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1950-04-18 第7回国会 衆議院 厚生委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十八日(火曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君    理事 松永 佛骨君 理事 金塚  孝君    理事 苅田アサノ君 理事 金子與重郎君       今泉 貞雄君    丸山 直友君       山崎 岩男君    福田 昌子君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  木村 忠一君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君  委員外出席者         厚生事務官         (医務局医務課         長)      河野 鎭雄君         厚生事務官         (医務局整備課         長)      小沢 辰男君         厚 生 技 官         (医務局療養所         課長)     尾村 偉久君         専  門  員 川井 章知君         専  門  員 引地亮太郎君 四月十八日  委員堤ツルヨ君辞任につき、その補欠として福  田昌子君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月十七日  西医学健康原理研究に関する請願竹山祐太郎  君紹介)(第二四八一号)  皇居前における観光ホテル建設敷地変更に関  する請願(石田一松君外六名紹介)(第二四八  二号)  薬事法改正に関する請願前尾繁三郎紹介)  (第二五〇〇号)  生活保護法案の一部修正に関する請願神山茂  夫君外一名紹介)(第二五一四号)  国立療養所湊病院看護婦増員並びに患者給食  改善に関する請願砂間一良君外一名紹介)(  第二五一六号)  遺族の援護対策確立に関する請願青柳一郎君  紹介)(第二五五四号)  同(川野芳滿君外五名紹介)(第二五八〇号)  青少年飲酒防止法制定に関する請願三宅正一  君紹介)(第二五五八号)  同(田万廣文紹介)(第二五九〇号)  同(青野武一紹介)(第二五九一号)  同(松岡駒吉紹介)(第二五九二号)  同(淺沼稻次郎紹介)(第二五九三号)  青少年飲酒防止法制定反対に関する請願(井出  一太郎君紹介)(第二五五九号)  小浜町に総合社会施設設置に関する請願(奥村  又十郎君紹介)(第二五七二号)  木花村都井岬間海岸地帯を準国立公園指定の  請願川野芳滿君外五名紹介)(第二五七三  号)  貝塚市母子寮大阪府下結核保護施設として  拂下げ請願松永佛骨紹介)(第二六一二  号)  国立療養所内ストレプトマイシン骨用範囲拡  大に関する請願松永佛骨紹介)(第二六一  三号)  身体障害者福祉法の一部改正に関する請願(山  口好一紹介)(第二六二二号)  同(山本利壽紹介)(第二六二三号)  生活保護法改正に関する請願松永佛骨君紹  介)(第二六二四号) の審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した要件  委員派遣承認申請に関する件  国際連合国際兒童緊基金ユニセフ)に関する件   請願  一 国立高崎病院施設拡充請願中曽根康弘    君紹介)(第六三〇号)  二 国立療養所菊地惠楓園患者被服等支給の    請願床次徳二紹介)(第二九九号)  三 国立病院勤務医師待遇改善に関する請願    (青柳一郎君外一名紹介)(第一八一七    号)  四 国立富山病院施設拡充に関する請願(内    藤隆紹介)(第一九九二号)  五 インターン制度及び医師国家試験制度改善    に関する請願外一件(渡部義通君外一名紹    介)(第二九三号)  六 インターン生採用に関する請願渡部義通    君外五名紹介)(第七三九号)  七 医師国家試験制度改善に関する請願(丸    山直友君紹介)(第一一五号)  八 医学実地修練制度改善に関する請願(丸    山直友君紹介)(第一一六号)  九 医療法第十三條の施行延期に関する請願(    花村四郎君外一名紹介)(第一四一六号) 一〇 放射線技師法制定に関する請願岡良一君    紹介)(第一七一〇号) 一一 保健婦等既得権者に対する国家試験制度    廃止に関する請願岡良一君外四名紹介)    (第一〇六一号) 一二 看護婦資格既得権者国家試験特例設定    に関する請願苅田アサノ君外一名紹介)    (第一五六四号) 一三 同(吉田省三紹介)(第二一二〇号) 一四 国立中野療養所病床増設に関する請願(    並木芳雄紹介)(第二五号) 一五 結核療養所病床増設に関する請願並木    芳雄紹介)(第七五号) 一六 同(柄澤登志子君外一名紹介)(第九八三    号) 一七 結核回復者保護施設建設費国庫補助の請    願(青柳一郎紹介)(第一四二号) 一八 国立北海道第二療養所施設改善に関する    請願苅田アサノ君外一名紹介)(第一六    五号) 一九 釧路市に国立結核療養所設置請願(伊藤    郷一紹介)(第一九一号) 二〇 国立療養所施設拡充等に関する請願(    苅田アサノ紹介)(第二五〇号) 二一 美幌療養所を旧美幌海軍航空隊庁舎跡に移    転の請願高倉定助君外一名紹介)(第六    二四号) 二三 結核自宅療養者保護に関する請願苅田    アサノ君外二名紹介)(第六四六号) 二三 結核療養所医師待遇改善に関する請願(    苅田アサノ君外一名紹介)(第六四九号) 二四 国立療養所日向莊施設整備拡充に関す    る請願中曽根康弘紹介)(第七一五    号) 二五 結核予防対策費補助金交付請願江崎眞    澄君紹介)(第八四七号) 二六 国立大阪療養所施設拡充並びに同職員の    待遇改善に関する請願松永佛骨紹介)    (第一六三三号) 二七 国立岩手療養所災害復興に関する請願(淺    利三朗紹介)(第一八二〇号) 二八 国立療養所患者食費増額に関する請願(    淺利三蘭紹介)(第一八二一号) 二九 同(井之口政雄君外一名紹介)(第一八八    四号)三〇 国立岩手・秋田・福島三療養所火災による    り災者救援等に関する請願圓谷光衞君紹    介)(第二一三七号) 三二 新潟県下のつつが虫病予防組合事業費国庫    補助に関する請願丸山直友紹介)(第    一一五七号) 三二 津久見港に検疫所設置請願金光義邦君    外六名紹介)第一七四八号) 三三 民生委員機能充実に関する請願青柳一    郎君紹介)(第一九四四号) 三四 引揚者の援護に関する請願野坂參三君紹    介)(第四六二号) 三五 佐世保九十九島等国立公園指定請願    (岡西明貞君外六名紹介)(第一四八号) 三六 妙高戸隠地帶国立公園指定請願(塚    田十一郎紹介)(第一二四三号) 三七 藝北公園を準国立公園指定請願山本    久雄君紹介)(第一〇四四号) 三八 伊豆七島及び伊豆牛島一帶の区域を海洋国    立公園指定請願畠山鶴吉紹介)(    第一七七九号) 三九 須賀の山を国立公園指定請願(稻田直    道君紹介)(第一九八二号)     ―――――――――――――
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  まず委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。御承知通り、去る十三日から十四日にかけて観光都市熱海大火がありましたが、当委員会といたしましても、この際、厚生行政の見地から、熱海大火罹災状況実地調査のため、委員派遣をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なければ、委員長より議長委員派遣承認申請書を提出することといたします。なお本委員派遣に関しましては、災害地対策特別委員会及び建設委員会からも委員派遣承認申請をいたすことに相なつております関係上、両委員会との打合せも必要なのでありますが、時間の都合上、至急決定いたさねばなりませんので、申請手続に関しましては、一切委員長に御一任願いたいのでありますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議なしと認めまして、さよう決定いたします。  それでは、午後一時まで休憩いたします。     午前十一時十六分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十五分開議
  5. 堀川恭平

    堀川委員長 午前中に引続きまして再開いたします。  まず午前中に開かれました社会事業振興に関する小委員会におきまして、救援物資の寄贈に関し国際連合国際兒童緊基金ユニセフ)に対する感謝決議案案文及び取扱いについて申合せがございますので、この際委員会において御了解を求めておきたいと存じます。決議文を朗読いたします。   国際連合国際児童緊急基金ユニセフ)が、国際連合諸国厚意と同情との贈物である多量の原綿、粉乳等救援物資を寄贈されていることは、全国民の感謝に堪えないところである。   この物資は、昨年秋以来、多数の兒童に対し、衣料品及び給食用ミルクとして配分されており、衣料品及び食糧品不足勝ちである日本の多くの児童は、この厚意に浴し、日々感謝と喜びの生活を送るに至つたのである。それは、国境を越えた崇高なる人類愛となかんずく日本児童に対する限りなく深い愛情との具象化であつてこれを受けた児童は勿論のこと、日本国民全体は、この温かい贈物に、心から、感謝している次第である。   ここに、衆議院は、特に、院議をもつて国際連合国際児童緊急基金ユニセフ)及び斡旋の労に当られる連合軍最高司令部に対し、深甚なる感謝の意を表するものである。   右決議する。  以上の通り決議案案文を、社会事業振興に関する小委員会において作成したのでありますが、この取扱いにつきましては、提案者には、社会事業振興に関する小委員長松永佛骨君を初め、御賛同を得た委員全員といたすことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 堀川恭平

