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1950-04-06 第7回国会 衆議院 建設委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月六日(木曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 田中 角榮君    理事 内藤  隆君 理事 上林與市郎君    理事 天野  久君 理事 砂間 一良君    理事 笹森 順造君       池見 茂隆君    大西  弘君       越智  茂君    瀬戸山三男君       西村 英一君    宮原幸三郎君       小松 勇次君    増田 連也君  出席政府委員         大蔵事務官         (主計局長)  河野 一之君         大蔵事務官         (銀行局長)  舟山 吉正君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君  委員外出席者         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 本日の会議に付した事件  住宅金融公庫法案内閣提出第一五二号)  建築士法案田中角榮君外六名提出衆法第一  五号)  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負  担の特例に関する法律案に対する申入れの件     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより会議を開きます。  昨日付託になりました建築士法案田中角榮君外六名提出衆法第十五号を議題といたし、提案理由説明を求めます。田中角榮君。
  3. 田中角榮

    田中(角)委員 過般来より当委員会各党議員提案といたしまして、法案の立案にあたつておりました建築士法も、諸君の格段の御協力を得まして、一昨四日本院提出、昨五日本建設委員会付託に相なりましたので、提案者を代表いたしまして、提案理由の御説明を申し上げたいと思います。  建築物災害等に対する安全性を確保し、質の向上をはかることは、個人生命財産の保護と社会公共の福祉の増進に重大な関係を有するものであります。そのためには専門知識技能を有する技術者が、その設計及び工事監理を行うことが必要であります。建築士法はこの趣旨にのつとり、建築物設計及び工事監理をつかさどる技術者資格を定めて、試験制度により、建築士免許登録をすることにより、一定技術水準を確保するとともに、その業務に対する責任制度確立しようとするものであります。過去数十年来、建築士法制定必要性は、識者の唱道して来たところでありまして、欧米においてもつとに建築士制度法制化し、建築設計及び工事監理知識技能ゆたかな専門技術者を当てて、建築設計技術向上と、設計者責任制度確立に努めておる状況であります。今回政府においては、市街地建築物法を全画的に改正すると同時に、臨時建築制限規則を廃止して、建築手続等も極力簡易化せんと企図しております。ちようどこのとき建築士制度法制化を実現しますことは、両々相まつて、今までの監督行政を脱し、民主的な建築行政確立するゆえんと考える次第であります。  次に本法案の内容に関し特徴とする点を二、三御説明いたします。  第一に試験による免許登録制度によつて建築設計及び工事監理専門的技術一定水準の保持とその向上に資することができます。  第二に建築に際して、建築関係法規の確実な適用が期待されるとともに、建築士の創意くふうにより、合理的かつ経済的に建築物安全性の確保と経済価値増進をはかることができます。  第三に建築設計建築士に、工事の実施は建築業者にと、おのおの責任の所在を明確にすることにより、相互に不正、過失の防止をはかることができます。  第四に建築士制度確立により、建築主設計建築手続工事監理についての煩瑣な事務を、建築士を信頼してまかせることができるようになります。  最後に経過的措置について若干の説明をつけ加えます。かかる制度が新たに設けられますと、現在までこの方面の職に従事していた人々が、あるいは試験に落ちて職を奪われはしないかという心配が起ります。本法においては、わが国現状にかんがみ、建築士を一級及び二級にわけて、おのおのその適当な職分を受持つことができるように配慮しておりますから、この心配は少いのでありますが、さらに附則において、現存の有資格者に対しては暫定的に試験を用いず、選考によつて免許を與える道を開いております。またこの場合の学歴実務経験基準も、十分に実情を考慮して、一方あまりに緩に失して法の目的を阻害せしめないとともに、他方あまりに嚴に過ぎて、現在の営業者を困らせることのないよう十分に留意したつもりであります。以上で本法案の大要を御説明申し上げました。  次にこの條文説明を簡単に申し上げたいと思います。第一章、総則、第一條は御承知の通り法目的を明らかにしたものです。第二條は法文中に出て来る用語定義であります。建築士という名称はアーキテクトの訳語として、現在すでにわが国でも通俗的に使用されております。これが本法により法律用語となると、これに類似の用語の使用は禁止せられるわけであります。建築士を二階級にわけ、程度の高い、すなわちむずかしい構造物設計する人を一級建築士、その次の程度のものを設計する人を二級建築士といたしました。これは二階級にわける方が現状に即すると考えられたからであります。名称先例といたしましては、教職員免許法一級普通免許状及び二級普通免許状という言葉が使われております。当初は建築士及び建築工務士という案もございましたが、工務士名称外国のエンジニヤの訳話と間違えられることを恐れて避けたのであります。また建築士及び建築士補の案も出たのでありますが、必ずしも補佐的な仕事に限らないという理由でやめたのであります。このほか建築士及び建築工士の案も考えられましたが、原案の方が一般的にわかりやすいであろうという理由で採用いたしたのであります。工事監理という言葉は、普通に工事監督という場合よりやや狭い意味定義されております。法律で縛るのはこの範囲として、建築業者との限界を明確にするよう留意したものであります。なお第三十一條業務の條で明らかな通り建築士工事監督をすることはさしつかえないのであつて、ただ法律的な責任としては、設計及び主事監督範囲に限られるわけであります。  第三條は建築士に権限を與え、これを保護する趣旨條文であります。これは元来、別の法律として近く政府から提出される建築基準法規定するのが適当でありますが、一応本法に簡単に規定し、詳細は同法に譲る予定であります。建築基準法の成立が遅れるような場合には、單行法として出すことも当然考えられるわけであります。学校、病院、劇場、百貨店等特殊用途建物で九十坪すなわち三百平方メートル以上のもの、鉄筋コンクリート等木造以外の建物で二階以上または六十坪、二百平方メートル以上のものは、一級建築士でなければ設計または工事監理ができなくなります。また特殊用途建物で三十坪すなわち百平方町メートル以上、木造以外の建物及び木造でも、三階以上または九十坪すなわち三百平方メートル以上のものは、一級建築士または二級建築士でなければ設計または工事監理ができなくなるのであります。そのほかの建物、すなわち特殊用途建物で三十坪未満のものまたは二階までの木造で九十坪未満建物は、この規定ができてからも、だれでも設計または工事監理ができるわけでございます。従つて一般木造住宅建築等に対しては大きな影響を與えないのであります。この緩嚴の度合いについては論議の余地があることと思いますが、わが国現状から一歩前進した形として、上述いたしました通り規定を構想している次第であります。  第三章免許本章建築士免許登録制度に関する規定でございます。  第四條は、一級建築士免許を国が行い、一級建築士免許都道府県が行うこととしたのは、三級建築士仕事が大体その都道府県内で行われると予想されますので、実情に即した免許を行い得る便宜があると考えたからであります。先例といたしましては、保健婦、助産婦、看護婦法による甲種看護婦は国で、乙種看護婦地方免許することになつております。  第八條は、建築に関する犯罪者はも、ちろん不適格である場合がありますし、その他のことに関しても、禁錮以上の刑に処せられた者は不適格とすることがあるということにいたしました。  第十條は、建築士に不誠実な行為があつたときは、その軽重により懲戒として戒告、一年以内の業務停止あるいは免許取消し等が行われます。業務停止及び免許取消し建築士にとつて死活に関する重大問題でありますので、特に聽聞を行い、かつ審議会同意を得るという民主的な手続をふむこととし、当事者の独断を排し、愼重を期したのであります。  第三章試験本章資格試験方法受験資格等に関する規定であります。  第十三條は、試験の科目としては、建築設計及び製図、建築構造建築施工建築材料建築衛生電気並びに給排水等建築設備建築関係法規等に関する基本的な事項が予想されておるのであります。一級建築士に対しては、このほか構造力学暖冷房設備建築史都市計画等に関する常識的な事項が加わることも予想されます。  第十二條は、試験は少くとも一年に一回以上は行うこととし、免許の機会を長い間ふさぐことのないようにした規定でございます。  第十四條、第十五條受験資格を定めたもので、その年限を図示すれば別紙通りになるのでありまするが、この別紙は現在印刷をしておりますので、あとから委員諸君のお手元までお届けいたしたいと思います。学校課程として建築または土木としたのは、両学科とも、建築物安全性関係する構造力学を十分に修得していると見られるからであります。