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1950-04-07 第7回国会 衆議院 厚生委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月七日(金曜日)     午後一時五十四分開議  出席委員    委員長代理理事 松永 佛骨君    理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君    理事 田中 重彌君 理事 中川 俊思君    理事 岡  良一君 理事 苅田アサノ君       今泉 貞雄君    亘  四郎君       堤 ツルヨ君  出席政府委員         厚生事務官         (医務局次長) 久下 勝次君         厚 生 技 官         (医務局長)  東 龍太郎君  委員外出席者         参議院議員   中山 壽彦君         参議院参事         (法制局第一部         長)      今枝 常男君         参議院参事         (法制局第一部         第一課長)   中原 武夫君         参議院專門員  草間  弘君         衆議院專門員  川井 章知君         衆議院專門員  引地亮太郎君     ————————————— 四月六日  立川郊外進駐軍兵舎結核療養所移管促進  の請願土橋一吉君外一名紹介)(第二一六六  号)  日の基社会事業団寮居住者援護に関する請願  (神山茂夫君外一名紹介)(第二一六七号)  サントニン原薬草「みぶよもぎ」栽培奬励に関  する請願笹山茂太郎紹介)(第二一七七  号)  引揚医師国家試験受験回数制限緩和に関する  請願佐竹晴記紹介)(第二一七八号)  同(大西正男紹介)(第二一七九号)  同(河本敏夫紹介)(第二一八〇号)  同外一件(足立篤郎紹介)(第二二〇六号)  同(船田享二紹介)(第二二三六号)  薬事法改正に関する請願大村清一紹介)(  第二二〇三号)  遺族の援護対策確立に関する請願外二十一件(  高木吉之助紹介)(第二二〇五号)  新宮市の母子寮建設促進に関する請願世耕  弘一君紹介)(第二二二四号)  あん摩術営業法案反対に関する請願田中伊三  次君紹介)(第二三一〇号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  医療法の一部を改正する法律案内閣提出第一  四八号)(予)  精神衛生法案中山壽彦君外十四名提出参法  第三号)(予)     —————————————
  2. 松永佛骨

