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1950-03-25 第7回国会 衆議院 厚生委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十五日(土曜日)     午前 十時五十一分開議  出席委員    委員長 堀川 恭平君    理事 青柳 一郎君 理事 大石 武一君    理事 田中 重彌君 理事 中川 俊思君    理事 松永 佛骨君 理事 岡  良一君    理事 苅田アサノ君       今泉 貞雄君    高橋  等君       田中  元君    丸山 直友君       亘  四郎君    堤 ツルヨ君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 林  讓治君  出席政府委員         厚生事務官         (社会局長)  木村忠二郎君  委員外出席者         專  門  員 川井 章知君         專  門  員 引地亮太郎君     ————————————— 三月二十四日  委員田中元辞任につき、その補欠として山本  猛夫君が議長指名委員に選任された。 同月二十五日  委員山本猛夫辞任につき、その補欠として田  中元君が議長指名委員に選任ざれた。     ————————————— 三月二十三日  放射線技師法制定に関する請願岡良一君紹  介)(第一七一〇号)  遺族の援護対策確立に関する請願外五件(橋本  龍伍紹介)(第一七一五号)  同外二件(中原健次紹介)(第一七七三号)  同(青柳一郎紹介)(第一七七四号)  同(佐竹晴記紹介)(第一七七五号)  同外一件(逢澤寛君紹介)(第一八〇五号)  同(池見茂隆紹介)(第一八〇六号)  同外十七件(前尾繁三郎紹介)(第一八二九  号)  津久見港に検疫所設置請願金光義邦君外六  名紹介)(第一七四八号)  あん摩術営業法案反対に関する請願松谷天光  光君紹介)(第一七七六号)  伊豆七島及び伊豆半島一帯の区域を海洋国立公  園に指定の請願畠山鶴吉紹介)(第一七七  九号)  医業分業制度確立に関する請願中野四郎君紹  介)(第一八〇三号)  同(鈴木幹雄紹介)(第一八〇四号)  国立大阪病院白浜分院を田辺市に移転反対の請  願(青柳一郎紹介)(第一八一五号)  国立病院勤務医師待遇改善に関する請願(青  柳一郎君外一名紹介)(第一八一七号)  国立岩手療養所災害復興に関する請願淺利三  朗君紹介)(第一八二〇号)  国立療養所患者食費増額に関する請願(淺利  三朗君紹介)(第一八二一号)  健康保險法改正反対に関する請願淺利三朗君  紹介)(第一八二三号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  生活保護法案内閣提出第一一六号)  派遣委員調査報告に関する件     —————————————
  2. 堀川恭平

    堀川委員長 これより会議を開きます。  まず派遣委員報告聴取の件を議題といたします。最初に広島県における共同募金実情調査のため、去る二月六日より六日間にわたつて広島県に行かれた中川派遣委員より報告聽取することといたします。中川委員
  3. 中川俊思

    中川委員 それでは先般共同募金実情調査に参りました広島県の調査の結果の概要を御報告申し上げます。  広島県に発生した共同募金に関する不祥事件は、共同募金運動指導監督の地位にある地方公務員が、保管中の募金飲食費、その他不正の用途に支出費消していたものでありまして、国民運動として順調な発展の過程にあるわが国の共同募金運動の今後の進展に重大な影響がありますので、当委員会におきましては、これを契機として共同募金運動に対する弊害を根絶し、今後における本運動の円滑なる遂行を期するため、広島県における共同募金実情について現地調査を行い、その運動実施方法を検討して対策を考究樹立せんとするものであつたのであります。  調査方法といたしまして、当委員会においては、青柳一郎君、堤ツルヨ君並びに私を現地派遣し、調査員太田義秋君を同行したのであります。  調査団は、調査の真意について声明書現地新聞に発表し、その趣旨を明確にするとともに二月八日、九日の二日間広島において調査にあたつたのであります。調査はまず県庁において、楠瀬知事以下県係官より不祥事件概貌並びに昭和二十二年度以降の共同募金運動実情について詳細に聽取するとともに広島市、安芸郡海田市町における共同募金運動実情についても、それぞれ現地に参り調査行つたのであります。また受益団体のおもな代表者県庁に招致し、共同募金に関して、配分問題はもとより、いろいろの角度より種々意見を熱心に聽取したのであります。  第三に、不祥事件概貌について申します。  広島県においては昭和二十四甲七、八月ごろ、尾道市共同募金係職員募金を横領した不正事件(現在起訴中)が摘発されて以来、県の募金関係にも不正云々風評が起り、疑惑が向けられていたところ、たまたま元県民生部児童課員共同募金委員会事務局幹事主任中谷主事の非行により、募金不正費消書類広島東警察署に押收されたので、県募金関係に対する疑いが濃厚になつて来たのであります。同警察においては、昭和二十四年十一月下旬ただちに捜査を開始し、証拠書類を多数押收したので、同十二月五日民生部長永岡退臓、厚生課長坂谷好夫厚生課庶務主任山田知彦を強制收容したのであります。不正事件内容は、昭和二十二年度及び二十三年度における共同募金飲食費その他不正の用途に支出費消したというのであります。検察当局においては、昭和二十四年十二月二十二日前記民生部長厚生課長厚生課庶務主任及び日本赤十字社広島支部事務局長共同募金委員会事務局次長中邑元氏を業務上横領の罪名起訴し、同月三十日民生部長永岡退臓氏、厚生課長坂谷好夫氏の両名を前記罪名をもつて起訴したのであります。起訴内容については、資料として起訴状の写しがあるのでここでは省略いたします。その後本事件はさらに発展し、本年一月二十日柿島商工部長前記罪名起訴收容され、次いで中国新聞社主筆蔭山稔氏、並びに日刊広島新聞社社長加藤可醉氏が強制收容されたのであります。  第四、事件発生の原因を要約して申しますれば、広島県は共同募金運動に県の幹部官吏が事実上關與し、県の兼務制によりその運営をはかり、支配権を掌握していたのであります。また共同募金に関する諸規約並びに運動方針規定等運営について何ら定めらしいものがなかつたのであります。募金管理会計事務にはなはだしく適正を欠き、かつ事務取扱いが粗漏であり不備で、大いに欠陥があつたことが指摘されるのであります。  第六に調査に基く意見を申し述べます。  共同募金運動は、今後運動実施方法等を検討し、その対策を考究樹立するとともに、全国的に十分これを調査指導監督する方途を講ずる必要があると思うのであります。また本運動推進主導的機関として、各階層諸団体代表により民主的に組織されている共同募金委員会を検討し、官公吏支配を拂拭して、社会的に信頼ある強力な組織を確立するとともに、公正活発なる民主的運営をはかり、民間運動の母体としての真価を発揮させる必要があると思うのであります。また共同募金運動婦人及び青年理解協力を得るため、募金委員相当数婦人及び青年を参加せしめることを考慮する必要があると思うのであります。また事務局はとかく利便とか経費の節減のために官庁内に置き、兼務職員により運営される傾向がありますが、官庁依存の旧思想を改め、官僚化を排し、でき得る限り官庁外にこれを設けて、その整備充実をはかるなどの方途を講じ、募金委員会事務処理に万全を期する必要があると思うのであります。さらに運動に要する諸経費の節約をはかり、中央共同募金委員会において、各都道府県共同募金委員会、並びにその事務局維持運営費及び宣伝、啓蒙経費の必要な額を計上することとし、支出の適正を期したいと思うのであります。この問題については、各府県の実情をそれぞれ尊重すべきではあるが、でき得る限り全国的に統制ある規模のものにする必要があると考えられるのであります。募金処理方法等は、これを寄附者たる一般国民に容易に納得でき得る方途を講じ、その内容は十分了解され得る方法をもつて一般に公表して、広く周知徹底を期する必要があると考えられるのであります。募金方法を検討考究し、均等割による割当強制等措置は、これを排除し、地方実情に応じ、かつ個人寄附能力に即応する寄附を自発的になさしむるような措置を講ずる必要があると考えられるのであります。募金目標額の設定並びに配分額の決定は重要な部門であり、その適否は募金運動実施社会事業維持発展に重大な影響を及ぼすので、詳細なる調査と科学的な検討をなし、愼重に審議する必要があると考えられます。また募金保管出納経理などに細心の留意を拂い、十分その責任を明確にし、また行政官庁監督を明らかにするとともに、中央共同募金委員会都道府県共同募金委員会に対する監督を強化し、さらに地区その他補助機関、並びに配分金使途監査実施し、これを公表して一般国民に疑念を抱かしめないよう考慮する必要があると考えられます。また共同募金運動は、一般国民社会事業に対する深い理解に基いて、自発的な寄付を求むる運動でありますから、受益団体の絶大なる熱意と協力による社会事業に関する啓蒙運動を展開して、一般国民理解と認識を深める必要があると考えられるのであります。  以上はなはだ簡單でありますが、先般広島県に出張いたしました共同募金実情調査に関する概略を御報告申し上げた次第であります。
  4. 堀川恭平

