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1950-04-05 第7回国会 衆議院 建設委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年四月五日(水曜日)     午後二時十五分開議  出席委員    委員長 淺利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 江崎 真澄君    事理 久野 忠治君 理事 田中 角榮君    理事 上林與市郎君 理事 天野  久君    理事 砂間 一良君 理事 笹森 順造君       大西  弘君    越智  茂君       瀬戸山三男君    西村 英一君       宮原幸三郎君    増田 連也君       村瀬 宣親君  出席国務大臣         建 設 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         地方自治庁次長 荻田  保君         建設政務次官  鈴木 仙八君         建設事務官         (住宅局長)  伊東 五郎君         建 設 技 官         (河川局長)  目黒 清雄君  委員外出席者         総理府事務官  鵜澤 克郎君         建設事務官住宅         局住宅企画課長 前田 光嘉君         専  門  員 西畑 正倫君         専  門  員 田中 義一君     ————————————— 三月三十一日  委員畠山重勇君及び淵上房太郎君辞任につき、  その補欠として小松勇次君及び鍛冶良作君が議  長の指名で委員に選任された。     ————————————— 四月四日  住宅金融公庫法案内閣提出第一五二号) 同月五日  建築士法案田中角榮君外六名提出衆法第一  五号) 同月一日  住宅金融公庫法案に関する請願有田二郎君紹  介)(第二〇二一号)  愛知県下の砂防工事助成に関する請願外一件(  千賀康治紹介)(第二〇三八号)  住宅金融に関する請願受田新吉紹介)(第  二〇四七号)  同(原健三郎紹介)(第二一〇一号)  同(川西清紹介)(第二一〇二号)  岐阜から八幡を経て福井に至る県道を国道に編  入並び改修請願平野三郎紹介)(第二  〇六五号)  大雪山国立公園東旭川登山口観光自動車道路開  設に関する請願佐々木秀世紹介)(第二〇  八四号)  赤川下流改修工事促進請願大橋武夫君紹  介)(第二〇八九号)  浦野川にため池築設の請願降旗徳弥君外一名  紹介)(第二一一三号)  測量法の一部改正に関する請願池田峯雄君外  二名紹介)(第二一三一号)  上磯町、茂別村間及び茂別村地区内に海岸道路  開設の請願川村善八郎紹介)(第二一三三  号)  河内川下流改修請願稻田直道紹介)(第  二一三八号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  参考人招致に関する件  住宅金融公庫法案内閣提出第一五二号)  旧軍港市転換法案及び昭和二十五年度における  災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案  に対する申入れに関する件     —————————————
  2. 淺利三朗

    淺利委員長 これより会議を開きます。  まず昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担特例に関する法律案を議題といたします。この法案につきましては去る三十日、三十一日の両日にわたりまして、大蔵委員会との連合審査会を開会いたしまして、愼重に検討して参つたのであります。本日は本法案に対する当委員会態度を決定いたしたいと思います。しかしその前に過日建設当局出席がなかつたため、その方面質疑がまだ残つておりますので、ただいまより建設当局に対して質疑応答を重ねた後に態度決定という順序で進めたいと思います。ただいま目黒河川局長も御出席でありますから、この際御質疑があればこれを許します。なお地方自治庁かもも見えておりますから……。
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 地方自治庁から見えておるそうでありますので、この前大蔵委員会との合同審査のときにいろいろ聞いたわけでありますが、その際の答弁に明確でない節がありますから、地方自治庁見解をお尋ねいたし、それを明確にいたしたいと思います。  この特例法弟一條に書いてありますように、「この法律において「災害」とは、暴風、こう水、高潮地震その他の異状な天然現象に因り生じた災害をいう。」とあります。こういうように天然現象に基く災害を基礎にしておるのでありますが、従来都道府県災害土木費国庫負担に関する件に基きました規定によりますと、單に災害だけで、その災害がいかなる災害かということはなかつたのであります。災害土木費国庫補助規程施行細則二條には、「災害ニ因リテ必要ヲ生シタル土木工事ニシテ」云々ということで、国庫補助が大体三分の二十されておつたわけであります。その中にいろいろありますけれども本法の直接適用がないと思われますのに、建設省所管鉱害復旧が現在この規定によつて行われております。そうしますと、問題はこの特例法と、現行法並びにそれに基いた規定との関係でありますが、本法によつて救済されないと申しますか、全額補助されない、さような災害に対しては、どの規定によつてやるか。この前は、一般的な議論でありましたが、本法が制定された以上は、従来の規定は少くとも二十五年度限つて効力がないというふうに、この前地方自治庁当局意見であつたのであります。私の聞き違いであつたかもしれませんが、そういうふうに承つたのであります。しかしそれでは私明確でないと思いますので、ただいまの点をもう一度はつきりお答えを願いたいと思います。
  4. 鵜澤克郎

    鵜澤説明員 この法案適用にならない災害につきまして、現行災害土木費国庫負担に関する法律適用になる部分については、相かわらず従来通り三分の二の補助規程適用になるわけであります。
  5. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 それではもう少しはつきりするために、本法天然現象によつて生じた災害でないものは、すべて従来の現行規程に基く国庫補助をやる。もう一つ具体的に申しますと、たとえば問題になりました鉱害復旧については、現在一億八千万円計上してありますが、それは現行規程によつて、この特例にはよらずしてやる。こういうふうに解してもよろしゆうございますか。
  6. 鵜澤克郎

    鵜澤説明員 お尋ねの鉱害の場合におきましては、従来の現行法を準用して扱つて行くと聞いておりますので、相かわらず従来の現行法が準用されると思います。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一つ、これはお尋ねするまでもなく明瞭であると思いますけれども、念のために申し上げて、御意見を承つておきますが、えとえば二十五年度予算にも、南海の地震とか、震災による地盤沈下、それから北陸震災による災害、これはもちろん本法の第一條規定されている天然現象による災害でありますが、問題は、都市における道路並び河川であります。こういうものについては、本法規定によつて全額国庫負担になるというふうに解釈してよろしゆうございますか。
  8. 鵜澤克郎

    鵜澤説明員 都市内の道路その他についても、同じにこの法律適用になるわけであります。
  9. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 そうしますと、現在行われております、特に都市戰災復興などということで、特別都市計画法で二分の一の国庫補助をいたしております。私ははつきり知りませんが、これは戰災があつたのではないかと思いますが、その方との関係は、どういうふうに調整されるのか、これは地方自治庁の方でなくとも、建設省の方でもよろしゆうございますが、お答え願いたいと思います。
  10. 目黒清雄