    堀川委員長 御異議がなければ、さよう決し、なおその他の手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  7. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは次に、請願日程を上程することにいたします。  日程第三三、文書表第一九四四号、民生委員機能充実に関する請願議題といたします。まず紹介議員より説明を願うことにいたします。青柳一郎君。
  8. 青柳一郎

    青柳委員 本請願は、全日本民生委員連盟から出ておるものでありまして、昨年の十月十五日から開かれました全国民生委員児童委員大会におきましての決議に基きまして、大会継続委員会できめて請願に及んだものであります。  その請願の要旨は、民生委員生活保護法に対する協力方式を確立せられたいという点にあるのでございます。その理由を申し上げますと、生活保護法運用につきましては、従来民生委員市長村長補助機関といたしまして要保護者の発見並びに援護補導に盡して来ましたことは御承知通りでありますが、近く生活保護法改正されますに際しまして、適正妥当な方式によつて、この法の運用民生委員機能を活用されることが、わが国の社会実情に即した援護を期待し得るゆえんであると信じますので、特にまず第一に生活実情調査、第一に保護申請の介助、第三に保護方法程度に関する意見の具申並びに内容についての審議、第四に保護開始後における生活指導、この四つの事項につきまして、民生委員積極的協力を求めるような明確なる方針を確立されることをお願いするというのであります。
  9. 堀川恭平

    堀川委員長 政府の御意見を承ります。
  10. 木村忠一

    木村(忠)政府委員 生活保護法運用につきまして、民生委員が従来補助機関として市町村長補助いたして参つたわけでございますが、補助機関であるために、市町村長が当然その事務組織の中においてしなければらない事柄につきましても民生委員を煩わし、そのために民生委員民間ボランティアとしての本来の仕事をいたすにつきまして、きわめて遺憾な状況に相なつて参つておりまする実情にかんがみまして、政府といたしましては、生活保護法改正いたしまして、民生委員市町村長補助機関から、これを協力機関にかえることにいたしまして、民生委員民間ボランティアとしての本来の働きというものを十分に伸ばすようにいたしたいと存じて、法案を提案しておるような次第であります。従いまして政府といたしましては、今後民生委員につきましては、民間奉仕者といたしまして、民間にあつて援護者の側に立つて、要援護者にかわりまして、各種手続等についての援助をする。あるいは実際に要援護者がおりました場合に、これについての通報をする。あるいは要援護者実情につきまして、市町村長その他に連絡をする。あるいはこれに対しまして必要なる助言をするといつたようなふうに、民間人としての立場から各種  の示唆と処置をする。またそのために必要なる各種の平素の調査をするとい  つたような面におきまして、本来の民生委員らしい活動というものが増進さ  れまするように、この点につきまして十分運用上留意いたして参りたい、かように考えておるのであります。事実上は請願内容のごとき実情に相なるように指導いたして参りたいというふうに考えております。     ―――――――――――――
  11. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、日程第二三、文書表第六四九号、結核療養所医師待遇改善に関する請願議題といたします。まず紹介議員より説明を願います。苅田アサノ君。
  12. 苅田アサノ

    苅田委員 これは岡山県にあります早島療養所患者斉和会人たち三百九十五名が署名をして、同院の医師待遇改善に対する請願をなさつたものでありまして、その請願趣旨を申しますと現在日本には三百万人と称せられる結核患者があるのでありますが、しかも全国療養所施設は、五万人にも足らない患者收容能力しかないのであります。この五万に足らない患者を收容しておる療養所で、現在一番患者希望しておることは、お医者さんが少いので増員していただきたいということなのであります。なぜ医者が少いかと申しますと根本的な問題はその待遇でありまして、少い給料で献身的に結核と闘つておる医者に対して、患者は非常に敬愛の念を持つておるのでありますが、しかもこのお医者さんたちは、医療器具その他の設備の非常に悪い中で、労働強化のために非常に困難な生活をしておられるのであります。三十人ないし五十人の患者に一人の医師が合理的な数字としてあげられておるにもかかわらず実際は百人以上に一人の医師で、困難な結核の撲滅ができるかどうかということは、もはや論議の余地のない問題であります。この困難な結核に対する闘いに勝つために、患者一同は、医師増加根本原因である医師待遇改善を、血を吐いておる患者の熱烈な要求の一つとして心から要望しておるというのであります。それと同時に、医師に対しまして十分な研究施設研究時間を與えることも、患者として非常に要望しておられるようであります。こういうことが請願趣旨であります。
  13. 堀川恭平

    堀川委員長 政府の御意見を伺います。
  14. 尾村偉久

    ○尾村説明員 国立療養所医師全国的に充員できませんが、これは確かに事実でございまして、まことに申訳ないことであります。それにはいろいろな理由がございますが、一番の理由になつておりますのは、他のいろいろな職場にあります医師に比較いたしまして、ある部分を比較いたしますと、著しく悪い。少くともそれよりもいいという面がありません。ことに結核療養所のように、将来つぶしがきかぬといいますか、結核だけの専門家になりまして、将来事情がありまして、都会等に出て開業する場合に不利になるというために、同じぐらいでありましても来にくいのであります。そのために私どもの方でも、ぜひこれは待遇改善しなければ、本来の義務が果せぬと思いまして、この方いろいろと研究いたしまして、要望をそれぞれ関係方面と連絡いたしておるのでありますが、根本的に今まで解決いたしません点は、国家公務員給與わくで、やはりこれも同じ公務員として扱われておるものでありますから、根本的に大幅にこれをはずすという以外に、今のところ本俸等につきましては手がないわけであります。この方はやはりいたさなければいけませんので、これは院長、所長の協議会からも要求が出ております。国会にも、先般来両院に請願のごとき形で陳情が出ております。人事院、大蔵省にも、その要求をわれわれとともにいたしております。ただ何分にも、今のように全部を通じております根本の法律をかえるということでありますので、ただいまその手を研究中でございまして、具体的に法案等をつくつてもらつて提出するという域に至つておりませんが、その必要性は感じまして、着々と準備いたしております。しかしなからさしあたりこれでは困りますので、少くとも現在のわくのうちでできる方法を講じなければいかぬというので、昨年からいろいろと考えまして、住居の問題といたしまして、療養所職員だけは無料でその官舎を使える。これだけはようやく最近大体決定に至つております。療養所以外の場合には、国家公務員全部有料でありますが、療養所だけは、そういうような特殊事情を勘案いたしまして、大体見込みがつきました。それから第二の問題は、すぐには役に立ちませんが、やはり将来のつぶしがきかぬとかいう不利な状況を考えまして、退職後の恩給問題でございます。これは恩給局り方と打合せいたしまして、現在のところ看護婦長だけに、一年につきまして半年の恩給加算がついておるのでありますが、これは結核療養所癩療養所であります。それから癩については医師も先般来ついておりますが、結核につきましても、医師のごとく患者に直接してこれを扱う者は、ぜひつけてもらわなければならぬというので、これも折衝して、大体近く希望が達せられるのではないかという感想をわれわれは抱いております。これも早晩解決がつくのではないかと思います。この二つぐらいは、給與に直接関係いたす問題でありますので、できることでありますから、そういうふうに進んでおります。  それからそのほかに、若い医師獲得には、給與の問題よりも、特に家族の少い方には、将来のために技術を覚えるという研究方面と、技能の獲得いろいろ指導あるいはその時間的な余裕というものが一番大事でございます。これは実は医師獲得してからの問題と因果関係があるのでございまして、たくさんとれますと、その余裕が出て、みんなが研究できる。とれないと、今度は研究余裕ができないという、非常に矛盾した関係がございますが、しかしそれにいたしましても、研究設備をすれば、それだけでも幾分今よりは来るのではないかと思います。今年幸い研究費も若干増加になりましたので、これをなるべくそういうふうなところに重点的に配給いたしまして、ことに岡山早島などは比較的都会地から離れたところで、東京の療養所でございますと、毎日三十分くらい大学研究施設を利用できますが、ああいうような種類のところになるべく重点的にまわす。こういう方針を立てておりますので、幾分改善されると思います。  それからなお再教育のために、大学とか、それから先輩の指導者のある療養所に、内地留学のような形で、一箇月とか二箇月とか、肺結核の手術を覚えるように、出張旅費を與えて公費で派遣する。この制度を昨年ごく一部実行いたしました。今年はなるべく多数にやろう。これによりまして生活的にも幾分余裕ができますし、それからその期間だけは思い切つて研究等ができますので、ぜひこうしたいと思います。  それから研究会は、昨年以来相当盛んにやつておるのでございますが、本人のやりました小さい研究でも、発表させますと、はつきり名誉的な関係がございますので、国立療養所に来ても、学校におると同じように自分の研究一般に認められるというので、非常に希望がございます。これは今年も秋にやることに決定しておるのでございますが、十月に国立療養所だけの自己研究会をやりますが、そのほかにブロックごとに小さい研究会をやります。これは予算的にも可能であります。糊塗的でありますが、さしあたりのこととしてそういうことをいたしております。将来の待遇改善については一層努力するつもりであります。
  15. 苅田アサノ

