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1950-04-11 第7回国会 衆議院 建設委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月十一日(火曜日)     午前十一時開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 江崎 真澄君    理事 久野 忠治君 理事 内藤  隆君    理事 前田榮之助君 理事 天野  久君    理事 砂間 一良君 理事 笹森 順造君       池見 茂隆君    今村 忠助君       瀬戸山三男君    西村 英一君       宮原幸三郎君    八百板 正君       小松 勇次君    増田 連也君       深澤 義守君  出席政府委員         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君  委員外出席者         建設事務官         (住宅局住宅企         画課長)    前田 光嘉君         参  考  人         (都市不燃化期         成同盟事務局         長)      古賀 英正君         参  考  人         (全国建設業協         会会長)    安藤清太郎君         参  考  人         (都南消費組合         長)      坂野 武雄君         参  考  人         (神奈川県知         事)      内山岩太郎君         参  考  人         (日本銀行理         事)      井上 敏夫君         参  考  人         (東京尾久民         生事務所長)  西  森義君         参  考  人         (評論家)   阿部眞之助君         参  考  人         (労務用物資全         国協議会幹事社         会保障制度審議         会委員)    吉田 秀夫君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  住宅金融公庫法案内閣提出第一五二号)  参考人招致に関する件     —————————————
  2. 淺利三朗

    ○淺利委員長 これより会議を開きます。  住宅金融公庫法案を議題といたします。  申すまでもなく、わが国の住宅難はきわめて深刻であります。なかんずく都市住宅難は、終戦後四箇年を経た今日においても、欣然として緩和されず、国民生活の安定上放置することを許さない状態にあるのでありまして、住宅建設を促進し、全国民に必要なる最小限の住宅をすみやかに確保するため、住宅建設資金供給に関し、国家において強力な施策を講ずる必要があるのでございます。かかる意味合いにおきまして、今回政府より本案を提出せられたのでありますが、本案重要性にかんがみ、特に本日は参考人方々を招致いたしまして、意見を聴取し、もつて本案審議の貴重なる参考資料といたしたいのでございます。本来公聴会を開くべきでありますが、時日の切迫のために、参考人形式をとつたのでありますが、実質的には公聴会とかわりがないのであります。  参考人方々は、本日御多忙中にかかわらず特にお繰合せくださいまして御出席いただき、まことにありがとうございました。本日出席予定参考人方々は、土屋清君、朝日新聞講読委員藤田進君、電産労組委員長安藤清太郎君、全国建設業協会会長古賀英正君、都市不燃化期成同盟事務局長井上敏夫君、日銀理事内山岩太郎君、神奈川県知事阿部眞之助君、評論家坂野武雄君、都南消費組合長池邊陽君東大助教授、新日本建築家集団西森妻君東京尾久民生事務所長、以上の方々でございます。ただいま御出席方々は、古賀英正君、安藤清太郎君、坂野武雄君が見えております。  参考人方々に申し上げますが、時間の関係上、一人当り大体二十分程度お願いいたしたいと存じます。なお委員諸君に申し上げますが、簡単な御質問参考人の御発言の直後でよろしいのでありますが、まとめての御質問は、まず午前の参考人全部の御意見を聴取した後にお願いするよういたしたいと思いますので、御了承願います。  それではこれより参考人の御意見を聴取いたします。まず古賀英正君にお願い申し上げます。
  3. 古賀英正

    古賀参考人 私都市不燃化同盟古賀でございます。私の申し上げます意見は、都市不燃化同盟立場から申し上げますから、あるいはほかの方々から考えられますと、いささか矯激に過ぎるような議論があるかもしれませんが、私ども立場としてこういうことを申し上げるのだということを、あらかじめ御了解を得たいと思うのであります。  そこで、まず本法案に対する一般的な御意見を申し上げ、それから引続き本法安の各條項についての意見を申し上げたいと思うのであります。まず一般的に申し上げますと、われわれの根本的な要求といたしましては、この百五十億の金を、できるだけ都市不燃化のために使つていただきたい。つまりこの公庫の発足を機会として、都市不燃化の第一歩を踏み出していただきたいということであります。御承知のよろな窮乏した財政から、百五十億という貴重な金を出すのでありますから、この資金永久に残るような方法において投資されることをまず要求いたしたい。火事で焼けてしまう、風水害にやられてしまう、二十年もしたならば全部なくなつてしまうような形において、投資されるのではなく、永久に残るような形において、つまり木越住宅ではなくして、不燃住宅に全部投資されることを、われわれとしては根本的に要求したいのであります。消防庁の調査によりますと、昨年中に焼け失せたところの建築物は、坪数にして九十一万八千坪、金額にいたしますと、その損害は二百六十九億七千万円に上るということであります。実に甚大なる損失を、木造であるために受けている。戦前から家は三年と申しまして、家を建てて三年たつたら、そのうちに全部焼けてしまうかもしれないということで、採算その他を考えて建てておつたようであります。三年というのは少し極端でありますが、かりに函館市の例をとりますと、商館の焼失を数年欄にわたつて調べたのであります。そうすると、函館市は大体二十五年間に全市が全部焼けてしまう勘定になるのであります。この割合で行きますと、函館市に住んでいる人は一生のうちに二回全財産を蕩尽してしまうという運命のうちに暮しているのであります。これは函館一つではないのであります。日本全国都市みんな同じ状態に住んでいる。しかもこういうふうな都会において火事が起つた場合、常に火事原因としてあげられますのは、折から烈風何メートルであつた、あるいは消防力不足しておつた早天続きでかわいておつたということが、原因としてあげられるのでありますが、私どもの方から申し上げますならば、これらはいずれも大火災原因ではないのであります。大火災根本原因は、建物木造であるということ、これが根本原因であります。しかるにこの原因があまりに大き過ぎて、あまりにあたりまえ過ぎるものでありますから、これを忘れてしまつて、ほかに原因を求めている。根本原因木造である。もし建物がすべて不燃建築であつたならば、たとい女中があんかをひつくり返したとか、電熱器をどうしたとか、折から烈風がどんなであろうが、おそらく一間かあるいはただの一軒の建物が焼けるだけで、全市が総なめになる、あるいは繁華地帯が一挙にして灰燼に帰するということは、絶対にないのであります。  そこで私の申し上げたいことは、このような惨禍を避けるためにも、この符五十億は全部不燃建築に対して投資していただきたい。承るところに上りますと、建設当局においては、大体この資金をもつて八万戸の住宅を建てる予定を立てているということであります。これは私の聞き違いかもしれませんが、しかし私をして言わしめますならば、八万戸という数に必ずしも拘泥する必要はないのであります。かりに八万戸建てたとしましても、今申し上げましたように火事で焼けたり、風水害でくずれてしまう。たとい火事風水害の難を免れたとしましても、十年なり、二十年なりしましたならば、耐用年限が来て壊滅してしまうのであります。少くとも住んで行くためには、新築とほぼ同じような補修を行わなければならないということは火を見るよりも明らかなのであります。しかるにこの八万戸という数に拘束されることなく、たとい戸数が六万戸に減り、あるいは五万五千戸に減つたとしましても、これを不燃建築でつくりましたならば、二十年たつても三十年たりても大体そのまま残つて行きます。せつかく窮乏財政から百五十億という金を出すのでありますから、二十年後にはゼロになつてしまうような金の出し方をしないで、それが二十年たつても三十年たつても、投資として厳として残つて行くというような建物をつくつていただきたい。それが私どもの根本的な要望であります。もちろん現在住宅が非常に不足しております結果、国民諸君不燃住宅というようなぜいたくなことはいらない、とにかく屋根と畳さえあれば木造でも何でもよい、家がほしいという切実な希望を持つていることは当然であります。しかしながら、いやしくも国政の衝に当る方々は、このような切実ではあるが、しかしながら近視眼的な要求に動かされることなくして十年、二十年、三十年の後を見通したところの根本的な住宅対策を立てていただきたいということをお願いしたいのであります。要するにわれわれの要求するところは、その百五十億を住宅の応急的な施策のために投ずるごとなく、住宅の恒久的な施策のために動かしていただきたいということが、われわれの根本的なお願い一つであります。これは従来私ども不燃同盟おきましても、しばしば建設当局に進言いたしましたり、また国会にも進言いたしておる次第でありますが、あるいはお聞きの方々はもう事にたこができるとおつしやるかもしれませんが、われわれとしては目的達成までは何百万べんでもこれから申し上げるつもりでおります。全般的なわれわれの見解はこの百五十億を全部不燃住宅にまわしていただきたいということでありますが、次にこの法案個々條項にわたつていささか意見を申したいと思います。  この法案個々條項にわたつて意見を申しまするためには、この法文だけでは不十分でありましてこの法文を具体的に行う場合、一体どういうふうにして行うかという施行細則が示されなければ、これに対して精密な具体的な意見を申し上げることは不可能であります。しかしながら現在どういう具体的な施行細則、もしくはその法文の中にあります主務省令によつて定める、あるいは主務大臣が決定するとかいうようなことが、どういうふうに決定されるか、私は存じておりません。従つて具体的に批評はできませんし、また現在の状態で具体的な批評を申すことは失礼かと思いますが、少くともその法文に現われた限度内において、私の解するところに従つて意見を申し上げたいと思います。  まず第一は、第十七條でありましたか、融資対象の問題、融資対象につきまして、私どものまずお願いしたいことは、なるべく融資対象を大幅にとつていただきたい、これはあまり厳密に解することなく、できるだけ多くの人に貸していただきたいということであります。たとえば融資対象を考える場合に、住宅のない者に貸すということがおそらく一つ條件になると思いますが、しかし住宅を持つていないという者ばかりでなく、たとい現在住宅に休んでおりましても、それがはなはだしく不当な條件のもとに、妥当ならざる條件のもとに住んでいる者に対しては、これはやつぱり融資対象にしていただきたい。現在住宅不足は三百六十万戸と称せられておりまするが、このうちには住宅を持つていない者のほかに、たとえば片道二時間以上往復四時間も毎日通勤に費しておるというような遠距離通勤者が二十数万世帯を数えております。さらに、家はなるほどあるけれども、朝晩に、出て行つてくれ、立退いてくれと言つて、はなはだ不愉快な要求を受けて、おちおちと暮しておられないような状態のものが、これまた二十五万戸に上るということであります。さらに大豊一間に四人以上住んでいるというような、おそるべき過密状態の中に住んでいる者が二十六万世帯、そのほか非衛生的な状態、あるいは破損はなはだしく、すでに耐用年数を過ぎた家に辛うじて住んでいるというような、きわめて不適当な状態に住んでおる者がありますが、これに対しても家を持たない者と同様に貸していただきたい。こういうものに、お前はとにかく家に住んでいるのではないか、ぜいたくを言うななどと言わないで、こういう人たちにも貸していただきたい。これが対象についての第一のお願いであります。  第二は、十七條に三つの対象が載つておるようであります。その第三番目になつておりますが、この三番目を法文の上で拝見いたしますると、住宅賃貸会社その他の、法人に対して貸し与えるということが書いてある。この文面だけ見ますると、一般住宅供給会社にも貸していただけるようでありまするが、しかしながら後の第三十五條という制約條件がありまして、三十五條によつて賃貸家賃家賃統制令の定むる以下の限度に低く押えられるようであります。従つて採算関係上、一般民間住宅供給会社は成立しないということになります。おそらく府県市町村その他の公共団体が一部出資をするところの特殊な会社が特にこの不燃アパート建設するということになるのではないかと思われるのであります。しかしながら御承知のように現在都市において最も理想的な庶民住宅不燃アパートであります。この不燃アパート府県の出資するところの特殊会社だけにまかしておいて十分に建つかといえば非常に疑問があると思うのであります。こういう庶民住宅としての不燃アパートは、現在いくらあつても足りないのでありまして、決して都市特殊会社にまかして足りるものではないのであります。もし民間会社においてこれをつくるものがあつたならば、どんそれ認めてやればよいと思うのであります。ただ法文上で認めるぽかりでなく、実際採算上成立するように認めてやらなければならぬ、と申しますのは、第三十五條において家賃統制令以下に定めるということは受けとれないのであります。少くとも家賃統制令限度までは十分認めてやつてよいのではないかと思うのであります。