一般建築土木学歴に特に差別をつけなかつたのは、建築衛生設備または意匠方面知識建築に関する実務経験中に修得されるものと予想されるからであります。従つて、第十五條第一号のごとく、学校卒業者がただちに資格を生ずるような場合に限り、土木工学科の卒業生に対してはさらに建築に関する実務経験一年を必要としたのであります。機械、電気衞生等課程を修めた者も同様に取扱つたらどうかという要望もありますが、これらは構造力学に関して不安な点がありますので採用しませんでした。一級建築士受験資格として、実務経験のみの者を認めなかつたのは、鉄筋コンクリート等構造物を建設するには、構造力学に関する基礎知識を必要とすると考えたからであります。学歴の全然ない者に対しては、二級建築士経験四年を必須要件とし、その間に、この方面知識を補えるものと予想したのであります。  第十四條第四号及び第十五條第三号に「前各号と同等以上の知識及び技能を有する者」とあるのは、大体外国学校を卒業した者を予想しているのであります。  第十六條は、受験手数料一級建築士に対しては八百円程度、二級建築士に対しては、府県実情に応じてそれ以下の額が予想されます。  第四章業務本章建築士業務に関する規定であります。  第十八條は、建築士法令に適合した設計をせねばなりません。この規定があるために、建築士設計した建築物に対しては、特に許可手続を簡易にすることができるわけであります。工事施行者建築士の注意に従わない場合、建築士はその旨を建築主に報告せねばなりません。その結果、建築主の依頼によつて建築士がさらに種々措置をとることは当然考えられるところでありますが、これは本法規定範囲外のことで、建築主建築士との間の別の民法上の契約に基く行為となります。  第十九條は、設計変更の場合は原則として原設計者承諾を求めて行うことになつており、従つて、その責任も当然原設計者が負うことになります。何かの事情で、たとえば設計者が遠隔の地におる場合等、原設計者承諾が得られなかつたときは、他の建築士が自己の責任において変更することになります。この場合、変更部分設計責任変更行つた建築士が負うことはもろろんですが、将来その建物に障害が起り、それが設計変更のために生じたということが技術的に確認されたときは、その責任設計変更者が負うべきものと解せられます。なお、一級建築士でなければ設計できないような構造物設計変更を、二級建築士が行うことは当然許されないのであります。  第二十條は、建築士設計図書に記名捺印してその責任を明らかにする規定です。  第二十一條は、建築士は本来の業務のほか、本條に掲げる業務を当然に行うことができます。建築手続代理業務は、府県によつて條例による免許制度をとつているところもありますが、本法による建築士は、その條例にかかわらず、当然に代理業務をも行い得ることになります。  第五章建築士事務所建築士業務を行う建築士事務所に関しては、当初登録制にすることも考えられましたが、種々事情で、単なる届出制に改められました。従つて府県ごと建築士事務所名簿を作成する等のことも法律には規定されませんでしたが、これらの仕事民間団体建築士会等において自主的に行い、公衆の便宜をはかるべきものと考えるのであります。  第二十三條は、建築士事務所を開設する場合の届出に関する規定であします。出張所については規定されておりませんが、独立して業務を行う場合は、一個の建築士事務所として当然届け出なければなりません。他の府県へ移転した場合は、元の府県廃止届をし、新たな府県開設届をすることになりまする  第二十四條は、一人の建築士が多数の建築士事務所を持つことを禁じた規定で、これによつて責任ある業務を行わせようとするものであります。法人等で各地に支店、出張所を設ける場合には、専属の建築士を配置しない限り、建築士事務所と称することはできません。  第二十五條は、特定の建築物設計及び工事監理建築士でなければできないので、設計料等を独占的に不当に引上げられた場合には、一般の人が迷惑することになります。また逆に競争的に不当に引下げるようなことが起れば、正当な業務を行い得ないようになります。料金の最高または最低の基準は、建築士会等民間団体地方別に自主的に定めることが最も適当と考えられますが、何らかの事情で行われがたい場合を予想して、必要があれば建設大臣中央建築士会同意を得て、これを勧告することができることとしました。  第二十六條は、建築士事務所監督に関する規定で、不都合があつた場合は、都道府県知事閉鎖を命じ得ることになつております。但し、閉鎖命令も重大な問題でありますから、聽聞並びに審議会同意を必要としました。  第六章建築士審議会及び試験委員、第二十八條は、建設省中央建築士審議会地方都道府県建築士審議会を置き、本法施行に伴う重要事項審議に当らせるとともに、関係各庁に建議することができることになつています。これはこの種法律の民主的な運営に必要な措置と考えられるのであります。  第三十九條は、審議会委員原則として建築士のうちから、建設大臣または都道府県知事が委嘱することになつております。一般にこの種審議会関係官庁職員学識経験者をもつて構成するのが従前の例でありますが、大臣知事諮問機関官庁職員が入る必要はないという意見もあり、かつ、もちはもち屋の方が適当であろうということで、原案のごとくいたしたのであります。また、小さな府県等建築士の数が十分でないような場合には、その他の学識経験者をもつて補うこともできるようになつております。  第三十二條は、本法施行上必要な試験委員原則として、建築士をもつて充てることになつています。これはかかる制度を技術的に権威づけるゆえんと考えられたからであります。  第七章罰則、原則といたしまして、あまり重い刑罰を課することなく、行政上の運用によつて措置する方針をとつております。たとえば建築士法令に適合しない設計行つたとき、建築主に対する報告を怠つたとき等は、すべて第十條にいう「不誠実な行為」をしたものとみなして、業務停止または免許取消等によつて臨み、刑罰は課されないことになつておるのであります。  第三十五條は、本法による最も重い刑罰であります。第三号は不誠実な行為により業務停止を命ぜられた者が、これに違反した場合であります。第四号は専任の建築士を置かずに建築士事務所を開設した場合で、第一号にいう「業務を行うための名称詐欺」にひとしいと認められます。第五号は建築士事務所都道府県知事閉鎖命令に違反した場合であります。  第三十六條は、これは前條より軽い罪で、体刑は含みません。第一号は単純な名称詐称の場合であります。第二号は試験委員等が不正を行つた場合であります。  第三十七條は、最も軽い過料処分で、これは建築士事務所届出を怠つた場合に適用されます。  附則、まず施行期日に関する規定であります。第二十二條の、「建築士でないものが建築士名称を用いてはならない」という規定、及び第五章の建築士事務所に関する規定は、実際に建築士選考されて業務を開始し得ると認められる時期、明年七月一日まで施行を延期してあるのであります。二項から十二項までは、現存設計及び工事監理を業としている者に対する経過的な措置規定しております。かかる人人に対しては試験を行わず、選考により資格を與え得る便法が講ぜられておりますが、あまりに緩に過ぎて本法の、趣旨を没却されることのないように、必要と認められる者に対しては、考査を行うこともできるようになつております。選考対象となる資格は、第十四條及び第十五條受験資格より若干きつくなつております。すなわち、経験年数において一年ないし二年くらい延長されていますが、これは試験を省略するための当然の要請であります。但し従来正規の学校を出なくて、この種業務に従事している者も若干おりますため、その救済のため、実務十五年の経験を有する者は一級建築士に、実務十年の経験を有する者は二級建築士に、それぞれなれる道を開いております。もちろんこの場合には第七項による考査行つて、実力のない者が建築士となることは防止せねばならぬものと考えます。選考資格は明年三月三十一日を基準とし、選考の申請は同じく四月三十日までとしてあります。これは種々準備等に要する期日を見込んだものであります。選考委員に関する規定試験委員に関する規定に準じたものであります。但し、この場合は、いまだ建築士がおりませんから、選考委員関係官庁職員学識経験者をもつて充てることにしております。選考及び考査基準というのは、実務経験とはいかなる経験を指すか、いかなる場合に考査を必要とするか、あるいは考査課目等に関する事項で、これが各地方でまちまちにならないため、建設大臣が告示することになつています。考査課目は大体さきに述べた試験課目に準ずるものと考えられます。本年は選考前でありますから、当然試験は行われません。初めの試験は明年の後半になるものと考えます。建築士がきまるまでの建築士審議会の暫定的な構成を十三に規定したものであります。第十四は、建設省設置法事務的な改正を行う規定であります。  以上で逐條の御説明を終る次第であります。  なお経過規定によりますところの実務経験十五年以上というような者に対する定義でありますが、簡單に申し上げますと、建築に関する経験者は、すなわち俗に大工さんその他いずれでもいいかというと、そういうふうに広義な人たちまでを対象規定いたしたわけではありません。これはすなわち夜間の甲種工学校高等工学校等を卒業せられた者であり、前各條に述べる程度学歴経験を持つ者と認められる者や、特に現在東京、大阪その他で條例により施行せられております建築代理士試験等に合格せられまして、なおかつ本條規定せる経験年数を有する者であり、一、二級建築士資格を十分備え得るとみなした者を規定いたしたのであります。  以上で提案理由説明を終ります。よろしく御審議の上、すみやかに御可決あらんことを切望する次第であります。
  4. 淺利三朗

