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1950-03-25 第7回国会 衆議院 建設委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十五年三月二十五日(土曜日)     午前十一時二十五分開議  出席委員    委員長 浅利 三朗君    理事 内海 安吉君 理事 江崎 真澄君    理事 田中 角榮君 理事 内藤  隆君    理事 上林與市郎君 理事 天野  久君    理事 砂間 一良君 理事 笹森 順造君       井手 光治君    越智  茂君       瀬戸山三男君    高田 弥市君       西村 英一君    淵上房太郎君       宮原幸三郎君    増田 連也君  出席政府委員         地方自治政務次         官       小野  哲君         大蔵政務次官  水田三喜男君         大蔵政務官         (主計局長)  河野 一之君  委員外出席者         議     員 栗山長次郎君         專  門  員 西畑 正倫君         專  門  員 田中 義一君     ————————————— 三月二十五日  熱海国際観光温泉文化都市建設法案畠山鶴吉  君外三十二名提出衆法第八号)及び伊東国際  観光温泉文化都市建設法案畠山鶴吉君外三十  一名提出衆法第九号) の審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した事件  首都建設法案井手光治君外三十七名提出、衆  法第一一号)     —————————————
  2. 浅利三朗

    浅利委員長 これより会議を開きます。  首都建設法案井手光治君外三十七名提出衆法第一一号を議題といたし、質疑を継続いたします。  本日は地方自治庁並びに大蔵当局出席を要求しております。ただいま地方自治庁地方自治政務次官小野政府委員が見えておりますから、一応本法案に対して、地方自治庁としての見解を承つて、しかる後に質疑に入りたいと思います。小野政務次官
  3. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま委員長から御指名がございましたので、簡単に所見を申し述べてみたいと存じます。首都建設法案内容について一応の検討を加えておるのであります。御承知のごとく、東京都がわが国首都としての特異性があるのにかんがみまして、これに対して何らか特別な取扱いをするということにつきましては、いろいろの角度から検討をいたすべき点があるであろうと思うのであります。この法案目的は、東京都が首都として十分にその政治経済文化等について機能を発揮するように計画し、また建設することを目的とするということになつておりまして、かつ、この首都としての特異性にかんがみてそれぞれの機関を設けられ、またその機関意見に基いて計画を立て、これを執行するという場合におけるこの法案内容検討いたしますと、関係地方団体協力または援助を與えるような道を開いておりまするし、あるいはまた国が、すなわち建設省、運輸省その他その事業内容である事項を主管する行政官庁執行する場合におきましては、東京都及びその区域内の関係地方公共団体同意を得なければならないということをも規定いたしておりまするし、その他の法律案内容を見ますと、大体において東京都が首都としての特異性に応ずるごとき計画を樹立し、かつ、これを執行することを目途とされておるように考えられるのであります。これらの点を総合的に考えますると、この新法律が実施されましたあかつきにおきましても、如上申し上げましたような規定等が設けられておる点からかんがみて、地方団体自主性を阻害したり、あるいは自治本旨にもとるような結果にはならないであろう、かように考えられるのでございます。はなはだ簡單でございますが、一応この法律案内容検討いたしました所見を申し述べた次第であります。
  4. 浅利三朗

    浅利委員長 質疑通告がありますから、通告順によつて許します。瀬戸山三男君。
  5. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 ただいま首都建設法案について、地方自治政務次官地方自治体との関係についての御意見を承つたのでありますが、大体私のこの法案についての見解としては、ただいまの御意見とほぼ一致するのでありますが、地方自治体自主性という点について、相当この法案については論議がありますので、さらに私の意見を申し上げながら、もう少し強い見解をいただきたいと思うのであります。本法案は申し上げるまでもなく第一條の「東京都を新しく我が平和国家首都として十分にその政治経済文化等についての機能を発揮し得るよう計画し、建設することを目的とする。」これが最終の目的でありますが、本法案について二つの方面から考えられるのであります。御承知通り地方自治体は新たなる憲法の精神に基きまして、真に独立自主性のある財政方化その他を各市町村都道府県自治体が、自主性をもつてやるというのが根本精神なのであります。そういう面から申し上げますと、今回提案されておりますところの地方税法改正その他から見ましても、地方自治体住民負担によつて地方自治体のすべてをまかなつて行くというのが、根本原則になつておるわけであります。そこで東京都ももちろん地方自治体に違いありませんので、地方自治体の面からだけ考えますれば、東京都の建設計画は、東京都の住民負担において、その力においてこれを建設することが、当然強調されなければならない。それは各市町村とも同じ状態であります。住民税家屋税、さらに地租、その範囲における負担においてやるというのが原則でありますから、その面から考えると、この法律は多少地方自治体自主性を阻害するおそれがあるという議論が当然立ち得るのであります。各法文のこまかい点についてはもう触れませんけれども、そういうことが当然言われる。そこでその面だけを考えますと、この法律はまさに地方自治体自主性を阻害するということが強調され得るのでありますけれども、先ほどの御意見にもありましたように、本法律案日本首都としての性格を強力に推すために、首都建設委員会を設置し、その首都建設委員会において、首都建設に関する重要なる根本計画を樹立する。そうしてそれを国なり、関係地方公共団体その他に強力に勧告し、その実施を推進する。こういうことになつておりまして、地方自治体自主性を阻害することよりも、その自主性を基礎にしてそれを育成して、真に首都たるの実を上げしめるという援助法といいますか、そういう部面もあるのでありますから、私どもはその両面を総合して考えますと、あえて地方自治体精神にもとるというふうには考えないのであります。しかしながら、また一面から申しますと、地方自治体自主性を阻害するという議論が強硬に行われ得るのでありますから、この際これを参考意見として、特に自治体独立を強調しておられる地方自治庁意見をさらに承つておきたいと考えます。
  6. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま瀬戸山さんから、この法律案を実施するについては、地方自治団体自主性との関連をどう考えておるかという御質問であつたと思うのであります。先ほど一応の所見を申し述べたのでありますが、さらに御質問にお答えいたしたいと存じます。御説のように地方自治の強化をはかつて、強力な地方自治体日本で育成して行くということは、これはシヤウプ勧告書にもあります通りでありまして、御意見まことにごもつともであると思うのであります。従いまして、これに必要な適正な独立財源を與えまして、地方団体の施策はその一般財源によつてまかなつて行くという基本的な原則に立たなければならぬことは、多言を要しないことと存じます。今回の法律案内容と照し合せまして、地方団体自主性に対する考え方を総合いたしまするのに、原則としてはもちろん地方団体自主性を尊重する意味におきまして、あるいは財政の部門におきまして、その他行政の運営において、これを十分に確保いたして行かなければならぬことは、自治本旨を尊重するという基本的な考え方から、当然のことといわなければならぬと存じます。ただ東京都がわが国首都である、こういう特殊な状態に置かれておる点にかんがみますると、かりに首都建設計画が、将来設置されようとする機関において計画されまして、またこれを国の行政機関執行するという場合におきましては、この法案の中におきましても、首都建設計画を尊重するように勧告することができる道も開いておりまするし、また東京都及びその区域内の関係地方公共団体の、同意を得なければならない義務を負担させるということにも相なつております点から考え合せまして、この建設計画を具体的に執行する場合において、一体国はどの程度これに対処して行くかという、国自身の心構えの問題もあろうかと存じます。またこの計画執行について、関係地方公共団体がこれに対して同意を與える場合における、協力援助の熱意の問題もあるであろうと思うのでありますが、要するにただいま瀬戸山さんが御指摘になりましたように、結論としては、この法律案東京都の首都としての特異性考えますると、地方団体自主性を阻害するものであるということには相ならないであろう。ただこの法律案の運用の適正を十分に考えなければなりませんし、また計画自体執行につきましても、これが誤りのないようにいたさなければならぬことは申すまでもないのでございますが、抽象的に申しまして、地方団体自主性、あるいは自治本旨に反するようなことがないであろうというふうに考えられる次第でございます。
  7. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 もう一点、本法案は先ほど私の申し上げる通り、あえて地方自治体自主性を阻害するとは思わないのでありますが、御承知通りに、都市計画は、各都道府県もしくは市町村地方都市計画審議会ができまして、その審議会において都市計画を策定し、これを地方行政庁公共団体執行する、こういうことになつて、その面においても自主的なる方法をとつておるのであります。その上に本法に予定されております総理府の外局としての首都建設委員会をつくり、この計画を立てるということに相なつておるのであります。その点が地方都市計画審議会自主性を阻害しやしないかという議論もあり得るのでありますが、私の考えでは、この首都建設委員会計画立案いたしました案は、この法案にもあります通りに、勧告をいたすことになつておりますので、その勧告に基いて、さらに地方都市計画審議会計画を立てる、こういう段取りになると解釈いたしております。それであえて地方都市計画審議会を拘束するものではないというふうに私は解釈いたします。その点について、地方自治庁としての見解を承つておきたいと思います。
  8. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいま瀬戸山さんから仰せになりました、この法律に基いてできました委員会によつて立てられた首都建設計画と、都市計画との問題であろうと存じますが、首都建設計画をできるだけ尊重して行くという建前をこの法律がとつておりますし、また都市計画を立てます場合におきましても、首都建設計画に基いてこれを立てるということに将来なるのであろう。こういうふうに想像されるのでありまして、さような点から申しまして、私はこの法律の施行に伴つて、あるいは財政上の問題、たとえば公共事業費の使い方につきまして、国が首都建設計画をどういうふうに考えて行くかというふうなことなど、具体的な問題はもちろん起つて来るであろうと存じますが、都市計画事業の遂行にあたりましては、この法律趣旨から考えまして、首都建設計画に基いて行われることになるであろうという見地に立ちまして、支障がないであろうと考える次第でございます。
  9. 田中角榮