都市の援助する特殊の賃貸会社において、限度以下に安く貸してやるということははなはだけつこうでありますが、しかしそれ以上出してもとにかく不燃住宅に住べたいという人があつたならば、そういう人に供給する会社は、これを認めてやつてさしつかえないのであります。たとえ統制令限度まで家賃を認めたとしましても、本法によりますると耐用年限は三十年、家賃統制令は六十年でありますから、この点で非常に不利を甘さなければならぬ。なおかつ民営の会社を建てようという者がありましたならば、これを十分認めてやつてさしつかえないと思うのであります。これに対しまして従来承つております反対論は、民間住宅供給会社を認めるということは、中間搾取を容認することになるからいけない。こういう御意見でありますが、これははなはだ受取れないことであります。暴利をむさぼるならばけしからぬと言えましようが、家賃統制令の範囲内で正当の家賃をとつて行くならばさしつかえない。もしこれを中間搾取と言うならば、一切の取引は全部中間搾取ということになるのでありまして、特にこういうことを申しますのは、一般資本主義を認めておりながら、この際特に中間搾取を云々するのは当らない議論であると思うのであります。  第三には不燃アパートにつきましては、本案條文によりますると、賃貸形式だけを認めているようでありますが、不燃アパートについても分割所有を認めていただきたいと思うのであります。分割所有をしようという者に対しても金を貸してもらいたい。もちろん不燃アパート分割所有ということになりますと、共通部分——廊下とか、階段とか、土地とかいうものについて問題が起るようでありますが、これは共同登記という方法によつて問題は解決できるのであります。こういう方法によつて解決して、下燃アパート自分の住んでいる部屋自分のものにしたいという人に貸してやつていただきたいと思うのであります。これは賃貸の場合に比しまして、個人に所有せしめますと二つの利点があるのであります。一つは人間の本性として、借りているものは大事にしないが、自分のものは大事にするのであります。特殊なる公共団体からアパートを借りて住んでいる人はあまり部屋を大事にしない。ところがこれが自分のものだということになれば、非常に大事にする。従つて保存上きわめて有利であります。  それからもう一つは、いかなる形においても賃貸機関というものがある以上、その賃貸機関費用というものは毎月借りている人におつかぶさつて来るのであります。これは安いにしても、結局それは税金として間接にかかつて来るのであります。いずれにしても管理機構費用というものが賃貸者にかかつて来るのであります。これが自己の所有に帰するならば、そういうふうな費用がいらないわけであります。こういう点から考えまして、私はアパート分割所有というものを認めていただきたいと思いますが、アパート分割所有ができるということになりますと自分所有部屋を持ちたいとか、アパートを建てようと思う人が何へかあつても、お互いに知らない同士でありますから、従つてこれが集まつて一つアパートを建てることは困難であります。そこでアパートを建てようという建設代行機関を認めていただきたいのであります。建設代行機関に対して銀行が金を貸してやる、そしてこの建設代行機関が一切の建設業を代行してアパートを建ててそうしてアパート分割所有したいという人に対して引渡す、そうすると公庫に対する債務が同時に住居者に対して肩がわりするという形をとればさしつかえないと思うのであります。この場合ブローカー的な代行会社の出ることが予想されますが、それは資金構成あるいは重役陣構成、あるいは経営の方面に対して十分監督をすれば、十分不正は防ぎ得ると考えるのであります。  第四に対象の問題として申し上げたいことは、産業住宅もしくは職場住宅に対しても貸していただきたいのであります。現在職場において、いすの上に寝たり、炊事場のすみに床を敷いて寝ている者が十四万人に上るということを聞いております。しかして住宅がないために、失業防止のための職場転換を行おうとしてもそれができないという場合がしばしばある。また非常に遠距離から通つておるために、労務者の能率が上らないということをしばしば述べられております。従つて職場住宅に対して貸していただきたいのであります。これは組合をつくればいいじやないかという議論もありますが、そうするとその会社をやめたり、転勤した場合いろいろめんどうが起る。それよりも一括してその産業会社に貸してやつたら、きわめて簡単に片がつくのではないかと思うのであります。これに対しても、産業住宅を認めるということは、産業会社に勤めておる者に特殊な利益を与えることになるから、不公平だという見地から反対論があるということを承つております。しかしながらこの反対論は当らないものと思うのであります。現在住宅不足は三百六十万、一戸に五人とすると、実に一千八百万人の問題であります。これはすでに個々の問題でなく、国民全体の問題であります。住宅問題は、警察、衛生、教育の問題と同じであります。もしこの場合、特殊の産業会社に金を貸すのは不公平であるというならば、自分の出した税金学校を建てて子供を教育しておるが、自分には子供がない、学校に行つておらぬ、これは不公平だということになる。あるいは、やはり税金で警察官を養つておる、しかし自分の家にはどろぼうが入つたことがない、これは不公平だということになる。しかし、そういうことは成立しない。決して特殊な問題ではないのであります。この点からこの反対論は私は成立しないと思う。以上は十七條融資対象についての問題であります。  次は二十條であります。二十條にあります標準建設費あるいは標準地価というものは、一体どのくらいに決定されるのか存じません。たびたび新聞などに出ましたが、始終かわつておりますので、いずれに決定せられるのか存じませんので、これについての意見は申し上げられませんが、これについて、この條文によりますと、七五%以下の融資をすることになつております。七五%以下というのはどういうことかわかりませんが、これも私の承りますところによりますと、あるいは私の考え違いかもしれませんが、十坪の家に対しては七五%貸してやるが、十五坪、十八坪の家に対しては七〇%しか貸さぬというような御意見のように承つております。しかしこれははなはだ理解しがたいことでありまして十坪に七五%貸すならば、十八坪、二十坪に対しては八〇%、九〇%貸していただきたいのであります。なぜならば、十坪というのは、最低限の家でありまして、第一條に規定しております健康にして文化的な生活を営むに足る家では決してないのであります。専用家の研究によりましても、普通の四人牛の標準家族の住めるところの文化的な住宅は、二十坪くらいが最低限になつております。しかしわが国情においてはこれができないから、十坪、十五坪、十八坪でがまんしようというのであつて、これをぜいたく視して、七五%貸してやらない、七〇%しか貸してやらぬというのは不審な見解でありまして、むしろ本法の第一條意味に即せば、十坪以上の、十五一坪、十八坪、二十坪の家を建てて、標準的な文化的な住宅に住もうとする者に対しては、より以上多く貸してやつていいのじやないかと思うのであります。同じ見地から、貸付率についての問題でありますが、不燃住宅木造住宅に対して同じく七〇%を適用することに対しても反対したい。私ども不燃建築に対しましては特殊な助成金制度を設けていただきたいぐらいに思つております。木造不燃との差額に相当するくらいのものを助成して、それによつて不燃建築を促進してもらいたいくらいに思つておるのであります。現在は不燃建築についての助成金制度がないのであります。その制度にかわる意味におきましても、木造に対して七割五分ならば、不燃建築に対しては八割とか九割とか、よけいに貸していただきたいのであります。  それから貸付時期の問題でありますが、一体金を貸してくださるのはいつのことであるか。木造については棟上げのあとに第一回を貸してくれるということでありますが、不燃建築についてはいつ貸してくれるわけですか、なるべく早くしていただきたい。少くとも基礎工事の完了したときに第一回の貸付をしていただきたいと思うのであります。  次は第二十一條であります。貸付利率並びに償還年限の問題であります。貸付利率は五分五厘となつておる。現在の状態で五分五厘は非常に安い金利ではありますが、しかし借りる側の住民の月々の負担から申しますと、五分五厘でも必ずしも軽いとは言い得ない。できればわれわれとしては三分くらいにお願いしたいのであります。せめて四分くらいにしていただきたい。見返り資金を四%くらいの率で使つておる例はほかにもあるのであります。できるだけこれを低くしてなるべく毎月の住民負担が少くて済むようにしていただきたい。同じことは償還年限についても申し上げられるのでありまして、これが簡易耐火構造については二十年、本格的な耐火構造については三十年としてありますが、これをおのおの三十年、六十年くらいにしていただきたい。家賃統制令では本格的な耐火構造は六十五年まで認めておりますから、その程度に延ばしていただきたい。貸付利率を下げること、償還年限を長くすることによつて、毎月の負担を少くしていただきたい。もしこの両方がぜいたくならば、どちらかでも認めていただきたいと思うのであります。  次は第二十二條であります。第二十三條において、本法の業務を銀行その他の金融機関に委託するということが書いてございますが、その他の金融機関の中に、できれば損害保険会社を入れていただきたい。損得保険会社は御承知のように代理店が非常にあり、住宅不燃ということについては特殊な利害を持つておる。いろいろな点において本法の窓口とするにきわめて適当な機関でありますから、これをぜひ加えていただきたい。これに業務を取扱わせることにしますならば、その家屋が不燃性を持つて行くということを監督して行く上におきましても、あるいは家賃を毎月取立てる上におきましても、いろいろな点で便宜があるのではないかと考えるのであります。  それから二十四條以下の問題でありますが、あるいはむしろ省令において定めるという範囲に入るかもしれませんが、手続の問題に入ります。ことに出願をいたします場合に設計書を備えて提出しなければならないと思うのでありますが、一般の人々が家屋の設計書までつくつて出すということはなかなか困難であります。もし専門家に委嘱しますと何らかの料金をとられる。せつかく料金をとられて出したものが、貸してくれないということになれば、全損になるおそれが多分にありますから、これは第十七條本法の業務の中にも、工事の設計監督等について公庫が援助するということが規定されておるようでありますから、この趣旨にのつとりまして、公庫もしくは建設省におきまして、十坪から十八坪というふうなものについて、ABCDEFくらいの模範的な規格住宅の設計図をこしらえて備えておいていただきたいのであります。そうして出願する人がその規格のどれと言う場合には、設計図はいらないということにしていただきたい。そうすれば出願するときの費用が助かりますし、判定する方も、規格によつてやるのでありますから、あらためて判定する必要がない。すぐ片がつく。手続上非常に楽になると思うのであります。規格住宅はいやだ、特別なものをこしらえたいという人は、設計図を備えて出願すればよろしい。しかし一般的なものは、いろいろな大きさのものを三つ四つこしらえて置けば、大体間に合うのではないか、こう考えるのであります。それから一般的な手続の問題につきまして、これは全部の要望でありましようが、なるべく簡単、迅速にやつていただきたいのであります。できれば融資を申し込みまして、融資決定までに二週間くらいでどんどん流して行くというような便法を講じていただければ辛いであります。なおこの金融公庫から貸付を受けた金で住宅を建てる者に対して、特殊な住宅建設基準を設定するというようなお話も承つておりますが、すでに建設基準法というものがあります以上、この工事の管理は建設基準法に従つてやれば十分でありまして、その上さらに特殊な公庫のための建設基準をつくるということは屋上屋を架する、いた、ずらに手続を煩雑にするのみであると私は考えるのであります。以上時間がありませんから、各條文についての意見はこれだけにいたしておきます。  最後に全般に対して附帯的な意見を少し申し述べさせていただきます。本法を施行して行きます上において、一番問題になりますのは、おそらくこの金を借りて家を建てるという人に対して一番困難を感ずるのは、頭金の調達の問題と土地の獲得の問題、この二らであろうと思います。従つて本金庫の設立と並行して、この二つを解決する方法を何か考えていただきたい。頭金を五万円なり十万円なり用意しなければ、本金庫を活用することができません。しかしながら今庶民住宅を求めておる人は現金で十万円用意しておるという人はほとんどない。おそらく何か処分するなり売るなりして調達しなければならぬ。この場合土地を持つておる人は土地を抵当に入れて金を借りたいと考えましても、現在長期金融、不動産金融機関はありません。また一軒に五家族とか六家族住んでおるものは、現在自分の住んでいる家を担保にして金を確りようと思つても、家を担保にとつてくれる長期金融機関はない。従つてこういう土地、建物を担保にとつて金を貸してくれる不動産金融機関をなるべくすみやかに設けられるように、これは本法とは直接関係ないかもしれませんが、すみやかに設けられるような処置を講じていただきたいのであります。土地の問題についても同じでありまして、現在家を建てる上において一番大きな障害は、適当な土地がないということであります。しかるにほんとうに土地がないかというと、そうではない。焼け跡には草ぼうぼうの土地が幾らもある。それにもかかわらず、その上地上権が複雑している。従つていたずらにその所有者は権利の上に眠つて土地を放棄している。今後不燃建築アパートでもつくる場合は、都心において一段と土地が必要になる。これに対して、今眠つている土地を活用するために、土地收用についての何らか便法を迅速につくつていただきたい。われわれはそのためにこの法案が本議会に提出されることを希望しておつたのでありますが、御提案がないようでございますから、この次の臨時議会にこの法案が提出されることを切に祈つてやまない次第でございます。
  4. 淺利三朗