    淺利委員長 本案につきましては本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  5. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは本日理事会において昭和二十五年度災害復旧事業費国庫負担特例に関しての大蔵委員会に対する申入れの件を協議いたしたのでありますが、大蔵当局の御意見も承りたいという考えでありますから、この問題は後刻にまわしまして、とりあえず本日上程になつております住宅金融公庫法案議題といたし、質疑に入ります。通告がありますから、先に通告順によつて質疑を許します。大野久君。
  6. 天野久

    天野(久)委員 本法案に対して一、二御質問を申し上げたいと存じます。まずこの法案は第一條に掲げてあります通り、庶民、いわゆる銀行の窓口をたたくことのできない人及び財産のない人に金を貸して住宅を建てさせる、こういう趣旨であると存じますが、まず第一にお伺いいたしたいことは、貸付方法をどんなふうになされるか、貸付対象となる人を選定する方法についてお伺いしたいと思います。
  7. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 貸付対象を、選定する方法についてのお尋ねでありますが、この第十七條にございますように、貸付対象となるものは、大体三種類になつております。一つ個人、それから住宅組合、第三番目は賃貸事業を行う会社その他の法人、こうなつております。この第一の個人に対する貸付方法について申し上げたらいいのじやないかと思います。これは住宅に困つている者ということがむろん第一の條件でございます。それから償還能力のある人、こういうのがもう一つ條件に相なつて参ります。いろいろ具体的にきめて行かなければ場ならぬ問題と思いますが、大体現在当局として考えておりますのは、まずこの住宅の困窮につきましては、困つている人に対してなるべく広く公平に選定をいたしたいと考えます。たとえば現在いわゆる住宅でないところに住んでいる、壕舎とか仮小屋とか、あるいは職場に住んでいるとか、こういう方もあるでしよう。また住宅に住んでおられましても、同居して非常にむりな居住状態にある、あるいは通勤の場所まで非常に遠距離の場所に住んでおられる。いろいろ原因がありますが、なるべく広く住宅に困つている人を対象にしたい。それから住宅と申しますから、世帯向き住宅を主として考えておりますので、独身者の寄宿舎的のもの、これは一応除外して考えた方がいいのではないかと考えております。  それから償還能力でありますが、これもなるべく広く困つている人に均霑するという意味から、あまり嚴重な條件をつけることはいかがかと考えますが、ただあまりこれをルーズにいたしましても、将来の国庫の非常な負担になるということもありますので、その辺の調整はむずかしいのでありますが、ある程度と申しますか、必要なだけの頭金、一時金を支拂う能力もある。それから月々の償還金についても、毎月の収入などからにらみ合せまして、その程度の賦金なら拂えるというような目安で選定して行く必要があるのではないかと考えるわけでざいます。
  8. 天野久

    天野(久)委員 大体資格についてはわかりましたが、その貸付けの対象となる人の決定、いわゆる第十八條條文に対して、どんな形に実際行われるのか、ひとつ詳細な御説明を願いたいと思います。
  9. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 ただいま申し上げましたような観点から一応調査いたしまして、貸付けの対象として資格がするということがきまつた場合におきまして、一方において予算の上から一応のわくがあるわけですが、そのわくより超過するという場合には、これを公正に選ばなければならないということが、十八條規定されておるわけですが、これが公開抽籤というような方法できめる以外に、方法はないのじやないかというふうに、現在のところ考えております。
  10. 天野久

    天野(久)委員 この條文を見ますと、またその御説明を拝聽いたしますと、公庫において一括決定するというように解釈できますが、この全国から申し込まれたその多数の申込み人を、公庫一本においてその決定が迅速になし得るかどうか、これが疑われて参ります。今までもよく例があつたことでありますが、この法文をこしらえなければならぬというように、住宅にせつぱ詰まつてつておる人、いわゆる住むに家なく、つくるに金がないという人がたくさんあるので、この法案ができたのである。しかるに全国のものを公庫で一箇所においてこれを決定するということであるならば、これは相当な時日を要し、そうして簡單にきまらないこと、それからその対象がよくわからないということ、それからまた県などにおきましては、やはり住宅政策が十分に立てられないという結果になつて来る。従つて借入金の申込みを決定いたす上において、この十八條條文だけにおいては、この法案が今住宅に窮迫しておる人たちに対してりつぱに役立つものかどうか、こういうことが疑われて来ますが、そういう点について、いま少し詳細な御説明を承つておきたいと思います。
  11. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 予算で大体決定しております通り、公庫の機構が、資金を取扱う機関としましては比較的小さいのでございます。それで非常にその調査決定にひまどつて貸付が非常に遅れるのじやないかという御心配でありますが、この点につきましては、公庫自体も実はこの一箇所で決定する、というのではなくて、全国適当に支所を置きまして、おのおの地域ごとに分担をするようになつております。しかしそれにいたしましても、この支所の取扱い区域も相当広いことでありますから、御懸念のような事態が起るわけでありますが、ただ決定は公庫において行いますが、決定に至るまでの調査の事務、これに主としてひまがかかるわけですが、この調査事務については、銀行その他の金融機関と、それから技術的の審査につきましては、地方公共団体に委託をすることになつております。地方公共団体は、場合によつては、府県のみならず、市なども動員することができると思いますし、大体それがために貸付が非常に遅れるということはないつもりでおります。またないようにしなければならぬと思つております。金融機関につきましては、銀行局から御説明をお願いしたいと思います。
  12. 舟山吉正