    田中(角)委員 私はこの法律提案者の一人といたしまして、この法律案目的一つである財政的裏づけというものに対して、大蔵当局の所信をただしたいと思うのであります。質問要点は二点であります。まず第一点は、首都に対して特別の法律を制定するということは、わが国だけでなく、他の国においてもこのような例があるのでありまして、現存荒廃せる戰後の日本といたしまして、特に首都建設法案提出するということは、私たち提案者といたしましては、非常に大きな意義があると自覚しておるのであります。われわれもこの法律案提案するまでに、幾多の曲折を経て来たのでありますが、最後に国会提案しました法律案は、諸種の事情によりまして、われわれが当初考えておつた案よりも、平たく申し上げますと、骨抜きになつたような感も多少あるのであります。しかしこの問題に対しては、私は政府当局がこの提案趣旨を十分御了承くださつて、将来この法案の主目的を貫徹できるようなお考え方に進んでいただく場合、所期の目的は十分達し得るという確信と見通しを持つておるのであります。その意味におきまして、私たち提案するこの法律案一つ目的、すなわち帝都の復興並びに建設を、より高度に、より早く遂行いたしたいということを考える第一の條件としましては、当然裏づけとなるべき予算の問題が伴うのであります。わが国以外——フランスにおきましては、申し上げるまでもなく首都パリーに対しましては、国営施設、総理に直属するパリー地方計画委員会というものが設けられております。なお米国におきましてはワシントンのD・C特別地区予算、これは国家予算で計上されておりますが、本年度すなわち一九五〇年度の予算としては、総額一億一百万ドルというのでありまして、これに一千三百万ドルというワシントン特別地区に対する補助が計上されておるということにかんがみまして、大蔵当局はこの法律案が成立の場合、この首建都設法案の主目的をよく了承されて、今後予算上に格別の措置をとつていただきたいと考えておるのでありますが、大蔵当局のこれに対する御見解を承りたいと思います。それは提出法案の第十三條第一項の次に、私たちが当初考えましたのは、政令によつて国庫補助その他によつて特別の措置を講じていただきたいという目的を持つてつたのでありますが、諸般の事情でこれは一応削除しなければならないということになつたのでありまして、私たちはこの十三條の三項というものに対して、非常な希望を持つてつたのでありますが、これは大蔵当局が今後の予算を組む場合、この條文——現在は削除せられておりますが、原案盛つてつたような事情を十分おくみとりの上、いわゆる首都建設に積極的な予算措置を講じてやるというお考えがあれば、これは條文がなくとも事実は行けるのでありまして、本法律案提案目的は十分完遂せられるのであります。この問題に対して、政務次官意見を承りたいと思います。
  10. 水田三喜男

    水田政府委員 この法案通りますれば、当然今田中さんからおつしやいましたように、この法案自身目的を貫くための必要な費用については、政府としてはできるだけその要望に沿う経費の措置をつけるということには努力したいと思つております。
  11. 田中角榮