    目黒政府委員 戰災復興というものは、もうすでに存在しておりまして、これには特別の法律があつて、これを実行いたしておりますが、今度の特例法律は、自然現象、すなわち洪水高潮、暴風雨、その他のことによつてつた災害ということになつているのであります。それは河川でありますれば河川道路であれば道路というふうに、何ら都市と他の町村との区別は設けておりません。この法律の第一條にあります通り原因によつて判断するということに相なつております。
  11. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 地方自治庁に対しては、大体疑問の点は明確にしていただきましたので、終りますが、今度は建設省河川局長にお伺いしておきます。  私ども一番問題にいたしておりますのは、第一條天然現象による災害でありますが、もちろん災害復旧でありますから、原形復旧するということが、第一條の第二にうたつてあります。これは従来も大体同じであります。ところが今日までの規定によりますと、先ほど引用いたしました災害土木費国庫補助規程施行細則二條に、「災害ニ因リテ必要ヲ生シタル土木工事ニシテ国庫ヨリ補助スヘキモノハ被害工事原形ニ復スルヲ以テ目的トスシ原形ニ復シ難キ場合其ノ他特別ノ理由アル場合ニ於テハ増築改築又ハ之ニ代ルヘキ必要ノ施設ヲ為スコトヲ妨ケス」。この規程によつて今日まで府県の災害に対して三分の二の補助をいたしているのであります。この規程の前段は、一般的な基準を定めているのであります。その原形復旧するのに対して国庫より補助する。但し原形復旧することがむずかしいとか、その他特別の理由ある場合、つまり原形に復するよりも、増築改良等がきわめて実情に適しているという場合には、必ずしも原形復旧する形でなくても、やはりそれは対象として同じような国家補助をする、こういう取扱いを今日までされておつたと私は思うのであります。今度提案されております特例に関する法律一條第三項には、ただいま引用いたしました施行細則の第二條の後段と申しますか、それに該当する規定がちやんとあります。第三項には「災害に因つて必要を生じた事業で、災害にかかつた施設原形復旧することが著しく困難又は不適当な場合においてこれに代るべき必要な施設をすることを目的とするもののうち、一箇所の工事の費用が十五万円以上のものは、この法律適用については、災害復旧事業とみなす。」これが前に引用いたしました施行細則の但書に当るものであります。これは当然であります。「災害復旧事業と見なす。」ということは、災害復旧事業として取扱うということでありますので、今日までの実務の取扱いと、この施行細則精神をくみますれば、三分の二の国庫補助を、今度あらためて全額国庫補助といたすのでありますから、それに対しても当然全額国庫負担とすべきは、論理的にも当然であります。この特例を設けた精神からいうてもあたりまえなことである。こういうふうに私は解釈しておるのであります。ところがこの特例の第二條には、そういう場合は、原形復旧に要する経費だけに対して、国では全額負担するのだ、改築もしくは改良がどうしても適切である場合には、それは災害復旧事業とするが、しかし原形だけの復旧国庫負担対象にする、こういうようになつておるのは、私はどうしても解釈に苦しむのでありますが、建設省当局見解ではどういうふうに考えておられるか、お答えを願いたいと思います。
  12. 目黒清雄

    目黒政府委員 それは自治庁と相談の結果、今のように十五万円以下、あるいは原形復旧以上の工事、しかもそれが、三條によつて認めておる範囲内の超過工事に属するものは一現在の災害土木費国庫補助に関する法律がなお生きておるという解釈を持つておるのであります。そこで問題になりますのは、こういうふうに三分の二は補助できるような形にはなつておりまするが、実際問題として、予算の上からは、その国庫補助をするだけの予算措置がないのであります。と申し上げまするのは、自治庁の方ではこれに対して地方起債わくの設定をやらないよう考えておるのであります。従つて二十五年度においてはこの事業はできない。しかし二十六年度からは、もしこの法律が一年度で消滅いたすといたしますれば、二十六年度にはその事業ができる、こういうふうにわれわれは解釈しております。
  13. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま局長の御説明は、私はきわめて不可解に思うのであります。私ども法律は大体文字に拘泥いたしませんけれども、しかし書いてあることを普通の常識で解釈しなければならない。今のお話では原形復旧以上の改良工事と簡單に申しておきますが、原形復旧をした部分については、現行規定が生きておるのだという解釈は、これは私は通らないのじやないかと思いますが、とにかく、天然災害による災害復旧については、二十五年度限つてこれでやるのだ。従つて私は天然災害以外の鉱害についてはどうするのだということを聞きましたら、それはこの法律適用外だから、現行規定によるのだ、これはわかります。ところが天然災害に基く災害復旧について、原形復旧だけにその金額を全額負担するのだと、こう規定しておいて、それ以上のいわゆる改良工事については、今日、元の災害土木費国庫補助規程、これによつてやるという解釈は、私はとうてい通らない。そんなことを今日そこで言われましても、そういう解釈はできないと思うのですが、それは間違いじやないですか、はつきりさしておいていただきたい。
  14. 鵜澤克郎

    鵜澤説明員 私からちよつとお答え申し上げます。ただいまの超過——原形復旧範囲以上のものにつきましても、この法律適用になりますのは、この法律に書かれておる條件によりまして、全額国庫負担対象となつておる部分のみ、この法律規定適用になるのでありまして、それ以外に適用にならない部分につきましては「他の法令の規定にかかわらず」と第二條に書いてあるところから、結論いたしまして、従来の現行法がすべて適用になる、こういうように解釈しております。
  15. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ここは私はきわめて重要なことだと思います。この前の大蔵委員会合同審査会のときとは全然違つております。そういうことでは大体法律はどこを眼目にしておるか、政府委員会ごとお答え、もしくは見解を異にされておると、つかみどころがないのであります。私はやかましく言うわけではありませんけれども、実際そうであります。そういう議論をされますと、十五万以下のやつでも、これは適用にならないのだから、三分の二の補助をされるのだと言われます。そういうふうになつて来ますが、そういうことはこの法律の建前上、大体そういうことを考えてこの法律をつくられたのではないと私は思います。私どもは十五万以下のやつでも、三分の二補助してもらえばけつこうであります。けつこうでありますけれども、そういうもりで立案されておるのではないと思うのですが、そこはひとつはつきり表明していただきたいと思います。
  16. 目黒清雄

    目黒政府委員 われわれの折衝の内容を申し上げますると、本年度は十五万以下は大体補助をする余裕がない。それから原形復旧以上のものも、本年度予算的に見て補助することはできぬということに予算的にはなつております。でありまするから、この法律解釈がどうなりましようとも、形はそういうふうな形になつて進んで参りますので、下と上は、もしこれを解決するためには、二十六年度以降ということに相なつております。
  17. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 その言葉じりをつかまえて追究するわけではないのですが、先ほどはいわゆる超過部分については三分の二の補助をするというふうに言われたのですが、今のお答えとはまるで違つておると思います。そういうことではないのだろうと思うのです。私どもが問題にしておるのは、そういうことではなくて、大体災害復旧工事としては、元通りになつても、元通りにするということはきわめて不適当である。私どもが一番根本の問題としておるのは、次の災害を起さぬような工事をしなければ、金の使い方がきわめてまずいのじやないかと思うのです。それでしかも第一條の三項には、そういうときは原形復旧するということは、国の金の使い方かきわめて悪い、せつかく使つた金であるから、災害が起つたところにさらに災害を起さぬような工事をする。これが適当であるということがちやんと書いてある。それに対しては今日まで三分の二補助しておつたのだから、当然この法律精神上、全額負担してやるべきではないか、それが国の政治ほんとうのあり方である。こういう見解を持つておる。ですから第二條のこの括弧の中というものは、大体前後撞着しておるというように解釈しておるのです。それでその超過部分について三分の二負担するなんということを今日答えられると、たいへんな間違いになると思うのですが、これは小さな問題であります。それよりもこういう工事が国の政治をする上には必要である。国の全額負担でやるというのは、早く地方財政費の軽減をするということもありますけれども、将来の災害を未然に防ぐということを目的にしておる。こういうふうにそういう工事をしなさいと命令しておるのであります。今日までそれで三分の二を負担しておつたのだ。三分の一の地方負担をやらせると、地方財政が困るから、全額この際やつてやるのだ。これから見ますれば、当然それに対しては全額負担をしなければならないのに、なぜこの際第二條において削つたかということを私問題にしておるのです。そうすると、いや原形復旧以上のものには現行法が生きておるので、従つて三分の二は負担する。そういう解釈はこの法律からは出て来ない。もしそういうふうであつたら、もう少し明確に書いておかなければ、とてもこの法律によつて行政はできないと私思いますが、これは地方自治庁でも建設省でもよろしいから、その点をはつきりさしておいていただきたいと思います。
  18. 淺利三朗

    淺利委員長 なおこの問題を明確にするには、実例をあげて説明された方が便利だと思います。たとえば従来の川の堤防が五メートルであつた。ところが河床が一メートルも上つてつて、そのためにわずかな洪水でくずれた。その場合に従来の五メートル以上に、河床上つた分一メートル上げなければ、当初の目的が達せられないという場合に、その一メートルを上げたものは原形復旧を越えるからということで、それは全然見ないということになると、そういうものは不合理ではないかどうかということを、実例によつて説明になつたならば、この法律の適否ということがわかると思うのですから、そういう点も考慮して、明快なる御答弁をされた方が、議事の進行上早いと思います。
  19. 目黒清雄