    松永委員長代理 これより会議を開きます。  精神衛生法案を議題といたします。本日はまず参議院法制局第一部中原第一課長より、前回聴取いたしました提案理由説明補足説明を聴取することといたします。中原説明員
  3. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 逐條的に法案内容について御説明申し上げます。  この法案では現在行われております精神病者監護法と、精神病院法と幾分の関連はございますが、大部分規定が新しい規正でございます。関連のある部分については、現在の法律との比較対象もあわせて申し上げることにいたします。  第一章は総則でございますが、現在の精神病者監護法精神病者を監置するということだけを規定いたしております。不法監禁を防止するという観点からのみ精神病者監護法というものができ上つております。精神病院法精神病院設置するということだけが規定されております。この法案におきましてはそういう個別的な観点でなくて、精神障害者医療保護、さらに進んでの予防までもあわせて総合的に行うという立場をとることにいたしております。それが第一條にこの法律の目的として規定されております。そういう観点から国及び地方公共団体医療施設を整備することによつて、また教育施設のうち精神障害者に対する特殊学級というものを整備することによつて、またある程度治療を終えたものに対しては、社会へ復帰するために必要な適応性を強化して行くという施設も整備することによつて精神障害者社会性に対する適応性を高めるように努力するとともに、一般国民に対しましては精神衛生に関する知識普及向上をはかつて、でき得れば予防面にまで力を注がなければならないということが第二條規定されております。  第三條におきましてはこの法案対象といたします精神障害者範囲規定してあります。従来は精神病者、しかもその精神病者のうち社会生活に極度に弊害を及ぼすものだけを取上げておりましたが、この法案におきましてはいやしくも正常な社会生活の発展の上に少しでも障害になるような精神上の障害を持つものは全部対象といたしまして、精神病者のほかに精神薄弱者精神病質者も加えたのであります。これによりまして精神障害者は三百三十万から四百万と推定されております。そういう三百三十万ないし四百万人の精神障害者のうちで、病院收容して療養を必要としなければならない者の推定は、各国が整備しております精神病院におけるベット数の基準から推測いたしますと、十万ないし二十万かと考えられます。それに対しまして現在の精神病院ベット数は二万床くらいしかございません。ことに都道府県立精神病院は十箇所しかない状態であります。そういう状態を改善して、少くとも入院加療を要するものは精神病院なり、精神病室收容して行くためには、もう少し本気で精神病院設置考えなければならぬという立場から、第二章の四條及び五條、六條におきましては收容施設のうち、精神病院に関する規定を置いてあります。この精神病院につきましては、現在の精神病院法立場をそのまま踏襲いたしたのでございます。ただ違います点は、「都道府県は、精神病院設置しなければならない。」といたしまして、従来のように、主務大臣設置命令があつたときにだけ都道府県設置できるのだという、あいまいな態度をさらに一段と進めて、義務制にまでいたしたのであります。  第五條にございます指定病院は、現在代用病院と言われているものと実体は同じであります。その設置に対しましては、国が二分の一を補助することといたしております。  それから七條から十二條にわたりましては、精神衛生相談所に関する規定でありますが、精神病院收容すべき精神障害者以外の精神障害者につきましては、あるいは自宅療養をする場合に何らかの指導が必要であり、相談に応ずる機関が必要なのであります。そういう役割を一面において果すと同時に、保健所が行つております衛生行政と表裏一体をなしまして、啓蒙運動、さらに予防運動にまで乗り出して行こうという仕事を内容といたしまする精神衛生相談所を、都道府県と、保健所設置する市が設置するということにいたしたのであります。これに対しましては同じく国庫が二分の一を補助することにいたしております。  第三章の精神衛生審議会は、先ほど申し上げましたように、精神衛生行政の面は非常に立ち遅れておりますので、これを強力に推進して行くためには、もう少し專門家が中心になつ推進機関が必要であるという見地から、專門家関係行政庁とが一体になりました審議会を設けることといたしたのであります。これが第三章の規定であります。  第四章は、精神衛生鑑定医設置に関する規定でございます。精神障害者は、正しい自己の判断ができない場合が非常に多いのでありまして、そういう虚に乗じて、ややもすれば不法監禁が行われる傾向がございます。それを防止するためには、いやしくも長期にわたつて身体の自由を拘束する原因を、精神障害という病気だけに限る必要があります。その判定を精神衛生鑑定医がやるということにいたしたのであります。その精神衛生鑑定医は「精神障害診断又は治療に関し少くとも三年以上の経験がある」ということを條件といたしております。  第五章は、医療及び保護に関する條項でございますが、この第五章は大きくわけまして次のような項目にわかれます。第一は、精神障害者決定された春の保護義務者はだれであるかということ。それから第二は、医療及び保護を必要としている精神障害者を、いかに国民全体が漏れなくつかむような体制をつくるかということ。それから第三には、精神障害者のうち非常に悪い者は、これは本人意思に反しても、また保護義務者意思に反しても、知事決定によつて、ある程度意に反する入院処置を講ずる必要があるというために、知事による入院処置に関する條項がございます。それほどひどくないけれども、ただ自宅に置きつぱなしにしておくとあぶないという精神障害者につきましては、指定した医師が巡回指導をするということにいたしております。一般にただ自宅療養すればいい、あるいは自宅に置いておけばいいという精神障害者に対しましては、先ほど申し上げました精神衛生相談所が活動して行くという考え方をとつております。最後にどうしてもやむを得ない事情によつて、ただちに精神病院收容することが不可能な場合があります。それはたとえば八丈島のようなところで、入院処置を要する精神障害者を発見いたしましても、ただちに病院收容することができないことが多いのであります。そういう場合の臨時的な措置としまして、二箇月の期間を限る保健拘束という制度最後に設けられております。  ただいま申し上げました條項條文によつて説明いたしますと、保護義務者に関します規定は二十條から二十二條でございます。これは精神病者監護法がとつておりました態度をそのまま踏襲いたしております。精神障害者保護義務者には後見人、配偶者、親権を行う者、扶養義務者のうち家庭裁判所が選任した者が当ることになつております。二十三條から二十六條までは、先ほど申し上げました国民全体が協力して、精神障害者に対する医療及び保護が欠けることのないようにするための綱を張る規定でございます。二十三條は、国民はだれでも知事に対して精神衛生鑑定医診察を経て、必要な保護を求めることができるということを規定いたしております。その中で警察官とか、検察官とか、拘置所刑務所少年刑務所、少年院、少年保護鑑別所の長は、職務上精神障害者を扱うことが非常に多いので、これらの人々に対しましては、必ず知事通報してもらいたいという通報義を課することといたしました。そういうような通報がありました場合には、知事精神衛生鑑定医を向けまして、その者がどうしても入院を必要とするかどうかの鑑定をいたします。そうして入院を必要とする決定がありました場合には、二十九條によりまして、本人及び保護義務者同意がなくても、精神病院收容することができるということにいたしたのであります。ただこの場合には、必ず二人以上の精神衛生鑑定医診察の結果が、両方とも入院を必要とするのであるということに意見が一致した場合に限るという條件をつけて、それ以外の理由によつて收容措置が行われないように警戒をいたしました。その費用都道府県負担といたしまして、国が三分の一を補助することといたしてあります。  三十三條、三十四條は、これは知事が介入するのでなくて、保護義務者精神病院の長に対して、本人反対であるけれども、何とか入れてもらいたいというような場合の規定を特に置いたのでございます。これは本人意思に反するという意味から、特に規定を設けました。三十四條に仮入院という條項がございますが、精神障害鑑定診断をい失しますには、ある程度長期の経過を見なければならないことがありますので、三週間を限つて入院をさせるということにいたしたのであります。ただ病院長保護義務者とのとりきめだけで入院措置、あるいは仮入院措置が行われました場合には、必ず都道府県知事に届出て、都道府県知事精神衛生鑑定医診察をさせまして、その場合も二人以上の意見入院を継続するということに一致しなければ、退院を命ずるということにいたしたのであります。これらは非常に嚴格な制限を設けましたのは、精神病者監護法がとつておりました不法監禁を防止するという精神だけをここに踏襲したのであります。  四十二條観察保護という規定が、先ほど申しました巡回指導をして行く規定でございます。これはケース・ワーカーの制度を本格的にではございませんが、ここに取入れたのでございます。  四十三條・以下に保護拘束規定がございます。保護拘束は二箇月の期間限つて、ある程度保護義務者が自由の拘束をする場合であります。従来の精神病者監護法によります私宅監置という制度は、座敷牢を設けまして、恒久的にいつまでも精神病者を監置するという制度でありましたが、観察保護は臨時的なものであり、しかも期間を二箇月と限定されたものであります。二箇月の間に保護拘束をされておる精神障害者は、知事が必ず入院措置をとらなければならないということにいたしてあります。  五十條に刑または保護処分執行との関係を念のために規託しておきました。刑務所その他の矯正保護施設收容する処分と、二十九條にあります知事精神病院入院する処分とが競合いたしました場合には、刑または保護処分執行が先立つことを第一項で明記してあります。第二項では、矯正保護施設收容中の者については、この精神衛血法による措置はやらないのだということを明らかにしたのであります。ただ犯罪傾向のある精神障害者が、未だなおらずして社会へ送り出されることは困りますので、そういう者については、刑務所の門を出たとたんに知事が引継げるように、二十六條の通報に関する規定と、二十七條精神衛生鑑定医鑑定に出かけて行くことができるという規定だけを生かしておいたのであります。  以上がこの法案内容でございます。
  4. 松永佛骨