    苅田委員 なおお聞きしたいのでありますが、ただいまの御説明の中で、はつきりいたしません点をお聞きしたいのですが、恩給療養所あるいは国立病院医師全員にわたつて予定しておいでになるのですが、恩給の標準と申しますか、それはどういう程度のものをお考えになつておいでになりますか。その点もついでに承りたいと思います。
  16. 尾村偉久

    ○尾村説明員 お答えいたします。恩給の方は、ただいまきまつております公務員の俸給に基きまして、退職のときにそれの百五十分の五十という今の規定で、一般公務員とみな同じであります。普通の場合に十七年たつとつくのが、国立病院療養所の場合につきましては、十二年で同額がつく。こういう形で今要求しております。癩がただいままでそういうふうに実施しております。結核医師にもそれを及ぼそうという形であります。でありますから、六七年分有利になりますから、率から申しますと、手取りは非常にふえることになります。
  17. 堀川恭平

    堀川委員長 次に、日程第二八、文書表第一八二一号、国立療養所患者食費増額に関する請願、及び日程第二九、文書表第一八八四号、国立療養所患者食費増額に関する請願一括議題といたします。紹介議員がお見えになりませんので、大石武一君に説明していただきたいと思います。
  18. 大石武一

    大石(武)委員 ただいま紹介されました請願は、御承知のように結核治療においては、栄養を十分よくするということが根本的な治療の基礎であります。しかるに現在国立療養所に收容されております患者の大部分は、経済的にゆたかな方が少いのでありまして、また一方国立療養所にも今まで相当予算の制限がございまして、十分に満足し得る栄養というものは給與しておらなかつたようにわれわれ思うのであります。従つてかかる收容所に收されておる患者の大部分というものは、さらに自費をもつてその栄養を補つて行かなければならぬのでありますが、ただいま申しましたように、いずれもあまり生活にゆたかでない人々が多いのでございますので、結局は思うような栄養がとれない。従つて結核治療も思うように行かない。従つて治療も遅れて、再起して国家経済再建に寄與することができなくなるという現状にあるのであります。従つて、ぜひとも十分な栄養がとれて、一日も早く結核を克服して、国家再建に寄與できますように、国立療養所のまかない費をもつと増額していただいて、できるだけ十分な栄養を與えるようにしていただきたいということが請願内容であります。
  19. 堀川恭平

    堀川委員長 政府の御意見を伺います。
  20. 尾村偉久

    ○尾村説明員 国立結核療養所栄養方面不足というのは、これは昨年以来患者並びに職員側からも意見が出ておりまして、われわれの方も、昨年は特に著しいところがありましたので、よく認識いたしまして、この改善に努めたのでございます。実は昨年度費用の單価を申しますと、平均一日一人五十五円で昨年度はまかなつたのでありますが、二十五年の一月以来大蔵省から、平均して六十七円の単価に約二割強の値上げになつたわけであります。もつともこの六十七円と申しますのは、全国療養所平均でございまして、われわれの方で特に物価の高いところと、比較的安価で物資の入手のいいところとわけまして、これを実際に使う場合には、段階を三つほどつくつてつております。必ずこれで行きますと不公平ができますので、こういうふうに段階を設けて調節はしております。これによりまして、最近やや内容改善されまして、カロリーにいたしますと、若干でこぼこがございますが、大体三千三百カロリーの線はほぼ大多数の療養所で確保されております。この点につきましても、結核患者の場合には、からだの新陳代謝の増加がございますので、さらにもう少しカロリー面でもふやした方がいいような一般的な常識になつておりますが、この点も努力する予定でございます。ただ最近患者栄養の問題で一番要求のありますのは、総熱量よりも種類の問題でございまして、口に入る場合のことにおかずの糖類、それから主食の種類、この二つがございます。主食は、昨年までは配給の問題のためにある地区は、幸いに生産県でありますと、米麦、で確保されまして、そういうところは主食の不足はあまりなかつたのでございますが、雑穀とかいもがまざつておりましたときには、どうしても消化がぐあいが悪うございまして、この部分を実際残しますので、カロリーにも影響する。この点は最近大分配給の面がよくなりまして、大体の療養所では雑穀類は二割以下でございまして、約半数の療養所が大体米麦で全部もらうということになりまして、主食はやや改善されております。この点も、結核療養所につきましては、ことに腸結核患者等も多いのでありますから、ぜひ米麦でもらいたいということをそれぞれの県で交渉いたしまして、逐次成功をいたしております。これはわれわれの方も、農林省の方にいつでも筋として申し込んでおりまして、農林省も原則としてはそうしたいというので、通牒まで出してくれておるのであります。ただ実際の配給の操作の場合に、現物がないということもありますが、好意は見せております。ただおかずの問題になりますと、これはなかなか解決しにくいのでございまして、小さい療養所では割合に徹底いたしまして、全員の嗜好の欲望が大体キャッチできまして、大多数の患者が、今度はこういうものを食べたいというのがすぐ反映いたして行けるのでありますが、四百、五百入れておるところでございますと、嗜好がまちまちでございまして、幸いに非常によい脂肪が入つても、脂肪をやりますと、あぶらくさいものは食べられぬといつて、百人、二百人の者が食べ残しまして、残飯に残る。そういたしますと、費用だけいたずらに要しまして、むだが起るということが依然としてございます。これに解決するためには、どうしてもおかずの糖類を数種類用意いたしまして選択にまかしてとれる、これ以外にはないのであります。これをただいま試験的に、この近所では神奈川県の光風園というところで実施いたしております。それから中国地方では、山陽莊というのが小郡の方にございますがここでは数箇月前に全部自炊をやめさせまして、そのかわり療養所で数種類以上のおかずを毎回用意する。これを実施して、今好成績を上げております。これを徹底いたしますと、それに要する設備と人員とをもう少し合理的に調節いたしましてできればこの方法を大きな療養所にある程度及ぼしたい。この点は嗜好の点も満足されますし、必ずしも費用を上げないでも、カロリーも確保され、それらの希望も達せられるのではないかと思つて、こういう方法を講じております。それから寒い地方でありますと、あたたかいものを食べさせるということが不可能でございまして、このために、内容をよくして味つけしても、渡るまでに冷えておりますと、しるものはみんなむだになるということが起つております。この解決には、どうしても口に入るまで熱を保つという方法がいるのでありまして、これのためには、どうしても病室ごとに加温設備をいたしまして、最後につけるまで沸騰させる。どうしてもこれ以外に解決策はないのであります。ただこれは木造建の療養所でありますので、熱を用いる場所をつくりますと、発火の危險がございます。昨年も寒い東北地方で、そういう原因によりまして、二箇所ほど大火事が起つておりますので、どうしても設備改善をはかりませんと危険があります。この点をことしもできるだけ考慮して、但しこれは患者個人でやる自炊ばかりでなくて、所の方として病棟に防火設備をぜひいたしたい。ことに寒い地方では、この冬までには幾分ずつでも改善して行きたい、こう思つております。そんなぐあいでございますので、どうしても個々に検討いたしまして、その不満のこまかいことを一つ一つ解決して行きませんと、総額に比較いたしまして、一割ぐらいまかない費を増額したからよさそうなものであつても、やはり大多数が解決しておらぬのでありまして、そういう面をことしはぜひやつてつて行きたい。こういう方針でございます。
  21. 苅田アサノ

    苅田委員 まかない費の増額の請願は、ほかにも兵庫県の国立療養所春霞園の患者自治会からも出ておりましてこれにつきましては具体的に、現在日本患者同盟から総括的に要求しておるまかない費百三十円の増額ということを請願しておるわけなんであります。それで百三十円ということの根拠は、大体厚生省のモデルクッキングの結果が、百四十七円二十四銭ということになつておりますので、少くとも三千四百カロリーの確保の上に立つて、百三十円の増額ということを非常に願つておるわけであります。これに対しまして、療養所当局の方の御意見を承りたい。かように考えております。
  22. 尾村偉久

    ○尾村説明員 この日患同盟から出ております百三十円の要求も、しばしば代表の方と会いましていろんなことを検討したのでございます。厚生省の栄養課から出ております百四十七円の基礎は、われわれの方でいろいろ連絡いたしまして内容を聞きますと、実際のところ一番重い患者を中心にいたしまして、最理想的な、医療上理想的なおとを計算いたしまして、たとえばオレンジを毎日一定の量與えるとか、あるいはクリームを必ずやとるか、いろいろ理想的な内容が入つておりますので、むろんこれに至るのが一番望ましいのであります。ただこれは全国にあります療養所の現状から言いますと、材料取得の点から言いましても、国内の生産状況から言いましても、実はこれは現在のところ不可能に近い状態でありまして、一応の目標を示したようなわけでございます。そこで同じようなカロリーで、大体蛋白質と脂肪等をその理想量に合せまして、なるべくわずかの金で脂肪のとれるほかのものが入手できぬかということを検討いたしました。ただいまのところ、これは来年度の予算に関係があるのでございますが、大体七十円程度でございますと、カロリーと動物蛋白質が中心でございますが、それと脂肪とを大体常時満たせるようであります。でありますから、現在通つております予算よりも、もう一歩というところなのでございます。しかしそれも、今の理想に近い動物蛋白質等の比率を得た場合でありますので、すでにきまりました今年度予算につきましては、それに大体近いような、種類は少し落ちますが、大体それに近いところは、ことしだけでも料理人の講習会をやりまして、まかなえるようにいたしたい。こういうことを先般説明いたしまして、一応納得されております。その希望としては、できるだけ医学の理想に近いようにやつてくれというような話でありますが、これはわれわれの方でもいい資料をもちまして、要求を続けて行くつもりでございます。     ―――――――――――――
  23. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは次は日程第七、文書表第一一五号、医師国家試験制度改善に関する請願日程第八文書表第一一六号、医学実地修練制度改善に関する請願日程第九、文書表第一四一六号、医療法第十三條の施行延期に関する請願を一括して議題といたします。紹介議員よりの説明を願います。丸山直友君。
  24. 丸山直友