    目黒政府委員 この原形復旧の方針でありますが、今までの法律によりますと、それが第三條のように非常に幅が広く規定してあつたので、その運用が非常にスムースに進んで参つたのでありますが、今度の特別法におきますと、第二條全額国庫補助対象がある程度に限定され、原形復旧を極端な形に持つて行かれるということになりますると、この運用いか。んによつては、やはり相当問題を起すということがわれわれも想像できるのであります。たとえば原形が單に土場打堤防であつたといたします。それを今度復旧しようと思えば、高さも多少考えなければならぬでしようし、あるいは川の性質に応じては、石張り護洋もやらなければならぬというようなことまで当然起つて参ります。その場合にそれを原形復旧と見るのか、あるいは元は土場であつたから土場の元の形を原形復旧と見るのかという、その解釈の問題に至りましては、なかなか議論があると思います。われわれの昔からやつて参りました原形復旧は、そこに多少の構造に変化がありましても、再びこわれないようなものをつくるということ、その限度において原形復旧を認めて来たのでありますが、この第二條原形復旧に対する補助全額という、この原形復旧という線をどういうように解釈をいたしますか。この点のわれわれの解釈は、昔からの行き方を踏襲したいとは考えておりますが、これが法律となつて出ました場合に、他の関係方面、と言いますと会計検査院でございますが、そこでこの解釈を、どういうような原形復旧限度解釈するかということになりますと、まだわれわれとしても疑問があるところがあるのであります。これは事実そう相なると思うので、非常にわれわれも実は憂慮している次第であります。
  20. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 今局長が言われたことは、現在やつているのに、この三分の二の補助全額に引上げることだけにしてもらいたいという意見と私は解します。それば当然だと思つて今日まで議論をいたしているのであります。それと今言われたようなことが事務上に非常に問題になる。それは事務上の問題でよろしいのでありますが、私ども災害復旧という究極の目的を達したい。せつかく金使つたの効果あらしめたいと考えます。実際問題として地方工事をいたしますときに、この規定がありますれば、原形復旧では実際の効果はないのであります。第一條の第三項に書いてあるように、そういう工事をしなければならない。だれが考えても、実際復旧工事に当る人は、当然それだけの良心をもつて復旧工事をしなければならない。ところが、それは原形復旧以上のものは、地方負担だということを頭からぶつつけてみなさい。そうしたらそれだけの工事はとうてい私はできないと思う。全般的にはそうでないかもしれないが、ある程度はそういう工事をやるときにしり込みをする。それがまたさらに日本の国土を破壊する原因になる。こういうように私どもはこの法律文字解釈しておりますから問題にするのであります。事務上で会計検査院がどうのこうのとうこともありましよう。そういうことを懸念されること自体、つまり地方では諸君は第一條の第三項によつてりつぱな工事をいたしなさい、しかしそれ以上やつた工事費諸君負担である。そうなると、この法律はせつかく全額国庫負担ということで、ある程度は喜ばせることになりますが、ほんとう実施面においては、効果がかえつて効果になりはしないかということを私は憂える。地方財政には起債を許さないのだということ——来年はどうか知らぬけれども、二十五年度は許さない。そんなことを説明しながら、しかもそういうりつぱな工事をしなさい。そうしてその超過部分については地方公共団体負担である。こういうふうな法律は、私は非常にまずいのではないかというふうに思うのですが、建設省ほんとうの気持を聞かしていただきたい。
  21. 目黒清雄

    目黒政府委員 われわれといたしましても、再びこわれるようた災害復旧まどこまでもやりたくない。これはやはり国費の損失であろうというふうに考えておりますので、できるだけある程度の丈夫な復旧をいたさなければならぬと考えます。従つてそれに対して建設省として考えますのは、できるだけ原形復旧超過程度をなるべく少くする努力はいたしますが、その程度は、できればこの全額国庫補助わく内に入れることが、われわれとしては望ましいと考えております。
  22. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一つ専門家ですから専門的なことをお尋ねしておきます。私は専門的なことはわからないので、不明なためにお尋ねすることになるかもしれないが、こういう議論があります。第一條の第三項は災害復旧とみなす。それも全額国庫負担ということになれば、不必要に厖大な王覇をするおそれがあるということを言われる画きもあります。私どもはそういうことはないと思うのでありますが、この條文にも書いてある通りに、繰返すようでありますが、「原形復旧することが、著しく困難又は不適当な場合」これは今日までずつと建設省がやつて来た仕事であります。その際に、実際においてこれに三分の二を補助する、もしくはこれを全額国庫負担にするのだということにしたらいらない土手をこしらえたり、高い石垣をつくつたり、護岸をしたり、そういうことをする役人がおらないとは思いますか、今日までやられたことについて、この前の災害土木費国庫補助規程によつてやられたのでありますが、そういう懸念があつたかどうかということ、実際あなた方が今日までやつておられまして、そういうことがあつたかどうかということをこの際承つておきたい。
  23. 目黒清雄

    目黒政府委員 今までやつて参りましたわれわれの災害補助工事方面につきましては、やはり原形復旧を原則といたしまして、それに幾らかのプラスをやつた程度であります。そう他から非難されるような超過工事をやつたことはありません。但しそこでわれわれは、この超過工事をどうしてもやらなくちやならぬ、ある程度改良を一緒にやらなくちやならぬというようなものは、御承知の通り災害助成費という費目を設けまして、これは二分の一の補助でありますが、この二分の一の補助をそれにつけ加えて、一定計画のもとに改良をやる。歴然とそこに線をわけて、超過工事に対する態度を明らかにして参つているのであります。従つてこれは改良的なプラスをそこに考えるということであります。
  24. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 大分こんがらがつて来て、どうもわからないのですが、今日までは原形に復しがたき場合あるいはその他特別の事由ある場合、すべて改良は別に計算して、二分の一ということでやつてつたのですか。
  25. 目黒清雄

    目黒政府委員 そういうわけではありません。第三條に載つております程度は、これは全部三分の二でやつて参りまして、そのわく範囲を逸脱して仕事をやつたことはありません。この程度は三分の二の補助でやつております。ところがこれ以上の場合があるのです。と申しますのは、相当連続して災害が起きますと、その全川を改良した方が有効である。しかも相当幅を広げ、相当高さも増して、一定計画のもとに改良した方がいいという状態になつた場合には、第三條で三分の二の補助をいたします範囲外の部分に対しても、二分の一の補助をつけ加えて、一定計画のもとに改修したことがあるということであります。
  26. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一言念のために、地方自治庁の方にはつきりしてもらいたい。先ほど第二條に関連いたしまして、「他の法令の規定にかかわらず、」という文句かあるから、この法律適用されない部分は、現行法でやるのだ。従つてこの括弧内の原形復旧するものとして計算したものは全額補助するが、それ以上の改良その他の部分に対しては、現行法で三分の二の負担をするのだ。そういう御説明でございましたが、それは私間違いだと思うのでありますが、そういうふうに解してよろしいのですか。
  27. 鵜澤克郎