    ○淺利委員長 何か御質問がありますか——なければあとで一括して伺うことにいたします。  次に全国建設業協会会長安藤太郎君にお願いいたします。
  5. 安藤清太郎

    ○安藤参考人 私はただいま御紹介にあずかりました全国建設業協会会長安藤清太郎でございます。ただいま実は他の公聴会出席いたしておりましたので、前参考人の発言を私は聞いておりませんが、おそらくは同じことを繰返して申し上げることになるのではないかということをおそれるのでございます。ただ私ども建設工業に従事いたしております立場から発言いたしたいと存じますので、立場の相違から、あるいは若干観点の違う点が出て来るということがあるかもしれませんが、その程度の相違ではないかと私は想像するのでございます。  私ども建設工業に従事いたしております者といたしましては、まず住宅は廉価に、質のよいものが早く建つということが必要であると考えるのでございます。ところでこの住宅金融公庫法案によりますと、その第十七條に業務の範囲が規定してございます。その第一号は「自ら居住するため住宅を必要とする者、」第二号は「住宅組合法による住宅組合、」第三号は「自ら居住するため住宅を必要とする者に対し住宅建設して賃貸する事業を行う会社その他の法人」ということになつております。これを通覧いたしますと、第一号、第二号はもちろん実質的には個人を対象といたしております、第三号は、これはその住宅を必要とする個人に住宅供給する会社その他の法人、こういうことになつておるのでございます。  元へもどりますが、この法案の第一章、総則の第一條には、「住宅金融公庫は、国民大衆が健康で文化的な生活を営むに足る住宅建設に必要な資金」云々ということを言つております。しかしてこの対象国民大衆ということになつているのでございます。しかしながらこの国民大衆は少くとも建設費金の二割五分を所有している大衆でございます。現在におきまして十数万円または二十万円の住宅建設費に対しまして、その二割五分、五万円くらいの金を持つております者は、国民大衆中に何ほどいるか、住宅建設するために、四、五万山の金を出して建設し得る者は何ほどあるかということを、われわれは考慮しなければならぬと思うのでございます。従つてこの法案におきまして、国民大衆とうたつてございますが、これは国民大衆の一部の者であると申しても過言でないと考えるのでございます。そうであるとするならば、私はこの十七條の業務の範囲の中に、貸付対象といたしまして三つのものがございますが、これにさらに私は産業労務者用給与作宅の一項目をお加え願いたいと思うのであります。私はここでその理由を簡単に申し述べたいと思います。  先ほど申しました国民大衆の個人ごとに貸し付けるというそのお考えはまことに妥当であると存ずるのでございます。しかしながらこれを現実的の問題として考えまする場合に、はたして能率よくごの貸付が行われまするかどうか、あるいはこの貸付がG・H・Q当局において特に要請されております償還の確実性ということをはたして保持し得るかどうか、こういう点につきまして私は若干の疑義なきを得ないのでございます。そこで私といたしましては、償還の確実性という点から、また危険性の少い——これは同じことを言つておることになるか存じませんが、そういうような点から考慮をいたし、かつ国民大衆のために家を与えるという建前からもはずれないという意味におきまして、産業労務者用の給与住宅をここにお加え願いたいということを希望するのでございます。御承知の通り、わが国におきます住宅不足数は、建設省の推定によりますと約三百六十万戸と言われておりまして、その三百六十万戸のうちの約一割、三十六万戸というものは産業労務者の住宅不足になつておるのでございます。これはやはり建設省の御計算でございます。そうであるとすれば、私はこの百五十億の住宅金融公庫の貸し付け得べき金を、その一割は産業労務者の給与住宅にさいても、決してこれは妥当を欠くものではないと考えるのでございます。この産業労務者用の住宅をつくることを、なぜ私が希望するかと申しますれば、もらろん国民の福祉厚生のためにこの住宅金融公庫というものが樹立されるのであります。しかしながら現在の日本の置かれております現状を顧みますとき、私は何よりも先にまず日本の経済を再建しなければならぬと考えるのでございます。日本の経済の再建のためには、どうしても産業労務者をして最も効率を上げるような働きをしてもらわなければならぬ。その効率を上げるためには、産業労務者が住宅不足によつて二時間もかかるような遠方から通勤するというようなことがあつてはならないと考えるのであります。その意味におきまして、私は産業労務者用の住宅貸付お願いしたい。なおそのほか産業労務者用住宅を建てます場合に、私の考えでは少くとも三つの有利な点があると思うのでございます。おそらく他の方が申し上げたことと思いますが、零細な土地を個々別々に得るということはきわめて困難なことであります。これを一団地として一括して取得することは、もし産業会社にこれを許しますならば、きわめて容易にでき得ると思うのであります。それから第二には、その一団地の上に相当な集団住宅をつくるとか、あるいは鉄筋コンクリートのアパートのようなものをつくりますれば、道路とか排水とか、上下水、電力、ガス等の設備を合理的計画的に行うことができるのであります。従つて一條でうたつてあります国民大衆が健康にして文化的な生活を営むに足る作宅を建てることができるのであります。第三には多量生産をなしますために、その建築の質が向上し、かつ経済的に申しまして非常に廉価に建て得るのであります。その他いろいろまだ理由も数え立てればありましようが、大体以上三つの理由をもちまして私はこの産業労務者用の給与住宅にこの資金を貸し付けることか最も妥当であるというふうに考えるものでございます。  次に第二十一條には貸付金の利率並びに償還の期間及び方法ということがうたつてございます。第二十一條によりますと、利率は年五分五厘とし、その償還期間は左の通りとするということになつておりまして、その次に表が出ておりますが、その表の第三番目の部門に、主要構造部を鉄筋コンクリート構造その他の耐火構造とした住宅建設及びこれに付随する土地または措地権の取得を目的とする貸付金の償還期間は三十年以内ということになつております。私はどういたしましても、これからの建築は、生宅建築のみならずすべての建築がそうでありますができ得る限り不燃化して行かなければならぬ、こう考えているのでございます。年に新築面積の約四割くらいが火災、水害あるいは陳腐化のために失われているのでございます。かくのごときことはまことに日本の国民経済にとりまして不経済この上もないことと考えるのでございます。今後この住宅金融公庫におきまして貸出しをいたします場合には、やはり不燃化の点を十分御考慮願つて不燃化構造のものの割台を多くしていただきたい、こう考えているのでございます、しかし個人の十坪とか十二坪の家を完全に不燃化するということは経済的に申しましても非常に困難なのでございます。従つて不燃化という立場からいたしますれば、どうしてもアパート建築というようなものが要請されるのでございます。しかるに、ただいま申し上げました通り、二十一條貸付利率は五分五厘ということになつております。また償還期間は三十年以内ということになつております。かくのごとき利率、かくのごとき償還期間では、非常に巨額の家賃を支払わなければならぬということになるのでございます。それではこの法案の第一條にうたつております国民大衆の利用は困難となると言わなければな、らぬ、こう考えるのでございます。私はこの五分五厘は少くとも四分くらいの率にしていただきたい。それから償還期間は、できることならば六十年にしていただきたい。六十年がもし長過ぎるというならば、少くとも五十年の期間にしていただきたい。私はそういうふうな根拠によつて家賃の計算をいたしておりませんから、具体的には申し上げることができませんが、これは計算をすればおそらく相当負担し得べき家賃が出て来ることと考えるのでございます。ただいまは私企業によりますアパートのことを申し上げたのでございますが、もし私企業によるアパートがこの法案に規定してあります償還期間、あるいは利率のために経営が不能である、しかもこの利率償還期間は改めることができぬとするならば、私はこの場合には、公共団体をしてこの仕事をなさしむることが適当と存ずるのでございます。公共団体がよつて生じて来るところの赤字を補填する。そうして家賃はきわめて妥当な家賃にいたしまして、その家賃の足らぬところは公共団体においてこれを負担するという建前をとるならば、きわめて容易にこの不燃化の目的も達成することができると考えるのでございます、この点につきましても、やはり十七條貸付対象として三つあげておりますほかに、産業労務者用給与住宅へ並びに地方公共団体の経営する貸付住宅という一項目を入れていただきたいということを私は希望するのでございます。  以上はなはだ簡単でございましたが、その二点につきまして御見解を申し上げたのでございまするが、最後に私は、この住宅金融公庫ということに関しましては、と申しますよりも、国民住宅難解決のためには、やはり長期の事業計画をお立てになる必要があるのではないか、本年は幸いにして見返り資金と国の財政支出と合計いたしまして、百五十億がこの在宅金融公庫のために投ぜられることになつておりますが、おそらく来年度以降の償還金は、これはきわめてあいまいな数字でございますが、十億前後しかないのではないかと私は想像しております。そういたしますと、やはり来年は見返り資金から百億、それから国の財政の方から五十億という金が出て参りませんと、この公事というものは円滑に運営して行くことはできないのではないかと思います。仄聞いたしますところによりますと、来年度から米国の対日援助が減少いたします関係上、見返り資金もそう十分には住宅金融公庫の方にさけないのではないかということを私は危惧するのでございます。従つて私は、国の財政支出を、これをカバーするだけ増額願うことが必要なのではないかというふうに考えておるのでございます。これらの点を考慮いたしますとやはり五年計画ぐらいの長期事業計画をお立てになることを私は大蔵当局並びに建設省御当局にお願いしたいと存ずるのでございます。  以上はなはだ簡単でございましたが、私の見解を申し上げた次第でございます。
  6. 淺利三朗

    ○淺利委員長 安藤さんはお帰りをお急ぎのようですから、御質問があればこの際……
  7. 前田榮之助

    前田(榮)委員 ただ一点だけ簡単にお尋ねを申し上げておきたいと思うのです。産業給与住宅についての御意見は、昨日私からもほとんど時様なことを当局に対して御質問申し上げたのでありますが、当局はこれに対して、戦時中から労務者住宅についていろいろな援助をし、産業会社がこれ、相当経費を支出してやつて来ておるが、その額が相当増大しておるために、産業会社がそのたくさんの負担を背負つてつておる点と、それからそれが適当に政府の方針通りに有効に建設の行われておらない場面もあるので、これ以上はむりじやないか、こういう意見であつたのであります。私は政府のこの答弁に非常に不満を感じておるのですが、はたしてその産業会社がこれ以上にこうい給与住宅に対していろいろな負担をすることが不可能であるようにお考えになるでしようか。なおこれに一層負担さすべきが適当だとお考えになるでしようか、その点の御所見をお伺いしたい。
  8. 安藤清太郎

    ○安藤参考人 第一の点につきましては、もらろんそういう御批判を受けてもしかたがない場合があつたと私は思います。たとえば炭鉱労務者用住宅に貸し付けました金額の使途が、はなはだ不明朗であつたというようなことを私は仄聞いたしております。しかしながら全体といたしましてこれはやはり有効に使われたものと私は解釈しております。もしその点について御懸念があるならば、労務者用の住宅建設資金として貸し出すものに対しては、その使途を厳密に区分する、一般の運転資金から別わくをつくりまして、労務用住宅建設する方面に使わせる。もしそれ以外の用途に使われた場合には、相当厳重な罰則を設けるというような方法もございましよう。従つて私は産業会社にこの金融公庫から、金を貸して、これが他の運転資金等に流用されはしないかという危惧に対しましては、一応もつともとは考えますが、これはただいま申し上げました通り、おのずから打開すべき道があると考えております。それから第二の点の、産業会社が自己資金をもつて労務者用住宅建設し得る余裕がありやいなやという点につきましては、私はないと考えております。ただいま御承知の通り、日本の重化学工業あるいは繊維工業にいたしましても、その機械はきわめて陳腐化しております。また建物その他の設備はきわめて不完全でございます。もし皆さん方が各事業場、工場等をおまわりになつて、実態調査をなさるならばよくわかることと存ずるのであります。従つて非常に峻烈をきわめております国際経済の競争場裡に立ちまして、日本輸出品がこれに打勝つて行くためには、どうしても機械の陳腐化、老朽化を改めなければならないと同時に、労働者の効率を上げるために、工場の建物その他の設備を改善しなければならないということは非常な急務であると私は考えます。従つて産業会社といたしましては、若干でも資金に余裕があれば、ことごとくこの方にまわしたいのであつて、労務者の住宅建設”方に資金を向ける余裕は今のところないのではないか、また現実にないのが実情である、こういうふうに考えております。
  9. 前田榮之助

    前田(榮)委員 そういたしますと、産業会社が労務者住宅に充てる資金の余裕を持たない状態において先生の産業用住宅貸付対象にするという御要求が、妥当を欠く要求になりは上ないかと思いますが、どうですか。
  10. 安藤清太郎

    ○安藤参考人 私は産業会社が労務者用の住宅建設するための資金を、住宅金融公庫から貸してもらいたいということを要望することは当然であると考えます。
  11. 前田榮之助

    前田(榮)委員 重ねて議論すべきときではないと思いますか、参考までに聞いておきたいのですが、金融公庫貸付は、個人でも頭金というものを持たなければならないという状態であつて、労働者はもちろん頭金は持ちません。そういう場合において、その肩がわりともなるべき立場で、産業会社がそのくらいのことをしなければ、遠隔の地から来たり、作宅がないために能率が上らなかつたり、いろいろな不便を産業会社が多少背負つて立つくらいのことでなければ、労務者用住宅は建たないと思います。そういうことを産業会社が進んで資金的にも多少やり繰りしてやるという熱意がないような場合においては、非常に困難なことになりはしないか、こういう点であります。
  12. 安藤清太郎

    ○安藤参考人 お答え申し上げます。産業会社は労務者用の住宅を建てて、労働者の幅利厚生をはかりたいという希望を持つております。それからできることならば自己資金で建てたいという希望を持つております。しかしながら先ほど申し上げましたような理由によりまして、なかなか自己資金では建たない。従つて金融公庫あたりから金を借りまして、そうして労務者のために住宅建設する、こういうことを現在希望しておるのでございます。おそらく鉄鋼連盟あたりからもその要望が国会に出ておるように私は承つております。ただいまその償還能力あるいは頭金の点について御懸念があるような御質問と解釈いたしましたか、産業会社は金融公庫から七割なら七割の借入れができます場合に、その三割くらいの金を自己調達ができないということはございません。それから償還能力の点は、ほとんどすベての産業会社というわけには参りません。私は申し忘れましたが、まず重要産業の労務者用住宅をつくることを希望するのでございます。従つてそれらの会社が償還能力がないということは、私は想像もできないのでございます。
  13. 淺利三朗

