○
八嶋政府委員 私
建設省都市局長の
八嶋でございます。一昨日私
ども熱海市の今回の
火災の
状況視察並びに
熱海市の
復興計画とい
つたようなものにつきまして、何か御
援助すべき点があれは御
援助をしたいという気持をもちまして、実は
住宅局長と私と
参つたのでございます。
住宅局長の
お話の点は私
どもの方で触れないことにいたしますが、大体
都市局関係から見ました今回の
熱海市の問題につきまして、
簡單に
お話を申し上げておきたいと存ずるのでございます。そのことがまたこの
法案を御審議くださいますにつきまして、非常に御参考になることだろうと存ずるのであります。あるいは
提案者の方から今回の
被害の
状況につきまして、御
説明があ
つたかもしれませんが、重複になる点がありましたならば、失礼を申し上げたいと思います。
新聞紙上においてもすでに御
承知の
通りに、
最初駅前が十日ほど前にやられまして、これは四月三日だ
つたと思
つております。それから四月十三日に
熱海銀座と言われておりますあの附近からずつと
市役所、あの一帶に
大火があ
つたのであります。午後の五時三十分に
海岸埋立ての
工事場から発火いたしましたものが、強風にあおられまして、
市街の西部に
延燒いたしたというような
現状であります。その燒失の面積は約五万坪と言われておるのでございます。
被害の戸数は
世帶数といたしまして、民家が千四百六十五世帶、
公共建物としましては
市役所を初め公会堂、
警察署は火がやはり入
つております。
消防署、
温泉会館とい
つたようなものを燒き盡しておるような
現状でございます。今回の
火災の問題につきますいろいろな
原因は、濕度とかあるいは風速とい
つたような点もあるだろうと思うのでございますが、私
ども都市計画の面から見まして、この
熱海市の
大火の諸
原因はやはり
相当にあると思うのでございます。と申しますのは、すでに御
承知の
ごとくに
熱海市は従来しばしばありました
大火にもかかわりませず、合理的な
都市計画が実は立案されていないような
現状でございます。
従つて市街化がきわめて無秩序に行われておりますために、
街路の
幅員が非常に挾いというだけではなくして、
街路系統もきわめて無秩序であるというような
現状でございます。
消防署の
方々にも
消防活動の
点等をつぶさに承
つたのでございますが、御
承知の
通り非常に
幅員が狭いので、
消防自働事を走らせようと思いましても、
相当人がたくさんおりますので、あの
街路の
狹いところを
消防自動車はほとんど
通り得なか
つた、現場にかけつけるまでには
相当の時間を要したというようなこと、それから非常に道幅が
狹いために
自動車を置くというようなこともできない、
従つてまたほかの方から御
援助がありましても、その
系統が立
つておりませんので、
自動車をそこへ配置することができないというような点が、今回の
大火を招いて来た大きな
原因であろうと思うのであります。それから
市街化がきわめて無秩序に行われておりまするために、
建築の密度が著しく過密である、
地盤高が一様でないというようなことのために、
建設物が錯綜をきわめておる。しかも
延燒、飛火がこのことを助長いたして参りまして、
従つて消防活動もこれによ
つて阻害されたということが言えるだろうと思うのであります。水の問題は上水道、
貯水源の水量とか、水圧は十分ではありますけれ
ども、
配水管等が腐
つてお
つたり、あるいは管が非常に過小であるということのために、水が十分であるとはいいながら、十分にそれが使用されておらないというような点もあるのでございます。
貯水槽も三、四十トンのものは少数ありますけれ
ども、これも容量は非常に僅少である。それからとりわけて
道路の
幅員が非常に
狹いというようなことのために、これも有効に働いておらなか
つたというような
原因があるのでございます。こうしたような点が、今回の
都市計画上の立場から見まして、私
どもはこの
大火を招いた
原因であろうと思うのでございます。従いまして、今回の
復興計画等にいたしましても、再びこうした
大火を起さないようにして行かなければならない。また
提案者からは
国際観光文化都市とい
つたような
構想もおありでありますので、市御
当局の方におかれましても、
都市計画につきまして、非常に頭を悩ましておられる
現状でございます。それにつきましては、実は一昨晩私
どもの
方面では、県並びに
市当局の者と懇談をいたしまして、
南北に
糸川、初川という二つの小さい川がございますが、そこに
一つの緑地公園的なものをつくりまして、
防火帯をつく
つて行こうという
考え方がまず
一つ一そしてその
川等ももう少し水を入れまして、所々に貯水池的なものを設けて
行つて、将来の
防火上に備えて参りたいというようなことを、まず
構想といたしておるのでございます。それから
幹線といたしましても、現在は東西には
海岸通りに十五メートルの
道路が
一つございますが、もう
一つ駅から
市役所に至りますあそこに、大きな
幹線道路を入れたいと思
つておるのでございます。実はまだ
市会方面とも十分に
打合せを遂げておりませんで、
緊急対策委員会というようなものがございまして、昨日市並びに県と私
どもの
方面と
打合せを遂げました案の御
説明を申し上げたのであります。だから案としてお聞き願わなければ、まだ決定したということにはな