    ○舟山政府委員 ただいま説明のありましたように、住宅金融公庫はその規模を極力小さくいたしまして、無用の出費を防ぐ建前になつておりますので、業務を銀行その他の金融機関中適当なものに委託することに相なります。しからば業務の委託を認める金融機関はどういうものを予想しているかと申しますと、銀行、これには大銀行も入りますし、また地方にあります地方銀行も入ります。それからさしあたつては無盡会社中その能力ありと認めるものを入れたらどうかと考えておる次第であります。これらの金融機関におきまして、この資金の貸付にあたりまして、借受け希望者の適格性、あるいは自他資金で幾らか負担しなければならないことになつておりますが、その負担能力ありやいなや、それからその建築を予定しております設計の規格その他を審査してこれを公庫に届けるわけでございます。主として審査事務はこれらの金融機関の手によつて十分になされるということになるわけであります。これを各地に集めまして、いかなる基準によつてえりわけをするかという問題につきましては、建設省の方から御説明があつたと思います。
  13. 天野久

    天野(久)委員 今銀行局長のお話では、つまり公庫の出張所と申しますか、支所を全国に何箇所か置いてやる、こういうようなお話でありますが、大体その予定の箇所はどれくらいであるか、ひとつお知らせ願いたいと思います。  それからいま一つ、信用調査の調査機関は、銀行、金融機関である、こういうような御説明でありまするが、はたしてこの金融機関だけにこの調査をまかして公正な調査ができるかどうか、むろん住宅を建てることができない人でありまするので、信用満点という人がこの金を借りるようなことはないわけであります。従つて今まで金融業務によつて仕事をして来た人、いわゆる回収のみをほんとうに目的とした人たちが調査して、はたしてこの人たちに対してしつくりその調査ができるかどうかということを承りたい。そこでこの條文を見ますと、地方府県は何ら参画して行くというような條文がないのでありますが、何ゆえに地方団体やその他を使わなければならないときに、府県土木課なり、あるいはその他の各課を除外しておるのか。こういう点について詳しい御説明をお願いしたいと思います。
  14. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 公庫の支所は札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の七箇所であります。東京は本部に支所の事務を扱う部局を設けました。大体今のところそういうように進めてみようと思つております。  それから銀行で信用調査をする場合の御懸念の点については、大蔵省から御説明願つた方がいいのじやないかと思います。  最後の府県がこれに關與していないように思うというお話でありますが、この貸付の決定につきましては、国の責任においてやる必要がありますので、国の機関たる公庫自体が決定することになります。但しそれだけでは調査の事務に事を欠きますので、府県あるいは場合によつては市なども、つまり地方公共体には工事の監査を委託するということで、最初貸付の決定、金額の決定等において仕様書とか、設計書、見積書、そういうものの審査は地方公共団体の適当な技術職員にお願いしよう。それから工事の進捗に応じて支拂いをいたして行きますが、現場の認証についても技術員にお願いしよう。そういう面で地方の公共団体に關與していただく、こういうりもりでおります。
  15. 天野久

    天野(久)委員 そうしますと、これを見ると現在貸付金は大体三十坪ということが限度となつておるようですが、今資本金五十億、及びそれに見返り資金を入れて貸し付けて何戸ぐらいの家を建てようという予定になりましようか。
  16. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 ただいまお配りいたしました表は、予算の範囲内で何戸ぐらい建つかという大体の計算をしみたものでありまして、むろん確定的なものではございませんが、一応いろいろな仮定を置きまして、木造ならば平均十二坪ぐらいになるだろう。コンクリートのブロツク造、これは平均十三坪半くらいになるだろう。鉄筋コンクリートのアパート、これも十三坪くらいになるだろう。それから坪当りの建設費、これがわかりますと大体戸数が出て来るわけですが、坪当りの建設費の平均を一応まだ検討中でございますが、木造ならば一万七千円程度、これは地方によつてもずいぶん違いますし、実際の場合になりますと多少の狂いがあると思いますが、ただいまのところこの程度で、コンクリート・ブロツク造ならば二万二千円程度、鉄筋コンクリート造ならば三万二千円程度ではないかと思います。これから算術的に計算して建設費を出す。それから敷地に対する融資でありますが、これもある坪数と単価とを想定いたしまして、大体全体の中分程度は敷地についても融資が必要ではないか、そういうような仮定を置きました。それで融資貸付の率、これも七五%までは貸付ができるわけでありますが、実際はもつと少くて五割借りればいい、六割借りればいいという人もあると思います。平均しまして木造の場合は七〇%、ブロック造の場合は七〇%、鉄筋コンクリートの場合は七五%、こういうふうに計算して参りますと、全体の貸付にまわし得る総金額は百五十一億五千万円ということになりますので、戸数が各種の構造のものを合計いたしまして八万一千戸程度、こういうことになります。
  17. 天野久

    天野(久)委員 今の御説明で大体八万一千戸建りということですが、今出張所の数を承ると大体八つぐらいのものです。一出張所で一万戸以上の事務を取扱う、こういうことになりますが、これだけの出張所でありますと、建築をする人はその手続やその他のことについて相当な煩瑣な手続と、しかも時間の空費をしなければならないものと予想しなければならない。これは場所によりますと、この住宅を建てるのに十万か二十万の金を借りる。それが二日がかりでなければできないというようなところもありはしないか、こう想像できますが、住宅に困る人に金を貸してやるのだ、そういう名目のもとにごしらえる法案ならば、いま少し家を建てる人に親切丁寧に、しかもそう手数をかけないで金を貸してやれるように考える必要がありはしないか。この八つの出張所にもし行くとしますれば、相当手間がかかるでありましよう。もし一箇所で一万戸の処理をいたしますならば、これも相当の時間を要しなければならぬと考えます。そこでなお一つ伺いたいことは、私は、この住宅の貸金が七割五分であるということが、一体どこからこの数字を出したかわからない。金がないからこそこういう金を借りてやるのである。しかも二割五分の自己資金を持つておるから必ず金が返せる、持つておらぬから返せぬとは限らない。今まで住宅に対してはいろいろの資金の融通もあつたが、つまりこの状態で二割五分の自己資金がなければいかぬ。しかもこの手続方法、審査方法で行きますならば、相当の期間がかかることはどうしても予想しなければならぬ。そこで今までの例にしましても、幾ばくかの自分の金があればあとは貸してもらつて家を建てるということがあつたと思いますが、そういう場合に、自己資金を寄託して、貸してもらう金を待つておつたが、手続きが煩瑣で、とうとう自己資金を使つてしまつても、貸してもらえなかつたというような例もあつたのでありますが、この場合にやはりああいつたはめに陥りはしないかという危惧の念にかられるのであります。そこでこの七割五分の貸金を、むしろ住宅に対しては全額貸すようにしたらどうかと考えますが、これについての御意見を承りたいと思います。
  18. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 住宅の建設費なり、土地の取得費の一〇〇%を貸すようにしたらどうかというお尋ねでございますが、     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕 一つ一般の不動産金融の慣例から申しますと、むしろもつと低くして、最高七〇%ぐらいしか貸さないのが常識でございます。ただ政府資金による公庫の貸付でありますから、それよりも高率に貸してもよいじやないかというふうに考えるのでありますが、これも程度がありまして、担保物件などからにらみ合せまして、これを一〇〇%まで貸すということは、貸す方の側から申しますと、非常な危険があると思います。また一面政府の資金をできるだけ有効に活用したいという考えがありまして、できるだけ民間資金を動員したいという考えもありまして、これは何パーセントが適当でありますか、いろいろ研究いたしました結果、七五%というところにおちついたわけでございます。二五%の自己負担は、人によりましてはかなり重い負担になろうかとも考えますが、そういう場合になるべくその負担のできる程度の家をつくるということにしていただいて、ひとまずそういうことでやつてみたいと思つております。例を申し上げますと、かりに十坪の家をつくる場合に、十七万円かかる。これに七五%貸し付けまして、三割五分の一負担をしてもらうとしますと、四万三千円の負担になるわけでございます。また資力に応じまして、もう少し自己資金が調達できる場合には、大きな家をつくつてもいい。一軒の家という場合にはそう小さいものもありませんが、現に十坪の家は二間くらいで、庶民住宅の場合でもやつておりますし、十坪とか九坪とかいうふうに、坪数で切下げて行く方法もありますし、負担に応じたものを建てていただくということで、ひとまずやつていただくよりしようがないのじやないかと考えておるわけでございます。  それから先ほどちよつとお話がありました一支所一万戸というと、戸数が多くて非常に手続にひまどるではないかというお話でありますが、支所は七箇所置きますが、しかし実際の事務は銀行において調査をいたします。その銀行の店舗は全国的に相当適当な配分になるような見込みでございます。ですから一店舗当りの取扱い件数はそう多くならないと思います。また工事の方の審査をしますにしても、これは地方公共団体がずつと市町村まで行つておりますから、そういうものを適当に利用しますと、工事の審査などもそうむやみにひまどるというようなことはないようにできると思いますし、またしなければならぬと思つております。二割五分の頭金で、建前なら建前まで進行した。そうしてあとの借りられる資金が遅れて、建ち腐れのようなことにならないようにやり得るものと考えております。
  19. 天野久