    丸山委員 第一番目の医師国家試験制度改善に関する請願は、日本インーターン連合会からでございまして代表者宮澤修とい人からの請願でございます。趣旨は、医師の水準を確保するために、国家試験制度が行われておるわけでございます。これはまことにけつこうなことでありますけれども、戰争による教育施設の荒廃と、勤労動員、さらに戰後の経済状態の窮迫によるアルバイト学生の増加等の悪條件のために、非常に多数の不合格者を出し、第六回の国家試験の合格率は、六二・八%であるということであります。医学校が医師の養成を目的として、長い年数教育しておるのに、最後の線において医者となることができないために、その全部の修業期間という過程が無に帰するということから考えて、この制度改善を加えてもらいたいというのが趣旨でございます。その方法といたしましてあげておりまするのは、国庫負担により、医学教育機関を充実してもらいたいということ、卒業試験をもつて国家試験にかえてもらいたいということ、国家試験を実地修練の前に行つてもらいたいということ、試験問題はできる限り、イエス・ノー式を採用してもらいたいということ、国家試験の日付を一定にして、合格したかいなかの発表をなるべく早くやつてもらいたいということ、国家試験に必要なる費用は、国庫で負担してもらいたいということ、国家試験の場所を増設されたいということ、不合格者の答案を返還して、以後は不合格の課目のみに單位制として、試験をやつてもらいたいということ、国家試験の試験委員をなるべく早く決定して発表してもらいたいということが、その請願の要綱でございます。  次に、第八の医学実地修練制度改善に関する請願について申し上げます。これも同じく日本インターン連合会からでございまして、代表者宮澤修でございます。この請願趣旨は、医師の素質を向上するために、実地修練制度が行われてから三年になつておるけれども、敗戰の混迷期に生れ、悪化した社会経済上の事情のために、大きな矛盾がある。だからこれを改善されたいというのでありまして、その要項といたしましては、実地修練生を修練施設においては職員として取扱つていただきたい。これは今まで医者の少い病院では、実質的にインターン生を医師と同様に勤務に使つておるが、無給であることから、かなりの困難を生じておる。またある病院によつては、無給にであることを利用して、現在勤めておる医師の首切りをやつて、修練生を主体として病院を経営しようとしておるような傾向がある等の不都合があるということであります。また鉄道病院等においては、修練生は鉄道関係職員でないという理由から、それの利用、入院等を拒絶しておるというようなこともあるということであります。また病院における職員でないために、診療、検査等を行うのに、看護婦の助力を求めるのに非常に困難を来しておるために、インターンが完全に行われないような形がある。その他いろいろな理由によりまして、職員として取扱つてもらいたい。司法修習生は同じような立場にありながら、これは職員待遇を現に受けておる実情にあるから、これとひとしいような待遇をしてもらうことにいたしたい。  次の條項は、修練指導拡充の対策を立てられたい。インターン生を扱つておる病院の種類によりましては、医育機関に付属しておる病院では、非常に医師が多く、その研究等のために、インターン生はじやまにされて、実地修練の機会がはなはだ少いということ、患者に近づくと、これをとめられるような実情があるということ。反対に医師の少い病院においては、インターン生を仕事につかせるために、指導等が何ら行われないで、インターン生が雇い人のごとくに取扱われるというような実情にある。こういうようなことは修練指導の根本方針が確定しておらないからであると思うから、これに対する指導の計画性を持つて、はつきりした線を示してもらいたいということです。  次には、通勤のパスを買いまするのには、インターン生は厚生省に申請して証明をもらうことになつておる、これは遠隔の地では非常に日数がかかりますために申請期間が切れてしまうようなことがありますので、身分証明書は厚生省で出していただいてもよろしゆうございますが、通勤の証明書は医務局の出張所か、またはその病院で発行せられるようにしてもらいたい。  次の要項は、実地修練生の採用は民主的に行われたいという條項がございます。その他これ対するいろいろな表等も附属してございますが、省略いたします。  次に医療法第十三條の施行延期に関する請願。本請願は東京都中野区議会議長伊條幸吉氏からの請願でございまして、これは中野区の区民二十万の輿論を代表し、区の議会の議決をもつて請願でございます。その趣旨は昭和三十三年七月三十日に公布せられた医療法に病院と診療所の規定がありまして十三條において、診療所は原則として悪者を收容し、入院させることを禁止しておるということがある。こういうようなことは、わが国社会の現状に即しないということによつて、これを改正してもらいたい。なお同法において、公布後三箇年の猶予期間を設けられておるけれども、かくのごとき短い月日の間には、厖大な費用を要するところの本法規定の病院施設を、患者要求を満すまでに完備させ、整備することは不可能であるということが明瞭であるからして、この猶予期間を少くとも延ばす必要があるであろう。中野区及び隣接区においては、本法の規定に合致する病院はきわめて少数で、現在收容能力等に著しい不足を生じておる現状である。交通機関の不備は重症患者を送院するに支障を来し、その病状を悪化させる危険がある。また患者は近隣の信頼する医師のところに入院することを希望する者が多い、短時日の間に私設病院を多数建設させるためには、国庫よりの多額の補助金の支出を要するということは明瞭である。公立病院の設立も、国家財政の現状から短年月の間には不可能と考えられる。これに反して現在十九床以下の診療所が著しく医療を制限せられ、多年の熱意と勉強によつて得たいろいろの技能を葬り去られるということは、国家的一大損失である。かかる法律のもとで、医療法十三條の適用を強行することは、施行後第一日にしてすでに混乱を惹起することははなはだ明瞭である。こういう理由によるものであります。以上であります。
  25. 堀川恭平

