○小松
委員 私は民主党を代表いたしまして、ただいま上程されてありまする
熱海国際観光温泉文化都市法案、
伊東国際観光温泉文化都市法案に賛成の意を表するものであります。両
法案は去る日衆議院を通過いたしました別府
国際観光温泉文化都市法案とその
内容を同じくし、目的を一にするものであります。古くからして、西に別府、東に
熱海、
伊東と並び称せられました
温泉都市であり、東京の奧座敷として知られている地であります。終戰後
国際観光の重要性にかんがみまして、従来の国内観光より飛躍して、新たなる構想による
国際観光温泉文化都市を
建設するためには、現行の
都市計画法でいうところの
都市計画の範囲外に及ぶ
施設が多いのであります。先ほど砂間君から具体的の
施設いかんというお問いがあつたのでありますが、私をして言わしむるならば、
国際観光ホテルをつくるとか、あるいは
温泉会館をつくるとか、
ゴルフ場、美術館スポーツ・センターを新設するということも、これらの中に含まれる
計画であるのであります、
熱海、
伊東の観光資源を開発いたしまして、文化
施設をこれから拡充して参りますのには、大いに衆知を集めたところの
計画施設をしなければならぬと思
つているのであります。そういう意味よりいたしましても、ただ單に
都市計画法だげでなくして、
都市計画法に含まれるその範囲以外の
施設をなすには、本
法案が必要であることを私は認めるものであります。わが国は戰争によりまして多くの領土を失いました。今や四つの島に八千万の人口は閉じ込められて、いかにして生きるかが切実な問題であります。ことに生産資源が乏しく、輸出産業も資材の多くを海外から輸入しなければ成立たないようなわが国におきましては、将来輸出の超過ということを夢みることは困難だと
考えるのであります。従いまして貿易外の勘定において外貨を獲得する道は、わが国の国柄といたしましては観光資源を開発して、
国際観光事業により外貨を獲得することが、きわめて適切なる方途であり、国策でなくてはならぬと
考えているのであります。か
つてアメリカでさえナイヤガラの滝を産業に利用するならば、わずか三、四千万ドルの値打しかないが、これを観光に利用するならば、優に一億万ドルからの値打があるという言葉を思い起したときに、いかに観光がその経営と
施設がよろしかつたならば、
国家経済の
復興に役立つかということが明らかだと存ずるのであります。観光資源を開発し、風致、
温泉を資本化することは、まさに産業の一部門だと存ずるのであります。わが国にはわが国独特の風光と、こんこんとして盡きざるところの
温泉資源があるのであります。これらの資源と風光を資本化して、世界の客を引くことは、観光国として利するだけでなく、彼我の文化の交流、国際親善に貢献するところきわめて多いものがあると信ずるのであります。けだし同じ観光事業でも、従来のごとき国内観光と
国際観光とは、その重要性において格段の距離があることは、およそ想像にかたくないのであります。観光事業を振興するためには、
施設の面だけでなく、もちろん観光思想の普及、あるいは国民の教養を高めることもその一翼をになうものでありますけれ
ども、文化の高い国民をわが国に観光客として誘致するのには、交通、衞生
施設等、国際
都市にふさわしい観光
都市を
建設することが第一要件だと存ずるのであります。
熱海、
伊東におきましては、それぞれ権威者の手によ
つて観光
都市計画案が立
つておるのであります。
熱海のこのたびの
大火に際しましても、この
国際観光都市法案の
精神にのつと
つて、
復興計画を立て、昨日その
都市計画案なるものが確定いたしたのであります。ただ陸上のみならず海上に対しましても、
熱海はすでに運輸省より
国際観光施設の指定を受けているのであります。
伊東はまた海上
公園として、伊豆七島に渡航の地として、知られております。両市の海陸の観光
計画が完成したあかつきには、国内産業はもちろん、経済文化に寄與するだけでなく、わが国における近代
都市として観光
日本を形成するに裨益するものがあると存ずるのであります。私はかような意味よりいたしまして、フランスの観光政策を見、あるいはドイツの観光政策を見、あるいはスイスの観光事業を見れば見るほど、わが国の
国際観光事業の重要性を認識いたしておるものであります。かような見地よりいたしまして、本案をすみやかに通過せしめ、そうして観光
日本の
建設のための発足たらしめんことをこいねがうものであります。
以上の理由をも
つて本案に賛成するものであります。