    堀川委員長 何か御質疑ありませんか。
  5. 苅田アサノ

    苅田委員 御調査になりまして、御苦労さまでございました。これに関連して一、二お伺いしたいことがございます。それは広島県下に起つた赤い羽根の不正事件に関しましては、県民一般の間に楠瀬知事身辺にもそういう問題があるということがもつぱらの風評であつた。これはこちらから派遣委員が行かれるころからも、すでにそういう風評があつたわけですが、この点につきまして派遣委員の方では何らか御調査になりましたかどうかお聞きしたいのです。
  6. 中川俊思

    中川委員 私どもが参りましたときには柿島商工部長が三十万円を他に融通したということだけは、係官から実情調査いたしたのでありますが、しかしその三十万円が当時の係官説明では、宴会費が何かに使つてつたのだ。こういうふうに伺つておりましたので、県知事に三十万円を渡したということは、私ども帰つてから後に私どもの耳に入つたのであります。私どもが参りましたときは、三十万円を他へ融通した関係で逮捕されたということは聞いたのでありますけれども、これはまつたくただいま申し上げますような実情であつたのでありまして、当時は楠瀬知事にこれを渡したということは聞かなかつたのであります。
  7. 青柳一郎

    青柳委員 ただいま中川さんからお答えがありましたが、私も同行した者の一人として、私の責任上から一言申し上げておきたいことがございます。それはすでに苅田委員御存じのように、またただいまも御報告がありましたように、この事件内容を検察的に掘り下げるということは、われわれの使命でない。それはあちらさんの言うことを聞くのみであつて、その調査はいたさなかつたのであります。今まで起つた事件を一応聞きまして、今後そういう事件をなからしめるためには、いかなる対策を講ずべきかという点に重点をおいていたしましたので、その点については苅田委員の御了承を願いたいと思います。
  8. 苅田アサノ

    苅田委員 ただいま青柳委員からの補足的な御説明もあつたのでありますけれども、しかしただ向うがどういうようなことをやつておるかということだけを聞くだけでございましたならば、わざわざ国費を使い、貴重な時間を割いて現地まで行く必要はなかつたと思うのであります。やはりそういうことはすでに県民一般の声であつたということは、特に私は広島県出身である中川さんは御存じないはずはないと思うので、すでにこちらから派遣委員が行かれました直後、三日には県民の要望にこたえて広島県の労働組合協議会議長である松江澄という人、日本共産党広島委員会田村幸人という人、この両氏の名前をもつて県知事告発をされておるはずであつて、そういうようなことが直後にはつきりしたことがあるというのに、こちらからわざわざ国民代表として、しかも厚生委員会から派遣された委員がただ県庁行つて、そうして向うの言うことだけを聞いて来たということは、国会として、委員会として委員の不見識だと思います。やはりこういうことにつきましては、調査のやり方についての粗漏という点はまぬかれない。これは私個人の考えではなくして、国会権威のためにも、そういう点については非常に遺憾の意を表したい。かように考えます。
  9. 中川俊思

    中川委員 ただいま青柳委員からも御説明があつたのでありますが、私ども広島に参りまして、まず声明書を出したのであります。それは本件はすでに検察当局調査中でありますし、参議院議員におきましては検察当局に参りまして調査をしたのでありますが、しかしむろん調査中に属します秘密事項に関しては、検察当局ではこれの発表を差控えたのであります。同時に非常に検察当局感情を詰らないことで害したということで、何ら得るととがなかつた。こういうことを私どもは事前に承知をいたしておりましたので、事すでに検察当局によつて調査中のものを、われわれが行つてこれを根掘り葉掘り聞いてみたところで、どうせ言うわけはないので、ただ感情を害するだけだから、それよりはもつと効果的に他の面を検討して、こういう事態が再び起らないように、その禍根を根絶する方に主力を傾注したらいいだろう。かように考えまして、私ども検察当局には参らなかつたのであります。同時にこの三十万円の問題も、私ども帰京後に、これが県知事に渡されたということを新聞で見たのでありますが、これも目下検察庁調査中でありまして、はたして県知事に渡したかどうかということも不明であります。ただ新聞の一片の記事によつてそのことを承知しただけでありますから、これが県知事に完全に渡されておるかどうかという点につきましては、いま少し時日をかして検討する必要があるのではないか、かように考えております。
  10. 青柳一郎

    青柳委員 私に関連いたしますから、私からお答えいたします。ただいま苅田委員は、非常に奇怪なことをおつしやるのであります。私どもが参ります際に、当委員会態度といたしましては、これをきつかけとして今後の対策を研究するのだ、そういうことが、はつきり委員会の意思であつたと私は存じております。そのことは国会権威に関する云々のことは、これはまた、かつてな御推察であります。委員会といたしましては、そういう態度で参りましたので、決して国会権威に関するものではないと、私は固く信じております。
  11. 堤ツルヨ