    堀川委員長 政府の御意見を伺いたいと思います。
  26. 東龍太郎

    ○東政府委員 最初の二つの医師国家試験並びに実地修練生に関する件は、関連のある問題でございますが、今請願にございましたような内容のことは、その他の方面からも、インターン生等の団体からも出ておる声であると存じます。しかしながら結論といたしまして現在の国家試験制度並びにインターンの制度に、ただちに大きな変化を與えようということは実は考えておりません。しかしながら現在の国家試験制度インターン制度とが、わが国の国状に適した適良のものであるとも考えておりません。これにつきましてはそれぞれの審議会を通じましてまた厚生省におきましても、この実績に徴しまして、愼重に研究はいたしております。ただ国家試験の問題で、第一点になつておつたと存じますが、多数の不合格者を出す云々ということであります。なるほど第六回あるいは第五回というふうに、個々の一回ごとの成績を見ますと、あまり芳しくございませんでした。しかしながら最終の第七回の医師国家試験は八六・五%という全体の合格率を持つておりますので、これくらいの合格率ならば、まつたく満足すべき結果と私は存じております。同時にまた今まで一度に及第はしませんでしたが、何回か受けておられるというふうなことを考えますと、昭和二十一年九月、大学医学の課程を卒業した人の今日までの総体の結果を見ますと、九六・七%が国家試験に合格してしまつております。従つてただいままでの不合格者は、パーセンテージとして必ずしも多過ぎたというふうには考えていないのであります。  それから試験のいろいろのやり方あるいは問題等につきましてのことでありますが、現在非常に多数の医学校の卒業生があり、また戰争中に急いでつくられた医学教育機関が相当たくさんにありましたために、その教育の成果が十分に上つていなかつたということを考えますと、現在の状態はまだ一種の過渡期と見るべきものでありまして、今から三、四年の後、すべての医育機関が医科大学となり、そうして卒業生の数が一定の数、たとえば三千というふうなことに固定して参りますそのあかつきにおきましては、当然現在の国家試験制度は再検討を加えられて今のような科目保留制度というふうなことも、当然検討を加えられるべき問題であろうと存じます。また試験の日付を一定にするとか、あるいはまた試験の場所をなるべく便利なようにするというようなことも、もう一度考えられるべきものだと存じております。しかし厚生省といたしましては、なるべく受験生に便宜のありますように、事務的には、医務局といたしましてはその負担能力の限度に達しておりますが、それでも試験の場所等も、地方の要望にこたえまして、来るべき第八回には、最初予定しておりませんでした二箇所、たとえば長崎と弘前においても試験を行うということにいたしております。私どもといたしましては、でき得る限り便宜をはかりたいと存じております。それから合格者等の発表につきましても、これも言われるまでもなく、一日も早く発表をしたいというつもりでおりますが、これまた現在事務局において引受けております医師国家試験、歯科医師国家試験並びにその受験者数ということを考えますと、これが事務能力の最大限でございまして、これ以上実はどうにもならないという状況でございます。  それからインターンについてのいろいろな御意見、しごくごもつともと思うものもございます。これもいろいろ検討は加えられておりますが、ただいまのような一種の過渡期におきましてはこの状態で行くよりほか道がないという結論に来ておるわけなのでございます。なおインターン生を職員として扱えというふうな御意見については、これも職員に準じて扱つていただきたいということを申しておりますが、かえつてこれを職員として扱うということに決定いたしますと、そのために職員の定員を減されるという、インターン生が危惧の念を抱いておりますようなことが実現する結果にもなることでありますので、職員に準じて扱うということで、それはそれぞれのインターン生を預かる施設が、方善の考慮を拂つてくれるように申しております。で、この制度も新しい制度でありますために、改新早々でありますから、両三年はいろいろとその間に誤解もあり、不徹底な点もあり、混乱を来しましたがおいおいと正しいインターンの意義を、施設側にも了解してもらつておりますので、徐々に改善されつつある。この請願が出ましたのはただいまの趣旨を見ましても、二十四年の十二月に受付になつておりますが、それ以後におきましても、私は改善せられた点があると存じます。  それから修練生の指導の問題、これは最も重要な点でございます。で、医育機関においては、インターン生がじやま者扱いされる。これは当然そうなる結果が起つておりますので、実地修練の制度ができましたごく最初の時期にあたりまして、私の名前をもちまして、医育機関における実地修練は好ましくない。もしでき得べくんば医育機関以外の病院において、インターンをやることが理想的であるというふうな意見を申し述べたことがございます。これにつきましては毀誉相半ばする非難でございますが、私は医育機関は医学教育をやることにおいて手一ぱいであるから、インターンは医育機関以外においてやることが正しいと今でも信じております。しかし一方そうなると、指導能力が落ちるのではないか。これも現状においては、ある病院については事実でございます。これは結局今のように、インターン生の数が非常に多いために、病院としては十二分にその資格を備えていないものまでも、インターンの指定ぼ院にしなければならないという現状から起つている破綻であるのでありまして、これもいましばらくのしんほうで、私どものなおこれ以上の指導によりまして、ほぼ満足すべき結果に至るものかと存じております。   修練土の採用を民主的にということにつきましては、具体的のお話がございませんでしたが、この点につきましては、私ども常々注意をいたしております。各病院に対しましても厚生省として考えておるところは、通牒等によつて知らせておるつもりであります。   最後に医療法十三條の問題でありますが、これまた各方面から多数の声を伺つております。今おあげになりましたようなおそれがあるということは、これは否定できないと存じます。しかしながらこれまた猶予期間の三年もしくは五年の後に、はたして日本の医療を危殆に瀬せしめるような破綻が来るとは、実は考えておりませんので、今ただちにこの猶予期間を五年から十年に延ばすというふうなことは、実はまだ考慮いたしておりません。ただいまのところこの方針でなお進んで参りたい。ただしかしながら、猶予期間の三年、五年の問題につきましては、これは現在の病院の新設もしくは増床等の経済的な困難等とにらみ合せまして、医療機関の比較的不足しておりますような場面におきましては、なるべく猶予期間を五年というぐあいに長くいたしたい。そういう考慮は拂つております。
  27. 丸山直友

    丸山委員 大体御説明で了解いたしましたが、これは先ほど申し落しましたのでありますが国家試験のことに関して前期、後期の二つにわけて、前期を基礎学科とし、後期を臨床学科としてもらいたいということがございます。これは私個人の考えとしてもたいへんいいのではないか。また非常に大量な試験を一ぺんやるということの方が、結局発表などに非常に手間どるというふうな原因にもなるのではないかと思いますので、これに対するお考えはどうかということとそれからこれはこの中にはあまり詳しく書いてありませんが、私が実際に見て参りましたところでは、昨年九州をまわりましたときに、インターン生を預かつておる保健所の声として、これに関する予算等を一向くれないで非常に困るということを申しております。この中には指導医師の手当が月二百二十五円であるというようなことが書いてある。こういうようなものも増額されたいと言うておりますが、その点に関して、ひとつお考えを承りたい。  それから次にはお返事がございませんでしたが、通勤のパスを一々厚生省まで申請するということは、非常に手数がかかつて非常に困ると思いますが、通勤証明書は病院で発行せられるように改善されたいということについてもう一ぺんお答え願いたいと思います。  それから最後に医療法の問題は、なるべく五年の方にとおつしやいますのですが、東京都であります中野区がすでに一定の設備を持つていてこういうことを言うておる状況であります。東京都でさえこういう状況であるから、ましてや地方においては、三年ということは考えられないのじやないかと考えますが、いかがでありますか。
  28. 東龍太郎

    ○東政府委員 国家試験を前期、後期にわけるというお考え、これはそういうことがいいという意見は、審議会の中にも多数にございます。それからまた科目保留という問題もございます。この問題につきましては、すでに一年ほど前に、国家試験審議会においていろいろと論議いたしました。また日本医師会の医学教育委員会におきましても、一定の結論を出されました。そうして両者が合同して意見を交換されたのでありますが、結局現在のように数千の受験生を扱わなければならない事態におきましては、いかなる名案も事務的に不可能である。たとえば前期と後期とをわけました場合に、そしてことに科目を保留いたしました場合に、試験を受けて及第した人と、落第した人、それを整理するということだけでも、たいへんな事務的な手間がかかるのでありまして、結局現状でやるよりしかたがない。つまりいい方法がありましても、今ではやれない。従つて私が申し上げました通り、今お話のような前期、後期にわけますということも、アメリカあたりでもやつておりますし、当然これは考えらるべきことだと存じます。また科目保留制度ということも十分考慮していいと思うのでありますが、この問題は将来に残して、ただいまでは現在の審議会の意見を、やむを得ず徴して行くよりしかたがないといつたことで、次善あるいはそれ以下の策かもしれませんが、それで満足して行くべく余儀なくされている状態でございます。  それから保健所におけるインターンに対して補助が少いということであります。いかにも少いようでございますが、これにつきましてもインターンの制度の運営営に対する予算の裏づけが、全体として必ずしも多くございません。これにつきましては、医務局といたしまして、これを少しでも多くいたしたいと思つて、今までも相当努力はいたしましたが、不幸にして私どもすら満足するまけの予算の裏づけを得られていない状態でありますが、なお今後とも努力はいたしますし、またインターンの制度というものを、財政当局に十分に認識してもらうように努めてはおります。  それから通勤パスの問題は、これも実はインターンというものが学生ではないということのために、割引等につきましても非常に折衝に困難をきわめたのでありますが、ただいまの鉄道省発行のパスにつきましては、現在やつておりますような厚生省の証明があるということを條件にしてパスの発行を鉄道の方で受入れてくれたようなわけでありましてこの折衝にも一年以上の日子を費したのでありますが、その條件でかろうじて今日のような状態になつたわけであります。これをなお一層便宜にいたしますことについては、これは将来の問題として、私の方でも十分研究もいたしますし、その方へ当ることもいたしますがただいままでのところでは、現在の條件を少しも譲歩すると申しますか、それ以上緩和するというふうには承知してくれておりません。  それから医療法第十三條の問題について東京都内においてすらというお話でありましたが、これにつきましては、実際の医療施設の分布等、具体的なものを十分調査いたしまして、それに基いて猶予期間をきめるつもりでおりますので、必ずしもどういう地域というぐあいに、東京都全部としてどうするかというようなことも、実はまだきまつておりません。これは間もなく発足いたすことと存じております医療機関整備審議会の中央審議会等においても、いろいろと御意見を承りまして、実際の診療に著しく事欠くような処置はとらないつもりでおります。
  29. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 医育機関はこれからまだ御整備なさるおつもりでおられますか。
  30. 東龍太郎

    ○東政府委員 実は医育機関の問題は、私の所管の事項じやありませんが、整備と今おつしやいましたのは現在あります五十何校でありますか、その内容をよくすることは、文部省の資格委員会において、一定の方針と基準のもとにやつておるのでありますが、学校がふえるだろうかどうたろうかということの意味でありますれば、医育機関はこれ以上数はふえないと私は存じております。
  31. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 インターン制度をお設けになつて国家試験を始められました当初の受験者は、大体何人ぐらいいましたか。それからどういうふうに減つて参りまして、ただいまどうで、将来の日本の人口、また日本の医療従事者というようなものの振合いから考え出した新しいお医者さんの数というものは、どの程度がよいとお考えでいらつしやいますか。
  32. 東龍太郎

