○前田
説明員 お手元に届きました
法案が印刷の
関係上見にくいがり版刷りでありますことをあらかじめお断り申し上げておきます。印刷でき次第正式の
法案をお渡しいたします。この
法案に基きまして大要を御
説明申し上げます。
第一章から参りますが、第
一條は
目的でございまして、この公庫は現在一般の民間の金融機関では融資ができない長期の、しかも低利の資金を貸すという点であります。しかもその住宅は国民大衆が健康で文化的な生活をする最低限の住宅であるということを特にここに掲げてございます。
第
二條は定義でございます。
第三條は公法上の法人という言葉を使いましたが、この意味は従来国民金融公庫その他の例がありますように、いわゆるパブリツク・コーポレーシヨンと申しますか、独立の法人格を持つところの
政府機関という意味でございます。
第四條は
事務所でございますが、
事務所は本部は東京に置きますが、支所を全国主要の地数箇所に置く予定でございます。
第五條は資本金でございます。資本金は
予算で御審議いただきましたように、一般の財政資金から五十億円、見返り資金から百億出ることにな
つておりますので、合計百五十億円を資本金として今
年度内に開店いたしたいと思います。明
年度以後は新たにこの第五條の
規定の御修正をいただきまして、
予算とにらみ合せながら、必要な額の資本金を運用したい、こう考えております。
第六條は登記事項でございます。
第七條は名称の使用の制限でございます。
第八條は民法の
規定の準用でございまして、六、七、八は一応型
通りの例文
規定でございます。
第二章は公庫の組織の役員、職員の
規定でございます。役員といたしまして、第九條にございますように総裁一人と
理事を五人以内、監事を二人以内置くことにしております。第十條、第十
一條、第十
二條、第十三條、第十四條、第十五條までは一応役員に関連いたしました例文の
規定でございます。先ほど申しましたように、この公庫は
政府機関でございますので、職員の身分は公務員になります。第十六條に役員及び職員の地位としまして国家公務員とするという
規定がございますが、この職員は全部国家公務員法の
適用を受けることにな
つております。
第三章は業務の
規定でございます。一般の金融機関の
法律に比べまして、詳しくこの業務に関する
規定が入
つております。まず第十七條は貸付の
対象を主としてあげておりますが、この公庫から貸付を受け得る者は第一項の一、二、三と三号あげておりますように、みずから居住するため住宅を必要とする者、住宅組合法による住宅組合、みずから居住するため住宅を必要とする者に対し、住宅を建設して賃貸する
事業を行う会社、その他の法人、この三者に貸付をするということでございます。公庫といたしましてはそのほかに、これらに関連して土地、家をつくる資金のほかに、土地のない人には土地を貸すという
規定が第二項でございます。そのほかにそれに関連していろいろだ付帯的な業務を行う、その業務の内容が第三項にあげてございます。一、二、三号ございますが、公庫自体も軍に資金を貸すだけではなく、
工事に関する指導をする必要もありますし、また担保に
関係いたしまして住宅そのものを公庫自体が取得し、あるいは経営する場合がありますし、土地のない場合には公庫自体があつせんすると非常に便宜である。需要者の側に対しましても相当利益が多いと思いますので、それらの点を三つあげて、公庫の付帯業務として第三項にあげたのでございます。
第十八條は公庫が貸付をいたします場合の根本方針でございます。第十八條は貸付をする場合には貸付の申込みをした者の貸付希望の金額、申込者の元利金の償還見込み、それからさきに申しました個人が借りる場合には個人の困
つておる状況、組合が借りる場合には組合員の困
つておる状況、賃貸
事業をやるアパート会社か申し込んだ場合には、そのアパートの経営内容を十分
審査いたしました上で、その公庫の持
つておる全体の資金、振り当てるべき資金を考えた上で公正に貸し付けるという、そういう指導方針を第十八條に書いてございます。
第十九條は貸付をすることができる住宅の
規定でございまして、この公庫は十八條にございますように、できるだけ広く住宅に困
つておる人、つまり国民大衆を主眼としておりますので、あまりぜいたくな家、規模の大きな家に貸すことはできないという意味をもちまして、第十九條に一戸当りの床面積が百平方メートルを越えないもの、坪数に換算いたしますと三十坪でございます。三十坪以上の家には貸さない。それからこれも規模でございますが、内容がぜいたくかどうかという点は金で計算をいたしまして、標準建設費の一・二倍、標準建設費はあとに出て来ますが、一応高からず低からず、国民大衆の普通の住宅という観念でございますので、それよりも二割増ぐらいの家はよろしいが、それ以上の家は時節柄ぜいたくであろうと考えまして、その限定を置きまして、この百五十億の資金がなるべく困