    松永委員長代理 本案に対する質疑の通告があります。これを許します。青柳委員
  5. 青柳一郎

    青柳委員 簡單に二、三承りたいと思います。まず第一には、この法案によりますと、精神病院または精神病室増設、またはその運営に関し、または精神衛生鑑定医設置について、または巡回指導の方法を講ずるために、または精神衛生相談所を設けるために、また精神衛生審議会を設けるために、相当な予算が要ると思うのでありますが、この予算裏づけについて承りたいと思います。
  6. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 予算は、一千万円の予算範囲内でまかなうことにいたしております。
  7. 青柳一郎

    青柳委員 ベット増設にいたしましても、また鑑定医診察にいたしましても、また病院收容される人の入院のために必要な費用の二分の一も国庫が助成するということになつておりますが、一千万円ではあまりに少いと思うのですが、その問題につきまして、何かお考えがあるのじやないかと思いますが……
  8. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 今の予算の点は、桁が違つたのかしれませんが、予算書を向うに置いて参りましたので、後ほど調べて御返事いたします。
  9. 青柳一郎

    青柳委員 次に承りたいのは、二十七峰を今御説明があつたのですが、前四條の規定によつて申請または通報のあつた者について、調査上必要があると認めたときは、鑑定医をして診祭させる、こうあるのですが、調査上必要のない場合があり得るのであるかどうか、その点を承りたい。
  10. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 これは二十三條で、だれでも保護申請ができるということを規定しているのでございます。ただ虚一偽の事実を申請した者だけは、罰則にかけるということにしてありますので、保健所長を通じて参りますから、保健所長か一応見まして、精神衛生鑑定を受けなくてもいいような場合もあり得るのではないかということを予想いたしたのでございます。
  11. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと、保健所で見て、もう鑑定の必要がないという人もあり得る。明らかに精神病者である。いわゆる精神障害者であるということが明らかになる人があるから、そういう者は除いて、それ以外の者を鑑定医診察を受けさせる。こういう御趣旨であるといたしますと、二十九條に、今の三十七條を追いかけまして、都道府県知事病院入院させるための規定があるのであります。この二十九條を追いかけて次の三十條で、そういうふうにして都道府県知事入院させた精神障害者入院に要する経費は、都道府県負担とするということでありますが、申請があつて鑑定医診察をやらなかつた人については、入院費用都道府県負担しないということに相なると思うのでありますが、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  12. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 ただいまの御質問は、情神衛生鑑定医診療をしなかつた者が、入院した場合はどうなるかということでございますが、その場合には、保護義務者病院長と話合いで入院した場合には本人、あるいは保護義務者負担をすることになります。
  13. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと、精神衛生鑑定医をして診察をさせる必要のないほど、明確な精神障害者については診察をさせない。その者については都道府県入院費を出さないということに相なるわけでありますか。
  14. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 知事入院をさせる精神障害者は、ほうつておきますと、自分のからだを傷つけたり、他人に害を及ぼし、強度に社会生活を破壊するおそれのある者だけでございます。それ以外の者については、この二十九條による措置は行われないのであります。従いましてただいま御質問がありましたように、危害を及ぼさないようなものが入院した場合には、都道府県費用負担することはないのであります。
  15. 青柳一郎