    田中(角)委員 非常に心強い御発言でありまして、現実的にも、ぜひとも先ほど申し上げましたような予算的特別なる措置を講じていただきたいことを、提案者の一人とし、かつ審議をする委員の一人といたし、大蔵当局に強く要望する次第であります。  第二の質問要点は、第十三條第一項であります。広島平和記念都市建設法案並びに長崎国際文化都市建設法案は、かつて上程せられましたときに、非常なる特別のものである、これは全国民の関心をもつてつくられなければならないという意味で、事業執行するに要する費用負担する公共団体に対し、普通財産譲與することができる。すなわちある場合には、事情によつて有償譲渡することがある、しかしまたある場合には無償譲渡を行うこともできるということであります。譲與ということで現在のわが国法律案では非常にめずらしい字句使つてこの二つ法案通つたのでありますが、先日衆議院を通過しました特定地区すなわち別府観光都市建設法案のこの種條文に対しても、すなわち広島平和記念都市並びに長崎国際文化都市に規定せられた特例とも申すべきこの字句が使われておるようであります。私たち原案作成段階においては、なるべく讓與という広い幅のあるものにお願いしたいと思つてつたのでありますが、お手元に出しましたところの法案は、ついに譲渡にならざるを得ないというような状況になつておるのでありますが、この前三法案と現在の法案重要度を比べますと、私は長崎及び広島と同等に首都は認めらるべきものだと考えておるのでありますが、四つの法律案にこの譲與譲渡という字句が使われるわけでありますが、これに対する大蔵省見解を承れれば非常に幸甚だと思います。なおでき得れば、譲渡であつても、場合によつて東京都のためならば讓與をするというような御見解でもいただければ——これはもちろん国有財産法関係もありまして、これが改正を行うことが至当でありまして、かかる特別法国有財産法除外例を設けることは適当でないというような考えも私にはあるのでありますが、すでに三法案にこういうことが書かれ、現在でもこういうものがあるのですから、これは大蔵省当局としましては、この法案に最も密接な関係を有しておられるだけに、特に御見解があると思うのでありますが、それをひとつ承りたいと思います。
  12. 水田三喜男

    水田政府委員 前に長崎広島の問題がございましたし、また将来ああいうふうにいろいろの都市建設法というような立法がしばしば行われることを予想しまして、実は大蔵省としましては、この際国有財産法改正をやりたい。今旧軍事施設の拂下げ問題をめぐつて、各地から陳情がございますが、昔あの施設をつくるときは、地元がみな勤労奉仕でつくつた建物であるから、これを地元公共用に供するために拂い下げて、たとえば学校にするというような場合には、少くともただにしてくれなかつたら、ごく安い価格で売つてくれてもいいではないかというような全国の要望がございますので、この際、たとえばこういう都市建設法というようなものによつてできる場合には、国有財産はこれくらいの価格譲渡したいとか、あるいは場合によつて讓與してしまうとかいうようなことを、統一的に政府としては国有財産法を直して、個々の場合に当りたいというふうな考えで、昨年から関係筋折衝しておりますが、まだ現在この交渉はまとまりません。従つて国有財産法改正はまだ実現しておりませんが、さらに努力して、将来こういう問題の起る場合に対処するために、国有財産法を直して、個々ばらばらな立法によつてその都度考えるというようなことをなくしたい、こういう考えでもう一ぺん折衝に努力するつもりでおります。従つてそういう改正ができた場合には問題はありませんが、それができない間は、これは首都をつくるために特に国有財産をどうするという一つの場合として交渉して、その御希望に応ずるよりしかたがないと思つております。この法案が通れば当然その目的に沿うように国有財産の有利な譲渡ができるようにこちらとしては努力するつもりでおります。
  13. 田中角榮

    田中(角)委員 これは御質問するのがむりかもしれませんが、私たちがこれを確定しなければならぬとも思うのでありますが、専門家がおいでになるようですから、これに対する解釈論を少しお聞きしたいのです。すなわち讓與ということになると、有償譲渡ということと、場合によつて無償でこれをわけ與えるということも常識的には考えられるのですが、前三法案はそうであり、かつ現在の首都建設法案には譲渡ということをはつきり明記してあるだけに、これを前三法案に書いた讓與というように広義解釈することができるかどうか。大蔵省の今までのことで、場合によつて東京都に対しては、これは事情当然である、まして別府のようなところでも讓與をする場合があるとしたならば、当然これよりは価値の大なる帝都に対する建設に際して、讓與、すなわち無償でこれを下げ與えられるというような御見解が成り立つかどうか。この問題は前三法案と比べて非常に重要な問題であるので、大蔵省当局で、いや、現在の段階において、譲渡広義解釈いたしますと言つていただけますならば、われわれはそれでもいいと考えておるのですが、この見解に対してひとつ意見を承りたいと思います。
  14. 水田三喜男

    水田政府委員 その問題は非常にむずかしい問題でございまして、長崎広島の場合は、その国有財産の譲り方について折衝が済んで、了解を得たあとの立法でございますので、あれはあれでよろしいのでございますが、今度の、たとえば別府の問題については、国会がそれをきめることはかつてでございますが、それが無償譲與できるかどうかということは、全然われわれの方では責任を持てない内容のものでございますので、前にああいう法律が出ているからといつても、まだそれが実現できるかできないかわからない問題でありますので、この首都建設法におきましても、国有財産をどうするかということは、まだ私たちとしては、どうできると言明できない段階にありますので、従つてこの解釈の問題は、そういうふうに簡單解釈できるとも思われませんので、その辺を御了承願いたいと思います。
  15. 田中角榮

    田中(角)委員 提案者の一人といたしまして、私の希望を申し上げておきます。広島平和記念都市並びに長崎文化記念都市は、事前に話合いができたから、すなわち当然譲與してもいいというような見通しがついたから譲與ができる。しかし別府は、もちろん本委員会を省略して本会議にただちにかかつたのでありますし、しかも大蔵当局の御意見の開陳もなかつたのでありますから、確かにただいま政務次官の言われる通りだろうと思います。しかしこの首都建設法案は、委員会にかかりまして、しかも大蔵当局の御出席願つて、情を明かして、ひとつよろしくお願いいたしますと言うのですから、できるなら広島並び長崎と同等、もしくはこれ以上に、首都重要性を認識せられて、なるべく讓與というごとき広義解釈までできるように、おとりはからい願いたいと思います。
  16. 浅利三朗

    浅利委員長 関連して委員長から確かめておきたいと思います。この法の解釈の問題でありますが、別府の場合における讓與、あるいは広島長崎における譲與、これは原則として無償譲渡という意味に解するのか、あるいは、譲與——これは有償といえば讓與とならぬと思いますが、有償でやる場合は、それに含まないのかどうか、広島長崎別府の場合には、有償でやる場合は国有財産法によつてやることになるのかという、その解釈の問題。それから首都建設の場合は、譲渡とあるけれども、それは無償譲渡有償譲渡もあり得ると思うのですが、そういう場合においては、広島長崎のごとき徹底的に壊滅した都市、また東京都のごときも、戦災は大部分にわたつて、ほとんど再興不能の状態にまで追い込められた場合には、当然同等に考えてしかるべきと思うのでありますが、そういう場合の解釈においては、その間において文字はどうであろうとも、政府当局としては、その実情に即して、有償無償の適正な処置ができるということに考えておりますが、その点についてはつきりした言明を願つておきたい。
  17. 河野一之