    鵜澤説明員 法律規定から見まして、そういうような解釈をしておりますが、多少解釈にも疑問があると思いますので、なお研究させていただきたいと思います。
  28. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいま瀬戸山委員目黒局長との質疑応答を承つておりますと、一層われわれは不安を深める感じがいたすのであります。建設大臣がそこに黙つてこの質疑応答を聞いておられるのでありますが、われわれ閣議の内容まで伺う資格もなし、伺おうとも思いませんけれども、一体こういう法律をお出しになるときに、直接仕事をなさる局長が、ただいまのような不安な気持でおられるという御答弁をなされるような立場に置いたままで、建設大臣は閣議で御承認になつたのでありますか。要点を簡單にピツク・アツプして申しますと、この全額国庫負担特例はこのまま厳密に解釈いたしますならば、従来よりも悪くなるという部面があります。つまり原形復旧に、必要やむを得ないところは、それ以上にやつても三分の二もらつてつたのが、今度は原形復旧まででぴたつと一線を画して、それ以上は全然あり金でやる。起債も認めないが予算の計上もない。こういうふうなことが明らかになつてつておりますし、その間会計検査院との関係もまだ当該局長は不安を抱いておられる。そういたしますと、実際工事を施行する上にあたりまして、これは法律が通つても活発に活動ができないという状態にあるのでありますが、一体そういうふうな状態のままで建設大臣はこれを閣議で通し、議会にかけるということになつたのでありますか。その間大臣としてどういうふうな御了解のもとにこれをお出しになつたのでありますか。大臣の御意見を承りたい。
  29. 益谷秀次

    益谷國務大臣 この法律は御承知の通り地方公共団体の財政が逼迫いたしております関係上、なるべく地方公共団体負担を軽減するという目的提出いたしたのであります。そういう考えで起案を命じて今御審議を願つておるのであります。御指摘の法律解釈等につきましては、本法が施行せられた結果、かえつて地方に不利になるというような考えは毛頭持つておりません。持つておりませんが、各條文個個については、ただいまのような問題がありますれば、十分検討いたしてみたいと思つております。私は全般の法律一條々々こまかく疑問を想定いたして、研究をいたしたというところまで参つておりません。大体各條文を見まして、これならば政府法律提出目的に沿うものだという概略のことで閣議等に臨んだのでありまして、ただいま御指摘の條文は何條でありますか、私自身といたしましても、その解釈の結果不利益になるということであれば、これは容易ならぬことでありますから、十分に検討をさらにいたしてみたいと存じます。ただ閣議決定に基き、法案提出いたしました際においても、また今日でもなお地方公共団体については、決して少しも不利益のことはないと存じておる次第であります。
  30. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 一條々々大臣自身が吟味をしていないから、もしいろいろなことが起ればこれから検討をし、研究をなさるという御答弁でありますけれども、この法律が通れば、たちまち河川局長のもとにおける仕事を活発にやらなければならぬのであります。そのやるとぎに、さきに淺利委員長からも例をあげてお尋ねがあつたようでありますが、一体堤防を上げたときに、その一尺上げた工事費全額もらえるのか、もらえないのか。またそういう場合に起債も許さないから、あり金で必要な工事をやれというのかどうか。そうした場合に会計検査院は横からつつ込まないのか、つつ込むのか。こういうことは法律が出てから、あとから検討するということは、できないことはないと思うが、それではこの法律を通すときの審議が盡せないのであります。つまり今までは絶対必要やむを得ないときには、原形復旧以外にいくらかの金を使つても、それは復旧工事費とみなして法律に定められた規定補助はやろうと言つてつた。ところが今度は工事の方は、第一條第三項で最小限必要な工事をやりてよろしい。つまり原形復旧以上にやつてよろしい。しかし補助をやるときには、第二條の括弧内にちやんと原形復旧以上にはひとつも認めないと書いてあるのです。そこで全然補助をもらえないのなら起債でも許してくれるかと思えば、起債の方は全然許されそうもない。何ぼかの補助を認めればできるのに、予算の方は全然計上してない。それは二十六年度からやれということでありますけれども、二十六年に延ばせる工事は全然ないのでありますから、どうしても二十五年度にやらなければたらない。二十五年度にやるとして、どうしてもあり金を使つて、絶対必要な原形復旧以上の仕事をやらなければならないのかどうかという点を、はつきりと閣議なり何なりでお申し合せをしていなくては、この法律を通しても設計ができず、工事にも着手できないのでありますが、この点は建設大臣としてはどこまで御主張になり、どこまで一般的に認められた上で、この法律がここまで進んだのでありますか、それを伺いたい。
  31. 益谷秀次

    益谷國務大臣 この法律通りますと、ただいま申し上げました通り地方公共団体が従来より不利益な立場に置かれるというようには見ておりません。従来より地方公共団体負担を軽減せしむるために非常に役立つ法案であると信じております。御指摘の三條と超過工事国庫補助対象になる部分というような問題につきましては、ただいま局長お答え申し上げました通り、これまで建設省といたしまして、原形復旧原形復旧ということに相当ゆとりを持つて解釈いたして参つておるのであります。従つてその程度はいろいろございます。ございますが、常識上厳格な意味の原形復旧では災害対策として間に合わぬ場合があります。どうしても幾らかゆとりを持つてやらなければ災害復旧として役立たない場合がありますので、幾らか幅を広くして、ゆとりを持つてこれまで仕事をいたしております。従つて何人が見ましても、これは原形復旧じやない、あるいは改良になるというような場合には、二分の一の補助規程を今まで準用いたしてやつております。建設省といたしましては、できる限り原形復旧解釈にゆとりを持つて参りたいと思つており、これまでもそういたしておると考えております。
  32. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの大臣の御答弁は、非常に私は満足いたします。われわれもそうり考えておるのであります。ただいまの建設大臣の御答弁のごとくでありますれば、場合によれば地方団体が従来よりも不利になるというようなことは間違いであつて、そういうことは起りません。ただいまの建設大臣のお言葉の通り行われるならば、この法律が通ることによつて地方自治体が不利になることは一つもないのであります。ところが、きよう今そこにおいでになります地方自治庁の次長は、この間大蔵建設連合審査会で私が質問を申し上げましたときに、従来は原形復旧より多少多くなつても認めておつたが、今度この法律の第二條の括弧によつて、もうぴたつと一線を画してしまわれるのである。從つて厳密に原形復旧を越えたものについては補助の道がないという御答弁をなさつた。もしそういうことになりまするならば、私が最初申した通り、従来よりも地方自治体は不利になる場合が生ずるのであります。でありますから、今建設大臣がおつしやつた通り原形復旧費とはいえ、絶対必要なものはある程度幅を持たして、従来復旧費とみなしてやつてつたから、今度この法律が通つてもそうするのだというのでありましたならば、一応地方自治体は不利になることはありません。三分の二が全額になつて、有利にこそなれ、不利になることはありませんが、地方自治庁次長のこの間の御答弁のように、第一條ではゆとりをとつて喜ばしておいて、第二條では仏つくつて魂入れずのように、括弧によつて原形復旧以上は認めないという解釈をなさいますと、地方自治体に不利な場合が生ずるのであります。ちようど自治庁次長も見えておりますから伺いますが、この法律が施行になりましてから、ただいま建設大臣のお答え通り実施されることについて、地方自治庁は異議ないかどうかお答え願います。
  33. 荻田保

    ○荻田政府委員 先般御答弁いたしましたことがはつきりいたしませんで、まことに失礼いたしましたが、ただいま建設大臣のおつしやいました通りであります。この法律に書いた対象だけにつきまして、昭和二十五年度限つて十割の補助をするというだけでありまして、他の部分で、現行規定によりまして三分の二の補助とされているものは従来のままでございます。
  34. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 ただいまの地方自治庁次長の御答弁で、最初の目黒局長の御答弁はつきり解釈が一致いたしました。そこでそういう解釈で今度実施して行くという段になりました場合に、従来の三分の二の補助規程は生きているから、必要やむを得ないものについては原形復旧を越えても三分の二の補助をやつてもよいということになつたのでありますが、しからばその三分の二に相当する超過金額をどう支出するか。その方法といたしましては、起債によるか、あるいは予算的措置で支出してもらうか、この二つであります。そこでもう一点地方自治庁次長に伺います。なるべく原形復旧超過させないようにすると目黒局長も誠意をもつて言われておりますが、しかし工事が必要やむを得ず超過した場合は、その部分に対して起債をお認めになるかどうか。この間審議した本年度予算にはその点について措置がなかつたと思いますので、予備費の流用とか何とかいうことをお考えになつているかどうか、この二点をお伺いいたしたい。
  35. 荻田保