    青柳委員 くどいようでありますが、危害を及ぼすような者こそ、保健所精神障害者であろということがはつきりするのであります。従つて鑑定医診察を要しないということになるのでありますが、そういう者に対して都道府県負担をしないことになるように、この法文解釈上思えるのでありますが、その点はいかがでございましようか。
  16. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 先ほど保健所長が判断してと申しましたのは、申請があつたものが、精神障害者ではないことが明らかであるような場合を判断してという意味で申し上げたのでありまして、ただいま御質問がありましたような者につきましては、これは必ず精神衛生鑑定医調査に参ることになるのであります。
  17. 青柳一郎

    青柳委員 先ほど私がお尋ねしたと同じお尋ねをすることになるのでありますが、精神障害者の中には、糟神衛生鑑定医をして診察させるものと、その必要のないものと二種熱があつて診察を必要とするもののみについて、都道府県負担があるというふうに法文解釈がなるのでありますが、その点をもう一ぺん伺いたい。
  18. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 二十三條の法文をちよつとごらんいただきますと、「精神障害者又はその疑のある者を知つた者」とあります。その疑いがあるという、この認はは非常に広いのでございまして、この場合には、医学上の知識があれば精神障害者でないということ、かわかるけれども、一般のものにはわからないようなものが含まれております。そういう場合だけが除外されるということを先ほど私は申し上げたのでございますが、そういう点で御了解を願いたいと思います。
  19. 青柳一郎

    青柳委員 もう一ぺん伺いますが、私の申し上げるのは第二十七條をごらんになりますと「都道府県知事は、前四條の規定により申請又は通報のあつた者について調査の上必要があると認めるときは、精神衛生鑑定医をして診察をさせなければならない。」とあります。それで二十九條は第二十七條を追いかけております。すなわち前條の規定に基いてやつたものは、費用負担都道府県知事がやるということになつておりますが、初めに返つてみると、診察を受けなかつたものは落ちておる。診察を受けなかつたものについては都道府県負担がないということになる。従つて国から二分の一の貧打がないということになりますが、そのように解釈してよろしゆうございましようか。
  20. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 二十七條で「調査の上必要があると認めるとき」と書きましたのは、これは調査上必要があるときでなくて調査の上必要があるときは診察をさせる。その調査をするときには、保健所長意見というものが一応入るわけでございます。
  21. 青柳一郎

    青柳委員 私が間違つておるのかと思いますが、精神衛鑑定医をして診察さしたものだけについて、都道府県知事負担があるのですか。こういうことが私のお尋ねの根本なのです。逆に言いますと精神衛生鑑定医をして、二十七條に基いて診察をさせなかつたものについて、都道府県負担がない。これはおかしいではないかと思うのです。
  22. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 三十條で都道府県負担にいたしましたのは、本人保護義務者両方意思に反して」知事が、言葉は悪いのですが、半ば強制的に收容する場合でございます。
  23. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと、私の読み方が悪かつたと思うのですが、第二十九條の條文は、本人及び関係者同意がなくとも、そういうものだけに限り、知事が強制的に入所さしたものについてのみ都道府上県が負担をし、国がその三分の二を負担をする、こういうことですか。——わかりました。  そういたしますとこの條文と、生活保護法との関係、もちろん生活に困つておる人は生活保護法診療を受けると思いますが、都道府県知事が強制的に入所さしたものについて、都道府県負担、これを裏づけといたしまして国庫負担がございますが、その負担生活保護法とはどちらが優先するものと思いますか。
  24. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 二十九條による措置が行われました場合は、精神衛生法が優先いたします。
  25. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと、精神衛生法でもつて半分の国庫負担予算の中から出されておる。残りの半分の足らない分については、生活保護法によつて支弁して行く。こういうふうなお考えでございますか。
  26. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 生活保護法の適用を受けておるものについては、ただいま御質問がありましたような、精神衛生法との競合がないのではないかと考えております。と申しますのは、出漁保護を受けておるものについては、大体において保護義務者相当す者ものがあるのでございます。これは今度の改正法によりまして、必ずあることになりますが、その場合には保護義務者が必ず同意をいたすであろう。こういうふうに考えまして、競合はないと考えたのであります。
  27. 青柳一郎