つている人に広く貸されるように最高限を限定したわけであります。
それから第二十條は、貸付金額の
限度でありまして、もちろん貸付の希望は半額なり、あるいは三割の希望があるかもしれませんが、
限度といたしまして七割五分以内にする。八割借りたいという人はいるかもしれませんが、そればなるべく民間の資金を活用するとか、あるいはその人の信用その他を考えまして、七制五分以上に貸し付けることは貸付業務として多少危険であるおそれもありますので、この公庫の貸出しの場合には建設費の七割五分以内にとどめるわけであります。七割五分の金が、しかも計算いたしました場合に標準建設費よりも高い。一応建設費は固人々々で違
つて来ますが、その場合特に高い建設費の七割五分と申しますと、やはり前に申し上げましたように一人の人に金がたくさん行き過ぎるおそれもありますので、標準建設費を一応設定いたしまして、その標準建設費よりオーバーする場合は標準建設費の七側五分という計算の仕方をしております。土地及び借地権の所有者に貸す場合につきましても、現在地価には統制がありませんが、一応標準的な価額が算定されますので、標準価額を
限度としたいと思います。それから住宅の規模の点につきまして、
一つの限定は第二項にございますが、先ほど三十坪の家について貸し付けるということ々申しましたが、その場合におきましても三十坪の建設費の全体の七割五分ではありませんので、その場合には第二項にございますように六十平方メートルという限定を置きまして、十八坪でございます。三十坪の家につきましては、つくることは三十坪でもよろしいが、貸し付ける場合には十八坪の七割五分以内にする。こうしてなるべく貸付金額を広くした。それが三項でございます。
次に第二十
一條に行きます。第二十
一條は貸付の
條件でありまして、利子は全部年五分五厘といたします。その償還の期間は、その表にございますようりに、一番右の欄は木造でございます。木造は十五年以内、それから一番左の欄は鉄筋コンクリートでございまして、鉄筋コンクリートは三十年以内、それから中間はブロツク造その他金属板の家と申しますか、簡易な耐火構造を有する住宅、これを二十年というふうにきめたのでございます。それから償還をする場合の問題が三項以下にございますが、その金を借りた人の月々の収入から返して行きたいという考えを持
つておりますので、支拂いは割賦償還、十五年間を適当にわけまして、できれば毎月月賦償還の方法でその月の月給の中からさいて行くということにして、返しやすく、しかも確実に返るという方法を考えたいと
思つております、しかし第四項におきましては、貸付を受けた者は貸付金の使途、住宅の使途その他につきまして、貸付の
目的以外の行為があつだ場合には、厳重に一時償還を請求いたしまして、貸付の資金の確保をはかる必要もございますので、第四項は一号から九号にわたりまして、一時償還を請求するいろいろな場合をあげてあるのでございます。
その次に第二十
二條は貸付の
條件の変更でございます。ただいま申し上げましたような
條件でございますが、特定の場合には、この
條件を緩和する必要がございます。たとえば
災害を受けました場合などには、この元利金を徴収することは非常に気の毒な場合もありますので、特別な場合にそれを緩和して利子を安くするとか、あるいは期間を延ばすということもあり得ますので、そういう場合の
規定が二十
二條でございます。もちろん経済の変動によりまして、全体のデフレなり、インフレなりの場合における措置は、現在一応想定することは困難でございますので、その場合は別に
法律をもちまして処置をしようと考えております。
それから先ほど
説明にもありましたように、公庫自体の組織はごく簡單にいたしますので、相当な
事務の量はほとんど一般の民間の金融機関及び
地方公共団体に委託いたします。その委託に関する事項が第二十三條の業務委託という点でございます。但し
政府の資金を使
つてやりますので、責任はすべて公庫が持ちます。結局貸付の決定という最も大事なことは公庫が握りまして、決定に至るまでの
事務的な問題、それから資金の回収の問題、
工事の実施の
審査、そういうことを公共団体と各銀行その他の金融機関にわけて委託をするわけでございます。もちろんこの場合に公庫から受託機関に対しまして手数料を支拂います。
その次に二十四條は公庫がこの