    ○淺利委員長 それでは次に、都南消費組合組合坂野武雄君にお願いいたします。
  14. 坂野武雄

    坂野参考人 私御紹介にあずかりました消費組合理事長をしております坂野でございます。私の意見といたしましては、もらろん消費生活協同組合という立場から意見を述べさしていただきます。従つて前の参考人方々意見を異にする点も多々あるのではないかと考えられます。  まず一般的に、住宅組合法、並びにこれに伴う産業組合法、生活協同組合法、この三つの関連性から意見を述べさしていただきたいと思います。  住宅組合の発足は御承知の通り大正十年に発足いたしたのであります。ところがこれは数年ならずしてその業務に終止符を打たなければならないような事態かかもされまして、この十有余年というものはまつたく空文になつてつたのであります。はからずも今回の住宅公庫という法案によつてほこりにまみれていた法律が浮び出たのであります。われわれといたしましては、まことに喜ばしい次第であります。しかしながらこの法案を通じて貸し出される金の使途というものは、この在宅組合法の失敗があまりにも大きかつたがゆえに、自然と貸付の面におきましては回收がまず第一に考えられる。従つてでき上つた住宅組合法というものを主とした住宅金融公庫法案というものも、回收に専念する形になつて来た。従つて大衆に対してはこれが高嶺の花のような存在になつて来たということが言えるのであります。もう一つこの住宅組合法案はもちろん私が言うまでもなく、産業組合法案が親でございます。この親によつて現在ではどういう状態になつておるかと申しますと、一昨年の十月の一日に皆様の御努力によりまして待望久しくしておつた消費生活協同組合法案が誕生したのであります。これにかわりましたために、産業組合法はまつたく生協法案に引継がれた形になつておりますが、ここにわれわれが児のがし得ない点は、産業組合法の利点がほとんど消費生活協同法によつて抹殺されておる形であります。このためにわれわれとしては産業組合法案が生協法案というものから見ますと、まことに望ましい点がたくさんある。たとえて申すならば、信用組合法というものがなくなる。また住宅の面におきましても、保証制度があつたものがまつたくなくなりました。当時まだ不動産取得税が生きておりましたときでございますが、昨年参議院にわれわれ請願いたしまして、参議院は通過いたした。しかしなから今日に至つては不動産取得税というものは免税された形になりきたので、われわれの目的は一応達成された形になつております。しかしながら産業組合法はどうなつたか、これによつて事業を経営している面はどうなつたかと申しますと、住宅組合によつてつたく行き詰まりを来たしたのは、震災後大正十二年から昭和二、三年ごろで、これは終止符を打つておりますが、産業組合法は当時からなおより以上活発に庶民住宅の解決に努力して来たのであります。しかもその業績は現在なおこれを継続し、多くの組合員の住宅問題を解決して来ておるのであります。端的に申しますれば、産業組合による住宅建設、これによつて三千有余戸を一組合で建てる。こうした輝かしい経歴を持つておるのは、東京都内を見ましても、すでに十以上に余るのであります。しかもこの美点を生かして、より以上これを発達さすために、この公庫の金か出る出ないということにかかわらず、多くの組合組合員の住宅解決のためにことごとくこれを取上げて、この解決に努力しているのが実情でございます。数学的にこれを一応申し上げるならば、住宅組合法によつているところの隅收率は、未回收という点から申しますと、これは未回收の方を先に申し上げた方がよくわかるのでありますが、約六〇%というものが未回收になつておるのであります。その結果か住宅組合法というものは産業組合法がなくなつたにもかかわらず、住宅組合法というものを政治的に残して行かなければならぬというところに追い込まれておつた。では現在の協同組合住宅面はどうかと申し上げますならば、かつてどもが皆様に参考資料として提出してあるのでありますが、その一例を見ましても、東京都のこれは資料でございますが、震災後使われた額は、約八百七、八十万円に達しておるのであります。しかもこの回收率を見ますと、九六%に及んでおります。しかもこの金によつて建てられた建物に住む組合員は、ことごとくか満足しているということを、あえて口幅つたく申し上げられる私は喜びを持つておるものでございます。この九六%というものに対して、なお四%のものはどうなつたかということを追究いたすならば、不承にして東京都の建設局が戦災のためにその資料を失つておるのでありますが、おそらく、より以上のパーセンテージはあるでありましよう。なおまた戦災によつてこの組合自体が壊滅しておるという点から考えますならば、元利金は少くとも百パーセント回收になつておるものとい言得るのであります。そこで私ども住宅組合が取上げられるならば、この喜ぶべきときに、生活協同組合住宅事業の親がなぜらぢ外に置かれたかということに対して非常に疑惑を持つものであります。生活協同組合の面から行きまして、たくさんの疑義がございましようが、後はどこれは條文によつて法案の中の面を捨い上げて御説明し上げることにいたします。  そこで少くとも生活協同組合というものは、一般大衆、庶民階級の生活の面より文化的の光に浴せしめる、しかしてこれをより以上国民生活水準を高めるという目的のために消費生活協同組合法案は生れたものと私どもは解釈しております。この法案が少くとも皆様の手で生れたとするならば、皆様の手でまた協同組合を抹殺するような愚はおそらくなされるはずはないと私は確信するのであります。また一面皆様方の手によりまして立案されたこの公庫法は、いかなる面から行きましても、これは最高度にその法の精神を生かすべきである。また国家といたしましても、唯一の法律によつて守られたこの経済団体が、より以上の能力を発揮すべく、あらゆる角度から御援助を賜わられるものと、これまた全国三千二百の協同組合一つであるわれわれといたしましては確信をし、またより以上の御鞭撻監督を願うとともに、より以上の御後援とごめんどうを見ていただきたいと考えておるのであります。  ここで一般的に見た法案というものに対して、過日三鷹町におきましてこの面での研究会がございました。そこでここに集まる者、警察官並びに町会の方もお力ましたしあらゆる階層の方々が網羅されましたが、この研究会に私臨みまして、いろいろと御懇談申し上げたのであります。その席上においてまずどういう点が一番考えられたかと申しますと、一般大衆のほとんどそのことごとくが失望しておつた。ちようど対策審議会の方からも参られておりましていろいろ御説明があつたのでありますが、国民ひとしくこれらに失望いたしておつたということであります。なぜ失望したかということになりますと、これを端的に表現すれば、一般大衆にはとうてい借り得ない金であるという印象を、そうでないのであろうとは思いますが、そうした印象を——大衆に植えつけておるということであります。また不肖私も、その点をどうしてもぬぐい去ることができない一点の疑念を持つものであります。以下法案に基いて一応私見を述べさしていただきます。  先ほどお話のありましたように、第一條の、住宅金融公地というものの性格でございます。最も住宅に困窮しておる者、そうしてそれらが健康で文化的なということになりますと、まつたくこれは協同組合の趣旨と相合致するものでありまして、喜ばしい限りであります。しかしながら総則の第一にうたわれておるものでありながらも、これが内容を検討いたして参りますと、先ほども申し上げましたように、すでにその対象において大きな過誤がここに取上げられる。これに続きましては、第十七條の、みずから居住するためのという個人対象であります。これは三鷹の例を申し上げて皆さんの御参考に供したいと思うのであります。この個人的にということは、企画立案者の方方はまず何を言おうとしたかと申しますならば、最も住宅に困窮する者に最も公平な処置をもつてわかち与えたい、こういうことを意図したものであります。しかしながら現下の情勢、先ほども参考人方々が申されましたように、日本全国の数字から見ますれば、当然これは甘いものに集まるありのような観を呈するのであります。従つて抽籤にならざるを得ない。抽籤はたして公平なりやと申しまするならば、まずもつてこれは悪平等の最たるものと私は言わなければならぬと思います。少くともこの法案の精神を生かすということにはなつておらないと思うのであります。なぜと申しますならば、これは先ほど三鷹の例を申し上げると申しましたが、当時私はこういう質問を受けたのであります、私は露天商をやつてつた。それから後、金ができたので一応店舗を持つておるのでありますが、実は弟にうちを持たせたい。ついては二十万や三十万の金はあるのですけれども公庫ができるということで、私はうちを建てずに待つておりました。今度銀行が調査するという話ですが、それならば私は十二分に確信を持つておる。従つてまず二十万くらいのうちは建てられると思う。借りられるでしようか、こういう御相談を受けたのであります。私は、借りられるということを申し上げました。何人といえども個人的な財産を、根堀り葉掘り調べ上げるところの権限は持つておらないのであります。二十万円の命をふところに持つておりながらも、なお公庫の金を利用しようとするのが、これが人情ではないでしようか。しかも五分五厘という安い利率であつたならば、いかような面にこれを回転さしてもそれだけの利子は生むはずであります。詳しく申し上げますと、数限りありませんが、一つの例といたしましても、こうした例が生まれて来ておるのであります。この方々が申し込むのであります。一方固定收入があり、毎月の掛金には事欠かないが、しかしながら頭金というものについては全然確信のない人間がたくさんある。従つて自分はこれに対してはどうしても申込みができ得ないというのが実情で品はないか。とするならば、実力ありながらもこれを借りることができない。一方には二十万円の金、がありながらも、なおこの公庫の金を当てにして一戸を建てるというような矛盾した現象が、この個人対象として競争激甚になつた場合に生まれないと、だれがこれを保証するでしようか。同時にこの法案の精神がそれではたして生きるかどうかということを私は懸念するものであります。これが個人対象に対するところの悪平等であるということをはつきり私は皆さんに承知していただきたい、こう思うのであります。でき得るだけこの点を改革していただきたい。しからばこの悪平等を何によつて是正し得るかということに結論がなつて来るのでありますが、これには最も民主的な団体があるはずであります。あらゆる団体がここにあるはずであります。労組あり、協同組合あり、また商店をの他に直結したあらゆる民主的な団体が現在はたくさんあるはずであります。これらの手によつてこれが公平  に調査されるということになるならば、またその団体の中から、ほんとうに困窮する者、その生活状態というものなり、何なりをつまびらかに調査するということは、官庁の手ではできますまいが、少くとも一つの団体というもの、組合なり何なりというものを通じてやれば、君は来年にまわせ、君は再来年にまわせ、当分君はがまんしてもよいじやないか、この人はこうだというような、国民皆納得の上においてこれが処理できるという利点が多分に現われて来るのではないかと考えられます。この面におきまして生活協同組合というものが当然これは取上げらるべきだ。しかも法的根拠を持ち、同時に唯一の民主的経済団体であるものを皆様がおつくりくだすつたとするならば、これが何のために除外されなければならぬかということ、これは私は非常に遺憾に思われるのであります。従いましてこの第十七條の項目にあと一項目を加えていただきたいのであります。住宅組合というものの誕生を喜ぶと同時に、ここに少くとも明文化して生活協同組合というものを挿入していただきたいと、ひたすらお願いするものであります。その根拠は、先ほど申し上げました法的根拠、しこうしてまた唯一の輿主的経済団体であるということを強調する意味においてお願いするのであります。  時間があまりございませんので、急速調に申し上げます。私どもはこの法案を見ましたときに、第十七條の第二項を見まして、非常に喜ばしい点を見出すことができました。ということは、借地権というもの、土地のあつせん、これが取上げられた点であります。先ほども参考人の方たが申し上げられましたように、大都市の美風を阻害するものは、焼跡の肥おけのにおいでございます。御承知の通り、実にわれわれが顔をそむけて通るような場合もございます。東京都の美観ということを考えるならば、野菜も何もかも統制を解除されておる現在でございますから、あれを少くともなくしていただきたい。そうして現在地主諸君が考えておられることは住宅公庫法案が通つたならば、当然土地がなくなるだろう。この土地は、まずまず菜つぱはどうなつてもかまわないが、もう少しがまんすれば相当値が出るだろう、こういうのがちまたの声でございます。これではまずまずもつて建てられる家も建てられなくなります。先ほどの方の御意見通り、ぜひともこの土地收用法ということに対しては、都市に関する限り十二分に細則なり河なりを設けて、便宜を与えてくださるようにお願いしたいと思うのであります。  それから第二十一條でございます。私はこの五分五厘の利率に対しまして、ま二とに疑問を持たざるを得ないのでありまするが、この二十一條の面から見まして、一応末尾にありまする第二十八條を御参照願いたいと思うのであります。何のために余剰金をもつて国債を貰うという二とになるのでありますか。こうした面と、もう一つは個人対象ということを主眼とするがゆえに、思わざる費用がかかる。もう一つは銀行業務、要するに貸付業務、委託業務に関するところの、より以上の費用を加算いたしましたときに、当然この五分五厘というものが含まれておるものと思考いたします。従つてこの分は少くとも私は大幅の引下げを願いたいと切望するものであります。ぜひともうこの点は御考慮に入れていただきたい。もう一つわれわれが失望する点は、この業務の面でございまするが、少くともこの貸付を行われる場合には、銀行が回收目的を達成するためにその調査を行う。末端的な調査まで行う。ただ決定的な面は公庫が扱うという、とになつておるのでありますが、かかるがゆえに私は先ほども三鷹の例を申し上げましたように、まつたくこれではわれわれは手も足も出ないという形になるのであります。従つて銀行は単なる貸付業務を扱うということに限定していただきたいと思うのであります。その調査並びに貸付に関する技術上の面は、少くともこの末尾にありますところの第二十三條にうたわれておりまする地方公共団体に、地方行政面に調査の権限を与えてほしい。そうして少くともこの地方長官においてこれを適切に行うということによりまして、大幅の経費の節減はできるものと私は考えるのであります。もちろんこの大本は公庫が握つておるのでありますが、少くともこれを自主性のある行政面に反映していただいたならば、まことにこれば喜ばしい結果になるのではないかと思われます。これは一部八県、東京都近県八県の知事の皆さんが、こぞつてこの点を強調しておるところであります。また協同組合というものの実体をつかんでいるがゆえに、協同組合対象としてもらいたいということを建議されておるゆえんは、そこにあるのではないかと私は考えるのであります。なお協同組合対象とした場合に、一番疑念の起る点は、貸付を協同組合にした場合に、協同組合は利用事業を多く行うものである。供給事業を行うものである。従つてこの資金が、他の目的に利用されはせぬかということがこの條文の中に見られるのであります。それは二十一條の第三項でございまするが、これはらようど、何と言いましようか、ものの見方が、あまりに想像が強すぎたのではないかと私は考えるのです。民主的に行われる新しい生協法においては、こういうことは行いたくとも行えないのが実情であります。月三回の監督官庁の監督を受け、そうしてその資金というものは、ことごとくその目的以外には使われないのが今次の消費生活協同組合法の原則でございます。従つてこれが他に転用されはせぬかというような危供は、まつたくないのであります。
  15. 淺利三朗

    ○淺利委員長 ちよつと参考人の方に申し上げますが、本日は非常に大勢の方でありますから、なるべく要点をお話ください。
  16. 坂野武雄

    坂野参考人 これで大体終りますが、以上貸付金という点につきまして他の方に流用されはせぬかというような点がたいへん取上げられておりますが、この点はぜひ御懸念のないようにお願いいたします。なお監督官庁は特にこの点を十二分に調査し、監査しております。また別に別途会計法というものも生れておりますので、この点の御懸念はまずもつて御心配無用だと思いますので、ぜひ一応協同組合の一項目をつけ加えると同時に、現在遂行しつつある業務をまつたく行き詰まらせ、そうしてこれに終止符を打たせるというようなことのないように、親心をもちましてなおこの業務が続行でき得るように、過去の実績をふみにじることのないように、ぜひめんどうを見ていただきたいと切にお願いいたすものでございます。  なお疑惑から申しますならばたくさんございますが、われわれば集団住宅をつくる場合におきましても、あらゆる面におきましても、十二分に組合員の意思を反映し、そうして相互の力によつて建てるということ、しかもただ普通の住宅を建てるのに、技工が歯を入れるというのにとどまるものではないのであります。組合員はもちろん、そこに優秀なる医師を持ち、医師の加療の後に技工が歯を入れるのでございます。建築技師あり、しこうしてその組合員の中にりつぱな技術者を持ち、そうして少くともわれわれの目的とするところの文化生活、文化の恩典に幾ばくでも浴せしめるということがわれわれの最大の目標でございます。今御注意がありまして残念ながら時間か切れましたので、これで私の説明を終ることといたします。どうぞ御賢察の上、十二分にこの点を取上げくださるようにお願いいたします。
  17. 内海安吉

    ○内海委員 だんだん皆さんの御意見を——安藤さんの御意見、またただいまは坂野さんの御意見がありました。大体において、この金融公庫法案というものに対しては御賛意を表されておるようでありますが、特に坂野さんの場合においては、この法律が制定されることによりて、国民大衆は非常に失望しておるというような観点から御批判があつたようでありますが、まず古賀さんにひとつ伺いたいのです。この点は最もこの法の運用の上において重要な点でありますから、古賀さんに一言伺つておきたいと思います。  それは預金の調達問題と、それからさらに土地の問題であります。これがこの法の運営の上においての根本をなすものである。これは御三人とも同一の御意見のようでありますから、この点をひとつ承りたい、  その次にもう一つお伺いしたいのは、やはり古賀さんですが、建設代行機関ということをおつしやつたようであります。これはいかなる形でやるのか、これを承りたい。  もう一つ古賀さんの御意見のようでしたが、不動産金融機関というものを設けることも考慮してもらいたいというお話があつたか、これも簡単にひとつお願いしたい。  それからもう一つ、安藤さんに伺つておきたいのだが、国民大衆はこの法律の出ることを非常に喜んでおる。しかしながらいわゆる償還の確実性かない、明年度においてはおそらく十億もとれないであろうということを非常に御心配のようでありますが、いわゆる償還の確実性がないという論拠をもう少し詳しく御説明願いたいと思います。
  18. 古賀英正