    青柳委員 生活保護法医療扶励世帶単位に支給されます。その他帶の構成員病気で困つておりますときには、世帶主を通じて医療扶助が渡るものと思つております。大体世帶主保護者と見まして、貧乏をしておる人にはこの精神衛生法による二分の一の金だけしかやれないのだ、こういうのではおかしいのです。それではその世帶は困るのであります。そこでこれはやはりどうしても医療扶助でもつて救わなければならないと思うのでありますが、重ねてお尋ねいたします。
  28. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 三十條によります負担関係が起きますのは、本人意思にも保護者義務者意思にも反して、強制的に知事が入れた場合だけでありまして、ただいまお尋ねになりました生活保護法対象になつているようなものにつきましては、そういう知事の強制的な措置で入るまでもなく、精神病院の長との打合せによつて、自発的にこれは保護義務者同意によりまして、三十三條による入院の方がほとんど全部を占めるのではないかと思います。従いまして二十九條による措置が行われる必要はないというふうに考えております。
  29. 青柳一郎

    青柳委員 ここに生活に困つておる人を擁しておる世帶がありまして、その世帶一員精神病である。そしてその保護者本人なんかの同意がないのに知事命令でもつて入院させ、国からは半分の入院費しか来ないという場合に、残り費用は何で負担されて行くとお考えでありますか。
  30. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 どうも私頭が悪いので、ただいま御質問になられたような事例は起きないような気がするのですが……
  31. 青柳一郎

    青柳委員 とても生活に困つておる人の家族の一員が、知事から強制的に精神病院入院せしめられた。お金は入院に要する費用の半分しか国から来ない。あとの半分をまかなうことはできない。そうしたら病院に入らないで、生活保護法を受けるという事例が起つて来るのではないかと思うのでございます。
  32. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 御質問の点よく了解いたしました。その保護を受けておる者に行きます費用は、三十條の一項によりまして全額を負担いたします。ただ国と都道府県との関係におきましてだけは、二分の一と十分の八との差が出て参ります。
  33. 青柳一郎

    青柳委員 わかりました。全額都道府県が出し、半分を国が出す、こういう御意図でございますね。都道府県負担につきましては、相当御研究になつたでありましようか。この法律でもつて強制するというお考えであろうと存じますが、都道府県に半分の負担をさせるということは、他の法令などと比較して見まして、非常に径庭が多いのであります。その点いかようにお考えになりましようか。
  34. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 ただいま御指摘の通り、生活保護と同じように十分の八を補助すべきであると考えたのでございますが、二十五年度の予算がある程度固まりましたときに、これが並行して進みましたので、今年度はどうしても二分の一にして、従前の規定をそのまま踏襲いたしませんと、事実上動かないということになるのでございます。
  35. 青柳一郎

    青柳委員 私は生活保護法の審議にあたりまして、この委員会で御当局との質疑応答をいろいろ承つておりますと、生活保護法にはまだ相当余裕があるというふうに聞いております。そういたしますならば、この問題は貧乏な人については全面的に生活保護法によつてつてもいいのではないか。そういう際には国の負担が二分の一から十分の八に、都道府県十分の一、市町村十分の一というふうに相なるのであります。従いましてこのためにただいまもお話を承りますと、予算は非常に少な過ぎますが、それは多いとしましても、予算に困つておられるのでありましてできるだけ国の他の制度の方にたよつた方が賢明ではなかろうか。その方が一般のこういう場合の保護制度とマッチをいたす。そういう意見を持つておりますが、御意見を伺わしていただきたいと思います。
  36. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 先ほど例に、出しましたような場合に、二十九條による措置でなくて、保護義務者同意をして精神病院に引取つてもらうという措置にかえますならば、生活保護法による医療扶助で行けるようになるわけでございます。
  37. 青柳一郎

    青柳委員 問題をかえまして、もう一つだけ承りたいと思います。それはこの四十八條の二項によりますと、いわゆる私宅監置は、本法律施行後一年間だけしか許されないことに相なるのであります。しかも現在の病床は二万に足らないのであります。先ほどお話を承りますと、十万ないし二十万の病床がいるということでございましたが、一年間に私宅監置を廃除するだけの自信があられるかどうかという点について、承りたいと思います。
  38. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 二十五年一月末現在における私宅監置の患者数は、全国で二千六百七十一名ございます。公立病院、すなわち都道府県立病院と、それに代川せられております精神病院のペットは、一万四千であります。一月末現在で在院しておりますのは一万一千四百人でございまして、差引きいたしますと二千六百が、公立及び代用精神病院ベットに余裕がございます。このほかに八十の私立の精神病院がございます。この法案五條にもございますように、指定病院という制度は、私立の精神病院を指定いたしまして、都道府県立精神病院にかえることができるようにいたしております。ただいまのような措置考えますならば、二千六百七十一名の現在の私宅監置の患者は一応收容できる予定でございます。
  39. 青柳一郎

    青柳委員 現在の私宅監置の人員はどのくらいでありましようか。
  40. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 二千六百七十一名であります。
  41. 青柳一郎