    ○荻田政府委員 超過した工事につきまして、予算が現実にあるかどうかという点がはつきりしておりませんので、建設省に御答弁をお願いしたいと思いますが、起債の分につきましては、これはもちろん起債対象になります。三分の二の負担部分ももちろん対象になります。かりに全然補助金のない災害復旧工事でありましても、どうしても地方がやらなければならぬものにつきましては、改良であろうと何であろうと起債を認める建前になつております。ただ現実の問題としまして、どういう工事がそれに該当するか、本年度起債わくはどれだけあるかということが問題になつて来ますけれども、理論的にはもちろんそういうものも対象にしてやることになつております。
  36. 目黒清雄

    目黒政府委員 予算関係では、今度の法律ではわれわれの方で個所を一一指定しなければならぬことになつたのであります。今までは大体のわくをきめまして、地方長官に箇所の選定をおまかせ願つていたのでありますが、今度は指定式に参るわけであります。指定は工事の重要さを勘案しましていたすのでありますが、われわれは今のような超過工事と目される種類のものをできるだけ少くしたいと考えておりますが、もしそういうものがその箇所の中にありますれば、今のような補助をいたし、起債わく自治庁にもお願いしたいというふうに考えております。
  37. 村瀬宣親

    ○村瀬委員 今の目黒局長の御答弁で、ちよつと地方自治庁に伺います。最初予算委員会では二十五年度起債わくを一応三百億と御発表になつているが、その後三百七十億になつたとも聞いており、また四百二十五億というふうにも聞いておるが、その後の経過はどういうふうになつておりますか。
  38. 目黒清雄

    目黒政府委員 予算は一応のわくがありますが、これは今お話の通り、府県から一々の箇所をとりまして決定されることになりますので、予算わくとしては一応持つております。  それからつけ加えておきますが、鉱害復旧の方も三分の二の補助わくを持つておりますので、これもさしつかえないと考えております。
  39. 荻田保

    ○荻田政府委員 二十五年度地方債のわくは、現在明確に確定しておるところは三百億でございます。ただそれに対しまして、シヤウプ勧告で示された通り、四百二十億までわれわれとして増加をいたしたいと考えまして、関係方面に折衝中でありますが、今のところそのうち大体三百七十億までは承認されたかつこうになつております。
  40. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 くどいようですが、どうも言葉だけの抽象的なことで私わからないのですが、次長さんに伺いたいと思います。本法適用にならないものが従来の規定による、これだけならばきわめてよろしゆうございますが、それだけでは私よくわからないので、そこで本法規定適用にならないというのは、具体的に申しますと、先ほどの建設大臣のお考えと同じだと言われましたけれども、実際はそうじやないと私は見ております。それは別問題として、第一條第三項の規定による以上のものは、そうすると従来の規定によつて三分の二の負担補助されるのか。もうひとつ十五万円以下というのは、本法適用がないから、その三分の二をやはり、補助するのか。ただ本法適用にならないものについては、従来の規定によるでははつき。しませんので、今日までの議論に対してそこをはつきりしていただきたいと思います。
  41. 荻田保

    ○荻田政府委員 この立法をいたしました趣旨は、今おつしやいましたように、いずれも旧法がそのまま適用になるつもりでおります。ただ十五万円以下の工事でありましても、従来も最小制限がありますから、それ以上のものは従来の法律適用になると考えております。
  42. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 間違いなく政府でそうやられますね。やられればかまいませんが、私にはそうならないような気がするから特に念を押しておるのですが、大体こういう法律をつくつた以上は、それを政府の責任においてやるということを明言してもらいたい。そうするとこの前荻田さんが説明された、本法適用による金額はどのくらいですか。私が聞いたときには二百八、九十億と言われた。ところが今年のこの法律適用になる予算を拾つてみますと、河川災害二百六十四億、道路五千万、これは直轄道路です。港湾が二十億五百万、都市、これは街路、水利ですが一億二千万、合計二百八十五億七千五百万ということになつでおります。この法律適用されるのが二百八、九十億、こまかい数字を申すのではありませんが、第一條規定した天然災害による復旧、第二條適用によつてやる経費はこれだけしか出ていないのです。そうするとそのほかに従来の規定による二分の一、三分の二の補助をする金があるかどうか、お答え願いたい。
  43. 荻田保

    ○荻田政府委員 法律の趣旨は先ほど申しました通り間違いございません。ただこれを現実にどう適用するかという問題は、それぞれ各省における予算使い方の問題になつて来ます。その場合いずれにいたしましても、二十四年度以前の工事で千億以上のものが残つておるのでございますから、どの部分から本年度補助をつけるかという問題になりますと、これはいろいろの関係がございましようから、必ずしも超過工事なり十五万円以下の工事が全部対象になるとは限らないと思います。
  44. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 たいへんこまかく申し上げて失礼でありますが、私どもはいいかげんなことじや済まされない。大体今日この法律によつてやるのは、先ほどもつたように、二百八十五億七千五百万円、そのほかにはございません。そこでこの法律は二十五年度だけしか適用しない。この法律は来年度適用されないということが言明されておるのです。これは今年はやられるかもしれないが、来年はやらぬのだ、この法律適用としては、従来の規定でやるのだということでは説明にならないと思います。この法律でそういうものが適用にならないということを逆に説明されたことになると思うのですが、その点はどうですか。
  45. 荻田保

    ○荻田政府委員 これは先ほども申し上げましたように、実施は建設省なり運輸省なりでおやりになるのでありますが、その際の予定といたしましては、もちろんそのような超過工事等におきましては、必要なものは計算の中に入れて予算額が出ておるという打合せになつております。
  46. 砂間一良

    ○砂間委員 大臣がお見えでありますから、一つ、二つお伺いしたいと思いますが、この法律昭和二十五年度だけということになつております。ただいまの瀬戸山委員の質問に関連してでありますが、過年度災害が千六百億ある、この法律対象になる工事が千百億ないし千二百億であるという過般の御説明でありました。ところが今年度はそのうち二百八、九十億の工事しかできないということでありますから、来年度以降に持ち越されておる災害復旧工事が相当部分あるわけであります。ところが全額国庫負担法律は二十五年度だけということになりますと、あとが一体どうなるのか。大体この災害復旧工事というものはできるだけ早く復旧しなければならぬと思うのでありますが、それが今年度中にできない場合においては、二箇年計画でやる、三箇年計画でやるという大方の目安を立てて、継続工事として実施して行かなければ、今年度だけやつても、それがやりつぱなしで、完成できないということでは何にもならないと思うわけです。この法律が二十五年度限りになつておれば、地方などで災害復旧工事を実施して行く面におきまして、いろいろの計画や予定について支障を起す部面が起つて来るだろうと思います。これに対しまして、二十六年度以降はこの災害復旧工事をどうしてやつて行かれるつもりか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  47. 益谷秀次

    益谷國務大臣 この法律は先ほど申し上げましたように、今日の地方公共団体の財政の窮迫いたしておりまする点など勘案して立案いたしたのでありまして、本法昭和二十五年度一箇年実施いたしまして、その結果を十分に見たいと思うのであります。あるいはそのまま明年度全額負担という建前で進んで参りますか、あるいは三分の二ということになりますか、三分の二といたしましても、あるいは工事費がたとえば百万円以下のものはどれくらい助成する、あるいは五百万円以下のものはどれだけの率で助成するとかということを、この法案の実施の成績から十分に検討いたして明年度に対処いたして参りたいと思うのであります。従つてこの法律は一年限りの法律でありますが、このままこの法律の内容を明年度は継いで参りますか、あるいは三分の二という従来の法律にいたしますか、目下のところはまだ決定いたしておりませんが、災害復旧は取急いでやらなければなりませんので、明年度といえども政府といたしましては、従来以上に地方公共団体負担を増加するというような不利益な法律は立案をいたしたくないという考えを持つております。従つて引続き災害復旧は進めて参りたいという所存でございます。
  48. 砂間一良