    堤委員 私も参りました派遣委員の一人といたしまして、今苅田委員がおつしやつた言葉に対しまして、少し反撥をいたします。何も私は政党的などろ仕合いを演じようとは思いませんけれども共産党のおつしやることは常に非建設的な言葉であります。あくまで私は、與党肩持ちをするのではございませんけれども、建設的な意見を持つてこれに臨んだはずであります。今後いかにすれば共同募金運動をよりよきものに進展さし得るかというところに眼目があつたのでありまして、何もわれわれ国会が、検察庁の権限にまで入つて行く必要はないのであります。もし必要があるならば、今後検察庁追究と相まつて、なお国会厚生委員会がタッチすべき余地が残されておるのならば、今日以後にこれにタッチしても決して遅くはないのであります。私たちが必要以上に私たちの領域を越えて、検察当局的の立場からタッチするということは、むしろ私は国会権威にかかわると思うのでございます。でございますので、苅田委員共産党代表しておつしやつておるのだと思うのでございますけれども、私もあなたと同じように野党でございますので、ずいぶん青柳さん及び中川さんよりは、こずらにくい目をたんたんと光らしておつたのであります。しかし常識的に見まして、今これを突つつくべきかどうかということは、考慮の余地があつたのであります。検察当局もなお追究中だと申しておりまして、はつきりしない、責任のないことを発表できないと言つてつた最中でございますので、私たちはあえてこれを追究せず、私たちのなわ張り以外であるという見解を持つて帰つたのでありまして、粗漏であるとか、国会権成にかかわるとかいうことは、まことにもつてけしからぬと思うのであります。これはひとつ苅田委員に御反省を求めたいと思います。
  12. 苅田アサノ

    苅田委員 派遣された方たちの御意見が、帰京直後にその県の最も責任者である県知事告発されたことに対して、一こともそれを知らないで帰つて来たことを、何ら不見識でないと言われれば、これは私は皆さん方意見が違うので、意見にわたりますから、詳しくは申しません。ただ私は、この際申し上げておきたいことは、これは何も共産党だけの主張じやないということです。当委員会においても、そういうことについてやはり同様の意見を持つておられる方々がおいでになるということを、私ははつきり申し上げられます。ただ私は、皆さん方が、それであつてもなお自分たちが十分に任務を盡して来たとおつしやるならば、それで私はよろしいと思います。ただこの派遣に対しまして、共産党委員からも派遣委員を入れろと言つたときに、意識的か無意識的か、極力反対せられましたこととあわせまして、私は実に奇妙な感じがするということだけ申し上げておきます。  それで、皆さんがこの委員会から派遣されておいでなつた目的は、当時の速記録にもある通り共同募金寄付に対しましては、全国的にこれが非常に強制されておるという声が高いので、そういう実情があるかないかということを調べてくれということも、これははつきり委員会でもつて主張された大きな理由だつたと思うのであります。ところが報告の中には、広島県下においてそういう強制的な、ほとんど寄付でなくて、強制的な割当等がなされておつたかどうかということについての御報告がなかつたと思いますので、その点につきまして、なお補足的に、どういう手段でもつてそういう民意をお確めなつたか、その結果どうであつたかということを御説明願いたいと思います。
  13. 中川俊思

    中川委員 ただいま苅田さんの御言葉の中に、県の最高責任者である知事告発されておるということのお言葉があつたように思いますが、これは告発されておりますか。
  14. 苅田アサノ

    苅田委員 されております。今私が申し上げておりますように、広島労働組合協議会議長松江澄という人が……。
  15. 中川俊思

    中川委員 それは、個人の告訴はあつたかもしれませんけれども検察当局はまだ告発されていないと思います。
  16. 苅田アサノ

    苅田委員 なお、あと申し上げますならば、告発状受取つた岡谷検事が、告発代理人である高橋弁護士に対して、これは道義的には当然問題であるということを言われたということであります。
  17. 中川俊思

    中川委員 高橋弁護士というのは共産党弁護士であります。それから今告発したというのは、おそらく共産党の人だろうと思います。共産党のそういうことは、しばしば全国にあるのでありまして、共産党の人が共産党弁護士代理人として告発したことが、ただちに県知事に不正があるというような解釈をしてよいかどうかということは、疑問を持つのであります。
  18. 苅田アサノ

    苅田委員 労働組合協議会議長はどうですか。
  19. 中川俊思

    中川委員 同様です。もし今苅田委員が御指摘になつたような、知事身辺に関して、今後検察当局告発態度をきめるかどうかは、現在のところは未定でありますが、少くとも私どもが参りましたときには、そういうことはなかつたのであります。そこで、この点につきましては、今いたずらに臆測をたくましゆうして、将来のことを、こうなるだろうという仮定のもとに論ぜられるのは、はなはだ迷惑至極だと存じますので、この点はかすに時日をもつてしていただきたいと考えます。  次に、報告書の中に、募金が強制的であるとかどうとかいうことについて、報告がなかつた、こういうことでありましたが、これはあまり長くなりますので、省略をいたしたのであります。なるほどこの募金は、私どももあとで法制当局に御質問をしたいと思つておるのでありますけれども、現在行われておりますのは、ほとんど全国的に半強制的なんです。これをどういうふうに改善したならば、この共同募金の問題に対して将来支障がなく、円滑に行くか、こういうことを私どももいろいろ調査をいたしたのであります。すなわち世帯割にするとか、あるいは資産割にするとか、つまり税金の率によつて割るとか、あるいは担税力に応じて出費をしてもらうようにするとか、あるいは人口割にするとか、要するにそういう募金を割当てます上においての科学的な基礎が今日までなかつたのです。そういう点をどういうふうにしたらよいだろうか、こういう点につきましては、受益者団体並びに募金をいたします方たち意向も、それぞれ聽取をいたしたのでありますが、その点につきましては、先ほど申し上げました報告書の中にるる述べることは、いたずらに時間を要しますので、詳細な報告書は用意がありますから、それらによつてひとつ御研究を願いたいと思うのであります。
  20. 苅田アサノ

    苅田委員 こちらから派遣される前の委員会で、共同募金のことについて問題になつたときには、社会局長でしたかは、そういう強制的な事実はないということをはつきりおつしやつたのですが、あなたが行つてごらんなつ実情は、やはり半強制的なものがあつた、こういうことを御確認になつてお帰りになつたわけですね。
  21. 中川俊思

    中川委員 これは、実際に募金に当る人から聽取をいたしますと、これはどうしても半強制的にならざるを得ないのです。要するに出す者と出さす者ですから、利害が相反する。出す方だけの意向を聞いておりますと、結局各県には目標額というものがありまして、それに到達しなければその県内におけるいろいろな社会事業施設を行うことができないという結果になりますので、厚生当局においてはむろん強制的にやつたというような御発言は今日までなかつたかもしれませんが、地方におきましては県独自でやる問題でありますから、どうしても半強制的にやらなければできないというのが先方の意向であつたのであります。そこで私どもはそれを半強制的にしない、あるいはもつと科学的に検討する方法はないか。こういう点についていろいろ協議を進めまして、もつと科学的にとつたらどうかということを話して帰つたのであります。
  22. 堤ツルヨ

    堤委員 苅田委員から共産党を故意にか何か知らないけれども派遣委員からはねられたというお言葉があつたのですが、これは数の政治ですから、私たちもしやくにさわることはありますし、非常に同情はいたしますが、共産党が三十五名、わが党が四十八名というのは、それこそ嚴粛なる事実でありますので、これはどうにもしようがないと思うのです。それでどうかそういうようにひがまないようにしていただきたいのです。そうでないといつもごたごたして不明朗になると思います。それでこれからも委員派遣ということがたびたびあること思いますので、当委員会としてそういう点について特に考慮する御意向があるならば、方針はつきりきめておいて、明朗にやるようにしていただきたいと思います。
  23. 堀川恭平