法律に基きまして仕事をいたしますが、さらに実際の詳細な業務
規定その他がいります。そうしてそれは業務方法書といたしまして主務大臣の認可を必要といたします。業務方法書には、第二項に掲げましたように、いろいろな事項が書いてあります。貸付の方法、元利金の回収の方法、それから住宅の規模、基準、金融機関。に
事務を委託する場合の準則、抵当権を設定すること、火災保険をつけること、それから住宅について維持補修をすることそれから大修繕をするような場合には公庫の承認を受ける。こういうふうな住宅資金貸付に関する必要な事項は、全部業務方法書に書かせまして、公庫が完全に適切にこの業務ができるように監督して行くということでございます。
第二十五條は、資金計画と
事業計画でございます。
予算で当初公庫
予算といたしまして、すでに御決議をいただきましたが、それに基いて毎四中期の計画を立てて、さらに主務大臣の認可を受けて、適切に運営して行くという意味が、第二十五條の
規定でございます。その場合に第二項に特に注意すべき
規定がございますが、これは先ほど貸付の
対象は三つのものにわけられると申し上げましたが、そのうち第三のアパートをやる会社に割当てるべき金額は、総金額の三分の一に限定するという意味でございます。この資金が住宅に困
つておる人になるべく広く行きますように、アパート会社としては三分の一以内の金額で貸し付ける。第一項の個人と住宅組合につきましては、これは組合をつくること自体が申込み者の御自由によりますので、特に
わくを設ける必要がないと思いまして、それは別に金額の制限をつけておりません。残
つた三分の二の
範囲内で、申込みの実情に応じて、個人なり組合なりに貸し付けるということでございます。
第四章は会計のことでございます。会計は公庫でございますので、一般に公庫その他公団等全般に
適用する
規定がございますので、その会計
規定に譲りまして、ここには詳しく書いてございません。御承知のように
予算、決算は大体国の一般行政機関と同じように、国会の議決を経て執行して行きます。会計の
規定は特に御
説明申し上げることはないと思います。
それから監督は主務大臣が行います。主務大臣はここにございますように、建設大臣及び大蔵大臣、住宅問題は建設大臣の所管であります。金融
関係は大蔵大臣でございますので、両大臣共管にな
つております。それから監督の
規定も、例文
規定がほとんどでございまして、第六章の雑則に移ります。
第六章第三十四條におきましては、貸付金が適正に、住宅公庫の
目的に沿うように使われるべきことをまずあげまして、金を交付する場合に、個人に貸した方がいいか、あるいは貸付の債務はもちろん借りた人が負いますけれ
ども、実際の現金を交付する場合に、建設をや
つた建設業者にすぐ行く場合もあり得るということを書いてございます。
第三十五條は、先ほど申し上げましたアパートを経営する会社につきまして、できたうちを貸す場合に、やはり七割五分という資金は
国庫から出ておりますので、貸し付ける場合にも相当嚴重な
條件をつけまして、アパート経営者が自由自在にきめるというわけに参りませんので、そこに基準を設ける。家賃をあまり高くいたしますと、一般の住宅に困
つておる人の
負担能力から考えまして、問題がございますので、家賃及びその家を借りる人の選定について一定の基準を設け、その基準に合わせるという、基準をつくる根拠を第三十五條にあげてございます。
第三十六條はこういう賃貸する会社が相当利益を得て配当をいたします場合に、一割を越さないように、一割を越す金額については配当をしないで、それぞれ利潤があ
つた場合には、公庫に償還をするか、あるいは積み立てておくというふうにいたしまして、
政府の方の資金によるアパート会社が特別の利益を得ないようにという制限が第三十六條でございます。
あと雑則のいろいろな
條文は、公庫が
政府の機関であることに関連する例文を整理したのであります。
第七章罰則は公庫及び受託銀行に関しましての罰則でございます。
附則は、この
法案が通過いたしますと、ただちに設立
委員を任命して、設立
委員でまず準備いたしまして、資本金の拂込みをすぐ請求いたします。資本金の拂込みがありまして、役員の任命がありました場合には、設立
委員はただちに役員の
事務を引継ぎまして、そこで初めて登記をして、公庫が正式に成立することにな
つております。
あと税の非課税の
規定。公庫はやはり
政府機関でありますので、国税で課する必要がないものがありますから、これは附則の九項以下あげてあります。非常に急ぎましたが、公庫
法案の概要の御
説明を終ります。