    ○砂間委員 この法律が今年度限りということになりますと、いろいろな弊害が起つて来る。第一は、地方におきましてこれが今年度限りということになれば、今年やつてもらわなければ来年からどうなるかわからぬというので、非常に先行き不安からいたしまして、今年ここをやつてもらいたいという申請が殺到して来ると思うのであります。それに対しては、先ほど目黒河川局長が、今年は中央の方で指定してやる方針だというお話もありましたけれども、しかしほかの事業と違いまして、災害復旧でありますから、地方民にとつてはほつておいたらいつときも不安でおられないという点からしまして、猛烈なせり合い運動が起つて来ると思う。これをどういうふうに取捨選択して行くかということがむずかしいと思う。それが一点。それから事業の計画性が立たない。今年度限りでこの予算が切られてしまう。来年以降のものは、来年の予算がきまらなければ計画も着手もできないということになれば、その計画性が立たない。それも千六百億の災害復旧工事のうち、それを全額国庫負担として全部やつてしまうという計画であるならば、それでも済むと思うのですが、そうじやない。過年度災害のごく一部分しかできないということになりますと、事業の継続性、それから計画性という点について、非常な齟齬を来す点があるのではないか、こういうような点につきまして、来年はまた来年になつてからの地方財政の状態とか、あるいは今年実施した上の経験をしんしやくして、また来年きめるということでは、はなはだおぼつかないと思う。こういう点についてもう少し見通しのある法律を、お出しになるなら出していただきたいということを希望しておきます。  もう一つは、先ほど来議論になつております十五万円以下の工事と、それから原形復旧超過した工事についての三分の二の国庫補助ということでありますが、この点は法律解釈の上から言つて一応はつきりいたしました。ところがその裏づけになるところの予算的措置ということが、率直に言つてほとんどないのです。そうすると、これは府県は別といたしまして、市町村の場合なんかは、十五万円以下の工事というのが相当あると思うのであります。ところがこれに対して国の方では一応三分の二の補助は従前通り出せることになつておるけれども、事実上起債わく限度があるし、それから予算もないということになり、何にもできないということになれば、まことに無責任な結果になりはしないか。いやしくも政府地方の窮状を打開するという方針のもとにこういう法律をお出しになる以上は、全額国庫負担で行く点はそれでよろしい、十五万円以上の工事原形復旧という点はよいのですが、その他の部分についても当然予算的措置を考慮しておかれるべきではなかつたか。それが何らなされていなかつたということにつきましては、これは大臣の無責任と申しますか、たいへん努力が足りなかつたように思われる。こういう点をどういうふうに今後解決して行かれる御方針か、ひとつお伺いしたいと思います。
  49. 益谷秀次

    益谷國務大臣 本法は二十五年度限りでありますが、災害復旧はこれで打切りをいたすというような考えは毛頭ございません。従来の助成額以下になるというような、地方公共団体に対して不利益になるという法案提出いたすという考えは、毛頭ございません。来年三月三十一日が経過して新たに法律を出そうというのではありません。大体この法案を実施いたしましたその実績を見て、予算等も勘案いたして、そうして事前に提出いたして御審議を願う考えでございますから、地方公共団体といたしましても、さような不安がないと存じております。毎年予算を編成するまでは、災害復旧費も、あるいは河川の費用も決定いたさないのでありますが、来年度予算につきましては、大体本年の九月か十月ごろできるものと想定いたしておりますから、それに基いて予算の金額等から見まして、適正なる法案を明年度提出いたして御審議を願うつもりでおります。要しますに、この災害復旧費が僅少であるということに帰するのであります。これはひとり私のみならず、政府の共同責任でありますが、財政の都合を見まして、本年度は三百七十億でありますが、二十五年度災害を含めまして四百七十億という限度で一応しんぼういたさなければならぬことに相なつたのでありますが、財政等を勘案いたして、明年度においてはできるだけ災害復旧費の方面予算をとつて、一日も早く復旧いたすことに努力いたしたいと存じております。
  50. 淺利三朗

    淺利委員長 お諮りいたします。大体大蔵委員会との合同審議においても二日間にわたつて質疑応答は続けられたのであります。御出席のなかつた方もありますけれども、大体質疑はこの程度にいたしまして、この原案のままに承認するか、あるいは特に修正の箇所について必要あれば大蔵委員会に申し込むか、こういう問題が残つておるのであります。もし修正の必要ありとすれば、理事会にでも修正案を練つていただいて、それによつて委員会において最後の決定をする、こういうことにいたしていかがでしようか。——速記をとめて……。     〔速記中止〕
  51. 淺利三朗

    淺利委員長 速記を始めてください。それではこの案につきましては、先刻申し上げたように理事会においていろいろ修正をするかせぬかということを御検討願い、そうして地方行政委員会及び大蔵委員会理事とも打合せをして、最後の意見を決定する。こういうふうにとりはからいたいと思います。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議がなければさように決します。     —————————————
  53. 淺利三朗

    淺利委員長 そういたしますと本問題はこの程度にとどめまして、さらに住宅金融公庫法案について検討いたしたいと思います。昨日付託になりましたので、本案に対して提案の理由をまずもつて承りたいと思います。
  54. 益谷秀次

    益谷國務大臣 今回提案になりました住宅金融公庫法案につきまして、その提出の理由と法案の概要を御説明申し上げます。  本法案につきましては、政府としては、すみやかに提案すべく鋭意努力して参つたのでありますが、いろいろの関係上今日に至り、申訳なく存じていますが、何とぞ御了承をお願いします。  申すまでもなく、わが国の住宅難はきわめて深刻であり、なかんずく都市の住宅難は終戰後四箇年半を経た今日においても依然として緩和されず、国民生活の安定上放置することを許さない状態にあり、これが解決は政府の最重要課題の一つとなつております。住宅の建設を促進し、全国民に必要最小限の住宅をすみやかに確保するためには、最近における住宅建設停滞の原因が、国民経済力の低下による長期低利資金の調達困難にある点にかんがみまして、住宅建設資金の供給に関し、国家において強力な施策を講ずる必要があるのであります。すなわち終戰後の異状な経済状勢下におきましても、一部の高額所得者や資力の人なる人々は、自力をもつて住宅を建設して参りましたが、住宅に困窮する国民大衆は、その所得あるいは資産中、住宅に投じ得る額はきわめて少額であつて、低家賃の貸家の供給あるいは長期低利資金の融通を受ける以外には、住宅を入手し得る道がないのであります。しかるに周知のごとく、これものいずれの方法も民間において求めることはほとんど不可能な状態でありまして、政府におきましては、これが対策として地方公共団体が公共事業として実施する賃貸住宅の建設経営事業に対して、国庫補助金を交付し、家賃の低下と建設戸数の増加をはかつて参りました。この公営賃貸住宅に対する助成対策とともに、国民大衆に対する長期低利の住宅資金の貸付につきまして、かねてその必要性を痛感しておつたのでありますが、今日いよいよこれを実現することとし、さきに提出いたしました予算案とともに、その実施に関する機構及び方法を定める法律案提出いたした次第であります。しかしてこの財政資金が真に住宅を必要とする人々に公正に融通され、かつ建設される住宅か適切な規模と質を有するとともに、貸付及び回収の事務が的確かつ能率的に処理されるかいなかは、住宅金融の実施に関する機構及び方法の適否にかかるところがきわめて大でありますので、政府においてはこの点につきましては各方面意見を聞き、愼重に研究を重ねて来ました。すなわちその機構といたしましては資本金の全額政府の出資にかかる公的な独立の金融機関として住宅金融公庫を設立し、事業の運営に民間企業の長所を取入れるとともに、その公共性にかんがみ、毎年度予算は国会の議決を必要とし、役員の任命、業務の運営等に関し、政府の監督を受けしめるようにいたしました。また資金の貸付の対象、建設される住宅の規模、貸付の限度及び條件、償還の方法等に関する基本的事項は法律規定することにいたしました。なお、本公庫の機構はできるだけ簡素なものとする必要上、貸付の決定以外の貸付及び回収の業務は銀行その他の金融機関に委託するとともに、貸付金の使途を適正にし、建設される住宅の質の改善向上をはかるため、住宅の建設工事審査及び指導を地方公共団体に委託することができるように措置いたしました。  以上住宅金融公庫法案に関し、その要旨を申し上げましたが、住宅金融のすみやかな実施がわが国民生活の安定に資するところきわめて大なるものあるにかんがみ、愼重に御審議の上、すみやかに議決くださいますよう願つてやみません。
  55. 淺利三朗