    天野(久)委員 この法案の骨子は、一体住宅のない人を救おうということであります。しかも住宅を処理する人は、温厚そのものの、日本全国から慈父のごとく尊敬されておる住宅局長であります。その人の話を聞いても、全額貸してはあぶない、二割五分とつておかなければあぶない、こういうようなことを考えられておる。金融の本旨から言つたならば、回収ということをまずもつて考えなければならぬのであるから、それはもつともの話でありますが、しかしこの法の精神は、住宅のない人に早く、家を建ててやろうということが、まず眼目でなければならぬ。そうしてしかもその金が三割五分あつたら、それでは必ず完全に行くか、あるいは金額貸したらあぶないか、こういうことは私はこの法案については考える必要はないと思う。そこでわれわれは今の説明を聞いて不安に思われるのは、ほんとうに無欲恬淡で国家の行政に盡される住宅局長がそう言われるのだから、今度は選定を出先の金融業者にまかせるとすれば、これは非常にぎごちないものが出て来る。金融業者は、その個性として、この貧乏やろう、倒されやしないか、倒されないようにするにはどすればいいか。貸してくださいと言つても、あなたの資産はどのくらいあるか、どうだ、こうだと言つて、むずかしい調査條項を並べてなかなか貸してくれない。これが金融業者の本質である。しかも営業をもつてつていた人は、今までの得意先と申しましようか、関係者と申しましようか、そういうものがあつて、自然そういう今までの関係者によけい決定するというようなことも考えなければならぬ。しかしこの法案から言えば、公庫が決定するとは言うが、しかし公庫が決定するには抽籤するのであつて、その選に入るまでは、今の御説明で行けば金融業者がやる。こういうことは私は非常に不安である。しかも各府県にそれぞれの機関があるにかかわらず、一体何ゆえに府県の機関を除外してそういうところでやらなければならぬか。こういう点について建設省としてもいま少し真劍剣にお考えを願つて、この法案ができたならば、スムースに社会のために利用されるようにしてもらいたい。今までこういう法案ができて、かえつてわれわれは中間に立つて法案そのものの利用価値がないとか、あるいはスムースに行かないとか、あるいはせつかくできても何にもならぬじやないかというようなことで、われわれは怨嗟の的になることが往々にしてあるのですが、この法案だけはそうでないようにしていただきたい。しかし今の現状のままで行くならば、おそらくスムースに行かないと考えますので、これがスムースに行くように考えていただきたい。  それからなお回収ということについて、二割五分の手持ち金がなければいけない。こういう心配があるにもかかわらず、これに対しては、その不動産、いわゆる建築した建物に対しての災害に対する保障というものが、どうも規定されておらない。どこか火災保險というものがあるような気がしましたが、火災保險をつけなければならないという條文はないように聞いております。大災、災害というものに対する保障は、どういうところでしておられるか、つまり回収ということだけではない、災害ということに対しても、相当考えて行かなければならぬのではないかと思います。もう一つつておきたいことは、これがもし返せなかつた場合に、どこがその責任を負つて、その損失の負担をするか、こういうことを承つておきたいと思います。
  20. 舟山吉正

    ○舟山政府委員 この法案は、建設省と大蔵省と共管でございまして、金融方面の問題につきましては、大蔵省の方でもいろいろ参画いたすわけでございますから、私の方からお答え申し上げたいと思います。  まずこの法案によりますと、幾らか手金がなければ住宅が建設できないのではないかという御質問でございますが、全然手金がない純然たる無資産者という方の住宅対策といたしましては、地方公営住宅というものをもつて充てたいと思いまして、これに対して国庫補助もいたしておる次第でございます。そのほかに若干の手金はあるが、なお資金の大部分は調達できないという人々のために、別途こちらの行き方でこれを救済したいということをこの法案で考えております。こういうことによりまして、一軒でも早く住宅が建てば、それだけ住宅緩和に資するのではないかという考え方でございまして、公営住宅の考え方と総合して、一つ住宅対策になつておるということを御了承願いたいと思うのでございます。  さらに大蔵省的見地からみますると、従来住宅営団のごときものがございまして、これは借り手あるいは讓り受け手の方で一文の金も出ないというような扱いであつたのでありますが、そういたしますと、何だか人の住宅に入つているような気になりまして、なかなか年賦金も納めなければ、家の修理、保全というようなことにも力を盡さないで、住み荒してしまうという弊もあるように思いまして、こういう行き方も一つの行き方ではないかというふうに考える次第でございます。  次に金融機関に審査をさすということは、必ずしも公正を期せられないのではないかという御疑念の点につきましても、公庫の直接の人員を非常にふやしまして、公務員によつて処置するというようなことも、一つの行き方であるかもしれないのでありますが、そういたしますと、公庫の費用というものはむやみにたくさんになります。またさしあたつて急場の間に合せなければならないということに対しまして、公庫の人員を集めてから始めるというようなことでは、なかなか事務の進捗をみないわけでございます。そこで民間の諸機関のうち、最も公共性のあると認められる金融機関の助けを借りるということを考えついたわけでございまして、こういたしますれば、特に公庫としては固定費用をそれほど投下することなく、ただちに借入れ申込みに対して審査をなし得る状態に入れるわけでございます。しかして金融機関につきましては、この法律規定によりまして、公務員の扱いもいたしますし、また罰則の適用もございます。さらに公庫から金融機関に臨んで必要な検査もできるという建前になつておりまして、別途銀行行政の上からも、この仕事に関しましては、絶対に私のないように監督して行きたいと考えている次第でございます。金融機関といたしましては、個人の金融調査、あるいは勧業銀行等の銀行におきましては、不動産の取扱いというようなものに習熟いたしておりますから、即刻これが利用できるというので、この金融機関を利用することを考えついたような次第でございます。  次に災害の問題につきましては、貸付にあたりましては、約款をもつて火災保険は強制的につけさす方針でございまして、その保險料も、年賦金の出に込めて計算するという方針をとる予定でございます。それからなおこの体付金の返済がございませんときには、担保権を執行いたしまして、必要な元金の回収をはかるという方針でございます。
  21. 天野久