    河野(一)政府委員 現在の国有財産法建前でありますが、これは国有財産のみならず、一般的に会計法規といたしましては、無償でやるということは全無考えておらない次第であります。ただ値段を安くするとか、たとえば軍用財産につきましては二割減というような法律もございますが、無償でやります場合には、従来も特別な立法をやつております。そして讓與という場合には——私も法律をよく存じませんが、無償譲與するというふうになつておりまして、單に讓與とある場合に、こういうところまでの解釈を広げ得るかどうかという点については、なおもう少し研究を要する問題ではないかというふうに、従来の法律解釈としてはそういう取扱いでありますので、なおよく研究してみたいと思います。
  18. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 せつかく大蔵省当局がお見えですから伺いたい。先ほどの田中委員見解に対しまして、可能な限り首都建設について、法案が成立したならば予算的措置を努力いたしたい。これはきわめてけつこうな御意見であります。できるだけと言わずに、必ずやられるような御努力に期待するわけでありますが、私がこの際さらに御見解を承つておきたいのは、もちろんこの首都建設は、ねらうところは戰災復興ばかりではございません。特別都市計画法に基きまして、戰災復興の計画は、昨年でありましたか、さらに縮小した改訂五箇年計画を立てられた。これを五箇年のうちにすみやかに完成いたそうという、その基本方針がきまつた。大体その五箇年計画予算の正確な数字を覚えておりませんが、百六十億余り、本年の予算にいたしましても、その百六十億余りの五箇年計画の按分からいたしますと、その額に達しておらないということを私たちは論議いたしたのでありますが、これは財政上やむを得ないということで了承いたしたのであります。ところが先ほど可能な限り努力すると言われましたこの首都建設は、この法律ができますれば、重要な意味を持つております日本首都でありますので、私が御見解を確めておきたいのは、さような戰災復興五箇年計画を縮小して、その方の予算をこちらにまわすというような消極的なやり方でなくて、戰災復興は計画通りにやる。むしろ計画よりも早く終了するような予算的措置をとつてもらいたいということは、当然であります。そういう方針を縮小して、この線でやるというような消極的な考え方でなくて、首都建設については、それと別個に予算的措置を考慮するというふうな、強力な線で進んでいただきたいと考えるのであります。先ほど可能な限り努力をするというのは、さような意味で申されたと思うのでありますが、御見解を確めておきたいと思います。
  19. 河野一之

    河野(一)政府委員 戰災都市の復興につきましては、五箇年計画で百数十億の一応の計画ができております。本年度の公共事業費におきましては、約二十億程度その分を見たと思うのであります。公共事業も二十五年度は画期的に大きくはなつたのでありますが、何しろ災害の痛手がありまして、その方面に重点をさきました関係上、御承知のように、この方面に対しての経費が十分を期し得なかつたという実情にある次第でございます。首都建設、ことに戰災復興というものは、これは他の都市にもまして非常に重要なものでありますので、この法案通りました場合におきましては、できるだけその方向に沿いまして善処してみたいと存じております。公共事業費も、今後において財源を得ますれば、できるだけ強化して参りたいというふうに考えておる次第であります。
  20. 浅利三朗

    浅利委員長 質問通告によつて砂間一良君。
  21. 砂間一良

    ○砂間委員 大蔵関係政府委員がおいでのところで、二、三の点についてお伺いしたいと思うのであります。たとえば都市計画事業におきましても、国の補助率というふうなものは大体きまつておるのであります。ところがこの首都建設の場合に、この委員会で、特に東京都は日本首都であるから、その補助率に特例を設けて増額せよというふうなことを政府勧告する。あるいは本来ならば東京都で執行すべき都市計画事業でありましても、河川なり、道路なり、港湾なりについて、これを運輸省なり、建設省なり、その他の担当官庁においてやつてくれというふうなことを勧告した場合におきまして、それが第十二條の規定によりまして、その事業を担当官庁が執行するということになりますと、必然国の経費も増額するということになると思うのでありますが、そういう場合に、政府はやはりこの法案が通つた場合においては、首都建設協力し、首都建設するという建前からして、それをそのまま実行して行くという用意があるかどうか。これは今日、いろいろ国の財政経済等の関係におきまして、非常に緊要な事業でありましても相当端折られ、あるいは減額されておる事業がたくさんあるのであります。首都建設ということはもちろん重要でありますけれども、国の経済全体から見て、一方的に首都建設にだけ重点を置くということも、できないような場合も十分あり得ると思うのです。しかしこの委員会勧告は相当強力でありまして、委員会勧告した場合には、結局それを尊重するという建前になつておりますので、その辺の事情に対する政府当局の御見解を承りたいと思います。
  22. 水田三喜男

    水田政府委員 その点はただいま主計局長が御説明になりましたように、もう今年度の予算というものが実質上きまつておりまして……
  23. 砂間一良

    ○砂間委員 今年度ばかりでない。
  24. 水田三喜男

    水田政府委員 きまつておりまして、その予算の範囲内から経費をやり繰りするということは、かなりむずかしいと思います。無論国会がこれをきめれば、その経費を出すために政府は努力しますが、むずかしいという場合は、たとえば臨時国会とかいうような場合に、特に国会でこの法律が通つておる以上は、その経費をどうするということを国会にあらためて審議してもらつて、その追加予算なり何なりを実現するというような方向で行くよりほかしかたかないと思つておりますが、いずれにせよこの法律通りますれば、それによつて必要経費をどう出すかということは、やはり国会できめていただく問題になると思つております。私たちはそういう方向へ十分努力するつもりでおります。
  25. 砂間一良

    ○砂間委員 それに関連してでありますが、そういたしますと、政府予算編成権についての自主性が、ある程度委員会の監督によつて制約されるというふうなことはございませんか。
  26. 河野一之

    河野(一)政府委員 この法案で拝見いたしますと、首都建設委員会は内閣における委員会でありまして、政府の内部の機関であります。お互いが同じ政府の中にありますから、政府の方針に反するような勧告は、おそらく出されないのではないか。もし出される場合においては、内閣においてその方針を決定されて、法律上は別としまして、事実問題としてそういう御連絡があつて出されるのであろうというふうに、実際の運用は考えております。
  27. 砂間一良

    ○砂間委員 もう一点、今常識で考えまして、通常予算の中から——首都建設については、相当厖大な費用がかかるのじやないかと思うのでありますが、予算の面は、これにはまだ計数、数字では出ておりませんが、相当厖大な経費がかかるのではないかと思いますが、これを普通の通常予算よりまかなつて行くということは、相当困難な面があるのではないかというように考えられますが、その財源について、何かお考えの点がありましたら伺わせていただきたい。たとえば見返り資金の運用によつてつて行くつもりだとか、何とかいうような御意見がありましたら、ひとつ伺いたいと思います。
  28. 河野一之