    青柳委員 そういたしますと、現在私宅監置者だけは攻容余力の中へいわばすつぽり入る、こういうお考えでありますか。そういたしますと、今度の法律の改正によりまして、従前の制度と違つて、ひとり精神病者のみならず精神薄弱者及び精神病質者もこれに含むということに相なるのであります。従いまして非常に数がふえたと思うのでございますが、そういう精神薄弱者及び精神病質者については、入院するものがなくていいというふうなお考えでございましようか。
  42. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 この法案をつくります際に、アメリカにおけるカリフォルニア州の精神衛生法それからその運用を参照いたしたのでありますが、あちらでは精神病者、それから精神薄弱者精神病質者、それからアルコール中毒者、麻薬中毒者、変態不良少年、そういうものはそれぞれ別個の施設に入れておるのであります。それでそういう形を一応理想といたしまして、この法案はスタートしておりますが現実の設備がそういうふうにできておりませんので、ただいま御指摘になりましたようなおそれが幾分残るかと存じます。それは今後施設を充実することによつて、できるだけそういう穴ができないように努力しよう、こういうつもりでございます。
  43. 青柳一郎

    青柳委員 精神障害者收容するための病院について、いろいろ増床計画をお持ちではないかと思うのですが、もしお持ちであれば承りたいと思います。何年ぐらいの間に、どういうようにしようということをお考えになつておるかどうかという点、もし考えられておられをすならば承りたいと思います。
  44. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 その点は予算とも関連いたしますし、実施面でございますので、厚生省の公衆衛生局の予防課が担当いたしております。予防課ではこの法案をつくりますときに、一応の計画があることは承知いたしておりますが、はつきりした数字をただいま記憶しておりませんので、後ほどお答えいたします。
  45. 久下勝次

    ○久下政府委員 医療機関の整備につきましては、医務局が各局と連絡いたしまして、ただいま総合的な計画をつくづておるのでございます。精神病院につきましては、あるいは若干数字が違うかもしれませんが、大体四万床ほど五箇年計画で増床したいという案を持つております。もちろんこれはただいまのお話のように、予算関係もございますので、今後の問題ではございますが、一応そういう計画を立てて進んでおります。
  46. 青柳一郎

    青柳委員 一応私の質問は終ります。
  47. 苅田アサノ

    ○苅田委員 精神衛生鑑定医についてお尋ねいたしたいのでありますが、これは專門の精神病の医者で、三年以上臨床の経験のある人ということになつておるわけなんですか。
  48. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 三年以上臨床の経験がある者に限るということになつております。
  49. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それは專門なんですか。
  50. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 もちろん專門でございます。
  51. 苅田アサノ

    ○苅田委員 私は精神衛生鑑定医というのは、今度は非情に大きな力を持つて来ると思うのです。つまり本人も承知しない——本人精神病者ですからはつきりわからないとしても、また保護者たちが反対しても、強制的にこの人たちが、これは病人だから入れなければいけないと言えば連れて行くということになるのですが、これらの医者の意見がもしも悪用されれば、明らかに不法監禁とか人権蹂躪とかいうことに相なるわけなので、精神衛生鑑定医というのをどういうふうにして選ぶかというのが問題だと思うのです。この点はどういうことになるのですか。
  52. 草間弘

    ○草間参議院專門員 精神衛生方面を專攻した人が相当おりますけれども、その中から、むろん学識、人格いろいろの方面から検討いたしまして、厚生大臣において選考するということになつております。
  53. 苅田アサノ

    ○苅田委員 そうしますと、府県とか市町村とかいうときに、そういう医者は厚生大臣の名前で任命されるということになるわけですか。
  54. 草間弘

    ○草間参議院專門員 そういうことになります。
  55. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それは府県単位で任命されるわけですか。
  56. 草間弘

    ○草間参議院專門員 さようでございます。
  57. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 ただいま御心配のありました精神衛生鑑定医の職権濫用を跡止する意味で、十八條の三項に「精神衛生鑑定医は、前項の一職務の執行に関しては法令により公務に従事する職員とみなす。」といたしました。これは刑法の涜職罪の適用を考えたわけでございます。もし職権を濫用しまして入院措置をとらしたような場合には、涜職罪にかかるかと存じます。
  58. 苅田アサノ

    ○苅田委員 その場合に厚生大臣が任命した精神衛生鑑定医の選択に対して、こちらから不服とかそういうようなものは言えないのですか。そういう人ではいけないということは言えないわけなんですか。これは各府県でそういう人がきまつてしまえば、そういう人のおめがねにかなえば、どうしても精神病者ということになるのですか。
  59. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 ただいまの御質問にありました不服申立ての道はありませんが、そのために、知事の監督のもとで仕事をしておりますけれども、厚生大臣が任命するということで愼重だけは期したのでございます。精神衛生鑑定医が不当に入院させるという判定をいたしました場合には、人身保護法で救済の道があるわけでございます。
  60. 苅田アサノ