    堀川委員長 その点はただいまお話の通り議会政治でありますので、どうしても数の比例が第一の基礎になると思います。それで野党の方において、社会党なり民主党なり、国民協同党なり、あるいは自由党の方で共産党にお譲りになるというときは別問題といたしまして、そうでない限りは、数の問題で行くよりどうもしようがないじやないかと思います。
  24. 苅田アサノ

    苅田委員 堤さんがどういうことをおつしやろうと自由ですが、私がここで感想を述べることも自由だと思います。それで、そういうことはあつたけれども、事実ははつきりしたことはないということぐらいはあつてもいいと思つたので申し上げたわけです。けれども、いずれ詳しい報告書を出すとおつしやつておりますから、それを見ました上で、また御質問申し上げたいと思います。
  25. 堀川恭平

    堀川委員長 ほかに御質問はございませんね。     —————————————
  26. 堀川恭平

    堀川委員長 次は生活保護法案を議題といたしまして質疑を行いますが、通告順によつて質疑を許します。なお厚生大臣は今閣議中でありますので、事済み次第出席されるそうであります。青柳一郎君。
  27. 青柳一郎

    青柳委員 生活保護法の審議を行われる機会は今後も相当あると思いますので、私は本日は大きい問題のみにつきまして、御当局の御意見なり御態度を伺つておきたいと思います。  一昨年アメリカから来た調査団の社会保障制度に関する勧告書を見ますと、公的扶助の面が相当強く取上げられております。イギリスの社会保障制度と異つて、アメリカにおきましては公的扶助に重きを置いておるからであると存ずるのでございますが、その中にも、日本には生活保護法といういい制度がある、これは将来日本に社会保障制度ができたときに、相当重要な地位を占めるものであるということがうたつてあるのでございます。従いまして私はあくまでもこの生活保護法こそは、扶助の中の根本的な法律であると存ずるのでございます。それで昨年社会保障制度審議会におきまして、生活保護法の改正について勧告を行つた次第でございまするが、まず第一に伺いたいのは本勧告と今回提案されました法案とどういう関係に相なつておるか、どういう違いがあるかという点についてお示し願いたいと存じます。
  28. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 この法案をつくりました気持につきましては、提案理由の説明の中にもございます通り、従来の生活保護法をさらに新しい現在の国情に合わせるように、つまり新憲法制定前の法律でありましたものを新憲法のもとにおける法律とするというところに、大きな意味があるのでございますが、その内容につきましては、先般社会保障制度審議会におきまして勧告がございましたが、その勧告の趣旨に従いまして、おおむねその規定が設けられておるわけでございます。勧告の趣旨と若干異つておると考えられますのは、第一が保護の機関の中で、民生委員の問題でございまするが、民生委員の規定といたしまして、この法案の第二十二條におきましては、「市町村長又は社会福祉主事から求められたときは」云々という事項が入つたことでございます。しかしこれはその精神におきましては、勧告の精神を無視したものではないと考えておるのであります。あくまでも公益扶助は、公のはつきりした責任を持つてやるという趣旨のもとに立てたものでございます。この旨を特に強調する趣旨からいたしまして、この字句を入れたわけでございます。従いまして市町村長または社会福祉主事というものは、民生委員協力を求める必要がある場合においては、必ず求めなければならないということは、当然のことであろうというふうに考えます。またそういうふうに指導いたして参りたいと考えておりますので、この点については勧告の趣旨を十分盛つてある。特に勧告におきまして、民生委員に事務的な重い負担をかける、公の責任でやらなければならないという現状を改めるべきであるという御主張にも、十分沿うようにいたした次第でございます。  なおもう一つの点は、経費の負担の点でございます。経費の負担区分につきましては、現在の地方財政の状況にかんがみまして、国、都道府県、市町村の分担の関係についてこれを変更する必要があるのではないかというような勧告があつたわけでございまするが、これにつきましては、現在地方財政の面につきまして、非常に大きな改革が行われようといたしておるのでございます。従いましてこれによりますれば、地方の財源というものが非常に大巾に増大いたしまして、これが国の財源から落ちるというような関係に相なつておりまするので、その状況を十分見きわめまするまでは、一応現状のままで行きたいというふうに考えまして、この点につきましては、おおむね現状のままで行くというようなことになつた次第であります。その他の点につきましては、勧告の趣旨に従つて全部いたしたというふうに考えておる次第であります。
  29. 青柳一郎

    青柳委員 第二に承りたい大きい問題といたしましては、今回の生活保護法は、憲法第二十五條、国民は、健康にして文化的な最低生活を営む権利を有するという規定に応じまして行われたことでございまして、この点につきましては、初めてこの生活保護法が生活保障の線に進もうとしておるものと存じまして、はなはだ御同慶にたえない次第でございます。つきましてここにひとつ問題が起ります。それは何かと申しますと、日本においていわゆる最低生活とはいかなるものであるか。最低生活の基準をいかなるところに置くべきかという問題でございます。この問題につきまして、御当局の御所見を承りたいと存じます。
  30. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 最低生活の基準といたしましては、一応抽象的な規定をこの法には設けたのであります。現在の最低生活がどの程度のものでなければならぬかということにつきましては、客観的には一応きまつたものがあるものというふうに考えられるのでありますが、これがどこに線を引くべきであるかということについて、現在の状況といたしまして、はつきりここだといわれる的確なる資料がまだできておらないのであります。従いましてわれわれといたしましては、この最低生活の線というものは、でき得る限り高い線まで持つて行きたい。もちろんこれは国民の平均の生活水準というものまで達することはできないということは当然でありまするが、それは平均の水準に達しまするどの程度のところまでが、その最低基準になるかということにつきましては、まだ十分なる研究ができておりません。従いまして現在では、できるだけ従来の基準をなお合理的に高い基準にまで引上げるというふうに努力するというのが、この際われわれとしましてはやらなければならぬことであるというふうに考えている。もちろんそれと並行いたしまして、最低生活の基準を確立するという面にはできるだけ努力したいと思つております。
  31. 青柳一郎