つておりませんので、その点御了承願いたいと思います。実は小さい
図面ではなはだ恐縮でございますが、
簡單に
図面を御
説明申し上げます。よくおわかりにならないかもしれませんけれ
ども、紫色でとりましたところが、十四日における
燒失区域でございます。
あとは
駅前のところが多少ございますけれ
ども。……今回私
どもで
考えましたのは、今申し上げました
糸川、発川を中心にいたしまして
防火帶を
りくつてこの両方には六メートルずつのいわゆる
街路をうく
つて行こう。緑地帯的にひ
とつ考えて行こう。そうしてこの町をとにかく三つに細分してしまう。それから
幹線街路といたしましては、この
海岸通りの十五メートル、これはそのまま一応認めて行く。それから駅の方から
市役所の方へずつと参ります。これを大体十二メートル、現在は広いところで九メートル、狭いところで六メートルぐらいしかない
道路にな
つておるのでありますが、燒けないところは別といたしまして、焼けたところを大体十二メートル、これは御
承知の
通りあそこは
歩車道の区別がありませんので、少くとむ
最小限度の
歩車道を設けたい。
自動車が非常に錯綜して参りますので、
人道がないという二とは非常に
交通上の危險もありますし、また先ほ
ども申し上げましたように、まさかの場合におけるいわゆる
自動車の
交通上非常に支障を来すというような
意味をもちまして、
最小限度十二メートル
——実は九メートルの
幅員の
車道をつくりますと、
都市計画の
要請といたしましては、
人道に大体三メートルぐらいずつの歩道を設けたいのであります。
従つて十五メートルの
幅員を、
都市計画の
要請といたしましては
最小限度要求するつもりであります。しかしここは非常に
土地も高いところでございますしいたしますので、その
最小限度の要求を割りましても、十二メートルぐらいの
道路はつくりたいというのがこの
路線でございます。それから
南北といたしましても大きな
幹線、この来宮の方に参ります
路線も大体十二メートル、それから梅林の方に参りますこの
路線も十二メートル、
あと大きな
銀座通りあたりは大体九メートル、現在は八メートル
程度でありますが、これを大体九メートル
程度にや
つて行きたい。それから
駅前の方は、
駅前から大体四十五メートルぐらいの広場をつくりたいというような
構想なんでございます。それで行きますと、それをまずどういうような
方法においてやるかという問題でございます。この
事業の
施行の
方法でございますが、まずこの
街路とか、そういうものをとりますために、市が買収をするという
方法も
一つございます。しかし第二の
方法は、
区画整理によ
つてそういうものを編み出して行くというような
方法があるのでございます。従来こうした
火災等の場合におきましては、
最初とつつきの早いのは、
街路に当るようなところを
買收してしまう。
公共区域のようなところを
買收してしまうというような
方法が一番早いのではないかというふうに
考えられるのでございますが、しかしそうな
つて参りますと、その
買收の地点に当
つた者だけが非常に大きな
犠牲を払わなければならぬ。もちろん金はもら
つても、
土地が非常に高いところでございますので、なかなか
買收はむずかしいというのが、今までの
火災の場合の実情なんでございます。
従つて犠牲を負うならば、全体がいわゆる均等に負
つて行こうというような
方法が、まずとらるべき
処置だろうと思うのであります。従いまして、そういうような
意味におきましては、
区画整理というような
方法においてやるのが妥当だろうということに、大体県も
市当局も腹が一致いたしたのでございます。つきましては、市御
当局から、ことに
市会の
方面等の御意向といたしましては、早くひ
とつ建築線の
指定をしてもらわなければならぬ。それが
区画整理等をや
つておると非常に遅れるというような
お話がありましたが、実はそういう
意味をもちまして、一応の案でございますけれ
ども、先ほど申し上げましたような案に基きまして、私
どもの方が一晩徹夜いたしまして、
一つの案を作成いたしたのでございます。それによ
つてはちやんと
建築線も
指定いたすことができますし、ただ
区画整理によりまして多少の
換地の必要はございますが、できるだけ
原地換地をやるという
方法でございます。しかし、多少
移転換地もしなければならぬと思うのでございますが、これらも
一つの
ブロツクごとにわけまして、
あとは
建築者の協議でやらすということで、
一つの案はもちろんこちらの方で用意いたしておりますが、とにかく
建築線を
指定しなければまたもとのような
住宅ができるということで、実は昨日
緊急市会の
方面にもこの案を提示いたして、御承認を得るならばさつ
そく建築線の
指定を本日からでもとりかかるということの
処置をと
つていただきたいと
お話をしおていたのでございますが、事は非常に重大でございますので、本日いろいろと
市会の
方々も東京においでになられまして、本日緊急の
市会を都においてお開きになるというような
お話も伺
つておるのであります。私
どもといたしましてはできるだけ
建築線。
指定をすみやかにや
つて、そうして無用な摩擦を避け、無用な
費用を捻出しないということにいたして行きたいと
考えておる次第でございます。
以上
簡單でありますが、御
説明申し上げます。