    ○苅田委員 それをもう少し具体的に説明していただきたいと思います。
  61. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 ちよつと調べましてから申し上げます。
  62. 大石武一

    ○大石(武)委員 ただいまの苅田委員の質問関連して私もその問題についてもう少しお尋ねしたいと思うのであります。精神病者鑑定ということは非常にむずかしいことだろうと思いますわれわれがよく昔読んだトリンドベルヒのもので、父親と妻とが子供の教育についてけんかをして意見がわかれたために、妻が自分の意見をあくまでも通そうと思つて、夫を精神病者ということにして入院させてしまつたというような記憶があります。また最近——去年か一昨年参りましたアメリカ映画でも、「三十四丁目の奇蹟」というような傑作の映画もあつたようですが、あの場合にもサンタクロースを名乗つた老人をむりむりに気狂い病院に入れてしまうというようなこともあります。とにかく精神病者を正しく鑑定して判断して收容するということは、非常にむずかしいことだろうと私は考えております。たとえば今お聞きしますと、精神衛生鑑定医というものが県でこ人いる。その人が鑑定してきまれば強制的に入院させられるということになるのですね。そうした場合に、もし不幸にしてその鑑定、その診断が誤つた場合においては、どういう方法によつてこれを救い出すことができるか。
  63. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 三十二條に訴願の規定が置いてございますが、それは二十九條の規定による入院措置については、六十日以内に厚生大臣に対して訴願をすることができるという道をこの法律では開いてあります。そのほかに人身保護法が働きます点は、ただいま第一部長が知つておりますので第一部長から申し上げます。
  64. 今枝常男

    ○今枝参議院法制局第一部長 ただいまの人身保護法の適用関係、詳細は省略しまして大体の筋道を申しますと、その拘束に不服のある者から裁判所へ申し入れますと、裁判所では拘束者を呼び出しまして、その拘束の当否を検討いたしました上で、必要なる場合には釈放の命令を出して釈放する。こういう手続なのでございます。
  65. 大石武一

    ○大石(武)委員 拘束者というのはひつばつた人ですか。
  66. 今枝常男

    ○今枝参議院法制局第一部長 現に拘束しておる者であります。
  67. 苅田アサノ

    ○苅田委員 病人でしよう。その場合は。
  68. 大石武一

    ○大石(武)委員 病人じやなくて医者の方でしよう。
  69. 今枝常男

    ○今枝参議院法制局第一部長 現に拘束しておる者でありますから、病院です。
  70. 大石武一

    ○大石(武)委員 それだけではどうも足りないようですな。もう一ぺん訴願した場合に、どういうふうになるだろうかという先の詳細な経過をお聞きしたいと思うのですが。
  71. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 現在の訴願方法は一応書面審査で、厚生省に設置されました訴願委員会で書面審査で裁決をするということになつております。
  72. 大石武一

    ○大石(武)委員 そうすると今のただ書面審査であつては、專門の精神鑑定医診断して入院じた場合に、おそらく相当の鑑定医が来るのではあろうと思うが、その診断した鑑定医の審査が間違えばそのまま入院決定することは火を見るよりも明らかな話であります。従つてそのような方法であつては、ちつとも訴願の意味はなさないと思う。もう少しよくいろいろな法律案にありますように、こういう場合にもう一段の全国的な広い見地に立つ精神鑑定医の訴願を受付けるような、そういう鑑定の審査会でもつくる。そういう方法でもあつたらより親切に、より間違いであるとかあるいは不正というものが防げるであろうと考えるのでありますが、そういうお考えはお持ちではございませんでしようか。
  73. 中原武夫

    中原参議院法制局参事 ただいま訴願のときに書面審査と申し上げましたが、それは権威のある精神衛生医の意見を聞くようなことまでも排除する意味で申し上げたのではございませんので、そういう特殊な事件につきまして訴願がありました場合には、訴願、審査委員会では最も権威のある精神衛生医を呼んで、鑑定をしてもらうという措置は当然講ずることになるのであります。
  74. 松永佛骨

    松永委員長代理 他に御発言はございませんか。     —————————————
  75. 松永佛骨

    松永委員長代理 それでは次に医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。本案に関する質疑の通告がありますのでこれを許します。青柳委員
  76. 青柳一郎

    青柳委員 医療法の全面実施につきまして、昨年来御当局におきましては、各種の実地調査をやつておられたようでございます。その結果の御報告をお願いいたしたいと思います。
  77. 久下勝次

    ○久下政府委員 私からお答え申し上げます。医療法の実施の結果ということでございますが、おそらくこれは病院の監視を行いましたその結果ではないでしようか。
  78. 青柳一郎

    青柳委員 私がお伺いしたいのは、たしか医療法の一全面実施につきまして、昨年度調査班みたいなものをつくられまして、各地方に派遣されて、いろいろ御調査なつたことがあるのではございませんか。
  79. 久下勝次