    ○東政府委員 国家試験は、医師につきましては御承知通り今まで七回行つておりますが、そのうち第一回と申しますのは、戰時中に特に歯科医師を短い時間の教育で医師たらしめるということにいたしました、あのものでありますので、受験者は全部歯科医師であります。歯科医師の免状を持つた人が比較的短期の教育を受けたので、従つてこれは数からは、むしろ除外する方がいいと考えております。そのときの数は二百六十八名でございます。それが今日まで及第いたしましたのが百五十六名でございます。これは特に率が悪いようでありますが、おそらくもう今受ける人はほとんどないと思います。というのは、第四回には合格した人がないというふうになつておりますが、みな歯科医師でありますから、もとの歯科医師に返ればりつぱに生計が立つ人であります。第二回は、二十一年九月の卒業生でありますが、千五百八十九名ございます。そのうち卒業しても国家試験を受けない人がおりますが、とにかく今日まで何回かの間に受けた者は、総計によりますと千六百十五名になつております。その千六百十五名のうち千五百六十二名が合格いたしております。従つてこれは九六・七%という率で、ほとんど合格いたしております。それから二回の受験生中、不合格の人のみが受けましたのが第三回です。結局これは今の数の中に入つております。第四回は、二十二年三月に医学専門学校を卒業した人でありましてこのうち今日まで国家試験を受けました総数が八百六十八名であります。そのうち七百十九名、すなわち八一・一%の合格率になつております。第五回は、二十二年九月の大学卒業生でありまして、今日までに受けました総数は千六百七十三名であります。そのうち千五百七十名が及第いたしておりますので、九三・八%の合格率になつております。第六回は、二十三年三月の専門学校卒業生で、今日までに二三千六百八十六名受けておりまして、うち二千三百四十八名、すなわち八七・三%の合格率であります。第七回は、二十三年の九月の大学卒業生でありまして、これが一千八百五十二名、合格千七百三十六名、すなわち九五・七%の及第になつております。これで見ますと、大体専門学校におきましても八〇%以上八七%、大学におきましては九四%ないし九七%に近い合格率ということになつております。なお今度来月の初めに第八回を受けます予定の人員は、大体推定して七千五百名ぐらいだと存じます。
  33. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 医育機関を整備するとして、将来の見通しは大体どのくらいですか。
  34. 東龍太郎

    ○東政府委員 将来の数につきましては、文部省とも打合正せておりますが私どもの見通しといたしましては、大体三千人というところが標準になるのではないかと思います。現在の医育機関を見ますと、大体三千人の卒業生が出るようになつております。三千人を少し越します。私の方といたしましては、もう少しいろんな資料に基きまして、愼重に考慮いたしました上、文部省と十分了解をつけまして、そうして医育機関の收容人員をもう少し決定的にいたしたい。そういうつもりでおります。
  35. 苅田アサノ

    苅田委員 インターンの学生の身分につきまして、ただいまの御説明では、医師に準ずるというような御回答があつたのでありますけれども、具体的に申しますと、それはどういうことになりましようか。もう少し実際について御説明が願いたいと思います。
  36. 東龍太郎

    ○東政府委員 御承知通り医師法の規定がございまして、医師の免許状を持たない者は医業を営むことができないということになつております。インターンは、医科の教育は終つておりますが、まだ国家試験に及第しておりませんので、医師たるの資格は持つていないのであります。しかしながらこれらの人は、おそらく今のように、大部分が試験さえ受ければ医師として一人前になることは明らかな人であり、医学教育において十分な実地の教育もある程度受けておるということが言えますので、これを病院等において使います場合に、大学における医科の学生のような扱いはしないで、お医者さんに近い扱いと申しますか、なお具体的に申しますと、医者のいわゆる助手と申しますか、医者が看護婦もしくはそれ以外の技術員等にやらせるような仕事のみをやらせるのではなく、医者の診療の際にも、医者の監督のもとで医師のやるべきようなことをやらせてもらう。そこまでやつてもらいたいというつもりでおります。従つて、これは簡単なことのようでありますが、患者の前でインターンを呼ぶときも、これを学生扱いをしないで、やはり先生扱いをするというふうなことが必要であろうと考えております。また今の準じてと申します中には、物質的な補助ということも含まれておるのでありまして、インターンというものがインターンらしく働き、病院がインターンを十分理解してインターンを養成いたしますれば、これは両方にいいことがあるべきはずでありまして病院はそのために非常に診療能力がふえる。またインターンはその代償としていろいろな臨床上の訓練を経る。両方にいい結果を来すのが当然だと思うのでありますが、そうなれば病院としてもやはりその労に報いるだけのことはいたすべきものだと思いますし、またするようになつて来ると思うのであります。現在におきましては、インターンがじやまになる言う病院が相当あります。医育機関の病院のみならずその他の病院におきましても、じやまになると言うところがございます。またある病院では非常に役に立つと言う。私どもは機会あるごとに、インターンを持つておられる院長に感想を伺つておりますが、よいと言う病院は、これは全部とは申しませんが、大体の傾向として、やはり病院としてうまく運営されておる病院、院長がインターンのことにまで気を配つて、いろいろ努力をしておられますような病院におきましては、やはりその代償と申しますか、インターンが病院の役に立つておる。そうでなく、院長が病院の運営に無関心であるようなところにおきましては、インターンがじやまになり、またインターンの方から見れば、病院が実になつていない、指導能力がないという批判をいたすのでありまして、目下のところは、これだけの数の病院を指定いたしましたならば、私どもの目から見ましても、本意でないような病院が中にあることは、これはいなめない事実であります。
  37. 苅田アサノ

    苅田委員 その手当と申しますのは、月給とか何とかいうような定額制にしてお出しになるつもりでありますか。それからそれをお出しになるとすれば、国家の費用としてお出しになるのか、それとも施設の方から出すというようになりますか。その点お聞きしたいと思います。
  38. 東龍太郎

    ○東政府委員 今の手当等につきまして、国家の方からのインターンに対する手当のようなものは考えておりませんし、現在もやつておりませんがそれを病院の方からやつておるのは、いろいろな形があると存じます。ごく少数の病院では、手当のようにして月々幾らという定額を支給しておるところがあることも聞いておりますが、その他の方法、たとえば給食でありますが、晝飯とか、あるいは夜までおるときには夜の御飯を給與するとか、あるいは宿舎を提供するとかいうふうな、病院によつていろいろなやり方がございます。まつたく何らの報酬をも、そういう形で出していないというところもございますが、私の方の指導といたしましては、これだけのことをしてくれとかいうことは申せません。今のところ病院は、非常に迷惑である、迷惑だけれどもやむを得ず引受けてあげるのだという態度でおりますから、こちらもご迷惑であるがよろしく願います、なおその上にできたならばインターンのために、いろいろ経済的にもゆたかでない人が多いと思いますから、できるだけの御援助を願いたいという程度のことしかいたしておりません。
  39. 苅田アサノ

    苅田委員 インターンの制度が、医学校の補助機関制度として、国がこれを規制している以上、やはりインターンの学生の身分を保障するということになれば、その裏づけとなる手当については、国がそうした一貫したものをお出しにならなければ、まるで親方のところへ徒弟が入り込んで行つてけいこをしておるというような形では、やはりそれは従前の通りで、なかなか改善されないと思うので、もし政府の方にも現在そういうふうな御意向がおありになるとすれば、やはり国の方針として、この制度が始まつたのにふさわしい形で手当をお出しになるというのでなければ、私は十分でないと思うのであります。その点について、ただいまは考えてないとおつしやいましたけれども、根本的にはそうするのが至当であるというふうなお考えはないのですかどうですか。お伺いしたいと思います。
  40. 東龍太郎

    ○東政府委員 根本的に申しますと、インターンはやはり自分の医師たるべき資質をみがくための、自分の身のためになる勉強をするという意味におきましてある程度の負担はみずからすると申しますか、あるいは医学教育を受ける者は、当然インターンの時期までも含めて、ちようど学校におつて授業料を納めておりますと同じ時期の延長というふうに考えて行くのが至当じやないかと私は思うのであります。ただ病院といたしましは、そのインターンに対してでき得る限りの援助をするという意味で、そういうふうな援助をするのがあたりまえであると思うのであります。従つてインターンの、時期を全部病院なりあるいは政府なりで、その間の学資と申しますか、そういうものをば、全面的でなくても、大々的に援助するというふうな考え方は持つておりませんのであります。
  41. 苅田アサノ

    苅田委員 その点については、私どもは考えが違いますけれども、それはおきまして、それでは、先ほどから医務局長が言われましたように、病院としてはそうした労に報いるのが当然であるというふうな意見は、どういう方法でもつて、インターン学生を使つておる病院の方にお伝えになりますか。お伺いいたします。
  42. 東龍太郎

    ○東政府委員 インターンの指定をいたしております病院の院長等に、直接こちらから口頭でそれをお話しております。また近ごろ病院管理研修ということをいたしておりますので、全国のおも立つた病院の院長もしくはその運営の責任者が、次から次と東京へ講習会に出て参つております。その席でも必ずインターンの問題がディスカッシヨンの題目になるのでありましてそういう機会をとらえて、私どもの考えは十分徹底さしておるつもりであります。
  43. 堀川恭平

