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林国務大臣 ただいま
岡委員からの
お話の人口の問題は、非常にむずかしい問題と
考えます。ところで、きようほかの方の
資料を手にいたしましたので、それで見ますと、人口の増加の度合いというものは、現在までの調査によりますとそう憂うべき
状態にないような方向に向いつつあるように思います。今数の上においてちよつと御説明申し上げたいと思いますが、昭和二十四年の出生が三百七十二万、二十三年に比べて一万四千ぐらい増加しておる。ところで二十四年の人口は二十三年に比べて約二百万増加してお
つて、その出生率は、二十三年の人口の千について三三・八から、二十四年は三三・一に下
つております。それから昨年の死亡率は約九十五万、昭和二十三年に比べて八千減少して、死亡率で見ますと、昭和二十三年の一二からら二十四年は一一・六に下
つておる。それから昭和二十四年の死亡に対する出生の超過、すなわち自然増加が百七十七万、二十三年に比べますと約二万二千ふえております。しかし自然増加率で見ますと、死亡率も下りましたが、出生率も次第に下
つておる。昭和二十三年の二一・八から、二十四年は二一・六、わずかながらもぼつぼつ下
つておるのが
実情に
なつております。それから戰前の死亡率は約一七でありましたが、ただいま申しました
通り最近では一一・六に下
つておる。欧洲文明国の最近の死亡率が一〇前後でありますから、これに次第に接近をして参
つておるような結果に
なつております。そういうようなことは公衆衛生
施策の成果ではなかろうかと、一応そういうふうに見ております。それから出生率は戰前の三一に対しまして、昭和二十二年には三四に高まりましたが、これを絶頂としてようやく減退の
傾向に
なつておる。戰後出生率が高ま
つた原因もようやく氷解して来たようでありまして、戰後非常に高まりました婚姻率も昨年は大分下りまして、戰前に復帰するような
傾向に
なつておる。それから産兒制限率も漸次普及しておると見られるのでありますが、昨年の死亡率は出産千につき六六、昭和二十三年が五一に対して著しく高ま
つておるのであります。二十三年の死産は二二%が人工妊娠中絶によるものでありましたが、二十四年には三九%にこれまた著しく高ま
つておるので、出生率が下ることはわが国の人口の趨勢から見て望ましいところでありますが、母性保護の見地から、死産率が高ま
つていることは憂慮すべきことと
考えまして、受胎調節の普及は望ましいというようなところで、そう著しくその増加をいたしておるように
見えないのが
数字に現われております。そうかとい
つて、今日決して人口問題をおろそかにいたしておるわけではありません。もちろん主食の問題とか、あるいは面積の問題などから
考えまして、
政府といたしましては、非常に重大な問題として取扱
つてはおりますが、さてこの調節の方法など——薬の問題につきましては
相当昨今はできるようになりまして、若干その問題の解決がつけられるように
なつておりますが、それから以後の調節の問題は、どういうふうにして調節したらよいかということは、おのずから自主的に解決をつけていただくということの方がよいのではなかろうかというのが、私
どもの
考えであります。しかしただいま申し上げましたように多少なり減
つておるとは申しますものの、狭い面積でございますので、これは今後大いに考究しなければならぬと
考えておるわけであります。