    ○久下政府委員 それは医療監視のことでございます。各病院の現状が医療法にどの程度合致しておりますかどうかという意味合いにおきまして、昨年春以来私の方で一応の基準をつくりまして、各府県の責任者に集つてもらつて、再三実地的にも打合せをいたしまして全体の考え方を調子を合せました上で、夏以降各府県に委嘱いたしまして全国の病院を同じ基準で一応の調査をいたしました。これがただいまのところ各府県からほとんど集つておりまして、ただいま集計中でございます。結果的に申しますと、それだけの準備をいたしましたけれども、やはり現われましたものを私どもが大ざつぱに判断をいたしますと、立場の相違、見方の相違で多少各府県、ことに評点のつけ方が違う点があるようです。これはいずれ私どもの方で全面的に調整をいたしました上で、結論を出したいと思つております。とりあえず各府県から集まりましたものはただいま集計中でございますから、最後の結論ではございませんが、中間報告の形式で差上げることができるかと思います。
  80. 青柳一郎

    青柳委員 それではそれは後に御報告いただくことにいたしまして、お尋ねしたいのはただ一点でありますが、医療法の全面施行と申しますか、要求されている規格を実現させるために、御当局におきましてはいろいろ資金、資材のあつせんをされる。こういうふうに申されておりましたが、こういうふうに考えてよろしいですか。
  81. 久下勝次

    ○久下政府委員 さように考えております。ただそれにつきましての基礎的な資料を得ますために、今集計しております医療監視の結果を見ておるわけであります。
  82. 青柳一郎

    青柳委員 ただいまここに審議されております法律を施行することと相なりますと、御当局の声明の通り、いよいよ資金、資材についての御あつせんを活発にやらなければならないということに相なつて来るのでございますがそれにつきましての御計画を承りたいと存じます。
  83. 久下勝次

    ○久下政府委員 御質問の趣旨をあるいははき違えてお答えするかもしれませんが、ただいま御審議をいただいております医療法の一部を改正、すなわち医療法人の制度を設けますことは、実は先ほどお答え申し上げました医療機関の整備のための資金、資材あつせんの問題とは、翼は直接関係がないと思つておるのでございます。しかしながらこの医療法人の制度をつくることによりまして医療機関の整備改善についての資金の集中が、従来に比して容易になるのではないか。そういう面から私どもとしては、特に医療機関整備のために特別な資金のあつせんをいたさなくてもこの制度そのものがそういう目的を達し得る一つの手段になるのではないか。さように考えております。
  84. 青柳一郎

    青柳委員 ただいま私がお尋ねした趣旨も、今お答えになつだことと大体合うのでありますが、この医療法の一部改正のごとく、数人の人が集まつて病院を建てるための法人ができるとい場うことになりますと、従前よりも病院診療所の設置が容易というか、促進されるというか、非常にふえて参ると思います。従いましてこの法の施行のために資金に困る。困るために多数の人が集まつてやるのではありますが、御承知のような現在の経済情勢でありますので、数人の人が集まつて法人としてやるにいたしましても、その資金が必要に相なつて参るのであります。必ずこれによりまして病院などの増設が、現在よりも助長せられると思うのであります。そうなりますと資金面の問題につきまして、前の御当局の声明もあり、御当局に対してたよつて来る人がだんだん出て来ると思うのでございまして、そういう際に御用意があるかどうかということを承りたいと思います。
  85. 久下勝次

    ○久下政府委員 病院の改善整備のための資金のあつせんにつきましては、実はただいまのところまだ具体的な計画を持つておらないのであります。これは一つは医療法に基きます公的医療機関に対する補助という制度がございます。財政の状況から二十五年度の予算におきましても、きわめて僅少なる額しか認められなかつたのであります。私どもといたしましてはこの方面につきまして国庫の助成の制度を、もう少し実際的な活用ができますように今後努力いたしたいと思つております。それから公的医療機関以外のいわゆる私的な医療機関に対する資金のあつせんでありますが、これは特別に実は開設につきましては方法がございませんので、ただいまあまり深く考えておらないのでありますが、ただ現在病院を持つておりますもので、医療法ができましてその規格に合わない、これは御承知の通り猶予期間の年限もございますので、その期間内にぜひ急速にやつていただかなければならないことでありますから、そういうような意味合いもありまして、現在開設、運営されておる病院診療所で医療法の規格に合いませんものにつきましては、先ほど申しました医療監視の結果、状況を見まして、大体全体として資金がどのくらいいるかという目安をつけました上で、資金のあつせんについて努力をして行きたい。かように考えております。
  86. 松永佛骨

    松永委員長代理 他に御発言はございませんか。——御発言がなければ本日はこの程度にして散会いたします。  次会は明日午後一時より開会の予定でございます。     午後三時四分散会