    天野(久)委員 大蔵省の御説明によると、この法案はちようど金のない困つておる人と、金のうんとある人との中間を行く法案だという御説明なら、あるいは一応そういうことも考えられるかもしれません。そこで承つておきたいことは、この住宅というものは、今各府県でもそれぞれ住宅政策を立てて、何戸くらい足りないから、何戸くらい建つて行かなければならないか、いうようりなことをやつておると思い出す。そうするとこの貸付金は、全国に対して大体割当てをするのか、それとも早く申し込んでたくさん資格者のあるところへ、どこへでもどんどんたくさん貸すのか、その辺は建設省としてはどんな考えを持つておられますか。
  22. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 この八万戸を各地域に割当てて行くということは、公共事業などの関係では、地方の予算の関係もありますから、そういう必要もあるのですが、この場合には、それぞれわく地方別にきめる、こういうことは必要なかろうと思います。また申込みを受付けるのを年に何回かいたしたいと思います。第一回に一応の地方別わくをきめまして、それで申込みを受付け、そうして抽籤してやつて行く。こういう方法をまずとりまして、またその後の状況によりまして、第二回、第三回、年度内におきましても、その地方別の不均衡は是正しながらやつて、なるべくこの地域別の不公平のないように調整をして行きたいというふうに考えております。
  23. 天野久

    天野(久)委員 今の局長の御説明で行くと、割当てはしないが、大体全国に平等に分布するようにするというように承つてさしつかえないわけですね。そういうことになりますと、これはどうしても私はこの決定に対して、やはり各府県がこれにどういう形かで参画して行くことが、その県の住宅政策の一環ともなりまするし、また金融業者だけにまかしておく上りかも、その方が公平に行くのではないかと考えますので、この決定に対し、私は計画その他に対して、県がこれに参画することを強く要望した、と思います。  それからなおこの貸金については、私は全額貸してやることを要望いたしますが、これは大蔵省の方の御説明によれば、その中間を行くのだということですが、そういうねらいであるならば、これもあるいは余儀ないかとも思います。  そこでこの貸金に対する利率でありますが、年五分五厘というものは、こういう性質の貸金としては、決して低利ではない。いま少しくこの利率を安くすることができないか、安くして、そうして完全な回收をはかるようにいたしてむらうことがよくはないか、このように考えますが、その点に対しての御意見を伺います。
  24. 舟山吉正

    ○舟山政府委員 この資金は十年以上になるのでございますが、五分五厘という利率は、現在の金利から申しまして非常に安いものであると申さなければならぬと存じます。また金利状態が平常的な状態になりました場合を考えても、これは決して高くはないと考えておる次第であります。
  25. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 府県がこの事務に關與する必要があるというお話でありますが、この点につきましてちよつと御説明申し上げます。とりあえずのわくをきめたり、地方への資金の配分をきめたりするような場合には、もちろん地方住宅政策を担当しております都道府県、あるいは市などの御意見は十分伺つてきめて行きたいと思つております。また貸付の決定に際しましても、これは公庫が決定するわけでありますが、これの諮問機関とでも申しますか、監査機関とでも申しますか、府県関係の市などの、あるいは銀行とか、あるいは金融公庫といつたようなものから構成した協会のようなものをつくつて、そこで相談にあずかるとか、あるいは意見を述べるなり、そういうような形をとつて行きたいと思つております。
  26. 内海安吉

    ○内海委員長代理 砂間一良君。
  27. 砂間一良

    ○砂間委員 きのう大臣提案理由説明を伺つておりましても、住宅難は依然として緩和されず、国民生活の安定上放置することは許されないような状態にあるという御説明がありましたが、戰後住宅難が非常に深刻であるということはだれしも承知しておるところであります。そこでその住宅に一番困つておる人はどういう階級の人であるかということを、まず最初に住宅局長にお伺いしたいと思います。
  28. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 今日の住宅事情は、長年の戰争と、それから終戰後の状態によりまして、世界に類例のないような異常な状態にあるわけでございます。住宅困窮者というものは、国民全般——都市と言わずあるいは町村と言わず、全般的に国民各階層を通じての問題じやないかというふうに考えております。
  29. 砂間一良

    ○砂間委員 建設省ではいろいろこれまで御調査などをなされておると思いますが、特に放置しておくことのできないような過密住宅に住んでおる人が相当あると思います。国民一般と申しましても、それは資本家もあれば労働者もある、金持もあれば貧乏人もあるわけですから、どういう階層の人かという点をお伺いしたい。それから労働階級だとか商工業者だということが一概に言えなければ、たとえば定收入が何万円以下くらいの人が今一番困つておるかということをまずお伺いしたいと思います。これについては、大体建設省あたりでいろいろこれまで御調査になつた統計や何かであると思いますが、概略のところでけつこうですから、御説明願います。
  30. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 実は收入別などの調査はございません。住宅がどういう事情になつておるかということは、一昨年調査費をいただいて全国的に調査をいたしましたが、そのときの收入別とか階層別という調査も突はないのでございます。しかし大体の見当はつきますし、それで進めて行くことができると思つております。住宅の困窮者は各階層を通じてあまねくあるわけでありますが、その中で、政府として資金的な援助をしなければならぬという階層はどうかと申しますと、むろんこれは一般のサラリーマンとか労働者とかいう階層になるものと思つております。
  31. 砂間一良

    ○砂間委員 昨年十月の建設月報によりますと、東京においては、労務者の五一・五%が過密住宅で、住宅難にあえいでおるということが建設省のこの雑誌に発表されております。あるいはきのう委員部の方からいただきました電気事業経営者会議の方の請願書によりましても、電気事業においては、九万三千世帯の従業員のうち、三万一千世帶が住宅難に悩み、過密住宅や遠距離通勤のために困つておるというふうなことが言われておりますが、大体におきまして、住宅難々々々と申しましても、この定額所得者、勤労階級の中でも、特に所得の少い階層の人たちが一番住宅に苦しんでおるということは間違いない事実だと思います。たとえば東京の世田ヶ谷方面に行きましても、あの狭いぼろ屋のようなところに何世帶も押し込まれまして、まつたく見るにたえないような悲惨なる生活を続けておるのは、これらの階層の人たちであります。これらの階層の人たち住宅を供給するということこそ刻下の急務でなければならないのじやないかと思うのでありますが、はたしてそういう人たちに今度の住宅金融公庫による住宅の供給ができるかどうかという点をまずお伺いしたいと思います。
  32. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 お話の通り、定額所得者、労働者に非常にたくさんの住宅困窮者がおることは事実でございます。しかしこれを階層別にどういう種類になつておるかという調査までないということを申し上げたわけで、抜き調査的に、ある会社についてあるときに調べたことはございますが、ただいま御引例になりましたようなものは、大体間違いなかろうと思つております。不良住宅とか、あるいは非常な過密住宅に住んでおられる方につきましては、これは最も対策は急を要するわけでありますが、建設省でやつております住宅対策としましては、先ほど銀行局長からもお話がありました通り、公共事業として国で補助をしまして、公共団体にやつていただく賃貸住宅と、住宅金融公庫の融資による自己の住宅の建設、この両面からやつておりまして、あらゆる場合を公庫の貸付によつて解決できるとは考えておりません。この貸付によつて、自己住宅をつくつてもらうということ自体が、やはりある程度の自己資金を持ち、ある程度の毎月の償還能力があるということを前提といたしますので、あらゆる場合に公庫でそれを対象にするというふうには考えておりません。ただ現在もう一方の方の公共事業というものが、予算の関係から十分でありませんので、そういう公庫の対象とならないような人の住宅問題の解決がなかなか急速に行きませんことはまことに残念でありますが、その方もますます努力いたしまして、並行して、両方で住宅対策を完璧にしたいというふうに考えておる次第であります。
  33. 砂間一良