    青柳委員 最低生活の基準の問題につきましても、いろいろこまかい問題がございまするが、本日は大づかみに当局の御所見を承ることで進めて行きたいと存じます。  次に承りたいのは、これは前のと申しますか、現行の生活保護法にもございまするが、今回の改正されんとする生活保護法にも、無差別平等の原則がうたわれておるのでございます。この無差別平等の原則につきまして、実は私は疑点を持つているのでございます。どういう人々、どういう悲惨な目にあつている人、どういう階級にある人のみをとらえて、それに特別の保護を與えるということもいけないということはよくわかるのであります。ただ無差別平等というものが、機械的に形式的に考えらるるおそれがあるのでございます。たとえば未亡人の問題をとつて考えて参りますと、先般未亡人の福祉法案が、あるいは今国会に上程されるやもしれないというようなことを聞いたのでございます。未亡人という方々は家庭に男を持たない、物質的に力も足らない、また精神的な面におきましても他の壯年男子を控えている家庭よりは弱いのであります。そういう点から考えまして、実質的にそういう弱い階級には強い保護を與える。弱い程度が高ければ高いだけ大きい保護を與えるというように、実質的にこの無差別平等の原則を配すべきではあるまいか。身体障害者の福祉法ができまして、これまた他のりつぱな手足を持ち、りつぱな機能を持つておる人に比べて弱いから、それだけよけいな保護を加えるという考え方であります。私はこの無差別平等の原則を、現在普通に解釈せられておりまするよりも実質的に考えてみたいと存ずるのでございますが、当局の御所見を承りたいと存じます。
  32. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 無差別平等の原則に対しまするただいまの青柳委員の御意見は、まことに同感でございまして、無差別百平等と申しますることは、すべて均一に保護するという意味ではないのであります。保護の必要の程度に応じて保護するというのが、この無差別平等の原則の根本的な考え方であろうと考えております。従いまして特に今御指摘になりました未亡人について特に弱い点がある。その弱い点を補うという点は、当然これに加味しなければならないものであると考えるのであります。本法におきまして特にこの点を明らかにいたしたいと考えまして、法案の第九條におきましては「保護は、要保護者の年齢別、性別、健康状態等その個人又は世帯の実際の必要の相違を考慮して、有効且つ適切に行うものとする。」という原則を掲げたのも、実はこういう趣旨から出たものであります。ただいま御指摘になりましたふうに考えまして、この法案を運用して行かなければならぬものというように考えております。
  33. 青柳一郎

    青柳委員 次に承りたい点は、この法案によりますると、不服申立ての道が開かれたのであります。第一に都道府県知事に対し、第二審として厚生大臣の裁決を仰ぐということに相なつているのでございます。外国の例を考えてみますると、アメリカあたりではこういう不服の申立てについては、裁判所の最終審まで訴えることができるということに相なつているように聞いておるのであります。法律によりまして生活を保障するという面から申しますれば、その方が考え方としては正しいのではあるまいかと私は思うのであります。ここに私の疑念を晴らしていただきたいための質問をいたします。
  34. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 不服申立ての制度を設けましたことは、裁判所に対しまする出訴の権利を侵害するものでは決してないのでありまして、法の第六十九條におきましては、この不服申立てというものによりまして、これが裁判所に訴えを提起することについてさまたげることはないという趣旨を明らかにする規定を設けたわけであります。この規定がなくとも当然なことであるというふうに考えられるのでありますが、特にその旨を法律上明らかにしてございます。なお裁判によりますところの救済ができるにもかかわらず、なおこのほかに不服の申立ての規定を設けましたことは、裁判の手続によりますよりは、不服の申立ての方が行政庁の反省を促すという意味において“さらに有効適切にこの保護が行われるというふうに考えられますので、裁判所の手続のほかにこの規定を設けたわけであります。
  35. 青柳一郎

    青柳委員 ただいまの点はよくわかりました。次にこういう生活保護的な制度は、惰民を養成するおそれがあるのでございます。現に現在の生活保護法、または改正されようとする生活保護法におきましても、働いて收入があるとそれだけ生活保護の額を減らされるということに相なつておるのでございます。昨年来御当局の御努力によつて、三、四百円程度はそれが緩和されたことを承知いたしておるのでございますが、昔イギリスに行われたように、惰民を養成するのに終つてしまうようなことに相なつては、はなはだ相済まないのでありまして、その点について御当局の、そういうような弊害を阻止するために考えておられる点をお示し願いたいと存じます。
  36. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 御趣旨はまことにごもつともでありまして、もちろんこの扶助というのは最後の扶助でありまして、あらゆる他の手段を講じた最後に保護が行われるというふうに考えるべきであろうと思つております。この点は今の点とは若干違うかと思いますけれども、この法案におきましても第四條におきまして、この保護が最後の補完をするものであるというふうな規定を設けておるのであります。従いましてただいま御指摘のございましたように、勤労意欲を失わせることのないようにするということは申すまでもないことであります。ただわれわれといたしましては、勤労を強制することははたしてどうかというふうには考えますが、あくまでも勤労意欲を伸ばして行くようにする。しかも勤労によつて、そのためにかえつて不利になるようなことのないようにしなければならないので、この点は第九條の必要即応の原則という点から考えても、勤労いたした者に対する考慮ということには、努力しなければならないということになるだろうと思います。要するにこのことについては、今後の運用につきまして十分に考えて参りたいと思つております。
  37. 青柳一郎

    青柳委員 次に質問いたします点は、実施機関、補助機関協力機関、こう三つの機関がございますが、その中の協力機関たる民生委員についてでございます。民生委員の方々が今まで、方面委員時代から非常に御苦労なさつて、ただいま触れました勤労意欲を阻害するというような問題につきましても、生活指導の面でいろいろお骨折りになつて、そのために日本の生活保護制度は、外国のように惰民養成の弊に陷つて来なかつたのであります。この点は方面委員、民生委員の方々の御功績非常に大きいものがあると思うのであります。この民生委員制度が今度の改正法案におきましては協力機関と相なるのであります。一段格下げというような気がいたします。しかもこの法文によりますと、「市町村長又は社会福祉主事から求められたときは、」というようにありますが、方面委員の方々は積極的に働く意欲を持つておるのであります。それを求められたときは動くのだという消極的なものにしたくない気持がするのであります。しかも厚生委員協力機関である。協力機関と言つても公の機関であります。公の機関たる以上、実施機関たる市町村長の監督を受けるのは当然であります。監督を受けながら仕事に当るのでありますから、求められたときはということをしいてここに書き上げなくとも、市町村長の監督下に働くことは協力機関として当然であるので、この字句につきましては私はいらないものと思うのであります。それは私の意見としてこの段階ではとどめておきます。伺いたいことは、ただいま申し上げましたように考えて行きますと、民生委員の意欲を衰えさせて行くおそれが十分にあるのであります。私は現存の段階においては、やはり民生委員の力を借りて惰民養成にならないようにいたしたいという存念に燃えておるのでございます。お話のように民生委員がいろいろむずかしい事務から解放せられるという点は非常にけつこうでありますが、この民生委員の意欲をますます高めてこそ、現在の段階——将来はこの法案で考えておりますように、理想的に責任をもつて仕事を行うということになるのでありますが、現在の過渡的段階においては、やはり方面委員の人に相当働いてもらわなければ相ならぬと思うのであります。私はこの過渡期におきまして、将来今考えておられまする制度ができ上るまでの過渡期におきまして、民生委員の意欲を押えることのないようにいたしたいと思うのであります。そういうおそれがありますので、その対策について考えておられる点を承りたいと存じます。
  38. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 御心配まことにごもつともでありまして、われわれもこの規定をいたしまするについては、その点について非常に心配いたしておるような次第でございます。民生委員協力機関にいたしましたことは、われわれといたしましては格下げではなくて、格上げのつもりでおるのであります。と申しますのは、民生委員は従来市町村長の補助機関、すなわち下の機関ということになつてつたのでありますが、協力機関と申しますと、横の機関になるわけでありまして、平等の立場に立つということをお考えいただいてけつこうだと思うのであります。従つて民生委員は、従来の市町村長の吏員という立場ではなくて、市町村の横の機関になるということに私ども考えておるのでありまして、実際にそういうように運営して参りたいと考えております。従つて市町村長と、その補助機関としての社会福祉主事というものは、上下の関係になつておりまして、これがそれぞれの責任でもつてとにかく全責任をもつてやり、民生委員責任は転嫁しない。しかし実際問題といたしましては、その責任を転嫁せずにやるためには、どうしても民生委員さんの協力を求めなければならないという事態があるし、また民生委員さんの実態からいたしますれば、協力を求めなければならぬ場合が非常に多いと考えております。従つて求められたときはということが書いてありますのは、法律のあやでありまして、実際問題としては求める場合がきわめて多いし、また求めなければならないという場合が多かろうというふうに考えております。従つてわれわれといたしましては、民生委員さんの方々に対しましても、この趣旨につきましては十分に徹底するようにいたしたいと考えておるのでございます。なお民生委員さんの本来の仕事というものは、救護法の制定以前から、方面委員というものができまして以来の民生委員さんの仕事、これは民間にありまして、民間のほんとうに困つたたちの代弁者となつて、また民間のそういう困つたたちの立場に立つて弁護すべき弁護士のようなものである。そういうような立場から、いろいろと従来お仕事をしたり、またこれに対しまして、救護法とか、あるいは生活保護法の適用のない場合におきましては、その法にかわる保護を與えておられる。従いまして今後におきましても、生活保護法なり、あるいは公の扶助の関係では、十分盡し得ない部面にあるものにつきましては、民生委員さん方になおやつていただかなければならぬ仕事が、多々あるわけであります。それらをやつていただく方々と、公の扶助という一つのきまり切つた型のものをやります方の間におきましては、常に密接な協力関係がなければならぬ。この関係を十分明らかにすることによりまして、今後は両者が相提携して、日本の社会事業制度の全般をうまく運営いたして行くようにいたしたい。かように考えておる次第であります。この点につきましては、今後逐次その方面に向いまして、円滑にやつて行くようにいたしたいと思います。もちろん御指摘になりましたように、この転換期におきまして、民生委員さん方の中に、非常に新しい方におかれては、そういう古い昔からの方面委員さん方のやつておられましたような仕事につきまして、十分御理解行つてない方々がないことはない。と申しまするのは、非常に最近公の扶助の事務を多く負担させました関係上、ほかに手が出なかつたという方々につきましては、今後もそういう方面の新しい分野と申しますか、本来の分野の方に十分働いていただくというようにいたしまして、この点の関係を円滑にして参りたいというふうに考えておるのであります。
  39. 中川俊思