    河野(一)政府委員 これはもちろんこの建設計画の規模にもよることでありますが、相当大きいものでありますると、これがために目的税だけで行くということはなかなか困難であろうと思います。御承知通り都市計画事業につきましては、今度は地方税法はかわりますが、現在のものでありますと、地租家屋税について特別の目的税を課することができるようになつております。それから事業税につきましても、特別税額というものを課することができる。そういう一応の目的財源はございます。しかしそれでは非常に大きな規模のものにつきましては、なかなか困難であろうということで、国の方で従来特定なものについては補助をいたしておるわけでございますが、しかし国が補助をいたしますについて、財源をどういうふうにするかということは、予算は全体の歳入と歳出をにらみ合せて考えますので、特にその財源を別建に用意するということもいかがかとも思われるのでありまして、もしそういうことを実行する必要があるとすれば、予算全体として、全体の財源の中をあんばいくふうして施行するということに相なろうかと思うのであります。
  29. 砂間一良

    ○砂間委員 昨日来のいろいろ御説明や御意見を聞いておりましても、一番の問題点は財政の点にあるように伺つておりました。いろいろ計画は立つても、施行の面において障害がある。その施行の面の障害の最大なものは、予算裏づけと申しますか、財政の点にあるような御説明が多かつたと思います。そういたしますと、せつかく計画を立てましても、その予算裏づけ財政措置が伴わなければ、結局これまでと同様でありまして、机上の計画にすぎないということになるわけでございます。従つてこの法案がかりに成立いたすと仮定いたしまして、その場合において、政府にその予算面、財政のやり繰りの面において、相当はつきりした見通しと申しますか、その用意がなければ、なかなかこんなものを、悪い言葉で言えば通したつて仕方がないと思うのであります。そういうような点につきまして、予算財政関係について、政府の御所見をひとつざつくばらんに承りたいと思います。
  30. 水田三喜男

    水田政府委員 実はたしかに御質問通りでございまして、かりにこの法案が昨年の八月ごろに議員立法として準備されておつて政府との交渉で、必ず国会としてはこういう法案を通すのだから、その予算的措置をあらかじめ考えておけというようなことが、去年の八月ごろに行われたとしましたら、われわれとしてはもうこの予算を準備してかかつてつて、今日この法案が通れば、ことしの予算の中にそれを見てあつたというくらいの準備ができたのでありますが、全然今までそれについての連絡がなくて、この立法をきようやろうとするのですから、できてもすぐにその予算は準備されておりませんので、おつしやられる通り、あしたからこれがすぐに動き出すというわけには当然参らぬと思つております。けれどももうこの趣旨は十分政府にもわかつておりますし、これが国会を通るということでございましたら、われわれとしてできる限りの方法を講じて、この予算の捻出にかかりたいと思つておるだけでございまして、いつごろその予算がそつくりそろうかという、見通しとか自信とかというものは、まだ現在のところございません。
  31. 浅利三朗

    浅利委員長 砂間君に申し上げますが、地方自治庁の方も見えておるのですが、ほかの方の委員会もあるそうですから、あなたはその方の質問もあるようですから、両方をにらみ合せて質問してください。
  32. 砂間一良

    ○砂間委員 もう一つで済みます。
  33. 浅利三朗

    浅利委員長 いや、制限するわけではありません。ただ一方が急がれておりますから、もし一方に集中して、ほかの方を聞きそこねるということのないように、あんばいして質問してください。
  34. 砂間一良

    ○砂間委員 地方自治庁の方にも大分問題があるのですが、大蔵省関係政府委員の方にもう一点伺いたいと思うのです。それはこの法案が通つて、あしたからすぐに予算の準備があるかといつても、それはもう二十五年度の予算は衆議院を通過しておりますので、それはできつこないことはわかります。将来のことを問題にしておるわけでありますが、この委員会でどういう計画を将来お立てになるかわかりませんが、昨日来の御説明を聞いておりますと、相当の政治経済、文化の万般にわたつて、何でもできるというような権限を持つておるようなふうに伺つて来たわけなんです。かりにそれでは大きな空港をつくる、あるいは厖大な道路計画を立てるというふうにして、どんどん計画を立てて行つた場合におきまして、それを実行して行くという場面になりますと、相当厖大な費用がかかるようになつて来ると思うのですが、それでも日本首都建設するということであれば、国としても力を添えなければならぬということにもなりましよう。その辺のかね合いは、相当困難なむずかしい問題が出て来ると思うのですが、しかし政府としては、十分それに対応して行けるだけの覚悟というときついかもしれませんが、確信を持つておられるかどうかということを、最後にお伺いしたいと思います。
  35. 河野一之

    河野(一)政府委員 すべての計画というものは、ほとんどすべてのものが財政裏づけを必要とするわけでありますから、おつしやいます点はごもつともな点であります。ただ計画を立てられまする際におきましても、これは財政の状況というようなものをにらみ合せてつくつていただくというふうなことに、実際問題として、なるのではないか。と申しますのは、相当大きな計画でありましても、財政の状況とにらみ合せて、第一期にはどの程度のものをやつて行くというような順序もございましようし、そういう点が同じ政府部内の中のことでありますから、十分連絡がとれて、円滑に支障なく行くものだというふうに考えております。ことにこの問題は、單に財政補助の問題でなしに、資金の問題にも相当大きく関連して来るのでありまして、そういう関係財政経済全体とにらみ合せて愼重に実行できるようにやつて行くべきものである、こういうふうに考えておる次第であります。
  36. 砂間一良

    ○砂間委員 地方自治庁の方を続けていいですか——それでは地方自治庁の方にお伺いしたいと思いますが、その第二條の「東京都の区域内において」という言葉がありますが、この東京都の区域内と申しますと、どの範囲が含まれるのですか。何かあまり非常識のことを聞くようですが、具体的にひとつ……。
  37. 浅利三朗

    浅利委員長 ちよつとお待ちください。大蔵省関係はほかに御質問ありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 浅利三朗

    浅利委員長 それでは継続してください。
  39. 砂間一良

    ○砂間委員 具体的にひとつ御説明願いたいと思います。伊豆七島、三多摩なんかも当然東京都に含まれておるわけですか。その範囲からまず御説明願いたいと思います。
  40. 小野哲

