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伊東(五)政府
委員 住宅の不足数と申しますのは、毎度この
委員会でも申し上げておりますが、なかなかつかまえにくい数字でございます。たれも屋根の下に住んでおりますから、一応不足数はないとも申せますし、また人の家に同居しておるというだけが不足数でありますなれば、これは大体全国二百万戸程度でございます。これは一昨年の住宅調査で明らかにな
つております。しかし同居しておる人が必ずしも住宅を必要としておるというわけでもございません。これが平時においても同居というものはあるパーセンテージあるわけでありますから、そういう関係もございます。またりつぱな家に住んでおりましても、非常に職場と離れておりまして、何時間も通勤のためにかかるとか、いろいろな関係がありまして、住宅不足数ということを的確に、科学的につかまえますことは、なかなか困難でございます。さればと申しまして、全然数字なしにはいろいろな政策は立てられませんので、一応
建設省としてはいろいろな推定をいたしております。空襲で何戸滅失したか、防空対策として強制疎開、家のとりこわしをや
つておりますが、そういうような戸数とか、そういうことによ
つて激
つた数とか、引揚者などで新たに人口がふえた、これに対する住宅の必要数とか、戰時中に家の形はありましても、事実もう使えない程度に腐朽して来ておるとい
つたようなものを推定いたしまして、終戰直後において四百二十万戸、これらの原因を見ましてこれだけ住宅の不足があ
つたというふうに一応押えております。その後家がだんだん建
つております。この数字も非常に的確なものではございませんが、届出によります統計をと
つておりまずが。これが現在までに二百四十万戸建
つております。一方火災とか風水害などで家が滅失しておりますが、これが三十五万戸ございます。それから自然の腐朽、これは家の形はあるのでございますが、当然もう住むにたえないとい
つたようなものの推定が五十万余りございます。それから海外引揚げのほかに、人口の自然増加が終戰後特に多いのでございますが、これを一世帶五人なら五人というような推定をいたしまして、これに関するものが八十万戸ほど必要である。これらを差引勘定いたしますと、現在大体三百五十万戸ほどの不足がある。この仮定がいろいろと議論のある問題が非常にあるのでありますけれども、一応
建設省としましてはなお三百五十万戸程度の不足があるというふうに
考えております。それをさらにいろいろな資料によ
つて、この中でも特にあまり長くはうつちや
つておけない、ほんとうの
意味の住宅困窮者というものを、たとえば住宅調査によりまして一人当り畳数が一畳半にも満たない相当過密居住にな
つておるものとか、職場からの相当の遠距離通勤とか、家族が別居生活をしておるとか、そうい
つたようなこの三百五十万戸の中でもかなり深刻に困
つているものを推定いたしますと、大体百万世帯くらいになるのであります。その中には自己資金で
建設できるという方も相当含まれておりますので、国が資金的に何か援助をして行かなければいけないだろうというものが、七、八十万程度はあるのじやないかというふうに推定をしております。この七十万戸ほどを、計画的に、そう長い期間でなく資金を補給いたしまして
建設する必要があるのでございまして、これを大体五年程度と
考えて、国庫補助の庶民住宅と、それから資金の融通とによりまして
建設して行きたい。これは予算などが年度計画で、長期の計画にはな
つておりませんから、ほんとうの
意味の計画にはなりませんけれども、一応
建設省のこれから毎年の予算を要求する場合のめどとして大体その程度のものを
考えておるわけでございます。今年度は庶民住宅が二万七千戸程度、それから金融公庫によりまして、八万戸余りありまして、合せて大体十一万戸程度を供給する。これではちよつと五年計回ではこの調子で行きますと実行できないわけでございますが、なるべく五年計画でできるように将来は予算の獲得などに努めたい。あるいは別な面から資金を供給するように
考えて行きたい。こういうふうに
考えております。