    中川委員 ただいま青柳委員から御指摘になりました民生委員との関係でありますが、実は先般われわれ厚生委員は、議員会館におきまして民生委員との懇談会を開いたのであります。そのときの話を要約いたしますと、全国十三万の民生委員というものがあるが、この民生委員は、今回の生活保護法の改正について、先ほど青柳委員から御指摘になつたような、いわゆる従来の仕事から格下げされたという観念を持つておる。ただいま局長のお話を聞きますと、格下げでなく格上げだということでありますが、しかしいずれにいたしましても、従来自分らが積極的にやつていたことが、今度は指揮命令によつて動かなければならぬというような観念を持つておるように、私どもつたのであります。そこでこの転換期でありまするから、もちろんいろいろな弊害が起ることはやむを得ないのでありますが、どうかひとつ青柳委員からるる御指摘になりましたように協力の意欲を減退させないような方法を特に研究をしていただきたい。こういうことを私は要望いたしておくものであります。  ちようど大臣がおいでになつておりますから、これは大臣に特にお願いをいたしたいと思うのでありますが、従来行政官庁でやつております仕事を見ますと、たとえばこの法案はどうか知りませんが、いずれの法案にいたしましても、もうすでにGHQのオーケーをとつておるのだから、このままで押し通してもらいたいというようなことがしばしばあるのであります。そこで私は先般来考えておるのでありますが、むろん現在こういう法律を改正いたしますのは、議会でわれわれがやらなければならぬのでありまするが、日本の立法機関は、名は立法機関でありますが、実際の立法は行政府でやつておられるのであります。そこで案をおつくりになりましたならば、GHQへお持ちになる前に、委員会にお示しを願つて、そうして行政官庁と議員との間に十分に話合いを進めた後に、司令部の方へ持つて行つていただくということができないものでありましようか。実は行政官庁には有能な人ばかりおられまするから、そういう間違いはないかもしれませんが、しかし私はずつと黙つて聞いておりますと、おそらく行政官庁の諸君の中にも、われわれ委員からのいろいろな質問、並びに意見を具申したのをお聞きになつて、それはこういうふうに改正した方がよくはなかつたかなということを感ぜられる場合もあろうと思います。しかしながら、もうすでにオーケーをとつたのだから、これでひとつ押し通そう、こういうようなことがしばしば見られるのであります。そこでこの問題につきましては、私が先ほど来申し上げますように、特に厚生委員会というものは、各党とも非常に和気あいあいでやつております。しかもわれわれいただくところの厚生大臣は、最も人格高潔にして円満なる方でありますから、この林厚生大臣のもとにおいて、われわれは喜々としてこの厚生委員会の成果をあげたいと心がけておりますので、ひとつ他の各省の委員会に卒先して、そういうことができまするならば、どうぞひとつこれをやつていただきたいと考えるのであります。また予算なんかの面につきましても、これはもう予算はとれないのだということは、私はしばしば行政官庁から聞くのでありますが、私は先般来数回にわたつてこのことについて意見を申し上げたのでありますけれども、あなた方自身は、予算がとれない、予算がとれないとおつしやるが、予算をとるのは何もあなた方だけじやない。われわれ委員にもどうして協力させてもらえないのか。こういう大事なことであるからもつと予算をくれということを、われわれ委員も結束して、大蔵省なら大蔵省に折衝して、厚生省の予算、ことにこういう社会施設なんかについては、余計とれるように協力したいという意欲を持つておるのだが、それを官庁だけで予算の折衝をなさつて、予算がとれないから、これでがまんせよと言うことは、一方的ではないか。いやしくも民主国会においては、さようなことはあり得べからざることじやないかということを、私は実は申したことがあるのでありますが、林厚生大臣のもとにおきまして、厚生省の方々とわれわれ委員とは、すべてが円満に行つて、厚生省の予算は、社会事業その他いろいろな厚生事業に対して非常によくなつたというふうに、他の省に卒先して、他の省の模範となるような方向に持つて行きたい、かように実は私は念願いたしております。これは決して私の不平でも何でもないのでありまして、林厚生大臣のもとにおいて、厚生事業が円滑に行くことを、国家のために希求するがゆえに、特にお願いする次第であります。
  40. 堤ツルヨ