    堀川委員長 ちよつと申し上げますが、質疑を法案のようにしてもらうのはけつこうなのですけれども、まだこれだけで済まぬので、百ほどあるのですが、これを法案審議のようなつもりでやられたら、五月二日までには毎日やつても済まぬと思うのです。一つの請願を二十分も三十分も三十五分もかかつたら、とうていこれは上らぬと思うのです。
  44. 苅田アサノ

    苅田委員 大体は聞かないで済ましているのです。この点は今医務局長にはつきりした御答弁を願つておかないと困るので最後にもう一つだけお尋ねいたします。それは口頭でお伝えになるということは、これは伝わる向きもあり、伝わらない向きもあるということになるのでそのためには医発何号というような指令の形で出す方法も、ほかの場合には十分とつておいでになるのですから、やはりそういつた問題は全般的に伝わるように、会つたたびに口頭でというのでなくて、全般に伝わるように文書か何かの形でやつていただきたい。かように考えますが、いかがでしよう。
  45. 東龍太郎

    ○東政府委員 口頭でそれが伝わつてないというふうに今お考えのようでありますが、インターンの病院長は、インターン病院長の会議というものを他区的に持つております。従つて、現在指定しておりますインターンの病院長は、私の申し上げましたような意向は、全部承知いたしております。承知はいたしておりますが、病院によつてそれができないところ、あるいはまた私どもの考えに同意しない人が少数あるかと存じますが、それに対して強制するとかなんとかいうだけのことは、私の方にそれだけの力がない。とにかく先ほど申し上げましたように、現在はどうぞお願いいたしますというので、願つておるわけですから、これ以上向うの負担になるようなことは実は願いにくいのでありまして、それを冒して、口頭でありますから、いろいろ実情を話して、お願いしておるというふうな状態であります。
  46. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 先ほどインターン学生の国家試験は卒業試験にかえてくれというようなお話が、丸山委員の御説明にあつたのでありますが、卒業試験のときに国家試験を行うというようなことに対して、成規に行けば一年前に国家試験を受けなければならないことになるのですが、それに対して厚生当局は特別お考えになつておられないでしようか。
  47. 東龍太郎

    ○東政府委員 今までは、御承知通り卒業試験が同時に医師免許を獲得する資格試験であつたという状態でありましたが、それを国家試験という制度に改めたわけであります。今までのでもよかつたじやないかというふうなお考えもあるかと存じますが少くともこうして国家試験というものをやつてみますと、卒業生のうちの何パーセントかは、すぐその年には国家試験には通らぬ人があるということになつて参りますと、卒業試験をもつてただちに資格試験にするということには疑義が出るわけであります。現在におきましては、卒業試験をもつて国家試験にかえるということは、実は少しも考えておりませんので、ただ卒業試験というものと国家試験というものとの性質の興つておるところをはつきりいたしまして、そうしてその間にいたずらなる矛盾相剋のないように制度等を改善するということは、これは今すぐにはできませんが、近い将来の問題として十分考慮はいたしております。
  48. 堀川恭平

    堀川委員長 今残りが百件ほどあると言いましたけれども、あれは間違いで、百五十件ほどあるわけであります。毎日やつてもとても追いつかんくらいでありますから、どうぞそのつもりでお願いします。     ―――――――――――――
  49. 堀川恭平

    堀川委員長 次に日程第一〇、文書表第一七一〇号、放射線技師法制定に関する請願日程第一一、文書表第一〇六一号、保健婦等既得権者に対する国家試験制度廃止に関する請願、この二つは同一紹介議員でありますので、一括して上挺することにいたします。まず紹介議員説明を求めます。福田昌子君。
  50. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 最初の放射線技師法制定に関する請願は、日本放射技師会の提出になつております請願でございます。  その要旨は、医療従事者は、その技術能力が直接人命に影響があるから、すべて国家試験を課し、その従事資格が限定されているが、ひとりレントゲン技術者だけにはまだ法の制定を見ていない。ついてはレントゲン技術者についても国法をもつてその従事資格に制限を加え、エックス線の医学的応用技術の向上を期し、国民が信頼してエックス線検査が受けられるようにするためすみやかに放射線技師法を制定されたいというにあるのであります。  次に看護婦、助産婦、保健婦法の改正に関する請願でありますが、これは全日本国立医療労働組合の提出の請願になつております。  その要旨といたしますところは、看護婦の既得権者に対する実質的な資格向上の問題でありまするが、保健婦、助産婦、看護婦等既得権者に対しましての国家試験制度は、これを廃止していただきたいというのであります。と申しまするのは、これにかわるところの補習教育制度を十分に設けて、看護婦、保健婦、助産婦の既得権者の教育内容というものを充実していただければたりるということであります。
  51. 東龍太郎

    ○東政府委員 放射線技師法の制定につきましての請願趣旨は、これはごもつともなことと存じております。この問題は相当前から私どもの方において考慮いたしておる事柄であるのでありますが、現在は、放射線技師法というような、そういう身分に関する單行の法律をつくるべきであるかどうかということは、日本医師会の意見を聞いて、そうしてその後に政府が考えるのがよかろうというふうな事柄になつておりますので、私の方といたしましては、日本医師会の意見をも、一昨年でありますから聞いております。一応はさような必要がないというふうな御意見も、これは正式とは申せないかもしれませんが、伺つたことがあるのでありますが、なおこれは、その後も引続いてそれの必要性、あるいは必要がないというふうなことについては、それぞれの専門家によつて御検討中のことと存じます。ただ、しかしながら現在の放射線技師というものは、教育程度等を私どもが知り得ましたところでは、決して高いものではないのでありまして、従つて今お話のように、一定の試験によつて、また教育要件によつて、これにちやんとした身分と資格を與えるという考え方につきましては、私はけつこうなことだと存じております。ただそれが、ただいまの状況におきましては、日本医師会と十分な意思疏通をいたされました上で考慮いたしたいという状況であります。  それから看護婦、助産婦等の既得権者と補習教育の問題でありますが、これも直接厚生省といたしまして、各方面から陳情あるいは意見等を聞いておりますが、とにかく現在におきましては、いろいろと考究の末、看護婦等に対して国家試験を行うということに決定いたしまして、そうして法律が制定せられておる状況であります。しかもいまだかつて一度も国家試験が行われていない。これから行われようという状況でありますので、私どもといたしましては今すぐに国家試験をやめて、これにかわるべき方法をとろうというふうなことは実は考えておりません。これらの既得権者と申しますか、今までにそういうふうな免許を得られた人の実際の活動を阻害するとか、あるいはまた将来その人たちの職域を狭めるということのないようにする。その具体的の方法につきましては十分考慮はいたしますが、国家試験はやはり現行の法律の通り行わなければならないというふうに考えております。
  52. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 三点だけ質問させていただきたいのです。既得権者の学術内容の向上というのが、国家試験制度内容になつておるかと思うのであります。既得権者の教育内容の向上ということになりますると、結局今の制度においては不備な点が多々ありまするが、ことに不備なのは、補習教育を受けました人だけが試験を受けておるような形になつておるということが一つと、補習教育を受けまする場合の機会の問題でありまするが、それが非常に不均等であるという点があると思うのであります。それから第三点は、既得権者というものに対しては、将来甲種看護婦、乙種看護婦というものがどんどん出て参りました場合においては、どの看護婦が甲種に準ずるか、乙種に準ずるか、またどういうところに位置するか。さらに新しく生まれました職階制も、これを看護婦さんに適用するといたしましたら、職階制の建前からいつて、一既得権者というものはどこにあるか。この三つの点について御説明願いたいと思います。
  53. 東龍太郎

    ○東政府委員 保健婦助産婦等につきましては別といたしまして、もつぱら問題は看護婦になると思うのでありますが、在来の看護婦は、申すまでもなくこれは甲種でもなく、乙種でもない。従つて今までの看護婦制度による看護婦であります限りは、やはり甲種でもない、乙種でもない看護婦というのが残るわけであります。これはしかしながら業務内容におきましては、甲種に準ずると申しますか、甲種の内容とかわらないものであります。ただ甲種という名前がついていないということだけのことであります。従つて問題になりますのは、そういう甲種のついていない看護婦と、ついている看護婦とで、今のような職階制というような場合に、まつたく無差別、同等に扱われるかということになりますと、少くとも甲種看護婦というものについての教育要件並びに国家試験程度が、在来よりも高いということから考えまして、その間に差別はつけられるであろうと思います。ですから、一方から言えば、それは既得権者に不利になるということは考えられることであります。またおそらくそういう結果になろうと存じますが、しかし私どもといたしましては、その間の差別をでき得る限り少く、つまり筋道から言えば、何らかの差別をつけなければなりませんか、しかしながらその差別が、あまり著しいものでないようにという考慮はいたしたいと存じます。なおまた現在の看護婦が甲種になり得る機会が均等ではない、補習教育を受けた者のみが受けられるということ、それはその通りでありますが、しかしながらその補習教育というものは、りくつから言えば、だれでも受ければ受けられるものであります。ただその補習教育を行う機関が、比較的地域的に限定されておるということのために、受けられない看護婦が相当数出るだろうということも想像はされるのであります。この点につきましては、すべて受けたい者は全部甲種を受けられるというふうになることが理想的であるとは存じますが、現状におきましては、今の陳情にあります通り、多少機会が不均等であるという現状は、どうも避けがたい事実であると存じます。
  54. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 結局職階制の建前から言えば、新しい制度の甲種看護婦と、古い既得権者の従来の看護婦さんとか差別されるようなことになると、既得権者国家試験を受けましても、これは別に既得権者にとつては心のたよりとならないわけであります。ただ業務、学術内容の向上ということであれば、こういう国家試験は廃止して、補習教育だけ本で行くという制度を、政府はおとりになるお考えはないのでありますか。
  55. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいまのところ、国家試験にかわるべき補習教育によつて、看護婦の業務内容なり、その能力を高めるというふうな方法は考えておりません。
  56. 福田昌子