    淺利委員長 次に企画課長より、法案の大要について一応の説明を承ります。
  56. 前田光嘉

    ○前田説明員 お手元に届きました法案が印刷の関係上見にくいがり版刷りでありますことをあらかじめお断り申し上げておきます。印刷でき次第正式の法案をお渡しいたします。この法案に基きまして大要を御説明申し上げます。  第一章から参りますが、第一條目的でございまして、この公庫は現在一般の民間の金融機関では融資ができない長期の、しかも低利の資金を貸すという点であります。しかもその住宅は国民大衆が健康で文化的な生活をする最低限の住宅であるということを特にここに掲げてございます。  第二條は定義でございます。  第三條は公法上の法人という言葉を使いましたが、この意味は従来国民金融公庫その他の例がありますように、いわゆるパブリツク・コーポレーシヨンと申しますか、独立の法人格を持つところの政府機関という意味でございます。  第四條は事務所でございますが、事務所は本部は東京に置きますが、支所を全国主要の地数箇所に置く予定でございます。  第五條は資本金でございます。資本金は予算で御審議いただきましたように、一般の財政資金から五十億円、見返り資金から百億出ることになつておりますので、合計百五十億円を資本金として今年度内に開店いたしたいと思います。明年度以後は新たにこの第五條の規定の御修正をいただきまして、予算とにらみ合せながら、必要な額の資本金を運用したい、こう考えております。  第六條は登記事項でございます。  第七條は名称の使用の制限でございます。  第八條は民法の規定の準用でございまして、六、七、八は一応型通りの例文規定でございます。  第二章は公庫の組織の役員、職員の規定でございます。役員といたしまして、第九條にございますように総裁一人と理事を五人以内、監事を二人以内置くことにしております。第十條、第十一條、第十二條、第十三條、第十四條、第十五條までは一応役員に関連いたしました例文の規定でございます。先ほど申しましたように、この公庫は政府機関でございますので、職員の身分は公務員になります。第十六條に役員及び職員の地位としまして国家公務員とするという規定がございますが、この職員は全部国家公務員法の適用を受けることになつております。  第三章は業務の規定でございます。一般の金融機関の法律に比べまして、詳しくこの業務に関する規定が入つております。まず第十七條は貸付の対象を主としてあげておりますが、この公庫から貸付を受け得る者は第一項の一、二、三と三号あげておりますように、みずから居住するため住宅を必要とする者、住宅組合法による住宅組合、みずから居住するため住宅を必要とする者に対し、住宅を建設して賃貸する事業を行う会社、その他の法人、この三者に貸付をするということでございます。公庫といたしましてはそのほかに、これらに関連して土地、家をつくる資金のほかに、土地のない人には土地を貸すという規定が第二項でございます。そのほかにそれに関連していろいろだ付帯的な業務を行う、その業務の内容が第三項にあげてございます。一、二、三号ございますが、公庫自体も軍に資金を貸すだけではなく、工事に関する指導をする必要もありますし、また担保に関係いたしまして住宅そのものを公庫自体が取得し、あるいは経営する場合がありますし、土地のない場合には公庫自体があつせんすると非常に便宜である。需要者の側に対しましても相当利益が多いと思いますので、それらの点を三つあげて、公庫の付帯業務として第三項にあげたのでございます。  第十八條は公庫が貸付をいたします場合の根本方針でございます。第十八條は貸付をする場合には貸付の申込みをした者の貸付希望の金額、申込者の元利金の償還見込み、それからさきに申しました個人が借りる場合には個人の困つておる状況、組合が借りる場合には組合員の困つておる状況、賃貸事業をやるアパート会社か申し込んだ場合には、そのアパートの経営内容を十分審査いたしました上で、その公庫の持つておる全体の資金、振り当てるべき資金を考えた上で公正に貸し付けるという、そういう指導方針を第十八條に書いてございます。  第十九條は貸付をすることができる住宅の規定でございまして、この公庫は十八條にございますように、できるだけ広く住宅に困つておる人、つまり国民大衆を主眼としておりますので、あまりぜいたくな家、規模の大きな家に貸すことはできないという意味をもちまして、第十九條に一戸当りの床面積が百平方メートルを越えないもの、坪数に換算いたしますと三十坪でございます。三十坪以上の家には貸さない。それからこれも規模でございますが、内容がぜいたくかどうかという点は金で計算をいたしまして、標準建設費の一・二倍、標準建設費はあとに出て来ますが、一応高からず低からず、国民大衆の普通の住宅という観念でございますので、それよりも二割増ぐらいの家はよろしいが、それ以上の家は時節柄ぜいたくであろうと考えまして、その限定を置きまして、この百五十億の資金がなるべく困つている人に広く貸されるように最高限を限定したわけであります。  それから第二十條は、貸付金額の限度でありまして、もちろん貸付の希望は半額なり、あるいは三割の希望があるかもしれませんが、限度といたしまして七割五分以内にする。八割借りたいという人はいるかもしれませんが、そればなるべく民間の資金を活用するとか、あるいはその人の信用その他を考えまして、七制五分以上に貸し付けることは貸付業務として多少危険であるおそれもありますので、この公庫の貸出しの場合には建設費の七割五分以内にとどめるわけであります。七割五分の金が、しかも計算いたしました場合に標準建設費よりも高い。一応建設費は固人々々で違つて来ますが、その場合特に高い建設費の七割五分と申しますと、やはり前に申し上げましたように一人の人に金がたくさん行き過ぎるおそれもありますので、標準建設費を一応設定いたしまして、その標準建設費よりオーバーする場合は標準建設費の七側五分という計算の仕方をしております。土地及び借地権の所有者に貸す場合につきましても、現在地価には統制がありませんが、一応標準的な価額が算定されますので、標準価額を限度としたいと思います。それから住宅の規模の点につきまして、一つの限定は第二項にございますが、先ほど三十坪の家について貸し付けるということ々申しましたが、その場合におきましても三十坪の建設費の全体の七割五分ではありませんので、その場合には第二項にございますように六十平方メートルという限定を置きまして、十八坪でございます。三十坪の家につきましては、つくることは三十坪でもよろしいが、貸し付ける場合には十八坪の七割五分以内にする。こうしてなるべく貸付金額を広くした。それが三項でございます。  次に第二十一條に行きます。第二十一條は貸付の條件でありまして、利子は全部年五分五厘といたします。その償還の期間は、その表にございますようりに、一番右の欄は木造でございます。木造は十五年以内、それから一番左の欄は鉄筋コンクリートでございまして、鉄筋コンクリートは三十年以内、それから中間はブロツク造その他金属板の家と申しますか、簡易な耐火構造を有する住宅、これを二十年というふうにきめたのでございます。それから償還をする場合の問題が三項以下にございますが、その金を借りた人の月々の収入から返して行きたいという考えを持つておりますので、支拂いは割賦償還、十五年間を適当にわけまして、できれば毎月月賦償還の方法でその月の月給の中からさいて行くということにして、返しやすく、しかも確実に返るという方法を考えたいと思つております、しかし第四項におきましては、貸付を受けた者は貸付金の使途、住宅の使途その他につきまして、貸付の目的以外の行為があつだ場合には、厳重に一時償還を請求いたしまして、貸付の資金の確保をはかる必要もございますので、第四項は一号から九号にわたりまして、一時償還を請求するいろいろな場合をあげてあるのでございます。  その次に第二十二條は貸付の條件の変更でございます。ただいま申し上げましたような條件でございますが、特定の場合には、この條件を緩和する必要がございます。たとえば災害を受けました場合などには、この元利金を徴収することは非常に気の毒な場合もありますので、特別な場合にそれを緩和して利子を安くするとか、あるいは期間を延ばすということもあり得ますので、そういう場合の規定が二十二條でございます。もちろん経済の変動によりまして、全体のデフレなり、インフレなりの場合における措置は、現在一応想定することは困難でございますので、その場合は別に法律をもちまして処置をしようと考えております。  それから先ほど説明にもありましたように、公庫自体の組織はごく簡單にいたしますので、相当な事務の量はほとんど一般の民間の金融機関及び地方公共団体に委託いたします。その委託に関する事項が第二十三條の業務委託という点でございます。但し政府の資金を使つてやりますので、責任はすべて公庫が持ちます。結局貸付の決定という最も大事なことは公庫が握りまして、決定に至るまでの事務的な問題、それから資金の回収の問題、工事の実施の審査、そういうことを公共団体と各銀行その他の金融機関にわけて委託をするわけでございます。もちろんこの場合に公庫から受託機関に対しまして手数料を支拂います。  その次に二十四條は公庫がこの法律に基きまして仕事をいたしますが、さらに実際の詳細な業務規定その他がいります。そうしてそれは業務方法書といたしまして主務大臣の認可を必要といたします。業務方法書には、第二項に掲げましたように、いろいろな事項が書いてあります。貸付の方法、元利金の回収の方法、それから住宅の規模、基準、金融機関。に事務を委託する場合の準則、抵当権を設定すること、火災保険をつけること、それから住宅について維持補修をすることそれから大修繕をするような場合には公庫の承認を受ける。こういうふうな住宅資金貸付に関する必要な事項は、全部業務方法書に書かせまして、公庫が完全に適切にこの業務ができるように監督して行くということでございます。  第二十五條は、資金計画と事業計画でございます。予算で当初公庫予算といたしまして、すでに御決議をいただきましたが、それに基いて毎四中期の計画を立てて、さらに主務大臣の認可を受けて、適切に運営して行くという意味が、第二十五條の規定でございます。その場合に第二項に特に注意すべき規定がございますが、これは先ほど貸付の対象は三つのものにわけられると申し上げましたが、そのうち第三のアパートをやる会社に割当てるべき金額は、総金額の三分の一に限定するという意味でございます。この資金が住宅に困つておる人になるべく広く行きますように、アパート会社としては三分の一以内の金額で貸し付ける。第一項の個人と住宅組合につきましては、これは組合をつくること自体が申込み者の御自由によりますので、特にわくを設ける必要がないと思いまして、それは別に金額の制限をつけておりません。残つた三分の二の範囲内で、申込みの実情に応じて、個人なり組合なりに貸し付けるということでございます。  第四章は会計のことでございます。会計は公庫でございますので、一般に公庫その他公団等全般に適用する規定がございますので、その会計規定に譲りまして、ここには詳しく書いてございません。御承知のように予算、決算は大体国の一般行政機関と同じように、国会の議決を経て執行して行きます。会計の規定は特に御説明申し上げることはないと思います。  それから監督は主務大臣が行います。主務大臣はここにございますように、建設大臣及び大蔵大臣、住宅問題は建設大臣の所管であります。金融関係は大蔵大臣でございますので、両大臣共管になつております。それから監督の規定も、例文規定がほとんどでございまして、第六章の雑則に移ります。  第六章第三十四條におきましては、貸付金が適正に、住宅公庫の目的に沿うように使われるべきことをまずあげまして、金を交付する場合に、個人に貸した方がいいか、あるいは貸付の債務はもちろん借りた人が負いますけれども、実際の現金を交付する場合に、建設をやつた建設業者にすぐ行く場合もあり得るということを書いてございます。  第三十五條は、先ほど申し上げましたアパートを経営する会社につきまして、できたうちを貸す場合に、やはり七割五分という資金は国庫から出ておりますので、貸し付ける場合にも相当嚴重な條件をつけまして、アパート経営者が自由自在にきめるというわけに参りませんので、そこに基準を設ける。家賃をあまり高くいたしますと、一般の住宅に困つておる人の負担能力から考えまして、問題がございますので、家賃及びその家を借りる人の選定について一定の基準を設け、その基準に合わせるという、基準をつくる根拠を第三十五條にあげてございます。  第三十六條はこういう賃貸する会社が相当利益を得て配当をいたします場合に、一割を越さないように、一割を越す金額については配当をしないで、それぞれ利潤があつた場合には、公庫に償還をするか、あるいは積み立てておくというふうにいたしまして、政府の方の資金によるアパート会社が特別の利益を得ないようにという制限が第三十六條でございます。  あと雑則のいろいろな條文は、公庫が政府の機関であることに関連する例文を整理したのであります。  第七章罰則は公庫及び受託銀行に関しましての罰則でございます。  附則は、この法案が通過いたしますと、ただちに設立委員を任命して、設立委員でまず準備いたしまして、資本金の拂込みをすぐ請求いたします。資本金の拂込みがありまして、役員の任命がありました場合には、設立委員はただちに役員の事務を引継ぎまして、そこで初めて登記をして、公庫が正式に成立することになつております。  あと税の非課税の規定。公庫はやはり政府機関でありますので、国税で課する必要がないものがありますから、これは附則の九項以下あげてあります。非常に急ぎましたが、公庫法案の概要の御説明を終ります。
  57. 淺利三朗