    ○砂間委員 それでは今ほんとうに住宅に一番困つておる勤労階級の貧乏な人たちは、国庫補助による賃貸住宅の方でやつて行つて、公庫の貸付金による住宅の建設ということは、もつと上の方の、裕福な人たちだけに貸してやるということを目的とした法案である、こういう御説明として受取つてよろしいのですか。
  34. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 大体そういうことになると思います。こういう金融公庫におきましても、勤労者一般対象になるようにはできるだけ考えたわけでありますが、おのずからやはり自分の家をつくるには、若干の自己資金を持たなければならぬというような点から行きまして、資産や收入に多少のゆとりのある人が対象になる。公共事業の方は国庫補助金のある貸家ですすから、比較的低い家賃を拂つて行けばいいというようなことから、おのずから対象が少し上下の差が出て来るものと思つております。
  35. 砂間一良

    ○砂間委員 それでは主として低收入の勤労者に対する住宅の供給、これが今日住宅難で一番困つている。人数の上から言つても全国的に一番多数を占める階層でありますが、こつちの方は国庫補助による賃貸し住宅でやつて行くというお話でありますから、その方をお伺いいたします。が、それでは昨年度はこの方の国庫補助が二十五億でありましたが、ことしは三十一億何ぼになつている。これで去年は何戸建つたか。ことしはそれでは何戸建てられるか、あるいはその家賃が幾らかということをお伺いしたいと思います。
  36. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 昨年度は三十五億の予算で大体二万五千戸建つております。二十五年度に三十一億の予算で二万七千戸できる予定でございます。家賃は当初のものは二、三百円くらいからりましたが、だんだん建設費が上つて参りまして、三十四年度、二十五年度は、木造の十坪程度の家で、人体全国平均しますと七、八百円程度になるようであります。
  37. 砂間一良

    ○砂間委員 三百五十何万戸とかいうのが全国で不足しておるそうでありますが、そごへもつて来て二万五千戸や二万七千戸を建てたつて、それで住宅難が緩和されるということは、これは大海の一滴にも足りないと思うのです。しかもその家賃が七、八百円ということを今申されましたけれども、大体最近建つております鉄筋コンクリートやあるいはコンクリート・ブロックの住宅は、千円から千四、五百円の家賃のところが多いようであります。しかもこういう公営住宅で、賃貸し住宅で建つ戸数そのものが少いのですが、ここへ入れる人は定收八月一万円以上の証明を持つて来なければ受付けないとか何とか言つて、結局一番住宅に困つている人たちには、まつたくよりつきがたい天上の花みたいになつている。これでは国の住宅政策は何をやつているのかわからない。この一番困つている、そして一番多数の人に対して、住宅の供給ということは何もやつていないということになるのですが、これではたしていいのだろうか。国の住宅政策を預かつておられる政府委員として、もう少し責任ある御方針をお示しを願いたいと思うのです。
  38. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 今お話のように、ある場合には、鉄筋コンクリートのアパートは千円くらいのがありますが、大体最近のもので七、八百円の家賃になつております。この七、八百円の家賃というものが一般勤労者、定收入のある勤労者が支拂い得るかどうかということになりますが、大体大部分の庁は七、八百円程度の家賃は、今までやつておりました経験から言いますと、拂い得るように思つております。これでもまだ抑えないというものにつきましては、これを引下げることは、実は現在やつておりますのは、公共団体の企業としてやつておりますので、民間の企業とは違いますが、それでも一つの採算をとつてつておりますので、これ以上下げることは困難だと思います。あるいは補助率を引上げるとか、あるいは何かはかの方法で行くよりしようがないのではないかと思います。また別途に特別の階層の貧困者に対して家賃の補給をするというようなことも考えられますが、これは住宅政策と申しますよりは、生活の困窮者に対する政策といたしまして、われわれとしましてもいろいろ研究はいたしておりますが、もう少し広い問題だろうと思つております。なおこれにつきましては、とにかく小住宅がたくさんできますと、その方へだんだん移つて行く、そうして家が一方においてあいて来る。ゆとりもできて来るというようなことで、直接の対象になりませんでも、全般的に見ますと住宅難がそういう方面人たちにもだんだん緩和して来るという道もありますので、決してこれがマイナスになるわけではないと思いますが、さらに一歩を進めて行く必要はあると考えますので、なおそういう点につきましても、研究を進めて行きたいと考えております。
  39. 砂間一良

    ○砂間委員 今度公庫によつて建てられる住宅償還金、——火災保險その他合算いたしまして、毎月総計何千円くらいを償還して行けばよいという、大体の目安はどのくらいになりますか。
  40. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 かりに十坪の木造住宅を建てるといたしまして、地域によつて建築費が違いますが、かりに坪当り一万七千円かかるものといたしますと、建設費が十七万円、これに七五%貸付けまして、その金額が十二万七千円になります。これを五分五厘の利子で十五箇年間の均等償還にいたしますと、元利償還金千三百九十円ということになります。その他公庫との関係ではございませんが、家を持ちますと、税金とか火災保険などで若干負担があるわけでございます。
  41. 砂間一良

    ○砂間委員 大体十坪の木造の家を建てましても、元利の償還だけでも千三百九十円になる、これに火災保険料だとか、あるいは家屋税だとか、その他の公租公課を含めますと、相当のものになると思います。私どもが先ほど専門委員室からいただきました資料によりましても、十三坪の木造の家で最低千五百五十円くらいになるという計算が出ておりまして、千六、七百円から二千円以上ということになると思います。それだけの償還能力のある人でなければ、この公庫の金を借りて家を建てることができないという、そこに限界が引かれていると思うのです。ところがこれは公営の賃貸し住宅の家賃とも関連して来るわけですが、賃貸し住宅の方は最近木造で七、八百円ぐらいだというお話がありましたけれども、この七、八百円の家賃すら支拂えないのが今日の労働階級の現状であります。先ほど読み上げました建設月報の昨年の十月号の最近の住宅事情によりましても、昭和二十三年十一月の東京の家賃は一世帶当り平均百四十五円ということになつております。しかもこの古い家賃を標準にして、あの食つて行けないところの六千三百円ベースというものが組立てられているのでありまして、この賃金ベースでは食つて行けないから、これを何とか上げろということを私どもが何べんやかましく言いましても、政府はそれを一向改めようとしない。     〔内海委員長代理退席、委員長着席〕  そして二十五年度の予算もそのまま組んでしまつた、というわけでありますが、こういう状況のもとにおきまして、賃貸し住宅にも入れない。まして千五百円から二千円以上も償還して行かなければならぬという公庫の住宅建設は、勤労階級にとつては全然利用されない問題であるということを私は断言してもいいと思います。もし住宅難で一番困つている、また全国で一番多数を占めるところのこの人たちに、何らかの方法住宅を提供して行こうというのが国の親心であるならば、これをやめてしまつて、もつと家賃を補助するとか、損得勘定でなくて、もつと社会政策的な立場からこの住宅政策が立案されなければならないと思うのです。そういう広い観点からいたしまして、住宅局長に日本の住宅政策の基本的な方針というものをこの機会にもう一ぺんはつきりと御言明願いたいと思います。
  42. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 私どもの考えでは、勤労者の大部分のものにつきましては、公営住宅の家賃三分の一の補助をすることが当然であると思うのでありますが、七、八百円の家賃というものの負担は、現在食糧費その他相当上つておりますし、賃金も非常に低いのでありますから非常に苦しいとは思いますが、ほんとうに家に困つている人ならばこの程度の家賃は拂えないことはないと思います。但しこの、家賃でもなお高い、住宅に困つているが、何とも手がないという人々に対しましては、さらに別な手を打つ必要があるのじやないかということは考えております。しかしこれは予算にも関係することでありますし、研究はいたしておりますが、三十五年度は実現できなかつたわけでございます。
  43. 砂間一良