    堤委員 ちよつと関連して……。私もまつた中川さんと同じことを申し上げたいと思つておりました。厚生大臣は次の質疑応答のときには必ずお出ましになるでしようか。お出ましにならないならば、厚生大臣に対する質問を特別に区切つてやらせていただくことを委員長におとりはからいを願いたいと思います。お忙しい方で、あちらこちらかねておられますから、厚生委員会など捨てられる危険なきにしもあらずでありますから、その点ひとつお願いいたします。それから今中川さんから御意見が出ましたが、ああいうことが與党から出るというのは、実に愉快だと思つて私は聞いておつたのですが、二言目には、生活保護法の改正によつて庶民階級を救つてやるということを、與党は至るところで振りまわしておられる。これは非常に重大な改正法案であつて、オーケーをとつてしまつてから皆さんに審議しろと言つても、予算のやり直しもできない。一言一句改正できないようにしておいて審議をやらせてもらつても始まらない。お前たちが一ぺん審議したらオーケーのとり直しをするというのでなければ、ここで幾らしやべらせても国民のためにならない。だから私は厚生大臣に野党として強く要望しようと思つたら、はからずも與党からこういうお声が出た。そして今までの厚生委員会というものは、大体においてそうまじめにやられておらなかつたらしいですから、これくらいのイニシアチーブをおとりになつたら済んだかもしれませんが、今後厚生行政というものは非常に大切でありますから、そう簡單なものばかり寄つて参りません。私は引下つて簡單に、これをオーケーのままに通すというような審議にしたくないと思つております。この点重ねて私の方からも、中川さんと同じ趣旨のことを要望したいと思つております。大臣がお見えにならないならば、今ここで質問を集めてさせていただきたい、かように考えます。
  41. 林讓治

    ○林国務大臣 ただいまの御趣旨はよく私どもわかりますが、ただそれができることとは思いますが、いろいろ予算をとつたり、あるいはその筋に折衝いたします上においては、実際としてはなかなかむずかしいのではないか。それで平素とくと親しく願つているわけですから、いろいろな点で御要求がございましたら、御遠慮なしにわれわれの方とお打合せを願う。なお御審議いただきました上におきまして、訂正をなさるという事柄については、私ども決してやぶさかではございません。どうかこの点御了承願いたいと思います。  なお私の出席のことでございますが、ちようどいろいろの委員会でぶつかりましたり、何かいたして困りますが、御要求があれば——と言つては語弊があるかもしれませんが、なるべく皆さんのお話は——私は御承知の通りしろうとでありますがために、お答えができませんことは、政府委員の方からお答えをしていただくことにいたしまして、決して私参ることにおいては遠慮をいたしているわけでもありませんし、ほかの本会議その他とぶつかりませんようでしたら、いつでもお招きに応じまして、伺うようにいたしたいと思います。
  42. 中川俊思

    中川委員 ただいま大臣から非常に実のあるお言葉をいただきまして、恐縮いたしたのでありますが、まつたく仰せのように、大体議員は偉らそうなことを言うのですが、不勉強なんです。そこでこういうような問題につきまして、一々議員に相談をしておられたら、手遅れになるということは、実は考えないじやないのでありますが、しかし特に重要な問題につきましては、司令部にお出でになる前に、実はこういうものをやろうと思うのだがということで、せめて理事会ぐらいにでもお諮りをいただいて、こちらの意見もそれに繰入れていただいて、オーケーをとつていただくというようなことに、今後お進みをいただいたらどうかと思うのです。お前らの意向を聞いて、悪かつたら、それは訂正も、さらにオーケーの取直しもできるとおつしやるのでありますが、しかし実際の問題といたしまして、そういうことは煩雑でもありますし、またなかなか当局の方にしてみれば、おつくうになる場合があるのではないかと思うのであります。そこで特に重要な問題等につきましては、でき得るならばひとつ事前に御協議を願いまして、円滑に行くように、これは私は先ほど来申し上げたように、厚生行政だけは、林大臣のもとに一致して、他の委員会のようにけんかをやつたり、わいわいさわいだりしないような方向に持つて行きたい。これは林大臣のお顔をつぶしたくないという私どもの気持から、特にこれを申し上げるのですから、どうか誤解のないようにお願いしたいと思います。
  43. 青柳一郎

    青柳委員 それでは質問を続けさせていただきたいと思います。  次に承りたいのは、生活保護法と未亡人救済との関係でございます。手元に参つております資料の第十三ページによりますと、十四歳ないし十五歳、十六歳ないし二十五歳、二十六歳ないし六十歳という三段があります。それで十四歳から六十歳までのものを拾い上げてみますと、男の方は二十二万生活保護法によつて保護を受けております。御婦人の方はその倍の四十五万という数になつている。これから見ましても、生活保護法が実に婦人救済法であるというようなことも言えると思うのであります。そこで私は御質問いたしたいのであります。これはたしか昨年の九月の御調査であつたと思うのであります。私の記憶にしてあやまちなければ、その当時生活保護法によつて保護を受けている世帶が五十万、その六五%は婦人を世帶主とする世帶、すなわち未亡人世帶が六五%と聞いておつたのであります。しかるに今回與えられました資料の十四ページを拝見いたしますと、このへからちまでの間でありますが、これがいわゆる未亡人世帶であると思います。世帶の数が約五万減つておりまして、四十五万七千世帶と相なつております。そのうち未亡人世帶が四八%、六五%であつたものが四八%に下つているように思うのであります。私どもは、この生活保護法が未亡人救済に非常に役立つものである、政府の他の施策、住民税の軽減において、あるいは母子寮の増設において、政府が未亡人の保護に非常に努めておられることは、うれしく思いますとともに、この生活保護法が未亡人をよく救つていることを喜んでおつたのでございますが、こういうふうにパーセンテージが減つて行くという現象は、いかなるところにその原因があるのか、それについて承りたいと存じます。
  44. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 前に申し上げました要保護世帶の中で、女子世帶のものが六五・七%とありましたものと、ただいまお手元に差上げております資料の被保護世帶の構成区別によりますものとは、意味がかわつておりまして、前の方の六五・七%という資料の方は、全体の世帶の中で女が世帶主になつている家が全部入つております。従いまして未亡人でないものも——未亡人には違いないのでありますが、いわゆる未亡人世帶と考えられないもの、いわゆる子供を持たない女一人の世帶もあります。もう年寄りになつてしまつて、一人になつている女の世帶もあります。そういうものを含めたものが六五・七%でございます。その中で特に考えなければならぬもの、未亡人であつて、子供を抱えておつたり、あるいはこれは未亡人でありませんが、病気の夫を抱えている女の人とか、あるいは不具廃疾の者を抱えている女の世帶といつたようなものが、四八・一%ということがございます。なお女世帶主の数はどちらかと申しますと、逐次ふえて来ているというのが実情になつております。今資料を持つておりませんが、若干ずつふえているように聞いております。
  45. 青柳一郎