    古賀参考人 ただいま御質問がございました問題につきまして簡単に御説明申し上げます。  まず頭金の問題と土地の問題でありますが、これは先ほどもちよつと申し上げましたか、この公庫を運用して行きます場合に、ただいま各参考人から申し上げましたように、頭金の調達ということか一番困難な問題になつて来ると思います。この頭金の調達について何らかの便利な方法をはかつていただきたいということをお願いしたのでありまして、たとえば現在土地を持つておるけれども財産はない、頭金をつくる目当てがないという場合には、この土地を売つてしまえば、今度はまた家を建てるために新しく土地を買わなければならぬ、土地を持つていてその土地に家を建てたいという場合に、その土地を抵当にして金を借りて、それを頭金にして家を建てるという方法を考えなければならぬが、その場合に土地を抵当にして金を借りようとしましても、現在では土地を抵当にして貸してくれる機関はない。こういう場合に土地を抵当にして貸す機関をこしらえていただきたい。また現在引揚者が帰つて来たとかいうことで、たくさん住んでいて、非常に構成過密状態に焔つておる。それで家を建てたいと思いますけれども、財産としては過密状態に陥つておるその家しかないという場合に、この家を抵当にして金を借りて新しく家を建てて、そのうらの何家族かをその方に移したいという場合に、その家を抵当にとつて貸してくれる機関が全然ない、このようなことを考えますと、住んでいる家もしくは土地を抵当にとつて金を貸してくれるような金融機関というものかあれば、非常に便利だと思います。また建設業者にしましても、預金を全部もらわなくとも、一時立てかえてやつて行くという建設業者もあるかもしれません。その場合に公庫と借受人の間の約定書を見返りにして、それを担保として銀行が幾らかでも融通してくれるということでもできれば、建設業者はそれを前貸しして建設して行けるという方法もあるかと思います。そういう方法において頭金の融通の道を講じていただきたいというのであります。  それから土地の問題は先ほどからも皆さんからお話がありましたように、いろいろな問題ありますが、とにかく現在はごらんの通り土地は幾らでもあるのでありますが、これが値上りを待つておるとかいろいろ権利関係が複雑しておるとかいうようなことで眠つておる、放つておけばいつまでも家が建たない。そこである一定の年限を限つて、一年以内に家を建てろ、も上建たないならば所有者にかわつて公共団体が家を建ててやる。あるいは一団地の場合においてそのうらの四分の三の人間がその土地に家を建てたいという場合に、あとの四分の一の人間が反対する、そのためにせつかくの広い土地を一団地として利用することができないという場合があると思いますが、その場合四分の三が賛成したならば、四分の一はだとい反対してもその土地を全部的に和用することができるという強制権を与えるという方法によつて、土地の利用をしていただいて、いたずらに権利の上に眠つている土地に対して、土地を活用するような方法を講じてもらいたい。こういうことであります。
  19. 内海安吉

    ○内海委員 もう一つ、土地とか預金を持つておる者だつたら問題ないのですが、実際に困つているのは、土地もなければ金もないか、どうしてもこの際建てて行かなければならぬというのが多いのです。
  20. 古賀英正

    古賀参考人 そういう場合を考慮いたしまして、代行機関というのは一つ方法です。たとえば代行機関が一千万円なら一千万円の資金をもつて建てる場合に、建設資金の七割五分は金融公庫から代行機関に貸す。その一千万円の資金を一時頭金に立てかえてやる、その立てかえたものを年五分なりで償還するというようにしますと、建てた人は非常に助かるのじやないかと思うのであります。
  21. 安藤清太郎

    ○安藤参考人 ただいま個人は償還能力が非常にないというふうに私が申し上げたというお話でございました。これは私の表現が悪かつたか、あるいはお聞き違いかとも思いますが、比較的に申し上げたのでございまして、たとえば産業会社等に一括して貸し付けました場合に比較しまして、個人からその償還を確保するには非常に手数がかかる。こういう意味合いで申し上げたのでございます。
  22. 深澤義守

    ○深澤委員 今の三人の参考人方々の御意見を一応お伺いしたと思うのですが、坂野さん並びに古賀さんは住宅收用法設置の必要を強調せられておつたわけでございます。まつた国民生活の安定は、この住宅の安定が重大な要素であることは申し上げるまでもないわけであります。農地につきましては、戦後の農地改革によつて自作農特別措置法が制定されまして、農地は耕作する者が取得するという制度が確立されたわけでありますが、住宅につきましては、宅地に対する法案は何ら制定されていなかつたのであります。今日宅地を必要とする者がたくさんあるにかかわらず、都市の中央に軍が生えておる土地がたくさんある。この住宅收用法の必要は古賀さん並びに坂野さんが触れられておつたようでありますが、この点については安藤さんは触れられておらなかつたようであります。この点についての安藤さんの御意見を拝聴したいと思います。     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕  もう一つ国民大衆を目的として金を貸し付けて住宅をつくらせるのであるというこの趣旨はいいのでありますが、坂野さんが指摘されたように、ほんとうに住宅資金がなくて、借りる人がそれを借りて建てるならば、この法案の趣旨を十分生かすことができるのでありますが、ある程度の余裕のある者が、何らかの資金の流用の意図を持つて借りる危険性が多分にある、だからこの調査を民主的な機関で十分やることによつて、その弊害が解決されるということは、坂野さんも強調されておつたのでありますが、この点については古賀さん、安藤さんは触れられておらないようでありますから、この点についてひとつ古賀さん、安藤さんの御意見を寿聴いたしたい、こう思うわけであります。
  23. 安藤清太郎

    ○安藤参考人 お答え申し上げます。まず最初の土地收用法について私は何も意見を申し述べませんでした。しかし大体他の参考人が申された趣旨におきまして、たとえば一団地の土地が確保できれば、そこに不燃建物が建て得るという場合に、その土地の所有者の一部分が反対したためにこれを違和することができないということは、都市不燃化を妨げることにもなりますし、また住宅問題解決のためにも支障になる、こう考えますので、その意味におきましては、しかるべき何か法律が出る必要がある。こう考えております。
  24. 深澤義守

    ○深澤委員 貸付の場合、ほんとうに困る者が借りずに相当余裕のある者が何らかの流用の意図を持つて借りる危険性があるのではないか、この弊害を除くためには坂野さんは民主的な機関でもつて調査する必要があると言われておりますが……
  25. 安藤清太郎

    ○安藤参考人 私はこの点につきましては、坂野さんの御意見のように考えておりません。適当に運営されるならば、この法案の運営の方法によつて十分であると考えます。
  26. 古賀英正

    古賀参考人 私もお名ざしがあつたようでありますが、私も安藤さんと同じように、この法案は運用の細則によつて、監督を巌にし、また調査の方法をいろいろ考えましたならば、必ずしも坂野さんの言われるような欠点ばかりではないかと思います。もちろんそのおそれは多分にございますが、それを防止す為方法は幾らもあると思います。
  27. 内海安吉

    ○内海委員長代理 他に御質疑はありませんか——それではこの辺で打切りまして、午後一時半まで休憩いたします。     午後零時五十一分休憩      ————◇—————     午後一時四十六分開議
  28. 内海安吉

    ○内海委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  ただいまお見えになつておられる参考人の方は、日本銀行理事の井上敏夫さん、評論家阿部眞之助さん、神奈川県知事内山岩太郎氏の御三方でございます。  参考人の方にちよつと申し上げますが、大体一人当り二十分程度お願いいたすことになつております。御意見聴取の後質疑を行うこともありますから、その点もあらかじめ御了承を願います。  なお内山神奈川県知事におかれては会議のために時間をお差繰りくださいましたので、先にやらしてもらいたいという御要望がありますから、内山さんから御公述を願うことにいたしたいと思います。内山岩太郎さん。
  29. 内山岩太郎

    ○内山参考人 たいへんにかつてなことを申し述べまして恐縮でありますが、先に発言さしていただきます。  私は今度の住宅金融公庫法案につきまして、ごく簡単に二、三お願いをしたいと思うのであります。それというのは今回出ましたこの公庫法案というものは、考え方としては日本の国民にできるだけ早く家を持たせようという趣旨でありますので、地方におる私どもとしてはまことにありがたいことであります。ただその内容におきまして、もしでき得るならば、こういうことをしてほしい。議会におきましてここれを訂正していただいて、私どもお願いする筋に持つてつていただきたい、こう考えるのであります。  まず第一に、この法案には地方公共団体に金を貸すということが載つてないのであります。どころが現在日本で一番必要なものは貸家でありまするが、自己資金でもつて——たといそれが七割充分の政府の補助金がありましても、自己資金をもつて家を建てるという人はそうたくさんはないと思います。ましてこれを貸家に提供するということは、おそらく不可能に近いものであろうと思います。従つて政府の御趣旨も貸家というものをつくろうということであるならば、そうして貸家ということが日本の過去の事実に照しまして、日本人の住む多数の家は貸家が多いのであります。従つて家をふやすとするならば、どうしても貸家をふやすということに持つて行かなければならぬと思うのでございますが、その際に個人に対して金を貸してみても、今度の法案にあるような條件では、おそらく貸家は建たないのではないかという考えを持つておるのであります。従つてこの対象をどうか私企業者だけでなしに、あるいは個人だけでなしに、地方団体——県なり、市なりにひとつお貸しを願いたい、こういうことが二つであります。  その次には、この法案によりますと、七割五分の費用は貸すが、その利息は五分五厘ということになつております。これは現在市中に行われております利率の九分とか一割というものから比べてみますると、非常に安いのでありますけれども、これを借りる方の身分になつてみますと、決して安いものではないのでありまして、もしこの率によりて家を建てますと、ごく大ざつぱに考えまして、十二坪半の家でも、月に三千二百円ぐらいになるようであります。そうしてまた公租公課というものを除外いたしましても、三千五百円ぐらいになるようであります。従つてこれはどうか利率を下げていただきたい。そう申しましても、政府の出されるところの五十億という金は、これは大方、預金部その他の金を使われるのでありましようから、これは結局利息を食つておるところの金でありますから、これに対してただちに下げてくださいということはむりであると思います。しかしそのほかに百億円という見返り資金の金を勘定されておるようであります。この百億の金はおそらく利息はないものと私どもは考えるのであります。そうしますと、利息のない百億の金と、政府が多少にかかわらず利息を背負つておるところの五十億の金をまぜましたならば、できるだけ安い家賃の家をつくらせようということでありますれば、ぜひこれを三分くらいに引下げてほしいのであります。これが第二のお願いであります。  その次にもう一つお願いでありますが、今の中で公租公課というものがありますが今度の法案の中には、公租公課を免除することができるというようなことが少しもうたつてないのであります。これはぜひ一つ條件として、公租公課を免除することができるという項目を一つつけてほしいのであります。それは必ずしも永久でなくてもたとえば五年とか十年とか期限を切られてもけつこうでありますから、住宅を建てることの奨励の意味において少しでも安い家が建つ意味において、公租公課を免除せられるという條件をつけてほしいのであります。  最後にこの法案によりますと、中央でどんどん地方の方に金を貸して家を建てさせるという御趣旨でありますけれども、地方の仕事をやつております知事とか、あるいは市長とかに相談をする、あるいは意見を徴するという、とが全然考慮されておらぬのでございます。私ども地方におりまして、現本食糧問題が一応片づいたあとでは、住宅問題が最も大事な問題の一つであります力そうなりますと、地方におきましても、なけなしの財政をたたいて住宅建設に努力しておるわけであります。そういう際に、中央からまつたく地方の行政を担当しておる者に相談なしにどんどん仕事をやられるということでありますと、その間に非常な齟齬を来しますのみならず、家を建てると申しましても、必ずそこには敷地の問題が起つて来るのであります。そういうときに、あえて私ども知事が中央から相談がないから敷地をあつせんしてやらねということは申しませんけれども、どうしても地方の仕事と中央の仕事がかち合うのであります。私ども地方におります者ば、どうしても自分の仕事のために土地を優先的にとるということが起るのであります。その他いかなる場合におきましても、住宅建設のごとき地方と非常に密接な関係を持つものにつきまして、地方の財務を担当しておる、また最も地方の事情に精通しておるところの地方の者に相談なしに、あるいは全然考慮を加えないで仕事をされるということは、これはよほど考えていただかなければならね問題でありまして、できることならば、これも地方の自治団体の長あるいは自治団体と相談し、あるいは意見を徴して仕事をする、こういうことにひとつ御変更を願いたいと存じます。  以上はなはだ簡単で、かつてなことでありますけれども、どうぞ議員の方方におきましては、御考慮の上、せつかくのこの趣旨がかないまするように、切にお願いする次第であります。これはあえて神奈川県ばかりでなしに、全国の問題であります。  それからもう一つ、これは神奈川県として特に申し上げたいことをつけ加えるのでありますが、それ一住宅ということだけに限つております。大方住宅建設と申しましても、爆撃によつてやられたところは主として大きな都会でありますが、ことに横浜のごときところにおきましては、中心部が全部やられておりまして、今中心部は占領されておりますが、解除されたときに、そこを復興させようと思いますと、どうしても四階とか五階とかいう鉄筋の家を建てなければならぬ。その際に全部その家が住宅ということになりますと、非常にむずかしくなつて来る。どうしても下の一階は店舗に使いたい。そうした場合に、店舗兼住宅ということで、その一階もこの金融に浴することができますれば、その家は建ちやすいのでありますが、もし一番下の階の唐船が全然金が借りられないということになりますと、市街地の、しかも中心部における最も必要とせられる復興は、非常に望み薄ということになつて参りますので、住宅兼店舗というものについては、特別の考慮をもつて、これもやはり住宅並に金融ができますように、ひとつお甘折りを願いたいと思うのであります。以上をもちまして私の公述を終ります。
  30. 内海安吉