    小野(哲)政府委員 砂間さんの御意見のように、東京都の区域とは旧市内はもちろん三多摩、それから島も含んでおる、かように考えております。
  41. 砂間一良

    ○砂間委員 それでこの第十二條によりますと、最後の方に東京都及びその区域内の関係地方公共団体同意が必要だということがございますが、かりにこの都市計画なんかの場合におきまして東京都が同意をしなかつた場合、あるいはもつと狭い範囲で、区なら区の範囲内におきまして、区会が反対の決議をされたというような場合におきましては、この事業執行ということはどういうことになるのでありますか。
  42. 小野哲

    小野(哲)政府委員 ただいまの御質問に対してお答えいたしますが、この法律案の第十二條によつて同意を得られないという事態が起つたといたしました場合におきましては、自然執行が不成立に終る、かように解釈いたします。
  43. 砂間一良

    ○砂間委員 先日、三月十二日の東京日日新聞に、道州制に関連して東京都の区会や何かをどうするこうするというような意見がいろいろ出ておりましたが、あの点はどうなりますか。
  44. 小野哲

    小野(哲)政府委員 道州制の問題につきまして、巷間これを実施するがごとく伝えられておる向きがあるようでありますけれども、現在政府におきましては、道州制の問題につきまして何らの具体的な方針を持つておりません。行政区域内あるいは行政事務の再配分、すなわち国都道府県及び市町村相互間の事務をどういうふうに配分して行くかというふうな問題につきましては、本年の一月から発足いたしました地方行政調査委員会議において研究されることに相なつておりますので、政府といたしましては、この地方行政調査委員会議の調査立案の結果にまつて、適正に判断をいたす必要があるであろう。目下のところは何ら考えておらない。従つて御指摘のようなこの首都建設法案とは、何ら関係がないということを申し上げておきたいと思います。
  45. 浅利三朗

    浅利委員長 自治庁に対してほかに御質問ありませんか。——では砂間君継続してください。
  46. 砂間一良

    ○砂間委員 昨年十一月二十九日の建設工業新聞によりますと、石川建設局長の抱負として、都の美観を保つために、広告物の取締りも今後ぜひこれを強力に規制する必要があるというふうなことを申されておりますが、やはり首都建設に関連して、こういう面までやつて行かれる御意思でありますか。
  47. 栗山長次郎

    栗山長次郎君 都市の美観の関係から来る広告をいかにするかということは、私の知る限りにおいては、自治体の條例の問題であると考えております。この法案によつて構想されている委員会が、そういう点についてあるいは勧告程度のことをするかもしれませんが、それをするかしないかは、その自治体の條例の決するところであつて、この法案が通過した場合に、直接その問題をこの機関によつて左右することにはならぬと思つております。
  48. 浅利三朗

    浅利委員長 砂間君、なるべく法案に近い問題を質問して、一般の問題にあまりわたらぬようにしてください。
  49. 砂間一良

    ○砂間委員 これはぼくらにとつては重大な問題です。次にこの第二條の首都建設計画に関連して、昨日来その具体的な計画をいろいろお伺いして来たのですが、たとえば観光区域だとか、それから観光公園だとかいうふうなことも、いろいろ昨日来論議されておりますが、観光ホテルの建設ということも、提案者の方では首都建設に関連してやはり建設計画の中に腹案としてお持ちになつておられるのですか。
  50. 栗山長次郎

    栗山長次郎君 御質疑の点は将来の問題でありまして、提出者といたしましては、さような構想を含めてこれを出してはおりません。
  51. 浅利三朗

    浅利委員長 砂間君に申し上げますが、ただいまのお話はあまりに細部にわたつて、本法案審議内容の範囲を脱しておると思います。委員会が何をするかということは委員会成立後にやるべきものであると思うのでありまして、そこまで審議しておつたら、本審議はいつまでたつても終結しないと思います。もし本法案の直接の御質疑でなければ、この辺で質問を打切りたいと思いますが……。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 浅利三朗

    浅利委員長 御異議がないものと思いますが、それでは本法案に対する質疑応答はこれをもつて終局することに決してよろしゆうございますか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 浅利三朗

    浅利委員長 ではこれをもつて終局いたします。  午後一時半まで休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後二時三十二分開議
  54. 浅利三朗

    浅利委員長 休憩前に引続ぎ会議を開きます。  首都建設法案につきましては、午前中において質疑を終了いたしております。これより討論に入ります。通告順従つて順次これを許します。砂間一良君。
  55. 砂間一良