    淺利委員長 この際委員諸君にお諮りいたします。本法案に関しましては一般的関心が深いのみならず、社会問題としても重要でありますので、特に参考人を招致して意見を聴取いたしてはいかがかと存じますが、参考人の意見を聴取するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  なお参考人の人選でございますが、先刻理事会において参考人は十名以内と決定いたし、うち八名は一応案もできましたのでこれを朗読いたします。  新聞社関係、朝日新聞論説主幹笠信太郎君、労働団体関係、電産労組委員長藤田進君、建設業関係、全国建設業協会会長安藤清太郎君、民間団体、都市不燃化期成同盟事務局長古賀英正君、銀行関係日本銀行理事井上敏夫君、地方公共団体代表神奈川県知事内山岩太郎君、そのほか評論家といたしまして、元毎日新聞論説委員阿部眞之助氏、それから民間の方としてこれも評論家の山田わかさん、大体以上選定いたしましたが、これらの方々を招致いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  なお以上のほかに借家人組合等より一、二名招致いたしたいと存じますが、その人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 淺利三朗

    淺利委員長 御異議がなければさよう決定いたします。  なお期日の点でありますが、本法案は急ぐのではありますけれども、また相当余裕も置かねばならぬと思うのであります。それで期日は来る十一日火曜日の午前十時からということにいたしまして御異議はございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 淺利三朗

    淺利委員長 それではさよう決定いたします。  なおこの問題はいろいろ検討を要する関係もありましようから本日はこれをもつて打切りたいと存じます。また日程にあります旧軍港市転換法案は、まだ予備審議でありまして、正式の審議に入つておりませんから、これは後日にいたします。  本日はこれをもつて散会いたします。     午後四時三分散会