    ○内海委員長代理 何か御質疑でもありましたら……
  31. 砂間一良

    ○砂間委員 内山さんに一点だけお尋ねしたいのでありますが、ただいま貸付を受けることができるものの中に、地方公共団体を入れてもらいたいという御要望がありましたが、この法案の第十七條の一項の三号には、「住宅を建殺して賃貸をする事業を行う会社その他の法人」という項があるのであります。ところが私ども先般来政府委員に質問していますと、この法人の中には地方公共団体は含まれておらないというお話であります。それなら民間会社賃貸住宅をつくつて営業が成り立つ書くかということを——いろいろ建設費、技術、その他家賃の統制まであるのでありますから、質問いたしましたところが、とても営利本位の法人会社ではやつて行けないという御答弁でありました。それでは一体これはどういう形でやつて行くのかと申しますと、地方公共団体に直接この公庫の金を貸してやることはできないけれども民間会社を立てまして、それに地方公共団体が三十年なり四十年なりの長期資金を貸し付けてやる、そうしてこれを無利子ですえ置くというようなことにして事業をやつて行くならばできるだろう。そういう形で地方公共団体の件宅建設にも大いに資することができる。すでにそういう形であつちこつちで準備活動も進められておるという御答弁であつたのであります。神奈川県におかれましては、政府委員がそういうふうに説明されたような準備がおありかどうか、そういうことが可能であるかどうかということにつきまして、内山さんの御見解をお尋ねしたいと思います。
  32. 内山岩太郎

    ○内山参考人 これはまことに、何と申しますか、行政の裏をお突きになつたようなことでありますが、事実私どもは、やむを得ずそういう措置をとりつつあるのであります。もしそれができなければ結局この法案はあつでも問題にならぬということになりますので、もし率直に申しますれば、カモフラージしたという形になりますけれども、事実はそういうことを私どもはやるつもりでおります。しかしできるならば、そういうこともしないで、まつすぐに行けば一番いいのではないか、こういうことを一考えております。
  33. 内海安吉

    ○内海委員長代理 次は日銀理事井上さんにお願いします。
  34. 井上敏夫

    井上参考人 御指名によりまして、簡単に私としましての見解を申し上げてみたいと思います。  わが国の住宅問題につきまして、終戦後約四年間、政策としてはほとんど閑却されておつたような、またできなかりたのかもしれませんが、そういう感がございましたが、今回一般会計と米国対日援助見返り資金からの出資によりまして、とにかくある程度住宅建設、進んで参りますことは、非常に喜ばしいことだと思うのでございます。また金融界におりまする私どもとしての別の観点からの効果を考えますと、御承知のように、ただいまいわゆる有効需要の減退というようなことからして、あるべき姿以上に、何と申しますか、不況の感があるのでございますが、この百五十億というものの有効な使用によりまして——今回の予算にはその他公共企業にも資金が相当見積られておるようでございますが、これらが有効需要の喚起ということに、相当の作用をすることは疑いないと思うのでございまして、かりに全体の資金量が同じでありましても通貨の流通速度の増加というようなことによりまして、資金量の総体的の不足を相当緩和する効果があると思いまして、その面からも私ども非常にこれを棲んでおることを申し上げたいと思うのでございます。  ただこの法案を通じて感じますることは、ただいまもちよつと御指摘がありましたように、いかにもこれが金融的であるという感じを受けるのでございます。すなわちこの貸付によつて住宅金融公庫は、通常の金融機関がこれらの動産担保の貸出しを行う場合とほとんどかわりがない。ただ金利の点で、市中金利よりも相当安いところがあるのでございますけれども、たとえば貸付金の限度額にいたしましても、通常の動産担保金融よりも、貸付限度額は若干は多いように思いますけれども、なおこれらについて、社会政策的の見地からいたしまして、もう少し限度の増額ということが考慮せられてもさしつかしえないではないかと、私は考えるりでございます。ことに土地であるとか、借地権であるというものにも、同じように七割五分が限度となつておると称しておりますが、建物の方ば、年月の経過によりまして当然減価を来すのでありますが、借地権とか土地というものについては、時価の変動はみな免れますまいけれども、減価というようなことは生じないのでございまして、それらの点も考えて、もう少しくらいは貸付限度を広げられてもさしつかえないではないか。しかも初めに相当厳選されて、支払い能力等を十分に検討されて、これが貸し付けられることと存じますので、おそらく公庫としての損失というようなことは予想しなくともいいのではないかと、私としては考える次第でございます。  それから金利の点につきましては、私一般見返り資金の私企業の融資ということにも関与しておりますが、これが七分五厘である点に比較しまして、まず五分五厘程度ということは、よほどこれは勉強されたものであつて、どうもこの点は、安きにまさることはございませんけれども、やむを得ないのではないかと考えます。  それから、この法案には現われていないのでありますが、住宅建設を指導せられ、またその資金供給せられる建設省ならびに住宅金融公庫としては、できる限り不燃性の住宅を建てることに、御努力を願いたいと思うのでございます。申し上げるまでもなく、ただいまあちこちで非常に火事がございまして、せつかく建つたものが、めらめらと燃えてしまうというような実例が非常に多いのでございまして、これは日本の経済全体から言いましても、非常な損失でございますので、不燃性のものをできるだけたくさん建てるまうに御努力願いたいと思うこと、またよしんば木造でございましても、その配置と申しますか、周辺の基地等にも十分留意せられて、できるだけ火災等の拡大を防ぐように措置せられることが、非常に希望せられるのでございます。  それから資金の融通を申し込む多数の人々に対して、この金額はおそらく十分に行き渡るとは想像できません。従つてどうしてもそこに選択と申しますか、一部もしくは相当部分の人が、その恩恵に浴することができないと思われるのでございますが、そこらにまたいろいろと国民の不満も起り、不平も起るような可能性が予想いたされますので、実際の貸付の仕舞は、特に厳正公平に行つていただきたいと思うのでございます。さればといつて、これを全部先着順に抽選にするということもあまりに脂がなさ過ぎると思われるのでございまして、建設省方面でもいろいろお考えになつておると思うのでございますが、住宅を必要とするそれぞれの個人の信用度と申しますか、いろいろ切迫した事情が多いと思うのでございますが、これらに基準を設けられまして、必要度の高い人にできるだけ早く住宅建設の道が開かれるようにお考えを願いたい、かように考える次第でございます。非常に簡単でございますけれども、この基本精神は実にけつこうなことであると、私は満腔の賛意を表しまして若干の希望を申し述べた次第でございます。  なお附加いたしたいことは、見返り資金も将来を考えますと、逐次減少するということも予想いたされますし、またこの仕事がそれらのことによつて中断もしくは先ぼそりになつて行きましては、非常に切迫した住宅事情は緩和し切れませんので、来年のことを言つては何でございますが、将来に続きましてもこれらの面に政府財政資金が向いますように、私としては非常に希望しておる次第でございます。簡単でございますが、これで終ります。
  35. 内海安吉

    ○内海委員長代理 御質疑はありませんか。
  36. 砂間一良

    ○砂間委員 この法案の第二十三條の業務の委託の事業の項を見ますと、銀行その他の金融機関に公庫貸付に関する申込みの受理及び審査、資金貸付、元利金の問收その他貸付及び回收に閲する業務を委託するということになつておりますが、申込みの受付からその審査とか、資金貸付とか今言つたようなことをほとんど銀行でやつて行く場合に、現在の銀行の人手で間に合つて行くかどうか、あるいはまたこういう建築方面の審査をするような専門の知識を持つた技術者等は、現在のままで間に合うかどうかというような点につきまして、御意見を伺いたいのであります。
  37. 井上敏夫

    井上参考人 件数としまして私承つておるところでは、住宅の数にいたしまして八万戸余りと承つておるのでございますけれども、それが全国に分散されまして、しかも金融機関の店舗は全国に非常に多いのでございますからして、それぞれの申込書の受付あるいは貸付事務等については、既存の金融機関の窓口並びに人手をもつて十分行けるのではないかと考えます。ただここに申込みの受理及び審査とございますが、この審査の意味でございます。これはおそらく中央から申込みの形式であるとかあるいは申請者の資格であるとかいうものにつきまして、はつきりした基準なり方針なりが示されると思つておりますが、それによつて金融機関がその基準に合つておるかどうかを審査する程度にとどむべきではないかと思うのでございます。これを裏から申しますと、金融機関の窓口で形式に該当しないものははねるのは当然でありますけれども、金融機関の考えでもつて、あるいは及第したり、あるいは落第したりするようなことは極力避くべきではないかと考えております。それからただいまの技術方面のことは、金融機関の方ではむりだと思うので主ございます。結局金融機関としては、通り抜けの仕事とするのがむしろ望ましいのであつて、これは住宅金融公庫自身がおやりになるべき仕事ではないかというふうに私としては考えます。
  38. 内海安吉

    ○内海委員長代理 御苦労さまでした。それでは阿部さん、お願いします。
  39. 阿部眞之助

    ○阿部参考人 私は実は住宅の問題を特に研究しておつたわけでもないのでありまして、私のこれから申し上げることはきわめて漠とした、いわば民衆の感じとでも申しますか、それだけを申し上げることにいたしたいと思うのであります。  この間原案をお送り願つて、ざつと拝見したところによつてどもが受けた感じというものは、いかにも官僚的であるということなんです。経営というものはすべて公団とはなつておりますけれども、役人に準ずる公務員となつてつて、つまりは役人によつてすべてが行われ、すべてが決定されるという仕組みになつてつて、民衆がこの仕事に参加するという形は一つもとら、れておらない。たとえて申しますと、金融をするしないということの決定は、公正にやらなければならぬという條項があります。むろん公正にやることはあたりまえのことなんだが、この公正をわれわれに保障するということは何もうたつていない。結局これは役人がきめてしまえば公正にやつたんだ、公正じやないんだという水かけ論に終つてしまつて、どこにも公正にやらなければならぬというところの基準が一つも示されていない。少くともこういうことを決定する場合には、民衆がこれに参加して公正にやらなければならぬ。都の生宅の抽選なんかを見ていましても、結局抽選をやらざるを得なくなつてしまつた。民衆が参加して抽選をやつてきめるということは、都の役人に対して公正でなかつたということの不信用から、ああいうことが始まつたのだろうと思います。この法案が通つて、役人がやる場合においては、たとい役人自体は公正でやつたつもりでも、民衆ば必ずしもこれに対して公正でやつたとは信用しなくなるだろうと思うのです。だからこれはどうしても公正であるということの保障がなくちやならぬわけですが、これに対する考えは一つもこの法案に盛られていない。最もこの反証となるべきことは、この罰則の項を見ますと、金融を受けた者が法律に違反した場合には、十万円以下三万円までの罰金に処せられている。ところが公務員がこの法律に違反した場合はどうかというと軽いのです。仕事以外の仕事にこの金を融通した場合とか、あるいは不正なる、不当なる貸付をした場合とかに対する罰則は、三万円以下の過料となつておる。民衆には非常に強い刑罰を与えていながら、役人に対しては軽いのです。その局に当る者がほかの仕事にこの金を融通したり、あるいは不正なる、不当なる貸付をした場合に、それに対する罰は過料なんです。一方は罰金、しかもその金額は十万円、一方は過料で三万円というふうなけじめをつくるということは、極論すれば憲法の精神に違反することだろうと思います。役人には軽くて民衆には重い罪を科するということは、実にふとどきしごくの罰則だと思います。こういうことになつたのは役人によつてつくられたからだと思います。だからこの法案全体というものが、すべて役人本位に行われているのだろうと私は思うのです。たとえば公団の組織を見ますと、総裁、理事以下多数の職員があるだろうと思いますが、何に職員を使うかということの規定は何もない。だから何千人、何万人使つても違法でも何でもないわけですね。結局私はこのままで行つてつたならば、おそらくは役人の不能率によつて家は建たない結局はこれらの資金というものは役人の食いつぶしの材料になつてしまうというおそれが非常に多い。これを防ぐ方法というものが、この法律には一つもありやしない。すべて役人に都合のいいようにつくられているということを私どもは感じたのです。一つ一つは私にはわからないのですが、そういう感じを、私が感じたと同じように、多数の民衆も持つているだろうと思う。皆さんは少くとも民衆の代表者なんだから、こういう役人本位の法律というものは、少くとも民衆本位の法律に改められるということが、きわめて必要だと思う。現に私は、この前の電通委員会の公聴会にも出て、民衆の心持というものを皆さんにお話したつもりなんですが、われわれの心持というものは一つもいれられずに、きわめて役人本位のああいうふうな原案というものが衆議院を通つてしまつた。私どもは不平です。非常に不満です。こういうあやまらを二度と再び繰返してもらいたくないというのが私の念願で、実は私はこういうことを研究したことは何もないのですが、特にきようここであわせて皆さんにお訴えする次第なんであります。今度はひとつ、こういうあやまちがないように、十分御審議を願いたい、かように存ずる次第なのであります。
  40. 内海安吉

    ○内海委員長代理 いかがです。なかなか阿部さんは活発な御意見を述べられましたが、質問はありませんか。  なお参考人の方は二人ばかり見えることになつておりますけれども、時間の都合でまだお見えになりませんから、この際十分ばかり休憩いたします。    午後二時一十三分休憩      ————◇—————     午後二時四十二分開議
  41. 内海安吉