    ○砂間委員 本法案が本委員会提案されたのは昨日の午後でありまして、委員会における十分なる審議の機会も與えられずに、急速にこうやつて採決に付されるということにつきまして、私はきわめて大きな不満を持つておるのであります。この首都建設法案は、その内容におきまして、あるいはこの委員会の権限等におきまして、非常に重大な問題を含んでおりますので、私は昨日の委員会におきましても、これはある場合には地方行政委員会との連合審査を開く必要もあるのではないか、あるいは公聽会を開いて、東京都民の輿論を聞く必要もあるのではないか、というふうな希望も申し上げまして、十分愼重なる態度をもつて望まれんことを希望したのでありますが、そういうことがまつたく無視されまして、こういう短時間の間に審議を終了しなければならぬということにつきましては、きわめて遺憾の意を表する次第であります。  次に本法案についてでありますが、結論を先に申し上げますと、私は第一にこの法案に反対であります。平和国家にふさわしい首都建設するという、そのこと自体につきましては、別に異論はないのでありますけれども、しかし今日の敗戰日本の現状におきまして、労働者は低賃金、あるいは失業に悩んでおり、また中小企業は非常な困難に直面しておりまして、他面では重税の重圧に苦しんでおる。こういつた国民の窮乏、それから困難な状態を見ますときに、この現状におきまして、厖大な予算的措置を伴うところのこういう法案が、今日突如として提案され、それが制定されなければならないという、その理由が納得できないのであります。少くとも私どもは、まだそういう時期ではないというふうに考えております。それはりつぱな首都建設するということもけつこうでありますけれども、首都の外観だけいくらりつぱにかざりましても、その中に住んでいる都民の生活が窮迫しておる、あるいは日本全国の大衆の生活が、今日のような現状におきましては、それは決して日本のために名誉なことでもなければ、りつぱなこととも言えないと思うのであります。そういうような点からいたしまして、まずその時期でないということを第一に申し上げたい。  その次には、この法案によりますと、首都建設計画を立てるということがあるのでありますが、この建設計画というものが、まことに広範にわたりまして、そうして政治経済、文化の各面にわたつて非常に大きな範囲にわたつておりまして、厖大な計画を含んでおるのであります。昨日来の御説明を聞いておりましても、運輸、交通、供給、官衙市街地計画等が含まれておりまして、その中には国際空港の建設であるとか、あるいは港湾施設の増強であるとか、また特殊地区を設定いたしまして、観光地区とか医療保健地区とか、あるいは文教地区などを設定するとか、あるいは運輸交通の方面におきましては、地下鉄や高速鉄道を建設するとか、あるいはそれを延長するとか、また電気、ガス、上下水道事業等いろいろな計画が含まれておるのでありますが、こういう計画の実施ということは、関係各方面に重大な関連と影響を持つておるというふうに考えます。ところがこれらの計画を立ててこれを推進して行くところの首都建設委員会の構成を見ますと、九名の委員から成るということになつております。建設大臣とか衆参両院の議員とか、東京都知事とか、都議会の代表者、あるいは学識経験者等でありまして、いずれも官僚やボスの集りばかりであります。これまで東京都の戦災復興が遅れておるというふうなことも、昨年来言われておりましたが、この遅れておる最大の原因はどこにあるか、單にこの東京都にいろいろな利害関係が輻輳しておるというばかりではなくて、この都市計画をはばんで来た最大の原因は、利権にからむ地方ボスの暗躍と、中央集権化した官僚の無能、それからなかんずく地方財政の貧困というふうなことが大きな原因になつておると思います。     〔委員長退席、内海委員長代理着席〕  今度の首都建設委員会は、さらにこのそういう中央集権的な官僚的な構成に輪をかけたような構成でありまして、この委員会東京都議会にも責任を持たない、国会に対しても責任を持たない、内閣直属の機関ということになつております。こういうふうな委員会に一般勤労大衆の要求や希望なんかは、ほとんど反映することはできないということは明らかだと思います。提案者委員会制度が民主的だというふうな御説明をしておられますけれども、たとえば国家公安委員会を見ましても、あるいは地方労働委員会を見ましても、その他証券取引委員会、あるいは日銀の政策委員会、その他各種の委員会審議会どれ一つつてみましても、みな内外独占資本の独裁的な資本の投下であつて、勤労大衆を弾圧し、搾取するということばかりを使命とし、また現に実行しておるのであります。首都建設委員会もまつたくそれと同様な構成であつて、また同じように運用されるであろうということは、火を見るより明らかだと思うのであります。しかもこの委員会にゆだねられておるところの権限は実に強大でありまして、委員会は、初めに申し上げましたような計画を、單に立案するばかりでなくて、これを国や関係地方公共団体あるいは関係事業者に勧告し、その援助協力を求め、また事業執行につきましては、建設省だとか、運輸省だとか、その他いろいろの行政官庁が、独自の立場から執行することもできる、こういう仕組みになつております。従つて地方自治なんかはこの委員会制度によつて完全に封殺され、破壊されてしまうということは明らかであると思うのであります。この委員会の権限というものは、実にオール・マイテイでありまして、委員会にそういう大きな権限を持たした立法、しかも具体的な計画内容については、ただ委員会の頭一つにゆだねて行くというこういう立法のやり方は、ちようど戰時中における国家総動員法にも似たような白紙委任状的な立法でありまして、こういう法案提案されるということは、民主政治原則に反すると思うのであります。委員会の構成と運営がそういうふうになつておるのでありますが、上に民主的な政府がありまして、そうしてこの委員会が真に民主的に行われて行くならば、私のこれまで申し上げたようなこともあるいは杞憂に属するかもしれませんが、しかし現在までやつて来た歴代内閣、殊に自由党の吉田内閣のいろいろな諸施策を見ますと、決して民主的な方向に行つていない。しばしば言われておりますように、非常に買弁的な、日本を軍事的植民地化するような危険を含んでおるような政策が行われておるようであります。そうして勤労大衆はその下積み、犠牲にされて来ておるという傾向が強いのであります。こういう内閣、こういう政府のもとに、こういう厖大な権限を持つた委員会が運営されるということについては、私どもは多くの危惧の念を持たざるを得ない。たとえば国際空港の建設にいたしましても、これが真に平和な空港として建設されるならばいいのでありますけれども、しかし利用のしようによりましては、これを軍用飛行機の基地として利用することもできるわけであります。あるいは伊豆七島を観光地とする計画のむとに進められおるいろいろな港湾施設が、場合によつては軍事的な意味に利用される危険もあるのであります。都民の犠牲において広められた道路や都市計画が、軍用道路になつたりあるいは東京都を外国の植民地都市にするかもしれないというふうに、悪用される危険性も多分にあるのであります。かような意味におきまして、私は地方自治を破壊し、都民の利益を裏切り、都民を弾圧、搾取し、東京都を軍事的植民地化するおそれのある本法案には絶対反対するものであります。
  56. 内海安吉