    ○砂間委員 住宅不足が三百何十万戸と言われております。そして一番過密住宅でほつておけないものでも、大体八十万戸くらいあるということが言われております。これが賃貸し住宅が二万五千戸から二万七千戸、住宅公庫で八万戸くらい、合計十万か十一万戸くらいしかできて行かないわけでありますが、こんなことで一体いつになつたらこの住宅不足が緩和できるか、一方においては古い木造の家なんかどんどん腐朽して行くと思うのです。もう少しはつきりした住宅政策というか、そういう方針はお立てになることができないのですか。
  44. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 三百数十万戸の住宅不足がございますが、その中で少くも八十万戸くらいは何とか政府なりあるいは公共団体なりの資金的な援助が必要であるというふうに考えております。そして長期計画と申しますか、五年計画でその程度のものを解消しようという一応の事務的な案は持つておりますが、何分住宅のみならず、国としましてはいろいろ緊急な事業がたくさんあるわけでありますので、われわれの努力が足りませんことはまことにおはずかしいのでありますが、今年人は両方合せまして約十万戸程度しかできない、なお将来これをもう少しふやして、なるべく短かい間に目的を速成するように努力したいと思つております。
  45. 砂間一良

    ○砂間委員 国庫補助による賃貸し住宅は、家賃の関係で貧乏人には入れない、今度の住宅金融公庫はもつと上の金のある人でなければとても寄りつくことができないということになりますと、もう低收入の勤労階級はどこへも住むことができないわけなんです。ところが野ざらしにされて生きて行くわけにも参りませんので、ずいぶん見るにしのびないような悲惨な生活をやつているわけで、一方におきまして、前に住宅営団で建つた非常にそまつな家ですら、そういうところに住んでいる人もあるわけです。そういう方面についてはほとんど修理補修とか、維持管理ということがなされていないのですが、住宅金融公庫とは別でもいいのですから、あの方面でもう少し国費の補助をするなり何とか手入れをいたしまして、この住宅難を緩和して行くということはお考えになつておりませんか。
  46. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 旧住宅営団の未処分の建物は御説明のように相当ひどいものがございます。修繕が行き届きませんで、雨漏りがあるとかいうようなものはずいぶんあるのでございますが、この方は実は今閉鎖機関に指定されておりまして、修繕などすることはできないことになつておりますので、できるだけ早くこれを処分いたしまして、なるべく安い価格で、できるだけ許される範囲におきまして入つているに買つてもらう、こういう方針で今度進めております。本人のものになりますと——比較的安い価格で拂い下げますと修繕などもできることと思つております。一般的に不良住宅、戦災にあわない建物でもかなり不良住宅が多い。ある場合によりましてはそれが集団しまして不良住宅地区というものを構成しているものもあるのでございますが、これは現在不良住宅地区改良法という法律もりつぱにあるわけなんですが、何分絶対数が足りませんで、家のない人のために家をつくることに急がれておりますので、不良地区を改良するというところまで手が延びておりませんが、これもわれわれの課題といたしまして、ごくひどいものからでも何とか融資なり補助なりの道を開いて、その地区の改良をするというふうに進めて行きたいと思つております。これも二十五年度はそこまで手が及ばなかつたわけであります。
  47. 砂間一良

    ○砂間委員 安い値段で買つてもらうといつても、買う力がないのです。新しくつくる住宅に金を貸してやるくらいなら——古い住宅を買う購入資金を国が何とか公庫みたいなものでもつくつて貸してやるというようなことは全然考えておられないのですか。
  48. 伊東五郎

    伊東(五)政府委員 売却の価格もできるだけ下げるということと、もう一つは一時金では抑えないが、毎月の收入からだんだんなしくずしで拂つて行くならば返し得るのだという人々は多いのであります。住宅営団の処分につきましては、銀行から特別の融資の道を開いております。将来もそういうことで行けると思つております。
  49. 砂間一良

    ○砂間委員 銀行から融資といいましても、これが普通は借りられないのですよ。今度の住宅公庫の場合にも、先ほど大野委員からいろいろご質問がありましたが、銀行に扱わせるといつたら、銀行は石橋をたたいて渡るような商売ですから、審査が非常に厳重になりまして、一番困つている人が家を建てたいといつても、そつちの方へまわつて行かないことははつきりしていると思う。ですから、そういうことは單なる言いのがれにすぎない。少くとも勤労階級に対しては国の住宅対策は何ら立つていない。どんなに困ろうが、雨ざらしになろうが、野ざらしになろうが、ほつたらかしておくと言つても決して言い過ぎにならぬと思う。しかしそれはそれといたしまして、大蔵省の方もそこにお見えになつているようですから、関連してお尋ねしたいと思うのですが、税金の関係です。今度は地方税法も改正になるわけですが、かりに十三坪の家を建てまして、それが三十万円くらいの建設費がかかるといたしますと、その家賃は新しい地方税法によりますと、どのくらいになりますか。さらにそれにいろいろな住民税の所得割だとか、地方税がかかつて来ると思うのですが、そういう税金の合計がどれくらいになりますか。地租もかかつていると思うのですが……。
  50. 淺利三朗

    淺利委員長 砂間君、あまり問題の範囲を拡張しないように願います。税法の問題までやると、なかなか際限がなくなりますから……。
  51. 舟山吉正

    ○舟山政府委員 地方税の問題につきましては、私の方で直接にはじいてみたものは持合せがありませんが、この建設省の資料はシヤウプ勧告案に基いて計算したものであります。
  52. 淺利三朗

    淺利委員長 それでは住宅問題につきましては、次会に質疑を継続することといたしまして、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  53. 淺利三朗

    淺利委員長 なお主計局長が見えておりますから、先刻議題となつてつておりました昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担法の特例に関する法律案について検討を行いたいと思います。  ちよつとお諮りいたします。まずもつて先に懇談をいたして、それから正式の討議、質疑に移りたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 淺利三朗

    淺利委員長 それではこれから懇談会に入ります。      ————◇—————     〔午後三時四十五分懇談会に入る〕     〔午後四時十四分懇談会を終る〕      ————◇—————
  55. 淺利三朗

    淺利委員長 懇談前に引続き会議を開きます。  先刻懇談会において大蔵省・主計局長意見もともとと承つたのであります。よつてさきの理事会の協議及び先刻の懇談会の結果によつて、先日大蔵委員会との合同審議の結果に基きまして、当委員会から意見を申し入れることに話がついたのであります。その申入れ事項を一応読み上げます。   昭和二十五年度における災害復旧   事業費国庫負担特例に関する件   律案に対する申入れ事項  昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案ついて、過日来大蔵委員会と連合審査会を開会致した結果に基き、当委員会の修正意見を左の如く申入れる。即ち  第一條規定する災害復旧事業の定義と第三條に規定する災害復旧事業に対する全額国庫負担範囲とは当然一致せしめるべきであるから、第二條中括弧内全文は削除されたい。  四月六日      建設委員長 淺利 三朗   大蔵委員長 川野 芳滿殿  右のごとく申し入れることについて御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議なければさよう決します。  手続委員長において取扱うことを御了承願います。  それでは本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十一分散会