    青柳委員 次に伺いたいのは、この生活保護法と失業者との関係であります。この予備審査の際に、共産党の方々の話を聞いていると、非常に間違つた考え方をしておられるのであります。失業すればただちに生活に困る、ただちに生活保護法が発動するというふうなことを考えておられるような言辞があります。私どもはそう考えません。六箇月の間は失業保險によつて給付も受けます。またその後におきましても、財産のある人、ない人いろいろあります。その後に至つて、失業保險が切れてから、次第々々に困つて行つて、ある段階に行つたときに、初めてごの生活保護法の発動があるものと解釈いたしているのでございます。しかるに多数の失業者が今後出て来ることが予知されるのでございます。政府御当局におきましては、どの程度の失業者をこの生活保護法で保護するという点について、数字的な何ものかを持つておられるならば、はなはだ仕合せだと思います。その点を伺いたいと思います。
  46. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 失業者の数につきましては、この前も私申し上げたのでございますが、失業者が何人いるかということは、表面に現われた失業者と、隠れた失業者というものがございますので、この点を的確にいたしますことは、きわめて困難ではなかろうかと思います。たとえば行政整理によりまして、人がある程度整理されたといたしましても、この整理されたものがそれではもう明日から職業につかないで、收入の道が全然ないかと申しますと、必ずしもそういうわけではないのでございます。行政整理の人間の数が失業者の数にすぐなるというわけでもございません。また会社等で整理がありましても、その整理の数がすぐに失業者の数ということにはなりません。結局失業者の数がどのくらいかということは、失業統計を見る以外には方法がないのではないかと思つております。この失業統計によりますと、現在われわれの方で一番信頼の置ける失業統計は、総理府統計局で出しております労働力調査、こういうものが一番確かなものであろうというふうに考えますが、これが最近の状況は、昭和二十四年の初めから現在十一月までわかつておりますが、これまでの状況を見ますと、大体三十万から四十五、六万の間を上下いたしておりまして、必ずしもふえてるという傾向はないのでございます。今後これがどういう上昇傾向をとつて来るかにつきましては、われわれ十分見守つておらなければならぬと存じますけれども、現在のところ、これがどういうふうに上つて来るかはまだ認定できないのであります。これは表面に現われた完全失業でありまして、表面に現われない潜在失業がどのくらいかにつきましては、これは議論になりますし、われわれとして一応の推定はございますが、政府としての見解を発表することはできないのであります。ことにこれは厚生省の担当しております労働省の見解を聞かなければならぬのでありますが、労働省の見解によりましても、的確な数をつかむことができないのであります。一応の事務的な、内部的な資料はございますけれども、そういうものによりますれば、一応失業対策でこれをカバーして行くというのが向うの建前になつております。従つてわれわれといたしましては、これを基礎として施策を立てて行くことはできませんし、この数字を外に出すこともできないという実情になつております。ただわれわれといたしましては、今後失業はある程度ふえて来ることは見込まなければならないと考えておりまして、二十五年度の予算におきましては、その点を若干加味して一応考えているというふうに御了解願いたいと思います。
  47. 青柳一郎

    青柳委員 私は日本の経済力が次第によくなりつつある。従つて一般的には生活保護を受ける人は少なくなる傾向に一応あると考えるのでありますが、そこに生活保護を受ける者が少くならない、あるいはふえて行くという原因の主なるものとしては、失業を取上げて考えなければならないと思つております。そのために結果的に申しますと、生活保護を受ける人がふえて行くだろうと思うのであります。そのふえて行つたときの御用意について聞きたかつたのでありますが、ただいま局長から、その点につきましては用意があるというお話でありましたので安心いたしました。  次に承りたいのは、新しく教育扶助と住宅扶助という制度が行われることになりました。ことに教育扶助におきまして、子女を擁しておる人に今までと違つて、單独にこの扶助のみ與えられるということは非常にいいことだと思うのであります。つきましては、少しこまかくなりまして恐縮ですが、この教育扶助の額につきましてお示し願いたいと存じます。
  48. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 教育扶助につきましては、お手元の資料の二十六ページにあります。その一番左にありますのが予算の基礎單価であります。そのほかに給食費が加わるわけであります。
  49. 青柳一郎

    青柳委員 私はここらで大づかみの質問を終つて、他日こまかい質問をいたそうと存じますが、結局生活保護法が全面的に非常にいい改正ができようとしておりまするが、ただ要はほんとうの実情をにらみつけての運用の点に存ずるので、今後の運用の点に期待するところが大きいのでありまして、この運用の面につきましても、後の機会に充分御当局とともに審議をいたそうと存ずる次第であります。これをもちまして私の質問を終ります。
  50. 丸山直友

    ○丸山委員 生活保護法の中の医療部面について方針だけを伺いたいと存じます。保護費総額の四五%が医療保護であるということは提案理由の説明にもございますが、今度の改正の目的として当然考えられる医療機関の指定制を確立すること、診療方針及び診療報酬が社会保險に準ずること、濫診濫療をなからしめること、これが大体の骨子となつております。それでお伺いいたしたいのは、診療方針は社会保險のそれに準ずるという規定がございますが、社会保險の診療方針と申しますものは、御承知のようにこれは勤労者を対象としたものであり、そうして保險施設でございまして、その医療は当然労働力の回復ということが目標になつて参るのであります。しかるに生活保護法のねらいますものは、最低生活の線をねらつておるわけであります。もちろん医療に区別があるはずはないとおつしやればそうでございますが、しかし医療と申しますものはなかなかデリケートなものでありまして、客観的にその範囲をきめることはむずかしいのでありますが、大方針は最低の医療ということを目標になさるのであるか、あるいは現在健康保險において考えられる診療方針をおとりになるのか、その基本的なものを伺いたいのであります。それから提案理由の中に濫診濫療ということがございますが、私の今まで見ておりますところでは、この規定がなかつたために、最低の診療どころでなく、場合によりますと最高の診療さえも行われておつたということは確かに痛感しておりますから、この方針を示されることは必要だと思いますが、濫診と申しますことは患者のふえるということでありますが、必要のない者が診療を受けるはずがないのでありまして、これが強化される場合におきましては、診療を受ける機会が制限を受けるように聞えまして、ひがみやすい、そういう生活状態にある人たちにとつて、不幸になりはしないかと思います。そこで生活保護法独自の診療方針というものをお考えになる必要があるのではないかと思います。この法案の内容におきましても、散漫でありまして、五十二條におきましては、国民健康保險が行われておるときは、その診療方針を使われる場合にもありますし、それがない場合には健康保險法が使われる場合もありますし、またそれによることができなければ厚生大臣の定めるところによるというように、非常にまちまちになつております。国民健康保險の方針と同じであるとおつしやるかもしれませんが、御承知のように国民健康保險は保險者が区々になつております。地区ごとに多少診療の方針の差異があるのであります。その差異のある国民健康保險の診療方針を用いましたり、あるいは健康保險の診療方針を用いましたり、あるいは根本理念において違つておるところの保護法の診療方針というものは、その間に少し食い違いがあるのではないかと考えますが、これについてどういうふうにお考えになりますか。
  51. 木村忠二郎

    ○木村(忠)政府委員 ただいまの点は一応現状と大差のない方針をとつておるわけでありまして、ただこれを法文上明かにしたということになるかと思います。もちろん御指摘の通り、生活保護法におきましては最低生活を維持するというのが目的でございますから、その医療内容につきましても、むろん最低程度の医療に相なる。これは当然のことであると思つております。従いまして、これが最高のものになるというようなことはないようにしなければならぬと思います。ただ最低のものが、不完全な医療であつてはならないということも当然であろうと思います。そういうような趣旨からいたしまして、一応現在のところでは、国民健康保險の診療方針によるのが一番適当であろうと思います。ただ国民健康保險を施行しない場所もございますので、やむを得ない場合は健康保險の例による。かようなことにいたしているわけであります。
  52. 丸山直友

    ○丸山委員 こまかいことはまた将来お尋ねいたします。
  53. 堀川恭平

    堀川委員長 それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後零時二十一分散会