    ○内海委員長代理 瀬戸山君。
  57. 瀬戸山三男

    瀬戸山委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま議題になつております首都建設法案に賛成するものであります。ただいまいろいろ反対の意見がございましたが、反対される前に、本法の目的は、東京都を新しいわが平和国家首都として、十分にその政治経済、文化その他についてその機能を発揮し得るよう計画し、建設することである。この目的には反対されないという御意見を承つて、私は共産党の諸君に敬意を表するものであります。その目的を達するのがわが日本国民の希望であるということは、御反対の方はないはずでありますが、ただそれをいかにして達成するかということが本法案の主たる目的であります。今日まで私ども論議いたしまして、東京都が日本平和国家首都ではないということは、国民一人として考えておらなかつたのでありますが、     〔内海委員長代理退席、委員長着席〕 それが今日までの機構においては、完全にその目的を達することができないということが、本委員会の討議において明らかになり、そこでさらに本法案を設定いたしまして、首都建設委員会なるものを総理府の外局として設け、そこによつて新たに首都建設の基本計画を立つて、それを強力に推進しようというのが本法案目的であります。この目的を達成する手段でありまして、これは私どもきわめて適切なる方法であると、かように考えておるわけであります。問題はただこの委員会において計画設定せられましたところの首都建設計画なるものが、真にこの第一條に掲げました目的を貫徹するような施策を行い得るかというようなことが、今後における最も基本的な問題であります。それは国家の財政経済とにらみ合せまして、強力にその能力に応じて、これを実行して行かなければならないことは当然でありますが、本法案においては、その点が明確になつておらないということはある程度遺憾であります。遺憾でありますけれども、しかし法文に書く書かないは別問題といたしまして、かような法律をつくつて、諸外国に対してはずかしからざる平和国家としての首都をつくるということは、国民あげて賛成でありますので、その点については、政府といたしましても今後強力なる措置をしなければならないということを、この際つけ加えておきたいと思うのであります。ただいまの反対者の御意見を聞いておりますと、今日は時期でないという、ある程度さようなこともあるかと思います。今日国民は重税に困つており、中小企業はきわめて困窮をいたしておる、賃金は押えつけられておる。これは現在の社会情勢であります。これは日本の敗戰後の真の力がただその程度であるということを私どもは考えまして、それを復興するために今日努力しておるのであつて、もちろん国民を塗炭の苦しみに置きまして、ただ東京都を首都として輪奐の美をつくるということがこの法律目的ではないのであります。首都建設して、真に日本平和国家としての姿に現わし、国民の生活もそれに応じて向上せしめようというのが、本法案のほんとうの精神でありまして、何も輪奐の美をつくつてその中に住んでおる真の国民の生活を塗炭の苦しみに置くということでは絶対にないのであります。先ほども申し上げましたように、国民の力、日本財政の力に応じて、この法律目的を達成しなければならないということは、常識ある政治家のとるべき態度であろうと考えておるのであります。さらに本法案に掲げてありますところの首都建設委員会の構成がきわめて官僚的であり、ボス的である。かようなことは常に言われることでありますけれども、これは見解の相違でありまして、私どもは本委員会首都建設計画を立てる場合において、勤労者その他を弾圧するためにやるということは、全然想像もつかないところであるのであります。さらに本計画によつて軍事的に利用されるような施設をする。そうして日本が軍事的な植民地にされるということを御懸念のようでありますけれども、それは平和国家を宣言いたしておりますところの日本国民の決意によつて排除されるということは、これは今日から私どもは考えておかなければならないのであります。さようなことを危惧いたしまして、わが日本首都を今日の状態に置くということには、私どもは賛成いたしかねるのであります。さらに本計画によつて都民を苦しめるという御議論をされるのでありますけれども、これは見解の相違であるかもしれませんが、さようなことは今日の政治家は考えておらない、かように私どもは存じております。  さらに本法は、いわゆる地方自治精神を蹂躪するものであるというこの点は、私も本委員会において相当な論議をいたしたのでありますが、この論議の中で明らかになりました通り、本法によりますところの首都建設委員会は、すべて基本的計画を立てまして、これを国その他の各行政関係機関勧告をし、それに基いておのおのの計画を作成して、国の力も借りまして、強力にこの法の目的を達成しようというのでありまして、何も地方自治自主性を阻害するものでなく、自主性を助けながら地方自治体精神、さらに首都としての性格を與えようというのでありまして、さような御懸念は絶対にいらないものであることを私は確信して疑わないものであります。  多くを論ずる必要を感じないのでありますが、私どもはこの法律の制定のみによつて首都がただちに国際間にはずかしからざる平和国家首都としての姿を現わすということは考えておりません。今後日本経済財政の力により、特にこの点に強力に力をいたさなければならないということを、政府に対して強く希望を申しまして、私の賛成意見といたしたいと思います。
  58. 浅利三朗

  59. 上林與市郎

    ○上林委員 私は日本社会党を代表いたしまして、首都建設法案に対して賛成の意見を述べたいと存じます。  わが党では、党議に諮りました際に、非常に強い意見として表われましたのは、この法案に対しまして賛成ではあるけれども、法案取扱い上の問題についていろいろ議論がなされました。と申しまするのは、昨日提出されまして、そして本日ただちに討論採決するというようなことは、悪例になりはしないかという議論がございましたので、この点第一に遺憾の意を表しておきたいと思うのでございます。  第二の点は、この目的によつて明らかでございまするが、従来の例から見まして、さらに今後見通しされるいろいろな問題、すなわち特別観光都市法案あるいは特別都市法案というようなものを考えて行きまする場合に、相当考慮する必要があるのではないかという議論もなされたのでございますが、東京都は首都、すなわち全国の代表都市としてこの際承認しようじやないか、こういう議論も強く行われておるということを一言つけ加えまして、私の賛成討論といたしたいと存じます。  賛成の理由は本日までの質問に対する提案者の説明等で明らかにされておりますので、この際省略いたしたいと存じます。
  60. 浅利三朗

    浅利委員長 次に天野久君。
  61. 天野久

    ○天野(久)委員 私は民主党を代表いたしまして本法案に賛成の意を表したいと存じます。  申し上げるまでもなく、東京都は日本全国の代表都市である、こういう見地から賛成をいたしたいのであります。今の東京都の現状は、平和文化国家の首都として今の施設が必ずしもふさわしいものでない。むしろ現状を見まするときに、わが国首都としては万事が事欠いておるのではないか、いわゆる交通に、通信に、運輸に、その他政治部面におきましても、それぞれ非常な欠陥がありまして、不便を感じておりますので、この際首都法案を通して、平和文化国家の首都としてふさわしい都市にいたして行くということは、わが国の前途に対して最もとるべき策ではないかと存ずるのであります。しこうしてなおここに特に注意いたさなければならぬことは、われわれは東京都は全国の首都である、いわゆる全国唯一の首都であると考えて、この法案に賛成いたすのでありますが、ややもすると、これを一つ東京都であるというような感じを持たれて、全国各所の戰災を受けた都市、あるいは今後いろいろと観光その他の面に進出いたしたい都市、あらゆる都市がこれにならつて、これに類似したような法案提出が幾多出て来るではないかということがうかがい知られるのでありますが、もしそういう場合があつたといたしますると、今後において非常にその取扱いに苦しむ、こういうことがありまするので、どうかこの法案は全国の寄り集まつた一つ首都であるという観点のもとに、お取扱いを願いたいと思います。なお他については、前賛成者のいろいろな御意見がありましたので、大体それと同じでありまするので、以上をもちまして本案に賛成の意を表する次第であります。
  62. 浅利三朗

    浅利委員長 通告の方の発言は終りました。他に御発言はありませんか。     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 浅利三朗

    浅利委員長 お諮りいたします。これにて討論を終局いたすに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 浅利三朗

    浅利委員長 御異議なしと認めます。よつて討論は終局いたしました。  ちよつと申し上げておきます。先刻の砂間委員の発言中不穏当な点がありますれば、後ほど速記録を調査の上委員長において適当に処置いたしますので御了承願います。  採決いたします。本案に賛成の諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立〕
  65. 浅利三朗

    浅利委員長 起立多数、本案は原案通り可決せられました。(拍手)  お諮りいたします。本案に関する報告書の作成並びに提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  66. 浅利三朗

    浅利委員長 御異議がなければさように決します。     —————————————
  67. 上林與市郎

    ○上林委員 よほど以前の委員会におきまして、前建設次官の岩澤君のことについていろいろ問題になつてつたのでございますが、私は理事会の席上でも、大臣に約束いたしました調査書類を早く出してもらいたいということを、再三要求いたしておるのでありますが、いまだに提出されておりません。これは委員長の責任において早い機会に提出方を催促してもらいたい。
  68. 浅利三朗

    浅利委員長 承知いたしました。  暫時休憩いたします。     午後三時休憩      ————◇—————     〔休憩後は開会に至らなかつた。〕