろいろな
理由によりまして、
職員として取扱
つてもらいたい。司法修習生は同じような立場にありながら、これは
職員の
待遇を現に受けておる
実情にあるから、これとひとしいような
待遇をしてもらうことにいたしたい。
次の條項は、修練指導拡充の対策を立てられたい。インターン生を扱
つておる病院の種類によりましては、医育機関に付属しておる病院では、非常に
医師が多く、その
研究等のために、インターン生はじやまにされて、実地修練の機会がはなはだ少いということ、
患者に近づくと、これをとめられるような
実情があるということ。反対に
医師の少い病院においては、インターン生を仕事につかせるために、指導等が何ら行われないで、インターン生が雇い人のごとくに取扱われるというような
実情にある。こういうようなことは修練指導の
根本の
方針が確定しておらないからであると思うから、これに対する指導の計画性を持
つて、はつきりした線を示してもらいたいということです。
次には、通勤のパスを買いまするのには、インターン生は厚生省に
申請して証明をもらうことにな
つておる、これは遠隔の地では非常に日数がかかりますために
申請期間が切れてしまうようなことがありますので、身分証明書は厚生省で出していただいてもよろしゆうございますが、通勤の証明書は医務局の出張所か、またはその病院で発行せられるようにしてもらいたい。
次の要項は、実地修練生の採用は民主的に行われたいという條項がございます。その他これ対するいろいろな表等も附属してございますが、省略いたします。
次に
医療法第十三條の
施行延期に関する
請願。本
請願は東京都中野区議会
議長伊條幸吉氏からの
請願でございまして、これは中野区の区民二十万の輿論を代表し、区の議会の議決をも
つての
請願でございます。その
趣旨は昭和三十三年七月三十日に公布せられた
医療法に病院と診療所の規定がありまして十三條において、診療所は原則として悪者を收容し、入院させることを禁止しておるということがある。こういうようなことは、わが国
社会の現状に即しないということによ
つて、これを
改正してもらいたい。なお同法において、公布後三箇年の猶予期間を設けられておるけれども、かくのごとき短い月日の間には、厖大な費用を要するところの本法規定の病院
施設を、
患者の
要求を満すまでに完備させ、整備することは不可能であるということが明瞭であるからして、この猶予期間を少くとも延ばす必要があるであろう。中野区及び隣接区においては、本法の規定に合致する病院はきわめて少数で、現在
收容能力等に著しい
不足を生じておる現状である。交通機関の不備は重症
患者を送院するに支障を来し、その病状を悪化させる危険がある。また
患者は近隣の信頼する
医師のところに入院することを
希望する者が多い、短時日の間に私設病院を多数建設させるためには、国庫よりの多額の
補助金の支出を要するということは明瞭である。公立病院の設立も、
国家財政の現状から短年月の間には不可能と考えられる。これに反して現在十九床以下の診療所が著しく医療を制限せられ、多年の熱意と勉強によ
つて得たいろいろの技能を葬り去られるということは、
国家的一大損失である。かかる法律のもとで、
医療法十三條の適用を強行することは、施行後第一日にしてすでに混乱を惹起することははなはだ明瞭である。こういう
理由によるものであります。以上であります。