    ○内海委員長代理 休憩、前に引続きまして会議を開きます。  これより西森義さんの御意見を聴取いたします。西森義君。
  42. 西森義

    ○西参考人 私は東京都公吏、職務は現在尾久民生事務所長でございます。と同じに東京都の尾久六丁目都営住宅の百四十六世帯の管理人を勤めております。  私の意見を申し述べますれば、公共団体所有する住宅の弊害と申しましようか、住宅は建てましたけれども、雨が漏つても修理もしてくれない。なお居住者に安定した一定の居住の権利を認めていないという点が大体指摘されると思います。私の住んでおります尾久六丁目急造バラックは、すでに建設以来五年の歳月を経過して、もはや使用に耐えない状態になつておりますが、東京都の方といたしましては予算その他の関係で、再三の要求に対しましても修理等は全然考慮の余地がないような状態でありまして、私は木住宅金融公庫法案に対しましてはかかる公共同体並びに業者への貸付を一応抑制をしてもらうということを希望いたすのでございます。また私は最末端の、しかも最貧困の者といたしまして、この法案をながめましたときに、われわれはこういう点を要求したいという考えを持つております。現在私の隣に、旧陸軍省の造兵廠が持つておりました工員の住宅があります。ところがこれは御承知のように国有財産でありまして、それを居住者に払い下げるという段階に立ち至つてはおるのでありますが、いかんせん五万、七万という資金に困窮している現状であります。しかもそれを復金あるいはまた低利融貸の方面をまわりましても、なかなかこれを購入するまでの資金というのは調達ができない現状でございます。それで本法案にはそういつた住宅で、一地にしかも多数の者が住んでおつても、それを払下げの対象として、その資金の面は考慮されていないようでございますので、かかる点も御考慮いただければけつこうではなかろうかと思います。  なおさらに私につけ加えて言わせますれば、私の住んでおりますような急造戦災バラックは、先ほども申しましたように、現今の状態から行きますと、今年九月あたりの台風では、屋根は相当使用に耐えない程度に飛ぶのではなかろうかという懸念を持つておるような次第であります。かかる見地からいたしまして、そういつたよう住宅で、しかも払下げをした場合には、その住宅の居住者に対しても資金の運用の面を考慮していただきたいということをお願いする次第であります。なお先ほど申しましたように私は民生事業をしておりますために、最も日本国民中の食えない人たちを相手にしております。ところが現在の生活保護世帯の大半は食えないばかりでなくて、住めないという現状にあり、かつ戦災以来、一間四方の、しかも焼けましたトタンを利用いたしまして、ガス管そのの他廃品でもつて家を建てまして、そこに住んでおり、その現状をいかんともなし得ないような状態でございます。それに参考のために申しますが、われわれのような近郊な尾久の地域におきましても、たとえば六畳間を借りるにいたしましても、約三万円、安いところで二万円、手づるを求めまして安く借りまして五千円、ところがその五千円で縛りました家を、何らかの方法で短期間のうちにそうういつた者を追い出すといつたよう方法を講じております。生活扶助世帯にとりましてへ食うことの二の次の一番大きな悩みの種は住という問題なのであります。     〔内海委員長代理退席、委員長着席〕  ところが本法案によりますと、かかる生活困窮者に対しての融資の面は多少薄らいでいるのではなかろうかというふうに考えられるのであります。しかもそういつた方たちは、計数的な面にも知能の点におきましても、かなりの隔たりが一般人から比べますとありますが、かかる場合の責任、いわゆる組合的な責任の根拠を地域の民生委員協議会等に持つていただきまして、現在住層に困窮しておりますところの生活保護世帯等にも本公庫融資が利用できるようにお願いいたしたい次第でございます。さらにお願いいたしたいことは、公認の住宅組合は認められておりますけれども、任意の生宅組合に対しましては何らの規定もないように思います。この任意の住宅組合と申しますのは、私の考えでは、一地にたとえば私どものように、数百世帯が集団をしておりまして、実質的には公認の住宅組合よりも真剣に住宅のことを考えているというものに対しましても、本融資の面を考慮されたらいかがか、こういうふうに考えている次第でございます。  さらにわれわれ最低の生活をいたしております者から、融資の七割五分の点を考えますと、これは貧乏人にとりましては、仏をつくりまして魂を人れないというような結果に終るのじやなかろうかと思いますので、できれば、先ほど申しましたように、民生委員協議会のような、法的な承認があれば全額を支給して、全部の住居に対する不安を除去していただける方法を御考慮頂いたい、こういうふうに考えておるのでございます。  それからよけいなことでございますが、私は先ごろ東京都の生業資金貸付調査員を勤めました結果、一番大きく頭に浮びましたことは、何と申しますか、いわゆる下せわにこすからいという俗語を用いますと、こすからい人間に、してやられるという傾向があるのじやないか、そのときの例を申しますと、実際は困つていないのですけれども、借りた方がいいのだというようなことで、三万円ないしは五万円の融資を受けた向きもあり、われわれ調査員からいたしまして、規定並びに細則等から行きますと、実際こういうものには貸したくないのだという御念があつたような結果が出たのでございまして、本法案融資等も、いわゆるそういつた方たちのために、真に住宅に困る正直な者が利用をしかねるというような面が考えられるのじやなかろうかと思いまして、かかる点を強硬に法規の中に織込んでいただきまして、真に住宅に困つている者に融資していただけるように御考慮を払つていただきたいと思います。  さらにもう一つ大きなおせわと申されるかもしれませんが、先ほど申しましたような、こすからい人間というような方は、現在自家に住んでいながら、本融資を受けまして、自分の現在住んでいるうちを転売して、受益しようというような向きもあるのじやなかろうかというふうに考えられますので——もつとも、私は常に事務所でごまかされているものですから、そういつたような悪い点まで考えをめぐらすわけなのでございますが、かかる点を法案の一項に加えていただきまして、そういつたいわゆるこすからい入御をシヤツトアウトするというようなことを御考慮に入れていただくということが、われわれ最も本資金融資したいと考えている者の無梁でございます。  それから当初に申し上げましたか、公共団体の持つておる住宅がなぜ不安ふという点をつけ加えたいと思います。現在私どもの住んでおります住宅は、公園指定地に建つております。そのために住居以来三年の日時を経過いたしました去年、公園課から住宅課に対しまして、尾久六丁目都営住宅の移転方を要求しているような状態であります。それと個人の地主さんでも、権利金そめ他が安いために都に対しては期限の遵守といいますか、そういつた点が強硬に要求されているような状態であり、前の住宅営団が持つておりましたときの町屋住宅にもそういつた例が発生いたしたような次第でございますので、でき得れば、公共団体所有に属するものでなくて、あくまで個人の所有になり、そのうちは個人の責任において長く保たせることの方が公共団体所有することよりもいいのじやないかというふうに考えられます。私が管理人といたしまして、現在非常に苦労しております点は、東京都に対して補修の申入れをいたしましても、予算のためにできないのでございまして、それの代償と申しましようか、そのために家賃不払いをきめて、お互いが自由に家賃の代価だけの補修をしようじやないかという動きもあつたような次第でございますから、でき得べくんば、公共団体その他の業者にかかる資金を運営してもらうよりは、個人にその責任を持つてもらつて、大事に、しかも長期に住んでいただくことのために、本資金の運用面を御考慮いただきたいと思います。簡単でございますが、これで終ることにいたします。
  43. 淺利三朗

    ○淺利委員長 参考人の方に対して御質問ありませんか。
  44. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 ただいま実際の衝に当りておられる西さんから切実なお話を伺つたのであります。この法律案に対して国民が非常な期待を持つておることは、住宅難の折柄、当然でありますが、実際、私個人の意見としては、この法律案の通りであると、ちよつと国民の期待を裏切つておるということを感じておるのであります。あなたは都営住宅の管理をしておられるのでありますから、参港までに、現在の都営住宅家賃、それからその中に住んでおられる方々の收入状況を、おわかりの程度でよろしいですから、お聞かせを願います。
  45. 西森義

    ○西参考人 私どもの尾久六丁目の都営住宅は、一戸建が百戸、四戸建が十六棟六十四戸ございます。一戸建が七坪で八十円でございます。それから四戸建が五坪五合ですが、それで現在五十円でございます。大体住宅に住んでおります者の職業の過半数は職工さんがおもでございます。大体平均の收入は八千円ぐらいになつております。それに現在七坪で十何人も住んでおるような状況でありますので、相当数建て増しをしているような向きもございます。
  46. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 ちよつとお尋ねいたしますが、さつきたいへんいい御恩児を承つたのですが、そのうちで現在あるものの払下げのためには融資が考慮されておらぬというのは、今のたとえば都営住宅であるとかいうところの庶民住宅、ああいうものの払下げを融資対象にすればどうだろうか、そういう御意見でしたね。生活保護世帯への融資という御希望もあつたようでございますが、これは一種の強度の社会政策的なものを盛り込んだものではあつても、慈善事業ではないわけですね。
  47. 西森義

    ○西参考人 はい。
  48. 江崎真澄

    ○江崎(真)委員 生活保護世帯についてしからば融資をするとすれば、あなたの私見としてはどんなふうに具体的に御考慮になりますか。その辺を……
  49. 西森義

    ○西参考人 現在生活保護法も改正案が出ております。その改正法案の中で行きますと、住宅扶助というのが一項設けられております。その面と民生委員協議全という公的な機関があると同時に、民生委員協議会には、必ず助成会というものがございます。それでその助成会を百パーセント運営いたしますことと、住宅扶助の面とで考慮いたしますれば、融資の返還ということにはちつとも支障がない、こう考えられます。この助成会と申しますのは、生活扶助、いわゆる要保護世帯に対しまして何らかの有益なことをやろうということのために、町の有志から成る会員制の会でございまして、幅利事業その他を営んでおりますので、大体実例を申し上げますと、私の現在受持つております尾久地区だけで、戦災に焼け残りまして現在公的な、さつき申し上げましたような一坪程度の焼けバラックに生んでおる者が二十五世帯ぐらいいるのでございます。それは民生委員協議会といたしましても、あそこは家をつくつてやらにやいかぬというような意見はありますけれども、なかなか金の面で町にばかり迷惑をかけるというわけにもいかぬで、話も出していないような状況ですが、たえずそういうことが会議の席上で問題になつているのでございます。ですから民生委員協議会が公的な団体なものですから、それに全責任を持たせまして、助成会を利用していただく。それと住宅扶助の面とのにらみ合せを御考慮いただくという構想を現在持つておるわけであります。
  50. 淺利三朗

    ○淺利委員長 本日出席を願いました参考人のうち、上屋溝君、藤田進君、池邊陽君を除いた方は全部終了いたしました一三君のうち土屋君と池邊君は出られないということを申し出て参りました。藤田進君は旅行中であつて、今日帰る予定であつたというのでありますが、もし出られなければ電報を打つということでありましたが、まだ何とも言つて参りません。  ついてはこの際お諮りいたします。時間もありますので、ただいまここにお見えになつております内閣社会保障制度審議会の委員、労務用物資全国協議会幹事吉田秀夫君がおられるのでありますが、臨時に同君を参考人といたして、この際同氏より意見を聴取することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 淺利三朗