    ○福田(昌)委員 これは政府がお考えになつていらつしやらなければ、非常に残念なことでありますが、私どもといたしましては、国家試験既得権者に対しましてはこの際廃止し、それにかわるところの補習教育制度というものを、もつと今後大幅におとりいただきまして、機会を均等にして、十分な教育を施すような制度にかえていただきたいと思います。国家試験を廃止し、それにかわる補習教育制度というものを完備していただきたいということを要望いたします。     ―――――――――――――
  57. 堀川恭平

    堀川委員長 次は日程第三、文書表一八一七号、国立病院勤務医師待遇改善に関する請願議題といたします。まず紹介議員説明をお願いいたします。青柳一郎君。
  58. 青柳一郎

    青柳委員 本請願は東京国立第一病院の院長の坂口康藏氏、第二病院長の西野忠次郎氏その他八名、計十名の、国立の大きい病院の院長さん方からの請願にかかるものであります。その要旨は、国立病院に勤務する医師待遇は、その重要な使命に比しましてきわめて劣悪でありまして、その度を過ぎるものであると思われるというのであります。これによりますると。いろいろ他の職業と比較しておりまするが、銀行の勤務者に比しましてその待遇に半ばにも達しておらない。また司法官に比しましても、かろうじてその半ばに近いのにすぎない。また他の医務職員の間において比較いたしますると、関東地方並びに近畿地方における公共並びに財団法人組織の医療施設に比しまして国立医療施設の勤務員にありましては、待遇が最も劣悪であるというので、ここに表もついておるのであります。これらの国立病院の勤務者の生活は、窮乏その極に達して、子弟の教育にも困難いたし、新刊書を買おうといたしましてもなかなか買えない。学界の進歩に遅れるおそれがある。非常に将来に不安を抱いて、退職を余儀なくされる者が相ついで出ておる。一たび有能の士であつて退職する者がありますると、その補充が非常に困難な状況にある、また国立病院発足当時、その使命をよく理解してくれて人材を派遣してくれた大学当局も待遇があまりに悪いために、その愛する門下生を送ることにはなはだしく躊躇いたし、ときには病院の方が懇請いたしましても、なお拒絶されるというような現状にある。今にして何らかの対策を講じなければ、国立病院本来の使命を達成しがたきはもとより、その将来を思つて暗然たらざるを得ないというふうな意味から、特に社会奉仕者であるという任務を自覚いたしまして、今まで忍びに忍んで来たのであるが、このままに放置することは国民保健の将来にも重大な影響を與えるものであるから、ついてはすみやかに国立病院のいろいろの勤務、待遇改善せられたいというのであります。先ほど苅田さんの療養所に関する請願につきまして、御当局から一応御答弁がございましたが、御意見を承らしていただきます。
  59. 東龍太郎

    ○東政府委員 ただいまの請願は私もまつたくごもつともしごくであると存ずるのでありまして、問題は国立病院等に勤務いたします国家公務員である医師給與を、一般の事務職員、事務に関する公務員等と切り離して考えていただくというのでなければ、現在のところ何ともならない次第であります。この問題につきましては、すでにただいま請願にありましたような趣旨そのままを、この請願の提出者であります坂口院長をも同道いたしまして、人事院の人事官並びに事務局長に対しまして、その実情等を訴え、また病院長協議会というものがありまして、そこでいろいろと検討せられました資料等をも十分につけまして、実は今度人事院の方に請願に出ておるわけであります。私どもといたしましては、なるべくすみやかに、今のような、りくつに合つた給與の基準がきめられるように鋭意努力いたしておりますと同時に、これはまた一方、医師たる公務員の職種、職階の問題に関連いたしますので、問題をそこまで広げまして、人事官の方にごく最近でありましたが、二、三日前に申し入れて参つたような次第であります。
  60. 青柳一郎

    青柳委員 ただいまの御意見に関連いたしまして、ちよつと承つておきたいと思います。人事院の方との連絡をしておられるということにつきましてお話がございましたが、その進みようなどにつきまして、何らか好転しておるか。まだ何にも結論が出ておらないのか。そこら辺のことをお漏しを願いたいと思います。
  61. 東龍太郎

    ○東政府委員 実はこの問題は私どもといたしましては、人事官、事務局長というふうな上の方へ参つたのでありますが、これを扱つております医務局の管理課を中心といたしまして事務的に実際の面を扱つております担当者とは、ずいぶん前からいろいろと折衝いたしております。その結果、何と申しますか望みなきにあらずといつたふうな状態と私は承知いたしております。
  62. 青柳一郎

    青柳委員 はなはだけつこうなことであると存じますが、なお先ほど療養所の医官の待遇につきまして尾村課長からお話がありました。あれらのことは全部そのまま国立病院にも行われておるかどうかを承りたいと思います。
  63. 尾村偉久

    ○尾村説明員 先ほどのうちの恩給の加算の問題でございますが、これは最初療養所並びに国立病院の同様な部門に働く者ということで、実は折衝したのでありますが、病院の中で、結核病室に常時専念するというような限界が非常にむずかしいものでありますから、将来十分考慮する。さしあたり療養所という、はつきりしたものに限定して進まうということで、今折衝中であります。  それからもう一つございました宿舎の問題でございますが、無料宿舎、有料宿舎の限界であります。これも大体ほぼ同様なことでただいま進んでおります。
  64. 青柳一郎

    青柳委員 なお先ほどのお話に、研究設備のお話がございまして非常にけつこうだと思いますが、私は研究設備にどの程度の費用を使つておられるか、よく記憶しておりませんが、この研究設備につきましては、現在は大したことはないと思いますので、たくさんの研究費を出すということの御努力が必要だろう。あるいは研究費として手当的なものも、過渡期においては考えられる必要はなかろうか。なお実際の面におきまして、出身学校との連絡のもとにその国立病院に勤めるということを実際的の條件として助教授になられる、教授になられるというような御措置が必要だろうと思いますが、御意見を承りたいと思います。
  65. 尾村偉久

    ○尾村説明員 確かに研究費と研究設備費の点は、まだ不十分でございます。年々少しずつふえておるのでございますが、このうち研究設備費に関係いたしますものでは、医療器械の購入改善費というのが国立病院の別わくにとつてございます。これが昨年よりも約二割増加いたしました。ことしは大体二千万円結核療養所に充てております。もつともこのうちには、純研究に必ず全部を充てるというのではございませんで、いわゆる治療用のレントゲンの購入費とか。そういうものを含んでおるのでございます。大体療養所研究というものは、ほとんど治療とうらはらでございまして、独立の生物学的な研究とか、純粋の解剖、病理というようなことでは、私ども指導を加えておりません。大体臨床を通じたものでありますので、うまく使いますと、これと一般患者治療費が年額相当あるわけでありますから、これを合せますと相当にできるようであります。しかしなるべく特殊な研究という名目をうつたものは、増額したいと思つております。  それから純粋の個人々々の研究費と称するものが、今年度約四百万円とつてあります。これは個人のこういう研究がしたいというテーマに対しまして、一万円とかいうぐあいに、審査委員会において審査して渡しております。ただ、ただいまのところ地方の府県等でやつておりまするような手当的な研究費の支給というのはただいまの規定の上では、現在のところ実行できないようになつております。  それから教授の病院との兼任は、現在でも大体人事院の認証を得られるだけ得まして兼務を許しております。ことにただいま一番多いのは京都大学でありますが、結核療養所の所長は、ほとんど京都大学医学部の助教授兼務をいたしております。これは大体毎年人事院の兼務の認証を得なければならず、手続が非常に困難になりましたので、むずかしい、めんどくさいというわけで、むしろ助教授程度ーー昔やつておりました講師以下助手程度の昔は、積極的に最近希望して参りません。これはわれわれの方で押えおります。それから大学で、療養所に勤めたための知識経験をもつて歓迎され、専任の教授で帰るというような例は、青柳先生も御存じの堂野前教授が、最初千葉の療養所長から千葉大学の教授に帰り、最近大阪医大の今村内科のあとの主任教授になりました。金沢その他数例出ております。最近ぼちぼちとそういうふうに結核臨床の方へ迎えられております。これはわれわれの方も助長したいと思つております。
  66. 堀川恭平

    堀川委員長 では本日の請願の審査はこの程度にいたしまして、残余は延期いたします。  本日はこれで散会いたします。     午後四時四分散会