    ○淺利委員長 御異議がなければさよう決定いたしました。それでは青田秀夫君にお願いいたします。
  52. 吉田秀夫

    ○吉田参考人 ただいま御紹介にあずかりました労務用物資全国協議会の幹事で、所属は大日本産業別労働組合会議の幹事、兼保健部長の吉田秀夫でございます。公職としましては、内閣の祝金保障制度審議会の委員を現在やつております。実は労務用物資全国協議会と申しますのは、産別、総同盟以下全国の附係単産四十くらいの労働組合と、それから全国の各地にこの関係で集まつております労働者代表によりまして現在構成され、主として労務用物資やあるいは住宅問題やあるいは労働者の幅利厚生施設の問題で、安本やあるいは労働者やその他の行政官庁と今まで団体交渉その他の問題で運動して来た団体であります。住宅の問題につきましては、すでに皆さん方御承知かと思うのでありますが、関西で資本家と労働者側によります関西産業復興会議の名前で請願書が出ているはずでありますし、その問題を契機に非常に大きく火がつきまして、今回の住宅金融公庫法案につきましては、日本のあらゆる労働者は非常に重大な関心を持つておる次第であります。その点につきまして、一応勤労者の立場から、労働者の立場から私見を申し上げたいと思います。  まず第一に労働者が住宅の欠乏によりまして、いかに生産が阻害され、あるいはその他の点で不自由をしておるかという点を具体的に調査により申し上げたいと思います。まず関西の産業復興会議の昨年九月の調査、これは栗本鉄工所の本社、工場、日本橋梁、アルマイト工業の神崎川工場、東洋護謨の大阪工場の四社の約千八再七十八人の調査でありますが、この調査によりますと、通勤者の場合、三十分以内あるいは一時間以内、一時間半以内、二時間以内、二時脚半以内、二時間半以上というように区別をいたしますと、三十分以内で工場へ行けるのは約四五%であります。一時間以内は三割一分、それ以下が一時同年以上もかかるというような数字になつております。こういつた交通事情のために、まともな男子の労働者の出勤状態はどうかということが統計で出ておりますが、これによりますと、平均の欠勤日数は、最高が二時間以内の者、それから一時間以内というパーセンテージが一番多いのでありまして、二時闘牛以上もかかるというパーセンテージがその次に位しています。もう一つはやはりまともな男の平均の遅刻の回数でありますが、一番多いのは二時常以内が最高でありまして、その次が二時間半以上というように、やはり二時間も三時間もかかるというような通勤状態の労働者が、一番遅刻が多いということになつております。この遅刻の回数をパーセンテージで申し上げますと、最高が二時間半以内でありまして三%、その次が二時間半以上で二三三%、次は一時間半以内というのが一二四%になつております。以下零コンマ何パーセントというような形で、三十分以内なり、その他の時間が書いてあります。  それから非常に疲労を感ずるというパーセンテージが出ておりますが、この中で圧倒的に疲れるというのは、二時間半以上でありまして、これは一〇〇%であります。その次に二時間半以内が八三三%、次に二時間以内か六一三%、一時間半以内が五七一%以下一時間以内がこれに該当しております。なぜこういう統計を出したかということは、実は御存じだと思いますが、大体五百数十万人の労働者が厚生年金という社会保険をかけております。この厚生年金の積立てた金が、現在二百億近くあるのでありますが、この金は大蔵省の預金部にくぎづけになつておるのであります。これは法律的には労働者の住宅やその他の施設にまわすという建前になつておりますが、これがいまだ一つも出ておりません。従つて労働者側といたしましては、政府や司会部の方にも再三にわたりまして要求をして参つたのでありますが、具体的なデーターを出せというので、関西の労使双方の調査によつてこれが出たのでありますが、これが今回の住宅金融公庫法案の問題につきましても、やはり参考資料として非常に強く要請書の中に出ておる資料であります。  もう一つ最近各労働組合が積極的にやつております調査の中に、住宅の問題と結核の罹病率の問題等につきまして、非常に積極的な働きを見せております。その中でも全日通といいまして、これは運送関係の労働組合でありますが、この労働組合が関東地方を中心にしまして、非常に綿密な住宅と結核の関係の調査を開始しております。これは手元に具体的な資料がありませんので、もし必要でしたならば出してもよろしゆうございますが、たとえば畳一畳に一人くらいの割合でいるとか、あるいは一間に六人も八人もいるとか、これは東京都内の汐留のような非常に密集した地域に多いのでありますが、これが静岡とか、もつと辺鄙な割合住宅の広い地域になりますと、二十畳に一人いるとか、三人いるとか、あるいは四十畳に二家族いるとかいうような統計になりまして、そのことが具体的に結核にかかる罹病率の非常に大きなモーメントになつております。もう一つはこれは一般的に脅えることだと思いますが、住宅と結核の問題は非常に重要な相関関係にありまして、もし日本で百五十万人から二百万人の結核患者を退治しようとするためには、まず第一に住宅の改善なり、生活の改善ということが前提條件だと言われております理由は、またここにあると思うのであります。  さらに労働者の現状としまして、家賃状態の問題でありますが、これにつきましては東京の亀有にあります日本紙業という会社、これは非常に古い会社でありますが、ここで非常におもしろい調査をやつております。これは昨年の五月二十五日の調査でありますが、住宅にしまして自宅が四三%の百四十名、社宅が二三%の五十三名、借家が二一%の五十二名、間借り、アパートが一二%の二十九名について調査をやつております。その中で家賃の金額でありますが、詳しいことは時間がありませんから割愛しますが、一戸当り平均の家賃は百九十四円四十七銭になつております。こういつた状態一つと、それから昨年の十月の労働組合生活実態の調査でありますが、住宅不足で非常に困る、そういう調査によりますと、狭くて全然休息もできないというのが六六七%になつております。それから追い立てを食つてつておるというのが二一八%、別居しておるというのが七七%、共同生活で不便だというのが五一%、豊の入れかえもできずに非常に不衛生だというのが五・五%、その他が二・二%になつております。これは申すまごもなく勤労者のみならず、あるいは引揚者、困窮者その他一般勤労大衆が圧倒的に住宅の問題で悩んでおるということはそのような統計からもはつきり言えることだと思います。  それでは労働者が今回の住宅金融公庫法案によつて、はたしてこの法律を利用して十分住宅に満足することができるかという点になりますと、これは遺憾ながらこの公庫法案につきましては、反対せざるを得ない面がたくさんあるのであります。たとえば現在のわが国の労働者の賃金から言いますと、これは政府の毎月の勤労統計によりますと、昨年の十一月の統計でありますが、男の工業関係の常雇いの労働者で、毎月きまつて支給される給与の総計は、九千四百三十四円になつております。そのほかその月限りの臨時の支給が二百九十六円、合計九千七百三十円となつておりますが、しかし実際には平均賃金以下の労働者は別の統計により事と、たと養われわれの方に入つております九州なんかの労働組合の現状によりますと、これは五千人くらいを対象にした労働組合の統計でありますが、六千円以下というのが六割から七割というような形になつております。こういう段階におきましては、今回の公庫法によりますと、融資を個人が受ける場合でも、七割ないし七割五分しか融資してくれないために、あとの三割ないし二割五分に当る建築費五、六万田ば、自分で準備金として持つていなければ借りられない。しかも大体千五百円ないし二千五百円の返済金を支払うだけの能力がなければだめだということになりますと、先ほどの統計から言いましても、現在の日本の勤労階級にとりましては、この公庫法案を利用する道がほとんどない、そんな金はどこからも出ないというのが現状であります。関西なんかはわざわざ労使双方が上意して、国会に陳情するという動きがあつたのでありますが、最近具体的にこの公庫法案の御審議の内容なり、あるいはその他都電や大阪の市電、あるいはデパートなんかで大大的に宣伝しております内容なんかを見まして、大阪なんかではこの法律によつてはわれわれは借りられないんだというような非常に不信の声が増大しておるような形で、かえつてこれは一部中産以上の階級のためにする法律であるというようなことすら、一応労働者の幹部級には惨透しておるような状況であります。  具体的にこの法案の内容についての意見を申し上げたいと思います。総論的にはそういうふうに非常に住宅難であり、年宅難そのものが生産を阻害し、あるいは労働者の健康を阻害し、非常に深刻な状態にあるという点と、実際には労働者がこういつた融資を受けて、毎月の家賃を払つて行くというような余裕が全然ないということ、そういうことを大体前提にしまして、具体的に各論に入りたいと思います。たとえばこれは政府の政策自体によると思いますが、生活協同組合というような組織が職域にもありますし、あるいは地域にもあるわけでありますが、これ自体が最近非常に不振で、ここに行き詰まつておることは事実であります。しかしこういつた生活協同組合というような一応民主的な組織を利用するという道を考えていただきたい点と、それから住宅組合法による現在までのいろいろな事業につきましても幾多の失敗はあるのでありますが、しかしこれは経済的に非常に弱い労働者や引揚者や、あるいは戦災者、そういつた者によつて構成されておりまして、やはり住宅組合というものがこういつた弱い階級の第一次的の対象になりませんと、どうしても阻害されるという向きが出ると思います。この点で住宅組合を認められ、また職場単位の組合がこのことによりまして、相当会社からも援助が受けられるという向きも当然出て来ると思います。それから住宅の規格の問題でありますが、これは小規模の住宅にも融資するように、建坪を最低の線まで引上げてもらいたいというのが労働者の要求であります。この点二、三日前もあらゆる労働組合が集まりまして相談したのでありますが、たとえば今度の百五十億の三割が鉄筋コンクリートの集団住宅に当てられておるという問題につきましては、そういつた鉄筋コンクリートの住宅をこの際全部やめても、これを最小限度の耐火設備を持つた木造建築に切りかえてやれば、おそらく五割からあるいは倍くらいの住宅がよけい建つんじやないか。この点は三割の鉄筋コンークリートの集団住宅を耐火用の木造に切りかえて、家賃を低廉にし、あるいは経費を低廉にし、その上に戸数を増加していただきたいというのが労働者の要求であります。  それから融資方法でありますが、この点については、仄聞しますと、施行規則等によつて一応民主的な管理委員会に近いような協議会があるやに聞いておりますが、この点は圧倒的に労働者側の要望でありまして、できれば民主的な融資のための住宅管理委員会あるいは協議会というものをぜひ設けていただきたいと思います。そうでなければ結局この融資が公平に行われず、あるいは地域によつて集団的にこういう地域には融資してもらいたいというような場合でも、それがいびつになるという向きもありますし、またある特定の土建業者あるいは特定の独占資本、そういつたものとの結託によりまして、ほんとうに困つておる労働者階級には全然まわつて来ないというような向きになると思います。この点は労働組合なり、あるいは引揚者なり、あるいはその他のいわゆる民間人代表を構成員にする民主的な貸付のための協議会なり、管理委員会をぜひ設けていただきたいと思うわけであります。これは府県別にあるいは地区ごとに設けていただきたいと思います。  それからこの仕事をやる業務委託の問題でありますが、銀行が金融機関の窓口事務の委託を一方的にやるということにつきましては、非常な疑問を持つております。これは結局非常に巨大な金融資本がいろいろな点で相当の権限を持つというようなことによりましてやはりこれがほんとうに困つている勤労者のための融資にはならずに、横に行つてしまうというような危険があるからであります。従つてこの最終の決定は、今言いましたように、各地区別の民主的な協議会にまずまかしていただいて、具体的な窓口の事務は地方庁がやるというようなことにしていただきたいと思うのであります。  さらに貸付利率の問題でありますが、案によりますと、この利率が五分五厘というような非常に高率になつております。この点はたとえば厚生年金の先ほど言いました約二百億の積立金の一割の約二十億を、住宅その他の施設にまわすというような動きがようやく現在あるのでありますが、その案によりましても、大蔵省が金融機関に貸すその利子は五分でありまして、金融機関から一般に厚生年金の給付の方に貸す利子が七分五厘になつております。従つて金融機関の手取りになる利子というのは二分五厘になるわけでありますから、五分五厘というのは非常に高額である。これは大体三分以下に引下げてもらいたいというのが、われわれ労働者側の圧倒的な要望であります。その他の問題としましては、たとえば具体的に家をお建てになる土地の問題でありますが、そういつた土地の取得につきましては、たとえば寺院とか、神社とか、あるいは公有地、官有地等の払下げにつきましても、格段の御配慮を願いまして、これを安く払下げるように法的な措置をぜひ講じてもらいたいという点が一つ。さらにもし百五十億出の融資にあまり申込みがなくて、相当程度つたという場合の資金の問題につきましては、民主的にその運用をはかつてこれがへんな部分に吸收されないようにというような條件も、われわれとしましては出している次第であります。  以上申し上げましたように、大体今回の住宅金融公庫法案につきましては、当初非常に労働者側も支持なり、あるいは全面的な関心と、これによつて相当程度住宅が緩和されるという希望を持つたのでありますが、その後のいろいろな動きによりまして、率直に言つて非常に失望しております。結局はこれは高嶺の花でありまして、われわれ勤労者のための住宅にはほとんどまわつて来ないという点で、現在におきましては、ほとんどあきらめといつたような印象を持つていると言つてもよいのであります。この点あくまでもせつかくこういつた新しい法律をおつくりになり、百五十億の巨大な額を出すのでありますから、先ほど私が申しましたような要求事項も十分お考えになつて、ほんとうに勤労者やあるいは困つている人たち住宅資金になるように御考慮を願いたいと思うのであります。  以上によりまして意見を終ります。
  53. 淺利三朗

    ○淺利委員長 どなたか御質問はありませんか。
  54. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 この法律に対して勤労者諸君が非常に重大な関心を持つておられるのは当然であります。そこで私個人の見解ですが、この法律の趣旨はまことにけつこうでありますが、現在のこの案の通力で行きますと、十坪の家でも二千円——御承知の絶対必要な元利償還をするのでありますが、このほかに今改正案が議題に上つておりますけれども、従来の言葉で言いますと家屋税、地租が相当上る、そのほか保険料というようなどうしてもいる経費だけでも、自分の家として大体負担しなければならないのが、十坪の家で二千円、坪数が多くなると従つて二千五百円から三千円、現在の案ではそうなつております。かわに十坪のところで現在の私企業その他の勤労者諸君が利用し得る見通しがどのくらいあるか、あなたか詳細に調べておられるようですから、簡単でよろしゆうございますかお聞きしたい。
  55. 吉田秀夫

    ○吉田参考人 大体社会保険関係の保険料を出しておりますいろいろな統計によりましても、三百人以上の大きい事業所、これは千人あるいは二千人というような企業になると思いますが、そういつた事業所の八百近い賃金統計は、現在九千円台になつております。それから三百人以下の非常に小企業の事業所の賃金は、大体六千四百円ぐらいになつております。これは男女込みでありますから、そういう形になりますけれども、非常に古くから自分のうちなり、あるいは家賃を払うという人たちは、まだ千円までの家賃を払つていないと思うのでありますが、非常に困つている連中につきましては、やはり今言われたように千円なり、二千円なり、あるいはそれ以上も払わなければならぬというような形で、ほとんどそういうべらぼうな家賃は払えないという現状ではないかと思います。従つて独身者でも五千円や六千円をとつている連中が、一間借りるのに千円近く払うというのではとうてい生活かできないわけです。私はそういつた社会保険関係の統計から言いましても、三千円というような家賃、諸掛りは支払えないし、大体手持に何らの貯金もありませんし、去年の秋からの首切りで割合に退職の希望者が多いという事実を見ましても、そのことは一つは病気でありまして、一つはそれまでの累積した借金のためにうつかり退職した、その後に全然職かないといつたような現状が多いわけです。従つて全然手持にはそういつたたくわえはないと思います。実際利用しようにもどういうふうにして利用したらいいか、具体的にどんな形でも法律が国会を通つた場合に、やはり活用しなければなりませんから、そういつた場合には労働組合としても相当この法律をたてにして、何か新しい労働運動でも起さないと今の住宅の問題は解決がつかないとさえ私は考えております。
  56. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 今平均で言われましたが、ちよつと私のお尋ねしたことがはつきりしなかつたと思うのですか、平均九千円としても、一万二千円も一万五千円もとられる人もあると思います。少くとも十坪の家は実收が一万五千円なければこれを利用して支払いをして行くことはできないと思う。そういう方が相当おられるということを逆にお伺いします。
  57. 吉田秀夫

    ○吉田参考人 産業別に申し上げますと、大体金融業務関係の業種の労働者の賃金が今最高であります。それによりますと、先ほど九千円と言いましても、大体一万二、三千円まで上つております。そのことは一万五、六千円から二万円とつておる高給労働者がたくさんおるということになるのでありまして、それ以外のたとえば金属関係、化学関係あるいは紡績というようなここになりますと、非常にベースが下つて来ます。従つて一万二千円以上もとる労働者というのはおそらく全体の一剛にも満たないと思う。大経営におきましては、割合に戦争中から焼けない部分におきましては相当の社宅が多いのです。その社宅さえも——たとえば日立なども相当の社宅を茨城その他で打つておりますが、これが労働者大会のたびに問題になるのが現状だと思います。ごく少数だと思います。
  58. 淺利三朗

    ○淺利委員長 他に御質疑ございませんか——それでは藤田進君はまだ見えませんので、おそらくは出席不可能かと存じます。  これにて参考人方々からの意見聴取を終りたいと思います。参考人の方方は御多忙中にもかかわらず、長時間にわたつて熱心なる御意見を述べられ、厚く感謝いたします。本委員会といたしましてはこの貴重なる御意見を参酌いたしまして慎重に審議いたし、皆様の御棚待も考え、適切なる結論を得るように努力いたしたいと存じます。どうもありがとうございました。ちよつと速記を止めてください。     〔速記中止〕
  59. 淺利三朗

    ○淺利委員長 それでは次会は明十二日午後一時より開くことにいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後三時四十五分散会